JP2017068059A - 透光性ハードコート積層体の製造方法 - Google Patents

透光性ハードコート積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐光性と透明性、及び高硬度を兼備する透光性ハードコート積層体の製造方法を提供する。【解決手段】シリカ粒子、アクリル系ポリマー、多官能モノマー、特定量のヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、及び、溶剤を含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、前記塗膜において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤を除去することにより、ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程、及び、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を50℃〜110℃で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成する工程を有する、透光性ハードコート積層体の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、表示装置等の表面を保護する目的や、窓材や各種透明部材等として使用される、透光性基体にハードコート層が設けられた透光性ハードコート積層体の製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。このような要求に対して、基体上にハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。ハードコートフィルムに要求される性能は、近年益々高くなってきており、硬度、さらに耐光性に優れたものが求められている。
例えば特許文献1には、耐候性を向上させる手段として、ヒンダードアミン系光安定化剤を含む反射防止フィルムが記載されている。また、特許文献2には、耐候性に優れた反射防止フィルムとして、ハードコート層に紫外線吸収剤を含むことを特徴とすることが記載されており、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が用いられている。また、特許文献3には、化粧シート等の建築部材に高い耐候性を付与する耐候性組成物として、樹脂成分と特定のヒドロキシフェニルトリアジン化合物を特定量含有する組成物が記載されている。
特開2003−94573号公報 特開2008−90067号公報 特開2006−307142号公報 特開2014−149520号公報
本出願人は、特定のシリカ粒子と、モノマーと、特定のポリマーとを含有する硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層を形成することにより、高硬度、耐擦傷性および加工性を兼備するハードコートフィルムが得られることを知見した(特許文献4)。
しかしながら、特許文献4のハードコートフィルムによっても、耐光性は未だ不十分であった。
本発明者により鋭意研究を行った結果、シリカ粒子と、特定のモノマーと、特定のポリマーとに、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を組み合わせて含有する硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層を形成すると、耐光性に優れることがわかったが、同時に、シリカ粒子と、特定のモノマーと、特定のポリマーとに、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を組み合わせると、ハードコート層が白濁するという問題が生じることが分かった。
表示装置等の表面を保護する目的や、窓材や各種透明部材等として使用される透光性ハードコート積層体には、更に透明性が求められる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた耐光性と透明性、及び高硬度を兼備する透光性ハードコート積層体の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法は、
シリカ粒子、アクリル系ポリマー、1分子中に紫外線硬化性基を2つ以上有する多官能モノマー、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、及び、溶剤を含有し、前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が前記シリカ粒子100質量部に対して1.9〜20.0質量部含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物を準備する工程、
前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を、透光性基体の少なくとも一面側に塗布することにより、塗膜を形成する工程、
前記塗膜において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤を除去することにより、ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を50℃〜110℃で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、優れた耐光性と透明性、及び高硬度を兼備する透光性ハードコート積層体を製造することができる。
本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法についての詳細を説明する。
本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法は、
シリカ粒子、アクリル系ポリマー、1分子中に紫外線硬化性基を2つ以上有する多官能モノマー、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、及び、溶剤を含有し、前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が前記シリカ粒子100質量部に対して1.9〜20.0質量部含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物を準備する工程、
前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を、透光性基体の少なくとも一面側に塗布することにより、塗膜を形成する工程、
前記塗膜において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤を除去することにより、ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程、及び、
前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を50℃〜110℃で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成する工程を有することを特徴とする。
図1(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)は、本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法においては、まず、前記特定のハードコート層用光硬化性樹脂組成物を準備する(図示せず)。次に、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を、透光性基体1の少なくとも一面側に塗布することにより、塗膜2を形成する(図1(A))。次いで、前記塗膜2において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤が除去4されている塗膜2’を経て(図1(B))、ハードコート層用光硬化性膜3を形成する(図1(C))。
次に、ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜3を加熱5することによりヘイズ増加量が0.5以下のハードコート層用光硬化性膜3’とする(図1(D))。次いで、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜3’を加熱5しながら紫外線照射6して硬化する(図1(E))ことにより、ハードコート層10を形成し、透光性ハードコート積層体100を製造する。(図1(F))。ハードコート層10は、前記特定のハードコート層用光硬化性樹脂組成物の硬化物から構成されている。
本発明によれば、前記特定のハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用い、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量を紫外線照射開始時に小さくした状態で紫外線照射して硬化することができ、優れた耐光性と透明性、高硬度及び耐擦傷性を兼備する透光性ハードコート積層体を製造することができる。
