JP2017015038A - 内燃機関の制御装置、制御方法、及び制御プログラム、並びに内燃機関システム - Google Patents

内燃機関の制御装置、制御方法、及び制御プログラム、並びに内燃機関システム Download PDF

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Abstract

【課題】混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることが可能な内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】ECU100は、エンジン1の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室17内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構70に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じられる負のオーバーラップ期間を生成させる。ECU100は、自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に点火プラグ31を点火させる。【選択図】図13

Description

本発明は、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御装置、制御方法、及び制御プログラム、並びに内燃機関システムに関する。
特許文献1は、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関を開示している。また、特許文献1は、混合気をその空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン状態とし、希薄燃焼を行わせる技術を開示している。
特開2015−072003号公報
内燃機関において希薄燃焼を行うと一般に熱効率が向上する。しかし、リーン状態では初期火炎を形成できずに失火する場合がある。また、初期火炎が形成された場合でも火炎伝播速度が遅く、部分燃焼となる場合がある。このような失火や部分燃焼は希薄燃焼による熱効率の向上を阻害する。
本発明は、混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることが可能な内燃機関の制御装置、制御方法、及び制御プログラム、並びに内燃機関システムを提供する。
本発明の内燃機関の制御装置は、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御装置である。
内燃機関は、
吸気バルブと、排気バルブと、吸気バルブ及び排気バルブを開閉するとともに、吸気バルブと排気バルブとのうち少なくとも排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備える。
制御装置は、 内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段と、
動弁機構の動作を制御する動弁機構制御手段と、
点火プラグの点火時期を制御する点火制御手段と、を備える。
動弁機構制御手段は、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ及び前記排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させる。
点火制御手段は、自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に点火プラグを点火させる。
本発明の内燃機関の制御方法は、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御方法である。
内燃機関は、
吸気バルブと、排気バルブと、吸気バルブ及び排気バルブを開閉するとともに、吸気バルブと排気バルブとのうち少なくとも排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備える。
制御方法は、
動弁機構の動作を制御する動弁機構制御工程と、
点火プラグの点火時期を制御する点火制御工程と、を含む。
動弁機構制御工程において、内燃機関の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ及び排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させる。
点火制御工程において、自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に点火プラグを点火させる。
本発明の内燃機関の制御プログラムは、コンピュータを、内燃機関の制御装置として機能させる。
本発明の内燃機関システムは、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関と内燃機関を制御する制御装置とを有する。
内燃機関は、
吸気バルブと、排気バルブと、吸気バルブ及び排気バルブを開閉するとともに、吸気バルブと排気バルブとのうち少なくとも排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備え、
制御装置は、
動弁機構の動作を制御する動弁機構制御手段と、
点火プラグの点火時期を制御する点火制御手段と、を備え、
動弁機構制御手段は、内燃機関の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ及び排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させ、
点火制御手段は、自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に点火プラグを点火させる。
本発明によれば、火花点火式のエンジンにおいて、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ及び排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態が生成され、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じ、その後点火プラグが点火される。本願発明者の知見によれば、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、負のオーバーラップ状態として自着火を生じさせ、その後点火プラグにより点火することにより、混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることができる。
実施形態1に係るエンジンシステムの構成を示す図である。 実験において利用したエンジンの主要諸元を示す図である。 実験及びシミュレーションにおけるNVO期間の設定条件を示す図である。 空燃比(A/F)に対するMBTの特性を示す図である。 空燃比(A/F)に対する図示平均有効圧及び図示平均有効圧の変動率の特性を示す図である。 空燃比(A/F)に対する図示熱効率の特性を示す図である。 クランク角に対する熱発生率の特性を示す図である。 空燃比に対するMBF2−50%期間の特性を示す図である。 NVO期間の長さに対する内部EGR率の特性、およびNVO期間に対する点火直前(340°CA)の筒内温度の特性を示す図である。 シリンダ内の燃焼室の体積に対するガスの圧力を示す図(Log−PV線図)である。 トルク(エンジン負荷)に対する図示熱効率、正味熱効率、及び燃料消費率の特性を示す図である。 火花点火式エンジンにおいてNVO運転を行う場合の熱発生率の適正範囲を示す図である。 エンジンの各運転モードにおける開弁時期制御の一例を説明する図である。 最適燃焼を説明するためのクランク角に対する熱発生率の特性を示す図である。 最適燃焼が得られていないときの燃焼例を示す図である。 実施形態1のエンジン制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。 イオン電流センサの構成を示す図である。 実施形態3に係るエンジンシステムの構成を示す図である。 実施形態3のエンジン制御装置による燃焼制御の流れを示すフローチャートである。 実施形態4に係るエンジンの点火系の構成を示す図である。 実施形態4のエンジン制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
