JP2016207931A - 流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置 - Google Patents

流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 流路で発生した静電気を除電でき、電気的信頼性を高めることができる流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置を提供する。【解決手段】 本発明の流路部材1は、被処理物が載置される載置面2を備え、内部に流体が流れる流路4を有する、セラミックスからなる流路部材1であって、前記流路4の内面から前記載置面2以外の外面にかけて低抵抗層3が存在している。このように、流路部材1に流路4の内面から載置面2以外の外面にかけて低抵抗層3が存在していることで、流体と流路4との摩擦により発生した静電気を、低抵抗層3を通して外部に逃がすことができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置に関する。
半導体素子の基板材料であるウェハを保持するための部材には、製造または検査の工程においてウェハの冷却または加熱を行なうために、低温または高温の流体を流すための流路が内部に設けられた流路部材が用いられている。
製造または検査の工程において、流路部材が静電気を帯びしてしまうと、浮遊粒子(パーティクル)がウェハに吸着し、ウェハに配線を行なう際に吸着した浮遊粒子により配線の断線や欠落などが起こる等、半導体素子の製造または検査に支障をきたすので、流路部材は絶縁性に優れていることが求められている。また、上述した用途の流路部材には、優れた耐久性および耐食性が求められていることから、セラミックスが利用されている。
しかしながら、流路に流体を流した際、流体と流路との摩擦により静電気は少なからず発生することから、この静電気により流路部材が帯電してしまえば、半導体素子の製造または検査の工程に支障をきたすこととなる。
そこで、このような問題を解決すべく、例えば、特許文献1には、流体に帯電緩和剤を添加することが提案されている。
特開2008−16487号公報
しかしながら、特許文献1に提案されているように流体に帯電緩和剤を添加すれば、流体の循環によって発生する静電気を抑制することができるが、特許文献1に示されているように帯電緩和剤がアルコールである場合には、アルコールは揮発成分であることから、流体中の帯電緩和剤の濃度の制御が煩雑であることから、流体と流路との摩擦により発生した静電気を除電することができる構成の流路部材が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みて案出されたものであり、流体と流路との摩擦により発生する静電気を除電可能な流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置を提供することを目的とする。
本発明の流路部材は、被処理物が載置される載置面を備え、内部に流体が流れる流路を有する、セラミックスからなる流路部材であって、前記流路の内面から前記載置面以外の外面にかけて低抵抗層が存在していることを特徴とする。
また、本発明の熱交換器は、上記構成の流路部材の前記載置面または前記載置面と前記流路との間に金属部材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の半導体製造装置は、上記構成の流路部材の前記載置面または前記載置面と前記流路との間に金属部材が設けられており、該金属部材がウェハを吸着するための電
極であることを特徴とする。
本発明の流路部材は、流路で発生した静電気を除電できるものであることから、電気的信頼性を高めることができる。
また、本発明の熱交換器は、電気的信頼性および熱交換効率が高く、長期間にわたって熱交換性能を発揮することができる。
また、本発明の半導体製造装置は、電気的信頼性が高く、半導体素子の製造または検査の工程に支障をきたすことがないものとすることができる。
本実施形態の流路部材の一例を示す、(a)は外観斜視図であり、(b)は(a)におけるII−II線にて切断した断面図である。 本実施形態の流路部材の他の例を示す、(a)は外観斜視図であり、(b)は(a)におけるIII−III線にて切断した断面図である。 本実施形態の流路部材のさらに他の例を示す、(a)は外観斜視図であり、(b)は(a)におけるIV−IV線にて切断した断面図である。 本実施形態の流路部材のさらに他の例として、流体が流れる方向に対して水平な断面を示す断面図であり、(a)は蛇行状の流路、(b)はスパイラル状の流路である。 本実施形態の流路部材を備える半導体製造装置の一例を示す概略図である。
