JP2017031327A - 潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システム - Google Patents

潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システム Download PDF

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Abstract

【課題】担持材料への担持により潜熱蓄熱材の性能を損なうことがなく、また、凝固と融解による相転移を繰り返すヒートサイクル下においても、担持材料からの潜熱蓄熱材料の滲み出しや相分離がなく、安定なゲル状態を維持できる潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱体を提供する。【解決手段】本発明の潜熱蓄熱材組成物は、潜熱により蓄熱可能な炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)であるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を6質量%以上70質量%以下、炭素数が12以上24以下の飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種のゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、潜熱蓄熱材組成物、特に、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンを潜熱蓄熱材料として使用し、このn−パラフィンを、熱可塑性エラストマーを含む担持材料により固定化した潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱材組成物を用いてなる潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システムに関する。
物質の相転移潜熱を蓄熱に利用する技術が知られている。その中でも、n−パラフィンの相転移潜熱を利用する技術は、炭素数が12以上50以下の範囲のn−パラフィンから適切な選択を行うことにより、広範な生活環境温度(−20℃〜100℃)に対応した相転移温度が利用可能であって、蓄熱密度が高く、相変化を繰り返しても特性が劣化しないこと、腐食性がないこと等の優れた特徴を有している。
n−パラフィンの優れた特性を生かした蓄熱材として、熱可塑性エラストマーを担持材料とし、n−パラフィンを溶融混練で固定化(ゲル化)した蓄熱材が提案されている。
熱可塑性エラストマーのうち、グラフト−ブロックコポリマーまたはブロックコポリマーには、たとえば、エチレン、またはブタジエンやイソプレンなどのジエンから選択される、1または2以上の任意選択で共役型でもよいエチレン結合を含む少なくとも1種のエチレン性モノマーと、少なくとも1種のビニルポリマーブロック、さらに適切にはスチレンポリマーブロックとの重合によって生じる少なくとも1種のブロックを含むものが含まれる。エチレン性モノマーが、任意選択で共役型でもよい2以上のエチレン結合を含むとき、重合後に残存するエチレン結合は、一般に重合後に水素化される。したがって、既知の方法では、イソプレンの重合は、水素化後に、エチレン−プロピレンブロックの生成をもたらし、ブタジエンの重合は、水素化後に、エチレン−ブチレンブロックの生成をもたらす。
このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、BASF社によって「Luvitol HSB」の名称で販売されている、ポリスチレン−ポリイソプレン(以下、「SI」と略すことがある)、ポリスチレン−ポリブタジエン(以下、「SB」と略すことがある)などの「ジブロック」または「トリブロック」型、クレイトンポリマージャパン社によって「Kraton(登録商標)」の名称で販売されている、ポリスチレン−エチレン/プロピレン(以下、「SEP」と略すことがある;Kraton G1701EU、G1702HU)、ポリスチレン−エチレン/ブチレン(以下、「SEB」と略すことがある)、ポリスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(以下、「SEBS」と略すことがある;Kraton G1651HU)などの「ジブロック」または「トリブロック」型のブロックコポリマー等が挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマーは、一般に、水素化または非水素化ジエンコポリマーとして知られている。
近年、熱可塑性エラストマーからなる担持材料の1種として、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンブロック共重合体(以下、「CEBC」と略すことがある)等の水添ジエン系共重合体を使用する蓄熱材組成物が開発されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平3−66788号公報 国際公開第2011/078340号 特開2014−111746号公報 特開2014−122320号公報 特開昭56−103273号公報 特開平6−58686号公報
しかしながら、SEBSやCEBCを担持材料とする場合、これを合成樹脂容器に密封し、相転移温度を挟んで温度を繰り返し昇降する、所謂、ヒートサイクルの担持材料として試験を行うと、蓄熱材料の滲み出しや相分離などの不具合を起こす場合があり、さらなる改良が望まれている。また、特許文献3および4では、水添ジエン系共重合体の例としてポリスチレン−エチレン/プロピレン(SEP)が例示されているが、ヒートサイクルの担持材料として使用できるか否かについては、何ら記載されていない。
また、n−パラフィンに12−ヒドロキシステアリン酸等のゲル化剤を添加した潜熱蓄熱材も提案されているが(例えば、特許文献5または6参照)、ゲル化剤のみの添加では、蓄熱材料の滲み出しや相分離などの不具合を起こし、取扱い性に欠ける。
