JP2016534169A - 酢酸ナトリウム三水和物調合物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、酢酸ナトリウム三水和物や他の成分を含む調合物に関する。また本発明はそのような調合物の製造方法に関する。さらに本発明はそのような調合物を導入した製品に関する。
Description
本発明は、酢酸ナトリウム三水和物(SAT)と他の成分とを含む調合物に関する。また本発明はそのような調合物の製造方法に関する。さらに本発明はそのような調合物を導入した製品に関する。
酢酸ナトリウム三水和物(SAT)は、過冷却状態の液体が結晶を形成する際に熱を放射する相変化物質である。この物質は種々の製品において熱源として使用可能である。
本発明の第1の態様では、酢酸ナトリウム三水和物(SAT)と、運動阻害剤と、溶媒とを含む調合物が提供される。
一部の実施態様では、その調合物の結晶化におけるピーク温度は約40〜60℃である。
一部の実施態様では、その調合物は1以上の安定度試験における機械的力に対して同じSATのみからなる調合物よりも高い安定性を示す。一部の実施態様では、その調合物の結晶化におけるピーク温度は約40〜60℃でもよい。
一部の実施態様では、運動阻害剤は結晶核生成を阻害する働きをする添加剤である。
一部の実施態様では、運動阻害剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、グリセロール、ウレア、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリアクリル酸、ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、プルラン、ポリビニルアルコール、およびポリビニルアセテートから成る群より選ばれる。
一部の実施態様では、運動阻害剤はカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、調合物中の含有量は調合物の約0.01〜1質量%である。
一部の実施態様では、溶媒はエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、1−プロパノール、メタノール、水、およびアセトンから成る群より選ばれる。
一部の実施態様では、溶媒は水を含み、調合物中の含有量はSATの約10〜40質量%である。
一部の実施態様では、溶媒はエチレングリコールを含み、調合物中の含有量は調合物の約1〜5質量%である。
一部の実施態様では、調合物は約70〜90質量%のSATと、約0.01〜0.1質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約5〜20質量%の水と、約3〜9質量%のエチレングリコールとを含む。各含有量は調合物全量基準である。
一部の実施態様では、調合物は約70〜90質量%のSATと、約0.025〜0.1質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約10〜20質量%の水と、約1〜10質量%の酢酸カリウムとを含む。各含有量は調合物全量基準である。
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様による調合物を製造する方法が提供される。ここで、各成分は結合される。
一部の実施態様では、運動阻害剤の水溶液を調製し、他の成分にこれを配合する。
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様による調合物を含む器具が提供される。
一部の実施態様では、調合物は器具の使用において熱を発する熱源である。
一部の実施態様では、器具は加熱可能材料を熱する熱源として調合物が装置内に存在する吸入装置である。一部の実施態様では、加熱可能材料はニコチンを含む。
本発明の実施態様を添付図面を参照し、あくまで例示を目的として説明する。
相変化材料の酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)はハンドウォーマー機器やその類に利用されている。しかし、これら機器は予期しない挙動を示し、運搬中に勝手に始動することも多い。ところが、そのような機器はどういった手法であれ(例えば少しの時間お湯に浸ける)、ユーザーに繰り返し再生されることを意図していることから、ハンドウォーマーまたは再利用型製品中の熱源材料の望ましくない挙動はとりわけ問題のあるものとして扱われていない。けれども、必ずしも全てのタイプの機器が再生可能ではなく、そのような機器にとって相変化材料の意図しない挙動は可能な限り避けるべき事象である。
SATの結晶は約58℃で壊れ、SATはその結晶水に溶け込む。理想条件下では、この溶液は室温まで冷却される。つまり凝固することなく過冷却状態になる。臨界核が形成されると、約264〜289kJ/kgの融解潜熱を放出して、溶液は固体の酢酸ナトリウム三水和物に結晶化する。
一部の実施態様では、SATの調合物は、できるだけ相変化反応の温度を維持しながら室温における調合物の安定性を向上させる添加剤を含む。一部の実施態様では、(i)弱毒性の、(ii)入手容易な、および/または(iii)安価な、添加剤を用いることが望ましい。
一部の実施態様では、そのような調合物は同じSATのみから成る調合物よりも高い安定性を示し、および/または本明細書で説明する1以上の安定度試験における機械的力に対して安定である。この調合物の結晶時ピーク温度は、同じSATのみから成る調合物と比べて約20%以下低く、約15%以下低く、約10%以下低く、約5%以下低く、約2%以下低く、または同等である。
