JP2016220576A - 柑橘類エキスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能性成分であるフラバノンを含有する安全な機能性素材を提供する。【解決手段】 柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素及びβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することで、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させた柑橘類エキスの製造方法を提供する。また、柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理し、油脂を添加後分離除去することで、光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスの製造方法を提供するものである。さらに、柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素及びβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理し、油脂を添加後分離除去することで、機能性成分の一種であるフラバノンを含有し、かつ、光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスの製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘類を用いたエキスの製造方法に関する。
柑橘類の果実は、爽やかな香りと酸味や甘味を有し、生食だけでなく、ジュース類やマーマレード、製菓材料といった加工食品原料、調味料等に幅広く用いられる。また、柑橘類の果実中には、クエン酸やビタミンC、フラボノイド、カロテノイド、テルペノイド、リモノイド等の機能性成分が多く含まれており、日本をはじめ、東洋医学においては、漢方原料として用いられるものも多い。
一方、柑橘類の果実に含まれるフラノクマリン類は、皮膚に付着することで、紅斑や色素沈着、びらん等の症状を呈する光毒性接触皮膚炎を発症したり、経口摂取することで、ある種の医薬品の代謝に影響を及ぼし、医薬品の作用又は副作用を増強させたりするといった問題がある。
柑橘類に含まれる機能性成分がもたらす様々な生理活性に着目して、種々の検討が行われている。例えば、ミカン科植物果皮の水又は含水アルコール抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化性組成物(特許文献1)、エリオディクティオール及び/又はジオスメチンを含有する飲食品であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とする飲食品(特許文献2)、柑橘類の果実由来の親水性成分を有効成分とする抗肥満剤であって、前記有効成分はポリフェノールを含むことを特徴とする抗肥満剤(特許文献3)、エリオディクティオール、ヘスペレチン、ナリンゲニン、ジオスメチン、エリオディクティオール配糖体、ヘスペレチン配糖体、ナリンゲニン配糖体及びジオスメチン配糖体から選ばれる少なくとも一種のポリフェノール類を有効成分として含有することを特徴とするキサンチンオキシダーゼ阻害剤(特許文献4)が開示されている。
また、フラノクマリン類の低減を目的とする検討では、例えば、レモン油を、120℃/10mmHg以下の温度及び圧力のもとで減圧蒸留を行って留出油を得、一方、蒸留残渣に無極性溶媒を加えてフロクマリン類を不溶化析出せしめて除去し更に無機吸着剤に吸着せしめて除去した後溶媒を除いて得た油を、前記留出油と合して製造することを特徴とする光毒性を有しないレモン油の製造法(特許文献5)、プソラレン類を含有する天然精油を、亜臨界又は超臨界状態の二酸化炭素を流体として、多孔性重合樹脂を充填した超臨界二酸化炭素抽出カラムクロマト装置を用い、該天然精油中のプソラレン類を分画せしめることを特徴とする、プソラレン類を含有しない天然精油の製造法(特許文献6)が開示されている。
このように、柑橘類については、それが有する有用な機能性成分を含有する安全な機能性素材が依然として求められている。
特開平8−259945号公報 特開2004−267155号公報 特開2006−321772号公報 特開2010−59104号公報 特開昭56−70096号公報 特開平10−316991号公報
本発明の課題は、柑橘類の果実を原料として、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させた柑橘類エキスの製造方法を提供することである。また、本発明の課題は、柑橘類の果実を原料として、光毒性を有するフラノクマリンを低減させた柑橘類エキスの製造方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させ、光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスの製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、柑橘類の果実を原料として、該原料を酵素処理する工程と、油脂を添加する工程と、該油脂を分離除去する工程と、を備えることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素及びβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することで、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させた柑橘類エキスの製造方法を提供するものである。また、本発明は、柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理し、油脂を添加後分離除去することで、光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスの製造方法を提供するものである。さらに、本発明は、柑橘類の果実を原料として、該原料を、ペクチナーゼ活性を有する酵素及びβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理し、油脂を添加後分離除去することで、機能性成分の一種であるフラバノンを含有し、かつ、光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスの製造方法を提供するものである。
