JP2017043670A - 二酸化バナジウム分散液及び二酸化バナジウム塗料 - Google Patents

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岳洋 米澤
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Abstract

【課題】可塑剤を含まずに長時間静置しても良好な分散性を保つ二酸化バナジウム分散液を提供する。プラスチック基材に塗布し硬化させた膜において白濁等の劣化が生じることがなく透明性を持たせる二酸化バナジウム塗料を提供する。
【解決手段】本発明の二酸化バナジウム分散液は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む。また、本発明の二酸化バナジウム塗料は、上記二酸化バナジウム分散液と、バインダ樹脂とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、サーモクロミック特性を有する二酸化バナジウム粒子(VO2粒子)を分散した分散液と、この分散液を用いた二酸化バナジウム塗料に関するものである。
従来、二酸化バナジウム粒子と、ポリカルボン酸と、液状可塑剤とを含有する二酸化バナジウム粒子分散液(例えば、特許文献1参照。)や、二酸化バナジウム粒子と、グリセリンエステルと、液状可塑剤とを含有する二酸化バナジウム粒子分散液(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。特許文献1に示された二酸化バナジウム粒子分散液では、ポリカルボン酸を用いることにより、サーモクロミック性を向上させることができる。また、ポリカルボン酸は、液状可塑剤中に二酸化バナジウム粒子を微分散させるための分散剤の役割も有する。この結果、二酸化バナジウム粒子分散液は、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した状態に保たれるので、この二酸化バナジウム粒子分散液を、サーモクロミック性に優れた合わせガラス用中間膜として用いることができる。
一方、特許文献2に示された二酸化バナジウム粒子分散液では、グリセリンエステルが、液状可塑剤中に二酸化バナジウム粒子を微分散させるための分散剤の役割を有する。この結果、二酸化バナジウム粒子分散液は、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した状態に保たれるので、この二酸化バナジウム粒子分散液を、サーモクロミック性に優れた合わせガラス用中間膜として用いることができる。
特開2012−25629号公報(請求項1、段落[0013]、[0026]) 特開2012−25630号公報(請求項1、段落[0013]、[0026])
可塑剤を含有するプラスチック製品が他のプラスチック製品に接触した状態が長時間維持されると、プラスチック製品に含有している可塑剤が他のプラスチック製品に移行することで融合するおそれがある。上記従来の特許文献1及び2に示された二酸化バナジウム粒子分散液は、液状可塑剤を含有しているため、これらの二酸化バナジウム粒子分散液をプラスチック基材に成膜した場合、上記融合現象によりプラスチック基材が侵されて白濁等の劣化が起こるおそれがあった。また、上記従来の特許文献1及び2に示された二酸化バナジウム粒子分散液では、二酸化バナジウム粒子が太陽光を吸収し発熱する使用目的を有し、高温に曝されるため、上記融合現象が短期間のうちに進行する問題点があった。
本発明の第1の目的は、可塑剤を含まずに、長時間静置しても、良好な分散性を保つことができる、二酸化バナジウム分散液を提供することにある。本発明の第2の目的は、プラスチック基材に塗布し硬化させた膜において白濁等の劣化が生じることがなく透明性を持たせることができる、二酸化バナジウム塗料を提供することにある。
本発明の第1の観点は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む二酸化バナジウム分散液である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に記載の二酸化バナジウム分散液と、バインダ樹脂とを含む二酸化バナジウム塗料である。
本発明の第1の観点の二酸化バナジウム分散液では、分散剤がアミノ基を有するので、分散性の良好な分散液を得ることができる。これは、アミノ基が二酸化バナジウム粒子表面と結合し易いためであると考えられる。また分散剤がカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方を有するので、分散媒との相性が良くなる。これは、カルボキシル基及び水酸基は、極性が高く、アルコール、グリコール、エーテル、ケトンなどの極性溶媒に対して相溶性があるためであると考えられる。この結果、上記二酸化バナジウム分散液は、長時間静置しても、良好な分散性を保つことができる。更に、可塑剤を用いないので、二酸化バナジウム分散液を含む塗料をプラスチック基材に塗布し硬化させても、白濁等が生じず有色透明のクリアな膜を形成できるとともに、この膜中の二酸化バナジウム粒子が太陽光を長期間にわたって吸収し発熱しても、白濁等の劣化が生じることがない。
