JP2016199828A - ナノファイバシート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度が高く、耐久性に優れ、かつ比表面積が高いナノファイバシートを提供する。【解決手段】複数のナノファイバ2と、ナノファイバ2同士の接着により生じた塊部3と、を有し、下記式(1)を満たす塊部3が、7×10-3個/μm2以上含まれることを特徴とする、ナノファイバシート1。0.5πX2≦Y≦5μm2(1)(式(1)において、Xは、ナノファイバ2の直径(μm)を表し、Yは、表面から見た塊部3の内接円3aの面積(μm2)を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、ナノファイバシート及びその製造方法に関する。
近年、比表面積の大きな材料として、ポリマーナノファイバシートに代表される、ポリマーを含むナノファイバを複数集積させ、これらナノファイバ同士を三次元的に絡み合わせることで形成されるナノファイバシートが、近年注目を浴びている。
しかし従来のナノファイバシートは、ナノファイバ同士が三次元的に絡み合っていたもののその絡み合いは物理的な絡み合いのみからなるものであった。そのため従来のナノファイバシートは、機械的強度が低く、引っ張り力や摩擦に弱い傾向にあり、実用面において課題があった。そこで、ナノファイバシートの機械的強度を向上させるために様々な手法が開発されてきた。特許文献1には、複数のナノファイバを縒って形成した糸状のナノファイバ構造体を加熱し、ナノファイバ同士を部分的に結合する部分結合処理を行う手法が開示されている。特許文献1によれば、この部分結合処理により、高強度化したナノファイバ構造体を得ることができる。また、エネルギーの印加によってナノファイバ同士が接触した部分を接着させる手法も開発されている。特許文献2では、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリプロピレンとからなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、合成短繊維とを熱融着させ、不織布を成形する手法が開示されている。さらに、特許文献3では、複合樹脂成形物から極細複合繊維を形成し、この極細複合繊維を熱接着させることで繊維集合物を形成する手法が開示されている。
特開2011−214170号公報 特開2012−134135号公報 国際公開第2010/027063号
しかし特許文献1の手法では、ナノファイバ同士の部分結合処理を行うのに適した温度等の制御が困難で、周囲の環境によりナノファイバ同士の結合が進まなかったり、ナノファイバが大きく溶融したりする。ここでナノファイバ同士の結合が進まないと、ナノファイバ構造体に対して要求される強度が得られない。一方、ナノファイバ同士が大きく溶融すると、周囲のナノファイバ同士が完全に一体化することでファイバ自体の直径が数μm以上になり、比表面積が低下してしまう。また、特許文献2の手法では、不織布成形温度条件が140℃乃至175℃と狭く、さらに使用される不織布には径が大きい短繊維が使用されているため当該不織布には大きな空孔径が多数存在する。このため、特許文献2の手法で得られるナノファイバ構造体は微小物質の捕集に不向きであり、フィルタとしての用途に適合しない。さらに、特許文献3の手法では、溶融エレクトロスピニング法を採用しているが、この方法によって紡糸された極細複合繊維の径は大きいため、この極細複合繊維同士を熱接着した際に生じる塊部はその面積が大きいため、得られる繊維集合物には大きな空孔径も散見された。このため、特許文献3の手法で得られる繊維集合物は、通気度は高いがごく微細な物質の漏出を防止することが困難である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、機械的強度が高く、耐久性に優れ、かつ比表面積が高いナノファイバシートを提供することにある。
本発明のナノファイバシートは、複数のナノファイバと、
前記ナノファイバ同士の接着により生じた塊部と、を有し、
下記式(1)を満たす前記塊部が、7×10-3個/μm2以上含まれることを特徴とする。
0.5πX2≦Y≦5μm2 (1)
(式(1)において、Xは、ナノファイバの直径(μm)を表し、Yは、表面から見た塊部の内接円の面積(μm2)を表す。)
本発明によれば、機械的強度が高く、耐久性に優れ、かつ比表面積が高いナノファイバシートを提供することができる。
(a)は、本発明のナノファイバシートにおける実施形態の例を示す概略図であり、(b)は、(a)中のα部分の部分拡大図である。 (a)は、本発明のナノファイバシートを真上から観察する様子を示す模式図であり、(b)は、(a)中のβ部分を観察したときの様子を示す模式図である。 ナノファイバシート前駆体の製造装置を示す模式図である。 ナノファイバシートの機械的強度を評価する際に作製した試験片を示す模式図である。 実施例1にて作製したナノファイバシートのレーザー顕微鏡写真である。 比較例3にて作製したナノファイバシートのレーザー顕微鏡写真である。
本発明のナノファイバシートは、複数のナノファイバと、前記ナノファイバ同士の接着により生じた塊部と、を有する。本発明において、下記一般式(1)を満たす前記塊部は、7×10-3個/μm2以上含まれる。
0.5πX2≦Y≦5μm2 (1)
尚、一般式(1)の詳細については、後述する。
以下、図面を適宜参照しながら本発明のナノファイバシートについて説明する。
[ナノファイバシート]
図1(a)は、本発明のナノファイバシートにおける実施形態の例を示す概略図であり、(b)は、(a)中のα部分の拡大断面図である。図1のナノファイバシート1は、複数のナノファイバ2が集積され、かつ三次元的に絡み合ってなるシート状の構造物である。このように本発明のナノファイバシートは、基本的には、ナノファイバ2で構成されるため、互いに絡み合う複数のナノファイバ2間で適度な空間が形成される。従って、本発明のナノファイバシートは、必然的に比表面積は高くなる。
また本発明のナノファイバシートは、図1(b)に示されるように、ナノファイバ2の他に、塊部3を有する。この塊部3は、ナノファイバ2同士の接着により生じた部位であり、主に、ナノファイバシート1が有する複数の分子の物理的な会合や、ナノファイバシート1が有する複数の分子によって生じる化学反応を介して形成される。即ち、本発明のナノファイバシートは、ナノファイバの内部又は表面で起こる物理的な会合や化学反応が進行し、各ナノファイバ2は塊部3を形成した状態で他のナノファイバと接着される。尚、ナノファイバ同士の接着の際に生じる物理的会合や化学反応は、同時に起こることがある。
(1)塊部
ここで本発明のナノファイバシートに含まれる塊部について詳細に説明する。図1(b)に示されるように、塊部3は、その幅がナノファイバ2の径よりも大きい部材である。ここで、塊部3の大きさを定義するために、図1(b)に示される塊部3に内接する内接円3aを使用する。本発明において、下記一般式(1)を満たす塊部3は、7×10-3個/μm2以上含まれる。
0.5πX2≦Y≦5μm2 (1)
式(1)において、Xは、ナノファイバ2の直径(μm)を表す。尚、ナノファイバ2の直径は、ナノファイバ径とも呼ばれ、ナノファイバシート1に含まれるナノファイバ2を複数箇所測定して得られた直径の値を平均した値である。
式(1)において、Yは、表面から見た塊部3の内接円3aの面積(μm2)を表す。尚、ここでいう「表面から見た」とは、図2(a)に示されるように、ナノファイバシート1を真上から観察することを意味する。例えば、図2(a)中のβ部分を観察し、図2(b)に示されるように観察された場合に、ナノファイバ2よりも幅が大きい等の理由から確認できる塊部3を対象に、一般式(1)を満たす塊部か否かの評価を行う。
上述したように、本発明のナノファイバシートは、複数のナノファイバから構成されるものであるが、これらナノファイバの中には、ナノファイバ同士の絡み合い等により、他のナノファイバと接着しているものがある。本発明のナノファイバシートには、上述のようにナノファイバ同士が接着している場合に、接着している部分のナノファイバの形状が、接着する前と変わらない場合がある一方で、接着する前と比べて変化している場合がある。このように、ナノファイバ同士の接着の際に、接着の前後でナノファイバの形状が変化している部分が、図1で示される塊部3と呼ばれる部材である。
