JP2010251047A - 正極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性ペーストの接着性を向上させ、導電性に優れた活物質層を備える正極の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明により提供される正極活物質を主成分とする活物質層が正極集電体の表面に積層された構造の正極30を製造する方法は、上記正極集電体32の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材、導電材および有機溶剤で該正極活物質を混合して成る非水性ペーストを塗布し、第一活物質層34を形成すること、および該第一活物質層上に、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材、導電材および水系溶媒で該正極活物質を混合して成る水性ペーストを塗布し、第二活物質層36を形成すること、を特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、水性ペーストから成る活物質層を備える正極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
この種のリチウムイオン電池の一つの典型的な構成では、電極集電体の表面にリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る電極活物質層(具体的には、正極活物質層および負極活物質層)を有する。例えば、正極の場合、リチウム遷移金属複合酸化物等の正極活物質が、高導電性材料の粉末(導電材)および結着材等と適当な溶媒の中で混合されて調製される正極活物質層形成用のペースト状組成物(ペースト状組成物にはスラリー状組成物が包含される。以下同じ。)が正極集電体に塗布されることにより正極活物質層が形成される。
ところで、上記ペースト状組成物を調製する際に混合する溶媒として、水系溶媒を使用することがある。水系溶媒を用いて成るペースト状組成物(以下、「水性ペースト」という。)は、有機溶剤を用いて成るペースト状組成物(以下、「非水性ペースト」という。)に比べて、有機溶剤およびそれに伴う産業廃棄物が少なくて済み、尚且つそのための設備及び処理コストが発生しないことから総じて環境負荷が低減される利点を有する。
この種の電極の活物質層に関する従来技術として、特許文献1〜5が挙げられ、そのうち特許文献1〜4には、積層構造を有する活物質層に関する技術が開示されている。特許文献1には、電極合剤層形成用のペースト状組成物を複数回に分けて積層することによって電極集電体と合剤層との接着性を高める方法について開示されている。特許文献2には、2種類のペーストをそれぞれ均一の厚みで電極集電体に塗工する装置およびその方法について開示されている。さらに、特許文献3には、正極集電体の表面に形成された活物質層の上に、さらに導電材を含むペーストを塗布することによって、活物質の充填密度を高める技術が開示されている。
また、特許文献4および5には、水性ペーストを用いて活物質層を形成する技術が開示されており、そのうち特許文献4では、正極集電体と水性ペーストで形成される活物質層との間に、非水性ペーストで形成される導電材含有の導電層を介在させたリチウム二次電池について開示されている。特許文献5では、水系溶媒を用いた正極用のペーストを作製する工程について開示されている。
特開平10−270023号公報 特開2001−345096号公報 特開2004−214029号公報 特開2006−4739号公報 特開2007−227310号公報
ここで、上記水性ペーストは、該ペースト中に含む正極活物質が溶媒である水と反応しペーストのpHが高くなる傾向があり、かかる高pHの水性ペーストを金属製の正極集電体、例えばアルミニウム製の正極集電体に塗布すると、該正極集電体の表面に酸化アルミニウムによる被膜が過剰に形成される虞がある。かかる過剰の酸化被膜は、電池の内部抵抗を増大させる要因となる。
また、非水性ペーストが塗布されて形成された層上に上記水性ペーストを塗布する態様の方法により正極を製造する場合、すなわち、相対する性状のペーストにより形成された積層構造の活物質層を備える正極を製造するとき、非水性ペーストから成る層の「濡れ性」が低いため、その上に塗布する水性ペーストがはじかれ易く、十分な層厚を形成するのが困難であった。
そこで、本発明は水性ペーストを用いて作製する正極に関する従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、非水性ペーストから成る層に対する水性ペーストの接着性を向上させ、導電性に優れた活物質層を備える正極の製造方法を提供することである。また、このような正極を備えるリチウムイオン電池を提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく本発明により、正極活物質を主成分とする活物質層が正極集電体の表面に積層された構造の正極を製造する方法を提供する。
本発明に係る製造方法は、上記正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材、導電材および有機溶剤で上記正極活物質を混合して成る非水性ペーストを塗布し、第一活物質層を形成すること、および上記第一活物質層上に、水系溶媒(水の他、メタノール、エタノール等の低級アルコールを含む水溶液が挙げられる)に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材、導電材および水系溶媒で上記正極活物質を混合して成る水性ペーストを塗布し、第二活物質層を形成することを特徴とする。また好ましくは、上記水性ペーストとして、少なくとも一種の界面活性剤(好ましくは、ノニオン性界面活性剤)を含有するペーストを使用する。