本発明の目的は、凝固と融解の相転移を幾度も繰り返すヒートサイクル下においても、潜熱蓄熱材料であるn−パラフィンの担持材料からの滲み出しや相分離がなく(相溶性が高い)、潜熱蓄熱材料を高濃度で担持材料に混合しても安定なゲル状態を維持できる潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンを潜熱蓄熱材料とし、該潜熱蓄熱材料の担持材料としてスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を所定の割合で用い、かつ、特定のゲル化剤をさらに添加することにより、ヒートサイクル下においても高い相溶性を有するとともに、流動性が低いため取扱い性に優れる潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、潜熱により蓄熱可能な炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)であるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を6質量%以上70質量%以下、炭素数が12以上24以下の飽和または不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種のゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする。
また、本発明の潜熱蓄熱材組成物の製造方法は、上記に記載の潜熱蓄熱材組成物の製造方法であって、潜熱蓄熱材料(A)と、担持材料(B)と、ゲル化剤(C)とを、前記担持材料(B)または前記ゲル化剤(C)の融点近傍まで加熱して、溶融混練する混練工程と、前記混練工程で溶融混練した得られた混合物を、前記ゲル化剤(C)が前記潜熱蓄熱材組成物中で固体状に析出して分散するまで冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の潜熱蓄熱体は、上記に記載の潜熱蓄熱材組成物を包装材料中に充填してなることを特徴とする。
本発明によれば、ヒートサイクル下においても高い相溶性と取扱い性を有するとともに、担持材料との混合による潜熱熱量低下がなく、流動性が低いため取扱い性に優れる潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システムを提供することが可能となる。
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物、潜熱蓄熱材組成物の製造方法、潜熱蓄熱体、蓄熱式床暖房および空調システムの好適な実施形態について、更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、潜熱により蓄熱可能な炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)であるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を6質量%以上70質量%以下、炭素数が12以上24以下の飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種のゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする。
<潜熱蓄熱材料(A)>
まず、潜熱蓄熱材料(A)について説明する。本発明に係る潜熱蓄熱材料(A)は、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンである。これらのn−パラフィンは、通常、石油留分から精留によって得られる。精製技術の制約から、それぞれの炭素数のn−パラフィンには、数質量%の隣接した炭素数のn−パラフィンを含有することがあるが、本発明の潜熱蓄熱材料(A)としての使用には支障はない。なお、潜熱蓄熱材料(A)として使用するn−パラフィンは、合成したものを使用してもよいが、石油留分由来のものを用いる方が、簡便かつ安価である。以下、本明細書では、精留によって得られた数質量%程度の不純物を含むn−パラフィン、または合成により得られた純度が高いn−パラフィンを、特に区別することなく、特定の炭素数を有するn−パラフィンとして記載する。
潜熱蓄熱材料(A)として特に有用なn−パラフィンは、相転移温度が、保冷〜住居環境温度範囲の−10℃〜35℃の範囲にある、炭素数が12以上20以下のn−パラフィンであり、例えば、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカンおよびn−エイコサンの割合が30質量%以上であることが好ましい。潜熱蓄熱材料(A)として特に好ましいのは、相転移潜熱量の大きい、炭素数が偶数のn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、n−エイコサンを主として含むものである。
潜熱蓄熱材料(A)は、炭素数が14以上20以下のn−パラフィンの割合が30質量%以上であるものがより好ましく、炭素数が14以上20以下のn−パラフィンからなり、かつ、この範囲にあるいずれかのn−パラフィン、特にn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンまたはn−エイコサンを30質量%以上含むものが特に好ましい。
潜熱蓄熱材料(A)としては、炭素数が14以上20以下のn−パラフィンからなり、かつ、この範囲にあるいずれかのn−パラフィン、特にn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンまたはn−エイコサンを95質量%以上含むものがさらに好ましい。
<担持材料(B)>
次に、潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)について説明する。担持材料(B)は、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)である。
スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)の基本構造は、スチレンを繰り返し単位とする結晶構造であるハードセグメントブロックと、水素添加処理後も共役ジエン化合物に由来する分岐の存在により非晶構造であるソフトセグメントブロックを有するものである。1H−NMRで構造決定を行えば、オレフィン領域に検出される水素原子は極めて微量(数%以下)である。本発明に係るスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)は、共役ジエンとしてイソプレンを使用したスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)であることが好ましく、例えば、クレイトンポリマージャパン(株)からKraton(登録商標)G(SEPタイプ)、「1701EU」、「1702HU」の商品名で販売されるものが例示される。
スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)は、示差走査式熱量測定法(DSC法)により測定した場合に、ハードセグメント由来の融解ピークを有することが好ましく、80〜120℃の範囲に融解ピークを有することが更に好ましい。このピークが検出されないスチレン−エチレン/プロピレンンブロック共重合体(B1)は、担持材料(B)としての担持機能が不足する場合がある。
本発明に係るスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)は、1種単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。
以上、本発明に係る担持材料(B)は、潜熱蓄熱材料(A)の担持性に優れるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)を使用することにより、n−パラフィンの担持体としての優れた特性を確保することができる。
<ゲル化剤(C)>
次に、ゲル化剤(C)について説明する。ゲル化剤(C)は、炭素数が12以上24以下の飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種である。
ゲル化剤(C)として使用されるカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数が12以上24以下であれば、飽和、不飽和、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等が例示される。また、これらの金属塩としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム等の塩が例示される。
また、本発明で使用するゲル化剤(C)の融点は、潜熱蓄熱材料(A)の融点より高く、担持材料(B)の融点以下であることが好ましい。ゲル化剤(C)の融点が、担持材料(B)の融点以下であることにより、潜熱蓄熱材組成物を製造する際に、高温に加熱することなく、ゲル化剤(C)を均一に溶解することができる。また、ゲル化剤(C)の融点が、潜熱蓄熱材料(A)の融点より高いことにより、潜熱蓄熱材料(A)が固体から液体に相変化した際に、潜熱蓄熱材組成物の流動性を低く保持することができる。ゲル化剤(C)の融点は、潜熱蓄熱材料(A)の融点より10℃以上高いことがより好ましく、20℃以上高いことがさらに好ましい。
ゲル化剤(C)は、潜熱蓄熱材料(A)の融点以上、好ましくは、潜熱蓄熱材料(A)の融点より10℃高い温度、より好ましくは20℃高い温度において、固体状で潜熱蓄熱材組成物中に分散していることが好ましい。ゲル化剤(C)は、固体状で潜熱蓄熱材組成物中に分散することにより、潜熱蓄熱材組成物の流動性を低く保持するものと推測される。潜熱蓄熱材組成物の使用温度領域であって、かつ、潜熱蓄熱材料(A)が液体として存在する温度範囲で、ゲル化剤(C)が固体状で潜熱蓄熱材組成物中に分散することにより、潜熱蓄熱材組成物の流動性を低く保持することができる。ゲル化剤(C)が固体状で潜熱蓄熱材組成物中に分散しているか否かは、SAXS(小角散乱X線法)による構造解析により確認することができる。ゲル化剤(C)は、潜熱蓄熱材組成物中で3〜10nm程度の大きさの粒子として確認することができる。
なお、ゲル化剤(C)は、潜熱蓄熱材組成物の成分として配合されると、潜熱蓄熱材組成物中で融点降下することがある。したがって、ゲル化剤(C)の潜熱蓄熱材組成物中での融点は、潜熱蓄熱材料(A)の融点以上、好ましくは、潜熱蓄熱材料(A)の融点より10℃高い温度、より好ましくは20℃高い温度であることが好ましい。上記の観点から、ゲル化剤(C)として、12−ヒドロキシステアリン酸が好適に使用される。
<潜熱蓄熱材組成物>
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、担持材料(B)を6質量%以上70質量%以下、ゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなる。潜熱蓄熱材料(A)の割合が30質量%未満、または担持材料(B)の割合が70質量%より大きい場合、十分な蓄熱量を確保できない場合がある。また、潜熱蓄熱材料(A)の割合が93.5質量%より大きい、または担持材料(B)の割合が6質量%未満の場合、潜熱蓄熱材料(A)が担持材料(B)から漏れ出す可能性がある。ゲル化剤(C)の配合割合が0.5質量%未満の場合、潜熱蓄熱材組成物の流動性が高くなるおそれがあり、ゲル化剤(C)の配合割合が5質量%より大きい場合、潜熱蓄熱材料(A)が潜熱蓄熱材組成物から漏れ出したり、十分な蓄熱量を確保できない場合がある。尚、更に好ましくは、潜熱蓄熱材料(A)を60質量%以上90質量%以下、担持材料(B)を7質量%以上35質量%以下、ゲル化剤(C)を1質量%以上3質量%以下の割合で含むことがより好ましい。
また、蓄熱量が大きい潜熱蓄熱材組成物を得るためには、担持材料(B)およびゲル化剤(C)との合計量が、7質量%以上20質量%以下であることが好ましく、8質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
