JP2016535012A - 神経変性疾患の治療において使用するためのシクロプロパン化された不飽和脂肪酸のハロゲン化エステル - Google Patents

神経変性疾患の治療において使用するためのシクロプロパン化された不飽和脂肪酸のハロゲン化エステル Download PDF

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Abstract

本開示は、多価不飽和と一価不飽和(monunsaturated)脂肪酸の両方およびそれらの誘導体のハロゲン化エステルを含む、不飽和脂肪酸およびその誘導体のハロゲン化エステルから選択される新規PKC−ε活性化剤について記述している。本開示は、ハロゲン化エステルを使用する治療のための、組成物、キットおよび方法にさらに関する。

Description

本願は、2013年10月18日に出願された米国仮特許出願第61/892,727号、2013年10月29日に出願された同第61/896,735号、2014年1月9日に出願された同第61/925,441号、および2014年1月9日に出願された同第61/925,449号の優先権を主張し、それらの内容は、参照によりここに組み込まれる。
PKCは、タンパク質キナーゼ酵素の最も大きなファミリーの1つであり、多様なアイソフォームから構成される。従来型アイソフォームはα、βI、βII、γを含み、新型アイソフォームはδ、ε、η、θを含み、非典型アイソフォームはξおよびι/λを含む。
PKC酵素は、主として細胞質性であるが、活性化されると膜へ移行する。細胞質において、PKCは、他のキナーゼによってリン酸化されるか、または自己リン酸化する。活性化されるために、一部のPKCアイソフォーム(たとえば、PKC−ε)では、ある分子が、ジアシルグリセロール(「DAG」)結合部位またはホスファチジルセリン(「PS」)結合部位と結合することが必要である。他のものは、二次結合メッセンジャーが全くなくても活性化させることができる。
DAG部位と結合するPKC活性化剤は、ブリオスタチン、ピコログ(picologues)、ホルボールエステル、アプリシアトキシンおよびグニジマクリンを含むがこれらに限定されない。PS部位と結合するPKC活性化剤は、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない。
活性化され、移行すると、PKCは、アンカリングタンパク質RACK1によって膜内に固定される。たとえば、Mochly−Rosenら(1991)Proc Natl Acad Sci USA88、3997〜4000;Nishizuka,Y.(1995)FASEB J9、484〜496;Sklanら(2006)Prog Neurobiol78、117〜134を参照されたい。RACK1は、PKCを、リン酸化のためにその対応する基質に局在させ、それにより、PKCを機能的に活性かつ生理学的に妥当なものにする。
活性化されたPKCは、多様な生物学的経路に関与する。たとえば、PKCは、ELAV mRNA安定化タンパク質およびc−CAMP応答エレメント結合(「CREB」)タンパク質を活性化させる。PKCアイソフォームは、アミロイド前駆体タンパク質(「APP」)プロセシングおよびアミロイド蓄積においても調節的な役割を果たす。たとえば、PKC−αおよびPKC−εは、非アミロイド生成性経路によってAPPプロセシングを調節し、これらの酵素の減少は、A−ベータ合成および蓄積の増大につながり得ることを示唆している。故に、PKC活性化剤は、可溶性A−ベータのレベルを低減させ、可溶性APP−αのレベルを増大させていてもよい。PKC活性化剤は、アミロイド斑および神経原線維のもつれを低減させるまたは排除することができていてもよい。
PKC活性化剤は、種々の疾患および状態の予防および治療に関連するとされてきた。たとえば、PKC活性化剤は、神経変性疾患および状態、神経情動(neuroaffective)疾患および障害、認知機能障害、ならびにニューロンまたはシナプス喪失に関連する疾患および状態の、予防および治療を可能にしていてもよい。実際に、PKC活性化剤は、シナプス形成を誘導することが分かっている。その上、PKC活性化剤は、たとえば、長期記憶を含む記憶および学習における改善に関連するとされてきた。
1つの具体的な例において、PKC活性化剤は、アルツハイマー病(「AD」)の動物モデルにおいて神経保護的活性が実証された。Etcheberrigarayら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、1992、89:7184〜7188を参照されたい。ADは、記憶、認知、論理的思考、判断および情緒的安定性の進行性の低下によって臨床的に特徴付けられる神経変性障害であり、これは、次第に深刻な精神荒廃に、最終的には死亡につながる。
病理学的には、ADは、β−およびγ−セクレターゼによるアミロイド前駆体タンパク質(「APP」)のタンパク質分解的開裂によって生成される4kDaのペプチドであるβ−アミロイド(「Aβ」)が凝集して蓄積することに関連する。ここで開示されている通り、Aβのオリゴマーは最も毒性があるとみなされており、一方、線維状Aβは大部分が不活性である。興味深いことに、単量体のAβは正常な患者において見つかり、その機能は未だ不明である。
PKC活性化剤は、Aβのレベルを低減させ、ADトランスジェニックマウスの生存を延長させることができる。Etcheberrigarayら、1992、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、89:7184〜7188を参照されたい。PKC−εは、Aβ産生を抑制するのに最も有効であることが示された。Zhuら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、2001、285:997〜1006を参照されたい。したがって、アイソフォーム特異的なPKC活性化剤は、潜在的な抗AD薬物として、およびAβ産生に関連する他の状態において、非常に望ましい。
ADにおける最初の一貫した細胞病理学的変化は、シナプスの喪失である。Scheffら、Neurobiol.Aging、2006、27:1372〜1384;およびMarcelloら、Eur.J.Pharmacol.2008、585:109〜118を参照されたい。実際に、シナプス喪失は、AD患者における認知症の程度と密接に相関している脳における唯一の病理学的初見であると思われる。Terryら、Ann.Neurol.、1991、30:572〜580を参照されたい。この目的では、Aβがシナプス喪失に関わっていることを示唆する証拠がある。
PKC活性化剤を使用して、シナプス喪失および/またはAβに関連する他の疾患および状態を治療および予防してもよい。たとえば、樹状突起棘密度の変化は、シナプスの強さを増大させるシナプス構造における学習および記憶に誘導された変化の基礎を形成する。長期記憶は、たとえば、新たな樹状突起棘の成長によって部分的に媒介されて、特定の神経経路を増強する。2つのニューロン間の接続を強化することにより、シナプス後細胞を活性化させるシナプス前細胞の能力は、増進する。シナプス中に放出される神経伝達物質の量の変化、および細胞がそれらの神経伝達物質に対して応答する有効性の変化を含む、幾つかの他の機構も、シナプス構造における学習および記憶に誘導された変化に関わっている(Gaiarsaら、2002)。記憶は、脳内のシナプスの相互接続ネットワークによって生成されるため、そのような変化は、学習および記憶の神経科学的基盤を提供する。
樹状突起棘の数および形態学における異常は、注意欠陥多動性障害、自閉症、精神遅滞および脆弱性X症候群を含む認知障害において観察されてきた。たとえば、統合失調症患者および認知気分障害に罹患している人々の脳は、これらの疾患に関連する脳の領域において樹状突起棘の数の低減を示す。精神遅滞および自閉症において、樹状突起棘の形状はより長く、より未熟であるように思われる。同様に、精神遅滞および自閉症の最も一般的な遺伝型である、脆弱性X症候群において見られる唯一の顕微鏡的な脳の異常は、薄く細長い未熟な樹状突起棘の存在である。
脆弱性X症候群は、X染色体上に見られるFMR1遺伝子における突然変異に由来し、遺伝子が、正常な神経発達に必要とされるタンパク質(脆弱性X精神遅滞タンパク質;FMRP)を発現することができないという結果をもたらす。FMRPは、mRNAから樹状突起への伝達を調節することに関係する、選択的RNA結合タンパク質である。遅延した樹状突起棘成熟は、脆弱性X精神遅滞患者においておよびFmr1ノックアウトマウスにおいて見られ、シナプス発達においてFMRPの機能が必要とされることを示している。Luら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、2008、101(42):15201〜06;およびComeryら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1997、94(10):5401〜4。幾人かの脆弱性X患者についての剖検結果は、未熟な樹状突起棘密度(単位樹状突起長さ当たりの数)が患者試料において高かったことを示し、これらのニューロンへのより多数の興奮性入力を示唆している。Greenoughら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2001、98(13):7101〜7106。これは、脆弱性X症候群における樹状突起棘形成が、使用されていないシナプスを排除し、保持されているシナプスを、より成熟して見える形態の、より短くより完全な棘に変化させるという、正常な成熟パターンをたどることができないことを示唆している。
FMRPは、アルツハイマー病とも関連があるとされてきた。アルツハイマー病およびダウン症候群の老人斑において見られる主要なタンパク質であるベータ−アミロイドは、脆弱性Xのマウスおよび患者において上昇する。最近の研究は、FMRPが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、すなわち、ベータ−アミロイド斑中に開裂されるタンパク質と同じmRNAコーディング領域エレメントと会合し、サイレンシングFMRPが、APPタンパク質発現を促進することを示している。Leeら、Nat Struct Mol Biol.、2010、17(6):732〜9。加えて、シナプス構造および機能に強く影響を及ぼす2つのマイクロRNA(特異的mRNAの翻訳を抑制する短いノンコーディングRNA)は、FMRPと相互作用することが示されている。Edbauerら、Neuron、2010、65(3):373〜84。