1.構成
図1は、実施形態1に係るエンジンシステムの構成を示す図である。エンジンシステムは、例えば自動車に配備されるものであり、エンジン1(内燃機関)と、エンジン1の動作を制御するエンジン制御装置100(ECU(Engine Control Unit)、以下「ECU100」という)とを有する。
エンジン1は、エンジン本体10、燃料供給系20、点火系30、吸気通路40、排気通路50、排気還流通路60、動弁機構70等を有する。
エンジン本体10は、シリンダブロック11、ピストン12、ピストンロッド13、クランクシャフト14、吸気バルブ15、排気バルブ16を有する。シリンダブロック11とピストン12とにより燃焼室17が形成される。ピストン12は、シリンダブロック11の内部のシリンダボア内を摺動する。ピストンロッド13は、ピストン12の直線運動をクランクシャフト14の回転運動に変換する。シリンダブロック11には、圧力センサ18及びクランクポジションセンサ19が取り付けられている。圧力センサ18は、燃焼室17内のガスの圧力を示す信号を出力する。クランクポジションセンサ19は、ピストン12が上死点(TDC)にあるときのクランクシャフト14の回転位置を基準とする回転角(クランク角)を示す信号を出力する。
吸気バルブ15は、エンジン本体10の燃焼室17と吸気通路40とを連通する連通部を開閉する。排気バルブ16は、エンジン本体10の燃焼室17と吸気通路40とを連通する連通部を開閉する。
動弁機構70は、吸気バルブ15を開閉させる吸気側動弁機構71と、排気バルブ16を開閉させる排気側動弁機構72とを有する。排気側動弁機構72は、排気バルブ16の開弁時期(開弁タイミング)を可変とする可変バルブタイミング制御機構(VVT(Variable Valve Timing−control)と、排気バルブ16のバルブリフト量を可変とする可変バルブリフト制御機構(VVL(Variable Valve Lift−control)とを有する。これらの機構としては公知のものが利用可能であり、詳しい説明は省略する。本実施形態の可変バルブタイミング制御機構は、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15と排気バルブ16の両方を閉じる所謂、負のオーバーラップ(Negative Valve−overlap、以下適宜「NVO」という)を実現可能に構成されている。
吸気通路40には、上流側から順に、エアクリーナ41、吸気流量センサ42、及びスロットルバルブ43が配置されている。エアクリーナ41は、内部にフィルターエレメントが収容されており、吸入する新気をフィルターエレメントによって濾過する。吸気流量センサ42は、吸気通路40に外部から流入する新気の流量を示す信号を出力する。スロットルバルブ43は、ECU100から出力される開度信号に基づいて開度が制御され、吸気通路40を流れる新気の流量を調節する。
排気通路50には、消音器(図示せず)が配置されている。
排気還流通路60は、排気通路50と吸気通路40とを接続する通路であり、排気通路50から吸気通路40に排気ガスを還流する(外部EGR)。排気還流通路60上には、排気還流バルブ61が配置されている。排気還流バルブ61は、ECU100から出力される開度信号に基づいて開度が制御され、還流する排気ガスの量を調整する。
燃料供給系20は、インジェクタ21、燃料ポンプ22、及び燃料タンク23を備え、燃料タンク23内の燃料を燃料ポンプ22によりインジェクタ21に供給する。インジェクタ21は、吸気通路40に燃料噴射口が臨むように配置され、ECU100から出力される燃焼噴射信号に基づいて吸気通路40内に燃焼を噴射する。
点火系30は、点火プラグ31、点火コイル32、及びイグナイタ33を備え、ECU100から出力される点火信号をイグナイタ33が受けたときに、点火コイル32により高電圧を発生し、点火プラグ31から火花を発生させる。
ECU100は、制御部、記憶部、信号インタフェース等を備え、各センサや各アクチュエータとの間で各種の信号を入力あるいは出力する。記憶部は、ECU100の種々の機能を実現させるためのプログラムや、後述する運転領域マップ等の種々のデータを格納している。制御部は、例えばCPU、MPU、またはFPGAにより構成される。ECU100は、制御部が上記プログラム及び種々のデータ等に基づいて演算処理を行うことにより各種の機能を実現する。ECU100の機能は、制御部、記憶部等のハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
ECU100は、少なくとも、クランクポジションセンサ19から出力されるクランク角を示す信号、圧力センサ18から出力される燃焼圧力を示す信号、車両に設けられたアクセルペダルモジュール80から出力される踏込量を示す信号を入力し、これらの信号に基づいて、各種のアクチュエータを制御する。アクセルペダルモジュール80に対する踏込量は、一般にエンジン負荷(トルク)の大きさに略対応しており、ECU100は、この踏込量を示す信号を、エンジン負荷を示す信号として利用し、エンジンの燃焼制御(運転制御)を行う。
2.本発明の課題等
本実施形態の具体的な制御を説明する前に、本発明の課題等について説明する。
2−1.課題
発明が解決しようとする課題の欄において説明したように、内燃機関において希薄燃焼を行うと一般に熱効率が向上する。しかし、リーン状態では初期火炎を形成できずに失火する場合がある。また、初期火炎が形成された場合でも火炎伝播速度が遅く、部分燃焼となる場合がある。このような失火や部分燃焼は希薄燃焼による熱効率の向上を阻害する。
そこで、本発明は、混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることが可能なエンジンの制御装置を提供することを課題としている。
この課題に対処するため、本願発明者は鋭意検討を行い、火花点火(SI)による燃焼(SI燃焼)を行うエンジンをベースとした技術についての知見を得た。具体的に、各燃焼サイクルにおいて火花点火による燃焼を行わせるとともに、当該火花点火の前の排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方を閉じて負のオーバーラップ状態を生成し、圧縮行程において自着火(CI)による燃焼(CI燃焼)を発生させるというものである。換言すれば、圧縮行程において自着火による燃焼(CI燃焼)を発生させた後、さらに火花点火による燃焼を行わせるものである。このような燃焼制御を行った場合の燃焼特性等について本願発明者は実験及びシミュレーションにより検証を行い、最適な燃焼が得られる条件について検討を行った。以下、検討結果について説明する。
2−2.供試エンジンの主要諸元及びバルブタイミング
図2は、実験において利用したエンジンの主要諸元を示す図である。利用したエンジンは、シリンダ数が3、排気量が658cc、圧縮率が11、ボアの直径が64.0mm、ストロークが68.2mm、噴射タイプがポート噴射のエンジンである。