本発明の第2の観点の二酸化バナジウム塗料では、熱や紫外線(UV)等で重合反応して硬化するバインダ樹脂を用いたので、二酸化バナジウム塗料を塗布して、サーモクロミック性能を有する窓用透明フィルム等を作製する際に、加工性を損なわずに硬化させることができる、即ち二酸化バナジウム塗料を塗布して形成された膜を比較的容易に硬化させることができる。また、上記二酸化バナジウム塗料中の分散剤がカルボキシル基や水酸基を含むので、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の化学反応型樹脂との相溶性が高い二酸化バナジウム塗料を得ることができる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。本発明の二酸化バナジウム分散液は、二酸化バナジウム粒子と、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒とを含む。二酸化バナジウム粒子の平均粒径は、10〜200nmの範囲内にあることが好ましい。ここで、二酸化バナジウム粒子の平均粒径を10〜200nmの範囲内に限定したのは、10nm未満では二酸化バナジウム粒子の欠陥が多くなって、二酸化バナジウム粒子の有するサーモクロミック特性が劣化してしまい、200nmを超えると光が散乱して、膜が濁ってしまうからである。なお、二酸化バナジウム粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−950)を用いて測定した粒径であり、体積基準平均粒径である。
また、分散剤の炭素骨格は、直鎖構造を持つとともに、側鎖を有するように構成されることができる。そして、上記炭素骨格に、アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有することが好ましい。即ち、上記炭素骨格に、アミノ基とカルボキシル基とを有するか、アミノ基と水酸基とを有するか、或いはアミノ基とカルボキシル基と水酸基とを有することが好ましい。分散剤の具体例としては、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製)、ソルスパース32000(日本ルーブリゾール社製)、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
一方、分散媒として用いられるアルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。また、分散媒として用いられるグリコールの具体例としては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、分散媒として用いられるエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。更に、分散媒として用いられるケトンの具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
このように構成された二酸化バナジウム分散液の製造方法を説明する。先ず、二酸化バナジウム粒子と分散剤と分散媒とを所定の割合で混合した混合物を分散処理する。このとき直径0.1〜1.0mmのZrO2製又はAl23製のビーズを上記混合物に入れて、ペイントシェーカ等で5〜50時間振とうすることにより、二酸化バナジウム粒子及び分散剤を分散媒中に分散させることが好ましい。また、上記所定の割合は、二酸化バナジウム粒子/分散剤が質量比で2〜50の範囲内であることが好ましく、分散媒/(二酸化バナジウム粒子+分散剤)が質量比で1.5〜70の範囲内であることが好ましい。次に、上記二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散した分散媒をビーズから分離する。これにより二酸化バナジウム分散液が得られる。
ここで、ビーズの直径を0.1〜1.0mmの範囲内に限定したのは、ビーズ径が小さいほど均一に分散できるけれども、0.1mm未満ではビーズと分散液の分離操作が困難になるからである。また、ペイントシェーカ等による混合時間を5〜50時間の範囲内に限定したのは、5時間未満では二酸化バナジウム粒子及び分散剤を分散媒中に十分に分散できず、50時間を超えると二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散媒中に十分に分散されて分散状態が殆ど変化しなくなるからである。また、二酸化バナジウム粒子/分散剤を質量比で2〜50の範囲内に限定したのは、2未満では分散剤が多いため、成膜した際に揮発し難い成分が多く残留してしまい、最終的な膜硬度を損なう懸念があり、50を超えると分散剤の効果が不十分であり沈殿が生じてしまうからである。更に、分散媒/(二酸化バナジウム粒子+分散剤)を質量比で1.5〜70の範囲内に限定したのは、1.5未満では分散液の粘度が高くなるため、分散効果が低下すると同時に、分散液の回収が困難になってしまい、70を超えると回収される分散液の濃度が薄いため、生産性が低下してしまうからである。
