JP2016194158A - 熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度を有し一様伸び及び穴拡げ性に優れた強度と加工性が両立した熱延鋼板を提供する。
【解決手段】所定の化学組成を有し、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置にて、低温変態相の面積率が20〜98%、フェライト相の面積率が2〜80%、かつ、その他の組織の面積率が0〜10%からなる金属組織を有し、該低温変態相は、少なくとも残留オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを含み、残留オーステナイトの体積率が全金属組織に対して2%以上であり、(i)残留オースナイトを除く鋼組織において、15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる結晶粒の平均粒径(D)が20μm以下であり、(ii)板厚中心位置において、下記2つの式を満足するとともに、{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値が8.0以下である集合組織を有することを特徴とする熱延鋼板。I{111}≧1.2 I{111}-I{100}-I{211}≧-3.2
【選択図】なし

Description

本発明は、熱延鋼板とその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、自動車用、家電用、機械構造用、建築用などの用途に用いられる素材として好適な、加工性に優れた高強度熱延鋼板とその製造方法に関する。
自動車をはじめとする輸送用機械や各種産業機械の構造用部材等の素材として供される鋼板には、強度、伸びや穴拡げ性などの加工性、靱性、また、それら特性の均一性など、多様な特性が要求される。
自動車の足回り部品に適用される高強度鋼板では、張出し成形や伸びフランジ加工が複合した成形が多用されるため、優れた一様伸び(張出し成形性)と穴拡げ性(伸びフランジ加工性)が要求される。また、プレス成形においては、種々の変形モードにおける加工性が要求されるため、機械特性の面内異方性の低減も求められる。
鋼板の加工性の向上を目的に、残留オーステナイトやマルテンサイトを有する複合組織を用いることで、加工性に富む高強度熱延鋼板を得ようとする検討が広く行われている。
例えば、特許文献1には、フェライト、ベイナイト、残留オーステナイト、及び、マルテンサイト組織からなる複合組織鋼板であって、極低P鋼化、ミクロ組織や介在物の最大長さ等の制御、ミクロ組織の硬さ制御等によって、穴拡げ性を向上させる方法が提案されている。
特許文献2には、引張強度が780MPa以上で、伸び及び穴拡げ加工性に優れるとされる高強度熱延鋼板とその製造方法が提案されている。この鋼板は、質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:1.50%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Al:0.02〜0.15%、Ti:0.05〜0.2%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる化学組成を有し、金属組織が60〜95面積%のベイナイトの他、固溶強化又は析出強化したフェライト又はフェライトとマルテンサイトを含む組織である。
特許文献3には、引張強度が540MPa以上で、伸び及び穴拡げ加工性に優れるとされる高強度熱延鋼板が提案されている。この鋼板はフェライトを主体とした組織で集合組織を規定することで延性、穴拡げ性に優れたものである。
特表2004−536965号公報 特開2006−274318号公報 特開2014−037594号公報
井上博史,稲数直次「反復級数展開法による不完全極点図からの結晶方位分布関数の決定」日本金属学会誌,社団法人日本金属学会、1994年8月、第58巻、第8号、p.892−898
上述したように、従来から、残留オーステナイトやマルテンサイトを含有する複合組織を利用して、加工性に富む高強度熱延鋼板を得ようとする検討が行なわれている。
しかし、近年では、高強度熱延鋼板に対して、客先側より、さらに優れた強度、延性、及び、穴拡げ性が求められるようになってきている。前述の特許文献の技術では、一様伸びがどの程度であるか立証されてなく、特に、高強度と、一様伸びや穴拡げ性とのバランスを高めるためには、更なる改善をする必要がある。
そこで、本発明は、高強度を有しながら、一様伸び及び穴拡げ性にも優れた、強度と加工性が両立した熱延鋼板とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、高強度熱延鋼板を対象に、複合組織を有する熱延鋼板の一様伸び及び穴拡げ性に関して、低温変態相の組織及び集合組織に着目して、その影響を詳細に調査した。その結果、焼戻しマルテンサイトを含む低温変態相とフェライト相とを所定量有し、板厚中心の集合組織を制御することにより、高い強度を有しながら、優れた一様伸び及び穴拡げ性を有する熱延鋼板を製造できることを新たに知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.05%以上0.40%以下、Mn:0.80%以上5.00%以下、Si:0.02%以上3.00%以下、P:0.20%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.001%以上3.00%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、鋼板表面から板厚1/4の深さ位置にて、低温変態相の面積率が20〜98%、フェライト相の面積率が2〜80%、かつ、その他の組織の面積率が0〜10%からなる金属組織を有し、該低温変態相が、少なくとも、残留オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを含み、残留オーステナイトの体積率が全金属組織に対して2%以上であり、