図3は、実験及びシミュレーションにおけるNVO期間の設定条件を示す図である。本評価においては、所謂、正のオーバーラップ(Positive Valve−overlap、以下適宜「PVO」という)に対して吸気バルブ15の開弁時期は変更せず、排気バルブ16の開弁時期のみを変更した。PVOにおいて、吸気バルブ15及び排気バルブ16の最大リフト量は7.6mm、開弁期間は210°CAである。NVOにおいて、排気バルブ16の最大リフト量は2.6mm、開弁期間は90°CAであり、この最大リフト量及び開弁期間を維持した状態で開弁時期を変更する。NVO期間は、26°CA,43°CA,60°CA,77°CAの4種類とした。また、PVOにおける正のオーバーラップ期間を2°CAとした。以下において、NVO期間を26°CA,43°CA,66°CA,77°CAに設定した状態を適宜NVO26、NVO43、NVO60、NVO77という。また、PVO期間を2°CAに設定した状態を適宜PVO2という。
2−3.空燃比特性
図4Aは、空燃比(以下適宜「A/F」という)に対するMBTの特性を示す図である。MBT(Minimum advance for the Best Torque)とは、エンジン回転数や吸気量等が同一の条件の基で点火時期のみを変化させた場合において、トルクが最大となる点火時期である。図4Aは、圧縮TDCに対するMBTの進角量(°CA)の特性を示している。図4Bは、空燃比(A/F)に対する図示平均有効圧(IMEP(Indicated Mean Effective Pressure)、及び図示平均有効圧の変動率の特性を示す図である。図4Cは、空燃比(A/F)に対する図示熱効率の特性を示す図である。計測条件は、エンジン回転数が1000rpm、スロットル開度(以下「TVO」という)が10%、点火時期がMBTである。
図4Aに示すように、圧縮TDCに対するMBTの進角量(°CA)は空燃比が大きくなるほど大きくなる。また、MBTの圧縮TDCに対する進角量(°CA)は、NVO期間が長くなるほど概ね大きくなる傾向がある。つまり、MBTは空燃比が大きくなるほど、またNVO期間が長くなるほど進角する傾向がある。
図4Bに示すように、図示平均有効圧は、NVO期間が26°CA及び43°CAの場合、PVO2よりも向上する。つまり、リーン限界が向上する。しかし、NVO期間が60°CAにまで長くなると、図示平均有効圧はPVOの場合とほぼ同じとなり、NVO期間がさらに77°CAまで長くなると、悪化している。つまり、図示平均有効圧は、NVO期間が43°CA付近よりも小さければ向上するが、それよりも大きくなると悪化する。
また、図示平均有効圧の変動率(以下、適宜「図示平均有効圧変動率」という)は、NVO期間が26°CA及び43°CAの場合、空燃比にかかわらず3%以下であり、安定している。つまり、エンジンの運転状態が安定する。しかし、図示平均有効圧変動率は、NVO期間が60°CAの場合、空燃比が18を超すと3%を大きく超し、NVO期間が77°CAの場合、空燃比が16を超すと3%を大きく超す。つまり、エンジンの運転状態が不安定となりやすい。
図4Cに示すように、図示熱効率は、エンジン回転数が1000rpmでスロットル開度が10%の場合、上記4つのNVO期間の全てにおいてPVOの場合よりも低下する。
2−4.リーン限界の向上要因の解析
上述のように、NVO26及びNVO43においてリーン限界が向上している。以下に、リーン限界の向上要因の検討結果について図面を参照して説明する。
2−4−1.熱発生率
図5Aは、クランク角に対する熱発生率の特性を示す図である。熱発生率(J/°CA)とは、単位クランク角(°CA)当たりの熱発生量(J)である。図5Bは、空燃比に対するMBF2−50%期間の特性を示す図である。MBFとは、質量燃焼割合(Mass Burn Fraction)である。なお、図5Aの熱発生率は、燃焼が比較的安定する空燃比が16の場合の熱発生率である。矢印は、各NVO期間における点火時期を示す。点火時期は、上述の図4Aに示すMBTに対応している。各NVOとPVOとを比較すると、以下のことがいえる。
(1)MBTは、各NVOにおいて、PVO2よりも遅角する。
(2)火炎伝播速度は、NVO26、NVO43、NVO60においてPVO2とほぼ同じであるが、NVO77においてはPVO2よりも遅くなる。なお、ここでの火炎伝播速度とは、MBFが2%から50%に至るのに要するクランク角(°CA)(以下適宜、「MBF2−50%期間」という)である。これからわかるように、NVO26、NVO43におけるリーン限界向上の要因は、火炎伝播速度が維持されていることであると考えられる。
2−4−2.内部EGR率と点火直前の筒内温度
図6は、NVO期間の長さに対する内部EGR率の特性、およびNVO期間の長さに対する点火直前(340°CA)の筒内温度の特性を示す図である。筒内温度は、燃焼室17内のガス(混合気、燃焼ガスの両方を含む)の温度(K)である。図6(a)に示すように、NV0期間が長くなるほど、内部EGR率が高くなる。また、図6(b)に示すように、NV0期間が長くなるほど、点火直前の筒内温度が高くなる。NVO43、NVO60、NVO77では、筒内温度がガソリンの自着火温度(摂氏約700度)を超している。そのため、NVO43、NVO60、NVO77では、自着火が発生していると推定される。
2−5.図示熱効率の低下要因の解析
図4Cを参照して説明したように、図示熱効率は上記4種類のNVO期間においてPVO2の場合よりも低下している。この要因について図7を参照して説明する。図7は、シリンダ内の燃焼室17の体積に対するガスの圧力を示す図(Log−PV線図)である。図7からわかるように、各NVOにおいてPVO2よりも等容度が高くなる。一方、各NVOにおいて、PVO2よりもポンピングロスが増加し、かつポリトロープ指数が低下する。このように、負のオーバーラップ(NVO)では、等容度は向上するが、ポンピングロスが増加し、かつポリトロープ指数が低下する。そのため、各NVOにおいて図示熱効率が低下したと考えられる。
2−6.SI燃焼においてNVOを適用することについてのまとめ
上記火花点火式エンジンによるSI燃焼においてNVOを適用すると、リーン限界は向上するが、図示熱効率は低下する。
(1)リーン限界向上の要因は、内部EGRにより筒内温度が上昇し、適切な火炎伝播速度の自着火燃焼が得られたことである。
(2)図示熱効率低下の要因は、等容度向上による改善代よりも、ポンピングロスが増加しかつポリトロープ指数が低下したことによる悪化代が大きいことである。
2−7.図示熱効率、正味熱効率、及び燃料消費率のトルクに対する特性
本願発明者は、上記の検討結果を受け、さらに、図示熱効率、正味熱効率、及び燃料消費率について、トルクに対する特性を検討した。図8は、トルク(エンジン負荷)に対する図示熱効率、正味熱効率、及び燃料消費率の特性を示す図である。図8(a)、図8(b)に示されているように、NVO26、NVO43における図示熱効率及び正味熱効率は、トルクが10N・m以下の領域において、特にトルクが8N・m以下の領域(矢印Cで示す領域)において、PVO2におけるそれらよりも大きく向上している。また、NVO26、NVO43における図示熱効率及び正味熱効率は、トルクが15N・mの領域(矢印D示す領域)において、PVO2におけるそれらよりも僅かであるが向上している。
また、図8(c)に示されているように、NVO26、NVO43における燃料消費率は、トルクが8N・m以下の領域(矢印Eで示す領域)において、PVO2におけるそれらよりも大きく向上している。特に、NVO43における燃料消費率は29.2%向上している。
このように、トルクが8N・m以下の領域においては、NVO期間を26°CAや43°CAに設定することにより、PVO2に対して図示熱効率、正味熱効率、及び燃料消費率を大きく向上させることができる。
2−8.火花点火式エンジンにおけるSI燃焼に対してNVOを適用する場合のエンジン制御の方向性
上記検討において明らかになったように、火花点火式エンジンにおいて、低負荷領域でNVO制御を行って自着火を発生させ、さらに火花点火を行うことは有効である。特にNVO43では、図5Aにおいてあらわれているように、熱発生率の最大値はPVO2の場合よりも低下している。これは、燃焼圧力の低下につながり、ポンピングロスを低下させる。その結果、図8(c)に示すように、燃料消費率が29.2%向上している。したがって、NVO43を中心として排気バルブ16の開弁時期を調整することにより、図示熱効率、正味熱効率、および燃料消費率を向上させることが可能である。具体的には、図5Aに示すNVO43の熱発生率の特性を参照すると、概ね圧縮TDCの前の340°CAから345°CAの範囲において熱発生率が上昇し始め、345°CA以後に大きく上昇し始めている。そして、圧縮TDCの後の約5°CAにおいてピークを迎えている。したがって、圧縮TDCの345°CAから350°CAの範囲において熱発生率が所定の値に達し、圧縮TDCの後の約5°CAにおいて熱発生率が最大値をとるように、NVO期間や点火時期を調整することが有効である。
