JP2016525465A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。より詳細には、光特性に優れており、熱収縮率が制御されるとともに、加熱時におけるオリゴマーのマイグレーションを遮断することができ、加熱後のヘイズ変化率が小さいため、光学用途に適用可能なポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。

Description

本発明は、ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関し、より詳細には、光特性に優れており、熱収縮率が制御されるとともに、加熱時におけるオリゴマーのマイグレーションを遮断することができ、加熱後のヘイズ変化率が小さいため、光学用途に適用可能なポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
光学フィルムは、ディスプレイ用光学部材として用いられるフィルムであって、LCD BLUの光学素材として用いられたり、LCD、PDP、タッチパネル(Touch Panel)などの各種ディスプレイの表面保護用光学部材として用いられている。
かかる光学フィルムは、優れた透明性および視認性が求められ、機械的特性および電気的特性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムがベースフィルムとして用いられる。
しかし、二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面硬度が低く、耐磨耗性或いは耐スクラッチ性が低いため、各種ディスプレイの光学部材として用いる場合、物体との摩擦或いは接触により表面損傷が生じやすい。これを防止するために、フィルムの表面にハードコーティング層を積層して用いており、基材のポリエステルフィルムとハードコーティング層との密着性を向上させるために、中問層としてプライマー層を形成する。
かかるディスプレイに適用されるポリエステルフィルムにおいては、オリゴマーのマイグレーションに係る品質問題が発生している。これは、ポリエステルフィルムへの粘着コーティング後、硬化工程、エージング工程などの後加工工程を行う際に高温に露出することで、ポリエステルフィルムの内部でオリゴマーがマイグレーション(migration)し、白化現象または熱変形によりカールが発生して欠陥を引き起こす恐れがある。また、ポリエステルフィルムの製造後、スリッティング(slitting)工程において用いられるダイヤモンドパターンロールの圧力により、ダイヤモンド状のパターンが形成されるダイヤモンドマーク(diamond mark)現象が発生する場合もある。かかる白化現象およびダイヤモンドマーク現象が発生する場合、工程におけるフィルムロールが汚染し、最終製品の光学特性が低下する。
かかるポリエステルフィルムのオリゴマーのマイグレーションを防止するための試みが多くなされている。ポリエステルフィルム上に積層膜を形成してオリゴマーのマイグレーションを制御しようとする特許として、日本特開2007‐253511号(2007.10.04)には、少なくとも片面に積層膜を有するポリエステルフィルムであって、該フィルムを150°Cで60分間加熱した時に積層膜側に析出するオリゴマー粒の平均サイズが面積換算で10μm以下、個数が100μm×100μmの視野内で100個以下である積層ポリエステルフィルムが記載されている。この発明は、オリゴマーのマイグレーションを制御しようとするものであるが、完全に遮断することはできなかった。また、ポリエステルフィルムを高温熟成させて用いたり、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリイミド(PI)などの高耐熱性高分子を用いたりすることもある。しかしながら、ポリエステルフィルムを高温熟成させて用いる場合、フィルムの製作収率が十分ではなく、水分などによる変形が生じるという問題が発生し、高耐熱性高分子を用いる場合、オリゴマーのマイグレーションは発生しなかったものの、ポリエステルに比べて製造原価が非常に高価であり、後加工が困難であるという問題があった。
また、タッチスクリーンパネル製品には、オリゴマーのマイグレーションを遮断する問題の他にも、後加工工程における工程性の確保がさらに必須に要求される。タッチスクリーンパネル製品は、ITOフィルムの他にも、ITO保護用耐熱フィルム、レインボーが低減されたプライマーがコーティングされた両面ハードコーティング用ポリエステルフィルムなどの3枚以上のフィルムが積層されて用いられる。そのため、3枚以上のフィルム間の熱収縮率が一致しないと、高温で行われる後加工工程で熱収縮率の不一致によりカールやシワなどの問題が発生し、これにより、製品の品質が低下するという問題が発生し得る。
したがって、顧客社の工程条件に応じた様々な熱収縮率(高熱収縮、低熱収縮)を確保することができる工程条件の改善も必須である。
上記の問題を解決するために、本発明の目的は、オリゴマーのマイグレーションが完全に遮断されたポリエステルフィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、高い耐熱性および優れた後加工性を有し、後加工における熱収縮を著しく低減することができるポリエステルフィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、前記ポリエステルフィルムを含む光学フィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、熱収縮率を制御し、且つ加熱後におけるオリゴマーのマイグレーションを遮断することができるポリエステルフィルムの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、ITO工程用、ITO用ベースフィルム、およびタッチパネル用ハードコーティング用のベースフィルムに適したポリエステル多層フィルムを提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明は、ポリエステル樹脂からなるポリエステルベースフィルムと、その片面または両面に水分散性樹脂組成物を塗布して形成したプライマー層と、を含み、下記式1および2を満たすポリエステルフィルムを提供することができる。
[式1]
0≦Smd≦1.5
[式2]
0≦Std≦1.0
[前記式中、SmdおよびStdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
Smdは、フィルムの機械方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdは、フィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味する。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、下記式3および4を満たすことができる。
[式3]
−0.2≦Vmd≦0.2
[式4]
−0.2≦Vtd≦0.2
[前記式中、VmdおよびVtdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
Vmdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の機械方向の熱収縮率の偏差(%)を意味し、Vtdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の幅方向の熱収縮率の偏差(%)を意味する。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、下記式5〜式7を満たすことができる。
[式5]
0≦S(45)≦1.0
[式6]
0≦S(135)≦1.0
[式7]
|S(135)−S(45)|≦0.2
[前記式中、S(45)およびS(135)は、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100である。また、S(45)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度の対角方向における収縮率(%)を意味し、S(135)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度の対角方向における収縮率(%)を意味する。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、下記式8および式9を満たすことができる。
[式8]
0.1590≦ns
[式9]
Hf≦Hi×2.5
[前記式中、ns={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}の面配向係数を意味し、
前記Hfは、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズを表す。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、基材層と、前記基材層の両面に少なくとも2層以上積層されたスキン層と、を含み、
前記スキン層をなすポリエステル樹脂のオリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、基材層とスキン層とを共押出したものであって、固有粘度が下記式10を満たすことができる。
[式10]
1<Ns/Nc≦1.2
(前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度が0.5〜1.0であり、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜1.0であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、プライマー層は、Tgが60°C以上、膨潤率(Swelling ratio)が30%以下、ゲル分率(Gel fraction)が95%以上、密度が1.3〜1.4であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、下記式11で表されるヘイズ変化率(△H)が0.1%以下であることができる。
[式11]
△H(%)=Hf−Hi
(前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。)
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と、水分散性ポリエステル系樹脂(B)と、からなるバインダー樹脂を含み、
前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が、(A)/(B)=20〜80/80〜20であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性樹脂組成物は、バインダー樹脂の固形分含量が0.5〜10重量%であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性樹脂組成物は、シリコン系湿潤剤をさらに含むことができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性ポリエステル系樹脂は、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分と、ジエチレングリコールを含むグリコール成分とが共重合されたものであることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性ポリエステル系樹脂は、ジエチレングリコールを全グリコール成分に対して20〜80モル%含有することができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、水分散性ポリエステル系樹脂は、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対して6〜20モル%含有することができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、アクリル系樹脂は、共重合モノマーとしてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを全モノマー成分に対して20〜80モル%含有することができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、厚さが25〜250μmであることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、プライマー層は、乾燥塗布厚さが20〜150nmであることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルベースフィルムは、基材層が70〜90重量%であり、スキン層が10〜30重量%であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、表面粗さ(Ra)が10nm以下であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、スキン層は、無機粒子を100ppm以下含むことができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、無機粒子は、平均粒径が3μm未満であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、無機粒子は、シリカ、ゼオライト、カオリンから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であることができる。
