JP2016518855A - 融合プロテアーゼ - Google Patents

融合プロテアーゼ Download PDF

Info

Publication number
JP2016518855A
JP2016518855A JP2016514440A JP2016514440A JP2016518855A JP 2016518855 A JP2016518855 A JP 2016518855A JP 2016514440 A JP2016514440 A JP 2016514440A JP 2016514440 A JP2016514440 A JP 2016514440A JP 2016518855 A JP2016518855 A JP 2016518855A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protease
protein
fusion
bifunctional fusion
bifunctional
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2016514440A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016518855A5 (ja
Inventor
アラン・クリスチャン・ショー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Novo Nordisk AS
Original Assignee
Novo Nordisk AS
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Novo Nordisk AS filed Critical Novo Nordisk AS
Publication of JP2016518855A publication Critical patent/JP2016518855A/ja
Publication of JP2016518855A5 publication Critical patent/JP2016518855A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/06Preparation of peptides or proteins produced by the hydrolysis of a peptide bond, e.g. hydrolysate products
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/485Exopeptidases (3.4.11-3.4.19)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/503Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from viruses
    • C12N9/506Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from viruses derived from RNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y304/00Hydrolases acting on peptide bonds, i.e. peptidases (3.4)
    • C12Y304/14Dipeptidyl-peptidases and tripeptidyl-peptidases (3.4.14)
    • C12Y304/14011Xaa-Pro dipeptidyl-peptidase (3.4.14.11)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y304/00Hydrolases acting on peptide bonds, i.e. peptidases (3.4)
    • C12Y304/22Cysteine endopeptidases (3.4.22)
    • C12Y304/22028Picornain 3C (3.4.22.28)

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、融合タンパク質から成熟タンパク質を製造するために有用な、新規な二機能性融合プロテアーゼに関する。更に具体的には、本発明は、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼを含む二機能性融合プロテアーゼに関する。