シリカ粒子と、前記特定のポリマーと、前記特定のモノマーとに、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を組み合わせて含有する硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥後、冷却されるにつれて塗膜が白濁する問題が生じる。当該白濁は、シリカ粒子と、前記特定のポリマーと、前記特定のモノマーとを含み、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含まない硬化性樹脂組成物では起こらず、また、シリカ粒子を含まず、前記特定のポリマーと、前記特定のモノマーと、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物とを含む硬化性樹脂組成物では起こらず、シリカ粒子と、前記特定のポリマーと、前記特定のモノマーとに、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を組み合わせることにより生じる特有の課題である。本発明者らの分析により、上記のような硬化性樹脂組成物においては、乾燥により溶剤を除去後、冷却されるにつれて特定のヒドロキシフェニルトリアジン化合物とシリカ粒子の相互作用によって、シリカ粒子の分散状態が局在化し、白濁してしまうことが推定された。白濁した塗膜を紫外線照射することにより硬化させると、そのまま白濁したハードコート層が得られてしまう。
透光性基体の少なくとも一面側にハードコート層用光硬化性樹脂組成物の塗膜を形成後、当該塗膜中の溶剤を除去する(乾燥)工程と、その後の光照射工程とが連続的に行われ、乾燥工程において一旦加熱されたとしても、乾燥後に得られたハードコート層用光硬化性膜は、通常、光照射工程までの搬送時に実質的に冷却される。そのため、通常の工程では、前記本発明に用いられるハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いると、白濁し、ヘイズ値が上昇したハードコート層が得られてしまう。
これに対して、本発明者は、溶剤除去後に一旦白濁したハードコート層用光硬化性膜であっても、再度適切な温度で加熱することにより、白濁が消失乃至低減して、白濁が消失乃至低減した加熱温度を保持したまま紫外線照射を行うと、前記特定のハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いながら、透明性が高いハードコート層が得られることを見出した。
乾燥後に得られたハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を前記特定の温度で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化すると前記特定のハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用い、耐光性に優れながら、透明性が高いハードコート層が得られる。
また、本発明によれば、ハードコート層がシリカ粒子を含むことにより、硬度および耐擦傷性を向上させることができる。また、ハードコート層にアクリル系ポリマーを用いることにより、高硬度を維持しつつ加工性を改善することが可能である。
以下、本発明の透光性ハードコート積層体の製造方法の各工程について説明する。
1.ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を準備する工程
本発明に用いられるハードコート層用光硬化性樹脂組成物は、シリカ粒子、アクリル系ポリマー、1分子中に紫外線硬化性基を2つ以上有する多官能モノマー、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、及び、溶剤を含有し、前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が前記シリカ粒子100質量部に対して1.9〜20.0質量部含有するものである。
以下、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物(以下単に“硬化性樹脂組成物”という場合がある)における各成分について説明する。
(1)シリカ粒子
本発明において、シリカ粒子は、ハードコート層の硬度向上に寄与する成分である。
シリカ粒子は、反応性官能基を有する反応性シリカ粒子であることが好ましい。反応性官能基としては、本発明においては光硬化性基であることが好ましく、特に好ましくは後述する多官能モノマーと反応可能な紫外線硬化性基である。具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合およびエポキシ基等が挙げられる。
なお、本願明細書において、(メタ)アクリロイルはアクリロイルおよびメタクリロイルの少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリルはアクリルおよびメタクリルの少なくともいずれかを意味する。
シリカ粒子としては、複数のシリカ粒子が無機の化学結合により結合した異形シリカ粒子が好ましい。中でも、異形シリカ粒子は、平均1次粒径1nm〜100nmのシリカ粒子3個〜20個が無機の化学結合により結合し、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ粒子であることが好ましい。反応性異形シリカ粒子は、反応性官能基を有することにより、反応性異形シリカ粒子同士、およびモノマーと架橋する硬化反応が可能であり、ハードコート層の耐擦傷性および硬度を向上することができる。
本発明で用いられるシリカ粒子の平均1次粒径は、硬度及び透明性の点から、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜80nmの範囲内であることがより好ましい。本発明で用いられるシリカ粒子の平均2次粒径は、硬度及び透明性の点から、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。
また、反応性異形シリカ粒子を構成するシリカ粒子の平均1次粒径は、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜80nmの範囲内であることがより好ましい。シリカ粒子の平均1次粒径が小さいと、平均2次粒径が小さい反応性異形シリカ粒子しか得られず、ハードコート層に十分な硬度を付与できない場合がある。また、シリカ粒子の平均1次粒径が大きいと反応性異形シリカ粒子の平均2次粒径が大きくなりやすく、平均2次粒径が大きいとハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く場合がある。
反応性異形シリカ粒子の平均2次粒径は、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。反応性異形シリカ粒子の平均2次粒径が上記範囲内であれば、ハードコート層に硬度を付与しやすく、かつハードコート層の透明性を維持しやすい。
ここで、シリカ粒子の平均1次粒径は、硬化性樹脂組成物中のシリカ粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。平均1次粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計またはNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。また、反応性異形シリカ粒子の平均2次粒径は、硬化性樹脂組成物においては、平均1次粒径と同様の方法により求めることができる。一方、シリカ粒子の平均2次粒径は、ハードコート層においては、ハードコート層の断面をSEM写真またはTEM写真を用いて観察し、観察された硬化した反応性異形シリカ粒子を100個選び、その平均値として求めることができる。
シリカ粒子は、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子の使用を排除するものではないが、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが硬度向上の点からより好ましい。
異形シリカ粒子は、上記シリカ粒子が、好ましくは3個〜20個、より好ましくは3個〜10個、無機の化学結合によって結合してなる。無機の化学結合によって結合したシリカ粒子数が少ないと、実質的に単分散粒子と変わらず、基体との密着性、耐擦傷性、鉛筆硬度に優れたハードコート層を得ることが困難である。また、無機の化学結合によって結合したシリカ粒子数が多いと、ハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く場合がある。
無機の化学結合としては、例えば、イオン結合、金属結合、配位結合、および共有結合が挙げられる。中でも、反応性異形シリカ粒子を極性溶媒中に添加しても、結合したシリカ粒子が分散しない結合、具体的には、金属結合、配位結合、および共有結合が好ましく、特に共有結合が好ましい。なお、極性溶媒としては、例えば、水、およびメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール等が挙げられる。