(i)残留オースナイトを除く鋼組織において、15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる結晶粒の平均粒径(D)が20μm以下であり、
(ii)板厚中心位置において、下記式(1)及び(2)を満足するとともに、{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値が8.0以下である集合組織を有する
ことを特徴とする熱延鋼板。
I{111}≧1.2 ・・・(1)
I{111}−I{100}−I{211}≧−3.2 ・・・(2)
ここで
I{111}:{111}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
I{100}:{100}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
I{211}:{211}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、及び、V:0.50%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%未満、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、及び、B:0.0050%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の熱延鋼板。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.02%以下、Mg:0.02%以下、及び、REM:0.02%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(5)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Bi:0.02%以下を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱延鋼板を製造する製造方法であって、(i-1)化学組成が前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化学組成と同じ鋼スラブを熱間圧延に供し、
(i-2)最終圧延パスの1つ前の圧延パスにおいて、圧下率を15%以上60%以下、圧延パスの出側温度をAr3点以上かつ830℃以上1100℃以下とし、最終圧延パスにおいて、圧下率を10%以上50%以下、圧延終了温度をAr3点以上として熱間仕上げ圧延を終え、
(ii-1)仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまで、平均冷却速度20℃/秒以上で冷却し、次いで、600℃以上750℃以下の温度域に2秒以上20秒以下保持し、
(ii-2)再度、水冷して、Ms点〜(Ms−200)℃の温度域で冷却を停止し、冷却停止後、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度域に加熱する
ことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(7)前記最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t(秒)が下記式(3)を満たすことを特徴とする前記(6)に記載の熱延鋼板の製造方法。
0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0 ・・・(3)
ここで
T:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度(℃)
(8)前記仕上げ圧延完了後、0.3秒以内に冷却を開始し、(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度を150℃/秒以上とすることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の熱延鋼板の製造方法。
(9)前記仕上げ圧延完了後、0.3秒以内に冷却を開始し、(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度を150℃/秒以上とする冷却を行う際、該冷却を圧延スタンド間で行うことを特徴とする前記(8)に記載の熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、高強度を有し、かつ、一様伸び及び穴拡げ性に優れた、強度と加工性が両立した熱延鋼板とその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の熱延鋼板(以下「本発明熱延鋼板」ということがある。)は、