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
項(2)
柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、油脂を添加する工程と、該油脂を分離除去する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
項(3)
柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、油脂を添加する工程と、該油脂を分離除去する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
項(4)
柑橘類エキスが含有するフラバノンが遊離のものである、項(1)又は項(2)に記載の製造方法。
項(5)
柑橘類が、ミカン属(Citrus)又はキンカン属(Fortunella)に属する少なくとも1種である、項(1)乃至項(4)に記載の製造方法。
項(6)
前記原料が、粉砕物又は抽出物である項(1)乃至項(5)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(7)
項(1)乃至項(6)のいずれか1項に記載の製造方法により得られる柑橘類エキス。
項(8)
項(7)記載の柑橘類エキスを含有する食品、飲料、医薬部外品又は飼料。
本発明によれば、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させた柑橘類エキスを提供することができる。さらに、本発明によれば、機能性成分の一種であるフラバノンを増大させ、かつ、ベルガモチン等の光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスを提供することができる。また、本発明によれば、ベルガモチン等の光毒性を有するフラノクマリンを低減した柑橘類エキスを提供することができる。
本発明による柑橘類エキスを用いることにより、フラバノンの機能性を利用した食品、飲料、医薬部外品又は飼料を提供することができる。
本発明において、柑橘類とは、ミカン科(Rutaceae)、特にミカン亜科(Aurantioideae)に属する植物のうち、ミカン属(Citrus)、キンカン属(Fortunella)又はカラタチ属(Poncirus)のいずれかに属する植物を指す。柑橘類としては、例えば、ハッサク(Citrus hassaku)、レモン(Citrus limon)、グレープフルーツ(Citrus × paradisi)、ユズ(Citrus junos)、ベルガモット(Citrus × bergamia)、ビロロ(Citrus montana)、オレンジ(Citrus sinensis)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)、ライム(Citrus aurantifolia)、スダチ(Citrus sudachi)、カボス(Citrus sphaerocarpa)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulata)、ヒラミレモン(Citrus depressa)、ダイダイ(Citrus aurantium)、イヨカン(Citrus iyo)、ジャバラ(Citrus jabara)、ナツミカン(Citrus natsudaidai)、ヒュウガナツ(Citrus tamurana)、ブンタン(Citrus maxima)、タンゴール(Citrus reticulata)、タチバナ(Citrus tachibana)、マルミキンカン(Fortunella japonica)、ニンポウキンカン(Fortunella crassifolia)、ナガミキンカン(Fortunella margarita)、ナガハキンカン(Fortunella polyandra)、フクシュウキンカン(Fortunella obovata)、マメキンカン(Fortunella hindsii)、カラタチ(Poncirus trifoliata)、等が挙げられる。中でも、その果実が食用として多く供されているミカン属(Citrus)又はキンカン属(Fortunella)に属する植物が好ましい。
本発明において使用する原料としては、柑橘類の果実を用いる。原料として用いる柑橘類の果実は、生の状態のものであっても、乾燥したものであっても、いずれも用いることができる。また、原料の柑橘類の果実は、1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
本発明において、原料の柑橘類の果実は、粉砕物又は抽出物を用いてもよい。
柑橘類の果実の粉砕物は、原料の柑橘類の果実を単独で、又は水等の溶媒を加えて粉砕処理した粉砕物であればよい。原料の柑橘類の果実を粉砕処理する方法は、特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法を単独又は組み合わせて処理することができる。粉砕処理に用いる機器としては、例えば、切断、粉砕、圧搾、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機、粉砕機、プレス機等が挙げられる。さらに、柑橘類の果実の粉砕物は、水等で希釈して用いてもよく、また、適宜pH調整剤等の添加物を配合することもできる。
柑橘類の果実の抽出物は、原料の柑橘類の果実を水、アルコール又は水−アルコール混合溶液等で抽出した抽出物であればよい。原料の柑橘類の果実を抽出する方法は、特に限定されず、公知の手段を単独又は組み合わせて抽出することができる。抽出方法としては、例えば、常温抽出、加熱抽出、加圧抽出、攪拌抽出、超音波抽出等が挙げられる。原料の柑橘類の果実は、そのままの形状で抽出してもよく、細切処理又は粉砕処理したものを用いてもよい。柑橘類の果実の抽出物は、抽出後そのまま又は固液分離して得られた液部を用いることができる。中でも、抽出後固液分離して得られた液部が好ましい。また、柑橘類の果実の抽出物は、その濃縮物を用いることができる。さらに、柑橘類の果実の抽出物は、水等で希釈して用いてもよく、また、適宜pH調整剤等の添加物を配合することもできる。
