JP2017026061A - 車輪用軸受装置、車輪用軸受装置の加工方法および車輪用軸受装置の組立て方法 - Google Patents

車輪用軸受装置、車輪用軸受装置の加工方法および車輪用軸受装置の組立て方法 Download PDF

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Abstract

【課題】密封装置のサイドリップとスリンガとの間のしめしろの過不足を抑制し、密封性能に優れた車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外輪部材10と、内輪30と、外周に一方側の端部にハブフランジ22を有するハブ軸20と、転動体30と、密封装置50と、を有し、密封装置50は、スリンガ60とシール部材51とを有し、スリンガ60は、円筒部61と、円盤部62を有し、シール部51は、円盤部62に対向するサイドリップ58を有し、サイドリップ58の端部59は、円盤部62の側面65に、適正なしめしろΔをもって摺接する車輪用軸受装置1であって、ハブ軸20は、内輪突き当て面26を有し、内輪30の端面34とサイドリップ58の円盤部側の先端部59との間の第1間隔L1と、内輪突き当て面26と円盤部62の側面65との間の第2間隔L2との差を、適正なしめしろΔに等しく設定する。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両に使用する車輪用軸受装置に関する。
自動車等の車両に使用する車輪用軸受装置においては、外輪部材と内輪部材との間の軸受内部空間にグリースなど潤滑剤が封入されている。また、前記軸受内部空間に泥水や異物が侵入すると、グリースが劣化したり、構成部品に錆が発生し、軸受の寿命が低下する。このため、前記車輪用軸受装置においては、前記軸受内部空間のグリースの漏洩の防止、また、外部からの泥水や異物の進入防止のため、密封装置が設けられている。
車輪用軸受装置用の密封装置として、通称パックシールと称されるハブ用シールが知られている。前記外輪部材の端部開口部に、サイドリップとラジアルリップの少なくとも2つのシールリップを有するシール部材が固定され、前記内輪部材のスリンガ嵌合面に断面がL字形状で、円筒部と平板部を有するスリンガが固定される。(特許文献1参照)
前記ハブ用シールにおいて、前記サイドリップは、前記スリンガの平板部の前記内部空間側の側面に摺接し、前記ラジアルリップは、前記スリンガの前記円筒部の外周に摺接する。前記シール部材と前記スリンガは、前記シール部材の前記軸受内部空間と反対側の端部と、前記スリンガの前記軸受内部空間と反対側の側面を同時に押圧して、前記外輪部材と前記内輪部材との間の軸受内部空間の開口部に装着される。
通常、前記ハブ用シールにおいて、前記サイドリップと、前記スリンガの平板部の前記内部空間側の側面の間のしめしろは、前記シール部材の前記軸受内部空間と反対側の端部と、前記スリンガの前記軸受内部空間と反対側の側面を、同一平面上に配置したとき、適正なしめしろとなるよう設定されている。
車輪用軸受装置として、外輪部材の車両インナー側に、車体への取付けフランジを有し、内輪部材であるハブ軸の車両アウター側に車輪取付け用のハブフランジを有する第3世代ユニットタイプの車輪用軸受装置がある。
前記ハブ用シールを前記第3世代ユニットタイプの車輪用軸受装置の前記軸受内部空間の車両アウター側の開口部に装着する場合、前記シール部材と前記スリンガを同時に車両アウター側から押圧して、装着する事はできない。(特許文献2参照)
特開2005−291485号公報 特開2007−127243号公報
前記第3世代ユニットタイプの車輪用軸受装置の車両アウター側に装着される前記ハブ用シールにおいては、前記スリンガは、前記シール部材とは別に、予め前記ハブ軸に単独で装着される。しかし、前記スリンガを、前記ハブ軸上の軸方向に正確な位置に固定する事は難しい。このため、前記ハブ用シールでは、前記サイドリップと前記スリンガとの間の軸方向のしめしろに過不足が生じ、車輪用軸受装置の密封装置として十分な密封性能を得ることができないことがある。
本発明は、密封装置のサイドリップとスリンガとの間の軸方向のしめしろの過不足を抑制し、密封性能に優れた車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、内周に一対の外輪軌道が形成された外輪部材と、外周に第1内輪軌道が形成された内輪と、外周に第2内輪軌道が形成され、軸方向一方側の端部に半径方向外方に拡径して延在するハブフランジを有し、軸方向他方側の端部に前記内輪を外嵌する内輪嵌合面を有するハブ軸と、一方の前記外輪軌道と前記第1内輪軌道の間および他方の前記外輪軌道と第2内輪軌道の間で転動する2列の複数の転動体と、前記外輪部材と前記ハブ軸との間の軸受内部空間の前記ハブフランジ側の開口部を密封する密封装置と、を有し、前記密封装置は、金属製のスリンガと、金属製の芯金と合成ゴム製のシール部を有するシール部材と、を有し、前記スリンガは、前記ハブ軸の前記第2内輪軌道と前記ハブフランジの間の肩外周面に外嵌された円筒部と、前記円筒部の前記ハブフランジ側の端部から径方向外方に拡径する円盤部とを有し、前記シール部は、前記円盤部に対向し、前記円盤部の方向に拡径するサイドリップを有し、前記サイドリップの前記円盤部側の端部は、前記円盤部の前記シール部側の側面、に所定の適正なしめしろをもって摺接する車輪用軸受装置であって、前記ハブ軸は、前記内輪の前記ハブフランジ側の端面を突き当てる内輪突き当て面を有し、前記内輪の前記ハブフランジ側の端面と前記サイドリップの前記円盤部側の先端部との間の第1間隔と、前記内輪突き当て面と前記円盤部の前記シール部側の側面との間の第2間隔との差が、前記所定の適正なしめしろに等しく設定されていることである。