別の例として、脳損傷に罹患した人物は、APPおよびそのタンパク質分解産物Aβの合成および発現の増大を示す。たとえば、Zoharら、Neurobiology of Disease、2011、41:329〜337;Robertsら、Lancet、1991、1422〜1423;Gentlemanら(e al.)、NeuroReport、1997、8:1519〜1522;Iwataら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.、2002、61:1056〜1068を参照されたい。動物モデルにおいて、PKC活性化剤ブリオスタチン−1は、外傷性脳損傷に誘導された学習および記憶欠損を防ぐことが示された。Zoharら、Neurobiology of Disease、2011、41:329〜337を参照されたい。故に、PKC活性化剤は、記憶および他の認知機能を増進させることができる可能性がある。
加えて、一部の形態の脳卒中は、Aβ、たとえば脳アミロイド血管症(「CAA」)に関連するAβによって引き起こされる。米国特許出願公開第2010/0022645号を参照されたい。この障害は、ADにおいて見られるものと同じAβ沈着物が、軟髄膜の壁および脳の表面の大脳皮質血管において蓄積する、血管症の形態である。アミロイド沈着は、これらの血管を破損しやすくし、出血性脳卒中のリスクを増大させている。CAAは、一過性虚血発作、くも膜下出血、ダウン症候群、照射後壊死、多発性硬化症、白質脳症、海綿状脳症および拳闘家認知症にも関連する。
PKC−αとPKC−εの両方は、シナプス新生、すなわち、シナプスの形成に重要である。シナプス前の神経線維中に多量のPKC−εがあることは、神経突起伸長、シナプス形成および神経伝達物質放出における役割を示唆している。Shiraiら、FEBS、2008、29:1445〜1453を参照されたい。PKC−αおよびPKC−εを活性化させる非毒性薬物は、非病理学的条件下でシナプス新生(synaptogensis)を促進し、病理学的条件下でシナプス喪失を実際に予防することができる。Nelsonら、Trends Biochem.Sci.、2009、34:136〜145;Hongpaisanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2007、104:19571〜19576;Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2008、105:13620〜13625;Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2009、106:14676〜14680を参照されたい。
たとえば、PKC活性化剤は、脳卒中の動物モデルにおいて、神経保護的活性を実証している。Sunら、Eur.J.Pharmacol.、2005、512:43〜51を参照されたい。幾つかのPKCアイソフォームは、脳卒中後の虚血および再灌流損傷を媒介するのに中心的役割を果たす。実験的脳卒中モデル、マウス遺伝学、ならびに選択的ペプチド阻害剤および活性化剤を用いた研究は、PKC−εが、虚血耐性の誘導に関わっており、損傷を予防し、一方、PKC−δおよびPKC−γが傷害に関係していることを実証した。Takayoshiら、Stroke、2007、38(2):375〜380;およびBrightら、Stroke、2005;36:2781を参照されたい。ブリオスタチン−1による虚血後/低酸素治療は、シナプス新生、神経栄養活性、ならびに空間学習および記憶における、虚血に誘導された欠損を有効に救出した。Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、2008、105(36):13620〜13625を参照されたい。
PKC活性化は、学習および記憶増進において重大な役割を有し、PKC活性化剤は、記憶および学習を増大させることが示されている。Sunら、Eur.J.Pharmacol.2005、512:43〜51;Alkonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、2005、102:16432〜16437を参照されたい。たとえば、ブリオスタチンは、げっ歯類、ウサギおよび無脊椎動物において、学習速度を増大させた。Sunら、Eur.J.Pharmacol.、2005、512:43〜51;Wangら、Behav.Pharmacol.、2008、19:245〜256;およびKuzirianら、Biol.Bull.、2006、210:201〜214を参照されたい。加えて、長期連想記憶のためのブリオスタチンに誘導されたシナプス新生は、PKC活性化によって調節されることが示された。Hongpaisanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2007、104:19571〜19576。
PKC活性化は、多様な他の状態に関連するとされてきた。たとえば、PKC活性化剤は、鬱病の動物モデルにおいて、神経保護的活性を実証している。Sunら、Eur.J.Pharmacol.、2005、512:43〜51を参照されたい。PKC活性化剤は、パーキンソン病、双極性障害および統合失調症、精神遅滞(および関連疾患、たとえば自閉症)の予防および治療にも関連する。
ニーマンピック病(NP)は、脂質蓄積疾患として公知である遺伝性代謝障害の群を指す。脂質(脂肪性材料、たとえばワックス、脂肪酸、油およびコレステロール)およびタンパク質は、通常、より小さな構成要素に解体されて、身体にエネルギーを提供する。ニーマンピック病では、有害な分量の脂質が、たとえば、脾臓、肝臓、肺、骨髄および脳内に蓄積する。症状は、筋肉協調運動の消失、脳変性、眼筋麻痺、学習上の問題、筋緊張の消失、触れられた時の感受性増大、痙直、摂食および嚥下困難、不明瞭な発語、ならびに拡張した肝臓および脾臓を含んでいてもよい。角膜の混濁があってもよく、網膜の中心の周囲に特徴的なチェリーレッドの輪(cherry-red halo)が発生する。
疾患には、関連する4つのタイプがある。最も重度の形態であるタイプAは、早期乳児期において出現する。これは、生後6か月までに、拡張した肝臓および脾臓、リンパ節の腫大、ならびに深刻な脳損傷を特徴とする。このタイプの小児は、18か月を超えて生きることは稀である。タイプBは、拡張した肝臓および脾臓を伴い、これは、通常、9歳ごろから13歳未満の間に出現する。脳は影響を受けない。タイプAおよびBにおいて、スフィンゴミエリナーゼと呼ばれる酵素の不十分な活性が、体内の全細胞中に存在する脂肪性物質であるスフィンゴミエリンの毒性量の蓄積を引き起こす。タイプCおよびDは、若齢期に現れていても、未成年または成人期に発生していてもよい。罹患個体は、脾臓および肝臓の適度な拡張を有するのみであるが、脳損傷は、広範囲に及んでいてもよく、見上げるおよび見下ろすことができないこと、歩行および嚥下困難、ならびに視力および聴力の進行性消失を引き起こしていてもよい。タイプCおよびDは、脳細胞間のコレステロールの輸送が妨げられているという欠陥を特徴とする。タイプDは、通常、ノバスコシア州に祖先を持つ人々において出現する。タイプCおよびDはNPC1またはNPC2タンパク質の消失によって引き起こされる。http://www.ninds.nih.gov/disorders/niemann/niemann.htm.において利用可能なNINDS Niemann−Pick Disease Information Page。
中間体フィラメントビメンチンは、ニーマンピック病の細胞において、Wt細胞と比較して低リン酸化されていること、ならびにこの低リン酸化は、PKC活性の低減、特に、α、εおよびβIIアイソフォームに起因することが報告されている。PKCα、εおよび/またはβII発現の増大は、ニーマンピック病の細胞における可溶性ビメンチンのレベルを増大させ、LDLに由来するコレステロールがエステル化のためにそのリソソームから小胞体へと輸送されることに対する遮断を、改善することができる。Tamariら、PKC Activation in Niemann Pick C1 Cells Restores Subcellular Cholesterol Transport、PLOS ONE、第8巻、第8号(2013)。
PKC活性化剤は、PKCの複数のアイソフォームに対して作用する広域スペクトル活性化剤であってもよいし、ある特定のアイソフォームに対して選択的であってもよい。全タイプのPKC活性化剤が目的のものであるが、異なるアイソフォームは、異なる、および時に逆の機能を果たすことから、特定のPKC活性化剤は、独自の利点を提示し得る。たとえば、PKC−δおよびPKC−θは、カスパーゼアポトーシス経路の構成要素であることから、多くの場合、アポトーシス促進機能を有するものとみなされる。PKC−εは、対照的に、逆の役割を有し、その活性化が増殖および細胞生存を促進し、アポトーシスを阻害する。Nelsonら、Trends in Biochemical Sciences、2009、34(3):136〜145を参照されたい。
PKC−ε活性化剤は、多数の動物モデルにおいて、上記で論じた通り、神経保護的活性を有することが示されており、アルツハイマー病、統合失調症、鬱病および脳卒中を含むがこれらに限定されない、数多くの神経の、疾患、状態または障害に対して有用な治療剤であろう。
多価不飽和脂肪酸(「PUFA」)、たとえばアラキドン酸および2−ヒドロキシ−9−cis−オクタデカン酸(すなわち、ミネルバル(minerval))、ならびに一価不飽和脂肪酸(「MUFA」)は、公知のPKC−ε活性化剤である。PUFAおよびMUFAは、それらが神経系の必須成分であるという点で、興味深い分子である。これらは、膜流動性を増大させ、生物活性が高い生成物を迅速に酸化させ、多様な炎症性およびホルモン効果を生成することが公知であり、迅速に分解され代謝される。加えて、これらは分子量が低く、血液脳関門を横断することができる。さらに、PUFAおよびMUFAは、酸および塩基に対して安定であるため、経口投与で有効な可能性がある。