このように製造された二酸化バナジウム分散液では、分散剤がアミノ基を有するので、アミノ基が二酸化バナジウム粒子表面と結合し易くなることにより、二酸化バナジウム粒子が分散媒中に均一に分散し、分散性の良好な二酸化バナジウム分散液を得ることができる。また分散剤がカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方を有するので、極性溶媒との相溶性が高くなることにより、二酸化バナジウム粒子及び分散剤が分散媒に対して相性が良くなる。この結果、上記二酸化バナジウム分散液は、長時間静置しても、良好な分散性を保つことができる。
一方、二酸化バナジウム塗料は、上記二酸化バナジウム分散液と、バインダ樹脂とを含む。ここで、バインダ樹脂としては、化学反応型樹脂又は乾燥硬化型樹脂を挙げることができる。化学反応型樹脂としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等が例示され、乾燥硬化型樹脂は、溶媒中にポリマーが溶解しており、この溶媒が乾燥により除去されることでポリマー同士が絡み合い硬化する樹脂を指し、溶剤系変性エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が例示される。また、熱硬化性樹脂の具体例としては、モノマーとして、アクリル(例えば、ビームセット577(荒川化学社製)など)、エポキシアクリレート、シリコーン等が挙げられ、パーブチルO(日本油脂社製)、ナイパーNS(日本油脂社製)、スペロックス570(アルケマ吉富社製)、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)等の熱で開裂する重合開始剤が添加される。紫外線硬化性樹脂の具体例としては、モノマーとして、アクリル、エポキシアクリレート、シリコーン等が挙げられ、イルガキュア184(BASF社製)、イルガキュア907(BASF社製)、アデカオプトマーN−1919(ADEKA社製)等の紫外線で開裂する重合開始剤が添加される。なお、アデカオプトマーKR−400(ADEKA社製)、アデカオプトマーKR−550(ADEKA社製)、アデカオプトマーKR−566(ADEKA社製)、アクリット8SS−723(大成ファインケミカル社製)、A−1790(テスク社製)などの紫外線硬化型の樹脂は、適合する重合開始剤が添加されているため、これらを紫外線硬化性樹脂としてそのまま用いることができる。更に、乾燥硬化型変性エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、アラキード−9203(荒川化学社製)が挙げられ、乾燥硬化型ポリウレタン樹脂としては、例えば、オレスターUD800(三井化学社製)が挙げられる。
このように構成された二酸化バナジウム塗料の製造方法を説明する。先ず、溶媒に光重合開始剤を添加することにより、溶媒を調製しておくことが好ましい。この溶媒としては、上記二酸化バナジウム分散液の分散媒と同じものを用いることが好ましい。また、光重合開始剤の添加割合は、樹脂モノマー100質量%に対して0.5〜30質量%であることが好ましい。ここで、光重合開始剤の添加割合を樹脂モノマー100質量%に対して0.5〜30質量%の範囲内に限定したのは、0.5質量%未満では樹脂の硬化が不十分になり、30質量%を超えると変色や経年的な劣化が発生し易くなるからである。次に、上記溶媒に、バインダ樹脂を混合して樹脂溶液を調製する。このバインダ樹脂の混合割合は、特に制限されないけれども、ハンドリングの点から樹脂溶液100質量%に対して1〜80質量%であることが好ましい。更に、この樹脂溶液に二酸化バナジウム分散液を添加し混合することにより、二酸化バナジウム塗料が得られる。上記二酸化バナジウム分散液に加える二酸化バナジウム粒子の添加割合は、塗料中の固形分(樹脂モノマー、重合開始剤及び二酸化バナジウム粒子の合計)100質量%に対して50質量%以下であれば問題ないけれども、ハンドリングの点から0.1〜10質量%であることが好ましい。
このように製造された二酸化バナジウム塗料では、この塗料中の分散剤がカルボキシル基や水酸基を含むので、分散液のバインダ樹脂との相溶性が高くなる。この結果、分散液中の二酸化バナジウム及び分散剤がバインダ樹脂の溶けた溶剤中に均一に分散する。また、バインダ樹脂として、熱や紫外線(UV)等で重合反応して硬化する化学反応型樹脂を用いれば、二酸化バナジウム塗料を基材上に塗布して形成された膜を比較的容易に硬化させることができる。この結果、可塑剤を含有しなくても、加工性を損なわずにサーモクロミック性能を有する膜を基材上に硬化させることができる。更に、可塑剤を用いないので、二酸化バナジウム分散液を含む塗料をプラスチック基材上に塗布し硬化させても、白濁等が生じず有色透明のクリアな硬化膜を形成できるとともに、この硬化膜中の二酸化バナジウム粒子が太陽光を長期間にわたって吸収し発熱しても、白濁等の劣化が生じることがないので、硬化膜中の二酸化バナジウム粒子が、特定の温度以上になると結晶構造が変わって半導体から金属に相転移し、今まで絶縁体であったものがキャリアの電子が増えて赤外線の透過率を大きく減少させることができるというサーモクロミック性能を長期間発揮し続け、サーモクロミック性能を有する硬化膜の耐久性を向上できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、平均粒径20μmの二酸化バナジウム粒子2gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:分散媒)17.4gと、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)0.6gと、直径0.5mmのZrO2製ビーズ66gとを規格瓶No.10に入れ、ペイントシェーカを用いて、20時間分散処理した。次に、この二酸化バナジウム分散液をZrO2製ビーズから分離した。この二酸化バナジウム分散液を実施例1とした。
