JP2017033784A - 絶縁電線 - Google Patents

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正信 中橋
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Abstract

【課題】耐熱性および難燃性に優れ、かつ低発煙性および低毒性である絶縁電線を提供する。【解決手段】導体と導体の外周上に設けられる絶縁被覆層とを備える絶縁電線であって、絶縁被覆層が、テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4のαオレフィンとを重合させて得られるテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体を含むベースポリマを含有する含フッ素エラストマ組成物で形成された絶縁電線である。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線に関する。
絶縁電線は、導体の外周上に絶縁被覆層を備えて構成されており、例えば鉄道車両などの配線として用いられている。
鉄道車両に用いられる絶縁電線の絶縁被覆層には、機械的特性に優れるだけでなく、鉄道車両の火災時における安全性の観点から、難燃性に優れていること、煙の発生量が少なく、低発煙性であること、そして、燃焼により発生する有毒ガスが少なく、低毒性であることが求められている。また、鉄道車両の高性能化に伴い、絶縁電線が使用される環境の温度が高くなる傾向があるため、高温環境下に長期間にわたって放置された場合でも劣化しにくく、耐熱性に優れていることも求められている。
そこで、従来、絶縁被覆層の形成材料としては、シリコーンゴム組成物が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013−129740号公報
ところで、近年、絶縁電線には、火災時の安全性を高める観点から、海外の火災安全性規格(例えばEN規格やBS規格)に合格するような高い火災安全性が求められている。また、より高い機械的特性および耐熱性が求められている。
しかしながら、特許文献1に示すようなシリコーンゴム組成物では、火災安全性および機械的特性、耐熱性を高い水準でバランスよく得ることが困難となっている。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、機械的特性、耐熱性および難燃性に優れ、かつ低発煙性および低毒性である絶縁電線を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
導体と前記導体の外周上に設けられる絶縁被覆層とを備える絶縁電線であって、
前記絶縁被覆層が、テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4のαオレフィンとを重合させて得られるテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体を含むベースポリマを含有する含フッ素エラストマ組成物で形成されており、
試験方法EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験を行ったときに、前記絶縁電線の上端から炭化上部までの距離が50mm以上、炭化下部までの距離が540mm未満である難燃性と、
試験方法BS6853に準拠した発煙性試験を行ったときの光学密度の目標値が、絶縁電線の外径をd[mm]としたときに下記式(1)で示されるA0(ON)以下、かつ下記式(2)で示されるA0(OFF)以下となるような低発煙性と、
試験方法NFX−70−100に準拠した毒性試験を行ったときの毒性ガス総量指数が1.0以下である毒性と、を有する、絶縁電線が提供される。
A0(ON)={(tan−1(d/45)×180/π)/45}−{(tan−1(d)×180/π)/2025}・・・(1)
A0(OFF)=1.5×A0(ON)・・・(2)
本発明によれば、機械的特性、耐熱性および難燃性に優れ、かつ低発煙性および低毒性である絶縁電線が得られる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る絶縁電線について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
絶縁電線10は、図1に示すように、導体11と、導体11の外周上に設けられる絶縁被覆層12と、を備えて構成されている。
導体11としては、通常用いられる金属線、例えば銅線、銅合金線の他、アルミニウム線、金線、銀線などを用いることができる。また、金属線の外周に錫やニッケルなどの金属めっきを施したものを用いてもよい。さらに、金属線を撚り合わせた集合撚り導体を用いることもできる。
絶縁被覆層12は、導体11の外周を被覆するように設けられ、後述する含フッ素エラストマ組成物で形成されている。絶縁被覆層12は、例えば、含フッ素エラストマ組成物を導体11の外周を被覆するように押し出して成形し、架橋させることにより形成されている。
本実施形態の含フッ素エラストマ組成物は難燃性に優れ、低発煙性および低毒性であるため、それから形成される絶縁被覆層12は、高い火災安全性を有している。
