JP2016197667A - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた電気特性、特に低い電気伝導率及び十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料、及びその製造方法を提供する。【解決手段】(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、工程(a)において、元素Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子を以下の式(1):Bi2(Te,Se)3+X(0.05≦x≦1.3) (1)を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料。【選択図】図2
Description
本発明は、熱電変換材料及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化問題から二酸化炭素排出量を削減するために、化石燃料から得られるエネルギーの割合を低減する技術への関心が益々増大しており、そのような技術の1つとして未利用廃熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換し得る熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子が挙げられる。熱電変換材料とは、火力発電のように熱を一旦運動エネルギーに変換しそれから電気エネルギーに変換する2段階の工程を必要とせず、熱から直接に電気エネルギーに変換することを可能とする材料である。
熱から電気エネルギーへの変換は熱電変換材料から成形したバルク体の両端の温度差を利用して行われる。この温度差によって電圧が生じる現象はゼーベックにより発見されたのでゼーベック効果と呼ばれている。この熱電変換材料の性能は、次式で求められる性能指数Zで表される。
Z=α2σ/κ(=Pf/κ)
ここで、αは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の伝導率、κは熱電変換材料の熱伝導率である。α2σの項をまとめて出力因子Pfという。そして、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。よって、熱電変換材料の性能向上には上記の式から明らかなように、より低い熱伝導率κが求められる。
従来からのBi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造方法としては、溶融法やソルボサーマル法等が挙げられる。しかしながら、当該化学量論組成比に対応した元素比で原料を添加して製造した場合、得られる材料組成が化学量論比からずれ、これにより、顕著な性能指数低下、出力因子の低下、熱伝導率の上昇が生じるという問題があった。主要な従来製法である溶融法の場合、図1のBi−Te−Se状態図に示すように材料のTe+Seの原子比率が約61mol%以上になるとTeやSeの金属相が析出してしまう。特に高熱伝導率を有するTeが析出するとそれに伴い材料全体の熱伝導率が上がり、性能指数が低下してしまう。また、ソルボサーマル法で製造したBi2(Te,Se)3材料においてはキャリア濃度が高くなるために低移動度となってしまい、それに伴う低電気伝導率のため出力因子を低下するという問題があった。
例えば特許文献1には、Bi2(Te,Se)3系において、化学量論組成を有する複合化合物半導体相と、上記組成に過剰のTeを含んでなるTeリッチ相とを複合した相を有してなることを特徴とする(2相共存)熱電半導体材料が記載されている。また特許文献1には、溶融法により、40原子%のBiと、50〜59原子%のTeと、1〜10原子%のSeとからなる化合物熱電半導体の化学量論組成に、0.01〜10%の過剰のTeを加えることが記載されている。しかしながら、このように溶融法により製造する場合、2相共存状態となるだけでなくTeの析出も起きていると考えられ、この場合熱電性能が低下する原因となる。
特許文献2には、Bi2−xSbxTey(式中、xは1.5≦x≦1.8であり、yは3.0<y≦4.0である。)で表されるTe−Sb−Bi系p型熱電材料が記載されている。特許文献2によれば、Teの組成比を化学両論比よりも過剰とすることにより、200℃より低い低温側の温度領域の熱電性能を向上させることができるとされている。特許文献2には、過剰なTe原子が熱電材料の母相のアンチサイト欠陥を減少させているため、キャリアの移動度が高くなって電気伝導度σが高くなったと推測されることが記載されている。
特許文献3には、Teを過剰に添加することによりTeのナノワイヤーを分散させたナノコンポジット熱電変換材料が記載されている。
しかしながら、n型のBi2(Te,Se)3系熱電変換材料において、十分に優れた電気特性、特に高い電気伝導率及び十分に低減された熱伝導率を有するものは未だ知られていなく、このような熱電変換材料及びその製造方法が求められていた。
本発明は、優れた電気特性を有する熱電変換材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造において、ソルボサーマル工程を採用し、当該工程において原料に含まれるBi、Te及びSeの元素比を特定の範囲とすることにより、Teを過剰に含むにも関わらず、Te単相の析出が抑制され、電気特性に優れる熱電変換材料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料。
