JP6604259B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、火花点火式の内燃機関(一例として、ガソリンエンジン)10を備えている。内燃機関10の筒内には、ピストン12が設けられている。筒内におけるピストン12の頂部側には、燃焼室14が形成されている。燃焼室14には、吸気通路16および排気通路18が連通している。
(MFBおよびこれに基づくCAXの算出)
筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを備える本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の各サイクルにおいて、クランク角度同期での筒内圧の実測データ(筒内圧波形)を取得することができる。そして、得られた筒内圧波形と熱力学第1法則とを用いて、任意のクランク角度θでの筒内の熱発生量Qを算出することができる。そして、算出された筒内の熱発生量Qの実測データ(熱発生量波形)を用いて、任意のクランク角度θにおける燃焼質量割合(以下、「MFB」と称する)を次の(1)式にしたがって算出することができる。そのうえで、MFBの算出処理を所定クランク角度毎に実行することで、クランク角度同期でのMFBの実測データ(MFB波形)を算出することができる。また、MFBの実測データが求まると、MFBが特定割合Xとなる時のクランク角度CAXを算出することができる。
前提として、本実施形態では、理論空燃比よりも大きなリーン空燃比にてリーンバーン運転が行われるようになっている。ここで、点火時期(SA)からMFBが10%になる時のクランク角度(10%燃焼点)CA10までのクランク角期間(より具体的には、CA10から点火時期(SA)を引いて得られる差)を、「SA−CA10」と称する。SA−CA10は、着火遅れを代表する着火指標値の1つである。
本実施形態では、リーンバーン運転中に、SA−CA10フィードバック制御とともに、筒内圧センサ30の出力に基づくMFBが50%になる時のクランク角度(50%燃焼点)CA50(燃焼重心)の算出値である実CA50が目標CA50に近づくように点火時期を調整するフィードバック制御(以下、単に、「CA50フィードバック制御」と称する)が実行される。より具体的には、CA50フィードバック制御によれば、目標CA50よりも遅角側の値として実CA50が得られた気筒では、実CA50を進角させるために、次の燃焼サイクルで用いる点火時期を進角させる補正が実行される。これとは逆に、目標CA50よりも進角側の値として実CA50が得られた気筒では、実CA50を遅角させるために、次の燃焼サイクルで用いる点火時期を遅角させる補正が実行される。
エンジン回転速度やエンジン負荷率等のエンジン条件が過渡的に変化している過渡運転時には、目標とする空燃比に対する実空燃比のずれが生じ易くなる。より具体的には、このような空燃比ずれの要因は、主には、筒内に取り込まれる空気量のずれである。この空気量ずれは、主には空気の輸送遅れである。また、空気量ずれとしては、吸排気弁の開閉時期の過渡的な変化に起因して背圧が変化することで残留ガス量(内部EGRガス量)が変化し、それに伴い、吸気行程中の筒内圧が変化することに起因する空気量のずれも含まれる。また、空燃比ずれの要因としては、空気量ずれ以外に、燃料量ずれが含まれる。燃料量ずれは、例えば、燃料圧力の変動に起因して生じ得る。さらに、燃料量ずれは、筒内噴射の場合には、筒内圧(ガス圧)と燃料圧力との差圧の変化に起因して生じ得る。
本実施形態では、SA−CA10フィードバック制御およびCA50フィードバック制御の双方を過渡運転時に実行した際に制御量(実SA−CA10および実CA50)の目標値(目標SA−CA10および目標CA50)に対するオーバーシュートを軽減するために、これら2つのフィードバック制御が次のように構成されている。すなわち、本実施形態では、SA−CA10フィードバック制御による燃料噴射量の調整の応答速度が、CA50フィードバック制御による点火時期の調整の応答速度よりも高められる。
図2は、本発明の実施の形態1において実行される制御のメインルーチンを表したフローチャートである。なお、本ルーチンは、各気筒において排気弁22の開き時期を経過したタイミング(すなわち、MFBの実測データの算出の基礎となる筒内圧Pのデータの取得を終えたタイミング)で起動され、かつ、燃焼サイクル毎に繰り返し実行される。
次に、図5を主に参照して、本発明の実施の形態2について説明する。以下の説明では、実施の形態2のシステム構成の一例として、図1に示す構成が用いられているものとする。