一部の実施態様では、そのような調合物は同じSATのみから成る調合物よりも高い安定性を示し、および/または本明細書で説明する1以上の安定度試験における機械的力に対して安定である。この調合物の結晶時熱出力総量は、同じSATを主成分とする調合物と比べて約20%以下低く、約15%以下低く、約10%以下低く、約5%以下低く、約2%以下低く、または同等である。本明細書で言う熱出力総量とは、調合物が結晶化した結果得られる熱エネルギー総量を意味する。
(安定性)
SATのみを主成分とする調合物は、室温において、消費者製品の梱包工程や物流作業に関連する通常の取り扱いや運搬等においてかかる機械的負荷に対して非常に不安定であることが知られている。
SATのみを主成分とする調合物は、室温において、消費者製品の梱包工程や物流作業に関連する通常の取り扱いや運搬等においてかかる機械的負荷に対して非常に不安定であることが知られている。
上述した通常の機械的負荷をシミュレートするために設定された試験を行うことによって、そのような「通常の」機械的負荷をシミュレートすることができる。ASTM−D4169は輸送コンテナおよびシステムの性能評価試験の標準作業方法を説明する。それは、実際の流通において起こるものの代表というレベルで確立された試験方法を使用し、統一方式に従った輸送ユニットの評価に関するガイドである。試験は同じ容器、与えられた順番で順次実行すべきである。
一部の実施態様では、そのような調合物は同じSATのみから成る調合物よりも高い安定性を示す。本明細書で言う高い安定性とは、過冷却液体状態において同じSATのみを主成分とする調合物よりも安定性が高いことを意味する。特に、過冷却液体状態において安定化した調合物は自発的に結晶化する可能性が低いこと、および/または本明細書で説明する1以上の安定度試験における機械的力を受けて結晶化する可能性が低いことを意味する。
本明細書で説明する1以上の安定度試験における機械的力に晒した結果、試験サンプルのうち結晶化したものが20%以下の場合にその調合物は安定であると本明細書では定義する。一部の実施態様では、15%以下の場合にその調合物は安定であると定義する。一部の実施態様では、10%以下、5%以下、2%以下、または1%以下の場合にその調合物は安定であると定義する。
ここで利用される安定度試験の詳細、すなわち「落下試験」および「環境試験」の詳細を以下に記載する。上述した調合物の安定度は1以上のこれら試験により評価することが好ましい。
(熱出力)
標準的な研究室の機器を使用し、周囲温度(20〜25℃の間)において測定した時、一部の実施態様のSAT調合物は結晶時に約35〜60℃のピーク温度に到達する。一部の実施態様では、結晶時に約40〜60℃、約45〜58℃、約45〜55℃、約50〜55℃のピーク温度に到達する。
標準的な研究室の機器を使用し、周囲温度(20〜25℃の間)において測定した時、一部の実施態様のSAT調合物は結晶時に約35〜60℃のピーク温度に到達する。一部の実施態様では、結晶時に約40〜60℃、約45〜58℃、約45〜55℃、約50〜55℃のピーク温度に到達する。
一部の実施態様では、調合物の結晶時ピーク温度は、同じSATを主成分とする調合物(他の成分を含まないものを除く)と比べて約20%以下低く、約10%以下低く、約5%以下低く、約2%以下低く、または同等である。
一部の実施態様では、結晶時のこれら温度に到達した調合物は安定化する。
一部の実施態様では、サンプル調合物のピーク温度および/または熱出力は、周囲温度(20〜25℃の間)において、標準的な「K型」熱電対を使用し15cm3の遠心チューブ内で10cm3の調合物の結晶を撒き、適切なデータ自動記録装置を使用し熱出力を記録することで測定される。これら測定のための具体的な実験機材は、Sigma-Aldrichから入手可能な遠心チューブ、RSから入手可能なK型熱電対、Omega.co.ukから入手可能なピコロガー(Picologger)データ自動記録装置である。熱出力総量は、熱電対温度センサーではなく熱量計、例えば反応熱量計、を使用して同じ手法で測定してもよい。
一部の実施態様では、調合物の結晶時熱出力総量は、同じSATを主成分とする調合物(他の成分を含まないものを除く)と比べて約20%以下低く、約15%以下低く、約10%以下低く、約5%以下低く、約2%以下低く、または同等である。
加熱可能材料を熱する熱源として吸入装置にSAT調合物を導入する一部の実施態様では、調合物は結晶時に加熱可能材料を約40〜60℃、約45〜55℃、約50〜55℃にまで加熱することができる。一部の実施態様では、加熱可能材料はタバコ、例えば刻みタバコを含む。
(酢酸ナトリウム三水和物)
一部の実施態様では、調合物に使用されるSATの純度は、例えば商品ライン名「BioXtra」でSigma Aldrichが提供しているように、少なくとも99.0%である。一部の実施態様では、調合物に使用されるSATの純度は少なくとも99.5%である。
一部の実施態様では、調合物に使用されるSATの純度は、例えば商品ライン名「BioXtra」でSigma Aldrichが提供しているように、少なくとも99.0%である。一部の実施態様では、調合物に使用されるSATの純度は少なくとも99.5%である。
一部の実施態様では、調合物に含まれるSATは0.1%以下の不溶性の不純物を含有する(不溶性不純物の量は100ppmである)。一部の実施態様では、SATは不溶性不純物を全く含有しない。
(運動阻害剤)
SAT調合物は少なくとも1つの運動阻害剤を含んでもよい。そのような添加剤は、自発的に起こるまたは意図せずして起こる相変化、つまり(シード処理などで)誘発させていない望ましくない相変化の可能性を低減させることを目的として調合物に配合する。意図していない相変化は機械的力によっても起こり得る。どのようにこれら運動阻害剤が機能し得るか特定の理論と結びつけることを望むものではないが、SAT機構の運動を遅らせることでそれらは相変化を阻害すると考えられる。