PUFAおよびMUFAと同様に、PUFAおよびMUFAのある特定の誘導体は、PKC−ε活性化剤であることが示されている。たとえば、シクロプロパン化されたPUFA、たとえばDCPLAメチルエステル(すなわち、リノール酸誘導体)、AA−CP4メチルエステル(すなわち、アラキドン酸誘導体)、DHA−CP6メチルエステル(すなわち、ドコサヘキサエン酸誘導体)およびEPA−CP5メチルエステル(すなわち、エイコサペンタエン酸誘導体)は、PKC−εを選択的に活性化できる可能性がある。Journal of Biological Chemistry、2009、284(50):34514〜34521を参照されたく、米国特許出願公開第2010/0022645号;国際出願公開第WO2013/071281号も参照されたい。
効力は、たとえば、神経学的障害を治療するための薬物の有用性を決定する際における基準の一部である。非常に強力な薬物は、所望の効果が、効力の低い薬物の必要用量と比較して、より低用量で実現され得ることを暗示している。故に、より低用量で投与される非常に強力な薬物は、たとえば、他の標的との非特異的結合およびより高い脳特異性により、より少ない副作用をもたらし得る。しかしながら、多くの公知のPKC−ε活性化剤は、低い特異性および/または低い効力を含む幾つかの欠点に悩まされている。
本開示は、PKC−εに対する高い効力および特異性を保有する新たな化学的実体を対象とする。より具体的には、これらの新たな化学的実体は、不飽和脂肪酸またはその誘導体のハロゲン化エステルである。PKC−εの強力な特異的活性化剤として、ここで開示されているハロゲン化エステルは、神経疾患、状態および障害、たとえばアルツハイマー病および他の神経変性疾患に対する治療剤として使用するのに適している可能性がある。
一側面において、本開示は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体の、ハロゲン化エステルから選択される化合物を含む。さらなる側面において、8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(DCPLA)のハロゲン化エステルが開示される。
別の側面において、本開示は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を含む。さらなる側面において、DCPLAのハロゲン化エステルと、薬学的に許容される担体とを含む組成物が開示される。
また別の側面において、本開示は、1つ以上の疾患、状態および障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含み、疾患、状態および障害が、神経変性疾患または状態、神経情動障害、脳卒中、精神遅滞および脳損傷である、方法を含む。さらなる側面において、1つ以上の疾患、状態および障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量のDCPLAのハロゲン化エステルを投与することを含み、疾患、状態および障害が、神経変性疾患または状態、神経情動障害、脳卒中、精神遅滞および脳損傷である、方法が開示される。
さらなる側面において、本開示は、ここで記述されているハロゲン化エステルを、PKCレベル、従って、神経機能のインビボ撮像のための、陽電子放射断層撮影(PET)剤として使用することを含む。
図1は、DCPLA−EtF3対DCPLAメチルエステルによるPKC−ε活性化を示す。 図2は、DCPLA−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルエステルによるPKC−ε活性化を示す。説明 ここで使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数の参照物を含む。
ここで使用される場合、「タンパク質キナーゼC活性化剤」または「PKC活性化剤」または具体的に「PKC−ε活性化剤」は、タンパク質キナーゼC、または具体的にPKC−εによって触媒される反応の速度を、タンパク質キナーゼC、または具体的にPKC−εに結合することによって増大させる物質を指す。ここで使用される場合、「選択的活性化」は、1つのPKCアイソザイム、たとえばPKC−εを、別のPKCアイソザイムよりも大きく、検出可能な程度まで活性化することを意味する。
ここで使用される場合、用語「脂肪酸」は、炭化水素鎖から構成され遊離酸となる化合物を指す。
脂肪酸は、飽和または不飽和、分枝または非分枝、および天然または合成であってもよい。リノール酸は、脂肪酸の例である(遊離酸形態で以下に示す)。
Figure 2016535012
「不飽和脂肪酸」は、炭化水素鎖中に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する脂肪酸である。それぞれの二重結合は、シスまたはトランス形態であってよい。
「一価不飽和脂肪酸」または「MUFA」は、1つの炭素−炭素二重結合を含有する。オレイン酸は、一価不飽和脂肪酸の例である。「多価不飽和脂肪酸」または「PUFA」は、複数の炭素−炭素二重結合を含有する。リノール酸は、多価不飽和脂肪酸の例である。
ここで使用される場合、用語「シクロプロパン化された」または「CP」は、分子中の少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が、シクロプロパン基で置きかえられた化合物を指す。シクロプロピル基は、シスまたはトランス配置であってよい。別段の指示がない限り、シクロプロピル基はシス配置であることを理解すべきである。
したがって、用語「シクロプロパン化された一価不飽和脂肪酸」または「シクロプロパン化されたMUFA」は、炭素−炭素二重結合がシクロプロピル基によって置きかえられている化合物を指す。シクロプロパン化されたMUFAの例は、8−(2−オクチルシクロプロピル)オクタン酸である(遊離酸形態で以下に示す)。
Figure 2016535012
同様に、用語「シクロプロパン化された多価不飽和脂肪酸」または「シクロプロパン化されたPUFA」は、多価不飽和脂肪酸中の炭素−炭素二重結合の少なくとも1つがシクロプロピル基によって置きかえられている化合物を指す。シクロプロパン化されたPUFAの例は、8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(「DCPLA」)である(遊離酸形態で以下に示す)。
Figure 2016535012
複数の炭素−炭素二重結合を持つ化合物は、多くのシクロプロパン化された形態を有する。たとえば、1つの二重結合のみがシクロプロパン化された多価不飽和化合物は、「CP1形態」と言えるであろう。同様に、「CP6形態」は、6つの二重結合がシクロプロパン化されていることを示す。
たとえば、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)メチルエステルは、6つの炭素−炭素二重結合を有し、故に、1〜6つのシクロプロパン環を有することができる。CP1およびCP6形態を以下に示す。完全にはシクロプロパン化されていない化合物(たとえばDHA−CP1)に関して、シクロプロパン基は、炭素−炭素二重結合のいずれにおいても出現することができる。
Figure 2016535012
不飽和脂肪酸のエステルは、当技術分野において公知の技術に従って調製することができる。たとえば、Journal of Biological Chemistry、2009、284(50):34514〜34521を参照されたい。たとえば、リノール酸は、メタノールおよびピリジン中、SOCl2を使用してエステル化することができる。次いで、その後のエステルを、クロロヨードメタンおよびジエチル亜鉛との改変されたシモンズ・スミス反応を使用して、シクロプロパン化することができる。当業者ならば、ある特定の表現は交換可能であることを理解する。たとえば、「DCPLAのメチルエステル」は「DCPLAメチルエステル」と同じであり、これは、「メチルエステル形態のDCPLA」と同じである。
リノール酸およびそのエステルは、概して市販されている。あるいは、酸およびエステルは、天然源(たとえば、植物油)から単離されてもよく、合成(たとえば、化学反応によって)されてもよい。リノール酸のエステル化は、公知の方法に従って実施することができる。たとえば、リノール酸は、酸の存在下、アルコールでエステル化することができる。
ここで使用される場合、用語「ハロゲン化基」は、少なくとも1つの水素が、ハロゲン、たとえばフッ素、塩素、臭素などで置きかえられた、化学基を意味する。
ここで使用される場合、用語「ハロゲン化エステル」は、少なくとも1つの水素が、ハロゲン、たとえばフッ素、塩素、臭素などで置きかえられた、アルコキシまたはアリールオキシ基を有するエステルを意味する。アルコキシまたはアリールオキシ基は、1を超えるハロゲンを含有していてもよい。たとえば、ハロゲン化エステルは、モノ−フルオロ、ジ−フルオロ、トリ−フルオロ、テトラ−フルオロなどであってもよい。
PUFAは、神経系の必須成分であり、多数の健康上の利益を有する。概して、PUFAは、膜流動性を増大させ、生物活性が高い生成物に迅速に酸化し、多様な炎症性およびホルモン効果を生成し、迅速に分解され代謝される。炎症性効果および迅速な代謝は、おそらく、それらの活性炭素−炭素二重結合の結果である。これらの化合物は、PKCの強力な活性化剤であってもよく、九分通り、PS部位と結合することによるものであってよい。
1つのクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、オメガ3PUFAである。一態様において、オメガ3PUFAは、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ルメレン酸、パリナリン酸およびリノレン酸から選択される。
別のクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、オメガ6PUFAである。一態様において、オメガ6PUFAは、リノール酸、アラキドン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−ガンマ−リノレン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、カレンド酸、ドコサペンタエン酸、ジャカル酸、ピノレン酸、ポドカルピン酸、テトラコサテトラエン酸およびテトラコサペンタエン酸から選択される。
別のクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、オメガ9PUFAである。一態様において、オメガ9PUFA誘導体は、エイコセン酸、ミード酸、エルカ酸およびネルボン酸から選択される。