Description

本発明は、タンパク質発現、及び成熟タンパク質を融合タンパク質から放出させるタンパク質化学の技術分野に関する。
組換えタンパク質技術によって、それらの生物学的活性に利用できる所望のタンパク質の大量生産が可能になる。このようなタンパク質は、微生物宿主細胞において組換え融合タンパク質として発現されることが多い。成熟タンパク質(目的のタンパク質)は、発現レベルを増大させるため、溶解度を増大させるため、タンパク質のフォールディングを促進するため、又は精製及び下流プロセシングを容易にするために、融合パートナータンパク質又はより小さなアミノ酸伸長に結合することが多い。
非変性N末端及びC末端を有する成熟タンパク質を放出するための、融合タンパク質からの融合パートナータンパク質の除去は、タンパク質の無傷の生物学的活性を維持するために、及び医薬品規制の目的で、極めて重要であり得る。
現在、放出された成熟標的タンパク質内に非変性N末端を残す、融合タンパク質からの融合パートナータンパク質の除去に有用な、限られた数のプロテアーゼが、産業的利用で経済的に維持可能な酵素として利用可能である。
このような酵素の1つはエンテロキナーゼであるが、これは、一般的に適用可能となるには特異性を欠いている。他のこのような酵素は、因子Xa、トリプシン、クロストリパイン、トロンビン、TEV、又はライノウイルス3Cプロテアーゼであり、これらの全ては、ほとんどのタンパク質が内部の第2の切断部位を含むために特異性を欠いているか、又は成熟タンパク質のC末端若しくはN末端にアミノ酸伸長を残す。
Waugh、Protein Expr. Purif. 80:283〜293(2011)は、親和性タグを除去するための酵素試薬の概説を開示している。
WO92/10576は、医薬調製物における、DPP IV切断可能伸長ペプチド部分を有する融合タンパク質の使用を開示している。
Xin、Protein Expr. Purif. 2002、24、530〜538頁は、クローニング、大腸菌(Escherichia coli)における発現、及び、組換えタンパク質からN末端Pro-Proを除去するための、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)に由来するX-プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼの適用を開示している。
Bulow、TIBTECH 9:226〜231(1991)は、遺伝子融合によって二機能性酵素を調製するための方法を開示している。
Seo、Appl. Environ. Microbiol. 2000、66、2484〜2490頁は、トレハロース-6-リン酸合成酵素及びトレハロース-6-リン酸ホスファターゼの二機能性融合酵素を開示している。
製薬産業において、タンパク質医薬品は現在、競争市場のかなりの割合を構成しており、したがって、これらのタンパク質医薬品を大規模製造するための効率的なプロセスが必要とされている。融合タンパク質の産業的利用のための鍵となる論点は、依然として、無傷の成熟タンパク質を遊離させるための、融合タンパク質からの融合タンパク質パートナーの除去にある。
WO92/10576 WO2006/108826 WO2008/043847
Waugh、Protein Expr. Purif. 80:283〜293(2011) Xin、Protein Expr. Purif. 2002、24、530〜538頁 Bulow、TIBTECH 9:226〜231(1991) Seo、Appl. Environ. Microbiol. 2000、66、2484〜2490頁 Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor, New York、1989 DeBoerら、1983、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80: 21〜25頁 Studier及びMoffatt、J. Mol. Biol. 189、113頁(1986) Dalbogeら、1987、Biotechnology 5、161〜164頁 Scientific American、1980、242: 74〜94頁 Simonen及びPalva、1993、Microbiological Reviews 57: 109〜137頁 Nielsenら、1997、Protein Eng. 10、1〜6頁 Emanuelsenら、2007、Nature Protocols 2、953〜971頁 Cordingleyら、J. Virol. 1989、63、5037〜5045頁 Birchら、Protein Expr Purif.、1995、6、609〜618頁 Chichら、Anal. Biochem、1995、224、245〜249頁 Rigoletら、Structure、10、1384〜1394頁
したがって、成熟タンパク質内部の部位を切断することなく、且ついかなるアミノ酸伸長も成熟タンパク質上に残すことなく、融合パートナータンパク質を特異的に除去するための、産業的プロセスが必要とされている。好ましくは、融合パートナータンパク質のこの除去は、産業的プロセスにおいて容易に調製される単一の酵素のみを用いて行われる。成熟タンパク質に対する意図せぬ化学的及び物理的変化を防ぐための穏やかなプロセシング条件で多くの異なるタンパク質にこの機能をもたらし得るこのようなプロセスもまた必要とされている。
本発明の目的は、融合タンパク質から成熟タンパク質を提供するための、簡単な一段階プロセスを提供することである。
驚くべきことに、ピコルナウイルス3CプロテアーゼとXaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼ(XaaProDAP)とはいずれも、タンパク質医薬品の製造に有用であることが見出された、補体活性を示す非常に特異的な酵素である。しかし、これらはタンパク質分解酵素であるため、1つの二機能性融合プロテアーゼとして共に融合したときに、自己切断に関する問題が生じる。
融合プロテアーゼにおける2つの酵素の組合せは、2つの酵素が物理的に近接していることに起因して有利な反応動態となり、それによって副反応も少ないという利点を有し得る。融合プロテアーゼにおける2つの酵素の組合せは、提供され使用される試薬が1種のみであるというさらなる利点を有する。サイズがより大きいことに起因して、融合プロテアーゼはまた、簡単なゲル濾過プロセスによって成熟タンパク質から容易に除去され得る。
本発明の第1の態様によると、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPの触媒性ドメインを含む二機能性融合プロテアーゼが提供される。1つの実施形態において、二機能性融合プロテアーゼは、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPを含む。
本発明の第2の態様によると、式:
X-Y-Z(I)又はZ-Y-X(II)
(式中、
Xは、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体であり、
Yは、任意選択のリンカーであり、
Zは、Xaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼ(XaaProDAP)又はその機能的変異体である)
のタンパク質を含み、2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない、二機能性融合プロテアーゼが提供される。
1つの実施形態において、本発明による二機能性融合プロテアーゼは、式(I)を有し、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体は、前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある。
別の実施形態において、Xは、ヒトライノウイルス14型3Cプロテアーゼ(HRV14 3C)又はその機能的変異体である。
別の実施形態において、Zは、E.C.3.4.14.11酵素又はその機能的変異体である。
本発明の第3の態様によると、本発明による二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法であって、宿主細胞中で二機能性融合プロテアーゼを含むタンパク質を組換え発現させ、続いて二機能性融合プロテアーゼを単離することを含む、方法が提供される。
1つの実施形態において、二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法は、前記宿主細胞として大腸菌を含む。
本発明の第4の態様によると、より大きなペプチド又はタンパク質からN末端ペプチド又はタンパク質を除去するための、本発明による二機能性融合プロテアーゼの使用が提供される。
精製された二機能性HRV14-XaaProDAP融合プロテアーゼ(プロテアーゼ20986)の還元SDS-PAGEを示す図である。レーン1はタンパク質マーカーである。数字は、kDaで表されたサイズを示す。レーン2は精製されたプロテアーゼ20986である。 プロテアーゼ20986と共に3時間、37℃で、1:20モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応1)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ20986と共に3時間、37℃で、1:40モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応2)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 RL9-HRV14 3Cプロテアーゼと共に3時間、37℃で、1:20モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応3)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 RL9-HRV14 3Cプロテアーゼと共に3時間、37℃で、1:40モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応4)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ20986と共に一晩、4℃で、1:500モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_グルカゴンのデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応12)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28994と共に一晩、4℃で、1:100モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_グルカゴンのデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応13)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28996と共に一晩、4℃で、1:500モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_グルカゴンのデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応16)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28997と共に一晩、4℃で、1:500モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_グルカゴンのデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応17)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 RL9-HRV14 3Cプロテアーゼと共に一晩、4℃で、1:20モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_グルカゴンのデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応18、対照)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ20986と共に一晩、4℃で、1:500モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応20)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28994と共に一晩、4℃で、1:100モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応21)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28996と共に一晩、4℃で、1:100モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応23)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 プロテアーゼ28997と共に一晩、4℃で、1:100モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応25)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。 RL9-HRV14 3Cプロテアーゼと共に一晩、4℃で、1:20モルの酵素対基質比を用いてインキュベートした後の、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)のデコンボリューションされた質量スペクトルを示す図である(反応27、対照)。X軸は、Daで表された質量対電荷比(m/z)である。Y軸は相対強度である。
本発明の第1の態様によると、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPの触媒性ドメインを含む二機能性融合酵素が提供される。
本発明の第2の態様によると、式:
X-Y-Z(I)又はZ-Y-X(II)
(式中、
Xは、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体であり、
Yは、任意選択のリンカーであり、
Zは、Xaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼ(XaaProDAP)又はその機能的変異体である)
のタンパク質を含み、2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない、二機能性融合プロテアーゼが提供される。
本発明の方法は、融合タンパク質から成熟タンパク質を放出するための先に記載された方法に勝る多くの利点をもたらす。例えば、驚くべきことに、融合タンパク質の非常に特異的な加水分解が得られ得、その結果、成熟タンパク質が、関連不純物の不存在下で、又は最小レベルの関連不純物を伴って、正確な非変性N末端アミノ酸を伴って、高収量で放出されるということが見出された。あらゆる関連不純物、すなわち、化学構造にわずかな差異を有することによって成熟タンパク質に似せているタンパク質の存在は、製造プロセスにおいて除去することが困難且つ高価であるため、明らかに望ましくない。さらなる実施形態は、低温の反応条件で融合タンパク質から成熟タンパク質を放出することを可能にするという利点を有する。
驚くべきことに、本発明の二機能性融合プロテアーゼが大腸菌における組換え発現によって調製され得ることも見出されている。通常は、大腸菌において高分子タンパク質を問題なく発現させることは困難である。しかし、本発明の二機能性融合プロテアーゼは、本発明の開示された実施例において示されるように、大腸菌における組換え発現によって調製され得る。
本発明者らは、機能性XaaProDAP及び機能性ピコルナウイルス3Cプロテアーゼを含む融合プロテアーゼを提供することを目指した。このような二機能性融合プロテアーゼは、微生物において発現され得るものであり、発現の間、精製の間、及び融合タンパク質から成熟タンパク質を放出させるための使用の間に安定でなくてはならない。二機能性融合プロテアーゼの調製の間に、複数の技術的課題にぶつかった。第1に、HRV14 3Cがそれ自体をHRV14 3C-XaaProDAP融合プロテアーゼから切断し、その結果、融合プロテアーゼが不安定であることが分かった。第2に、HRV14 3Cもまた、HRV14 3C-XaaProDAP融合プロテアーゼを、ラクトコッカス・ラクティスに由来するXaaProDAP内の、典型的なHRV14 3C切断部位と認識されない部位で、内部切断する。これもまた、融合プロテアーゼを不安定にした。第3に、ラクトコッカス・ラクティスに由来するXaaProDAPは、XaaProDAPが融合プロテアーゼのC末端にある場合、HRV14 3C-XaaProDAP融合プロテアーゼのN末端からジペプチドを除去し得る。したがって、第1の融合プロテアーゼは3つの異なる部位での自己切断を示し、その結果、活性の不存在と、二機能性融合プロテアーゼの発現、精製、触媒機能、安定性、又はこれらの組合せが原因であった場合に解決するのが困難な課題とをもたらした。
本発明による二機能性融合プロテアーゼを設計する場合、以下:
a)タンパク質表面上にアクセス可能なQG部分配列を有さない、XaaProDAP又は機能的変異体を提供するステップ、
b)ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体を提供するステップであって、該プロテアーゼ又はその機能的変異体が二機能性融合プロテアーゼのN末端にある場合に、そのN末端にXaaProDAP切断部位を有さず、且つそのC末端での切断によってそれ自体を削除させ得る切断部位を有さない、ステップ、及び
c)単一の核酸配列から発現させることができる二機能性融合プロテアーゼが構成されるように、任意選択のアミノ酸リンカー配列を介してXaaProDAP及びピコルナウイルス3Cプロテアーゼを接続するステップ
が行ってもよい。
用語ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質は、本文脈において区別せずに用いられることが理解される。また、アミノ酸は、IUPAC命名に従って、一文字記号又は三文字記号に省略される。
本発明に係る二機能性融合プロテアーゼは、好ましくは、2〜10℃又は2〜15℃等の低温で十分な活性を示し、それは、これが、例えば非無菌処理条件での微生物活性の制御に起因して、産業的製造の観点から望ましいためである。
本明細書において用いられる「Xaa-Proジペプチジルアミノペプチダーゼ」(「XaaProDAP」)は、Xaa-Proジペプチドに、すなわち、Xaa-ProジペプチドのC末端と目的のペプチド又はタンパク質のN末端とを接続する切断可能な結合に特異的なジペプチダーゼ活性を有する酵素を意味するものである。XaaProDAPは、国際生物学分子生物学連合(IUBMB)の酵素命名法に従って、ペプチダーゼファミリーS15の酵素EC 3.4.14.11及びペプチダーゼファミリーS9Bの酵素EC 3.4.14.5として分類される。XaaProDAPの非限定的な例は、哺乳動物に由来するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)である。XaaProDAPの他の非限定的な例は、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、及びブタ連鎖球菌(Streptococcus suis)等の細菌に由来するXaa-プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼである。ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)CNCM I-1631に由来するXaa-プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼは、以下の配列を有する。
Figure 2016518855
XaaProDAPは、例えば細菌又は哺乳動物において天然の酵素であり得るが、このような酵素の機能的変異体でもあり得る。機能的変異体の非限定的な例は、天然XaaProDAPの類似体、伸長した形、又はトランケートした形であり、これらの機能的変異体は、Xaa-Proジペプチドに特異的なジペプチダーゼ活性を保持している。
ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ(又はタンパク質3C、ピコルニアン(Picornian)3C、又はピコルナウイルス3C)は、ピコルナウイルスファミリーのウイルスにおいて前駆体ポリタンパク質から成熟ウイルスタンパク質を生成させることに関与する、セリンプロテイナーゼ様のフォールディングを有するシステインプロテアーゼの群である。
本明細書において用いられる「ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ」は、その機能的変異体を含む、ピコルナウイルスファミリーに由来するプロテアーゼを意味するものであり、これらのプロテアーゼは、切断可能な結合がGln及びGlyを接続しているP1-P1' Gln-Gly対(一般的に用いられる表記に従ったP1及びP1'は、切断可能な結合のN末端側及びC末端側の最初のアミノ酸をそれぞれ示す)の間のペプチド結合を切断する。いくつかのピコルナウイルス3Cプロテアーゼは更に、P2'中のProに対する選択性を有しており、ここでP2'は、切断可能な結合のC末端側の第2のアミノ酸を示す。この基質特異性を有する酵素は、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、及びライノウイルスを現在は含むエンテロウイルス属のウイルスから典型的に単離される。このようなピコルナウイルス3Cプロテアーゼの非限定的な例は、配列
Figure 2016518855
を有する、ヒトライノウイルス14型3C(HRV14 3C)プロテアーゼ、エンテロウイルス71 3Cプロテアーゼ、コクサッキーウイルスA16 3Cプロテアーゼ、コクサッキーウイルスB3 3Cプロテアーゼ、ササゲモザイクコモウイルス型ピコルナイン3C、及びヒトポリオウイルス3Cプロテアーゼである。これらの3Cプロテアーゼは、高分子融合タンパク質から、N末端にGly-Proを有するタンパク質を放出することが可能であり、それら自体の非変性N末端に天然のGly-Proを有することによって同定され得ることが多い。本発明によると、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼは、ピコルナウイルス科に天然の酵素であり得るが、このような酵素の機能的変異体でもあり得る。機能的変異体の非限定的な例は、天然ピコルナウイルス3Cプロテアーゼの類似体、伸長した形、又はトランケートした形であり、これらの機能的変異体は、Gln-Gly対に対する基質特異性を保持している。