具体的には、絶縁被覆層12は、絶縁電線1に試験方法EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験を行ったときに、絶縁電線1の上端から炭化上部までの距離が50mm以上、炭化下部までの距離が540mm未満となり、規格EN45545−2を満たすような高い難燃性を有している。
また、試験方法BS6853に準拠した発煙性試験を行ったときの光学密度の目標値が、絶縁電線の外径をd[mm]としたときに下記式(1)で示されるA0(ON)以下、かつ下記式(2)で示されるA0(OFF)以下となるような低発煙性を有している。
A0(ON)={(tan−1(d/45)×180/π)/45}−{(tan−1(d)×180/π)/2025}・・・(1)
A0(OFF)=1.5×A0(ON)・・・(2)
また、試験方法NFX−70−100に準拠した毒性試験を行ったときの毒性ガス総量指数が1.0以下となり、規格BS6853を満たすような低毒性を有している。
さらに、含フッ素エラストマ組成物が機械的特性および耐熱性に優れているため、絶縁被覆層12は初期状態(劣化前の状態)で機械的特性に優れるうえに、高温環境下に長期間にわたって放置されても劣化しにくく、機械的特性を高く維持することができる。具体的には、絶縁被覆層12は、初期状態で引張強さが15MPa以上、かつ伸びが200%以上となるような高い機械的特性を有するとともに、250℃の高温環境下に4日間、放置された後でも加熱劣化による機械的特性の低下が少なく、引張強さ残率および伸び残率がいずれも80%以上となるような高い耐熱性を有している。
ここで、絶縁被覆層12を形成する含フッ素エラストマ組成物について具体的に説明する。
含フッ素エラストマ組成物は、テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4のαオレフィンとを重合させて得られるテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種を含むベースポリマを含有する。テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体は、テトラフルオロエチレンとαオレフィンとを有しており、テトラフルオロエチレンに由来するフッ素原子を化学構造中に含んでいる。そのため、含フッ素エラストマ組成物は、難燃性や耐熱性に優れ、また燃焼したときの煙の発生量が少なく、毒性ガスの生成量も少ない。
ベースポリマのフッ素含有量は、特に限定されないが、絶縁被覆層12の難燃性および耐熱性の観点からは多いことが好ましい。具体的には、55質量%以上が好ましく、57質量%以上がより好ましい。一方、フッ素含有量が多すぎると、絶縁被覆層12の引張強さと伸びとのバランスが悪くなって機械的特性が低下するおそれがあるため、65質量%以下であることが好ましく、63質量%以下であることがより好ましい。すなわち、フッ素含有量を、好ましくは55質量%〜65質量%、より好ましくは57質量%〜63質量%とすることにより、絶縁被覆層12の機械的特性を高く維持しつつ、難燃性および耐熱性を向上させることができる。
なお、本明細書において、ベースポリマのフッ素含有量とは、テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体のフッ素含有量(質量%)をx、その共重合体のベースポリマに占める割合をyとしたとき、x×yで示される。また、ベースポリマにテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体として2種以上を用いる場合、各xyを求め、それらを合計することでベースポリマのフッ素含有量が算出される。
炭素数2〜4のαオレフィンとしては、テトラフルオロエチレンと共重合してエラストマ性状を呈するものであれば特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1及びイソブテンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。絶縁被覆層12において高い難燃性および耐熱性を得る観点からは、ベースポリマが、テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体として、少なくともテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体(以下、「TFEP共重合体」ともいう)を含むことが好ましい。また、後述するように、ベースポリマのフッ素含有量を調整する観点からは、ベースポリマが、TFEP共重合体に加え、テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体として、エチレンーテトラフルオロエチレン系共重合体(以下、「ETFE共重合体」ともいう)をさらに含有することが好ましい。
TFEP共重合体としては、主にテトラフルオロエチレンおよびプロピレンから構成されていればよいが、これらと共重合可能な第3の成分が適宜重合されていてもよい。共重合可能な第3の成分としては、例えば、エチレン、イソブチレン、アクリル酸及びそのアルキルエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン、クロロエチルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。なお、TFEP共重合体において、テトラフルオロエチレンとポリプロピレンとのモル比率は特に限定されないが、難燃性や耐熱性の観点からはフッ素含有量が多くなるようにテトラフルオロエチレンのモル比率が大きいことが好ましい。