追加のクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、オメガ5およびオメガ7PUFAである。一態様において、オメガ5およびオメガ7PUFA誘導体は、ルーメン酸、アルファ−エレオステアリン酸(alpha-elostearic acid)、カタルプ酸およびプニカ酸から選択される。
また別のクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸(「MUFA」)である。一態様において、MUFAは、オレイン酸およびエライジン酸から選択される。
さらなるクラスのPKC−ε活性化脂肪酸は、PUFAおよびMUFA誘導体、特にシクロプロパン化された誘導体である。それらの親分子のように、PUFA誘導体は、PS部位と結合することによってPKC−εを活性化させると考えられている。シクロプロパン化された脂肪酸は、低い毒性を呈し、脳に容易に取り込まれ、ここで長い半減期(t1/2)を呈する。二重結合がシクロプロパン環に変換されると、炎症性副産物への酸化および代謝が防止され、PKCをより大きく活性化し得るより剛性のU字形3D構造が生じる。その上、このU字形は、より強いアイソフォーム特異性をもたらす可能性がある。たとえば、シクロプロパン化された脂肪酸は、PKC−εの強力な選択的活性化を呈していてもよい。
シモンズ・スミスシクロプロパン化反応は、二重結合をシクロプロパン基に変換する効率的な手法である。この反応は、カルベノイド中間体を経由して作用し、親分子のシス立体化学を保存する。故に、PKC活性化特性が増大し、一方、他の分子、たとえば生理活性エイコサノイド、トロンボキサンまたはプロスタグランジンへの代謝は防止される。
PUFAおよびMUFA誘導体は、たとえば、上述した脂肪酸のシクロプロパン化された誘導体を含む。一態様において、オメガ3PUFA誘導体は、シクロプロパン化されたドコサヘキサエン酸、シクロプロパン化されたエイコサペンタエン酸、シクロプロパン化されたルメレン酸、シクロプロパン化されたパリナリン酸およびシクロプロパン化されたリノレン酸(以下に示すCP3形態)から選択される。
Figure 2016535012
別の態様において、オメガ6PUFA誘導体は、シクロプロパン化されたリノール酸(「DCPLA」、以下に示すCP2形態)、
Figure 2016535012
シクロプロパン化されたアラキドン酸、シクロプロパン化されたエイコサジエン酸、シクロプロパン化されたジホモ−ガンマ−リノレン酸、シクロプロパン化されたドコサジエン酸、シクロプロパン化されたアドレン酸、シクロプロパン化されたカレンド酸、シクロプロパン化されたドコサペンタエン酸、シクロプロパン化されたジャカル酸、シクロプロパン化されたピノレン酸、シクロプロパン化されたポドカルピン酸、シクロプロパン化されたテトラコサテトラエン酸およびシクロプロパン化されたテトラコサペンタエン酸から選択される。
ベルノル酸は、天然化合物である。しかしながら、これはリノール酸のエポキシル(epoxyl)誘導体であり、したがって、ここで使用される場合、オメガ6PUFA誘導体とみなされる。ベルノル酸に加えて、シクロプロパン化されたベルノル酸(以下に示す)は、オメガ6PUFA誘導体である。
Figure 2016535012
別の態様において、オメガ9PUFA誘導体は、シクロプロパン化されたエイコセン酸、シクロプロパン化されたミード酸、シクロプロパン化されたエルカ酸およびシクロプロパン化されたネルボン酸から選択される。
さらなる態様において、オメガ5およびオメガ7PUFA誘導体は、シクロプロパン化されたルーメン酸、シクロプロパン化されたアルファ−エレオステアリン酸、シクロプロパン化されたカタルプ酸およびシクロプロパン化されたプニカ酸から選択される。
さらなる態様において、MUFA誘導体は、シクロプロパン化されたオレイン酸(以下に示す)
Figure 2016535012
およびシクロプロパン化されたエライジン酸(以下に示す)から選択される。
Figure 2016535012
PKC−ε活性化MUFA誘導体は、エポキシ化化合物、たとえばtrans−9,10−エポキシステアリン酸(以下に示す)を含む。
Figure 2016535012
本開示は、PUFAおよびMUFAのハロゲン化エステル、ならびに、PUFA、MUFAおよび上述したそれらの誘導体のハロゲン化エステルを含むがこれらに限定されない、PUFAおよびMUFA誘導体のハロゲン化エステルを対象とする。本開示は、PUFA、MUFAおよびそれらの誘導体のハロゲン化エステルが、PKC、特にPKC−εを活性化させ得るという発見を含む。ハロゲン化エステルは、ハロゲン化がない場合の対応する酸形態とエステル形態の両方よりも、さらに一層選択的かつ/またはより強力なPKC−ε活性化剤であり得る。
一態様において、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルは、フッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化されているか、またはそれらの組合せであってもよい。ある特定の態様において、ハロゲン化エステルは、フッ素化エステルである。
一態様において、ハロゲン化エステルは、ハロゲン化アルキルエステルから選択される。ハロゲン化アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状、分枝および/または環状であってもよい。アルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよい。アルキル基が不飽和ならば、シクロプロパン化されていてもよい。
ハロゲン化アルキルエステルのアルキル基は、(1)直鎖状、分枝または環状アルキル基中の少なくとも1つの水素を、ハロゲンで置換すること(以下に示す例)によって;(2)直鎖状、分枝または環状アルキル基中の少なくとも1つの水素を、ハロゲンおよび/またはハロゲン化基で置換されている(以下に示す例)官能基、たとえばアリール基で置換することによって;または(3)(1)および(2)の組合せ(以下に示す例)によって、ハロゲン化されていてもよい。
Figure 2016535012
一態様において、直鎖状、分枝または環状アルキル基中の少なくとも1つの水素を任意のハロゲンで置換することの他に、アルキル基を、1つ以上の官能基、たとえばアリール基、ヒドロキシル基、エーテル基および/またはカルボキシル基でさらに置換していてもよい。アリール置換アルキル基の例は、ベンジルである。少なくとも1つの官能基は、たとえば、上記で論じた通りのハロゲンまたはハロゲン化基で、それ自体が置換されていてもよい。ハロゲン化基で置換されているアリール官能基の例は、(トリフルオロメチル)フェニルである(上記の(2)を参照)。
一態様において、ハロゲン化アルキルエステルは、ハロゲン化された、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される。一態様において、ハロゲン化エステルは、フッ素化アルキルエステルである。さらなる態様において、ハロゲン化エステルは、トリフルオロアルキルエステルである。
一態様において、ハロゲン化アルキルエステルは、ハロゲン化直鎖状、分枝または環状アルキルアルコールを使用して調製される。ハロゲン化直鎖状アルコールの例は、2,2,2,−トリフルオロエタノールである。ハロゲン化分枝アルキルアルコールの例は、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールである。ハロゲン化環状アルキルアルコールの例は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロシクロヘキサノールである。別の態様において、ハロゲン化アルキルエステルは、ハロゲン化ベンジルアルコール、たとえば4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコールを使用して調製される。
別の態様において、ハロゲン化エステルは、ハロゲン化アリールエステルから選択される。ハロゲン化アリールエステルのアリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。
ハロゲン化アリールエステルのアリール基は、(1)アリール基中の少なくとも1つの水素を、ハロゲンで置換すること(以下に示す例)によって;(2)アリール基中の少なくとも1つの水素を、ハロゲンおよび/またはハロゲン化基で置換されている(以下に示す例)官能基、たとえばアルキル基で置換することによって;または(3)(1)および(2)の組合せ(以下に示す例)によって、ハロゲン化されていてもよい。
Figure 2016535012
一態様において、アリール基中の少なくとも1つの水素を任意のハロゲンで置換することの他に、アリール基を、1つ以上の官能基、たとえばアルキル基、ヒドロキシル基、エーテル基および/またはカルボキシル基でさらに置換していてもよい。少なくとも1つの官能基は、たとえば、上記で論じた通りのハロゲンまたはハロゲン化基で、それ自体が置換されていてもよい。
一態様において、ハロゲン化エステルは、フッ素化アリールエステルである。
一態様において、ハロゲン化アリールエステルは、ハロゲン化芳香族アルコールを使用して調製される。ハロゲン化芳香族アルコールの例は、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノールである。
特定の態様において、本開示は、8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(「DCPLA」)のハロゲン化エステルを含む(遊離酸形態で以下に示す)。
Figure 2016535012
一態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、フッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化されているか、またはそれらの組合せであってもよい。ある特定の態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、フッ素化エステルである。
一態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、ハロゲン化アルキルエステルである。別の態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、ハロゲン化アリールエステルである。一部の態様において、ハロゲン化アルキルエステルのアルキル基およびハロゲン化アリールエステルのアリール基は、上述した通りに選択される。
