JP2016537010A - 予後を予測するための方法及びキット、並びに、放射線照射療法を用いた乳癌の治療方法及びキット - Google Patents
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Abstract
本出願は、乳癌が、放射線照射を含む***切除後乳癌治療に応答するかどうかを決定するために、乳癌を有する被験体をスクリーニングするための方法及びキットを記載する。本出願は、さらに、被験体が、放射線照射を含む治療を用いた癌の治療効果の可能性をスクリーニングし、放射線照射が効果的である可能性があることを見出した場合に、被験体に治療を実施することにより、***切除後の乳癌を有する被験体を治療する方法及びキットを記載する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2013年9月9日に出願した米国仮特許出願シリアル番号第61/875373号、及び、2014年5月9日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第61/875373の優先権を主張し、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
本出願は、2013年9月9日に出願した米国仮特許出願シリアル番号第61/875373号、及び、2014年5月9日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第61/875373の優先権を主張し、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
発明の分野
本開示は、一般的に癌生物学の分野に関するものであり、具体的には、特定の癌細胞の表現型の検出と同定、及び、適当な治療法との相関の分野に関する。
本開示は、一般的に癌生物学の分野に関するものであり、具体的には、特定の癌細胞の表現型の検出と同定、及び、適当な治療法との相関の分野に関する。
配列表の参照による援用 2014年9月8日に作成され、サイズが328667バイトの「NATE−022001WO_ST25.txt」という名前のテキストファイルの内容は、本明細書にその全体が参照により援用される。
発明の背景
放射線療法(Radiation therapy)(放射療法(radiotherapy)又は放射線腫瘍学としても知られる)は、乳腺腫瘍摘手術又は***切除術を行った後、術後に残存する悪性癌細胞を低減又は制御するため、すなわち、アジュバント療法としてしばしば利用され、乳癌再発機会及び乳癌死亡を低減させることで知られている。放射線照射は、胸壁と、鎖骨周辺のリンパ節と、脇の下領域における腋窩リンパ節を治療するために***切除後に使用される。しかし、吐き気や嘔吐、腸の不快感、口、喉及び胃潰瘍、上皮表面の損傷、浮腫、不妊、線維症、リンパ浮腫、下垂体機能低下症並びに脱毛などの放射線療法に関連する様々な有害となる副作用を有する。従って、当該技術分野において、癌のタイプを決定すること、放射線照射に基づく治療に最も良好に反応する癌のタイプを有する被験体を同定すること、非放射線照射に基づく治療でより良好に治療される癌のタイプ及びそのような癌のタイプを有する被験体を同定する必要性があり、最適な治療が、それを必要とする当該被験体へと提供される。
放射線療法(Radiation therapy)(放射療法(radiotherapy)又は放射線腫瘍学としても知られる)は、乳腺腫瘍摘手術又は***切除術を行った後、術後に残存する悪性癌細胞を低減又は制御するため、すなわち、アジュバント療法としてしばしば利用され、乳癌再発機会及び乳癌死亡を低減させることで知られている。放射線照射は、胸壁と、鎖骨周辺のリンパ節と、脇の下領域における腋窩リンパ節を治療するために***切除後に使用される。しかし、吐き気や嘔吐、腸の不快感、口、喉及び胃潰瘍、上皮表面の損傷、浮腫、不妊、線維症、リンパ浮腫、下垂体機能低下症並びに脱毛などの放射線療法に関連する様々な有害となる副作用を有する。従って、当該技術分野において、癌のタイプを決定すること、放射線照射に基づく治療に最も良好に反応する癌のタイプを有する被験体を同定すること、非放射線照射に基づく治療でより良好に治療される癌のタイプ及びそのような癌のタイプを有する被験体を同定する必要性があり、最適な治療が、それを必要とする当該被験体へと提供される。
課題を解決するための手段
本発明は、乳癌を有する被験体の局所領域無再発、又は乳癌特異的生存を予測する方法を提供するものであって、以下の工程:(a)該被験体から生体サンプルを取得し、及び、(b)ルミナルA(Luminal A)サブタイプ、ルミナルB(Luminal B)サブタイプ、基底様サブタイプ(Basal−like subtype)、HER2富化サブタイプ(HER2−enriched subtype)に分類されるかどうかを決定するために該生体サンプルをアッセイし、ここで、該サブタイプは、表1に挙げられた、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、又は50個全ての遺伝子の測定を使用して決定され、ここで、(1)該生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、該被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあり、又は、(2)該生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、該被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性が無いこと、を含む。
本発明は、乳癌を有する被験体の局所領域無再発、又は乳癌特異的生存を予測する方法を提供するものであって、以下の工程:(a)該被験体から生体サンプルを取得し、及び、(b)ルミナルA(Luminal A)サブタイプ、ルミナルB(Luminal B)サブタイプ、基底様サブタイプ(Basal−like subtype)、HER2富化サブタイプ(HER2−enriched subtype)に分類されるかどうかを決定するために該生体サンプルをアッセイし、ここで、該サブタイプは、表1に挙げられた、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、又は50個全ての遺伝子の測定を使用して決定され、ここで、(1)該生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、該被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあり、又は、(2)該生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、該被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性が無いこと、を含む。
本発明はまた、必要とする被験体において、放射線照射を含む***切除後乳癌治療の有効性の可能性をスクリーニングする方法を提供し、以下の工程:(a)該被験体から生体サンプルを取得し、及び、(b)ルミナルAサブタイプ、ルミナルBサブタイプ、HER2富化サブタイプ又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために該生体サンプルをアッセイし、ここで、該サブタイプは、表1に挙げられた、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、又は50個全ての遺伝子の測定を使用して決定され、ここで、(1)該生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、該被験体において効果がある可能性がより多くあり、又は、(2)該生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体において効果がある可能性が無いこと、を含む。
本発明はまた、必要とする被験体の乳癌を治療する方法も提供するものであり、以下の工程:(a)該被験体から生体サンプルを取得し、(b)ルミナルAサブタイプ、ルミナルBサブタイプ、HER2富化サブタイプ又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために該生体サンプルをアッセイし、ここで、該サブタイプは、表1に挙げられた、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、又は50個全ての遺伝子の測定を使用して決定され、及び、(c)前記被験体へ乳癌治療を実施することであり、ここで、(1)該生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、該被験体は放射線照射を含む***切除後乳癌治療が実施され、又は、(2)該生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、該被験体は放射線照射を含まない乳癌治療が実施され、それによって、該被験体の乳癌を治療すること、を含む。
上記の方法のいずれかにおいて、好ましくは、サブタイプは、表1に列挙された少なくとも40個の遺伝子、例えば、表1に列挙された46個又は50個の遺伝子、の発現レベル(例えば、RNA発現レベル)を使用して決定される。アッセイの工程は、表1に列挙された遺伝子の少なくも40個から、少なくとも以下24個の遺伝子、すなわち、FOXA1、MLPH、ESR1、FOXC1、CDC20、ANLN、MAPT、ORC6L、CEP55、MKI67、UBE2C、KNTC2、EXO1、PTTG1、MELK、BIRC5、GPR160、RRM2、SRFP1、NAT1、KIF2C、CXXC5、MIA及びBCL2、の発現レベルを検出することを含んでも良い。CCNE1、CDC6、CDCA1、CENPF、TYMS及びUBE2Tの発現レベルが、付加的に検出されてもよい。実施形態において、NANO46遺伝子セット(MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1を除く、表1の全ての50個の遺伝子)の各遺伝子の発現レベルが検出される。さらに、単一のハイブリダイゼーション反応において、少なくとも40個の遺伝子、並びに複数の(例えば、8以上)ハウスキーピング遺伝子の発現レベルが検出されてもよい。少なくとも40個の遺伝子発現レベルは、複数のハウスキーピング遺伝子の発現レベルで正規化してもよい。参照サンプル中のインタクトなRNAの量の違いを制御するために、少なくとも40個の遺伝子のレベルは、複数のハウスキーピング遺伝子のレベルの平均値に対して正規化される。
少なくとも40個の遺伝子及び複数のハウスキーピング遺伝子からインビトロ転写されたRNA標的を含む合成RNA参照サンプルをアッセイしてもよく、コントロールとして使用してもよい。さらに、アッセイ手順の変動を制御するために、生体サンプル由来の少なくとも40個の遺伝子それぞれに対して上記正規化した発現レベルは、合成参照サンプルの少なくとも40個の遺伝子それぞれから正規化したレベルに対しさらに正規化される。正規化した遺伝子発現レベルは、その後、対数変換され、2つのスケーリング因子を用いて縮尺される(scaled)。
アッセイの工程は、生体サンプル中の遺伝子の発現に基づいて遺伝子発現プロファイルを生成する工程、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプについて、表1に列挙された少なくとも40個の遺伝子の遺伝子発現データから構築された重心と、生体サンプルの遺伝子発現プロファイルとを比較する工程、監視アルゴリズム(supervised algorithm)を利用し、各重心に対する生体サンプルの遺伝子発現プロフィールの距離を計算する工程、及び、最短の重心に基づいて、生体サンプルを、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプとして分類する工程、の1以上の工程を含んでもよい。より具体的には、ピアソンの相関に基づく計算アルゴリズムは、生体サンプル由来の少なくとも40個全体の遺伝子を正規化し、縮尺した遺伝子発現プロファイルと、例えば、国立バイオテクノロジー情報遺伝子発現オムニバスセンター(National Center for Biotechnology Information Gene Expression Omnibus)(GEO)に寄託された遺伝子発現データ由来(例としては、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886)の4つの乳癌固有サブタイプをそれぞれ定義するプロトタイプの発現サイン(「重心」と称される)とを比較する。ピアソンの相関の算出は、患者の***腫瘍サンプルを、少なくとも40個の遺伝子全体に最も類似した発現プロファイル又は重心スコアを持つ固有のサブタイプへと割り当てる。4つの重心に対する少なくとも40個の遺伝子の全体のピアソン相関は、それぞれが−1から+1の範囲の及ぶ4つの数値をもたらし、+1の値は、好ましくは、相関発現プロファイルであり、−1は、好ましくは、逆相関プロファイルであり、そして、0は、完全に無相関である。以下に記載されるように、上記工程の特徴は、「PAM50分類モデル」又は「NANO46分類モデル」に含まれている。
少なくとも上述の工程の1つは、コンピュータ又は電子計算装置上で実行される。
実施形態では、アッセイは、HER2の発現レベルを検出することを含む。
乳癌は、原発性乳癌、局所進行乳癌又は転移性乳癌であり得る。被験体は哺乳動物であり得る。好ましくは、被験体はヒトである。被験体は、男性又は女性であってもよい。被験体は、乳癌を有すると当業者によって診断されており、現在乳癌を有する又は乳癌を有していたヒトの亜集団に含まれる。乳癌を有する被験体は、***切除前又は***切除後であり得る。好ましくは、被験体は、***切除後である。被験体は、***温存療法を受けていてもよい。乳癌を有する被験体は、以前、抗癌剤又は化学療法剤で治療されていてもよい。好ましくは、被験体は、以前、抗癌剤又は化学療法剤で治療されていない。被験体は、以前に放射線で治療されていてもよい。好ましくは、被験体は、以前に放射線で治療されていない。被験体は、閉経前又は閉経後であり得る。好ましくは、被験体は、閉経前である。被験体は、リンパ節陽性乳癌を有し得る。好ましくは、被験体は、リンパ節陽性乳癌を有する。被験体は、エストロゲン受容体陽性又はエストロゲン受容体陰性乳癌を有し得る。エストロゲン受容体陽性乳癌を有する被験体は、単独で、又は、他の乳癌治療に加えて、卵巣摘出術を経験してもよく、又は受けてもよい。被験体は、ステージI若しくはII、リンパ節陰性乳癌、又は、ステージII、リンパ節陽性乳癌を有していてもよい。
放射線照射を含む乳癌の治療は、1以上の抗癌剤又は化学療法剤を含み得る。抗癌剤又は化学療法剤のクラスは、アントラサイクリン系薬剤、アルキル化剤、ヌクレオシド類似体、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣抑制剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート療法剤、及び標的生体治療剤を含み得る。特定の抗癌剤又は化学療法剤は、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5-フルオロウラシル又は5-FU)、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、アントラサイクリン、タキサン、パクリタキセル、タンパク結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、イリノテカン、イクサベピロン、テモゾロミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリックス、ブセルリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブ又はベバシズマブ、又はそれらの組み合わせ、を含む。好ましくは、放射線照射を含む治療法はまた、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシル又は5−FU)、メトトレキサート、又はこれらの組み合わせを含む。そのような組み合わせの1つは、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシルを含むCMFである。
