JP2016197536A - 脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱硫を簡便な構成で行い、充填する吸着脱硫触媒の量を削減する脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法を提供する。
【解決手段】脱硫システム10は、水素化脱硫部13と、この上流側の吸着脱硫部12と、吸着脱硫部12の上流側に水素含有ガスRを供給する水素含有ガス供給部30と、水素化脱硫部13の温度を検知する温度検知部14と、制御部15とを備える。制御部15は、水素化脱硫が可能な温度未満のときは水素含有ガス供給部30における水素含有ガスRの供給を停止し、水素化脱硫が可能な温度以上のときに水素含有ガスRの供給を行うように、水素含有ガス供給部30を制御して脱硫済原料Dfを製造する。改質システム50は、脱硫システム10と改質部51とを備え、改質部51で生成された水素含有ガスRを吸着脱硫部12の上流側に導く。燃料電池システム1は、改質システム50と燃料電池61とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】脱硫システム10は、水素化脱硫部13と、この上流側の吸着脱硫部12と、吸着脱硫部12の上流側に水素含有ガスRを供給する水素含有ガス供給部30と、水素化脱硫部13の温度を検知する温度検知部14と、制御部15とを備える。制御部15は、水素化脱硫が可能な温度未満のときは水素含有ガス供給部30における水素含有ガスRの供給を停止し、水素化脱硫が可能な温度以上のときに水素含有ガスRの供給を行うように、水素含有ガス供給部30を制御して脱硫済原料Dfを製造する。改質システム50は、脱硫システム10と改質部51とを備え、改質部51で生成された水素含有ガスRを吸着脱硫部12の上流側に導く。燃料電池システム1は、改質システム50と燃料電池61とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法に関し、特に水素化脱硫が可能な温度未満からの脱硫対象原料の脱硫を簡便な構成で行うことができると共に吸着脱硫部に充填する吸着脱硫触媒の量を削減する脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法に関する。
例えば燃料電池における発電に用いられる水素含有ガスは、水素含有ガスを入手するためのインフラ整備が十分でないことに鑑み、炭化水素系原料を改質して得られることが多い。炭化水素系原料は、一般に、硫黄分が含まれるため、水素含有ガスに改質する前に脱硫が行われる。脱硫方式の1つに、水素を添加して脱硫する水素化脱硫(水添脱硫)がある。水素化脱硫は、原料に水素を混合し、原料中の硫黄分を触媒上で水素と反応させて硫化水素へ変換し、この硫化水素に酸化亜鉛を反応させて硫化亜鉛として除去するものである。水素化脱硫は、除去可能な硫黄分の種類が比較的多いという利点がある。水素化脱硫は、200〜400℃程度で運転されるため、この運転温度に到達するまでは水素化脱硫を行うことができない。水素化脱硫器(水添脱硫器)が運転温度に昇温する前から原料の脱硫を可能にするシステムとして、常温脱硫器と水添脱硫器とを設け、水添脱硫器の温度が作動温度より低い状態では原料を常温脱硫器に供給して脱硫し、水添脱硫器の温度が作動温度に達した時点で原料を水添脱硫器のみに供給して脱硫するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、原料を常温脱硫器に導入するのと水添脱硫器に導入するのとを切り替える構成が必要になると共に、システムの耐久年数にて想定される起動回数分の量の吸着剤が必要になる。
本発明は上述の課題に鑑み、水素化脱硫が可能な温度未満からの脱硫対象原料の脱硫を簡便な構成で行うことができると共に、吸着脱硫部に充填する吸着脱硫触媒の量を削減することができる脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る脱硫システムは、例えば図1に示すように、脱硫対象原料Drを水素化脱硫する水素化脱硫部13と;脱硫対象原料Drを吸着脱硫する吸着脱硫触媒12cを有する吸着脱硫部12であって、脱硫対象原料Drの流れ方向で見て水素化脱硫部13の上流側に水素化脱硫部13に対して直列に配置された吸着脱硫部12と;脱硫対象原料Drの流れ方向で見て吸着脱硫部12の上流側に水素含有ガスRを供給する水素含有ガス供給部30と;水素化脱硫部13の温度を検知する温度検知部14と;温度検知部14が検知した温度が水素化脱硫部13における水素化脱硫が可能な温度未満のときは水素含有ガス供給部30における水素含有ガスRの供給を停止し、温度検知部14が検知した温度が水素化脱硫部13における水素化脱硫が可能な温度以上のときに水素含有ガス供給部30における水素含有ガスRの供給を行うように、水素含有ガス供給部30を制御する制御部15とを備える。