SAT調合物は少なくとも1つの運動阻害剤を含んでもよい。そのような添加剤は、自発的に起こるまたは意図せずして起こる相変化、つまり(シード処理などで)誘発させていない望ましくない相変化の可能性を低減させることを目的として調合物に配合する。意図していない相変化は機械的力によっても起こり得る。どのようにこれら運動阻害剤が機能し得るか特定の理論と結びつけることを望むものではないが、SAT機構の運動を遅らせることでそれらは相変化を阻害すると考えられる。
一部の実施態様では、運動阻害剤は水溶性でもよい。一部の実施態様では、運動阻害剤はポリマー、例えば多糖類またはこれらの誘導体でもよい。好ましい多糖類として天然または合成ガムが挙げられる。
一部の実施態様では、運動阻害剤は、増ちょう剤、ゲル化剤、乳化剤、安定剤、結合剤として通常機能するまたは説明される添加剤でもよい。
一部の実施態様では、運動阻害剤の含有量は、(運動阻害剤配合前の調合物の粘度と比較して)調合物の粘度を実質的に変化させない範囲である。一部の実施態様では、これは使用する運動阻害剤を十分な量配合するならば液体の粘度を増加させるものであるにも関わらずである。
一部の実施態様では、運動阻害剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ゼラチン、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、グリセロール、ウレア、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリアクリル酸、ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、プルラン、ポリビニルアルコール、およびポリビニルアセテートから成る群より選ばれる。
ある特定の環境下において好ましいと思われる一部の実施態様では、運動阻害剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)である。CMCは、過冷却状態のSATの安定性を向上させながら結晶化の際に観測される熱出力に悪影響を及ぼさない添加剤として知られている。
特定の理論と結びつけることを望むものではないが、CMCが水に晒されるとCMCが各側鎖周囲に水の薄膜を形成して水和していると考えられる。このCMCが水和する機構がSATが溶解する動きを阻害し、核形成速度を遅らせ、臨界核形成および結晶化開始の可能性を下げる。
一部の実施態様では、CMSの平均分子量は約50,000〜150,000の範囲内にあり、あるいは約90,000である。
一部の実施態様では、運動阻害剤は水溶液の形で調合物に配合される。例えば、運動阻害剤がCMCの場合、0.5質量%CMC水溶液を調製し、調合物のSATおよび他の成分に配合することができる。
所望の運動阻害剤の濃度および/または効果が得られるように、CMC等の運動阻害剤の多量の予混合水溶液をSATおよび任意の他の成分を含む調合物に配合してもよい。
運動阻害剤(CMC等)の水溶液由来の水、または溶媒(後述する)として別個に加えられた水はSATを希釈する。特定の理論と結びつけることを望むものではないが、過飽和を減らして無水の酢酸ナトリウム結晶が形成することを阻害し、核が形成される速度を遅らせ臨界核形成の可能性を減らす効果を有すると考えられる。
一部の実施態様では、CMCは調合物中のSATの約0.01〜1質量%配合してもよい。一部の実施態様では、CMCは調合物中のSATの約0.05〜0.2質量%配合してもよい。
一部の実施態様では、CMCは調合物全量基準で約0.01〜0.1質量%配合してもよい。一部の実施態様では、CMCは調合物全量基準で約0.025〜0.1質量%配合してもよい。
(溶媒)
SAT調合物は少なくとも1つの溶媒を含んでもよい。特定の理論と結びつけることを望むものではないが、調合物が融解した後に残存し得る、またはSATの融解点未満の温度で貯蔵されることで生成し得る無水のSAT結晶の溶解を溶媒が増進させる。さらに/あるいは、いくつかの溶媒は水とSAT調合物との間の水素結合を破壊し得、そのため臨界核生成に要するエネルギーが増え、自発的に相変化を起こす恐れが減ると考えられる。
SAT調合物は少なくとも1つの溶媒を含んでもよい。特定の理論と結びつけることを望むものではないが、調合物が融解した後に残存し得る、またはSATの融解点未満の温度で貯蔵されることで生成し得る無水のSAT結晶の溶解を溶媒が増進させる。さらに/あるいは、いくつかの溶媒は水とSAT調合物との間の水素結合を破壊し得、そのため臨界核生成に要するエネルギーが増え、自発的に相変化を起こす恐れが減ると考えられる。
一部の実施態様では、溶媒はエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、1−プロパノール、メタノール、水、およびアセトンから成る群より選ばれる。
一部の実施態様では、溶媒は水を含む。別の実施態様では、溶媒は水ではない。
調合物の安定性に複雑な影響を及ぼすことからSAT調合物に配合する溶媒の量は非常に重要になり得る。
溶媒としてSATの10〜40質量%の水をSATに配合すると過冷却状態における安定度の向上が見られる。しかし、さらに10質量%の水を配合するごとに相変化のピーク温度は約5℃下がる。
水を配合することで過冷却状態のSAT調合物の安定度は向上するが、結晶時のピーク温度が下がることで釣り合っている。結果として、必要に応じて得られるピーク温度を調整することができる。他の成分、例えば運動阻害剤や他の溶媒を調合物に加えることで向上した安定性はさらに向上し得る。
一部の実施態様では、調合物はSATの少なくとも約1質量%の水を含み、少なくとも約5質量%の水を含み、少なくとも約10質量%の水を含む。またSATの約40質量%以下、約25質量%以下、約20質量%以下の水を含む。一部の実施態様では、水の含有量は、SATの約5〜20質量%、約10〜20質量%、または約15質量%である。
