JP2016213105A - 活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法 - Google Patents

活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現し得る活物質成形体を効率よく製造可能な活物質成形体の製造方法、前記リチウム電池を実現し得る電極複合体を効率よく製造可能な電極複合体の製造方法、および、前記リチウム電池を効率よく製造可能なリチウム電池の製造方法を提供すること。【解決手段】活物質成形体の製造方法は、第1の凹部711と第2の凹部721とを有する犠牲層7と、上基板81(第1の蓋部)と、下基板82(第2の蓋部)と、を積層してなる積層基板8を用意する工程と、積層基板8が置かれた外部空間Sを減圧し、第1の凹部711および第2の凹部721をそれぞれ膨張させることにより、犠牲層7を変形させる工程と、第1の凹部711内に活物質の形成材料を入れる工程と、犠牲層7および活物質の形成材料をそれぞれ加熱することにより、犠牲層7を分解、除去し、かつ、活物質成形体を得る工程と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法に関するものである。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電気機器の電源として、リチウム電池(一次電池および二次電池を含む)が利用されている。リチウム電池は、正極と負極と、これらの層の間に設置され、リチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。
近年、高エネルギー密度と安全性とを両立したリチウム電池として、電解質層の形成材料に、固体電解質を使用する全固体型リチウム電池が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところが、各電気機器の消費電力の増大に伴って、これらの全固体型リチウム電池のみならず、非固体型リチウム電池においても、さらなる高出力化および高容量化が求められている。
特開2006−277997号公報 特開2004−179158号公報 特許第4615339号公報
本発明の目的の一つは、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現し得る活物質成形体を効率よく製造可能な活物質成形体の製造方法、前記リチウム電池を実現し得る電極複合体を効率よく製造可能な電極複合体の製造方法、および、前記リチウム電池を効率よく製造可能なリチウム電池の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の活物質成形体の製造方法は、互いに対向する第1の面および第2の面と、前記第1の面に開口する複数の第1の凹部と、前記第2の面に開口する複数の第2の凹部と、を有する犠牲層と、
前記第1の凹部の開口を塞ぐ第1の蓋部と、
前記第2の凹部の開口を塞ぐ第2の蓋部と、を用意する準備工程と、
前記犠牲層が置かれた空間を減圧し、前記第1の凹部の体積および前記第2の凹部の体積をそれぞれ膨張させることにより、前記犠牲層を変形させる減圧工程と、
前記第1の凹部内に活物質の形成材料を入れる充填工程と、
前記犠牲層および前記活物質の形成材料をそれぞれ加熱することにより、前記犠牲層を分解、除去し、かつ、活物質成形体を得る加熱工程と、
を含むことを特徴とする。
これにより、第1の凹部によって形成材料を成形しつつ、活物質成形体を製造することができるので、例えば微細で複雑な形状の活物質成形体であっても効率よく製造することができる。したがって、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現し得る活物質成形体を効率よく製造することができる。
本発明の活物質成形体の製造方法では、前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが互いにずれていることが好ましい。
これにより、第1の凹部および第2の凹部がそれぞれ犠牲層の厚さ方向に体積膨張したとき、その膨張が互いに阻害され難くなる。その結果、体積膨張後の第1の凹部および第2の凹部は、それぞれ樹脂層の厚さに近い長さを有する細長いものとなり、第1の凹部および第2の凹部の各アスペクト比をより大きくすることができるので、最終的には、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現可能な活物質成形体を得ることができる。
本発明の活物質成形体の製造方法では、前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ規則的に配置されていることが好ましい。
これにより、単位体積当たりの第1の凹部の体積を容易に大きくすることができ、かつ、第1の凹部に隣り合う第2の凹部の体積も同時に大きくすることが容易になるので、この犠牲層を用いることによって、活物質成形体の充填率を高めつつ、活物質成形体と固体電解質層との接触面積を大きくすることができる。したがって、このような犠牲層を用いることにより、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現可能な活物質成形体を得ることができる。
本発明の活物質成形体の製造方法では、前記充填工程において、前記第1の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第1の凹部内に前記活物質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第1の凹部内に入れた前記活物質の形成材料同士を繋げることが好ましい。
これにより、リチウム電池に用いられたとき、集電体に対して十分に広い接触面積を有し、集電体との電子伝導性を高め得る活物質成形体が得られる。
本発明の活物質成形体の製造方法では、前記犠牲層の構成材料は、樹脂材料を含むことが好ましい。
これにより、分解性が高く、適度な柔軟性を有する犠牲層が得られる。
本発明の電極複合体の製造方法は、互いに対向する第1の面および第2の面と、前記第1の面に開口する第1の凹部と、前記第2の面に開口する第2の凹部と、を有する犠牲層と、
前記第1の凹部の開口を塞ぐ第1の蓋部と、
前記第2の凹部の開口を塞ぐ第2の蓋部と、を用意する準備工程と、
前記犠牲層が置かれた空間を減圧し、前記第1の凹部の体積および前記第2の凹部の体積をそれぞれ膨張させることにより、前記犠牲層を変形させる減圧工程と、
前記第1の凹部内に活物質の形成材料を入れ、前記第2の凹部内に電解質の形成材料を入れる充填工程と、
前記犠牲層、前記活物質の形成材料および前記電解質の形成材料をそれぞれ加熱することにより、前記犠牲層を分解、除去し、かつ、活物質成形体および固体電解質層を得る加熱工程と、
を含むことを特徴とする。
これにより、第1の凹部によって活物質の形成材料を成形しつつ、活物質成形体を製造し、第2の凹部によって電解質の形成材料を成形しつつ、固体電解質層を製造することができるので、例えばアスペクト比の大きい部分を含む活物質成形体や固体電解質層であってもそれぞれ効率よく製造することができる。したがって、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現し得る電極複合体を効率よく製造することができる。
本発明の電極複合体の製造方法は、前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが互いにずれていることが好ましい。
これにより、第1の凹部および第2の凹部がそれぞれ犠牲層の厚さ方向に体積膨張したとき、その膨張が互いに阻害され難くなる。その結果、体積膨張後の第1の凹部および第2の凹部は、それぞれ樹脂層の厚さに近い長さを有する細長いものとなり、第1の凹部および第2の凹部の各アスペクト比をより大きくすることができるので、最終的には、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現可能な電極複合体を得ることができる。
本発明の電極複合体の製造方法は、前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ規則的に配置されていることが好ましい。
これにより、単位体積当たりの第1の凹部の体積を容易に大きくすることができ、かつ、第1の凹部に隣り合う第2の凹部の体積も同時に大きくすることが容易になるので、この犠牲層を用いることによって、活物質成形体および固体電解質層の充填率を高めつつ、活物質成形体と固体電解質層との接触面積を大きくすることができる。したがって、このような犠牲層を用いることにより、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を実現可能な活物質成形体を得ることができる。
本発明の電極複合体の製造方法は、前記充填工程において、
前記第1の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第1の凹部内に前記活物質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第1の凹部内に入れた前記活物質の形成材料同士を繋げるとともに、
前記第2の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第2の凹部内に前記電解質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第2の凹部内に入れた前記電解質の形成材料同士を繋げることが好ましい。
これにより、リチウム電池に用いられたとき、集電体に対して十分に広い接触面積を有する活物質成形体と、電極に対して十分に広い接触面積を有する固体電解質層と、を有する電極複合体が得られる。
本発明の電極複合体の製造方法は、前記犠牲層の構成材料は、樹脂材料を含むことが好ましい。
これにより、分解性が高く、適度な柔軟性を有する犠牲層が得られる。
本発明のリチウム電池の製造方法は、本発明の活物質成形体の製造方法により製造された活物質成形体に接するように電解質層を設ける工程と、
前記活物質成形体と接するように集電体を設ける工程と、
前記電解質層と接するように電極を設ける工程と、
を含むことを特徴とする。
これにより、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を効率よく製造することができる。
本発明のリチウム電池の製造方法は、本発明の電極複合体の製造方法により製造された電極複合体の一方の面に、前記活物質成形体と接するように集電体を設ける工程と、
前記電極複合体の他方の面に、電極構成物を設ける工程と、
を含むことを特徴とする。
これにより、高出力かつ高容量を有するリチウム電池を効率よく製造することができる。
本発明に係る電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池の縦断面図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法における電極複合体の製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第2製造方法を説明するための図である。 図1に示すリチウム二次電池の第2製造方法を説明するための図である。 第2実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。 第3実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。 第4実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。 他の構成例に係る犠牲層の上面(第1の面)側から下面(第2の面)側を透視した平面図である。
