JP2017069443A - 熱電変換モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、2枚の基板間の温度差を増大させると、特に高温側基板に反りが発生することにより、熱電変換モジュールに損傷が加わりやすくなる。このため、熱電変換モジュールでは充分な耐久性が得られなくなる場合がある。
このため、熱電変換モジュールの基板の反りを抑制するための技術が望まれる。
上記高温側基板は、第1主面と、上記第1主面とは反対の第2主面と、上記第1主面に配列された複数の第1電極と、上記第2主面に設けられた第1メタライズ層と、を有し、最大径が15mm以下になるように分割されている。
上記低温側基板は、上記第1主面に対向する第3主面と、上記第3主面とは反対の第4主面と、上記第3主面に配列された複数の第2電極と、上記第4主面に設けられ、所定のパターンで分割された第2メタライズ層と、を有する。
上記複数の熱電素子は、上記第1主面と上記第3主面との間に配列され、それぞれ上記第1電極及び上記第2電極に接続されている。
また、低温側基板の第2メタライズ層が分割されているため、分割された第2メタライズ層のそれぞれにおける面積が小さくなる。これにより、第2メタライズ層の熱膨張量が小さくなるため、低温側基板の反りも抑制される。
上記第2メタライズ層は、上記複数の第2電極と同様のパターンで分割されていてもよい。
上記低温側基板の厚さは300μm以上であってもよい。
これらの構成では、第2メタライズ層が小さく分割されているため、第2メタライズ層の熱膨張量が更に小さくなる。また、低温側基板が厚いため変形しにくい。これらにより、低温側基板の反りが更に抑制される。
この構成では、高温側基板の両主面に形成される第1電極と第2メタライズ層との厚さの差が小さいため、第1電極及び第2メタライズ層の熱膨張により発生する熱応力の差が小さくなる。これにより、高温側基板の反りが更に抑制される。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換モジュール10の斜視図である。図2は、熱電変換モジュール10の図1のA−A'線に沿った部分断面図である。
熱電変換モジュール10は、XY平面に沿って延びる平板状である。熱電変換モジュール10は、複数の熱電素子11と、低温側基板12と、高温側基板13と、接合層14と、リード線15と、を有する。
図3は、低温側基板12の平面図である。図3(a)は低温側基板12のZ軸方向上側の主面を示し、図3(b)は低温側基板12のZ軸方向下側の主面を示している。低温側基板12は、基材121と、電極122と、メタライズ層123と、を有する。
図4は、高温側基板13の平面図である。図4(a)は高温側基板13のZ軸方向下側の主面を示し、図4(b)は高温側基板13のZ軸方向上側の主面を示している。高温側基板13は、基材131と、電極132と、メタライズ層133と、を有する。
ここで、高温側基板13は、熱電変換モジュール10の駆動時に低温側基板12よりも高温になるため、反りが発生しやすい。したがって、高温側基板13が一枚板である場合には、高温側基板13の全領域における反りの相乗効果により、大きい反りが発生してしまう。
この点、高温側基板13では、径の小さいセグメントS1に分割されているため、各セグメントS1ごとに発生する反りは小さくなる。また、各セグメントS1が相互に離間しているため、各セグメントS1の反りが他のセグメントS1に影響を及ぼさない。このため、高温側基板13では反りが効果的に抑制される。
電極132は、各基材131のZ軸方向下側の主面に形成される。各電極132は、互いに隣接する一対の熱電素子11を接続する。電極132のZ軸方向における厚さは、50μm以上であることが好ましい。
メタライズ層133は、各基材131のZ軸方向上側の主面に形成される。メタライズ層133のZ軸方向の厚さは、電極132と同様に、50μm以上であることが好ましい。
このような観点から、高温側基板13では、電極132とメタライズ層133とのZ軸方向における厚さの差が小さいことが好ましい。より具体的に、高温側基板13では、電極132とメタライズ層133とのZ軸方向における厚さの差が電極132のZ軸方向における厚さの20%以下であることが好ましい。
熱電素子11はそれぞれ、熱電チップ111と金属めっき層112とを有する。複数の熱電素子11は、高温側基板13のZ軸方向下側の主面と低温側基板12のZ軸方向上側の主面とによってZ軸方向に挟持されている。
熱電チップ111は、熱電材料により形成されている。つまり、P型チップ111aはP型熱電材料により形成され、N型チップ111bはN型熱電材料により形成されている。熱電チップ111を形成する熱電材料の種類は、熱電発電装置1の駆動温度域などに応じて適宜決定可能である。
熱電チップ111を形成する熱電材料としては、例えば、シリサイド系化合物、ハーフホイスラー化合物、鉛−テルル系化合物、シリコン−ゲルマニウム系化合物、スクッテルダイト化合物、テトラヘドライト系化合物、ビスマス−テルル系化合物などが採用可能である。
接合層14は、各熱電素子11と低温側基板12との間、及び各熱電素子11と高温側基板13との間にそれぞれ配置されている。接合層14は、各熱電素子11の金属めっき層112と低温側基板12の電極122とを接続するとともに、各熱電素子11の金属めっき層112と高温側基板13の電極132とを接続している。
また、熱電素子11と高温側基板13とを接続する接合層14と、熱電素子11と低温側基板12とを接続する接合層14と、は異なる材料で形成されていてもよい。特に、熱電素子11と高温側基板13とを接続する接合層14には、耐熱性に優れるろう材や導電性ペーストを用いることが好ましい。一例として、ろう材としてはBAg−7が挙げられ、導電性ペーストとしては銀ナノペーストが挙げられる。
低温側基板12は、Y軸方向端部の2隅にそれぞれY軸方向に突出する接続部15aを有する。リード線15は、2つの接続部15aの電極122にそれぞれ接合されている。リード線15の接続部15aへの接合には、例えば、はんだや、ろう材や、導電性ペーストを用いることができる。
P型チップ111aとN型チップ111bとは、基板12,13に沿って、X軸方向にもY軸方向にも交互に並ぶように、互い違いに配置されている。また、互いに隣接して対を成すP型チップ111aとN型チップ111bとは、高温側基板13の電極132又は低温側基板12の電極122により接続されている。