3.制御動作
3−1.制御の概要
図9は、火花点火式エンジンにおいてNVO運転を行う場合の熱発生率の適正範囲を示す図である。本実施形態では、熱発生率が、自着火による燃焼が所定の状態に達したことを示す所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲に収束するように、動弁機構70の負のオーバーラップ期間を制御するとともに、各燃焼サイクルにおいて、第1所定範囲に対して遅角側で点火プラグ31を点火させる。
本実施形態において、ECU100は、エンジン負荷(トルク)に応じてエンジンの運転モードを設定する。具体的に、ECU100は、エンジン負荷(トルク)が所定負荷(トルク)以下のとき(所定の低負荷領域(以下適宜に「SI+NVO領域」という)にあるとき)、SI+NVOモードでエンジンの運転を制御し、エンジン負荷がSI+NVO領域にない場合、SIモードでエンジンの運転を制御する。エンジン負荷に関するパラメータとして、例えば、アクセルペダルモジュール80に対するユーザの踏込操作に応じて制御されるスロットルバルブ43のスロットル開度を用いることができる。なお、ECU100は、現在のエンジン負荷とエンジン回転数とに応じて、エンジン1の運転モードを設定してもよい。
図10は、各運転モードにおける開弁時期制御の一例を説明する図である。SIモードは、点火プラグにより混合気に点火を行うモードである。SIモードでは、図10(a)に示すように、排気バルブ16は排気行程において約180°CAの期間開弁し、吸気バルブ15は吸気行程において約180°CAの期間開弁し、排気TDCを挟む微小クランク角の範囲(約2°CA)において両バルブの開弁期間が一部重複する。点火プラグ31による点火は、例えばMBTのタイミングで行われる。
SI+NVOモードは、NVOにより混合気を自着火(CI)させ、その後さらに点火プラグ31により火花点火(SI)を行うモードである。SI+NVOモードでは、図10(b)に示すように、排気バルブ16が閉じてから吸気バルブ15が開くまでの期間、即ち吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じる負のオーバーラップ(NVO)期間を設けて、多量の内部EGRガスを残存させ、これを圧縮行程において圧縮して燃焼室17内の混合気の温度を高めることにより、混合気の自着火を促進させる。図10(b)の例では、排気バルブ16は排気行程において約90°CAの期間開弁し、吸気バルブ15は吸気行程において約180°CAの期間開弁する。NVO期間は、エンジンの運転状態に応じて変更される。なお、NVO期間を長くするほど、混合気における内部EGRガスの比率を増加させて、混合気の温度を上昇させることができる。
点火プラグ31による点火タイミングは、MBTを基準とするが、熱発生率最大時期が所定の時期となるようにMBTを中心として進角または遅角させる。
混合気が自着火するCI燃焼は、SI燃焼の実現が困難な超希薄な混合気や多量の内部EGRガスによって希釈した混合気であっても実現可能である。言い換えると、あまり希薄でない混合気や希釈度合いの低い混合気では自着火のタイミングが早くなりすぎて、所謂ノッキングを起こしてしまう。
つまり、CI燃焼はかなり希薄な混合気、または多量のEGRによって希釈した混合気によって実現されるものであり、そのため高い出力は得られない。そこで、本実施形態では、前述の制御マップに示すように、相対的に高負荷側の運転領域ではSIモードに設定し、低負荷領域ではSI+NVOモードに設定する。
3−2.SI+NVOモードにおける最適燃焼
本願発明者は、A/Fが約16(リーン状態)のときの図5AのNVO43にあらわれているような熱発生率の変化を示す燃焼が、概ね、SI+NVOにおける最適な燃焼であると考えている。図9は、図5AのNVO43の熱発生率の変化に基づいて本願発明者が規定した最適燃焼の特性を示す図である。なお、PVO2と示すラインは対比用の参考のラインであり、A/Fが11でNVOを行わないSIモードのときの特性を示す。図9の最適燃焼のラインは、A/Fが16、NVO期間が43°CAのときのラインである。網がけ部分は、最適燃焼に準じる適切な燃焼が得られる範囲である。本実施形態では、熱発生率の変化が上記網がけの範囲に収束するようにNVO期間や点火時期の制御を行う。SI+NVOにおける最適燃焼は、A/Fが約16において以下の(1)、(2)の条件を満たす燃焼である。
(1)自着火による熱発生率が所定の値(0.5)に上昇したときのクランク角が圧縮TDC(360°CA)に対して10〜15°CA前の345〜350°CAの範囲ΔCa(以下、適宜「第1所定範囲ΔCa」という)内にあること。
(2)熱発生率が最大となったときのクランク角(以下適宜「熱発生率最大時期」という)が圧縮TDC(360°CA)の後の5°CAを中心とする4〜6°CAの範囲ΔCb(以下、適宜「第2所定範囲ΔCb」という)内にあり、その後速やかに燃焼を終了していること。
上記のように、A/F16のときに、自着火による燃焼の開始時期、及び熱発生率最大時期を制御することにより、ノッキング等を起こさない適切な火炎伝播速度(例えば0.5J/CA)による最適燃焼が行われる。その結果、A/F11でのPVO2における燃焼と比較して、(a)等容度、ポリトロープ指数、及び膨張行程の燃焼質量割合(MBF)が大きくなり、図示熱効率が向上する。また、(b)最大燃焼圧力が低下して、ピストンの摺動時の摩擦力(摩擦損失)が低減し、正味熱効率が向上する。さらに、(c)点火エネルギーが低減され、燃費が向上する。
図11は、最適燃焼を説明するためのクランク角に対する熱発生率の特性を示す図である。図11(a)に示すように、自着火による熱発生率が所定の値(0.5)に上昇したときのクランク角が圧縮TDC(360°CA)に対して10〜15°CA前の345〜350°CAの範囲ΔCa(符号Aで示す)内にあれば、その後、MBTで点火したときに、熱発生率を示す波形は、図11(b)に示すように、熱発生率最大時期が圧縮TDC(360°CA)の後の5°CAを中心とする4〜6°CAの範囲(望ましい範囲。符号Bで示す範囲)を通る軌跡を描く可能性が高くなる。
図12は、最適燃焼が得られていないときの燃焼例を示す図である。図12(a)に示す燃焼例1では、熱発生率最大時期が385(25)°CA付近にある。この場合、膨張行程において、圧縮TDCから熱発生率最大時期が385(25)°CAまでの間、圧力の増大に伴い、ピストン12の下降が妨げられ、ポンピングロスが増加する。図12(b)に示す燃焼例2では、熱発生率の立ち上がりが最適燃焼よりも大きくなっている。つまり、火炎伝播速度が大きい。そのため、ノッキングが発生しやすくなる。
本実施形態では、上記の知見に基づき、(1)、(2)の条件が満たされるように、SI+NVO領域においてNVO期間の調整及び点火プラグ31による点火時期の調整を行う。
3−3.具体的制御
本実施形態のエンジン1における燃焼制御について説明する。図13は、実施形態1のエンジン制御装置(ECU100)による制御の流れを示すフローチャートである。本フローチャートによる制御は、1燃焼サイクル毎に繰り返し実行される。
ECU100は、前回の燃焼サイクルにおいて各種のセンサで計測された最新の計測値を読み込む(S11)
ECU100は、失火が発生したか否かを判断する(S12)。具体的に、ECU100は、各燃焼サイクルにいて筒内圧力の圧力センサ18で検出された圧力値の最大値が第1所定値以上となったか否かを判断し、圧力値の最大値が第1所定値以上となった場合、失火が発生していないと判断し、圧力値が第1所定値未満となっていない場合、失火が発生したと判断する。
