JP2017088715A - 光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムを提供することである。【解決手段】本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂が、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、フィルム中にアルコール系溶媒とヒンダードフェノール系化合物を含有し、かつ、メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子をフィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムに関する。より詳しくは、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルム等に関する。
従来、偏光板を液晶表示装置用にカットする際の形状は長方形であったが、デザイン性の向上等の観点で、近年ではカーナビゲーションシステムなどの車載のディスプレイでは、多角形や曲線を持つディスプレイが登場してきているため、多様な形状に対応させて偏光板をカットすることが必要である。
また、車載のディスプレイは高温高湿等過酷な環境にさらされるため、シクロオレフィン系樹脂フィルム等、耐熱性、耐湿性に優れた樹脂を用いた光学フィルムが好ましく用いられている。
前述の偏光板を長方形以外の形にカットする場合は、フリーフォームで打ち抜きを行う必要があるが、曲線部分等は偏光子や保護フィルムの配向方向が均一でないため、打ち抜いた際に端面にササクレや割れ等のクラックが生じたり、切断による切粉が生じやすいことが問題となっており、偏光板の薄膜化に伴いこの問題はより深刻な問題となっている。
一般に、フィルム製造工程や加工工程におけるハンドリング性向上のためにシリカ粒子等のマット剤(微粒子)が好適に用いられるが、シクロオレフィン系樹脂中ではシリカ粒子は凝集しやすく、凝集したシリカ粒子が偏光板の打ち抜きを行った際に、前記クラックの起点になりやすい。
特許文献1には、シクロオレフィン系樹脂フィルムにマット剤微粒子を含有させる例が記載されているが、たしかに当該技術によって、ハンドリング性を向上させることはできるが、前記フリーフォームでの打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減するには不十分であった。
特開2007−98643号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂、アルコール系溶媒、ヒンダードフェノール系化合物、及びメタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、特定の範囲を満たすシリカ粒子を特定量含有する光学フィルムによって、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムであって、
前記シクロオレフィン系樹脂が、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、
フィルム中にアルコール系溶媒とヒンダードフェノール系化合物を含有し、かつ、
メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子をフィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有することを特徴とする光学フィルム。
2.前記シリカ粒子のフィルム中の二次平均粒径が、100〜400nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
3.前記アルコール系溶媒を10〜1000ppmの範囲内で含有し、ヒンダードフェノール系化合物を、0.1〜0.5質量%の範囲内で含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.さらに、水を50〜500ppmの範囲内で含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
5.前記光学フィルムの膜厚dが5μm≦d≦40μmであり、測定波長590nmにおける面内位相差Roと厚さ方向の位相差RtがそれぞれRo≦5nm、−15nm≦Rt≦15nmであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
本発明の上記手段により、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
前記特許文献1に開示されているマット剤微粒子を含有させる技術では、ハンドリング性を向上させることができるが、フリーフォームでの打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減するには不十分であった。
そこで、本発明者らはシクロオレフィン系樹脂からなる光学フィルムに、特定の化合物を含有させることで製造工程におけるハンドリングに優れ偏光板打ち抜き時にクラックや切粉の発生が低減した光学フィルムが得られることを見出した。
本発明の光学フィルムは、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂、アルコール系溶媒、ヒンダードフェノール系化合物、及びメタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、特定の範囲を満たすシリカ粒子を特定量含有する光学フィルムであることが特徴である。かかる構成の光学フィルムによって、偏光板の保護フィルムに用いた際に、樹脂とマット剤の相互作用を維持することがきるため、フィルムの強度が上がり、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減できることが分かった。
一般的にシクロオレフィン系樹脂は疎水性の樹脂であるため、フィルム化した際に水分があると分離しやすく透明性の観点から好ましくないが、本発明で用いられるシクロオレフィン系樹脂は少なくとも一つの水素結合受容性基を含む樹脂組成物から形成されているため、アルコールのヒドロキシ基やヒンダードフェノール系化合物のヒドロキシ基と水素結合できることから、水分を多少含んだ状態であっても、透明性も維持でき、逆に水素結合によりフィルム強度が向上するという特徴がある。
これは、樹脂がフィルム中のアルコール、シリカ粒子表面の極性成分及びヒンダードフェノール系化合物のヒドロキシ基と相互作用することによって、さらにフィルム系外から取り込まれる空気中の水分子を介した相互作用もしやすくなるため、前述のとおりフィルムの強度が上がるものと推察される。
また、ヒンダードフェノール系の化合物を入れることで、当該化合物が凝集防止剤として働き、シクロオレフィン系樹脂フィルム中でのシリカ粒子の凝集を抑制し、シリカ粒子のフィルム中の二次粒径を適切な範囲に制御できることも見出した。
上記相互作用の指標として、シリカ粒子の疎水化度を尺度として用いることができ、当該疎水化度が特定の範囲を満たすシリカ粒子を特定量含有することによって、樹脂とマット剤、マット剤とアルコール、及びマット剤とヒンダードフェノール系化合物との相互作用をも促進して、フィルム強度がより向上することを見出した。
すなわち、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いてシリカ粒子の疎水化度を求めたときに、当該疎水化度が20%以下であれば、マット剤とシクロオレフィン系樹脂との相溶性に優れ、さらにヒンダードフェノール系化合物の存在下、粒子が凝集しにくいためクラックの発生源が低減する。同様に、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いてシリカ粒子の疎水化度を求めたときに、当該疎水化度が80%以上であれば、マット剤とアルコールとの相互作用によって、ドープ中でのシリカ粒子が凝集しにくくなるため、クラックの発生源そのものを低減することによって、クラックや切り粉の発生が低減するものと推察される。そのため、上記フィルムを用いた偏光板は、上記偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生といった問題の発生を抑制することができる。
本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を示す模式図
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂が、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、フィルム中にアルコール系溶媒とヒンダードフェノール系化合物を含有し、かつ、メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子をフィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有することを特徴とし、かかる構成によって、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムを提供することができる。
この特徴は、請求項1から請求項5までの各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記シリカ粒子のフィルム中の二次平均粒径が、100〜400nmの範囲内であることが、製造時や加工時のハンドリング性を向上し、かつ偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減する観点から、好ましい粒径の範囲である。
また、フィルム中に、前記アルコール系溶媒を10〜1000ppmの範囲内で含有し、ヒンダードフェノール系化合物を、0.1〜0.5質量%の範囲内で含有することが、前記マット剤との相互作用において、フィルム強度を向上するという本発明の効果を発現する観点から、好ましい含有量である。
樹脂組成物中に含まれる残留溶媒成分として、アルコール系溶媒に加えて、さらに水が含まれていることが好ましく、その含有量は50〜500ppmであることが好ましい。50ppm以上であれば、得られるフィルムの機械強度や脆性が向上するが、フィルムの透明性の観点から500ppm以下であることが好ましい。ここで水とは、水道水、脱イオン水、超純水、及び蒸留水等が挙げられるが、不純物、コスト等生産性の観点から好ましくは蒸留水である。
また、前記光学フィルムの膜厚dが5μm≦d≦40μmであり、測定波長590nmにおける面内位相差Roと厚さ方向の位相差RtがそれぞれRo≦5nm、−15nm≦Rt≦15nmであることが、偏光板保護フィルムとして用いる際に、軽量で薄膜な偏光板を提供することができ、またIPSモード型液晶表示装置用の偏光板として最適な位相差を付与できる観点から、好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、溶液流延製膜法によって製膜し、かつ、前記少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂、前記疎水化度を満たすシリカ粒子、前記ヒンダードフェノール系化合物、及びアルコール系溶媒を含む有機溶媒を含有するドープを、溶解温度15〜50℃の範囲内で調製することが、好ましい製造方法である。
溶解温度が、15℃以上であれば十分に樹脂や添加剤を溶解できるため、異物の少ないフィルムが得られる。また50℃以下であれば、アルコールとヒンダードフェノール化合物の反応によるドープ及び、得られるフィルムの着色を抑制できる観点から好ましく、アルコールと親和性が良いシリカ粒子を添加することでも着色を抑制する効果がある。