以下に本実施形態の流路部材およびこれを用いた熱交換器ならびに半導体製造装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面において同様な構成および機能を有する部分については、同じ符号を付して説明する。また、図面は模式的に示したものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
まず、本実施形態の流路部材の一例について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の流路部材1は、セラミックスで構成され、被処理物が載置される載置面2を備え、内部に流体が流れる流路4を有している。そして、流路部材1には、流路4の内面から載置面2以外の外面にかけて低抵抗層3が存在している。なお、図示はしていないが、流路部材1には流路4と外部とを繋げる供給口および排出口を備えている。
なお、この低抵抗層3とは、流路部材1の他の箇所よりも電気抵抗率が低く、静電気を除電できる程度の導電性を有するものである。具体的には、低抵抗層3の電気抵抗率は室温(15〜30℃程度)において1.0×10Ω・m以下である必要がある。より効果的に静電気の除電を行なう観点からは、低抵抗層3の電気抵抗率は1.0×10Ω・m以下であることが好ましい。
このように、流路部材1に流路4の内面から載置面2以外の外面にかけて低抵抗層3が存在していることで、流体と流路4との摩擦により発生した静電気を、低抵抗層3を通して外部に逃がすことができる。なお、図1には記載していないが、静電気を除電するために、低抵抗層3のうち流路部材1の外面に露出している箇所と外部と繋げるアースを備えていることが好ましい。
ここで、低抵抗層3は、例えば以下の方法で確認することができる。まず、載置面2を備える壁部を流路に沿って切断し、流路4の内面の複数の箇所に、間隔を空けて導電性のペーストを塗布することで電極を形成する。次に、流路部材1の外面の全体に導電性のペーストを塗布し電極を形成する。なお、導電性のペーストは、導電性を有する金属であればよく、例えばIn−Ga系のペースト等を利用することができる。次に、市販の低抵測定器(例えば、三菱化学アナリテック製のハイレスタ− UXMCP−HT800)を用いて、抵抗測定器の一方の針を流路4の内面の電極の1箇所に接触させ、もう一方の針を流路部材1の載置面2以外の外面の電極に接触させ、電気抵抗を測定する。この測定を流路4の内面に塗布した電極の箇所を変えて繰り返し行ない、電気抵抗が他の部位よりも低く、1.0×10Ω以下である部位が有れば、低抵抗層3が存在するとみなすことができる。
次に、本実施形態の流路部材の他の例について、図2を参照しながら説明する。
本実施形態の流路部材10は、図2に示すように、流路4に沿って低抵抗層3が存在している。このような構成であると、流路4全体で摩擦により発生した静電気を瞬時に低抵抗層3により除電することができ、電気的信頼性が向上する。
ここで、流路4に沿って低抵抗層3が存在しているかは、例えば以下の方法で確認することができる。上述した低抵抗層3の確認方法において異なるのは、内面の電極の形状等の構成のみであり、具体的には、載置面2を備える壁部側が開放したコの字状の内面の電極を、流路4の流体が流れる方向に沿って、例えば5mm程度の任意の間隔を空けて形成する。そして、一つの内部の電極において、側面にあたる壁部における電気抵抗の確認を行ない、低抵抗部の存在を確認する。続けて、他の内部の電極においても同様に電気抵抗の測定を行ない、低抵抗部の存在位置が、流路4に沿って結べるものであるとき、流路4に沿って低抵抗層3が存在しているとみなす。
また、セラミックスとしては、アルミナ質焼結体、ジルコニア質焼結体、窒化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、コージェライト質焼結体またはこれらの複合物等を用いることができる。そして、これらのセラミックスの中でも、剛性、熱伝導率、軽量という観点から、炭化珪素質焼結体を用いることが好ましい。
そして、流路部材1,10が炭化珪素質焼結体である場合、低抵抗層3は結晶粒界に炭素の結晶を有しており、低抵抗層3における炭素の結晶が占める面積比率が、0.7%以上5.4%以下であることが好ましい。このような構成であることにより、炭化珪素質焼結体の剛性を損なうことなく、流体と流路4との摩擦により発生した静電気を除電することができる。ここでの炭素の結晶とは、導電性を有するグラファイト等であればよい。
