JP2017061738A - 溶射材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体デバイス製造に用いるハロゲン系プラズマでも耐プラズマエロージョン性に優れる溶射材料を提供。【解決手段】イットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物(YOF等)の少なくとも一方を含む粉末であって、前記粉末は均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されている溶射材料。比表面積が0.1m2/g未満で、細孔径が3μm以下の累積細孔容積が0.02cm3/g以下で、平均粒子径は、60μm以下が好ましい溶射材料。前記粉末全体に占めるイットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の合計の割合が、77質量%以上であり、平均円形度は、0.5以上1未満であるのが好ましい、溶射材料。【選択図】なし

Description

本発明は、プラズマに対する耐食性に優れた溶射皮膜を形成し得る溶射材料に関する。
溶射皮膜は、溶射材料を基材に溶射することで形成される。溶射皮膜は、溶射材料の特性に応じて種々の用途で使用されている。例えば、酸化イットリウム(イットリア)は、プラズマに晒された場合に高い耐プラズマエロージョン性(エッチング耐性、耐腐食性)を示す。そのため、酸化イットリウム溶射材料により形成される酸化イットリウム溶射皮膜は、プラズマにより加工を行う半導体デバイス製造装置内の部材の保護皮膜等として使用されている。
特開2002−302754号公報 特開2014−109066号公報
ところで、半導体デバイスの集積度の向上に伴い、半導体デバイス製造装置中に発生するパーティクル(微細な異物)による汚染に対しては、より精密な管理が要求されてきている。そのため、例えば、保護皮膜として使用されていた酸化イットリウム溶射皮膜は、従来は問題にならなったより微細なパーティクルの発生源となり得るという問題があった。したがって、耐プラズマエロージョン性に優れた溶射皮膜を形成するために、希土類元素を含有する化合物からなる溶射材料が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかしながら、特許文献1および2に開示されているような溶射材料であっても、耐プラズマエロージョン性について満足し得る溶射皮膜を形成することは困難であった。
そこで本発明の目的は、耐プラズマエロージョン性により一層優れた溶射皮膜を形成し得る溶射材料を提供することにある。
上記課題を解決するものとして、ここに開示される技術は、イットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の少なくとも一方を含む粉末である溶射材料を提供する。上記粉末は、均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されていることを特徴としている。このような構成によると、例えば、半導体製造装置に使用されるハロゲン系プラズマに対する耐プラズマエロージョン性に優れたイットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物を含む溶射皮膜を形成することができる。また、この溶射材料が溶射によって高温に晒された際に、溶射材料の組成が過剰に変化するのを抑制することができる。これにより、耐プラズマエロージョン性により一層優れた溶射皮膜を形成することができる。
なお、ここに開示される技術において、ハロゲン系プラズマとは、典型的には、ハロゲン系ガス(ハロゲン化合物ガス)を含むプラズマ発生ガスを用いて発生されるプラズマである。例えば、具体的には、半導体基板の製造に際しドライエッチング工程などで用いられる、SF、CF、CHF、ClF、HF等のフッ素系ガスや、Cl、BCl、HCl等の塩素系ガス、HBr等の臭素系ガスの1種を単独で、または2種以上を混合して用いて発生されるプラズマが典型的なものとして例示される。これらのガスは、アルゴン(Ar)等の不活性ガスとの混合ガスであってもよい。
ここに開示される溶射材料の好ましい一態様において、BET法に基づき測定される比表面積は、0.1m/g未満であることを特徴としている。このように溶射材料の比表面積が小さいことで、溶射による溶射材料の変質をより確実に抑制することができる。
ここに開示される溶射材料の好ましい一態様において、細孔径が3μm以下の累積細孔容積は、0.02cm/g以下であることを特徴としている。このことによっても、溶射中の溶射材料の変質をより確実に抑制することができる。また、気孔の少ない緻密な溶射皮膜を形成することができる。
ここに開示される溶射材料の好ましい一態様において、平均粒子径は、60μm以下であることを特徴としている。これにより、溶射材料のハンドリング性を良好に保つことができる。また、比較的大きな粒径の溶射材料とすることで、溶射中の溶射材料の変質を好適に抑制することができる。
ここに開示される溶射材料の好ましい一態様において、上記粉末全体に占めるイットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の合計の割合が、95質量%以上であることを特徴としている。これにより、耐プラズマエロージョン性により一層優れた溶射皮膜を形成することができる。
ここに開示される溶射材料の好ましい一態様において、平均円形度は、0.5以上1未満であることを特徴としている。このことによって、溶射装置への供給性に優れた溶射材料を実現することができる。
一実施形態に係る溶射材料の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 図1の溶射材料の断面SEM像である。 他の実施形態に係る溶射材料のSEM像である。 図3の溶射材料の断面SEM像である。 比較の溶射材料のSEM像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と当該分野における出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され、実施することができる。
ここに開示される溶射材料は、イットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の少なくとも一方を含む粉末である。イットリウムのフッ化物とイットリウムのオキシフッ化物とは、プラズマに対する耐食性(耐プラズマエロージョン性)に優れる。とりわけ、ハロゲン系プラズマに対する耐プラズマエロージョン性に優れている。このようなイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムのオキシフッ化物を含むことで、ここに開示される溶射材料は、耐プラズマエロージョン性に優れた溶射皮膜を形成することができる。