このように構成すると、水素化脱硫が可能な温度未満からの脱硫対象原料の脱硫を簡便な構成で行うことができると共に、水素化脱硫を行いながら吸着脱硫触媒の再生を行うことができるので、吸着脱硫部に充填する吸着脱硫触媒の量を従来よりも削減することができる。
また、本発明の第2の態様に係る脱硫システムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る脱硫システム10において、吸着脱硫部12は、吸着脱硫触媒12cを加熱する加熱部12hを有する。
このように構成すると、吸着脱硫部における吸着脱硫を行っていないときに吸着脱硫触媒を加熱することで、吸着脱硫触媒の再生効率を向上させることが可能になる。
また、本発明の第3の態様に係る脱硫システムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第2の態様に係る脱硫システム10において、加熱部12hは、吸着脱硫部12における吸着脱硫が行われていない期間に、吸着脱硫触媒12cを間欠的に加熱するように構成されている。
このように構成すると、吸着脱硫触媒の加熱のためのエネルギー消費量を抑制しつつ、吸着脱硫触媒の再生を効率的に行うことができる。
また、本発明の第4の態様に係る脱硫システムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第2の態様又は第3の態様に係る脱硫システム10において、加熱部12hは、吸着脱硫触媒12cの加熱を行う際に吸着脱硫部12内の水分が蒸発する温度以上に吸着脱硫触媒12cを加熱するように構成されている。
このように構成すると、吸着脱硫触媒が吸着していた水分を離脱させることができ、吸着脱硫触媒の再生効率を向上させることができる。
また、本発明の第5の態様に係る改質システムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る脱硫システム10と;吸着脱硫部12又は水素化脱硫部13で脱硫対象原料Drが脱硫されて生成された脱硫済原料Dfを導入し改質して水素含有ガスE、Rを生成する改質部51とを備え;水素含有ガス供給部30は、改質部51で生成された水素含有ガスRを吸着脱硫部12の上流側に導くリサイクルガスライン31を含んで構成されている。
このように構成すると、吸着脱硫部の上流側への供給専用の水素含有ガスを用意しなくて済み、構成の簡略化に寄与する。
また、本発明の第6の態様に係る燃料電池システムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第5の態様に係る改質システム50と;改質部51で生成された水素含有ガスEと、酸素を含有する酸化剤ガスAと、を導入して発電する燃料電池61とを備え;制御部15は、燃料電池61における発電を停止する際に、温度検知部14で検知された温度が所定の温度に低下するまで、加熱部12hの作動を許可するように構成されている。
このように構成すると、燃料電池システムの効率低下を抑制しつつ、吸着脱硫触媒の再生を行うことができる。
上記目的を達成するために、本発明の第7の態様に係る脱硫済原料の製造方法は、例えば図1及び図3を参照して示すと、脱硫対象原料Drを吸着脱硫層12cに通過させて吸着脱硫する吸着脱硫工程(S4)と;脱硫対象原料Drを水素化脱硫する水素化脱硫層13cの温度を検知する温度検知工程(S3)と;水素化脱硫層13cの温度が水素化脱硫層13cにおける水素化脱硫が可能な温度以上の状態で、脱硫対象原料Drと水素含有ガスRとを吸着脱硫層12cを通過させた後に水素化脱硫層13cに導いて水素化脱硫を行う水素化脱硫工程(S8)とを備え;吸着脱硫工程(S4)又は水素化脱硫工程(S8)により、脱硫対象原料Drを脱硫して脱硫済原料Dfを生成する。
このように構成すると、水素化脱硫が可能な温度未満からの脱硫対象原料の脱硫を簡便な構成で行うことができると共に、水素化脱硫を行いながら吸着脱硫層の再生を行うことができるので、吸着脱硫層を構成する吸着脱硫触媒の量を従来よりも削減することができる。