図5は、高温側基板13のZ軸方向下側の主面を示す部分平面図である。本実施形態では、高温側基板13のセグメントS1の最大径D1を15mm以下とする。これにより、高温側基板13の反りを効果的に抑制できる。矩形に分割されたセグメントS1の最大径D1は、高温側基板13の対角線の長さである。
図6(a)に示す変形例に係る高温側基板13では、X軸方向に隣接する2つの電極132を有するセグメントS1に分割されている。変形例に係る高温側基板13でも、最大径D1が15mm以下であれば、反りを効果的に抑制可能である。
図6(b)に示す変形例に係る高温側基板13では、12個の電極132を有する4つのセグメントS1と、2個の電極132を有する1つのセグメントS1と、に分割されている。このように、高温側基板13の各セグメントの大きさが異なる場合、最も大きいセグメントS1の最大径D1を15mm以下とする必要がある。
図7は、図6(b)に示す変形例に係る高温側基板13のZ軸方向上側の主面の一例を示す平面図である。
図7(a)に示す例では、メタライズ層133が分割されていない。メタライズ層133を分割しなくても高温側基板13の反りが許容範囲内である場合には、メタライズ層133を分割しなくてもよい。
図7(b)に示す例では、メタライズ層133が電極132と同様のパターンで分割されている。これにより、高温側基板13の両主面において電極132及びメタライズ層133の熱膨張により発生する熱応力が同程度となるため、高温側基板13の反りを効果的に抑制可能である。
図7(c)に示す例では、メタライズ層133が複数の電極132ごとに分割されている。これにより、メタライズ層133を分割するための手間を軽減しつつ、高温側基板13の反りを抑制可能である。
図8は、低温側基板12のZ軸方向下側の主面を示す部分平面図である。上記のとおり、低温側基板12は分割されており、図8に示すように複数のセグメントS2によって構成されている。
本実施形態では、メタライズ層123のセグメントS2の最大径D2を15mm以下とすることが好ましい。これにより、各セグメントS2の熱膨張量が小さくなるため、低温側基板12の反りを効果的に抑制可能である。矩形に分割されたセグメントS2の最大径D2は、高温側基板13の対角線の長さである。なお、低温側基板12の反りが許容範囲内である場合には、セグメントS2の最大径D2が15mmより大きくても構わない。
この一方で、メタライズ層123を小さく分割するための手間を軽減するために、メタライズ層123を電極122より大きいセグメントS2に分割してもよい。このような場合であっても、メタライズ層123の最大径D1を15mm以下とすることにより、低温側基板12の反りが効果的に抑制される。
(サンプル及びその評価方法)
様々な構成の熱電変換モジュール10のサンプル1〜20を作製した。
サンプル1の構成について説明する。サンプル1は、X軸及びY軸方向の寸法がいずれも40mmの矩形である。高温側基板13の最大のセグメントS1は5mm×5mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1は7.07mmである。高温側基板13の電極132及びメタライズ層133の厚さはいずれも100μmである。低温側基板12の基材121及び高温側基板13の基材131の厚さはいずれも635μmである。
サンプル2〜20は、以下に特に説明する構成以外についてサンプル1と同様に構成されている。
実験1では、サンプル1とは高温側基板13の分割態様が異なるサンプル2〜11を作成した。サンプル2〜11の構成は以下のとおりである。
サンプル2では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×7mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が8.60mmである。
サンプル3では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×10mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が11.18mmである。
サンプル4では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×12mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が13.00mmである。
サンプル5では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×14mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が14.87mmである。
サンプル6では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×15mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が15.81mmである。
サンプル7では、高温側基板13の最大のセグメントS1が7mm×7mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が9.90mmである。
サンプル8では、高温側基板13の最大のセグメントS1が10mm×10mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が14.14mmである。
サンプル9では、高温側基板13の最大のセグメントS1が11mm×11mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が15.56mmである。
サンプル10では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×20mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が20.62mmである。
サンプル11では、高温側基板13が分割されておらず、つまり高温側基板13の最大径D1が56.57mmである。
サンプル1〜11の熱サイクル試験前後における交流電気抵抗の変化率を表1に示す。
この一方で、高温側基板13の最大径D1が15mmを超えるサンプル6,9,10ではいずれも、交流電気抵抗の変化率が5%を超え、充分な耐久性が得られなかった。