(2)n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造方法であって、
以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる、上記方法。
(1)以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料。
(2)n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造方法であって、
以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる、上記方法。
本発明の熱電変換材料によれば、Teを過剰に含むにも関わらず、Te単相の析出が抑制され、Te相析出による高熱伝導率化を防止することができる。本発明の熱電変換材料によれば、電気伝導率が向上し、さらには出力因子PFが向上し、性能指数が向上する。本発明の熱電変換材料によれば、フォノン振動が伝わりにくくなり、熱伝導率が低下する。
本発明はn型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料(以下、本発明の熱電変換材料ともいう)に関する。本発明の熱電変換材料は、以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される。当該方法の説明図を図2に示す。
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される。当該方法の説明図を図2に示す。
上記方法により製造することにより、低い電気伝導率及び十分に低減された熱伝導率が達成される。当該方法においては、準備工程(a)で調製したBi、Te及びSeの金属ナノ粒子を特定の範囲の元素比で含む混合液をソルボサーマル工程(b)で用いているために、当該方法により得られる熱電変換材料において、Bi層の一部がTeにより置換される。よって、Teを過剰に含むにも関わらず、Te単相の析出が抑制され、Te相析出による高熱伝導率化の防止することができる。また、従来のソルボサーマル法では高キャリア濃度のために移動度が低下するという問題があったが、当該方法により得られる熱電変換材料においては、上述したようにBi層の一部がTeにより置換されてTe(2)層が維持されるために高キャリア濃度ながらも移動度低下を抑制することができ、その結果電気伝導率σが向上し(図3(a))、さらには出力因子PFが向上し、性能指数が向上する。さらに、当該方法により得られる熱電変換材料においては、Bi層の一部がTeにより置換されてBi−Te結合により弱いTe−Te結合が現れて一部の結合が弱まる結果、フォノン振動が伝わりにくくなり、熱伝導率が低下する(図3(b))。
上記工程(a)において、Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子を分散させる有機溶媒としては、後述する工程(b)に使用する観点から、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、ジオキサン、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましく、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることがより好ましい。
上記工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる。これにより、Teを過剰に含むにも関わらず、Te単相の析出が抑制され、上述したような本発明の所望の効果が奏される。このような観点から、上記xの値は、好ましくは0.08≦x≦1.3、さらに好ましくは0.1≦x≦0.9、さらに好ましくは0.6≦x≦0.9である。
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる。これにより、Teを過剰に含むにも関わらず、Te単相の析出が抑制され、上述したような本発明の所望の効果が奏される。このような観点から、上記xの値は、好ましくは0.08≦x≦1.3、さらに好ましくは0.1≦x≦0.9、さらに好ましくは0.6≦x≦0.9である。
上記工程(a)において、界面活性剤又は表面保護剤等の1種以上の添加物を加えてもよいが、添加物を使用することなく、高い熱電変換性能を有する熱電変換材料を形成できることから、添加物の非存在下で実施することが好ましい。添加物の非存在下で本工程を実施することにより、低コストで所望の熱電変換材料を形成させることができる。
上記工程(b)において、工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させることにより合金化する。本明細書において、「ソルボサーマル反応」は、有機溶媒中において、高温及び高圧下で複数の原料物質を反応させて、反応生成物を得る処理を意味する。
上記工程(b)において、ソルボサーマル反応させる温度は、200〜450℃の範囲であることが好ましく、200〜350℃の範囲であることがより好ましく、230〜300℃の範囲であることがさらに好ましい。ソルボサーマル反応させる圧力は、0〜20MPaの範囲であることが好ましく、0.5〜15MPaの範囲であることがより好ましい。また、ソルボサーマル反応させる時間は、1〜24時間の範囲であることが好ましく、5〜24時間の範囲であることがより好ましく、8〜12時間の範囲であることがさらに好ましい。