本発明は、上述のポリエステルフィルムの上部に、ハードコーティング層、粘着剤層、光拡散層、ITO層、および印刷層から選択される何れか1つ以上の機能性コーティング層を形成した光学フィルムを提供することができる。
また、本発明は、a)機械方向に一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを製造するステップと、
b)前記一軸延伸されたポリエステルベースフィルムの片面または両面に、オリゴマー遮断特性を有する水分散性樹脂組成物を塗布してプライマー層を形成するステップと、
c)前記プライマー層が形成された、一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを幅方向(TD)に二軸延伸するステップと、
d)前記二軸延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式12を満たす範囲で機械方向(MD)への弛緩を行うステップと、を含むポリエステルフィルムの製造方法を提供することができる。
[式12]
1.1≦弛緩率(%)≦2.5
(前記式中、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。)
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、d)ステップで、機械方向(MD)への弛緩は、下記式13を満たす温度範囲で行うことができる。
[式13]
延伸温度(°C)≦弛緩温度(°C)<熱固定温度(°C)
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と、水分散性ポリエステル系樹脂(B)と、からなるバインダー樹脂を含み、前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が、(A)/(B)=20〜80/80〜20であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、ポリエステルフィルムは、熱収縮率(%)が下記式1〜式4を満たすことができる。
[式1]
0≦Smd≦1.0
[式2]
0≦Std≦0.5
[式3]
−0.2≦Vmd≦0.2
[式4]
−0.2≦Vtd≦0.2
[前記式中、Smd、Std、VmdおよびVtdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
Smdは、フィルムの機械方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdは、フィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味し、Vmdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の機械方向の熱収縮率の偏差(%)を意味し、Vtdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の幅方向の熱収縮率の偏差(%)を意味する。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、ポリエステルフィルムは、下記式5〜式7を満たすことができる。
[式5]
0≦S(45)≦1.0
[式6]
0≦S(135)≦1.0
[式7]
|S(135)−S(45)|≦0.2
[前記式中、S(45)およびS(135)は、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100である。また、S(45)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度の対角方向における収縮率(%)を意味し、S(135)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度の対角方向における収縮率(%)を意味する。]
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、プライマー層は、Tが60°C以上、膨潤率が30%以下、ゲル分率が95%以上、密度が1.3〜1.4であることができる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの製造方法において、ポリエステルフィルムは、下記式11で表されるヘイズ変化率(△H)が0.1%以下であることができる。
[式11]
△H(%)=Hf−Hi
(前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。)
また、本発明は、オリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%である第1ポリエステル樹脂を含むスキン層組成物と、固有粘度が下記式10を満たす基材層用第2ポリエステル樹脂とを溶融押出して共押出するステップと、
b)共押出されたシートを一軸または二軸延伸してフィルムを製造するステップと、
c)延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式14を満たす範囲で幅方向(TD)への弛緩を行うステップと、を含むポリエステルフィルムの製造方法を提供することができる。
[式10]
1<Ns/Nc≦1.2
(前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
[式14]
2≦TDr(%)≦11.5
[前記式中、TDrは幅方向(TD)への弛緩率を意味し、弛緩率(%)={(弛緩処理区間前のフィルムの幅方向の最大幅寸法−弛緩処理区間内のフィルムの幅方向の最小幅寸法)/弛緩処理区間前のフィルムの最大幅寸法}×100である。]
前記a)ステップで、スキン層組成物は、無機粒子を100ppm以下含むことができる。
また、前記無機粒子は、平均粒径が3μm未満であることができる。
前記ポリエステルフィルムの表面粗さ(Ra)が10nm以下であり、熱収縮率が下記式1および式2を満たし、面配向係数(ns)が下記式8を満たし、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズが下記式9を満たすことができる。
[式1]
0≦Smd≦1.5
[式2]
0≦Std≦1.0
[式8]
0.1590≦ns
[式9]
Hf≦Hi×2.5
(前記式中、Smd、Stdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、Smdはフィルムの長さ方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdはフィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味し、
前記面配向係数(ns)={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}であり、
前記Hfは、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。]
また、前記c)ステップにおける弛緩時に、幅方向への弛緩と同時に、下記式15を満たす範囲で長さ方向への弛緩を行うことができる。
[式15]
0.3≦MDr(%)≦2.5
[前記式中、MDrは、機械方向における弛緩率を意味し、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。]
本発明によるポリエステルフィルムは、高温条件におけるオリゴマーのマイグレーションが完全に遮断される効果がある。
また、本発明によるポリエステルフィルムは、タッチパネルフィルムのITO保護用耐熱フィルムなどに用いるに適した光学物性を有しており、フィルムの全幅に対する熱収縮率が制御されるため、後工程、特に、ITOフィルム、ITO耐熱保護フィルム、低干渉縞ポリエステルフィルムなどの3枚以上のフィルムをラミネートする工程における工程性を容易に確保することができる。
以下に、本発明の構成についてより具体的に説明する。
本発明において、オリゴマーは、重量平均分子量が500〜10000程度のダイマー(dimer)、トリマー(trimer)、テトラマー(tetramer)などを意味する。
本発明によるポリエステルフィルムの一様態は、ポリエステル樹脂からなるポリエステルベースフィルムと、その片面または両面に、オリゴマー遮断特性を有する水分散性樹脂組成物を塗布して形成したプライマー層と、を含み、熱収縮率(%)が下記式1〜式4を満たすことができる。
[式1]
0≦Smd≦1.0
[式2]
0≦Std≦0.5
[式3]
−0.2≦Vmd≦0.2
[式4]
−0.2≦Vtd≦0.2
前記式中、Smd、Std、VmdおよびVtdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
Smdは、フィルムの機械方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdは、フィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味し、Vmdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の機械方向の熱収縮率の偏差(%)を意味し、Vtdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の幅方向の熱収縮率の偏差(%)を意味する。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、前記式1〜式4のうち式1および2を満たしてもよく、式3および4を満たしてもよく、式1〜式4の全てを満たしてもよい。このような物性条件は、他の条件と組み合わせてもよい。
フィルムの機械方向(MD)の熱収縮率(%)は0〜1.5%であり、好ましくは0.2〜1.5%、より好ましくは0〜1.0%である。前記フィルムの機械方向(MD)の熱収縮率(%)が0%未満の場合には、フィルムが膨張して後工程でカールが発生する可能性が高く、1.5%を超える場合には、後工程で機械方向の収縮性が大きく、またカールが発生する可能性が高い。より好ましくは0〜0.9%である。
また、幅方向(TD)の熱収縮率(%)は0〜1.0%であり、好ましくは0〜0.5%である。前記幅方向(TD)の熱収縮率(%)が0%未満の場合には幅方向にフィルムが膨張し、1.0%を超える場合には、後工程で幅方向の収縮性が大きくカールを制御し難くなる。より好ましくは、0〜0.4%である。
また、前記ポリエステルフィルムは、下記式5〜式7を満たすことができる。
[式5]
0≦S(45)≦1.0
[式6]
0≦S(135)≦1.0
[式7]
|S(135)−S(45)|≦0.2
前記式中、S(45)およびS(135)は、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100である。また、S(45)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度の対角方向における収縮率(%)を意味し、S(135)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度の対角方向における収縮率(%)を意味する。
本発明において、前記ポリエステルフィルムの対角方向における熱収縮率を前記範囲に調節することで、高温条件におけるオリゴマーのマイグレーションを遮断する特性を極大化することができる。また、前記ポリエステルフィルムの光学特性を含む諸物性の上昇効果を実現することができる。前記ポリエステルフィルムの対角方向であるフィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度およびフィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度における熱収縮率は、好ましくは0〜1.0%である。これとともに、前記二つの対角方向における熱収縮率の差の絶対値は、好ましくは0.2%以下である。対角方向における熱収縮率の差の絶対値が0.2%を超える場合には、対角方向における収縮のバランス(Balance)が崩れて、ツイスト状のカール(Curl)が生じる恐れがある。
また、フィルムの全幅に対する熱収縮率の偏差が±0.2%の範囲である場合、熱収縮率の均一性が確保できるとともに、カールが容易に制御できる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、下記式8および式9を満たすことができる。