本明細書において用いられる「2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない」は、発現条件下、精製条件下、保存条件下、及び標的タンパク質の前駆体を切断するための製造的使用下にある二機能性融合プロテアーゼが、それ自体を切断しないか、又は標的タンパク質の前駆体を切断するためのその意図された使用を妨げない非常に遅い速度でそれ自体を切断するにすぎないことを意味するものである。
1つの実施形態において、「2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない」は、製造条件下の二機能性融合プロテアーゼが標的タンパク質の前駆体を切断するために十分に安定であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、前記二機能性融合プロテアーゼがその意図された使用に適切であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、二機能性融合プロテアーゼの少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも80%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、4℃の温度で24時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される。
別の実施形態において、前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定は、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも80%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、4℃の温度で24時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される。本明細書において用いられる「成熟タンパク質」は、目的のタンパク質、ペプチド、若しくはポリペプチド、又はその伸長した形を意味するものであり、これらの伸長した形は、XaaProDAPによってそのN末端で切断され得る。成熟タンパク質は、その製造の間に融合タンパク質、例えば、成熟タンパク質に加えてタグ配列、任意選択のリンカー配列、及びピコルナウイルス3Cプロテアーゼ部位を含むタンパク質として存在することが多い。成熟タンパク質の非限定的な例は、グルカゴン、PYY(3-36)、GLP-1(7-37)、Arg34-GLP1(7-37)、Arg34-GLP-1(9-37)、及びArg34-GLP-1(11-37)である。アミノ酸残基の一般的に用いられる一文字記号を用いて、例えば、Arg34-GLP-1(7-37)はK34R-GLP-1(7-37)である[GLP-1(7-37、K34R)とも呼ばれる]。
本明細書において用いられる「融合タンパク質」は、少なくとも2つの異なるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子によって発現され得るハイブリッドタンパク質を意味するものである。例えば、融合タンパク質は、医薬品目的の活性を有するタンパク質と融合したタグタンパク質を含み得る。融合タンパク質は、治療的タンパク質の組換え発現を向上させるため、並びに細胞培養物等からのこのようなタンパク質の回収及び精製を向上させるために用いられることが多い。融合タンパク質はまた、2つの異なる酵素活性を単一のタンパク質に組み合わせるために用いられ得る。融合タンパク質はまた、人工配列、例えばリンカー配列を含み得る。
本明細書において用いられる「融合プロテアーゼ」は、タンパク質分解活性を共に有する少なくとも2つの異なるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子によって発現され得るハイブリッドタンパク質を意味するものである。例えば、融合プロテアーゼは、2つの異なるプロテアーゼ、例えば、エンドペプチダーゼ及びエキソプロテアーゼを含み得る。融合プロテアーゼはまた、例えば、2つのタンパク質分解性タンパク質に融合したタグタンパク質を含み得る。
1つの実施形態において、融合プロテアーゼに含まれる2つの異なるタンパク質は、2つの異なるタンパク質分解活性を示す。別の実施形態において、融合プロテアーゼに含まれる2つの異なるタンパク質は、異なる生物に由来するプロテアーゼ又はその機能的変異体である。
XaaProDAPプロテアーゼは、高分子タンパク質ループを介して共に連結された2つのアルファヘリックスを含むタンパク質構造を有する。このループはタンパク質の表面で曝露され、したがって、特にピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPが二機能性融合プロテアーゼに含まれる場合に、このピコルナウイルス3Cプロテアーゼによる切断を受けやすい。XaaProDAPの2つの低分子アルファヘリックスを接続するループは、XaaProDAPプロテアーゼ類の間で高度に保存された領域に相当する。配列番号1において、ループは、残基223から270辺りにわたる部分配列である。本発明者は、XaaProDAPがHRV14 3Cに融合されると不安定であること、及びこのことが241〜242位のQG部分配列でのHRV14 3C切断によって生じることを見出した。このことは、ループが共通のピコルナウイルス3Cプロテアーゼ切断部位である部分配列を含まないため、非常に驚くべきことであった。したがって、この特定の課題は、他のアミノ酸、例えばETを置換したQGアミノ酸を有するXaaProDAP機能的変異体を用いることによって解決された。
本明細書において用いられる「融合パートナータンパク質」又は「融合パートナー」は、融合タンパク質の一部であるタンパク質、すなわち、融合タンパク質に包含される少なくとも2つのタンパク質の1つを意味するものである。融合パートナータンパク質の非限定的な例は、タグタンパク質及び可溶化ドメイン、例えば、His6タグ、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン等である。
本明細書において用いられる「融合酵素」は、共に酵素である少なくとも2つのタンパク質を含む融合タンパク質を意味するものである(2つのタンパク質が、共有結合によって接続された骨格配列を有するという意味で)。
本明細書において用いられる「タグタンパク質」又は「タグ」は、他のタンパク質の製造を容易にするか又は向上させるため、例えば他のタンパク質の組換え発現、回収、及び/又は精製を容易にするか又は向上させるために前記別のタンパク質に結合したタンパク質を意味するものである。タグタンパク質の非限定的な例は、WO2006/108826及びWO2008/043847において記載されているような、His6タグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)タンパク質A、ビオチン化型ペプチド、及び好熱細菌に由来する非常に塩基性のタンパク質である。
本明細書において用いられる「タグ配列」は、タンパク質を含む配列を意味するものである。タグ配列はまた、さらなる配列、例えばリンカー配列を含んでいてもよい。タンパク質タグは、化学的作用物質によって、又はタンパク質分解等の酵素的手段によって除去され得る、組換えタンパク質上に遺伝子的にグラフトされたペプチド配列である。タグは、様々な目的で、例えば、細胞からの発現若しくは分泌を容易にするため、溶解度を増大させるため、又はタンパク質の正確なフォールディングを容易にするために、タンパク質に結合する。
本明細書において用いられる「リンカー」は、融合タンパク質の機能、フォールディング、又は発現を容易にするために典型的に用いられるアミノ酸配列を意味するものである。当業者には、融合酵素の形で存在する2つのタンパク質が互いの酵素活性を妨げ得ることが知られており、これはすなわち、2つの酵素配列の間でのリンカーの挿入によって排除又は低減され得ることが多い相互作用である。
本明細書において用いられる「類似体」は、タンパク質からの1つ又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失、及び/又は付加によって別のタンパク質に由来するタンパク質を意味するものである。GLP-1(7-37)の類似体の非限定的な例は、残基34がアルギニン残基によって置換されているK34R-GLP-1(7-37)、及び、残基34がアルギニン残基で置換され、アミノ酸残基7〜8が欠失しているK34R-GLP-1(9-37)である(GLP-1ペプチドのアミノ酸残基の共通の番号付けを用いる)。
本明細書において用いられる「機能的変異体」は、アミノ酸配列が改変されているが元のタンパク質とほぼ同一の機能を保持している、特定のタンパク質の化学的変異体を意味するものである。したがって、機能的変異体は、典型的には、修飾されたタンパク質がある程度の所望の特性を獲得しながらも元のタンパク質とほぼ同一の機能を保存ために必要なだけの修飾が導入されている、タンパク質の修飾された形である。機能的変異体の非限定的な例は、例えば、伸長したタンパク質、トランケートされたタンパク質、融合タンパク質、及び類似体である。HRV14 3Cの機能的変異体の非限定的な例は、例えば、His6タグ付けされたHRV14 3C、GSTタグ付けされたHRV14 3C、及び例えばN末端GPジペプチドを含まないようにトランケートされたHRV14 3Cである。GLP-1(7-37)の非限定的な機能的変異体は、K34R-GLP-1(7-37)である。
1つの実施形態において、タンパク質の機能的変異体は、前記タンパク質と比較して1〜2のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含む。別の実施形態において、機能的変異体は、前記タンパク質と比較して1〜5のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含む。別の実施形態において、機能的変異体は、対応する天然タンパク質又はタンパク質の天然部分配列と比較して1〜15のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含む。
本明細書において用いられる「可溶化ドメイン」は、融合タンパク質の一部分であり、前記融合タンパク質を特定の条件下で目的のタンパク質自体よりも可溶性にするための、タンパク質を意味するものである。可溶化ドメインの非限定的な例は、DsbC(チオール:ジスルフィド交換タンパク質)、WO2008/043847において記載されているようなRL9(リボソームタンパク質L9)、MPB(マルトース結合タンパク質)、NusA(転写終結/抗終結タンパク質)、及びTrx(チオレドキシン)である。
本明細書において用いられる用語「酵素処理」は、基質タンパク質と、前記基質タンパク質を伴う少なくとも1つの反応を触媒する酵素との接触を意味するものである。1つの一般的な酵素処理は、融合タンパク質と、融合タンパク質の構成要素である2つのタンパク質を分離するためのタンパク質分解活性を有する酵素との接触である。
本発明の第4の態様によると、N末端ペプチド又はタンパク質をより大きなペプチド又はタンパク質から除去して、意図したN末端アミノ酸残基を有する成熟タンパク質を得るための、本発明による二機能性融合プロテアーゼの使用が提供される。前記より大きなペプチド又はタンパク質は、典型的には、成熟タンパク質と、組換え発現、タンパク質の正確なフォールディング、精製の目的等を容易にするために役立つ1つ又は複数のタグ配列とを含む、融合タンパク質である。
1つの実施形態において、前記より大きなペプチド又はタンパク質は、前記N末端ペプチドの大部分を遊離させるために適切な反応条件下で、且つ十分な時間にわたり、前記二機能性融合プロテアーゼと接触させられる。反応条件には、例えば、約6.0から約9.0の範囲、約7.0から約8.5の範囲、約7.5から約8.5の範囲、約8.0から約9.0の範囲、又は約6.0から約7.0の範囲のpHが含まれ得る。反応条件には、約0℃から約50℃の範囲、約30℃から約37℃の範囲、約0℃から約15℃の範囲、約0℃から約10℃の範囲、約2℃から約10℃の範囲、約5℃から約15℃の範囲、約0℃から約5℃の範囲、又は約2℃から約8℃の範囲の温度が含まれ得る。別の実施形態において、反応条件には、約pH7.5から約pH8.5の範囲のpH及び約4℃から約10℃の範囲の温度が含まれる。さらなる実施形態において、反応条件には、約1分から約3時間の範囲の反応時間が含まれる。更に別の実施形態において、反応条件には、約3時間から約24時間の範囲の反応時間が含まれる。更に別の実施形態において、反応時間は、約3時間から約24時間の範囲、約3時間から約16時間の範囲、約6時間から約24時間の範囲、約10時間から約16時間の範囲である。別の実施形態において、反応条件には、リン酸緩衝生理食塩水、例えば50mMのリン酸ナトリウムに0.9%塩化ナトリウムを加えたものを含む、水性媒体が含まれる。リン酸緩衝生理食塩水(略してPBS)は一般的に用いられる緩衝溶液であり、典型的には、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、並びにいくつかの溶液では塩化カリウム及びリン酸カリウムを含有する、水ベースの塩溶液である。本発明における酵素反応に用いられる典型的な1×PBS緩衝液は(8.05mMのNa2HPO4×2H2O、1.96mMのKH2PO4、140mMのNaCl、pH7.4)である。
反応媒体のための他の有用な緩衝液は、TRIS[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]緩衝液又はHEPES[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]緩衝液であり得る。
別の実施形態において、二機能性融合プロテアーゼは、宿主細胞における発現の間に目的のタンパク質をインビボで放出するように、前記より大きなペプチド又はタンパク質と共発現される。別の実施形態において、前記より大きなペプチド又はタンパク質は、これらの2つのタンパク質をそれらの発現に用いられる宿主細胞から単離した後に、前記二機能性融合プロテアーゼと接触させられる。
別の実施形態において、前記より大きなペプチド又はタンパク質は、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)、グルカゴン、ペプチドYY(PYY)、アミリン、及びその機能的変異体から選択されるペプチドを含むペプチド又はタンパク質から選択される。
更に別の実施形態において、前記より大きなペプチド又はタンパク質は、200アミノ酸残基未満、150アミノ酸残基未満、100残基未満、又は60アミノ酸残基未満のサイズを有する。
「アプリケーション」は、精製カラムにロードされる融合タンパク質を含有する試料を意味する。
「フロースルー」は、宿主細胞タンパク質及び精製カラムに結合していない汚染物質を含有するアプリケーションの一部を意味する。
「主要ピーク」は、最も強いUV強度を有し、融合タンパク質を含有する、精製クロマトグラムのピークを指す。
「UV280強度」は、ミリ吸光度単位で測定される、タンパク質が吸光する280nmの波長での吸光度である。
「UV215」は、ミリ吸光度単位で測定される、タンパク質が吸光する215nmの波長での吸光度である。
「IPTG」はイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシドである。
TICは総イオン数である。
HPLCは高速液体クロマトグラフィーである。
LC-MSは、液体クロマトグラフィー質量分析を指す。
「%純度」は、特異的タンパク質の量+汚染物質の量で割った特異的タンパク質の量に100をかけたものとして定義される。
SDS-PAGEは、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動である。
本発明の第3の態様によると、宿主細胞中で二機能性融合プロテアーゼを含むタンパク質を組換え発現させ、続いて二機能性融合プロテアーゼを単離することを含む、本発明による二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法が提供される。
1つの実施形態において、二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法は、前記宿主細胞として大腸菌を含む。
別の実施形態において、二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法は、可溶性タンパク質としての前記二機能性融合プロテアーゼの単離を含む。
別の実施形態において、二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法は、再フォールディングステップの使用を伴わない、可溶性タンパク質としての前記二機能性融合プロテアーゼの単離を含む。
別の実施形態において、二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法は、実施形態2において示される式(I)を有する二機能性融合プロテアーゼを含み、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体は、前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある。
二機能性融合プロテアーゼは、組換えタンパク質技術によって生産され得る。通常、クローニングされた野生型ピコルニアン3Cプロテアーゼ及びクローニングされた野生型XaaProDAPの核酸配列又はその機能的変異体は、所望の融合タンパク質をコードするように修飾される。この修飾には、融合タンパク質として発現される2つ以上のタンパク質をコードする核酸配列のインフレーム融合が含まれる。このような融合タンパク質は、リンカーペプチドを有するか又は有さない二機能性融合プロテアーゼ、及び、タグ、例えばHisタグ、又は可溶化ドメイン(DsbC、RL9、MBP、NusA、又はTrx等)に融合した二機能性融合プロテアーゼであり得る。この修飾された配列は、次いで、発現ベクター内に挿入され、これは次に、発現宿主細胞内に形質転換又はトランスフェクトされる。
二機能性融合プロテアーゼをコードする核酸構築物は、適切には、ゲノム由来、cDNA由来、又は合成由来のものであり得る。アミノ酸配列の改変は、周知の技術による遺伝子コードの修飾によって行われる。
二機能性融合プロテアーゼをコードするDNA配列は、組換えDNA手順に都合良くかけられ得るいかなるベクターでもよい組換えベクター内に通常挿入され、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞に応じることが多い。したがって、ベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外物として存在し、その複製が染色体の複製と無関係であるベクター、例えばプラスミドであり得る。或いは、ベクターは、宿主細胞内に導入されると宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製される、ベクターであり得る。
ベクターは、好ましくは、二機能性融合プロテアーゼをコードするDNA配列がDNAの転写に必要なさらなるセグメントに機能可能に連結している、発現ベクターである。用語「機能可能に連結している」は、セグメントが、それらの意図された目的のために協働して機能するように並んでいることを示し、例えば、転写は、プロモーターで開始され、そしてターミネーターで終結するまで、ポリペプチドをコードするDNA配列を通して進行する。
したがって、二機能性融合プロテアーゼの発現において用いるための発現ベクターは、クローニングされた遺伝子又はcDNAの転写を開始及び指示し得るプロモーターを含む。プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示し、宿主細胞に対して相同な又は異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来し得る、あらゆるDNA配列であり得る。
更に、二機能性融合プロテアーゼの発現のための発現ベクターはまた、ターミネーター配列、すなわち、転写を終結させるために宿主細胞によって認識される配列を含む。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3'末端に機能可能に連結している。選択された宿主細胞において機能的なあらゆるターミネーターが本発明において使用され得る。
二機能性融合プロテアーゼの発現は、宿主細胞のサイトゾル中での細胞内発現を目的としていてもよいし、又は成長培地中での細胞外発現のための分泌経路に向けられていてもよい。
細胞内発現はデフォルト経路であり、プロモーターと、その後に続く二機能性融合プロテアーゼポリペプチドをコードするDNA配列と、その後に続くターミネーターとを含むDNA配列を有する発現ベクターを要する。
二機能性融合プロテアーゼを宿主細胞の分泌経路に向けるために、分泌シグナル配列(シグナルペプチド又はプレ配列としても知られている)が二機能性融合プロテアーゼのN末端伸長として必要である。シグナルペプチドをコードするDNA配列は、二機能性融合プロテアーゼを正確なリーディングフレーム内でコードするDNA配列の5'末端に連結される。シグナルペプチドは、そのタンパク質に通常関連しているものであり得るか、又は別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来し得る。
二機能性融合プロテアーゼをコードするDNA配列、プロモーター、ターミネーター、及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれライゲーションするため、並びに、それらを複製に必要な情報を含有する適切なベクター内に挿入するために用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor, New York、1989を参照されたい)。
二機能性融合プロテアーゼをコードするDNA配列が導入される宿主細胞は、二機能性融合プロテアーゼを細胞内で又は細胞外で発現させることが可能なあらゆる細胞であり得る。翻訳後修飾が必要な場合、適切な宿主細胞には、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、及び高等真核細胞、例えば哺乳動物細胞が含まれる。
細菌発現