一部の実施態様では、調合物は調合物全量基準で少なくとも約1質量%の水を含み、少なくとも約5質量%の水を含み、少なくとも約10質量%の水を含む。また調合物全量基準で約40質量%以下、約25質量%以下、約20質量%以下の水を含む。一部の実施態様では、水の含有量は調合物全量基準で約5〜20質量%、約10〜20質量%、または約12〜18質量%である。
いくつかの溶媒を使用する場合、SAT調合物に加える溶媒の量を増やすと調合物の安定性を向上させる傾向がある。しかし、あるしきい値を超えて溶媒を加えると却って安定性の低下を招く。
一部の実施態様では、溶媒はエチレングリコールである。一部の実施態様では、エチレングリコールの含有量は調合物全量基準で約0.5〜7.5質量%としてもよい。また一部の実施態様では、エチレングリコールの含有量は調合物の約2.5〜4.5質量%、または約3〜4質量%である。
一部の実施態様では、調合物は、SATと、SATの質量の約10〜20質量%の0.1〜1質量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液と、SATおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の合計質量の約1〜5質量%のエチレングリコールとを含む。
一部の実施態様では、調合物は、調合物全量基準で、約70〜90質量%のSATと、約0.01〜0.1質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約5〜10質量%の水、約3〜9質量%のエチレングリコールとを含む。
一部の実施態様では、これら調合物は約90,000の分子量のCMCを含む。これら量の運動阻害剤および溶媒を配合することで、安定性が向上し、約40〜60℃または約45〜55℃の範囲内での結晶化ピーク温度を有するSAT調合物が得られる。
(酢酸カリウム)
一部の実施態様では、調合物にナトリウムカチオンより大きなカチオンを含ませてもよい。一部の実施態様では、調合物にカリウムカチオンを含ませてもよい。一部の実施態様では、調合物に酢酸カリウムなどのカリウムカチオン源を含ませてもよい。
一部の実施態様では、調合物にナトリウムカチオンより大きなカチオンを含ませてもよい。一部の実施態様では、調合物にカリウムカチオンを含ませてもよい。一部の実施態様では、調合物に酢酸カリウムなどのカリウムカチオン源を含ませてもよい。
特定の理論と結びつけることを望むものではないが、酢酸カリウムなどの大きなカチオン源はSAT内部のナトリウムと似た性質を有する大きなカチオンを溶液に加えるものと考えられる。これにより2つの効果が発生する。i)結晶構造を形成する際に、カリウムなどの大きなカチオンがナトリウムカチオンと競合する。ii)カリウムなどの大きなカチオンのサイズの関係でSAT結晶構造の形成開始が邪魔される。これらの効果により、相変化の可能性が減少し、SAT調合物の安定性は上昇する。特定の理論と結びつけることを望むものではないが、この大きなカチオンが原因で一度始まった結晶化の進行が遅滞し、場合によっては停止して調合物の安定性が向上するものと考えられる。
SATに対して10〜15モル%の比率でSAT調合物に酢酸カリウムを配合すると調合物が安定化する。一部の実施態様では、調合物はSATの8〜25モル%の酢酸カリウムを含む。
一部の実施態様では、酢酸カリウムを含むSAT調合物はエチレングリコールを含まない。一部の実施態様では、酢酸カリウムを含むSAT調合物は最大15%の水を含む。
一部の実施態様では、調合物はSATと、水と、CMCと、酢酸カリウムとを含む。一部の実施態様では、調合物はSATの質量の約5〜20%の水と、SATの質量の約0.01〜1%のCMCと、SATおよびCMCの合計質量の約5〜25%の酢酸カリウムとを含む。
一部の実施態様では、調合物は調合物全量基準で約70〜90質量%のSATと、約0.05〜0.15質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約10〜20質量%の水と、約1〜6質量%の酢酸カリウムとを含む。
一部の実施態様では、これら調合物は約90,000の分子量のCMCを含む。これら量の運動阻害剤および溶媒を配合することで、安定性が向上し、約40〜60℃または約45〜55℃の範囲内での結晶化ピーク温度を有するSAT調合物が得られる。
(pH調節剤)
一部の実施態様では、調合物のpHを好適な点または範囲に調整するためにpH調節剤を調合物に配合してもよい。一部の実施態様では、pH調節剤は酢酸または鉱酸などの酸であり、これらを一定量配合して調合物のpHを中性または酸性に調整する。一部の実施態様では、調合物のpHを好適な点または範囲に調整または維持するために調合物に緩衝液を配合してもよい。好適な緩衝液として、酢酸ナトリウムおよび酢酸を含む酢酸緩衝液(pH5.2に緩衝)または酢酸カリウムおよび酢酸を含む酢酸緩衝液が挙げられる。
一部の実施態様では、調合物のpHを好適な点または範囲に調整するためにpH調節剤を調合物に配合してもよい。一部の実施態様では、pH調節剤は酢酸または鉱酸などの酸であり、これらを一定量配合して調合物のpHを中性または酸性に調整する。一部の実施態様では、調合物のpHを好適な点または範囲に調整または維持するために調合物に緩衝液を配合してもよい。好適な緩衝液として、酢酸ナトリウムおよび酢酸を含む酢酸緩衝液(pH5.2に緩衝)または酢酸カリウムおよび酢酸を含む酢酸緩衝液が挙げられる。
緩衝液が酢酸ナトリウムを含む場合、調合物に酢酸ナトリウムおよび酢酸を配合することで緩衝液を生成してもよいし、調合物内に既にある酢酸ナトリウムに酢酸のみを配合することで緩衝液を生成してもよい。
(他の添加剤)