[式8]
0.1590≦ns
[式9]
Hf≦Hi×2.5
前記式中、ns={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}の面配向係数を意味し、
前記Hfは、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは加熱前のフィルムのヘイズである。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムの面配向係数は、好ましくは0.1590であり、より好ましくは0.1590〜0.1610である。前記面配向係数が0.1590未満の場合には、フィルムの表面構造が緻密ではないため、オリゴマーの表面マイグレーションが発生し易くなる。
前記ヘイズは、高温条件におけるオリゴマーのマイグレーションを判断するためのものであって、前記式9の範囲を外れる場合、オリゴマーのマイグレーションが激しくてヘイズが減少することを意味する。前記ヘイズの範囲を満たす場合には、後工程に大きく影響を与えないため、光学フィルムに用いるに適した物性を有することになる。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、基材層と、前記基材層の両面に少なくとも2層以上積層されたスキン層と、を含むポリエステルベースフィルムを含むことができる。この際、前記スキン層をなすポリエステル樹脂のオリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%であることができる。
前記ポリエステルベースフィルムは、基材層と、前記基材層の両面に少なくとも2層以上積層されたスキン層と、を含む3層以上からなるものであって、共押出により形成されることができる。
前記基材層とスキン層を共押出する際に、作業性を向上させるために、下記式10を満たすことが好ましい。
[式10]
1<Ns/Nc≦1.2
前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。
スキン層と基材層の固有粘度の比率が1.2を超える場合には、共押出時に界面不安定の問題が生じて多層構造が形成できなくなる恐れがあるため、前記範囲を満たすことが好ましく、より好ましくは1.0〜1.05であることが、作業性の向上において効果的である。
前記ポリエステルベースフィルムは、総厚さが25〜250μmであることが好ましく、より好ましくは50〜188μmであることが効果的である。厚さが25μm未満の場合には、光学フィルムに適した機械的物性が実現されず、250μmを超える場合には、フィルムの厚さが厚すぎてディスプレイ装置の薄型化に適しなくなるという問題が生じ得る。
また、基材層の含量が全フィルムの70〜90重量%であり、スキン層の含量が10〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは、基材層の含量が70〜80重量%であり、スキン層の含量が20〜30重量%であることが、共押出時に優れた界面安定化およびオリゴマー遮断性を実現できるため効果的である。
前記ポリエステル樹脂からなる基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂単独からなることが好ましい。この際、用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂は、固有粘度が0.5〜1.0であるものを用いることが好ましく、より好ましくは0.60〜0.80であることが効果的である。基材層のポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.5未満の場合には、耐熱性が低下する恐れがあり、1.0を超える場合には、原料加工が容易でないため作業性が低下する恐れがある。
前記ポリエステル基材層の両面に少なくとも2層以上共押出されて形成されたスキン層は、全フィルム重量に対して、オリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%、より好ましくは0.4〜0.6重量%であり、ジエチレングリコール(DEG)の含量が0.1〜1.1重量%、より好ましくは0.7〜1.1重量%である。スキン層のポリエステル樹脂のオリゴマーおよびジエチレングリコールの含量が前記範囲を超える場合には、初期フィルムのヘイズ値が上昇し、熱処理加工した際にヘイズ変化率が急激に高くなるため、光学フィルムに適用可能な光学特性が達成できないという問題が発生する。
また、スキン層のポリエステル樹脂が前記範囲のオリゴマーおよびジエチレングリコールを含有するように、当該技術分野において公知の合成方法により製造することができるが、特に、固相重合により製造することが、オリゴマーおよびジエチレングリコールの含量を減少させるのに効果的である。
また、スキン層のポリエステル樹脂の固有粘度は0.6〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.65〜0.85であることが効果的である。スキン層のポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.6未満の場合には、耐熱性が低下する恐れがあり、1.0を超える場合には、原料加工が容易でないため作業性が低下する恐れがある。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムは、Tgが60℃以上、膨潤率が30%以下、ゲル分率が95%以上、密度が1.3〜1.4のプライマー層を含むことができる。これにより、ポリエステルフィルムを製造時におけるオリゴマーのマイグレーションが制御できるとともに、熱収縮率を低めることができる。
また、フィルムの製造時、熱固定ステップで特定条件で弛緩することで、150°Cで60分間加熱した前後のヘイズ(Haze)の変化が0.1%以下の物性を満たし、本発明で達成しようとするフィルムの熱収縮率を満たすことができる。
また、オリゴマーのマイグレーション程度が前記範囲を満たすフィルムの場合、ダイヤモンドマーク(diamond mark)および白化現象が生じないことを確認することができた。
すなわち、プライマー層の物性が、Tが60°C以上、膨潤率が30%以下、ゲル分率が95%以上、密度が1.3以上の物性を満たす範囲内で、下記式11で表されるヘイズ変化率(△H)が0.1%以下の物性を満たすことができる。
[式11]
△H(%)=Hf−Hi
前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。
具体的に、プライマー層の物性が、Tが60°C以上、より具体的には60°C以上であって上限は制限されず、膨潤率が30%以下、より具体的には0%〜30%、ゲル分率が95%以上、より具体的には95〜100%、密度が1.3以上、より具体的に1.3〜1.4である物性を満たす範囲内で、塗膜の構造緻密度およびプライマー層のモビリティ(Mobility)が低下して、温度および圧力が加えられる場合にも、ポリエステルフィルム内部のオリゴマーが表面にマイグレーションされないことを確認することができた。
本発明の一様態によるポリエステルフィルムにおいて、プライマー層は、オリゴマー遮断特性を有する水分散性樹脂組成物を塗布して形成されたものであることができる。
前記プライマー層を形成するための水分散性樹脂組成物として、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂と、水分散性ポリエステル系樹脂と、を含む水分散性樹脂組成物を用いることができる。
一様態として、前記水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が(A)/(B)=20〜80/80〜20であることができる。より好ましくは、40〜60/60〜40重量比で使用されることができる。水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分含量が20重量%未満であって、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)の固形分含量が80重量%を超える場合には、エマルションの粒子サイズ(Particle Size)が大きくなってインラインコーティング時にムラが発生し、ポリエステルベースフィルムとの密着性および透明性が低下する。また、水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分含量が80重量%を超え、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)の固形分含量が20重量%未満の場合には、オリゴマー遮断効果を十分に発現することができない。
本発明の水分散性樹脂組成物は、水分散性ポリエステル系樹脂(B)と、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と、を混合したバインダー樹脂と水を混合して製造することができ、水分散性ポリエステル系樹脂(B)の水性分散液中で、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単独またはグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合可能なラジカル重合性不飽和モノマーを重合して製造してもよい。この際には、界面活性剤、重合開始剤を使用することができる。前記界面活性剤および重合開始剤は、乳化重合に通常的に使用されるものであれば、制限されずに使用できる。具体例として、界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノ二オン性界面活性剤、または非反応性界面活性剤が使用でき、これらを併用して使用してもよい。重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤であるパーオキシド系開始剤またはアゾビスイソブチロニトリルなどの窒素化合物が使用できる。
本発明の水分散組成物は、必要に応じて、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、架橋剤などをさらに含むことができる。
本発明の水分散組成物において、前記水分散性ポリエステル系樹脂(B)は、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分と、ジエチレングリコールを含むグリコール成分と、が共重合されたものであることができる。
より具体的に、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸とスルホン酸アルカリ金属塩化合物が使用でき、前記スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対して6〜20モル%含有することができる。
前記ジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5‐ジメチルテレフタル酸、2,6‐ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが使用できる。
前記スルホン酸アルカリ金属塩化合物は、具体例として、スルホテレフタル酸、5‐スルホイソフタル酸、4‐スルホイソフタル酸、4‐スルホナフタレン酸‐2,7‐ジカルボン酸などのアルカリ金属塩などが使用でき、6〜20モル%使用することが好ましい。6モル%未満を使用する場合には、水における樹脂の分散時間が長くなり、分散性が低く、20モル%を超えて使用する場合には、耐水性が低下する恐れがある。
前記グリコール成分としては、ジエチレングリコール、炭素数2〜8の脂肪族または炭素数6〜12の脂環族グリコールなどが使用できる。具体例として、エチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,2‐プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4‐ブタンジオール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、1,3‐シクロヘキサンジメタノール、1,2‐シクロヘキサンジメタノール、1,6‐ヘキサンジオール、P‐キシレングリコール、トリエチレングリコールなどが使用できる。この際、ジエチレングリコールを全グリコール成分に対して20〜80モル%含有することが好ましい。
前記水分散性ポリエステル系樹脂(B)は、数平均分子量が1000〜50000であることが好ましく、より好ましくは、数平均分子量が2000〜30000である。数平均分子量が1000未満の場合には、オリゴマー遮断効果が微少であり、50000を超える場合には、水分散性が低い恐れがある。
前記水分散性ポリエステル系樹脂(B)としては、水または水性溶剤を含む水に50〜90°Cに加熱撹拌して均一に水分散させたものを使用する。このように製造された水分散体は、均一な分散のために、固形分濃度が30重量%以下、より好ましくは10〜30重量%である。前記水性溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなどが使用できる。