以下、本発明に係る活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を図面を用いて説明する。
なお、説明に用いる図面は、図面を見やすくするため、および説明を分かりやすくするために、各構成要素の寸法や比率等を適宜異ならせて記載しているが、これは便宜上のものである。また、説明の便宜上、記載の上側を「上」、下側「下」と言う。
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明に係る活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法についての説明を行う。また、本発明に係る活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池についての説明を行う。
まず、本発明に係る活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を適用して製造されたリチウム二次電池100について説明する。図1は、リチウム二次電池100の縦断面図である。
リチウム二次電池100は、積層体10と、積層体10上に接合された電極20とを有している。このリチウム二次電池100は、いわゆる全固体型リチウム(イオン)二次電池である。
積層体10は、集電体1と、活物質成形体2と、固体電解質層3と、を備えている。なお、以下では、活物質成形体2と固体電解質層3とを合わせた構成を、電極複合体4と称することとする。この電極複合体4は、集電体1と電極20との間に位置して、対向する一対の面4a、4bにおいて、これらに対して互いに接合している。したがって、積層体10は、集電体1と電極複合体4とが積層された構成を有する。
集電体1は、電池反応により生成された電流を取り出すための電極であり、電極複合体4の一面4aにおいて活物質成形体2に接して設けられている。
この集電体1は、活物質成形体2が正極活物質で構成される場合、正極として機能し、活物質成形体2が負極活物質で構成される場合、負極として機能する。
また、集電体1の形成材料(構成材料)としては、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、この群から選ばれる2種以上の金属元素を含む合金等が挙げられる。
集電体1の形状は、特に限定されず、例えば、板状、箔状、網状等をなすものが挙げられる。また、集電体1における電極複合体4との接合面は、平滑なものであってもよく、凹凸が形成されていてもよいが、電極複合体4との接触面積が最大となるように形成されるのが好ましい。
活物質成形体2は、形成材料として活物質を含有する粒子状の活物質粒子21を含み、複数の活物質粒子21の各々が3次元的に連結して形成された多孔質の成形体である。
多孔質の成形体である活物質成形体2は複数の細孔を有する。当該複数の細孔における空孔が活物質成形体2の空隙である。活物質成形体2の内部で互いに網目状に連通した部分が連通孔を形成する。この連通孔に固体電解質層3が入り込むことにより、活物質成形体2と固体電解質層3との間で広い接触面積を確保することができる。
また、本実施形態の積層体10(電極複合体4)は、後に詳述するが、活物質成形体2の形成材料および固体電解質層3の形成材料が互いに隔てられた空間(凹部)によって成形され、その後、この空間を画成している型(犠牲層)ごと、加熱されることによって形成された活物質成形体2および固体電解質層3を有している。このため、活物質成形体2および固体電解質層3は、型の形状に基づいて、それぞれ所望の成形パターンでかつ高精度に成形されたものとなり、双方の成形パターン次第で、両者の接触面積を最大限に確保することが可能である。このため、活物質成形体2と固体電解質層3との界面におけるインピーダンスを低減させ、界面における良好な電荷移動が可能になる。
ここで、本実施形態では、複数個の活物質粒子21同士が凝集して活物質凝集体25を形成している。そして、このような活物質凝集体25が複数個、層状に並ぶことによって活物質成形体2が形成されている。
本実施形態に係る活物質凝集体25は、それぞれ図1に示すように、集電体1と電極20とを結ぶ方向に長軸を有する柱状をなしている。そして、活物質成形体2には、複数の活物質凝集体25が含まれており、これらが互いに所定の距離を隔てて並んでいる。
さらに、活物質凝集体25同士の間には、後述する柱状に成形された固体電解質層3(電解質凝集体35)が介挿されている。したがって、本実施形態に係る電極複合体4では、活物質凝集体25と電解質凝集体35との間でより広い接触面積を確保することができる。
加えて、集電体1と電極20とを結ぶ方向に長軸を有する活物質凝集体25は、この方向における電荷移動をより促進することができる。これにより、リチウム二次電池100の出力をより高めることができる。
活物質粒子21は、活物質形成材料の種類を適宜選択することにより、集電体1は、正極にも負極にもなり得る。
集電体1を正極とする場合、活物質粒子21の形成材料には、例えば、正極活物質として公知のリチウム酸化物を用いることができ、特にリチウム複酸化物を好ましく用いることができる。
なお、本明細書において「リチウム複酸化物」とは、リチウムを必ず含み、かつ全体として2種以上の金属イオンを含む酸化物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを言う。
このようなリチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMn、LiFePO、LiFeP、LiMnPO、LiFeBO、Li(PO、LiCuO、LiFeF、LiFeSiO、LiMnSiO等が挙げられる。また、本明細書においては、これらのリチウム複酸化物の結晶内の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。
さらに、集電体1を負極とする場合、活物質成形体2の形成材料には、例えば、負極活物質として、LiTi12、LiTi等のリチウム複酸化物を用いることができる。
このようなリチウム酸化物を含むことで、活物質粒子21は、複数の活物質粒子21同士で電子の受け渡しを行い、活物質粒子21と固体電解質層3との間でリチウムイオンの受け渡しを行い、活物質成形体2としての機能を良好に発揮する。
活物質粒子21の平均粒径は、300nm以上5μm以下が好ましく、450nm以上3μm以下がより好ましく、500nm以上1μm以下がさらに好ましい。このような平均粒径の活物質を用いると、得られる活物質成形体2の空隙率を、好ましい範囲内に設定することができる。これにより、活物質成形体2の細孔内の表面積を広げ、かつ活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、積層体10を用いたリチウム電池を高容量にしやすくなる。
ここで、空隙率は、例えば、(1)活物質成形体2の外形寸法から得られる、細孔を含めた活物質成形体2の体積(見かけ体積)と、(2)活物質成形体2の質量と、(3)活物質成形体2を構成する活物質の密度とから下記の式(I)に基づいて測定することができる。
Figure 2016213105
空隙率が10%以上50%以下であることが好ましく、30%以上50%以下であることがより好ましい。活物質成形体2がこのような空隙率を有することにより、活物質成形体2の細孔内の表面積を広げ、かつ活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積を広げやすくなり、積層体10を用いたリチウム電池を高容量にしやすくなる。
活物質粒子21の平均粒径が上記下限値未満であると、固体電解質層3の形成材料の種類によっては、形成される活物質成形体の細孔の半径が数十nmの微小なものになり易く、細孔の内部に固体電解質層3の形成材料を浸入させることが困難となり、その結果、細孔の内部の表面に接する固体電解質層3を形成しにくくなるおそれがある。
また、活物質粒子21の平均粒径が上記上限値を超えると、形成される活物質成形体2の単位質量当たりの表面積である比表面積が小さくなり、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積が小さくなるおそれがある。そのため、リチウム二次電池100において、充分な出力が得られなくなるおそれがある。また、活物質粒子21の内部から固体電解質層3までのイオン拡散距離が長くなるため、活物質粒子21において中心付近のリチウム酸化物は電池の機能に寄与しにくくなるおそれがある。
なお、活物質粒子21の平均粒径は、例えば、活物質粒子21をn−オクタノールに0.1質量%以上10質量%以下の範囲の濃度となるように分散させた後、光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX250)を用いて、メジアン径を求めることにより測定することができる。
また、詳しくは後述するが、活物質成形体2の空隙率は、活物質成形体2を形成する工程において、粒子状の有機物で構成される造孔材を用いることで制御可能である。
一方、本実施形態に係る活物質凝集体25は、前述したように、複数個の活物質粒子21同士が凝集することによって形成されている。
活物質凝集体25の長軸の平均長さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましい。このような長軸長さの活物質凝集体25を用いると、活物質凝集体25のアスペクト比(短軸の長さに対する長軸の長さの比)を大きくし易い。このため、このような活物質凝集体25を用いることにより、長軸方向の電荷移動度を高めつつ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積をより広げやすくなる。その結果、リチウム二次電池100の高容量化と高出力化とを両立させることができる。
なお、活物質凝集体25の長軸の平均長さは、例えば、活物質凝集体25を電子顕微鏡等で観察し、観察像における最大長さを求めるとともに、10個以上の測定値を平均することによって求められる。
また、活物質凝集体25の平均アスペクト比は、1.5以上100以下が好ましく、5以上50以下がより好ましい。このような平均アスペクト比の活物質凝集体25を用いると、活物質凝集体25の表面積を十分に確保しつつ、短軸を十分に短くすることができるので、短軸方向には活物質凝集体25を高密度に並べることが可能になる。このため、表面積の大きい活物質凝集体25を高密度に配置することによって、活物質凝集体25の長軸方向における高い電荷移動度と、単位体積当たりの活物質の高充填化とを両立させ、高出力かつ高容量のリチウム二次電池100を実現可能な電極複合体4を得ることができる。
なお、活物質凝集体25の平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡等による活物質凝集体25の観察像において、最大長さの径を長軸とし、長軸に直交する方向の最大長さの径を短軸としたとき、短軸の長さに対する長軸の長さの比を求め、10個以上の測定値を平均することによって求められる。
固体電解質層3は、固体電解質を形成材料(構成材料)とし、活物質成形体2の表面に接して設けられている。