ここで、溶射材料に占めるイットリウムのフッ化物およびイットリウムのオキシフッ化物の合計の割合が高い方が、溶射皮膜を形成した際にパーティクルの発生源となり得る成分の生成量が抑制されるために好ましい。例えば、イットリウムのフッ化物およびイットリウムのオキシフッ化物は、合計で95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、98質量%以上が特に好ましい。例えば、実質的に100質量%であることが特に望ましい態様である。
ここで、イットリウムのフッ化物は、溶射によって酸化されて、溶射皮膜中に酸化イットリウムを形成し得る。また、イットリウムのオキシフッ化物も、溶射によって酸化されて、溶射皮膜中に酸化イットリウムを形成し得る。本発明者らの鋭意研究によると、溶射皮膜中に存在する酸化イットリウムは、ハロゲン系プラズマに晒される環境において、従来は問題とならなかったより微小なパーティクルの発生源となり得る。したがって、溶射材料中のイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムのオキシフッ化物は、溶射中に酸化イットリウムへと変質されない形態であることがより好ましい。かかる観点から、ここに開示される溶射材料は、溶射による不可避的な酸化環境において、溶射材料が酸化され難い形態を備えるようにしている。
すなわち、ここに開示される上記のイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムのオキシフッ化物の粉末は、主として、均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されていることで特徴づけられる。つまり、この溶射材料は粉末の形態である。そしてこの粉末を主として構成する粒子は、それぞれ単一で独立して存在することができる。図1は、一実施形態に係る溶射材料を構成する粒子(以下、単に「溶射粒子」ともいう。)の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000N)像である。図1に示すように、溶射材料を構成する粒子は、本質的には各々の粒子が独立して存在している。そして個々の粒子は、全体に亘って滑らかな組織を有しており、概ね一つの均質なマトリックスから構成されている。例えば、粒子の表面は、ほぼ滑らかであり、凹凸が存在する場合もごく一部に確認されるのみである。なお、図1の粒子は、外形がほぼ球形の粒子である。しかしながら、個々の粒子が概ね一つの均質なマトリックスから構成される独立した粒子である限り、溶射粒子の外形は特に制限されない。例えば、図3に示すように、溶射粒子の外形は、非球形であってよい。例えば、角部を有する角型ないしは不定形の粒子であってよい。
なお、本明細書において「マトリックス」とは、母相、基質とも呼べるものであって、均質なマトリックスとは、異質な相、組織等が本質的に含まれていない相、組織等であることを意味している。
なお、ここに開示される溶射材料において、少数の粒子が一体化して複合粒子を形成していることは許容される。ここでいう少数とは、例えば、10個未満程度、典型的には5個以下程度、例えば3個以下である。このような複合粒子の割合は、粉末を構成する全粒子の10質量%以下とすることができる。また、溶射材料を主として構成する溶射粒子の表面に、極めて微小な溶射粒子成分が付着していることは許容される。このような微小な溶射粒子成分は、溶射材料を製造したり、保存したりする際に、不可避的に発生する成分であり、例えば、付着している溶射粒子に対して1/50以下程度の体積のものをいう。この溶射粒子成分の割合は、例えば、全粒子の1質量%以下であり得る。
溶射粒子をこのような形態とすることで、ここに開示される溶射材料は、溶射に供されたときに酸化され難いという特徴を有する。その結果、溶射皮膜を形成したとき、この溶射粒子は被膜中により多くの割合でイットリウムのフッ化物やイットリウムのオキシフッ化物といった組成を維持して存在することができる。これにより、溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を大きく高めることができる。
これに対して、図5は、比較のために、ここに開示される溶射粒子とは異なる溶射粒子を示したSEM像である。この図5の粒子は、複数(例えば10個以上、図5では100個以上)の微小粒子が溶融一体化されて、1つの溶射粒子(複合体粒子)を構成している。この複合体粒子において、各微小粒子は溶融時に十分一体化されているため、その境界を確認することはできない。つまり、複合体粒子は単一で独立して存在していると言える。しかしながら、この複合体粒子は、該複合体粒子を構成する多数の微小粒子の形態(存在)が識別できるため、組織にムラがあり、均質なマトリックスから構成されているとは言えない。この点で、図5の複合体粒子は、ここに開示される溶射粒子とは明確に区別される。
また、具体的には図示しないものの、例えば、いわゆる顆粒と呼ばれる、複数の粒子を一体化させてより大きな粒状体に成形(顆粒化)したものが知られている。この顆粒状の溶射粒子は、顆粒を構成する個々の粒子が乖離して崩れやすく、単一で独立して存在していると言えない場合がある。また、顆粒を構成する個々の粒子が互いに強固に結合されていても、上記の複合体粒子と同様に、顆粒を構成する多数の微小粒子の形態(存在)が識別できるため、組織にムラがあり、均質なマトリックスから構成されているとは言えない。この点で、顆粒は、ここに開示される溶射粒子とは明確に区別される。ここに開示される溶射材料における溶射粒子は、非顆粒であり得る。
ここに開示される溶射材料は、上記の通り、イットリウムのフッ化物およびイットリウムのオキシフッ化物の少なくとも一方を含む。溶射材料は、イットリウムのフッ化物のみを含んでも良いし、イットリウムのオキシフッ化物のみを含んでも良い。また、イットリウムのフッ化物とイットリウムオキシフッ化物とを、任意の割合で含む混合物であっても良い。ここで、イットリウム(Y)のフッ化物とは、典型的にはフッ化イットリウム(YF)である。また、イットリウムオキシフッ化物とは、構成元素として少なくとも、イットリウム(Y)と、酸素(O)と、フッ素(F)とを含む化合物であり得る。イットリウムオキシフッ化物は、本願発明の目的を損ねない限り、イットリウム(Y)、酸素(O)およびフッ素(F)以外の他の任意の元素を含んでいても良い。このイットリウムオキシフッ化物を構成するイットリウム(Y)と酸素(O)とフッ素(F)との割合は特に制限されない。
