JP2017006680A - 繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法及び繊維強化プラスチック製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化熱可塑性樹脂材料と金属等の接合対象物との新規な接合方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料11aと接合対象物80とを接合する接合方法において、所定温度に加熱可能なプレス成形型50に、繊維に熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとして含浸された1又は2以上のシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを設置する設置工程と、前記成形型に設置された前記繊維強化熱可塑性樹脂材料を加熱する加熱工程と、前記繊維強化熱可塑性樹脂材料の熱可塑性樹脂環状オリゴマーを開環重合させることによって所定の形態に賦形するための加圧工程と、からなることを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、家電製品、電子機器、医療機器、健康機器、スポーツ用品、車両搭載部品、建築資材、構造用器具、及びパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、メダル又はパチンコ球を遊技媒体として用いる回胴式遊技機等に設けられる遊技機、その他の産業機器に用いられる繊維強化熱可塑性樹脂材料と金属等の接合対象物との接合方法に関する。
従来、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維によって強化した繊維強化熱可塑性樹脂は、製品の薄肉化、軽量化、強度、剛性に優れた材料として各分野で重用されている。しかしながら、複雑な形状を量産することは不向きであるという欠点があった。
こうした欠点を解決し、複雑な形状や機能性を持たせるために繊維強化熱可塑性樹脂と金属、プラスチック等の接合対象物を一体化させる接合技術が求められている。繊維強化熱可塑性樹脂と金属部材とを接合するには、その複合材料でマトリクスとして用いている熱可塑性樹脂そのものが金属表面に対して強固に接合(例えば、融着)する必要がある。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂系の塗料を塗布した金属フレームを射出成形用金型にインサートした後、リブを射出成形することで、金属フレームと熱可塑性樹脂で作られたリブが一体に接合されている電子機器筐体が記載されている。
また、特許文献2には、ヒドラジン等により還元剤処理された金属フレームを射出成形用金型にインサートした後にリブを射出成形することで、金属フレームと熱可塑性合成樹脂で作られたリブとが一体に接合されている電子機器筐体が記載されている。
しかしながら、特許文献1の接着剤を用いる方法では、接着剤の準備工程や塗布工程を必要とするため、生産コストの低減が難しく、また、接着強度の信頼性に十分な満足が得られていない。また、特許文献2に記載の方法は、事前に還元剤を用いた表面処理を行なう必要があり、生産コストの低減が難しいものであった。
特開2001−298277号公報 特開2003−103563号公報
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明者は、熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料が所定の接合方法により強固に接着することを見出し、繊維強化熱可塑性樹脂材料と金属等の接合対象物との新規な接合方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明にかかる熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法は、
所定温度に加熱可能なプレス成形型に、繊維に熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとして含浸された1又は2以上のシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを設置する設置工程と、
前記成形型に設置された前記繊維強化熱可塑性樹脂材料を加熱する加熱工程と、
前記繊維強化熱可塑性樹脂材料の熱可塑性樹脂環状オリゴマーを開環重合させることによって所定の形態に賦形するための加圧工程と、
からなることを特徴とする。
ポリマーからなる樹脂材料では、単に表面に接触させた状態では接着することができないか、とても接着力が弱いものとなる。しかし、本発明にかかる熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法によれば、金属、プラスチックその他の素材を繊維強化熱可塑性樹脂材料と接触させた状態で所定の条件で成形することで、ポリマーの熱可塑性樹脂と同時に成形した場合では得ることのできない高い接合強度を得ることができる。また、ポリマーの熱可塑性樹脂では接合することができない接合物であっても高い強度で接合することができる。さらに、熱可塑性樹脂環状オリゴマーは、加熱するとかなり粘度が低くなり、流動性が高すぎることからプレスタイプの成形型で作製すると、熱可塑性樹脂環状オリゴマーが成形型から流れ出したり、樹脂が偏ったりする可能性があり、プレスタイプの成形には不向きな材料であるにもかかわらず、本発明にかかる接合方法によれば、一端加熱工程によって熱可塑性オリゴマーの一部を重合させることによって、粘度を高めることで流動性を低くした後に、本締めである加圧工程において成形するので、こうした問題点を解消することができる。