失火が発生したと判断した場合(S12でYesのとき)、ECU100は、排気通路50から吸気通路40への排気還流量が減少するように、排気還流バルブ61を制御する。具体的に、ECU100は、排気還流バルブ61を、その開度が小さくなるように制御する。これにより、G/F(燃料に対する外部EGRガスの比率)が小さくなり(リッチ化し)、失火が生じにくくなる。
一方、失火が発生していないと判断した場合(S12でNoのとき)、ECU100は、ノッキングが発生したか否かを判断する(S13)。具体的に、ECU100は、圧力センサ18で検出された圧力値が第2所定値以上となったか否かを判断し、圧力値が第2所定値以上となっていない場合、ノッキングが発生していないと判断し、圧力値が第2所定値以上となった場合、ノッキングが発生したと判断する。ここで、第2所定値は第1所定値よりも小さい値である。
ノッキングが発生したと判断した場合(S13でYesのとき)、ECU100は、排気通路50から吸気通路40への排気還流量が増加するように、排気還流バルブ61を制御する。具体的に、ECU100は、排気還流バルブ61を、その開度が大きくなるように制御する。これにより、G/Fが大きくなり(リーン化し)、ノッキングが生じにくくなる。
一方、ノッキングが発生していないと判断した場合(S13でNoのとき)、ECU100は、エンジン1の運転領域がSI+NVO領域にあるか否かを判断する(S14)。具体的に、ECU100は、エンジン回転数及びエンジン負荷を、図9の運転領域判定マップに当てはめ、運転領域がSI+NVO領域にあるか否かを判断する。このとき、ECU100は、エンジン負荷(トルク)が所定の低負荷(低トルク)以下か否かを判断していることとなる。
エンジン1の運転領域がSI+NVO領域にないと判断した場合(S14でNoのとき)、ECU100は、吸気バルブ15及び排気バルブ16をPVO状態とし、SIモードでの燃焼制御を行う(S21)。
一方、エンジン1の運転領域がSI+NVO領域にあると判断した場合(S14でYesのとき)、ECU100は、吸気バルブ15及び排気バルブ16をNVO状態として、SI+NVOモードでの燃焼制御を開始する。より具体的に、ECU100は、SI+NVOモードでの制御の開始時、NVO期間が所定期間となるように排気側動弁機構72を制御する。所定期間は、SI+NVOモードでの燃焼制御を開始するときのNVO期間の初期値であり、例えば、上述したように相対的に高い熱効率が得られるNVO26やNVO43、またはそれらの中間、あるいはそれらの近傍の値の期間である。なお、SI+NVOモードでの燃焼制御の開始後、後述する制御により、上述した最適燃焼が得られように、NVO期間が調整されていく。
SI+NVOモードでの制御中、ECU100は、自着火しているか否かを判断する(S15)。具体的に、ECU100は、圧力センサ18で検出された圧力値が点火プラグ31による点火前に第3所定値以上となった場合、自着火したと判断し、第3所定値未満であった場合、自着火していないと判断する。第3所定値は、第1所定値および第2所定値よりも小さい値である。
自着火していると判断した場合(S15でYesのとき)、ECU100は、自着火の時期が適正か否かを判断する(S16)。具体的に、ECU100は、圧力センサ18で検出された圧力値に基づいて熱発生率を演算により求める。圧力値に基づく熱発生率の演算は、公知の方法により行えばよい。ECU100は、求めた熱発生率が所定の値(例えば0.5J/°CA。所定熱発生率)に上昇したときのクランク角が圧縮TDC(360°CA)に対して10〜15°CA(第1所定クランク角)進角側の345〜350°CAの範囲(第1所定範囲ΔCa)内にあるか否かを判断し、第1所定範囲ΔCa内にあるときは自着火の時期が適正であると判断し、第1所定範囲ΔCa内にないときは自着火の時期が適正でないと判断する。ここで、第1所定クランク角は、他のクランク角よりも、熱発生率が最大となるときのクランク角が後述する第2所定範囲ΔCbに入る可能性が高いクランク角である。なお、本発明における「第1所定範囲」は、上記範囲ΔCaに含まれる一のクランク角であってもよい。例えば、熱発生率が所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定クランク角(例えば348°CA)に一致しているか否かを判断することにより、自着火の時期が適正であるか否かを判断する。そして、熱発生率が所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定クランク角に一致しているときは適正であると判断し、第1所定クランク角に一致していないときは適正でないと判断する。
自着火の時期が適正であると判断した場合(S16でYesのとき)、ECU100は、圧力センサ18で検出された圧力値に基づいて求めた熱発生率が最大となったときのクランク角(以下適宜「熱発生率最大時期」という)が、圧縮TDC(360°CA)に対してその近傍の5°CAを中心とする4〜6°CA遅角側の範囲ΔCb(第2所定範囲ΔCb)内にあるか否かを判断し、第2所定範囲ΔCb内にあるときは、熱発生率最大時期が適正であると判断し、第2所定範囲ΔCb内にないときは、熱発生率最大時期が適正でないと判断する。なお、本発明における「第2所定範囲」は、上記の4〜6°CA遅角側の範囲に含まれる一のクランク角であってもよい。例えば、熱発生率最大時期が所定の時期(例えば5°CA)に一致しているか否かを判断する。そして、熱発生率最大時期が所定の時期に一致しているときは熱発生率最大時期が適正であると判断し、所定の時期に一致していないときは熱発生率最大時期が適正でないと判断する。
熱発生率最大時期が適正であると判断した場合(S17でYesのとき)、ECU100は、SI+NVO領域における現在の燃焼制御を維持する(S18)。
一方、前記ステップS15において、自着火していないと判断した場合(S15でNoのとき)、ECU100は、NVO期間が大きくなるように、排気側動弁機構72を制御する(S22)。具体的に、ECU100は、排気側動弁機構72を、排気バルブ16の開弁時期が進角するように制御する。これにより、前燃焼サイクルよりも、シリンダ内に残留する内部EGRガスが増加して燃焼室17内の混合気の温度ガスが高くなり、混合気が自着火しやすくなる。
また、前記ステップS16において、自着火の時期が適正でないと判断した場合(S16でNoのとき)、ECU100は、自着火の時期が適正な時期よりも早いか否かを判断する(S23)。
自着火の時期が適正な時期よりも早い場合(S23でYesのとき)、ECU100は、NVO期間が小さくなるように、排気側動弁機構72を制御する(S24)。具体的に、ECU100は、排気側動弁機構72を、排気バルブ16の開弁時期が遅角するように制御する。これにより、前燃焼サイクルよりも、燃焼室17内に残留する内部EGRガスが減少して燃焼室17内の混合気の温度が低くなり、混合気が自着火しにくくなる。
一方、自着火の時期が適正な時期よりも遅い場合(S23でNoのとき)、ECU100は、NVO期間が大きくなるように、排気側動弁機構72を制御する(S25)。具体的に、ECU100は、排気側動弁機構72を、排気バルブ16の開弁時期が進角するように制御する。これにより、前燃焼サイクルよりも、燃焼室17内に残留する内部EGRガスが増加して燃焼室17内の混合気の温度が高くなり、混合気が自着火しやすくなる。
前記ステップS17において、熱発生率最大時期が適正でないと判断した場合(S17でNoのとき)、ECU100は、熱発生率最大時期が所定の適正な時期よりも早いか否かを判断する(S26)。
熱発生率最大時期が適正な時期よりも早い場合(S26でYesのとき)、ECU100は、当該サイクルにおける点火時期を前燃焼サイクルにおける点火時期よりも遅角させる(S27)。これにより、前燃焼サイクルよりも火炎伝播の開始が遅くなり、熱発生率最大時期が遅角する。