そして、この低抵抗層3における炭素の結晶が占める面積比率は、例えば以下の方法で算出することができる。まず、上述した方法により、低抵抗層3の確認を行なった後、低抵抗層3を含む断面が得られるように流路部材1,10を切断する。そして、切断面の鏡面加工を行なった後、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による線分析を行なう。なお、EPMAの線分析とは、2次元分析法と言われるものであり、直線状に測定位置を変化させることにより、含有成分の含有量の分布の相対的変化を確認することができるものである。この線分析により、炭素の分布が相対的に他よりも多く検出された箇所が低抵抗層3である。そして、低抵抗層3が確認された位置をEPMAのカラーマッピングにより確認した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した低抵抗層3の画像の写真において対象位置をトレースして黒く塗りつぶす。ここで得られた画像を用いて、画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製であり、以降に画像解析ソフト「A像くん」と記した場合、旭化成エンジニアリング(株)製の画像解析ソフトを示すも
のとする。)の粒子解析という手法を適用して画像解析することにより、面積比率を求めることができる。なお、「A像くん」の解析条件としては、例えば粒子の明度を「暗」、2値化の方法を「自動」とすればよい。
また、本実施形態の流路部材1,10は、低抵抗層3における炭素の結晶が占める面積比率が0.7%以上5.4%以下である場合、さらに、低抵抗層3が結晶粒界に炭化硼素の結晶を有し、低抵抗層3における炭化硼素の結晶が占める面積比率が、0.5%以上4.0%以下であることが好ましい。このように、低抵抗層3における炭化硼素の結晶が占める面積比率が、0.5%以上4.0%以下であれば、低抵抗層3の電気抵抗率を上げることなく、緻密性の高い炭化珪素質焼結体であるため、より剛性の高いものとなる。
そして、この低抵抗層3における炭化硼素の結晶が占める面積比率は、例えば以下の方法で算出することができる。まず、上述したのと同様の方法により、低抵抗層3の位置を確認した後、EPMAによるカラーマッピングにより、炭素と硼素の存在位置を確認する。次に、炭素と硼素との存在位置が重なる部分を、SEMで撮影した低抵抗層3の画像の写真において対象位置をトレースして黒く塗りつぶす。ここで得られた画像を用いて、画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析という手法を適用して画像解析することにより、面積比率を求めることができる。なお、「A像くん」の解析条件としては、例えば粒子の明度を「暗」、2値化の方法を「自動」とすればよい。
次に、本実施形態の流路部材の他の例について、図3を参照しながら説明する。
図3に示す例の本実施形態の流路部材20は、低抵抗層3の一部が、流路4の内面において突出している(以下、この突出している部分を突出部5と記載する。)。このような構成を満たしているときには、流体と低抵抗層3とが接触する面積を大きくすることができ、静電気の除電効率を向上させるとともに、流路4に流れる流体がこの突出部5で乱流を発生しやすくなることから、載置面2に載置される被処理物と流体との熱交換効率を高くすることができる。
次に、本実施形態の流路部材の流路4の例について、図4を参照しながら説明する。
流路4は、特に限定されるものではないが、流体が一つの経路で流れるように形成されていることが好ましい。例えば、供給口が1箇所であり複数の経路に流体が分配されるときには、流体に係る圧力が低い流路に流体が流れやすい傾向があり、被処理物との熱交換においてムラを生じる恐れがある。これに対し、図4に示すように、流路4が一つの経路で流体が流れるように形成されていれば、流体を流路4全体に効率よく流すことができる。それゆえ、被処理物と流体との熱交換の効率を向上することができる。また、流路4を図4(a)に示す蛇行状や、図4(b)に示すスパイラル状に形成することによって、流路部材30,40に載置する被処理物の温度調整を図りやすくすることができる。
また、流路4の断面形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、矩形等であってよい。なお、流路4の断面形状が矩形である場合には、低抵抗層3の一部は流路4の内面のうち少なくとも角部を除いた部分に存在していることが好ましい。流路4の断面形状が矩形であるとき、流路4の角部を流れる流体の流速は、他の箇所を流れる流体の流速よりも遅い。よって、低抵抗層3の一部は流路4の内面のうち少なくとも角部を除いた部分、すなわち、流体の流速が早く、静電気がより発生しやすい場所に低抵抗層3の一部を存在させることにより、より効率的な静電気の除電が可能となるのである。
以下の説明においては、流路部材に「100」の符号を付して説明する。