また、本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法において、前記加熱工程は、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの10%〜70%開環重合させることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、加圧工程における成形に適切な粘度を有する状態にすることができる。
さらに、本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法において、前記加熱工程は、1分間〜2分間加熱することを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの10%〜70%開環重合させるのに最適な時間を提供することができる。
さらに、本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法において、前記加圧工程は、前記繊維強化熱可塑性樹脂材料を設置工程で設置された状態よりも薄くなる位置まで型締めしてなることを特徴とするものであってもよい。本発明は、加熱すると低粘度になる熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料を使用しているが、加熱工程により、樹脂が流れ出すことを防止することができる程度に一部重合させた状態で加圧するので、繊維強化熱可塑性樹脂材料の初期厚さよりも薄くなるように加圧することができる。そのため、より強度が高く、かつ接合対象物と繊維強化熱可塑性樹脂材料が堅固に接合された成形品を作製することができる。
また、本発明にかかる繊維強化プラスチック製品は、繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法によって作製されたものである。本発明にかかる熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と、前記繊維強化熱可塑性樹脂材料と、を結合させてあることを特徴とする繊維強化プラスチック製品は、繊維強化熱可塑性樹脂材料以外に接着成分を含むことなく、より強度が高く、かつ接合対象物と繊維強化熱可塑性樹脂材料が堅固に接合された成形品を提供することができる。
本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法によれば、熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法によれば、ポリマーの熱可塑性樹脂と同時に成形した場合では得られない強度の接合強度を得ることができ、さらには、ポリマーの熱可塑性樹脂では接合することができない接合物であっても高い強度で接合させることができる。
図1は、実施形態にかかる外枠の斜視図である。 図2は、実施形態にかかる成形型50の端面図である。 図3は、実施形態にかかる接合方法の工程の一部を示す図である。 図4は、実施形態にかかる接合方法の工程の一部を示す図である。 図5は、実施形態にかかる接合方法の工程の一部を示す図である。 図6は、実施形態にかかる接合方法の工程の一部を示す図である。 図7は、実施例1にかかる引張接着強さ試験の結果を示すグラフである。 図8は、実施例2にかかる引張せん断接着強さ試験の結果を示すグラフである。
(実施形態)
上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
本発明は、繊維に熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとしたシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合するための接合方法に関するものである。そこで、まず、本発明の接合方法に使用される繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物について先に説明する。
繊維強化熱可塑性樹脂材料は、繊維とこの繊維に含浸された熱可塑性樹脂環状オリゴマーとを含んでいる。
繊維の材料としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等のプラスチック繊維、天然繊維又はそれらの混合物を使用することができる。なお、材料はこれらに限定するものではない。また、繊維は、長繊維又は短繊維のいずれであってもよい。長繊維の場合には、一方向連続繊維であっても、織物であってもよい。織物の場合における織り方としては、どの方向へも均等な強度となる平織り、縦糸と横糸の交点を特定の間隔でずらすことで斜め方向に強度が高まる綾織り、縦糸と横糸が交互に交差せず、交点の間隔も大きめに取った繻子織りなどいずれの織り方であってもよい。短繊維の場合は、繊維ウェブ、不織布等を使用することができる。
