JP2017049558A - クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ハードセグメント成分のドメイン粒径が100nmを超える場合に比べ、被クリーニング部材との接触部分での永久変形が抑制されたクリーニングブレードを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、
ハードセグメント成分及びソフトセグメント成分を含み、前記ハードセグメント成分のドメイン粒径が45nm以上100nm以下であるポリウレタンを含有するポリウレタン部材により、少なくとも被クリーニング部材に接触する接触部分が構成されるクリーニングブレード。
前記ポリウレタン部材のガラス転移温度(Tg)が−30℃以上−5℃以下である請求項1に記載のクリーニングブレード。
前記ポリウレタンは、前記ハードセグメント成分として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び炭素数3以上の直鎖ジオールが少なくとも重合された樹脂である請求項1又は請求項2に記載のクリーニングブレード。
前記ポリウレタンは、前記ソフトセグメント成分として、ポリエーテルポリオールと炭素数9以上の直鎖ジオールが少なくとも重合されてなるポリエステルポリオールとからなる群より選択される少なくとも1種のポリオールが少なくとも重合された樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
請求項5に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して着脱自在であるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項5に記載のクリーニング装置を備え、前記像保持体に前記クリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、少なくとも被クリーニング部材に接触する接触部分が、ハードセグメント成分(H相)及びソフトセグメント成分(S相)を含むポリウレタンを含有するポリウレタン部材により構成される。
そして、前記ハードセグメント成分のドメイン粒径が45nm以上100nm以下である。
特にトナーを用いる電子写真方式の画像形成装置では、近年トナーの小径化及び球状化が求められており、そのため被クリーニング部材とクリーニングブレードとの接触部分における残留トナーのすり抜けがより生じ易い状況となっている。こうして残留トナーや外添剤等の異物のすり抜けが生じると、画像形成装置においてスジ状の画像欠陥の原因となる。
前記ポリウレタンは、分子構造中のハードセグメント成分とソフトセグメント成分とが海島構造を形成し、ソフトセグメント成分(海)の中にハードセグメント成分の凝集体(島)が点在する構造を有している。そして、島状となっているハードセグメントの粒径をドメイン粒径と称す。
ドメイン粒径が100nmを超えると、ハードセグメント成分(H相)のドメイン内の凝集力が弱くなり、クリーニングブレードに永久変形が生じる。一方、ドメイン粒径が45nm未満であると、クリーニングブレードとして求められる強度が得難くなる。
なお、ハードセグメント成分(H相)及びソフトセグメント成分(S相)それぞれの極性の調整方法については、後に詳述する。
前記ポリウレタン部材のガラス転移温度(Tg)は、−30℃以上−5℃以下であることが好ましく、更には−30℃以上−8℃以下がより好ましく、−30℃以上−10℃以下がさらに好ましい。
ガラス転移温度が−5℃以下であることで、ポリウレタンにおけるソフトセグメント成分(S相)の分子運動性が高くなり、ハードセグメント成分(H相)の凝集力が得られ、クリーニングブレードの永久変形が抑制される。一方、ガラス転移温度が−30℃以上であることで、ハードセグメント成分(H相)のドメインが良好に成長し、クリーニングブレードとして求められる強度が得られる。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおけるポリウレタンは、ハードセグメント成分(H相)及びソフトセグメント成分(S相)を含む。ここで、ポリウレタンは少なくともポリオールとポリイソシアネートとが重合されてなる重合体であり、前記ポリオールがソフトセグメント成分(S相)に相当し、前記ポリイソシアネートがハードセグメント成分(H相)に相当する。
また、本実施形態におけるポリウレタンは、前記ポリオール及びポリイソシアネートに加えてさらに鎖延長剤、架橋剤等が重合されてなる重合体であってもよい。鎖延長剤及び架橋剤の少なくとも一方が重合成分として含まれる場合、この鎖延長剤及び架橋剤もハードセグメント成分(H相)に相当する。
また、接触角部3Aが被クリーニング部材31に接触する方向に沿う方向(図1における奥行き方向)を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
なお、図1には便宜上、像保持体(感光体ドラム)31が駆動する方向を矢印Aとして描いたが、図1は像保持体31が停止している状態を示している。
なお、図6では接触部材として1/4に切断された円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4に切断された形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおけるポリウレタン部材は、ポリウレタン(ポリウレタンゴム)を含有する。ポリウレタンは、少なくともポリイソシアネートとポリオールとを重合することで合成される。また、ポリオール以外にイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂を用いてもよい。なお、ポリウレタンはハードセグメント成分(H相)とソフトセグメント成分(S相)とを有している。
ここで、ハードセグメント成分(H相)及びソフトセグメント成分(S相)とは、樹脂中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。本実施形態では、ポリオールがソフトセグメント成分(S相)に相当し、ポリイソシアネートがハードセグメント成分(H相)に相当する。また、前記ポリオール及びポリイソシアネートに加えてさらに鎖延長剤、架橋剤等が重合されてなる重合体であってもよく、その場合鎖延長剤及び架橋剤もハードセグメント成分(H相)に相当する。
・ポリオール
ソフトセグメント成分(S相)を構成する材料としては、ポリオールが挙げられ、ポリエステルポリオール(例えばジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるもの、ラクトン(環状エステル)の開環重合で得られるもの)、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール(例えばジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるもの)、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