本実施形態の流路部材100の載置面2または載置面2と流路4との間に金属部材を設けることにより、熱交換器とすることができる。
このような熱交換器において、金属部材上または載置面2に被処理物を配置したときには、電気的信頼性を有するとともに、金属部材を介して被処理物と流体との熱の伝達を効率良く行なうことができる。よって、長期間にわたって熱交換性能を発揮することができる。なお、金属部材に電流を流すことで、被処理物または流体の温度を調節することも可能である。
次に、本実施形態の流路部材100を備える半導体製造装置50の一例について、図5を参照しながら説明する。
この半導体製造装置50は、本実施形態の流路部材100の載置面2または載置面2と流路4との間に金属部材7が設けられており、この金属部材7は、ウェハ8を吸着するための電極である。そして、図示はしていないが、ウェハ8と金属部材7との間に誘電体層が設けられている。ここで、金属部材7に電圧を印加することで、ウェハ8と誘電体層との間に生じるクローン力やジョンソン・ラーベック力などの静電吸着力によってウェハ8を吸着・保持することができる。さらに、この半導体製造装置50をプラズマ処理装置として用いた場合は、金属部材7を、プラズマを発生させるための下部電極として利用することができ、ウェハ8の上方にプラズマを発生させるために設けられた上部電極6と下部電極である金属部材7との間に電圧を印加することにより、上部電極6と下部電極である金属部材7と間に生じさせたプラズマをウェハ8に当てることができるようになっている。そして、半導体製造装置50が本実施形態の流路部材100を備えていることから、プラズマ処理する際に高温となる下部電極としての金属部材7の温度を一定に制御することができる。このことにより、ウェハ8の温度も制御されることから、寸法精度の高い加工をすることができる。
そして、本実施形態の流路部材100は、上述したように、耐久性および耐食性に優れ、電気的信頼性が高いものであることから、これを備える本実施形態の半導体製造装置50は、半導体素子の製造や検査に支障をきたすことの少ない好適な半導体製造装置50とすることができる。また、本実施形態の半導体製造装置50としては、その一例を示す図5のプラズマ処理装置の他にスパッタ装置、レジスト塗布装置、CVD装置やエッチング処理装置等があり、これらの装置においても本実施形態の流路部材100を備えることにより、上述した効果を得ることができる。
以下、本実施形態の流路部材100の製造方法の一例について示す。なお、以降の説明においては、セラミックスとして炭化珪素焼結体を用いた場合で説明する。
まず、主成分となる炭化珪素粉末を用意し、これに溶媒、焼結助剤、バインダを所定量添加して、ボールミルやビーズミル等を用いて所定の粒径となるまで粉砕することで、第1のスラリーを作製する。なお、添加する焼結助剤としては、BC系、希土類酸化物−Al系の焼結助剤を用いることができる。また、添加するバインダとしては、合成樹脂であればよく、ロジンエステル、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリ(2−エチルオキサゾリン)系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキッド樹脂、ポリベンジル、ポリm−ジビニルベンゼン、ポリスチレン等を用いることができる。
なお、ミルで用いるボールやビーズについては、流路部材100の特性に影響を及ぼさ
ないものを用いることが好ましいため、例えば、ボールやビーズは、セラミックスからなることが好ましく、炭化珪素と同様もしくは近似する組成からなることが特に好ましい。
次に、第1のスラリーを公知のドクターブレード法またはロールコンパクション法によりグリーンシートに形成し、これを金型により所望の形状に打ち抜いた成形体を得る。なお、この成形体にレーザー加工を行なうことで、供給口、排出口および流路4となる凹部を形成してもよい。
次に、この成形体同士を接合する工程について説明する。
成形体同士の接合に用いる接合剤としては、成形体の作製に使用したセラミックス原料である炭化珪素粉末に、溶媒、焼結助剤、バインダを所定量添加して混合した第2のスラリーを用いる。
ここで、第2のスラリーを作製する際に添加するバインダは、芳香族系の樹脂、例えばフェノール樹脂、ポリベンジル、ポリm−ジビニルベンゼン、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリスチレン等のいずれか1種以上であり、第1のスラリーに添加した芳香族系の樹脂の量よりも多くの量を添加したものである。このような、第2のスラリーを接合剤として用いることにより、接合層が低抵抗層3となる。このような芳香族系の樹脂は、脱脂中に熱分解しにくいため、焼結後において炭素の粒子を結晶粒界に多く残留させることができる。