本発明は、軸方向一方側すなわち車両アウター側に半径方向外方に拡径して延在するハブフランジを有する車輪用軸受装置に係る、本発明の構成によれば、前記車輪用軸受装置は、軸受内部空間の前記ハブフランジ側すなわち車両アウター側の開口部を密封する密封装置を有している。前記密封装置において、前記シール部材は車両アウター側に前記サイドリップを有し、前記外輪部材の車両アウター側の端部に固定されている。
前記シール部材が、車両アウター側の端部に固定された状態で、前記内輪の車両アウター側の端面と前記サイドリップの前記円盤部側すなわち車両アウター側の端部との間の間隔として第1間隔が設定されている。また、前記密封装置において、前記スリンガは、前記ハブ軸の車両アウター側の端部に固定されている。前記ハブ軸の前記内輪突き当て面と、前記スリンガの前記円盤部の前記シール部側すなわち車両インナー側の側面との間隔として第2間隔が設定されている。
さらに、本発明の設定によると、前記第1間隔と、前記第2間隔との差が、前記所定の適正なしめしろに等しく設定されている。ここで、前記内輪の前記ハブフランジ側の端面は前記ハブ軸の前記内輪突き当て面に当接しており、前記サイドリップの車両アウター側の端部と前記円盤部の車両インナー側の側面との軸方向の位置の差は、前記第1間隔と前記第2間隔との差に等しい。
すなわち、前記第1間隔と、前記第2間隔との位置のずれによる、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記円盤部の車両インナー側の側面との間の間隔のばらつきが少ない。前記第1間隔と、前記第2間隔との差を前記所定の適正なしめしろに設定することにより、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記円盤部の車両インナー側の側面とは軸方向に前記所定の適正なしめしろをもって摺接する。
上記の課題を解決するため、請求項2に係る発明の構成上の特徴は、前記ハブ軸は、前記ハブフランジの前記スリンガ側に、前記スリンガの軸方向位置の基準となるスリンガ対向面を有し、前記内輪突き当て面と前記スリンガ対向面との間の第3間隔は、前記適正なしめしろを得るために設定された、前記スリンガ対向面と前記円盤部の前記シール部側の側面との間の第4間隔と、前記第2間隔との和に等しく設定されたことである。
本発明の構成によれば、前記ハブ軸は、前記ハブフランジの、スリンガ側すなわち車両インナー側に前記スリンガの軸方向の位置を規定するスリンガ対向面を有している。前記内輪突き当て面と前記スリンガ対向面との間の第3間隔は、前記ハブ軸の前記内輪突き当て面と、前記スリンガの前記円盤部の車両インナー側の側面との間の第2間隔と、前記スリンガ対向面と前記円盤部の前記車両インナー側の側面との間の第4間隔との和に等しく設定されている。
スリンガ対向面と前記円盤部の車両インナー側の側面との間隔が前記第4間隔となるよう、前記スリンガが、前記ハブ軸に配置されることにより、前記内輪突き当て面と前記円盤部の車両インナー側の側面との間隔が前記第2間隔に等しくなる。すなわち、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記円盤部の車両インナー側の側面とは軸方向に前記所定の適正なしめしろをもって摺接する。
上記の課題を解決するため、請求項3に係る発明の特徴は、請求項2に記載の車輪用軸受装置の加工方法であって、前記内輪突き当て面および前記スリンガ対向面の両面を、1個の砥石で同時に研削加工することである。
本発明の構成によれば、前記ハブ軸を、加工機械の主軸に取付けた状態で、前記内輪突き当て面と前記スリンガ対向面の両面を、同時に加工するため、取付け時の誤差が生じない。さらに、一個の砥石で同時に加工の1個の砥石でを行うため、前記内輪突き当て面を加工した後と前記スリンガ対向面の前記内輪突き当て面と前記スリンガ対向面との間の第3間隔は正確に保たれ、加工による第3間隔のばらつきが抑制できる。
上記の課題を解決するため、請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の組立て方法であって、前記シール部材を押圧するシール押圧面と、前記内輪の前記ハブフランジ側すなわち車両アウター側の端面に当接するシール位置決め面と、を有し、前記シール押圧面と前記シール位置決め面との間の第5間隔が、前記第1間隔と、前記適正なしめしろを得るために設定された、前記シール部材の被押圧面と前記サイドリップの前記円盤部側の端部との間の第6間隔と、の和に等しいシール圧入冶具を用いて前記シール部材を前記外輪部材に装着することである。
本発明の組立て方法におけるシール圧入冶具は、前記シール部材を押圧するシール押圧面と、前記内輪の前記ハブフランジ側すなわち車両アウター側の端面に当接するシール位置決め面と、を有している。前記シール押圧面と前記シール位置決め面との間の間隔は前記第5間隔である。前記第5間隔は、前記第1間隔と、前記適正なしめしろを得るために設定された、前記シール部材の被押圧面と前記サイドリップの前記円盤部側の端部との間の第6間隔と、の和に等しい。