一部の実施態様では、調合物は他の添加剤を含んでもよい。例えば、調合物を所望の外観にするための添加剤がある。
一部の実施態様では、調合物は他の添加剤を含んでもよい。例えば、調合物を所望の外観にするための添加剤がある。
一部の実施態様では、調合物は1以上の食品用染料を含んでもよい。一部の実施態様では、これら食品用染料は米国食品医薬品局(FDA)またはこれに相当する省庁に認可されるものである。好適な食品用染料として、例えば、E129アルラレッドACグラニュラー(フードレッド17CI16035);E110サンセットイエローレーキ20−24(フードイエロー3:1CI15985:1);E102タルトラジングラニュラー(フードイエロー4CI19140);E133ブリリアントブルーFCFグラニュラーレーキ10−14(フードブルー2:1CI42090:1);E132インディゴチン(インジゴカルミン)(フードブルー1CI73015);E127エリスロシングラニュラー(フードレッド14CI45430)が挙げられる(これらはFastclours.co.ukから入手可能である)。従って、一部の実施態様では、SAT、酢酸カリウムおよびCMCを含む調合物は、調合物を所望の色にするため使用される1以上の染料をさらに含む。
一部の実施態様では、調合物に蛍光性添加剤を導入することで蛍光性調合物を得ることができる。一部の実施態様では、調合物はフルオレセイン(CAS-No.2321-07-5、Sigma-Aldrichから入手可能)を含む。
一部の実施態様では、調合物に熱変色性添加剤を導入することで熱変色性調合物を得ることができる。そのような添加剤として、水系溶媒に熱変色性マイクロカプセルを懸濁したもの(ChromaZone(R)スラリーとしてLCR Hallcrest, UKから入手可能)が挙げられる。
これら添加剤は、本明細書で説明するいずれの調合物にも配合可能である。
(調合物の製造方法)
一部の実施態様では、上述した調合物は各成分を結合させて製造することができる。
一部の実施態様では、上述した調合物は各成分を結合させて製造することができる。
一部の実施態様では、CMC等の運動阻害剤は、水溶液という形態で調合物の他の成分に配合することができる。
一部の実施態様では、冷却は緩やかに起こる。別の実施態様では急冷である。一部の実施態様では、冷却は空気による冷却工程を含む。一部の実施態様では、冷却は調合物を冷却水に浸ける工程を含む。
一部の実施態様では、調合物は約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上または約100℃以上にまで上昇する。一部の実施態様では、調合物の上昇温度は125℃以下、120℃以下、115℃以下、110℃以下または105℃以下である。一部の実施態様では、調合物は先の上昇温度を約30分以上、約1時間以上、約2時間以上、約3時間以上、約4時間以上、約6時間以上、約8時間以上、約12時間以上、約18時間以上、約24時間以上、約30時間以上、約36時間以上、約42時間以上保持する。一部の実施態様では、調合物は先の上昇温度を長くとも約72時間、約60時間、約54時間保持するようにすべきである。
(製品)
本明細書で説明した調合物は器具に導入可能である。一部の実施態様では、調合物は器具の使用において、熱を放射する器具内熱源として働く。一部の実施態様では、ユーザーによる器具の作動の際、調合物は熱を放射する。一部の実施態様では、調合物の温度は約40〜60℃または約45〜55℃のピーク温度まで上昇する。
本明細書で説明した調合物は器具に導入可能である。一部の実施態様では、調合物は器具の使用において、熱を放射する器具内熱源として働く。一部の実施態様では、ユーザーによる器具の作動の際、調合物は熱を放射する。一部の実施態様では、調合物の温度は約40〜60℃または約45〜55℃のピーク温度まで上昇する。
一部の実施態様では、器具は吸入装置である。一部の実施態様では、調合物は加熱可能材料を加熱する熱源である。一部の実施態様では、加熱可能材料は吸入される物質を含む。例えば、特定の実施態様では、吸入される物質はニコチンであり、および/または加熱可能材料はタバコ材料である。一部の実施態様では、このタバコ材料はタバコ、タバコ誘導体、タバコ抽出物を含む。
一部の実施態様では、図4で図示したように、そのような吸入装置1はハウジング5、熱源チェンバーおよび加熱用チェンバーを含む。ハウジング5内部において、熱源材料3は熱源チェンバー内に保持され、加熱可能材料2は別個の加熱用チェンバー内に保持されている。熱源チェンバーから加熱可能材料に熱が移るように熱源チェンバーおよび加熱用チェンバーは配置されている。こうして加熱可能材料の少なくとも1つの成分が揮発する。一部の実施態様では、吸入装置は揮発した成分を吸入するためのマウスピース4をさらに含む。
一部の実施態様では、調合物を含む被験装置を本明細書で説明する安定度試験による機械的力に晒した結果、被験装置が誘発された、つまり結晶生成したものの割合が50%以下であった場合、その調合物は安定であると定義する。一部の実施態様では、調合物の安定度は被験装置の最大25%しか誘発されないものである。一部の実施態様では、調合物の安定度は被験装置の最大15%、10%、5%または1%しか誘発されないものである。
一部の実施態様では、調合物を含む被験装置を本明細書で説明する「落下試験」による機械的力に晒した結果、被験装置が誘発された、つまり結晶生成したものの割合が50%以下であった場合、その調合物は安定であると定義する。
(実施例)
酢酸ナトリウム三水和物(SAT)の安定性に対する種々の添加剤および添加剤の組み合わせの効果を確かめるため、数多くの調合物を調製し試験した。
酢酸ナトリウム三水和物(SAT)の安定性に対する種々の添加剤および添加剤の組み合わせの効果を確かめるため、数多くの調合物を調製し試験した。
(安定度試験)