本発明においては、原料の柑橘類の果実を、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う。本発明において、原料の柑橘類の果実をペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行うことで、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する場合において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素がもたらす効果を更に向上させることができる。また、油脂を添加する場合において、油脂がもたらす効果を更に向上させることができる。本発明において用いるペクチナーゼ活性を有する酵素は、少なくとも食品に用いることができるペクチナーゼ活性を有する酵素であればいずれでもよく、該酵素を含むものであってもよい。また、該酵素は、酵素製剤の形でも用いることができる。ペクチナーゼ活性を有する酵素としては、例えば、ペクチナーゼ製剤であるスミチーム(登録商標)AP2(新日本化学工業株式会社製)、スミチームSPC(同)、スミチームMC(同)、スミチームPTE(同)、セルロシン(登録商標)PE60(エイチビィアイ株式会社製)、ペクチナーゼG「アマノ」(天野エンザイム株式会社製)、ペクチナーゼPL「アマノ」(同)等が挙げられる。
本発明において、原料の柑橘類の果実を、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する温度は、通常20〜80℃、好ましくは30〜75℃、より好ましくは40〜70℃である。また、本発明において、原料の柑橘類の果実をペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する時間は、通常10分間〜12時間、好ましくは30分間〜6時間である。また、本発明において、ペクチナーゼ活性を有する酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明においては、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する前に、原料の柑橘類の果実のpHを、ペクチナーゼ活性を有する酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。調整するpHは、通常pH2〜7であり、好ましくはpH2.5〜6である。なお、前記pH調整を行った場合、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品等に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、少なくとも食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、酸、アルカリ、及びそれらの塩等が用いられるが、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明において、柑橘類の果実を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う。本発明において用いるβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素は、少なくとも食品に用いることができるβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素であればいずれでもよく、該酵素を含むものであってもよい。また、酵素製剤の形でも用いることができる。β−グルコシダーゼ活性を有する酵素としては、例えば、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ(登録商標)(天野エンザイム株式会社製)、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業株式会社製)、ラピターゼ(登録商標)AR2000(ディー・エス・エムジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する温度は、通常20〜70℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜65℃である。また、本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する時間は、通常30分間〜30時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜20時間である。また、本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、原料の柑橘類の果実に対して、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する前に、原料の柑橘類の果実のpHを、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。調整するpHは、通常pH2〜8であり、好ましくはpH2.5〜6である。なお、前記pH調整を行った場合、該酵素処理した後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品等に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、少なくとも食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明において、得られる柑橘類エキスが含有する機能性成分の一種であるフラバノンの含有量については、少なくとも、本発明の製造方法に供する時点における原料が含有しているフラバノンの含有量よりも増大していればよい。本発明において、得られる柑橘類エキスが含有するフラバノン含有量は、好ましくは固形物あたり0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上である。本発明の製造方法は、フラバノンの含有量を顕著に増大させることが可能である。特に、柑橘類に特有のフラバノンとしては、エリオジクチオール、ナリンゲニン又はヘスペレチンが挙げられ、本発明においては、これらのうち、少なくとも1種以上の含有量を増大させることができる。