中でも炭素数9以上の直鎖ジオール(2つの水酸基が炭素鎖の両末端に置換しかつこの2つの水酸基間の炭素鎖が直鎖状であるジオール)が重合されてなるポリエステルポリオールがより好ましく、前記炭素数は9以上12以下がさらに好ましく、9以上11以下がさらに好ましい。
また、ポリエステルポリオールの重合に用いられる二塩基酸としては、アジペート(アジピン酸)、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、及びこれらの低級アルキルエステルや酸無水物等が挙げられる。中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。
ソフトセグメント成分(S相)の極性を調整する方法としては、用いるポリオールの材料を選択する方法が挙げられる。例えば、ポリオールとしてジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオールを用いる場合であれば、前記ジオールが長鎖である程(水酸基間の炭素数が多い程)ソフトセグメント成分の極性が下がり、ポリイソシアネート由来の極性の高いハードセグメントとの相分離が進行し、ハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が小さくなり、ガラス転移温度(Tg)も低下し、塑性変形が小さくなる。逆に、ジオールが短鎖である程(水酸基間の炭素数が少ない程)ソフトセグメント成分の極性が上がり、ポリイソシアネート由来の極性の高いハードセグメントとの溶解性が上がってハードセグメント内にソフトセグメントが入り込み、ハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が大きくなり、ガラス転移温度(Tg)は上昇し、塑性変形が大きくなる。
また、ポリオールとしてラクトン(環状エステル)の開環重合で得られるポリエステルポリオールを用いる場合であれば、ラクトンにおける環状部分の炭素数が多い程ソフトセグメント成分の極性が下がってハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が小さくなり、ガラス転移温度(Tg)も低下する。逆に、ラクトンにおける環状部分の炭素数が少ない程ソフトセグメント成分の極性が上がってハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が大きくなり、ガラス転移温度(Tg)は上昇する。
・ポリイソシアネート
ポリウレタンの合成には、ハードセグメント成分としてポリイソシアネートが用いられる。ポリイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
なお、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)がより好ましい。
また、本実施形態におけるポリウレタンは、ハードセグメント成分として鎖延長剤が重合された重合体であってもよい。
鎖延長剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール,1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の3価及びこれ以上の多価アルコール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノ多価アルコール等が用いられる。これらの中でもグリコール類及び3価のアルコール類が好ましく、グリコール類がより好ましい。
なお、グリコール類としては、特に炭素数3以上の直鎖ジオール(2つの水酸基が炭素鎖の両末端に置換しかつこの2つの水酸基間の炭素鎖が直鎖状であるジオール)が好ましく、前記炭素数は3以上5以下がさらに好ましく、3以上4以下がさらに好ましい。具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂の市販品としては、例えば、綜研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB−2005B、UMB−2005P、UMB−2005、UME−2005等)が挙げられる。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のごとく硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものが望ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くし得る構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等が挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
また、本実施形態におけるポリウレタンは、ハードセグメント成分として架橋剤が重合された重合体であってもよい。
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。なお、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
ハードセグメント成分(H相)の極性を調整する方法としては、ポリイソシアネートの材料の選択、鎖延長剤の種類の選択、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を用いる場合におけるこの両者の配合比の調整等が挙げられる。例えば、ポリイソシアネート(特にMDI)の配合比を高くすることによりハードセグメント成分の極性が上がり、ソフトセグメントとの相分離が進行し、ハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が小さくなり、ガラス転移温度(Tg)も低下し、塑性変形が小さくなる。逆に、ポリイソシアネート(特にMDI)の配合比を低くすることによりハードセグメント成分の極性が下がり、ソフトセグメントとの溶解性が上がってハードセグメント内にソフトセグメントが入り込み、ハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が大きくなり、ガラス転移温度(Tg)は上昇し、塑性変形が大きくなる。
また、鎖延長剤としてジオールを用いる場合に該ジオールの炭素数を調整する方法が挙げられる。ジオールの炭素数を下げることによりハードセグメント成分の極性が上がってハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が小さくなって、ガラス転移温度(Tg)も低下し、逆に炭素数を上げることによりハードセグメント成分の極性が下がってハードセグメント成分(H相)のドメイン粒径が大きくなって、ガラス転移温度(Tg)は上昇する。
