JP2017008869A - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Description
図5に示す燃料噴射ノズルは、ニードル2の先端に設けられる円錐部9が、ノズルボディ1のサック室6と軸方向にオーバーラップする円錐挿入タイプである(特許文献1参照)。
もちろん、説明で用いる上下方向は、搭載時等における天地方向を限定するものではない。
また、図5に示す燃料噴射ノズルは、噴孔延長線L2がサック中心点P1と交差するように設けられる。
噴射開始直後など、ニードル2のリフト量が小さい低リフト時には、図5の矢印αに示すように、サック室6に供給された加圧燃料が一旦サック室6の底にぶつかり、サック室6の底側から上昇して噴孔3に流入する。即ち、低リフト時では、高圧燃料が下方から上方へ流れて噴孔3に流入する。その結果、高圧燃料の急激な曲がりにより、噴孔3の下面付近でキャビテーションが発生し、流量係数が低下する課題がある。即ち、噴霧貫徹力が弱められる問題がある。
なお、噴霧貫徹力は、噴孔3から噴射される噴霧燃料を遠くへ飛ばす力であり、噴霧貫徹力が弱められることで噴霧燃料を遠くへ飛ばすことができなくなる。
低リフト時には、上述したように、サック室6に供給された加圧燃料が一旦サック室6の底にぶつかり、サック室6の底側から上昇して噴孔3に流入する。このように、サック室6に供給された加圧燃料がサック室6の底にぶつかった後に上昇する現象により、噴射エネルギーが大きく減らされてしまい、噴霧貫徹力が弱められてしまう。
しかし、サック室6を成す球面の曲率半径を大きくすると、サックボリュームが大きくなる。サックボリュームが大きくなると、噴射を停止した後に、サック室6に残る燃料が増える。すると、サック室6に残った燃料が噴孔3を通って燃焼室に漏れ出すことで、排気ガス中のHCが増加する不具合が生じてしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、サックボリュームを縮小するとともに、噴霧貫徹力の増強が可能な燃料噴射ノズルを提供することにある。
これにより、噴孔の下面付近でキャビテーションが発生する不具合を回避して、流量係数の低下を抑制できる。即ち、従来技術に比較して低リフト時の噴霧貫徹力を強めることができる。
図1〜図3に基づいて実施形態1を説明する。
車両に搭載されるエンジンは、燃料噴射装置を備える。
ノズルボディ1の内部には、円錐面形状を呈する弁座シート5と、この弁座シート5の内側を通過した加圧燃料を集合させるサック室6とが形成されている。
弁座シート5は、ノズルボディ1の内側の下端に形成されており、弁座シート5の円錐面は上方から下方に向かって縮径する形状を呈する。
具体的に、ノズルボディ1の下端の外面には、エンジンの燃焼室に露出する半球状の膨出部7が設けられており、サック室6は膨出部7の内側に形成される。
曲率半径r2を補足説明する。図2に示すように、円弧yを含む円Eを描いた場合、その円の中心P2から円弧yまでの長さが曲率半径r2である。
曲率半径r1を補足説明する。サック室6の上端には、弁座シート5からサック室6へ加圧燃料が流入するサック開口6aが設けられる。このサック開口6aは、円形の開口である。そして、このサック開口6aの直径の半分の長さが曲率半径r1である。
また、横直線zは、外径方向から内径方向に向かうに従って徐々に下がって設けられる。これにより、サック室6の底面には、下方へ向かって縮径する円錐面が設けられる。
噴孔3は、膨出部7の内外を貫通して設けられる。具体的に、噴孔3は、サック室6の内壁から膨出部7の外壁まで斜めに貫通形成される穴であり、ドリル刃等による切削加工や放電加工等により形成される。なお、図1では、噴孔3の一例として、一定径の丸穴に設ける例を示すが、噴孔3の形状は限定するものではない。
なお、広角噴射タイプは、サック中心線L1の下側から噴孔延長線L2までの角度θ1が60°より大きく設定されるものである。
噴孔入口3aの下端は、円弧yまたは横直線zにある。
