JP2016226184A - コンプレッサモータ制御装置及び電動コンプレッサ - Google Patents

コンプレッサモータ制御装置及び電動コンプレッサ Download PDF

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Abstract

【課題】コンプレッサの起動時に圧縮機構の回転体が負荷トルクに対抗して回転し始められずコンプレッサが起動に失敗してしまうのを防ぐ。
【解決手段】電動モータ5を同期制御で起動する際に、ステータ5cの各相のコイル5dに短時間電流を流れさせて、各相のコイル5dを流れた電流(iu,iv,iw)から、ステータ5cの位置を基準にした直交座標系のα軸電流iα及びβ軸電流iβを求め、その値の組み合わせから、テーブル15cを参照して電動モータ5の電気角度を求める。そして、電動モータ5を同期制御で起動する際に、求めた電気角度に対応する回転角度のロータ3eの負荷トルクを上回るトルクが発生する電流を各相のコイル5dに流れさせる。
【選択図】図10

Description

本発明は、電動コンプレッサとこれを回転させるモータの制御装置に関する。
例えば冷凍サイクルに用いられるコンプレッサでは、シリンダ内のロータを回転させて、シリンダ室内に吸入した流体を圧縮しシリンダ室外に吐出している。そして、ロータをモータで回転させる電動コンプレッサにおいては、モータのステータコイルを流れる誘導電流を利用してセンサレスでロータの回転角度を検出し、検出したロータの回転角度に応じてモータのステータコイルに印加する電圧を調整するセンサレスベクトル制御が行われる。
但し、モータの始動時にステータコイルを流れる誘導電流は、ロータの回転量が小さいため微弱であり、ロータの回転角度を特定するには不十分である場合がある。そこで、モータの始動時には、ステータコイルの励磁する極を一定の周波数で強制的に移動させる同期制御でモータを回転させてロータを強制回転させることが、一般的に行われている。
ところが、同期制御では、ロータにかかる負荷トルクに対してステータコイルを流れる電流が不足すると、負荷トルクに対抗してロータが回転し始めることができず、モータの起動に失敗してしまう可能性がある。
そこで、モータを停止させる際のステータコイルの通電パターンを制御することで、ロータを最終的に特定の回転角度で停止させるようにし、モータの起動時には、特定の回転角度に応じたパターンで同期制御を開始することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2006−271179号公報
ところで、ロータから出没する複数のベーンをロータが収容されたシリンダ室の内周面にそれぞれ摺動させながら、各ベーンのロータからの突出長さをロータの回転に伴い変化させるベーンロータリー式の電動コンプレッサでは、モータの停止後にロータが、吸入側の流体と吐出側の流体との差圧によって逆方向に回転(逆回転)する。そして、ロータに対してかかる回転摩擦力が吸入側の流体と吐出側の流体との差圧を超えると、ロータの逆回転が停止する。
このため、ベーンロータリー式の電動コンプレッサのモータにおいては、モータの停止時にロータを特定の回転角度で停止させる上述のような制御を行って、モータの起動時にロータの停止位置に合わせた効率的な同期制御を行うことが難しい。
したがって、ベーンロータリー式の電動コンプレッサのモータについては、ロータが停止した後にロータの停止位置を検出し、その停止位置に合わせたパターンでモータの起動時の同期制御を行うことが好ましい。
しかし、ロータの停止位置検出について現在提案されているものは、いずれも複雑なアルゴリズムのロジックを実行しなければならず、これを実際の機器で実現するためには、プロセッサやメモリ等のリソースを大がかりなものとする必要があるので、現実的とは言い難い。
このような問題は、上述したベーンロータリー式の圧縮機構を有する電動コンプレッサに限らず、負荷トルクがロータの回転角度によって変化する回転式の圧縮機構を有する電動コンプレッサに共通するものである。
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、コンプレッサの起動時に圧縮機構の回転体が負荷トルクに対抗して回転し始められずコンプレッサが起動に失敗してしまうのを防ぐことができるコンプレッサモータ制御装置と、これを用いて好適な電動コンプレッサとを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、