ETFE共重合体は、TFEP共重合体と比較してフッ素含有量が多い化合物である。TFEP共重合体にETFE共重合体を混合し、ベースポリマとすることにより、ベースポリマのフッ素含有量を増加させることができる。これにより、絶縁被覆層12の耐熱性や難燃性をさらに向上させることができる。また、ETFE共重合体は、高い結晶性を有するため、絶縁被覆層12の機械的特性(引張強さ)を向上させることができる。
ETFE共重合体としては、主にテトラフルオロエチレンおよびエチレンから構成されていればよいが、第3の成分としてフルオロオレフィンが重合されていてもよい。このフルオロオレフィンとしては、例えばクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン1、1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロパン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロペン−1などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ETFE共重合体において、テトラフルオロエチレンとエチレンとのモル比率は特に限定されないが、難燃性や耐熱性の観点からはフッ素含有量が多くなるようにテトラフルオロエチレンのモル比率が大きいことが好ましい。
ベースポリマにおいて、TFEP共重合体とETFE共重合体との混合比率は、特に限定されず、例えばベースポリマにおけるフッ素含有量が55質量%〜65質量%となるような比率であるとよい。ETFE共重合体の混合比率が過度に大きくなると、ベースポリマにおけるフッ素含有量が多くなるので、絶縁被覆層12の引張強さは高まるものの、伸び性(可とう性)が損なわれるおそれがある。そのため、引張強さおよび伸び性を高い水準でバランスよく維持する観点からは、TFEP共重合体とETFE共重合体との混合比率を50:50〜100:0の範囲内にすることが好ましく、60:40〜80:20の範囲内にすることがより好ましい。
テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、低すぎると、絶縁被覆層12の機械的特性が低くなるおそれがあるので、2万以上であることが好ましい。一方、数平均分子量が高すぎると、含フッ素エラストマ組成物の押出成形性が低下し、絶縁被覆層12にクラックが発生するおそれがあるので、20万以下であることが好ましい。すなわち、数平均分子量を2万〜20万の範囲とすることにより、絶縁被覆層12におけるクラックの発生を抑制できるとともに機械的特性を向上させるこことができる。なお、数平均分子量の調整は、単量体濃度、重合開始剤濃度、単量体対重合開始剤量比、重合温度、連鎖移動剤使用等の共重合反応条件の操作により直接生成重合体の分子量を調整する方法、あるいは共重合反応時には高分子量共重合体を生成し、これを酸素存在下に加熱処理するなどして低分子量化する方法により行うことができる。
含フッ素エラストマ組成物には、絶縁被覆層12の機械的特性を向上させる観点から充填剤を配合するとよい。この充填剤としては、無機充填剤が好ましく、例えば、シリカや無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム等を用いることができる。その中でも、特にシリカが好ましい。シリカは、絶縁被覆層12の機械的特性を向上させるだけでなく、絶縁被覆層12の燃焼の際に絶縁被覆層12の表面に炭化層を形成することで燃焼を抑制し、絶縁被覆層12の難燃性を向上できる。
充填剤の配合量は、特に限定されないが、配合量が過度に多くなると、絶縁被覆層12の機械的特性や耐熱性が損なわれるおそれがあるので、ベースポリマ100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。また、絶縁被覆層12において所望の機械的特性を得る観点からは、ベースポリマ100質量部に対して5質量部以上であることが好ましい。すなわち、充填剤を5質量部以上30質量部以下配合することにより、絶縁被覆層12の耐熱性を損なうことなく、機械的特性を向上させることができる。
また、含フッ素エラストマ組成物には、架橋させるために架橋剤や架橋助剤を配合するとよい。架橋方法としては、含フッ素エラストマ組成物に架橋剤(有機過酸化物やアミン類など)を添加し、加熱することにより架橋させる化学架橋や、含フッ素エラストマ組成物に架橋助剤を添加し、γ線や電子線などの電離放射線を照射して架橋させる照射架橋などが挙げられる。化学架橋の場合、架橋後のイオン性不純物の残留を抑制する観点から、架橋剤として有機過酸化物を用いることが好ましく、例えば、パーオキシケタールやハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等を用いるとよい。これらの中でも反応性の観点からはジアルキルパーオキサイドが特に好ましい。照射架橋の場合、架橋助剤を配合するとよく、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート等のアリル型化合物を用いるとよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、含フッ素エラストマ組成物には、必要に応じて、その他の無機充填剤や安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤などを配合してもよい。これらは、含フッ素エラストマ組成物の特性を損なわない範囲で配合するとよい。