さらに、生産性向上の観点からヒドロキシ基を有するアルコール系溶媒と水とを組み合わせて用いることがより好ましい。
水は一分子中に水素結合性供与基を複数持つため、フィルムの強度を上げるために好ましく用いることができる。水は全溶媒量に対して0.1〜1質量%含むことが好ましい。0.1質量%以上であれば、他のアルコール系溶媒や水素結合受容性基を含むシクロオレフィン系樹脂やシリカ粒子と相互作用しやすくなるため好ましいが、1質量%を超えると疎水性の強いシクロオレフィン系樹脂がゲル化してしまい、異物が発生しやすくなる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの概要≫
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂が、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、フィルム中にアルコール系溶媒とヒンダードフェノール系化合物を含有し、かつ、メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子をフィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有することを特徴とする。
〈メタノールウエッタビリティ法〉
本発明に係るシリカ粒子の疎水化度は、アルコール系を含む溶媒や純水などを用いて定量することができる。疎水化度を定量化する方法としては、メタノールウエッタビリティ法(以下、「MW法」と称する。)が好ましい。本発明において、疎水化度は、本法で求められるメタノールウエッタビリティ値(以下、「MW値」と称する。)で表す。
上記のMW法において、微粒子の疎水化度を定量化するためには、メタノールと純水とを混合させた第1溶液及び第2溶液をそれぞれ用いる。このとき、メタノールと純水との配合比は、第1溶液においては体積比が3:7であり、また、第2溶液では体積比が6:4である。そして、各溶液に前記微粒子を同量添加して撹拌混合し、この混合した各溶液を遠心分離させて、前記微粒子の沈降物の体積をそれぞれ求め、第1溶液における微粒子の沈降物の体積をtmLとし、第2溶液における微粒子の沈降物の体積をsmLとしたときに、それぞれMW値を、第1溶液におけるMW値=(t/A)×100[%]、及び第2溶液におけるMW値=(s/A)×100[%]から求める。ここで、Aは、初めに添加したシリカ粒子の体積(AmL)である。
〔MW法〕
(1)メタノール溶液Cと純水Dとを、体積比で3:7になるように混合して、第1溶液Aを調製する(例えば、メタノール溶液Cが40mLに対して、純水Dが60mL)
(2)次に、10mLの沈降管Fに、0.2gのシリカ粒子粉末Eと7mLの第1溶液Aとを入れる。
(3)沈降管Fにふたをして、ターブラーミキサを用いて、微粒子粉末Eを第1溶液A中に振盪混合する。この際、ターブラーミキサの条件は90rpmで30秒間である。
(4)シリカ粒子粉末Eを沈降させるため、遠心分離機を用いる。遠心分離機の条件は、3500rpmで10分間である。
(5)沈降管の目盛で読み取ることができる沈降した微粒子粉末Eの沈降物量を体積として読み取り、その値をtmLとする。
(6)新たに、メタノール溶液Cと純水Dとが、体積比で6:4となるように混合して、第2溶液Bを調製する(例えば、メタノール溶液Cが60mLに対して、純水Dが40mL)。
(7)第2溶液Bを用いて、上記(2)〜(5)と同じ手順(8)〜(11)により、シリカ粒子粉末Eの沈降物を作製して、沈降管の目盛で読み取ることができる沈降したシリカ粒子粉末Eの沈降物量を体積として読み取り、その値をsmLとする。
(12)下記式によりMW値(%)を求める。
第1溶液におけるMW値=(t/A)×100[%]
第2溶液におけるMW値=(s/A)×100[%]
ここで、Aは、初めに添加したシリカ粒子の体積(AmL)である。
例えば、第1溶液Aを用いた際に得られた微粒子の沈降物の体積が1mLであり、初めに添加したシリカ粒子の体積(AmL)が5mLであれば、
第1溶液におけるMW値=(1/5)×100[%]であり、疎水化度MW値は20%となる。
<本発明の光学フィルムの構成>
〔1〕シクロオレフィン系樹脂
本発明の実施態様としては、生産性向上の観点から、溶媒成分として水を含むことが好ましく、出来上がりのフィルムとしても、水分を含むことが好ましい。
一般的にシクロオレフィン系樹脂疎水性の樹脂であるため、フィルム化した際に水分があると分離しやすく透明性の観点から好ましくないが、本発明で用いられる、シクロオレフィン系樹脂は、少なくとも一つの水素結合受容性基を含む樹脂組成物から形成されているため、アルコールのヒドロキシ基やヒンダードフェノール系化合物のヒドロキシ基と水素結合できることから、水分を多少含んだ状態であっても、透明性も維持でき、逆に水素結合によりフィルム強度が向上するという特徴がある。「水素結合受容性基」とは、水素結合を形成する際に水素原子を受容する官能基をいう。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、少なくとも一つの水素結合受容性基を含む樹脂組成物から形成されることを特徴としている。
水素結合受容性基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アシル基、炭素原子数1〜10のアルコキシシリル基、スルホニル含有基、及びカルボキシ基など挙げられる。これらの極性基についてさらに具体的に説明すると、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリルオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
樹脂成分中に含まれる上記水素結合受容性基を含むシクロオレフィン系樹脂の量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、含有割合が10〜100質量%である。10質量%以上であると、得られる開環共重合体がトルエンやジクロロメタンなどの溶媒への溶解性を示しやすくなるため好ましく、更に溶解性やフィルムの強度、透明性の観点から、30〜100質量%の範囲にあると更に好ましい。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂としては、例えば、次のような(共)重合体が挙げられる。
Figure 2017088715
〔式中、pは0又は1であり、mは0又は1以上の整数である。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、又は水素結合受容性基を表す。また、R〜Rは、二つ以上が互いに結合して、不飽和結合、単環又は多環を形成していてもよく、この単環又は多環は、二重結合を有していても、芳香環を形成してもよい。〕
本発明において、シクロオレフィン系樹脂の好ましい水素結合受容性基の保有比率は一般式(I)でR〜Rのうち1〜2個が水素結合受容性基を有することが好ましい。
また、シクロオレフィン系樹脂の水素結合受容性基の保有比率は例えば、カーボン-13核磁気共鳴(13CNMR)スペクトル法を用いて同定することができる。
また一般式(I)中、R及びRが水素原子又は炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一つは水素原子及び炭化水素基以外の極性を有する水素結合受容性基を示し、pとmは、ガラス転移温度が高くかつ機械的強度が優れるという観点から、m=1、p=0であるものが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5cm/g、さらに好ましくは0.3〜3cm/g、特に好ましくは0.4〜1.5cm/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明に係るシクロオレフィン系樹脂フィルムとしての成形加工性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合は、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工による変形が抑制されるため好ましい。また、Tgが350℃以下であると、成形加工や成形加工時の熱による樹脂劣化が抑制されるため好ましい。
以上説明したシクロオレフィン系樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(Arton)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、これらを使用することができる。
〔2〕シリカ粒子
本発明の光学フィルムには、製造されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するとともに、光学フィルムを偏光板の保護フィルムに用いた際に、偏光板の打ち抜き時のクラックや切り粉の発生を低減した光学フィルムを得るために、特定の疎水化度を有するシリカ粒子を含有する。
本発明に係るシリカ粒子は、メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子である。疎水化度は前述のMW法によって測定する。
シリカ粒子とは、二酸化ケイ素を主成分とする粒子である。主成分とは、粒子を構成する成分の50%以上を含有することをいい、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上含まれることをいう。
また、二酸化ケイ素系の粒子で、かつ表面がアルキル化処理により疎水化処理された微粒子を添加すると、溶媒に対しての分散性がよく、異物の発生を抑制できることから、好ましい。
シリカ粒子に対する上記疎水化処理は、アルキル化処理であることが好ましい。アルキル化処理された微粒子の表面はアルキル基を有し、そのアルキル基の炭素数は1〜20の範囲であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜12の範囲であり、特に好ましくは、炭素数1〜8の範囲である。
前記シリカ粒子において、表面に炭素数1〜20の範囲のアルキル基を有するものは、例えば、前記の二酸化ケイ素の粒子をオクチルシランで処理することにより得ることができる。また、表面にオクチル基を有するものの一例としては、アエロジルR805(日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、好ましく用いられる。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmの範囲内である。
シリカ粒子の二次粒子の平均粒径は、100〜400nmの範囲内であることが、好ましく、一次粒子の平均粒径が100〜400nmの範囲内であれば、凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
〈シリカ粒子の平均粒径の測定方法〉
光学フィルム中におけるシリカ粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒径とする。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とする。
SEM:JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
フィルム中のシリカ粒子の含有量は、フィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有する必要があり、0.5〜2.0質量%の範囲内であることが好ましく、特に1.0〜2.0質量%の範囲内であることが、本発明の効果を発現する上で好ましい。