なお、高温側基板13が分割されていないサンプル11では、熱サイクル試験によって低温側基板12が割れてしまい、熱サイクル試験後の交流電気抵抗を測定できなかった。
実験2では、サンプル1とは高温側基板13のメタライズ層133が異なるサンプル12〜14を作成した。サンプル12〜14の構成は以下のとおりである。
サンプル12では、高温側基板13にメタライズ層133が設けられていない。
サンプル13では、高温側基板13のメタライズ層133の厚さが70μmである。
サンプル14では、高温側基板13のメタライズ層133の厚さが80μmである。また、サンプル13では、高温側基板13の最大のセグメントS1が5mm×12mmの矩形であり、当該セグメントS1の最大径D1が13.00mmmmである。
サンプル12〜14の熱サイクル試験前後における交流電気抵抗の変化率を表2に示す。
この一方で、高温側基板13の電極132とメタライズ層133との厚さの差が電極132の厚さの20%を超えるサンプル13では、交流電気抵抗の変化率が3%を超えているものの、5%以下であり許容範囲内であった。
また、高温側基板13にメタライズ層133を設けていないサンプル12では、交流電気抵抗の変化率が5%を超え、充分な耐久性が得られなかった。
実験3では、サンプル1と低温側基板12の基材121の厚さが異なるサンプル15〜17を作成した。サンプル15〜17の構成は以下のとおりである。
サンプル15では、低温側基板12の基材121の厚さが250μmである。
サンプル16では、低温側基板12の基材121の厚さが300μmである。
サンプル17では、低温側基板12の基材121の厚さが500μmである。
サンプル15〜17の熱サイクル試験前後における交流電気抵抗の変化率を表3に示す。
なお、低温側基板12の基材121の厚さが300μm未満であっても、高温側基板13の最大径D1などの他の構成を変更することにより、低温側基板12が割れることなく、熱サイクル試験前後における交流電気抵抗の変化率を5%以下とすることは可能である。
実験4では、サンプル1と低温側基板12のその他の構成が異なるサンプル18〜20を作成した。サンプル18〜20の構成は以下のとおりである。
サンプル18では、低温側基板12のメタライズ層123が分割されていない。
サンプル19では、低温側基板12のメタライズ層123が電極122と同様のパターンで分割されている。
サンプル20では、低温側基板12自体が分割されている。つまり、サンプル20では、メタライズ層123のみならず基材121も分割されている。
サンプル18〜20の熱サイクル試験前後における交流電気抵抗の変化率を表4に示す。
メタライズ層123が電極122と同様のパターンで分割されているサンプル19では、交流電気抵抗の変化率がサンプル1よりも更に小さく、更に高い耐久性が得られていることがわかる。
低温側基板12自体が分割されているサンプル20では、交流電気抵抗の変化率がサンプル1よりも更に小さく、更に高い耐久性が得られていることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
11…熱電素子
12…低温側基板
121…基材
122…電極
123…メタライズ層
13…高温側基板
131…基材
132…電極
133…メタライズ層
14…接合層
15…リード線
Claims (5)
- 第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面と、前記第1主面に配列された複数の第1電極と、前記第2主面に設けられた第1メタライズ層と、を有し、最大径が15mm以下になるように分割された高温側基板と、
前記第1主面に対向する第3主面と、前記第3主面とは反対の第4主面と、前記第3主面に配列された複数の第2電極と、前記第4主面に設けられ、所定のパターンで分割された第2メタライズ層と、を有する低温側基板と、
前記第1主面と前記第3主面との間に配列され、それぞれ前記第1電極及び前記第2電極に接続された複数の熱電素子と、
を具備する熱電変換モジュール。 - 請求項1に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第2メタライズ層は、最大径が15mm以下になるように分割されている
熱電変換モジュール。 - 請求項2に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第2メタライズ層は、前記複数の第2電極と同様のパターンで分割されている
熱電変換モジュール。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記低温側基板の厚さは300μm以上である
熱電変換モジュール。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1電極と前記第1メタライズ層との厚さの差は、前記第1電極の厚さの20%以下である
熱電変換モジュール。
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A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
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C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211 Effective date: 20200616 |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22 Effective date: 20200908 |
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C23 | Notice of termination of proceedings |
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C03 | Trial/appeal decision taken |
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C30A | Notification sent |
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