JP6314635B2 - クリーニングブレード、清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成されるクリーニングブレードである。
請求項2に係る発明は、
前記ポリウレタンゴムが、材料の一つにポリエーテルポリオールを用いたゴムである請求項1に記載のクリーニングブレード。
前記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg未満である請求項1または請求項2に記載のクリーニングブレードである。
前記ポリウレタンゴム部材における、粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以上20%以下であり、且つ粒径200nmを超える結晶球の存在比率が、断面における平均
面積比で10%以下である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のクリーニングブレードである。
前記ポリウレタンゴム部材における、粒径5μm以上の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以下である請求項4に記載のクリーニングブレードである。
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のクリーニングブレードを備えた清掃装置である。
請求項6に記載の清掃装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させて清掃する請求項6に記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成される。
また、上記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークを有しないか、または吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2を有する場合であってもそのピーク熱量が0.5mJ/mg以下である。尚、120℃以上の範囲に2つ以上の吸熱ピークを有する場合、吸熱ピークP2のピーク熱量は、これら2つ以上の吸熱ピークのピーク熱量の総量とする。
この理由は必ずしも明確なわけではないが、以下のように推察される。
即ち、ポリウレタンゴム部材を構成するポリウレタンゴムには、分子構造中にハードセグメントとソフトセグメントが存在し、このハードセグメントやその他鎖延長剤などが結晶化し、結晶球が形成される。この結晶球として粒径の小さな結晶を多く含み且つ粒径の大きな結晶の量を抑制することにより、優れた耐摩耗性が得られるものと考えられる。また、結晶性を高め過ぎるとゴム弾性が失われる為に、例えば長時間にわたってトナーが介在している感光体と摺動されるなどの状態に晒されると、クリーニングブレードに欠けが発生する。つまり、適度な結晶性を有することが重要であり、ポリウレタンゴム弾性体として低溶融温度の微小結晶を多く含み且つ粒径の大きな結晶の量を抑制したポリウレタンゴム部材により、耐摩耗性と耐欠け性とを両立したクリーニングブレードが得られるものと推察される。
吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg未満であると、耐摩耗性と耐欠け性とを両立し得ない。
尚、吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量は、更に2mJ/mg以上が好ましく、3mJ/mg以上がより好ましい。また、上限値としては特に制限はないが、10mJ/mg以下が好ましく、5mJ/mg以下がより好ましい。
吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mgを超えると、耐欠け性に劣る。
尚、吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量は、更に0.3mJ/mg以下が好ましく、0.1mJ/mg以下がより好ましく、0mJ/mgに近いほど好ましい。
また本実施形態においては、更に吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg以下であることが好ましい。吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg以下であることにより、耐欠け性により優れる。
尚、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量は、更に0.1mJ/mg以下が好ましく、0.05mJ/mg以下がより好ましく、0mJ/mgに近いほど好ましい。
前記吸熱ピークP1、P2、およびP2highにおけるピーク熱量の測定は、示差走査熱量測定(DSC)にて、ASTM D3418−99に準じて行なわれる。
測定には、パーキンエルマー社製Diamond−DSCを使用し、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定を行う。
ポリウレタンゴム部材では、ハードセグメントやその他鎖延長剤などが結晶化し結晶球が形成される。この結晶球の粒径としては、耐摩耗性と耐欠け性とを両立するとの観点から、粒径10nm以上200nm以下の範囲が好ましく、更にポリウレタンゴム部材の断面を観察した際に、粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の存在比率(測定した断面全面に対する面積比)が、平均で5%以上20%以下であることが好ましい。粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の存在比率は、更に5%以上15%以下がより好ましく、5%以上10%以下が更に好ましい。
原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製、製品名:S−image)の位相モード(DFM)にて形状/位相解析を行い、クリーニングブレード1本につき3面、クリーニングブレード3本について測定断面中に存在する小粒子径側の結晶球の粒子径を測定し、測定断面全面に対する粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の面積比(平均値)を求める。
尚、使用カンチレバーはDF3(バネ定数:1.6N/m)、測定領域は2m×2mとする。また、形状/位相解析は、試料表面の吸着や粘弾性を反映しているカンチレバー振動の位相信号を表面形状像と同時に検出し、位相分布像を得た上で、画像処理ソフトMedia Cybernetics(Image−Pro Plus社製)を用い、2値化処理を用い、コントラストを調整する
偏光顕微鏡(オリンパス製BX51−P)を用い、倍率×20にて画像を撮影し、画像処理を施して画像を2値化し、クリーニングブレード1本につき5面、クリーニングブレード20本について測定断面中に存在する大粒子径側の結晶球の粒子径を測定し、測定断面全面に対する粒径200nmを超える範囲の結晶球の面積比(平均値)を求める。