なお、含フッ素エラストマ組成物は、上記成分を混練することにより得られる。
次に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例および比較例で用いた原料は次のとおりである。
・テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(フッ素含有量:57質量%)
・エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(フッ素含有量:68質量%)
・充填剤:シリカ、表面処理炭酸カルシウム
・架橋剤:有機過酸化物
・架橋助剤:アリル型化合物
(1)絶縁電線の作製
<実施例1>
まず、下記表1に示すように、テトラフルオロエチレン−プロピレン100質量部をベースポリマとして、このベースポリマにシリカを15質量部と有機過酸化物を2質量部とアリル型化合物を5質量部とを添加し、これらをロールで混練することで、実施例1の含フッ素樹脂組成物を調製した。このベースポリマにおけるフッ素含有量は57質量%であった。
続いて、90mm押出機を用いて、調製した含フッ素樹脂組成物を外径10.2mmの導体(錫メッキ銅撚線)の外周上に厚さ約1.6mmで押し出した。その後、13気圧のスチームにて3分間架橋を行い、絶縁被覆層を形成して実施例1の外径13.5mmの絶縁電線を作製した。なお、90mm押出機では、シリンダー温度を80℃に、ヘッド温度を90℃に、ダイス温度を100℃にそれぞれ設定した。
<実施例2〜4>
実施例2〜4では、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体とエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とを下記表1に示す比率で混合してベースポリマとし、このベースポリマにシリカを15質量部とアリル型化合物を5質量部とを添加し、混練することにより、含フッ素樹脂組成物を調製した。なお、ベースポリマにおけるフッ素含有量を、実施例2では59.2質量%、実施例3では61.4質量%、実施例4では62.5質量%とした。
続いて、90mm押出機を用いて、実施例2〜4の含フッ素樹脂組成物を外径10.2mmの錫メッキ銅撚線の外周上に厚さ約1.6mmで押し出した。その後、含フッ素樹脂組成物に10Mradの電子線を照射して架橋させ、絶縁被覆層を形成して実施例2〜4の外径13.5mmの絶縁電線を作製した。なお、90mm押出機では、シリンダー温度を200〜260℃に、ヘッド温度を270℃に、ダイス温度を280℃にそれぞれ設定した。
<比較例1>
比較例1では、ベースポリマにおけるテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体とエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体との混合比率を30:70とした以外は、実施例2と同様に含フッ素樹脂組成物を調製し、絶縁電線を製造した。なお、比較例1では、ベースポリマにおけるフッ素含有量は64.7質量%であった。
<比較例2,3>
比較例2,3では、シリカの配合量を2質量部、40質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例2と同様に含フッ素樹脂組成物を調製し、絶縁電線を製造した。
<比較例4>
比較例4では、ベースポリマにおけるテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体とエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体との混合比率を90:10として、充填剤としてシリカの代わりに表面処理炭酸カルシウムを60質量部添加した以外は、実施例2と同様に含フッ素樹脂組成物を調製し、絶縁電線を製造した。
<比較例5>
比較例5では、含フッ素樹脂組成物の代わりにシリコーンゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様に絶縁電線を作製した。シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴム100質量部に有機過酸化物2質量部を添加して調製したものである。
Figure 2017033784
(2)評価方法
作製した絶縁電線について以下の方法により評価した。
(機械的特性)
絶縁被覆層の機械的特性については、絶縁電線から導体を引き抜いて得られたチューブ形状の絶縁被覆層を用いて評価した。具体的には、チューブ形状の絶縁被覆層の初期の引張特性(引張強さおよび伸び)を測定した。本実施例では、引張強さは15MPa以上、伸びは200%以上を目標とした。
(耐熱性)