シリカ粒子は、市販品を好ましく使用することができ、上記アエロジルR805以外に、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R976S、R812、R812S、RY300、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジルR805、R812、R976Sが、本発明に係る疎水化度を満たすことから、ハンドリング時の取り扱い性を向上しかつ光学フィルムのヘイズを低く保つことができ、好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、シリカ粒子を含有し、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。動摩擦係数は、「JIS K7125 プラスチック−フィルム及びシート摩擦係数試験方法」に準じて測定することができる。
本発明に係るシリカ粒子の添加方法については、以下の第1〜第3の方法が挙げられるが、いずれの方法を用いてもよい。
〔第1添加方法〕
溶媒と粒子とを撹拌混合した後、分散機を用いて分散を行い、これをドープに加えて撹拌することで流延ドープを得る。
〔第2添加方法〕
溶媒と粒子とを撹拌混合した後、分散機を用いて分散を行ない、粒子分散液を作製する。次に、溶剤に少量の樹脂を加え、撹拌溶解させたものに前記粒子分散液を加えて撹拌した後、これを原料ドープ液に加えて十分に混合させて流延ドープを得る。
〔第3添加方法〕
溶媒に少量の樹脂を加え、撹拌溶解させた後、粒子を加えて分散機を用いて分散を行う。これをドープに加えて十分に混合させる。
完成した流延ドープに含有するシリカ粒子は、ドープの調製に再生フィルムを用いた場合には、この中に含有されるものでもよいが、再生フィルムチップの元となるフィルムを製造する際の流延ドープは、本発明によるものであることが好ましい。
〔3〕ヒンダードフェノール系化合物
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4839405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017088715
式中、R51〜R56は水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えば、ピリジン−オキシド基)、イミド基(例えば、フタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えば、ベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、R51は水素原子、R52、R56はt−ブチル基であるフェノール系化合物が好ましい。
本発明に係るヒンダードフェノール系化合物は、特に限定されるものではないが、以下の具体例を挙げることができる。
当該化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)等が挙げられる。
中でも有用なヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例として、下記の例示化合物を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2017088715
また、上記タイプのフェノール化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、”Irganox1035”、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
シクロオレフィン系樹脂100質量部に対する前記フェノール系化合物の添加量は適宜設計できるが、0.1〜1.0質量部の範囲であることが好ましく、0.3〜0.5質量部の範囲であることがより好ましい。
〔4〕その他の添加剤
〔4.1〕可塑剤
可塑剤とは、可塑剤の例には、ポリエステル化合物、多価アルコールエステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物(フタル酸エステル化合物を含む)、グリコレート化合物、及びエステル化合物(脂肪酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などを含む)が含まれる。これらは、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の光学フィルムに好ましい可塑剤は、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含むポリエステル化合物である。
ポリエステル化合物を構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。
ポリエステル化合物を構成するジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。
中でも、ポリエステル化合物は、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。
ポリエステル化合物の分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよいが、フィルムの透湿性を低減する観点からは、封止されていることが好ましい。
また、多価アルコールエステル化合物は、2価以上の脂肪族多価アルコールと、モノカルボン酸とのエステル化合物(アルコールエステル)であり、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。多価アルコールエステル化合物は、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。
脂肪族多価アルコールの好ましい例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、キシリトール等が含まれる。中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールなどが好ましい。
モノカルボン酸は、特に制限はなく、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸等でありうる。フィルムの透湿性を高め、かつ揮発しにくくするためには、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、1種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、脂肪族多価アルコールに含まれるOH基の全部をエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の炭素数はより好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。中でも、セルロースアセテートとの相溶性を高めるためには、酢酸、又は酢酸とその他のモノカルボン酸との混合物が好ましい。
脂環式モノカルボン酸の例には、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸などが含まれる。
芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸;安息香酸のベンゼン環にアルキル基又はアルコキシ基(例えば、メトキシ基やエトキシ基)を1〜3個を導入したもの(例えば、トルイル酸など);ベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸(例えば、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸など)が含まれ、好ましくは安息香酸である。
多価アルコールエステル化合物の具体例は、特開2006−113239号公報段落〔0058〕〜〔0061〕記載の化合物が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物は、2価以上、好ましくは2〜20価の多価カルボン酸と、アルコール化合物とのエステル化合物である。多価カルボン酸は、2〜20価の脂肪族多価カルボン酸であるか、3〜20価の芳香族多価カルボン酸又は3〜20価の脂環式多価カルボン酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の例には、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が含まれる。
グリコレート化合物の例には、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が含まれる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類の例には、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が含まれ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
エステル化合物には、脂肪酸エステル化合物、クエン酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などが含まれる。
脂肪酸エステル化合物の例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、及びセバシン酸ジブチル等が含まれる。クエン酸エステル化合物の例には、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。リン酸エステル化合物の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリブチルホスフェート等が含まれ、好ましくはトリフェニルホスフェートである。
中でも、ポリエステル化合物、グリコレート化合物、リン酸エステル化合物が好ましく、ポリエステル化合物が特に好ましい。
可塑剤の含有量は、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜20質量%の範囲であり、より好ましくは1.5〜15質量%の範囲である。可塑剤の含有量が上記範囲内であると、可塑性の付与効果が発現でき、光学フィルムからの可塑剤の耐染みだし性にも優れる。
〔4.2〕位相差上昇剤
本発明の光学フィルムは、位相差を調整するために位相差上昇剤を含有することができる。
本願でいう位相差上昇剤とは、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して当該化合物を3質量部含有した光学フィルムの厚さ方向の位相差値Rt(光波長590nm測定)が、未添加の光学フィルムと比べて1.1倍以上の値を示す機能を有する化合物をいう。
本発明に用いられる位相差上昇剤は、特に制限されるものではなく、例えば、従来知られている、特開2006−113239号公報段落〔0143〕〜〔0179〕に記載の芳香族環を有する円盤状化合物(1,3,5−トリアジン系化合物等)、特開2006−113239号公報段落〔0106〕〜〔0112〕記載の棒状化合物、特開2012−214682号公報段落〔0118〕〜〔0133〕記載のピリミジン系化合物等を用いることができる。
〔4.3〕紫外線吸収剤
本発明の光学フィルムは、偏光板や液晶表示装置に照射される不要な紫外線を遮蔽するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムを、光学補償フィルムのほかに、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ液晶の表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない特性を備えていることが好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、高分子組成物に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(以上、商品名、BASFジャパン社製)を好ましく使用できる。