また、本実施形態に係る固体電解質層3では、複数個の粒状体31同士が凝集することによって電解質凝集体35が形成されている。そして、このような電解質凝集体35が複数個、層状に並ぶことによって固体電解質層3が形成されている。
本実施形態に係る電解質凝集体35は、それぞれ、図1に示すように、集電体1と電極20とを結ぶ方向に長軸を有する柱状をなしている。そして、固体電解質層3には、複数の電解質凝集体35が含まれており、これらが互いに所定の距離を隔てて並んでいる。
さらに、電解質凝集体35同士の間には、前述した活物質凝集体25が介挿されている。したがって、本実施形態に係る電極複合体4では、電解質凝集体35と活物質凝集体25との間でより広い接触面積を確保することができ、リチウム二次電池100の高出力化を図ることができる。また、単位体積当たりの固体電解質の充填率を高めることができ、リチウム二次電池100の高容量化を図ることができる。
加えて、集電体1と電極20とを結ぶ方向に長軸を有する電解質凝集体35は、この方向における電荷移動をより促進することができる。これにより、リチウム二次電池100の出力をより高めることができる。
固体電解質としては、SiO−P−LiO、SiO−P−LiCl、LiO−LiCl−B、Li3.40.6Si0.4、Li14ZnGe16、Li3.60.4Ge0.6、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO、Li2.88PO3.730.14、LiNbO、Li0.35La0.55TiO、LiLaZr12、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−P、LiPON、LiN、LiI、LiI−CaI、LiI−CaO、LiAlCl、LiAlF、LiI−Al、LiF−Al、LiBr−Al、LiO−TiO、La−LiO−TiO、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiN−LiCl、LiNBr、LiSO、LiSiO、LiPO−LiSiO、LiGeO−LiVO、LiSiO−LiVO、LiGeO−ZnGeO、LiSiO−LiMoO、LiSiO−LiZrO等の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物が挙げられる。なお、固体電解質は、結晶質であっても非晶質(アモルファス)であってもよい。また、本明細書においては、これらの組成物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体も、固体電解質として用いることができる。
また、固体電解質としては、特に、下記式(II)で表されるリチウム複酸化物が好ましく用いられる。
Li7-xLa3(Zr2-x,Mx)O12 ・・・ (II)
[式中、Mは、Nb、Sc、Ti、V、Y、Hf、Ta、Al、Si、Ga、Ge、Sn、およびSbのうちの少なくとも1種を表し、Xは0以上2以下の実数を表す。]
なお、上記式のMは、特に、Nb(ニオブ)およびTa(タンタル)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。これにより、得られる固体電解質のリチウムイオン伝導性をより高めることができ、かつ、固体電解質の機械的強度をより高めることができる。
また、上記式のX、すなわち、金属Mの置換率は、1以上2以下であるのが好ましく、1.4以上2以下であるのがより好ましい。前記Xが小さ過ぎると、金属Mの種類等によっては、固体電解質において、前述した機能を十分に発揮させることができないおそれがある。
また、上記式で表されるリチウム複酸化物は、立方晶または正方晶のいずれの結晶構造を有するものであってもよいが、立方晶のガーネット型結晶構造を有することが好ましい。これにより、固体電解質のイオン導電率のさらなる向上が図られる。
また、より具体的には、Li6.8La3Zr1.8Nb0.212が特に好ましく用いられる。
本実施形態に係る固体電解質層3の構成材料である固体電解質は、固体電解質の前駆体(電解質の形成材料)を焼成(加熱)することにより生成される。この焼成の際に、生成された固体電解質は、その一次粒子が造粒することで形成された二次粒子からなる粒状体31を構成する。そのため、固体電解質層3は、活物質成形体2の空隙内を含む活物質成形体2の表面に接して設けられるが、かかる粒状体31の集合体で構成されることから、固体電解質層3も、活物質成形体2と同様に、多孔質体で構成される。
なお、固体電解質層3は、必ずしも多孔質体でなくてもよく、緻密体であってもよい。
固体電解質層3のイオン伝導率は、5×10−5S/cm以上であることが好ましく、1×10−5S/cm以上であることがより好ましい。固体電解質層3がこのようなイオン伝導率を有することにより、活物質成形体2の表面から離れた位置の固体電解質層3に含まれるイオンも、活物質成形体2の表面に達し、活物質成形体2における電池反応に寄与することが可能となる。そのため、活物質成形体2における活物質の利用率が向上し、容量を大きくすることができる。このとき、イオン伝導率が上記下限値未満であると、固体電解質層3の種類によっては、活物質成形体2において対極と相対する面の表層近辺の活物質しか電池反応に寄与せず、容量が低下するおそれがある。
なお、「固体電解質層3のイオン伝導率」とは、固体電解質層3を構成する上述の無機電解質自身の伝導率である「バルク伝導率」と、無機電解質が結晶質である場合における結晶の粒子間の伝導率である「粒界イオン伝導率」と、の総和である「総イオン伝導率」のことを言う。
また、固体電解質層3のイオン伝導率は、例えば、固体電解質粉末を624MPaで錠剤型にプレス成形したものを大気雰囲気下700℃で8時間焼結し、次いで、スパッタリングにより、プレス成形体の両面に、直径0.5cm、厚み100nmのプラチナ電極を形成して被検体とし、その後、交流インピーダンス法によって測定される。測定装置には、例えば、インピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製、型番SI1260)を用いる。
一方、本実施形態に係る電解質凝集体35は、前述したように、複数個の粒状体31同士が凝集することによって形成されている。
電解質凝集体35の長軸の平均長さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましい。このような長軸長さの電解質凝集体35を用いると、電解質凝集体35のアスペクト比を大きくし易い。このため、このような電解質凝集体35を用いることにより、長軸方向の電荷移動度を高めつつ、固体電解質層3と活物質成形体2との接触面積をより広げやすくなる。その結果、リチウム二次電池100の高容量化と高出力化とを両立させることができる。
なお、電解質凝集体35の長軸の平均長さは、例えば、電解質凝集体35を電子顕微鏡等で観察し、観察像における最大長さを求めるとともに、10個以上の測定値を平均することによって求められる。
また、電解質凝集体35の平均アスペクト比は、1.5以上100以下が好ましく、5以上50以下がより好ましい。このような平均アスペクト比の電解質凝集体35を用いると、電解質凝集体35の表面積を十分に確保しつつ、短軸を十分に短くすることができるので、短軸方向には電解質凝集体35を高密度に並べることが可能になる。このため、表面積の大きい電解質凝集体35を高密度に配置することによって、リチウム二次電池100の高容量化と高出力化とを両立させることができる。
なお、電解質凝集体35の平均アスペクト比は、例えば、電解質凝集体35を電子顕微鏡等で観察し、観察像における最大長さの径を長軸とし、長軸に直交する方向の最大長さの径を短軸としたとき、短軸の長さに対する長軸の長さの比を求め、10個以上の測定値を平均することによって求められる。
また、積層体10には、活物質同士をつなぎ合わせるバインダーや、活物質成形体2の導電性を担保するための導電助剤などの有機物が含まれていてもよいが、本実施形態では、活物質成形体2を成形する際に、バインダーや導電助剤等を用いることなく成形されており、ほぼ無機物のみで構成されている。具体的には、本実施形態においては、電極複合体4(活物質成形体2および固体電解質層3)を400℃で30分加熱したときの質量減少率が、5質量%以下となっている。また、質量減少率は、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、質量減少が観測されない、または誤差範囲であることが特に好ましい。電極複合体4がこのような質量減少率を有するため、電極複合体4には、所定の加熱条件で蒸発する溶媒や吸着水等の物質や、所定の加熱条件で燃焼または酸化されて気化する有機物が、構成全体に対して5質量%以下しか含まれないこととなる。
なお、電極複合体4の質量減少率は、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用い、電極複合体4を所定の加熱条件で加熱することで、所定の加熱条件による加熱後の電極複合体4の質量を測定し、加熱前の質量と加熱後の質量との比から算出することができる。
本実施形態の積層体10においては、活物質成形体2において、複数の細孔が内部で網目状に連通する連通孔を構成しており、活物質成形体2の固体部分も網目構造を形成している。例えば、正極活物質であるLiCoOは、結晶の電子伝導性に異方性があることが知られている。そのため、LiCoOを形成材料として活物質成形体を形成しようとすると、細孔を機械加工で形成するような、特定の方向に細孔が延在して設けられているような構成では、結晶の電子伝導性を示す方向によっては、内部で電子伝導しにくいことが考えられる。しかしながら、活物質成形体2のように細孔が網目状に連通し、活物質成形体2の固体部分が網目構造を有していると、結晶の電子伝導性またはイオン伝導性の異方性によらず、電気化学的に滑性な連続表面を形成することができる。そのため、用いる活物質の種類によらず、良好な電子伝導を担保することができる。
また、本実施形態の積層体10においては、電極複合体4が上述のような構成であるため、電極複合体4に含まれるバインダーや導電助剤の添加量を抑制することができ、バインダーや導電助剤を用いる場合と比べて、積層体10の単位体積あたりの容量密度が向上する。
また、本実施形態の積層体10(電極複合体4)の製造にあたっては、前述したように、活物質成形体2の形成材料および固体電解質層3の形成材料がそれぞれを収容可能な凹部によって成形され、この凹部を画成している犠牲層ごと、形成材料が加熱されることによって活物質成形体2および固体電解質層3が製造されている。このため、活物質成形体2および固体電解質層3は、それぞれ所望の成形パターンでかつ高精度に成形されたものとなり、双方の成形パターン次第で、両者の接触面積を最大限に確保することができる。このため、活物質成形体2と固体電解質層3との界面におけるインピーダンスを低減させ、界面における良好な電荷移動が可能になる。
これらのことから、積層体10を有するリチウム二次電池100は、積層体10を有さない他のリチウム二次電池に比較して、単位体積あたりの容量が向上しており、かつ高出力となっている。
また、リチウム二次電池100では、電極複合体4の他面4bに電極20が接合されている。電極20は、活物質成形体2に接することなく固体電解質層3に接して設けられている。かかる構成とすることで、リチウム二次電池100において、電極20と集電体1とが活物質成形体2を介して接続されるのを防止すること、すなわち短絡を防止することができる。したがって、固体電解質層3は、リチウム二次電池100における短絡の発生を防止する短絡防止層としての機能をも発揮する。