熱可塑性樹脂環状オリゴマーは、成形用型の温度によって重合反応し、成形により最終的にポリマーの熱可塑性樹脂に加工される素材であり、例えば、環状ポリエステルオリゴマーとして、環状ポリエチレンテレフタレートオリゴマー、環状ポリブチレンテレフタレートオリゴマー、環状ポリプロピレンテレフタレートオリゴマー等の環状ポリアルキレンアリレートオリゴマーや環状ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。また、環状ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、環状ポリフェニレンスルフィドスルホンオリゴマー、環状ポリフェニレンスルフィドケトンオリゴマー、環状ポリフェニレンスルフィドエーテルオリゴマー等の環状ポリアリーレンスルフォドオリゴマー、その他環状ポリカーボネートオリゴマー等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも一種を含むものである。勿論これに限定するものではなく、成形型内で重合反応によりポリマーとなる熱可塑性樹脂環状オリゴマーであれば使用することができる。
環状ポリエステルオリゴマーを使用した場合の平均重合度は、2〜35程度のものが好ましく、より好ましくは5〜20である。また、環状ポリエステルオリゴマーの融点は、50℃から250℃程度のものが成形用に好適に使用することができる。
なお、環状ポリエステルオリゴマーには、前述した環状ポリエステルオリゴマーとして列挙した群より選ばれる2種以上を含むものの他、必要に応じて、環状ポリエステルオリゴマーの群に含まれない他の樹脂、種々の添加剤、重合促進材、スズ等の開環重合を促進するための触媒等を含んでいても良い。
本製造方法に使用される繊維強化熱可塑性樹脂材料は、上述した繊維に熱可塑性樹脂環状オリゴマーを含浸してシート状に作製される。繊維強化熱可塑性樹脂材料に熱可塑性樹脂環状オリゴマーを含浸する方法は、公知の技術を使用することができる。例えば、プリプレグを作製する方法として、特表2011−516654号公報に記載している方法が挙げられる。
接合対象物は、ポリカーボネート又はABS樹脂等の合成樹脂、SUS、アルミ、真鍮等の金属、ガラス、ゴム等、成形型の熱に耐えうる素材であれば、様々な素材を使用することができる。また、接合対象物の形態は、ボスやフランジ付ボス、リブ等の板状物、取付用ベース部材等の形態物であってもよいし、繊維強化熱可塑性樹脂材料の表面に被覆されるシートやフィルムであってもよい。
次に、こうして作製されたシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料11aと接合対象物80との接合に使用する成形型50について説明する。
本実施形態においては、図1に示すように、繊維強化プラスチック製品として、パチンコ遊技機本体(図示しない。)を取り付ける外枠10のうちの側面側の外枠11に上枠用連結金具20、受金具30、前板用連結金具40を取り付けた製品を例として説明する。本実施形態にかかる外枠11が繊維強化熱可塑性樹脂材料11a(図4参照)で作製され、それぞれ上枠用連結金具20、受金具30及び前板用連結金具40が接合対象物80に相当する。なお、本実施形態においては、繊維に長繊維のカーボン繊維を使用し、熱可塑性樹脂環状オリゴマーとして環状ポリブチレンテレフタレートオリゴマーを使用している。
本実施形態に使用される成形型50の端面図が図2に示されている。本実施形態に使用される成形型50は、成形面が略水平に配置された上下方向に可動可能な可動型60(上型)と固定型70(下型)とを有する熱プレスタイプの金型である。可動型60及び固定型70の少なくとも一方には、加熱装置(図示しない。)が設けられており、金型を180℃〜250℃まで加熱可能である。加熱する方式としては、加熱媒体、例えば熱水、蒸気、オイル等の熱を型に伝えて加熱する方法、成形型を電磁誘導やヒータで直接加熱する方法等種々の方法を使用することができる。また、任意にサイクルタイムを短縮するため、積極的に型を冷却することができる冷却装置を設けても良い。冷却装置としては、冷水等を熱水、蒸気、オイル等に切替えて流す方法や、電磁誘導やヒータのスイッチを切る方法等を使用することができる。
固定型70には、接合対象物80を設置するための接合対象物設置部71が複数設けられている。接合対象物設置部71は、接合対象物80を嵌め込むことができるように、接合対象物80に対して反転した形態の嵌合孔に作製されている。この接合対象物設置部71は、図3に示すように、接合対象物80を嵌め込んだ際に、接合対象物80の表面81と固定型70の成形面72とが同一面となるように設定してもよいし、わずかに接合対象物80の表面81が、固定型70の内側成形面72から延出するように設けてもよい。このように設けることで、接合対象物80がわずかに外枠11に埋め込まれて、より強固に接合対象物80と外枠11を固定することができる。
さて、次に、以上のように構成された成形型50を使用してシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料11aと接合対象物80とを接合する接合方法(外枠11の作製方法)について説明する。
本実施形態にかかる接合方法は、主として、設置工程と、加熱工程及び加圧工程とを含む。
