JP2017087225A - 製品製造方法およびそれによって製造される高圧配管 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無電解ニッケル−リンメッキを施した基材を加工しても無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じ難い製品製造方法および高圧配管を提供すること。【解決手段】 鉄からなる円筒状の基材10bの表面に、無電解メッキ法により、リンの含有量が0.3%〜1.0%の無電解ニッケル−リン層14aを形成した。つぎに、無電解ニッケル−リン層14aが形成された基材10bを600℃〜880℃の温度で加熱処理して、基材10bと無電解ニッケル−リン層14aとの境界部に拡散層14bを形成した。そして、無電解ニッケル−リン層14aと拡散層14bが形成された基材10bを塑性加工して高圧配管10を形成した。【選択図】 図1

Description

本発明は、表面に無電解ニッケル−リン層を形成した基材を塑性加工して所定の製品の形状にする製品製造方法およびそれによって製造される高圧配管に関する。
従来から、燃料、冷却水などを送るための高圧配管や、水中で使用される装置の部品等における液体に接触する部分には、腐食防止のためのメッキが施されている。このようなメッキの中に、耐摩耗性に優れているとともに、複雑な形状の基材に対して均一な厚みのメッキ層を簡単な方法で形成できる無電解ニッケル−リンメッキがある。この無電解ニッケル−リンメッキは、近年では、種々の製品や装置に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている製品では、まず、金属材料からなるメッキ対象物に脱脂処理を行ったのちに、無電解ニッケル−リンメッキを行ってメッキ対象物の表面にニッケルとリンの合金層を形成している。つぎに、形成された無電解ニッケル−リンメッキのリンの含有量に応じて熱処理温度が選択される。例えば、リンの含有量が1%以上4%未満の低リン型無電解ニッケル−リンメッキの合金層が形成されている場合であれば、熱処理温度は、500℃以下、好ましくは、350℃以上370℃以下の温度が選択される。そして、選択された熱処理温度で、1時間程度、メッキ対象物を加熱することにより、耐キャビテーション・エロージョン性に優れた製品が得られる。
特開2012−87325号公報
前述した製品では、無電解ニッケル−リンメッキは、製品形状に形成されたメッキ対象物に対して行われる。しかしながら、メッキ対象物の中には、無電解ニッケル−リンメッキを施したのちに、加工が必要なものもある。例えば、端部の外径が中央部分の外径よりも大きくなった高圧配管の中央部分にナットを取り付ける場合には、全体の外径が同じになった加工前の配管にナットを取り付けたのちにその配管の端部を圧縮加工して外径を大きくすることで最終的な高圧配管の形状にする必要がある。このような場合に、ナットが取り付けられた高圧配管に無電解ニッケル−リンメッキを施すことは難しい。また、前述した従来の方法で、無電解ニッケル−リンメッキを施したメッキ対象物を加工すると、無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じやすいという問題がある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、無電解ニッケル−リンメッキを施した基材を加工しても無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じ難い製品製造方法およびそれによって製造される高圧配管を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明に係る製品製造方法の構成上の特徴は、金属からなる基材(10b,30b)の表面に、無電解メッキ法により、リンの含有量が0.3%〜1.0%の無電解ニッケル−リン層(14a,24a)を形成する無電解メッキ工程と、無電解ニッケル−リン層が形成された基材を600℃〜880℃の温度で加熱処理して、基材と無電解ニッケル−リン層との境界部に拡散層(14b,24b)を形成するとともに、無電解ニッケル−リン層中のリン(P)を凝集して粒状化させる加熱工程と、拡散層が形成された基材を塑性加工して所定の製品(10,20,30)の形状にする加工工程とを備えたことにある。