吸入した気体が圧縮されるコンプレッサの圧縮機構の回転体に連結された回転軸を回転させるモータの制御装置において、
前記モータの停止中に該モータのコイルに位置検出用電流を通電させて、該コイルを流れた電流から、前記モータのステータの位置を基準とし前記回転体の回転角度に応じた直交座標系の軸電流を検出する軸電流検出手段と、
前記軸電流と前記モータのロータの電気角度とを対応付けたテーブルに基づいて、前記軸電流検出手段が検出した前記軸電流に対応する前記電気角度を検出する電気角度検出手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、コンプレッサの起動時に圧縮機構の回転体が負荷トルクに対抗して回転し始められずコンプレッサが起動に失敗してしまうのを防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る電動コンプレッサを示す断面図である。 図1の圧縮機構の拡大断面図である。 図1の電動コンプレッサの電気的構成を示す説明図である。 図1の圧縮機構のロータ回転角度と負荷トルクとの関係を示すグラフである。 図1の圧縮機構のロータの機械角度とロータが回転摩擦力により停止する回転角度との関係を示すグラフである。 図1の電動モータのロータが有する磁極の対数を示す説明図である。 図1の圧縮機構のロータの機械角度と電動モータの電気角度とロータが回転摩擦力により停止する回転角度との関係を示すグラフである。 図1の電動モータのUVWの各相のコイルを流れる電流のベクトルをステータの位置を基準にしたα軸及びβ軸の直交座標系に変換した場合の各軸電流とロータの機械角度との関係を示すグラフである。 図8のα軸及びβ軸の各軸電流と電動モータの電気角度との関係を示すグラフである。 図8のα軸及びβ軸の各軸電流と電動モータの電気角度とロータが回転摩擦力により停止する回転角度との関係を示すグラフである。 図3のモータ制御部が電動モータの電気角度を検出するためにステータのコイルに通電する際のインバータ回路の状態を示す説明図である。 図11のインバータ回路に対するモータ制御部のスイッチング波形と電動モータのコイルを流れた電流の波形との関係を示すグラフである。 図3のモータ制御部が行った通電により求めた電動モータのコイルのα軸電流及びβ軸電流を示すグラフである。 図8のα軸及びβ軸の各軸電流から電動モータの電気角度を検出できるか否かを図6のロータが有する磁極の対数と圧縮機構のベーン枚数との組み合わせ毎に示す説明図である。 図3のモータ制御部が電動モータの起動時に行う制御の手順を示すフローチャートである。 図15の起動処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明をベーンロータリー式の圧縮機構を有する電動コンプレッサに適用した場合の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電動コンプレッサの概略構成を示す正断面図、図2は図1の圧縮機構の拡大断面図である。なお、本実施形態では、3つのベーンを有するベーンロータリー式の圧縮機構を有する電動コンプレッサを例に取って説明する。図1に示す本実施形態の電動コンプレッサ1は、回転式の圧縮機構3を電動モータ5で駆動して冷媒を圧縮するものである。
そして、電動コンプレッサ1(請求項中のコンプレッサに相当)は、圧縮機構3及び電動モータ5の他、これらが収容されるハウジング7、及び、コントローラ15を有している。
圧縮機構3は、一対のサイドブロック3a,3bと、これらによって挟持されたシリンダブロック3cと、シリンダブロック3cの内部に形成された楕円形のシリンダ室3dに収容した円柱状のロータ3eとを有している。
ロータ3e(請求項中の回転体に相当)は、サイドブロック3a,3bの軸受部3f,3gで軸受された電動モータ5の回転軸5aに取り付けられており、図2に示すように、ロータ3eの周面に開口する3つのベーン溝31には、ロータ3eの周面から出没可能にベーン33がそれぞれ支持されている。ベーン溝31及びベーン33は、ロータ3eの回転方向X(正方向)に120゜ずつ間隔をおいて配置されている。