次に、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)について説明する。
グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの単独重合物またはグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合可能な他のラジカル重合性不飽和モノマーを共重合した樹脂である。
前記アクリル系樹脂は、共重合モノマーとしてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを全モノマー成分に対して20〜80モル%含有するものであることができる。前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは、架橋反応によりプライマー層の塗膜の強度を向上させ、架橋密度を高めるため、オリゴマーのマイグレーションを遮断することができる。具体例として、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリールグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルなどが使用できる。
グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合可能なラジカル重合性不飽和モノマーとしては、ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸、アリル化合物、含窒素系ビニルモノマー、炭化水素ビニルモノマーまたはビニルシラン化合物などが挙げられる。ビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニルなどが使用できる。不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2‐エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどが使用できる。不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミドなどが使用できる。不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリルなどが使用できる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸酸性エステル、フマル酸酸性エステル、イタコン酸酸性エステルなどが使用できる。アリル化合物としては、酢酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、イタコン酸ジアリルなどが使用できる。含窒素系ビニルモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどが使用できる。炭化水素ビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンなどが使用できる。ビニルシラン化合物としては、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ガンマ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ‐メタクリロキシプロピルジメトキシシランなどが使用できる。
本発明の一様態による水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分含量が0.5〜10重量%である水分散性または水溶性の組成物であることが好ましい。より具体的に、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分含量が0.5〜10重量%と、残部の水と、を含み、必要に応じて、湿潤剤、分散剤などの添加剤をさらに含むことができる。湿潤剤は、コーティング性を向上させるために使用されるものであり、具体例として、Dow Corning社製のQ2‐5212、ENBODIC社製のTEGO WET250、BYK CHEMIE社製のBYK348などの変性シリコン系湿潤剤などが使用できるが、これに限定されるものではない。湿潤剤は、0.1〜0.5重量%使用することが好ましく、前記範囲で、目的とするコーティング性の向上を達成することができる。
本発明において、前記プライマー層は、乾燥塗布厚さが20〜150nmであることができる。乾燥塗布厚さが20nm未満の場合には、オリゴマー遮断特性が十分に現れない恐れがあり、150nmを超える場合には、コーティングムラが生じて、フィルムの巻取りの後にプライマー層同士が付着してしまうブロッキング(Blocking)現象が発生する可能性が高くなる。
本発明において、前記水分散性樹脂組成物は、ポリエステルフィルムの製造工程中にインライン塗布法により塗布されることができる。すなわち、ポリエステルベースフィルムの製造時に、延伸前、または1次延伸後、2次延伸前にインライン塗布法により塗布した後、延伸することで製造されることができ、2次延伸および熱固定過程で加熱により水が蒸発して、プライマー層が形成されることができる。塗布法は公知の塗布法であれば制限されない。
より具体的に、本発明のポリエステルフィルムを製造する方法は、
a)機械方向に一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを製造するステップと、
b)前記一軸延伸されたポリエステルベースフィルムの片面または両面に、オリゴマー遮断特性を有する水分散性樹脂組成物を塗布してプライマー層を形成するステップと、
c)前記プライマー層が形成された一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを幅方向(TD)に二軸延伸するステップと、
d)前記二軸延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式12を満たす範囲で機械方向(MD)への弛緩を行うステップと、を含む。
[式12]
1.1≦弛緩率(%)≦2.5
(前記式中、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。)
本発明において、前記d)ステップにおける機械方向(MD)への弛緩は、下記式13を満たす温度範囲で行うことができる。
[式13]
延伸温度(°C)≦弛緩温度(°C)<熱固定温度(°C)
本発明は、上記のように、延伸を行った後、熱固定および機械方向への弛緩を行い、前記式9および10を満たす条件で弛緩を行うことにより、高温条件でオリゴマーがマイグレーションすることがなく、フィルムの収縮が発生しないため、後工程に有利なフィルムを製造することができる。
より具体的に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法において、前記a)ステップは、ポリエステルチップを押出機に入れて溶融押出した後、キャスティングドラムで急冷、固化させてポリエステルシートを製造した後、これを80〜100°Cで機械方向(MD)に一軸延伸するステップである。この際、延伸倍率は2〜4倍であることが好ましい。
前記b)ステップは、一軸延伸されたポリエステルベースフィルムに水分散性樹脂組成物をコーティングするステップであって、通常の当業者に公知の方法を用いてコーティングすることができる。
前記c)ステップは、プライマーコーティング層が形成されたポリエステルベースフィルムを幅方向(TD)に二軸延伸するステップであって、110〜150°Cで2〜4倍延伸することが好ましい。
前記d)ステップは、熱固定および弛緩を行うステップであって、d)ステップはテンターで行うことができる。熱固定は200〜240°Cで行い、弛緩は下記式13を満たす温度範囲で行うことが好ましい。
[式13]
延伸温度(°C)≦弛緩温度(°C)<熱固定温度(°C)
前記弛緩は、機械方向(MD方向)にはMD Relax装置を用いて行い、幅方向(TD方向)にはClipにPassing経路を異ならせて行うことができる。MD Relax装置は、熱処理区間の後に、総9つのレール(Rail)に1.1〜2.5%程度の速度差を設けることにより、その後のMD方向における収縮性能を制御することができる。好ましくは1.2〜2.0%、より好ましくは1.25〜2.0%の速度差を設けた方がよい。MD Relax比率の調整によって、150°C30分放置条件下でのMD方向の熱収縮率は0〜1.0%の範囲であり、より好ましくは0.3〜0.9%の範囲である。また、前記条件下でのTD方向の熱収縮率は0〜0.5%の範囲であり、より好ましくは0.0〜0.4%の範囲である。また、マスタロール(Master Roll)の全幅を基準として、熱収縮率の偏差がMD/TD方向ともに±0.2%以内であることが好ましい。
本発明において、前記スキン層は無機粒子を含むことができ、フィルムの初期ヘイズが1.5%未満の範囲を満たすように使用することが好ましい。また、フィルムの表面粗さは10nm以下であることが好ましい。表面粗さが10nmを超える場合には、ハードコーティング後に最終製品の平滑性の問題が生じる恐れがある。
より具体的には、平均粒径が3μm未満の粒子を100ppm以下使用することが好ましい。前記無機粒子としては、シリカ、ゼオライト、カオリンなどの、フィルムに用いられる粒子であれば何れでもよい。かかる無機粒子は、延伸工程によりフィルムの表面に出て、フィルムの滑り性および巻取性を向上させる。
粒径が3μm以上である場合には、粒子の含量が100ppm以下であってもフィルムの透明性が大きく低下し、また粗さ(Ra)が10nm以上であって平滑性に劣ることになるため、光学用、特にタッチパネル用に用いるには困難である。
また、粒子の含量が100ppm以上の場合には、フィルムの透明度が大きく低下して、タッチパネル用に適しない。また、ヘイズが1.5%以上の場合には、光学用およびタッチパネル用に用いる際に、透明度が著しく低下し、光透過度も大きく低下して、BLUの評価時に目視で欠陥を判断し難いため、光学用に用いるには困難である。
本発明の基材層およびスキン層を含むポリエステル多層フィルムの製造は、制限されないが、少なくとも2つ以上の溶融押出機で溶融押出した後、キャスティングし、二軸延伸することで得られる。より具体的に説明すれば、一押出機でポリエステルを押出し、また他の押出機で、ポリエステルとシリカやカオリン、ゼオライトなどの無機粒子などの添加剤とを同時に溶融押出した後、それぞれの溶融物をフィードブロックで合流させて共押出し、キャスティングして、冷却してから順次に二軸延伸する。
一様態において、前記ポリエステルフィルムの製造方法は、
a)オリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%である第1ポリエステル樹脂を含むスキン層組成物と、固有粘度が下記式10を満たす基材層用第2ポリエステル樹脂とを溶融押出して共押出するステップと、
b)共押出されたシートを一軸または二軸延伸してフィルムを製造するステップと、
c)延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式14を満たす範囲で幅方向(TD)への弛緩を行うステップと、を含むことができる。
[式10]
1<Ns/Nc≦1.2
(前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
[式14]
2≦TDr(%)≦11.5
[前記式中、TDrは、幅方向(TD)への弛緩率を意味し、弛緩率(%)={(弛緩処理区間前のフィルムの幅方向の最大幅寸法−弛緩処理区間内のフィルムの幅方向の最小幅寸法)/弛緩処理区間前のフィルムの最大幅寸法}×100である。]
本発明は、上記のように、延伸を行った後、熱固定および長さ方向への弛緩を行い、前記式6を満たす条件で弛緩を行うことで、高温条件でオリゴマーがマイグレーションすることがなく、フィルムの収縮が発生しないため、後工程に有利なフィルムを製造することができる。
より具体的に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法において、前記a)ステップは、基材層とスキン層をなすポリエステル樹脂を共押出した後、キャスティングドラムで急冷、固化させてポリエステルシートを製造するステップであって、スキン層と基材層に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度が、下記式10を満たす範囲であることが好ましい。
[式10]
1<Ns/Nc≦1.2
(前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
次に、b)ステップは、共押出されたシートを延伸してフィルムとして製造するステップであって、一軸または二軸延伸することができ、二軸延伸することが好ましい。二軸延伸する場合、80〜100°Cで長さ方向(MD)に一軸延伸し、この際、延伸倍率が2〜4倍であることが好ましい。次いで、幅方向(TD)に二軸延伸するステップで、110〜150°Cで2〜4倍延伸することが好ましい。