さらに、潜熱蓄熱材組成物中への担持材料(B)と、ゲル化剤(C)の配合割合は、潜熱蓄熱材料(A)の漏れ出しの防止および潜熱蓄熱材組成物の流動性を低く保持する観点から、担持材料(B):ゲル化剤(C)=1:0.05〜0.8(質量比)とすることが好ましく、担持材料(B):ゲル化剤(C)=1:0.1〜0.4(質量比)とすることが特に好ましい。
続いて、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物の製造方法について説明する。本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、所定量の潜熱蓄熱材料(A)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)、およびゲル化剤(C)を機械的手段により強制的に混練、好ましくは、溶融混練して得ることができる。
溶融混練は少なくとも潜熱蓄熱材料(A)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)が溶融し、ゲル化剤(C)が溶解する温度以上で行うことが好ましい。混合は機械的手段による混合である限り、各種の混合手段がいずれも採用され、代表的な手段として、撹拌、混合、混練であり、当該機能を有する機器としては、攪拌機、混合器、混練機、そして、ゴム加工や熱可塑性樹脂加工に用いられる、2本ロール、バンバリーミキサー、押出機、2軸混練押出機等が挙げられる。
上記方法により得られた潜熱蓄熱材組成物は、次いで適宜な形状に成形され潜熱蓄熱材組体となる。潜熱蓄熱材組成物の使用目的に合わせて適宜な形状の潜熱蓄熱材組成物とされるが、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は任意の形状への附形が可能であり、任意の包装材料に充填した潜熱蓄熱体として使用することもできる。特に、0.01〜1mm程度の厚みを有する透明性の合成樹脂からなる包装材料に充填して使用することは、相転移の観察が外部から容易であり、また、一定の大きさの包装材料に充填することで、外気との接触を遮断し、酸化劣化の抑制された一定の規格を有する潜熱蓄熱体とすることが可能となるので、好ましい。この観点から、好ましい包装材料は、酸素透過性が抑制された合成樹脂フィルムからなる包装材料であり、例えば、ポリアミドを含む多層フィルムからなる包装材料である。本発明の潜熱蓄熱材組成物は、流動性が低いため、包装材料中に充填される潜熱蓄熱材組成物の量が大きくなった場合でも、取扱い性に優れ好ましい。
また、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物には、蓄熱材としての性能を損なわない範囲で、他の熱可塑性エラストマーや、熱可塑性樹脂のほか、各種添加剤、充填材等を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、相溶化剤、および安定剤等が挙げられる。
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物を包装材料に充填した潜熱蓄熱体は、蓄熱式床暖房装置に使用することができる。例えば、断熱材層を有する基礎床と床材との間に潜熱蓄熱体を設置し、面上ヒータ等の加熱手段により潜熱蓄熱材を潜熱蓄熱材料(A)の融点以上に加熱して潜熱蓄熱体に蓄熱させることにより、蓄熱式床暖房装置として使用することができる。
また、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物を包装材料に充填した潜熱蓄熱体は、空調システムに使用することができる。例えば、空調機で冷却または加熱された空調用冷媒を、潜熱蓄熱体が配置された熱交換器に供給し、潜熱蓄熱体と熱交換して蓄熱させることにより、空調システムとして使用することができる。
以下に実施例、比較例を以って本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例により本発明が限定される訳ではない。
実施例において使用された各化学品は、市場から入手したものを、精製することなく使用した。以下、実施例に使用した潜熱蓄熱材料(A)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)、ゲル化剤(C)、およびゲル化剤(C)に代えて比較例で使用した熱可塑性樹脂(D)を示す。
<潜熱蓄熱材料(A)>
n−テトラデカン(C14)(JX日鉱日石エネルギー(株)製「TS−4(商品名)」)
n−ヘキサデカン(C18)(JX日鉱日石エネルギー(株)製「TS−8(商品名)」)
<スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)>
Kraton(登録商標)G1701EU(クレイトンポリマージャパン(株)製)
<ゲル化剤(C)>
12−ヒドロキシステアリン酸(関東化学(株)製)
<熱可塑性樹脂(D)>
ポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PM900A MFR30)
超低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製 カーネル(登録商標)KS340T MFR3.5)
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製 ノバテック(登録商標)LJ700 MFR12)
高密度ポリエチレン A(日本ポリエチレン(株)製 ノバテック(登録商標)HF111K MFR0.05)
高密度ポリエチレン B(日本ポリエチレン(株)製 ノバテック(登録商標)HF560 MFR7)
<潜熱蓄熱材組成物の製造>
表1に示す種類および配合量で、潜熱蓄熱材料(A)と、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(B1)、ゲル化剤(C)または熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練し、実施例1〜4、および比較例1〜6にかかる潜熱蓄熱材組成物を作製した。溶融混練は、密閉式チャンバーを用い、回転数300rpm、温度90℃で、60分間行った。