好ましい一例として、この実施形態では、噴孔入口3aの下端が横直線zに接するタイプを示す。このタイプを具体的に説明する。この実施形態では、円弧yと横直線zの境界を便宜上、円弧下境界y1とする。この実施形態における噴孔入口3aの下端は、図2に示すように、円弧下境界y1より下に設けられるものである。
ニードル2には、弁座シート5に着座してサック室6への加圧燃料の供給を遮断する円環状のシート部8が設けられている。
具体的に、シート部8より上側の円錐面の広がり角は、弁座シート5の広がり角より小さいものであり、シート部8より下側の円錐面の広がり角は、弁座シート5の広がり角より大きいものである。
以下では、シート部8の下側の円錐個所を円錐部9と称して説明する。即ち、ニードル2には、シート部8を境界部とし、シート部8から下方へ縮径する円錐形状を呈する円錐部9が設けられている。
なお、逃げ部10の形状は限定するものではなく、図2に示すように、円錐部9より広がり角の大きい円錐面であっても良いし、図2とは異なり、軸方向に対して垂直な平面であっても良い。
円錐挿入タイプの燃料噴射ノズルは、シート部8が弁座シート5に着座した状態の時に、逃げ部10が境界線11より下方に位置して、円錐部9とサック室6が軸方向にオーバーラップするものである。
そして、ニードル2の最大リフト時に円錐部9がサック室6と軸方向にオーバーラップすることが好ましいが、最大リフト時に円錐部9がサック室6から抜け出るものであっても良い。
一方、ニードル2が上昇してシート部8が弁座シート5から離座する状態では、加圧燃料の供給側と噴孔3が連通して、燃料が噴孔3から噴射される。
この実施形態1の燃料噴射ノズルは、サック室6の断面形状が縦直線xと横直線zと円弧yで設けられるとともに、曲率半径r2が曲率半径r1より小さく設けられる。
これにより、サック室6の底面にサック中心線L1が交わる交点P3が、従来技術に比較して上側に設けられる。このため、曲率半径r1が従来技術と同じであっても、サックボリュームを従来技術に比較して小さくすることができる。
シート部8が弁座シート5に着座した状態におけるサックボリュームを、実施形態1と従来技術とで比較する。なお、以下では、サック室6の上側を成す円筒の軸方向の寸法をサック長と称する。
実施形態1と従来技術の曲率半径r1が同じで、且つ実施形態1と従来技術のサック長が同じの場合、実施形態1のサックボリュームを、従来技術に比較して大幅に小さくできる。
実施形態1と従来技術の曲率半径r1を共に0.6mmに設けるとともに、施形態1と従来技術のサック長を共に0.5mmで設ける場合、実施形態1のサックボリュームを図3のグラフAに示し、従来技術のサックボリュームを図3のグラフBに示す。
グラフAとグラフBを比較して明らかなように、実施形態1のサックボリュームを、従来技術に比較して60%ほど小さくできる。
この実施形態1の燃料噴射ノズルは、噴孔入口3aの下端が横直線zに接して設けられる。これにより、噴孔入口3aは、サック室6の底側で開口する。その結果、噴射開始初期など、噴射量の少ない低リフト時には、図2の矢印αに示すように、加圧燃料がサック室6の底にぶつかった後に上方へ戻る現象が抑えられ、サック室6に供給された加圧燃料が直接的に噴孔3内へ流入する。このため、噴孔3の下面付近でキャビテーションが発生する従来技術の不具合を回避して、流量係数が低下を抑制できる。即ち、従来技術に比較して低リフト時の噴霧貫徹力を強めることができる。
この実施形態1の燃料噴射ノズルは、噴孔入口3aの下端が横直線zに接するように設けられる。
このため、横直線zから噴孔3の下面に至る下側の燃料流入角度θ2を大きくすることができる。その結果、低リフト時において高圧燃料が噴孔3に流入する際に、サック室6の底側から噴孔3へ流入する燃料の流れの曲がりを緩やかにできる。これによっても、噴孔3の下面付近でキャビテーションが発生する不具合を回避することができ、低リフト時の噴霧貫徹力を強めることができる。