本発明によれば、水素化脱硫が可能な温度未満からの脱硫対象原料の脱硫を簡便な構成で行うことができると共に、水素化脱硫を行いながら吸着脱硫触媒の再生を行うことができるので、吸着脱硫部に充填する吸着脱硫触媒の量を従来よりも削減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る、脱硫システム10、改質システム50、及び燃料電池システム1を説明する。図1は、燃料電池システム1の模式的系統図である。燃料電池システム1は、燃料電池61と、改質システム50とを構成要素として含んでいる。改質システム50は、改質部51と、脱硫システム10とを構成要素として含んでいる。つまり、燃料電池システム1は、脱硫システム10を含む改質システム50を含んでいる。まず、脱硫システム10の構成について説明する。脱硫システム10は、原料Dを脱硫する脱硫部11と、温度検知部14と、原料供給部20と、リサイクルガス供給部30(以下「RG供給部30」という。)と、制御装置15とを備えている。
原料Dは、改質することで燃料電池61における発電に利用可能となる程度に水素に富むガス(水素リッチガス)にできるものであり、炭化水素系の原料(炭化水素系燃料)が用いられる。具体例として、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は、石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のもの等を適宜用いることができる。炭化水素類としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。以下の説明では、脱硫部11で脱硫される前の原料Dを脱硫前原料Drといい、脱硫部11で脱硫された後の原料Dを脱硫済原料Dfといい、両者を区別しない場合は単に原料Dと総称することとする。脱硫前原料Drは脱硫対象原料に相当する。
脱硫部11は、脱硫前原料Drを吸着脱硫方式で脱硫する吸着脱硫部12と、脱硫前原料Drを水素化脱硫方式で脱硫する水素化脱硫部13とを含んでいる。吸着脱硫部12は、脱硫前原料Drに含まれている硫黄分を吸着して除去する吸着脱硫触媒12cを有している。吸着脱硫触媒12cは、水素化脱硫部13における水素化脱硫が可能な温度未満の温度においても脱硫前原料Drの脱硫を行うことができ、常温(典型的には25℃)において脱硫前原料Drの脱硫を行うことができる。吸着脱硫部12は、吸着脱硫触媒12cが充填されており、充填された吸着脱硫触媒12cが吸着脱硫層を構成する。吸着脱硫部12に充填される吸着脱硫触媒12cの例として、活性炭、ゼオライト系触媒、金属化合物、金属担持ゼオライト等を挙げることができ、ゼオライト系触媒には銀系ゼオライトや銅系ゼオライト等が含まれ、脱硫前原料Drの種類に好適なものを用いることができる。吸着脱硫部12は、吸着脱硫触媒12cを加熱することができる加熱部12hを有している。加熱部12hとして、ヒータや熱流体ジャケット等を適用することができる。また、本実施の形態のように、脱硫システム10を燃料電池システムの一部に組み込んで使用する場合、加熱部12hとして、燃料電池の輻射熱を受ける構造や、高温の排ガスGとの熱交換構造を適用することができる。
図2に示すように、吸着脱硫部12に充填される吸着脱硫触媒12cは、温度によって硫黄分を吸着することができる量が変化する特性を有している。図2は、吸着脱硫触媒12cの、硫黄分の吸着可能量と温度との関係を示すグラフである。図2中、破線で示す線Leは、吸着脱硫触媒12cへの水素含有ガスの供給がある場合の吸着可能量と温度との関係を示しており、実線で示す線Lnは、吸着脱硫触媒12cへの水素含有ガスの供給がない場合の吸着可能量と温度との関係を示している。図2から分かるように、吸着脱硫触媒12cへの水素含有ガスの供給がある場合(線Le)の方が、水素含有ガスの供給がない場合(線Ln)よりも、硫黄分の吸着可能量が少なくなっている。また、線Le及び線Lnのいずれの場合も、温度が高いほど硫黄分の吸着可能量が少なくなっている。吸着脱硫触媒12cは、水素含有ガスの供給がない状況下のある温度において硫黄分を吸着している状態から、温度を上昇及び/又は水素含有ガスを供給することにより、硫黄分を吸着することができる量の上限を超えることとなった場合に、上限を超えた分の硫黄分が離脱するように構成されている。