また本発明のナノファイバシートに含まれる塊部は、ナノファイバシートの表面のみならず、ナノファイバシートの中にも存在する。
ここで、ナノファイバシートに複数存在する塊部の内、その内接円の面積(Y値)が0.5πX2(μm2)を下回るものは、小さすぎる塊部に該当し、本発明のナノファイバシートを強固にする部位として機能しない。逆に、内接円の面積が5μm2以上である塊部は、大きすぎる塊部に該当する。本発明において、大きすぎる塊部が多くなると、ナノファイバシート中に小さな空孔を多数含ませることができなくなることがある。
本発明においては、塊部の内接円の面積(Y値)について、下記一般式(1a)を満たすことが好ましく、下記一般式(1b)を満たすことがより好ましい。
0.52πX2≦Y≦4.8μm2 (1a)
0.55πX2≦Y≦3μm2 (1b)
本発明においては、内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部は、ナノファイバシート中に7×10-3個/μm2以上存在する。内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部が多数存在することで、本発明のナノファイバシートは、ナノファイバにかかる単位面積当たりの力を軽減させることができる。これにより、ナノファイバシートの機械的強度が向上する。本発明において、内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部は、好ましくは、7.2×10-3個/μm2以上含まれる。より好ましくは、7.5×10-3個/μm2以上含まれる。
また本発明においては、ナノファイバシートを構成する、内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部が、広範囲にわたって存在していることが好ましく、ナノファイバシートの全体にわたって上記塊部が均一に存在していることがより好ましい。本発明においては、内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部は、ナノファイバシート中に7×103個/mm2以上含まれるのが好ましく、7×105個/cm2以上含まれるのが特に好ましい。
上述したように、本発明のナノファイバシートは、内接円の面積が一般式(1)の要件を満たす塊部は、ナノファイバシート中に7×10-3個/μm2以上含まれる。これにより、ナノファイバシート、より具体的には、ナノファイバシートに含まれるナノファイバ間には、多数の細かな空孔が均一に存在している。このため、本発明のナノファイバシートは高い比表面積を維持している。
(2)ナノファイバ
本発明のナノファイバシートを構成するナノファイバは、ファイバの長さがファイバの太さよりも長いものをいう。
本発明において、ナノファイバの直径、即ち、ナノファイバ径は、例えば、図2(a)に示されるように、ナノファイバシートを真上から観察した際に得られるナノファイバの直径を任意で3点測定した際に得られる測定値を平均することで求められる。本発明において、ナノファイバ径は、3μm以下に設定することが可能である。ただし、ナノファイバ自体の取り扱いやすさを考慮すると、ナノファイバ径は、1nm以上が望ましい。また比表面積の高いナノファイバシートを得るためには、ナノファイバ径が2μm以下であることが好ましい。
本発明においては、一般式(1)を考慮して、ナノファイバ径は、より好ましくは1.78μm以下である。さらに好ましくは、50nm以上1.78μm以下である。ナノファイバ径を50nm以上とすることで取り扱い易いナノファイバとなる。
本発明において、ナノファイバの断面形状は特に限定されず、具体的な形状としては、円形、楕円形、四角形、多角形、半円形等が挙げられる。尚、ナノファイバの断面形状は、以上に列挙した正確な形状でなくてもよいし、任意の断面で形状が異なっていてもよい。
ここで、ナノファイバの形状が円柱状であると仮定すると、その円柱の断面となる円の直径が上記ナノファイバ径に相当する。またナノファイバの形状が円柱状でない場合では、上記のナノファイバ径は、ナノファイバの断面における重心を通る最長直線の長さが該当する。尚、本発明において、ナノファイバの長さは、通常ナノファイバ径の10倍以上である。
ナノファイバの形状(ファイバの断面形状、ファイバの直径等)は、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡測定による直接観察により確認できる。
本発明のナノファイバシートに含まれるナノファイバの構成材料としては、少なくとも熱等の印加によって塊部を形成することができ、かつ繊維状構造を形成することができる材料であれば特に制限されない。具体的には、樹脂材料を始めとする有機材料、シリカ、チタニア、粘土鉱物等の無機材料といった従来公知の材料を使用することができる。また有機材料と無機材料とを組み合わせたハイブリッド材料等も使用することができる。
ナノファイバの構成材料は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。塊部が得られやすいという理由から、ナノファイバの構成材料としては、有機樹脂材料が好ましい。また有機樹脂材料の中でも熱可塑性樹脂が好ましい。またナノファイバの構成材料として有機樹脂材料を用いる場合、ナノファイバの機械的強度を向上する目的で、有機樹脂材料に有機低分子化合物、無機材料、微粒子、従来公知のフィラー等を含ませた材料も使用することができ、これらを適宜組み合わせてもよい。
ここでナノファイバの構成材料としては、例えば、有機樹脂材料が用いられる。ナノファイバの構成材料として用いられる有機樹脂材料として、含フッ素系ポリマー(例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、他のモノマーとの共重合体(例えば、PVDFとヘキサフルオロプロピレンとのの共重合体(PVDF−HFP))であってもよい。);ポリアリーレン類(例えば、ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィド等の芳香族系ポリアリーレン);ポリイミド;ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリベンドイミダゾール;ポリオレフィン系、ポリスチレン、ポリイミド又はポリアリーレン類(芳香族系)に、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基又はピリジニウム基を導入した変性ポリマー;含フッ素系ポリマーの骨格に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基又はピリジニウム基を導入した変性ポリマー;ポリブタジエン系化合物;ポリウレタン系化合物(エラストマー状のものやゲル状のものを含む);シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ナイロン;ポリアリレート、生分解性ポリマー(例えば、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸等);ポリエステル(PES)類(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等);ポリ(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA))等を挙げることができる。
尚、これら列挙された有機樹脂材料は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。またポリオレフィン系、ポリイミド、ポリアリーレン類及び含フッ素系ポリマーの以外のポリマー材料においても、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基又はピリジニウム基を導入してなる変性ポリマーを使用することができる。さらに複数種類のモノマーを共重合させることで得られる共重合体を使用してもよい。尚、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)等のように溶融させづらい材料の場合には、例えば、熱可塑性樹脂を適宜組み合わせて使用してもよい。