異形シリカ粒子の粒子状態としては、3個〜20個のシリカ粒子が無機の化学結合により結合し、凝集した状態の粒子(凝集粒子)、および3個〜20個のシリカ粒子が無機の化学結合により結合し、鎖状に結合した鎖状粒子が挙げられる。中でも、ハードコート層の硬度を高める観点から、異形シリカ粒子の粒子状態としては、鎖状粒子が好ましい。また、異形シリカ粒子の少なくとも一部に、上記鎖状粒子が含まれていることが好ましい。
ここで、異形シリカ粒子が鎖状粒子の場合、シリカ粒子の平均結合数は、ハードコート層の断面をSEM写真またはTEM写真を用いて観察し、観察された異形シリカ粒子を100個選び、各異形シリカ粒子中に含まれるシリカ粒子を数え、その平均値として求めることができる。
異形シリカ粒子の製造方法は、上記シリカ粒子が無機の結合により結合したものが得られれば特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、単分散のシリカ粒子分散液の濃度、あるいはpHを調節し、100℃以上の高温で水熱処理することによって得ることができる。このとき、必要に応じてバインダー成分を添加してシリカ粒子の結合を促進することもできる。また、使用されるシリカ粒子分散液をイオン交換樹脂に通液することで、イオンを除去してもよい。このようなイオン交換処理によってシリカ粒子の結合を促進することができる。水熱処理後、再度イオン交換処理を行ってもよい。
反応性異形シリカ粒子は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、この有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば、シリカ粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、または、シリカ粒子の表面に存在する水酸基にイソシアネート基を有する有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様の他、例えば、シリカ粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中にシリカ粒子を含有する態様等が含まれる。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する反応性異形シリカ粒子を調製する方法としては、反応性異形シリカ粒子に導入したい反応性官能基により、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。中でも、反応性異形シリカ粒子同士の凝集を抑制し、ハードコート層の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)の反応性異形シリカ粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和または不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステルおよび酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、および官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水および有機溶媒の少なくともいずれの中に異形シリカ粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ粒子。
(ii)被覆前の異形シリカ粒子に導入する反応性官能基、下記一般式(1)に示す基、およびシラノール基または加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する反応性異形シリカ粒子。
−Q−C(=Q)−Q− (1)
(式(1)中、QはNH、OまたはSを示し、QはOまたはSを示し、QはNHまたは2価以上の有機基を示す。)
当該(i)(ii)の反応性異形シリカ粒子については、特開2014−149520号公報の段落0048〜0079に記載された方法と同様にして調製することができる。
反応性異形シリカ粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
なお、製造されたハードコート層には、反応性異形シリカ粒子が有する反応性官能基が反応したものだけでなく、反応性異形シリカ粒子の反応性官能基が反応していないものを含んでいてもよい。
シリカ粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して40質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、45質量%〜60質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。含有量が多いと、充填率が上がり過ぎ、反応性異形シリカ粒子とモノマーとの密着性が悪化し、かえってハードコート層の硬度を低下させてしまうおそれがある。
ここで、固形分とは、硬化性樹脂組成物中に含まれる成分のうち溶剤以外のものを意味する。
(2)アクリル系ポリマー
本発明に用いられるアクリル系ポリマーは、透光性ハードコート積層体の加工性向上に寄与する成分である。
アクリル系ポリマーの質量平均分子量は、ハードコート層に柔軟性を与え、加工時にクラックを防止する点から、30,000〜110,000の範囲内であることが好ましく、中でも50,000〜110,000の範囲内であることが好ましく、特に60,000〜80,000の範囲内であることが好ましい。
ここで、質量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値をいう。
また、アクリル系ポリマーは、アクリル当量が200〜1,200の範囲内であることが好ましく、中でも200〜1,000の範囲内であることが好ましい。
ここで、アクリル当量とは、アクリル系ポリマーの質量平均分子量を1分子中の(メタ)アクリル基の数で除した値を示す。
アクリル系ポリマーとしては、上記質量平均分子量およびアクリル当量を満たすものであれば特に限定されないが、グリセロール(メタ)アクリレートの重合体、またはメタクリル酸グリシジルに(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物の重合体であることが好ましい。具体的には、下記一般式(2)または(3)で表されるアクリルモノマーの重合体が好ましく用いられる。
上記化学式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立してアクリロイル基、メタクリロイル基または水素原子であり、R〜Rのうち1つ以上はアクリロイル基またはメタクリロイル基である。すなわち、上記化学式(2)で表されるグリセロール(メタ)アクリレートは、単官能、2官能および3官能のいずれであってもよい。
また、上記式(3)において、Rはアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
このようなアクリル系ポリマーとしては、例えば、星光PMC(株)製のBL−2002が挙げられる。
また、アクリル系ポリマーとしては、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して用いてもよい。
アクリル系ポリマーの含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して3質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、5質量%〜10質量%であることがより好ましく、6質量%〜8質量%の範囲内であることがさらに好ましい。アクリル系ポリマーの含有量が上記範囲内であれば、ハードコート層の硬さを維持しつつ透光性ハードコート積層体の加工性を向上させることができる。
また、アクリル系ポリマーの含有量は、後述のモノマー100質量部に対して5質量部〜80質量部の範囲内で設定することができ、20質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
(3)多官能モノマー
本発明に用いられる多官能モノマーは、1分子中に紫外線硬化性基を2つ以上有する多官能モノマーである。当該多官能モノマーの反応性官能基が、反応性異形シリカ粒子の反応性官能基と架橋反応性を有する場合には、モノマーは反応性異形シリカ粒子と架橋し、網目構造が形成され、ハードコート層の硬度および耐擦傷性をさらに高める。紫外線硬化性基の具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合およびエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。多官能モノマーの紫外線硬化性基は、反応性異形シリカ粒子の紫外線硬化性基と同じであっても異なっていてもよいが、互いに架橋反応可能であることが好ましい。