なお、本明細書において「正極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な正極側の活物質をいう。
なお、本明細書において「リチウムイオン電池」とは、電解質イオン(電荷担体となる化学種)としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
本発明によって提供される正極の製造方法では、正極活物質を含む第一活物質層と第二活物質層とが積層された構造の正極を提供することができる。ここで開示される正極は、正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材を含む第一活物質層と、上記第一活物質層上に形成された、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材を含む第二活物質層と、を有する。
かかる正極は、正極活物質が有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材、導電材および有機溶剤で混合して調製される非水性ペースト(ペーストにはスラリー状を含む。以下同じ。)を、正極集電体の表面に塗布して上記第一活物質層を形成し、また、該第一活物質層上に、正極活物質が水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材、導電材および水系溶媒で混合した水性ペーストを塗布することによって第二活物質層を形成することによって得られる。これにより、水性ペーストから成る第二活物質層は、正極集電体に直接接触することがないため、正極集電体の腐食が抑制された正極を提供することができる。
また、非水性ペーストから成る第一活物質層は、上記水性ペーストをはじき易く、該ペーストから成る第二活物質層を十分な層厚に形成し難い場合があるが、本発明の好ましい一態様として、水性ペーストに界面活性剤(好ましくは、ノニオン性界面活性剤)を添加した場合には、第一活物質層に界面活性剤の疎水基が吸着することにより、上記第一活物質層の表面の濡れ性が向上される。その結果、水性ペーストははじかれ難くなり、第一活物質層と第二活物質層との層間が剥離し難い品質に優れた正極を提供することができる。
また、本発明によって提供される正極の製造方法のより好ましい一態様では、上記ノニオン性界面活性剤として、ポリビニルアルコールを使用する。
上記ノニオン性界面活性剤の親水基は、水中で解離しないため、上記水性ペースト中では帯電せず、該ペーストを上記疎水性の第一活物質層上に塗布すると該界面活性剤の疎水基が第一活物質層に吸着する。水性ペースト中の疎水基が第一活物質層に吸着すると、該第一活物質層の表面の濡れ性が向上され、水性ペーストがはじかれ難くなる。これにより、層間剥離し難くい積層構造の活物質層を備える正極を提供することができる。
また、界面活性剤を含む水性ペーストを用いる場合のより好ましい一態様では、上記第二活物質層を形成した後、加熱により上記界面活性剤(好ましくは、ポリビニルアルコール等のノニオン性界面活性剤)を揮発させて、該第二活物質層中に空隙を形成することを包含する。
かかる加熱(熱処理)によって界面活性剤が揮発するため、第二活物質層中において界面活性剤が存在していた部分に空隙を形成することができる。該空隙は、活物質層に吸蔵放出される電荷担体の移動経路となり、集電体と活物質層との優れた導電パスを形成する。その結果、導電性に優れた活物質層を備える正極を提供することができる。
また、本発明は、他の側面として、リチウムイオン電池を提供する。すなわち、本発明によって提供されるリチウムイオン電池は、正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材を含む第一活物質層と、上記第一活物質層上に形成された、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材を含む第二活物質層と、を有する正極を備えるリチウムイオン電池であって、上記第二活物質層の空隙率が、上記第一活物質層の空隙率よりも大きいことを特徴とする。かかる態様の活物質層を有する正極を備えるリチウムイオン電池は、導電パスに優れ、ハイレート充放電に対しても内部抵抗の上昇が抑制された電池となり得る。
また、好ましい一態様では、上記リチウムイオン電池の正極は、ここに開示されるいずれかの製造方法により製造された正極であることを特徴とする。
さらに、本発明によると、ここに開示されるリチウムイオン電池を備える車両を提供する。本発明によって提供されるリチウムイオン電池は、導電性に優れ、放電の繰り返しによっても剥離し難い活物質層を正極に備えている。かかる正極は、特に車両に搭載される電池の正極として適した品質(例えば内部短絡の防止)および性能(例えば高出力)を示すものであり得る。したがって、ここに開示されるリチウムイオン電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウムイオン電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 一実施形態に係る捲回電極体を構成する正負極およびセパレータを示す断面図である。 実施例として構築した2032型リチウムイオン電池の模式的に示す断面図である。 本発明のリチウムイオン電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される正極は、正極活物質を主成分とする活物質層が正極集電体の表面に積層された構造を備えることによって特徴付けられる。詳しくは、正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材を含む第一活物質層と、上記第一活物質層上に形成された、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材を含む第二活物質層と、を有する正極である。