図1に戻って脱硫システム10の構成の説明を続ける。水素化脱硫部13は、脱硫前原料Drを、水素化脱硫方式で脱硫する水素化脱硫触媒13cを有している。水素化脱硫部13は、水素化脱硫触媒13cが充填されており、充填された水素化脱硫触媒13cが水素化脱硫層を構成する。水素化脱硫部13は、脱硫前原料Drの流れ方向で見て吸着脱硫部12の下流側に、吸着脱硫部12に対して直列に設けられている。水素化脱硫部13では、脱硫前原料Drと水素とが導入され、まず、脱硫前原料Dr中の硫黄成分が硫化水素に変換される。次に、硫化水素が、酸化亜鉛と反応し、硫化亜鉛として固定化される。このようにして、脱硫前原料Drは脱硫され、脱硫済原料Dfとなる。水素化脱硫は、概ね200℃〜400℃で行われる。水素化脱硫部13は、脱硫雰囲気を概ね400℃程度に加熱することができるヒータ13hを有している。ヒータ13hは、水素化脱硫触媒13cを収容する容器の外側に設けられており、当該容器内に導入された脱硫前原料Dr及び当該容器内に収容された水素化脱硫触媒13cを、当該容器の外側から加熱するように構成されている。水素化脱硫部13の水素化脱硫触媒13cを収容する容器と、吸着脱硫部12の吸着脱硫触媒12cを収容する容器とは、水素化脱硫触媒13cと吸着脱硫触媒12cとが混合しない措置が施されていれば一体に形成されていてもよい。しかしながら、水素化脱硫部13の温度と吸着脱硫部12に温度とを別個に管理しやすいように、別体の容器で構成されているとよい。
温度検知部14は、水素化脱硫部13の温度を検知することができるように、水素化脱硫部13に設けられている。温度検知部14は、水素化脱硫部13の複数箇所の温度を検知するように配設されていてもよい。温度検知部14が水素化脱硫部13の複数箇所の温度を検知するように配設されている場合、水素化脱硫が可能な温度か否かの判断として、各点の温度を平均した温度を基準としてもよく、検知したすべての温度が水点脱硫可能な温度となっているか否かを基準としてもよい。
脱硫部11には、脱硫前原料Drを脱硫部11に導く脱硫前原料ライン21と、水素化脱硫部13における脱硫前原料Drの水素化脱硫に用いられるリサイクルガスRを導入するリサイクルガスライン31(以下「RGライン31」という。)と、脱硫済原料Dfを改質部51に導く脱硫済原料ライン52とが接続されている。ここで、「・・・ライン」とは、流体の流路であり、典型的には専ら流体を案内する管であるが、他の用途に用いられる物と物との間に形成された空間であってもよい。リサイクルガスRは、改質部51で生成された改質ガスEの一部を抜き出したものであり、水素を多く含んでいる。脱硫前原料ライン21には、脱硫前原料Drを脱硫部11に送るフィードポンプ22が配設されている。本実施の形態では、脱硫前原料ライン21と、フィードポンプ22とを含んで原料供給部20を構成している。なお、燃料電池システム1に導入される脱硫前原料Drが液体の場合は、脱硫前原料Drを気化する気化器(不図示)が脱硫前原料ライン21に設けられる。
上述したRGライン31は、水素含有ガスの一形態であるリサイクルガスRを脱硫部11に導く。RGライン31は、典型的には、上述のように脱硫部11に接続されているが、脱硫部11に代えて、脱硫前原料ライン21に接続されていてもよい。RGライン31には、流路を遮断可能な開閉弁32が配設されている。本実施の形態では、RGライン31と、開閉弁32とでRG供給部30を構成している。RG供給部30は、水素含有ガス供給部に相当する。なお、RGライン31に、脱硫部11の上流側へ供給するリサイクルガスRの流量を調節する水素含有ガス流量調節部(例えばポンプあるいは流量調節弁)が設けられていてもよい。
制御装置15は、脱硫システム10を構成する機器の動作を司るほか、改質システム50を構成する機器及び燃料電池システム1を構成する機器の動作をも司るため、詳細はまとめて後述する。
次に改質システム50の構成について説明する。改質システム50は、上述した脱硫システム10のほか、改質部51を備えている。本実施の形態における改質システム50は、さらに、脱硫済原料ライン52と、水分ライン53と、改質ガスライン56とを備えている。改質部51は、脱硫済原料Dfを導入し、改質して、水素に富む改質ガスEを生成する部位である。改質ガスは、一般に燃料ガスと呼称される場合もある。改質ガスEは、燃料電池61における発電のために用いることができる水素を含んでおり、水素含有ガスの一形態である。改質部51は、脱硫済原料Dfの改質を促進させる改質触媒(不図示)を筐体の内部に有している。改質部51には、一端が脱硫部11に接続された脱硫済原料ライン52の他端が接続されている。換言すれば、脱硫部11と改質部51とは、脱硫済原料ライン52を介して連通している。脱硫済原料ライン52は、脱硫部11で生成された脱硫済原料Dfを改質部51に導く流路である。脱硫済原料ライン52には、水分Sを導入する水分ライン53が接続されている。