またナノファイバの構成材料として用いられる無機材料としては、Si、Mg、Al、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sn及びZnから選択される金属材料の酸化物、より具体的には、シリカ(SiO2)、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナゾル、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化クロム等の金属酸化物を挙げることができる。また、モントモリロナイト(MN)の様な粘土鉱物も用いることができる。ここで、ナノファイバに無機材料が含まれていると、ナノファイバ同士を接着させる際に、機械的強度が著しく向上する傾向があるため、ナノファイバシートの機械的強度向上の観点から好ましい。
またナノファイバの構成材料が、イミド構造を有するポリマーである場合には、その剛直で強固な分子構造から耐熱性に加え、機械的強度が高い傾向がある。そのため、変形しづらく、比表面積の高い、多孔積層体が得られる傾向がある。加えて、上述したイミド構造を有するポリマーに上述した無機材料を加えることで、ナノファイバシートの機械的強度が著しく向上する傾向があるため、耐久性の向上の観点からは好ましい。
尚、ナノファイバへ化学的に作用させることを目的として、ナノファイバの構成材料と共にこの構成材料とは異なる化合物を含有させる場合、この化合物が作用する温度がナノファイバの構成材料の分解温度以下であることが好ましい。また、ナノファイバの構成材料と共に含ませることができる化合物の詳細については、後述する。
(3)ナノファイバシートの物性
本発明のナノファイバシートにおいて、任意の面に存在するナノファイバの数、ナノファイバ間の間隔及び積層数は、所望するナノファイバシートの特性に合わせて適宜選択・設定することができる。例えば、図1のナノファイバシート1には、塊部3が適度に設けられている。この塊部3にて、隣接している複数のナノファイバ2同士が接着されることにより、本発明のナノファイバシートは強固なものとなる。
その結果、本発明のナノファイバシートは、機械的強度、具体的には、風圧耐性に優れており長期使用に有利である。
ところで、ナノファイバシートの機械的強度を評価する物性値として引張弾性率がある。本発明において、ナノファイバシートの引張弾性率は、100MPa以上が望ましい。100MPaを下回ると、シートとしての機械的強度が弱く長期使用ができない。ナノファイバシートを集塵フィルタの構成部材として用いる場合、ナノファイバシートの引張弾性率は、250MPa以上が好ましい。
また本発明のナノファイバシートは、例えば、通気口に取り付けられる集塵フィルタの構成部材として利用されることを考慮して、一定以上の機械的強度を備えるのが好ましい。具体的には、引張弾性率が100MPa以上であることに加え、一定の風圧に耐えられることが好ましい。尚、ここでいう一定の風圧とは、厚紙に張り付けた1枚のナノファイバ膜に,エアガンを用いて,50Paの風をエアガン−膜間に3cm距離を置いて2分吹き付けた際に,破壊がおこるかどうかを測定する試験によって確認することができる。
本発明のナノファイバシートは、ナノファイバ同士が絡み合って形成されるシート状の部材であるため、一定の厚さを有するが、本発明において、ナノファイバシートの厚みは、特に限定されない。本発明において、ナノファイバシートの厚さは、好ましくは、1μm以上1mm以下、より好ましくは、10μm以上100μm未満である。本発明のナノファイバシートは、ナノファイバ同士の接着により生じ所定の大きさを有する塊部が所定量以上存在するので、機械的強度及び耐久性に優れるためマイクロメートルオーダーで厚みを設定することができる。尚、ナノファイバシートの厚さが1μmより薄いと、ナノファイバ同士の絡まり合いが十分に起こらないため、ナノファイバシートに含まれる塊部の数を増加させることができない場合がある。一方、ナノファイバシートの厚さを100μm未満にすると、ナノファイバシートの通気性が特に優れる。
本発明のナノファイバシートは、ナノファイバ間に一定の大きさを有する空孔が設けられる。本発明において、ナノファイバ間に設けられる空孔の直径、即ち、空孔径の平均値は、5μm以下が望ましく、10nm以上5μm以下が好ましく、50nm以上5μm以下がより好ましい。空孔径の平均値が10nm以下の場合、ナノファイバシートが有する空孔は平均して小さいものとなりナノファイバの利点である高い比表面積による効果が小さくなることがある。一方で、空孔径の平均値が5μmを超えると、ナノファイバシートが有する空孔は平均して大きいものとなりナノファイバシートにとって望ましい機械的強度が得られない場合がある。
本発明のナノファイバシートの局所的な構造の定量的な指標として、シートの体積(空隙部分を含む)に対するナノファイバの体積の割合で表される存在率がある。この存在率は、ナノファイバの体積の割合の求め方により複数の定義が存在する。具体的には、単位存在率、平均存在率等がある。ここで単位存在率とは、ナノファイバシートの破断面を出し、積層方向のファイバ径と同等の厚み部分でファイバの占める面積割合である。一方、平均存在率とは、特定の部分の厚みにおける上記単位存在率の平均値である。以下の説明において特に断りがない場合、存在率とは対象部分の平均存在率を示すものであり、本発明においては、ナノファイバシートの表面上におけるナノファイバの存在率(平均存在率)は、10%以上60%以下が好ましい。存在率が10%未満の場合、ナノファイバシートの表面に存在するナノファイバの量が減り、ナノファイバの利点である高い比表面積による効果が小さくなってしまう。一方、存在率が60%を上回ると、空孔部分に僅かな物質が付着することで空孔の閉塞が発生することがある。
本発明のナノファイバシートに含まれるナノファイバの径やその形状(ファイバの断面形状、ファイバの直径等)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡測定による直接観察により確認できる。また塊部の内接円面積や一般式(1)の要件を満たす塊部の個数は、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡測定を用いて得られた画像を画像解析ソフトに取り込み、スケールを調整した後、塊部に相当する部位に内接円を描きその面積を計上して内接円描画個数を計上することで確認できる。また、ナノファイバシートの膜厚は、反射分光法を用いた膜厚計や、マイクロメーターによって確認することができる。
(4)ナノファイバシートの用途
本発明のナノファイバシートは、比表面積が高く、また擦れ等の外的要因が加わっても長期に亘って使用可能である。そのため、トナー等の収容器が有する通気口に備えられる、塵、ほこり、微粒子等の粒子を捕捉するための集塵フィルタの構成部材として利用することができる。ただし、本発明のナノファイバシートの用途はこれに限定されるものではない。例えば、静電気発生装置や粒子電界選別装置における摩擦帯電材料としても好適に利用することができる。また本発明のナノファイバシートの使用態様は、特に限定されないが、例えば、ローラ状の部材に巻きつける態様等が挙げられる。
尚、本発明のナノファイバシートを、例えば、通気口の部分に利用される集塵フィルタの構成部材として利用する場合は、機械的強度を向上させるためにナノファイバシートを複数枚並べて利用してもよい。
[ナノファイバシートの製造方法]
次に、本発明のナノファイバシートの製造方法について具体的に説明する。本発明のナノファイバシートの製造方法は、下記(A)乃至(C)の工程を有する。
(A)溶液調製工程
(B)(A)で調製した溶液を用いてナノファイバシート前駆体を作製するナノファイバシート前駆体形成工程
(C)ナノファイバシート前駆体を加熱してナノファイバ同士を接着させる加熱工程
尚、以下の説明において、工程(B)を紡糸工程と呼ぶことがある。(B)の段階で、ナノファイバ同士が絡み合うことによりシート状の物質、即ち、ナノファイバシート前駆体が形成される。そして(C)の段階で、ナノファイバ同士が、例えば、絡み合うことで接触した部分に塊部が形成される。このことから、本発明において、シート形成工程とは、(B)及び(C)の組み合わせになる。以下、各工程について詳細に説明する。
(A)溶液調製工程