多官能モノマーとしては、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、公知の紫外線硬化性樹脂等を要求性能等に応じて適宜採用すればよい。紫外線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、オキセタン系等が挙げられる。多官能モノマーとして、1種または2種以上の多官能モノマーを用いることができる。
多官能モノマーは、紫外線硬化性基を3つ以上有することが、架橋密度を高められる点から好ましい。紫外線硬化性基を3つ以上有する多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらの変性体が挙げられる。なお、変性体としては、エチレンオキサイド変性体、プロピレンオキサイド変性体、カプロラクトン変性体、およびイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
中でも、多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートが好ましく用いられ、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートが特に好ましく用いられる。
多官能モノマーの含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して25質量%〜44質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。また、含有量が多いと、ハードコート層の硬度が上がり過ぎ、また上記アクリル系ポリマーの含有量が相対的に少なくなり、透光性ハードコート積層体の加工性を低下させてしまうおそれがある。
(4)ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物
本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、トリアジン誘導体の炭素原子にヒドロキシフェニル誘導体が結合した化合物である。本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は紫外線吸収剤として機能する。本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、高い紫外線吸収能力を有し、且つ、耐久性、耐熱性、及び耐アルカリ黄変性を有する。本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は紫外線吸収能力が高いため、10μm前後の薄膜の用途においても、十分に紫外線をカットすることができ、高い耐光性を得ることができる。
本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、例えば、下記化学式(A)〜(E)で表される化合物及びその異性体が挙げられる。これらは好ましい化合物であるが、これらに限定されることはない。
本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、市販されているものを使用することができる。ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、例えば、商品名チヌビン400、チヌビン405、チヌビン479、チヌビン477及びチヌビン460等(以上、BASF製)として市販されている。
本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、中でも前記化学式(C)で表される化合物、市販品では前記商品名チヌビン479であることが、中でも紫外線吸収能力に優れ、耐久性等も高く、比較的少量の添加で耐光性を得ることができる点から好ましい。前記化学式(C)で表される化合物は、後述するヒンダードアミン系光安定剤、更に酸化防止剤との組み合わせにより、耐光性が向上する効果が高い点からも、好ましい。
本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、前記シリカ粒子100質量部に対して1.9質量部以上20.0質量部以下含有するように用いられる。このような含有量にすることにより、白濁、表面硬度の低下を抑制しながら、優れた耐光性を有するハードコート積層体を得ることができる。中でも、耐光性の点から、本発明に用いられるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、前記シリカ粒子100質量部に対して3.5質量部以上含有することが好ましい。一方、ヘイズ及び硬度の点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物は、前記シリカ粒子100質量部に対して10.0質量部以下含有することが好ましい。
(5)溶剤
溶剤は特に限定されないが、透光性ハードコート積層体の硬度を高める観点から非浸透性溶剤が好ましい。ここで、浸透とは、後述する透過性基体を溶解または膨潤させることをいう。
非浸透性溶剤の具体例としては、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノール等が挙げられる。
本発明においては、中でも白濁を抑制する点から、メチルイソブチルケトンを用いることが好ましい。
本発明に用いられるハードコート層用光硬化性樹脂組成物において、溶剤の含有量は、塗布方式によって適宜調整されれば良く、特に限定されるものではない。
(6)重合開始剤
本発明において、光硬化性樹脂組成物は重合開始剤を含有していることが好ましい。
重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかにより分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカルおよびカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられる。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
また、カチオン重合開始剤は、光および熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
ラジカル重合開始剤としてもカチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示される。具体例としては、特開2010−102123号公報および特開2010−120182号公報に記載のものを挙げることができる。
中でも、重合開始剤は、可視光領域における吸収率が比較的低いことが好ましい。可視光領域における吸収率が高いと、透光性ハードコート積層体の光透過性が低下するおそれがあるからである。
重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して2質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、2質量%〜2.5質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が少ないとモノマー等の重合反応が十分に進行せず、ハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがある。また、含有量が多いとモノマー等の重合反応が速く進行し、作業性が低下したり不均一な硬化物となったりするおそれがある。
(7)光安定剤
本発明において、光硬化性樹脂組成物は更に光安定剤を含有していることが、耐光性向上の点から好ましい。
本発明に用いられる光安定剤としては、例えば前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物とは異なる紫外線吸収剤、ラジカル補足剤、酸化防止剤等が挙げられ、このような光安定剤としては、ヒンダードアミン系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系等の有機系の光安定剤が挙げられる。
本発明に用いられる前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物に組み合わせるには、中でもヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物とヒンダードアミン系光安定剤とを組み合わせて用いると、耐光性がさらに向上する。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン―1,10−ジアミンとの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
中でも、耐光性向上の点から、アミノエーテル基を有するヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。
これらのヒンダードアミン系光安定剤としては、市販されているものを使用することができる。例えば、商品名チヌビン123、チヌビン144、チヌビン292、チヌビン4111FDL等(以上、BASF製)として市販されている。
本発明にヒンダードアミン系光安定剤が用いられる場合、前記シリカ粒子100質量部に対して0.5〜5質量部含有することが好ましく、更に、0.5〜2質量部含有することが好ましい。