前記c)ステップは、熱固定および弛緩を行うステップであり、d)ステップは、テンターで行われることができる。熱固定は200〜240°Cで行い、弛緩は幅方向への弛緩率が下記式14を満たすように行うことで、熱収縮率が制御できる。
[式14]
2≦TDr(%)≦11.5
[前記式中、TDrは、幅方向(TD)への弛緩率を意味し、弛緩率(%)={(弛緩処理区間前のフィルムの幅方向の最大幅寸法−弛緩処理区間内のフィルムの幅方向の最小幅寸法)/弛緩処理区間前のフィルムの最大幅寸法}×100である。]
また、必要に応じて、幅方向への弛緩と同時に、下記式15を満たす範囲で長さ方向への弛緩を行うことができる。
[式15]
0.3≦MDr(%)≦2.5
[前記式中、MDrは、機械方向への弛緩率を意味し、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。]
前記式14および式15を満たす範囲で弛緩を行うことで、150°Cで30分間維持した後のフィルムの収縮率が式1および式2を満たすことができる。
本発明のポリエステルフィルムの上部に、ハードコーティング層、粘着剤層、光拡散層、ITO層、印刷層などが形成されることができ、かかる機能性コーティング層を形成した後に加熱しても、オリゴマーのマイグレーションが遮断されて光学的特性が維持されるため、本発明のポリエステルフィルムは光学フィルムに用いるに適する。
以下に、本発明をより具体的に説明するために実施例を挙げて説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
以下の物性は次の測定方法により測定した。
1)熱収縮率
フィルムを横10cm、縦10cmのサイズに切断した後、150°C状態の条件が保持されている熱風オーブンで30分間放置した後の寸法変化をJIS C‐2318規格に準じて測定した。但し、該フィルムの全幅ロール(Roll)に対して50cm間隔で測定し、寸法変化は、MD方向、TD方向、TD方向の時計回りに45°方向、135°方向においてそれぞれ測定を行った。
熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150℃で30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100
2)固有粘度
フェノールと1,1,2,2‐テトラクロロエタノールを6:4の重量比で混合した試薬100mlに、PETペレット(サンプル)0.4gを入れて90分間溶解させた後、ウベローデ粘度計に移して30°Cの恒温槽で10分間保持し、粘度計と吸引装置(aspirator)を用いて溶液の落下秒数を測定した。溶媒の落下秒数も同様の方法で測定した後、下記数式1および2によりR.V値およびI.V値を計算した。
下記数式中、Cは試料の濃度を示す。
Figure 2016525465
Figure 2016525465
3)オリゴマーの含量(%)
オリゴマーの定量方法として、試料溶媒であるHFIP(1,1,1,3,3,3‐ヘキサフルオロ‐2‐プロパノール)にクロロホルムを添加して室温で溶解した後、アセトニトリルをポリマーとして析出する。その後、LC分析装置を用いて標準物質(環状オリゴマー)の検量線を作成した後、試料の分析により環状オリゴマーの純度を決定した。分析装置としては、LC(liquid chromatography)とAgilent社製の1100seriesを用いた。
4)DEG(Diethylene glycol)の含量(%)
ジエチレングリコール(DEG、Diethylene Glycol)の含量を測定するために、試料1gを50mLの容器に入れ、モノエタノールアミン3mLを加えた後、ホットプレートを用いて加熱して試料を完全に溶解させた。次いで、100°Cに冷却させた後、1,6‐ヘキサンジオール0.005gをメタノール20mLに溶解させた溶液を加え、テレフタル酸10gを加えて中和させた。得られた中和液を漏斗および濾過紙を用いて濾過した後、その濾液をガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography)してDEG含量(重量%)を測定した。GC分析は、島津製作所製のGC分析装置を用いて、島津製作所のGCマニュアルに従って測定した。
5)ヘイズ
製膜されたフィルムの試験片をヘーズメータ(日本電色工業製、モデル名:NDH5000)を用いて、JIS K715に準じて測定した。
6)ヘイズ変化率(△H)
フィルム内におけるオリゴマーの表面マイグレーションを測定するために、上部が開口されている高さ3cm、横21cm、縦27cmの箱にフィルムを入れ、150°Cで60分間熱処理してオリゴマーをフィルムの表面にマイグレーションさせた後、5分間放置してから、ヘイズ値をJIS K715規格に準じてヘーズメータ(日本電色工業製、モデル名:NDH5000)を用いて測定した。
ヘイズ変化量を下記式11により計算した。
[式11]
△H(%)=Hf−Hi
(前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。)
7)プライマー層の乾燥塗布厚さ
コーティング組成物がコーティングされているベースフィルムの全幅で、機械方向の垂直方向(TD)に1m間隔で5Pointを指定し、フィルムの断面をSEM(Hitachi S‐4300)で測定し、5万倍拡大して、その区間内で30Pointを測定した後、平均値を計算した。
8)表面粗さ(Ra)
使用機器:3次元非接触式表面粗さ測定器(NT2000、WYCO社製)
前記機器を用いて、Ra(中心線平均粗さ)を測定した。
9)面配向係数
アッベ屈折計(ATOGO社製)を用いて長さ方向、幅方向、厚さ方向の屈折率を測定し、次の式により計算した。
面配向係数(ns)={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}
10)膨潤率、ゲル分率、およびTgの測定
実施例および比較例で製造された水分散性樹脂組成物15gを直径80mm、高さ15mmの丸い容器に入れ、80°Cで24時間、120°Cで3時間乾燥した後、180°Cで1時間エージング(Aging)した。これから1gの乾燥塗膜を採取した後、Tgを測定した。また、前記乾燥塗膜を蒸留水50gに浸した後、70°Cで24時間放置した。放置後の塗膜を取り出して膨潤率を測定した。また、放置後の塗膜を120°Cで3時間乾燥した後、重量を記録してゲル分率を測定した。
(1)膨潤率
約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸した後、70°Cで24時間放置し、放置後の塗膜を取り出して重量を記録した。
膨潤率=(放置後の重量−初期重量)/初期重量×100
(2)ゲル分率
放置後の塗膜を120°Cで3時間乾燥した後、重量を記録した。
ゲル分率=(乾燥後の重量/初期重量)×100
(3)Tgの測定
DSC(PerkinElmer社製、DSC7)機器を用いて、2nd Run modeで測定した。10〜11mgの乾燥塗膜をPerkinElmer DSC7を用いて測定した。
1st Run.=200°C/minの速度で0〜200°Cに昇温し、
保持時間(Holding Time)3分間、200°Cの温度を維持した後、
200°C/minの速度で200°C〜−40°Cに降温し、
保持時間(Holding Time)5分間、−40°Cの温度を維持し、
2nd Run.=−40°C〜200°C、20°C/minの条件で測定した。
11)カール発生有無
ハードコーティング処理されたフィルムと評価用フィルムとを150°C、3mpmの速度でラミネートした後、幅方向にA4サイズ(横29.7cm、縦21.0cm)に切断した。次いで、80°C状態の条件が保持されている熱風オーブンで12時間放置した後の寸法の変化を測定した。寸法の変化は、底面からA4フィルムの4つの角部分までの高さをそれぞれ測定した。
カール発生有無の判断は、底からフィルムの角部分までの高さが3mm以下の場合に、カールが発生しなかったと判断した。
以下、実施例および比較例で使用されたバインダー樹脂は次のとおりである。
1)KLX‐007バインダー
グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が(A)/(B)=50/50であり、
前記アクリル系樹脂は、共重合モノマーとしてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを全モノマー成分に対して50モル%含有し、
前記水分散性ポリエステル系樹脂は、ジエチレングリコールを全グリコール成分に対して50モル%含有し、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対して10モル%含有する。
2)P3208バインダー
ロームアンドハース社(Rohm&Haas社)製の、メチルメタクリレート40重量%、エチルアクリレート40重量%、およびメラミン20重量%を含むバインダーである。
[実施例1]
1)水分散性樹脂組成物(1)の製造
バインダーとして、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が(A)/(B)=40/60であるバインダーを使用した。
前記アクリル系樹脂(A)は、アクリル酸グリシジル60モル%、プロピオン酸ビニル40モル%が共重合されたものであって、重量平均分子量が35000であるものを使用した。
前記水分散性ポリエステル系樹脂(B)は、ジエチレングリコール50モル%およびエチレングリコール50モル%のグリコール成分50モル%に対して、スルホテレフタル酸15モル%およびテレフタル酸85モル%の酸成分を50モル%使用して重合された樹脂であって、重量平均分子量が14000であるものを使用した。
前記バインダーの固形分含量0.5重量%、シリコン系湿潤剤(BYK348、BYK CHEMIE社製)0.3重量%を水に添加し、2時間撹拌することで、全固形分含量が0.8重量%の水分散性樹脂組成物(1)を製造した。
製造された水分散性樹脂組成物を使用して、上記の膨潤率、ゲル分率、およびTgを測定し、その結果を下記表1に示す。
2)オリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(1)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは20nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例2]
1)水分散性樹脂組成物(2)の製造
バインダーとして、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が(A)/(B)=70/30であるバインダーを使用した。
前記アクリル系樹脂(A)は、アクリル酸グリシジル60モル%、プロピオン酸ビニル40モル%が共重合されたものであって、重量平均分子量が30000であるものを使用した。
前記水分散性ポリエステル系樹脂(B)は、ジエチレングリコール50モル%およびエチレングリコール50モル%のグリコール成分50モル%に対して、スルホテレフタル酸15モル%およびテレフタル酸85モル%の酸成分を50モル%使用して重合された樹脂であって、重量平均分子量が12000であるものを使用した。
前記バインダーの固形分含量5重量%、シリコン系湿潤剤(BYK348、BYK CHEMIE社製)0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が5.3重量%の水分散性樹脂組成物(2)を製造した。製造された水分散性樹脂組成物を使用して、上記の膨潤率、ゲル分率、およびTgを測定し、その結果を下記表1に示す。