〔5〕光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法又は溶融流延製膜法を採用することができるが、溶液流延製膜法によって製造することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、溶液流延製膜法によって製膜し、かつ、前記少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂、前記疎水化度を満たすシリカ粒子、前記ヒンダードフェノール系化合物、及びアルコール系溶媒を含む有機溶媒を含有するドープを、溶解温度15〜50℃の範囲内で調製することが好ましい。
溶解温度が、15℃以上であれば十分に樹脂や添加剤を溶解できるため、異物の少ないフィルムが得られる。また50℃以下であれば、アルコールとヒンダードフェノール化合物の反応によるドープ及び、得られるフィルムの着色を抑制できる観点から好ましく、アルコールと親和性が良いシリカ粒子を添加することでも着色を抑制する効果がある。
本発明の光学フィルムは、少なくともシクロオレフィン系樹脂、シリカ粒子、ヒンダードフェノール系化合物及びアルコール系溶媒を含む有機溶媒を含有するドープを調製する工程(ドープ調製工程)と、前記ドープを支持体上に流延してウェブ(流延膜ともいう。)を形成する工程(流延工程)と、支持体上でウェブから溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、ウェブを支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(予備乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(乾燥工程)、得られた光学フィルムを巻取る工程(巻取り工程)によって製造されることが好ましい。
以上の工程を図をもって説明する。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を模式的に示した図である。
分散機によって溶媒と本発明に係るシリカ粒子を分散させた微粒子分散液は仕込み釜41から濾過器44を通過しストック釜42にストックされる。一方主ドープであるシクロオレフィン系樹脂は溶媒とともに溶解釜1にて溶解され、適宜ストック釜42に保管されている微粒子分散液が添加されて混合され主ドープを形成する。得られた主ドープは、濾過器3、ストック釜4から濾過器6によって濾過され、合流管20によって添加剤が添加されて、混合機21で混合されて加圧ダイ30に液送される。
一方、添加剤(本発明に係るヒンダードフェノール系化合物や、紫外線吸収剤、位相差上昇剤など)は、溶媒に溶解され、添加剤仕込み釜10から濾過器12を通過してストック釜13にストックされる。その後、濾過器15を通して導管16を経由して合流管20、混合機21によって主ドープと混合される。
加圧ダイ30に液送された主ドープは、金属ベルト状の支持体31上に流延されてウェブ32を形成し、所定の乾燥後剥離位置33で剥離されフィルムを得る。剥離されたウェブ32は、多数の搬送ローラーに通しながら、所定の残留溶媒量になるまで乾燥された後、延伸装置34によって長手方向又は幅手方向に延伸される。延伸後、乾燥装置35によって所定の残留溶媒量になるまで、搬送ローラー36に通しながら乾燥し、巻取り装置37によって、ロール状に巻取られる。
以下、各工程について説明する。
(1)ドープ調製工程
シクロオレフィン系樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該シクロオレフィン系樹脂及びヒンダードフェノール系化合物、場合によって、位相差上昇剤、シリカ粒子又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを調製する工程、又は当該シクロオレフィン系樹脂溶液に、前記ヒンダードフェノール系化合物、場合によっては位相差上昇剤、シリカ粒子又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを調製する工程である。
本発明の光学フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、シクロオレフィン系樹脂、ヒンダードフェノール系化合物、又は位相差上昇剤及びその他の化合物を同時に溶解するものであることが好ましい。
用いられる有機溶媒として、以下の溶媒が好ましく用いられる。
溶液流延法に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る溶媒が良溶媒と貧溶媒の混合溶媒である場合、当該良溶媒は、例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、中でもジクロロメタンであることが好ましい。
貧溶媒は本発明に係るアルコール系溶媒であり、光学フィルム中に10〜1000ppm含有されることが、本発明の効果を発現する上で必要である。
本発明の光学フィルム中に含有される上記アルコール系溶媒の含有量は、いわゆる残留溶媒量であって、フィルム製造後にフィルム中に含有される含有量をいう。当該溶媒量は、後述するヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより定量することができるが、その測定はフィルム製造後からフィルム加工前までの期間に測定されたときの値をいう。通常、フィルムは、製造されて巻き取られた後に保護シート等にくるまれて準密閉状態で保管され、加工されるまではその状態であるため、残留溶媒量の変動は小さい。したがって、残留溶媒量の測定はフィルム製造後からフィルム加工前までの期間に測定されたときの値をもって、本願発明の構成であるかを判断することができる。
残留溶媒量の制御は、溶媒の構成比率、製膜中における乾燥温度、乾燥時間等の乾燥条件、膜厚等で行うことができる。
本発明の光学フィルム中に含有されるアルコール系溶媒の含有量は、10〜500ppmの範囲内であることが好ましく、20〜200ppmの範囲であることがより好ましい。10ppm以上で本発明の効果を発現し、また溶液流延製膜における金属支持体からの剥離性も向上する。1000ppm以下では、ヘイズと環境安全性の観点から好ましい。
本発明に係るアルコール系溶媒は、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、本発明の効果とともに、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。中でもエタノールが上記観点から好ましい。
本発明では、混合溶媒であれば、前記良溶媒を溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上用いることである。
また、本発明の光学フィルムは、生産性向上の観点からヒドロキシ基を有するアルコール系溶媒と水とを組み合わせて用いることがより好ましく、前記ドープに水を加えて、残留溶媒量として水を50〜500ppmの範囲内でフィルム中に含有することが好ましい。
水は一分子中に水素結合性供与基を複数持つため、フィルムの強度を上げるために好ましく用いることができる。水は全溶媒量に対して0.1〜1質量%含むことが好ましい。0.1質量%以上であれば、他のアルコール系溶媒や水素結合受容性基を含むシクロオレフィン系樹脂やシリカ粒子と相互作用しやすくなるため好ましいが、1質量%以内であれば疎水性の強いシクロオレフィン系樹脂のゲル化を抑制し、異物の発生を抑えることができる。
<残留溶媒量>
溶媒成分として、用いた前記アルコール及び水の残留量は以下の測定方法によって行う。
一定の形状に切り取った光学フィルムを20mLの密閉ガラス容器に入れ、120℃で20分間処理したあと、ガスクロマトグラフィー(機器:HP社 5890SERIES II、カラム:J&W社 DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)、検出:FID)でGC昇温条件を40℃で5分間保持したあと、80℃/分で100℃まで昇温して求めた。
シクロオレフィン系樹脂及びヒンダードフェノール系化合物、場合によっては位相差上昇剤、その他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、0.8〜4MPaの範囲で行うことが溶解性の観点から好ましい。
ドープ中のシクロオレフィン系樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
ドープの濾過については、好ましくはリーフディスクフィルターを具備する主な濾過器3で、ドープを例えば、90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10倍〜100倍の濾材で濾過することが好ましい。
本発明において、濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明において、シクロオレフィン系樹脂含有ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲が、より好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
本発明において、濾過の際のドープの流量が、10〜80kg/(h・m)、好ましくは20〜60kg/(h・m)であることが好ましい。ここで、濾過の際のドープの流量が、10kg/(h・m)以上であれば、効率的な生産性となり、濾過の際のドープの流量が、80kg/(h・m)以内であれば、濾材にかかる圧力が適正となり、濾材を破損させることがなく、好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、例えば、光学フィルムを細かく粉砕した物で、光学フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えた光学フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめシクロオレフィン系樹脂及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(2)流延工程
(2.1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.3〜3mの範囲、さらに好ましくは1.5〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブ(流延用金属支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)の乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
ダイは、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(2.2)溶媒蒸発工程
ウェブを流延用金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程であり、後述する剥離時の残留溶媒量を制御する工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを30〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。30〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜180秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(2.3)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