なお、本発明において柑橘類エキスが含有するフラバノンとは、アグリコンの状態で存在する、いわゆる遊離の状態のものをいう。
本発明において、前記酵素処理を行った後に、酵素失活処理を行う。酵素失活処理は、最終的に得られる柑橘類エキスにおいて酵素活性が残存しないように行えばよく、また、酵素失活処理の条件は、前記酵素処理において用いた酵素が失活する条件であれば特に限定されない。
本発明において、原料の柑橘類の果実を、油脂を添加し攪拌処理を行ってもよい。油脂との混和性を向上させるためには、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて、原料の柑橘類の果実を酵素処理するとよい。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理した後、該油脂の分離除去を行うことで、ベルガモチン等の光毒性を有するフラノクマリンの含有量を効果的に低減した柑橘類エキスを製造することができる。本発明において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理及び油脂を添加し攪拌処理した後、該油脂の分離除去を行うことで、機能性成分の一種であるフラバノンの含有量を効率的に増大させることに加えて、ベルガモチン等の光毒性を有するフラノクマリンの含有量を効果的に低減した柑橘類エキスを製造することができる。特に、柑橘類に特有のフラノクマリンとしては、ベルガプテン、ベルガモチン又はオキシポイセダニンが挙げられ、本発明においては、これらのうち、少なくとも1種以上の含有量を低減することができる。本発明において、得られる柑橘類エキスが含有するフラノクマリンの含有量は、油脂の添加及び分離除去を行う前よりも低減されていればよく、好ましくは固形物あたり10ppm以下であり、より好ましくは不検出である。
油脂を添加し攪拌処理を行う場合において、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理を行うときには、該攪拌処理と並行して又は該攪拌処理後に行うことが好ましい。
本発明において用いる油脂は、一般に食品等に用いることができる油脂であればいずれでもよく、該油脂を含むものであってもよい。本発明において用いる油脂としては、例えば、米ぬか油、なたね油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、オリーブ油、ごま油、落花生油、ブドウ種子油、椿油、シソ油、アマニ油、クルミ油、カラシ油、カボチャ種子油、スイカ種子油、ココナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、カシューナッツ油、ピスタチオ油、小麦胚芽油、茶実油、アボカド油、パパイヤ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオバター等の植物性油脂;ラード、ヘット、鶏油、魚油、馬油、鯨油、アザラシ油、乳脂等の動物性油脂;及びこれらの水素添加油脂、分別油脂等が挙げられる。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理する方法は、特に限定されず、一般的に攪拌に使用される公知の手段を用いることができる。油脂を添加し攪拌処理する方法としては、例えば、攪拌翼や攪拌子等を用いる機械式又は磁気式の攪拌機により攪拌対象を攪拌処理する方法、空気や窒素等の気体を攪拌対象に吹き込み攪拌処理する方法、また、攪拌対象を収容する容器を振盪、回転等することにより攪拌対象を攪拌処理する方法等が挙げられる。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理する温度は、添加する油脂が流動性を有する温度であればいずれでもよいが、通常20〜100℃、好ましくは30〜90℃、より好ましくは35〜80℃である。また、本発明において、油脂を添加し攪拌処理する時間は、少なくとも5分間以上であり、通常10分間〜30時間、好ましくは20分間〜24時間、より好ましくは30分間〜20時間である。また、本発明において、攪拌処理する油脂の添加量は、該処理温度及び該処理時間により適宜変更することができるが、通常、油脂を添加する処理液中の固形物に対して重量比で0.2倍量〜20倍量、好ましくは0.5倍量〜15倍量、より好ましくは1倍量〜10倍量である。
本発明において、油脂を添加し攪拌処理を行った場合、用いた油脂は、分離除去される。油脂を分離除去する方法は、特に限定されず、遠心分離、デカンテーション、油吸着剤や油凝集剤の使用等の公知の方法により行うことができる。
本発明においては、原料の柑橘類の果実に対し、セルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行ってもよい。本発明において用いるセルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素は、少なくとも食品に用いることができる当該酵素であればいずれでもよく、該酵素を含むものであってもよい。また、該酵素は、酵素製剤の形でも用いることができる。セルラーゼ活性を有する酵素としては、例えば、セルラーゼ製剤であるスミチーム(登録商標)AC(新日本化学工業株式会社製)、スミチームC(同)、セルロシン(登録商標)AC40(エイチビィアイ株式会社製)、セルロシンT3(同)等が挙げられ、また、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素としては、スミチーム(登録商標)ACH(新日本化学工業株式会社製)、スミチームX(同)、セルロシン(登録商標)HC(エイチビィアイ株式会社製)、セルロシンTP25(同)等が挙げられる。