本発明のナノファイバシートを製造する際に用いられるナノファイバの構成材料としては、繊維状構造を形成することができ、かつ後述する加熱工程の際に塊部を形成することができる材料であれば特に制限されない。具体的には、樹脂材料を始めとする有機材料や、シリカ、チタニア、粘土鉱物等の無機材料といった従来公知の材料を使用することができる。また有機材料と無機材料とを組み合わせたハイブリッド材料も使用することができる。ナノファイバの構成材料は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。ナノファイバ同士の接着によって形成される塊部を形成しやすいという観点で、ナノファイバの構成材料として、好ましくは、有機樹脂材料であり、その中でも好ましくは、熱可塑性樹脂である。またナノファイバの構成材料として有機樹脂材料を用いる場合は、ナノファイバの機械的強度を向上する目的で、当該有機樹脂材料に有機低分子化合物、無機材料、微粒子、従来公知のフィラー等を混合した材料も使用することができる。
本工程は、上述したナノファイバの構成材料を紡糸工程で扱いやすくする目的で溶液状にする工程である。ここでナノファイバの構成材料を溶液状にするために用いる溶媒としては、ナノファイバの構成材料を溶解する溶媒であれば特に限定されるものではない。また本工程で用いられる溶媒は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を適当な割合で混合して使用してもよい。一方、ナノファイバ材料として、溶液状のものを使用する場合は、改めて溶媒を用意する必要はない。
また、本発明においては、ナノファイバ同士の接着によって生じる塊部を効果的に得ることを目的として、本工程で調製する溶液に、ナノファイバの構成材料となる有機樹脂材料と化学反応性を有する有機低分子化合物を添加するのが好ましい。尚、この有機低分子化合物は、架橋剤とも呼ばれる化合物である。本発明において、化学反応性を有する有機低分子化合物の分子量は特に限定されないが、ナノファイバの構成材料への均一分散性の観点から、分子量(数平均分子量)は100乃至10000が好ましい。分子量(数平均分子量)が100を下回る場合は揮発性が高くなり、ナノファイバの作製過程で低分子有機化合物の揮発が起こり得る。一方、分子量(数平均分子量)が10000を超えると、低分子有機化合物とナノファイバの構成材料とが均一に相溶しにくい場合がある。ここで、低分子有機化合物とナノファイバの構成材料とが均一に相溶しないと、例えば、両者を混合する段階で白濁が生じたり、シートを形成する過程で相分離が生じたりする。また低分子有機化合物がナノファイバ内に均一に相溶していないと、ナノファイバシートに含まれる塊部を効率よく得ることができない。
本工程において、本発明のナノファイバシートに含まれる塊部を効率よく得るために、ナノファイバの構成材料と共に用いられる化学反応性を有する低分子有機化合物としては特に限定されない。好ましくは、化学反応性を有する構造を少なくとも一種類以上有し、当該構造が分子中に少なくとも一箇所存在する有機化合物である。また上記化学反応性を有する構造は、一分子中に二箇所以上存在してもよい。さらに上記化学反応性を有する構造を二種類以上有する有機化合物も上記低分子有機化合物として使用できる。
化学反応性を有する構造として、例えば、不飽和炭化水素を有する構造が挙げられるが、特に、ビニル基、ビニリデン基及びビニレン基が好ましい。ここでビニル基、ビニリデン基及びビニレン基から選択される置換基部位は、水素や飽和又は不飽和炭化水素基と結合してもよいが、これに限定されず、無機元素や金属元素と結合してもよい。ビニル基、ビニリデン基及びビニレン基を有する有機低分子化合物の具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
また、上記の化学反応性を有する構造として、不飽和炭化水素を有する構造の他に、各種エネルギーの印加によって開環し化学反応する複素環も挙げられる。エネルギーの印加によって化学反応する複素環として、具体的には、環状エーテル、環状エステル、環状アミン等が挙げられる。またアジリジン、オキシラン、チイラン、1H−アジリン、2H−アジリン、オキシレン、チイレン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、アゼト、アゾリジン、オキソラン、チオラン、アゾール、オキソール、アジナン、オキサン、チアン、ピリジン、アゼパン、キセパン、チエパン、アゼピン、オキセピン、チエピン等の環構造もエネルギーの印加によって化学反応(開環反応)を起こす。理由は明らかではないが、本発明においては、オキシラン、オキサジン、オキセタン等の複素環を含む低分子有機化合物をナノファイバの構成材料と共に用いることで、良好な機械的強度を有するナノファイバシートを作製できる。
複素環を有する有機低分子化合物として、具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン、オキセタンアルコール等が挙げられる。市販の有機低分子化合物としては、例えば、EPICLON(DIC株式会社製)、四国化成株式会社製のベンゾオキサジン、アロンオキセタン(東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
本発明のナノファイバシートを製造する際にナノファイバの構成材料と共に用いられる化学反応性を有する低分子有機化合物は、一種類であってもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、低分子有機化合物の中には、オリゴマー(低分子重合体)も含まれる。ここで低分子有機化合物として用いられるオリゴマーの分子量は、一般的にGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー:Gel Permeation Chromatography)により容易に測定することができる。
ナノファイバの構成材料である有機樹脂材料に、化学反応性を有する有機低分子化合物を組み合わせることで、本発明のナノファイバシートに含まれる塊部が効率よく得られるメカニズムは明らかでないが、以下のような仮説が考え得る。即ち、熱や光等のエネルギーを印加すると、例えば、下記(a)乃至(c)の現象が発生する。
(a)ナノファイバの内部又は表面で生じる物理的な会合
(b)低分子有機化合物による有機樹脂材料の化学的架橋
(c)低分子有機化合物自体の重合
(a)乃至(c)の現象が発生することで、独立したナノファイバのみならず、ナノファイバ同士が接着する部分に形成される塊部にもポリマーネットワークが形成される。このことで、ナノファイバシートの膜密度を大幅に増加させることなく塊部の面積を向上させることができる。またナノファイバ同士が接着したところに形成される塊部によって、得られるナノファイバシートは、応力に強く、しかも通気度が高くなる。
本発明のナノファイバシートにおいて、シートの作製の際に化学的な反応が起こっているか否かについては、例えば、赤外分光法(IR)、ラマン分光法等で確認できる。具体的な判断手法としては、化学的架橋が起こる前の時点におけるナノファイバの構成材料や低分子有機化合物のIRスペクトルを測定する。そして化学架橋後に再びサンプルのIRスペクトルを測定し、架橋に由来するピークの出現と、架橋前に現れていたピークの減少と、の両方が確認できるか否かで判断できる。
本工程において、上述した化学反応性を有する低分子有機化合物を用いる場合、主に化学的な反応を効果的に行うために、従来公知の潜在性触媒を添加して用いることもできる。ここで、潜在性触媒とは、熱等の所定の刺激により、上記環構造による架橋を促す反応活性種(カチオン、アニオン、ラジカル)を発生させる触媒をいい、例えば、酸発生剤が挙げられる。
本発明のナノファイバシートを作製する際に潜在性触媒を用いる場合、この潜在性触媒として、好ましくは、熱によりカチオンを発生する熱カチオン重合開始剤である。熱カチオン重合開始剤は、常温では不活性であるが、加熱されて臨界温度(反応開始温度)に達すると開裂してカチオンが発生する。このカチオンにより、低分子有機化合物による架橋が進行する。このような化合物としては、例えば、アルミニウムキレート錯体、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体;六フッ化アンチモンイオン(SbF6-)、四フッ化アンチモンイオン(SbF4-)、六フッ化ヒ素イオン(AsF6-)、六フッ化リンイオン(PF6-)等を陰イオン成分とする4級アンモニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物、ヨードニウム塩型化合物及びスルホニウム塩型化合物等が挙げられる。