以下、上記正極を用いて構築される角型形状のリチウムイオン電池を例にして、ここに開示される正極および該正極の製造方法を詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。また、該リチウムイオン電池の形状は特に限定されず、例えば直方体状、扁平形状、円筒状等の外形であり得、該電池の形状及び大きさ並びにその他の構成についても、用途(典型的には車載用)によって適切に変更することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、一実施形態に係る角型形状のリチウムイオン電池100を模式的に示す斜視図である。また、図2は、図1中のII−II線断面図であり、図3は、捲回電極体20を構成する正極シート30、負極シート40およびセパレータ50A,50Bの積層部分の一部を模式的に示す断面図である。
図1に示されるように、本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、直方体形状の角型の電池ケース10と、該ケース10の開口部12を塞ぐ蓋体14とを備える。この開口部12より電池ケース10内部に扁平形状の電極体(捲回電極体20)及び電解液を収容することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38と負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。
図2および図3に示されるように、本実施形態では該ケース10内に捲回電極体20が収容されている。該電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に第一活物質層34および第二活物質層36が形成された正極シート30、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40、及び長尺シート状のセパレータ50A,50Bからなる。そして、正極シート30および負極シート40を2枚のセパレータ50A,50Bと共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体20を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。すなわち、図3に示されるように、セパレータ50A,50Bは、正極シート30の第二活物質層36と負極シート40の負極活物質層44とそれぞれ接するように配置されている。
また、捲回される正極シート30において、その長手方向に沿う一方の端部には第一活物質層34および第二活物質層36が形成されずに正極集電体32が露出しており、一方、捲回される負極シート40においても、その長手方向に沿う一方の端部は負極活物質層44が形成されずに負極集電体42が露出している。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合され得る。
まず、本実施形態に係るリチウムイオン電池100の正極の各構成要素について説明する。ここで開示される正極(典型的には正極シート30)は、正極集電体32の表面に形成された第一活物質層34と、該第一活物質層34上に形成された第二活物質層36とを備える。
上記電極の基材となる正極集電体32としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態では、捲回電極体20を備えるリチウムイオン電池100に好ましく使用され得る形状である、シート状の正極集電体32が用いられている。
次に、上記正極集電体32の表面に形成された第一活物質層34および第二活物質層36を構成する材料について説明する。
上記正極集電体32の表面には、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材、導電材および有機溶剤で前記正極活物質を混合して成る非水性ペーストが用いられて形成された第一活物質層34と、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材、導電材、少なくとも一種の界面活性剤および水系溶媒で前記正極活物質を混合して成る水性ペーストが用いられて該第一活物質層上に形成された第二活物質層36とを有している。このように、本実施形態では、第一活物質層34と第二活物質層36とは異なる性状(非水性および水性)のペーストが用いられているが、それぞれに共通する構成材料として、正極活物質および導電材が挙げられる。
上記正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な粒状の活物質材料が用いられる。この種のリチウムイオン電池の正極活物質として知られている層状構造の酸化物系正極活物質や、スピネル構造の酸化物系正極活物質等を好ましく用いることができる。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