前記外輪部材に前記シール部材を装着する工程において、前記シール圧入冶具のシール位置決め面が、前記内輪の前記車両アウター側の端面に当接するまで、前記シール部材を軸方向に移動すると、前記シール部材の被押圧面と前記内輪の前記車両アウター側の端面との間隔は前記第5間隔に等しくなる。ここで、前記シール部材の被押圧面と前記サイドリップの前記車両アウター側の端部との間隔は前記第6間隔である。すなわち、前記内輪の前記車両アウター側の端面と前記サイドリップの前記車両アウター側の端部との間隔は前記第5間隔と前記第6間隔の和となり、第1間隔に等しい。
このように前記シール圧入冶具を用い前記外輪部材に装着することで、前記内輪の前記車両アウター側の端面と前記サイドリップの前記車両アウター側の端部との間隔は、正確に第1間隔に保たれ、ばらつきが抑制できる。このため、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記スリンガの前記円盤部の車両インナー側の側面との間に、軸方向のしめしろの過不足が発生することを防止できる。
上記の課題を解決するため、請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の組立て方法であって、前記スリンガの前記円盤部の前記シール部側の側面を押圧するスリンガ押圧面と、前記ハブ軸の前記内輪突き当て面に当接するスリンガ位置決め面と、を有し、前記スリンガ押圧面と前記スリンガ位置決め面との間隔が、前記第2間隔に等しいスリンガ圧入冶具を用いて前記スリンガをハブ軸に装着することである。
本発明の組立て方法におけるスリンガ圧入冶具は、前記スリンガの前記円盤部の前記シール部側すなわち車両インナー側の側面を押圧するスリンガ押圧面と、前記ハブ軸の前記内輪突き当て面に当接するスリンガ位置決め面と、を有している。前記スリンガ押圧面と前記スリンガ位置決め面との間の間隔は、前記内輪突き当て面と前記円盤部の前記車両インナー側の側面との間の間隔である前記第2間隔に等しい。
前記ハブ軸に前記スリンガを装着する工程において、前記スリンガ圧入冶具のスリンガ位置決め面が、前記ハブ軸の前記内輪突き当て面に当接するまで、前記スリンガを軸方向に移動し、スリンガの圧入は完了する。この時、前記スリンガの前記円盤部の前記車両インナー側の側面と、前記内輪突き当て面との間隔は前記第2間隔に等しくなる。
このように前記スリンガ圧入冶具を用い前記ハブ軸に装着することで、前記ハブ軸の前記車両アウター側の端面と前記サイドリップの前記車両アウター側の端部との間隔は、正確に第1間隔に保たれ、ばらつきが抑制できる。このため、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記スリンガの前記円盤部の車両インナー側の側面との間に、軸方向のしめしろの過不足が発生することを防止できる。
上記の課題を解決するため、請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項2に係る車輪用軸受装置の組立て方法であって、軸方向の幅が、第4間隔から前記スリンガの前記円盤部の板厚を減じた値に等しく、円周方向に複数に分割された円環状のスリンガ位置決め冶具を、前記ハブフランジ側の側面と前記ハブフランジの記スリンガ対向面との間に配置して、前記スリンガを前記ハブ軸に圧入することである。
前記軸方向のしめしろが適正なしめしろとなるよう、前記スリンガの前記円盤部の車両アウター側の側面と、前記ハブフランジの前記スリンガ対向面との間隔として、第4間隔が設定されている。本発明の組立て方法における、前記ハブ軸に前記スリンガを装着する工程において、前記スリンガ位置決め冶具は、軸方向の幅が前記第4間隔から前記スリンガの前記円盤部の板厚を減じた値に等しい位置決め冶具を用いる。
前記スリンガは、前記スリンガ位置決め冶具を、前記位置決め冶具の一方側の側面を前記ハブフランジの前記スリンガ対向面に当接して配置し、前記スリンガを、車両アウター側に移動することで、前記ハブ軸の前記肩外周面に圧入される。前記スリンガの装着は、前記スリンガを、車両アウター側に移動して、前記スリンガの前記円盤部の車両アウター側の側面が、前記位置決め冶具の軸方向他方側の側面に当接すると完了する。
前記スリンガの前記円盤部の車両アウター側の側面と、前記ハブ軸の前記スリンガ対向面の間隔は、このように前記スリンガを前記ハブ軸に圧入することで、正確に保たれ、ばらつきが生じない。すなわち、前記円盤部の車両インナー側の側面と、前記ハブ軸の前記スリンガ対向面の間隔も正確に保たれ、ばらつきが抑制できる。
このため、前記ハブ軸に前記スリンガを装着する工程において、前記サイドリップの車両アウター側の端部と、前記スリンガの前記円盤部の車両インナー側の側面との間に、軸方向のしめしろの過不足が発生することを防止できる。
上述のごとく、本発明の構成、加工方法および組立て方法によれば、前記シール部材の前記サイドリップと、前記スリンガの前記円盤部の車両インナー側の側面との間の、軸方向のしめしろの過不足を抑制することができる。
本発明によれば、密封装置のサイドリップとスリンガとの間の軸方向のしめしろの過不足を抑制し、密封性能に優れた車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態の車輪用軸受装置の断面図である。 本発明の第1実施形態の車輪用軸受装置の主要部の拡大断面図である。 本発明の第1実施形態の車輪用軸受装置のシール部材の組立て方法を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の車輪用軸受装置のスリンガの組立て方法を説明する説明図である。 本発明の第2実施形態の車輪用軸受装置の断面図である。 本発明の第2実施形態の車輪用軸受装置の主要部の拡大断面図である。 本発明の第2実施形態の車輪用軸受装置のスリンガの組立て方法を説明する説明図である。