尚、ナノファイバシートを作製する際に、熱カチオン重合開始剤を用いる場合には、用いる材料の分解温度以下において触媒が作用することが好ましい。
(B)紡糸工程(ナノファイバシート前駆体作製工程)
本発明のナノファイバシートを作製する際には、シートを構成するナノファイバを形成する必要がある。ここでナノファイバを形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。尚、本発明においては、これらの方法のうち一種類のみを選択して用いてもよいし、二種類以上を選択し適宜組み合わせてもよい。尚、上述した方法のうち、エレクトロスピニング法は、溶液を充填したシリンジとコレクター電極との間に高い電圧(例えば、20kV程度)を印加させた状態で、ナノファイバを形成する方法である。この方法を採用すると、シリンジから押出された溶液が電荷を帯びて電界中に飛散するが、飛散した溶液は時間が経つと溶液に含まれる溶媒が蒸発するので、その結果、細線化した溶質が現れる。この細線化した溶質がファイバとなって基板等のコレクターに付着する。
以上に列挙した作製方法の中でも、下記(i)乃至(iii)に列挙する特長を有するエレクトロスピニング法で紡糸して作製することが好ましい。
(i)様々なナノファイバの構成材料をファイバ形状に形成できること
(ii)ファイバ形状のコントロールが比較的簡便であり、数十μmからナノサイズの太さのファイバを容易に得ることができること
(iii)作製プロセスが簡便であること
以下、エレクトロスピニング法によるナノファイバの紡糸によるナノファイバシート前駆体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3は、ナノファイバシート前駆体の作製装置の例を示す概略図である。
図3の作製装置10は、具体的には、貯蔵タンク12に収容された溶液を紡糸口14から押し出す方法を採用している。尚、紡糸口14から押し出された溶液は四方へ飛散するので、紡糸されたナノファイバが3次元的に絡み合ったナノファイバシート前駆体が自ずと作製される。このため、紡糸されたナノファイバを後の工程で縒る必要はない。
次に、図3の作製装置10の構成部材について説明する。溶液を貯蔵する貯蔵タンク12は、接続部11を介して配置されている。尚、接続部11は配線13を介して高圧電源16と電気接続されている。また接続部11及び貯蔵タンク12はいずれもヘッド17の構成部材である。紡糸されたナノファイバが集められたコレクター15は、ヘッド17と一定の間隔を空けて対向するように配置されている。尚、コレクター15は、配線19によりグラウンドにアースされている。
タンク12に収容されている溶液は、タンク12から紡糸口14まで一定の速度で押し出される。紡糸口14では、1kV乃至50kVの電圧が印加されており、電気引力が溶液の表面張力を越える時、溶液のジェット18がコレクター15に向けて噴射される。この時、ジェット18中の溶媒は徐々に揮発し、コレクター15に到達する際には、対応するナノファイバが得られる。尚、紡糸を行う際には、タンク12にナノファイバ化される条件に設定した溶液を導入する。
尚、紡糸の際にタンク12に収容するものとしては、溶液に限定されず、融点以上に加熱した溶融物を利用してもよい。
ところで、溶液調製工程の段階で、ナノファイバの構成材料と共に、上述した化学反応性を有する低分子有機化合物を溶液中に添加した場合、この有機低分子化合物は、本工程においてナノファイバを形成する際に、形成されたナノファイバの内部や表面に付着させることができる。ここでナノファイバの表面に付着した低分子有機化合物は、紡糸工程が進行する過程でナノファイバ同士が絡み合った際に、ナノファイバ同士が接触する部分の少なくとも一部においてナノファイバ間に介在される状態になる。
(C)加熱工程
本発明のナノファイバシートを作製する際、紡糸工程で得たナノファイバシート前駆体にエネルギーを印加する。エネルギーの印加により、下記(C1)及び/又は(C2)が進行する。
(C1)ナノファイバの内部又は表面で生じる融着等の物理的な会合
(C2)ナノファイバの内部又は表面で生じる化学反応
(C1)及び/又は(C2)が進行することにより、ナノファイバ同士が接触している部分に塊部が生じる。
本発明において、塊部を形成するために必要なエネルギーを印加する方法としては特に制限はないが、例えば、熱印加、紫外線照射、電子線照射、超音波印加、電磁波印加等が挙げられる。均一性や簡便性等から熱印加による方法が好ましい。
以下、塊部の形成に必要なナノファイバの加熱処理の具体的手法について説明する。ここで加熱処理の具体的な方法としては特に限定されず、例えば、ヒータ加熱、温風加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、超音波加熱等を用いることができ、使用状況等に応じて適宜選択すればよい。
ナノファイバシート前駆体を加熱する具体的方法としては、ナノファイバシート前駆体をホットプレスする方法、工業用ドライヤーやオーブン等によりナノファイバシート前駆体を加熱処理する方法、ナノファイバシート前駆体をヒータで一度加温させた後オーブンでさらに後加熱する方法等が好適に用いることができる。この中でも、ナノファイバシート前駆体を非加圧条件下で加熱する方法が好ましい。またこの中でも、オーブンを用いて加熱処理する方法は、ナノファイバシート前駆体の全体をムラなく、均一に加熱することができることから、ナノファイバの形状を損なうことなく、面積が適切に制御された塊部を形成できるため、特に好ましい。尚、ナノファイバシート前駆体を加熱する際に、ナノファイバシート前駆体の一方の面から加熱を行ってもよい。このとき得られるナノファイバシートが有する塊部の存在率や存在分布が膜厚方向で変化することがあるが、このナノファイバシートが所定の空孔径を有する空孔が備わっていれば問題はない。ここで、ナノファイバシート前駆体の厚さが、1μm以上1mm以下である場合、得られるナノファイバシートが有する塊部の存在率や存在分布は膜厚方向でほぼ均一である。
本工程は、ナノファイバがその形状を維持できず溶融する温度以下で実施する。また、ナノファイバの構成材料の分解温度未満であれば、用いる材料や製造するナノファイバシートの所望の物性等に応じて適宜選択できる。例えば、ナノファイバの構成材料として有機樹脂材料が用いられ、当該有機樹脂材料が150℃以下のビカット軟化温度又は荷重たわみ温度を有する場合は、ナノファイバシートの加熱温度は、ビカット軟化温度又は荷重たわみ温度に基づいて適宜設定する。具体的には、ナノファイバシートの加熱温度をビカット軟化温度又は荷重たわみ温度と比較して−20℃以上+30℃以下の範囲で設定すると、本発明のナノファイバシート中に塊部を形成するのが容易になるため、より好ましい。
ところで、溶液調製工程の段階で、ナノファイバの構成材料と共に、上述した化学反応性を有する低分子有機化合物を溶液中に添加した場合、本工程を実施すると、ナノファイバ間に介在される低分子有機化合物の化学反応によって、この有機低分子化合物による有機樹脂材料の化学的架橋や有機低分子化合物自体の重合等が起こる。また上述した化学反応(化学的架橋、重合)によって、ナノファイバ同士が接着すると共に、ナノファイバ同士が接着した部分には塊部が形成される。この塊部は、ナノファイバを構成する有機樹脂材料の分子と、有機樹脂材料の分子を架橋する低分子有機化合物由来の架橋構造と、低分子有機化合物同士の反応で生じた分子と、が複雑に絡み合うことで形成される。またこの塊部は、有機樹脂材料で形成されるポリマーネットワークの基礎となるものである。
本工程は、ナノファイバシートの機械的強度の向上に特に有効である。一方、本工程では、ナノファイバの内部に含まれる低分子有機化合物は、低分子有機化合物同士やナノファイバを構成する有機樹脂材料と反応することとなる。その結果、有機樹脂材料や、低分子有機化合物によって架橋された有機樹脂材料と低分子有機化合物同士の反応物との絡まりが起こり、ナノファイバ自体の機械的強度が増大する。このようにナノファイバ自体の機械的強度が増大することにより、その分ナノファイバシートの機械的強度も増大する。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。また本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、以下に説明する実施例にて示された態様に適宜変形、変更を加えたものも本発明に含まれる。