絶縁被覆層の耐熱性については、絶縁電線から導体を引き抜いて得られたチューブ形状の絶縁被覆層を加熱により老化(劣化)させ、その劣化の程度により評価した。具体的には、チューブ形状の絶縁被覆層を熱老化試験機に投入して所定の老化条件(温度・時間)で加熱することで劣化させた後、熱老化後の引張特性(引張強さおよび伸び)を測定した。老化条件は、実施例が250℃で4日、比較例が220℃で4日とした。そして、下記式に示すように、初期の引張特性に対する熱老化後の引張特性の残率(引張強さ残率(%)および伸び残率(%))を算出した。本実施例では、引張強さ残率(%)および伸び残率(%)のいずれもが80%以上を目標とした。これらの残率が80%未満となると、絶縁被覆層が加熱により劣化しすぎてしまい、耐熱性が不十分となる。
引張強さ残率(%)=(試験後の引張強さ/試験前の引張強さ)×100
伸び残率(%)=(試験後の伸び/試験前の伸び)×100
(難燃性)
絶縁被覆層の難燃性については、試験方法EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験を行い、規格EN45545−2を満たすかどうかを評価した。具体的には、全長600mmの絶縁電線を垂直に配置し、その上端および下端を支持部材に固定して、その垂直に固定した絶縁電線の上端から475mmの位置に所定時間、炎を当て、自己消炎後の絶縁被覆層の炭化状態を観察した。本実施例では、絶縁電線の上端から炭化上部までの距離d、および絶縁電線の電線上端から炭化下部までの距離dを測定し、距離dが50mm以上、かつ距離dが540mm未満であれば、難燃性に優れるものと判断した。なお、絶縁電線の上端とは、絶縁電線の上端を固定する上側支持部材の下端を示す。炭化上部とは、垂直に固定した絶縁電線の中間に炎を当てて炭化が上方に広がった端点を示し、炭化下部とは、炭化が絶縁電線の下側に広がった端点を示す。
(発煙性)
絶縁被覆層の発煙性については、試験方法BS6853に準拠した発煙性試験により評価した。具体的には、3m立方の試験室内において、アルコール燃料を用い、全長1mの絶縁電線を4本燃焼させた。そして、絶縁被覆層の燃焼で発生した煙により試験室内での光の透過率が減衰する減衰量から、絶縁被覆の発煙性を評価した。光透過の減衰量が小さいほど、試験室内における煙の濃度が小さく、絶縁電線を燃焼させたときの煙の発生量が少ないことを示す。本実施例では、光学密度の目標値が、絶縁電線の外径をd[mm]としたときに下記式(1)で示されるA0(ON)以下であり、かつ下記式(2)で示されるA0(OFF)以下であれば、規格BS6853を満たし、光の透過率の減衰が小さく、低発煙性であると評価した。なお、光学密度A0(ON)は、絶縁電線に火がついているときの光学密度を示し、光学密度A0(OFF)は、火が消えているときの光学密度を示す。
A0(ON)={(tan−1(d/45)×180/π)/45}−{(tan−1(d)×180/π)/2025}・・・(1)
A0(OFF)=1.5×A0(ON)・・・(2)
(毒性)
絶縁被覆層の毒性については、試験方法NFX70−100に準拠した燃焼試験を行い、そのときの毒性ガス発生量の指標となる毒性ガス総量指数により評価した。具体的には、まず、絶縁被覆層から1gの試験片を採取し、その試験片を所定温度で燃焼させ、試験片から発生する毒性ガス(CO、CO、HCl、HBr、HCN、HF、SO及びNOx)を回収した。そして、各ガスを定量分析し、各ガスの測定値を各ガスに規定された臨界濃度で除すことにより各ガスのガス指数を算出した。そして、これらのガス指数を合算することにより毒性ガス総量指数を求めた。この毒性ガス総量指数が小さいほど、毒性ガスの発生量が少なく、低毒性であることを示す。本実施例では、毒性ガス総量指数が1以下であれば、合格とした。
(3)評価結果
実施例1〜4では、絶縁被覆層が機械的特性および耐熱性に優れていることが確認された。また、難燃性も高く、低発煙性および低毒性であって、火災安全性に優れていることが確認された。
これに対して、比較例1では、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体の混合比率が実施例1〜4と比較して大きく、ベースポリマにおけるフッ素含有量が多くなったためか、引張強さが26.1MPaと高いものの、伸びが110%と小さく、機械的特性が不十分であった。
比較例2では、充填剤であるシリカの配合量が実施例1〜4と比較して少ないためか、引張強さが13.3MPaと低かった。一方、比較例3では、シリカの配合量が多すぎたためか、伸びが130%と低く、機械的特性に劣るうえに、250℃96時間後の伸び残率が68%と低く、耐熱性にも劣ることが確認された。
比較例4では、シリカの代わりに多量の表面処理炭酸カルシウムを用いたためか、引張強さが13.5MPaと低く、機械的特性に劣ることが確認された。
比較例5では、シリコーンゴム組成物で絶縁被覆層を形成したため、絶縁被覆層は耐熱性に劣るばかりか、難燃性および発煙性が悪く、規格BS6853に示す火災安全性を満足できないことが確認された。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
導体と前記導体の外周上に設けられる絶縁被覆層とを備える絶縁電線であって、