一態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、ハロゲン化メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される。一態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、フッ素化アルキルエステルである。さらなる態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、トリフルオロアルキルエステルである。さらなる態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、
Figure 2016535012
から選択される。
本開示は、少なくとも1つのPKC−ε活性化剤を含む組成物も含む。たとえば、本開示は、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を含む。少なくとも1つのハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りのハロゲン化エステルであってもよい。
たとえば、一態様において、PUFAは、リノール酸、アラキドン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−ガンマ−リノレン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、カレンド酸、ドコサペンタエン酸、ジャカル酸、ピノレン酸、ポドカルピン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、ベルノル酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ルメレン酸、パリナリン酸、リノレン酸、エイコセン酸、ミード酸、エルカ酸、ネルボン酸、ルーメン酸、アルファ−エレオステアリン酸、カタルプ酸およびプニカ酸から選択され、MUFAは、シクロプロパン化されていてもよい。
一態様において、MUFAは、オレイン酸およびエライジン酸から選択される。
別の態様において、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体は、ここで記述されている通りの、シクロプロパン化されたPUFAまたはMUFAである。
一態様において、開示されている組成物において使用するためのハロゲン化エステルは、フッ素化エステルである。一態様において、開示されている組成物において使用するためのハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りのハロゲン化アルキルエステルである。別の態様において、ハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りのハロゲン化アリールエステルである。さらなる態様において、ハロゲン化エステルは、フッ素化アルキルエステルである。
特定の態様において、本開示は、DCPLAの少なくとも1つのハロゲン化エステルと、薬学的に許容される担体とを含む組成物を含む。現在開示されている組成物において使用するためのDCPLAのハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りに選択されてもよい。
たとえば、開示されている組成物において使用するためのDCPLAのハロゲン化エステルは、フッ素化エステルであってもよい。一態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りのハロゲン化アルキルエステルである。別の態様において、ハロゲン化エステルは、ここで記述されている通りのハロゲン化アリールエステルである。さらなる態様において、開示されている組成物において使用するためのDCPLAのハロゲン化エステルは、フッ素化アルキルエステルである。さらなる態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、トリフルオロアルキルエステルである。さらなる態様において、DCPLAのハロゲン化エステルは、
Figure 2016535012
から選択される。
ここで記述されている組成物の製剤は、薬理学分野において公知である任意の好適な方法によって調製されていてもよい。概して、そのような調製方法は、活性成分を、担体または1つ以上の他の副成分と会合させ、次いで、必要または望ましいならば、生成物を所望の単回または複数回用量単位に成形するまたは包装することを含む。
ここで提供されている医薬組成物の記述は、ヒトへの処方薬投与に好適な医薬組成物を主に対象とするが、そのような組成物はありとあらゆる動物への投与に概して好適であることが、当業者には理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な、または組成物を種々の動物への投与に好適にするための、医薬組成物の改変は十分に理解されており、通常の知識を有する獣医薬理学者は、そのような改変を、もし行うとしても普通の実験だけで、設計し実施することができる。本開示の医薬組成物の投与が企図されている対象は、ヒトおよび他の霊長類、ならびに他の哺乳動物を含むがこれらに限定されない。
一態様において、ここで開示されている組成物は、投与のために薬学的に許容される担体を用いて製剤化されていてもよい。薬学的に許容される担体は、賦形剤;表面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒および崩壊剤;結合剤;平滑剤;甘味剤;香味剤;着色剤;保存剤;生理学的に分解可能な組成物、たとえばゼラチン;水性ビヒクルおよび溶媒;油性ビヒクルおよび溶媒;懸濁化剤;分散または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;フィラー;乳化剤;酸化防止剤;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;ならびに薬学的に許容されるポリマー性または疎水性材料のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない。本開示の医薬組成物に含まれていてもよい他の追加の成分は、当技術分野において概して公知であり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Genaro編、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1985、およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing Co.2000において記述されていてもよく、いずれも参照によりここに組み込まれる。
一態様において、担体は、水性または親水性担体である。さらなる態様において、担体は、水、生理食塩水またはジメチルスルホキシドであってよい。別の態様において、担体は、疎水性担体である。疎水性担体は、包接錯体、分散液(たとえばミセル、マイクロ乳剤および乳剤)およびリポソームを含む。例示的な疎水性担体は、包接錯体、ミセルおよびリポソームを含む。たとえば、Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Gennaro編、Lippincott:Philadelphia、PA 2003を参照されたく、これは参照によりここに組み込まれる。加えて、他の化合物が、疎水性担体または溶液中のいずれかに、たとえば製剤を安定させるために含まれていてもよい。
ここで開示されている組成物は、経口、非経口、経粘膜、鼻腔内、吸入または経皮経路を含む任意の好適な経路によって投与されてもよい。非経口経路は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、髄腔内および頭蓋内投与を含む。好適な投与経路は、血液脳関門の横断を可能にするように選択されていてよい。たとえば、J.Lipid Res.(2001)第42巻、678〜685頁を参照されたく、これは参照によりここに組み込まれる。
一態様において、ここで開示されている組成物は、経口剤形で製剤化されていてもよい。経口投与では、組成物は、たとえば、担体、たとえば結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(たとえば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(たとえば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いる従来の手段によって調製された、錠剤またはカプセル剤の形態をとっていてもよい。錠剤は、当技術分野において概して公知の方法によってコーティングされていてもよい。
別の態様において、ここでの組成物は、液体調製物に製剤化される。そのような調製物は、たとえば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとっていてもよく、または、水または他の好適なビヒクルを用いて使用前に作製するための乾燥製品として提示されていてもよい。そのような液体調製物は、たとえば、薬学的に許容される担体、たとえば懸濁化剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(たとえば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画植物油);および保存剤(たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸)を用いる従来の手段によって調製されていてもよい。調製物は、適切ならば、緩衝塩、香味、着色および甘味剤を含んでいてもよい。一態様において、液体調製物は、経口投与用である。
本開示の別の態様において、ここでの組成物は、非経口投与、たとえばボーラス注射または持続注入用に製剤化されていてもよい。注射用の製剤は、単位剤形で、たとえば、アンプル内または複数回用量容器内に、添加された保存剤とともに提示されていてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の、懸濁液、溶液、分散液またはエマルションなどの形態をとっていてもよく、製剤化剤、たとえば懸濁化、安定化および/または分散剤を含有していてもよい。