本発明では、前記溶媒蒸発工程でウェブ中の溶媒を蒸発するが、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの残留溶媒量は、15〜100質量%の範囲内とすることが好ましい。残留溶媒量の制御は、前記溶媒蒸発工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
前記残留溶媒量が15質量%以上であると、支持体上での乾燥過程において、シリカ粒子が厚さ方向に分布を持たずフィルム中に均一に分散した状態になるため、好ましい。
また、前記残留溶媒量が100質量%以内であれば、フィルムが自己支持性を有し、フィルムの剥離不良を回避でき、ウェブの機械的強度も保持できることから剥離時の平面性が向上し、剥離張力によるツレや縦スジの発生を抑制できる。
ウェブ又はフィルムの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体からウェブを剥離してフィルムとする際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(3)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程、本乾燥工程に分けて行うこともできる。
(3.1)予備乾燥工程
金属支持体からウェブ剥離して得られたフィルムは、予備乾燥させる。フィルムの予備乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにフィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブの予備乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下であって、30℃以上の温度で1分以上30分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は40〜150℃の範囲内、更に好ましくは50〜100℃の範囲内で乾燥が行われる。
(3.2)延伸工程
本発明の光学フィルムは、延伸装置34にて残留溶媒量下で延伸処理を行うことで、フィルム中の樹脂にシリカ粒子を均一に分散させたり、フィルムの平面性を向上したり、フィルム内の分子の配向を制御することで、所望の位相差値Ro及びRtを得ることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、当該フィルムを延伸する工程において、延伸開始時の残留溶媒量を1質量%以上15質量%未満とすることが好ましい。より好ましくは2〜10質量%の範囲内であり、前記残留溶媒量の範囲であると、延伸時に不均一な応力がフィルムにかかることを回避することができる。
本発明の光学フィルムは、長手方向(MD方向、流延方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)、及び/又は斜め方向に延伸することが好ましく、少なくとも延伸装置によって、幅手方向に延伸して製造することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→斜め方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
本発明の光学フィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+5)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、位相差の調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れた光学フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+10)〜(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的な光学フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
本発明の光学フィルムは、フィルムを少なくとも幅手方向に、元幅に対して5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することが好ましく、さらにフィルムの長手方向及び幅手方向において、それぞれ5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することがより好ましい。特に当該延伸率の範囲は、元幅に対して10〜30%の範囲内で延伸することがさらに好ましい。上記範囲内であれば、特に位相差上昇剤を含む場合は所望の位相差値が得られるばかりではなく、フィルムを薄膜化できる。本発明でいう延伸率とは、延伸前のフィルムの長手又は幅手の長さに対して、延伸後のフィルムの長手又は幅手の長さの比率(%)をいう。
長手方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程又は一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でもクリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に250〜500%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は250%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、500%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
好ましい延伸速度は、300〜400%/minの範囲内であり、低倍率の延伸時に有効である。延伸速度は下記式1によって定義されるものである。
式1 延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(式1において、dは延伸後の本発明の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明の光学フィルムは、延伸することにより所望の位相差値を付与することができる。
本発明の光学フィルムの膜厚は5μm≦d≦40μmであり、測定波長590nmにおける面内位相差Roと厚さ方向の位相差RtがそれぞれRo≦5nm、−15nm≦Rt≦15nmであることが、偏光板保護フィルムとして用いる際に、軽量で薄膜な偏光板を提供することができ、またIPSモード型液晶表示装置用の偏光板として最適な位相差を付与できる観点から、好ましい。
面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
(3.3)乾燥工程
乾燥工程では、乾燥装置35によって延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。
光学フィルム中に含有する有機溶媒量を調整するのに、乾燥工程の条件を適宜調整して行うことが好ましい。
熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜60分程度が好ましく、10秒〜30分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置した搬送ローラー36でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
乾燥工程においては、残留溶媒量が一般的には0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
(4)巻取り工程
(4.1)ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーをフィルム幅手端部に押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
本発明の光学フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μmの範囲、幅5〜20mmの範囲が好ましい。
(4.2)
良好な巻姿を得る別の手段として、巻き取る前に、フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルム(プロテクトフィルムともいう。)を重ねて同時に巻き取ってもよいし、延伸フィルムの少なくとも一方、好ましくは両方の端にテープ等を張り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、上記フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。
(4.3)巻取り工程
フィルム中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を好ましくは1質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
〔6〕光学フィルムの物性
〈ヘイズ〉
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。本発明の光学フィルムは、均一な粒子径を有するシリカ粒子が分散しているため、粒子による光散乱の程度が低く、透明性に優れる。
ヘイズ値の測定は、23℃・50%RHの環境下、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求めヘイズとする。
〈平衡含水率〉
本発明の光学フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃・20%RHに調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃・80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば、三菱化学アナリテック(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。
〈フィルム長、幅、膜厚〉
本発明の光学フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の光学フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.3m以上であり、特に1.3〜4mであることが好ましい。
延伸後のフィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から、5〜40μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度や位相差を発現させることができる。膜厚が40μm以下であれば、所望の位相差を具備し、かつ偏光板及び表示装置の薄型化に適用できる。好ましくは、フィルムの膜厚は10〜30μmの範囲内である。
〔7〕光学フィルムの応用
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の各種表示装置やタッチパネルに用いられる機能フィルムであることが好ましい。具体的には、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置又は有機EL表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムなどでありうる。典型的には、本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムである。本発明の光学フィルムは、前記位相差フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムとして用いることもできる。