設置工程は、成形型50に接合対象物80と繊維強化熱可塑性樹脂材料11aを設置する工程である。まず、図3に示すように、固定型70の接合対象物設置部71に接合対象物80を嵌める。次に、図4に示すように、この接合対象物80に積層されるようにシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料11aを設置する。繊維強化熱可塑性樹脂材料11aは、1枚でもよいし、図4に示すように、複数の繊維強化熱可塑性樹脂材料11a(例えば、プリプレグ)を積層してもよい。なお、設置工程の段階において、環状ポリブチレンテレフタレートオリゴマーの溶融温度は、80℃〜90℃であるので、繊維強化熱可塑性樹脂材料11aを軟化させて固定型70に馴染むように、あらかじめ70℃〜140℃程度に固定型70を加熱しておいてもよい。また、後述するように、この段階で重合を促進するために、重合温度まで加熱しておいてもよい。
加熱工程は、繊維強化熱可塑性樹脂材料11aを一定の形態まで成形するとともに、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの一部を重合させる工程である。設置工程では、図5に示すように、完全に型締することなく、繊維強化熱可塑性樹脂材料を完成品の製品の厚さより幅の広い間隔が形成されるように成形型50を型締めする。完成品の製品の厚さより幅の広い間隔で型締めするため、製品のおおよその形態を形作ることができるが、繊維強化熱可塑性樹脂材料11aが圧縮されることない程度の形態となる。成形型50の可動型60の成形面と固定型70の成形面の間隔は、好ましくは、最終製品の厚さの1.3倍から2倍程度の厚さとなるように締めるとよい。ここで、型締めをするのは、加熱効率を高めて重合を促進させるためである。そのため、成形型50の加熱能力が高ければ、必ずしも型締めしなくてもよい。なお、ここで、製品の厚さより幅の広い間隔で型締めするのは、熱可塑性樹脂環状オリゴマーは加熱により非常に流動性が高くなるため、1段階で最終製品の厚さまで型締めしてしまうと、熱可塑性樹脂環状オリゴマーが成形型50から締め出されて流れ出てしまう可能性や、熱可塑性樹脂環状オリゴマーが偏ったりする可能性がある。そのため、ある程度隙間がある状態若しくは大きく圧力がかかっていない状態で熱可塑性樹脂環状オリゴマーの一部を重合させ、下記の加圧工程の型締めにおいて熱可塑性樹脂環状オリゴマーが流れでない程度の粘度を確保するためである。好ましくは、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの10%〜70%開環重合させる程度に加熱するとよい。また、この状態で繊維強化熱可塑性樹脂材料11aと接合対象物80との密着性を高めることで、最終製品となった場合の結合強度をより高めることができる。加熱工程における予備加熱は、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの溶融温度よりも高い値が選択され、100℃〜210℃が好ましく、加熱時間は30秒〜3分程度、より好ましくは、2〜3分程度行なう。
加圧工程は、繊維強化熱可塑性樹脂材料11aを最終的な形態及び厚さまで成形するとともに、熱可塑性樹脂環状オリゴマーを重合させてポリマーの熱可塑性樹脂にする工程である。加圧工程では、図6に示すように、当初の繊維強化熱可塑性樹脂材料11aの厚さより薄くなるように加圧して加熱することによって、最終形態に成形するとともに、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの重合を促進して製品全体をポリマーに反応させる。この加圧工程では、繊維強化熱可塑性樹脂材料11aの当初の厚みより薄くなるように加圧した場合であっても、加熱工程によって熱可塑性樹脂環状オリゴマーは一部重合され、粘度が高い状態にされているので、成形型50から熱可塑性樹脂環状オリゴマーが流れ出すことを防止することができる。加圧工程は、170℃〜210℃で、4分〜25分程度加熱する。プリプレグの積層数や熱可塑性樹脂環状オリゴマー等によって変化するが、例えば、積層数3枚の場合には、180℃以上で15分以下、190℃で10分以下、200℃で5分以下程度加熱することによって、好適に重合させることができる。なお、加熱工程から加圧工程に移行する際に、設定温度を同等にしておくことで、温度上昇に要する時間を短縮することが可能になる。
そして、重合反応が終了したら、ポリマーの硬化温度まで冷却して、脱型することによって繊維強化繊維プラスチック製品としての外枠が完成する。この際に、冷却装置により急速冷却させることでサイクルタイムを短縮することができる。
以上の実施形態にかかる接合方法によれば、製品の成形の際に、あらかじめ粘度を高くする加熱工程を経ることで、本来プレス型に使用するには、不向きである熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとして繊維強化熱可塑性樹脂材料を使用して成形することができる。
また、実施形態にかかる接合方法によって作製された外枠は、ポリマーによるポリブチレンテレフタレートでは堅固に接合することのできない接合対象物80が繊維強化熱可塑性樹脂材料11a内に埋設されていない状態で表面に接合された繊維強化プラスチック製品とすることができる。そのため、改めて接合対象物を接着したり、ネジやボルト等の物理的手段によって固定したりする必要がない。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
(実施例1)