なお、電極20は、活物質成形体2が正極活物質で構成される場合、負極として機能し、活物質成形体2が負極活物質で構成される場合、正極として機能する。
電極20の形成材料(構成材料)としては、電極20が負極の場合、例えば、リチウム(Li)が挙げられ、電極20が正極の場合、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。
電極20の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
次に、図1に示すリチウム二次電池100を製造する方法の実施形態を2つに分けて説明する。
まず、本発明のリチウム二次電池の第1製造方法、およびそれに含まれる本発明の活物質成形体の製造方法の実施形態について説明する。
図2〜11は、図1に示すリチウム二次電池の第1製造方法を説明するための図である。なお、図2および図6(b)では、犠牲層の凹部にドットを付している。
リチウム二次電池100の第1製造方法は、[1]上面71(第1の面)に開口する第1の凹部711および下面72(第2の面)に開口する第2の凹部721を有する犠牲層7と、第1の凹部711を塞ぐように犠牲層7に重ねられた上基板81(第1の蓋部)と、第2の凹部721を塞ぐように犠牲層7に重ねられた下基板82(第2の蓋部)と、を備える積層基板8を用意する工程と、[2]積層基板8が置かれた空間を減圧する工程と、[3]第1の凹部711内に活物質の形成材料を含む第1液状材料201を入れる工程と、[4]犠牲層7および第1液状材料201をそれぞれ加熱することにより、犠牲層7を分解、除去し、かつ、活物質成形体2を得る工程と、[5]活物質成形体2に接するように固体電解質層3を形成する工程と、[6]活物質成形体2と接するように集電体1を設ける工程と、[7]固体電解質層3と接するように電極20を設ける工程と、を有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図2〜4に示すように、上面71(第1の面)に開口する複数の第1の凹部711および下面72(第2の面)に開口する複数の第2の凹部721を有する犠牲層7を用意する。なお、図2は、犠牲層7を上面71側から見た平面図であり、図3は、図2に示す犠牲層7の上面71側から下面72側を透視した斜視図であり、図4は、図2のA−A線断面図である。
犠牲層7は、表裏の関係にある上面71と下面72とを有するシート状の樹脂層70を備えている。このうち、上面71には複数の第1の凹部711が開口しており、下面72には複数の第2の凹部721が開口している。
樹脂層70は、後述する工程において分解、除去されるため、その構成材料は分解性に優れたものが好ましく用いられる。加えて、樹脂層70は、後述する工程において第1の凹部711および第2の凹部721が体積膨張するのに伴って伸張することが求められる。このため、樹脂層70の構成材料には、分解性のみでなく、適度な柔軟性も求められる。
樹脂層70の構成材料としては、例えば、天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックス等を含むゴム類(エラストマー類)の他、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、セルロース等が挙げられる。また、樹脂層70の構成材料は、2種類以上の成分が混合した複合材料であってもよい。さらに、樹脂層70の構成材料には、このような樹脂材料の他に、樹脂材料よりも少ない量の非樹脂材料が含まれていてもよい。
樹脂層70の厚さは、後述する工程において第1の凹部711および第2の凹部721が体積膨張するのに伴って樹脂層70が伸張する際、その伸張量を左右する。このため、第1の凹部711や第2の凹部721の厚さ(体積膨張量)を大きくするときには、樹脂層70の厚さを厚くすることによって第1の凹部711および第2の凹部721が体積膨張する際の樹脂層70の伸張量を十分に確保することができる。
したがって、伸張前の樹脂層70の厚さは、体積膨張前後の第1の凹部711および第2の凹部721の厚さ(高さ)に応じて適宜設定されるが、一例として、30μm以上3mm以下であるのが好ましく、50μm以上2mm以下であるのがより好ましい。これにより、体積膨張前においては、上面71側に第1の凹部711を形成し、下面72側に第2の凹部721を形成してもそれらの形状を維持し得る程度の機械的強度を樹脂層70に付与することができる。また、体積膨張の際には、樹脂層70に対して十分な伸張量を付与することができる。
次いで、第1の凹部711を塞ぐように、樹脂層70の上面71に対して上基板81を重ねる。これにより、第1の凹部711内は閉空間となる。このとき、樹脂層70の上面71と上基板81との接触界面は、気密性を有するように構成される。その結果、第1の凹部711内は、気密性を有する閉空間となり、外部空間から独立したものとなる。
一方、第2の凹部721を塞ぐように、樹脂層70の下面72に対して下基板82を重ねる。これにより、第2の凹部721内も閉空間となる。このとき、樹脂層70の下面72と下基板82との接触界面も、気密性を有するように構成される。その結果、第2の凹部721内は、気密性を有する閉空間となり、外部空間から独立したものとなる。
上基板81の構成材料および下基板82の構成材料は、それぞれ気密性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
樹脂層70と上基板81との接着方法および樹脂層70と下基板82との接着方法は、それぞれ特に限定されないが、例えば接着剤による接着、接着シートによる接着等が挙げられる。
以上のようにして、下基板82と樹脂層70と上基板81とがこの順で積層されてなる積層基板8が得られる(準備工程)。
[2]次に、図5(a)に示すように、積層基板8が置かれた空間、すなわち積層基板8の外部空間Sを減圧する(減圧工程)。これにより、第1の凹部711と外部空間Sとの間および第2の凹部721と外部空間Sとの間には、それぞれ外部空間Sの減圧分に相当する圧力差が生じる。
この圧力差に基づいて第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれ体積膨張を伴う。体積が膨張する際には、樹脂層70が主に厚さ方向に引き伸ばされる。その結果、第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれ図5の上下方向に細長い内部空間を有するものとなる。
すなわち、第1の凹部711が体積膨張する際には、上述したように、主に、図4の下方に向かって膨張する。また、第2の凹部721が体積膨張する際にも、主に、図4の上方に向かって膨張する。
一方、第1の凹部711および第2の凹部721は、図4の左右方向(樹脂層70の面内方向)にも膨張するが、一定量膨張したときに、互いに隣り合う第1の凹部711同士および互いに隣り合う第2の凹部721同士が互いに干渉し合うことになるため、それらの中間点までしか膨張できない。同様に、第1の凹部711および第2の凹部721も、一定量膨張したところで互いに干渉し合う。このため、図4の左右方向における膨張量は自ずと制限される。
そして、樹脂層70が伸び切る限界まで第1の凹部711および第2の凹部721が膨張した時点で、膨張が停止する。この結果、第1の凹部711と第2の凹部721との間は、薄い樹脂層70を隔てた状態になる。
同様に、第1の凹部711も、樹脂層70の下面72近くまで膨張し、薄い樹脂層70を隔てた状態となり、第2の凹部721も、樹脂層70の上面71近くまで膨張し、薄い樹脂層70を隔てた状態となる。
以上のことから、第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれ図6(a)に示すように、上下方向(犠牲層7の厚さ方向)に細長い内部空間を有することとなる。
なお、第1の凹部711および第2の凹部721の膨張は、等方的に進むため、実際には図6(a)のような等幅形状にはなり難い。
図6(b)は、体積膨張後の第1の凹部711および第2の凹部721の平面視形状の一例であって、図6(a)に示す犠牲層7を上面71側から見たときの平面図である。
第1の凹部711は、等方的に膨張するため、膨張前よりも開口が大きくなっている。そして、隣り合う第1の凹部711同士の間は、樹脂層70を介して離間している。
一方、第2の凹部721は、上面71の直下まで膨張しているが、その膨張端(図6(a)に図示している部位)は、第1の凹部711の膨張開始よりも遅れて形成されるため、第2の凹部721の平面視の大きさは、第1の凹部711の平面視の大きさよりも小さくなると考えられる。
なお、図6(b)は、一例であり、体積膨張前の第1の凹部711および第2の凹部721の形状や、樹脂層70の構成材料等によって異なる。
以上のように、第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれ主に樹脂層70の厚さ方向に沿って体積膨張する。したがって、図6(a)に示すように、第1の凹部711および第2の凹部721をそれぞれ細長い形状にするためには、本工程に供される前の犠牲層7の平面視において第1の凹部711と第2の凹部721とが互いに重なっていないことが好ましい。換言すれば、本工程に供される前の犠牲層7について、その下面72を透視しつつ上面71を平面視したとき、第1の凹部711と第2の凹部721とが互いにずれていることが好ましい。これにより、第1の凹部711および第2の凹部721がそれぞれ樹脂層70の厚さ方向に体積膨張した場合、その膨張が互いに阻害され難くなる。その結果、体積膨張後の第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれ樹脂層70の厚さに近い長さを有する細長いものとなり、第1の凹部711および第2の凹部721の各アスペクト比をより大きくすることができる。
このような第1の凹部711は、後述する工程において、活物質の形成材料を含む第1液状材料201を細長い形状(アスペクト比が大きい形状)に成形し得る成形型となる。このような第1の凹部711を含む犠牲層7を用いることによって、最終的には、高出力かつ高容量を有するリチウム二次電池100を実現可能な活物質成形体2を得ることができる。
なお、第1の凹部711および第2の凹部721の各配置は、上述したものに限定されず、例えば第1の凹部711の一部と第2の凹部721の一部とが重なっていてもよい。
また、第1の凹部711および第2の凹部721は、それぞれランダムに配置されていてもよいが、好ましくは規則的に配置される。これにより、単位体積当たりの第1の凹部711の体積を容易に大きくすることができ、かつ、第1の凹部711に隣り合う第2の凹部721の体積も同時に大きくすることが容易になる。換言すれば、これらの体積を理論的な最大値に近づけることが容易になる。また、第1の凹部711と第2の凹部721の体積比を容易に調整することができるようになる。その結果、最終的には、活物質成形体2の充填率を高めつつ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積も大きくすることができ、リチウム二次電池100の高容量化と高出力化とを両立させることができる。
なお、第1の凹部711の平面視形状および第2の凹部721の平面視形状は、上述した形状に限定されず、多角形、円形、異形等、いかなる形状であってもよい。
また、複数の第1の凹部711のうち、1つの形状が、他の1つの形状と異なっていてもよい。
同様に、複数の第2の凹部721のうち、1つの形状が、他の1つの形状と異なっていてもよい。