生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプの癌として分類されるかどうかを決定するための生体サンプルのアッセイは、RNA発現プロファイリング、免疫組織化学(IHC)又は蛍光インサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH)を用いて実施される。好ましくは、アッセイは、RNA発現プロファイリングである。表1遺伝子リストのメンバーの発現は、ナノレポーター及びナノレポーターコードシステム(nCounter(登録商標)分析システム;ナノストリングテクノロジーズ社、シアトル、WA)を用いて決定することができる。好ましくは、表1の遺伝子リストのメンバーの発現は、表1に記載された遺伝子の、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、又は全50個の検出のためのレポータープローブ及び捕捉プローブを用いて決定され得る。特に、遺伝子の「NANO46」セットの発現が決定される(MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現を決定することを除く全50個の遺伝子の発現を決定することによる)。好ましくは、検出される表1の任意の1個の遺伝子用の、唯一の1レポータープローブ/捕捉プローブ対が存在する。
生体サンプルは、細胞、組織又は体液であり得る。組織は、生検又は塗抹標本から採取することができる。生体サンプルは、腫瘍であり得る。腫瘍は、エストロゲン受容体陽性腫瘍又はエストロゲン受容体陰性腫瘍であり得る。サンプルはまた、体液を採取することでもあり得る。体液は、血液、リンパ液、尿、唾液、乳頭吸引液及び婦人科学的流体を含み得る。生体サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)サンプルであり得る。
生体サンプルは、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプの癌のいずれかに分類される場合、生体サンプルが得られた被検者は、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプの癌のそれぞれを有するものとして分類される。被験体は、彼/彼女の分類された癌サブタイプに基づいて、推奨される治療グループに割り当てられる。最後に、被験体に提供することが推奨される治療は、被写体が割り当てられるグループに依存する。
実施形態では、計算アルゴリズムは、その後、再発リスク(ROR)スコアを計算する。実施形態では、RORスコアは、(1)4つの固有のサブタイプの予想されるプロファイルを有する生体サンプル中の少なくとも40個の遺伝子(例えば、NANO46遺伝子セット)の発現プロファイルのピアソン相関(上述)、(2)少なくとも40個の遺伝子の18個の増殖遺伝子の平均遺伝子発現より決定される増殖スコア(上述)、及び、(3)被験体の腫瘍の総腫瘍サイズ、を含むコックスモデル由来の係数を用いて算出される。変数は、スコアを生成するために、コックスモデルから対応する係数で乗算され、次いで、0〜100の縮尺に調整される。0〜100のRORスコアは、10年時点の遠隔再発の可能性(10年時点での遠隔無再発生存(Distant Recurrence−Free Survival)(DRFS))と相関している。リスク区分(低、中、又は高)も、臨床バリデーション試験で決定された再発リスクスコアのカットオフに基づいて計算される。
実施形態では、0〜40の再発のリスク(ROR)スコアはリンパ節陰性癌の再発リスクが低く、0〜15のRORスコアはリンパ節陽性癌の再発リスクが低く、61〜100のRORスコアはリンパ節陰性癌の再発リスクが高く、そして、41〜100のRORスコアはリンパ節陽性癌の再発リスクが高い。
本明細書中で使用されるRORスコアは、当該分野で公知の任意の方法又は式を用いて計算することができる。本明細書に記載のように、代表的な式は、式1〜式6に含まれる。
少なくとも40個の遺伝子セットは、増殖のマーカーとして知られている多くの遺伝子が含まれている。本発明の方法及びキットは、増殖サインを提供する遺伝子のサブセットの決定を提供する。本発明の方法及びキットは、ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及び/又はUBE2Tから選択される表1の固有の遺伝子の18個の遺伝子サブセットの、少なくともの1つ、組み合わせ、又は、それぞれの発現を決定するための工程及び試薬を含み得る。好ましくは、表1の遺伝子セットの18個の遺伝子サブセットの各々の発現が、増殖スコアを提供するために決定される。これらの遺伝子の1以上の発現が決定されてもよく、増殖サイン指数は、サンプル中の1以上のこれらの遺伝子の正規化された発現の推定値を平均化することによって生成することが可能である。サンプルは、高増殖サイン、中程度/中間増殖サイン、低増殖サイン又は超低増殖サインを割り当てることができる。生体サンプルから増殖サインを決定する方法は、Nielsen et al.Clin.Cancer Res.,16(21):5222−5232(2009)及び補足オンライン資料に記載されている。
本発明は、乳癌を有する被験体の局所領域無再発又は乳癌特異的生存を予測するためのキットを提供するものであり、表1に列挙された、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するために十分な試薬(例えば、レポーター/捕捉プローブ及び/又はプライマーのセット)と;表1に列挙された、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルを、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプとして分類するためのアッセイを実施するための説明書と;表1に列挙された、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプであるかを分類することをユーザへ可能とする情報を提供する説明書と;並びに、分類された癌のサブタイプに基づき、被験体において、放射線照射を含む治療が、局所領域無発症又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあるか否かを予測するためのものであり、ここで、(a)生体サンプルがルミナルAサブタイプ又は基底様に分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が被験体の局所領域無発症生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあり、(b)生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が被験体の局所領域無発症生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性が無い、説明書と、を含んでいる。説明書は、得られた予測に基づいて、被験者に推奨される治療法を提供してもよい。説明書はさらに、増殖スコア/サインを決定する方法、計算における臨床病理学的変数を利用する方法、及び、再発リスク(ROR)スコア/サインを算出する方法を特定してもよく、例えば、遺伝子のNANO46セットの発現データの一部に基づいてもよい。キットはまた、HER2陽性の細胞を分類するために、HER2の検出及び/又は定量化を促進するのに十分な試薬を含んでもよい。キットは陽性及び/又は陰性コントロール基準サンプル(単数又は複数)を含んでもよい。キットは、1以上のハウスキーピング遺伝子、DNA修復遺伝子、及び/又は腫瘍抑制遺伝子(例えば、RB1)の発現を検出するための試薬を含んでもよい。キットはさらに、上述の説明書の少なくともいずれかを含む、固定(non−transitory)コンピュータ可読媒体を含んでもよい。キットは、アレイを含んでもよい。キットは、VEGF−サインスコアを決定するための試薬及び説明書を含んでもよい(表7を含む、以下に記載)。
本発明はまた、必要とする被験体における放射線照射を含む***切除後乳癌治療の有効性の可能性をスクリーニングするためのキットを提供するものであり、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するために十分な試薬(例えば、レポーター/捕捉プローブ及び/又はプライマーのセット)と;表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルを、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプとして分類するためのアッセイを実施するための説明書と;表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプであるかを分類することをユーザへ可能とする情報を提供する説明書と;分類された癌のサブタイプに基づき、被験体において、放射線照射を含む治療が、局所領域無発症又は乳癌特異的生存を延長する可能性を決定するためのものであり、ここで、(a)生体サンプルがルミナルAサブタイプ又は基底様に分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、被験体において効果的である可能性がより多くあり、(b)生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、被験体において効果がある可能性が無い、説明書と、を含んでいる。説明書は、決定された有効性の可能性に基づいて推奨される治療を提供する。説明書はさらに、増殖スコア/サインを決定する方法、計算における臨床病理学的変数を利用する方法、及び、再発リスク(ROR)スコア/サインを算出する方法を特定してもよく、例えば、遺伝子のNANO46セットの発現データの一部に基づいてもよい。キットはまた、HER2陽性の細胞を分類するために、HER2の検出及び/又は定量化を促進するのに十分な試薬を含んでもよい。キットは陽性及び/又は陰性コントロール基準サンプル(単数又は複数)を含んでもよい。キットは、1以上のハウスキーピング遺伝子、DNA修復遺伝子、及び/又は腫瘍抑制遺伝子(例えば、RB1)の発現を検出するための試薬を含んでもよい。キットはさらに、上述の説明書の少なくともいずれかを含む、固定コンピュータ可読媒体を含んでもよい。キットは、アレイを含んでもよい。キットは、VEGF−サインスコアを決定するための試薬及び説明書を含んでもよい。
本発明はまた、必要とする被験体の乳癌治療のためのキットを提供するものであり、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するために十分な試薬(例えば、レポーター/捕捉プローブ及び/又はプライマーのセット)と;表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルを、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプとして分類するためのアッセイを実施するための説明書と;表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するため又は測定するための試薬を使用して、被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化、又は基底様サブタイプであるかを分類することをユーザへ可能とする情報を提供する説明書と;生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療を実施するための説明書、及び、生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含まない***切除後乳癌治療を実施するための説明書と、を含んでいる。説明書はさらに、増殖スコア/サインを決定する方法、計算における臨床病理学的変数を利用する方法、及び、再発リスク(ROR)スコア/サインを算出する方法を特定してもよく、例えば、遺伝子のNANO46セットの発現データの一部に基づいてもよい。キットはまた、HER2陽性の細胞を分類するために、HER2の検出及び/又は定量化を促進するのに十分な試薬を含んでもよい。キットは陽性及び/又は陰性コントロール基準サンプル(単数又は複数)を含んでもよい。キットは、1以上のハウスキーピング遺伝子、DNA修復遺伝子、及び/又は腫瘍抑制遺伝子(例えば、RB1)の発現を検出するための試薬を含んでもよい。キットはさらに、上述の説明書の少なくともいずれかを含む、固定コンピュータ可読媒体を含んでもよい。キットは、アレイを含んでもよい。キットは、VEGF−サインスコアを決定するための試薬及び説明書を含んでもよい。
好ましくは、キットは、表1に列挙された少なくとも40個の遺伝子の検出に十分な試薬を提供する。好ましくは、キットは、表1に列挙された少なくとも45個の遺伝子、すなわち、表1に列挙された46個の遺伝子、の検出に十分な試薬を提供する。表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子の発現を検出するために十分な試薬は、アレイ(例えば、マイクロアレイ)又はマイクロ流体デバイスを含み得る。好ましくは、試薬は、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子を検出するためのレポータープローブ及び捕捉プローブを含む。好ましくは、キットは、1以上のハウスキーピング遺伝子、DNA修復遺伝子、及び/又は腫瘍抑制遺伝子(例えば、RB1)を検出するために十分な試薬を含む。好ましくは、検出されるべき表1の任意の一つの遺伝子、又は、単一のハウスキーピング遺伝子のみに対する、単一のレポータープローブ/捕捉プローブペアを有する。好ましくは、キットは、HER2の検出及び/又は定量化を促進するのに十分な試薬を含む。好ましくは、キットは、VEGF−サインスコアを決定するのに十分な試薬を含む。好ましくは、キットは、試薬を利用するため、及び、本発明において提供されるいずれかの方法を実施するための説明書を含む。
本明細書で使用する用語「可能性(likely)」は、一般的に、本発明が属する当業者によって理解される意味を有する。例えば、被験者が、治療から利益を受ける「可能性が高い」場合、ヘルスケア提供者に対して、被験体の治療を選択することが推奨されることとなる。
本明細書で使用する用語「測定」は、例えば、遺伝子の発現レベルなどの定量可能な特性の数値を得ること、測定すること、又は検出することを含み、また、値、例えば、対照サンプル、相関、及び統計と比較した試験サンプルの遺伝子の発現レベルの偏差、を用いる計算を含む。
上記の態様及び実施形態のいずれも、他の態様又は実施形態と組み合わせることが可能である。
他で定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般的に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、文脈が明確に指示しない限り、単数形は複数も含む。例として、用語「a」、「an」及び「the」は、単数又は複数の用語であると理解される、「又は(or)」は、包括的であると理解される。一例として、「要素(an element)」は、1以上の要素を意味する。本明細書全体を通して、単語「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」若しくは「含んでいる(comprising)」等のバリエーションは、述べられた要素、整数又は工程、或いは、要素、整数若しくは工程のグループを包含することを意味するが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程のグループを排除するものではない。約(about)は、述べた値の、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内として理解することができる。文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、「約」という用語によって修飾される。
本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料は、本発明の実施又は試験において使用することができるが、適切な方法及び材料は以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参考として援用される。本明細書に引用した参考文献は、特許請求する本発明に対する先行技術とは認められない。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、限定することを意図するものではない。本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明 添付の図面と併せて、上記及び他の特徴は、より明確に、以下の詳細な説明から理解されるであろう。
発明の詳細な説明 本発明は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療を、乳癌に罹患している患者に実施するのに最適であるかどうかを決定する方法を提供する。乳癌患者が、放射線照射を含む治療を受ける必要があるかどうかを決定することは、遺伝子発現のセットを使用する乳癌のサブタイプを分類すること含む。本開示はまた、***切除術後の乳癌患者が、放射線照射を含む治療を受けるべきかどうかを決定し、次いでその決定に基づいて患者に最適な乳癌治療を実施することによって乳癌を治療する方法を提供する。