本発明において、原料の柑橘類の果実をセルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する温度は、通常20〜80℃、好ましくは30〜75℃、より好ましくは40〜70℃である。また、本発明において、原料の柑橘類の果実をセルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する時間は、通常10分間〜12時間、好ましくは30分間〜6時間である。また、本発明において、セルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明においては、セルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する前に、原料の柑橘類の果実のpHを、セルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。調整するpHは、通常pH2〜7であり、好ましくはpH2.5〜6である。なお、前記pH調整を行った場合、セルラーゼ活性を有する酵素やヘミセルラーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品等に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、少なくとも食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、酸、アルカリ、及びそれらの塩等が用いられるが、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明により得られる柑橘類エキスは、風味が良好で嗜好性に優れていることから、そのままの形態でも利用することができるが、さらに、該エキスを固液分離した液部として用いることができる。固液分離する方法は、特に限定されず、濾過、遠心分離等の公知の方法により行うことができる。また、本発明により得られる柑橘類エキスは、そのまま又は固液分離した液部を常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、また、乾燥して用いてもよい。乾燥方法は、特に限定されず、公知の手段を用いて乾燥することができる。乾燥方法としては、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、フリーズドライヤー、エアードライヤー等の公知の手段を用いることができる。また、デキストリン等の賦形剤を添加して乾燥してもよい。さらに、乾燥により得られたものを粉砕後、粉末等として用いてもよく、必要に応じて造粒機等を用いて顆粒品とすることができる。
本発明により得られる柑橘類エキスは、そのまま又は水等で希釈して利用することができる。さらに、本発明により得られる柑橘類エキスは、種々の加工食品、例えば、即席食品、乳製品、菓子類、調味料、茶飲料、野菜飲料、大豆飲料、豆乳飲料等の各種の食品や飲料に適宜添加、配合して用いることもできる。また、必要に応じて、通常の食品又は飲料の原料や添加物として使用されているものと併用することもできる。
本発明により得られる柑橘類エキスは、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品といった食品や、医薬部外品又は飼料等に用いることができる。形態としては、アンプル、カプセル、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、固形、液剤、ゲル、エアロゾル等とすることができるほか、各種製品中に配合することができる。これら製品の調製に当たっては、賦形剤、結合剤、潤沢剤等を適宜配合することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は断りのない限り全て重量部基準である。
[調製1]
水洗したハッサク果実(ホール)1000gを粉砕処理し、水500gを加えて混合した後、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を1.5g添加して、60℃で2時間酵素処理を行った。次いで、90℃で10分間酵素失活処理を行った後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収することで、ハッサク抽出物750g(固形分9.8%、pH3.2)(調製1)を得た。
[実施例1]
調製1で得られたハッサク抽出物100gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.5g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、β−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス90g(固形分10.2%)(実施例1)を得た。
[実施例2]
調製1で得られたハッサク抽出物100gに、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)20gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収した。回収した水層に、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.5g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス90g(固形分10.7%)(実施例2)を得た。
[実施例3]
調製1で得られたハッサク抽出物100gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.5g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)20gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、β−グルコシダーゼ処理及び油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス90g(固形分11.2%)(実施例3)を得た。
[実施例4]
調製1で得られたハッサク抽出物100gに、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)20gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス90g(固形分9.8%)(実施例4)を得た。
[対比試験1]