<比較例1>
実施例1のアミノ基を有するソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)に替えて、アミノ基を有しないソルスパース41000(日本ルーブリゾール社製:分散剤)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして二酸化バナジウム分散液を調製した。この二酸化バナジウム分散液を比較例1とした。
<比較例2>
先ず、平均粒径20μmの二酸化バナジウム粒子2.0gと、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(分散媒・可塑剤)17.4gと、ポリカルボン酸(分散剤)0.6gと、直径0.5mmのZrO2製ビーズ66gとを規格瓶No.10に入れ、ペイントシェーカを用いて、20時間分散処理した。次に、この二酸化バナジウム分散液をZrO2製ビーズから分離した。この二酸化バナジウム分散液を比較例2とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1、比較例1及び比較例2の二酸化バナジウム分散液を24時間静置した。そして、各分散液の状態を目視により観察した。また、各分散液のD50メジアン径をそれぞれ測定した。
その結果、比較例1及び比較例2の二酸化バナジウム分散液は、塗料化し二酸化バナジウム粒子等の沈殿が生じてしまい、D50メジアン径を測定できなかった。これに対し、実施例1の二酸化バナジウム分散液は、分離や二酸化バナジウム粒子等の沈殿が生じず、D50メジアン径が83nmである分散性の良好な分散液であった。
<実施例2>
先ず、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:溶媒)4.4gに、イルガキュア907(BASF社製:光重合開始剤)1.14gを溶解することにより、溶媒を調製した。次に、この溶媒に、ビームセット577(荒川化学工業社製:光硬化性樹脂)6.46gを混合して樹脂溶液を調製した。更に、この樹脂溶液に実施例1の分散液4gを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。この二酸化バナジウム塗料を実施例2とした。
<比較例3>
先ず、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:分散媒)4.4gにイルガキュア907(BASF社製:光重合開始剤)1.14gを溶解して溶媒を調製した。次に、この溶媒に、ビームセット577(荒川化学工業社製:光硬化性樹脂)6.46gを混合して樹脂溶液を調製した。更に、この樹脂溶液に比較例1の分散液4gを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。この二酸化バナジウム塗料を比較例3とした。
<比較例4>
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:分散媒)4.4gに、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:エスレックBH−8)7.6gと、比較例2の分散液4.0gとを添加し混合して、二酸化バナジウム塗料を得た。この二酸化バナジウム塗料を比較例4とした。
<比較試験2及び評価>
実施例2、比較例3及び比較例4の二酸化バナジウム塗料の分散性を目視により観察した。また、実施例2、比較例3及び比較例4の二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し、乾燥し、更に紫外線照射して、ポリカーボネート板上に硬化膜を形成した後に、これらの硬化膜の目視による観察と、高温環境試験後の目視による観察を行った。ポリカーボネート板上に硬化膜を形成するために、先ず、縦、横及び厚さがそれぞれ50mm、50mm及び2mmであるタキロン社製のポリカーボネート板PC1600をセットし、このポリカーボネート板状に実施例2及び比較例2の二酸化バナジウム塗料500μリットルを滴下し、1000rpmの回転速度で30秒間スピンコートして塗膜を形成した。次に、このポリカーボネート板を90℃の乾燥炉に5分間入れて、ポリカーボネート板上の塗膜を乾燥した。更に、このポリカーボネート板上の塗膜を、ベルト式UV照射装置(ウシオ電機社製)に通し硬化させた。具体的には、上記UV照射装置のメタルハライドランプの出力を80Wに設定し、上記二酸化バナジウム粒子を含む乾燥塗膜付きのポリカーボネート板を5m/秒の送り速度でUV照射装置内を搬送させることにより、紫外線を5回照射してポリカーボネート板上の膜を硬化させた。そして、ポリカーボネート板上の硬化膜の状態を目視により観察した。