過冷却状態の液状調合物の安定度は、調合物に様々なタイプの機械的力をかけて試験した。
過冷却状態の液状調合物の安定度は、調合物に様々なタイプの機械的力をかけて試験した。
本発明に係る運動阻害剤および溶媒を含まないSATだけの調合物は、下記詳述する試験において、機械的力をかけると50%を超えるサンプルが結晶化するという概して不十分な結果を示す。逆に言えば、当該試験による機械的力をかけた際に50%以下、好ましくは25%以下のサンプルしか結晶化しないのであれば、そのSAT調合物は安定化された、または安定度が向上したものと考えられる。
SAT調合物の機械的力への安定度に寄与する容器の影響を排除するため、サンプルは全て同じ容器を用いて試験するべきである。一部の実施態様では、安定度試験は15cm3の遠心チューブを用いて行う。より具体的に言えば、安定度試験および熱出力測定はCorning社の15cm3無菌PET遠心チューブで行う。これはSigma-Aldrichから入手可能であり、カタログ番号はCLS430055-500EAである。サンプルの量およびそれの操作はサンプル間で一様であるべきである。
SAT調合物の安定度を評価するために行う試験はいわゆる「落下試験」である。この試験では、遠心チューブに試験すべき調合物のサンプルを移動させて試験物を用意する。この試験物を今度は0.5mの高さから10回落下させる。落下試験に用いる機材を図5に示した。試験物11はカードチューブ12(試験物を直立状態のままにするのに役立つ)を通じて開始位置Aから終了位置Bまで、木質ブロック14の上にある厚さ3mmのステンレス鋼板13へと落下する。落下毎に、相変化材料(PCM)が誘発されているか(つまり過冷却液状調合物が結晶化しているか)試験物11を調べるべきである。
SAT調合物の安定度を評価するために行うさらなる試験はいわゆる「環境試験」である。この試験では、遠心チューブに試験すべき調合物のサンプルを移動させて試験物を用意する。この試験物を72時間に亘って外界とは異なる環境条件に置く。そしてPCMが誘発されているか(つまり過冷却液状調合物が結晶化しているか)試験物を調べる。続いて試験物は前述した落下試験に移行する。環境試験における外界とは異なる環境条件とは、40℃、5℃そして650mbarであった。温度を変えられる環境は熱ショックをシミュレートするために使用される。この72時間の試験の間、環境温度は次のパターンのサイクルで回る;2時間かけて温度を5℃から25℃へ、40℃へ、25℃へ、5℃へ、また2時間かけて相対湿度を10%から50%へ、90%へ、50%へ、10%へ。これを図示したのが図3のグラフである。
調合物の安定度および熱出力に対する運動阻害剤および溶媒の効果を確認するため、様々なSAT調合物を調製し試験した。
(調合物1)
水中0.5%質量/質量のCMC溶液およびエチレングリコールを含むSAT調合物を下記のように調製した。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATおよびCMC溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
水中0.5%質量/質量のCMC溶液およびエチレングリコールを含むSAT調合物を下記のように調製した。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATおよびCMC溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
この調合物の熱出力を図1に示す。ピーク温度は約52℃であることがわかる。添加剤を含まないSAT調合物のサンプルよりも不合格となった(つまり結晶化した)サンプルが少ないため、落下試験の結果からこの調合物の安定度が向上していることがわかった。
(調合物2)
(10質量%の代わりに)40質量%の0.5質量%CMC水溶液を使用した以外は調合物1と同じように調製した。水分が増えることで安定度は上昇するが、調合物が作動した時に到達するピーク温度は低下する効果もあることがいくつかの試験で示唆された。
(10質量%の代わりに)40質量%の0.5質量%CMC水溶液を使用した以外は調合物1と同じように調製した。水分が増えることで安定度は上昇するが、調合物が作動した時に到達するピーク温度は低下する効果もあることがいくつかの試験で示唆された。
この調合物の熱出力を図1に示す。ピーク温度は約34℃であることがわかる。添加剤を含まないSAT調合物のサンプルよりも不合格となった(つまり結晶化した)サンプルが少ないため、落下試験の結果からこの調合物の安定度が向上していることがわかった。
(調合物3)
CMCおよび水に加えて酢酸カリウムを含むSAT調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10%(モル比率)酢酸カリウム(≧99.0%;CAS No.127-08-2)
・無水酢酸カリウム1モルあたり3.3モルの水
・5質量%(全質量基準)の0.5質量%CMC溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
CMCおよび水に加えて酢酸カリウムを含むSAT調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10%(モル比率)酢酸カリウム(≧99.0%;CAS No.127-08-2)
・無水酢酸カリウム1モルあたり3.3モルの水
・5質量%(全質量基準)の0.5質量%CMC溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