上記工程(b)において、ソルボサーマル反応に使用される反応容器及び/又は反応制御装置等の手段は特に限定されない。本工程においては、オートクレーブのような当該技術分野でソルボサーマル反応に通常使用される装置を、反応容器及び反応制御装置として用いることができる。例えば、200〜250℃の範囲の温度でソルボサーマル反応させる場合、フッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))のような比較的安価な樹脂を用いたオートクレーブ装置を使用すればよく、250℃超かつ450℃以下の温度でソルボサーマル反応させる場合、ニッケル合金(例えばハステロイ(登録商標))のような耐熱・耐食合金を用いたオートクレーブ装置を使用すればよい。上記手段を用いることにより、特別な装置を準備することなく本工程のソルボサーマル反応を実施することができる。
本発明の熱電変換材料は、工程(a)において混合液中に存在させた元素Bi、Te及びSeの存在比に対応するn型Bi2(Te,Se)3系合金として得ることができ、具体的にはn型の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
で表される合金であることが好ましい。上記化学式において、上記xの値は、好ましくは0.08≦x≦1.3、さらに好ましくは0.1≦x≦1.3、さらに好ましくは0.3≦x≦1.3、さらに好ましくは0.55≦x≦1.3、特に好ましくは0.55≦x≦1.0である。なお、熱電変換材料の元素組成は、例えば、X線回折(XRD)に基づき、決定することができる。
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
で表される合金であることが好ましい。上記化学式において、上記xの値は、好ましくは0.08≦x≦1.3、さらに好ましくは0.1≦x≦1.3、さらに好ましくは0.3≦x≦1.3、さらに好ましくは0.55≦x≦1.3、特に好ましくは0.55≦x≦1.0である。なお、熱電変換材料の元素組成は、例えば、X線回折(XRD)に基づき、決定することができる。
本発明の熱電変換材料は、高熱伝導率化の防止する観点から、Teの単相を実質的に含まないことが好ましい。本発明の熱電変換材料は、上記式(1)で表される物質を基準として、好ましくは1モル%未満、特に好ましくは0.1モル%未満のTeの単相を含む。
一般に、約100nm超の平均粒径を有する合金粒子はサブマイクロ粒子と分類され、約100nm以下の平均粒径を有する合金粒子はナノ粒子と分類される。本発明の熱電変換材料は、通常は、微細粒径の粒子の形態であり、典型的には、ナノ粒子の形態である。上記熱電変換材料は、通常は、170nm以下の平均粒径を有し、典型的には、100nm以下の平均粒径を有する。上記熱電変換材料は、通常は、50nm以上の平均粒径を有し、典型的には、70nm以上の平均粒径を有する。本発明の熱電変換材料は、上記平均粒径を有する微細粒径の粒子(以下、「一次粒子」とも記載する)を焼結等することによって得られるバルク体の形態であってもよい。
本発明は、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)にも関する。本発明の製造方法は、以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させることを特徴とする。本発明の製造方法は、本発明の熱電変換材料の製造に適している。熱電変換材料の構成元素であるTeを化学量論組成Bi2(Te,Se)3より過剰に含み、合金化することで(高キャリア濃度ながら)高移動度・低熱伝導率を有する熱電変換材料の作製が可能となる。
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させることを特徴とする。本発明の製造方法は、本発明の熱電変換材料の製造に適している。熱電変換材料の構成元素であるTeを化学量論組成Bi2(Te,Se)3より過剰に含み、合金化することで(高キャリア濃度ながら)高移動度・低熱伝導率を有する熱電変換材料の作製が可能となる。
本発明の製造方法は、上記工程(a)及び(b)を含む。工程(a)及び(b)に関する好ましい態様及び実施形態等は、本発明の熱電変換材料についての上述の記載を引用する。
本発明の製造方法は、場合により、構成元素を含有する熱電変換材料を焼結する、焼結工程を含むことができる。本工程により、上記熱電変換材料の一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。本工程において、上記熱電変換材料を焼結する手段は特に限定されない。例えば、放電プラズマ焼結(SPS焼結)法又はホットプレス法のような当該技術分野で通常使用される焼結手段を適用することができる。本工程は、SPS焼結法を用いて実施することが好ましい。上記手段によって上記熱電変換材料の一次粒子を焼結することにより、該一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。例えば、熱電変換材料を300〜500℃の温度でSPS焼結(放電プラズマ焼結:Spark Plasma Sintering)することによって、熱電変換材料バルク体を得ることができる。SPS焼結は、パンチ(上部、下部)、電極(上部、下部)、ダイ及び加圧装置を備えたSPS焼結機を用いて行うことができる。また、焼結の際に、焼結機の焼結チャンバのみを外気から隔離して不活性の焼結雰囲気にしてもよくあるいはシステム全体をハウジングで囲んで不活性雰囲気にしてもよい。