細菌宿主細胞における核酸構築物の転写を指示するための適切なプロモーターの例は、大腸菌における発現では、全て大腸菌に由来する、lacオペロン、trpオペロン、並びにそれらのハイブリッドtrc及びtacから得られるプロモーターである(DeBoerら、1983、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80: 21〜25頁)。大腸菌において用いるための他の更に強力なプロモーターは、T7及びT5ファージに由来するバクテリオファージプロモーターである。T7プロモーターは、大腸菌宿主におけるT7ポリメラーゼの存在を要する[Studier及びMoffatt、J. Mol. Biol. 189、113頁(1986)]。全てのこれらのプロモーターは、IPTG、ラクトース、又はトリプトファンでの誘発によって、細菌の成長期間における戦略点で転写を開始するように調節される。大腸菌はまた、連続的発現のための強力なプロモーター、例えば、Dalbogeら、1987、Biotechnology 5、161〜164頁における、hGHを発現するために用いられる合成プロモーターを有する。
バチルス属(Bacillus)における発現では、枯草菌(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)アルファアミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトジェニックアミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファアミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニフォルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、枯草菌xylA及びxylB遺伝子に由来するプロモーターが、適切な例である。さらなるプロモーターは、Scientific American、1980、242: 74〜94頁の「Useful proteins from recombinant bacteria」、及び上記のSambrookら、1989において記載されている。
細菌宿主細胞の効果的なシグナルペプチドコード領域は、大腸菌では、全て大腸菌に由来する、遺伝子DegP、OmpA、OmpF、OmpT、PhoA、及びエンテロトキシンSTIIから得られるシグナルペプチドである。バチルス属では、バチルス属NCIB 11837マルトジェニックアミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルスアルファアミラーゼ、バチルス・リケニフォルミスサブチリシン、バチルス・リケニフォルミスベータラクタマーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、及び枯草菌prsAから得られるシグナルペプチド領域である。さらなるシグナルペプチドは、Simonen及びPalva、1993、Microbiological Reviews 57: 109〜137頁によって記載されている。大腸菌及びバチルス属の両方で、シグナルペプチドは、アルゴリズムSignalP(Nielsenら、1997、Protein Eng. 10、1〜6頁、Emanuelsenら、2007、Nature Protocols 2、953〜971頁)において概説されている規則に従ってデノボ生成され得る。シグナル配列は所与の背景に適合され、SignalPスコアについてチェックされる。
転写のための強力なターミネーターの例は、Thiofusion Expression SystemにおけるようなアスパルターゼaspA、pETベクターにおけるT7遺伝子10ターミネーター(Studierら)、及びリボソームRNA遺伝子rrnA、rrnDのターミネーターである。
好ましい発現宿主の例は、大腸菌K12 W3110、B株、MC1061株を含む大腸菌K12、及びバクテリオファージλでの溶原化によるT7ポリメラーゼを有する大腸菌B BL21 DE3である。これらの宿主は、発現のためにプラスミドで形質転換される場合、抗生物質で選択可能である。抗生物質を用いない選択では、好ましい宿主は、例えば、2D,L-アラニンラセマーゼ遺伝子Δalr、ΔdadXが欠失し、大腸菌Bに特異的であり病原性の振る舞いに関連することが多い、II群莢膜遺伝子クラスターΔ(kpsM-kpsF)が欠失した、大腸菌B BL21 DE3 3xKOである。II群遺伝子クラスターの欠失によって、大腸菌B BL21 DE3 3xKOは大腸菌K12と同一の安全性カテゴリーとなる。選択は、AmpR遺伝子の代わりに発現プラスミド内に挿入されたalr遺伝子によってD-アラニンが不要となることに基づく。
二機能性融合プロテアーゼが宿主生物において発現すると、二機能性融合プロテアーゼは、従来の技術によって回収され得、所要の純度まで精製され得る。このような従来の回収技術及び精製技術の非限定的な例は、遠心分離、可溶化、濾過、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、固定金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)、RP-HPLC、ゲル濾過、及び凍結乾燥である。
HRV14 3Cの組換え発現及び精製の例は、例えば、Cordingleyら、J. Virol. 1989、63、5037〜5045頁、Birchら、Protein Expr Purif.、1995、6、609〜618頁、及びWO2008/043847において見ることができる。
ラクトコッカス・ラクティスからのXaaProDAPの微生物発現及び精製の例は、例えば、Chichら、Anal. Biochem、1995、224、245〜249頁、及びXinら、Protein Expr. Purif. 2002、24、530〜538頁において見ることができる。
本発明は、以下の非限定的な実施形態によって更に記載される。
1.ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPの触媒性ドメインを含む二機能性融合酵素。
2.式:
X-Y-Z(I)又はZ-Y-X(II)
(式中、
Xは、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体であり、
Yは、任意選択のリンカーであり、
Zは、Xaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼ(XaaProDAP)又はその機能的変異体である)
のタンパク質を含み、2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない、実施形態1に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
3.式(I)を有する、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体が前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある、実施形態1又は2に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
4. Xがライノウイルスプロテアーゼ又はその機能的変異体である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
5. Xがピコルナウイルスプロテアーゼ又はその機能的変異体である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
6. XがHRV14 3C又はその機能的変異体である、実施形態1から4のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
7. Xが配列番号2又はその機能的変異体を含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
8. XがP2X1-配列番号2であり、X1が、遺伝的にコードされたアミノ酸残基butP、又はG1P-配列番号2、又はその機能的変異体から選択される、実施形態5又は6に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
9. XがCVB3 3C又はその機能的変異体である、実施形態5又は6に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
10. Xが配列番号23又はその機能的変異体を含む、実施形態5に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
11. XがC末端でトランケートされた機能性ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
12.前記C末端でトランケートされた機能性ピコルナウイルス3Cプロテアーゼが、20アミノ酸残基以下、例えば10アミノ酸残基以下、例えば5アミノ酸残基以下、例えば2アミノ酸残基以下トランケートされている、実施形態11に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
13. Xが、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ササゲモザイクコモウイルス、ライノウイルス、及びポリオウイルスから選択されるウイルスに由来する酵素、又はその機能的変異体である、実施形態1から12のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
14. Zが、E.C.3.4.14.11酵素又はその機能的変異体である、実施形態1から13のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
15. Zが、乳酸菌に由来する酵素又はその機能的変異体である、実施形態14に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
16. Zが、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、ラクトバチルス属種(Lactobacillus spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)に由来する酵素、又はその機能的変異体である、実施形態15に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
17. Zが配列番号1又はその機能的変異体である、実施形態1から16のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
18. Zが、バチルス属種に由来する酵素又はその機能的変異体である、実施形態1から14のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
19. Zが、ブタ連鎖球菌に由来する酵素又はその機能的変異体である、実施形態1から16のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
20. Zが配列番号24又はその機能的変異体である、実施形態17に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
21. Zが、ラクトコッカス・ラクティスに由来する酵素又はその機能的変異体である、実施形態1から17のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
22.前記Zが、E.C.3.4.14.5酵素又はその機能的変異体である、実施形態1から13のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
23. Zが、2つのアルファヘリックスを接続する露出したループを有するタンパク質である、実施形態1から22のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
24.前記ループがいかなるQG部分配列も含まない、実施形態23に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
25.前記ループが、部分配列QS、QI、QN、QA、及びQTのいずれも含まない、実施形態23又は24に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
26.前記ループが、配列番号1におけるアミノ酸残基223から270にわたる配列である、実施形態23から25のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
27.前記ループが、配列番号1におけるアミノ酸残基223から270にわたる配列に対応するXaaProDAPにおける配列である、実施形態23から26のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
28.前記ループが、配列番号1におけるアミノ酸残基223から270にわたる配列と少なくとも70%のアミノ酸同一性を有する配列である、実施形態23から27のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
29. Zが1つ以下のQG部分配列を含む、実施形態1から28のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
30. ZがいかなるQG部分配列も含まない、実施形態1から29のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
31. Zが、Q241〜G242におけるアミノ酸残基の少なくとも1つの置換、付加、又は欠失を含む、実施形態1から17のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
32. Zが、置換Q241E、G242Tを含む、実施形態31に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
33.前記融合プロテアーゼにおけるN末端から2番目のアミノ酸残基がPではない、実施形態1から32のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
34.前記融合プロテアーゼにおけるN末端から2番目のアミノ酸残基がG、A、及びTではない、実施形態1から33のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
35.前記融合プロテアーゼにおけるN末端がアミノ酸配列MX1Pを有し、X1が、MX1P配列をメチオニンアミノペプチダーゼに対する不良な基質にするアミノ酸である、実施形態1から33のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
36.前記二機能性融合プロテアーゼにおけるN末端アミノ酸残基がPである、実施形態1から34のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
37.前記融合プロテアーゼにおけるN末端から2番目のアミノ酸残基が、P、G、A、又はTではない、実施形態36に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
38.リンカーYを含まない、実施形態1から37のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
39.リンカーYを含む、実施形態1から37のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
40.前記リンカーYが、2から100アミノ酸残基の長さを有する、実施形態39に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
41.前記リンカーYが、2から50アミノ酸残基の長さを有する、実施形態39又は40に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
42.前記リンカーYが、2から25アミノ酸残基の長さを有する、実施形態39から41のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
43.前記リンカーYが、2から15アミノ酸残基の長さを有する、実施形態39から42のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
44. Yが、約5から約50アミノ酸残基の長さを有する、実施形態39から41のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
45. Yが、約5から約15アミノ酸残基の長さを有する、実施形態38又は39に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
46. YがCys残基を含まない、実施形態39から45のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
47. YがGln残基を含まない、実施形態39から46のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
48. Yが、アミノ酸残基G、S、A、L、P、及びTのみを含む、実施形態39から47のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
49. Yが、配列番号3、4、及び12からなる群から選択される、実施形態39から48のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
50.式(I)である、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体が前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある、実施形態1から49のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
51. Xが、QであるC末端アミノ酸残基を有さない、実施形態50に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
52.式(II)である、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体が前記二機能性融合プロテアーゼのC末端部分にある、実施形態1から49のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
53. N末端に結合したタグタンパク質を含む、実施形態1から52のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
54.前記タグタンパク質が、Hisタグ、可溶化ドメイン、及びHisタグ付けされた可溶化ドメインからなる群から選択される、実施形態53に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
55.前記機能的変異体が、対応する天然タンパク質又は天然部分配列と比較して、1〜2アミノ酸の置換、欠失、若しくは付加、又は1〜5アミノ酸の置換、欠失、若しくは付加、又は1〜15アミノ酸の置換、欠失、若しくは付加を含む、実施形態1から54のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
56.前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定が、前記二機能性融合プロテアーゼがその意図された使用に適切であることによって決定される、実施形態1から55のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
57.前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定が、二機能性融合プロテアーゼの少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される、実施形態1から55のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
58.前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定が、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される、実施形態1から55のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
59.二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも80%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、37℃の温度で3時間インキュベートした後に無傷である、実施形態58に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
60.前記融合プロテアーゼが2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さないことの決定が、二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも50%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、4℃の温度で24時間インキュベートした後に無傷であることによって決定される、実施形態1から55のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
61.二機能性融合プロテアーゼのピコルナウイルス3Cプロテアーゼ活性及びXaaProDAP活性の両方の少なくとも80%が、前記二機能性融合プロテアーゼを1×PBS緩衝液、pH7.4内で0.5mg/mLの濃度で、4℃の温度で24時間インキュベートした後に無傷である、実施形態60に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
62.実施形態1から61のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法であって、宿主細胞中で二機能性融合プロテアーゼを含むタンパク質を組換え発現させ、続いて二機能性融合プロテアーゼを単離することを含む、方法。
63.前記宿主細胞が大腸菌である、実施形態62に記載の方法。
64.前記二機能性融合プロテアーゼが可溶性タンパク質として単離される、実施形態62又は63に記載の方法。