質量%で、C:0.05%以上0.40%以下、Mn:0.80%以上5.00%以下、Si:0.02%以上3.00%以下、P:0.20%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.001%以上3.00%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、鋼板表面から板厚1/4の深さ位置にて、低温変態相の面積率が20〜98%、フェライト相の面積率が2〜80%、かつ、その他の組織の面積率が0〜10%からなる金属組織を有し、該低温変態相が、少なくとも、残留オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを含み、残留オーステナイトの体積率が全金属組織に対して2%以上であり
(i)残留オースナイトを除く鋼組織において、15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる結晶粒の平均粒径(D)が20μm以下であり、
(ii)板厚中心位置において、下記式(1)及び(2)を満足するとともに、{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値が8.0以下である集合組織を有する
ことを特徴とする。
I{111}≧1.2 ・・・(1)
I{111}−I{100}−I{211}≧−3.2 ・・・(2)
ここで
I{111}:{111}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
I{100}:{100}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
I{211}:{211}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
本発明の熱延鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、
本発明熱延鋼板を製造する製造方法であって、
(i-1)化学組成が本発明熱延鋼板の化学組成と同じ鋼スラブを熱間圧延に供し、
(i-2)最終圧延パスの1つ前の圧延パスにおいて、圧下率を15%以上60%以下、圧延パスの出側温度をAr3点以上かつ830℃以上1100℃以下とし、最終圧延パスにおいて、圧下率を10%以上50%以下、圧延終了温度をAr3点以上として熱間仕上げ圧延を終え、
(ii-1)仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまで、平均冷却速度20℃/秒以上で冷却し、次いで、600℃以上750℃以下の温度域に2秒以上20秒以下保持し、
(ii-2)再度、水冷して、Ms〜(Ms−200)℃の温度域で冷却を停止し、冷却停止後、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度域に加熱する
ことを特徴とする。
以下、本発明熱延鋼板と本発明製造方法について説明する。
まず、本発明熱延鋼板について説明する。
最初、本発明熱延鋼板の化学組成の限定理由について説明する。以下、化学組成に係る%は、質量%を意味する。
<化学組成>
C:0.05%以上0.40%以下
Cは、硬質な低温変態相を生成させて鋼の強度を高めるとともに、残留オーステナイトを安定化する作用をなす元素である。0.05%未満では、目的とする低温変態相や残留オーステナイト相の面積率を確保することが困難となるので、Cは0.05%以上とする。好ましくは0.08%以上、より好ましくは0.10%以上、さらに好ましくは0.12%以上である。
一方、0.40%超えると、パーライトが優先的に生成して、所望の残留オーステナイト面積率を確保するのが難くなるばかりか、溶接性も劣化するので、Cは0.40%以下とする。好ましくは0.35%以下、より好ましくは0.25%以下、さらに好ましくは0.22%以下である。
Mn:0.80%以上5.00%以下
Mnは、焼入れ性を高め、冷却後の鋼組織における第二相の硬度を高め、鋼の強度を効率的に高める作用をなす重要な元素である。また、Mnは、固溶強化により鋼の強度を高める元素でもある。0.80%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Mnは0.80%以上とする。好ましくは1.00%以上である。より好ましくは1、30%以上である。
一方、5.00%を超えると、熱間圧延後の冷却過程におけるフェライト変態が過度に遅延して、第二相の面積率が過大となる場合があるので、Mnは5.00%以下とする。好ましくは4.50%以下、より好ましくは4.00%以下である。
Si:0.02%以上3.00%以下
Siは、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有するとともに、オーステナイトからのセメンタイトの析出を抑制して残留オーステナイトの生成を促進する作用をなす元素である。また、Siは、固溶強化により強度を高める作用をなす元素である。0.02%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Siは0.02%以上とする。好ましくは0.05%以上である。より好ましくは0.10%以上である。
一方、3.00%を超えると、A3点が著しく上昇し、安定した熱間圧延が困難になる場合があり、また、溶接性が劣化するので、Siは3.00%以下とする。好ましくは2.70%以下である。より好ましくは2.50%以下である。
P:0.20%以下