そして、複数の成形体の接合部に第2のスラリーを塗布し、成形体同士を所望の形状となるように積層し、乾燥させた後、窒素ガス中において所定の温度に保持し脱脂を行なう。そして、これをアルゴンガス中において、1900〜2050℃の温度で3〜10時間保持して焼成することで、本実施形態の流路部材100を得ることができる。
また、成形体同士を接合する際に、接合部から流路4となる凹部に部分的にはみ出すように第2のスラリーを塗布することで、突出部5を形成することができる。
また、低抵抗層3における炭素の結晶が占める面積比率を、0.7%以上5.4%以下とするには、炭化珪素粉末100質量部に対して6〜20質量部の芳香族系の樹脂を添加した第2のスラリーを用い、500〜650℃の温度で脱脂を行なえばよい。
さらに、低抵抗層3における炭化硼素の結晶が占める面積比率を、0.5%以上4.0%以下とするには、第2のスラリーに添加する焼結助剤としてBC系の焼結助剤を用い、炭化珪素粉末100質量部に対して0.5〜5質量部のBC系の焼結助剤を添加した接合剤を用いればよい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
図5に示す本実施形態の流路部材を備える半導体製造装置を用いて、流体を流路に流すことによって発生した静電気の除電試験を行なった。
まず、平均粒径が0.4μmである炭化珪素粉末を用意し、炭化珪素粉末100質量部に対して、焼結助剤としての炭化硼素を0.1質量部、バインダとしてのポリビニルアルコール、アクリル樹脂、芳香族系の樹脂であるフェノール樹脂を、それぞれ1質量部、1質量部、3質量部となるように秤量して混合した。次に、溶媒としての水を加え、ボール
ミルに入れて粉砕することにより、第1のスラリーを得た。そして、この第1のスラリーを用いて、公知のドクターブレード法で複数のグリーンシートを作製し、それぞれ供給口、排出口および流路となる凹部を形成するためにレーザー加工を行なった。
次に、第1のスラリーに対して芳香族系の樹脂であるフェノール樹脂の添加量のみを表1に示す量となるように変更した、接着剤となる第2のスラリーを作製した。
次に、第1のスラリーから作製した複数のグリーンシートを所望の形状となるように積層し、平板状の加圧具を介して1MPa程度の加圧を加え乾燥させた後、窒素ガス中で5時間所定の温度で脱脂することによって成形体を得た。ここで、積層する各グリーンシートの間には、接着剤となる第2のスラリーを用いており、用いた第2のスラリーに合わせて乾燥による脱脂温度を表1に示す温度となるように変更した。
そして、アルゴンガス中で2000℃の温度で約10時間保持して焼成することにより各試料を得た。なお、各試料2個ずつ作製した。
次に、接合層の断面が得られるように各2個作製した試料のうち1個を切断した。そして、切断面の鏡面加工を行なった後、切断面にEPMAによる線分析を行ない、炭素の結晶位置から接合層の位置および接合層以外の位置を特定した。そして、それぞれの位置について、EPMAのカラーマッピングにより炭素の結晶の位置を確認した後、SEMで撮影した接合層および接合層以外の箇所の画像の2枚の写真において対象位置をトレースして黒く塗りつぶした。ここで得られた画像を用いて、画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析という手法を適用して画像解析することにより、それぞれの位置における炭素の結晶が占める面積比率を算出した。なお、「A像くん」の解析条件としては、例えば粒子の明度を「暗」、2値化の方法を「自動」とした。
この測定の結果、接合層以外の箇所における炭素の結晶が占める面積比率が0.4%であり、接合層における炭素の結晶が占める面積比率が表1に示す比率であることが確認された。
次に、各試料において、接合層が角柱状体の長手方向に位置するように、各試料の接合層を含む部分を角柱状体に切り出した。なお、切り出す角柱状体のサイズは、5mm×5mm×50mmとした。そして、この角柱状体の長手方向の一方端部から他方端部への方向の電気抵抗率を公知の4端子法で測定することで、接合層の電気抵抗率を算出した。
さらに、上記の角柱状体を、3mm×4mm×50mmに加工し、これをJIS R 1602(1995)に準拠した超音波パルス法で測定し、各試料の剛性の指標としての弾性率を算出した。
そして、得られた各試料を図5に示す半導体製造装置に組み込み、フッ素系冷却媒体からなる流体を流路に循環させることによって、流路内で発生した静電気の除電試験を行なった。