図1、図2、図5、図6、において図中右側が車両アウター側(以下アウター側と称す)、左側が車両インナー側(以下インナー側と称す)を示している。
図3において図中上側がアウター側、下側がアウター側を示している。
図4、図7において図中上側がインナー側、下側がアウター側を示している。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置の加工方法に係る車輪用軸受装置1の軸方向の断面図である。図2は図1の本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置の主要部の拡大断面図である。
図1、図2において車輪用軸受装置1は、外輪部材10と、ハブ軸20と、内輪30と、2列の複数の転動体としての玉40と、2個の保持器41と、を有する。
外輪部材10は内周に一対の外輪軌道11、12が形成されている。ハブ軸20は外周に第1内輪軌道21が形成され、アウター側の端部にハブフランジ22を有している。内輪30は、外周に第2内輪軌道31が形成されている。2列の複数の転動体としての玉40は、外輪部材10の一方の外輪軌道11とハブ軸20の第1内輪軌道21の間、および、外輪部材10の他方の外輪軌道22と内輪30の第2内輪軌道31の間で転動する。2個の保持器41は、前記2列の複数の玉40を所定の間隔で保持する。
ハブ軸20の外周および内輪30の外周と、外輪部材10の内周と、の間で軸受内部空間2が構成され、軸受内部空間2には、潤滑剤としてのグリースが充填されている。軸受内部空間2は、ハブフランジ22側すなわちアウター側の開口部に配置された密封装置50と、外輪部材10のインナー側の端部に固定されたキャップ80と、で密封されている。
外輪部材10はS55C等の合金鋼からなる環状体である。外輪部材10は、外周のインナー側端部に半径方向外方に拡径して、軸受装置1を車体部材90に取付けるための固定フランジ13を有し、固定フランジ13からアウター側に向けて、外輪外周面15が形成されている。固定フランジ13には取付け用ボルト91が貫通するための複数の通し穴14が設けられている。外輪部材10の内周には、アウター側に外輪軌道11が、インナー側に外輪軌道12が形成されている。
外輪部材10のアウター側の端部は、外輪端面16となっている。外輪部材10の内周のアウター側の端部にはシール嵌合面17が形成されている。
ハブ軸20はS55C等の合金鋼からなる。ハブ軸20は、外周の軸方向一方側端部すなわちアウター側端部に半径方向に拡径して、ハブフランジ22を有している。ハブフランジ22には、ブレーキディスク92とホイール93を固定する複数のハブボルト94が埋め込まれ、ブレーキディスク92とホイール93が取付けられている。
ハブ軸20の外周の軸方向他方側の端部すなわちインナー側端部には半径方向に縮径して内輪嵌合面23が形成されている。内輪嵌合面23のアウター側端部から拡径する軸線に直角な平面である内輪突き当て面26が形成されている。ハブフランジ22と内輪嵌合面23の中間の外周には第1内輪軌道21が形成されている。第1内輪軌道21と、ハブフランジ22のインナー側の基部との間の肩外周面には、軸線に平行な円筒形状のスリンガ嵌合面24が形成されている。
内輪30はSUJ2等の軸受鋼からなる環状体である。内輪30は、外周の軸線方向中央に第2内輪軌道31が形成され、内周に第2内輪軌道31と同心の内径面32が形成されている。内輪30は、内径面32をハブ軸20の内輪嵌合面23に外嵌し、アウター側の端面33をハブ軸20の内輪突き当て面26に当接し、インナー側の端部34をハブ軸20のインナー側端部のかしめによって圧着されて、ハブ軸20に固定されている。
密封装置50は、合成ゴム製のシール部材51と、金属製のスリンガ60とで構成されている。シール部材51は、鋼板等の金属からなる環状体の芯金70および芯金70と一体に加硫成形されたNBR等の合成ゴムからなるシール部52からなる。芯金70は、外輪部材10のシール嵌合面19に内嵌する円筒部71と、円筒部71のインナー側端部から縮径して延在する平板部72と、を有している。円筒部71のアウター側端面は軸線に直角な被押圧面73となっている。
シール部52は、芯金70の平板部72の径方向内方の、インナー側に補助リップ56、アウター側にメインリップ57を有し、芯金70の平板部72のアウター側にはアウター側方向に拡径するサイドリップ58が形成されている。サイドリップ58のアウター側の先端部59と、被押圧面73との軸方向の間隔は第3間隔はL3となっている。
シール部材51は、芯金70の円筒部71を外輪部材10のシール嵌合面17に内嵌して外輪部材10に装着されている。シール部材51が外輪部材10に装着された状態で、内輪30のアウター側の端面33と、サイドリップ58の先端部59との間隔は第1間隔L1に設定されている。すなわち、内輪30のアウター側の端面33と被押圧面73との軸方向の間の第5間隔L5は、第1間隔L1と、サイドリップ58の先端部59と受圧面73との間隔である第6間隔L6との和に等しい。
スリンガ60はステンレス鋼板等の金属板からなる。スリンガ60は断面形状がL字型の環状体で、円筒部61と、円筒部61の一方側の端部から拡径して延在する円盤部62を有している。円盤部62の軸方向の厚さは板厚tとなっている。円筒部61の内周は軸嵌合面63となっている。軸嵌合面63の直径は、ハブ軸20のスリンガ嵌合面24の直径より僅かに小さい。円筒部61の外周はシール部53のメインリップ57が摺接するラジアル摺接面64となっている。