Pは、一般に不純物元素として扱われ、また、偏析し易い元素である。0.20%を超えると、粒界偏析に起因して、成形性や靭性が低下するので、Pは0.20%以下とする。好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。下限は0%を含むが、0.001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼板上、0.001%が実質的な下限である。
S:0.01%以下
Sは、一般に不純物元素として扱われ、鋼中で硫化物系介在物を形成して成形性を阻害する作用をなす元素である。0.01%を超えると、成形性の低下が著しくなるので、Sは0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.001%以下である。下限は0%を含むが、0.0001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼板上、0.0001%が実質的な下限である。
sol.Al:0.001%以上3.00%以下
Alは、Siと同様に、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用をなすとともに、オーステナイトからのセメンタイトの析出を抑制し残留オーステナイトの生成を促進する作用をなす元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に発現しないので、sol.Alは0.001%以上とする。好ましくは0.010%以上である。より好ましくは0.020%以上である。
一方、3.00%を超えると、A3点が著しく上昇して、安定した熱間圧延が困難になる場合があるので、sol.Alは3.00%以下とする。好ましくは2.50%以下、より好ましくは2.00%以下である。
上述したように、Si及びsol.Alは、ともに、残留オーステナイトの生成を促進する元素であるので、目的とする残留オーステナイト面積率を確保する観点から、Si及びsol.Alは、合計で0.80%以上が好ましい。より好ましくは1.00%以上、さらに好ましくは1.20%以上、最も好ましくは1.50%以上である。
一方、Si及びsol.Alの合計量が3.00%を超えると、A3点が著しく上昇し、安定した熱間圧延が困難になる場合があるので、Si及びsol.Alは、合計で、3.00%以下が好ましい。より好ましくは2.50%以下である。
N:0.01%以下
Nは、不純物元素であり、鋼板の成形性を阻害する作用をなす元素である。0.01%を超えると、成形性の低下が著しくなるので、Nは0.01%以下とする。好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.007%以下である。下限は0%を含むが、Ti、Nb、及び、Vの1種又は2種以上を含有させて、鋼組織の微細化を図る場合には(後述する)、炭窒化物の析出を促進するため、0.0010%以上が好ましい。より好ましくは0.0020%以上である。
本発明熱延鋼板の化学組成は、本発明熱延鋼板の特性向上のため、上記元素の他、Feの一部に代えて、(a)Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、及び、V:0.50%以下の1種又は2種以上、(b)Cr:1.0%未満、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、及び、B:0.0050%以下の1種又は2種以上、(c)Ca:0.02%以下、Mg:0.02%以下、及び、REM:0.02%以下の1種又は2種以上、又は、(d)Bi:0.02%以下、の元素群の1又は2以上を含有してもよい。
(a)群元素
Ti:0.10%以下
Nb:0.10%以下
V :0.50%以下
Ti、Nb、及び、Vは、熱間圧延において微細炭窒化物を形成し、微細炭窒化物のピン止め効果によって、熱間圧延完了後かつ変態前のオーステナイトを微細化し、熱延鋼板の鋼組織を微細化する作用をなす元素である。
Tiが0.10%を超え、Nbが0.10%を超え、Vが0.50%を超えると、添加効果が飽和するので、Tiは0.10%以下とし、Nbは0.10%とし、Vは0.50%以下とする。好ましくは、Ti及びNbのいずれも0.05%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。Vは、好ましくは0.30%以下で、より好ましくは0.20%以下である。
下限は、特に限定しないが、添加効果をより確実に得るためは、いずれかの元素も0.005%以上が好ましい。
(b)群元素
Cr:1.0%未満
Mo:0.5%以下
Ni:1.0%以下
B :0.005%以下
Cr、Mo、Ni、及び、Bは、焼入性を高め、強度の向上に寄与する元素である。Niは、前記の効果の他、残留オーステナイトの安定化にも寄与する元素であり、Moは、前記の効果の他、炭化物を形成して強度の向上にも寄与する元素である。
しかし、Crが1.0%以上では、化成処理性が低下するので、Crは1.0%以下とする。好ましくは0.7%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るために、Crは0.05%以上が好ましい。
Moが0.5%を超えると、添加効果が飽和するので、Moは0.5%以下とする。好ましくは0.3%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るために、Moは0.02%以上が好ましい。