〔7.1〕偏光板
〔7.1.1〕偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが含まれる。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後、染色するか又はポリビニルアルコールフィルムを染色した後、一軸延伸して、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理をさらに行って得ることができる。
偏光子の膜厚は、5〜30μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールフィルムとしては、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、偏光子を作製し本発明の光学と貼り合わせて偏光板を作製することが好ましい。
〔7.1.2〕接着剤
[水糊]
本発明に用いられる偏光板は、本発明の光学フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明の光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明の光学フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)が好ましく用いられる。
[活性エネルギー線硬化性接着剤]
また、本発明に用いられる偏光板においては、本発明の光学フィルムと偏光子とが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、下記紫外線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
本発明においては、光学フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
〈紫外線硬化型接着剤の組成〉
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。
(1)前処理工程
前処理工程は、光学フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(紫外線硬化型接着剤の塗布工程)
紫外線硬化型接着剤の塗布工程としては、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記紫外線硬化型接着剤を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、紫外線硬化型接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、紫外線硬化型接着剤を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(2)貼合工程
上記の方法により紫外線硬化型接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。また、はじめに光学フィルムの表面に紫外線硬化型接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に紫外線硬化型接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の光学フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(3)硬化工程
硬化工程では、未硬化の紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ紫外線硬化型接着剤を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面の紫外線硬化型接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
紫外線の照射条件は、本発明に適用する紫外線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は光学フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、紫外線硬化型接着剤の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れた紫外線硬化型接着剤層を形成することができる。
〔7.1.3〕保護フィルム
偏光子の本発明の光学フィルムとは反対側に配置されるフィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることが好ましい。
このような保護フィルムとしては、本発明の光学フィルムを用いてもよいが、例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UAKC、2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製)も好ましく用いることができる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、脂環式ポリオレフィン(例えば、日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド(例えば、三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標))、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物等の樹脂フィルムが挙げられる(括弧内はガラス転移温度Tgを示す。)。これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが保護フィルムとして好ましく用いられる。
上記保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
〔7.2〕液晶表示装置
上記本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に用いられる液晶表示装置を作製することができる。
また、本発明の光学フィルムは、多角形や曲線を持つディスプレイ用途の偏光板に好ましく使用され、フリーフォームで打ち抜きを行った際に端面にササクレや割れ等のクラックが生じたり、切断による切粉が生じやすいという、従来の問題を解決することができる。
本発明に用いられる偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置及びIPS型液晶表示装置である。
液晶表示装置には、通常視認側の偏光板とバックライト側の偏光板の2枚の偏光板が用いられるが、本発明に用いられる偏光板を両方の偏光板として用いることも好ましく、片側の偏光板として用いることも好ましい。特に本発明に用いられる偏光板は外部環境に直接触れる視認側の偏光板として用いることが好ましく、本発明の光学フィルムが保護フィルムである場合は視認側表面、又は本発明の光学フィルムが光学補償フィルムである場合は、液晶セル側に配置されることが好ましい。IPS型液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合には、液晶セルの両側に配置されることが好ましい。
また、バックライト側の偏光板は本発明以外の偏光板を用いることもでき、その場合は偏光子の両面を、例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UA、KC2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製等)を貼合した偏光板が好ましく用いられる。
また、バックライト側の偏光板として、偏光子の液晶セル側に本発明の光学フィルムを用い、反対側の面に上記市販の保護フィルムや位相差フィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、又は他のシクロオレフィンフィルムを貼合した偏光板も好ましく用いることができる。
本発明に用いられる偏光板を用いることで、特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示ムラ、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
〔7.3〕有機エレクトロルミネッセンス表示装置
本発明のシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルムは滑り性が良好であるため加工適性が高く、例えば、曲面形状を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置にも好適である。
本発明に用いられる有機エレクトロルミネッセンス表示装置に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
<光学フィルム101の作製>
(シクロオレフィン系樹脂Pの合成)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)75質量%、ジシクロペンタジエン(DCP)24質量%、2−ノルボルネン1質量%、分子量調節剤の1−ヘキセン9部及びトルエン200部を、窒素置換した反応容器に仕込んで110℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム0.005部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2 :WCl6=103:630:427質量比)0.005部を加え1時間反応させることにより重合体を得た。得られた重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C)]を0.006部添加し、90℃まで加熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、多量のメタノール溶液に沈殿させ、更に沈殿物をトルエン及びメタノールを用いて再沈殿精製して共重合体Pを得た。
共重合体Pは、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)=7.2×10、分子量分布(Mw/Mn)=3.3、固有粘度(ηinh)=0.59、ガラス転移温度(Tg)=143℃であった。なお、13CNMR測定により共重合体Pのメトキシカルボニル基添加率を求めたところ、メトキシカルボニル基を有する単量体が75質量%添加されていることが確認された。上記で得られた共重合体Pは水素結合受容性基としてメトキシカルボニル基を有する単量体を75質量%保有するシクロオレフィン樹脂Pである。
(微粒子分散液の調製)
シリカ微粒子(アエロジルR812 日本アエロジル(株)製) 11質量%
ジクロロメタン 89質量%
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
(微粒子添加液1の調製)
溶解タンクにジクロロメタンを入れ、ジクロロメタンを十分に撹拌しながら上記調製した微粒子分散液を50質量%となるようにゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
(ドープAの調製)
エタノールの入った加圧溶解タンクに、上記合成したシクロオレフィン樹脂Pを撹拌しながら投入した。次いで、微粒子添加液を表1に記載の添加量になるように添加した後、表1に記載の溶解温度で3時間加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。その後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープAを調製した。ドープAの組成を下記に示す。