例えば、イットリウムオキシフッ化物において、酸素に対するフッ素のモル比(F/O)は特に制限されない。好適な一例として、モル比(F/O)は、例えば1であっても良く、1より大きいことが好ましい。具体的には、例えば、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.4以上が特に好ましい。モル比(F/O)の上限については特に制限されず、例えば、3以下とすることができる。酸素に対するフッ素のモル比(F/O)のより好適な一例として、例えば、1.3以上1.53以下(例えば1.4以上1.52以下)、1.55以上1.68以下(例えば1.58以上1.65以下)、1.7以上1.8以下(例えば1.72以上1.78以下)とすることで、溶射時の熱安定性が高められるために好ましい。このように、溶射粒子の酸素に対するフッ素の割合が高くなることで、この溶射材料の溶射物である溶射皮膜が、ハロゲン系プラズマに対する優れた耐エロージョン性を備え得るために好ましい。
また、酸素に対するイットリウムのモル比(Y/O)は特に制限されない。好適な一例として、モル比(Y/O)は1であってもよく、1より大きいことが好ましい。具体的には、例えば、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.15以上が特に好ましい。モル比(Y/O)の上限については特に制限されず、例えば、1.5以下とすることができる。酸素に対するイットリウムのモル比(Y/O)のより好適な一例として、例えば、1.1以上1.18以下(例えば1.12以上1.17以下)、1.18以上1.22以下(例えば1.19以上1.21以下)、1.22以上1.3以下(例えば1.23以上1.27以下)とすることで、溶射時の熱安定性が高められるために好ましい。このように、イットリウムに対する酸素元素の割合が小さいことで、この溶射材料を溶射したときに、溶射粒子の酸化分解を抑制できるために好ましい。例えば、この溶射材料の溶射物である溶射皮膜中に、イットリウム成分の酸化による酸化イットリウム(例えばY)が形成されるのを抑制できるために好ましい。
より具体的には、イットリウムオキシフッ化物は、イットリウムと酸素とフッ素との比が1:1:1の化学組成がYOFとして表される化合物であってよい。また、熱力学的に比較的安定で、一般式;Y1−n1+2n(式中、nは、例えば、0.12≦n≦0.22を満たす。)で表されるY,Y,Y,Y171423等であってよい。とくに、モル比(Y/O)および(F/O)が上記のより好適な範囲にあるY,Y,Y等は、ハロゲンガスプラズマに対する耐プラズマエロージョン性に優れ、より緻密で高硬度な溶射皮膜を形成し得るために好ましい。このようなイットリウムオキシフッ化物は、いずれか1種の化合物の単一相から構成されていても良いし、いずれか2種以上の化合物が組み合わされた混相,固溶体,化合物のいずれか又はこれらの混合等により構成されていてもよい。
また、ここに開示される溶射材料は、イットリウムオキシフッ化物からなる溶射粒子の他に、他の化合物からなる溶射粒子が含まれていても良い。しかしながら、例えば、耐プラズマエロージョン性に優れた溶射皮膜を形成するために用いる溶射材料としては、溶射粒子は、イットリウムオキシフッ化物をより多く含むことが好ましい。このようなイットリウムオキシフッ化物は、溶射粒子中に77質量%以上という高い割合で含まれていることが好ましい。イットリウムオキシフッ化物は、従来より、耐プラズマエロージョン性が高い材料として知られている酸化イットリウム(Y)よりも、さらに耐プラズマエロージョン性に優れる。このようなイットリウムオキシフッ化物は、少量含まれるだけでも耐プラズマエロージョン性の向上に大きく寄与するが、上記のように多量に含まれることで、極めて良好なプラズマ耐性を示し得るために好ましい。イットリウムオキシフッ化物の割合は、77質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上(80質量%超過)であるのがより好ましく、85質量%以上(85質量%超過)であるのが更に好ましく、90質量%以上(90質量%超過)であるのがより一層好ましく、95質量%以上(95質量%超過)であるのがより一層好適である。例えば、実質的に、100質量%(不可避的不純物を除いて全て)であるのが特に好適である。なお、溶射粒子は、このようにイットリウムオキシフッ化物を高い割合で含むことにより、よりパーティクル(微小片,異物)源となり易い他の物質を含むことが許容される。
また、溶射粒子にイットリウムオキシフッ化物が含まれる場合、溶射粒子の全てがイットリウムオキシフッ化物であることが好適な一態様であり得る。しかしながら、イットリウムオキシフッ化物のなかでも、比較的酸化されやすい組成物(例えばY)については、例えば、イットリウムのフッ化物が同時に含まれることが好ましい。イットリウムのフッ化物の割合は特に制限されないものの、例えば、イットリウムのフッ化物とイットリウムオキシフッ化物との合計に対して、23質量%以下の割合で含まれることが好ましい。溶射粒子に含まれるイットリウムのフッ化物は、溶射によって酸化されて、溶射皮膜中にイットリウムの酸化物を形成し得る。例えば、上記のように、イットリウムのフッ化物とイットリウムオキシフッ化物とは、溶射によって酸化されて、溶射皮膜中に酸化イットリウムを形成し得る。しかしながら、イットリウムオキシフッ化物と少量のイットリウムのフッ化物とが共存するときに、イットリウムオキシフッ化物の酸化がイットリウムのフッ化物により抑制され得るために好適である。ただし、過剰なイットリウムのフッ化物の含有は、上記のとおりパーティクル源の増大につながることから、23質量%を超えて含まれると耐プラズマエロージョン性が低下されるために好ましくない。かかる観点から、イットリウムのフッ化物の含有割合は、20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下であるのがより好ましく、さらには10質量%以下、例えば5質量%以下であるのが好ましい。ここに開示される溶射材料の好ましい態様では、イットリウムのフッ化物についても実質的に含まないことであり得る。
なお、酸化イットリウム(Y)からなる溶射粒子は、白色の溶射皮膜を形成し、従来より環境遮断性や一般的なプラズマに対する耐エロージョン特性を有する溶射皮膜を形成するために好ましい材料であり得る。しかしながら、ここに開示される溶射材料は、溶射物である溶射皮膜のプラズマ耐性をより高く発現させ得るために、イットリウムの酸化物(酸化イットリウム:Y)成分を実質的に含まないよう構成とすることもできる。例えば、この溶射材料においては、酸化イットリウムからなる溶射粒子が含まれないことが好ましい。溶射粒子に含まれる酸化イットリウムは、溶射によって溶射皮膜中にそのまま酸化イットリウムとして存在し得る。この酸化イットリウムは、上述のように、イットリウムオキシフッ化物やイットリウムのフッ化物などに比べてプラズマ耐性が著しく低い。そのため、この酸化イットリウムが含まれた部分はプラズマ環境に晒されたときに脆い変質層を生じやすく、変質層はごく微細な粒子となって脱離しやすい。そして、この微細な粒子がパーティクルとして半導体基盤上に堆積する虞がある。したがって、ここに開示される溶射材料においては、パーティクル源となり得る酸化イットリウムの含有を排除することが好ましい。