製造された水分散性樹脂組成物(2)を使用して、実施例1と同様の方法により両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは110nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例3]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.7重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(1)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは20nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例4]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.7重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(2)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは110nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例5]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.4重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(1)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは20nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例6]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.4重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(2)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは110nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例7]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(1)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の70重量%であり、スキン層が全フィルム重量の30重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは20nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[実施例8]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(2)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の70重量%であり、スキン層が全フィルム重量の30重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは110nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[比較例1]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.5重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[比較例2]
基材層(B)として、固有粘度が0.65、ジエチレングリコールの含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを押出機に投入して溶融押出し、スキン層(A)としては、固有粘度が0.67、ジエチレングリコールの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%の、固相重合により製造されたポリエチレンテレフタレートチップを使用し、粒径0.7μmのシリカ粒子を全ポリエチレンテレフタレート重量に対して50ppm使用して、A/B/Aの3層に共押出キャスティングしたシートを製造した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(1)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで230°Cで熱処理し、200°Cで縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定することで、両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。
製造されたポリエステル多層フィルムは、基材層が全フィルム重量の80重量%であり、スキン層が全フィルム重量の20重量%であり、前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは20nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[比較例3]
メチルメタクリレート40重量%、エチルアクリレート40重量%、およびメラミン20重量%を含むバインダー(Rohm&Haas社製、P3208)を使用した。
前記バインダーの固形分含量2重量%、シリコン系湿潤剤(BYK348、BYK CHEMIE社製)0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が2.3重量%の水分散性樹脂組成物(3)を製造した。製造された水分散性樹脂組成物を使用して、上記の膨潤率、ゲル分率、およびTgを測定し、その結果を下記表1に示す。
製造された水分散性樹脂組成物(3)を使用して、実施例1と同様の方法により両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[比較例4]
ポリエステル系ポリオール(重量平均分子量が1000のポリエチレンアジペートジオール)9重量%、ヘキサメチレンジイソシアネート10重量%、イオン性基を有する反応性乳化剤(旭電化工業製、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルのスルホン酸エステルであるアデカリアソープSETM)1重量%および水80重量%を反応させた固形分含量20重量%の水性ポリウレタンバインダーを製造した。
前記バインダーの固形分含量4重量%、シリコン系湿潤剤(BYK348、BYK CHEMIE社製)0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が4.3重量%の水分散性樹脂組成物(4)を製造した。製造された水分散性樹脂組成物を使用して、上記の膨潤率、ゲル分率、およびTgを測定し、その結果を下記表1に示す。
製造された水分散性樹脂組成物(4)を使用して、実施例1と同様の方法により両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
[比較例5]
2,6‐ナフタレンジカルボン酸(2,6‐Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5‐ジカルボキシルベンゼンスルホネート(sodium 2,5‐dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)、およびエチレングリコールと1,4ブチレングリコールを1:1で混合して得られた100モル(66.66モル%)を無溶媒状態で混合し、これを反応器に入れ、170°Cから250°Cまで毎分当たり1°C昇温しながら反応させて、副産物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260°Cまで昇温すると同時に、反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行うことで、固有粘度が0.4のポリエステル樹脂を製造した。
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を入れて乳化させて、25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。
前記バインダーの固形分含量4重量%、シリコン系湿潤剤(BYK348、BYK CHEMIE社製)0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が4.3重量%の水分散性樹脂組成物(5)を製造した。製造された水分散性樹脂組成物を使用して、上記の膨潤率、ゲル分率、およびTgを測定し、その結果を下記表1に示す。
製造された水分散性樹脂組成物(5)を使用して、実施例1と同様の方法により両面にコーティングされた188μmの二軸延伸フィルムを製造した。前記組成物からなるプライマー層の乾燥塗布厚さは70nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表2に示す。
Figure 2016525465
Figure 2016525465
前記表1および表2に示すように、本発明によるポリエステル多層フィルムは、熱処理前後のヘイズ変化率が小さいため、光学フィルムに用いるに適した特性を有することが分かった。
これに対し、比較例1のように、プライマーコーティング処理せずにベースフィルムの重合チップを改善しただけでは、ヘイズ変化率が高いことが分かり、後工程で他のフィルムとラミネートする過程などでオリゴマーが多量発生して、本発明の物性を満たしていないことが分かる。また、比較例2のように、スキン層のオリゴマーの含量が1.4%である場合、要求されるヘイズの物性範囲を外れることを確認することができた。比較例3、4、5は、ヘイズ変化率がプライマー層の組成物に影響されることを確認することができた。
[実施例9]
1)水分散性樹脂組成物(6)の製造
KLX‐007バインダー(固形分25%の水分散組成物)16重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体、Q2‐5212)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が4.6重量%の水分散性樹脂組成物(6)を製造した。
2)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.25%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[実施例10]
1)水分散性樹脂組成物(7)の製造
KLX‐007バインダー(固形分25%の水分散組成物)8重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体、Q2‐5212)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が2.6重量%の水分散性樹脂組成物(7)を製造した。
2)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(7)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.25%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは40nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[実施例11]
1)水分散性樹脂組成物(8)の製造
KLX‐007バインダー(固形分25%の水分散組成物)24重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体、Q2‐5212)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が6.6重量%の水分散性樹脂組成物(8)を製造した。
2)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(8)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.25%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは160nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[実施例12]
1)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで245°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.25%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[実施例13]
1)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで237°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を2.0%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[実施例14]
1)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで244°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を2.0%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[比較例6]
1)水分散性樹脂組成物(9)の製造
P‐3208バインダー9.1重量%(固形分44%の水分散組成物)、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体、Q2‐5212)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加して2時間撹拌することで、全固形分含量が4.6重量%の水分散性樹脂組成物(9)を製造した。
2)熱収縮率が制御されたオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(9)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.25%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[比較例7]