実施例1として、前述した接合方法によって作製される繊維強化プラスチック製品を作製し、引張接着強さ試験を行った。
試験用繊維強化プラスチック製品として、繊維強化熱可塑性樹脂材料に環状ポリブチレンテレフタレートオリゴマーをマトリクスとしたカーボン繊維強化樹脂のプリプレグ8枚を積層したもの(成形後厚さ約2.0mm)を用意し、接合対象物としてステンレス(SUS303)12.7mm角棒を2本用意した。
1.設置工程
繊維強化熱可塑性樹脂材料を接合対象物の間に挟んだ状態で金型(治具)に設置した。
2.加熱工程
100℃〜110℃に型温を維持するように加熱して2分間保持した。
3.加圧工程
クランプにて3.0kg/cmの圧力で加圧しつつ190℃で10分間保持した。
4.冷却工程
ポリマーの硬化温度まで冷却した後、取り出して製品サンプルとした。
上記方法によって作製された製品サンプルを5つ(1〜5)用意して引張接着強さを測定した。試験方法は、JIS K6849(接着剤の引張接着強さ)に基づいて行った。試験条件は、試験温度、23℃、引張速度1.0mm/minである。測定結果を以下の表1及び測定結果のグラフを図7に示す。
Figure 2017006680
図7によれば、サンプル1を除き、最大荷重が概ね1100N以上、最大応力が7MPa以上のであり、プラスチック製品として必要強度を有することが証明された。
(実施例2)
実施例2として、前述した接合方法によって作製される繊維強化プラスチック製品を作製し、引張せん断接着強さ試験を行った。
試験用繊維強化プラスチック製品として、繊維強化熱可塑性樹脂材料に環状ポリブチレンテレフタレートオリゴマーをマトリクスとしたカーボン繊維強化樹脂のプリプレグ100mm×35mmを7枚積層したもの(積層後厚さ約1.6mm)を用意し、接合対象物としてステンレス(SUS304)100mm×25mm、厚さ1.5mmの板を用意した。
1.設置工程
繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを、幅25.0mm×長さ12.5mmが重なるように金型(治具)に設置した。
2.加熱工程
100℃〜110℃に型温を維持するように加熱して2分間保持した。
3.加圧工程
クランプにて3.0kg/cmの圧力で加圧しつつ190℃で10分間保持した。
4.冷却工程
ポリマーの硬化温度まで冷却した後、取り出して製品サンプルとした。
上記方法によって作製された製品サンプルを5つ(1〜5)用意して引張接着強さを測定した。試験方法は、JIS K6850(接着強度引張せん断試験)に基づいて行った。試験条件は、試験温度、23℃、引張速度9.0MPa/minである。測定結果を以下の表2及び測定結果のグラフを図8に示す。
Figure 2017006680
表2及び図8によれば、最大荷重が概ね4900N以上、最大応力が15MPa以上のであり、プラスチック製品として必要強度を有することが証明された。
上述した実施の形態で示すように、繊維強化熱可塑性樹脂材料に様々な部品を接合された製品を作製する際に、利用することができる。
10…外枠、11…外枠、11a…繊維強化熱可塑性樹脂材料、16…釘穴、20…上枠用連結金具、30…受金具、40…前板用連結金具、50…成形型、60…可動型、70…固定型、71…接合対象物設置部、72…内側成形面、80…接合対象物、81…表面、100…樹脂製遊技盤

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法において、
    所定温度に加熱可能なプレス成形型に、繊維に熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとして含浸された1又は2以上のシート状の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを設置する設置工程と、
    前記成形型に設置された前記繊維強化熱可塑性樹脂材料を加熱する加熱工程と、
    前記繊維強化熱可塑性樹脂材料の熱可塑性樹脂環状オリゴマーを開環重合させることによって所定の形態に賦形するための加圧工程と、
    からなることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法。
  2. 前記加熱工程は、熱可塑性樹脂環状オリゴマーの10%〜70%開環重合させることを特徴とする請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法。
  3. 前記加熱工程は、1分間〜2分間加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法。
  4. 前記加圧工程は、前記繊維強化熱可塑性樹脂材料を設置工程で設置された状態よりも薄くなる位置まで型締めしてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料と接合対象物とを接合する接合方法。
  5. 熱可塑性樹脂環状オリゴマーをマトリクスとした繊維強化熱可塑性樹脂材料と、
    接合対象物と、
    を結合させてあることを特徴とする繊維強化プラスチック製品。
  6. 前記結合は、繊維強化熱可塑性樹脂材料以外の接着成分を含んでいないことを特徴とする請求項5に記載の繊維強化プラスチック製品。
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