ロータ3eが電動モータ5によりシリンダ室3d内で回転方向X(正方向)に回転されると、ロータ3eの各ベーン33がシリンダ室3dの内周面に倣ってベーン溝31から出没し、ロータ3eと隣り合う2つのベーン33とシリンダ室3dとで構成される圧縮室35の容積が変化する。
そして、圧縮室35の容積が増加する間に、サイドブロック3aに形成した吸入口(図示せず)を通じて低圧の冷媒が吸入され、吸入された冷媒が、圧縮室35の容積の減少に伴い圧縮される。圧縮された高圧の冷媒は、シリンダブロック3cの吐出ポート3lの吐出弁3mを開弁させ、さらに、サイドブロック3bに形成した吐出口(図示せず)から吐出される。
図1に示すように、電動モータ5(請求項中のモータに相当)は、回転軸5aに取り付けられたロータ5b(請求項中のロータに相当)と、ロータ5bの外側に配置されたステータ5cとを有している。ステータ5cは複数の極に対応したティース(図示せず)を有しており、各ティースにはコイル5dがそれぞれ巻回されている。電動モータ5は、各コイル5dに所定のパターンで電圧を印加することでステータ5cに回転磁界を発生させることで、ロータ5bを回転させる。
ハウジング7は、一端が閉塞された円筒状を呈している。このハウジング7には圧縮機構3が収容されており、収容された圧縮機構3によりハウジング7の内部は、サイドブロック3bが露出する閉塞側の密閉された吐出室7aと、サイドブロック3aが露出する開口側の吸入室7bとに仕切られている。吸入室7bには電動モータ5が収容されており、吸入室7bは、ハウジング7の開口7cに取り付けた蓋部9によって密閉されている。
上述した吸入室7bは、圧縮機構3によって圧縮する低温低圧の冷媒が、電動コンプレッサ1の外部(例えば、冷凍サイクルの蒸発器)から不図示の吸入ポートを介して吸入される空間である。
また、圧縮機構3によって吸入室7bと気密に仕切られた吐出室7aは、圧縮機構3によって圧縮された高温高圧の冷媒を、不図示の吐出ポートを介して電動コンプレッサ1の外部(例えば、冷凍サイクルの凝縮器)に吐出する空間である。この吐出室7aの下部には、潤滑油11が貯留される液溜まり部7dが形成されている。この液溜まり部7dには、吐出室7a内の液相の冷媒(図示せず)も滞留される。
液溜まり部7dの潤滑油11は、吐出室7aの冷媒の圧力によりサイドブロック3a,3bの軸受部3f,3gに供給されて、軸受部3f,3gが軸受する回転軸5aの潤滑に用いられる。軸受部3f,3gは、サイドブロック3a,3bの回転軸5aが貫通する貫通孔の内周面に形成された環状溝からなる。
サイドブロック3aの軸受部3fには、サイドブロック3bの通路3hと、シリンダブロック3cの通路3iと、サイドブロック3aの通路3jとを介して、液溜まり部7dの潤滑油11が供給される。サイドブロック3bの軸受部3gには、サイドブロック3bの通路3kを介して液溜まり部7dの潤滑油11が供給される。
サイドブロック3a,3bの軸受部3f,3gに供給された潤滑油11は、回転軸5aとの隙間を経て吸入室7bに流入し、吸入室7bの底部に溜まる。吸入室7bの底部には、吸入室7bに吸入された液相の冷媒も溜まる。吸入室7bの底部に溜まった潤滑油11や液相の冷媒は、吸入室7bの冷媒の流れに乗って圧縮機構3のシリンダ室3dに吸入され、ここで圧縮された高圧の冷媒に混じって吐出室7aに吐出される。
そこで、吐出室7aには、高圧の冷媒から潤滑油11を分離する油分離器7eが設けられている。油分離器7eによって冷媒から分離された潤滑油11は、吐出室7a内の液相の冷媒(図示せず)と共に、吐出室7aの下部の液溜まり部7dに滞留される。
コントローラ15(請求項中の制御装置及びコンプレッサモータ制御装置に相当)は、図3の説明図に示すように、インバータ回路15aとモータ制御部15bとを有している。
インバータ回路15aは、直流電源13の電力を交流に変換して電動モータ5のステータ5cのU,V,W各相のコイル5dに供給するものである。そして、インバータ回路15aは、各相のコイル5dに対応する上アーム及び下アームの電力用スイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)Q1〜Q6を有している。
なお、IGBTQ1〜Q6は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor 、電界効果トランジスタ)等のパワートランジスタに置き換えてもよい。