別の態様において、ここでの組成物は、デポー調製物として製剤化されていてもよい。そのような製剤は、移植によって(たとえば、皮下にまたは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与されてもよい。たとえば、組成物は、好適なポリマー性もしくは疎水性材料(たとえば、許容される油中エマルションとして)またはイオン交換樹脂とともに、または難溶性誘導体として、たとえば難溶性塩として、製剤化されていてもよい。
別の態様において、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つは、ベシクル、たとえばミセル、リポソームまたは人工低比重リポタンパク質(LDL)粒子中で送達されてもよい。たとえば、米国特許第7,682,627号を参照されたい。
一態様において、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つ、たとえばDCPLAのハロゲン化エステルの少なくとも1つは、開示されている組成物中に、学習を改善すること、記憶を改善すること、β−アミロイドレベルを低減させること、シナプス喪失またはシナプス損傷に関連する疾患を治療すること、1つ以上の神経変性疾患または状態を治療すること、1つ以上の神経情動障害を治療すること、脳卒中を治療すること、精神遅滞を治療すること、および脳損傷を治療することのうちの1つ以上に有効な量で存在する。
一態様において、神経変性疾患または状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピック(たとえば、ニーマンピックC型)および認知症状態(たとえば、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症)である。一態様において、神経情動障害は、鬱病、双極性障害、統合失調症および心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。
一態様において、ハロゲン化エステルは、ここで開示されている組成物中に、最終組成物の、約0.01%〜約100%、約0.1%〜約90%、約0.1%〜約60%、約0.1%〜約30重量%、または約1%〜約10重量%の範囲の量で存在していてもよい。別の態様において、ハロゲン化エステルは、組成物中に、最終組成物の、約0.01%〜約100%、約0.1%〜約95%、約1%〜約90%、約5%〜約85%、約10%〜約80%、および約25%〜約75重量%の範囲の量で存在していてもよい。
本開示は、ここで記述されている少なくとも1つのハロゲン化エステルの医薬組成物を調製するためおよび/またはそれを対象に投与するために利用されてもよい、キットをさらに含む。
キットは、貯蔵および/または投与のためのデバイスを含んでいてもよい。たとえば、キットは、シリンジ、針、無針注射デバイス、滅菌パッド、綿棒、バイアル、アンプル、カートリッジ、ボトルなどを含んでいてもよい。貯蔵および/または投与デバイスは、たとえば、体積測定を可能にするように目盛りが付けられていてもよい。一態様において、ここで開示されている少なくとも1つのハロゲン化エステルの組成物を貯蔵および/またはその後混合するための、デバイス、シリンジ、アンプル、カートリッジ、ボトルまたは他のそのようなベッセルは、複数のチャンバーを有していてもよいし、有していなくてもよい。
さらなる態様において、キットは、システム内の他の成分と同じまたは別個の、アンプル、バイアル、シリンジ、カートリッジ、ボトルまたは他のそのようなベッセル内に貯蔵された、ここで記述されている少なくとも1つのハロゲン化エステルの医薬組成物を含んでいてもよい。キットは、追加の緩衝剤、針、無針注射デバイス、滅菌パッドまたは綿棒も含んでいてもよい。
キットは、1つ以上の麻酔薬、たとえば局部麻酔薬も含んでいてもよい。一態様において、麻酔薬は、使用準備済みの製剤、たとえば注射用製剤(任意に、1つ以上の予めロードされたシリンジ中)、または局所的に適用されてもよい製剤である。麻酔薬の局所製剤は、パッド、綿棒、ウェットティッシュ、使い捨てナプキン、布、パッチ、包帯、ガーゼ、綿ボール、Q−tip(商標)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、液体、または任意の他の局所的に適用される製剤に適用される、麻酔薬の形態であってもよい。本開示で使用するための麻酔薬は、リドカイン、マルカイン、コカインおよびキシロカインを含んでいてもよいがこれらに限定されない。
キットは、ここで記述されている少なくとも1つのハロゲン化エステルの医薬組成物の使用、および少なくとも1つのハロゲン化エステルの製剤を、混合する、希釈するまたは組み合わせるための手順に関する使用説明書も含有していてもよい。使用説明書は、ここで記述されている少なくとも1つのハロゲン化エステルの製剤を適正に希釈して、混合後ではあるが投与の前に、所望のpHもしくはpH範囲ならびに/または所望の比活性度および/もしくはタンパク質濃度を取得するための、指示書も含有していてもよい。使用説明書は、投薬情報も含有していてもよい。使用説明書は、ここで開示されている通りの、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つの開示されている医薬組成物による治療のための対象を選択するための方法を対象とする材料も含有していてもよい。
本開示は、ここで記述されている通りの、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを使用する治療方法にも関する。たとえば、本開示は、学習を改善するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含む方法を提供する。別の態様において、本開示は、記憶を改善するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含む方法を含む。
別の態様において、本開示は、β−アミロイドレベルを低減させるための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含む方法を提供する。本開示は、シナプス喪失またはシナプス損傷に関連する疾患を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含む方法をさらに含む。
本開示は、1つ以上の疾患、状態および障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含み、疾患、状態および障害が、神経変性疾患または状態、神経情動障害、脳卒中、精神遅滞および脳損傷である、方法をさらに含む。一態様において、神経変性疾患または状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピック(たとえば、ニーマンピックC型)および認知症状態(たとえば、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症)である。一態様において、神経情動障害は、鬱病、双極性障害、統合失調症および心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。神経変性疾患または状態は、たとえば、少なくとも1つの神経毒性化学物質、たとえば重金属への曝露によって引き起こされていてもよい。脳損傷は、外傷性脳損傷または照射によって誘導された脳損傷であってもよい。
別の態様において、本開示は、心臓切開手術の結果としての虚血および/または低酸素症を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含み、投与は手術の前または後である、方法を提供する。
一部の態様において、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つは、ここで記述されている組成物として投与される。ハロゲン化エステルは、従来の方法、たとえば経口、非経口、経粘膜、鼻腔内、吸入または経皮投与によって、投与されていてもよい。非経口投与は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、髄腔内および頭蓋内投与を含む。
さらなる態様において、投与のための用量は、約1mg〜約10g、たとえば約5mg〜約5g、約50mg〜約2g、約100mg〜約1.5g、約150mg〜約1g、または約250mg〜約500mgの、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つ、たとえばDCPLAのハロゲン化エステルを送達するように、好適に調製されていてもよい。
開示されている方法において使用するための、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つは、ここで記述されている通りのハロゲン化エステルであってもよい。
本開示のさらなる側面は、学習を改善するため、記憶を改善するため、β−アミロイドレベルを低減させるため、シナプス喪失またはシナプス損傷に関連する疾患を治療するため、神経変性疾患または状態を治療するため、神経情動障害を治療するため、鬱病を治療するため、脳卒中を治療するため、および脳損傷を治療するための医薬の調製における、PUFA、MUFA、またはそれらの誘導体のエステルの少なくとも1つの使用である。
本開示の別の側面は、ここで記述されている通りのハロゲン化エステルを、PKCレベル、従って、神経機能、たとえば記憶獲得のインビボ撮像のための陽電子放射断層撮影(PET)剤として使用することを含む。たとえば、この側面において、本開示は、ここで記述されている通りのハロゲン化エステル、ならびにそれを使用する組成物および方法を含み、ここで、ハロゲン化エステル中の少なくとも1つのハロゲンは、放射性ハロゲンまたは放射性ハロゲン同位体である。放射性ハロゲン同位体18Fは、たとえば、陽電子の放射により、自発的な原子核の崩壊を受ける。18F同位体は、110分の半減期を有し、PETスキャンにおいて一般に使用される。