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
微粒子添加液 27.3質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.1質量%
バンド流延装置を用い、前記調製したドープAをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープA中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が10質量%の状態で、125℃の温度下で幅方向に1.01倍(1%)延伸しつつ乾燥した。その後、90℃の熱処理装置のロール間を30分かけて搬送することによりさらに乾燥させ、光学フィルム101を作製した。厚さは15μm、幅は1492mmであった。
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A)は、IRGANOX1076(BSFジャパン(株)製)を用いた。
<光学フィルム102の作製>
(微粒子分散液の調製)
シリカ微粒子(アエロジルR812:トリメチルシラン処理品 日本アエロジル(株)製) 11質量%
エタノール 89質量%
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
(微粒子添加液1の調製)
溶解タンクにジクロロメタンを入れ、ジクロロメタンを十分に撹拌しながら上記調製した微粒子分散液を50質量%となるようにゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
(ドープBの調製)
エタノールの入った加圧溶解タンクに、上記合成したシクロオレフィン樹脂Pを撹拌しながら投入した。次いで、微粒子添加液を表1に記載の添加量になるように添加した後、表1に記載の溶解温度で3時間加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。その後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープBを調製した。ドープBの組成を下記に示す。
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
エタノール 10.0質量%
蒸留水 1.0質量%
微粒子添加液 27.3質量%
バンド流延装置を用い、前記調製したドープBをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープB中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が10質量%の状態で、125℃の温度下で幅方向に1.01倍(1%)延伸しつつ乾燥した。その後、90℃の熱処理装置のロール間を30分かけて搬送することによりさらに乾燥させ、光学フィルム101を作製した。厚さは15μm、幅は1492mmであった。
<光学フィルム103の作製>
光学フィルム102の作製において、下記ドープCを用いた以外は同様にして光学フィルム103を作製した。
(ドープCの調製)
エタノールの入った加圧溶解タンクに、上記合成したシクロオレフィン樹脂Pを撹拌しながら投入し、次いで表1に記載の溶解温度で3時間加熱し、撹拌しながら完全に溶解した。その後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープCを調製した。ドープCの組成を下記に示す。
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
エタノール 10.0質量%
蒸留水 1.0質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.3質量%
<光学フィルム104の作製>
光学フィルム102の作製において、下記ドープDを用いた以外は同様にして光学フィルム104を作製した。
(ドープD)
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
エタノール 10.0質量%
蒸留水 1.0質量%
微粒子添加液 0.91質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.3質量%
<光学フィルム105〜108の作製>
光学フィルム104の作製において、シリカ粒子の添加量を表1に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム105〜108を作製した。
<光学フィルム109〜113の作製>
光学フィルム104の作製において、シリカ粒子の種類を表1に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム109〜113を作製した。
表中、R805、R976S、RY300、200V及びR812Sはいずれも、日本アエロジル株式会社製のアエロジルシリーズの製品である。
R805:オクチルシラン処理品
R976S:ジメチルシラン処理品
RY300:ジメチルポリシロキサン処理品
200V:未処理品
R812S:トリメチルシラン処理品
<光学フィルム114〜118の作製>
光学フィルム104の作製において、ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A)の添加量を表1に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム114〜118を作製した。
また、光学フィルム118は、ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A)の代わりに、ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤B):IRGANOX1010(BSFジャパン(株)製)を用いた。
<光学フィルム119〜122の作製>
光学フィルム104の作製において、フィルム中のエタノール量を表2記載の量になるように、エタノールの添加量及び乾燥温度・乾燥時間を変化させた以外は同様にして光学フィルム119〜122を作製した。
具体的には、以下の条件でそれぞれ作製した。
光学フィルム119は、ドープ組成のエタノール添加量を5質量部、延伸後の乾燥熱処理装置の温度を110℃、50分かけて搬送した。
光学フィルム120はドープ組成のエタノール添加量を5質量部、延伸後の乾燥熱処理装置の温度を90℃、30分かけて搬送した。
光学フィルム121はドープ組成のエタノール添加量を20質量部、延伸後の乾燥熱処理装置の温度を9℃、30分かけて搬送した。
光学フィルム122ドープ組成のエタノール添加量を22質量部、延伸後の乾燥熱処理装置の温度を90℃、30分かけて搬送した。
<光学フィルム123及び124の作製>
光学フィルム106の作製において、ドープの溶解温度を55℃及び10℃にそれぞれ変化させた以外は同様にして、光学フィルム123及び124を作製した。
<光学フィルム125の作製>
(シクロオレフィン系樹脂Q合成液の調製)
下記のノルボルネン系モノマー混合液にシリカ微粒子、10−ウンデセン酸、フェノール系安定剤、リン系安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤を加えて溶化し又は分散させ、さらにトリフェニルホスフィン、下記化合物Cで示したルテニウム触媒を添加し、ラインミキサーで混合し、水素結合受容性基を有しないシクロオレフィン系樹脂Q合成液を調製した。シクロオレフィン樹脂Q合成液の組成を下記に示す。
(シクロオレフィン系樹脂Q合成液の組成)
ノルボルネン系モノマー混合液(ジシクロペンタジエン90部、トリシクロペンタジエン10部) 100.0質量%
シリカ微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 1.6質量%
10−ウンデセン酸 0.3質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.1質量%
リン系安定剤 1.0質量%
トリフェニルホスフィン 1.0質量%
ルテニウム触媒 1.6質量%
Figure 2017088715
上記で調製したシクロオレフィン系樹脂Q合成液を25℃で、厚さ0.075mmのポリエチレンテレフタレート製キャリアフィルム上に塗工しキャスト製膜を行い、次いで直ぐに、塗布層の上から別に用意した前記同様のキャリアフィルムをラミネートした。その後、200℃で3分間加熱を行い、その後、20℃まで冷却した後、上下のキャリアフィルムをそれぞれ剥離し、水素結合性受容基のないシクロオレフィン系樹脂Qが主成分である光学フィルム125(厚さは15μm、幅は1492mm)を作製した。
<光学フィルム126の作製>
光学フィルム106の作製において、下記ドープEを用いた以外は同様にして光学フィルム126を作製した。
(ドープE)
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
エタノール 10.0質量%
微粒子添加液 27.3質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.3質量%
<光学フィルム127の作製>
光学フィルム106の作製において、下記ドープFを用いた以外は同様にして光学フィルム127を作製した。
(ドープF)
シクロオレフィン樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
メタノール 8.0質量%
蒸留水 1.0質量%
微粒子添加液 27.3質量%
ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A) 0.3質量%
<光学フィルム128の作製>
光学フィルム106の作製において、下記ドープGを用いた以外は同様にして光学フィルム128を作製した。ここで使用したシクロオレフィン樹脂Rとして、ヒンダードフェノール系化合物(凝集防止剤A)を100質量部に対して0.25質量%含んでいる、JSR(株)製のアートンG7810を用いた。
(ドープG)
シクロオレフィン樹脂R(JSR(株)ARTON G7810)
100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
エタノール 10.0質量%
蒸留水 1.0質量%
微粒子添加液 27.3質量%
<光学フィルム129及び130の作製>
光学フィルム106の作製において、ドープを25℃で、厚さ0.075mmのポリエチレンテレフタレート製キャリアフィルム上に塗工しキャスト製膜を行い、次いで直ぐに、塗布層の上から別に用意した前記同様のキャリアフィルムをラミネートした。その後、200℃で3分間加熱を行い、その後、20℃まで冷却した後、上下のキャリアフィルムをそれぞれ剥離し、光学フィルム129(厚さは3μm、幅は1492mm)、及び光学フィルム130(厚さは5μm、幅は1492mm)を作製した。
≪評価≫
以上作製した光学フィルム101〜130を用いて以下の評価を行った。
[1]シリカ粒子の疎水化度測定
シリカ粒子の疎水化度は、メタノールウエッタビリティ法(以下、MW法と称する。)を用いて、本法で求められるメタノールウエッタビリティ値(以下、MW値と称する。)で表した。