固有の遺伝子は、同一の個体から複製された生体サンプル間の発現では低い変動を有し、異なる個体由来のサンプルの発現では高い変動を有するように統計学的に選択される。従って、固有の遺伝子は、乳癌の分類のための分類遺伝子として使用される。臨床情報は、乳癌固有のサブタイプを導出するためには使用されなかったが、この分類は、予後の有意性を有することが証明されている。固有遺伝子のスクリーニングは、乳癌を種々のサブタイプに分類するために使用され得る。乳癌の主要な固有のサブタイプは、ルミナルA(LumA)、ルミナルB(LumB)、HER2富化(Her−2−E)、基底様(Basal−like)、及び正常様(Normal−like)と呼ばれる(Perou et al.Nature,406(6797):747−52(2000); Sorlie et al.PNAS,98(19):10869−74(2001))。
PAM50遺伝子発現アッセイは、本明細書に記載のように、標準ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織より、固有のサブタイプを識別することができる(Parker et al.J Clin Oncol.,27(8):1160−7(2009)及び米国特許出願公開第2011/0145176号明細書、も参照)。方法は、乳癌固有のサブタイプに応じて、被験体のサンプルを分類する監視アルゴリズムを利用する。「PAM50分類モデル」と呼ばれる、このアルゴリズムは、乳癌固有のサブタイプを分類するのに優れているものとして本明細書で同定し、定義された固有の遺伝子のサブセットの遺伝子発現プロファイルに基づいている。米国特許出願公開第2011/0145176号明細書を参照。それらの検出に特異的な代表的なプライマーを伴う遺伝子のサブセットは、表1に提供される。それらの検出のための特異的な代表的なプローブを伴う遺伝子のサブセットは、表2に提供される。代表的なプライマー及び標的特異的プローブ配列は、単に代表的なものであって、本発明の限定を意図するものではない。当業者は、表1のいずれか(又はそれぞれ)の遺伝子を検出するための任意のプライマー及び/又は配列特異的プローブを利用することが可能である。
表1.PAM50固有遺伝子リスト
表2.NANO46遺伝子を検出するための代表的なプローブ
表3は、表1のPAM50遺伝子の選択配列を提供する。
NANO46遺伝子発現アッセイは、本明細書に記載のように、標準のホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織から固有のサブタイプを識別することができる(Parker et al.J.Clin Oncol.,27(8):1160−7(2009)及び、米国特許出願公開第2013/0337444号明細書、も参照)。方法は、乳癌固有のサブタイプに応じて、被験体サンプルを分類するための監視アルゴリズムを利用する。本明細書中で「NANO46分類モデル」呼ばれる当該アルゴリズムは、乳癌固有のサブタイプを分類するために、優れたものとして本明細書で同定され、定義された固有の遺伝子のサブセットの遺伝子発現プロファイルに基づいている。米国特許出願公開第2013/0337444号明細書を参照。特に、(MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現の決定を除く、表1の全50個の遺伝子発現を決定することによって)表1に列挙された46個の遺伝子の発現、すわなち、遺伝子の「NANO46」セットの発現が決定される。当業者は、表1の遺伝子のいずれか(又はそれぞれ)を検出するための、任意のプライマー及び/又は標的配列特異的プローブを利用することが可能である。
表1の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、又は全50個の遺伝子が、本発明の方法及びキットにおいて利用することができる。好ましくは、50個の遺伝子の各々の発現が、生体サンプルにおいて決定される。より好ましくは、遺伝子のNANO46セットのそれぞれの遺伝子の発現が、生体サンプルにおいて決定される。4つの固有サブタイプのプロトタイプ遺伝子発現プロフィール(すなわち、重心)は、遺伝子発現データの階層的クラスタリング分析を用いて、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)***腫瘍サンプルのトレーニングセットから事前に定義された。表4は、これらの4つのサブタイプのプロトタイプの遺伝子発現プロファイルの実測値(すなわち、重心)及び、正常サンプルを示す。
表4.サンプルに対する比較のためのサブタイプ重心
図9は、乳癌固有サブタイピングテストに関連付けられているアッセイ工程の概要である。RNAの単離に続いて、試験は、少なくとも40個の標的遺伝子(例えば、46個又は50個)及び8個のハウスキーピング遺伝子の発現レベルを同時に測定する。例えば、米国特許出願公開第2008/0032293号明細書に記載のハウスキーピング遺伝子は、正規化のために使用することが可能である。代表的なハウスキーピング遺伝子はMRPL19、PSMC4、SF3A1、PUM1、ACTB、GAPD、GUSB、RPLP0、及びTFRCを含む。ハウスキーピング遺伝子は、腫瘍サンプルの発現を正規化するために使用される。各アッセイの実行はまた、標的遺伝子のインビトロ転写されたRNA、及び、正規化の目的のためのハウスキーピング遺伝子からなる参照サンプルを含んでもよい。
試験乳癌腫瘍サンプルと、試験キットの一部として若しくは方法で使用されるものとして提供された参照サンプルと、を用いて、乳癌固有サブタイピング試験を行った後、ピアソンの相関に基づく計算アルゴリズムが、試験サンプルの少なくとも40個の遺伝子又はPAM50若しくはNANO46固有遺伝子セットの正規化かつ縮尺した遺伝子発現プロファイルと、4つの乳癌固有サブタイプのプロトタイプ発現サインとを比較する。米国特許出願公開第2011/0145176号明細書及び米国特許出願公開第2013/0337444号明細書を参照。実施形態において、遺伝子のPAM50若しくはNANO46セットの発現を決定することによって決定され、再発リスク(ROR)は、遺伝子のNANO46セットを使用して決定される(MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現を決定するのを除いて、表1の全50個の遺伝子の発現を決定することである)。具体的には、固有のサブタイプは、生体サンプルの遺伝子の少なくとも40個の遺伝子又はPAM50若しくはNANO46セットの発現と、4つの固有のサブタイプの予想された発現プロファイルとを比較することで同定される。最も類似した発現プロファイルを有するサブタイプが、生体サンプルに割り当てられる。RORスコアは0〜100縮尺の整数値であり、定義され意図された使用集団の10年以内の遠隔再発の個々の患者の確率に関する。RORスコアは、4つの異なる相関値を算出するために、上述のように、生体サンプル中の少なくとも40個の遺伝子、例えば、NANO46遺伝子の発現プロファイルと、4つの固有のサブタイプの予想されるプロファイルと比較することによって算出される。この相関値は、その後、RORスコアを計算するために、増殖スコア(及び、任意に、腫瘍サイズ等の、1以上の臨床病理学的変数)と組み合わせてもよい。好ましくは、RORスコアはNANO46遺伝子の発現プロファイルのみを比較することによって算出される。
RORスコアは、当該分野で公知の任意の方法又は式を用いて計算され得る。本明細書に記載のように、代表的な式は、式1〜6が含まれる。
図10は、特定のアルゴリズム変換の概略図を提供する。腫瘍サンプルは、サンプルに最大の正の相関を有するサブタイプが割り当てられる。未治療の乳癌患者のトレーニングセットから生成されるカプランマイヤー生存曲線は、固有のサブタイプが無再発生存(RFS)の予後指標であることを示す。
臨床的特徴及び臨床予後データが十分に定義された、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)***腫瘍サンプルのトレーニングセットは、再発(ROR)スコアの連続的なリスクを確立するために使用された。スコアは、それぞれ固有のサブタイプ、増殖スコア(46個の遺伝子の18個のサブセットの平均遺伝子発現)、及び腫瘍サイズに対する相関を含むコックスモデルの係数を用いて計算される。表5を参照。
次の式(式1)に示すように、リスクスコア(「ROR−PT」)を生成するために、表5の試験変数は対応する係数を乗じ、合計される。
以前の研究では、RORスコアは、5年間タモキシフェンで治療されたER陽性、リンパ節陰性患者の再発リスクの継続的な推定値を提供した(Nielsen et al.Clin.Cancer Res.,16(21):5222−5232(2009))。従来の臨床病理学的手段と比較した場合、ツールの作成を決定する精度を改善するさらなる証拠を提供する、当該試験集団内における無再発生存(RFS)を決定する際に基礎とする臨床モデルよりも、RORスコアは統計学的に有意な改善も示した(Nielsen et al.Clin.Cancer Res.,16(21):5222−5232(2009))。
RORスコアは0〜100縮尺の整数値であり、定義され意図された使用集団の10年以内の遠隔再発の個々の患者の確率に関する。RORスコアは、4つの異なる相関値を算出するために、上述のように、不明なサンプル中の46遺伝子の発現プロファイルと、4つの固有のサブタイプの予想されるプロファイルと比較することによって算出される。当該相関値は、その後、RORスコアを計算するために、増殖スコア及び腫瘍サイズと組み合わせられる。リスク分類はまた、試験された患者集団における臨床的予後に関連するカットオフを使用して、RORスコアの解釈を可能とすることを提供する。表6を参照。
本発明の方法及びキットは、さらに、VEGF−サインスコアを提供するための工程及び/又は試薬を含み得る。VEGF−サインスコアは、VEGFシグナル伝達又は調節に関連する遺伝子の13個の遺伝子セットの、少なくとも一つ、組み合わせ、又はそれぞれの、発現から決定することが可能である。13個の遺伝子セットは、RRAGD、FABP5、UCHL1、GAL、PLOD、DDIT4、VEGF、ADM、ANGPTL4、NDRG1、NP、SLC16A3及びC14ORF58を含む。表7は、VEGF−サインスコアを決定するための13個の遺伝子セットのGenbank登録番号及び選択核酸配列を提供する。
好ましくは、13個の遺伝子セットのそれぞれの発現は、VEGF−サインスコアを提供するために決定される。遺伝子全体の平均発現値が、すなわち、log2発現比を決定することにより、決定され得る。サンプルは、Camp et al.,Clin.Cancer Res.10(21):7252−7259に記載されるように、Xタイル(X−tile)及び無再発生存を使用して決定されたカットオフ値(すなわち、−0.63/0.08)を使用して、13個の遺伝子平均Log2発現比をもとに、高発現群、中発現群、及び低発現群へと割り当てる、又は、分類してもよい。VEGF−サインスコアを決定するための方法は、Hu et al.,BMC Medicine 7:9(2009)及び捕捉オンライン資料に記載されている。
本発明の方法はさらに、RAD17、RAD50、及び腫瘍抑制RB1等のDNA修復遺伝子の発現を測定することを含んでもよい。これらの追加の遺伝子の選択核酸配列は、以下の表8に示されている。
乳癌
遺伝子発現解析によって分類される、ルミナルA又は基底様サブタイプに適合する、乳癌腫瘍を有する被験体は、放射線照射を含んだ***切除後乳癌治療で治療した場合、驚くべきことに、有意に局所再発が減少し、乳癌特異的生存の有意な増加が見出された。
固有のサブタイプによって乳癌腫瘍を分類し、この治療の時のみ放射線照射で患者を治療することは、治療効果の増加し、追加コストをオフセットすることを提供し、副作用が、何千もの患者の予後及び生活の質を改善しうる。
本開示の目的において、「乳癌」は、例えば、生検又は組織学によって悪性病変として分類されるこれらの状態を含む。乳癌診断の臨床的な描写は、医学分野でよく知られている。当業者は、乳癌は、例えば、癌腫及び肉腫を含む、***組織の任意の悪性腫瘍を意味するものと理解するであろう。乳癌の特定の実施形態は、インサイチュ(in situ)非浸潤性乳管癌(DCIS)、インサイチュ小葉がん(LCIS)、又は粘液癌を含む。乳癌はまた、浸潤性乳管癌(IDC)、小葉新生物又は浸潤性小葉腺癌(ILC)を指す。本開示のほとんどの実施形態において、対象の被験体は、乳癌の疑いのある又は実際に乳癌と診断されたヒト患者である。
乳癌は、***の癌の全ての形態が含まれる。乳癌は、初代上皮乳癌を含み得る。乳癌は、例えばリンパ腫、肉腫又は黒色腫などの他の腫瘍によって***が関与する癌を含み得る。乳癌は、***の癌腫、***の腺管癌、***の小葉癌、***の未分化癌、***の葉状嚢肉腫、***の血管肉腫、及び***の原発性リンパ腫を含み得る。乳癌はステージI、II、IIIA、IIIB、IIIC及びIVの乳癌を含み得る。***の乳管癌は、浸潤癌、優性管内成分を有するインサイチュ浸潤癌、炎症性乳癌、並びに、面皰、粘液性(コロイド)、髄質、リンパ球浸潤を有する髄質、乳頭、スキルス、及び管状からなる群から選択される組織型を有する***の乳管癌を含み得る。***の小葉癌は、優性インサイチュ要素を有する浸潤性小葉癌、浸潤性(invasive)小葉癌及び浸潤性(infiltrating)小葉癌を含み得る。乳癌は、パジェット病、管内癌を有するパジェット病、及び浸潤性乳管癌を有するパジェット病を含み得る。乳癌は、組織学的及び超微細構造の不均一性(例えば、混合細胞型)を有する***新生物を含み得る。
治療される乳癌には、家族性乳癌を含み得る。治療される乳癌には、散発性乳癌を含み得る。治療される乳癌は、男性被験体で生じ得る。治療される乳癌は、女性被験体で生じ得る。治療される乳癌は、閉経前の女性被験体又は閉経後の女性被験体に生じ得る。治療される乳癌は、***切除前の女性被験体又は***切除後の女性患者であり得る。
治療される乳癌は、***の局所的な腫瘍を含み得る。治療される乳癌には、陰性のセンチネルリンパ節(SLN)生検と関連する***の腫瘍を含み得る。治療される乳癌は、陽性のセンチネルリンパ節(SLN)生検と関連する***の腫瘍を含み得る。治療される乳癌は、1以上の陽性の腋窩リンパ節と関連する***の腫瘍を含み得るものであり、腋窩リンパ節は任意の適用方法によってステージ分類される。治療される乳癌は、リンパ節転移陰性の状態(例えば、リンパ節陰性)、又はリンパ節陽性の状態(例えば、リンパ節陽性)を有すると分類されている***の腫瘍を含み得る。治療される乳癌は、ホルモン受容体陰性(例えば、エストロゲン受容体陰性)又はホルモン受容体陽性の状態(例えば、エストロゲン受容体陽性)であると分類されている***の腫瘍を含み得る。治療される乳癌は、体内の他の場所に転移した***の腫瘍を含み得る。治療される乳癌は、骨、肺、肝臓、リンパ節、及び脳からなる群から選択された場所に転移したと分類され得る。治療される乳癌は、転移性、局所性、領域性、局所領域性、局所的進行性、遠隔性、多中心性、両側性、同側性、対側性、新規診断性、再発性及び手術不能からなる群から選択される特徴に沿って分類され得る。
本開示の目的で、「放射線照射を含む乳癌の治療」とは、放射線療法、放射線治療又は放射線曝露を含む、乳癌の治療である。「放射線照射を含む乳癌の治療」はまた、他の抗癌剤又は化学療法剤を含む、乳癌の治療であり得る。
本開示の目的で、「放射線照射を含まない乳癌の治療」とは、任意の放射線療法、放射線治療又は放射線曝露を含まない、乳癌治療である。これらの治療は、他の抗癌剤又は化学療法剤を含有することが可能である。
「延長」とは、参照、標準、又はコントロール条件に対して時間の増加を意味する。時間は、0.01%〜10,000%でどこでも、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1,000%、2,000%、3,000%、4,000%、5,000%、6,000%、7,000%、8,000%、9,000%、及び100,00%、増加させてもよい。
放射線療法(例えば、光子放射線療法)で使用される放射線の量は、グレイ(Gy)で測定され、治療される癌のタイプ及び段階に応じて変更される。放射線療法の総用量は、約20〜約80Gyの間とすることができる。固形上皮腫瘍の用量の範囲は、約60〜約80Gyであり得る。リンパ腫への用量は、約20Gy〜約40Gyであり得る。予防(アジュバント)の用量は、約40Gy〜約60Gyであり得る。好ましくは、約45Gy〜約60Gyである。好ましくは、放射線療法は、約1.5Gy〜約2.0Gyの分画(fraction)で投与される。