65.前記二機能性融合プロテアーゼが、再フォールディングステップの使用を伴わずに可溶性タンパク質として単離される、実施形態62から64のいずれか一項に記載の方法。
66.前記二機能性融合プロテアーゼが、実施形態2において示される式(I)を有する、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体が前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある、実施形態62から65のいずれか一項に記載の方法。
67. N末端ペプチド又はタンパク質をより大きなペプチド又はタンパク質から除去するための、実施形態1から66のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼの使用。
68.前記より大きなペプチド又はタンパク質が、前記N末端ペプチドの大部分を遊離させるために適切な反応条件下で、且つ十分な時間にわたり、前記二機能性融合プロテアーゼと接触させられる、実施形態67に記載の使用。
69.二機能性融合プロテアーゼが、宿主細胞における発現の間に目的のタンパク質をインビボで放出するように、前記より大きなペプチド又はタンパク質と共発現される、実施形態67又は68に記載の使用。
70.前記より大きなペプチド又はタンパク質が、これらの2つのタンパク質をそれらの発現に用いられる宿主細胞から単離した後に、前記二機能性融合プロテアーゼと接触させられる、実施形態67又は68に記載の使用。
71.前記より大きなペプチド又はタンパク質が、GLP-1、グルカゴン、PYY、アミリン、及びその機能的変異体から選択されるペプチドを含むペプチド又はタンパク質から選択される、実施形態67から70のいずれか一項に記載の使用。
72.前記より大きなペプチド又はタンパク質が、200アミノ酸残基未満、150アミノ酸残基未満、100残基未満、又は60アミノ酸残基未満のサイズを有する、実施形態67から71のいずれか一項に記載の使用。
(実施例1)
HRV14/XaaProDAP変異体又はXaaProDAP/HRV14変異体のプラスミド構築物及び発現
pET系は、大腸菌においてタンパク質を発現させるための強力なアプローチを提供することから、この系を酵素の発現に用いた。pETベクターにおいて、強力なバクテリオファージT7の転写及び翻訳シグナルの制御下で標的遺伝子をクローニングし、宿主細胞においてT7 RNAポリメラーゼ源を提供することによって発現を誘発する。
HRV14 3Cとラクトコッカス・ラクティスのXaaProDAP配列との融合体を含む二機能性融合プロテアーゼをコードする、大腸菌発現プラスミド(pET22b、Novagen社)。1組の構築物において、HRV14 3C部分を、2つのドメインを分離するための介在リンカーGGSGGSGGS(配列番号3)を用いて、XaaProDAP配列のN末端に置いた[Table 1(表1)]。
Figure 2016518855
融合プロテアーゼをコードするプラスミドの別の組では、HRV14 3C部分を、2つのドメインを分離する介在リンカーGSSGSGGSG(配列番号4)を用いて、XaaProDAP配列のC末端に置いた。
Figure 2016518855
発現、精製、又は可溶性を増強させる融合パートナーを、二機能性プロテアーゼの両変異体のN末端に置いた。融合パートナーは、His6タグ(融合パートナー配列のN末端又はC末端にある)と、必要であればプロテアーゼ部分からの融合パートナー酵素的分離を可能にするための、二機能性プロテアーゼ配列のN末端アミノ酸に隣接して導入された配列GGSSGSGSELRTQS(配列番号22)を有するA型肝炎ウイルス3Cプロテアーゼ(HAV)切断部位を含む、Gly-Serに富んだ可動性リンカーをコードする配列とを含むように設計した。
Table 1及びTable 2に記載される融合プロテアーゼをコードする遺伝子断片を、大腸菌における発現のためにコドン最適化し、遺伝子合成(GenScript社)によって調製した。Table 1及びTable 2において特定されるプラスミド構築物は、当業者に知られている標準的なクローニング技術を用いて合成遺伝子断片をpET22bベクター内に挿入することによって生成した(GenScript社から入手した)。
小規模発現及び精製による融合プロテアーゼ変異体の評価
発現プラスミドを大腸菌BL21(DE3)(Novagen社)に形質転換し、小規模で発現させた。
大腸菌BL21(DE3)を、製造者に従って、42℃での熱ショックに基づく手順を用いて、プラスミドで形質転換した。形質転換された細胞をLB寒天プレート上に播種し、一晩、37℃で、10mg/Lのアンピシリンと共にインキュベートした。各形質転換体の、0.5%グルコース及び50mg/Lのカルベニシリンと共に一晩培養されたTerrific Broth(TB)培養物を、30℃で、Glas-Col振とう機(Glas-Col社)を用いて700rpmで振とうしながら調製した。各形質転換体の20μLの一晩培養物を用いて、96ディープウェルプレート(2ml)内の50mg/Lのカルベニシリンを有する0.95μLのTB培地に接種し、形質転換体を700rpmで一晩増殖させた。発現培養物を、37℃で、OD600が1.5に達するまでインキュベートした。培養物を次いで20℃まで冷却し、タンパク質誘発を、0.3mMのIPTGを用いて一晩行った。発現したタンパク質を含有するペレットを、1800×Gでの遠心分離によって採取した。
精製スクリーニング:IMAC樹脂を用いる小規模精製を行って、組み合わされた発現及び精製能力、並びにプロテアーゼの完全性を評価した。簡潔に述べると、250μLの溶解緩衝液[50mMのNaPO4、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、10mg/mlのリゾチーム、250U/μLのベンゾナーゼ、及び10%DDM(ドデシルマルトシド)]を各ペレットに添加し、細胞を凍結/解凍サイクルを用いて溶解させた。残屑を遠心分離によって除去し、上清を濾過し(0.45μm)、Ni2+ロードされたSepharose Fast Flow(20%EtOH内で30μLの50%スラリーを洗浄することによって調製した)(GE Healthcare社)を含有する1.2μmのフィルタープレート上に移した。上清を20分、400rpmで振とうすることによって樹脂と共にインキュベートしてタンパク質を結合させ、溶質を、100×gで1分、穏やかに遠心分離することによって除去した。樹脂を、50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、30mMのイミダゾール、pH7.5で、穏やかに混合することによって洗浄し、樹脂を遠心分離によって乾燥させた。タンパク質を溶出させるために、40μLの溶出緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、300mMのイミダゾール)を樹脂に添加し、400rpmで振とうすることによって10分インキュベートし、部分的に精製された酵素を含有する溶出液を回収した。
融合プロテアーゼ変異体の発現から得られたペレットの全溶解物を、SDS-PAGEによって分析したTable 1又はTable 2に記載されている融合プロテアーゼ変異体のいずれでも、十分な量の完全長タンパク質は観察され得なかった。しかし、融合プロテアーゼ変異体のいくつかで、異なるサイズの明らかなバンドが観察された。IMAC精製された試料のSDS-PAGE分析は、これも完全長プロテアーゼの生産を示さず、むしろより小さなサイズのバンドを示したため、これらの所見と一致した。この所見は、融合プロテアーゼが発現及び/又はIMAC樹脂へのその後の捕捉の間にトランケート又は分解されることを示す。異なるバンドがいくつかの融合プロテアーゼ変異体で観察され、発現レベルはゲルバンドの強度に有意に基づくと思われるため、完全長タンパク質の不存在はむしろ、融合プロテアーゼの有意なトランケーションをもたらす、融合プロテアーゼ内の特異的な位置での意図しない加水分解に起因する。
融合プロテアーゼのLC-MS分析
トランケートされた形態の融合プロテアーゼを説明し得る最終的な切断部位の発生の観察は、製造者に指示に従った通常の設定でのUV215nmでのDiodeアレイ測定を可能にする、Dionex UltiMate3000(商標)液体比色計(Dionex社)を備えた、MaXis Impact超高分解能飛行時間型(UHR-TOF)質量分析計(Bruker Daltonics社)を用いる質量分析によって検出した。酵素を、45℃のカラム温度及び0.2ml/分の流量を用いて、1.7μmの孔サイズを有するWaters Aquity BEH300 C4逆相1.0×100mmカラム上で分離した。用いた溶媒は以下の通りであった。
溶媒A: H2O内の0.1%ギ酸
溶媒B:99.9%MeCN、0.1%ギ酸(v/v)
液体クロマトグラフィーを以下の勾配で行って、酵素消化物を分離した。
時間(分) %A %B
0 90 10
2 90 10
10 10 90
11 10 90
12 90 10
13 90 10
14 50 50
記録された質量スペクトルを、製造者の指示に従って、10000Daから140000Daの質量範囲及び解像度(>10000)を網羅するBruker Compassデータ分析バージョン4.1ソフトウェア(Bruker Daltonics社)を用いて、デコンボリューション及び分析した。UV215nmのクロマトグラム及び総イオン数(TIC)クロマトグラムを平行して評価して、ペプチドの得られたMSデータとUV215nmのトレースとの間の一致があることを確認した。示される実験的に決定された質量は平均同位体質量を指し、質量分析データは、200ppmよりも良好な質量精度で得られた。
プロテアーゼ12756を分析したところ、22241.54Daの質量が検出された。この質量は、His6融合パートナー(配列番号5)及びHRV14 3Cドメイン(配列番号2)の質量(計算上の質量22242.27Da)に対応する。したがって、切断部位は、HRV14 3Cドメイン(配列番号2)のC末端の連結部分内のGln/Glyとリンカー(配列番号3)のN末端との間で生じた。このことは、3Cプロテアーゼがそれ自体を、その天然ウイルスポリタンパク質から削除することが報告されているのと類似の方法で、HRV14 3CがXaaProDAPのN末端に融合している融合プロテアーゼから削除し得ることを示した。これはまた、用いたN末端融合パートナーのサイズにおける差異に対応するサイズバリエーションを伴って、融合プロテアーゼ12757、12758、12760、及び12761でも観察された。
(実施例2)
NH2-HRV14-XaaProDAP-COOH融合プロテアーゼのHRV14ドメインにおけるC末端Q182の除去
Table 1に示される融合プロテアーゼ変異体では、断片が、サイズにおいて、融合パートナーとHRV14 3Cドメイン配列とを合わせたものに対応することが多いことが観察された。切断についてのこの可能性を除去するために、新たなリンカーを、His6、RL9、又はTrx融合パートナーを含む融合プロテアーゼにおけるHRV14 3CドメインとXaaProDAPドメインとの間の元のGSリンカー(配列番号3)(Table 1、実施例1)の代わりに設計した。HRV14酵素の連結部分内のGln/Gly切断部位及び配列番号3の最初を、Ser-Glyによって置き換えた。したがって、HRV14 3Cプロテアーゼドメイン内の最後のアミノ酸(Gln182)を除去して、以下の配列
Figure 2016518855
を有するdes182-HRV14 3Cを得、リンカー(配列番号3)の最初にあるGlyを、この部位が3Cプロテアーゼの切断部位に相当するため、除去した。その代わりに、HRV14ドメイン(配列番号11)とXaaProDAPドメインとの間のリンカーをSGSGGSGGSGS(配列番号12)で置き換えた。新たな融合プロテアーゼ変異体をTable 3(表3)に示す。
Figure 2016518855
これらの構築物の小規模発現及び精製を、実施例1に記載されているように行った。IMAC精製から得られた試料のSDS-PAGEは、およそ50〜60kDaの2つの明らかに可視的で主要なバンドがこれらの3つの融合プロテアーゼ変異体について生じたことを示し、このことは、完全長プロテアーゼが2つの断片に切断されたことを示す。LC-MS分析を、切断部位を正確に示すために、実施例1に記載されているように行った。プロテアーゼ20177の分析は、この融合プロテアーゼ変異体が、51091.27Da及び59773.49Daの質量を有する2つの主要なバンドに切断されたことを示した。これらの質量は、XaaProDAP配列(配列番号1)内のGln241とGly242との間に存在する別の切断部位を実証し、それは、決定された質量が、プロテアーゼ20177のアミノ酸配列(それぞれ51092.15Da及び59772.43Da)から推測される、これらの断片についての計算上の質量と一致したためである。正確に同一の切断部位が、Table 3に示される3つの構築物全てについてのデコンボリューションされたスペクトルの分析によって明らかに観察され、したがって、用いるN末端融合パートナーに関わらずこの部位が非常に感受性であったことを示す。利用可能な三次元構造の評価で(Rigoletら、Structure、10、1384〜1394頁)、切断部位が、アミノ酸残基223〜270辺りに伸びるラクトコッカス・ラクティスXaaProDAPの触媒性ドメインにおける2つの小さなアルファへリックスを接続する非常に大きなループの中央に生じることを決定し得た。このループは非常に露出しており、したがって切断に感受性であり、そして、Q/G配列は、3Cプロテアーゼ自体がこの切断に関与することを示す。融合パートナーのC末端におけるHAVプロテアーゼ(ELRTQ/S)についての切断部位内のGln/Ser位置で観察された、別のあまり主要ではない望ましくない切断部位もまた、IMAC精製された試料の分析によって検出され得た。
(実施例3A)
完全長二機能性NH2-HRV14-XaaProDAP-COOHプロテアーゼの設計
実施例2においてXaaProDAP配列内のGln241とGly242との間で観察された切断部位を除去するために、2つのアミノ酸をGlu241及びThr242で置換した。Glu241-Thr242置換がGln241-Gly242の置き換えに選択されたが、それは、この置換が、ラクトコッカス・ラクティスの異なる単離体に由来するXaaProDAPのオルソログの相同性サーチに基づいて天然のアミノ酸バリエーションとして生じるためである。望ましくない切断もまた融合パートナーのC末端内のHAV部位において生じたため、HAV部位を小さなGS含有配列で置き換えた。これらの融合パートナーは、以下の配列を有していた。
Figure 2016518855
Q241E置換、G242T置換、及びHRV14 3Cドメインの前にあるリンカーからのHAV部位の除去を含むプラスミド構築物を得た(Genscript社)。設計及び試験した構築物をTable 4(表4)に示す。
新たな融合プロテアーゼ構築物の小規模発現及びIMAC精製は、実施例1に記載されているように行った。SDS-PAGE分析から、Q241E置換及びG242T置換が、融合プロテアーゼを2つの部分に切断することを明らかに防ぐことが観察された。およそ100〜120kDaの非常に強力なゲルバンドが3つの構築物全てで観察され、このことは、Q241E置換、G242T置換が、HRV14 3Cドメイン及びXaaProDAPドメインの両方を含む可溶性で無傷の完全長融合プロテアーゼの生産をもたらしたことを示す。ELRTQ部位を除去する(GSGSGでの置換によって)ことの利点は、この実験においてはあまり示されなかった。
Table 4(表4)における融合プロテアーゼ変異体のLC-MSは、実施例1に記載されているように行い、SDS-PAGEからの所見を確認した。プロテアーゼ20986、20988、及び20990は、110604.97Da、127867.76Da、及び122607.21Daの決定された質量をそれぞれ有しており、これらは、計算上の質量110605.18Da、127867.23Da、及び122605.91Daとそれぞれ一致している。したがって、主要な検出された質量は完全長融合プロテアーゼについての計算上の質量に対応しているため、Table 4(表4)における修飾された融合プロテアーゼは、顕著にはトランケート又は分解されていなかった。
Figure 2016518855
(実施例3B)
完全長二機能性NH2-XaaProDAP-HRV14-COOHプロテアーゼの設計
実施例1及び実施例3Aに記載されている通常の設計、クローニング、及び発現手順を用いて、本発明者らは、また、C末端内にHRV14 3Cを含む機能性且つ可溶性の融合プロテアーゼを得ることができるかどうかを評価した。C末端HRV14 3Cドメイン及びN末端XaaProDAP(Q241E、G242T)を含む3つの融合プロテアーゼの発現を、先に記載された3つの異なるN末端タグ(His6、RL9、Trx)を用いて評価した。HRV14 3CドメインがC末端内に位置する3つの構築物全ては、誘発されていない、誘発された、可溶性の、及び不溶性の画分のSDS-PAGEによって決定したところ、不溶性タンパク質として発現した(詳細なデータは示していない)。このことは、HRV14 3CプロテアーゼをN末端内に、及びラクトコッカス・ラクティスXaaProDAPをC末端内に含む融合プロテアーゼ変異体が、驚くべきことに、生産がより容易であり且つ非常に費用のかかるいかなる再フォールディングステップも要しない可溶性且つ安定な融合プロテアーゼをもたらす、更に最適なフォールディング動態を有することを実証する。結論として、タンパク質設計の特定の仕様によって、HRV14 3C及びXaaProDAPプロテアーゼを含む無傷の融合プロテアーゼを生産することが可能となった。
(実施例4)
NH2-His-des182HRV14-LLXaaProDAP(Q241E、G242T)-COOH(タンパク質20986)の発現及び精製のスケールアップ
より大量の完全長融合プロテアーゼを調製するために、プロテアーゼ20986を活性のさらなる試験のためにスケールアップさせた。
プロテアーゼ20986をコードするpET22bプラスミドを有するBL21(DE3)形質転換体(グリセロールストックから)を、一晩、50mg/Lのカルベニシリン及び0.5%グルコースを含有する50mlのTerrific Broth培地内で、37℃で100rpmで振とうすることによって、増殖させた(Multitron Standard振とう機、50mm振幅、Infors HT社)。翌日、7.5mlの一晩培養物を用いて、2Lの振とうフラスコ内の50mg/Lのカルベニシリンを有する750mlのTB培地に接種し、培養物を次いで、37℃で、100rpmでインキュベートした。OD600が約1.5に達したら、培養物を20℃まで30分冷却し、その後、0.3mMのIPTGを添加してタンパク質を誘発させた。誘発は、一晩、20℃で、100rpmで行い、細胞を、4000×gで10分遠心分離することによって採取した。ペレット化した細胞を、使用するまで凍結した。
His-des182HRV14-LLXaaProDAP(Q241E、G242T)(タンパク質20986)の精製
さらなる分析のために、精製された二機能性融合プロテアーゼを得るために、2つの連続的な精製ステップを行って、プロテアーゼ20986を精製した。
14.7gの細胞ペレットを、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.5及び3μLのベンゾナーゼを含有する100mlの溶解緩衝液内に懸濁した。細胞を、細胞ホモジナイザーにおいて1.4kBarで1サイクル破壊し、細胞残屑を18000gで20分遠沈させた。上清を次いで、滅菌濾過した(0.45マイクロメートル)。プロテアーゼ20986の精製は、AKTAExpress(GE Healthcare社)を用いて、2つの連続的な精製ステップ行った。捕捉ステップにおいて、100mlの試料アプリケーションから得られた酵素を、2×1mlのHisTrap粗カラム(GE Healthcare社)で、0.8ml/分の流量で、以下の緩衝液を用いて精製した。
緩衝液A:50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、pH7.5
緩衝液B:50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、300mMのイミダゾール、pH7.5
緩衝液C:50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、30mMのイミダゾール、pH7.5
カラムをまず、10カラム容積の緩衝液に平衡化した。アプリケーションのロードの後、未結合のタンパク質を、7カラム容積の緩衝液Cを用いる洗浄によって除去した。5カラム容積で0〜100%の緩衝液Bの段階的溶出を用いてプロテアーゼ20986を溶出し、回収されたピークをループ内に保存し、120mlのHiLoad S200 16/600(GE-Healthcare社)ゲル濾過カラムにロードした。サイズ分離を、1.2ml/分の流量で、1×PBS緩衝液(8.05mMのNa2HPO4×2H2O、1.96mMのKH2PO4、140mMのNaCl、pH7.4の組成を有する、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)を用いて行った。主要ピークの回収された画分をSDS-PAGEによって分析し、およそ100kDaの予測サイズの明らかなバンドが観察された。最大量のプロテアーゼを含有する画分をプールし、UV280測定(NanoDrop社、ThermoScientific社)を用いて濃度を1.6mg/mlと測定した。純度は、SDS-PAGE(図1)及びHPLC分析によって判断したところ、90%超と推定された。
(実施例5)
塩基性タグを含有するモデル融合タンパク質のプラスミド構築物及び発現。
二機能性融合プロテアーゼがN末端タグの除去に用いられ得るかどうかを試験するために、3つの異なるモデル融合タンパク質をタンパク質基質として用いるために調製した。WO2008/043847において先に記載されている、サーモトガ・マリティマ(T. maritima)に由来するリボソームタンパク質L27を含む塩基性タグを融合パートナーとして用い、これは、配列MAHKKSGGVAKNGRDSLPKYLGVKVGDGQIVKAGNILVRQRGTRFYPGKNVGMGRDFTLFALKDGRVKFETKNNKKYVSVYEE(配列番号16)を有している。融合タンパク質を、RL27融合パートナーがHRV14 3C酵素によって除去され得、残りのGP配列がXaaProDAPによって除去され得るように設計した。