ニードル2のリフト量が大きくなる高リフト時には、サック室6が加圧燃料で満たされて高圧になる。このため、サック室6に供給された高圧燃料が上方から弧を描いて噴孔3に流入する。
このため、縦直線xから噴孔3の上面に至る上側の燃料流入角度θ3を大きくすることができる。その結果、高リフト時において高圧燃料が噴孔3に流入する際に、上方から噴孔3へ流入する燃料の流れの曲がりを緩やかにでき、噴孔3の上面付近でキャビテーションが発生する不具合を回避できる。これにより、高リフト時の噴霧貫徹力を強めることができる。
図4に基づいて実施形態2を説明する。なお、以下において上記実施形態1と同一符合は同一機能物を示すものである。また、以下では、実施形態1に対する変更箇所のみを開示するものであり、実施形態2において説明していない箇所については先行して説明した形態を採用するものである。
また、この実施形態2は、逃げ部10の形状が軸方向に対して垂直な平面に設けられる。
なお、他の構造は、上述した実施形態1と同じであり、説明は割愛する。
横直線zをサック中心線L1に対して90°に設けることにより、サックボリュームを最小にすることができる。このため、サック室6に残る燃料をさらに少なくすることができ、排気ガス中のHCをさらに抑えることができる。
本発明は、上記で示した形態に限定されるものではなく、以下の形態を採用可能なものである。
3・・・噴孔 3a・・噴孔入口
5・・・弁座シート 6・・・サック室
8・・・シート部 L1・・サック中心線
r1・・サック室上端の曲率半径 r2・・円弧の曲率半径
x・・・縦直線 y・・・円弧
z・・・横直線
Claims (4)
- 円錐面形状を呈する弁座シート(5)が内側に設けられるとともに、前記弁座シートの内側を通過した加圧燃料を集合させるサック室(6)が内側に形成され、さらに前記サック室に供給された加圧燃料を外部に噴射する噴孔(3)が形成されるノズルボディ(1)と、
前記弁座シートに着座して前記サック室への加圧燃料の供給を遮断するシート部(8)を有し、前記ノズルボディの内部において直線方向へ駆動されるニードル(2)とを備え、
前記ニードルが移動する方向を軸方向、
燃料噴射を噴射する際に前記ニードルが移動する方向を上、
燃料噴射を停止させる際に前記ニードルが移動する方向を下、
前記サック室の中心を通って軸方向へ伸びる直線をサック中心線(L1)、
前記噴孔において前記サック室内で開口する箇所を噴孔入口(3a)、
とした場合、
前記サック室を前記サック中心線に沿ってカットした際の断面形状は、
前記弁座シートの下端から下方へ伸びる縦直線(x)と、
この縦直線の下端に繋がり、前記サック室の内径方向へ向かう円弧(y)と、
この円弧の内端に繋がり、前記サック室の内径方向へ向かう横直線(z)とを備え、
前記円弧の曲率半径(r2)が、前記サック室の上端における開口径の曲率半径(r1)より小さく設けられ、
前記噴孔入口の下端が、前記円弧または前記横直線にある燃料噴射ノズル。 - 請求項1に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記縦直線は、前記サック中心線に対して平行に設けられ、
前記噴孔入口の上端は、前記縦直線によって形成される前記サック室の内周面に接することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記ニードルは、前記シート部から下方へ向かって縮径する円錐形状を呈する円錐部(9)を備え、
前記円錐部が、前記サック室の内側に挿し入れられた状態で配置されることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1〜請求項3いずれか1つに記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記横直線は、前記サック中心線に対して90°に設けられることを特徴とする燃料噴射ノズル。
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