尚、画像の2値化は、画像処理ソフトOLYMPUS Stream essentials(オリンパス社製)を用い、結晶部を黒、非晶部を白になるよう色相/彩度/輝度の閾値を調整する。
また、粒径5μm以上の結晶球の存在比率や実施例で行っている粒径200nmを超え5μm未満の結晶球の存在比率の測定も、同様にして行われる。
前記吸熱ピークP1およびP2の要件を満たすポリウレタンゴム部材とするためには、粒径が小さい結晶球の量を多くし且つ粒径が大きい結晶球の量を少なくする方法が挙げられる。具体的には、小粒子径側(つまり200nm以下)の結晶球の平均面積比および大粒子径側(つまり200nmを超える)の結晶球の平均面積比が前述の範囲を満たすよう制御することが好ましい。
尚、結晶球として小粒子径側(200nm以下)の結晶球を多くし且つ大粒子径側(200nmを超える)の結晶球を少なくするための制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。
図1は、第1の実施形態に係るクリーニングブレードを示す概略図であり、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。また、図2は第2の実施形態に係るクリーニングブレードが、図3は第3の実施形態に係るクリーニングブレードが、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図2および図3では、接触角部3A、先端面3B、腹面3C、および背面3Dの符号を省略しているが、図1と同じ箇所をそれぞれ接触角部3A、先端面3B、腹面3C、および背面3Dと称し、且つ図1と同じ方向を奥行き方向、厚み方向、および幅方向と称す。
尚、図3では接触部材として1/4にカットされた円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4にカットされた形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける接触部材は、ポリウレタンゴムを含有し且つ前記吸熱ピークP1およびP2の要件を満たす。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリエーテルポリオールが好適に用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、特に制限されるものではなく、例えばポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
ゴムの柔軟性と微小結晶の制御のし易さから、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。尚、前記ポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、500以上5000以下の範囲が好ましい。数平均分子量が500以上であることにより、クリーニングブレードの機械的強度が得られる。また、数平均分子量が5000以下であることにより、クリーニングブレードの機械的強度が高くなりすぎず、また材料の粘度上昇による作業性の低下が抑制される。
ハードセグメント材料としては、まず鎖延長剤が好適に用いられる。
鎖延長剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール等の、分子量300以下のポリオールが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、クリーニングブレードの欠けの発生が抑制される。
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
触媒としては、第三級アミン等のアミン系化合物、第四級アンモニウム塩、有機錫化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
上記第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体、N,N’−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等が挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本実施形態における前記接触部材を構成するポリウレタンゴム部材の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
具体的には、前記触媒を選択することで一次硬化の速度を速める。つまり、低溶融温度側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう調整する。また、ポリウレタン組成物を調整する際に、ポリオールやプレポリマーの温度を低くしたり、硬化・成形の温度を低くしたりすることにより、架橋の進行が遅くなるよう調整する。これらの温度(ポリオールやプレポリマーの温度、硬化・成形の温度)を低く設定して反応性を下げることにより、ウレタン結合部が凝集し、ハードセグメントの結晶体が得られるので、高溶融温度側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう温度を調整する。
これにより、DSCを測定した際に結晶融解エネルギーの吸熱ピーク温度が2つ存在するポリウレタンゴム部材が成形される。
なお、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤および触媒の量や、架橋剤の比率等は求められる範囲に調整する。
次に、このソフトセグメント材料と鎖延長剤との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加え、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、更に触媒(例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩)、架橋剤(例えばトリメチロールプロパン)を加えて混合し、クリーニングブレード形成用の組成物を調製する。
更に架橋反応させ、冷却した後にカットしクリーニングブレードが形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
前記接触部材においては、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)「1」に対する物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)の比率が、1:0.8乃至1:2.0であることが望ましく、更には1:1乃至1:1.8であることが望ましい。
化学架橋に対する物理架橋の比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体がより成長され結晶由来の低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
σ=2C1(λ−1/λ2)+2C2(1−1/λ3)