円盤部62のシール部52側すなわちインナー側の側面は、シール部52のサイドリップ58が摺接するサイドリップ摺接面65となっている。また、円盤部62のハブフランジ22側すなわちアウター側の側面はスリンガ外側面66となっている。スリンガ60は軸嵌合面63をハブ軸20の第1内輪軌道21とハブフランジ22の間の肩外周面であるスリンガ嵌合面24に外嵌してハブ軸20に装着されている。
また、ハブ軸20の内輪突き当て面26からスリンガ60のサイドリップ摺接面65との間隔は第2間隔L2となっている。第2間隔L2は、サイドリップ58の円盤部62側すなわちアウター側の先端部59と、スリンガ60のシール部52側の側面すなわちサイドリップ摺接面65との間のしめしろが、所定の適正なしめしろΔとなる、間隔に設定されている。
シール部材51が外輪部材10に装着され、スリンガ60がハブ軸20に装着された状態で、シール部52の補助リップ56およびメインリップ57の内周先端部はスリンガ60のラジアル摺接面64に摺接している。シール部52のサイドリップ58は、アウター側の先端部59がスリンガ60のサイドリップ摺接面65に摺接している。
内輪30のアウター側の端面33は、ハブ軸20の内輪突き当て面26に当接している。このため、サイドリップ58のアウター側の先端部59と、スリンガ60のサイドリップ摺接面65とのしめしろは、内輪30のアウター側の端面33とサイドリップ58の先端部59との間の第1間隔L1と、ハブ軸20の内輪突き当て面26とスリンガ60のサイドリップ摺接面65との間の第2間隔L2、との差となる。すなわち、第1間隔L1と、第2間隔L2のみによって、サイドリップ58の先端部59と、スリンガ60のサイドリップ摺接面65との間のしめしろは決定し、しめしろは所定の適正なしめしろΔに等しい。
図3、図4は本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置の組立て方法を説明する説明図である。
以下図2、図3、図4に基づき本発明の第1の実施施形態の車輪用軸受装置1の組立て方法の特徴である、シール部材51の外輪部材10への装着、スリンガ60のハブ軸20への装着、および、シール部材51が装着された外輪内輪組立品3とスリンガ60が装着されたハブ軸20の組立て方法の一例について説明する。ここで、外輪内輪組立品3は、外輪部材10と内輪30と、それぞれ保持器41に保持された2列の複数の玉との組立て品である。
最初に、本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置のシール部材51の組立て方法を説明する。
図3に示すように、シール圧入冶具100は鋼材からなる環体である。シール圧入冶具100は、一方の端部側から、軸方向に、ガイド部101、中間部102および押圧部103の3部位からなる。前記3部位の外周の直径は、ガイド部101、中間部102、押圧部103の順に大きい。ガイド部101の外周にガイド面104が形成され、ガイド面104の直径は、内輪30の内周32より僅かに大きい。
ガイド部101の中間部102側の端部と、中間部102の外周の間に軸線に直角な平面であるシール位置決め面105が形成されている。
中間部102の押圧部103側の端部と、押圧部103外周の間に、軸線に直角な平面であるシール押圧面106が形成されている。シール位置決め面112の内周の直径は、シール部材51の芯金70の内周の直径と略等しい。シール押圧面112の外周の直径は、芯金70の外周の直径より大きい。
シール圧入冶具100のシール位置決め面105とシール押圧面106との軸方向の間隔は、前記第4間隔L4に等しく形成されている。
本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置のシール部材51の組立て手順を説明する。
従来の組立て方法で、図3に示す外輪内輪組立品3組立てる。外輪内輪組立品3は、外輪部材10と内輪30と、それぞれ保持器41に保持された2列の複数の玉との組立て品である。図3に示すように、外輪内輪組立品3を、内輪30のインナー側の側面35をベース110の上面に接して、シール組立て装置のベース110に据付ける。
次に、部品供給ロボット等の図示しないシール部材保持、移動手段を用いて、シール部材51をシール組立て装置に供給し、シール部材51の軸嵌合面のインナー側の端部が、外輪部材のシール圧入面24のアウター側の端部に接した状態に配置する。
シール圧入冶具100を、図示しない圧入冶具移動手段によって、外輪部材10のアウター側上方から、軸線に添って外輪部材10のインナー側方向に移動する。次に、シール圧入冶具100のシール押圧面106がシール部材51の被押圧面73に接するまで、シール圧入冶具100をインナー側方向に移動する。さらに、シール圧入冶具100をインナー側方向に移動し、シール部材51をインナー側方向に押圧することにより、シール部材51は外輪部材10のシール嵌合面17上をインナー側に移動し、シール部材51の圧入が行われる。
シール圧入冶具100がインナー側方向へ移動し、シール圧入冶具100のシール位置決め面105が内輪30のアウター側端面34に達すると、前記の図示しないシリンダを停止する。前記シリンダを停止すると、シール圧入冶具100の移動は停止し、シール部材51の外輪部材10への装着は完了する。このとき、内輪のアウター側端面34と、シール部材51のサイドリップ58の先端部59との間隔は第1間隔L1に等しい。
シール部材51の装着が完了すると、図示しない押圧スピンドルを軸線方向にアウター側方向に収縮させ、シール圧入冶具100を、図示しない移動手段によって、軸線方向アウター側方向に移動した後、外輪部材10から遠ざける。