本発明の熱電変換材料及び本発明の製造方法により得られた熱電変換材料は熱電変換素子に用いることができる。このような熱電変換素子は、公知の方法によって、N型ナノコンポジット熱電変換材料、電極及び絶縁性基板を組み立てることによって得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
実施例1−3及び比較例1−2
[I:熱電変換材料の製造]
[実施例1]
(1)Bi、Te及びSeのナノ粒子が分散されたスラリーを準備した。
仕込組成はBi2(Te,Se)3+x(x=0.1)とした。
(2)上記(1)で得られたスラリーを、攪拌機構を備えた熱処理容器に入れ、270℃、10時間の条件でソルボサーマル法によりBi,Te及びSeの合金化行った。
(3)自然冷却後、スラリーを回収、ろ過、乾燥して、Bi2(Te,Se)3+x粉末を得た。
(4)上記(3)で得られた粉末を用いて焼結体を作製した。
実施例1−3及び比較例1−2
[I:熱電変換材料の製造]
[実施例1]
(1)Bi、Te及びSeのナノ粒子が分散されたスラリーを準備した。
仕込組成はBi2(Te,Se)3+x(x=0.1)とした。
(2)上記(1)で得られたスラリーを、攪拌機構を備えた熱処理容器に入れ、270℃、10時間の条件でソルボサーマル法によりBi,Te及びSeの合金化行った。
(3)自然冷却後、スラリーを回収、ろ過、乾燥して、Bi2(Te,Se)3+x粉末を得た。
(4)上記(3)で得られた粉末を用いて焼結体を作製した。
[実施例2]
上記(1)において、x=0.6とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
上記(1)において、x=0.6とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
[実施例3]
上記(1)において、x=0.9とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
上記(1)において、x=0.9とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
[比較例1]
上記(1)において、x=0とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
上記(1)において、x=0とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
[比較例2]
上記(1)において、x=1.4とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
上記(1)において、x=1.4とした以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
[II:分析及び結果]
上記手順によって得られた焼結体について組成定量分析、XRD測定、電気特性評価及び熱伝導率評価を行った。
上記手順によって得られた焼結体について組成定量分析、XRD測定、電気特性評価及び熱伝導率評価を行った。
<組成定量分析>
実施例1−3及び比較例1−2の焼結体の分析結果を表1に示す。
実施例1−3及び比較例1−2の焼結体の分析結果を表1に示す。
<XRD測定>
実施例1−3及び比較例2の焼結体のXRD測定の結果を図4に示す。実施例1−3の焼結体(それぞれx=0.1、0.6及び0.9)においては、比較例2の焼結体(x=1.4)において観察されるTe相に由来するピークが観察されず、Bi2(Te,Se)3と同様の結晶構造が観察された。
実施例1−3及び比較例2の焼結体のXRD測定の結果を図4に示す。実施例1−3の焼結体(それぞれx=0.1、0.6及び0.9)においては、比較例2の焼結体(x=1.4)において観察されるTe相に由来するピークが観察されず、Bi2(Te,Se)3と同様の結晶構造が観察された。
<電気特性評価、熱伝導率評価>
実施例1−3及び比較例1−2の焼結体の電気特性評価、熱伝導率評価の結果を表2及び図5に示す。実施例1−3の焼結体はTe相が析出せず、性能指数の向上が認められた。
実施例1−3及び比較例1−2の焼結体の電気特性評価、熱伝導率評価の結果を表2及び図5に示す。実施例1−3の焼結体はTe相が析出せず、性能指数の向上が認められた。
本発明の熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、自動車の排熱や地熱を用いた発電及び人工衛星用の電源に利用することができる。また、本発明のナノコンポジット熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、電化製品及び自動車等の温度調節素子に利用することができる。
Claims (2)
- 以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる方法により製造される、n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料。 - n型Bi2(Te,Se)3系熱電変換材料の製造方法であって、
以下の工程:
(a)Bi、Te及びSeの金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散した混合液を準備する工程;及び
(b)工程(a)で得られた混合液をソルボサーマル反応させるソルボサーマル工程を含み、
工程(a)において、元素Bi、Te及びSeを以下の式(1):
Bi2(Te,Se)3+X (0.05≦x≦1.3) (1)
を満たすモル比で混合液中に存在させる、上記方法。
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