実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4で得られた本発明の柑橘類エキス並びに調製1で得られたハッサク抽出物について、フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン)の含有量と、フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン)の含有量とを、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という)で以下に示す測定条件にて測定した。結果を表1に示す。
<HPLCの測定条件:フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン>
検出器:UV検出器(紫外波長260nm)
カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
移動相A:15容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
移動相B:40容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのグラジエント(45分間)
流速:1.0ml/分
カラム温度:40℃
標品:エリオジクチオール(和光純薬工業株式会社製)、ナリンゲニン(和光純薬工業株式会社製)及びヘスペレチン(東京化成工業株式会社製)をそれぞれ80%アセトニトリル水溶液に溶解した後、適宜希釈し、検量線を作成した。
検体:各試料を80%アセトニトリル水溶液で、適宜希釈したもの。
<HPLCの測定条件:フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン>
検出器:UV検出器(紫外波長310nm)
カラム:InertSustain Phenyl(内径4.6mm、長さ250mm)
移動相A:40容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
移動相B:アセトニトリル
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのグラジエント(35分間)
流速:1.0ml/分
カラム温度:40℃
標品:ベルガプテン(東京化成工業株式会社製)、ベルガモチン(和光純薬工業株式会社製)及びオキシポイセダニン(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれアセトニトリルに溶解した後、適宜希釈し、検量線を作成した。
検体:各試料をアセトニトリルで、適宜希釈したもの。
Figure 2016220576
表1に示すとおり、フラバノンについて、調製1のハッサク抽出物ではいずれも検出されなかったが、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した実施例1、実施例2及び実施例3で得られた本発明の柑橘類エキスでは、いずれも有意にフラバノンが検出された。また、フラノクマリンについて、調製1のハッサク抽出物では、多量のフラノクマリンを検出したが、実施例1で得られた本発明の柑橘類エキスでは、調製1のハッサク抽出物と比較してフラノクマリンが低減されており、さらに、実施例2、実施例3及び実施例4の本発明の柑橘類エキスでは、フラノクマリンが検出されないレベルまで低減された。
[調製2]
水洗したレモン果実(ホール)3000gを粉砕処理し、水1500gを加えて混合した後、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を4.4g添加して、60℃で2時間酵素処理を行った。次いで、90℃で10分間酵素失活処理を行った後、JIS Z 8801−1準拠の標準ふるい:公称目開き150μm(以下、「100メッシュ」という)のふるいを用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収することで、レモン抽出物2050g(固形分8.1%、pH2.7)(調製2)を得た。
[実施例5]
調製2で得られたレモン抽出物80gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.08g添加して、60℃で2時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、β−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス70g(固形分7.8%)(実施例5)を得た。
[実施例6]
調製2で得られたレモン抽出物80gに、パーム油(パームエース(登録商標)N:不二製油株式会社製)24gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収した。回収した水層に、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.08g添加して、60℃で2時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス70g(固形分7.9%)(実施例6)を得た。
[実施例7]
調製2で得られたレモン抽出物80gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.08g添加して、60℃で2時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、パーム油(パームエースN:不二製油株式会社製)24gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、β−グルコシダーゼ処理及び油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス70g(固形分7.3%)(実施例7)を得た。
[実施例8]
調製2で得られたレモン抽出物80gに、パーム油(パームエースN:不二製油株式会社製)24gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス70g(固形分7.6%)(実施例8)を得た。
[対比試験2]