Niが、1.0%を超えると、高価な元素であることから製造コストが上昇するので、Niは1.0%以下とする。好ましくは0.7%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るため、Niは0.05%以上が好ましい。
Bが0.005%を超えると、成形性が低下するので、Bは0.005%以下とする。好ましくは0.002%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るために、Bは0.0002%以上が好ましい。
(c)群元素
Ca:0.020%以下
Mg:0.020%以下
REM:0.020%以下
Ca、Mg、及び、REMは、介在物の形状を調整して、成形性の向上に寄与する元素である。
しかし、Ca、Mg、REMのいずれも、0.020%を超えると、鋼中の介在物が過剰となり、成形性が低下する場合があるので、いずれの元素も0.020%以下とする。好ましくは、いずれの元素も0.010%以下、より好ましくは0.005%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るために、いずれの元素も0.0002%以上が好ましい。
なお、REMは、Sc、Y、及び、ランタノイドの合計17元素を指し、含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加する。
(d)群元素
Bi:0.020%以下
Biは、凝固組織を微細化して、成形性の向上に寄与する元素である。しかし、0.020%を超えると、添加効果が飽和するので、Biは0.020%以下とする。好ましくは0.010%以下である。より好ましくは0.007%以下である。下限は特に限定しないが、添加効果をより確実に得るために、Biは0.0005%以上が好ましい。
次に、本発明熱延鋼板の鋼組織の限定理由について説明する。
<鋼組織>
フェライト相の面積率:2%以上80%以下
鋼組織が軟質なフェライトを含有することにより、鋼板の変形初期の加工硬化性が向上する。さらに、反射的効果として、残留オーステナイトへの炭素濃化が促進されて、変形後期の加工硬化指数も向上する。その結果、鋼板の一様伸び及び穴拡げ性が向上する。
フェライト相の面積率が2%未満であると、フェライトによる上記作用効果が小さいので、フェライト相の面積率は2%以上とする。好ましくは4%以上、より好ましくは6%以上である。
一方、フェライト相の面積率が80%を超えると、フェライトの界面に生成する残留オーステナイトが粗粒化して、穴拡げ性が低下し、また、軟質なフェライト相の面積率の増加で、高強度を確保するのが困難となるので、フェライト相の面積率は80%以下とする。好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下である。
なお、フェライトとは、ポリゴナルフェライト、ベイニティックフェライト、アシキュラーフェライト、グラニュラーベイニティックフェライト、及び、擬ポリゴナルフェライトを含み、パーライトやベイナイトを構成するフェライトを含まない。
残留オーステナイトの体積率:2%以上
残留オーステナイトは、変態誘起塑性により延性を高める作用をなす組織である。残留オーステナイトの体積率が2%未満では、残留オーステナイトに依る上記作用効果を得ることが困難であるので、残留オーステナイトの体積率は2%以上とする。好ましくは4%以上、より好ましくは6%以上である。上限は特に限定しないが、本発明熱延鋼板の化学組成において確保し得る残留オーステナイトの体積率は概ね30%未満である。なお、本発明において、残留オーステナイトは、後述の低温変態相に含まれる。
なお、残留オーステナイトの定量方法には、X線回折、EBSP(電子後方散乱回折像、Electron Back Scattering Pattern)解析、磁気測定による方法などがあり、方法によって定量値が異なる場合がある。本発明熱延鋼板における残留オーステナイトの体積率はX線回折による測定値である。
焼戻しマルテンサイトを含む低温変態相の面積率:20%以上98%以下
低温変態相は、高強度を得るうえで重要な組織である。低温変態相の面積率が20%未満であると、所要の高強度が得られないので、低温変態相の面積率は20%以上とする。好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。
一方、低温変態相のみの組織となった場合は、変形初期の加工硬化性が著しく劣化して、一様伸びが劣化するので、低温変態相の面積率は98%以下とする。好ましくは95%以下である。より好ましくは92%以下である。
本発明熱延鋼板において、低温変態相は、ベイナイト、マルテンサイト、焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイト、残留オーステナイトを含み、フェライトやパーライトは含まない。
焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイトを200〜500℃で保持して、θ、ε、η等の鉄基炭化物を析出させたマルテンサイトである。焼戻しマルテンサイトは、延性が大幅に低下せずに、強度が高い組織である。また、焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイトに比べ、組織が均一微細で割れが発生し難く、強度と穴拡げ性のバランスが飛躍的に向上した組織であるので、本発明熱延鋼板において必須の組織である。
その他の組織:0〜10%