モータ制御部15b(請求項中の軸電流検出手段、電気角度検出手段及び起動制御手段に相当)は、電動モータ5のステータ5cに回転磁界を発生させるための所定のパターンによる各コイル5dへの電圧印加を制御するもので、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
モータ制御部15bは、ロータ5bが一定の回転速度に達した後の定常期間において、各コイル5dへの電圧印加をセンサレスベクトル制御によって行う。センサレスベクトル制御では、ステータ5cの励磁されていない相のコイル5dを流れる誘導電流又は電圧を利用してロータ5bの回転角度をセンサレスで特定し、ロータ5bの回転角度に合わせて回転磁界が回転するように、各コイル5dに電圧が印加される。
一方、ロータ5bが回転し始めてから一定の回転速度に達するまでの始動期間には、ステータ5cのコイル5dを流れる誘導電流又は電圧が小さいので、これを利用してロータ5bの回転角度を特定することができない。そこで、モータ制御部15bは、始動期間において、各コイル5dへの電圧印加を同期制御(同期運転)によって行う。同期制御では、回転角度が不明なロータ5bがステータ5cに発生する回転磁界の回転に同期して回転するように、各コイル5dに電圧が印加される。
なお、同期制御時には、モータ制御部15bは、圧縮機構3のロータ3eの始動トルクを上回るトルクが発生するように、ステータ5cのU,V,Wの各相のコイル5dに電圧を印加して、電動コンプレッサ1の起動が失敗しないようにする必要がある。
ところで、図4のグラフに示すように、ロータ3eの負荷トルクは、ロータ3eの回転角度によって変動する。ロータ3eの回転角度によって負荷トルクが変動する理由は、ロータ3eの回転に伴いシリンダ室3d内の隣り合う2つのベーン33,33間の圧縮室35の容積が変化し、圧縮室35内の冷媒が圧縮されて圧力上昇するのに起因している。
つまり、圧縮室35に冷媒が吸入されるときのロータ3eの回転角度では、圧縮室35内の冷媒圧力が低いのでロータ3eの負荷トルクは低い。一方、吸入された冷媒が圧縮室35内で吐出寸前まで圧縮されたときのロータ3eの回転角度では、圧縮室35内の冷媒圧力が高いのでロータ3eの負荷トルクは高い。このため、ロータ3eの負荷トルクの変動は、ロータ3eの回転に連動した周期で変動する。
そこで、電動モータ5の停止によりロータ3eが停止した回転角度を特定し、その回転角度に対応する負荷トルクに応じて、電動コンプレッサ1の起動時に電動モータ5のステータ5cの各相のコイル5dに印加する電圧を調整することが望ましい。
ところで、電動モータ5を停止した際にロータ3eは、吐出室7aの冷媒圧力と吸入室7bの冷媒圧力との差圧によって逆方向に回転(逆回転)する。そして、シリンダ室3dの内周面に対するベーン33の摺動によりロータ3eに対してかかる回転摩擦力が、吐出室7aの冷媒圧力と吸入室7bの冷媒圧力との差圧を超えると、ロータ3eの逆回転が停止する。
そして、本実施形態の電動コンプレッサ1では、ロータ3eの周面に120゜間隔で形成した3つのベーン溝35から突出した3つのベーン33がシリンダ室3dの内周面をそれぞれ摺動する。このため、電動モータ5の停止後に逆回転したロータ3eが回転摩擦力により停止する位置は、図5のグラフに示すように、ロータ3eが1回転する間に120゜間隔で3箇所存在する。
そこで、本実施形態の電動コンプレッサ1では、図3のモータ制御部15bが、電動モータ5の起動時に、ロータ5bの回転角度を通じて圧縮機構3のロータ3eが、図5に示す3箇所のうちどの回転角度に停止しているかを検出し、それに応じた電流をステータ5cのコイル5dに通電する同期運転を行う。
ロータ5bの回転角度を検出する方法としては、電動モータ5のロータ5bがステータ5cのU,V,Wの各相のコイル5dに通電した際にコイル5dを実際に流れた電流から検出される、電動モータ5の電気角度を用いることが考えられる。
ここで、電動モータ5の電気角度は、ロータ5bの永久磁石による磁極の対数(極対数)をロータ5bの回転角度に乗じた角度である。本実施形態では、図6の説明図に示すように、ロータ5bがS極とN極との対を2つ有しているので、極対数が2つであるロータ5bの回転角度に対して電動モータ5の電気角度は、図7のグラフに示すように、2倍の角度となる。