この調合物は特に良好な結果を示した。この調合物においては水の追加は悪影響にはならないようであった。これは潜在的に四水和物形成と平衡状態になるためと思われる。この調合物の熱出力を図1に示す。ピーク温度は約52.5℃であることがわかる。添加剤を含まないSAT調合物のサンプルよりも不合格となった(つまり結晶化した)サンプルが少ないため、落下試験の結果からこの調合物の安定度が向上していることがわかった。事実、落下試験の繰り返しにおいて1つのサンプルも不合格とならなかった。
(調合物4)
SAT組成物中の酸の使用を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・融解の際、酢酸(≧99.7%;CAS No.64-19-7)を使用してpHを7まで減少させる
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATおよびCMC溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
SAT組成物中の酸の使用を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・融解の際、酢酸(≧99.7%;CAS No.64-19-7)を使用してpHを7まで減少させる
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATおよびCMC溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
pHが約9.5から7まで減少したことによって安定度が増したことがいくつかの試験で示唆された。この調合物は、非常に高い安定度を示し、また結晶化の際に約51.5℃のピーク温度を有する。
(調合物5)
CMCの代わりにウレアを使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%ウレア水溶液(≧99.5%;CAS No.57-13-6)
・3.33質量%(SATおよびウレア溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
CMCの代わりにウレアを使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%ウレア水溶液(≧99.5%;CAS No.57-13-6)
・3.33質量%(SATおよびウレア溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
この調合物の熱出力を図1に示す。ピーク温度は約55℃であることがわかる。添加剤を含まないSAT調合物のサンプルよりも不合格となった(つまり結晶化した)サンプルが少ないため、落下試験の結果からこの調合物の安定度が向上していることがわかった。
(調合物6)
CMCの代わりにポリビニルアセテート(PVA)を使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の1質量%PVA水溶液(CAS No.9003-20-7)
CMCの代わりにポリビニルアセテート(PVA)を使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の1質量%PVA水溶液(CAS No.9003-20-7)
この調合物は同じSATのみを主成分とする調合物と比較して高い安定度を有し、結晶化の際に54.5℃のピーク温度を有することがいくつかの試験で示唆された。
(調合物7)
CMCの代わりにポリアクリルアミドを使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・0.5質量%の10質量%ポリアクリルアミド水溶液(CAS No.9003-05-8)
・3.33質量%(SATとポリアクリルアミド溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
CMCの代わりにポリアクリルアミドを使用した場合の効果を調査するためこの調合物を調製した。調合物は下記の通りであった。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・0.5質量%の10質量%ポリアクリルアミド水溶液(CAS No.9003-05-8)
・3.33質量%(SATとポリアクリルアミド溶液の合計質量に対して)のエチレングリコール(≧99%;CAS No.107-21-1)
この調合物は同じSATのみを主成分とする調合物と比較して高い安定度を有することがいくつかの試験で示唆された。
(調合物8)
0.5質量%のCMC水溶液およびプロピレングリコールを含む次のようなSAT調合物を調製した。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATとCMC溶液の合計質量に対して)のプロピレングリコール(≧99%;CAS No.57-55-6)
0.5質量%のCMC水溶液およびプロピレングリコールを含む次のようなSAT調合物を調製した。
・SAT(≧99.0%;CAS No.6131-90-4)
・10質量%の0.5質量%CMC水溶液(Mw~90K;CAS No.9004-32-4)
・3.33質量%(SATとCMC溶液の合計質量に対して)のプロピレングリコール(≧99%;CAS No.57-55-6)
調合物に配合する水の量が増えるほど結晶化のピーク温度が低くなることが図2からわかる。このグラフは上述の調合物1の水の配合量が異なるバリエーションの温度曲線を示したものである。なお、%とはSATの質量に対する水分量である。このデータは水分量を調整することによって本発明の調合物のうちのいくつかの熱出力を調節し得ることを示している。
(相対安定度試験)
運動阻害剤および溶媒の配合によって安定化したSAT調合物の相対安定度を調査するため次のような実験を行った。純度99.5%以上のSATおよび5質量%の水の対照調合物を調製して、50本の6cm3チューブに分取した。安定化した調合物として上述した調合物3を調製し、対照と同じ処理を行った。サンプルを1晩冷却した状態で放置し(この間に誘発されたサンプルは「静置」で誘発されたものと記載する)、その後いわゆる「落下試験」を行った。試験結果を表1に記す。