ここで、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を典型的にはニッケルよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてNiよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物についても同様の意味である。なお、一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるオリビン型リン酸リチウムを上記正極活物質として用いてもよい。
このようなリチウム遷移金属酸化物としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属酸化物粉末をそのまま使用することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって該酸化物を調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する二次粒子によって実質的に構成された粒状のリチウム遷移金属酸化物粉末を得ることができる。本実施形態においては、リチウム遷移金属酸化物粉末の粒径を特に限定するものではないが、異なる粒径を備える該リチウム遷移金属酸化物粉末をそれぞれ用いて、第一活物質層34および第二活物質層36を形成してもよい。
また、共通する構成材料である上記導電材は、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。なお、これらのうち一種のみを用いられていても二種以上が併用されていてもよい。また、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませることができる。
次に、結着材について説明する。第一活物質層34を形成するための用いられる非水性ペーストに含まれる結着材、すなわち有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等を用いることができる。特に好ましく用いられる結着材は、PVDFである。なお、このような結着材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記非水性ペーストに含まれる結着材を溶解するための溶媒としては、有機溶剤を好適に用いることができる。例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。特に好ましい非水性ペーストに係る溶媒は、NMPである。
また、第二活物質層36を形成するために用いられる水性ペーストに含まれる水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材としては、水溶性ポリマー及び/又は水分散性ポリマーを用いることができる。例えば、水系溶媒に溶解する結着材としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等、種々のセルロース誘導体が挙げられる。
他方、水系溶媒に分散する結着材としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類が挙げられる。特に好ましく用いられる結着材はCMCあるいはPTFEである。なお、このような結着材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、水系溶媒は、典型には水であるが、全体として水性を示すものであればよく、例えば低級アルコール(メタノール、エタノール等)を含む水溶液であってもよい。すなわち、上記水性ペーストに含まれる結着材を溶解及び/又は分散するための溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる溶媒が挙げられる。
さらに、ここで開示される上記水性ペーストには、好ましくは少なくとも一種の界面活性剤が含まれている。典型的には、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤を用いる。かかるノニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ノニオン変性ポリビニルアルコール(PVA)、ショ糖脂肪酸塩エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられるが、特に好ましくは、ノニオン変性ポリビニルアルコール(「ポリビニルアルコール系重合体」、あるいは単に「ポリビニルアルコール」ともいう。)である。
長鎖アルキル基などのノニオン基を有するポリビニルアルコールは、例えば、エチレンなどのα−オレフィン等をポリビニルアルコールに共重合することにより生成することができる。かかるポリビニルアルコールの共重合量は、水溶性を損なわない範囲内であれば特に限定しない。なお、これらの界面活性剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
次いで、ここに開示されるリチウムイオン電池100の正極(典型的には正極シート30)の作製方法について説明する。
当該正極は、図3に示されるように、正極集電体32の表面に第一活物質層34を形成し、次いで、該第一活物質層34上に第二活物質層36を形成することより作製し得る。第一活物質層34の形成にあっては、まず、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材(例えばPVF)、導電材(例えばグラファイト)および有機溶剤(例えばNMP)で正極活物質(例えばニッケル酸リチウム)を混合して成るペーストまたはスラリー状の非水性ペーストを調製する。そして、調製した該非水性ペーストを正極集電体32に塗付し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することにより第一活物質層34が形成される。