ところで、ステータ5cのコイル5dを流れた電流から電動モータ5の電気角度を求める際には、コイル5dを流れた電流のベクトルを座標変換により、ステータ5cの位置を基準とする直交座標系(α軸、β軸)のベクトルに変換する。
座標変換後の直交座標系における各軸の電流(α軸電流iα、β軸電流iβ)は、図8のグラフに示すように、電動モータ5の電気角度の2倍の周期で変化する。このような変化は、電動モータ5が、図6に示すような、永久磁石を内部に埋め込んだ埋込磁石形(IPM:Interior permanent Magnet )のロータ5bを用いたIPMモータである場合に顕著となる。これは、電動モータ5のモータトルクがマグネットトルクとリラクタンストルクとを合成したものとなるからである。
また、永久磁石を表面に露出させた表面磁石形(SPM:Surface Permanent Magnet )のロータ5bを用いたSPMモータでも、モータトルクが若干のリラクタンストルクを含んでいる。このため、電動モータ5がSPMモータである場合でも、図8のグラフに示す変化よりも振幅は小さいものの、α軸電流iαやβ軸電流iβの周期的な変化が生じる。
そして、α軸電流iαやβ軸電流iβが電動モータ5の電気角度の2倍の周期で変動することから、例えば、図9のグラフに示すように、α軸電流iαとβ軸電流iβとが同じ値となるA点とB点にそれぞれ対応する電動モータ5の電気角度は、100°及び280°となる。これでは、α軸電流iα及びβ軸電流iβから求めた電動モータ5の電気角度によりロータ5bの機械角度を特定することができない。
このように、電動モータ5の電気角度から特定されるロータ5bの機械角度が複数ある場合に、その中から正しい機械角度を求める方法は、いくつか提案されている。ところが、いずれも複雑なアルゴリズムのロジックを実行しなければならず、これを実際の機器で実現するためには、プロセッサやメモリ等のリソースを大がかりなものとする必要があるので、現実的とは言い難い。
一方、圧縮機構3のロータ3eが回転摩擦力により停止する3つの回転角度に対応する電気角度では、各電気角度に対応するα軸電流iα及びβ軸電流iβの値は、図10のC,D,Eの各点のように、それぞれ異なる値の組み合わせとなる。
したがって、α軸電流iα及びβ軸電流iβの値の組み合わせから、電動モータ5の電気角度を求めてロータ5bの機械角度を特定することができる。
そこで、本実施形態の電動コンプレッサ1では、電動モータ5を起動する前にモータ制御部15bが、ロータ5bが回転しない程度のごく短時間に亘って、電動モータ5の電気角度を検出するための通電を、ステータ5cの各相のコイル5dに対して行う。
この通電では、例えば1シャント方式を利用し、図11の説明図に示すパターンでインバータ回路15aのIGBTQ1,Q5,Q6をオンさせるための、図12のグラフの上部に示すパルス信号を、モータ制御部15bが出力する。これにより、図12のグラフの下部に示す波形の電流(iu,iv,iw)がステータ5cのU,V,Wの各相のコイル5dを流れたら、その電流(iu,iv,iw)からモータ制御部15bが、図12に示す変換式を用いてα軸電流iα及びβ軸電流iβの値を求める。
そして、モータ制御部15bは、内部の不図示のメモリに予め記憶させてある、α軸電流iα及びβ軸電流iβの組み合わせと、圧縮機構3のロータ3eが回転摩擦力により停止する電動モータ5の電気角度とを対応付けた図3のテーブル15cを参照して、モータ制御部15bが求めたα軸電流iα及びβ軸電流iβの組み合わせに対応する電動モータ5の電気角度を特定する。
ここで、α軸電流iα及びβ軸電流iβの値の組み合わせが、図13のグラフ中のa点におけるα軸電流iα及びβ軸電流iβの値であったならば、モータ制御部15bは、その値の組み合わせに対応する電動モータ5の電気角度が、図3のテーブル15cに定義されているか否かを確認する。
そして、モータ制御部15bは、α軸電流iα及びβ軸電流iβの値の組み合わせに対応する電動モータ5の電気角度が図3のテーブル15cに定義されている場合は、電動モータ5を起動する際に、ロータ3eの始動トルクを上回るトルクを発生させる大きさの電流がステータ5cのコイル5dを流れるような内容の同期運転を行う。