改質部51は、脱硫済原料Dfと水分Sとを導入し、脱硫済原料Df中の炭化水素と水分S(水蒸気)とを改質触媒の下で改質反応させて、改質ガスEを生成するように構成されている。改質部51には、また、生成された改質ガスEを流す改質ガスライン56が接続されている。改質ガスライン56には、RGライン31が接続されており、改質部51から流出した改質ガスEの一部をリサイクルガスRとして脱硫部11に供給することができるように構成されている。リサイクルガスRは、改質ガスEと同様に改質部51で生成された水素含有ガスであって、改質ガスEと同じ組成を有するものであるが、説明の便宜上、用途に応じて別の呼称としたものである。
次に燃料電池システム1の構成について説明する。燃料電池システム1は、上述した改質システム50のほか、燃料電池61を備えている。本実施の形態における燃料電池システム1は、さらに、空気ライン62と、ブロワ65と、燃焼部68と、排ガスライン69とを備えている。燃料電池61は、改質ガスライン56を介して改質部51と接続されている。燃料電池61には、また、空気Aを導入する空気ライン62が接続されている。空気Aは、酸素を含有しており、酸化剤ガスに相当する。空気ライン62には、空気Aを燃料電池61に向けて圧送するブロワ65が配設されている。本実施の形態では、空気ライン62とブロワ65とを含んで、酸化剤ガス供給部を構成している。
燃料電池61は、改質ガスE及び空気Aを導入し、改質ガスE中の水素等と空気A中の酸素との電気化学的反応により直流の電力を発生するように構成されており、一般にセルスタックと呼称される場合もある。燃料電池61としては、本実施の形態では円筒型(平板円筒型を含む)の固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられているが、固体高分子形燃料電池(PEFC)等の、SOFC以外の燃料電池であってもよい。燃料電池61における発電のために燃料電池61に供給された改質ガスE及び空気Aは、そのすべてが発電に利用されるのではなく、燃料電池61の発電電流に応じた分が利用され、発電に利用されなかった分は、オフガスFとして排出される。なお、本実施の形態では、燃料電池61の下流側に、燃料電池61から流出したオフガスFを燃焼させるバーナー(不図示)が設けられており、バーナー(不図示)でオフガスFを燃焼させたときの発熱で改質部51を加熱することができるように構成されている。バーナー(不図示)には、別途、燃焼用の空気が供給される。
燃料電池システム1は、燃料電池61の下流に、燃焼部68を備えている。燃焼部68は、燃料電池61から排出されてバーナー(不図示)で燃焼した後のオフガスFを導入し、1次燃焼後のオフガスF中に含まれる未燃の可燃成分を燃焼処理するように構成されている。燃焼部68は、主として1次燃焼後のオフガスF中の未燃成分を燃焼させるためのものであるが、改質部51に隣接して配置し、改質部51内の改質触媒に熱を与えることができるように構成されていてもよい。燃焼部68は、1次燃焼後のオフガスFの燃焼によって生じる排ガスGを排出するように構成されている。燃焼部68には、排ガスGを流す排ガスライン69が接続されている。
制御装置15は、燃料電池システム1を構成する機器(改質システム50、脱硫システム10を含む)の動作を制御する部位である。制御装置15は、フィードポンプ22及びブロワ65と、それぞれ信号ケーブルで接続されており、各機器の発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置15は、温度検知部14と信号ケーブルで接続されており、温度検知部14が検知した温度を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置15は、開閉弁32と信号ケーブルで接続されており、開閉弁32の開閉を切り替えることができるように構成されている。また、制御装置15は、加熱部12hと信号ケーブルで接続されており、加熱部12hの発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置15は、ヒータ13hと信号ケーブルで接続されており、ヒータ13hの発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置15は、燃料電池システム1の動作手順のプログラムが記憶されている。