実施例5、実施例6、実施例7及び実施例8で得られた本発明の柑橘類エキス並びに調製2で得られたレモン抽出物について、フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン)の含有量と、フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン)の含有量とを、対比試験1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
Figure 2016220576
表2に示すとおり、フラバノンについて、調製2のレモン抽出物ではいずれも検出されなかったが、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した実施例5、実施例6及び実施例7で得られた本発明の柑橘類エキスでは、いずれも有意にフラバノンが検出された。また、フラノクマリンについて、調製2のレモン抽出物では、フラノクマリンを検出したが、実施例5で得られた本発明の柑橘類エキスでは、調製2のレモン抽出物と比較してフラノクマリンが低減されており、さらに、実施例6、実施例7及び実施例8の本発明の柑橘類エキスでは、フラノクマリンが検出されないレベルまで低減された。
[実施例9]
水洗したグレープフルーツ果実(ホール)350gを粉砕処理して得られた粉砕物(pH3.1)に、硬化パーム油(パームエースN:不二製油株式会社製)70gを加えて攪拌混合しながら、さらに、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を0.35g及びセルラーゼ製剤であるスミチームAC(新日本化学工業株式会社製)を0.35gそれぞれ添加して、60℃で1時間酵素処理を行った。次いで、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収した後、遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収した。回収した水層に、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.7g添加して、60℃で1時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス260g(固形分10.2%)(実施例9)を得た。
[実施例10]
水洗したグレープフルーツ果実(ホール)350gを粉砕処理して得られた粉砕物(pH3.1)に、硬化パーム油(パームエースN:不二製油株式会社製)70gを加えて攪拌混合しながら、さらに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.7g、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を0.35g及びセルラーゼ製剤であるスミチームAC(新日本化学工業株式会社製)を0.35gそれぞれ添加して、60℃で2時間酵素処理を行った後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収した後、遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス260g(固形分10.1%)(実施例10)を得た。
[比較例1]
水洗したグレープフルーツ果実(ホール)350gを粉砕処理して得られた粉砕物(pH3.1)に、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を0.35g及びセルラーゼ製剤であるスミチームAC(新日本化学工業株式会社製)を0.35gそれぞれ添加して、60℃で2時間酵素処理を行った。次いで、90℃で10分間酵素失活処理を行った後、濾布(不織布)を用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収することで、グレープフルーツ抽出物280g(固形分9.8%)(比較例1)を得た。
[対比試験3]
実施例9及び実施例10で得られた本発明の柑橘類エキス並びに比較例1で得られたグレープフルーツ抽出物について、フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン)の含有量と、フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン)の含有量とを、対比試験1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 2016220576
表3に示すとおり、フラバノンについて、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した実施例9及び実施例10で得られた本発明の柑橘類エキスでは、いずれも有意にフラバノンが検出された。さらに、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理をしなかった比較例1のグレープフルーツ抽出物では、フラバノンが僅かしか検出されなかった。また、フラノクマリンについて、実施例9及び実施例10で得られた本発明の柑橘類エキスでは、比較例1のグレープフルーツ抽出物と比較してフラノクマリンが顕著に低減されており、中でも、実施例9の本発明の柑橘類エキスでは、フラノクマリンが検出されないレベルまで低減された。
[調製3]
ユズ果実を搾汁した後の残渣200gを粉砕処理し、水100gを加えて混合した(pH3.2)後、ペクチナーゼ製剤であるスミチームAP2を0.3g添加して、60℃で2時間酵素処理を行った。次いで、90℃で10分間酵素失活処理を行った後、100メッシュのふるいを用いて濾過することにより固液分離を行い液部を回収することで、ユズ抽出物200g(固形分10.0%)(調製3)を得た。
[実施例11]
調製3で得られたユズ抽出物40gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.2g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、β−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス35g(固形分10.6%)(実施例11)を得た。
[実施例12]