ポリカーボネート板上の硬化膜の高温環境試験は、80℃のオーブン中で120時間保管した後、目視によって白濁やクラックの有無を評価した。
その結果、比較例3及び比較例4の二酸化バナジウム塗料は、透明な上澄み層と沈殿層の2層に分離してしまい、分散性の良好な塗料を得ることができなかった。これに対し、実施例2の二酸化バナジウム塗料では、沈殿が生じず、分散性の良好な塗料を得ることができた。また、比較例3及び比較例4の硬化膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集により粗大粒子が生じたため、樹脂のみの透明な部分と目視で確認できるサイズの黒色の二酸化バナジウム粒子の凝集体との斑な膜となり、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができなかった。特に比較例4の硬化膜は、その塗料の原料である比較例2の分散液に可塑剤を含むため、透明性に劣っていた。これに対し、実施例2の硬化膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集が生じなかったため、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができた。更に、高温環境試験後の比較例3及び比較例4の硬化膜は可塑剤が樹脂膜からポリカーボネート板に移行したコートによる白濁が生じたのに対し、高温環境試験後の実施例2の硬化膜は有色透明のクリアな状態のままであった。
<実施例3〜5>
実施例3〜5の二酸化バナジウム分散液は、表1に示す分散剤及び分散媒を用いて調製した。なお、表1に示した分散剤及び分散媒以外の配合は、実施例1と同様にして、分散液を調製した。
<比較試験3及び評価>
比較試験1と同様に、実施例3〜5の二酸化バナジウム分散液を24時間静置した。そして、各分散液の状態を目視により観察した。また、各分散液のD50メジアン径をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2017043670
表1から明らかなように、実施例3〜5の二酸化バナジウム分散液は、分離や二酸化バナジウム粒子等の沈殿が生じず、D50メジアン径が85〜91nmである分散性の良好な分散液であった。
<実施例6〜10>
実施例6〜8の二酸化バナジウム塗料は、表2に示す化学反応型樹脂を用いて調製し、実施例9及び10の二酸化バナジウム塗料は、表2に示す乾燥硬化型樹脂を用いて調製した。表2に示した化学反応型樹脂及び乾燥硬化型樹脂以外の配合は、実施例2と同様にして、塗料を調製した。
<比較試験4及び評価>
実施例6〜10の二酸化バナジウム塗料の分散性を目視により観察した。また、比較試験3と同様に、実施例6の二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し、乾燥し、更に紫外線照射して、ポリカーボネート板上に硬化膜を形成した後に、この硬化膜の目視による観察と、上記硬化膜の高温環境試験後の目視による観察を行った。また、実施例7及び8については、二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布し乾燥した後に、120℃に10分間保持する加熱を行って、ポリカーボネート板上に硬化膜を形成したこと以外は、比較試験3と同様に、これらの硬化膜の目視による観察と、上記硬化膜の高温環境試験後の目視による観察を行った。更に、実施例9及び10については、二酸化バナジウム塗料をポリカーボネート板上に塗布した後に、90℃に10分間保持する乾燥を行って、ポリカーボネート板上に硬化膜を形成したこと以外は、比較試験3と同様に、これらの硬化膜の目視による観察と、上記硬化膜の高温環境試験後の目視による観察を行った。その結果を表2に示す。なお、表2において、アクリット8SS−723(大成ファインケミカル社製)とA−1790(テスク社製)は、紫外線で開裂する重合開始剤が既に添加されている化学反応型樹脂である。また、表2において、ビームセット577(荒川化学社製)はアクリル系のモノマーであり、ナイパーNS(日本油脂社製)は熱で開裂する重合開始剤である。
Figure 2017043670
表2から明らかなように、実施例6〜10の二酸化バナジウム塗料では、沈殿が生じず、分散性の良好な塗料を得ることができた。また、実施例6〜10の硬化膜を有するポリカーボネート板では、二酸化バナジウム粒子の凝集が生じなかったため、有色透明のクリアなサーモクロミックフィルムを得ることができた。更に、実施例6〜10のポリカーボネート板上の硬化膜は、高温環境試験後も有色透明のクリアな状態のままであった。

Claims (2)

  1. 二酸化バナジウム粒子と、
    アミノ基とカルボキシル基又は水酸基のいずれか一方又は双方とを有する分散剤と、
    アルコール、グリコール、エーテル又はケトンからなる分散媒と
    を含む二酸化バナジウム分散液。
  2. 請求項1記載の二酸化バナジウム分散液と、バインダ樹脂とを含む二酸化バナジウム塗料。
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