なお、本明細書において「実質的に含まない」とは、当該成分(ここでは酸化イットリウム)の含有割合が5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下、例えば1質量%以下であること意味する。かかる構成は、例えば、この溶射粒子をX線回折分析したときに、当該成分に基づく回折ピークが検出されないことにより把握することもできる。
なお、溶射粒子に複数(例えばa;自然数としたとき、a≧2)の組成のイットリウムオキシフッ化物および/またはイットリウムのフッ化物が含まれる場合は、各組成の化合物の含有割合を以下の方法で測定し算出することができる。まず、X線回折分析により、溶射粒子を構成する化合物の組成を特定する。このとき、イットリウムオキシフッ化物は、その価数(元素比)まで同定する。
そして、例えば、溶射材料中にイットリウムオキシフッ化物が1種類存在し、かつ残りがフッ化イットリウムの場合は、溶射材料の酸素含有量を例えば酸素・窒素・水素分析装置(例えば、LECO社製,ONH836)によって測定し、得られた酸素濃度からイットリウムオキシフッ化物の含有量を定量することができる。
イットリウムオキシフッ化物が2種類以上存在したり、又は酸化イットリウム等の酸素を含む化合物が混在したりする場合は、例えば各化合物の割合を検量線法により定量することができる。具体的には、それぞれの化合物の含有割合を変化させたサンプルを数種類準備し、それぞれのサンプルについてX線回折分析を行い、メインピーク強度と各化合物の含有量との関係を示す検量線を作成する。そしてこの検量線を元に、測定したい溶射材料のXRDのイットリウムオキシフッ化物のメインピーク強度から含有量を定量する。
また、上記のイットリウムオキシフッ化物におけるモル比(F/O)およびモル比(Y/O)については、組成物ごとにモル比(Fa/Oa)およびモル比(Ya/Oa)を算出するとともに、そのモル比(Fa/Oa)およびモル比(Ya/Oa)に当該組成物の存在比をそれぞれ乗じて合計(加重和をとる)することで、溶射材料におけるイットリウムオキシフッ化物全体としてのモル比(F/O)およびモル比(Y/O)を得ることができる。なお、上記の溶射粒子を構成する材料は、機能性を高める目的等で、上記に例示した以外の元素が導入されていてもよい。
上記の溶射材料において、溶射粒子の平均粒子径は特に制限されない。例えば、比較的緻密な溶射皮膜を形成することができ、かつ、溶射の際の酸化を好適に抑制し得るとの観点から、平均粒子径は60μm程度以下であることが好ましく、より好ましくは55μm以下である。例えば、溶射粒子がイットリウムのフッ化物からなる場合は、平均粒子径は15μm以上が好ましく、18μm以上がより好ましい。また、より緻密な溶射皮膜を形成し得るとの観点から、平均粒子径は25μm以下が好ましく、23μm以下がより好ましい。一方で、イットリウムオキシフッ化物は、溶射によって特に酸化され易いことから、比較的粗大な粒径のものを用いることが好ましい。かかる観点から、イットリウムオキシフッ化物からなる溶射粒子の平均粒子径は、35μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましく、40μm以上が特に好ましい。しかしながら、大きすぎる溶射粒子は溶射皮膜に気泡を形成し得る。したがって、イットリウムオキシフッ化物からなる溶射粒子の平均粒子径は、55μm以下が好ましく、53μm以下がより好ましく、50μm以下が特に好ましい。
なお、本明細書において、溶射材料に係る「平均粒子径」とは、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(積算50%粒径;D50)である。また、平均粒子径の測定と同時に、当該溶射材料の体積基準の粒度分布における積算3%粒径(D)と積算97%粒径(D97)とを算出することができる。
また、溶射材料の比表面積は、溶射の際の酸化を好適に抑制するとの観点から、0.1m/g未満であることが好ましい。比表面積は、0.098m/g以下であることが好ましく、0.095m/g以下であることがより好ましく、0.093m/g以下であることが特に好ましい。
溶射材料の比表面積は、BET法に基づき算出された値を採用することができる。具体的には、溶射材料について、ガス吸着法により得られる吸着等温線からBET法に基づいて単分子層のガス吸着量を求め、当該吸着ガスの分子大きさを基に比表面を算出するものである。かかる溶射材料の比表面積は、JIS Z 8830:2013(ISO9277:2010)「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」の規定に準じて測定することができる。例えば、溶射粒子の比表面積の測定は、マイクロメリティックス社製の表面積測定装置、商品名「FlowSorb II 2300」を用いて行うことができる。
また、同様に、溶射の際の酸化を好適に抑制するとの観点から、溶射材料を構成する溶射粒子の表面には凹凸がなく、滑らかであることが好ましい。例えば、溶射材料について、細孔径が3μm以下の累積細孔容積は、0.02cm/g以下であることが好ましい。この累積細孔容積は、0.01cm/g以下がより好ましく、0.009cm/g以下が特に好ましく、0.005cm/g以下がさらに好ましい。また、このように、溶射材料の細孔径3μm以下の累積細孔容積が小さいことで、緻密な溶射皮膜が形成できるために好ましい。
溶射材料の累積細孔容積は、水銀圧入法に基づき算出することができる。水銀圧入法は、水銀の表面張力が大きいことを利用し、粉末の細孔に水銀を浸入させるために加えた圧力と圧入された水銀量との関係から、メソ領域からマクロ領域にかけての細孔分布を求める方法である。かかる水銀圧入法に基づく細孔分布測定は、例えば、JIS R1655:2003(ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法)に基づいて実施することができる。例えば、溶射材料の累積細孔容積は、水銀圧入式ポロシメータ((株)島津製作所製、ポアサイザー9320)を用いて測定することができる。