また、更に酸化防止剤を組み合わせて用いることが、耐光性が向上する点から好ましい。酸化防止剤としては、中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤であることが、耐光性の点から好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤としても、市販されているものを使用することができる。
本発明にヒンダードフェノール系酸化防止剤が用いられる場合、前記シリカ粒子100質量部に対して0.5〜5質量部含有することが好ましく、更に、0.5〜2質量部含有することが好ましい。
(8)その他の成分
本発明に用いられる光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、更に、その他の成分を含有していても良い。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、青色色材、ウレタンアクリレートのようなその他の紫外線硬化性樹脂、帯電防止剤、防眩剤、各種増感剤等が挙げられる。これらのその他の成分は、例えば特開2014−102123号段落0103〜0116に記載と同様の物を好適に用いることができる。
硬化性樹脂組成物は、溶剤にシリカ粒子、アクリル系ポリマー、多官能モノマー、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、前記溶剤、及び、重合開始剤等のその他の成分を一般的な調製方法に従って混合し分散処理することにより調製することができる。混合分散には、ペイントシェーカーまたはビーズミル等を用いることができる。
2.透光性基体に塗膜を形成する工程
本工程は、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を、透光性基体の少なくとも一面側に塗布することにより、塗膜を形成する工程である。
(1)透光性基体
本発明に用いられる透光性基体は、光透過性を有するものであり、透光性ハードコート積層体の基体として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されない。通常、透光性ハードコート積層体に用いられる透光性基体には、無色または有色を問わないが、光透過性が要求される。
透光性基体の可視光領域における透過率としては、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、光透過性に優れた透光性ハードコート積層体を得ることができるからである。
ここで、本発明における透光性の尺度とする透過率は、JIS K−7361で規定する方法により測定した全光線透過率とする。
本発明に用いられる透光性基体の形状は、ロール状フィルム、シート、板等の形状に限られるものではなく、各種成形体であっても良い。後述する各種用途に合わせて、適宜選択することができる。
透光性基体の材料としては、例えばアクリレート系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。ポリカーボネートの具体例としては、ビスフェノールA等のビスフェノール類をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。シクロオレフィンポリマーの具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられる。
透光性基体の材料としては、用途により、適宜選択されれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、表示装置等の表面を保護する目的の場合には、透明性が高く、色味が良好な点から、アクリレート系ポリマー、及び、ポリカーボネートの少なくとも1種を用いることが好ましい。アクリレート系ポリマーのなかでも透明性が高い点から、ポリメタクリル酸メチルがより好ましい。
透光性基体は、単層であってもよく、複数層が積層されたものであってもよい。複数層の場合、基体は複数の樹脂層を有することになる。樹脂層の積層数は、2層以上であればよく、2層〜5層の範囲内であることが好ましい。
基体が3層以上の樹脂層を有する場合、最も外に位置する2つの層を最外樹脂層とし、2つの最外樹脂層の内側に位置する層を内側樹脂層とする。
基体が3層以上の樹脂層を有する場合、基体の両面にそれぞれ位置する2つの最外樹脂層の鉛筆硬度は、内側樹脂層の鉛筆硬度よりも高いことが好ましい。最外樹脂層の硬度を高くすることで、硬度の高い透光性ハードコート積層体を形成しやすくなり、内側樹脂層の硬度を低くすることで、熱膨張率等の違いにより生じる応力を緩和でき、すなわち内側樹脂層がクッション層となり、例えば耐落球試験性のような耐衝撃性が向上するからである。最外樹脂層と内側樹脂層との硬度の差は、鉛筆硬度の基準において、2段階以上離れていることが好ましく、3段階以上離れていることがより好ましい。最外樹脂層の鉛筆硬度は、例えばHB以上であることが好ましく、H以上5H以下であることがより好ましい。内側樹脂層の鉛筆硬度は、例えばH以下であることが好ましく、3B以上HB以下であることがより好ましい。
また、基体が複数層の樹脂層を有する場合、基体の鉛筆硬度は2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。透光性ハードコート積層体の硬度をさらに向上させることができるからである。なお、基体の鉛筆硬度は高いことが好ましいが、通常は4H以下である。
一方、基体が単層の場合でも、基体の鉛筆硬度は2H以上であることが好ましい。
基体の鉛筆硬度はJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)により測定することができる。
また、基体は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
基体の厚さは、特に限定されるものではない。
可撓性を有さないシート、板等の形状の基体の場合、0.3mm以上であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、十分な耐衝撃性を維持できるからである。一方、可撓性を有するロール状フィルム、シート、板等の形状の基体の場合、基体の厚さは、材料や構成等により異なるが、例えば10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。
透光性基体が成形体の場合、公知の適した成形方法により適宜成形体を得ることができる。
また、透光性基体には、例えば、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理等の表面処理が施されていてもよい。
(2)塗布方法
前記硬化性樹脂組成物の塗布方法は、透光性基体上に前記光硬化性樹脂組成物を均一に塗布することにより塗膜を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。透光性基体の形状に合わせて、適宜選択されれば良い。
また、透光性基体上への前記光硬化性樹脂組成物の塗工量としては、所望の膜厚のハードコート層が得られるように調節することが好ましい。
透光性基体の少なくとも一面側に塗布すればよく、成形体のように多面体に塗布する場合には、二面以上に連続的に塗布しても良い。
3.ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程
本工程は、前記のように形成された塗膜において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤を除去することにより、ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程である。
溶剤を除去する方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。常圧で乾燥させる場合、基体が劣化しない温度範囲で乾燥させることが好ましく、例えば30℃〜110℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。
なお、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物の塗膜から、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤が除去され、紫外線照射前の未硬化のものをハードコート層用光硬化性膜という。
4.ハードコート層を形成する工程
本工程は、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を50℃〜110℃で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成する工程である。
(1)紫外線照射開始前加熱