ここで、正極集電体32に上記非水性ペーストを塗付する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の適当な塗付装置を使用することにより、正極集電体32に該非水性ペーストを好適に塗付することができる。また、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。かかる厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚みを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。
次いで、第一活物質層34を形成した後、該第一活物質層34上に、第二活物質層36を形成する。第二活物質層36を形成するにあたり、まず、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材(例えばCMC及び/又はPTFE)、導電材(例えばグラファイト)、界面活性剤(例えばポリビニルアルコール等のノニオン性界面活性剤)および水系溶媒で正極活物質(例えばニッケル酸リチウム)を混合して成る水性ペーストを調製する。そして、適当な塗布装置を用いて、上記調製した該水性ペーストを第一活物質層34上に塗付する。
非水性ペーストから成る第一活物質層34は、上記水性ペーストをはじき易く第二活物質層36を十分な層厚に形成し難い場合があるが、本実施形態では、上記水性ペーストに界面活性剤が含まれているため、第一活物質層34に界面活性剤の疎水基が吸着することにより、第一活物質層34の表面の濡れ性が向上される。その結果、水性ペーストをはじき難くなるため、所望する厚みに塗布することが可能となる。これにより、第一活物質層34と第二活物質層36との層間が剥離し難い正極30を提供することができる。
そして、上記水性ペーストを塗布した後、該水性ペーストに含まれる溶媒(典型的には水)を乾燥させ、圧縮(プレス)する。圧縮方法としては、従来公知の上記圧縮方法を第一活物質層34の形成時と同様に採用することができる。また、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。あるいは、第一活物質層及び/又は第二活物質層の形成後の圧縮(プレス)を省略してもよい。
プレス後、本実施形態に係る正極を製造する方法では、さらに加熱(熱処理)を行う。かかる熱処理によって、上記第一活物質層34上に塗布した水性ペースト中の界面活性剤を揮発させるためである。加熱で揮発した界面活性剤が存在した部分(第二活物質層36)には、空隙が形成される。その結果、第一活物質層の空隙率よりも大きい空隙率を有する第二活物質層を形成することができる。かかる空隙は、二次電池の充放電に伴う電荷担体の移動経路(吸蔵放出される場所)として利用されるため、導電性に優れた活物質層を備える正極を提供することができる。
さらに、この熱処理で水性ペースト中の上記界面活性剤を揮発させる共に、水性ペースト中に含まれる水に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材を溶融させることができる。これにより、より剥離し難い第二活物質層を形成することができる。
従って、かかる熱処理では、水性ペースト中の界面活性剤が揮発するような温度を用いて処理することが好ましい。また、該水性ペースト中の水に可溶及び/又は分散する結着材が溶融するような温度であればさらに好ましい。
また、上記水性ペーストは、該水性ペースト中に含む正極活物質が溶媒である水と反応して、ペーストのpHを高くさせる傾向にあるため、高pHの水性ペーストを金属製の正極集電体(例えばアルミニウム)に塗布すると正極集電体の表面が腐食する虞があった。しかしながら、本実施形態では、上記第一活物質層上に形成された水性ペーストから成る第二活物質層は、正極集電体に直接接触することがない。そのため、正極集電体の腐食が抑制された正極が提供される。
本発明により提供され得るリチウムイオン電池100は、上述した積層構造の正極活物質層(第一活物質層34および第二活物質層36)を備える正極に備える以外は、従来のこの種の二次電池に備えられるものと同様でよく、特に制限はない。以下、その他の構成要素について説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
例えば負極シート40は、長尺状の負極集電体42(例えば銅箔)の上に負極活物質層44が形成された構成であり得る。負極活物質層44を構成するリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、好適な負極活物質としてカーボン粒子が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。特に黒鉛粒子は、粒径が小さく単位体積当たりの表面積が大きいことからより急速充放電(例えば高出力放電)に適した負極活物質となり得る。
負極活物質層44には、上記負極活物質の他に、一般的なリチウムイオン電池に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有させることができる。そのような材料として、上述の第一活物質層34の構成材料として列挙したような結着材として機能し得る各種のポリマー材料を同様に使用し得る。
かかる負極活物質層44は、負極活物質と結着材等とを適当な溶媒(水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒)に添加し、分散または溶解させて調製したペーストまたはスラリー状の組成物を負極集電体42に塗付し、溶媒を乾燥させて圧縮することにより好ましく作製され得る。