また、必ずしもこれに限定されるものではないが、溶射材料中に含まれる溶射粒子は、流動性を高めるとの観点から、平面視における平均円形度が0.5以上であることが好ましい。平均円形度は、0.55以上がより好ましく、0.6以上が特に好ましい。平均円形度の上限に特に制限はないが、ここに開示される溶射材料は、均一なマトリクスから構成されていることから、平均円形度は、典型的には1未満(好ましくは0.98以下、例えば0.95以下)の値となり得る。
なお、本明細書において、平均円形度は画像解析法により得られた5000個以上の溶射材料を構成する粒子の平面視における円形度の算術平均値を採用することができる。円形度は、以下のようにして測定することができる。すなわち、具体的には、まず、溶射材料を測定用分散媒に分散させて測定用試料を調製する。測定用分散媒としては、溶射材料中の溶射粒子の凝集を抑制し、溶射粒子を分散状態に調整し得るものであれば特に制限されない。本実施形態においては、測定用分散媒として、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを0.1質量%の濃度で添加したイオン交換水を用いた。また、測定用試料における溶射材料の割合は30質量%以下(本実施形態では30質量%)とした。このように用意した測定用試料をガラスセル等の測定容器に流し入れることで、溶射粒子の重なりの抑制された扁平な試料流を形成する。この試料流にストロボ光を照射して撮像することにより、測定用試料中に懸濁して流動している溶射粒子の静止画像を取得する。得られた溶射粒子の静止画像を画像解析することで円形度を算出する。円形度は、次式:(円形度)=(溶射粒子画像と同じ面積をもつ円の周囲長)/(溶射粒子の周囲長);として定義される。つまり、溶射粒子1個当たりの投影面積と、周囲長とから、円形度を算出する。この円形度を、5000個以上の溶射粒子について求め、その算術平均値を、平均円形度とする。本明細書において、上記の平均円形度は、フロー式粒子画像分析装置(シスメックス(株)製、FPIA−2100)を用いて算出した値を採用している。
また、ここに開示される溶射材料は、均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されている。したがって、かかる溶射粒子の破壊強度は、例えば、顆粒状の溶射粒子や、不均質なマトリックスからなる溶射粒子よりも高いものとして実現され得る。例えば、溶射材料の破壊強度は、10MPa以上であることが好ましく、50MPa以上であることがより好ましく、80MPa以上であることが特に好ましい。このように破壊強度が高いことで、溶射材料が溶射装置に供給される際などに粒子の崩壊が生じ難く、流動性が高められるために好ましい。
本明細書において、破壊強度Ndは、微少圧縮試験機(島津製作所製、MCTE−500)にて測定した圧縮荷重Pと、溶射粒子の粒径dとから、次式:Nd=2.8×P/(πd);に基づき算出される値である。溶射粒子の粒径dとしては、平均粒子径を用いることができる。
図2および図4は、それぞれ図1および図3に示した溶射粒子の断面のSEM像である。ここに開示される溶射材料は、均質なマトリックスからなる独立した溶射粒子により構成されている。この溶射粒子は、当然のごとく、粒子の表面だけではなくその内部も緻密かつ均質なマトリックスにより構成されている。つまり、表面の形態が滑らかであるだけでなく、これらの図2および図4に示されるように、内部の組織(例えば断面組織)も同様に均質であり得る。なお、図2および図4の例では、溶融粒子の内部に少数の気孔の存在が認められるが、溶融粒子の全体に亘って、当該粒子を構成する微小粒子の形態が見られず、当該粒子が一つの均質なマトリックスから構成されていることがわかる。
かかる形態の溶射粒子は、当該粒子を構成するイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムオキシフッ化物の出発原料を、十分に溶融して、当該溶融物を独立した状態で冷却して固化させることにより製造することができる。このとき、溶射粒子が均質なマトリックスから構成されるように、出発原料を十分に溶融して組織を均質化することが重要である。
この溶射材料の出発原料としては、加熱および溶融により目的の組成物を実現し得る各種の材料を特に制限なく使用することができる。出発原料としては、例えば、イットリウム(Y),酸素(O)およびフッ素(F)を含む化合物や塩等を、当該元素(Y,O,F)が目的の溶射材料の組成を実現し得るよう化学量論組成で配合した混合物を用いることができる。例えば、具体的には、酸化イットリウム(Y)とフッ化イットリウム(YF)とイットリウムオキシフッ化物との少なくとも1つを、所望の組成のイットリウムオキシフッ化物が得られるよう、化学量論組成で混合した混合物を出発原料としてもよい。例えば、具体的には、酸化イットリウム(Y)とフッ化イットリウム(YF)とを所定の化学量論組成で混合することで、所望の組成のイットリウムオキシフッ化物の出発原料とすることができる。また、例えば、出発原料としては、目的の組成のイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムオキシフッ化物をそのまま単独で、あるいは混合して、用いることができる。この出発原料を、目的の組成を実現し得る条件で溶融したのち、冷却する。イットリウムのフッ化物とイットリウムオキシフッ化物は酸化され易い。特にイットリウムオキシフッ化物は、様々な組成の化合物が存在するが、いずれも不安定であって酸化され易い。したがって、目的の組成のイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムオキシフッ化物を得るためには、不活性雰囲気で加熱することが好ましい。不活性雰囲気としては、窒素や、ヘリウム(He),ネオン(Ne),アルゴン(Ar)等の希ガスの雰囲気とすることができる。加熱の温度は、目的の組成のイットリウムのフッ化物および/またはイットリウムオキシフッ化物の融点(Tm)に近い温度(例えば、Tm±100℃程度)とすることが例示される。なお、流動性の良い球形の溶射粒子から構成される溶射材料を得るためには、例えば、スプレードライ等の手法により、液滴状に分配された出発原料を溶融して冷却することが好ましい。なお、冷却後の溶射材料は、そのまま溶射材料として用いても良いし、適切な平均粒子径となるよう、粉砕、分級、解砕などの手段を経て、溶射材料としても良い。なお、粉砕を行うと、粉砕機から溶射材料への不純物の混入の恐れがある。この点から、球形以外の、非球形の溶射粒子から構成される溶射材料を得る場合であっても、スプレードライ法を利用することが好ましい。これにより、ここに開示される溶射材料を好適に得ることができる。