つぎに、本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置1のスリンガ60の組立て方法を説明する。
図4に示すように、スリンガ圧入冶具120は鋼材からなる。スリンガ圧入冶具120は、有底のカップ状の環体である。スリンガ圧入冶具120は、一方の端部側から、軸方向に、ガイド部121、中間部122および先端部123の3部位からなる。前記3部位の内周の直径は、ガイド部121、中間部122、先端部123の順に大きい。ガイド部121の内周にガイド面124が形成され、ガイド面124の直径は、ハブ軸20の内輪嵌合面23の直径より僅かに大きい。
ガイド部121の中間部102側の端部と、中間部122の内周の間に軸線に直角な平面であるスリンガ位置決め面125が形成されている。先端部123の開放側の端部に軸線に直角な平面であるスリンガ押圧面126が形成されている。スリンガ押圧面126の内周の直径は、スリンガ60のサイドリップ摺接面65の内周の直径に略等しい。
スリンガ押圧面126とスリンガ位置決め面125との軸方向の間隔は前記第2間隔L2に等しい。
以下、本発明の第1の実施形態の車輪用軸受装置のスリンガ60の組立て手順を図4に基づき説明する。
図4に示すように、ハブフランジ22のアウター側の側面25をベース130の上面に接して、ベース130に据付ける。
次に、部品供給ロボット等の図示しないスリンガ保持、移動手段を用いて、スリンガ60を供給し、スリンガ60の軸嵌合面63のアウター側の端部が、ハブ軸20のスリンガ圧入面24のインナー側の端部に接した状態に配置する。
スリンガ圧入冶具120を、図示しない圧入冶具移動手段によって、ハブ軸20のインナー側上方から、軸線に添ってハブ軸20のアウター側方向に移動する。次に、スリンガ圧入冶具120のスリンガ押圧面126がスリンガ60のサイドリップ摺接面65に接するまで、スリンガ圧入冶具120をアウター側方向に移動する。さらに、スリンガ圧入冶具120をアウター側方向に移動し、スリンガ60をアウター側方向に押圧することにより、スリンガ60の軸嵌合面63が、ハブ軸20のスリンガ圧入面24上をアウター側に移動し、スリンガ60の圧入が行われる。
スリンガ圧入冶具120がアウター側方向へ移動し、スリンガ圧入冶具120のスリンガ位置面123がハブ軸20の内輪突き当て面26に達すると、スリンガ圧入冶具120の移動は停止し、スリンガ60のハブ軸20への装着は完了する。このとき、ハブ軸20の内輪突き当て面26からスリンガのサイドリップ摺接面65との間隔は第2間隔L2に等しい。
以下、シール部材51が装着された外輪内輪組立品3とスリンガ60が装着されたハブ軸20の組立て方法を、図1、図2に基づき説明する。ここで、外輪内輪組立品3は、外輪部材10と内輪30と、それぞれ保持器41に保持された2列の複数の玉との組立て品である。
シール部材51が装着された外輪内輪組立品3の内方に、スリンガ60が装着されたハブ軸20を配置し、内輪30の内径面32にハブ軸20の内輪嵌合面23が接した状態で、ハブ軸20を軸方向インナー側に移動する。ハブ軸20の内輪突き当て面26が内輪30のアウター側端面34に達したら移動を停止する。内輪30のインナー側の端面35をハブ軸20のインナー側端部のかしめによって圧着し、ハブ軸20に固定する。
この時、シール部材51の補助リップ56およびメインリップ57の内周先端部はスリンガ60のラジアル摺接面64に接触し、シール部材51のサイドリップ58は、アウター側の先端部59がスリンガ60のサイドリップ摺接面65に接触し、密封装置50の組み立ても完了する。
組立て完了後の密封装置50において、サイドリップ58のアウター側の先端部59と、スリンガ60の円盤部62のサイドリップ摺接面65との間のしめしろは、所定の適正なしめしろΔに略等しくなり、前記しめしろの過不足の発生を防止できる。
本発明の第1の実施形態によれば、組立て工程における密封装置50のサイドリップ58とスリンガ60との間のしめしろの過不足の発生を防止し、密封性能に優れた車輪用軸受装置1および密封性能に優れた車輪用軸受装置1の加工方法を提供することができる。
(第2の実施形態)。
この発明の第2の実施形態の車輪用軸受装置図面を参照して説明する。
図5は本発明の第2の実施形態の車輪用軸受装置201の断面図である。
第2の実施形態の車輪用軸受装置201は、ハブ軸20にスリンガ対向面25が形成されていることと、スリンガ装着方法が第1の実施形態の車輪用軸受装置1と異なり、他は第1の実施形態の車輪用軸受装置1と共通である。
第2の実施形態の車輪用軸受装置201では、第1の実施形態の車輪用軸受装置1と共通の形状、構成、組立て方法、作用効果については説明を省略することにし、第1の実施形態の車輪用軸受装置と異なる構成、組立て方法、作用効果についてのみ説明を行う。また、第1の実施形態の車輪用軸受装置と共通の構成部品については、同一符号を付し、説明を省略する。
ハブ軸20はスリンガ嵌合面24のアウター側端部から拡径するハブフランジ22のインナー側の側面に、軸線に直角な平面であるスリンガ対向面227が形成されている。スリンガ対向面227はスリンガ60の軸方向位置の基準面である。スリンガ対向面227と内輪突き当て面26の両面は、スリンガ対向面227と内輪突き当て面26の両面の形状が成形された1個の砥石で同時に研削加工されている。
スリンガ60の円盤部62のアウター側の側面66と、スリンガ対向面227との間隔とである第4間隔L4はサイドリップ58の先端部59と、スリンガ60のサイドリップ摺接面65との間のしめしろが、所定の適正なしめしろΔとなるように設定されている。