また、セパレータ50A,50Bは、正極シート30および負極シート40の間に介在するシートであって、正極シート30の第二活物質層36と、負極シート40の負極活物質層44にそれぞれ接するように配置される。そして、正極シート30と負極シート40における両電極活物質層36,44の接触に伴う短絡防止や、該セパレータ50A,50Bの空孔内に非水電解液を含浸させることにより電極間の伝導パス(導電経路)を形成する役割を担っている。
かかるセパレータ50A,50Bの構成材料としては、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の多孔質ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
また、電解液は、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種又は二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
上記作製した正極シート30及び負極シート40を2枚のセパレータ50A,50Bと共に積重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体20を電池ケース10に収容するとともに、上記電解液を注入して封止することによって本実施形態のリチウムイオン電池100を構築することができる。
なお、電池ケース10の構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)、および正負極を主構成要素とする電極体の構造(例えば捲回構造や積層構造)等について特に制限はない
以下、本発明に関する試験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例に係るリチウムイオン電池の構築>
本実施例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を構築した。図4に本実施例に係るコイン型リチウムイオン電池1000を示す。
まず、実施例に係るリチウムイオン電池の正極130を調製した。すなわち、正極における第一活物質層(図示しない)を形成するにあたり、正極活物質としてのニッケル酸リチウムと、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これら材料の質量%比が87:10:3となるようにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合し、非水性ペーストを調製した。
そして、該非水性ペーストを正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥させた。さらに、ローラプレス機にてシート状に引き伸ばし、正極集電体の表面に第一活物質層を形成した。
次いで、該第一活物質層の上に第二活物質層を形成した。すなわち、正極活物質としてのニッケル酸リチウムと、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、ノニオン性界面活性剤としてのPVA(ポリビニルアルコール)とを、これら材料の質量%比が87:10:2:1:1となるようにイオン交換水を加えて混合し、水性ペーストを調製した。調製した該水性ペーストを第一活物質層に塗付し、水性ペースト中の水分を乾燥(蒸発)させた後、ローラプレス機にてシート状に引き伸ばした。そして、凡そ150〜200℃の温度で熱処理を行うことにより、第一活物質層上に第二活物質層を形成した。直径15mmのポンチで円形状に打ち抜き、実施例に係る正極130を調製した。
次に、実施例に係るリチウムイオン電池の対極140を調製した。リチウム金属箔を用意し、直径15mmのポンチで円形状に打ち抜き、対極を調製した。
上記調製した正極130と対極140とを用いてコイン型のリチウムイオン電池1000を構築した。すなわち、正極側の外装を形成するSUS314製の外装缶112の内部に正極130と、非水電解液を含浸させたポリプロピレン・ポリエチレン製のセパレータ150とを積層させて配置し、ポリプロピレンで構成されたガスケット124でセパレータ150の周縁を押さえた後、対極140と、厚み調整用のスペーサ122と、板バネ114とを、セパレータ150の上に順番に配置した。そして、上記収容された外装缶112の内部を外装蓋110で塞ぎ、外装缶112および外装蓋110の周縁部を封缶して実施例に係るリチウムイオン電池1000を構築した。
なお、非水電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)との1:1(体積比)混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させた組成の非水電解液を用いた。
<比較例に係るリチウムイオン電池の構築>
本比較例では、以下のようにして2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウムイオン電池を製造した。
まず、比較例に係るリチウムイオン電池の正極を調製した。すなわち、正極活物質としてのニッケル酸リチウムと、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを、これら材料の質量%比が87:10:2:1となるように水を加えて混合し、水性ペーストを調製した。