運動阻害剤および溶媒の配合によって安定化したSAT調合物の相対安定度を調査するため次のような実験を行った。純度99.5%以上のSATおよび5質量%の水の対照調合物を調製して、50本の6cm3チューブに分取した。安定化した調合物として上述した調合物3を調製し、対照と同じ処理を行った。サンプルを1晩冷却した状態で放置し(この間に誘発されたサンプルは「静置」で誘発されたものと記載する)、その後いわゆる「落下試験」を行った。試験結果を表1に記す。
安定化溶液は対照SAT調合物と比較して高いレベルの相対安定度を有することがわかった。落下試験で不合格となったサンプルのサンプルチューブには、試験の機械的負荷によって発生した、PCM調合物の核生成部位として機能し得る裂け目があった。
様々な課題を解決し技術を発展させることを目的として、図示を含むこの開示全体は、請求項に係る発明を実施して優れた調合物、製造方法および器具を提供し得る種々の実施形態を示している。この開示の利点および特徴は、実施形態という典型的な例を示すことのみであって、包括的および/または排他的ではない。それらは理解を助けるため、および請求された特徴を教示するためだけに提出される。当然のことながら、この開示の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造および/または他の側面は請求項やこれに相当するものによって定義される開示に限定して解釈されるべきではなく、他の実施形態を利用しても良く、開示の範囲および/またはその意図から外れない限り変更を加えてもよい。種々の実施形態は、説明した成分、成分、特徴、部品、工程、手法などの種々の組み合わせを適宜含んでもよいし、それらのみから構成されてもよいし、またはそれらを主に構成されてもよい。加えて、この開示は現在請求していない他の発明を含んでいる。いずれはこれらも請求することがあり得る。
Claims (17)
- 酢酸ナトリウム三水和物(SAT)と、運動阻害剤と、溶媒とを含む調合物。
- 結晶化のピーク温度が約40〜60℃であることを特徴とする請求項1に記載の調合物。
- 1以上の安定度試験による機械的力に対して、同じSATのみから成る調合物よりも安定度が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の調合物。
- 運動阻害剤が核生成を阻害するように機能する添加剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調合物。
- 運動阻害剤がカルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、グリセロール、ウレア、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリアクリル酸、ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、プルラン、ポリビニルアルコール、およびポリビニルアセテートから成る群より選ばれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の調合物。
- 運動阻害剤がカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、その含有量が調合物の約0.01〜1質量%であることを特徴とする請求項4に記載の調合物。
- 溶媒がエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、1−プロパノール、メタノール、水、およびアセトンから成る群より選ばれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の調合物。
- 溶媒が水を含み、その含有量がSATの約10〜40質量%であることを特徴とする請求項7に記載の調合物。
- 溶媒がエチレングリコールを含み、その含有量が調合物の約1〜5質量%であることを特徴とする請求項7に記載の調合物。
- 調合物が調合物全量基準で約70〜90質量%のSATと、約0.01〜0.1質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約5〜20質量%の水と、約3〜9質量%のエチレングリコールとを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の調合物。
- 調合物が調合物全量基準で約70〜90質量%のSATと、約0.025〜0.1質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約10〜20質量%の水と、約1〜10質量%の酢酸カリウムとを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の調合物。
- 酢酸ナトリウム三水和物(SAT)と、酢酸カリウムと、水とを含む調合物。
- 各成分を結合させて請求項1乃至12のいずれか1項に記載の調合物を製造する方法。
- 運動阻害剤の水溶液を調製し、他の成分にこれを配合することを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の調合物を含む器具。
- 調合物は器具の使用において熱を照射する熱源であることを特徴とする請求項15に記載の器具。
- 加熱可能材料を熱する熱源として調合物が装置内に存在する吸入装置であることを特徴とする請求項16に記載の器具。
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