ハードセグメント材料及びソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下「ハードセグメント材料比」と称す)は、20質量%以上45質量%以下の範囲内であることが望ましく、30質量%以上40質量%以下の範囲内であることがより望ましい。
ハードセグメント材料比が、20質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が45質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
本実施形態における前記ポリウレタン部材(接触部材)を構成するポリウレタンの製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
かかるポリウレタンは、上述したポリオールに、ポリイソシアネート、鎖延長剤及び架橋剤等を配合し成形する。
例えば、遠心成形機の金型にポリウレタン部材(接触部材)形成用の組成物を流し込み、硬化反応させる。この際の金型温度は80℃以上160℃以下であることが望ましく、更には100℃以上140℃以下であることが望ましい。また反応時間は20分間以上3時間以下であることが望ましく、更には30分間以上2時間以下であることが望ましい。
更に熟成加熱させ冷却される。この熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
ポリウレタン部材は、その100%モジュラスが、6MPa以上であることが好ましく、7MPa以上がより好ましく、7.5MPa以上が更に好ましい。一方で、100%モジュラスの上限値としては、例えば11MPa以下が好ましく、10MPa以下がより好ましい。
100%モジュラスが、6MPa以上であることにより、適正な硬度が得られ耐摩耗性に優れる。
ついで、本実施形態のクリーニングブレードが、図5に示す第2実施形態や図6に示す第3実施形態のごとく、接触部材と該接触部材以外の領域(非接触部材)とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合における、非接触部材の組成について説明する。
ポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
図1に示す接触部材のみからなるクリーニングブレードの場合には、前述の接触部材の成形方法によってクリーニングブレードが製造される。
本実施形態のクリーニングブレードを利用して被クリーニング部材をクリーニングする場合、クリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されない。例えば、画像形成装置に用いられる場合であれば、中間転写体や、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられる。本実施形態においては、像保持体であることが特に望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の異物を異物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
また、クリーニングブレード先端部が像保持体に食込む長さが0.8mm以上1.2mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.1mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置及びクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図3中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
なお、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図3中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
図4は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図3中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図4中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335は現像剤層厚規制部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えば現像剤層厚規制部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(又はベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
−クリーニングブレードA1の作製−
・ポリオールのプレ重合
アジピン酸(HOOC−C4H8−COOH)と、ノナンジオール(HO−C9H18−OH)と、を1:1(モル比)で重合し、かつ末端が−OHとなるよう処理をして、炭素数9の直鎖ジオール(ノナンジオール)が重合されたポリエステルポリオールA1を得た。得られたポリエステルポリオールA1の重量平均分子量は2000であった。
前記ポリエステルポリオールA1をソフトセグメント成分として用い、またプロパンジオール(鎖延長剤)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、ポリイソシアネート、日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMT)と、架橋剤(トリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製))と、をハードセグメント成分として用い、配合量を下記表1に記載のモル比に調整して、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させ、クリーニングブレード形成用組成物A1を調製した。
ポリエステルポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネート、架橋剤の配合量を、下記表1に記載のものに変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレード形成用組成物を調製し、かつクリーニングブレード得た。
・ポリオールのプレ重合
ε−カプロラクトンを開環重合し、かつ末端が−OHとなるよう処理をしてポリエステルポリオールA3を得た。得られたポリエステルポリオールA3の重量平均分子量は2000であった。
・ポリオールのプレ重合
テトラヒドロフランをカチオン重合し、かつ末端が−OHとなるよう処理をしてポリエステルポリオールA4(PTMG)を得た。得られたポリエステルポリオールA4の重量平均分子量は2000であった。
・ポリオールのプレ重合
アジピン酸(HOOC−C4H8−COOH)と、ブタンジオール(HO−C4H8−OH)と、を1:1(モル比)で重合し、かつ末端が−OHとなるよう処理をして、炭素数9の直鎖ジオール(ノナンジオール)が重合されたポリエステルポリオールA5を得た。得られたポリエステルポリオールA5の重量平均分子量は2000であった。