一方、熱発生率最大時期が適正な時期よりも遅い場合(S26でNoのとき)、ECU100は、当該サイクルにおける点火時期を前燃焼サイクルにおける点火時期よりも進角させる(S28)。これにより、前燃焼サイクルよりも火炎伝播の開始が早くなり、熱発生率最大時期が遅角する。
4.まとめ
4−1.SI+NVOモード時の最適燃焼制御についてのまとめ
以上説明したように、本実施形態のエンジン1(内燃機関)のECU100(制御装置)は、燃焼室17内の混合気に点火プラグ31により点火する火花点火式の内燃機関の制御装置である。
エンジン1は、
吸気バルブ15と、排気バルブ16と、吸気バルブ15及び排気バルブ16を開閉するとともに、吸気バルブ15と排気バルブ16とのうち少なくとも排気バルブ16の開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構70と、
点火プラグ31の点火時期を制御するECU100(点火制御手段)と、
圧縮行程において燃焼室17内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構70に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させるECU100(動弁機構制御手段)と、
燃焼室17内の混合気の燃焼状態を示す燃焼圧力(パラメータ値)に基づいて熱発生率を求めるECU100(熱発生率推定手段)と、を備える。
ECU100(動弁機構制御手段)は、熱発生率が自着火による燃焼が所定の燃焼状態に達したことを示す所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲ΔCaに収束するように、動弁機構70の負のオーバーラップ期間を制御する。
ECU100(点火制御手段)は、各燃焼サイクルにおいて、第1所定範囲ΔCaに対して遅角側で点火プラグ31を点火する。
本実施形態のエンジン1のECU100によれば、火花点火式のエンジンにおいて、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じられる負のオーバーラップ期間が生成され、圧縮行程において燃焼室17内の混合気に自着火が生じ、その後、各燃焼サイクルにおいて点火プラグ31が点火される。その場合において、熱発生率が自着火による燃焼が所定の状態に達したことを示す所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲ΔCaに収束するように、負のオーバーラップ期間が制御される。そのため、混合気をリーン状態とした場合でも自着火の時期を安定させ、さらにその後の点火による火炎伝播により安定した燃焼を行わせるこができる。したがって、本発明によれば、混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることができる。
本実施形態において、
ECU100(動弁機構制御手段)は、
熱発生率が所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲ΔCaに対して進角側にあるときは、負のオーバーラップ期間を短くし、
熱発生率が所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲ΔCaに対して遅角側にあるときは、負のオーバーラップ期間を長くする。
これにより、熱発生率が所定の値に上昇したときのクランク角を第1所定範囲内に良好に収束させることができる。
ECU100(動弁機構制御手段)は、
圧力センサ18で検出された燃焼圧力に基づいて自着火の有無を判断し、
自着火していないと判断したときは、負のオーバーラップ期間を長くする。
これにより、前燃焼サイクルよりも、シリンダ内に残留する内部EGRガスが増加して燃焼室17内の混合気の温度が高くなり、混合気が自着火しやすくなる。
本実施形態において、
ECU100(点火制御手段)は、
熱発生率が最大となったときのクランク角が第2所定範囲ΔCbに収束するように、点火プラグ31の点火時期を制御する。
これにより、熱発生率が最大となる時期を一定の時期内に収束させることができる。そのため、燃焼が適切に行われ、熱効率が一層向上する。
本実施形態において、
ECU100(点火制御手段)は、
熱発生率が最大となったときのクランク角が第2所定範囲ΔCbに対して進角側にあるときは、点火プラグ31の点火時期を遅角し、
熱発生率が最大となったときのクランク角が第2所定範囲ΔCbよりも遅角側にあるときは、点火プラグ31の点火時期を進角する。
これにより、熱発生率が最大となるクランク角を第2所定範囲ΔCbに良好に収束させることができる。
本実施形態において、
第1所定範囲ΔCaは、圧縮上死点に対して第1所定クランク角進角側に設けられている。
第2所定範囲ΔCbは、圧縮上死点の近傍かつ遅角側に設けられ、
第1所定クランク角は、他のクランク角よりも、熱発生率が最大となるときのクランク角が第2所定範囲ΔCbに入る可能性が高いクランク角である。
これにより、自着火による燃焼開始後、その燃焼による熱発生率最大となる時期を圧縮上死点に対して圧縮上死点の近傍かつ遅角側に収束させることができる。
本実施形態において、
燃焼室17内の混合気の燃焼状態を示すパラメータ値は、燃焼室17内のガスの圧力である。
これにより、燃焼室17内の混合気の燃焼状態を反映する燃焼室17内のガスの圧力に基づいて熱発生率を精度よく求めることができる。
本実施形態において、
エンジン1は、
エンジン1の負荷を検出するアクセルペダルモジュール80(負荷検出手段)をさらに備える。
ECU100は、エンジン負荷がSI+NVO領域(所定の低負荷領域)にある場合、動弁機構70を負のオーバーラップ期間が生成されるように制御する。
これにより、エンジン負荷に応じてエンジン1の運転状態(燃焼状態)を制御することができる。
4−2.エンジン負荷(トルク)に基づくSIモードとSI+NVOモードとの切替についてのまとめ
本実施形態のエンジン1(内燃機関)のECU100(制御装置)は、燃焼室17内の混合気に点火プラグ31により点火する火花点火式の内燃機関の制御装置である。
エンジン1は、
吸気バルブ15と、排気バルブ16と、吸気バルブ15及び排気バルブ16を開閉するとともに、吸気バルブ15と排気バルブ16とのうち少なくとも排気バルブ16の開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構70とを備える。
ECU100は、
動弁機構70の動作を制御する動弁機構制御手段と、
点火プラグ31の点火時期を制御する点火制御手段と、を備える。
ECU100(動弁機構制御手段)は、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室17内の混合気に自着火が生じるように、動弁機構70に、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じられる負のオーバーラップ期間を生成させる。
ECU100(点火制御手段)は、自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に点火プラグ31を点火させる。
これにより、火花点火式のエンジンにおいて、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、火花点火式のエンジンにおいて、排気行程ないし吸気行程において吸気バルブ15及び排気バルブ16の両方が閉じられる負のオーバーラップ期間が生成され、圧縮行程において燃焼室17内の混合気に自着火が生じ、その後、各燃焼サイクルにおいて点火プラグ31が点火される。本発明者の知見によれば、前述の実験及びシミュレーション結果に基づいて説明したように、負荷が所定の低負荷領域にあるときに、負のオーバーラップ状態として自着火を生じさせ、その後点火プラグにより点火することにより、混合気をリーン状態とした場合でも、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることができる。