例えば、テーブル15cを参照して求めたα軸電流iα及びβ軸電流iβの値の組み合わせに対応する電動モータ5の電気角度が図10のC点である場合、モータ制御部15bは、C点における始動トルクを上回るトルクをロータ3eに発生させる大きさの電流がステータ5cのコイル5dを流れるような内容の同期運転を行う。
これにより、同期運転による起動時に電動モータ5に発生するトルクでロータ3e(電動モータ5のロータ5b)を十分に強制回転させることができ、電動コンプレッサ1を失敗せずに起動させることができる。
ここで、圧縮機構3のロータ3eが、回転摩擦力により停止する3箇所の回転角度にそれぞれあるときの、電動モータ5の各電気角度にそれぞれ対応するα軸電流iα及びβ軸電流iβは、図14の説明図に示すように、電動モータ5のロータ5bの対極数が「2」であり、かつ、ベーン33の枚数が3枚、5枚、あるいは7枚のいずれかである場合に、全て異なる値の組み合わせとなる。
したがって、ロータ5bの対極数が「2」であり、かつ、ベーン33の枚数が5枚あるいは7枚である場合にも、上述したような手順で、同期運転による起動時に、圧縮機構3のロータ3eの始動トルクを上回るトルクを電動モータ5に発生させる処理をモータ制御部15bに行わせることができる。
なお、ベーン33の枚数が1枚である場合は、回転摩擦力により停止するロータ3eの回転位置が1回転につき1箇所しかないので、電動モータ5の電気角度からロータ3eの機械角度を特定する必要がない。
また、ロータ3eの対極数がベーン33の枚数の整数倍である場合は、回転摩擦力により停止するロータ3eの回転位置の周期が電動モータ5の電気角度の変動周期と一致するので、電動モータ5の電気角度からロータ3eの機械角度を特定する必要がない。
それ以外の場合は、回転摩擦力により停止する各回転角度に圧縮機構3のロータ3eがそれぞれあるときに、電動モータ5の各電気角度にそれぞれ対応するα軸電流iα及びβ軸電流iβが同じ値となる場合があるので、電動モータ5の電気角度からロータ3eの機械角度を特定することができない。
モータ制御部15bは、以上に説明した制御を、電動コンプレッサ1の起動に伴い電動モータ5をセンサレス制御に先立って同期制御で回転させる際に行う。以下、モータ制御部15bが電動モータ5の制御を同期制御からセンサレス制御に移行させるまでの処理の手順について、図15及び図16のフローチャートを参照して説明する。
まず、図15に示すように、モータ制御部15bは、起動指令を受けて電動コンプレッサ1の起動処理を行う(ステップS1)。この起動処理では、図16に示すように、モータ制御部15bは、電動モータ5の電気角度を検出するための通電を、ステータ5cのU,V,Wの各相のコイル5dに対して短時間行う(ステップS11)。
次に、モータ制御部15bは、各相のコイル5dを流れた電流(iu,iv,iw)から図12に示す変換式を用いてα軸電流iα及びβ軸電流iβを求め(ステップS13)、さらに、図3のテーブル15cを参照して電動モータ5の電気角度を求める(ステップS15)。
そして、ステップS15で求めた電動モータ5の電気角度に対応する回転角度のロータ3eの始動トルクを上回るトルクがロータ3eに発生するような、電動モータ5の各相のコイル5dに通電させる電流の大きさを決定し(ステップS17)、起動処理を終了して図15のフローチャートの手順に戻る。
図15に示すステップS1の起動処理の終了後に、モータ制御部15bは、ステップS1で決定した大きさの電流を各相のコイル5dに流れさせる同期制御による電動モータ5の強制転流運転を開始して(ステップS3)、制御上の指令速度を上げることで電動モータ5を加速させる(ステップS5)。
そして、モータ制御部15bは、制御上の指令速度等に基づいて、ロータ5bの回転速度が、励磁相以外の相のコイル5dにロータ5bの回転角度を検出するのに十分な誘導電流が流れる所定速度以上に達したか否かを確認する(ステップS7)。そして、所定速度に達していない場合は(ステップS7でNO)、ステップS5にリターンし、所定速度に達した場合は(ステップS7でYES)、モータ制御部15bは、センサレススペクトル制御に移行して(ステップS13)、決定したペースで励磁相のコイル5dに流れる電流値と位相を目標電流値及び目標電流位相に変化させる。