前記ハードコート層用光硬化性膜は、冷却されるにつれて、白濁していき、当該ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズが増加していく。本発明においては、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が一旦大きくなっても、当該ヘイズ増加量が紫外線照射開始時に小さくなるように、具体的にはヘイズ増加量が0.5以下となるように、紫外線照射開始前に加熱を行う。例えば、冷却により前記ヘイズ増加量が10程度となったハードコート層用光硬化性膜を、紫外線照射開始前に加熱することにより、前記ヘイズ増加量を0.5以下とする。
なお、本発明においてヘイズ値は、JIS K−7105に準拠した方法で測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
また、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量は、透光性基体のヘイズ値と、透光性基体上に前記ハードコート層用光硬化性膜が形成されている部分のヘイズ値とを比較して、当該ヘイズ値の差により求めることができる。
紫外線照射開始時の前記ヘイズ増加量は、紫外線照射直前の加熱された状態の、透光性基体上に前記ハードコート層用光硬化性膜が形成されている部分のヘイズ値と、当該加熱された状態の透光性基体のヘイズ値とを測定することにより求めることができる。
前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱する加熱温度としては、ヘイズ増加量が前記範囲以内となるような温度であればよいが、基体が劣化しない温度範囲であることが好ましく、50℃〜110℃の範囲内で加熱する。ここでの加熱温度は、ハードコート層用光硬化性膜の膜面温度を指標とすることができ、当該膜面温度は、非接触温度計(例えば、放射温度計など)によって測定することができる。
中でも、紫外線照射開始時のハードコート層用光硬化性膜の膜面温度が60℃〜80℃となるように加熱することが、基体に悪影響を与えることなく、ヘイズ増加量が低減され、透明性が高いハードコート層が得られる点から好ましい。
加熱手段としては、例えば、ホットプレート、オーブン、IRヒーター等を上げることができる。中でも、均一に加熱させる点から、オーブンが好ましい。
なお、前記溶剤を除去する工程後に、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が0.5超過となる程冷却されず、前記溶剤を除去後に加熱された状態を保持したまま紫外線照射工程を開始できるように設定されている場合には、当該紫外線照射開始前加熱は、前記溶剤を除去する工程と兼ねることもできる。
(2)紫外線照射時加熱
前記紫外線照射開始時の加熱温度を保持するように、当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射を行うことにより硬化する。
前記紫外線照射開始時の加熱温度を保持するとは、厳密に同じ温度でなくても良く、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が0.5以下である状態を保持できる加熱温度で保持されればよい。中でも、紫外線照射開始時の加熱温度と同じ温度で保持すしながら紫外線照射を行うことが好ましい。
加熱手段は、紫外線照射前加熱において用いられる加熱手段と同じであることが、連続的に工程を進行できる点から好ましい。
紫外線照射時の加熱温度としては、基体が劣化しない温度範囲であることが好ましく、50℃〜110℃の範囲内で設定される。
中でも、ハードコート層用光硬化性膜を60〜80℃で加熱しながら紫外線照射して硬化することが、基体に悪影響を与えることなく、ヘイズ増加量が低減され、透明性が高いハードコート層が得られる点から好ましい。
また、紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば50mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲内であることが好ましい。
(3)ハードコート層
以上のようにして形成されたハードコート層の硬度は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重および9.8N荷重)で評価できる。ハードコート層の4.9N荷重における鉛筆硬度は6H以上であることが好ましく、中でも7H以上、特に9H以上であることが好ましい。また、ハードコート層の9.8N荷重の鉛筆硬度は4H以上であることが好ましい。
また、本発明で形成されるハードコート層は光透過性を有するものである。ハードコート層の可視光領域における透過率としては、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、透明性に優れたハードコート層を形成することができるからである。
また、ハードコート層のヘイズ値としては、用途に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されないが、0.5以下、中でも0.4以下、特に0.3以下であることが好ましい。ヘイズ値が上記範囲であることにより、透明性に優れたハードコート層とすることができるからである。
また、本発明で形成されるハードコート層の耐光性としては、下記耐光性試験における試験前後の色味差Δb*が、1.0以下であることが好ましく、更に、0.6以下であることが好ましい。
(耐光性試験)
キセノンアークランプ式耐候性試験機(例えばスガ試験機株式会社 7.5kWスーパーキセノンウェザーメーターSX75)にサンプルを投入し、キセノンランプ、照度:180W/m(300−400nm)、インナーフィルター:石英、アウターフィルター:♯275(硼珪酸ガラス 275nm以下をカット)で、500時間投入した前後で、JIS Z 8701:1999に従い光学特性(色味b*)を評価し、耐光性試験前後の色味差Δb*を算出する。
ハードコート層は防汚性を有することが好ましい。防汚性は濡れ性で評価することができ、具体的には、ハードコート層表面の濡れ性は、硬化性樹脂組成物に用いられる成分に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されないが、ハードコート層表面での水滴の接触角が90°以上であることが好ましく、100°以上であることがより好ましく、110°以上であることがさらに好ましい。上記のような濡れ性であれば、ハードコート層が良好な防汚性を発揮できるからである。一方、上記水滴の接触角は、通常120°以下である。
なお、水滴の接触角は、協和界面科学(株)製の接触角測定器CA−Z型を用い、マイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後の水との接触角を測定することで求めることができる。
また、本発明の透光性ハードコート積層体がタッチパネル等に用いられる場合には、ハードコート層は易滑性を有することが好ましい。易滑性は動摩擦係数で評価することができ、動摩擦係数が小さいほど良好な易滑性を示す。ハードコート層の表面の動摩擦係数としては、例えば、0.300以下であり、0.200以下であることが好ましく、0.100以下であることがより好ましい。動摩擦係数が大きすぎると、ハードコート層の表面でのタッチ操作を良好に行うことが困難となる可能性があるからである。
なお、動摩擦係数は、JIS K7125に準拠した方法により測定することができ、例えば、新東科学(株)社製の動摩擦試験機HEIDON Type HHS2000で、直径10mmのステンレス剛球を用い、荷重200g、速度5mm/secにて動摩擦係数を測定することができる。
ハードコート層の厚みとしては、所望の硬度および加工性を発揮することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば5μm〜40μm程度にすることができ、中でも10μm〜30μmの範囲内、特に16μm〜26μmの範囲内であることが好ましい。
ハードコート層が薄いと十分な硬度を発揮できず、厚いとクラックや反りが発生するおそれがあるからである。
5.透光性ハードコート積層体
本発明の製造方法で得られる透光性ハードコート積層体は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
本発明の製造方法で得られる透光性ハードコート積層体の用途は特に限定されるものではなく、例えば、タッチパネル等の接触式画像表示装置用途、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の非接触式画像表示装置用途、色素増感型太陽電池等の太陽電池用途等が挙げられる。中でも、本発明の透光性ハードコート積層体は、タッチパネルの前面板として用いられることが好ましい。タッチパネルの前面板は、指が直接接触する部材であり、高い硬度が求められているからである。
また、本発明の製造方法で得られる透光性ハードコート積層体は、優れた耐光性と透明性、及び高硬度を兼備することから、各種透明部材として有用である。例えば、樹脂製自動車ウインドウ、建物などの樹脂窓、道路遮音壁、アーケードなどの大面積透明部材、ゴーグル、ヘルメット用シールド、インストゥルメントパネルなどの計器類などの透明プラスチック部品、ビニールハウスなどが挙げられる。