本実施形態において、
エンジン1は、
燃焼室17内の混合気の燃焼状態を示す燃焼圧力(パラメータ値)に基づいて熱発生率を求めるECU100(熱発生率推定手段)をさらに備える。
ECU100(動弁機構制御手段)は、熱発生率が自着火による燃焼が所定の燃焼状態に達したことを示す所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲ΔCaに収束するように、動弁機構70の負のオーバーラップ期間を制御する。
これにより、混合気をリーン状態とした場合でも、より一層、燃焼を安定させて、熱効率を向上させることができる。
4−3.4−1、4−2に対応するエンジンの制御方法、制御プログラム、及びエンジンシステム
上述したように、本実施形態は、本発明の内燃機関の制御方法としての、エンジン1(内燃機関)の制御方法を開示している。その場合において、本発明の内燃機関の制御装置の動弁機構制御手段、熱発生率推定手段、及び点火制御手段によりなされる各動作(工程)が、本発明の内燃機関の制御方法の動弁機構制御工程、熱発生率推定工程、及び点火制御工程に対応する。また、本実施形態は、本発明のプログラムとしての、ECU100(コンピュータ)をエンジン1(内燃機関)の制御装置として機能させる制御プログラムを開示している。また、本実施形態は、本発明の内燃機関システムとしての、燃焼室17内の混合気に点火プラグ31により点火する火花点火式のエンジン1(内燃機関)と、エンジン1を制御するECU100(制御装置)とを有する内燃機関システムを開示している。
(実施形態2)
実施形態2のエンジンは、さらにイオン電流センサを有している。そして、ECU100は、イオン電流センサで検出されたイオン電流の電流値を示す信号を入力し、入力したイオン電流の電流値に基づいて、図13のステップS16における自着火の時期が適正か否かの判断を行う。まず、図14を参照して、イオン電流センサの構成について説明する。
図14は、イオン電流センサの構成を示す図である。イオン電流センサは、前述した点火プラグ31と、点火コイル32と、イグナイタ33と、イオン電流検出部102とを含んで構成される。
点火プラグ31は、一対の電極を有し、点火コイル32により所定の電圧が印加されたときに上記一対の電極のギャップ間で放電する。
点火コイル32は、一次コイルL1、二次コイルL2、及び鉄心等を有し、一次コイルL1に流れる電流が変動すると、当該電流の変動に応じて二次コイルL2から誘導電圧を発生させる。点火コイル32は、絶縁樹脂によってパッケージされ、点火プラグ31の端子部に接続して装着される。一次コイルL1には車載バッテリ34の電圧VBが印加されている。二次コイルL2は、点火プラグ31へ電気的に接続され、一次コイルL1の通過電流の変動に応じて点火プラグ31へ誘導電圧を出力する。
イグナイタ33は、スイッチング素子Trと、コントローラCNT(制御IC)とを有する。スイッチング素子Trは、点火コイル32の一次コイルL1の出力端とグランドとの間に設けられ、IGBT、MOSFET等のパワートランジスタにより構成される。コントローラCNTは、ECU100からの点火信号に基づいてスイッチング素子TrのON/OFFを制御する。これにより、ECU100からの点火信号に応じて、点火コイル32の一次コイルL1の通電状態を制御することができる。
イオン電流検出部102は、燃焼時に燃焼室17内に発生するイオン電流を検出する。イオン電流検出部102はECU100に内蔵される。なお、イオン電流検出部102はイグナイタ33等に内蔵されてもよい。イオン電流検出部102は、さらに、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、コンデンサC1、抵抗R1、R2、R3、オペアンプAMPを有し、点火プラグ31のギャップ間に流れるイオン電流I2をオペアンプAMPで増幅し、イオン電流I2の電流値に比例する電圧値に変換して出力する(以下、検出信号Sionと呼ぶ)。検出信号Sionは、ECU100のAD変換入力端子に入力される。
ECU100から点火信号SGが出力されると、点火プラグ31のギャップで放電が発生し、点火プラグ31→二次コイルL2→コンデンサC1→ダイオードD1という経路で放電電流I1が流れる。このとき、コンデンサC1に、イオン電流検出のための電力がチャージされる。その後、燃焼による化学反応が進行すると、回路内に、抵抗R2→抵抗R1→コンデンサC1→二次コイルL2→点火プラグ31という経路でイオン電流I2が流れる。このイオン電流I2は、混合気の燃焼状態により変化する。そのため、イオン電流I2を検出することにより、混合気の燃焼状態を推定(検知)することができる。
本実施形態では、ECU100は、各燃焼サイクルのステップS15において、上記のようなイオン電流検出部102で検出されたイオン電流値に基づいて、自着火による燃焼が所定の状態に達したことを検知し、ステップS15においてそのときのクランク角が適正か否かを判断する。ECU100は、イオン電流検出部102で検出されたイオン電流I2に基づいて、イオン電流I2の積算値比Rsを求める。ECU100は、当該積算値比Rsが割合値RATEthの10%を超したときのクランク角が圧縮TDC(360°CA)に対して10〜15°CA前の345〜350°CAの範囲内にあるか否かを判断し、345〜350°CAの範囲内にあるときは、自着火の時期が適正であると判断し、345〜350°CAの範囲内にないときは、自着火の時期が適正でないと判断する。なお、積算値比Rsが割合値RATEthの10%を超したときのクランク角は、例えば以下のように求める。すなわち、標準的なイオン電流波形が示す値を時間で積分して得られた総積算値Swを予め記憶しておくとともに、各燃焼サイクルにおいて検知されたイオン電流を時間で積分し、この積分値の総積算値Swに対する割当が10%となったときに、そのときのクランク角を取得する。なお、RATEth(10%)の具体的な算出方法は、本出願人の出願に係る特開2012−132344号公報において開示されている。
以上のように、本実施形態において、
燃焼状態検出手段は、燃焼室17内のイオン電流I2の電流値を検出するイオン電流センサである。
これにより、燃焼室17内の混合気の燃焼状態を反映する燃焼室17内のイオン電流I2の電流値に基づいて熱発生率を精度よく求めることができる。
(実施形態3)
前記実施形態1、2では、自着火していない場合(S15でNoのとき)、及び自着火の時期が適正な時期よりも遅い場合(S23でNoのとき)、ECU100は、NVO期間が長くなるように、排気側動弁機構72を制御する(S25)。しかし、吸気通路内に吸入された新気の温度が低い場合は、NVO期間を最大限に長くした場合でも、自着火しない、あるいは自着火の時期が適正な時期にならない可能性がある。これに対処するため、本実施形態では以下の構成を採用する。
図15は、実施形態3に係るエンジンシステムの構成を示す図である。図16は、実施形態3のエンジン制御装置(ECU100)による制御の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、実施形態1の構成に加えてさらに、吸気通路40を流れる新気を暖めるヒータ81を設けている。ヒータ81は、例えばセラミックヒータであり、吸気通路40の近傍に配置される。なお、本発明において、ヒータは、通路を流れる新気を暖めることができるものであれば、セラミックヒータでなくどのようなヒータでもよい。
ECU100(ヒータ制御手段)は、自着火していない場合(S15でNoのとき)、あるいは自着火の時期が適正な時期よりも遅い場合(S23でNoのとき)、現在のNVO期間が、設定可能な最長期間と等しいか否かを判断する(S31)。そして、現在のNVO期間が、設定可能な最長期間と等しい場合(S31でYesのとき)、ECU100は、ヒータ81に通電する。これにより、吸気通路40内に吸入された新気がヒータ81により暖められる。そのため、自着火していなかった場合は、自着火しやすくなり、自着火の時期が遅かった場合は、自着火の時期が進角することとなる。このように本実施形態によれば、自着火させ、あるいは自着火の時期を適切な時期に制御することが可能となる。