スリンガ対向面225と内輪突き当て面26との間の第3間隔L3は、所定の適正なしめしろΔとなるように設定されたハブ軸20の内輪突き当て面26とスリンガのサイドリップ摺接面65との間の第2間隔L2と、第4間隔L4との和である。
第7間隔L7は、サイドリップ58の先端部59と、スリンガ60のサイドリップ摺接面65との間のしめしろが、所定の適正なしめしろΔとなる、スリンガ外側面66からスリンガ対向面225までの距離であり、第4間隔から円盤部の軸方向板厚tを減じた値となっている。
図7は本発明の第2の実施形態の車輪用軸受装置の組立て方法を説明する説明図である。
以下図5、図6、図7に基づき本発明の第2の実施施形態の車輪用軸受装置201の組立て方法の特徴である、スリンガ60のハブ軸20への装着方法の一例について説明する。
シール部材51の外輪部材10への装着方法、および、シール部材51が装着された外輪内輪組立品3とスリンガ60が装着されたハブ軸20の組立て方法については、第1の実施形態の車輪用軸受装置1の組立て方法と同じため説明を省略する。
位置決め冶具140は鋼材からなる。位置決め冶具140は、半円形に2分割された円盤である。位置決め冶具140の両側面は、軸線に直角な第1平面141および第2平面142となっている。第1平面141および第2平面142の間隔、すなわち、位置決め冶具140の軸方向の幅Bは、適正なしめしろΔを得るため設定されたスリンガ60のスリンガ外側面66からハブ軸20のスリンガ対向面227までの間隔である第7間隔L7に等しい。
位置決め冶具140内周面143の直径は、ハブ軸20のスリンガ取付け面24の直径より大きい。
スリンガ圧入冶具150は鋼材からなる。スリンガ圧入冶具150は、有底のカップ状の環体である。スリンガ圧入冶具150は、底端部側から、軸方向に、ガイド部151、中間部152および先端部153の3部位からなる。前記3部位の内周の直径は、ガイド部151、中間部152、先端部153の順に大きい。ガイド部151の内周にガイド面154が形成され、ガイド面154の直径は、ハブ軸20の内輪嵌合面23の直径より僅かに大きい。
先端部153の開放側の端部に軸線に直角な平面であるスリンガ押圧面155が形成されている。先端部153の内周面156の直径は、スリンガ60のラジアル摺接面64の直径より僅かに大きい。
以下、本発明の一実施形態の車輪用軸受装置の組立て手順を説明する。
図3に示すように、ハブフランジ22、内輪軌道31、内輪圧入面23、スリンガ圧入面24等、すべての単体としての加工が完了したハブ軸20は、ハブフランジ22のアウター側の側面25をベース130の上面に接して、をベース130に据付ける。
次に、分割されたそれぞれの位置決め冶具140を、第1平面141を、ハブフランジ22のスリンガ対向面227に当接して、ハブ軸20にセットする。
次に、部品供給ロボット等の図示しないスリンガ保持、移動手段を用いて、スリンガ60を供給し、スリンガ60の軸嵌合面63のアウター側の端部が、ハブ軸20のスリンガ圧入面24のインナー側の端部に接した状態に配置する。
圧入冶具150を、図示しない圧入冶具移動手段によって、ハブ軸20のインナー側上方から、軸線に添ってハブ軸20のアウター側方向に移動する。圧入冶具150のスリンガ押圧面155がスリンガ60のサイドリップ摺接面65に接するまで、圧入冶具150をアウター側方向に移動する。さらに、圧入冶具150をアウター側方向に移動し、スリンガ60をアウター側方向に押圧することにより、スリンガ60の軸嵌合面63が、ハブ軸20のスリンガ圧入面24上をアウター側に移動し、スリンガ60の圧入が行われる。
圧入冶具150をアウター側方向への移動し、スリンガ60のスリンガ外側面66が、位置決め冶具140の第2平面142に当接すると、圧入冶具150の移動を停止し、スリンガ60のハブ軸20への装着は完了する。
上述のごとく、本発明の一実施形態によれば、スリンガ60の装着後のスリンガ60の円盤部62のスリンガ外側面66と、ハブフランジ22のスリンガ対向面227との間隔は位置決め冶具140の軸方向の幅Bと等しく、正確に保たれる。
ここで、位置決め冶具120の軸方向の幅Bは、サイドリップ58のアウター側の端部59と、スリンガ60の円盤部62のサイドリップ摺接面65との間の適正なしめしろΔを得るために設定された、円盤部62のスリンガ外側面66と前記ハブフランジ22のスリンガ対向面25との第7間隔L7に等しい。
すなわち、密封装置50組立て完了後の、サイドリップ58のアウター側の端部59と、スリンガ60の円盤部62のサイドリップ摺接面65との間のしめしろは、所定の適正なしめしろΔに略等しくなり、ハブ軸20にスリンガ60を装着する工程によって、前記しめしろの過不足が発生することを防止できる。
また、位置決め冶具140は、円周2分割された円環状であり、構造の簡単な移動手段によって、ハブフランジ22のインナー側のスリンガ対向面227上を、容易に半径方向に移動させ着脱することができる。
第2の実施形態では、スリンガ外側面66とスリンガ対向面225との間隔である第7間隔L7は、第4間隔から円盤部の軸方向板厚tを減じた値となる構造であるが、この発明では、第4間隔と板厚tが等しく、第7間隔L7が0となる構造であっても良い。
上述の実施形態では、転動体はボールであるが、この発明では、転動体は円すいころ等の他の形式の転動体であっても良い。