調製3で得られたユズ抽出物40gに、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)8gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収した。回収した水層に、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.2g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキス35g(固形分11.4%)(実施例12)を得た。
[実施例13]
調製3で得られたユズ抽出物40gに、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.2g添加して、60℃で5時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)8gを加えて、室温下(20℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、β−グルコシダーゼ処理及び油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス35g(固形分11.3%)(実施例13)を得た。
[実施例14]
調製3で得られたユズ抽出物40gに、米ぬか油(米サラダ油:加藤製油株式会社製)8gを加えて、室温下(20℃〜25℃)で10分間攪拌した。攪拌終了後1時間静置し分離を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収することで、油脂攪拌処理した本発明の柑橘類エキス35g(固形分10.9%)(実施例14)を得た。
[対比試験4]
実施例11、実施例12、実施例13及び実施例14で得られた本発明の柑橘類エキス並びに調製3で得られたユズ抽出物について、フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン)の含有量と、フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン)の含有量とを、対比試験1と同様にして測定した。結果を表4に示す。
Figure 2016220576
表4に示すとおり、フラバノンについて、調製3のユズ抽出物ではいずれも検出されなかったが、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した実施例11、実施例12及び実施例13で得られた本発明の柑橘類エキスでは、いずれも有意にフラバノンが検出された。また、フラノクマリンについて、調製3のユズ抽出物では、フラノクマリンを検出したが、実施例12、実施例13及び実施例14で得られた本発明の柑橘類エキスでは、調製3のユズ抽出物と比較してフラノクマリンが検出されないレベルまで低減された。
[実施例15]
調製1で得られたハッサク抽出物200gに、パーム油(パームエースN:不二製油株式会社製)50gを加えて、50℃で10分間攪拌した。攪拌終了後遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、油層(上層)を除去して水層(下層)を回収した。回収した水層に、β−グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼを0.4g添加して、60℃で2時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、さらに遠心分離処理(2000×G、5分間)を行い、上清を除去して沈殿物を回収し、回収した沈殿物をフリーズドライヤーを用いて乾燥することで、油脂攪拌処理及びβ−グルコシダーゼ処理した本発明の柑橘類エキスの粉末0.5g(固形分95.5%)(実施例15)を得た。
得られた本発明の柑橘類エキスの粉末について、フラバノン(エリオジクチオール、ナリンゲニン及びヘスペレチン)の含有量と、フラノクマリン(ベルガプテン、ベルガモチン及びオキシポイセダニン)の含有量とを、対比試験1と同様にして測定した。結果を表5に示す。
Figure 2016220576
表5に示すとおり、フラバノンについて、調製1のハッサク抽出物ではいずれも検出されなかったが、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理した実施例15で得られた本発明の柑橘類エキスの粉末では、有意にフラバノンが検出された。また、フラノクマリンについて、調製1のハッサク抽出物では、多量のフラノクマリンを検出したが、実施例15で得られた本発明の柑橘類エキスでは、調製1のハッサク抽出物と比較してフラノクマリンが検出されないレベルまで低減された。

Claims (8)

  1. 柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
  2. 柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、油脂を添加する工程と、該油脂を分離除去する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
  3. 柑橘類エキスの製造方法であって、柑橘類の果実を原料として、ペクチナーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理する工程と、油脂を添加する工程と、該油脂を分離除去する工程と、を備えることを特徴とする柑橘類エキスの製造方法。
  4. 柑橘類エキスが含有するフラバノンが遊離のものである、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  5. 柑橘類が、ミカン属(Citrus)又はキンカン属(Fortunella)に属する少なくとも1種である、請求項1乃至請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記原料が、粉砕物又は抽出物である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法により得られる柑橘類エキス。
  8. 請求項7記載の柑橘類エキスを含有する食品、飲料、医薬部外品又は飼料。
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