本発明に係る製品製造方法では、無電解ニッケル−リンメッキを行うために欠かすことができないリンの含有量を、一般に、低リンと言われる1%以上4%未満の範囲の中の最低値近傍の値である極低リンの0.3%〜1.0%にしている。また、加熱工程において、無電解ニッケル−リン層が形成された基材を加熱処理する際の加熱温度を、リンの含有量が0.3%〜1.0%のニッケル−リン合金の融点である900℃に近い600℃〜880℃に設定している。これらのリンの含有量および加熱温度は、種々の実験の結果得られたものであり、これによると、加熱工程ののちに、基材を塑性加工して所定の製品の形状にしても無電解ニッケル−リン層に割れや剥離は殆ど生じなかった。このため、無電解ニッケル−リンメッキを施した後に、塑性加工が行えるようになり、無電解メッキ処理後に加工処理が必要な製品の製造が極めて容易になる。
本発明に係る製品製造方法の他の構成上の特徴は、加熱工程での加熱処理を、3分〜120分間行うことにある。これによると、無電解ニッケル−リンメッキ層が形成された基材を塑性加工しても無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じないとともに、本来のメッキの目的である耐蝕性に優れた無電解ニッケル−リン層を有する製品が得られる。
本発明に係る製品製造方法のさらに他の構成上の特徴は、基材が真っ直ぐに延びる鉄製の管体であり、製品が基材の端部を圧縮して外径を大きくする端末加工または基材の両側部分の軸方向が異なるように変形させる曲げ加工が施された高圧配管であることにある。
表面に無電解ニッケル−リン層が形成される金属としては、数種の金属を使用することができるが、中でも鉄は、表面に無電解ニッケル−リンメッキ層を形成し易い。本発明では、高圧配管を鉄で構成したため、基材加工後の無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じにくく、耐蝕性にも優れた高圧配管を得ることができる。
本発明に係る製品製造方法のさらに他の構成上の特徴は、無電解メッキ工程において、基材の内表面と外表面に無電解ニッケル−リン層を形成し、加熱工程の後に、基材の外表面の無電解ニッケル−リン層の表面に亜鉛メッキ層(25)を形成する亜鉛メッキ工程が含まれることにある。
本発明によると、基材の外表面の無電解ニッケル−リン層にピンホールが生じていた場合に、鉄からなる基材が腐食することを防止できる。亜鉛は鉄に比べてイオン化傾向が大きいため、亜鉛メッキ層がピンホールを介して鉄からなる基材と接触した場合には、亜鉛メッキ層が優先的に腐食されることによって基材が腐食されることを防止する。
本発明に係る高圧配管の構成上の特徴は、前述した製品製造方法を用いて製造される高圧配管であって、無電解ニッケル−リン層と拡散層とのうちの少なくとも無電解ニッケル−リン層に、ニッケル層(N)の内部に粒状化されたリン(P)が散在する部分が含まれていることにある。
無電解メッキ工程において基材の表面に形成された無電解ニッケル−リン層では、リンは微粒子の状態でニッケル層の中に略均一な状態で分布しているが、本発明に係る加熱工程で加熱処理された基材表面の無電解ニッケル−リン層と拡散層とのうちの少なくとも無電解ニッケル−リン層では、微粒子状のリンが凝集して粒状化されている。このため、少なくとも無電解ニッケル−リン層の中には、ニッケルだけで構成される部分が多くなり、これによって、加工工程において基材を塑性加工しても無電解ニッケル−リン層に割れや剥離が生じなくなる。この結果、表面の無電解ニッケル−リン層に割れや剥離がない高圧配管が得られる。
本発明に係る高圧配管の他の構成上の特徴は、粒状化されたリンの径の最大値が1μm〜3μmになっていることにある。
本発明によると、より良好な高圧配管が得られる。粒状化されたリンのなかには、球状、楕円体状、長球状など種々の形状をしたものがあるが、本発明に係る径には、直径、長さ、幅などが含まれるものとする。
本発明の第1実施形態に係る高圧配管を示した断面図である。 図1の2−2断面図である。 無電解ニッケル−リン層が形成された基材を示した断面図である。 図3の基材と加熱処理前の無電解ニッケル−リン層との境界部分を拡大した組織写真図である。 図2の基材と加熱処理によって形成されたメッキ層との境界部分を拡大した写真である。 基材にナットを取り付けた状態を示した縦断面である。 チャックとパンチで基材を端末加工する状態を示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係る高圧配管を示した縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る高圧配管を示した斜視図である。 