以上のここに開示される溶射材料を溶射することで、溶射皮膜を形成することができる。この溶射皮膜は、基材の表面に備えられることで、例えば当該基材に対して環境遮断性(典型的には、耐プラズマエロージョン性)を付与することができる。溶射の対象である基材(被溶射材)については特に限定されない。例えば、かかる溶射材料の溶射に供したときに、所望の耐性を備え得る材料からなる基材であれば、その材質や形状等は特に制限されない。かかる基材を構成する材料としては、例えば、各種の金属または合金等が挙げられる。具体的には、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、金、銀、ビスマス、マンガン、亜鉛、亜鉛合金等が例示される。なかでも、汎用されている金属材料のうち比較的熱膨張係数の大きい、各種SUS材(いわゆるステンレス鋼であり得る。)等に代表される鉄鋼、インコネル等に代表される耐熱合金、インバー,コバール等に代表される低膨張合金、ハステロイ等に代表される耐食合金、軽量構造材等として有用な1000シリーズ〜7000シリーズアルミニウム合金等に代表されるアルミニウム合金等からなる基材が挙げられる。かかる基材は、例えば、半導体デバイス製造装置を構成する部材であって、反応性の高い酸素ガスプラズマやハロゲンガスプラズマに晒される部材であってよい。
溶射材料を溶射する溶射方法としては、公知の各種の溶射方法を採用することができる。例えば、好適には、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、フレーム溶射法、爆発溶射法、エアロゾルデポジション法等の溶射方法を採用することが例示される。
プラズマ溶射法とは、溶射材料を軟化または溶融するための溶射熱源としてプラズマ炎を利用する溶射方法である。電極間にアークを発生させ、かかるアークにより作動ガスをプラズマ化すると、かかるプラズマ流はノズルから高温高速のプラズマジェットとなって噴出する。プラズマ溶射法は、このプラズマジェットに溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。なお、プラズマ溶射法は、大気中で行う大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)や、大気圧よりも低い気圧で溶射を行う減圧プラズマ溶射(LPS:low pressure plasma spraying)、大気圧より高い加圧容器内でプラズマ溶射を行う加圧プラズマ溶射(high pressure plasma spraying)等の態様であり得る。かかるプラズマ溶射によると、例えば、一例として、溶射材料を5000℃〜10000℃程度のプラズマジェットにより溶融および加速させることで、溶射材料を300m/s〜600m/s程度の速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
また、高速フレーム溶射法としては、例えば、酸素支燃型高速フレーム(HVOF)溶射法、ウォームスプレー溶射法および空気支燃型(HVAF)高速フレーム溶射法等を考慮することができる。
HVOF溶射法とは、燃料と酸素とを混合して高圧で燃焼させた燃焼炎を溶射のための熱源として利用するフレーム溶射法の一種である。燃焼室の圧力を高めることにより、連続した燃焼炎でありながらノズルから高速(超音速であり得る。)の高温ガス流を噴出させる。HVOF溶射法は、このガス流中に溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。HVOF溶射法によると、例えば、一例として、溶射材料を2000℃〜3000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することで、溶射材料を軟化または溶融させて、500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。高速フレーム溶射で使用する燃料は、アセチレン、エチレン、プロパン、プロピレンなどの炭化水素のガス燃料であってもよいし、灯油やエタノールなどの液体燃料であってもよい。また、溶射材料の融点が高いほど超音速燃焼炎の温度が高い方が好ましく、この観点では、ガス燃料を用いることが好ましい。
また、上記のHVOF溶射法を応用した、いわゆるウォームスプレー溶射法と呼ばれている溶射法を採用することもできる。ウォームスプレー溶射法とは、典型的には、上記のHVOF溶射法において、燃焼炎に室温程度の温度の窒素等からなる冷却ガスを混合する等して燃焼炎の温度を低下させた状態で溶射することで、溶射皮膜を形成する手法である。溶射材料は、完全に溶融された状態に限定されず、例えば、一部が溶融された状態であったり、融点以下の軟化状態にあったりするものを溶射することができる。このウォームスプレー溶射法によると、例えば、一例として、溶射材料を1000℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することで、溶射材料を軟化または溶融させて、500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
HVAF溶射法とは、上記のHVOF溶射法において、支燃ガスとしての酸素に代えて空気を用いるようにした溶射法である。HVAF溶射法によると、HVOF溶射法と比較して溶射温度を低温とすることができる。例えば、一例として、溶射材料を1600℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することにより、この溶射材料を軟化または溶融させて、溶射粒子を500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
なお、ここに開示される溶射材料は、イットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の少なくとも一方を含む粉末でありながら、均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されている。したがって、例えば、この溶射材料は、溶射に供された場合でも酸化され難い。したがって、この溶射材料を溶射して得られる溶射皮膜は、例えば、主としてイットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物から構成され得る。例えば、主成分が、イットリウムのフッ化物またはオキシフッ化物であり得る。オキシフッ化物は、溶射材料と同一の組成のものであっても良いし、その一部または全部が酸化された(酸素の割合の多い)オキシフッ化物であっても良い。ここで、主成分とは、溶射皮膜を構成する構成成分のうち、最も含有量が多い成分であることを意味している。具体的には、例えば、当該成分が溶射皮膜全体の50質量%以上を占めることを意味し、好ましくは75質量%以上、例えば80質量%以上を占めるものであってよい。イットリウムオキシフッ化物は、耐プラズマエロージョン性、特にハロゲン系プラズマに対する耐エロージョン特性に優れる。したがって、イットリウムオキシフッ化物を主成分とする溶射皮膜は、極めて耐プラズマエロージョン性に優れたものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(実施例)