[3]次に、図7(a)に示すように、体積膨張した第1の凹部711内に、活物質の形成材料を含む第1液状材料201を入れる(充填工程)。
第1液状材料201の供給方法は、特に限定されないが、第1液状材料201を流す方法、ディスペンサー等を利用した方法、インクジェット法、スプレー法、浸漬法等であればよい。
第1液状材料201を供給するときには、上基板81に貫通孔を形成して供給するようにしてもよいが、図7(a)に示すように上基板81を剥離して供給するようにしてもよい。
なお、上基板81を剥離する際には、必要に応じて、カッター等の切断手段を用いて樹脂層70の一部を切断するようにしてもよい。
また、上基板81を剥離し易くするために、必要に応じて、上基板81または樹脂層70の上面71に離型剤等を塗布したり、離型層を形成しておいてもよい。
図7(a)の場合、第1の凹部711は上面71側が開口しているので、第1液状材料201を上面71上に流すことによって、第1液状材料201を複数の第1の凹部711内に簡単に充填することができる。
なお、この充填作業の際には、必要に応じて、超音波処理、振動処理等を施すようにしてもよい。
そして、第1液状材料201を第1の凹部711内に充填した後、本実施形態では、さらに、図7(b)に示すように、第1液状材料201を第1の凹部711からあふれさせている。これにより、隣り合う第1の凹部711内に充填された第1液状材料201同士が互いに繋がることとなる。その結果、図7(b)に示すように、犠牲層7の上面71を覆うように第1液状材料201を塗り広げることができる。
このように塗り広げられた第1液状材料201は、最終的に、層状の活物質成形体2に転化する。この層状の活物質成形体2は、集電体1との間で十分に広い接触面積を確保し、この間の電子伝導性を高めることに寄与する。
なお、第1液状材料201を供給した後には、必要に応じて、第1液状材料201を乾燥させる工程を付加するようにしてもよい。
第1液状材料201としては、例えば、活物質の前駆体を含む溶液や、活物質粒子21を分散媒に分散させた分散液が挙げられる。このような第1液状材料201では、前駆体を反応させて活物質粒子21を生成したり、分散媒が除去されることによって活物質粒子21を残存させ、目的とする成形パターンの活物質成形体2を容易に製造することができる。
第1液状材料201における活物質粒子21の含有量は、10質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、好ましい空隙率を有する活物質成形体2を得ることができる。
また、第1液状材料201には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリビニルアルコール(PVA)などの有機高分子化合物をバインダーとして添加してもよい。これらのバインダーは、後述する熱処理において、燃焼または酸化され、量が低減する。
この他、バインダーとしては、例えば、ポリカーボネート、セルロース系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリビニルブチラール系バインダー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第1液状材料201には、必要に応じて、高分子や炭素粉末を形成材料とする粒子状の造孔材を添加してもよい。これらの造孔材が混入することにより、活物質成形体2の空隙率を制御することが容易となる。このような造孔材は、熱処理時に燃焼や酸化により分解除去され、得られる活物質成形体2では量が低減する。
造孔材の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上10μm以下である。
また、第1液状材料201には、必要に応じて、光硬化性樹脂が含まれていてもよい。光硬化性樹脂が含まれることにより、第1液状材料201は、光硬化性を有するものとなり、光照射によって保形性を高めることができる。
光硬化性樹脂は、例えば、重合性化合物と、重合性化合物に重合反応を誘起し得る光重合開始剤と、を含む。
このうち、重合性化合物としては、光重合開始剤から生じる活性種により重合し得る化合物であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー等が挙げられる。具体的には、例えば、アクリル(メタクリル)類、エポキシ類、オキセタン類、ビニルエーテル類等のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
第1液状材料201における重合性化合物の含有量は、特に限定されないが、10質量%以上80質量%以下であるのが好ましい。
一方、光重合開始剤としては、光の照射によってラジカルやカチオン等の活性種を生じる化合物であればよく、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物のような光ラジカル重合開始剤、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩のような光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
第1液状材料201における光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。
なお、第1液状材料201には、必要に応じて、水の他、プロトン性溶媒や非プロトン性溶媒のような分散媒(溶媒)、オレイルアミンのような分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、湿潤剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤等が添加されていてもよい。
このうち、分散媒(溶媒)としては、特に、ブタノール、エタノール、プロパノール、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンのような非プロトン性溶媒を1種または2種以上含む分散媒が好ましく用いられる。このような分散媒を用いることにより、分散媒と接触することによる活物質粒子21の変質、劣化を低減することができる。
また、第1液状材料201の室温(20℃)での粘度は、100mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上10mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、第1液状材料201の高い流動性と固化時の低い収縮率とを両立させることができる。その結果、狭い第1の凹部711にも第1液状材料201を円滑に充填することができ、かつ、活物質成形体2の空隙率が必要以上に大きくなるのを抑制することができる。
なお、この粘度は、例えば、E型(コーンプレート型)粘度計を用い、試料の温度を20℃とし、コーンスピンドルの回転数を50rpmとして測定された値である。
また、第1液状材料201に代えて、粉末状の活物質を用いるようにしてもよい。
粉末状の活物質の造孔材は、潮解性を有する物質を形成材料とする潮解性粒子を含むことが好ましい。潮解性粒子が潮解することにより潮解性粒子の周囲に生じる水が、活物質粒子21同士をつなぎ合わせるバインダーとして機能するため、活物質成形体2の保形性が向上する。そのため、他のバインダーを添加することなく、またはバインダーの添加量を低減させながら活物質成形体2を得ることができ、容易に高容量な電極複合体4とすることができる。
このような潮解性粒子としては、ポリアクリル酸を形成材料とする粒子を挙げることができる。
また、造孔材は、潮解性を有さない物質を形成材料とする非潮解性粒子をさらに含むと好ましい。このような非潮解性粒子を含む造孔材は、取り扱いが容易となる。また、造孔材が潮解性を有する粒子のみであると、造孔材の周囲の水分量に応じて、活物質成形体2の空隙率が所望の設定値から乖離することがあるが、造孔材として非潮解性粒子を同時に含むことで、空隙率の乖離を抑制することが可能となる。
[4]次に、第1の凹部711内に第1液状材料201を充填した状態で、これらを加熱する熱処理を施す(加熱工程、図7(b)参照)。これにより、第1液状材料201中に含まれる揮発成分や有機成分が除去される。また、前駆体には反応が生じて目的とする化合物が生成される。その結果、第1液状材料201から活物質粒子21が生成される。また、焼結によって活物質粒子21同士が互いに連結され、多孔質状かつ柱状に凝集して活物質凝集体25(活物質成形体2)が生成される(図8(a)参照)。
また、この加熱により、犠牲層7が熱分解する。そして、分解物は気体となって除去される。これにより、犠牲層7が消失し、いわゆる離型が完了する。
以上のような方法によれば、成形型に相当する第1の凹部711がいかなる形状であっても、離型することができる。このため、第1の凹部711の形状を微細で複雑な形状にした場合でも、作業効率を下げることなく離型することができ、目的とする形状の活物質成形体2を効率よく製造することができる。
また、上記の方法では、離型の際、活物質成形体2に負荷がかからないので、活物質成形体2に損傷が及ぶおそれを低減することができる。このため、例えば、アスペクト比の大きい活物質凝集体25を含む場合であっても、活物質成形体2を効率よく製造することができる。
この熱処理は、850℃以上であって、用いるリチウム酸化物の融点未満の処理温度で行うことが好ましい。これにより、活物質粒子21同士を焼結させて一体化された成形体を確実に得ることができる。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、導電助剤を添加しなくても、得られる活物質成形体2の抵抗率を好ましくは700Ω/cm以下とすることができる。これにより、得られるリチウム二次電池100は、充分な出力を備えるものとなる。
また、熱処理の処理温度は、より好ましくは875℃以上1000℃以下とされ、さらに好ましくは900℃以上920℃以下とされる。
また、加熱工程における熱処理は、5分以上36時間以下行うことが好ましく、4時間以上14時間以下行うことがより好ましい。
上記のような熱処理を施すことで、活物質粒子21内の粒界の成長や、活物質粒子21間の焼結が進行するため、得られる活物質成形体2が形状を保持しやすくなり、アスペクト比の大きい活物質凝集体25が含まれていてもその形状が壊れにくくなる。また、焼結により活物質粒子21間に結合が形成され、活物質粒子21間の電子の移動経路が形成されるため、導電助剤の添加量も抑制できる。
さらに、熱処理は、段階的に温度条件が上昇する多段階で行うようにしてもよい。具体的には、室温で乾燥させた後、室温から300℃まで2時間、350℃まで0.5時間、1000℃まで2時間をかけて昇温させ、その後、さらに8時間で加熱する熱処理が一例として挙げられる。このような条件で昇温することで、例えば被膜中に前駆体が含まれている場合には、まず前駆体の反応を促進させ、次いで、不要成分の除去を、順次行うことができる。
また、熱処理は、一回で行うようにしてもよく、複数回に分けて行うようにしてもよい。このように複数回に分けて熱処理を行うことにより、例えば前駆体の反応と、活物質粒子21同士の焼結や粒状体31同士の焼結とを、それぞれ確実に行うことができる。
[5]次に、図8(b)に示すように、活物質成形体2を容器9内に収容する。そして、容器9内に、電解質の形成材料を含む第2液状材料301を入れる。これにより、第2液状材料301は、活物質凝集体25同士の隙間、換言すれば、犠牲層7の第2の凹部721が存在していた空間に入り込む。したがって、第2液状材料301から形成される固体電解質層3は、実質的に、第2の凹部721の形状によって成形されたものとなる。このため、固体電解質層3の形状を目的とする形状に容易に近づけることができる。