第3実施形態で用いる基材の端部を示しており、(a)は圧縮加工前の状態を示した断面図、(b)は圧縮加工後の状態を示した断面図である。 第3実施形態に係る高圧配管の曲げ加工前の状態を示した側面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る高圧配管10を示している。この高圧配管10は、例えば、自動車においてエンジンに燃料を供給するために用いられるものである。また、高圧配管10は、鉄からなっており、本体10aの外径が8mm程度、肉厚が1.5mm程度に設定されている。高圧配管10の端部には、接続頭部11が形成され、高圧配管10の本体10aの外周には、接続頭部11によって高圧配管10から取り外すことができなくなったナット12が取り付けられている。
接続頭部11は、本体10a側から端部側にいくほど徐々に大径になった拡径部11aと拡径部11aから先端まで徐々に先細り状になったシート面部11bで構成されている。ナット12は、接続頭部11を覆える略円筒状に形成されており、後部(図1では右側)に、本体10aを内部に通せる挿通穴が形成された肉厚部12aが形成され、中央から前部にかけての部分の内周面にねじ12bが形成されている。このナット12は、高圧配管10を他の接続部材に接続する際に用いられる。
また、高圧配管10の内周表面には、メッキ層14が形成されている。このメッキ層14は、図2に示したように、無電解ニッケル−リン層14aと拡散層14bとで構成されている。拡散層14bは、高圧配管10の母材である鉄と、無電解ニッケル−リン層14aのニッケルとリンが互いに反応して形成された層であり、その成分の比率は徐々に変化している。したがって、無電解ニッケル−リン層14aと拡散層14bとに明確な境界はなく、メッキ層14の厚みは、全体で10μm〜25μm程度になっている。
つぎに、高圧配管10を製造する方法の一例を説明する。まず、高圧配管10がメッキ処理および加工処理される前の円筒状の基材10b(図6におけるナット12およびメッキ層14を除いた部分)の内表面に、無電解ニッケル−リン層14aを形成する無電解メッキ工程を行う。この無電解メッキ工程は、周知のメッキ液に基材10bを浸漬することによって行われ、これによって、厚みが3μm〜20μmの無電解ニッケル−リン層14aを形成する。この無電解ニッケル−リン層14aにおけるリンの含有量は、0.5%程度になるようにする。
これによって、基材10bと無電解ニッケル−リン層14aの断面形状は、図3に示した状態になる。また、図4には、図3に示した基材10bと無電解ニッケル−リン層14aとの境界部分を顕微鏡で拡大した組織写真として示している。図4によると、基材10bと無電解ニッケル−リン層14aの境界が明確に分かるとともに、無電解ニッケル−リン層14a内におけるニッケル層(黒っぽい部分)の中に微粒子状のリンP(白っぽい部分)が略均一状態で散在していることが分かる。
つぎに、無電解ニッケル−リン層14aが内表面に形成された基材10bを加熱処理する加熱工程を行う。ここでは、無電解ニッケル−リン層14aが形成された基材10bを真空炉内で600℃〜880℃の温度、例えば750℃程度で、3分〜120分、例えば、10分程度加熱する。これによって、基材10bと無電解ニッケル−リン層14aの境界部分には、図2に示した拡散層14bが生じる。この拡散層14bは、無電解ニッケル−リン層14aが、基材10bの内部側に拡散していくことにより形成され、これによって基材10bと無電解ニッケル−リン層14aの密着性が向上する。
図5には、加熱処理後の基材10bとメッキ層14との境界部分を顕微鏡で拡大した組織写真として示している。図5によると、拡散層14bの存在が認められるとともに、ニッケル層Nの中に大粒状のリンPが不均一な分布状態で散在していることが分かる。これは、無電解ニッケル−リン層14aを熱処理することで、図4に示した微粒子状のリンPが凝集して図5に示した大粒状のリンPに変化したものである。図4の状態では、リンPが無電解ニッケル−リン層14aの全体にまんべんなく存在しているため、無電解ニッケル−リン層14aは硬いが、図5の状態では、無電解ニッケル−リン層14aの中にリンPを含まない部分が多く存在しているため、無電解ニッケル−リン層14aは、図4に示した無電解ニッケル−リン層14aよりも柔らかい組織になる。なお、加熱処理後の無電解ニッケル−リン層14a中のリンPの粒径(直径、幅、長さを含む)は、最大値で1μm〜3μmであった。