このとき、試料の供給口および排出口内に金属のフィルムを巻き付け、金属ろう材を用いて、それぞれの供給口および排出口に金属の筒を接合した。そして、この金属の筒にチラーと繋がるゴム製のチューブを接続した。なお、試料の外面に露出している接合層には、静電気を外部に除電できるようにアースを取り付けた。
そして、静電気が除電されるかの確認方法としては、フッ素系冷却媒体からなる流体を60分間流路に循環させながら、5分間毎に供給口の金属の筒と試料の外面に露出してい
る接合層との間の電流値を測定し、電流値が一定であれば静電気が除電されているものとみなし、電流値が次第に高くなる傾向があれば静電気が除電されていないものとみなした。なお、電流値の測定にはテスタ(オーム電機(株)製 規格TAR−501)を用いた。
結果を表1に示す。なお、表1においては、静電気が除電されていれば○印で、静電気が除電されていなければ×印で示している。
表1に示す結果から、接合層の電気抵抗率が1.0×10Ω・mである試料No.1は、流路で発生した静電気を除電することができなかった。これに対して、接合層の電気抵抗率が1.0×10Ω・m以下である試料No.2〜9は、流路で発生した静電気を除電することができたので、接合層が低抵抗層として機能したことが分かった。
さらに、接合層において炭素の結晶が占める面積比率が0.7%以上5.4%以下である試料No.2〜8は、流路で発生した静電気を除電することができるとともに、弾性率が330MPa以上であるので、高い剛性を有する流路部材であることがわかった。
次に、低抵抗層としての接合部における炭化硼素の結晶が占める面積比率が異なる試料を作製し、静電気を除電できるおよび剛性を評価した。なお、作製方法としては、接着剤としての第2のスラリーに添加した焼結助剤を表2に示す量としたこと以外は実施例1の試料Nо.6の作製方法と同様であり、試料Nо.10は、実施例1の試料Nо.6と同じ試料である。
そして、実施例1と同様の方法により、切断面の接合層の炭化硼素の結晶の位置をEPMAによるカラーマッピングにより確認した後、SEMで撮影した接合層の画像の写真において対象位置をトレースして黒く塗りつぶす。ここで得られた画像を用いて、画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析という手法を適用して画像解析することにより、炭化硼素の結晶が占める面積比率を算出した。
そして、実施例1と同様の方法により、各試料の電気抵抗率および弾性率を測定した。
次に、静電気の除電試験を実施例1と同様の方法により行なった。結果を表2に示す。
表2に示す結果から、低抵抗層としての接合層において、炭化硼素の結晶が占める面積比率が0.5%以上4.0%以下である試料No.12〜14は、流路で発生した静電気を除電することができるとともに、弾性率が400MPa以上であるので、より高い剛性を有する流路部材であることがわかった。
1,10,20,30,40,100:流路部材
2:載置面
3:低抵抗層
4:流路
5:突出部
6:上部電極
7:金属部材
8:ウェハ
50:半導体製造装置

Claims (7)

  1. 被処理物が載置される載置面を備え、内部に流体が流れる流路を有する、セラミックスからなる流路部材であって、
    前記流路の内面から前記載置面以外の外面にかけて低抵抗層が存在していることを特徴とする流路部材。
  2. 前記流路に沿って前記低抵抗層が存在していることを特徴とする請求項1に記載の流路部材。
  3. 前記セラミックスが炭化珪素質焼結体からなり、前記低抵抗層は結晶粒界に炭素の結晶を有しており、
    前記低抵抗層における前記炭素の結晶が占める面積比率が、0.7%以上5.4%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流路部材。
  4. 前記低抵抗層は結晶粒界に炭化硼素の結晶を有しており、
    前記低抵抗層における前記炭化硼素の結晶が占める面積比率が、0.5%以上4.0%以下であることを特徴とする請求項3に記載の流路部材。
  5. 前記低抵抗層の一部が、前記流路の内面において突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の流路部材。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の流路部材の前記載置面または前記載置面と前記流路との間に金属部材が設けられていることを特徴とする熱交換器。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の流路部材の前記載置面または前記載置面と前記流路との間に金属部材が設けられており、該金属部材がウェハを吸着するための電極であることを特徴とする半導体製造装置。
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