故に、対象の脳内のPKCレベルを撮像するための方法であって、対象に、有効量の、ここで記述されている通りの少なくとも1つのハロゲン化エステルを投与することを含み、ここで、ハロゲン化エステル中の少なくとも1つのハロゲンが、少なくとも1つの放射性ハロゲンまたは放射性ハロゲン同位体を含有する、方法が開示される。一態様において、ハロゲン化エステル中の少なくとも1つのハロゲンは、18F同位体である。
対象における神経機能をモニターするための方法であって、対象に、有効量の、ここで記述されている通りの少なくとも1つのハロゲン化エステルを投与することを含み、ここで、ハロゲン化エステル中の少なくとも1つのハロゲンは、少なくとも1つの放射性ハロゲンまたは放射性ハロゲン同位体を含有する、方法も開示される。一態様において、ハロゲン化エステル中の少なくとも1つのハロゲンは、18F同位体である。一態様において、脳機能は、記憶獲得である。
ここで記述されている、化合物、組成物、キットおよび方法を、下記の例によってさらに記述する。
[実施例]
ここで使用されているすべての数字は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されたい。
PUFAおよびMUFAは、一般に市販されており、これらの化合物のシクロプロパン化は、当技術分野において公知である。たとえば、Nelsonら(2009)J Biol Chem 274、34514〜34521を参照されたい。エステルは、当技術分野において公知の通り、たとえば、アルコールおよびカルボン酸のエステル化を経由して調製することができる。酸中で不安定なアルコールでは、酵素を使用してエステル化を実施することができる。
例1
DCPLA−トリフルオロエチルエステル(DCPLA−EtF3)の合成
DCPLA−EtF3は、塩基エステル交換によって調製した。2グラムのDCPLAメチルエステルを、丸底フラスコ中、0.5グラムのKOH、2グラムの分子篩および10mlの2,2,2−トリフルオロエタノールと混合した。混合物を、2時間にわたって還流させ、ヘキサン中10%酢酸エチルを溶媒として使用して、シリカゲルTLCにより生成物の形成を試験した。20mlのヘキサン、1mlの酢酸および10mlの水の添加によって、反応を停止させた。生成物をヘキサン中に抽出し、水で洗浄し、蒸発させた。次いで、ヘキサン中10%酢酸エチルを使用する分取シリカゲルTLCによって、生成物を単離した。
Figure 2016535012
例2
DCPLA−トリフルオロメチルエステル(DCPLA−MeF3)の合成
DCPLAメチルエステル(50μl)を、10mlのリアクティバイアル中、1mlのトリフルオロエタノール、30mgのTBD(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)および0.2gの分子篩と混合した。混合物を、インキュベーター内、70℃で3日にわたって反応させた。次いで、0.2mlの氷酢酸、2mlのクロロホルムおよび5mlの水を添加した。混合物をボルテックスして抽出物とし、遠心分離した。有機相を5mlの水で洗浄し、生成物(49.97mg)を蒸発乾固させた。
Figure 2016535012
例3
1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルDCPLAの合成
DCPLAメチルエステル(30μl)を、10mlのリアクティバイアル中、1mlの1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、30mgのTBD(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)および0.2gの分子篩と混合した。混合物を、インキュベーター内、70℃で3日にわたって反応させた。次いで、0.2mlの氷酢酸、2mlのクロロホルムおよび5mlの水を添加した。混合物をボルテックスして抽出物とし、遠心分離した。有機相を5mlの水で洗浄し、15mlの丸底ポリプロピレン遠心分離管に移した。粗生成物を蒸発乾固させた。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって単離した。シリカゲルの内径15mm×12mmのガラスカラムを、ヘキサンで平衡化した。粗生成物をヘキサンに溶解し、カラムに適用し、これを、30mlのヘキサンで洗浄した。30mlの、ヘキサン中10%酢酸エチルを添加することによって、生成物を溶離した。生成物(14.95mg)を蒸発乾固させた。
Figure 2016535012
例4
DCPLA−EtF3対DCPLAメチルエステルによるPKC−ε活性化
先の研究は、DCPLAメチルエステルが、0.1μMで最大活性化を持つエステル化されていないDCPLAよりも、およそ100倍強力なPKC−ε活性化剤であることを示した。Sen A、Alkon DL、Nelson TJ、J.Biol.Chem.287(19):15947〜58(2012)。DCPLA−EtF3によるPKC−ε活性化は、組換えヒトPKC−εによるガンマ−32P−ATP由来の32P無機リン酸の取り込みを測定することによって、測定した。結果を、DCPLAメチルエステルによるPKC−ε活性化と比較し、図1に示す。図1に示されている通り、DCPLA−EtF3は、0.1〜1nMでピークPKC−ε活性化を有しており、DCPLAメチルエステルよりもおよそ1000倍強力であった。既に公知の最も強力なPKC活性化剤の1つである、ブリオスタチン−1のものとほぼ等しい効力である。加えて、DCPLA−EtF3は、このより高い効力を呈しながら、DCPLAメチルエステルとほぼ同程度の活性化をもたらした。
例5
1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルDCPLAによるPKC−ε活性化
1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルDCPLAによるPKC−ε活性化は、組換えヒトPKC−εによるガンマ−32P−ATP由来の32P無機リン酸の取り込みを測定することによって、測定した。図2に示されている結果は、非変性DCPLAと比較して秀でた効力を示す。活性化は0.01nMで始まり(strated)、DCPLAの低および高親和性結合部位と整合して、二相性であった。

Claims (62)

  1. 多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルから選択される化合物。
  2. 前記多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記多価不飽和脂肪酸が、リノール酸、アラキドン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−ガンマ−リノレン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、カレンド酸、ドコサペンタエン酸、ジャカル酸、ピノレン酸、ポドカルピン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、ベルノル酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ルメレン酸、パリナリン酸、リノレン酸、エイコセン酸、ミード酸、エルカ酸、ネルボン酸、ルーメン酸、アルファ−エレオステアリン酸、カタルプ酸およびプニカ酸から選択される、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記一価不飽和脂肪酸が、オレイン酸およびエライジン酸から選択される、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記多価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項3に記載の化合物。
  6. 前記一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項4に記載の化合物。
  7. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項1に記載の化合物。
  8. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項1に記載の化合物。
  9. 前記ハロゲン化アルキルエステルが、ハロゲン化された、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される、請求項7に記載の化合物。
  10. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化アルキルエステルである、請求項7に記載の化合物。
  11. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化エステルである、請求項1に記載の化合物。
  12. 8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(DCPLA)のハロゲン化エステル。
  13. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項12に記載のハロゲン化エステル。
  14. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項12に記載のハロゲン化エステル。
  15. 前記ハロゲン化アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される、請求項13に記載のハロゲン化エステル。
  16. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化エステルである、請求項12に記載のハロゲン化エステル。
  17. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化アルキルエステルである、請求項13に記載のハロゲン化エステル。
  18. 前記ハロゲン化エステルが、トリフルオロアルキルエステルである、請求項17に記載のハロゲン化エステル。
  19. DCPLAの前記ハロゲン化エステルが、
    Figure 2016535012
    から選択される、請求項18に記載のハロゲン化エステル。
  20. 多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つと、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  21. 前記多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項20に記載の組成物。