引き続き図1を参照して、燃料電池システム1の作用を説明する。なお、燃料電池システム1の作用の説明の一環として、脱硫システム10及び改質システム50の作用も説明する。まず、図3のフローチャート及び図2を併せて参照して、脱硫システム10まわりの作用の一形態として、脱硫済原料の製造方法を説明する。以下に説明する脱硫済原料の製造方法は、脱硫システム10以外の装置で実施することも可能であるが、ここでは脱硫システム10によって実施されることとする。脱硫システム10の停止中、開閉弁32は閉となっており、加熱部12h、ヒータ13h、フィードポンプ22、ブロワ65は、それぞれ停止している。脱硫システム10が起動すると、制御装置15は、フィードポンプ22を起動して、脱硫前原料Drを外部から脱硫システム10内に導入する(S1)。また、制御装置15は、ヒータ13hを起動して、水素化脱硫部13(水素化脱硫層)の加熱を開始する(S2)。また、制御装置15は、温度検知部14から温度信号を受信することにより、水素化脱硫層の温度の検知を開始する(S3)。なお、図3では、脱硫前原料Drの導入(S1)、水素化脱硫部13の加熱開始(S2)、水素化脱硫部13の温度検知開始(S3)の順に行われるように示しているが、これらの工程は典型的には同時に行われる。水素化脱硫部13の加熱は、制御装置15が停止の指令を受けるまで、開始した後も継続して行われる。水素化脱硫層の温度検知は、制御装置15が停止の指令を受けるまで、開始した後も随時行われる。
フィードポンプ22が起動すると、脱硫前原料Drは、脱硫前原料ライン21を流れて脱硫部11に流入する。脱硫システム10の起動当初は、開閉弁32が開いていないため、脱硫部11にリサイクルガスRは流入しない。このとき、脱硫部11に流入した脱硫前原料Drは、吸着脱硫部12において吸着脱硫が行われて、脱硫済原料Dfとなる(S4)。吸着脱硫部12で生成された脱硫済原料Dfは、水素化脱硫部13を通過し、脱硫済原料ライン52に流出して、改質部51に向かって流れる。脱硫済原料Dfは、水素化脱硫部13を通過する際、水素化脱硫部13へのリサイクルガスRの導入が行われていないため、水素化脱硫部13で脱硫が行われず、そのまま通過する。吸着脱硫部12における脱硫前原料Drの吸着脱硫が行われているとき(S4)、制御装置15は、温度検知部14が検知した温度が、水素化脱硫部13における水素化脱硫が可能な温度か否かを判断する(S5)。水素化脱硫が可能な温度でない場合は、吸着脱硫を実施する工程(S4)に戻り、脱硫前原料Drの吸着脱硫を継続する。
他方、温度検知部14が検知した温度が水素化脱硫部13における水素化脱硫が可能な温度か否かを判断する工程(S5)において、水素化脱硫が可能な温度の場合、制御装置15は、開閉弁32を開にしてリサイクルガスRを脱硫部11に導入する(S6)。リサイクルガスRが脱硫部11に導入されるようになると、脱硫前原料DrとリサイクルガスRとの混合流体が、まず、吸着脱硫部12を通過する。このとき、吸着脱硫部12は、図2の線Leに示すように、リサイクルガスRが導入されることで硫黄分の吸着可能量が少なくなるため、吸着脱硫を実施する工程(S4)において一旦吸着した硫黄分のうち、リサイクルガスRが導入されることによって下がった吸着可能量の上限を超えた分が、吸着脱硫部12から離脱して脱硫前原料Drに放出される。このようにして、吸着脱硫部12における吸着脱硫が終了することとなる(S7)。なお、吸着脱硫部12は、硫黄分の離脱により、吸着脱硫触媒12cが再生されることとなる。
吸着脱硫触媒12cの再生に関し、図2の線Leに示すように、温度が高いほど硫黄分の吸着可能量が少なくなるため、制御装置15は、吸着脱硫が終了したら(S7)、加熱部12hを起動して、吸着脱硫部12を昇温させるとよい。吸着脱硫部12を昇温させることで、吸着脱硫触媒12cの再生効率を向上させることができる。このとき、吸着脱硫部12内の水分が蒸発する温度以上に吸着脱硫部12を加熱すると、吸着脱硫触媒12cが吸着していた水分をも離脱させることができ、吸着脱硫触媒12cの再生効率を向上させることができるため好ましい。また、吸着脱硫部12を加熱することで、水素化脱硫を行っている間においても、吸着脱硫部12へのリサイクルガスRの供給に伴う吸着脱硫触媒12cの再生分以上に吸着脱硫触媒12cを再生させることができ、不意に水素化脱硫が中断された場合でも、吸着脱硫部12において脱硫を行うことができる脱硫前原料Drの量を増やすことができる。また、制御装置15は、加熱部12hを間欠的に起動させて、吸着脱硫部12を間欠的に加熱することとしてもよい。このようにすると、吸着脱硫部12の加熱のためのエネルギー消費量を抑制しつつ、吸着脱硫触媒12cの再生を効率的に行うことができる。