σ:応力、λ:歪、C1:化学架橋密度、C2:物理架橋
尚、引張り試験による応力−歪曲線より10%伸長時のσとλを用いる。
ソフトセグメントに対するハードセグメントの比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体量も増えることにより低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
ついで、本実施形態のクリーニングブレードが、図2に示す第2実施形態や図3に示す第3実施形態のごとく、接触部材と該接触部材以外の領域(非接触部材)とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合における、非接触部材の組成について説明する。
・反撥弾性
非接触部材は、50℃の反撥弾性が70%以下である材料で構成されることが望ましい。更には、60%以下であることがより望ましく、50%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に30%以上であることが望ましく、40%以上であることがより望ましい。
また、本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、100%永久伸びが1.0%以下である材料で構成されることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましく、0.4%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に0.1%以上であることが望ましく、0.2%以上であることがより望ましい。
JIS K6262(1997年)に準拠して、短冊状試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記式の通り標線間距離より求められる。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6262に規定の短冊状試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から短冊状試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が短冊状試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって短冊状試験片を形成し、この短冊状試験片について上記の測定が行われる。
ポリオールとしては、ポリテトラメチルエーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
図1に示す接触部材のみからなるクリーニングブレードの場合には、前述の接触部材の成形方法によってクリーニングブレードが製造される。
本実施形態のクリーニングブレードを利用して被クリーニング部材をクリーニングする場合、クリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、画像形成装置内において、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されず、例えば、中間転写体や、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられるが、本実施形態においては、像保持体であることが特に望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の異物を異物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
また、クリーニングブレード先端部が像保持体に食込む長さが0.8mm以上1.2mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.1mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置およびクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図4中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
尚、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図4中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
図5は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図4中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図5中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335は層厚規制部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
図1は、本実施形態のクリーニングブレードの一例を示す模式断面図であり、図5中に示すクリーニングブレード342を、これに接触する感光体ドラム31と共に示した図である。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えば層厚規制部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(またはベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
・ポリオール1(ポリエーテルポリオール):ポリオキシテトラメチレングリコール[PTMG](保土谷化学工業株式会社製、PTG2000、平均分子量2000、水酸基価56.5KOHmg/g)
・ポリオール2(ポリエステルポリオール):ブチレンアジペート(日本ポリウレタン工業株式会社製、ニッポラン4010 平均分子量2000、水酸基価55.0KOHmg/g)
・イソシアネート:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、日本ポリウレタン工業株式会社製)
・鎖延長剤:1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)
・触媒1:DBU〔1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7〕−オクチル酸塩(サンアプロ株式会社製、−U−CAT SA 102)
−クリーニングブレードA1−
まず、ポリオール1(PTMG)をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、鎖延長剤(1,4−ブタンジオール)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
クリーニングブレード組成を、下記表1に示す通り変更した以外は、実施例1に記載の方法により、クリーニングブレードを得た。
<示差走査熱量測定(DSC)>