また、透光性ハードコート積層体のヘイズ値としては、用途に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されないが、0.8以下、中でも0.6以下、特に0.5以下であることが好ましい。ヘイズ値が上記範囲であることにより、透明性に優れた透光性ハードコート積層体とすることができるからである。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(準備)
透光性基体として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびポリカーボネート(PC)を積層した積層体を用意した。前記積層体は、全体の厚さ0.25mm、PMMAの厚さ70μm、ヘイズ値は0.2であった。
シリカ粒子として、平均1次粒径55nmのシリカ粒子3〜10個が無機の化学結合により結合した平均2次粒径100nm〜300nm、反応性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する反応性異形シリカ粒子を用い、固形分濃度40.0質量%、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶剤の分散液を用意した。
多官能モノマーとして、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を用意した。重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア184を用意した。
アクリル系ポリマーとして、質量平均分子量70,000、アクリル当量265のアクリル系ポリマーの星光PMC(株)のBL−2002を用いた。なお、星光PMC(株)製のBL−2002の組成は、アクリル樹脂30〜40質量部、メチルエチルケトン60〜70質量部、酢酸1質量部未満、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール1質量部未満である。
ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物として、チヌビン479(BASF製)を用意した。溶剤として、メチルイソブチルケトン(MIBK)を用意した。
(光硬化性樹脂組成物の調製)
下記組成で、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用光硬化性樹脂組成物の組成>
・反応性異形シリカ粒子分散液:65.0質量部(固形分濃度40質量%)
・多官能モノマー:19.0質量部
・アクリル系ポリマー:11.0質量部
・重合開始剤:1.0質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物:0.5質量部
・溶剤:4.0質量部
(ハードコート層の形成)
透光性基体として用いられる前記積層体(ヘイズ 0.2)のPMMA側に、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のオーブンで8分間乾燥し、塗膜中の溶剤を除去し、ハードコート層用光硬化性膜を形成した。室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、1.1であった。ハードコート層用光硬化性膜の膜面温度が80℃となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱したところ、ハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、0.2であった。このように、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0となっている状態で、ハードコート層用光硬化性膜を80℃で加熱しながら紫外線を照射した。中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように紫外線照射してハードコート層用光硬化性膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[実施例2〜4]
実施例1のハードコート層用光硬化性樹脂組成物の組成において、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物0.5質量部を、表1の添加量に変更した以外は、実施例1のハードコート層用光硬化性樹脂組成物の組成と同じにして、実施例1と同様にして、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[実施例5]
実施例1のハードコート層用光硬化性樹脂組成物の組成に加えて、ヒンダードアミン系光安定剤としてチヌビン123(BASF製)と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1035(BASF製)を用意した。
(光硬化性樹脂組成物の調製)
下記組成で、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用光硬化性樹脂組成物の組成>
・反応性異形シリカ粒子分散液:65.0質量部(固形分濃度40質量%)
・多官能モノマー:19.0質量部
・アクリル系ポリマー:11.0質量部
・重合開始剤:1.0質量部
・チヌビン479:0.5質量部
・チヌビン123:0.5質量部
・イルガノックス1035:0.5質量部
・溶剤:2.5質量部
[比較例1]
実施例1と同様にして、基体として用いられる前記積層体のPMMA側に、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のオーブンで8分間乾燥し、塗膜中の溶剤を除去し、ハードコート層用光硬化性膜を形成した。室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、1.1であった。常温(23℃)下で、加熱を行わず、中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように紫外線照射してハードコート層用光硬化性膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[比較例2]
ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、基体として用いられる前記積層体のPMMA側に、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のオーブンで8分間乾燥し、塗膜中の溶剤を除去し、ハードコート層用光硬化性膜を形成した。室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、0.2であった。常温(23℃)下で、加熱を行わず、中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように紫外線照射してハードコート層用光硬化性膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[比較例3]
反応性異形シリカ粒子分散液を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、基体として用いられる前記積層体のPMMA側に、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のオーブンで8分間乾燥し、塗膜中の溶剤を除去し、ハードコート層用光硬化性膜を形成した。室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、0.2であった。常温(23℃)下で、加熱を行わず、中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように紫外線照射してハードコート層用光硬化性膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[比較例4]
ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物(チヌビン479)をベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のチヌビン900(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)に変更した以外は実施例1と同様にして、透光性基体として用いられる前記積層体(ヘイズ 0.2)のPMMA側に、ハードコート層用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、温度80℃のオーブンで8分間乾燥し、塗膜中の溶剤を除去し、ハードコート層用光硬化性膜を形成した。室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、1.1であった。ハードコート層用光硬化性膜の膜面温度が80℃となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱したところ、ハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、0.2であった。このように、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0となっている状態で、ハードコート層用光硬化性膜を80℃で加熱しながら紫外線を照射した。中心波長365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmになるように紫外線照射してハードコート層用光硬化性膜を硬化させることにより、膜厚20μmのハードコート層を形成し、透光性ハードコート積層体を得た。