(実施形態4)
前記実施形態1、2では、熱発生率最大時期が適正な時期よりも遅い場合(S26でNoのとき)、ECU100は、当該サイクルにおける点火時期を前燃焼サイクルにおける点火時期よりも進角させる(S28)。しかし、点火時期を最大限に進角した場合でも、熱発生率最大時期が適正な時期にならない可能性がある。つまり、火炎伝播速度が適切な速度にまで速くならない可能性がある。これに対処するため、本実施形態では以下の構成を採用する。
図17は、実施形態4に係るエンジンの点火系の構成を示す図である。図18は、実施形態4のエンジン制御装置(ECU100)による制御の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、車載バッテリ34と点火コイル32との間に、DC/DCコンバータ91(昇圧手段)が備えられ、ECU100からの制御信号SDに基づいて車載バッテリ34の出力電圧を昇圧して点火コイル32に供給可能に構成されている。
ECU100は、熱発生率最大時期が適正な時期よりも遅い場合(S26でNoのとき)、現在の点火時期が最も進角した時期か否かを判断する。そして、現在の点火時期が最大限に進角させた時期である場合、ECU100は、DC/DCコンバータ91に、その出力電圧を上昇させる制御信号SDを出力する。これにより、点火プラグ31から出力される火花電圧(エネルギー)が高くなる。これにより、燃焼室17内の混合気に与えられる燃焼エネルギーが増加し、火炎の伝播が速くなる。つまり、火炎伝播速度が適切な速度にまで速くし、熱発生率最大時期を適正な時期とすることが可能となる。
(他の実施形態)
前記各実施形態では、動弁機構70は、吸気バルブ15と排気バルブ16とのうち排気バルブ16の開弁時期を変更することにより負のオーバーラップ期間を変更する。しかし、動弁機構70は、吸気バルブ15と排気バルブ16との両方のバルブの開弁時期を変更することにより負のオーバーラップ状態を変更するものであってもよい。
本発明は、燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御装置、制御方法、及び制御プログラム、並びに内燃機関システムにおいて広く利用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
10 エンジン本体
12 ピストン
13 ピストンロッド
14 クランクシャフト
15 吸気バルブ
16 排気バルブ
17 燃焼室
18 圧力センサ
19 クランクポジションセンサ
20 燃料供給系
21 インジェクタ
22 燃料ポンプ
23 燃料タンク
30 点火系
31 点火プラグ
32 点火コイル
33 イグナイタ
34 車載バッテリ
40 吸気通路
41 エアクリーナ
42 吸気流量センサ
43 スロットルバルブ
50 排気通路
60 排気還流通路
61 排気還流バルブ
70 動弁機構
71 吸気側動弁機構
72 排気側動弁機構
80 アクセルペダルモジュール
81 ヒータ
91 DC/DCコンバータ
100 ECU(制御装置)
102 イオン電流検出部
ZD ツェナーダイオード
D1,D2 ダイオード
C1 コンデンサ
R1,R2,R3 抵抗
AMP オペアンプ
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CNT コントローラ
Tr スイッチング素子
I1 放電電流
I2 イオン電流

Claims (5)

  1. 燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関は、
    吸気バルブと、排気バルブと、前記吸気バルブ及び前記排気バルブを開閉するとともに、前記吸気バルブと前記排気バルブとのうち少なくとも前記排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備え、
    前記制御装置は、
    前記動弁機構の動作を制御する動弁機構制御手段と、
    前記点火プラグの点火時期を制御する点火制御手段と、を備え、
    前記動弁機構制御手段は、前記内燃機関の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、前記動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において前記吸気バルブ及び前記排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させ、
    前記点火制御手段は、前記自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に前記点火プラグを点火させる、
    内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃焼室内の混合気の燃焼状態を示すパラメータ値に基づいて熱発生率を求める熱発生率推定手段をさらに備え、
    前記動弁機構制御手段は、前記熱発生率が自着火による燃焼が所定の状態に達したことを示す所定の値に上昇したときのクランク角が第1所定範囲に収束するように、前記動弁機構の前記負のオーバーラップ期間の長さを制御する、
    請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関の制御方法であって、
    前記内燃機関は、
    吸気バルブと、排気バルブと、前記吸気バルブ及び前記排気バルブを開閉するとともに、前記吸気バルブと前記排気バルブとのうち少なくとも前記排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備え、
    前記制御方法は、
    前記動弁機構の動作を制御する動弁機構制御工程と、
    前記点火プラグの点火時期を制御する点火制御工程と、を含み、
    前記動弁機構制御工程において、前記内燃機関の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、前記動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において前記吸気バルブ及び前記排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させ、
    前記点火制御工程において、前記自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に前記点火プラグを点火させる、
    内燃機関の制御方法。
  4. コンピュータを、請求項1に記載の内燃機関の制御装置として機能させる内燃機関の制御プログラム。
  5. 燃焼室内の混合気に点火プラグにより点火する火花点火式の内燃機関と前記内燃機関を制御する制御装置とを有する内燃機関システムであって、
    前記内燃機関は、
    吸気バルブと、排気バルブと、前記吸気バルブ及び前記排気バルブを開閉するとともに、前記吸気バルブと前記排気バルブとのうち少なくとも前記排気バルブの開弁時期を変更可能なように構成された動弁機構とを備え、
    前記制御装置は、
    前記動弁機構の動作を制御する動弁機構制御手段と、
    前記点火プラグの点火時期を制御する点火制御手段と、を備え、
    前記動弁機構制御手段は、前記内燃機関の負荷が所定の低負荷領域にあるときに、圧縮行程において燃焼室内の混合気に自着火が生じるように、前記動弁機構に、排気行程ないし吸気行程において前記吸気バルブ及び前記排気バルブの両方が閉じられる負のオーバーラップ状態を生成させ、
    前記点火制御手段は、前記自着火が生じる時期よりも後の所定の時期に前記点火プラグを点火させる、
    内燃機関システム。
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