  22. 前記多価不飽和脂肪酸が、リノール酸、アラキドン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−ガンマ−リノレン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、カレンド酸、ドコサペンタエン酸、ジャカル酸、ピノレン酸、ポドカルピン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、ベルノル酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ルメレン酸、パリナリン酸、リノレン酸、エイコセン酸、ミード酸、エルカ酸、ネルボン酸、ルーメン酸、アルファ−エレオステアリン酸、カタルプ酸およびプニカ酸から選択される、請求項20に記載の組成物。
  23. 前記一価不飽和脂肪酸が、オレイン酸およびエライジン酸から選択される、請求項20に記載の組成物。
  24. 前記多価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項22に記載の組成物。
  25. 前記一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項23に記載の組成物。
  26. 前記ハロゲン化エステルの少なくとも1つが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項20に記載の組成物。
  27. 前記ハロゲン化エステルの少なくとも1つが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項20に記載の組成物。
  28. 前記ハロゲン化アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される、請求項26に記載の組成物。
  29. 前記ハロゲン化エステルの少なくとも1つが、フッ素化エステルである、請求項20に記載の組成物。
  30. 前記ハロゲン化エステルの少なくとも1つが、フッ素化アルキルエステルである、請求項26に記載の組成物。
  31. 前記ハロゲン化エステルの少なくとも1つが、学習を改善すること、記憶を改善すること、β−アミロイドレベルを低減させること、シナプス喪失またはシナプス損傷に関連する疾患を治療すること、1つ以上の神経変性疾患または状態を治療すること、1つ以上の神経情動障害を治療すること、脳卒中を治療すること、精神遅滞を治療すること、および脳損傷を治療することのうちの1つ以上に有効な量で、前記組成物中に存在する、請求項20に記載の組成物。
  32. 前記神経変性疾患または状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピックC型、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症であり、前記神経情動障害が、鬱病、双極性障害、統合失調症および心的外傷後ストレス障害である、請求項31に記載の組成物。
  33. 8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(DCPLA)のハロゲン化エステルと、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
  34. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項33に記載の組成物。
  35. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項33に記載の組成物。
  36. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化エステルである、請求項33に記載の組成物。
  37. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化アルキルエステルである、請求項34に記載の組成物。
  38. 前記ハロゲン化エステルが、トリフルオロアルキルエステルである、請求項37に記載の組成物。
  39. DCPLAの前記ハロゲン化エステルが、
    Figure 2016535012
    から選択される、請求項38に記載の組成物。
  40. DCPLAの前記ハロゲン化エステルが、前記組成物中に、学習を改善すること、記憶を改善すること、β−アミロイドレベルを低減させること、シナプス喪失またはシナプス損傷に関連する疾患を治療すること、1つ以上の神経変性疾患または状態を治療すること、1つ以上の神経情動障害を治療すること、脳卒中を治療すること、精神遅滞を治療すること、および脳損傷を治療することのうちの1つ以上に有効な量で存在する、請求項33に記載の組成物。
  41. 前記神経変性疾患または状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピックC型、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症であり、前記神経情動障害が、鬱病、双極性障害、統合失調症および心的外傷後ストレス障害である、請求項36に記載の組成物。
  42. 1つ以上の疾患、状態および障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの誘導体のハロゲン化エステルの少なくとも1つを投与することを含み、前記疾患、状態および障害が、神経変性疾患または状態、神経情動障害、脳卒中、精神遅滞および脳損傷である、方法。
  43. 前記神経変性疾患または状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピックC型、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症であり、前記神経情動障害が、鬱病、双極性障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項42に記載の方法。
  45. 前記多価不飽和脂肪酸が、リノール酸、アラキドン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−ガンマ−リノレン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、カレンド酸、ドコサペンタエン酸、ジャカル酸、ピノレン酸、ポドカルピン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、ベルノル酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ルメレン酸、パリナリン酸、リノレン酸、エイコセン酸、ミード酸、エルカ酸、ネルボン酸、ルーメン酸、アルファ−エレオステアリン酸、カタルプ酸およびプニカ酸から選択される、請求項42に記載の方法。
  46. 前記一価不飽和脂肪酸が、オレイン酸およびエライジン酸から選択される、請求項42に記載の方法。
  47. 前記多価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項45に記載の方法。
  48. 前記一価不飽和脂肪酸が、シクロプロパン化されている、請求項46に記載の方法。
  49. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項42に記載の方法。
  50. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項42に記載の方法。
  51. 前記ハロゲン化アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される、請求項49に記載の方法。
  52. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化エステルである、請求項42に記載の方法。
  53. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化アルキルエステルである、請求項49に記載の化合物。
  54. 1つ以上の疾患、状態および障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、有効量の8−[2−(2−ペンチルシクロプロピルメチル)−シクロプロピル]−オクタン酸(DCPLA)のハロゲン化エステルを投与することを含み、前記疾患、状態および障害が、神経変性疾患または状態、神経情動障害、脳卒中、精神遅滞および脳損傷である、方法。
  55. 前記神経変性疾患または状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脆弱性X、ニーマンピックC型、パーキンソン認知症、前頭側頭型認知症および血管性認知症であり、前記神経情動障害が、鬱病、双極性障害、統合失調症および心的外傷後ストレス障害である、請求項54に記載の方法。
  56. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アルキルエステルである、請求項54に記載の方法。
  57. 前記ハロゲン化エステルが、ハロゲン化アリールエステルである、請求項54に記載の方法。
  58. 前記ハロゲン化アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステルおよびベンジルエステルから選択される、請求項56に記載の方法。
  59. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化エステルである、請求項54に記載の方法。
  60. 前記ハロゲン化エステルが、フッ素化アルキルエステルである、請求項56に記載の方法。
  61. 前記ハロゲン化エステルが、トリフルオロアルキルエステルである、請求項60に記載の方法。
  62. DCPLAの前記ハロゲン化エステルが、
    Figure 2016535012
    から選択される、請求項61に記載の方法。
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