総用量は、分画化され(時間全体に広がる)、それが、正常細胞に回復する時間を許容し、一方で、腫瘍細胞は一般的に分画の間、修復する効率が低い。分画はまた、1治療中に細胞周期が比較的放射線耐性フェーズにあった腫瘍細胞を、次の分画が与えられる前のサイクルの感受性フェーズへと回すこと(cycle)を可能にする。成人用の一つの分画スケジュールは、1日あたり約1.8〜約2.0Gyで週五日とすることができる。子供用の一つの分画スケジュールは、1日あたり約1.5〜約1.8Gyとすることができる。
加速部分***照射(Accelerated Partial Breast Irradiation)(APBI)は、乳癌を治療するための別の分画スケジュールを使用することである。APBIは、近接照射療法又は外部照射のいずれかを行うことが可能である。APBIは、通常、5日間1日2高用量の画分を含んでおり、全***照射に比べて、単一の小分画が6〜7週間にわたって週5回を照射される。
抗癌剤又は化学療法剤のクラスは、アントラサイクリン系薬剤、アルキル化剤、ヌクレオシド類似体、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣抑制剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート治療剤及び標的生物学的療法剤を含み得る。
特定の抗癌剤又は化学療法剤は、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5-フルオロウラシル又は5-FU)、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、アントラサイクリン、ゲムシタビン、タキサン、パクリタキセル、タンパク結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、イリノテカン、イクサベピロン、テモゾルミド(temozolmide)、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリックス、ブセルリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブ又はベバシズマブ、又はそれらの組合せを含み得、そのような組み合わせは、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシルを含むCMFである。
固有サブタイプ生物学の詳細
ルミナル(Luminal)サブタイプ:乳癌の最も一般的なサブタイプがルミナルサブタイプ、ルミナルA及びルミナルBである。以前の研究は、ルミナルAが、全ての乳癌の約30%〜40%を構成し、ルミナルBが約20%を構成することを示唆しているが、それらは、ホルモン受容体陽性乳癌の90%以上を表す(Nielsen et al.Clin.Cancer Res.,16(21):5222−5232(2009))。これらのサブタイプの遺伝子発現パターンは、***の管腔の上皮構成に類似している。これらの腫瘍は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、及び、LIV1、GATA3、サイクリンD1等のER活性化に関連する遺伝子の高発現、並びに、管腔サイトケラチン8及び18の高発現によって特徴付けられる(Lisa Carey&Charles Perou(2009).“Gene Arrays,Prognosis, and Therapeutic Interventions”.Jay R.Harris et al.(4th ed.),“Diseases of the breast”(pp.458−472).Philadelphia,PA: Lippincott Williams & Wilkins)。
ルミナルA:ルミナルA(LumA)乳癌は、細胞周期の活性化に関連する遺伝子の低発現、及び、ERBB2クラスタを示し、ルミナルBよりも良好な予後が得られる。ルミナルAサブグループは、全てのサブタイプの中で最も良好な予後を有しており、内分泌療法応答性腫瘍に富む。
ルミナルB:ルミナルB(LumB)の乳癌はまた、ER及びER関連遺伝子を発現する。細胞周期の活性化に関連する遺伝子が高発現し、この腫瘍型は、HER2(+)(〜20%)又はHER2(−)であり得る。予後は、(ER発現にもかかわらず)好ましくなく、内分泌療法の応答性は、一般的に、LumAと比較して低い。
HER2富化:HER2富化サブタイプは、一般的にER陰性であり、ERBB2及びGRB7含むERBB2クラスタを高発現する多くの場合にHER2陽性である。細胞周期の活性化に関連する遺伝子は、高発現し、これらの腫瘍は予後不良である。
基底様(Basal−like):基底様サブタイプは、一般的にER陰性であり、ほとんど常に臨床的にHER2陰性であり、基底上皮サイトケラチン(CK)及び上皮成長因子受容体(EGFR)を含む一式の「基底(Basal)」バイオマーカーを発現する。細胞周期の活性化に関連する遺伝子を高発現する。
臨床的変数
本明細書に記載される方法、例えば、PAM50又はNANO46分類モデルは、連続的な再発リスク(ROR)予測を生成するために、臨床的変数(「臨床病理学的変数」ともいう)の情報とさらに組み合わせてもよい。本明細書に記載されるように、臨床及び予後乳癌因子の多くは、当該技術分野において知られており、治療結果及び疾患再発の可能性を予測するために使用される。このような要因としては、例えば、リンパ節転移、腫瘍サイズ、組織学的グレード、エストロゲン及びプロゲステロンホルモン受容体の状態、HER2レベル及び腫瘍倍数性を含む。一実施形態では、再発リスク(ROR)スコアは、乳癌を有する又は疑いがあると診断された被験体に提供される。このスコアは、リンパ節の状態(N)及び腫瘍サイズ(T)の臨床的因子と組み合わせて、上記分類モデル、例えば、PAM50又はNANO46分類モデルを使用する。臨床的変数の評価は、米国がん合同委員会(American Joint Committee on Cancer)(AJCC)の乳癌病期分類の標準化されたシステムに基づいている。このシステムにおいて、原発性腫瘍サイズは、0〜4の縮尺に分類される(T0:原発腫瘍の証拠無し; T1:<2cm; T2:>2cm〜<5cm; T3:>5cm; T4:胸壁又は皮膚に直接拡散する任意のサイズの腫瘍)。リンパ節の状態は、N0〜N3と分類される(N0:局所リンパ節転移無し; N1:移動可能、同側腋窩リンパ節(単数又は複数)への転移; N2:互いに又は他の構造に固定された同側リンパ節(単数又は複数)への移転; N3:胸骨下の同側リンパ節(複数)への移転)。乳癌患者を同定し、疾患のステージ化する方法は周知であり、手動の検査、生検、患者及び/又は家族歴の検討、並びに、マンモグラフィー、磁気共鳴イメージング(MRI)及び陽電子放出断層撮影(PET)等の撮像技術を含んでもよい。
サンプル源
本発明の一実施形態では、乳癌サブタイプは、1以上の被験体サンプルの表1に列挙される固有の遺伝子の発現パターン若しくはプロファイル、及び/又は癌のHER2状態を確認するために実施される蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)解析若しくは免疫組織化学(IHC)の評価を通して評価される。本明細書で使用する用語「被験体」又は「被験体サンプル」は、健康状態及び/又は疾患状態にかかわらず、個体を指す。被験体は、被験体、研究参加者、制御被験体、スクリーニング被験体、又はサンプルが採取され、かつ、開示の文脈で評価される被験体の他の任意のクラス個体であり得る。従って、被験体は、乳癌と診断され得る、1以上の乳癌の兆候又は乳癌の家族歴(遺伝性)若しくは病歴(医療)因子等の病因を提示し得る、乳癌の治療若しくは両方を経験しうる、等である。このように、被験体は、乳癌の治療、癌の検出、癌の分類、治療の有効性の可能性のスクリーニング、及び、治療に応答して局所領域再発を伴わない生存若しくは乳癌特異的生存の予測を必要としている被験体であり得る。また、被験者は、前述の要因又は基準のいずれかに関して、健康であり得る。なお、本明細書で用いられる用語「健康」は、乳癌の状態と比較するものであり、用語「健康」は、任意の絶対的評価又は状態に対応するように定義することができないことが理解される。従って、任意の特定の疾患又は疾患基準に関して健康と定義される個体は、実際に他の1以上の疾患と診断され得る、又は、乳癌以外の1以上の癌を含む任意の他の1以上の疾患基準を示し得る。しかし、健常コントロールは、好ましくは、癌に罹患していない。
本明細書で使用される「その必要性のある被験体」とは、乳癌を有する、又は、乳癌の1以上の症状を呈する被験体、或いは、大集団と比較して乳癌を発症する増加リスクを有する被験体である。好ましくは、その必要がある被験体は乳癌を有する。乳癌は、原発性乳癌、局所進行乳癌又は転移性乳癌であり得る。「被験体」は哺乳動物を含む。哺乳動物は任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、ニワトリ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、羊、豚であり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。被験体は、男性又は女性であり得る。
特定の実施形態では、乳癌固有のサブタイプ又はHER2状態を予測するため(例えば、被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を予測するため、***切除後乳癌治療の効果の可能性をスクリーニングするため、及び、被験体における乳癌治療のため)の方法及びキットは、***組織サンプル又は原発性***腫瘍組織サンプル等の、癌細胞又は組織を含む生体サンプルを採取すること含む。「生体サンプル」とは、固有性遺伝子の発現を検出することができる細胞、組織、又は体液の任意のサンプリングを意図している。当該生体サンプルの例としては、限定されるものではないが、生検及び塗抹標本を含む。本発明において有用な体液としては、血液、リンパ液、尿、唾液、乳頭吸引液、婦人科体液、又は任意の他の身体の分泌物若しくはその派生物(derivative)が含まれる。血液は、全血、血漿、血清、又は血液の任意の派生物を含み得る。いくつかの実施形態では、生体サンプルは、***細胞、特に、***腫瘍組織サンプルなどの生検から由来の***組織を含む。種々の生体サンプルを回収するための方法は、当該技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態において、***組織サンプルは、例えば、穿刺吸引細胞診、コア針生検又は切除生検によって得られる。固定液及び染色溶液は、サンプルを保持するため及び試験を促進するために、細胞又は組織に適用され得る。生体サンプル、特に***組織サンプルは、拡大して表示するためにスライドガラスに移してもよい。一実施形態では、生体サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)***組織サンプル、特に原発性***腫瘍サンプルである。様々な実施形態では、組織サンプルは、病理学者誘導組織コアサンプル(pathologist−guided tissue core sample)から得られる。
発現プロファイリング
様々な態様において、本開示は、被験体の乳癌の分類、予後の判定(prognosticating)、又は監視するための方法を提供する。本実施形態では、固有遺伝子発現の分析から得られたデータは、1以上のパターン認識アルゴリズムを使用して評価される。例えば、米国特許出願公開番号第2011/0145176号明細書及び米国特許出願公開番号第2013/0337444参照。そのような分析方法は、試験データを分類するために使用することができる予測モデルを形成するために使用することができる。例えば、1つの簡便で特に効果的な分類方法は、多変量統計解析モデルを用い、最初に、既知のサブタイプのサンプルから(特に乳癌固有サブタイプ(LumA、LumB、基底様、HER2富化、又は通常用)を有することで知られる被験体から)データ(「モデリングデータ」)を使用してモデル(「予測数学モデル」)を形成し、次いで、サブタイプ従って未知のサンプル(例えば「試験サンプル」)を分類する。パターン認識方法は、例えば、言語学、フィンガープリンティング、化学及び心理学にわたる、多くの異なるタイプの課題を特徴付けるために広く使用される。本明細書に記載の方法の文脈において、パターン認識は、データを分析するためのパラメトリック及びノンパラメトリックの両方の多変量統計の使用であり、従って、サンプルを分類し、観測された測定値の範囲に基づいて、いくつかの従属変数の値を予測する。二つの主なアプローチがある。方法の1つのセットは、「非監視(unsupervised)」と呼ばれるものであり、これらは、単に合理的な方法でデータの複雑さを低減し、また、ヒトの目で解釈可能な表示プロットを生成する。しかし、この種の手法は、予測アルゴリズムを訓練するために使用される最初のサンプル集団とは独立した被験体由来サンプルを分類するために使用することができる臨床アッセイを開発するためには、適していないかもしれない。
他のアプローチは「監視された(supervised)」と呼ばれ、それにより、既知のクラス又は予後を有するサンプルのトレーニングセットが数学的モデルを生成するために使用され、その後、独立した検証データセットで評価される。ここで、固有の遺伝子発現データの「トレーニングセット」は、各サンプルの「サブタイプ」を正確に予測する統計モデルを構築するために使用される。このトレーニングセットは、コンピュータベースモデルの頑健性(robustness)を決定するために、独立したデータ(試験又は検証セットと呼ぶ)を用いて試験される。これらのモデルは、時々「エキスパートシステム」と呼ばれるが、異なる数学的手順の範囲に基づいてもよい。監視された方法は、次元低下を伴うデータセット(例えば、最初のいくつかの主要なコンポーネント)を使用し得るが、一般的には全次元を伴う非低下データを使用し得る。全ての場合において、当該方法は、当該固有の遺伝子発現プロファイルの観点から、各サブタイプを特徴づけ、かつ、分離する多変量境界の定量的記述を可能にする。任意の予測の信頼限界、例えば、適合度上に配置される確率レベルを得ることも可能である。予測モデルの頑健性も、分析から選択されたサンプルを除外することにより、クロスバリデーションを使用して確認することができる。
本明細書に記載(及び米国特許出願公開第2011/0145176号明細書及び米国特許出願公開第2013/0337444号明細書に記載)のPAM50又はNANO46分類モデルは、表1に列挙された固有遺伝子のそれぞれ、50個又は46個を用いた、複数の被験体サンプルの遺伝子発現プロファイルに基づいている。複数のサンプルは、各サブタイプのクラスに属する被験体由来の十分なサンプル数を含む。この文脈における「十分なサンプル」又は「代表的な数」とは、全ての他のグループから各サブタイプを確実に区別することができる分類モデルを構築するのに十分である、各サブタイプに由来するサンプル量を意図している。監視された予測アルゴリズムは、アルゴリズムを「トレーニング」するための客観的に選択されたプロトタイプサンプルのプロフィールに基づいて開発される。サンプルは、国際公開第2007/061876号及び米国特許公開第2009/0299640号明細書に開示された方法に従って、拡張した固有遺伝子セットを使用して選択され、サブタイプ化される。あるいは、サンプルは、乳癌サブタイプを分類するための任意の公知のアッセイに従って、サブタイプ化することができる。サブタイプに従ってトレーニングサンプルを分類した後、重心に基づく予測アルゴリズムは、表1に記載の固有の遺伝子セットの全部又は一部の発現プロファイルに基づく重心を構築するために使用される。
一実施形態では、予測アルゴリズムは、Narashiman and Chu(2002)PNAS 99:6567−6572に記載されているものに関連する最短重心方法(nearest centroid methodology)である。本開示において、本方法は各サブタイプ用に標準化した重心を算出する。当該重心は、当該遺伝子のクラス内の標準偏差で除した各サブタイプ(又は「クラス」)の各遺伝子の平均遺伝子発現である。最短の重心分類は、新規サンプルの遺伝子発現プロファイルを利用し、これらのクラスの各重心とそれを比較する。サブタイプの予測は、5つの各重心に対して各テストケースのスピアマン順位相関を計算すること、及び、最短の重心に基づき、サンプルにサブタイプを割り当てることによって実施される。
固有遺伝子発現の検出