したがって、例えば第2の凹部721の形状が細長い形状である場合、細長い形状(アスペクト比が大きい形状)の電解質凝集体35を容易に形成することができる。これにより、固体電解質層3の充填率を高めつつ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積も大きくすることができ、リチウム二次電池100の高容量化と高出力化とを両立させ得る電極複合体4が得られる(図10参照)。
第2液状材料301の供給方法は、特に限定されないが、前述した第1液状材料201の供給方法から適宜選択される。
なお、第2液状材料301を容器9内に供給する際、図9(a)では、第2液状材料301が活物質成形体2の上面を超えるように供給している。これにより、第2液状材料301から固体電解質層3を形成したとき、固体電解質層3のみを、電極複合体4の他面4bに露出させることができる。
第2液状材料301としては、例えば、以下の(A)、(B)および(C)が挙げられる。
(A)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により無機固体電解質となる塩を有する組成物(固体電解質の前駆体)を含む溶液
(B)無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシドを有する組成物(固体電解質の前駆体)を含む溶液
(C)無機固体電解質微粒子、または無機固体電解質が有する金属原子を無機固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを分散媒、または(A)もしくは(B)に分散させた分散液
なお、(A)に含まれる塩には、金属錯体を含む。また、(B)は、いわゆるゾルゲル法を用いて無機固体電解質を形成する場合の前駆体である。(A)および(B)では、前駆体の反応によって粒状体31が生成され、また、(C)では、分散媒が除去されることによって粒状体31が生成される。
固体電解質層3の最終的な充填密度を上げるという観点からは、無機固体電解質微粒子または微粒子ゾルを(A)または(B)に分散させた分散液が好ましく用いられる。
また、第2液状材料301には、必要に応じて、第1液状材料201に含まれるものと同様のバインダー、光硬化性樹脂、分散媒、その他の成分が添加されていてもよい。
以上のようにして活物質成形体2の細孔内に第2液状材料301を含浸させた状態で、これらを加熱する熱処理を施す(図9(b)参照)。これにより、第2液状材料301中に含まれる揮発成分や有機成分が除去される。また、前駆体には反応が生じて目的とする化合物が生成される。その結果、第2液状材料301から粒状体31が生成される。また、粒状体31同士が多孔質状かつ柱状に凝集して電解質凝集体35(固体電解質層3)が生成される(図8(a)参照)。
第2液状材料301に対する熱処理は、活物質成形体2を得るための熱処理よりも低い温度で行う。具体的には、熱処理は、300℃以上700℃以下の温度範囲で行うとよい。この熱処理により前駆体から無機固体電解質が生成され、固体電解質層3が形成される。なお、固体電解質層の形成材料としては、Li0.35La0.55TiOを好適に用いることができる。
このような温度範囲で熱処理を施すことにより、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において、それぞれを構成する元素の相互拡散による固相反応が生じ、電気化学的に不活性な副生物が生成することを抑制することができる。また、無機固体電解質の結晶性が向上し、固体電解質層3のイオン電導性を向上させることができる。加えて、活物質成形体2と固体電解質層3との界面において、焼結する部分が生じ、界面における電荷移動が容易となる。これにより、電極複合体4を用いたリチウム電池の容量や出力が向上する。
なお、この熱処理は、前駆体を活物質成形体2の表面に被着させる第1の熱処理と、第1の熱処理の処理温度以上700℃以下の温度条件で加熱する第2の熱処理と、に分けて行うこととしてもよい。このような段階的な熱処理を行うことにより、固体電解質層3を所望の位置に容易に形成することができる。
また、第2液状材料301の室温(20℃)での粘度は、100mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上10mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、第2液状材料301の高い流動性と固化時の低い収縮率とを両立させることができる。その結果、狭い空間にも第2液状材料301を円滑に充填することができ、かつ、固体電解質層3の空隙率が大きくなるのを抑制することができる。
なお、この粘度は、例えば、E型(コーンプレート型)粘度計を用い、試料の温度を20℃とし、コーンスピンドルの回転数を50rpmとして測定された値である。
また、第2液状材料301に代えて、粉末状の固体電解質を用いるようにしてもよい。
以上のようにして電極複合体4が得られる。
続いて、電極複合体4を用いたリチウム二次電池100の製造方法について説明する。
[6]まず、電極複合体4を用いて積層体10を形成する。積層体10は、電極複合体4に集電体1を接合することで形成することができる。積層体10は、電池の一方の電極側の構成物として使用することができる。
電極複合体4と集電体1との接合は、次のようにして行うことができる。
電極複合体4の一面4aを研削・研磨することで、この一面4aから、活物質成形体2と固体電解質層3の双方を露出させる。
次に、図11に示すように、電極複合体4の一面4aに対して集電体1を接合する。
これにより、活物質成形体2と固体電解質層3と集電体1とを備える積層体10が形成される。
なお、集電体1は、別体として形成した集電体を電極複合体4の一面4aに接合することによって形成されてもよく、電極複合体4の一面4aに上述した導電性材料を成膜することによって形成されてもよい。
また、集電体1の成膜方法は、各種の物理気相成長法(PVD)および化学気相成長法(CVD)を用いることができる。
[7]次に、積層体10を用いてリチウム二次電池100を形成する。
上述したように積層体10は電池の一方の電極として使用することができる構成物であり、積層体10に含まれる電極複合体4の他面4bに他方の電極構成物を接合することで電池を形成することが可能となる。本実施形態における電池はリチウム二次電池である。上述した工程の後に下記の工程を経ることで、リチウム二次電池100が形成される。
図11に示すように、電極複合体4の他面4bに、他方の電極構成物である電極20を接合する。
電極20は、別体として形成した電極を電極複合体4の他面4bに接合することによって形成されてもよく、電極複合体4の他面4bに上述した導電性材料を成膜することによって形成されてもよい。
なお、電極20の成膜方法には、集電体1の成膜方法で挙げたのと同様の方法を用いることができる。
以上のような工程を経ることで、リチウム二次電池100が製造される。
このような第1製造方法では、凹部が形成された犠牲層7を含む積層基板8の周囲を単に減圧することで、アスペクト比の大きい凹部を形成することができ、また、この凹部を成形型として形成材料を成形することにより、例えばアスペクト比の大きい活物質凝集体25を含む電極複合体4を効率よく製造することができる。
また、加熱により分解し得る犠牲層7を用いることによって、いわゆる離型操作が不要になるため、アスペクト比の大きい活物質凝集体25であっても精度よく製造することができる。
そして、活物質成形体2の充填率を容易に高めることができ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積も容易に大きくすることができるので、高容量かつ高出力のリチウム二次電池100を効率よく製造することができる。
次に、本発明のリチウム二次電池の第2製造方法、およびそれに含まれる本発明の電極複合体の製造方法の実施形態について説明する。
図12、13は、図1に示すリチウム二次電池の第2製造方法を説明するための図である。
リチウム二次電池100の第2製造方法は、[1]第1製造方法と同様にして、体積膨張した第1の凹部711および第2の凹部721を含む犠牲層7を用意する工程と、[2]第1の凹部711内に活物質の形成材料を含む第1液状材料201を入れるとともに、第2の凹部721内に電解質の形成材料を含む第2液状材料301を入れる工程と、[3]犠牲層7、第1液状材料201および第2液状材料301をそれぞれ加熱することにより、犠牲層7を分解、除去し、かつ、活物質成形体2および固体電解質層3を得る工程と、[4]第1製造方法と同様にして、集電体1および電極20を設ける工程と、を有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、第1製造方法と同様にして、犠牲層7を用意する。また、犠牲層7を支持するため、犠牲層7の下面72に下基板82を配置する。
この犠牲層7は、第1製造方法と同様、樹脂層70と第1の凹部711と第2の凹部721とを備えている。また、樹脂層70は、加熱により分解、除去される材料、例えば樹脂材料を主材料として構成されている。
[2]次に、図12(a)に示すように、体積膨張した第1の凹部711内に、活物質の形成材料を含む第1液状材料201を供給する。このとき、図12(a)に示すように、第1液状材料201を第1の凹部711からあふれさせるようにする。これにより、隣り合う第1の凹部711内に充填された第1液状材料201同士が互いに繋がることとなる。その結果、犠牲層7の上面71を覆うように第1液状材料201を塗り広げることができ、最終的には、集電体1との接触面積が大きい活物質成形体2を製造することができる。
その後、第1液状材料201を乾燥させる。これにより、第1液状材料201が流れ出すのを抑える。
続いて、犠牲層7を上下反転させる。それとともに、犠牲層7から下基板82を剥離し、その下基板82で、今度は、第1液状材料201の乾燥体の下面を支持させる。なお、この支持は、必要に応じて行えばよく、省略することもできる。
また、下基板82を犠牲層7から剥離する際には、必要に応じて、カッター等の切断手段を用いて樹脂層70の一部を切断するようにしてもよい。
また、下基板82を剥離し易くするために、必要に応じて、下基板82または樹脂層70の下面72に離型剤等を塗布したり、離型層を形成しておいてもよい。
そして、図12(b)に示すように、体積膨張した第2の凹部721内に、電解質の形成材料を含む第2液状材料301を供給する。このとき、図12(b)に示すように、第2液状材料301を第2の凹部721からあふれさせるようにする。これにより、隣り合う第2の凹部721内に充填された第2液状材料301同士が互いに繋がることとなる。その結果、犠牲層7の下面72を覆うように第2液状材料301を塗り広げることができ、最終的には、電極20との接触面積が大きい固体電解質層3を製造することができる。
その後、第2液状材料301を乾燥させる。これにより、第2液状材料301が流れ出すのを抑える。
以上のようにして、第1の凹部711内には第1液状材料201を充填し、第2の凹部721内には第2液状材料301を充填することができる(充填工程、図13(a)参照)。
[3]次に、第1の凹部711内に第1液状材料201を充填し、第2の凹部721内に第2液状材料301を充填した状態で、これらを加熱する熱処理を施す(加熱工程)。