吸着脱硫部12を通過した脱硫前原料DrとリサイクルガスRとの混合流体は、水素化脱硫部13に流入し、水素化脱硫が行われて、脱硫済原料Dfとなる(S8)。水素化脱硫部13で生成された脱硫済原料Dfは、脱硫済原料ライン52に流出して、改質部51に向かって流れる。水素化脱硫部13で脱硫前原料Drの水素化脱硫が行われるようになると、脱硫システム10は定常運転となる。このように、脱硫システム10では、水素化脱硫部13が水素化脱硫可能な温度に到達する前は吸着脱硫部12で脱硫前原料Drの脱硫が行われ、水素化脱硫可能な温度に到達した後は水素化脱硫部13で脱硫前原料Drの脱硫が行われつつ、吸着脱硫触媒12cの再生が行われる。したがって、脱硫システム10は、起動時から脱硫前原料Drの脱硫を行うことができ、その後も連続して脱硫前原料Drの脱硫を行うことができる。また、吸着脱硫部12における脱硫前原料Drの脱硫が行われていないときに吸着脱硫触媒12cの再生を行うことができるため、吸着脱硫部12に充填する吸着脱硫触媒12cの量を従来よりも削減することができる。
引き続き、図1を参照して、改質システム50まわりを含む燃料電池システム1の作用を説明する。脱硫部11で生成された脱硫済原料Dfは、脱硫済原料ライン52を流れて改質部51に導入される。脱硫済原料Dfには、改質部51に流入する前に、あるいは改質部51に流入した後に、水分ライン53を流れてきた水分Sが合流する。水分Sと共に改質部51に流入した脱硫済原料Dfは、改質部51において改質され、水素に富む改質ガスEとなって流出する。改質部51から流出した改質ガスEは、一部がリサイクルガスRとしてRGライン31に流入し、脱硫部11に向かって流れる。RGライン31に流入しなかった改質ガスEは、改質ガスライン56を流れて燃料電池61に流入する。
改質ガスEが燃料電池61に供給されるようになると、制御装置15は、ブロワ65を起動する。ブロワ65が起動すると、空気ライン62を介して空気Aが燃料電池61に流入する。改質ガスE及び空気Aが導入された燃料電池61では、改質ガスE中の水素等と空気A中の酸素との電気化学的反応による発電が行われる。燃料電池61で発生した電力は、燃料電池システム1内の電気機器(フィードポンプ22やブロワ65等)及び/又は燃料電池システム1外の電力負荷(不図示)に供給される。燃料電池61に流入した改質ガスE及び空気Aは、発電に利用された後にオフガスFとして排出され、バーナー(不図示)で1次燃焼されて改質部51に熱を与えた後、燃焼部68に至る。燃焼部68に流入した1次燃焼後のオフガスFは、燃焼触媒によって燃焼処理される。燃焼部68における1次燃焼後のオフガスFの燃焼によって生ずる燃焼熱を、改質部51における改質反応に利用することとしてもよい。燃焼部68で1次燃焼後のオフガスFが燃焼されることによって生じた排ガスGは、排ガスライン69を流れて燃料電池システム1から排出される。
以上で説明したように、本実施の形態に係る、燃料電池システム1が備える脱硫システム10によれば、起動時から連続して脱硫前原料Drの脱硫を行うことができると共に、吸着脱硫触媒12cの再生を行うことができるため、吸着脱硫部12に充填する吸着脱硫触媒12cの量を従来よりも削減することができる。
以上の説明では、RGライン31の一端が、脱硫部11に接続されているとしたが、脱硫前原料Drの流れ方向で見てフィードポンプ22よりも上流側の脱硫前原料ライン21に接続されていてもよい。
以上の説明では、脱硫前原料Drに混合させる水素含有ガスが、改質部51で生成された改質ガスEの一部を取り出したリサイクルガスRであるとしたが、水素タンクに貯蔵された純水素等の、リサイクルガスR以外の水素を含有するガスであってもよい。水素含有ガスが、燃料電池システム1の外部から供給されるものである場合、脱硫システム10を原料Dの改質以外の用途、及び燃料電池61における発電以外の用途に用いることができる。
1 燃料電池システム
10 脱硫システム
12 吸着脱硫部
12c 吸着脱硫触媒
12h 加熱部
13 水素化脱硫部
14 温度検知部
15 制御装置
30 RG供給部
31 RGライン
50 改質システム
51 改質部
61 燃料電池
A 酸化剤ガス
D 原料
Dr 脱硫前原料
Df 脱硫済原料
E 改質ガス
R リサイクルガス
10 脱硫システム
12 吸着脱硫部
12c 吸着脱硫触媒
12h 加熱部
13 水素化脱硫部
14 温度検知部
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30 RG供給部
31 RGライン