<耐フロー性>
実施例1〜4、および比較例1〜6の処方で製造した潜熱蓄熱材組成物200gを、それぞれセパラブルフラスコ(φ85mm)に投入し、室温まで放冷し試料の面が平らになるようする。その後、セパラブルフラスコを徐々に90度になるまで傾けて、潜熱蓄熱材組成物が流動するか否かを確認した。流動しない場合は「○」、流動した場合は「×」とした。耐フロー性の評価は25℃で行った。結果を表1に示す。
<ヒートサイクル試験>
実施例1〜4、および比較例1〜6の処方で製造した潜熱蓄熱材組成物を加熱融解した後、細いガラス管(φ=5mm)に流し込み、室温に下げて固化して、ヒートサイクル試験の評価試料とした。各潜熱蓄熱材組成物が含有するn-パラフィンの融点に対し、−5〜−15℃以下の範囲にある恒温槽A、および、+5〜+15℃以上の範囲にある恒温槽Bを用意し、評価試料を恒温槽A、Bに交互に浸漬して、潜熱蓄熱材組成物の相転移を最高300回繰り返した後、相分離の有無を評価した。ヒートサイクル試験は、評価試料を融点より低い温度とした恒温槽Aに浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの凝固・固化相転移(組成物全体の白濁化)を目視により確認した後、融点より高い温度とした恒温槽Bに評価試料を浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの溶解・液化相転移(組成物全体の透明化)を目視により確認すること(固化および液化を各1回)を繰り返し(300回)行った。ヒートサイクル300回後に潜熱蓄熱材料(A)がブリードアウト(相分離発生)しないものを「○」、300回未満でブリードアウト(相分離発生)したものを「×」と評価した。なお、両恒温槽の温度差は、概ね、15℃〜30℃の範囲である。結果を表1に示す。
Figure 2017031327
潜熱蓄熱材料(A)としてn−テトラデカン、担持材料(B)としてSEP、ゲル化剤(C)として12−ヒドロキシステアリン酸を1または2質量%含む実施例1および2は、耐フロー性が良好でヒートサイクル試験においてもブリードアウトは見られなかった。また、実施例1の潜熱蓄熱材組成物について、SAXS(小角散乱X線法)により構造解析を行ったところ、12−ヒドロキシステアリン酸は60℃で融解し(融点74〜76℃)、50℃以下では12−ヒドロキシステアリン酸が、固体状(径約5nm)で潜熱蓄熱材組成物中に分散していることが確認された。なお、担持材料(B)を含まず、潜熱蓄熱材料(A)としてn−テトラデカン、ゲル化剤(C)として12−ヒドロキシステアリン酸を含む比較例では、SAXS(小角散乱X線法)による構造解析により、12ヒドロキシステアリン酸がイオン結合の網目構造をとることが確認された。また12−ヒドロキシステアリン酸を10質量%添加することにより耐フロー性が向上したが、ヒートサイクル試験でブリードアウトが認められた。
本発明の潜熱蓄熱材組成物および潜熱蓄熱体は、蓄熱式床暖房、空調システム等の各種用途に好適に利用できる。

Claims (11)

  1. 潜熱により蓄熱可能な炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)であるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を6質量%以上70質量%以下、炭素数が12以上24以下の飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種のゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. 前記潜熱蓄熱材料(A)中、炭素数12以上20以下のn−パラフィンの割合が30質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材組成物。
  3. 前記潜熱蓄熱材料(A)中、炭素数14以上20以下のn−パラフィンの割合が30質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材組成物。
  4. 前記ゲル化剤(C)の融点は、前記潜熱蓄熱材料(A)の融点以上、前記担持材料(B)の融点以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
  5. 前記ゲル化剤(C)の前記潜熱蓄熱組成物中での融点は、前記潜熱蓄熱材料(A)の融点以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
  6. 前記ゲル化剤(C)は、前記潜熱蓄熱材料(A)の融点において、固体状で前記潜熱蓄熱材組成物中に分散していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
  7. 前記ゲル化剤(C)は、12−ヒドロキシステアリン酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物の製造方法であって、
    潜熱蓄熱材料(A)と、担持材料(B)と、ゲル化剤(C)とを、担持材料(B)またはゲル化剤(C)の融点近傍まで加熱して、溶融混練する混練工程と、
    前記混練工程で溶融混練して得られた混合物を、前記ゲル化剤(C)が前記潜熱蓄熱材組成物中で析出して分散するまで冷却する冷却工程と、
    を含むことを特徴とする潜熱蓄熱材組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物を包装材料中に充填したことを特徴とする潜熱蓄熱体。
  10. 請求項9に記載の潜熱蓄熱体を用いた蓄熱式床暖房。
  11. 請求項9に記載の潜熱蓄熱体を用いた空調システム。
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