[測定方法及び評価方法]
以下に説明する実施例又は比較例で作製したナノファイバシートの物性の測定方法及び評価方法について説明する。
(1)ナノファイバ径
ナノファイバシートに含まれるナノファイバの直径、即ち、ナノファイバ径は、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用いた測定によって得た。具体的には、まずナノファイバシートを、レーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察することでグレースケール画像を得た。次に、「プロファイル」により当該グレースケール画像を300倍に拡大した後、ナノファイバ径を3点測定することで得た値をナノファイバ径とした。
(2)平均空孔径
ナノファイバシートの平均空孔径は、細孔径分布評価装置であるパームポロメーター(ポーラスマテリアル社製)を用いて、バブルポイント法で測定することで得た。尚、ナノファイバシートを浸漬する溶液には、GALWICK(ポーラスマテリアル社製)を用いた。
(3)塊部の内接円の面積及び単位面積当たりの内接円の個数
塊部の内接円の面積は、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用いた測定によって得た。具体的には、ナノファイバシートをレーザー顕微鏡で観察することで得られたグレースケール画像に縮尺を付け、画像解析ソフト「Image J」に取り込み、画像の二値化を実施した後、塊部の輪郭に内接するように描いた内接円より求めた。次に、ナノファイバ直径の平均をXμm、塊部の内接円の面積Yμm2としたときに、下記一般式(1)を満たす塊部の個数を計上し、この個数を画像の面積(ナノファイバシートの全体面積)で除することで、単位面積当たりの内接円個数を得た。
0.5πX2≦Y≦5μm2 (1)
(4)ナノファイバシートの表面上におけるナノファイバの存在率
ナノファイバシートの表面上におけるナノファイバの存在率は、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用いた測定によって得た。具体的には、レーザー顕微鏡を用いたナノファイバシートの測定で得たグレースケール画像を、画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング株式会社製)に取り込み、面積率測定を実施して得た。
(5)ナノファイバシートの平均膜厚
ナノファイバシートの平均膜厚は、クイックマイクロ(株式会社ミツトヨ製)を用い、3点測定して平均値を求めて得た。
(6)ナノファイバシートの機械的強度の評価
ナノファイバシートの機械的強度は、以下に説明する方法で評価した。
まずナノファイバシートを、図4の符号4に示されるように、ダンベル形状に切り抜いた。次に、マイクロメーターを用いて、図4中の符号41で示される一点破線部3点の膜厚を測定し、これらの値の平均値をナノファイバ膜の膜厚(t)とした。次に、ノギスを用いて、符号41で示される一点破線部3点の横幅を測定し、これらの値の平均値を、ナノファイバ膜の横幅(w)とした。次に、図4のナノファイバシートを引張試験機に挟み込んだ。ここでナノファイバシートを挟み込む箇所は、図4中の符号42で示される長方形の領域とした。図4の符号42のように挟み込む箇所を指定したのは、ナノファイバシートの機械的強度を正確に測定するために、ダンベルつかみ部分の面積を考慮しない値を得るためである。次に、ノギスを用いて、図4中のh0で示した箇所の長さを測定した。尚、図4中のh0は、引張初期長さを意味する。次に、測定ソフトウエアに膜厚(t)、横幅(w)及び引張初期長さ(h0)を入力した。次に、引張試験装置の高さ及びストロークの値をゼロリセットした。次に、ナノファイバシートを、1mm/分で引っ張った。尚、ナノファイバシートを引っ張る長さ、即ち、引張長さ(Δh)は、ソフトウエアによって算出された値を用いて事前に計算した。またナノファイバシートの破断を目視確認した後、引っ張りを停止した。尚、ナノファイバシートの破断を目視確認したときにナノファイバシートに印加されていた引っ張り力を試験力(N)とした。
以上のプロセスで得られた膜厚(t)、横幅(w)、引張長さ(Δh)及び試験力(N)の値を用いて、引張弾性率(G)を求めた。ここで、引張弾性率(G)は、下記式(6−1)よりひずみ(ε)を、下記式(6−2)により応力(σ)をそれぞれ算出し、応力−ひずみ曲線を描いた時に、降伏点までの接線の傾きを、下記式(6−3)を用いて求めることで得た。
Δh/h0=ε (6−1)
N/(wt)=σ (6−2) σ/ε=G (6−3)
引張試験は各ナノファイバシートに対して2回実施して,その平均値を、ナノファイバ膜の引張弾性率と定義した。尚、試験を2回実施した際に各値に大きな差が生じた場合は、3回目以降も引張試験を実施した。この場合、それらの試験で得られた値のうち、差異の小さい2値を平均することで,ナノファイバシートの引張弾性率とした。尚、本測定では、引張測定時の膜形状変化に伴うポアソン比を無視して値を求めた。
尚、塊部は、上述したように、ナノファイバシートに含まれるナノファイバの一部が変形することによって形成されるが、当該塊部のうち内接円の面積が一定の範囲内にあるものが多数存在する場合は、ナノファイバシートの引張弾性率は向上する。この場合、ナノファイバシートの機械的強度は増大し、耐久性、例えば、風圧耐性に優れることは明らかである。つまり、引張弾性率の増加割合が高いナノファイバシートは、ナノファイバシート自体の機械的強度が向上しているため十分な風圧耐性を有することが示される。このため、引張弾性率の増加割合が高いナノファイバシートは、長期に亘って使用することが可能となる。
(7)ナノファイバシートの風圧耐久性の評価
ナノファイバシートの風圧耐久性は、厚紙に張り付けた1枚のナノファイバシートに、エアガンを用いて0.1MPaの風をエアガン−シート間に3cm距離を置いて2分吹き付けた際に破壊がおこるか否かを評価することで検証した。評価方法としては、エアガンによる吹き付けの後、ナノファイバシートが破壊あるいは欠損されていないかを目視で確認した。ここでナノファイバシートの破壊や欠損が確認されない場合、ナノファイバシートの風圧耐久性が良好であると判断した。一方で、ナノファイバシートの破壊や欠損が確認されないが変形されているのが確認された場合は、風圧耐久性が可と、ナノファイバシートの破壊や欠損が確認された場合は、風圧耐久性が不良であると判断した。
(8)ナノファイバシートの通気度の評価
ナノファイバシートの通気度の評価は、通気性試験機を用いた際、125Paにおいて0.4cc/cm2/sec以上を有する場合を良好と判断した。
[実施例1]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリアミドイミド(PAI)溶液(日立化成株式会社製:HPC−5020、ワニス溶液)と、低分子有機化合物であるF−a型ベンゾオキサジン(四国化成株式会社製)と、を混合した。このときPAIとF−a型ベンゾオキサジンとの混合比を、重量比で3:1(溶質中のF−a型ベンゾオキサジンの混合率は、25重量%)とした。次に、この混合物に、先芳香族スルホニウム塩系の潜在性触媒であるSI−100L(三新化学工業社製)を、F−a型ベンゾオキサジンに対して2重量%の割合で添加・混合することで溶液を調製した。次に、この溶液を次の工程で使用した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
エレクトロスピニング法により、(1)で調製した溶液を噴射し、紡糸した。これにより、PAIと、F−a型ベンゾオキサジンと、未揮発溶媒と、を有するナノファイバが物理的に絡まって形成されてなるナノファイバシートの前駆体を作製した。本工程は、具体的には、まず図3のエレクトロスピニング装置(メック社製)を構成するヘッド部17を、下記(2−1)、(2−2)の順番で組み立てた。尚、ヘッド部17は、装置内に設置されたメジャーの値が157mmの位置になるように設置した。
(2−1)ヘッド11(クリップスピナレット)の取り付け
(2−2)タンク12(注1)のヘッド11への取り付け