上述の実施形態では、ハブ軸20と内輪30は、ハブ軸20の端部のかしめで一体化されているが、この発明では、ハブ軸20と内輪30はナット締結等、他の結合手段で一体化される形式であっても良い。
上述の実施形態では、密封装置50は、補助リップ56、メインリップ57および1個のサイドリップ58を有しているが、この発明では、密封装置は、サイドリップの個数が異なる形式や、メインリップを有しない形式等、他の形式の密封装置であっても良い。
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは当然である。
1、200 ‥ 軸受装置(車輪用軸受装置)
10 ‥ 外輪部材
11、12 ‥ 外輪軌道
2 ‥ 軸受内部空間
20 ‥ ハブ軸
21 ‥ 第1内輪軌道
22 ‥ ハブフランジ
227 ‥ スリンガ対向面
23 ‥ 内輪嵌合部
24 ‥ スリンガ嵌合面(肩外周面)
25 ‥ 内輪突き当て面
30 ‥ 内輪
31 ‥ 第2内輪軌道
33 ‥ 端面
40 ‥ ボール(転動体)
50 ‥ 密封装置
51 ‥ シール部材
52 ‥ シール部
58 ‥ サイドリップ
60 ‥ スリンガ
61 ‥ 円筒部
62 ‥ 円盤部
65 ‥ サイドリップ摺接面(側面)
66 ‥ スリンガ外側面(側面)
70 ‥ 芯金
73 ‥ 被押圧面
L1 ‥ 第1間隔
L2 ‥ 第2間隔
L3 ‥ 第3間隔
L4 ‥ 第4間隔
L5 ‥ 第5間隔
L6 ‥ 第6間隔
100 ‥ シール圧入冶具
120、150 ‥ スリンガ圧入冶具
140 ‥ スリンガ位置決め冶具
Δ ‥ しめしろ
L1 ‥ 間隔

Claims (6)

  1. 内周に一対の外輪軌道が形成された外輪部材と、外周に第1内輪軌道が形成された内輪と、
    外周に第2内輪軌道が形成され、軸方向一方側の端部に半径方向外方に拡径して延在するハブフランジを有し、軸方向他方側の端部に前記内輪を外嵌する内輪嵌合面を有するハブ軸と、
    一方の前記外輪軌道と前記第1内輪軌道の間および他方の前記外輪軌道と第2内輪軌道の間で転動する2列の複数の転動体と、
    前記外輪部材と前記ハブ軸との間の軸受内部空間の前記ハブフランジ側の開口部を密封する密封装置と、を有し、
    前記密封装置は、金属製のスリンガと、金属製の芯金と合成ゴム製のシール部を有するシール部材と、を有し、
    前記スリンガは、前記ハブ軸の前記第2内輪軌道と前記ハブフランジの間の肩外周面に外嵌された円筒部と、前記円筒部の前記ハブフランジ側の端部から径方向外方に拡径する円盤部とを有し、
    前記シール部は、前記円盤部に対向し、前記円盤部の方向に拡径するサイドリップを有し、
    前記サイドリップの前記円盤部側の端部は、前記円盤部の前記シール部側の側面に、所定の適正なしめしろをもって摺接する車輪用軸受装置であって、
    前記ハブ軸は、前記内輪の前記ハブフランジ側の端面を突き当てる内輪突き当て面を有し、
    前記内輪の前記ハブフランジ側の端面と前記サイドリップの前記円盤部側の先端部との間の第1間隔と、前記内輪突き当て面と前記円盤部の前記シール部側の側面との間の第2間隔との差が、
    前記、所定の適正なしめしろに等しく設定されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記ハブ軸は、前記ハブフランジの前記スリンガ側に、前記スリンガの軸方向位置の基準となるスリンガ対向面を有し、
    前記内輪突き当て面と前記スリンガ対向面との間の第3間隔は、
    前記適正なしめしろを得るために設定された、前記スリンガ対向面と前記円盤部の前記シール部側の側面との間の第4間隔と、前記第2間隔との和に等しく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 請求項2に記載の車輪用軸受装置の加工方法であって、前記内輪突き当て面および前記スリンガ対向面の両面を、1個の砥石で同時に研削加工することを特徴とする車輪用軸受装置の加工方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の組立て方法であって、前記シール部材を押圧するシール押圧面と、前記内輪の前記ハブフランジ側の端面に当接するシール位置決め面と、を有し、前記シール押圧面と前記シール位置決め面との間の第5間隔が、前記第1間隔と、前記適正なしめしろを得るために設定された、前記シール部材の被押圧面と前記サイドリップの前記円盤部側の端部との間の第6間隔と、の和に等しいシール圧入冶具を用いて前記シール部材を前記外輪部材に装着することを特徴とする車輪用軸受装置の組立て方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置の組立て方法であって、前記スリンガの前記円盤部の前記シール部側の側面を押圧するスリンガ押圧面と、前記ハブ軸の前記内輪突き当て面に当接するスリンガ位置決め面と、を有し、前記スリンガ押圧面と前記スリンガ位置決め面との間隔が、前記第2間隔に等しいスリンガ圧入冶具を用いてスリンガをハブ軸に装着することを特徴とする車輪用軸受装置の組立て方法。
  6. 請求項2に記載の車輪用軸受装置の組立て方法であって、軸方向の幅が、前記第4間隔から前記スリンガの前記円盤部の板厚を減じた値に等しく、円周方向に複数に分割された円環状のスリンガ位置決め冶具を、前記スリンガの前記ハブフランジ側の側面と前記ハブフランジの前記スリンガ対向面との間に配置して、前記スリンガを前記ハブ軸に圧入することを特徴とする車輪用軸受装置の組立て方法。
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