下記の表1の例1〜11に示す組成の粉末状の溶射材料を調製した。具体的には、酸化イットリウム(Y)とフッ化イットリウム(YF)とを、そのままで、あるいは、目的の化合物の化学量論組成となるように混合することで、出発原料とした。そしてこの出発原料を、適切な分散媒に分散させて噴霧液を用意した後、超音波噴霧機等により噴霧することで、出発原料を含む液滴を形成した。かかる液滴を、例えば、気流に載せて連続炉を通過させながら、乾燥させた後、Ar雰囲気の所定の温度で2時間程度加熱した。これにより、例1〜11の溶射材料を作製した。
なお、例1〜9の溶射材料の製造に際しては、加熱温度を目的の化合物の融点温度付近に設定した。一方、例10〜11の溶射材料の製造に際しては、加熱温度を目的の化合物の融点よりも約200℃程度低い温度に設定した。
得られた例1〜11の溶射材料の詳細を表1に示した。
表1中の「組成」欄には、各溶射材料を構成する溶射粒子(目的の化合物)の組成を示した。
表1中の「XRDメインピーク比」欄には、各溶射材料についてX線回折分析をした結果、検出された結晶相のメインピークの高さの比を100分率で示している。同欄中、「Y」は酸化イットリウムの、「YF」はフッ化イットリウムの、「YOF」は化学組成がYOF(Y)で表されるイットリウムオキシフッ化物の、「Y」は化学組成がYで表されるイットリウムオキシフッ化物の各相が同定されたことを示す。
XRD分析には、X線回折分析装置(RIGAKU社製、Ultima IV)を用い、X線源としてCuKα線(電圧20kV、電流10mA)を用い、走査範囲を2θ=10°〜70°、スキャンスピード:10°/min、サンプリング幅:0.01°、発散スリット:1°、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:1/6°、受光スリット:0.15mm、オフセット角度:0°として測定を行った。
なお、参考までに、各結晶相のメインピークは、Yについては29.157°付近に,YFについては27.881°付近に,YOFについては28.064°付近に,Yについては28.114°付近に検出される。
表1中の「焼結温度」欄には、各例の溶射材料の製造の際の加熱温度を示した。
表1中の「平均粒子径」欄には、各溶射材料の平均粒子径を測定した結果を示した。また、「粒度分布幅」欄には、各溶射材料のD粒子径とD97粒子径とを測定した結果を、D粒子径値〜D97粒子径値で表される粒度分布幅として示した。
表1中の「比表面積」欄には、BET法に基づき各溶射材料の比表面積を測定した結果を示した。
表1中の「円形度」欄には、各溶射材料の平均円形度を測定した結果を示した。
表1中の「破壊強度」欄には、各溶射材料の破壊強度を測定した結果を示した。
表1中の「累積細孔容積」欄には、各溶射材料の細孔径が3μm以下の累積細孔容積を測定した結果を示した。
表1中の「粒子形態」欄には、各溶射材料をSEM観察したときの溶射粒子の形態を示した。参考のために、例2の溶射粒子のSEM像を図1および2に、例3の溶射粒子のSEM像を図3および4に、例10の溶射粒子のSEM像を図5に示した。
次いで、上記で用意した例1〜11の溶射材料を用いてプラズマ溶射を行い、溶射の際の溶射材料の供給性と、溶射により形成された溶射皮膜の特性について調べ、その結果を表2に示した。溶射条件は、以下の通りとした。
すなわち、まず、被溶射材である基材としては、アルミニウム合金(Al6061)からなる板材(70mm×50mm×2.3mm)を用意し、褐色アルミナ研削材(A#40)によるブラスト処理を施して用いた。プラズマ溶射には、市販のプラズマ溶射装置(Praxair Surface Technologies社製,SG−100)を用いて行った。プラズマ発生条件は、プラズマ作動ガスとしてアルゴンガス50psi(0.34MPa)とヘリウムガス50psi(0.34MPa)とを用い、電圧37.0V,電流900Aの条件でプラズマを発生させた。なお、溶射装置への溶射材料の供給には、粉末供給機(Praxair Surface Technologies社製,Model1264型)を用い、溶射用材料を溶射装置に20g/minの速度で供給し、厚さ200μmの溶射皮膜を形成した。なお、溶射ガンの移動速度は24m/min、溶射距離は90mmとした。
表2中の「供給性」欄には、各溶射材料を溶射装置に供給した際の供給性について示した。評価結果の「◎」は、溶射に際して、溶射材料が粉末供給機および溶射装置内で詰まったりすることなく、一定の流量で溶射フレームに供給することができたことを示す。「△」は、溶射に際して、粉末供給機および溶射装置内での溶射粉末の搬送に脈動やムラが生じるのが確認されたことを示す。なお、評価結果の「×」は、溶射材料が粉末供給機および溶射装置内で詰まったりして溶射が行えなかった場合を示すが、本実施形態において×と評価された溶射材料はなかった。
表2中の「気孔率」欄には、得られた溶射皮膜の気孔率を測定した結果を示す。
また、溶射皮膜の気孔率は、以下の手順で測定した。すなわち、溶射皮膜の任意の断面組織をSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000N)により観察して得た2000倍の平面視像について、画像解析ソフト(MOUNTECH Co.,Ltd.製、Mac−View)により気孔部と固相部とを分離する2値化を行い、これを解析することで、溶射皮膜の断面における気孔部の面積の割合を算出した。なお、解析画像としては、溶射皮膜の厚みが30ピクセル以上となる解像度の画像を用いることが好ましい。
表2中の「耐プラズマエロージョンレート」欄には、得られた溶射皮膜に対して下記のプラズマ暴露試験を施した場合の溶射皮膜の厚みの減少量に基づき、溶射皮膜がエッチングされた速度を算出した結果を示した。
表2中の「耐プラズマエロージョン性」欄には、耐プラズマエロージョンレートが40nm/min未満の場合を「◎(優良)」、40nm/min以上50nm/min未満の場合を「○(良)」、50nm/min以上の場合を「×(不良)」として示した。
<プラズマ暴露試験>