(注1:タンク12には、予め(1)で調製した溶液が充填されている。)
次に、紡糸口14に21.5kVの電圧を印加させることで、タンク12に充填されている溶液を、コレクター15に向けて噴射することで、ナノファイバを得た。尚、得られたナノファイバは、コレクター15上に集積された態様で得られた。次に、集積されたナノファイバ、即ち、ナノファイバシート前駆体を、次の工程に用いた。
(3)加熱工程
(2)で得られたナノファイバシート前駆体をコレクター15から剥離した後、ガラスプレート上に貼り付けたポリテトラフロロエチレンシートの上に載せた。次に、ナノファイバシート前駆体を、オーブンを用いて160℃で2時間加熱処理した。これにより、ナノファイバと低分子有機化合物との化学反応によって生じた架橋部を有するナノファイバシートが得られた。尚、ここでいう「加熱工程」は、「ナノファイバの一部が変形することで形成される塊部の形成工程」と同じ意味である。
(4)ナノファイバシートの評価
上述した測定方法及び評価方法に基づいて、得られたナノファイバシートの物性を測定・評価した。結果を表2、3に示す。図5は、本実施例で作製されたナノファイバシートのレーザー顕微鏡写真を示す図である。尚、図5は、ナノファイバシートの表面側を撮影した写真である。図5に示されるように、本実施例で得られたナノファイバシートは、ナノファイバを集積したものであって、塊部(図5中の丸囲み)が複数個あることが確認された。
[実施例2]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリアミドイミド(PAI)溶液(日立化成株式会社製:HPC−5020、ワニス溶液)と、低分子有機化合物であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製:N−695)とを混合した。このときPAIとクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合比を、重量比で3:1(溶質中のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合率は、25重量%)とした。次に、この混合物に、先芳香族スルホニウム塩系の潜在性触媒であるSI−100L(三新化学工業社製)を、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に対して2重量%の割合で添加・混合することで溶液を調製した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
実施例1(2)において、紡糸口14に印加する電圧を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法により、ナノファイバシート前駆体を得た。
(3)加熱工程
実施例1(3)と同様の方法により、ナノファイバシート前駆体を加熱することでナノファイバシートを得た。
(4)ナノファイバシートの評価
実施例1(4)と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
[実施例3]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリメタクリル酸メチル(PMMA、住友化学株式会社製:スミペックス MM)と、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC、キシダ化学株式会社製)と、を混合し、PMMAが重量比で28重量%含まれるDMAC溶液を調製した。次に、先程調製したDMAC溶液と、低分子有機化合物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(コニシ株式会社製:クイック5 A剤)と、を混合した。このときPMMAと低分子化合物との混合比を、重量比で3:1(溶質中のビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合率は、25重量%)とした。次に、先芳香族スルホニウム塩系の潜在性触媒であるSI−100L(三新化学工業社製)を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に対して2重量%の割合で添加・混合することで溶液を調製した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
実施例1(2)において、紡糸口14に印加する電圧を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法によりナノファイバの紡糸を行い、ナノファイバシート前駆体を得た。
(3)加熱工程
実施例1(3)において、加熱温度を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(3)と同様の方法でナノファイバシート前駆体を加熱することで、ナノファイバシートを得た。
(4)ナノファイバシートの評価
実施例1と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
[実施例4]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリメタクリル酸メチル(PMMA、住友化学株式会社製:スミペックス MM)と、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC、キシダ化学株式会社製)と、を混合し、PMMAが重量比で28重量%含まれるDMAC溶液を調製した。次に、先程調製したDMAC溶液と、低分子有機化合物であるエチレングリコールジメタクリレート(日立化成株式会社製:ファンクリル FA−121M)とを混合した。このときPMMAと低分子化合物との混合比を、重量比で3:1(溶質中のエチレングリコールジメタクリレートの混合率は、25重量%)とした。次に、先芳香族スルホニウム塩系の潜在性触媒である、SI−100L(三新化学工業社製)を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に対して0.5重量%の割合で添加・混合することで溶液を調製した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
実施例1(2)において、紡糸口14に印加する電圧を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法により、ナノファイバシート前駆体を得た。
(3)加熱工程
実施例1(3)において、加熱温度を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(3)と同様の方法でナノファイバシート前駆体を加熱することで、ナノファイバシートを得た。
(4)ナノファイバシートの評価
実施例1(4)と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
[比較例1]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート(PET、三菱化学社製:ノバペックス GM700)と、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP、東京化成工業株式会社製)とを混合した。これにより、PETが重量比で6.0重量%含まれるHFIP溶液を調製した。このようにして調製したHFIP溶液を次の工程で使用した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
実施例1(2)において、紡糸口14に印加する電圧及び吐出速度を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法により、ナノファイバシート前駆体を得た。
(3)加熱工程
実施例1(3)において、加熱温度を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(3)と同様の方法により、ナノファイバシートを得た。
(4)ナノファイバシートの評価
実施例1(4)と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