50 改質システム
51 改質部
61 燃料電池
A 酸化剤ガス
D 原料
Dr 脱硫前原料
Df 脱硫済原料
E 改質ガス
R リサイクルガス
Claims (7)
- 脱硫対象原料を水素化脱硫する水素化脱硫部と;
前記脱硫対象原料を吸着脱硫する吸着脱硫触媒を有する吸着脱硫部であって、前記脱硫対象原料の流れ方向で見て前記水素化脱硫部の上流側に前記水素化脱硫部に対して直列に配置された吸着脱硫部と;
前記脱硫対象原料の流れ方向で見て前記吸着脱硫部の上流側に水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部と;
前記水素化脱硫部の温度を検知する温度検知部と;
前記温度検知部が検知した温度が前記水素化脱硫部における水素化脱硫が可能な温度未満のときは前記水素含有ガス供給部における前記水素含有ガスの供給を停止し、前記温度検知部が検知した温度が前記水素化脱硫部における水素化脱硫が可能な温度以上のときに前記水素含有ガス供給部における前記水素含有ガスの供給を行うように、前記水素含有ガス供給部を制御する制御部とを備える;
脱硫システム。 - 前記吸着脱硫部は、前記吸着脱硫触媒を加熱する加熱部を有する;
請求項1に記載の脱硫システム。 - 前記加熱部は、前記吸着脱硫部における吸着脱硫が行われていない期間に、前記吸着脱硫触媒を間欠的に加熱するように構成された;
請求項2に記載の脱硫システム。 - 前記加熱部は、前記吸着脱硫触媒の加熱を行う際に前記吸着脱硫部内の水分が蒸発する温度以上に前記吸着脱硫触媒を加熱するように構成された;
請求項2又は請求項3に記載の脱硫システム。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の脱硫システムと;
前記吸着脱硫部又は前記水素化脱硫部で前記脱硫対象原料が脱硫されて生成された脱硫済原料を導入し改質して前記水素含有ガスを生成する改質部とを備え;
前記水素含有ガス供給部は、前記改質部で生成された前記水素含有ガスを前記吸着脱硫部の上流側に導くリサイクルガスラインを含んで構成された;
改質システム。 - 請求項5に記載の改質システムと;
前記改質部で生成された前記水素含有ガスと、酸素を含有する酸化剤ガスと、を導入して発電する燃料電池とを備え;
前記制御部は、前記燃料電池における発電を停止する際に、前記温度検知部で検知された温度が所定の温度に低下するまで、前記加熱部の作動を許可するように構成された;
燃料電池システム。 - 脱硫対象原料を吸着脱硫層に通過させて吸着脱硫する吸着脱硫工程と;
前記脱硫対象原料を水素化脱硫する水素化脱硫層の温度を検知する温度検知工程と;
前記水素化脱硫層の温度が前記水素化脱硫層における水素化脱硫が可能な温度以上の状態で、前記脱硫対象原料と水素含有ガスとを前記吸着脱硫層を通過させた後に前記水素化脱硫層に導いて水素化脱硫を行う水素化脱硫工程とを備え;
前記吸着脱硫工程又は前記水素化脱硫工程により、前記脱硫対象原料を脱硫して脱硫済原料を生成する;
脱硫済原料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015076752A JP2016197536A (ja) | 2015-04-03 | 2015-04-03 | 脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015076752A JP2016197536A (ja) | 2015-04-03 | 2015-04-03 | 脱硫システム、改質システム、燃料電池システム及び脱硫済原料の製造方法 |
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JP2016197536A true JP2016197536A (ja) | 2016-11-24 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2016197536A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018066378A1 (ja) | 2016-10-05 | 2018-04-12 | テルモ株式会社 | 薬液投与装置および薬液投与装置の制御方法 |
-
2015
- 2015-04-03 JP JP2015076752A patent/JP2016197536A/ja active Pending
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