これにより、第1液状材料201から活物質粒子21が生成される。また、焼結によって活物質粒子21同士が互いに連結され、多孔質状かつ柱状に凝集して活物質凝集体25(活物質成形体2)が生成される(図13(b)参照)。
一方、第2液状材料301からは粒状体31が生成される。そして、粒状体31同士も互いに連結され、多孔質状かつ柱状に凝集して電解質凝集体35(固体電解質層3)が生成される(図13(b)参照)。
このような熱処理では、活物質成形体2の形成と固体電解質層3の形成とを同時に行うことができるので、これらを個別に行う場合に比べて作業効率を高めることができる。
なお、この熱処理は、活物質粒子21同士を焼結させるとともに、活物質成形体2と固体電解質層3との間にも焼結する部分を生じさせ、かつ、固体電解質層3の劣化を生じない処理条件で行われる。具体的には、活物質や電解質の組成に応じて、前述した熱処理条件の範囲内で適宜設定されればよい。
以上のようにして活物質成形体2および固体電解質層3を備える電極複合体4が得られる。
[4]次に、第1製造方法と同様にして、電極複合体4の一面4aに対して集電体1を接合するとともに、電極複合体4の他面4bに対して電極20を接合する。
以上により、リチウム二次電池100が製造される。
このような第2製造方法では、凹部が形成された犠牲層7を含む積層基板8の周囲を単に減圧することで、アスペクト比の大きい凹部を形成することができ、また、この凹部を成形型として形成材料を成形することにより、例えばアスペクト比の大きい活物質凝集体25を含む電極複合体4およびアスペクト比の大きい電解質凝集体35を含む固体電解質層3を効率よく製造することができる。
また、加熱により分解し得る犠牲層7を用いることによって、いわゆる離型操作が不要になるため、アスペクト比の大きい活物質凝集体25およびアスペクト比の大きい電解質凝集体35であっても精度よく製造することができる。
そして、活物質成形体2および固体電解質層3の充填率を容易に高めることができ、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積も容易に大きくすることができるので、高容量かつ高出力のリチウム二次電池100を効率よく製造することができる。
また、このような第2製造方法は、第1製造方法と同様の効果を奏するとともに、一度の熱処理で活物質成形体2と固体電解質層3とを製造し得るため、製造効率が特に高いという効果も奏する。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造のリチウム二次電池およびその製造方法について説明する。なお、本実施形態を含め以降の実施形態において、第1実施形態における構成要素と同様の構成要素について同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
図14は、第2実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。
リチウム二次電池100Aでは、電極複合体4とは構成が異なる電極複合体4Aが集電体1と電極20とに接合して設けられている。
すなわち、第2実施形態のリチウム二次電池100Aにおいて、電極複合体4Aは、活物質成形体2と、固体電解質層3と、固体電解質層3の形成により残存する空隙に充填された充填層30と、を有している。換言すれば、電極複合体4Aは、前記第1実施形態の電極複合体4に残存している空隙に充填して設けられた充填層30を、さらに有している。
この充填層30は、リチウムイオンを伝導し、室温で非晶質(ガラス質、アモルファス)である固体電解質で形成されている。充填層30は、例えば、リチウムイオン伝導性を備える、SiまたはBを含むリチウム複酸化物により形成される。具体的には、充填層30は、Li2SiO3およびLi6SiO5の少なくとも一方を含んでもよい。
このような充填層30は、例えば、充填層30の流動性を備える前駆体溶液、すなわち、室温で非晶質である固体電解質の前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させた後、加熱する方法を用いて形成することができる。
また、充填層30としては、室温で固体(非晶質)であり、前駆体を焼成する際の体積収縮が固体電解質層3よりも少ない材料を用いることが好ましい。また、充填層30は、固体電解質層3と同程度またはそれより低温で形成できるものであることが好ましい。これは、固体電解質層3と充填層30との相互拡散を抑制するためである。例えば固体電解質層3としてLi0.35La0.55TiOを、充填層30としてLiSiOを用いた場合を考える。この場合、固体電解質層3を形成する際の加熱温度は700℃程度であるが、充填層30を形成する際の形成温度が800℃を超えると、固体電解質層3と充填層30とで相互拡散が発生してしまうおそれがある。また、充填層30の前駆体としては固体電解質層3の前駆体と同様に前述した(A)〜(C)のいずれかが挙げられる。これを溶媒(例えばアルコール系の化合物)で希釈して前駆体溶液を得る。この前駆体溶液を、残存する空隙に含浸させる。前駆体溶液を含浸させる方法は、固体電解質層3について説明したものと同様である。
また、空隙に充填された前駆体溶液を加熱する加熱温度は、例えば300℃以上450℃以下に設定される。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態とは異なる構造のリチウム二次電池およびその製造方法について説明する。
図15は、第3実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。
リチウム二次電池100Bでは、電極複合体4とは構成が異なる電極複合体4Bが集電体1と電極20とに接合して設けられている。
すなわち、第3実施形態のリチウム二次電池100Bにおいて、電極複合体4Bは、活物質成形体2と、固体電解質層3と、固体電解質層3の形成により残存する空隙に充填された電解液36と、固体電解質層3と電極20との間にこれらの双方と接合する電解液含浸層37と、を有している。換言すれば、電極複合体4Bは、前記第1実施形態の電極複合体4に残存している空隙に充填して設けられた電解液36と、電極複合体4と電極20との間に設けられた電解液含浸層37とを、さらに有している。
この電極複合体4Bでは、電極複合体4と電極20との間に電解液含浸層37が設けられており、この電解液含浸層37から残存する空隙に電解液36が供給されることで充填される。これにより、空隙において、活物質成形体2と固体電解質層3との接触面積が低下するのを防止し、活物質成形体2と固体電解質層3との間での抵抗が増大することに起因して活物質成形体2と固体電解質層3との間におけるイオン伝導率が低下するのを確実に防止することができる。
また、通常、リチウム二次電池において充放電サイクルを繰り返すと、活物質成形体または固体電解質層の体積が変動する場合がある。これに対して、本実施形態では、例えば、体積が収縮して空隙が広がったとしても、電解液含浸層37からさらに電解液が浸み出し、空隙が電解液36で充填される。一方、体積が拡大して空隙が狭くなったとしても、空隙の電解液36が電解液含浸層37に浸み込まれる。このように、電極複合体4Bの空隙は体積変動を吸収する緩衝空間となり、電荷の伝導経路の確保につながる。すなわち、高出力の電池を得ることができる。
なお、電解液36(電解液含浸層中のイオン液体)は少量かつ不揮発性であるため、液漏れおよび燃焼の問題はない。
電解液含浸層37は、耐リチウム膜およびポリマーゲル電解質の供給元として機能する膜である。この電解液含浸層37は、リチウムイオンを伝導する電解液を含浸させたフィルムである。すなわち、電解液含浸層37は、支持体と、ポリマーゲル電解質(電解液)とを含む。
支持体は、電解液含浸層(PEGフィルム)37の構造を物理的に支えるためのものである。支持体は、不純物を析出せず、ポリマーゲル電解質等の他の材料と反応せず、イオン液体+Li塩+モノマーとの濡れ性が高いものが好ましい。不純物を析出したり化学反応を起こしてしまうと特性が変化してしまうおそれがある。また、濡れ性が悪いと支持体に高分子が均一に形成できないおそれがある。なお、支持体を用いずにポリマーゲル電解質中のポリマー成分の比率を上げて強度を改善することもできるが、ポリマー成分の比率を上げるとLiの伝導率の低下を招くので支持体を用いることが好ましい。支持体としては、例えば、長繊維セルロースや、疎水性のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。
ポリマーゲル電解質は、Liに対して化学的に安定で、ゲル化して電解液を抱えることができる特性を有することが要求される。通常のPEG(ポリエチレングリコール)系フィルムは、還元を抑える耐リチウム還元層になり電池動作の確認はできる。しかし、PEGフィルムではイオン伝導度の改善が見込めず、電池としての実用的な出力は得られないおそれがある。電池として実用的な出力を得るには、Liの伝導性の向上が必要である。そこで本実施形態では、電解液が揮発しないゲルポリマー電解質を用いている。
このような電極複合体4Bは、例えば、空隙が残存する活物質成形体2と固体電解質層3との複合体の一面に、電解液含浸層37を貼り付け、これにより、電解液含浸層37から電解液を空隙に供給させる方法を用いて形成することができる。
電解液含浸層37は、例えば、支持体(基材)に電解液およびモノマーを含む前駆体溶液を含浸させ、これを光重合させることにより作製する。電解液は、イオン液体およびリチウム塩を含む。イオン液体としては、例えばP13−TFSI(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。リチウム塩としては、Li−TFSI(リチウムN,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)が用いられる。モノマーとしては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)が用いられる。以上の電解液に重合開始剤および炭酸エチレンを混合し、PGE作製溶液を得る。重合開始剤としては、例えばラジカル型光重合開始剤(例えば、BASF社製IRGACURE651、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)を用いる。重合開始剤は、例えば重量比で6:1の混合比率で混合される。炭酸エチレンは、SEI(Solid Electrolyte Interface)形成材料として用いられる。SEIは、Li電極表面を不活性化・安定化させる被膜である。SEIは電解液の還元的分解反応によって生成しており、最初のサイクルにおいて炭酸エチレンの分解反応で電荷が消費されることが確認されている。炭酸エチレンは、混合比率1で混合される。このPGE作製溶液を、支持体に含浸させる。支持体としては、例えば、MILLIPORE社製の疎水性PVDFメンブレンフィルターを用いる。PGE作製溶液を含浸させた支持体に所定の波長帯の光(例えば紫外光)を照射してモノマーを光重合させてポリマー化し、電解液含浸層37を得る。電解液含浸層37に含まれる電解液が、残存する空隙に充填されて電解液36として機能する。
この電解液含浸層37に含まれる電解液は、固体電解質(Li0.35La0.55TiO)への濡れ性が良好であり、固体電解質層3を伝わって残存する空隙内に浸み渡って行き、これにより、電解液36が空隙内に充填される。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜3実施形態とは異なる構造のリチウム二次電池およびその製造方法について説明する。