このように、本実施形態のコントローラ15によれば、電動モータ5を同期制御で起動する際に、ステータ5cの各相のコイル5dに短時間電流を流れさせて、各相のコイル5dを流れた電流(iu,iv,iw)からα軸電流iα及びβ軸電流iβを求め、その値の組み合わせから、テーブル15cを参照して電動モータ5の電気角度を求めるようにした。
そして、電動モータ5を同期制御で起動する際に、求めた電気角度に対応する回転角度のロータ3eの始動トルクを上回るトルクが発生する電流を各相のコイル5dに流れさせるようにした。
このため、電動モータ5を起動する際に、同期運転による起動時に電動モータ5に発生するトルクでロータ3e(電動モータ5のロータ5b)を十分に強制回転させることができ、電動コンプレッサ1を失敗せずに起動させることができる。
なお、本実施形態では、シリンダ室3d内でロータ3eを回転させるベーンロータリー式の圧縮機構3を有する電動コンプレッサ1に本発明を適用した場合を例に取って説明した。しかし、本発明は、例えば、可動スクロールを固定スクロールに対して回転させて気体を圧縮するスクロール方式のコンプレッサ等、回転体を回転させることで気体を吸入して圧縮する回転式の圧縮機構を有するコンプレッサをモータで回転させる場合に広く適用可能である。
本発明は、冷媒の圧縮機構を電動モータで駆動する電動コンプレッサにおいて利用することができる。
1 電動コンプレッサ(コンプレッサ)
3 圧縮機構
3a,3b サイドブロック
3c シリンダブロック
3d シリンダ室
3e ロータ(回転体)
3f,3g 軸受部
3h,3i,3j,3k 通路
3l 吐出ポート
3m 吐出弁
5 電動モータ(モータ)
5a 回転軸
5b ロータ(ロータ)
5c ステータ
5d コイル
7 ハウジング
7a 吐出室
7b 吸入室
7c 開口
7d 油溜まり部
7e 油分離器
9 蓋部
11 潤滑油
13 直流電源
15 コントローラ(制御装置、コンプレッサモータ制御装置)
15a インバータ回路
15b モータ制御部(軸電流検出手段、電気角度検出手段、起動制御手段)
15c テーブル
31 ベーン溝
33 ベーン
35 圧縮室
iα α軸電流
iβ β軸電流
Q1〜Q6 IGBT
X 回転方向

Claims (3)

  1. 吸入した気体が圧縮されるコンプレッサ(1)の圧縮機構(3)の回転体(3e)に連結された回転軸(5a)を回転させるモータ(5)の制御装置(15)において、
    前記モータ(5)の停止中に該モータ(5)のコイル(5d)に位置検出用電流を通電させて、該コイル(5d)を流れた電流から、前記モータ(5)のステータ(5c)の位置を基準とし前記回転体(3e)の回転角度に応じた直交座標系の軸電流(iα,iβ)を検出する軸電流検出手段(15b)と、
    前記軸電流(iα,iβ)と前記モータ(5)のロータ(5b)の電気角度とを対応付けたテーブルに基づいて、前記軸電流検出手段(15b)が検出した前記軸電流(iα,iβ)に対応する前記電気角度を検出する電気角度検出手段(15b)と、
    を備えることを特徴とするコンプレッサモータ制御装置(15)。
  2. 前記電気角度のロータ(5b)に最大トルクを発生させるパターンで前記コイル(5d)に通電させて前記モータ(5)を起動させる起動制御手段(15b)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のコンプレッサモータ制御装置(15)。
  3. シリンダ室(3d)内で回転する回転体(3e)の回転方向(X)に等間隔をおいた複数箇所からそれぞれ突出して前記シリンダ室(3d)の内周面に摺接するベーン(33)間の圧縮室(35)において、前記シリンダ室(3d)内に吸入した気体が圧縮される圧縮機構(3)と、
    前記回転体(3e)に連結された回転軸(5a)を回転させるモータ(5)と、
    前記モータ(5)を制御する制御装置(15)とを備えており、
    前記モータ(5)のロータ(5b)の極対数が2つであり、
    前記ベーン(33)の数が3つ、5つ及び7つのうちのいずれかであり、
    前記制御装置(15)として、請求項1又は2記載のコンプレッサモータ制御装置(15)を用いている、
    ことを特徴とする電動コンプレッサ(1)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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