ASTM D3418−99に準じ、示差走査熱量測定(DSC)にて、吸熱ピークP1(吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲)、P2low(吸熱ピークトップ温度が120℃以上180℃未満の範囲)、およびP2high(吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲)におけるピーク温度およびピーク熱量を測定した。結果を下記表1に示す。
また、実施例1、2、比較例2〜6で作製したクリーニングブレードについての示差走査熱量測定の結果を示すグラフを、図6および図7に示す。
<結晶球の平均面積比>
粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率(断面における平均面積比/下記においては「粒径10−200nmの結晶球の比」と称す)、粒径200nmを超え5μm未満の結晶球の存在比率(下記においては「粒径200nm−5μmの結晶球の比」と称す)、および、粒径5μm以上の結晶球の存在比率(下記においては「粒径5μm以上の結晶球の比」と称す)を、それぞれ前述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
更に、クリーニングブレードの硬度(JIS−A)を下記の方法により測定した。硬度(JIS−A)は、JISK6253(1997)に記載のタイプA デュロメータを用いて測定した硬さであり、ブレードの感光体接触面を軸方向に3点測定し、平均値を求めることによって測定した。
以下の引張試験により、モジュラスを測定した。
100%モジュラスMは、JIS−K6251に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
<画像品質評価試験>
前記より得た実施例および比較例のクリーニングブレードを、それぞれ図4に示す画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color a450)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。このカラー複写機を用い、画像濃度が1%(A4サイズの用紙に6.2mm×1mmのベタ画像が載っているもの)の画像形成を用紙(富士ゼロックス社製、C2r紙)に2,000枚繰り返した。そのあとのクリーニングブレードの変形具合、色スジの画質欠陥の発生状態を下記の基準で目視により評価した。
A:色スジが確認されない
B:画像に色スジが僅かに確認されるが許容範囲
C:画像に色スジが確認され、許容し得ない
上記試験後、クリーニングブレードのエッジ欠けの有無について観察し、以下の評価基
準により評価した。
A:感光体接触面をレーザー顕微鏡で観察し、欠けが無し
B:微小な欠けが発生したが、画像上問題がなし
C:欠けが発生し、縦筋の画像不良が発生
以下の方法により、クリーニングブレードの耐摩耗性を評価した。
高温高湿環境(32.5℃,85RH%)下にて、感光体の積算回転数が100KサイクルになるまでA4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製、P紙)を用いて画像形成させた。その後、クリーニングブレードの接触部(エッジ)先端の摩耗深さと、クリーニング不良とを併せて評価し、エッジ磨耗を判断した。尚、テストに際しては、感光
体とクリーニングブレードとの接触部における潤滑効果を小さくした過酷な条件で評価するため、形成する画像の像密度を1%とした。また、エッジ先端の摩耗深さは、クリーニングブレードの断面側からキーエンス社製、レーザ顕微鏡VK−8510により観察した時に確認される、感光体表面側のエッジ欠落部の最大深さとした。
更に、クリーニング不良の評価は、上記のテスト終了後に、画像密度100%の未転写ベタ画像(ベタ画像サイズ1400mm×290mm)が形成されたA3用紙を、感光体とクリーニングブレードとの間に通常のプロセススピードで給紙して、未定着画像の搬送方向最後端部分が感光体とクリーニングブレードとの接触部を通過し終えた直後に実機を停止し、トナーの擦り抜け有無を目視で確認した。顕著な擦り抜けが認められる場合をクリーニング不良とした。尚、エッジ先端の摩耗や欠けにより、トナーを塞き止める部位が欠落している場合はエッジ摩耗深さや欠け深さが大きい程、上述したテストでクリーニング不良が発生し易くなるため、上記テストはエッジ先端の摩耗や欠けの定性的評価に有用である。
エッジ摩耗の評価基準を以下に示す。尚、許容範囲はAおよびBである。
A:先端部摩耗深さ :3μm以下且つ摩耗跡無し
クリーニング不良:未発生
B:先端部摩耗深さ :3μmを超え、5μm以下
クリーニング不良:未発生
C:先端部摩耗深さ :3μmを超える
クリーニング不良:発生
ブレードの接触部分(エッジ)において摩耗が生じた箇所の摩耗量(μm2)を以下の方法により測定した。株式会社キーエンス社製のレーザ顕微鏡VK−8510にて、ブレードの先端面3Bの接触部分(エッジ)表面プロファイルを観察し、摩耗のない状態と、摩耗した状態の断面積差を算出することで、摩耗断面積を求めた。
Claims (8)
- ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成されるクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンゴムが、材料の一つにポリエーテルポリオールを用いたゴムである請求項1に記載のクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg未満である請求項1または請求項2に記載のクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンゴム部材における、粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以上20%以下であり、且つ粒径200nmを超える結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で10%以下である請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のクリーニングブレード。
- 前記ポリウレタンゴム部材における、粒径5μm以上の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以下である請求項4に記載のクリーニングブレード。
- 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のクリーニングブレードを備えた清掃装置。
- 請求項6に記載の清掃装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させて清掃する請求項6に記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置。
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