1)熱収縮率が制御されていないオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を1.00%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[比較例8]
1)熱収縮率が制御されていないオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を3.00%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
[比較例9]
1)熱収縮率が制御されていないオリゴマー遮断ポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に入れて溶融押出した後、表面温度20°Cのキャスティングドラムで急冷、固化させることで、厚さが1500μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80°Cで機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。次いで、製造した水分散性樹脂組成物(6)をバーコーティング(Bar Coating)法により両面にコーティングした後、110°Cから150°Cまで毎秒当たり1°Cずつ昇温し、予熱、乾燥を経て幅方向(TD)に3.5倍延伸した。次いで、5段テンターで235°Cで熱処理し、200°Cで幅方向に10%弛緩させて熱固定した後、MD Relax装置のRelax率を0%に調整することで、両面にコーティングされた125μmの二軸延伸フィルムを製造した。
前記組成物からなるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは80nmであった。このように得られたポリエステルフィルムの物性を下記表3、表4に示す。
Figure 2016525465
Figure 2016525465
Figure 2016525465
前記表3に示すように、本発明によるポリエステルフィルムは、熱処理前後のヘイズ変化率が小さいため、光学フィルムとして優れた特性を有することが分かった。これに対し、比較例6は、ヘイズ変化率がプライマーコーティング層の組成物に影響されることを確認することができる。すなわち、コーティング層の組成物の選択によって、オリゴマー遮断性能の程度に差が生じることを確認することができる。
また、前記表4に示すように、熱処理温度および機械方向への弛緩(MD Relax)率によって、目標とする熱収縮率を全幅において均一に確保できることが分かった。このようなことから、製品のカール(Curl)問題が制御できることを確認することができる。これに対し、比較例7は、MDRelax率を1.0%とし、既存装置だけでは、所望の熱収縮率を確保することが困難であり、その均一性も低下することが分かった。また、比較例8は、MDRelax率を3.0%と設定したところ、製膜が不可能であった。
比較例9は、MD熱収縮率が、MD方向とTD方向の熱収縮率の偏差が0.2%と良好な結果が確認されたにもかかわらず、カール発生程度が3.5mmであって、問題が生じることを確認することができた。この場合に発生したカールの形状は、4つの角のうち対角方向の2つの角でのみカールが発生する、ツイストカール(Twist Curl)であって、これは対角方向における熱収縮率の差により発生する。表3に示すように、製膜工程の条件差によって対角方向における熱収縮率の差が生じ、この差により、ラミネート工程時にツイストカールが発生することを確認することができる。すなわち、比較例9は、フィルムの全幅においてMD方向とTD方向の熱収縮率の偏差が良好であるにもかかわらず、対角方向における熱収縮率の差が均一でないため、その差が大きくない中央部ではカール制御が可能であるが、その差が0.2%以上である両辺部ではツイストカールが発生して、カール制御が不可能であることを確認することができる。
[実施例15]
基材層としては、固有粘度が0.65、ジエチレングリコール(DEG)の含量が1.2重量%、オリゴマーの含量が1.4重量%のPETチップを使用し、スキン層としては、固有粘度が0.67、DEGの含量が0.8重量%、オリゴマーの含量が0.5%の固相重合されたPETチップを使用して、粒径0.7μmの粒子を30ppm使用して、それぞれ共押出キャスティングした。次いで、それぞれ縦と横方向に3.2倍、3.2倍に順次延伸し、230°Cで熱処理し、幅方向に3%弛緩を与えることで、125μmの多層フィルムを製造した。この際、幅方向への弛緩は、延伸後最大幅寸法において、テンター内の熱処理ゾーンにおける3区間の弛緩を順に与え、幅寸法は、最大幅方向の寸法の3%だけ縮小された。
この際のスキン層の粒子組成と含量は表6に示す。
前記多層フィルムの基材層が全フィルム重量の80重量%、スキン層が全フィルム重量の20重量%となるようにして製造後、フィルムのオリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[実施例16および17]
下記表6のようにスキン層の原料のDEGの含量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
得られたフィルムに対して、オリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[実施例18および19]
下記表6のようにスキン層の原料のオリゴマーの含量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
得られたフィルムに対して、オリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[実施例20および21]
下記表6のようにスキン層の重量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
[実施例22および23]
下記表6のようにスキン層の粒子含量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
[実施例24]
幅方向への弛緩と同時に長さ方向に1.5%の弛緩を与えて、実施例15と同様に実施した。
[比較例10]
実施例15と同様に実施し、スキン層を製造するにあたり、固有粘度が0.65、オリゴマーの含量が1.4%のPET単独を使用し、スキン層の粒子のみを実施例16と同様にして製造後、オリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[比較例11および12]
下記表6のようにスキン層のDEGの含量を異ならせて、実施例15と同様に実施した。
得られたフィルムに対して、オリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[比較例13および14]
下記表6のようにスキン層のオリゴマーの含量を異ならせて、実施例15と同様に実施した。得られたフィルムに対して、オリゴマーの表面マイグレーション、表面粗さ、ヘイズ、面配向係数、収縮率を測定した。
[比較例15および16]
下記表6のようにスキン層の重量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
[比較例17および18]
下記表6のようにスキン層の粒子含量のみを異ならせて、実施例15と同様に実施した。
[比較例19および20]
熱処理温度を200°C、210°C、幅方向弛緩を1%、1.5%として製膜したことを除き、実施例16と同様の組成で実施した。
Figure 2016525465
Figure 2016525465

*A/B/Aに共押出している。(スキン層の厚さは両A層の総量)
Figure 2016525465
前記表7に示すように、本発明の実施例は、150°Cで30分間維持した後のフィルムの熱収縮率が式1および2を満たす範囲と低く、面配向係数が0.1590以上であり、表面粗さが10nm以下であり、加熱前のフィルムのヘイズ(Hi)が1.5%未満であり、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズが式9を全て満たすことを確認した。
以上で本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は様々な変更と均等物が可能であり、前記実施例を適切に変形して同様に応用できることが明らかである。したがって、上記の記載内容は、添付の特許請求の範囲に限定されて決まる本発明の範囲を限定するためのものではない。

Claims (38)

  1. ポリエステル樹脂からなるポリエステルベースフィルムと、その片面または両面に水分散性樹脂組成物を塗布して形成したプライマー層と、を含み、下記式1および2を満たすポリエステルフィルム。
    [式1]
    0≦Smd≦1.5
    [式2]
    0≦Std≦1.0
    [前記式中、SmdおよびStdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
    Smdは、フィルムの機械方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdは、フィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味する。]
  2. 下記式3および4を満たす、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    [式3]
    −0.2≦Vmd≦0.2
    [式4]
    −0.2≦Vtd≦0.2
    [前記式中、VmdおよびVtdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
    Vmdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の機械方向の熱収縮率の偏差(%)を意味し、Vtdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の幅方向の熱収縮率の偏差(%)を意味する。]
  3. 下記式5〜式7を満たす、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    [式5]
    0≦S(45)≦1.0
    [式6]
    0≦S(135)≦1.0
    [式7]
    |S(135)−S(45)|≦0.2
    [前記式中、S(45)およびS(135)は、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100である。また、S(45)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度の対角方向における収縮率(%)を意味し、S(135)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度の対角方向における収縮率(%)を意味する。]
  4. 下記式8および式9を満たす、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    [式8]
    0.1590≦ns
    [式9]
    Hf≦Hi×2.5
    [前記式中、ns={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}の面配向係数を意味し、
    前記Hfは、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズを表す。]
  5. 前記ポリエステルベースフィルムは、基材層と、前記基材層の両面に少なくとも2層以上積層されたスキン層と、を含み、
    前記スキン層をなすポリエステル樹脂のオリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記ポリエステルベースフィルムは、基材層とスキン層とを共押出したものであって、固有粘度が下記式10を満たす、請求項5に記載のポリエステルフィルム。
    [式10]
    1<Ns/Nc≦1.2
    (前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
  7. 前記ポリエステルベースフィルムは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度が0.5〜1.0であり、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度が0.6〜1.0である、請求項5に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記プライマー層は、Tgが60°C以上、膨潤率(Swelling ratio)が30%以下、ゲル分率(Gel fraction)が95%以上、密度が1.3〜1.4である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  9. 下記式11で表されるヘイズ変化率(△H)が0.1%以下である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    [式11]