ポリオールのプレ重合に用いた組成物、ポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネート、架橋剤の種類とその配合量を、下記表2に記載のものに変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレード形成用組成物を調製し、かつクリーニングブレード得た。
ポリオールのプレ重合に用いた組成物、ポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネート、架橋剤の種類とその配合量を、下記表2に記載のものに変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレード形成用組成物を調製し、かつクリーニングブレード得た。
ポリオールのプレ重合に用いた組成物、ポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネート、架橋剤の種類とその配合量を、下記表2に記載のものに変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレード形成用組成物を調製し、かつクリーニングブレード得た。
ハードセグメント成分のドメイン粒径、ポリウレタン部材のガラス転移温度(Tg)、及びポリウレタン部材の100%モジュラスを、前述の方法により測定した。結果を下記表1及び表2に示す。
感光体(像保持体)の表面に前記各例のクリーニングブレードを食い込ませて接触配置するよう取り付けたプロセスカートリッジを、高温・高湿環境(45℃、95%RH)の恒温・恒湿層に1週間放置し、放置前後のクリーニングブレードの食込み量の差を永久変形量とした。
なお、食込み量の測定は、感光体の中心からクリーニングブレードのエッジ先端までの距離を計測可能な非接触のレーザー変位計(キーエンス社製、商品名:LK−035)にて測定し、食込み量の変化を求めた。
(画像形成装置の構成)
前記各例のクリーニングブレードを、それぞれ図3に示す画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre−II C7500)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。
・感光体ドラム:有機感光材(φ=30mm)
・プロセス速度:250mm/sec
・帯電装置:交流重畳直流の帯電ロール
・現像装置:2成分磁気ブラシ現像装置
・クリーニングブレード:幅8mm、厚さ2mm、自由長7.0mm、接触角25度、押し付け力NF2.0gf/mm
−耐摩耗性評価−
以下の方法により、クリーニングブレードの耐摩耗性を評価した。
高温高湿環境(32.5℃,85RH%)下にて、感光体の積算回転数が100Kサイクル(100,000回転)になるまでA4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製、P紙)を用いて画像形成させた。その後、クリーニングブレードの接触部(エッジ)先端の摩耗深さと、クリーニング不良とを併せて評価し、エッジ摩耗を判断した。なお、テストに際しては、感光体とクリーニングブレードとの接触部における潤滑効果を小さくした過酷な条件で評価するため、形成する画像の像密度を1%とした。また、エッジ先端の摩耗深さは、クリーニングブレードの断面側からキーエンス社製、レーザ顕微鏡VK−8510により観察した時に確認される、感光体表面側のエッジ欠落部の最大深さとした。
エッジ摩耗の評価基準を以下に示す。なお、許容範囲はAおよびBである。
A:先端部摩耗深さ :3μm以下且つ摩耗跡無し
クリーニング不良:未発生
B:先端部摩耗深さ :3μmを超え、5μm以下
クリーニング不良:未発生
C:先端部摩耗深さ :5μmを超える
クリーニング不良:発生
前記各例のクリーニングブレードを、それぞれカラー複写機(富士ゼロックス製、DocuCentre Color a450)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。
このカラー複写機を用い、画像濃度1%(A4サイズの用紙に6.2mm×1mmのベタ画像が載っているもの)の画像形成を用紙(富士ゼロックス社製、C2r紙)に2000枚繰り返した。そのあとのクリーニングブレードの変形具合、色スジの画質欠陥の発生状態を下記の基準で目視により評価した。
A:色スジが確認されない
B:画像に色スジが僅かに確認されるが許容範囲
C:画像に色スジが確認され、許容し得ない
比較例1は、ハードセグメント成分のドメイン粒径が45nm未満であり、ガラス転移温度(Tg)が−30℃未満であり、耐摩耗性が悪化しており、良好な画像を得られていない。
比較例2及び比較例3は、ハードセグメント成分のドメイン粒径が100nmを超え、ガラス転移温度(Tg)が−5℃を超えており、永久変形が大きく、良好な画像を得られていない。
Claims (7)
- ハードセグメント成分及びソフトセグメント成分を含み、前記ハードセグメント成分のドメイン粒径が45nm以上100nm以下であるポリウレタンを含有するポリウレタン部材により、少なくとも被クリーニング部材に接触する接触部分が構成されるクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタン部材のガラス転移温度(Tg)が−30℃以上−5℃以下である請求項1に記載のクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンは、前記ハードセグメント成分として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び炭素数3以上の直鎖ジオールが少なくとも重合された樹脂である請求項1又は請求項2に記載のクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンは、前記ソフトセグメント成分として、ポリエーテルポリオールと炭素数9以上の直鎖ジオールが少なくとも重合されてなるポリエステルポリオールとからなる群より選択される少なくとも1種のポリオールが少なくとも重合された樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
- 請求項5に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して着脱自在であるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項5に記載のクリーニング装置を備え、前記像保持体に前記クリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
を備える画像形成装置。
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