HRV14切断部位を含有する可動性リンカーを用いて、塩基性タグをモデルペプチド配列に連結し、前記リンカーは、配列SSSGGSEVLFQGP(配列番号17)を有していた。用いたモデルペプチド配列は、以下の配列を有する、ヒトペプチドYY3-36[PYY(3-36)]、グルカゴン、及びグルカゴン様ペプチド1(7-37、K34R)[GLP-1(7-37、K34R)]であった。
PYY(3-36):IKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRY(配列番号18)
グルカゴン:HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT(配列番号19)
GLP-1(7-37、K34R):HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVRGRG(配列番号20)
大腸菌発現プラスミド(pET22b、Novagen社)を、Table 5(表5)において特定される3つの融合タンパク質をコードするように調製した。
Figure 2016518855
大腸菌にコドン最適化され、融合タンパク質全体にわたる、遺伝子断片を、遺伝子合成によって作製し、標準的なクローニング技術(GenScript社から入手した)を用いてpET22bベクターのクローニング部位内にライゲーションした。
モデル融合タンパク質の発現
RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)の発現は、基本的に、実施例4においてプロテアーゼ20986について記載したように行った。簡潔に述べると、RL27_EVLFQGP_グルカゴン及びRL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)の発現を、以下のように行った:大腸菌BL21(DE3)をプラスミドで形質転換し、100mg/Lのアンピシリンを含有するLB寒天プレート上に播種し、一晩培養物を10mlのLB培地内に溶解し、振とうフラスコ内の50mg/mlのカルベニシリンを有する750mlのLBに接種するために用いた。振とうフラスコを、100rpmで、37℃でインキュベートした。OD600が0.4に達すると、タンパク質の発現を0.3mMのIPTGを添加することによって誘発し、細胞を、37℃で3時間のインキュベーションの後に、遠心分離によって採取した。
モデル融合タンパク質の精製
簡潔に述べると、細胞破壊の結果生じた上清からの融合タンパク質の捕捉を、4ml/分の流量でのAKTA Express上のSP FF HiTrap 5ml(GE Healthcare社)カラム、及び以下の緩衝液を用いて、基本的に以前に記載されているような(WO2008/043847)陽イオン交換クロマトグラフィーによって行った。
緩衝液A:50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0
緩衝液B:50mMのリン酸ナトリウム、1000mMのNaCl、pH7.0
簡潔に述べると、試料のロード及び洗浄ステップの後、融合タンパク質を、緩衝液Bを用いてカラムから溶出した。以降の捕捉の純度を上げるために、タンパク質を、基本的に実施例4に記載されているようなゲル濾過によって精製したが、分離にはS75 16/600カラム(GE-Healthcare社)を用いた。精製されたタンパク質をSDS-PAGE分析によって評価し、正確な無傷の質量をLC-MSによって検証した、UV280を用いて、融合タンパク質の濃度を決定した。
(実施例6)
プロテアーゼ20986及びモデルタンパク質基質としてのRL27_EVLFQGP_PYY(3-36)を用いる酵素反応。
RL27-HRV14-PYY(3-36)の濃度を1×PBS、pH7.4内で0.5mg/mlの濃度に調整した。酵素反応を、酵素反応緩衝液としてPBS、pH7.4を用いて、22μlの反応容積で設定した。プロテアーゼ20986とRL27-EVLFQGP-PYY(3-36)基質とのインキュベーションを、それぞれ1:20又は1:40の酵素対基質のモル比率を用いて設定し、反応を、3時間、37℃で行った[Table 6(表6)に示す]。精製された、WO2008/043847において記載されているN末端タグ(サーモトガ・マリティマに由来するリボソームL9)を有するHRV14 3Cプロテアーゼの変異体もまた、この実験に含めた。RL9-HRV14 3Cという名のこのプロテアーゼは、プロテアーゼ20986と同じモル比率で用いたが、HRV14 3C活性のみを有している。RL9-HRV14 3Cは、以下の配列を有している。
Figure 2016518855
陰性対照として、RL27-HRV14-PYY(3-36)基質もまた、プロテアーゼを有さない反応緩衝液内でインキュベートした。酵素反応を、LC-MS分析の前に、>0.5MのAcOHを添加することによって停止させた。
融合タンパク質モデル基質としてRL27_HRV14_PYY(3-36)を用いるプロテアーゼ20986での結果。
酵素反応のLC-MS分析を、基本的に実施例1に記載されているように行ったが、評価対象のより小さなペプチドを十分に分離及び分解させるために、1.7μmの孔サイズを有するC18 Aquity BEH300 C4逆相1.0×100mmカラムを用いた。機器を、製造者の指示に従って、質量範囲(2000〜17000Da)及び分解能(>20000)の設定に調整した。UV215nmのクロマトグラム及び総イオン数(TIC)クロマトグラムを平行して評価して、ペプチドの得られたMSデータとUV215nmのトレースとの間の一致があることを確認した。以下の実施例で示される実験的に決定された質量は、最も豊富な質量、例えば、検出されたタンパク質の同位体の天然量に基づく最も多く現れる同位体分布を有する分子の質量を指す。以下、質量分析のデータは、100ppm未満の質量精度で得られた。
デコンボリューションされた質量スペクトルの分析は、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)融合タンパク質(酵素を有さない対照)が14354.17Daの質量を有することを示した。これは、イニシエーターであるメチオニンを有さない融合タンパク質についての計算上の質量(14354.5Da)と一致した。
異なる反応の結果をTable 6(表6)に示す。
Figure 2016518855
反応1は、融合タンパク質の完全なプロセシングが、1:20の酵素対基質のモル比率での酵素処理及び3時間、37℃でのインキュベーションの後に得られたことを示した(図2)。観察された主要な決定された質量は4049.9Daであり、これは、成熟PYY(3-36)(ピーク番号1)及び放出されたタグ(ピーク番号2)の質量に対応する。残りの融合タンパク質は観察されなかったが、ピーク番号1の10%未満の強度を有するピークが観察され、これはGP-PYY(3-36)に対応した。反応2は、1:40の酵素対基質比率によって、GP-PYY(3-36)のおよそ半分が成熟PYY(3-36)にプロセシングされることを示す(図3)。反応3(図4)及び反応4(図5)は、反応1及び反応2において観察されたGP-PYY(3-36)からのGly-Proの除去が、プロテアーゼ20986のXaaProDAP部分に特異的であることを示し、それは、HRV14 3Cドメインのみを含有するRL9-HRV14 3Cプロテアーゼが、GP-PYY(3-36)を放出し得るのみであるためである。
この実験は、完全に成熟したPYY(3-36)ペプチド(4050Da)が二機能性融合プロテアーゼによって放出され得、したがって本発明の概念を可能にすることを示す。
(実施例7)
他の種に由来する代替的な3Cドメイン及びXaaProDAPドメインを含む完全長二機能性融合プロテアーゼの設計。
他の3Cプロテアーゼ及びXaaProDAP酵素が、プロテアーゼ20986で観察されたものと同一の特性を有する機能性融合プロテアーゼを得るために融合され得ることを実証するために、ヒトコクサッキーウイルスB3に由来する3Cプロテアーゼ配列(CVB3 3C)又はブタ連鎖球菌に由来するXaaProDAP(ブタ連鎖球菌XaaProDAP)を用いて、HRV14 3C配列及びラクトコッカス・ラクティスのXaaProDAP(LLXaaProDAP)配列を置き換え、新たな融合プロテアーゼ変異体を生成した。ヒトライノウイルス14 3Cの3Cプロテアーゼ配列のように、ヒトコクサッキーウイルスB3 3Cプロテアーゼ配列もまたC末端のQを含有し、これを欠失させて以下の配列を有するCVB3 3C(des183)を得た。
Figure 2016518855
QG部位は、ラクトコッカス・ラクティス配列(Q241〜G242)で決定された3C切断部位に近接した、ブタ連鎖球菌XaaProDAP配列のQ212〜G213位で観察された。Glu212〜Thr213置換を導入してあらゆる潜在的な3C切断を防ぎ、こうして、以下の配列を得た。
Figure 2016518855
実施例3に記載されているものと同一のHis6融合パートナー(配列番号13)及び同一の介在リンカー(配列番号12)を用いて、3C及びXaaProDAPの新たなオルソログを含む3つの新たな融合プロテアーゼ変異体を設計した。プロテアーゼ28994は、実施例3Aにおいてプロテアーゼ20986について記載されたラクトコッカス・ラクティスXaaProDAP配列を含んでいたが、N末端HRV14 3Cドメインは、ヒトコクサッキーウイルスB3の3Cドメイン(CVB3 3C)で置き換えられた。プロテアーゼ28996は、N末端にプロテアーゼ20986について記載されたHRV14 3C配列を、C末端にブタ連鎖球菌XaaProDAP配列を含んでいた。プロテアーゼ28997は、両ドメインが3C及びXaaProDAPプロテアーゼの他のオルソログによって置き換えられた完全に新たな融合プロテアーゼであり、したがって、プロテアーゼのN末端にCVB3 3C配列を、C末端にブタ連鎖球菌XaaProDAP配列を含む。pET22bベクター骨格を用いる、且つ新たな融合プロテアーゼを含む、プラスミド構築物を、GenScript社から入手した。設計された融合プロテアーゼ変異体をコードする配列の組合せをTable 7(表7)に示す。
Figure 2016518855
新たな融合プロテアーゼ構築物の小規模発現及びIMAC精製を、実施例1に記載されているように行い、これは、3つの新たなプロテアーゼ全てが、3C及びXaaProDAPの新たなオルソログ配列を含む可溶性及び無傷の融合プロテアーゼをもたらすことを示した。
無傷の質量を、実施例1に記載されているような、IMAC精製された融合プロテアーゼ変異体のLC-MS分析によって決定し、結果は、SDS-PAGEで得られた所見を裏付けた。プロテアーゼ28994、28996、及び28997は、それぞれ107797.8Da、107687.2Da、及び107964.2Daの決定された質量を有し、これらは、計算上の質量107798.1Da、107687.4Da、及び107964.8Daとそれぞれ非常に一致する。したがって、プロテアーゼ20986で観察されたように、主要な検出された質量が完全長融合プロテアーゼの計算上の質量に対応するため、新たなプロテアーゼは顕著にトランケート又は分解されなかった。したがって、プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997の全ては、2つの構成的なタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない。結論として、機能性3C/XaaProDAP融合プロテアーゼを調製する概念は、非常に異なるアミノ酸配列を有するピコルナウイルス3C酵素及びXaaProDAP酵素の他のオルソログを用いる本発明で更に実証された。
(実施例8)
3C及びXaaProDAPの新たなドメインを含むプロテアーゼ28994、28996、及び28997のスケールアップ発現及び精製。
プロテアーゼ28994、28996、及び28997の発現を、BL21(DE3)を発現宿主として用いて、実施例4に記載されているように行った。精製は、捕捉のためのIMACステップと、その後のゲル濾過ステップを用いて、基本的に実施例4に記載されているように行った。プロテアーゼ28994、28996、及び28997は全て、実施例4に記載されているような2段階プロトコルによってうまく精製された。酵素の純度は、SDS-PAGEゲルの検査によって、及びLC-MS分析の間のRP分離HPLCから得られたUV215nmプロファイルの評価によって、少なくとも90%と推定された。MS分析は実施例1に記載されているように行い、プロテアーゼ28994が予想質量(110798.1Da、平均同位体質量)とほぼ一致する107797.8Daの推定質量を有することを示した。プロテアーゼ28996は、予想質量(107687.4Da、平均同位体質量)とほぼ一致する107686.9Daの質量を有し、プロテアーゼ28997は予想質量(107964.8、平均同位体質量)と一致する107964.8Daの決定された質量を有していた。UV280吸光度の測定値を用いて、融合タンパク質の濃度を決定した(NanoDrop社)。
(実施例9)
プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997を用いる酵素反応
酵素反応を、酵素反応緩衝液として1×PBS、pH7.4を用いて、30μlの反応容積で設定した。切断特異性の評価に用いたモデルタンパク質基質は融合タンパク質を含んでおり、酵素によるその後の正確なプロセシングは、ヒトPYY(3-36)(配列番号18)、wtグルカゴン(配列番号19)、及びGLP-1(7-37、K34R)(配列番号20)をもたらした。モデルタンパク質基質の濃度を、実施例6に記載されているように1×PBS、pH7.4で0.5mg/mlに調整した。反応条件のバリエーションを、酵素対基質比率と、酵素反応の時間及び温度との両方に関して評価した。酵素(1×PBS、pH7.4)を有さない対照又はRL9-HRV14 3C(配列番号21)を有する対照を含めた。反応を、>0.5MのAcOHを実験の最後に添加することによって停止させた。酵素反応のLC-MS分析を、実施例6に記載されている条件及び通常の設定を用いて行った。
モデルタンパク質基質としてのRL27_EVLFQGP_PYY(3-36)
プロテアーゼ28994、28996、及び28997とRL27-EVLFQGP-PYY(3-36)基質とのインキュベーションを、それぞれ1:20又は1:100の酵素対基質のモル比率を用いて設定し、反応を、3時間、37℃で行った[Table 8(表8)に示す]。LC-MSによる無傷の質量の分析は、プロテアーゼ28994、28996、及び28997が、1:20の酵素対基質モル比率を用いた場合、37℃で3時間のインキュベーションの後に、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)を成熟PYY(3-36)(配列番号18)に完全にプロセシングし得ることを示した(実施例6において20986について観察されように)。1:100の酵素対基質比率では、より少量のPYY(3-36)及びGP-PYY(3-36)が検出され(反応6、反応8、及び反応10)、反応は、無傷の融合タンパク質が検出されたため、常には完了していなかった。1:100の比率では、プロテアーゼ28996及び28997は、成熟PYY(3-36)のピークの強度のそれぞれ約25%又は約50%の相対強度を伴う、最少量の残りのGP-PYY(3-36)での最も効率的な切断をもたらした。RL9-HRV14 3C(配列番号21)を有する対照はGP_PYY(3-36)のピークのみをもたらし、このことは、XaaProDAPドメインがPYY(3-36)の非変性N末端をもたらすための反応の完了に寄与していること、及び酵素を添加しないと、プロセシングされていない融合タンパク質がもたらされるにすぎないことを示す。この実験は、ヒトライノウイルス又はヒトコクサッキーウイルスに由来する3Cプロテアーゼと、ラクトコッカス・ラクティス又はブタ連鎖球菌に由来するXaaProDAPとを組み合わせる異なる融合プロテアーゼ変異体が、RL27_EVLFQGP_PYY(3-36)を、Ileが正確なN末端アミノ酸残基である成熟PYY(3-36)にプロセシングするためにうまく用いられ得ることを示す。
Figure 2016518855
モデルタンパク質基質としてのRL27_EVLFQGP_グルカゴン
プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997とRL27-EVLFQGP-グルカゴン基質とのインキュベーションを、上記のように設定した。LC-MSによる無傷の質量の分析は、プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997が全て、RL27_EVLFQGP_グルカゴンを成熟グルカゴンにプロセシングし得ることを示したが、1:100又は1:500の酵素対基質比を用いて、4℃又は37℃のインキュベーション温度で、全体的な効率及び特異性において差が観察された(図6〜図9)。プロテアーゼ20986、28996では、1:500の酵素対基質比率及び4℃のインキュベーション温度[Table 9(表9)、反応11及び反応16]によって、融合タンパク質の完全なプロセシングを伴い、顕著な非特異的切断を伴わない、最適な切断条件がもたらされた(図6及び図8)。放出されたグルカゴンの決定された質量は、ヒトwtグルカゴン(ピーク番号1)での計算上の質量3482.8Daと一致した。プロテアーゼ28994及び28997はあまり効率的ではなく、全ての融合タンパク質を試験対象条件では完全にプロセシングせず、プロテアーゼ28994では、強度の低いピーク(ピーク番号3及びピーク番号4)が、非常に限られた非特異的切断を示した[Table9(表9)、反応13(図7)、反応14、及び反応17(図9)]。RL9-HRV14 3C(配列番号21)を有する対照はGP_グルカゴンをもたらしたにすぎず(反応18、図10)、このことは、XaaProDAPドメインが、グルカゴン(配列番号19)における非変性N末端ヒスチジンをもたらすための反応の完了に関与していることを示す。酵素を添加しないと、イニシエーターであるメチオニンを有さないRL27_EVLFQGP_グルカゴンでの計算上の質量13787.1Daと一致する決定された質量を有するプロセシングされていない融合タンパク質がもたらされるにすぎなかった。このことは、ヒトライノウイルス又はヒトコクサッキーウイルスに由来するピコルナウイルス3Cプロテアーゼとラクトコッカス・ラクティス又はブタ連鎖球菌に由来するXaaProDAPとを組み合わせる異なる融合プロテアーゼ変異体が、RL27_EVLFQGP_グルカゴンを、正確なN末端アミノ酸残基としてのHisを有し、且つ融合タンパク質に関連する不純物の生成がないか又は非常にわずかである、成熟グルカゴンにプロセシングするためにうまく最適化され得ることを示す。
Figure 2016518855
モデルタンパク質基質としてのRL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)
プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997とRL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)基質とのインキュベーションを、上記のように設定した。LC-MSによる無傷の質量の分析は、プロテアーゼ20986、28994、28996、及び28997が全て、RL27_EVLFQGP_GLP-1を、計算上の質量3382.7Daに対応する決定された分子量を有する成熟GLP-1(7-37、K34R)に完全にプロセシングし得ることを示した[Table 10(表10)、図11〜図14]。わずかな差異が、1:100又は1:500の酵素対基質比率を用いて、4℃又は37℃のインキュベーション温度で、全体的な効率及び特異性において観察された。観察された非特異的断片は、主にGLP-1(9-37、K34R)(計算上の質量3174.6Da)であり、これにおいて、さらなるジペプチドがGLP-1配列から除去されていた。この実験設定において、融合タンパク質の完全なプロセシングを伴い、非特異的切断をほとんど又は全く伴わない、最適な切断条件は、4℃で得られた。プロテアーゼ28994は、あまり効率的ではなく[反応21(図12)及び反応22、Table 10(表10)]、それは、残りの融合タンパク質がインキュベーション後に観察されたためである。プロテアーゼ28996は、37℃で3時間を用いて、非特異的切断が観察されない、融合タンパク質の完全な切断及び成熟GLP-1(7-37、K34R)の放出をもたらした(示していない)。
最も効率的な反応はプロテアーゼ20986で得られ、これは、4℃で一晩のインキュベーションを伴い、非特異的な又は不完全なプロセシングに由来する断片の検出可能な関与を伴わない、1:500の酵素対基質比率を用いる、最適な切断条件を有していた(反応20、図11)。類似の結果がプロテアーゼ28996及び28997で得られ[反応23(図13)及び反応25(図14)]、これは、1:100の酵素対基質比率及び4℃で一晩のインキュベーションを用いて、完全にプロセシングされた成熟GLP-1(7-37、K34R)をほぼ排他的にもたらしたが、わずかな、しかし検出可能な量のプロセシングされていないGP-GLP-1(7-37、K34R)(成熟ピークの強度の約10%)が、1:500の比率でのインキュベーションの後に検出され得た(反応24及び反応26)。RL9-HRV14 3C(配列番号21)を有する対照は、予想通り、GP_GLP-1(7-37、K34R)を生じさせるにすぎず(反応27、図15)、このことは、融合プロテアーゼのXaaProDAP酵素ドメインが、GLP-1(7-37、K34R)における非変性N末端ヒスチジンを提供することに関与することを示す。酵素を添加しないと、イニシエーターであるメチオニンを有さないRL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)に対応する計算上の質量13688.1Daと一致する決定された質量を有するプロセシングされていない融合タンパク質がもたらされるにすぎなかった。したがって、ヒトライノウイルス又はヒトコクサッキーウイルスに由来するピコルナウイルス3Cプロテアーゼとラクトコッカス・ラクティス又はブタ連鎖球菌に由来するXaaProDAPとを組み合わせる異なる融合プロテアーゼ変異体は、RL27_EVLFQGP_GLP-1(7-37、K34R)を、正確なN末端アミノ酸残基としてのHisを有し、且つ融合タンパク質に関連する不純物の生成がないか又は非常にわずかである、成熟GLP-1(7-37、K34R)(配列番号20)にプロセシングするために最適化され得る。
Figure 2016518855
本発明の特定の特徴が明細書において説明及び記載されてきたが、多くの修正、置換、変更、及び同等物が今や当業者には明らかとなろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内に含まれる全てのこのような修正及び変更を網羅するものであることが理解される。