表1に挙げられた固有の遺伝子の発現を検出するための当技術分野で利用可能な任意の方法は、本明細書に包含される。「発現を検出すること」とは、RNA転写物の量若しくは存在、又は固有の遺伝子のその発現産物を決定することを意図している。本開示の固有の遺伝子の発現を検出するための方法、すなわち、遺伝子発現プロファイリングは、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション分析に基づく方法、ポリヌクレオチドのシークエンシングに基づく方法、免疫組織化学的方法、及びプロテオミクスに基づく方法を含む。方法は、一般的に、表1に列挙された固有の遺伝子の発現産物(例えば、mRNA)を検出する。好ましい実施形態では、逆転写PCR(RT−PCR)(Weis et al.,TIG 8:263−64,1992)、等のPCRに基づく方法、及びマイクロアレイ等のアレイに基づく方法(Schena et al.,Science 270:467−70,1995)を使用する。「マイクロアレイ」とは、例えば、基材上のポリヌクレオチドプローブ等のハイブリダイズ可能なアレイ成分の規則配列を意図する。用語「プローブ」は、選択的に、特異的に意図された標的生体分子に結合することができる任意の分子、例えば、ヌクレオチド転写物、固有の遺伝子によってコードされた又は固有の遺伝子に対応するタンパク質、をいう。プローブは、当業者によって合成され、又は適切な生物学的調製物に由来され得る。プローブは、特異的に標識されるように設計されてもよい。プローブとして利用できる分子の例としては、限定されないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体、及び有機分子を含む。
多くの発現検出方法は単離されたRNAを使用する。出発物質は、典型的には、腫瘍又は腫瘍細胞株、及び対応する正常組織若しくは細胞株のそれぞれ等の生体サンプルから単離された全RNAである。RNAの源が原発腫瘍である場合、RNA(例えば、mRNA)は、例えば、凍結された、又は保存されたパラフィン包埋及び固定された(例えば、ホルマリン固定)組織サンプルから抽出することができる(例えば、病理学者誘導組織コアサンプル)。
RNAを抽出する一般的な方法は、当技術分野において周知であり、分子生物学の標準的な教科書に開示されており、Ausubel et al.,ed.,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley&Sons,New York 1987−1999、に含まれる。パラフィン包埋組織からのRNA抽出方法は、例えば、Rupp and Locker,Lab Invest.56:A67,(1987);及び、De Andres et al.Biotechniques 18:42−44,(1995)に開示されている。特に、RNA単離は、製造者の説明書に従い、例えばキアゲン社(バレンシア、CA)等の商業的製造業者の精製キット、バッファーセット及びプロテアーゼを用いて実施され得る。例えば、培養細胞からの全RNAは、キアゲンRNeasyミニカラムを用いて単離することができる。他の市販のRNA単離キットは、マスターピュア(商標)コンプリートDNA及びRNA精製キット(エピセントレ(登録商標)、マディソン、WI)及びパラフィンブロックRNA単離キット(アンビオン(登録商標)、オースティン、TX)を含む。組織サンプルからの全RNAは、例えば、RNAスタット60(テル−テスト、フレンズウッド、TX)を用いて単離することができる。腫瘍から調製したRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離により単離することができる。さらに、多数の組織サンプルは、例えばコムクジンスキ(Chomczynski)のシングルステップRNA単離工程(米国特許第4,843,155号明細書)等の当業者に周知の技術を用いて容易に処理することができる。
単離されたRNAは、限定されるものではないが、PCR分析及びプローブアレイを含むハイブリダイゼーション又は増幅アッセイに用いることができる。RNAレベルの検出のための一つの方法は、単離されたRNAと、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)とを接触させることを含む。核酸プローブは、完全長cDNA、又は、長さが少なくとも7、15、30、60、100、250、又は500ヌクレオチド、かつ、本開示の固有遺伝子に対して、ストリンジェントな条件で十分特異的にハイブリダイズする、cDNAの一部、又は、DNA若しくはRNAの任意の誘導体であり得る。プローブとmRNAのハイブリダイゼーションは、対象の固有の遺伝子が発現されていることを示す。用語「ストリンジェントな条件」は、当技術分野でよく知られている、及び、少なくとも、本明細書に記載されている書籍、刊行物及び特許文書に記載されている。
一実施形態では、例えば、アガロースゲル上で単離されたmRNAを泳動し、ニトロセルロースなどの膜へゲルからmRNAを転写することによって、mRNAを固体面上に固定し、プローブと接触させる。別の実施形態では、プローブは、例えば、アジレント(Agilent)(サンタクララ、CA)遺伝子チップアレイにおいて、固体表面上に固定化し、mRNAをプローブと接触させる。当業者は、本開示の固有の遺伝子の発現レベルの検出に使用するために、公知のmRNA検出方法を容易に適合させることができる。
サンプル中の固有の遺伝子の発現産物のレベルを決定するための別の方法は、例えば、RT−PCR(米国特許第4,683,202号明細書)、リガーゼ連鎖反応(Barany, PNAS USA 88:189−93,(1991))、自己持続配列複製(Guatelli et al.,PNAS USA 87: 1874−78,(1990))、転写増幅システム(Kwoh et al.,PNAS USA 86:1173−77,(1989))、Qベータレプリカーゼ(Lizardi et al.,Bio/Technology 6:1197,(1988))、ローリングサークル複製(米国特許第5,854,033号明細書)、又は任意の他の核酸増幅方法による核酸増幅工程を含み、続いて、当業者に公知の技術を用いて増幅した分子を検出する。当該分子が非常に少数で存在する場合、これらの検出スキームは核酸分子の検出に特に有用である。
本開示の特定の態様では、固有の遺伝子の発現は、定量的RT−PCRによって評価することができる。多数の異なるPCR又は定量的リアルタイムPCR(qPCR)プロトコルは当技術分野で公知であり、かつ、本明細書で例示されており、表1に列挙された固有の遺伝子を検出及び/又は定量するための、現在記載の方法及びキットを用いる使用に直接適用又は適合させることができる。一般的に、PCRにおいて、標的ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、又はオリゴヌクレオチドプライマー対を用いた反応によって増幅される。プライマー(単数又は複数)は、標的核酸の相補的領域にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼは、標的配列を増幅するためにプライマー(単数又は複数)を伸長する。ポリメラーゼベースの核酸増幅産物を提供するのに十分な条件下において、一つのサイズの核酸断片が反応産物を占める(増幅産物である標的ポリヌクレオチド配列)。増幅サイクルは、単一の標的ポリヌクレオチド配列の濃度を増加させるために繰り返される。反応は、一般的にPCRに使用される任意のサーマルサイクラーで行うことができる。しかし、好適には、リアルタイム蛍光測定機能を持つサイクラー、例えば、スマートサイクラー(登録商標)(セファイド社、サニーベール、CA)、ABIプリズム7700(登録商標)(アプライドバイオシステムズ(登録商標)、フォスターシティ、CA)、ロータージーン(商標)(コルベット・リサーチ社、シドニー、オーストラリア)、ライトサイクラー(登録商標)(ロシュ・ダイアグノスティックス社、インディアナポリス、IN)、iサイクラー(登録商標)(バイオラッドラボラトリーズ社、ヘラクレス、CA)及びMX4000(登録商標)(ストラタジーン社、ラ・ホーヤ、CA)である。
本開示の別の実施形態では、マイクロアレイは、発現プロファイリングのために使用される。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性のために、この目的に特に適している。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルを同時測定するための1つの方法を提供する。各アレイは、固体支持体に結合した捕捉プローブの再現可能なパターンを構成する。標識されたRNA又はDNAは、アレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズし、その後、レーザースキャニングによって検出される。アレイ上の各プローブのハイブリダイゼーション強度を決定し、相対的な遺伝子発現レベルを表す定量値に変換される。例えば、米国特許第6,040,138号明細書、米国特許第5,800,992号明細書及び米国特許第6,020,135号明細書、米国特許第6,033,860号明細書、及び米国特許第6,344,316号明細書を参照すること。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のRNAの遺伝子発現プロファイルを決定するために特に有用である。
好ましい実施形態では、nカウンター(登録商標)解析システム(ナノストリングテクノロジーズ社、シアトル、WA)が固有の遺伝子発現を検出するために使用される。nカウンター(登録商標)解析システムの基盤(basis)は、アッセイする各核酸ターゲットに割り当てられた固有のコードである(国際公開第08/124847号、米国特許第8415102号明細書、及びGeiss et al.Nature Biotechnology.2008.26(3):317−325)。コードは、アッセイされる各標的の固有のバーコードを作成する、配列した一連の色彩を有する蛍光スポットを構成する。プローブ対は、各DNA若しくはRNA標的、ビオチン化捕捉プローブ及び蛍光バーコードを運搬するレポータープローブ用に設計される。このシステムはまた、本明細書において、ナノレポーターコードシステムとも呼ばれる。
特異的レポーター及び捕捉プローブは、標的ごとに合成される。レポータープローブは、少なくとも、第1シグナルを構成する光を放出する1以上の標識モノマーが結合している第1標識結合領域と;少なくとも、第1標識結合領域とオーバーラップしておらず、第2シグナルを構成する光を放出する1以上の標識モノマーが結合している第2標識結合領域と;第1標的特異的配列と、を含み得る。好ましくは、各配列特異的レポータープローブは表1の1個以下の遺伝子にハイブリダイズすることが可能な標的特異的配列を含み、任意に、少なくとも3個、又は少なくとも4個の標識結合領域を含み、少なくとも第3シグナル、又は少なくとも第のシグナルをそれぞれ構成する光を放出する1以上の標識モノマーを含む。捕捉プローブは、第2標的特異的配列と;第1アフィニティータグとを含み得る。いくつかの実施形態では、捕捉プローブはまた、1以上の標識結合領域を含み得る。好ましくは、レポータープローブの第1標的特異的配列及び捕捉プローブの第2的特異的配列は、検出する表1の同一遺伝子の異なる領域にハイブリダイズする。レポーター及び捕捉プローブはすべて、単一のハイブリダイゼーション混合物、「プローブライブラリー」にプールされる。好ましくは、プローブライブラリーは、表1の各遺伝子に対するプローブ対(捕捉プローブ及びレポーター)を含む。好ましくは、プローブライブラリーは、上述されるように、NANO46遺伝子のそれぞれに対するプローブ対(捕捉プローブ及びレポーター)を含む。好ましくは、プローブのライブラリーは、例えば、本明細書に記載のハウスキーピング遺伝子及び他の遺伝子、例えば、Her2のそれぞれに対するプローブ対(捕捉プローブ及びレポーター)を含む。
各標的の相対的な量は、単一の多重ハイブリダイゼーション(multiplexed hybridization)反応で測定される。当該方法は、プローブライブラリーと生体サンプルを接触させることを含み、当該ライブラリーは、表1の少なくとも40個の遺伝子のそれぞれに対する、例えば、NANO46又はPAM50遺伝子のそれぞれ、及び/又はハウスキーピング遺伝子及び本明細書中に記載された他の遺伝子に対するプローブ対を含み、その結果、サンプル中のそれぞれの標的の存在がプローブ対−標的複合体を形成する。複合体は、次に精製される。より具体的には、サンプルは、プローブライブラリーと組み合わせて、ハイブリダイゼーションが溶液中で起こる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズした三者複合体(プローブ対及び標的)は、捕捉及びレポータープローブ上に存在するユニバーサル配列に相補的なオリゴヌクレオチドに連結して磁気ビーズを用い、2段階の手順で精製される。当該二段階精製方法は、大過剰の標的特異的プローブがハイブリダイゼーション反応を完了させ、それらが最終的に除去されるとき、従って、サンプル結合及び画像化を妨げない。全てのハイブリダイゼーション後の工程は、改造液体処理ロボット(プレップステーション、ナノストリングテクノロジーズ社)で、ロボットにより処理される。
精製反応物は、プレップステーションのサンプルカートリッジの個々のフローセルに装填され、捕捉プローブを介してストレプトアビジンでコーティングした表面に結合し、電気泳動してレポータープローブを伸長し、固定する。処理後、サンプルカートリッジを完全自動化画像化及びデータ収集デバイス(デジタル・アナライザ、ナノストリングテクノロジーズ社)へ転送する。標的の発現レベルは、各サンプルを撮像し、当該標的のコードが検出された回数をカウントすることにより測定される。各サンプルについて、一般的に600視野(fields−of−view)(FOV)を撮像し(1376×1024ピクセル)、それは、結合表面の約10平方ミリメートルを表す。一般的な画像密度は、視野あたり100〜1200カウントレポーターであり、それは、多重化、サンプル入力の量、及び全体的に豊富な標的の程度に依存する。データは、標的毎、サンプル毎に、カウント数を列挙する単純なスプレッドシート形式で出力される。
当該システムは、ナノレポーターと共に使用され得る。ナノレポーターに関する追加の開示は、国際公開第07/076129号及び国際公開第07/076132号及び米国特許公開第2010/0015607号明細書及び米国特許公開第2010/0261026号明細書に見出すことが出来る。さらに、用語核酸プローブ及びナノレポーターは国際公開第2010/019826号及び米国特許公開第2010/0047924号明細書に記載されるように、合理的に設計されたもの(例えば、合成配列)を含み得る。
データ処理
例えば、欠落データ、変換(translation)、縮尺化、正規化、及び重み付けを行い、遺伝子発現データを前処理することがしばしば有用である。このような主成分分析(principal component analysis)(PCA)及び部分最小二乗分析(partial leaset squares analysis)(PLS)などの多変量射影方法は、いわゆる縮尺感受性(sensitive)な方法である。試験したデータの種類についての事前の知識や経験を使用して、多変量モデルする前のデータの品質は、縮尺化及び/又は重み付けすることによって増幅させられ得る。適切な縮尺化及び/又は重み付けは、データに隠された重要で興味深い変動を明らかし、従って、その後の多変量モデリングをより効率的に行うことができる。縮尺化及び重み付けは、研究システムの知識及び経験に基づいて、適切なメトリックにデータを配置するために使用されてもよく、従って、データで既に固有に存在するパターンを明らかにする。
可能な場合、欠落したデータ、例えば、列の値のギャップは避けるべきである。しかし、必要に応じて、このような欠落したデータは、置換又は「充填され」てもよく、例えば、列の平均値(「平均充填」);ランダム値(「ランダム充填」);又は主成分分析に基づく値(「主成分フィル」)で充填される。
記述座標軸の「変換」は、有用であり得る。そのような変換の例としては、正規化及び平均センタリングを含む。「正規化」は、サンプル間の変動を除去するために使用されてもよい。マイクロアレイデータについて、正規化工程は、2つの標識色素の蛍光強度のバランスをとることによって系統誤差を除去することを目的とする。色素バイアスは色素ラベリング効率、熱及び光感度、並びに、2つのチャネルをスキャンするためのスキャナ設定の違いを含む様々な原因に由来し得る。正規化係数を算出するためのいくつかの一般的に使用される方法は;(i)アレイ上の全ての遺伝子を使用するグローバル正規化;(ii)恒常的に発現するハウスキーピング/不変遺伝子を使用するハウスキーピング遺伝子の正規化;及び(iii)ハイブリダイゼーション中に追加された既知の量の外因性コントロール遺伝子を使用した内部コントロールの正規化、を含む(Quackenbush,Nat.Genet.32(Suppl.),496−501(2002))。一実施形態では、本明細書に開示された固有の遺伝子は、コントロールのハウスキーピング遺伝子を正規化することができる。例えば、米国特許公開第2008/0032293号に記載のハウスキーピング遺伝子を正規化のために使用することができる。代表的なハウスキーピング遺伝子はMRPL19、PSMC4、SF3A1、PUMl、ACTB、GAPD、GUSB、RPLPO、及びTFRCが含まれる。本明細書に開示される方法は、任意の特定のハウスキーピング遺伝子に対して正規化すること拘束されず、当技術分野で公知の任意の適切なハウスキーピング遺伝子(単数又は複数)を使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。