溶射皮膜のプラズマ暴露は、次のようにして行った。すなわち、まず、上記で基材上に、20mm×20mmの溶射皮膜を形成し、表面を厚さが2mmとなるまで鏡面研磨したのち、溶射皮膜の四隅をマスキングテープでマスキングすることで試験片を用意した。そしてこの試験片を、平行平板型の半導体デバイス製造装置(ULVAC製、NLD−800)のチャンバー内のステージに設置された直径300mmのシリコンウエハ上に載置した。続いて、下記の表3に示す条件で、フッ素系プラズマと塩素系プラズマと、所定のサイクルで交互に繰り返し発生させることで、シリコンウエハおよび溶射皮膜の中央部分をプラズマエッチングした。上記プラズマによる暴露時間は、インターバル(クーリング時間)を含めて0.9時間とした。その後、溶射皮膜の厚みの減少量から、溶射皮膜がエッチングされた速度を算出した。まお、溶射皮膜の厚みの減少量は、表面粗さ測定機(ミツトヨ製、SV−3000CNC)にて、マスキングした部分と、プラズマ暴露面との、段差を計測することで求めた。
表1に示したXRDメインピーク比の結果に示されるように、例1〜11の溶射材料として、目的の化学量論組成を有する溶射材料が得られたことが確認できた。特に、各溶射材料は、Yを含むことなく、Y、YOFまたはYFの単相からなることが確認された。
SEM観察の結果、例1〜9の溶射材料は独立した粒子により構成されており、個々の粒子は表面が滑らかで、均質なマトリックスから構成されていることが確認できた。これらの溶射材料は、溶射材料を構成する材料の融点温度近くにまで十分加熱して製造されている。そのため、出発原料が十分に溶融され、例えば、図1(例2)および図3(例3)に示したように、元の原料粉末の形態が完全に失われて、単一の粒子を構成していることが確認された。したがって、表1の粒子形態の欄には「溶融粉」と表記するようにした。また、原料粉末が完全に溶融されたことは、例えば、溶射粒子の断面を観察することでも確認できた。すなわち、図2および図4に示したように、例2および例3の溶射粒子は、その内部においても原料粉末の形態が完全に失われており、粒子全体が均質な組織であって、均質なマトリックスから構成されていることが確認できた。
これに対し、例10および例11の溶射材料は、表1に示すように、溶射材料を構成する材料の融点よりも低い温度(例えば、1000度以下)に加熱して製造したものである。したがって、SEM観察の結果、例10および例11の溶射材料は、多数の粒子が結合されてなる顆粒状の粒子(もしくは複合粒子)の形態であることが確認された。したがって、表1の粒子形態の欄には「顆粒」と表記するようにした。例えば、図5に示したように、例10の溶射粒子は、原料粉末の形態が概ね残存されており、原料粒子の粒径に基づく凹凸が粒子の表面に明瞭に確認された。このように、十分に溶融されずに形成された粒子は、その組織が不均質であることが確認された。
また、完全に溶融されることにより形成された例1〜9の溶射材料は、平均粒子径が15μm以上であって、いずれも比表面性が0.1m/g未満と小さく、累積細孔容積も0.01cm/g以下であり、円形度が1ではないものの、粒子表面が極めて滑らかであるといえる。これは、溶融材料を十分に溶融させることにより初めて実現される形態であると言える。
このような溶射材料より形成される溶射皮膜は、比較的緻密であり、フッ素系プラズマおよび塩素系プラズマによるエッチングに対しても、高い耐性を備えていることが確認できた。また、例6〜9の溶射材料は、いずれも組成がYFからなる溶射粒子により構成されており、平均粒子径がそれぞれ異なるように制御されている。これらの溶射材料から形成された溶射皮膜は、溶射材料の平均粒子径が例えば15〜25μm程度と小さい方が、緻密な溶射皮膜を形成し、耐プラズマエロージョン性にも優れることがわかった。このことは、溶射粒子の粒径が小さい程緻密な溶射皮膜を形成し得るという従来の知見と一致するものであった。
これに対し、例6と例11の溶射材料は、いずれも組成がYFからなる溶射粒子により構成された、平均粒子径が30μmの粉末である。これらの溶射材料は、例6の溶射材料の形態が溶融粉であるのに対し、例11の溶射材料の形態が顆粒である点において相違している。これらの溶射材料から形成された溶射皮膜は、いずれも気孔率が5%であるにもかかわらず、例6の溶射皮膜は、例11の溶射皮膜に対して、耐プラズマエロージョン性が極めて高い。これは、例11の溶射粒子が顆粒の形態であることから、溶射中にYFがYへと酸化されて、プラズマに対して脆弱な溶射皮膜が形成されたことによるものと考えられる。
一方、例2,3,5の溶射材料は、いずれも組成がYからなる溶射粒子により構成されており、平均粒子径がそれぞれ異なるように制御されている。これらの溶射材料から形成された溶射皮膜は、溶射材料の平均粒子径が例えば40〜50μm程度と大きい方が、緻密な溶射皮膜を形成し、耐プラズマエロージョン性にも優れることがわかった。つまり、溶射技術において、より小さい粒径の溶射粒子を用いた方が、緻密な溶射皮膜を形成し得るという従来の知見に反する結果であった。この理由は確かではないが、Yに代表されるイットリウムオキシフッ化物は、溶射において非常に酸化され易く、また、フッ素をガスとして放出しやすい。そのため、比較的粒度の粗い溶射材料の方が、溶射中に酸化され難く、溶射皮膜を形成したときの組成の変化が少なく、耐プラズマエロージョン性の向上に寄与したものと考えられる。
以上のように、イットリウムのフッ化物や、イットリウムのオキシフッ化物からなる溶射粒子は、それ自体の耐プラズマエロージョン性は高いものの、溶射中に酸化されて変質しやすい。したがって、イットリウムのフッ化物や、イットリウムのオキシフッ化物からなる溶射材料は、ここに開示されるように、十分に溶融された溶融粉の形態とすることで、溶射材料の性質を活かした耐プラズマエロージョン性に高い溶射皮膜を形成し得るために好ましい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (6)

  1. イットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の少なくとも一方を含む粉末であって、
    前記粉末は、均質なマトリックスからなる独立した粒子により構成されている、溶射材料。
  2. BET法に基づき測定される比表面積は、0.1m/g未満である、請求項1に記載の溶射材料。
  3. 細孔径が3μm以下の累積細孔容積は、0.02cm/g以下である、請求項1または2に記載の溶射材料。
  4. 平均粒子径は、60μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶射材料。
  5. 前記粉末全体に占めるイットリウムのフッ化物およびオキシフッ化物の合計の割合が、77質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶射材料。
  6. 平均円形度は、0.5以上1未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶射材料。
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