[比較例2]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリメタクリル酸メチル(PMMA、住友化学株式会社製:スミペックス MM)と、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC、キシダ化学株式会社製)と、を混合して、PMMAが重量比で28重量%であるDMAC溶液を調製した。このようにして調製したDMAC溶液を次の工程で使用した。
(2)ナノファイバシート前駆体形成工程(紡糸工程)
実施例1(2)において、紡糸口14へ印加する電圧を表1の通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法により、ナノファイバシート前駆体を得た。
(3)加熱工程
実施例1(3)において、加熱温度を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1(3)と同様の方法により、ナノファイバシートを得た。
(4)ナノファイバシートの評価
実施例1と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
[比較例3]
(1)溶液調製工程
有機樹脂材料であるポリベンゾイミダゾールワニス(PBI、佐藤ライト工業株式会社製:MRS0810H、DMAc(ワニス)溶液)を減圧濃縮することで、PBIが重量比で22.0重量%の溶液を調製した。このようにして調製した溶液を次の工程で使用した。
(2)紡糸工程(ナノファイバシート形成工程)
実施例1(2)において、紡糸口14へ印加する電圧を表1の通りに変更したこと以外は、実施例1(2)と同様の方法により、ナノファイバシートを得た。尚、本比較例において、得られたナノファイバシートは、加熱処理しないで後述する評価を行った。
(3)ナノファイバシートの評価
実施例1と同様の方法により、得られたナノファイバシートの測定・評価を行った。結果を表2、3に示す。
Figure 2016199828
Figure 2016199828
Figure 2016199828
実施例及び比較例にて判明あるいは確認できたことについて、以下に説明する。
実施例(実施例1乃至4)で作製したナノファイバシートは、比較例1のナノファイバシートを比較して、引張弾性率が著しく向上することがわかった。ここで、比較例1のナノファイバシートに含まれる塊部のうち、一般式(1)の要件を満たすものは7×10-3個/μm2未満だった。このことから、比較例1のナノファイバシートは、加熱工程によって塊部が形成されたものの、当該塊部が小さいためにナノファイバシート自体の引張弾性率及び風圧耐性が低かったと考察される。
比較例2では、ナノファイバシート前駆体を110℃で加熱処理した。しかし画像観察の結果、加熱処理によって生じた塊部はいずれも小さいものであり、即ち、一般式(1)の要件を満たす塊部は存在しなかった。そのため比較例2で得られたナノファイバシートは、引張弾性率が十分ではなく、風圧によってシート自体が破壊されたと考察される。
図6は、比較例3で作製されたナノファイバシートのレーザー顕微鏡写真を示す図である。比較例3で作製したナノファイバシートは加熱工程を省略したため、図6に示されるように、作製したナノファイバシートには、塊部を確認することができず、ナノファイバシートを構成するナノファイバ同士は独立していた。このため、高い機械的強度を有するとされるPBIを材料として用いたにも関わらず、応力が加わった際に十分に応力が分散されずナノファイバのほどけが生じるため、十分な機械的強度が得られず、風圧によってシート自体が破壊された考察される。
尚、実施例(実施例1乃至4)と比較例(比較例1乃至3)とを比較すると、紡糸工程の際に使用される溶液中に特定の低分子有機化合物を混合した場合に、作製されたナノファイバシートは十分な機械的強度を有している。これは、加熱工程(ナノファイバシート前駆体の加熱)の際に、下記(a)及び(b)の現象が生じるためであると考察される。
(a)ナノファイバ同士が融着することで、ナノファイバの内部又は表面で生じるポリマー分子同士の物理的な会合
(b)ナノファイバに含有されるポリマー分子と低分子有機化合物との間で生じる化学反応(高分子反応)、又は当該低分子有機化合物同士の化学反応(重合反応)によって生じる化学的架橋
即ち、塊部に、複雑に絡み合ったポリマーネットワークが存在するため、ナノファイバシートの機械的強度が向上したと考察される。
尚、実施例(実施例1乃至4)において膜の通気度を測定したが、いずれのナノファイバシートにおいても通気度は良好と判断された。
以上の各実施例で示したように、本発明のナノファイバシートは、ナノファイバ間の剥離耐性が良好で、ナノファイバシートの機械的強度が高く、比表面積が高い、という性質を有することが分かった。また、これらの性質を有することにより、本発明のナノファイバシートは、ナノファイバシートに含まれるナノファイバ同士が容易にほつれることがないので、長期使用に有利である。
1:ナノファイバシート、2:ナノファイバ、3:塊部

Claims (15)

  1. 複数のナノファイバと、
    前記ナノファイバ同士の接着により生じた塊部と、を有し、
    下記式(1)を満たす前記塊部が、7×10-3個/μm2以上含まれることを特徴とする、ナノファイバシート。
    0.5πX2≦Y≦5μm2 (1)
    (式(1)において、Xは、ナノファイバの直径(μm)を表し、Yは、表面から見た塊部の内接円の面積(μm2)を表す。)
  2. 前記式(1)を満たす前記塊部が、7×103個/mm2以上含まれることを特徴とする、請求項1に記載のナノファイバシート。
  3. 前記式(1)を満たす前記塊部が、7×105個/cm2以上含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載のナノファイバシート。
  4. 前記ナノファイバ間に設けられる空孔の直径が5μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  5. 前記ナノファイバの直径が1.78μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  6. 前記ナノファイバの直径が50nm以上1.78μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  7. 表面上における前記ナノファイバの平均存在率が10%以上60%以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  8. 前記ナノファイバが、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  9. 前記接着が融着であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  10. 厚さが1μm以上1mm以下であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のナノファイバシート。
  11. 粒子を捕捉するための集塵フィルタであって、
    請求項1乃至10のいずれか一項に記載のナノファイバシートを有することを特徴とする、集塵フィルタ。
  12. 通気口と、前記通気口に備えられる集塵フィルタと、を有する収容器であって、前記集塵フィルタが、請求項11に記載の集塵フィルタであることを特徴とする、収容器。
  13. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のナノファイバシートの製造方法であって、
    複数のナノファイバを互いに絡み合わせてナノファイバシート前駆体を形成するナノファイバシート前駆体形成工程と、
    前記シート前駆体を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする、ナノファイバシートの製造方法。
  14. 前記ナノファイバが、有機樹脂材料と、化学反応性を有する有機低分子化合物と、を有することを特徴とする、請求項13に記載のナノファイバシートの製造方法。
  15. 前記加熱工程が、前記シート前駆体を非加圧条件下で加熱する工程であることを特徴とする、請求項13又は14に記載のナノファイバシートの製造方法。
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