Claims (15)

  1. ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ及びXaaProDAPの触媒性ドメインを含む二機能性融合酵素。
  2. 式:
    X-Y-Z(I)又はZ-Y-X(II)
    (式中、
    Xは、ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体であり、
    Yは、任意選択のリンカーであり、
    Zは、Xaa-Pro-ジペプチジルアミノペプチダーゼ(XaaProDAP)又はその機能的変異体である)
    のタンパク質を含み、2つのタンパク質分解活性のうち少なくとも一方を低下させることができる自己切断活性を実質的に有さない、請求項1に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  3. 式(I)を有する、すなわち、前記ピコルナウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体が前記二機能性融合プロテアーゼのN末端部分にある、請求項1又は2に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  4. Xがヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ又はその機能的変異体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  5. Xが配列番号2又はその機能的変異体を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  6. Zが、E.C.3.4.14.11酵素又はその機能的変異体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  7. Zが、乳酸菌に由来する酵素又はその機能的変異体である、請求項6に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  8. Zが配列番号1又はその機能的変異体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  9. Zがストレプトコッカス属種に由来する酵素又はその機能的変異体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  10. Zが配列番号24又はその機能的変異体である、請求項10に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  11. 前記機能的変異体が、対応する天然タンパク質又はタンパク質の天然部分配列と比較して1〜15アミノ酸の置換、欠失、又は付加を含む、請求項2から10のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  12. リンカーYを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  13. N末端に結合したタグタンパク質を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼ。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼを調製するための方法であって、宿主細胞中で二機能性融合プロテアーゼを含むタンパク質を組換え発現させ、続いて二機能性融合プロテアーゼを単離することを含む、方法。
  15. N末端ペプチド又はタンパク質をより大きなペプチド又はタンパク質から除去するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の二機能性融合プロテアーゼの使用。
JP2016514440A 2013-05-24 2014-05-23 融合プロテアーゼ Withdrawn JP2016518855A (ja)