つぎに、無電解メッキ工程および加熱工程が終了した基材10bを加工処理する加工工程が行われる。この加工工程は、基材10bに、ナット12を組み付けるとともに、基材10bの端部に接続頭部11を形成して、本発明に係る製品としての高圧配管10の形状にする工程である。この加工工程では、まず、図6に示したように、内表面にメッキ層14が形成された基材10bの外周にナット12を組み付ける。ついで、ナット12を基材10bの他端側に移動させた状態で、図7に示したチャック15とパンチ16を用いて、基材10bの先端部を軸方向に押圧する。
チャック15には、基材10bを貫通させた状態で保持する小径保持穴15aと、小径保持穴15aに連通して開口側に形成された大径保持穴15bが備わっている。基材10bは、端部側を大径保持穴15bの開口部から突出させて小径保持穴15aに配置される。また、パンチ16には、接続頭部11の先細りになった部分(シート面部11bと拡径部11aの前部)に対応する凹部16aが備わっており、パンチ16は、凹部16aを基材10bの先端部に合わせて基材10bを押圧する。
これによって、基材10bの先端部が圧縮されて塑性変形し、接続頭部11が形成されることで、高圧配管10が得られる。この場合、接続頭部11の先細りになった部分は、パンチ16の凹部16aに圧接することで形成され、接続頭部11における拡径部11aの後部は、大径保持穴15bに圧接することで形成される。この加工工程において、メッキ層14に割れや剥離は生じなかった。
このように、本実施形態では、高圧配管10を製造するための基材10bを鉄で構成し、高圧配管10の内表面に形成する無電解ニッケル−リン層14aにおけるリンPの含有量を0.5%程度にした。そして、無電解ニッケル−リン層14aが形成された基材10bを750℃の温度で、10分程度加熱した。これらのリンの含有量および加熱温度は、本願発明者の仮説に基づいて設定したものである。
すなわち、この仮説は、「リンPの含有量が多いほど無電解ニッケル−リン層14aは硬くなる。このため、リンPの含有量を少なくすると無電解ニッケル−リン層14aは柔らかくなって加工による割れや剥離の発生が少なくなる。」また、「加熱処理の際の加熱温度を高くすれば無電解ニッケル−リン層14a中のリンPが効果的に凝集して、無電解ニッケル−リン層14a中にリンPが存在しない部分が増加する。これによって、加工による割れや剥離の発生がない無電解ニッケル−リン層14aが得られる。」というものである。この仮説に基づいて、高圧配管10を製造した結果、無電解ニッケル−リン層14aに割れや剥離は生じなかった。このため、無電解ニッケル−リンメッキを施した後に、塑性加工が必要な製品の製造が極めて容易になる。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る高圧配管20における本体20aの断面を示している。この高圧配管20では、内表面に、前述した無電解ニッケル−リン層14aと拡散層14bからなるメッキ層14が形成され、外表面には、メッキ層24と亜鉛メッキ層25が形成されている。メッキ層24は、メッキ層14と同様に形成されており、無電解ニッケル−リン層24aと拡散層24bで構成されている。また、メッキ層24は、メッキ層14と同時に形成される。亜鉛メッキ層25は、加熱工程ののちに、公知の電気亜鉛メッキ法により形成され、厚みが13μm程度になっている。また、加工工程は、亜鉛メッキ工程の後に行われる。この高圧配管20のそれ以外の部分の構成については、前述した高圧配管10と同一である。
本実施形態に係る高圧配管20は、このように構成されているため、内表面がメッキ層14によって防食されるとともに、外表面がメッキ層24によって防食される。また、無電解ニッケル−リン層24aにピンホールが生じていても、亜鉛メッキ層25によって高圧配管20が腐食することが防止される。なお、亜鉛メッキ層25を形成する亜鉛メッキ工程の後に、加工工程を行うと、亜鉛メッキ層25に割れが生じることがあるが、この場合でも、亜鉛メッキ層25は犠牲腐食による耐食性を発揮するため、割れが問題となることはない。この高圧配管20のそれ以外の作用効果は前述した実施形態の作用効果と同様である。
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る高圧配管30を示している。この高圧配管30の端部には、接続頭部31が形成され、高圧配管30の本体30aの外周には、接続頭部31によって高圧配管30から取り外すことができなくなったナット32が取り付けられている。また、本体30aは曲げ加工によって湾曲した状態に曲げられている。すなわち、高圧配管30は端部が圧縮加工されているとともに、本体30aの所定部分が曲げ加工されたものである。