上述した実施の形態1においては、過渡運転時であるか定常運転時であるかに関係なく、SA−CA10フィードバック制御による燃料噴射量の調整の応答速度が、CA50フィードバック制御による点火時期の調整の応答速度よりも高められる。ここで、定常運転時において応答速度の上記設定が用いられていると、燃焼サイクル間での実空燃比のばらつきなどの影響を受けて噴射量補正量が細かく変動し易くなる。したがって、定常運転時には、上記設定とは逆の設定(すなわち、点火時期の調整の応答速度が相対的に高くなる設定)を用いた方が次のような理由で良いと考えられる。すなわち、定常運転時には、点火時期の調整の応答速度を高めて実CA50を適切な値(目標CA50)に近づけつつ燃料噴射量の調整を相対的に緩やかに行う方が、リーンバーン燃焼時に空燃比をリーン燃焼限界に近づけるうえで好ましいといえる。
図5は、本発明の実施の形態2において実行される制御のメインルーチンを表したフローチャートである。なお、図5において、実施の形態1における図2に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
次に、図6および図7を主に参照して、本発明の実施の形態3について説明する。以下の説明では、実施の形態3のシステム構成の一例として、図1に示す構成が用いられているものとする。
どのようなフィードバック制御であっても潜在的に応答遅れを伴う。そこで、本実施形態では、上述の空燃比ずれに起因する排気エミッションやドライバビリティの悪化を抑制するための対策として、実施の形態1および2とは異なり、過渡運転中には燃料噴射量の制御としてフィードフォワード制御が利用される。
図6は、本発明の実施の形態3において実行される制御のメインルーチンを表したフローチャートである。なお、図6において、実施の形態1における図2に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
14 燃焼室
24 スロットルバルブ
26 燃料噴射弁
28 点火装置
30 筒内圧センサ
40 電子制御ユニット(ECU)
42 クランク角センサ
44 エアフローセンサ
46 アクセルポジションセンサ
Claims (3)
- 気筒内の混合気に点火する点火装置と、前記気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、筒内圧を検出する筒内圧センサとを備える内燃機関を制御する制御装置であって、
前記筒内圧センサの出力値に基づいて、実着火遅れ指標値と実燃焼時期指標値とを算出する指標値算出手段と、
前記実着火遅れ指標値が目標着火遅れ指標値に近づくように燃料噴射量のフィードバック制御を実行する第1のフィードバック制御手段と、
前記実燃焼時期指標値が目標燃焼時期指標値に近づくように点火時期のフィードバック制御を実行する第2のフィードバック制御手段と、
を備え、
前記第1のフィードバック制御手段および前記第2のフィードバック制御手段は、前記内燃機関の過渡運転時には、前記第1のフィードバック制御手段による燃料噴射量の調整の応答速度が、前記第2のフィードバック制御手段による点火時期の調整の応答速度よりも高くなるように構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 気筒内の混合気に点火する点火装置と、前記気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、筒内圧を検出する筒内圧センサとを備える内燃機関を制御する制御装置であって、
前記筒内圧センサの出力値に基づいて、実着火遅れ指標値と実燃焼時期指標値とを算出する指標値算出手段と、
前記実着火遅れ指標値が目標着火遅れ指標値に近づくように燃料噴射量のフィードバック制御を実行する第1のフィードバック制御手段と、
前記実燃焼時期指標値が目標燃焼時期指標値に近づくように点火時期のフィードバック制御を実行する第2のフィードバック制御手段と、
前記内燃機関の過渡運転時に、前記第1のフィードバック制御手段による燃料噴射量の調整に代えて、エンジン負荷率の時間変化率および前記エンジン負荷率に基づく噴射量増量値を用いた燃料噴射量の調整を実行する過渡時調整手段と、
を備え、
前記噴射量増量値は、基本燃料噴射量に対する増量値であって、
前記内燃機関の定常運転時には、前記第1のフィードバック制御手段による燃料噴射量の前記フィードバック制御と前記第2のフィードバック制御手段による点火時期の前記フィードバック制御とが実行され、
前記過渡運転時には、前記第1のフィードバック制御手段による燃料噴射量の前記フィードバック制御と前記第2のフィードバック制御手段による点火時期の前記フィードバック制御のうち、前記第2のフィードバック制御手段による点火時期の前記フィードバック制御のみが実行される
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記第2のフィードバック制御手段は、前記過渡運転時に、前記目標燃焼時期指標値を、MBT点火時期が得られる時の値よりも遅角させる
ことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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