Applications Claiming Priority (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP13169173.5 2013-05-24
EP13169173 2013-05-24
EP13171191 2013-06-10
EP13171191.3 2013-06-10
US201361834100P 2013-06-12 2013-06-12
US61/834,100 2013-06-12
EP13194053 2013-11-22
EP13194053.8 2013-11-22
US201361909412P 2013-11-27 2013-11-27
US61/909,412 2013-11-27
PCT/EP2014/060696 WO2014187974A1 (en) 2013-05-24 2014-05-23 Fusion protease

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016518855A true JP2016518855A (ja) 2016-06-30
JP2016518855A5 JP2016518855A5 (ja) 2017-06-15

Family

ID=51932984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016514440A Withdrawn JP2016518855A (ja) 2013-05-24 2014-05-23 融合プロテアーゼ

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20160122793A1 (ja)
EP (1) EP3004369A1 (ja)
JP (1) JP2016518855A (ja)
CN (1) CN105247067A (ja)
WO (2) WO2014187960A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160060319A1 (en) 2014-08-27 2016-03-03 Cellivery Therapeutics, Inc. Development of Protein-Based Biotherapeutics That Induced Osteogenesis for Bone Healing Therapy: Cell-Permeable BMP2 and BMP7 Recombinant Proteins (CP-BMP2 & CP-BMP7), Polynucleotides Encoding the Same and Pro-osteogenic Compositions Comprising the Same
CN110128540B (zh) * 2019-04-18 2021-12-14 江南大学 一种基于便携式血糖仪的二抗
CN110592057B (zh) * 2019-09-27 2022-01-28 昆明理工大学 嵌合裂解酶ILTphg和编码此酶的多核苷酸
CN112011497B (zh) * 2020-08-28 2022-06-07 上海交通大学 分泌表达猪源性抗产肠毒素大肠杆菌k88菌毛单链抗体的重组乳酸乳球菌及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56166200A (en) * 1980-02-29 1981-12-21 Univ California Idiosyncratically cutting linker
JPH05501360A (ja) * 1990-02-03 1993-03-18 マックス―プランク―ゲゼルシャフト ズー フォーデルング デール ウィッセンシャフテン エー.ヴェー. IgAプロテアーゼによる組み換えタンパク質の酵素的切断法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4769326A (en) * 1980-02-29 1988-09-06 The Regents Of The University Of California Expression linkers

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56166200A (en) * 1980-02-29 1981-12-21 Univ California Idiosyncratically cutting linker
JPH05501360A (ja) * 1990-02-03 1993-03-18 マックス―プランク―ゲゼルシャフト ズー フォーデルング デール ウィッセンシャフテン エー.ヴェー. IgAプロテアーゼによる組み換えタンパク質の酵素的切断法

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIO/TECHNOLOGY, vol. Vol.3, JPN6018009699, 1985, pages 821 - 823 *
J. BACTERIOL., vol. 187, no. 2, JPN6018009701, January 2005 (2005-01-01), pages 795 - 799 *
PROTEIN EXPR. PURIF., vol. 24, no. 3, JPN5016005891, 1 April 2002 (2002-04-01), pages 530 - 538 *
PROTEIN EXPR. PURIF., vol. 80, no. 2, JPN6018009700, December 2011 (2011-12-01), pages 283 - 293 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014187974A1 (en) 2014-11-27
US20160122793A1 (en) 2016-05-05
WO2014187960A1 (en) 2014-11-27
CN105247067A (zh) 2016-01-13
EP3004369A1 (en) 2016-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6591511B2 (ja) スプリットインテイン、複合体およびそれらの使用
JP5909172B2 (ja) 融合タンパク質の自己タンパク質分解切断による組換えタンパク質の産生
JP5823483B2 (ja) 塩基性タンパク質タグに融合したプロセシング酵素
KR20150008852A (ko) 계면활성제 펩타이드의 제조 방법
JP2016501550A (ja) Crm197に関する方法及び組成物
ES2321058T7 (es) Purificación de proteínas recombinantes fusionadas con epítopos múltiples
JP2016518855A (ja) 融合プロテアーゼ
EP2183274B1 (en) Methods and compositions for targeting proteins of interest to the host cell envelope
JP2014512814A (ja) 大腸菌での異種タンパク質生成のための新規発現および分泌ベクター系
Elmorjani et al. A bacterial expression system revisited for the recombinant production of cystine-rich plant lipid transfer proteins
JP4546089B2 (ja) 融合タンパク質
US8383400B2 (en) Kits for producing recombinant polypeptides via cysteine protease autoprocessing of fusion proteins
WO2019138125A1 (en) Biological synthesis of amino acid chains for preparation of peptides and proteins
US20160319287A1 (en) Atypical inteins
Jia et al. A new vector coupling ligation-independent cloning with sortase a fusion for efficient cloning and one-step purification of tag-free recombinant proteins
JP2009525749A (ja) 組換えタンパク質の精製のためのアフィニティーポリペプチド
JP2010071744A (ja) 化合物のスクリーニング方法、並びに、スクリーニング用キット
JP2023508893A (ja) Whepドメイン融合による目的タンパク質の水溶性増進方法
KR20070035499A (ko) 폴리펩티드의 제조방법
KR20220061126A (ko) 카스파제-2 변이체
JP5908888B2 (ja) 改変された植物のシステインプロテアーゼ及びその使用
KR20120051217A (ko) 시스토바이러스 파이12의 외피막 단백질 피9을 융합파트너로 포함하는 막 단백질 발현벡터 및 이를 이용한 막 단백질 제조 방법
EP2097520A1 (en) A method for producing n-terminal methioine free polypeptides in microbial host cells
Clark Investigation of a novel intein-based Escherichia coli expression system for human methylmalonyl CoA mutase: a thesis presented to Massey University in partial fulfilment of the requirements for the degree of Master of Science in Biochemistry
JP2006111572A (ja) シャペロニン−タンパク質複合体及びその製造方法、並びに目的タンパク質の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180319

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20180508