高圧配管30を製造する際には、まず、図10(a)に示したように、円筒状の基材30bの内表面に、第1実施形態と同様の方向で、無電解ニッケル−リン層14aと拡散層14bからなるメッキ層14を形成する。つぎに、第1実施形態と同様、チャックとパンチ(図示せず)を用いて、基材30bの先端部を軸方向に押圧して、図10(b)に示した接続頭部31を形成する。これによって、ナット32が取り付けられた圧縮加工後の基材30bは、図11に示した形状になる。
つぎに、図11の状態の基材30bを曲げ加工して、図9に示した高圧配管30の形状にする。この曲げ加工は、曲げ加工機を用いて行われ、この曲げ加工機としては、例えば、特開平10−128456に記載された曲げ加工機を用いることができる。この曲げ加工機は、基材30bの基端部を把持するチャックと、基材30bの曲げ加工される部分を配置できる加工溝が外周面に形成されたベンディングロールと、ベンディングロールと対向して基材30bの先端側に配置されるシメ型と、ベンディングロールと対向して基材30bの基端側に配置される圧力型とを備えている。
シメ型と圧力型には、それぞれ基材30bに対応した凹溝が形成されており、基材30bは、軸を挟んで外周面の一方がベンディングロールの加工溝に接触し、外周面の他方がシメ型と圧力型の凹溝に接触する。そして、ベンディングロールを回転させるとともに、シメ型をベンディングロールの外周側で、ベンディングロールと同方向に回転させることで、基材30bを高圧配管30の形状に加工することができる。このように、メッキ層14が形成された基材30bに対して、圧縮加工および曲げ加工を行っても、得られた高圧配管30のメッキ層14に割れや剥離は生じなかった。また、本実施形態の変形例として、図8に示したように、メッキ層14に加えて、外表面に、メッキ層24と亜鉛メッキ層25を形成していてもよい。
また、本発明は、前述した実施形態に限るものでなく適宜、変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、製品を高圧配管としているが、本発明に係る製品は、高圧配管に限らず、表面に無電解ニッケル−リン層を形成したのちに、塑性加工されることにより製造されるものであればなんでもよい。また、前述した高圧配管を構成する各部分についても本発明の技術的範囲内で変更が可能である。
10,20,30…高圧配管、10b,30b…基材、14a,24a…無電解ニッケル−リン層、14b,24b…拡散層、25…亜鉛メッキ層、N…ニッケル層、P…リン。

Claims (6)

  1. 金属からなる基材の表面に、無電解メッキ法により、リンの含有量が0.3%〜1.0%の無電解ニッケル−リン層を形成する無電解メッキ工程と、
    前記無電解ニッケル−リン層が形成された基材を600℃〜880℃の温度で加熱処理して、前記基材と前記無電解ニッケル−リン層との境界部に拡散層を形成するとともに、前記無電解ニッケル−リン層中のリンを凝集して粒状化させる加熱工程と、
    前記無電解ニッケル−リン層および前記拡散層が形成された基材を塑性加工して所定の製品の形状にする加工工程と
    を備えたことを特徴とする製品製造方法。
  2. 前記加熱工程での加熱処理を、3分〜120分間行う請求項1に記載の製品製造方法。
  3. 前記基材が真っ直ぐに延びる鉄製の管体であり、前記製品が前記基材の端部を圧縮して外径を大きくする端末加工または前記基材の両側部分の軸方向が異なるように変形させる曲げ加工が施された高圧配管である請求項1または2に記載の製品製造方法。
  4. 前記無電解メッキ工程において、前記基材の内表面と外表面に無電解ニッケル−リン層を形成し、
    前記加熱工程の後に、前記基材の外表面の無電解ニッケル−リン層の表面に亜鉛メッキ層を形成する亜鉛メッキ工程が含まれる請求項3に記載の製品製造方法。
  5. 請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の製品製造方法を用いて製造される高圧配管であって、
    前記無電解ニッケル−リン層と前記拡散層とのうちの少なくとも前記無電解ニッケル−リン層に、ニッケル層の内部に粒状化されたリンが散在する部分が含まれている高圧配管。
  6. 前記粒状化されたリンの径の最大値が1μm〜3μmになっている請求項5に記載の高圧配管。)
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