多くの正規化アプローチが可能であり、それらは多くの場合、分析におけるいくつかの任意な点で適用することが可能である。一実施形態では、マイクロアレイデータは、正規化関数を平滑化するグローバル局所加重散布であるLOWESS法を用いて正規化される。別の実施形態では、qPCRデータは複数のハウスキーピング遺伝子セットの幾何平均へ正規化される。
「平均センタリング」も解釈を単純化するために使用されてもよい。通常、各記述子(descriptor)に対し、全サンプルのその記述子の平均値が減算される。このように、記述子の平均が原点と一致し、全ての記述子がゼロにおいて「中心」となる。「単位分散縮尺化」において、データが、等しい分散に縮尺され得る。通常、各記述子の値は、1/標準で縮尺化され、ここで、標準偏差は全てのサンプルについてその記述子の標準偏差である。「パレート縮尺(Pareto scaling)」は、ある意味で、平均センタリングと単位分散縮尺化との中間である。パレート縮尺においては、各記述子の値は、1/sqrt(標準偏差)で縮尺され、標準偏差は、全サンプルについてその記述子の標準偏差である。このように、各記述子は、その初期の標準偏差と数値的に等しい分散を有する。パレート縮尺は、例えば、生データ又は平均中心化データにおいて実施され得る。
「対数縮尺」は、データが正の傾き(skew)を有する場合、及び/又はデータが大きい範囲、例えば、規模(magnitude)が数桁に及ぶ場合、解釈を支援するために使用されてもよい。通常、各記述子に対し、値はその値の対数で置換される。「同じ範囲の縮尺」において、各記述子は、全サンプルの記述子の範囲で除算される。このようにして、全ての記述子は、同じ範囲、つまり、1を有している。しかし、この方法は、外れ値のポイントの存在に敏感である。「自動縮尺」において、各データベクトルは、中心化した平均及び縮尺化した単位分散である。各記述子は、その後等しく重み付けされ、大小の値が同等に強調されて扱われるため、この技術は非常に有用である。これは、レベルが非常に低く発現するが、依然として検出することができる遺伝子に対して重要であり得る。
一実施形態では、データは、1以上の試験サンプル用に収集し、本明細書に記載される、例えば、PAM50又はNANO46分類モデルのように、表1の少なくとも40個の遺伝子を用いて分類される。複数の分析からデータを比較する場合(例えば、独立した研究で収集され、分析されたサンプルから構築した重心に対して1以上の試験サンプルの発現プロファイルを比較する)、これらのデータセット間でデータを正規化する必要がある。一実施形態では、距離加重判別(Distance Weighted Discrimination)(DWD)が、これらのデータセットを共に結合するために使用される(Benito et al.(2004)Bioinformatics 20(1):105−114)。DWDは、別々のデータセット内に存在する系統的なバイアスを特定し、これらのバイアスを補償するためにグローバルな調整を行うことができる多変量解析ツールであり、本質において、それぞれの個別のデータセットは、データ点の多次元クラウドであり、DWDは2点クラウドを採用し、他方に最適に重なるよう一方を移動する。
本明細書に記載の方法は、実施することが可能である、及び/又は、方法を実行する及び/又結果を記録することができる任意のデバイスを使用して記録した結果を実施することが可能である。使用してもよい装置の例としては、これらに限定されないが、全てのタイプのコンピュータを含む電子計算デバイスを含む。本明細書に記載の方法を実施する及び/又はコンピュータに記録される場合、方法の工程を実行するコンピュータを構成するために使用できるコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを含むことが可能な任意のコンピュータ可読媒体に含まれていてもよい。使用することが可能なコンピュータ可読媒体の例としては、限定されないが、ディスケット、CD−ROM、DVD、ROM、RAM、固定コンピュータ可読媒体、及び他のメモリ若しくはコンピュータ記憶デバイスが含まれる。方法の工程を実行するコンピュータを構成するために、及び/又は、結果を記録するために使用することができるコンピュータプログラムは、電子ネットワークを介して、例えば、インターネット、イントラネット、又は他のネットワークを介して、提供されてもよい。
再発リスクの計算
本明細書で提供されるものは、固有のサブタイプ及び任意の他の臨床的変数の文脈内で乳癌の予後を予測する方法である。予後は、全体的な又は疾患特異的生存、無事象生存、又は特定の処置若しくは治療に応答する予後、を指してもよい。特に、方法は、長期間無疾患生存の可能性を予測するために使用されてもよい。「乳癌患者の生存の可能性を予測すること」は、患者が、根底にある乳癌の結果として死亡するリスクを評価することを意図している。「長期間無病生存」とは、初期の診断又は治療の後、少なくとも5年、又は少なくとも10年以上の期間内に、根底にある乳癌により死亡しない又は再発しないことを意図する。
実施形態では、予後は癌のサブタイプ沿った被験体の分類に基づいて予測される。この分類は、表1に列挙された少なくとも40個の固有の遺伝子を使用する発現プロファイルに基づいている。サブタイプの割り当てを提供することに加えて、表1に列挙された少なくとも40個の固有の遺伝子、例えば、PAM50又はNANO46遺伝子は、全4つのサブタイプに対する試験サンプルの類似性の測定を提供し、それは、疾患状態及び治療の選択肢に関係なく、任意の患者集団において使用することができる再発リスク(ROR)スコアに変換する。固有のサブタイプとRORはまた、例えば、ネオアジュバントタキサン及びアントラサイクリン化学療法で治療を受けた女性において、病理学的に完全に反応する予測値を有する(Rouzier et al.,J Clin Oncol 23:8331−9(2005))。従って、本開示の様々な実施形態において、再発リスク(ROR)モデルは、予後を予測するために使用される。これらのリスクモデルを用いて、被験体は、低、中、及び高再発グループに層別化され得る。RORの算出は、治療の決定を導く及び/又は治療に対する応答を監視するための予後情報を提供することができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、表1に記載されている少なくとも40個の遺伝子、例えば、PAM50又はNANO46に定義された固有のサブタイプの発現プロファイル、及び/又は、他の臨床パラメータによって定義される固有のサブタイプの予後の成績(performance)が、ハザード比(hazard ratio)及びその信頼区間の推定値を提供する生存データの回帰法のコックス比例ハザードモデルを利用して評価される。コックスモデルは、患者の生存と特定の変数との間の関係を探索するための、周知の統計的手法である。この統計的方法は、それらの予後変数(例えば、本明細書中に記載される追加の臨床因子を伴う又は伴わない固有の遺伝子発現プロファイル)として与えられる個体の危険性(すなわち、リスク)を推定すること可能にする。「ハザード比」は、特定の予後変数を示す患者の任意の時点における死亡リスクである。一般的には、Spruance et al.,Antimicrob.Agents&Chemo.48:2787−92(2004)を参照すること。
本明細書に記載の分類モデル、例えば、PAM50又はNANO46分類モデルは、サブタイプ距離(又は相関)を単独で使用し、又は、上記で論じたように臨床的変数と共にサブタイプ距離を使用して、再発リスクを訓練すること(train)ができる。一実施形態では、試験サンプルのリスクスコアは、以下の式(式2)を用いて、単独で固有のサブタイプ距離を用いて計算される。
ここで、変数「基底」、「HER2」、「LumA」、「LumB」及び「正常」は、試験サンプルの発現プロファイルと、国立バイオテクノロジー情報遺伝子発現オムニバスセンター(National Center for Biotechnology Information Gene Expression Omnibus)(GEO)に寄託された、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886を例とする、遺伝子発現データを使用して構築された重心とを比較した場合、各代表の分類の重心までの距離である。
リスクスコアは、以下の式(式3)を用いて、乳癌サブタイプ及び臨床変数腫瘍サイズ(T)及びリンパ節の状態(N)の組み合わせを用いて計算することができる。
ここで、変数「基底」、「HER2」、「LumA」、「LumB」及び「正常」は、上述であり、GEOに寄託された、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886を例とする、遺伝子発現データを使用して構築された重心と、テスト発現プロファイルとを比較した場合である。
さらに別の実施形態では、試験サンプルのリスクスコアは、以下の式(式4)を用いて、単独で固有のサブタイプ距離を用いて計算される。
ここで、変数「基底」、「HER2」、「LumA」及び「LumB」は、上述であり、GEOに寄託された、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886を例とする、遺伝子発現データを使用して構築された重心と、テスト発現プロファイルとが比較される。
さらに別の実施形態では、リスクスコアは、以下の式(式5)を用いて、乳癌サブタイプと臨床変数腫瘍サイズ(T)の組み合わせを用いて計算することもできる。
ここで、変数「基底」、「HER2」、「LumA」及び「LumB」は上述であり、GEOに寄託された、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886を例とする、遺伝子発現データを使用して構築された重心と、テスト発現プロファイルとが比較される。
さらに別の実施形態では、試験サンプルのリスクスコアは、以下の式(式6)を用いて、増殖サイン(「Prolif」)と組み合わせて、固有のサブタイプ距離を用いて計算される。
ここで、変数「基底」、「HER2」、「LumA」、「LumB」及び「Prolif」は上述であり、GEOに寄託された、アクセッション番号GSE2845又はGSE10886を例とする、遺伝子発現データを使用して構築された重心と、テスト発現プロファイルとが比較される。
さらに別の実施形態では、リスクスコアは、上記の表5に関連して記載されたROR−PTを使用し、乳癌サブタイプ、増殖サイン及び臨床変数腫瘍サイズ(T)の組み合わせを使用して計算することができる。
サブタイプの検出
エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2、及びKi67の免疫組織化学(IHC)は、色原体として3,3’−ジアミノベンジジンを用いた標準ストレプトアビジン−ビオチン複合体法で、連続切片上で同時に実行することができる。ER、PR、及びHER2の解釈のために染色することは、以前記載されたように実施され得る(Cheang et al.,Clin Cancer Res.2008;14(5):1368-1376)。しかし、当技術分野で公知の任意の方法を用いることができる。
例えば、98℃にて30分間、ベンタナベンチマーク自動免疫染色装置(ベンタナ(登録商標)、ツーソン、AZ)標準細胞コンディショナー1(CC1、独自のバッファ)プロトコルに続き、Ki67抗体(クローンSP6;サーモサイエンティフィック(商標)、フリーモント、CA)を、32分間、1:200希釈で適用することができる。10mMのクエン酸ナトリウム(pHは6.0)にて8分間のマイクロ波で抗原を回収後、ER抗体(クローンSP1;サーモサイエンティフィック(商標))を1:250希釈で10分間インキュベートして使用することができる。すぐに使用できるPR抗体(クローン1E2;ベンタナ(登録商標))を上記のCC1プロトコルをに続いて使用することができる。HER2染色は、30分間スチーマーで95℃に加熱しながら0.05Mトリス緩衝液(pH10.0)で抗原回復後、1:100希釈のSP3抗体(サーモサイエンティフィック(商標))で実施可能である。HER2蛍光インサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH)アッセイのために、以前記載された(Brown LA,Irving J,Parker R, et al.“Amplification of EMSY, a novel oncogene on 11q13, in high grade ovarian surface epithelial carcinomas”.Gynecol Oncol.2006;100(2):264-270)前処理及びハイブリダイゼーションに改変を加え、製造業社の説明書に従ってPathVysion HER−2 DNAプローブキット(アボット・モレキュラー、アボットパーク、IL)を使用し、LSI(遺伝子座特異的識別子(locus−specific identifier))HER2/nueに対し及びセントロメア17に対するプローブを用いてスライドはハイブリダイズされることができる。次いで、スライドを4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールで対比染色することができる。染色された材料は、ツァイス アキシオプラン(Zeiss Axioplan)落射蛍光顕微鏡上で可視化することができ、シグナルはメタファー画像取得システム(メタシステム社、アルトルスハイム、ドイツ)で分析した。免疫組織化学アッセイからのバイオマーカーの発現は、その後、臨床病理学的特性及び予後を知らず、かつ、他の乳癌コホートで開発されたバイオマーカーの発現レベルの以前確立され、発表された基準を使用する2人の病理学者によってスコア化することができる。
以前記載されたように、免疫染色が腫瘍核の1%以上で観察される場合、腫瘍はER又はPRに陽性であるとみなされる。免疫組織化学的に疑わしい腫瘍を分離するために使用できるカット点(スコア2+)が2以上の蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの増幅率である、ハーセプテスト(商標)(ダコ社、カーピンテリア、CA)基準に従って、免疫染色が3+として採点される場合、腫瘍はHER2陽性とみなされる(Yaziji, et al.,JAMA,291(16):1972−1977(2004))。Ki67は、バックグラウンドレベルを超える陽性免疫染色を有する腫瘍細胞核の割合を、視覚的にスコア付けすることが可能である。
他の方法もまた、HER2+サブタイプを検出するために用いることができる。これらの技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、又は蛍光活性化細胞選別(FACS)分析を含む。
キット
本開示はまた、乳癌固有のサブタイプを分類するため、及び/又は、幾分放射線に応答性の乳癌を識別するための予後情報を提供するために有用なキットを記述する。これらのキットは、レポーター/捕捉プローブ及び/又は表1に列挙された遺伝子に特異的なプライマー、及び/又はハウスキーピング遺伝子、及び/又は本明細書に記載の他の遺伝子のセットを含む。キットは、上記の遺伝子を検出し、乳癌固有のサブタイプを分類し、及び/又は、幾分放射線に対して応答性の乳癌を識別するための予後情報を提供するための説明書をさらに含み得る。キットは、分類された乳癌固有のサブタイプに基づく推奨される治療のための説明書を含んでもよい。キットはまた、HER2+の細胞を分類するために、HER2の検出及び/又は定量化を促進するのに十分な試薬を含んでいてもよい。好ましくは、キットは、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、若しくは全50個の遺伝子に特異的なレポーター/捕捉プローブ及び/又はプライマーのセットを含む。キットは、固定コンピュータ可読媒体をさらに含み得る。