[評価]
(耐光性)
キセノンアークランプ式耐候性試験機(スガ試験機株式会社 7.5kWスーパーキセノンウェザーメーターSX75)にサンプルを投入して評価を実施した。条件はインナーフィルター:石英、アウターフィルター:♯275(硼珪酸ガラス 275nm以下をカット)、キセノンランプ、照度:180W/m (300−400nm)で500時間投入した前後で光学特性(色味b*)を評価した。
色味b*は、JIS Z 8701:1999に従い、日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計V−7100によって測定した。
耐光性試験前後の色味差Δb*を表1に示す。
(ヘイズ)
各ヘイズ値は、JIS K−7105に準拠した方法で、村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計HM150により測定した。
塗膜から溶剤除去後冷却時のハードコート層用光硬化性膜のヘイズは、透光性基体上に前記ハードコート層用光硬化性膜が形成されている部分のヘイズ値と、透光性基体のヘイズ値とを各々測定して、当該ヘイズ値の差により求めた。
紫外線照射開始時の前記ヘイズ増加量は、紫外線照射直前の加熱された状態の、透光性基体上に前記ハードコート層用光硬化性膜が形成されている部分のヘイズ値と、当該加熱された状態の透光性基体のヘイズ値とを各々測定して、当該ヘイズ値の差により求めた。なお、紫外線照射直前に加熱しなかった比較例1では、紫外線照射直前の透光性基体上に前記ハードコート層用光硬化性膜が形成されている部分のヘイズ値と透光性基体のヘイズ値との差により求めた。
紫外線照射開始時の光硬化性膜のヘイズ増加量、透光性ハードコート積層体のヘイズ値の結果を表1に示す。
(透過率)
全光線透過率はJIS K−7361に準拠した方法で、村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計HM150により測定した。
(鉛筆硬度)
実施例および比較例の透光性ハードコート積層体の測定サンプルを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(9.8N荷重)をハードコート層表面に行い、傷がつかない最も高い鉛筆硬度を評価した。結果を表1に示す。
(密着性)
密着性評価試験として、下記のような碁盤目テープ試験を行った。
まず、ハードコート層表面にカッターナイフとカッターガイドを用いて、素地に達する11本の切り傷をつけ、100個の碁盤目を作る。切り傷の間隔は1mmを用いる。
碁盤目部分にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製)を強く圧着させ、テープの端を45°の角度で引き剥がし、碁盤目の状態を観察し、碁盤目が剥れていないものを良好とする。
(外観)
サンプルを目視で観察して判定した。
(結果のまとめ)
特定量のヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層用光硬化性膜を形成し、前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成した、実施例1〜5においては、優れた耐光性と透明性、及び高硬度を兼備する透光性ハードコート積層体を製造することができた。
実施例1のハードコート層用光硬化性樹脂組成物に更にヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを添加した実施例5においては、実施例1に比べて更に優れた耐光性を有する透光性ハードコート積層体を製造することができた。
一方、実施例と同じハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層用光硬化性膜を形成し、室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズが増加した後、加熱を行わずに紫外線照射して硬化することによりハードコート層を形成した比較例1では、ヘイズが上昇したまま、透明性が低い透光性ハードコート積層体となってしまった。また比較例1では、鉛筆硬度がHと低くなってしまった。シリカが局在化しシリカ間の樹脂が減り、固定不足で傷が付き易くなった為、表面硬度が低くなったと推測される。
また、実施例1と比べてヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含有しないハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層用光硬化性膜を形成した比較例2は、室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズが増加しなかった。しかしながら、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を用いなかった比較例2では耐光性が低い透光性ハードコート積層体となってしまった。
また、実施例1と比べてシリカ粒子を含有しないハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層用光硬化性膜を形成した比較例3は、室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズが増加しなかった。しかしながら、シリカ粒子を含有しない比較例3では硬度が低い透光性ハードコート積層体となってしまった。
また、実施例1と比べてヒドロキシフェニルトリアジン系化合物とは異なるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物を用いてハードコート層用光硬化性膜を形成した比較例4は、室温付近まで冷却されたハードコート層用光硬化性膜のヘイズが増加し、実施例1と同様に前記ハードコート層用光硬化性膜を加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成した。しかしながら、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いた比較例4では硬度が低い透光性ハードコート積層体となってしまった。ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物のチヌビン479では吸収スペクトルが330nm領域に強い吸収を持っており、ハードコート層の硬化を阻害しない為、高い表面硬度が得られたのに対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のチヌビン900は、吸収スペクトルが360nm領域に強い吸収を持ち、ハードコート層の硬化を阻害し、表面硬度が得られなかったと考えられる。
1 透光性基体
2,2’ 塗膜
3,3’ ハードコート層用光硬化性膜
4 溶剤を除去
5 加熱
6 紫外線照射
10 ハードコート層
100 透光性ハードコート積層体

Claims (1)

  1. シリカ粒子、アクリル系ポリマー、1分子中に紫外線硬化性基を2つ以上有する多官能モノマー、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、及び、溶剤を含有し、前記ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が前記シリカ粒子100質量部に対して1.9〜20.0質量部含有するハードコート層用光硬化性樹脂組成物を準備する工程、
    前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物を、透光性基体の少なくとも一面側に塗布することにより、塗膜を形成する工程、
    前記塗膜において、前記ハードコート層用光硬化性樹脂組成物中の溶剤を除去することにより、ハードコート層用光硬化性膜を形成する工程、及び、
    前記ハードコート層用光硬化性膜によるヘイズ増加量が紫外線照射開始時に0.5以下となるように前記ハードコート層用光硬化性膜を50℃〜110℃で加熱後、当該加熱温度を保持するように当該ハードコート層用光硬化性膜を加熱しながら紫外線照射して硬化することにより、ハードコート層を形成する工程を有する、透光性ハードコート積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018171171A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 ネット株式会社 遊技機
WO2022264761A1 (ja) * 2021-06-18 2022-12-22 昭和電工株式会社 ラジカル重合性樹脂組成物

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