    △H(%)=Hf−Hi
    (前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。)
  10. 前記水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と、水分散性ポリエステル系樹脂(B)と、からなるバインダー樹脂を含み、
    前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が、(A)/(B)=20〜80/80〜20である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記水分散性樹脂組成物は、バインダー樹脂の固形分含量が0.5〜10重量%である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  12. 前記水分散性樹脂組成物は、シリコン系湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  13. 前記水分散性ポリエステル系樹脂は、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分と、ジエチレングリコールを含むグリコール成分とが共重合されたものである、請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  14. 前記水分散性ポリエステル系樹脂は、ジエチレングリコールを全グリコール成分に対して20〜80モル%含有する、請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  15. 前記水分散性ポリエステル系樹脂は、スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対して6〜20モル%含有する、請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  16. 前記アクリル系樹脂は、共重合モノマーとしてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーを全モノマー成分に対して20〜80モル%含有する、請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  17. 前記ポリエステルベースフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  18. 前記ポリエステルベースフィルムは、厚さが25〜250μmである、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  19. 前記プライマー層は、乾燥塗布厚さが20〜150nmである、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  20. 前記ポリエステルベースフィルムは、基材層が70〜90重量%であり、スキン層が10〜30重量%である、請求項5に記載のポリエステルフィルム。
  21. 表面粗さ(Ra)が10nm以下である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  22. 前記スキン層は、無機粒子を100ppm以下含む、請求項5に記載のポリエステル多層フィルム。
  23. 前記無機粒子は、平均粒径が3μm未満である、請求項21に記載のポリエステル多層フィルム。
  24. 前記無機粒子は、シリカ、ゼオライト、カオリンから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である、請求項21に記載のポリエステル多層フィルム。
  25. 請求項1乃至24の何れか一項に記載のポリエステルフィルムの上部に、ハードコーティング層、粘着剤層、光拡散層、ITO層、および印刷層から選択される何れか1つ以上の機能性コーティング層を形成した光学フィルム。
  26. a)機械方向に一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを製造するステップと、
    b)前記一軸延伸されたポリエステルベースフィルムの片面または両面に、オリゴマー遮断特性を有する水分散性樹脂組成物を塗布してプライマー層を形成するステップと、
    c)前記プライマー層が形成された、一軸延伸されたポリエステルベースフィルムを幅方向(TD)に二軸延伸するステップと、
    d)前記二軸延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式12を満たす範囲で機械方向(MD)への弛緩を行うステップと、を含むポリエステルフィルムの製造方法。
    [式12]
    1.1≦弛緩率(%)≦2.5
    (前記式中、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。)
  27. 前記d)ステップで、機械方向(MD)への弛緩は、下記式13を満たす温度範囲で行う、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
    [式13]
    延伸温度(°C)≦弛緩温度(°C)<熱固定温度(°C)
  28. 前記水分散性樹脂組成物は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と、水分散性ポリエステル系樹脂(B)と、からなるバインダー樹脂を含み、前記グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーが共重合されたアクリル系樹脂(A)と水分散性ポリエステル系樹脂(B)の固形分重量比が、(A)/(B)=20〜80/80〜20である、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  29. 前記ポリエステルフィルムは、熱収縮率(%)が下記式1〜式4を満たす、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
    [式1]
    0≦Smd≦1.0
    [式2]
    0≦Std≦0.5
    [式3]
    −0.2≦Vmd≦0.2
    [式4]
    −0.2≦Vtd≦0.2
    [前記式中、Smd、Std、VmdおよびVtdは、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、
    Smdは、フィルムの機械方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdは、フィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味し、Vmdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の機械方向の熱収縮率の偏差(%)を意味し、Vtdは、フィルムの全幅を基準として50cm間隔で選択された試料10個の幅方向の熱収縮率の偏差(%)を意味する。]
  30. 前記ポリエステルフィルムは、下記式5〜式7を満たす、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
    [式5]
    0≦S(45)≦1.0
    [式6]
    0≦S(135)≦1.0
    [式7]
    |S(135)−S(45)|≦0.2
    [前記式中、S(45)およびS(135)は、横10cm、縦10cmのサイズのポリエステルフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100である。また、S(45)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に45°角度の対角方向における収縮率(%)を意味し、S(135)は、フィルムの幅方向(TD)を基準として時計方向に135°角度の対角方向における収縮率(%)を意味する。]
  31. 前記プライマー層は、Tが60°C以上、膨潤率が30%以下、ゲル分率が95%以上、密度が1.3〜1.4である、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  32. 前記ポリエステルフィルムは、下記式11で表されるヘイズ変化率(△H)が0.1%以下である、請求項26に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
    [式11]
    △H(%)=Hf−Hi
    (前記式中、Hfは、150°Cで60分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。)
  33. a)オリゴマーの含量が0.3〜0.6重量%であり、ジエチレングリコールの含量が0.1〜1.2重量%である第1ポリエステル樹脂を含むスキン層組成物と、固有粘度が下記式10を満たす基材層用第2ポリエステル樹脂とを溶融押出して共押出するステップと、
    b)共押出されたシートを一軸または二軸延伸してフィルムを製造するステップと、
    c)延伸されたフィルムに対して、熱固定および下記式14を満たす範囲で幅方向(TD)への弛緩を行うステップと、を含むポリエステルフィルムの製造方法。
    [式10]
    1<Ns/Nc≦1.2
    (前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
    [式14]
    2≦TDr(%)≦11.5
    [前記式中、TDrは幅方向(TD)への弛緩率を意味し、弛緩率(%)={(弛緩処理区間前のフィルムの幅方向の最大幅寸法−弛緩処理区間内のフィルムの幅方向の最小幅寸法)/弛緩処理区間前のフィルムの最大幅寸法}×100である。]
  34. 前記a)ステップで、スキン層組成物は、無機粒子を100ppm以下含む、請求項33に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  35. 前記無機粒子は、平均粒径が3μm未満である、請求項33に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  36. 前記ポリエステルフィルムの表面粗さ(Ra)が10nm以下であり、熱収縮率が下記式1および式2を満たし、面配向係数(ns)が下記式8を満たし、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズが下記式9を満たす、請求項33に記載のポリエステル多層フィルムの製造方法。
    [式1]
    0≦Smd≦1.5
    [式2]
    0≦Std≦1.0
    [式8]
    0.1590≦ns
    [式9]
    Hf≦Hi×2.5
    (前記式中、Smd、Stdは、横10cm、縦10cmのサイズのフィルムを150°Cで30分間維持した後、JIS C‐2318規格に準じて測定したフィルムの熱収縮率(%)を意味し、前記熱収縮率(%)=(熱処理前のフィルムの長さ−150°Cで30分間維持した後のフィルムの長さ)/熱処理前のフィルムの長さ×100であり、Smdはフィルムの長さ方向(MD)の収縮率(%)を意味し、Stdはフィルムの幅方向(TD)の収縮率(%)を意味し、
    前記面配向係数(ns)={(長さ方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2}−{(長さ方向の厚さの屈折率+幅方向の厚さの屈折率)/2}であり、
    前記Hfは、150°Cで30分間維持した後のフィルムのヘイズであり、Hiは、加熱前のフィルムのヘイズである。]
  37. 前記ポリエステルベースフィルムは、基材層とスキン層とを共押出したものであって、固有粘度が下記式10を満たす、請求項33に記載のポリエステル多層フィルムの製造方法。
    [式10]
    1<Ns/Nc≦1.2
    (前記式中、Nsは、スキン層をなすポリエステル樹脂の固有粘度であり、Ncは、基材層をなすポリエステル樹脂の固有粘度である。)
  38. 前記c)ステップにおける弛緩時に、幅方向への弛緩と同時に、下記式15を満たす範囲で長さ方向への弛緩を行う、請求項33に記載のポリエステル多層フィルムの製造方法。
    [式15]
    0.3≦MDr(%)≦2.5
    [前記式中、MDrは、機械方向における弛緩率を意味し、弛緩率(%)=(弛緩処理区間内のフィルムの走行速度−弛緩処理区間前のフィルムの走行速度)/弛緩処理区間前のフィルムの走行速度×100である。]
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