前記絶縁被覆層が、テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4のαオレフィンとを重合させて得られるテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体を含むベースポリマを含有する含フッ素エラストマ組成物で形成されており、
試験方法EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験を行ったときに、前記絶縁電線の上端から炭化上部までの距離が50mm以上、炭化下部までの距離が540mm未満である難燃性と、
試験方法BS6853に準拠した発煙性試験を行ったときの光学密度の目標値が、絶縁電線の外径をd[mm]としたときに下記式(1)で示されるA0(ON)以下、かつ下記式(2)で示されるA0(OFF)以下となるような低発煙性と、
試験方法NFX−70−100に準拠した毒性試験を行ったときの毒性ガス総量指数が1.0以下である毒性と、を有する、絶縁電線が提供される。
A0(ON)={(tan−1(d/45)×180/π)/45}−{(tan−1(d)×180/π)/2025}・・・(1)
A0(OFF)=1.5×A0(ON)・・・(2)
[付記2]
付記1の絶縁電線であって、好ましくは、
前記ベースポリマのフッ素含有量が55質量%以上65質量%以下である。
[付記3]
付記1又は2の絶縁電線であって、好ましくは、
前記ベースポリマが、前記テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体として、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体およびエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含有する。
[付記4]
付記3の絶縁電線であって、好ましくは、
前記ベースポリマが、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体とエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体とを比率50:50〜100:0の範囲内で含む。
[付記5]
付記1〜4の絶縁電線であって、好ましくは、
前記含フッ素エラストマ組成物がシリカをさらに含有する。
[付記6]
付記5の絶縁電線であって、好ましくは、
前記シリカを、前記ベースポリマ100質量部に対して5質量部以上30質量部以下含有する。
10 絶縁電線
11 導体
12 絶縁被覆層

Claims (6)

  1. 導体と前記導体の外周上に設けられる絶縁被覆層とを備える絶縁電線であって、
    前記絶縁被覆層が、テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4のαオレフィンとを重合させて得られるテトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体を含むベースポリマを含有する含フッ素エラストマ組成物で形成されており、
    試験方法EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験を行ったときに、前記絶縁電線の上端から炭化上部までの距離が50mm以上、炭化下部までの距離が540mm未満である難燃性と、
    試験方法BS6853に準拠した発煙性試験を行ったときの光学密度の目標値が、絶縁電線の外径をd[mm]としたときに下記式(1)で示されるA0(ON)以下、かつ下記式(2)で示されるA0(OFF)以下となるような低発煙性と、
    試験方法NFX−70−100に準拠した毒性試験を行ったときの毒性ガス総量指数が1.0以下である毒性と、を有する、絶縁電線。
    A0(ON)={(tan−1(d/45)×180/π)/45}−{(tan−1(d)×180/π)/2025}・・・(1)
    A0(OFF)=1.5×A0(ON)・・・(2)
  2. 前記ベースポリマのフッ素含有量が55質量%以上65質量%以下である、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記ベースポリマが、前記テトラフルオロエチレン−αオレフィン共重合体として、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体およびエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含有する、請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記ベースポリマが、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体とエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体とを比率50:50〜100:0の範囲内で含む、請求項3に記載の絶縁電線。
  5. 前記含フッ素エラストマ組成物がシリカをさらに含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁電線。
  6. 前記シリカを、前記ベースポリマ100質量部に対して5質量部以上30質量部以下含有する、請求項5に記載の絶縁電線。
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