そして、該ペーストを正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、水性ペースト中の水分を乾燥(蒸発)させた。さらに、ローラプレス機にてシート状に引き伸ばし、正極集電体の表面に活物質層を形成した。そして、直径15mmのポンチで円形状に打ち抜き、比較例に係る正極を調製した。
そして、本比較例では、上記調製した正極を使用する以外は、実施例と同様の対極を用いて、実施例と同様の手順で、本比較例に係るリチウムイオン電池を構築した。
上記構築した実施例および比較例に係るリチウムイオン電池に対して、以下の各種測定試験を行った。測定結果をまとめて表1に示す。
[放電特性測定]
実施例および比較例に係るリチウムイオン電池に対して、放電特性試験を実施し、放電レート特性を評価した。かかる放電特性試験の条件は、測定温度25℃で、上限電圧を4.1Vとし、下限電圧を3.0Vとした。
[交流インピーダンス測定]
実施例および比較例に係るリチウムイオン電池に対して、測定周波数をスイープして交流インピーダンス測定を行い、得られたインピーダンスのCole−Coleプロット(図示しない)から直流抵抗および反応抵抗を算出した。
Figure 2010251047
表1に示すように、放電特性測定結果によると、実施例および比較例のいずれも、放電レート1Cでは顕著な相違はなかった。しかしながら、より高い放電レートである20Cでは、実施例は大きい容量(90mAh/g以上)を維持することが示された。一方、比較例は、容量の低下が著しいことが確認された。
また、交流インピーダンス測定では、比較例の直流抵抗および反応抵抗の測定値を基準にしたときのそれぞれの抵抗比を比較すると、実施例の直流抵抗比および反応抵抗比は、比較例の直流抵抗比および反応抵抗比よりもいずれも低値であった。
以上の測定結果をまとめると、実施例に係るリチウムイオン電池は、ハイレート特性に優れていることが示された。また、内部抵抗の上昇が抑制されていることが示された。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、例えば、本発明は、上述した捲回型またはコイン型の電池に限られず、種々の形状のリチウムイオン電池に適用することができる。また、該電池の大きさおよびその他の構成についても、用途(典型的には車載用)によって適切に変更することができる。
本発明に係る正極は、水性ペーストの接着性を向上させ、正極集電体から剥離し難く優れた導電性を有する活物質層を備える。かかる特性により、本発明に係る正極を備えるリチウムイオン電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って、本発明によると、図5に示されるように、かかるリチウムイオン電池100(当該電池100を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車)を提供することができる。
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 第一活物質層
36 第二活物質層
38 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50A,50B,150 セパレータ
100 角型リチウムイオン電池
110 外装蓋
112 外装缶
114 板バネ
122 スペーサ
124 ガスケット
130 正極
140 対極
1000 2032型リチウムイオン電池

Claims (8)

  1. 正極活物質を主成分とする活物質層が正極集電体の表面に積層された構造の正極を製造する方法であって、
    前記正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材、導電材および有機溶剤で前記正極活物質を混合して成る非水性ペーストを塗布し、第一活物質層を形成すること、および
    前記第一活物質層上に、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材、導電材および水系溶媒で前記正極活物質を混合して成る水性ペーストを塗布し、第二活物質層を形成すること、
    を特徴とする、製造方法。
  2. 前記水性ペーストとして、少なくとも一種の界面活性剤を含有するペーストを使用する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤を使用する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ノニオン性界面活性剤として、ポリビニルアルコールを使用する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第二活物質層を形成した後、加熱により前記界面活性剤を揮発させて、該第二活物質層中に空隙を形成することを包含する、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 正極集電体の表面に、有機溶剤に対して可溶性である少なくとも一種の結着材を含む第一活物質層と、
    前記第一活物質層上に形成された、水系溶媒に可溶及び/又は分散する少なくとも一種の結着材を含む第二活物質層と、
    を有する正極を備えるリチウムイオン電池であって、
    ここで、前記第二活物質層の空隙率が、前記第一活物質層の空隙率よりも大きいことを特徴とする、リチウムイオン電池。
  7. 前記正極は、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴する、請求項6に記載のリチウムイオン電池。
  8. 請求項6または7に記載のリチウムイオン電池を備える車両。
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