本開示の実施形態では、捕獲プローブは、アレイ上に固定化される。「アレイ」とは、支持体又は基材に結合するペプチド又は核酸プローブを有する固体支持体又は基材(substrate)を意図する。アレイは、典型的には、異なる既知の位置における基材の表面に結合された複数の異なる捕捉プローブを含む。開示のアレイは、固有の遺伝子発現産物に特異的に結合することができる複数の捕捉プローブを有する基材を含む。基材上の捕獲プローブの数は、アレイが意図する目的に応じて変化する。アレイは、低密度アレイ又は高密度アレイであってもよく、4以上、8以上、12以上、16以上、32以上のアドレス(address)を含んでいてもよいが、最低限、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、若しくは少なくとも46個の固有の遺伝子、又は、全50個の固有の遺伝子の捕捉プローブを含む。アレイは、ハウスキーピング遺伝子及び/又は本明細書に記載されている他の遺伝子の捕捉プローブを含んでいてもよい。
機械的な合成法を用いた当該アレイの合成技術は、例えば、米国特許第5,384,261号明細書に記載されている。アレイは、実質的に任意の形状又は多数の表面上に作製されてもよい。アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、光ファイバ等の繊維、ガラス又は任意の他の適切な基材上のプローブ(例えば、核酸結合プローブ)であってもよく、米国特許第5,770,358号明細書、米国特許第5,789,162号明細書、米国特許第5,708,153号明細書、米国特許第6,040,193号明細書及び米国特許第5,800,992号明細書を参照すること。アレイは、デバイスにおける診断又は他の操作を可能にするような方法で包装されてもよい。例えば、米国特許第5,856,174号明細書及び米国特許第5,922,591号明細書を参照すること。
実施形態では、キットは、表1に列挙した固有の遺伝子のそれぞれの検出及び/又は定量するのに十分なオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む。好ましくは、キットは、表1に列挙された少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも46個の固有の遺伝子若しくは全50個の固有の遺伝子の検出及び/又は定量のため、並びに/或いは、ハウスキーピング遺伝子及び/又は本明細書に列挙された他の遺伝子の検出及び/又は定量のために十分なオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む。オリゴヌクレオチドプライマーは、凍結乾燥又は再構成された形態で提供されてもよく、又は、ヌクレオチド配列のセットとして提供されてもよい。特定の実施形態において、プライマーは、マイクロプレート形式で提供されてもよく、ここで、各プライマーセットは、マイクロプレート中でウェル(単数)(又は、複製の場合、複数のウェル)を占める。本明細書で説明するように、マイクロプレートは、さらに、1以上のハウスキーピング遺伝子(例えば、8個)の検出のために十分なプライマーを含んでもよい。キットはさらに、表1に列挙された遺伝子からの発現産物の増幅、並びに/又は、ハウスキーピング遺伝子及び/若しくは本明細書に記載されている他の遺伝子の発現産物の増幅に、十分な試薬及び説明書を含んでもよい。
容易なアクセス、例えば、比較、レビュー、回復、及び/又は改変のために、分子サイン/発現プロファイルは、典型的には、データベースに記録される。最も典型的には、データベースは計算装置によってアクセス可能なリレーショナルデータベースであるが、他のフォーマット、例えば、写真、アナログ若しくはデジタルイメージング読み出し、及びスプレッドシートなどの発現プロファイルの手動でアクセス可能なインデックス付きファイルを使用することができる。最初に記録された発現パターンが、アナログ又はデジタルの状態であるかどうかに関わらず、発現パターン、発現プロファイル(集合的発現パターン)、及び分子サイン(相関発現パターン)は、デジタルで保存され、データベースを介してアクセスされる。一般的に、データベースは編集され(compiled)、ローカル及び/又はリモートでアクセス可能である、中央の施設で維持される。
特定の実施形態において、キットは、HER2の発現レベルを検出するために使用される物質を含む。当該物質は、抗体又は核酸プローブであり得る。当該物質は、FISH、IHC、ELISA、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、又はFACS分析を使用して、HER2を検出するために使用され得る。任意に、キットはまた、検出物質の検出、及びサンプル中のHER2発現の定量を可能にする試薬を含む。
実施例1
背景:ルミナルA(LumA)腫瘍は良好な予後と関連しているが、後の局所領域再発の実質的なリスクを伴う。ここでは、20年以上フォローアップした***切除後ランダム化補助放射線試験から、リンパ節陽性腫瘍を有する閉経前の女性の間において、補助放射線療法の効果を予測するために、研究ベースのPAM50分類によって定義される固有サブタイプの予測値を試験した。
背景:ルミナルA(LumA)腫瘍は良好な予後と関連しているが、後の局所領域再発の実質的なリスクを伴う。ここでは、20年以上フォローアップした***切除後ランダム化補助放射線試験から、リンパ節陽性腫瘍を有する閉経前の女性の間において、補助放射線療法の効果を予測するために、研究ベースのPAM50分類によって定義される固有サブタイプの予測値を試験した。
方法:ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)(n=145)は、ブリティッシュコロンビアトライアルから収集し、遺伝子発現プロファイルは、FFPEサンプルに対してナノスティングnカウンター(登録商標)を用いて実施した。腫瘍は、PAM50分類に基づいてサブタイプ(ルミナルA(LumA)、ルミナルB(LumB)、HER2富化(HER2−E)、基底様(BLBC)及び正常様(Normal−like))に分類した。カプラン−マイヤー分析及びログランク検定を、局所領域再発を伴わない生存(LRFS)及び乳癌特異的生存(BCSS)の差を試験するために使用した。
RNAは、乳癌を有すると診断されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から抽出され得る。病理学者は、試験のために十分な腫瘍組織量を含む組織領域を同定するために、ヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)で染色したスライドを再調査する。組織切片が載った未染色スライドは、隣接する正常組織を除去するために、各スライド上の同定された腫瘍の領域をマクロダイセクションによって処理される。RNAは、その後、腫瘍組織から単離され、DNAがサンプルから除去される。
全RNAを、製造業者のプロトコルに従って、ハイピュアRNAパラフィンキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社、インディアナポリス、IN、カタログ番号03270289001)を用いて抽出した。RNAの収量及び純度は、ナノドロップND−1000分光光度計(ナノドロップテクノロジー社、ロックランド、DE)を用いて評価した。下流の解析に用いたRNAサンプルは、全RNAの初期濃度が>12.5ng/μL、最小総収量250ng、及び、範囲1.7〜2.5の純度のあらかじめ特定した品質基準を満たした。
遺伝子発現は、何百ものmRNA転写物の相対的量のデジタル表示を介して直接、多重測定を実現するナノスティングnカウンター(登録商標)分析システムで測定した。簡単に述べると、表1の50個の標的遺伝子(PAM50)並びに、正規化「ハウスキーピング」遺伝子(例えば、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUMl、ACTB、GAPDH、GUSB、RPLPO、及びTFRC)の発現は、任意の酵素反応を使用することなく、単一のハイブリダイゼーション反応で測定した。PAM50標的並びに外因性ポジティブコントロール及びネガティブコントロールに対する遺伝子特異的プローブ対を用いたnカウンター(登録商標)コードセットで、125〜500ngの全RNA(名目上250ng)に対して溶液中でハイブリダイズした。一晩のハイブリダイゼーション後、サンプルはナノスティングテクノロジー社によって提供された説明書及びキットに従ってナノスティングnカウンター(登録商標)プレップステーション及びとデジタル・アナライザを用いて処理した。各サンプルからのデータは、各反応に含まれるポジティブコントロール及びネガティブコントロール用に将来を見越して定義された品質管理測定基準を使用して修正した。
修正した患者サンプルの固有サブタイプ分類は、PAM50遺伝子発現サインに基づいた。全サンプルの各標的mRNA分子のデジタル量又は「カウント」を含むレポーター・コード・カウント・ファイル(Reporter−code−count file)は、将来を見越して定義され、ロックされた独自のアルゴリズムを使用して、PAM50サブタイプを呼び出すために、ナノスティングテクノロジーズ社へ送信された。サブタイプの割り当ては、臨床パラメータや予後に関する情報へのアクセスがない研究者によって、盲検法で実施された。
結果:本試験では、患者は、アジュバントCMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、及びフルオロウラシル)を摂取し、***切除後放射線療法(RT)有無グループに無作為に割り当てられた。デキストランチャコール生化学アッセイによって定義されたエストロゲン受容体陽性腫瘍を有する患者は、、卵巣摘出術を受けるためにランダムに選択され、そのうちの42名は、この相関科学研究に含まれた。図1Aは、腫瘍サンプルがルミナルAに分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図1Bは、腫瘍サンプルがルミナルAに分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。図2Aは、腫瘍サンプルがルミナルBに分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図2Bは、腫瘍サンプルがルミナルBに分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。図3Aは、腫瘍サンプルがHER富化に分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図3Bは、腫瘍サンプルがHER−2富化に分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。図4Aは、腫瘍サンプルが基底様に分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図4Bは腫瘍サンプルが基底様に分類される被験体に対する、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。
図5は、基底様腫瘍平均発現プロファイル対スピアマン相関に対する10年乳癌特異的生存(BCSS)を示す、サブポピュレーション治療効果パターンプロット(STEPP)を示す。
図6Aは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて低リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図6Bは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて低リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。図7Aは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて中程度/中リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図7Bは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて中程度/中リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。図8Aは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて高リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、局所領域再発を示す。図8Bは、再発リスクスコア(サブタイプ重心ベース)、ROR−Sに基づいて高リスクと分類された被験体の、放射線療法有り又は無しの、乳癌特異的生存(BCSS)を示す。
これらの結果は、基底様サブタイプに分類され、ROR−S高リスクとして分類されている腫瘍サンプルは乳癌特異的生存(BCSS)の改善を証明し、また、ルミナルAとして分類され、ROR−S低リスクに分類される腫瘍サンプルは局所領域再発生存の改善をも証明する。
実施例2
ここでの目的は、ブリティッシュコロンビアトライアルにおいて、アジュバント化学放射線療法又は化学療法単独にランダムに振り分けられた、リンパ節陽性、閉経前乳癌患者の、局所領域再発(LRR)及び乳癌生存(BCSS)に対する、追加ゲノムプロファイル(サブグループ解析に代替する連続測定)の予測値を調査することである。
方法:ブリティッシュコロンビア試験において、318人の患者は、アジュバントシクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル(CMF)を摂取し、***切除後RT有無グループに無作為に割り当てられた。145個のホルマリン固定パラフィン包埋組織から、66個の遺伝子の発現プロファイリングを、ナノスティングnカウンター(登録商標)サブポピュレーション治療効果パターンプロット解析を用いて実施し、絶対差(カプラン・マイヤー)及び相対的有効性(ハザード比)期間(term)に対するLRR及びBCSSイベントの治療効果を調べるために順序(permutation)テストを使用した。各腫瘍について、研究ベースのPAM50増殖スコア、4つの各固有サブタイプに対するスピアマン相関(すなわち、典型的なHER2富化、基底様、ルミナルA及びルミナルBの平均発現プロファイルへの類似性の定量的測定)、再発リスクスコア(ROR)及び13遺伝子VEGF−サインスコア(VEGF−s)は、以前記載されたように算出した(Parker et al,J.Clin.Oncol.,27(8):1160−7(2009); Hu et al,BMC Medicine,7:9 2009)。DNA修復遺伝子(RAD17及びRAD50)及び腫瘍サプレッサーRB1の発現レベルも測定した。
結果:全体的に、RT実施した患者(n=69)は、非RT治療を実施した患者(n=76)よりも、LRRとBCSSに有意に優れて関連付けられた。VEGF−s、RAD17及びRAD50の発現では、有意な治療効果の不均一性は検出されなかった。一方、低RB1発現レベル及び高増幅スコアを有する患者は、RTがそれぞれ割り当てられた場合(表9参照)、より良好なLRR生存を有していた。高ROR−C(すなわち、固有のサブタイプの重心及び腫瘍サイズ)の患者の、特に再発リスクスコアの変化するレベルに対してほとんど不均一であったLRRとBCSSの治療効果のパターン(表9を参照)は、最も予後が悪かったが、アジュバントRTから利益を得ることができる。
結論:RB1、増殖スコア及び再発リスクサインは、本研究にいて、アジュバント放射線療法のLRRとBCSSの利益を予測する。アジュバント放射線療法の予測因子としてのこれらのバイオマーカーの臨床的有用性は、第2の独立した試験において確認が必要である。
Claims (37)
- 乳癌を有する被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を予測する方法であり、以下:
(a)前記被験体から生体サンプルを取得し;及び、
(b)ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために前記生体サンプルをアッセイし、ここで、前記サブタイプは表1に挙げられた少なくとも40個の遺伝子の測定を使用して決定されること、
を含むものであり、
ここで、前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあり、ここで、前記生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性が無い、方法。 - 必要とする被験体において、放射線照射を含む***切除後乳癌治療の有効性の可能性をスクリーニングする方法であり、以下:
(a)前記被験体から生体サンプルを取得し;及び、
(b)ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために前記生体サンプルをアッセイし、ここで、前記サブタイプは表1に挙げられた少なくとも40個の遺伝子の測定を使用して決定されること、を含むものであり、
ここで、前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体において効果がある可能性がより多くあり、ここで、前記生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体において効果がある可能性が無い、方法。 - 必要とする被験体の乳癌を治療する方法であり、以下:
(a)前記被験体から生体サンプルを取得し;
(b)ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために前記生体サンプルをアッセイし、ここで、前記サブタイプは、表1に挙げられた少なくとも40個の遺伝子の測定を使用して決定され;及び、
(c)前記被験体へ乳癌治療を実施することであり、ここで、前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療を前記被験体に実施し、ここで、前記生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含まない乳癌治療を前記被験体に実施し、それによって、前記被験体の乳癌を治療すること、
を含む方法。 - アッセイが、表1に記載された少なくとも40個の遺伝子から、少なくとも以下の24個の遺伝子:FOXA1、MLPH、ESR1、FOXC1、CDC20、ANLN、MAPT、ORC6L、CEP55、MKI67、UBE2C、KNTC2、EXO1、PTTG1、MELK、BIRC5、GPR160、RRM2、SRFP1、NAT1、KIF2C、CXXC5、MIA及びBCL2、の発現レベルを検出すること、を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくともCCNE1、CDC6、CDCA1、CENPF、TYMS及びUBE2Tの発現レベルが、付加的に検出される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、前記生体サンプルの前記遺伝子の前記発現に基づき、遺伝子発現プロファイルを作成することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、前記ルミナルA、ルミナルB、HER濃縮又は基底様サブタイプの表1に挙げられた少なくとも40個の遺伝子の遺伝子発現データから構築された重心と、前記生体サンプルの遺伝子発現プロファイルと、を比較することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、監視アルゴリズムを利用し、かつ、各前記重心に対する前記生体サンプルの遺伝子発現プロファイルの距離を計算すること、を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、最短の重心に基づいて、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプとしての前記生体サンプルを分類することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、HER2の発現レベルを検出することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、表1に挙げられた少なくとも46個の遺伝子の発現レベルを検出することを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、NANO46遺伝子セットの発現レベルを検出することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- アッセイが、表1に挙げられた全50個の遺伝子の発現レベルを検出することを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生体サンプルが、細胞、組織及び体液からなる群から選択され;
ここで、前記組織は、生検から得られ、ここで、前記体液は、血液、リンパ液、尿、唾液、及び乳頭吸引液からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。 - 前記組織が、生検から得られる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記体液が、血液、リンパ液、尿、唾液、及び乳頭吸引液からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生体サンプルが、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)サンプルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生体サンプルが、エストロゲン受容体陽性腫瘍である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記乳癌が、原発性乳癌である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記乳癌が、局所進行性又は転移性乳癌である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するために前記生体サンプルをアッセイすることが、RNA発現プロファイリング、免疫組織化学(IHC)又は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記被験体が、閉経前である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
- 前記被験体が、リンパ節転移陽性乳癌を有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生体サンプルがエストロゲン受容体陽性腫瘍である場合、任意に、前記被験体はさらに卵巣摘出術を受ける、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
- 放射線照射を含む前記乳癌治療が、アントラサイクリン系薬剤、アルキル化剤、ヌクレオシド類似体、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣機能抑制剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート療法剤及び標的生物学的治療剤からなる群から選択される1以上の抗癌薬をさらに含み;
ここで、特異的抗癌剤又は化学療法剤は、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシル又は5−FU)、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、アントラサイクリン、タキサン、パクリタキセル、タンパク結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、イリノテカン、イクサベピロン、テモゾラミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリックス、ブセルリン、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブ及びベバシズマブ、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。 - 前記抗癌剤が、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシル又は5−FU)、メトトレキサート、又はそれらの組み合わせである、請求項25に記載の方法。
- さらに、
表1に挙げられた前記遺伝子中の増殖遺伝子のサブセットの発現に基づいて、増殖スコアを決定し、
前記分類したサブタイプと、増殖スコアと、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1以上の臨床病理学的変数との加重和を使用して、再発リスク(ROR)スコアを計算し、及び、
前記RORスコアに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定し、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存を延長する可能性がより多くある、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあること、を含む、請求項1に記載の方法。 - さらに、
表1に挙げられた前記遺伝子中の増殖遺伝子のサブセットの発現に基づいて、増殖スコアを決定し、
前記分類したサブタイプと、増殖スコアと、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1以上の臨床病理学的変数との加重和を使用して、再発リスク(ROR)スコアを計算し、及び、
前記RORスコアに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定し、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存の延長に効果的である可能性がより多くある、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、乳癌特異的生存の延長に効果的である可能性がより多くあること、を含む、請求項2に記載の方法。 - さらに、
表1に挙げられた前記遺伝子中の増殖遺伝子のサブセットの発現に基づいて、増殖スコアを決定し、
前記分類したサブタイプと、増殖スコアと、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1個又はそれ以上の臨床病理学的変数との加重和を使用して、再発リスク(ROR)スコアを計算し、及び、
前記RORスコアに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定し、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療を、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存を延長するために実施し、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療を、前記被験体の乳癌特異的生存を延長するために実施すること、を含む、請求項3に記載の方法。 - 表1に挙げられた前記遺伝子中の増殖遺伝子のサブセットの発現に基づいて、増殖サインを決定することが、ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及びUBE2Tから選択される各前記遺伝子の発現を決定すること、を含む、請求項27、28又は29のいずれか1項に記載の方法。
- 乳癌を有する被験体において、局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を予測するキットであって、以下:
表1に挙げられた遺伝子の少なくとも40個の検出に十分な試薬と、
表1に挙げられた前記遺伝子の少なくとも40個を測定するための前記試薬を使用して、前記被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプとして分類されるかどうかを決定するためのアッセイを実施するための説明書であり、ここで、前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が前記被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くあり、ここで、前記生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存又は乳癌特異的生存を延長する可能性が無い、説明書と、
を含む、キット。 - 必要とする被験体において、放射線照射を含む***切除後乳癌治療の有効性の可能性をスクリーニングするキットであり、
表1に挙げられた遺伝子の少なくとも40個の検出に十分な試薬と、
表1に挙げられた前記遺伝子の少なくとも40個を測定するための前記試薬を使用し、前記被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するためのアッセイを実施するための説明書であり、ここで、前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が前記被験体において効果がある可能性がより多くあり、ここで、前記生体サンプルがルミナルB又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療が、前記被験体において効果がある可能性が無い、説明書と、
を含む、キット。 - 必要とする被験体における乳癌を治療するキットであり、
表1に挙げられた遺伝子の少なくとも40個の検出に十分な試薬と、
表1に挙げられた前記遺伝子の少なくとも40個を測定するための前記試薬を使用して、前記被験体由来の生体サンプルが、ルミナルA、ルミナルB、HER2富化又は基底様サブタイプに分類されるかどうかを決定するためのアッセイを実施するための説明書と、
前記生体サンプルがルミナルA又は基底様サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含む***切除後乳癌治療を行うための説明書、及び、前記生体サンプルがルミナルB、又はHER2富化サブタイプに分類される場合は、放射線照射を含まない***切除後乳癌治療を行うための説明書と、を含む、キット。 - ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及びUBE2Tから選択される前記増殖遺伝子の検出に十分な試薬と、
前記増殖遺伝子の発現に基づく増殖スコアを決定するためのアッセイを実行するための説明書と、
前記分類したサブタイプ、増殖スコア、及び、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1以上の臨床病理学的変数の加重和を使用して、再発リスクを計算するための説明書と、
前記再発スコアのリスクに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定するための説明書であり、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存を延長する可能性がより多くある、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の乳癌特異的生存を延長する可能性がより多くある、説明書と、
をさらに含む、請求項31に記載のキット。 - ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及びUBE2Tから選択される前記増殖遺伝子の検出のために十分な試薬と、
前記増殖遺伝子の発現に基づく増殖スコアを決定するためのアッセイを実行するための説明書と、
前記分類したサブタイプ、増殖スコア、及び、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1以上の臨床病理学的変数の加重和を使用して、再発リスクを計算するための説明書と、
前記再発スコアのリスクに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定するための説明書であり、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存を延長する効果を有する可能性がより多くある、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の乳癌特異的生存を延長する効果を有する可能性がより多くある、説明書と、をさらに含む、請求項32に記載のキット。 - ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及びUBE2Tから選択される前記増殖遺伝子の検出に十分な試薬と、
前記増殖遺伝子の発現に基づいて、増殖スコアを決定するためのアッセイを実行するための説明書と、
前記分類したサブタイプ、増殖スコア、及び、任意に、腫瘍サイズ、結節状態及び組織学的悪性度からなる群から選択される1以上の臨床病理学的変数の加重和を使用して、再発リスクを計算するための説明書と、
前記再発スコアのリスクに基づいて、前記被験者が、再発低リスク又は高リスクを有するかどうか決定するための説明書であり、ここで、前記被験体が再発低リスクを有する場合、放射線照射を含む治療を、前記被験体の局所領域再発を伴わない生存を延長するために実施し、又は、前記被験体が再発高リスクを有する場合、放射線照射を含む治療が、前記被験体の乳癌特異的生存を延長するために実施する、説明書と、
をさらに含む、請求項33に記載のキット。 - 前記キットが、表1に挙げられた前記遺伝子の少なくとも46個の検出に十分な試薬を提供する、請求項31〜36のいずれか1項に記載のキット。
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