図16は、第4実施形態におけるリチウム二次電池の縦断面図である。
リチウム二次電池100Cでは、電極複合体4とは構成が異なる電極複合体4Cが集電体1と電極20とに接合して設けられている。
電極複合体4Cは、活物質粒子21と貴金属粒子22とを有する活物質成形体2と、固体電解質層3とを有している。
貴金属粒子22は粒子状であり、互いに連結する複数の活物質粒子21の表面に付着したり、活物質粒子21同士の間に介在したりする。
これにより、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しに、貴金属粒子22が介在し、これらをより円滑に行うことができるようになる。さらに、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しが、長期に亘って安定的に維持されることとなる。そのため、かかる構成の電極複合体4Cをリチウム二次電池100Cに適用することで、リチウム二次電池100Cは、長期に亘って安定的に、高出力かつ高容量を維持するものとなる。貴金属粒子22は、1000℃以上の融点を有する貴金属を形成材料(構成材料)として含有していることが好ましい。
1000℃以上の融点を有する貴金属としては、特に限定されないが、金(Au;融点1061℃)、白金(Pt;融点1768℃)、パラジウム(Pd;融点1554℃)、ロジウム(Rh;融点1964℃)、イリジウム(Ir;融点2466℃)、ルテニウム(Ru;融点2334℃)、オスミウム(Os;融点3033℃)が挙げられ、これらの金属を単独で用いることもできるし、これら金属の合金を用いるようにしてもよい。これらの中でも、白金およびパラジウムのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらの貴金属は、貴金属の中では比較的安価で取り扱いが容易であるとともに、リチウムイオンおよび電子の伝導性に優れるものである。そのため、貴金属粒子22の構成材料として用いることで、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを、より円滑に行うことができるようにするとともに、長期に亘ってより安定的に維持することが可能なものとする。
また、貴金属粒子22は、その平均粒径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。なお、貴金属粒子22の平均粒径は、活物質粒子21の平均粒径を測定したのと同様の方法を用いて測定することができる。
さらに、活物質成形体2における貴金属粒子22の含有率は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
貴金属粒子22の平均粒径および含有率を、それぞれ、上記範囲内に設定することにより、貴金属粒子22を、より確実に活物質粒子21の表面に付着させたり、活物質粒子21同士の間に介在させたりすることができるようになる。その結果、複数の活物質粒子21同士における電子の受け渡し、および、活物質粒子21と固体電解質層3との間におけるリチウムイオンの受け渡しを、より円滑に行うことができるとともに、長期に亘ってより安定的に維持することが可能となる。
このような活物質成形体2は、例えば、前述したリチウム二次電池の製造方法において、第1液状材料201に対し、活物質粒子21とともに貴金属粒子22を添加することにより製造することができる。
以上、本発明の活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の活物質成形体の製造方法、電極複合体の製造方法およびリチウム電池の製造方法には、それぞれ1または2以上の任意の工程が追加されていてもよい。
また、本発明の活物質成形体の製造方法を含むリチウム電池の製造方法は、液状の電解質を含むリチウム電池の製造にも適用可能である。
また、本発明のリチウム電池の製造方法は、前記各実施形態で説明したリチウム二次電池の製造の他、一次電池の製造にも適用できる。
また、本発明の電極複合体の製造方法で製造される電極複合体は、前述した各実施形態で製造された電極複合体の2つ以上の構成を任意に組み合わせた構成を有するものであってもよい。
また、前記各実施形態における犠牲層が含む第1の凹部および第2の凹部の形状は、前述したものに限定されない。
図17は、他の構成例に係る犠牲層7の上面71(第1の面)側から下面72(第2の面)側を透視した平面図である。なお、図17において、前述した第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付してある。また、図17では、犠牲層の凹部にドットを付している。
図17(a)に示す犠牲層7は、上面71から下面72を透視したとき、第1の凹部711および第2の凹部721がそれぞれ正六角形をなしている。そして、複数の第1の凹部711が列状に並んでおり、また、複数の第2の凹部721も列状に並んでいる。
一方、図17(b)に示す犠牲層7は、上面71から下面72を透視したとき、第1の凹部711および第2の凹部721がそれぞれ正六角形をなしている。そして、複数の第2の凹部721が互いに離間して配置されている。また、複数の第1の凹部711は第2の凹部721同士の間に配置されている。
以上のように、本発明では、犠牲層7の第1の凹部711および第2の凹部721に対し、任意の形状を設定することが可能である。そして、このような犠牲層7を用いることにより、任意の成形パターンで成形された活物質成形体2および固体電解質層3を容易に製造することができる。
なお、本発明は、本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて、広く適用が可能である。
1 集電体
2 活物質成形体
3 固体電解質層
4 電極複合体
4A 電極複合体
4B 電極複合体
4C 電極複合体
4a 一面
4b 他面
7 犠牲層
8 積層基板
9 容器
10 積層体
20 電極
21 活物質粒子
22 貴金属粒子
25 活物質凝集体
30 充填層
31 粒状体
35 電解質凝集体
36 電解液
37 電解液含浸層
70 樹脂層
71 上面
72 下面
81 上基板
82 下基板
100 リチウム二次電池
100A リチウム二次電池
100B リチウム二次電池
100C リチウム二次電池
201 第1液状材料
301 第2液状材料
711 第1の凹部
721 第2の凹部
S 外部空間

Claims (12)

  1. 互いに対向する第1の面および第2の面と、前記第1の面に開口する複数の第1の凹部と、前記第2の面に開口する複数の第2の凹部と、を有する犠牲層と、
    前記第1の凹部の開口を塞ぐ第1の蓋部と、
    前記第2の凹部の開口を塞ぐ第2の蓋部と、を用意する準備工程と、
    前記犠牲層が置かれた空間を減圧し、前記第1の凹部の体積および前記第2の凹部の体積をそれぞれ膨張させることにより、前記犠牲層を変形させる減圧工程と、
    前記第1の凹部内に活物質の形成材料を入れる充填工程と、
    前記犠牲層および前記活物質の形成材料をそれぞれ加熱することにより、前記犠牲層を分解、除去し、かつ、活物質成形体を得る加熱工程と、
    を含むことを特徴とする活物質成形体の製造方法。
  2. 前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが互いにずれている請求項1に記載の活物質成形体の製造方法。
  3. 前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ規則的に配置されている請求項1または2に記載の活物質成形体の製造方法。
  4. 前記充填工程において、前記第1の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第1の凹部内に前記活物質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第1の凹部内に入れた前記活物質の形成材料同士を繋げる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の活物質成形体の製造方法。
  5. 前記犠牲層の構成材料は、樹脂材料を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の活物質成形体の製造方法。
  6. 互いに対向する第1の面および第2の面と、前記第1の面に開口する第1の凹部と、前記第2の面に開口する第2の凹部と、を有する犠牲層と、
    前記第1の凹部の開口を塞ぐ第1の蓋部と、
    前記第2の凹部の開口を塞ぐ第2の蓋部と、を用意する準備工程と、
    前記犠牲層が置かれた空間を減圧し、前記第1の凹部の体積および前記第2の凹部の体積をそれぞれ膨張させることにより、前記犠牲層を変形させる減圧工程と、
    前記第1の凹部内に活物質の形成材料を入れ、前記第2の凹部内に電解質の形成材料を入れる充填工程と、
    前記犠牲層、前記活物質の形成材料および前記電解質の形成材料をそれぞれ加熱することにより、前記犠牲層を分解、除去し、かつ、活物質成形体および固体電解質層を得る加熱工程と、
    を含むことを特徴とする電極複合体の製造方法。
  7. 前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部と前記第2の凹部とが互いにずれている請求項6に記載の電極複合体の製造方法。
  8. 前記第2の面を透視しつつ前記第1の面を平面視したとき、前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ規則的に配置されている請求項6または7に記載の電極複合体の製造方法。
  9. 前記充填工程において、
    前記第1の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第1の凹部内に前記活物質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第1の凹部内に入れた前記活物質の形成材料同士を繋げるとともに、
    前記第2の蓋部を前記犠牲層から外した後、前記各第2の凹部内に前記電解質の形成材料を入れ、隣り合う2つの前記第2の凹部内に入れた前記電解質の形成材料同士を繋げる請求項6ないし8のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  10. 前記犠牲層の構成材料は、樹脂材料を含む請求項6ないし9のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法。
  11. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の活物質成形体の製造方法により製造された活物質成形体に接するように電解質層を設ける工程と、
    前記活物質成形体と接するように集電体を設ける工程と、
    前記電解質層と接するように電極を設ける工程と、
    を含むことを特徴とするリチウム電池の製造方法。
  12. 請求項6ないし10のいずれか1項に記載の電極複合体の製造方法により製造された電極複合体の一方の面に、前記活物質成形体と接するように集電体を設ける工程と、
    前記電極複合体の他方の面に、電極構成物を設ける工程と、
    を含むことを特徴とするリチウム電池の製造方法。
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