上記のMW法において、微粒子の疎水化度を定量化するためには、メタノールと純水とを混合させた第1溶液及び第2溶液をそれぞれ用いた。このとき、メタノールと純水との配合比は、第1溶液においては体積比が3:7であり、また、第2溶液では体積比が6:4である。そして、各溶液に前記微粒子を同量添加して撹拌混合し、この混合した各溶液を遠心分離させて、前記微粒子の沈降物の体積をそれぞれ求め、第1溶液における微粒子の沈降物の体積をtmLとし、第2溶液における微粒子の沈降物の体積をsmLとしたときに、それぞれMW値を、第1溶液におけるMW値=(t/A)×100[%]、及び第2溶液におけるMW値=(s/A)×100[%]から求めた。ここで、Aは、初めに添加したシリカ粒子の体積(AmL)である。
〔MW法〕
(1)メタノール溶液Cと純水Dとを、体積比で3:7になるように混合して、第1溶液Aを調製する(例えば、メタノール溶液Cが40mLに対して、純水Dが60mL)
(2)次に、10mLの沈降管Fに、0.2gのシリカ粒子粉末Eと7mLの第1溶液Aとを入れる。
(3)沈降管Fにふたをして、ターブラーミキサを用いて、微粒子粉末Eを第1溶液A中に振盪混合する。この際、ターブラーミキサの条件は90rpmで30秒間である。
(4)シリカ粒子粉末Eを沈降させるため、遠心分離機を用いる。遠心分離機の条件は、3500rpmで10分間である。
(5)沈降管の目盛で読み取ることができる沈降した微粒子粉末Eの沈降物量を体積として読み取り、その値をtmLとする。
(6)新たに、メタノール溶液Cと純水Dとが、体積比で6:4となるように混合して、第2溶液Bを調製する(例えば、メタノール溶液Cが60mLに対して、純水Dが40mL)。
(7)第2溶液Bを用いて、上記(2)〜(5)と同じ手順(8)〜(11)により、シリカ粒子粉末Eの沈降物を作製して、沈降管の目盛で読み取ることができる沈降したシリカ粒子粉末Eの沈降物量を体積として読み取り、その値をsmLとする。
(12)下記の式によりMW値(%)を求める。
第1溶液におけるMW値=(t/A)×100[%]
第2溶液におけるMW値=(s/A)×100[%]
ここで、Aは、初めに添加したシリカ粒子の体積(AmL)である。
[2]シリカ粒子の平均粒径
シリカ粒子の平均粒径の測定は以下の方法で行った。
光学フィルム中におけるシリカ粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒径とする。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とした。
SEM:JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
[3]フィルム中のエタノール量、メタノール量及び蒸留水量
フィルム中のエタノール量及びメタノール量は以下の方法によって測定した。
溶媒成分として、用いた前記アルコール及び蒸留水の残留量は以下の測定方法によって行った。
一定の形状に切り取った光学フィルムを20mLの密閉ガラス容器に入れ、120℃で20分間処理したあと、ガスクロマトグラフィー(機器:HP社 5890SERIES II、カラム:J&W社 DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)、検出:FID)でGC昇温条件を40℃で5分間保持したあと、80℃/分で100℃まで昇温して求めた。
[4]縦シワ
作製した光学フィルムから幅90cm、長さ100cmの大きさの試料を切り出し、台の上に置いた。40Wの蛍光灯(パナソニック社製の「FLR40S−EX−D/M」)を5本並べ、台上の試料に対して45°の角度から光が照射されるように、台から1.5mの高さに固定した。蛍光灯のスイッチを入れて試料を照らし、試料の表面を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:蛍光灯が5本とも真っ直ぐに見える
△:蛍光灯が少し曲がって見える部分がある
×:蛍光灯が全体的に曲がって見える
[5]偏光板打ち抜きクラック
上記作製した光学フィルム101〜130を用いて偏光板を作製した。
厚さ30μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ7μmの偏光子を得た。
次いで、上記作製した偏光子を、前記作製した光学フィルム101〜130で両面から挟持して、下記紫外線硬化型接着剤液を介して、接着し偏光板を作製した。
その際、偏光子の吸収軸と本発明の光学フィルムの遅相軸とが直交するように貼合した。
〔紫外線硬化型接着剤液1の調製〕
下記の各成分を混合した後、脱泡して、紫外線硬化型接着剤液1を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 45質量部
エポリードGT−301(ダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
なお、偏光板作製は、フィルムの表面にコロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分でコロナ放電処理を施し、コロナ放電処理面に、上記調製した紫外線硬化型接着剤液1を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。
上記偏光板は一方の光学フィルム側から、ベルトコンベヤー付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤層を硬化させた。
得られた偏光板を偏光子の吸収軸方向を20cm、吸収軸に対し直角方向を10cmの大きさで長方形の角を2Rの曲げ加工した刃型で打ち抜きし、粘着層を介してガラス板に貼り合わせを行いサンプルを得る。そのサンプルを−40℃の雰囲気下に30分放置した後、90℃の雰囲気下に30分放置し、この操作を1サイクルとする。以下にある基準でサイクルを繰り返した後、偏光板を観察し、クラックが発生している場合は、その長さを測定した。同時に、偏光板の偏光度の測定も行い、下に示すような基準で評価を行った。
〈クラック評価〉
○:500サイクルでもクラック発生なし又は発生しても1cm以下
△:250〜500サイクルまでクラック発生なし又は発生しても1cm以下
×:250サイクルまではクラック発生なし、又は発生しても1cm以下
[6]打ち抜き切り粉評価
偏光板を裁断した際の切粉の発生状態を光学顕微鏡にて観察し、裁断部から1cmのところの5μm以上の裁断切り粉の発生有無を見た。
○:切粉発生なし
×:切粉発生あり
[7]透明性(ヘイズ)
光学フィルムを、市販されているヘイズメーター(日本電色社製、製品名「NDH 2000」)を用いて、JISK−7136に準拠してヘイズ(%)を測定し、下記の基準で評価した。ヘイズが0.5%未満であれば、透明光学フィルムとして様々なデバイスに使用が可能である。
○:0.5%未満
×:0.5%以上
[8]位相差
面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから下記式を用いて算出する。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
[9]視認性:液晶表示装置としての特性評価
IPS型のタブレット型液晶表示装置であるソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社製の商品名『XPERIA Z4 Tablet』の偏光板を剥がし、液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、偏光板で挟まれていないところは光が漏れないように表示側から、黒いテープを張り、簡易的なIPS型カラー液晶ディスプレイを作製し、光学フィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、偏光板を剥がす前の液晶テレビと比べても、遜色ないコントラスト性能、更に色ムラもない優れた表示性を示した。
○:コントラスト、色ムラともに問題ない
×:コントラスト、色ムラのどちらかでも明らかな劣化が見られた
[10]着色
得られたシートについて、白い紙を敷いた上に当該シートを置き、目視にて着色度合いを評価した。
○:着色が見られない
△:やや黄色い着色が見られる
×:黄色い着色が明らかに見られる
[11]輝点異物
フィルムの輝点異物を以下の測定法によって行った。
2枚の偏光板を直交状態(クロスニコル)に配置して透過光を遮断し、2枚の偏光板の間に作製した試料を置く。偏光板はガラス製保護板のものを使用した。片側から光を照射し、反対側から光学顕微鏡(50倍)で100cm当たりの直径0.01mm以上の輝点の数をカウントした。輝点異物の数は少ないほど良好な特性である。
○:0〜2個
△:3〜12個
×:13個以上
○、△であれば実用に供することができる。
光学フィルムの構成と、以上の評価結果をまとめて表1及び表2に示した。
Figure 2017088715
Figure 2017088715
表1及び表2から、本発明の光学フィルムは、水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂、アルコール系溶媒、ヒンダードフェノール系化合物、水及び特定の疎水化度を有するシリカ粒子を含有することで、打ち抜きクラック、及び打ち抜き切り粉の発生が顕著に低減し、併せて縦シワ、透明性、位相差、IPSモード型液晶表示装置の視認性、着色及び輝点異物にも優れる、総合的に優れたシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルムが得られたことが分かる。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
2、5、11、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 添加剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 延伸装置
35 乾燥装置
36 搬送ローラー
37 巻取り装置
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ

Claims (5)

  1. シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムであって、
    前記シクロオレフィン系樹脂が、少なくとも一つの水素結合受容性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、
    フィルム中にアルコール系溶媒とヒンダードフェノール系化合物を含有し、かつ、
    メタノールウエッタビリティ法で測定される疎水化度が、メタノールと純水が体積比で3:7の第1溶液を用いたときの当該疎水化度が20%以下であり、メタノールと純水が体積比で6:4の第2溶液を用いたときの当該疎水化度80%以上であるシリカ粒子をフィルムの全質量に対して0.1〜2.5質量%含有することを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記シリカ粒子のフィルム中の二次平均粒径が、100〜400nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記アルコール系溶媒を10〜1000ppmの範囲内で含有し、ヒンダードフェノール系化合物を、0.1〜0.5質量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. さらに、水を50〜500ppmの範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記光学フィルムの膜厚dが5μm≦d≦40μmであり、測定波長590nmにおける面内位相差Roと厚さ方向の位相差RtがそれぞれRo≦5nm、−15nm≦Rt≦15nmであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
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