その他組織として、パーライトや粒界セメンタイトがある。これらは、ボイド起点となり、穴拡げ性を阻害するので、その他の組織は10%以下とする。好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。少ないほど好ましいので、下限は0%を含む。
各組織の面積率の測定方法は、残留オーステナイト体積率を除いて、詳細に測定できる方法であれば、特定の測定方法に限定されないが、本発明熱延鋼板の場合、FE−SEM及び光学顕微鏡を用いて、圧延方向と直交方向の板厚断面の1/4板厚位置の組織を観察して面積率を測定した。
残留オーステナイトの体積率は、上記したX線による方法で測定した。したがって、フェライト、パーライト、粒界セメンタイト、及び、残留オーステナイトや焼戻しマルテンサイトを含む低温変態相で、面積率の合計が100%となる。
残留オースナイトを除く鋼組織において15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる結晶粒の平均粒径(D):20μm以下
残留オーステナイトは、主に、15°以上の結晶方位差を有する結晶粒の間や、低温変態相(マルテンサイト、ベイナイト)のラス間に生成する。
上記結晶粒の間に生成する残留オーステナイトの方が、上記ラス間に生成する残留オーステナイトに比べて粗大化する傾向にあるので、上記結晶粒の間に生成する残留オーステナイトを微細に分散させることが重要である。それ故、15°以上の結晶方位差を有する結晶粒の平均粒径(D)を小さくして、残留オーステナイトの生成サイトを増加することが有効である。
平均粒径(D)が20μmを超えると、残留オーステナイトを微細に分散させることが不十分となり、残留オーステナイトによる伸びフランジ性の低下を効果的に抑制することが困難となるので、平均粒径(D)は20μm以下とする。好ましくは17μm以下、より好ましくは14μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。平均粒径(D)は、小さいほど好ましいので、下限は特に限定しない。
平均粒径(D)は、下記式で算出される値とする。式中、Nは、平均粒径の評価領域に含まれる結晶粒の数、Aiは、i番目(i=1、2、・・、N)の結晶粒の面積、diは、i番目の結晶粒の円相当直径を示す。これらのデータは、EBSP解析により容易に求めることができる。具体的には,鉄の面心立方格子(FCC)と体心立方格子(BCC)の結晶構造定義を用いて結晶相を区別し、その内、BCCとして認識された結晶相だけを解析することで求めることができる。
Figure 2016194158
なお、15°以上の結晶方位差を有する結晶粒は、主に、フェライト粒界やベイナイトブロック、マルテンサイトブロックである。JIS G0551に準じたフェライト粒径の測定方法では、結晶方位差が15°未満である結晶粒については、粒径が算定されてしまい、さらに、ベイナイトブロックは算定されないので,残留オーステナイトの分散形態を適切に規定することができない。したがって、本発明熱延鋼板では、EBSP解析により求めた値を採用する。
次に、本発明熱延鋼板の集合組織の限定理由について説明する。
<集合組織>
本発明熱延鋼板の鋼組織は、板厚中心位置において、下記式(1)及び(2)を満足するとともに、{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値が8.0以下である集合組織を有する。
I{111}≧1.2 ・・・(1)
I{111}−I{100}−I{211}≧−3.2 ・・・(2)
ここで、各記号の意味は次の通りである。
I{111}:{111}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比、
I{100}:{100}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比、
I{211}:{211}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値:8.0以下
板厚中心位置において、{211}<011>〜{100}<011>方位群の集合組織が発達すると、特に、穴拡げ性が低下する。このため、上記方位群を低減することで、穴拡げ性を向上させることができる。したがって、上記方位群のX線ランダム強度比の最大値を8.0以下とする。好ましくは7.5以下、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.5以下、最も好ましくは6.0以下である。上記方位群のX線ランダム強度比は低いほど好ましい。
なお、{hkl}は、圧延面に平行な結晶面、<uvw>は、圧延方向に平行な結晶方向を表す。即ち、{hkl}<uvw>は、板面法線方向に{hkl}、圧延方向に<uvw>が向いている結晶を示す。
{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度は、X線回折により、(110)、(200)、(211)の不完全極点図を求めた後、非特許文献1に記載の反復級数展開法によりODF解析を行ない、Bunge法におけるφ1=0°、φ2=45°、Φ=0〜35°の回折X線強度である。その中のランダム試料に対する強度比の最大値が8.0以下であればよい。なお、不完全極点図とは、反射法のみで得られる極点図のことである。また、ランダム試料とは、結晶方位の配向を持たずに不規則な分布を有する試料のことである。
I{111}≧1.2(式(1))
I{111}−I{100}−I{211}≧−3.2(式(2))
板面方向の{111}が発達すると穴拡げ性が向上し、{100}及び{211}が発達すると穴拡げ性が低下する。このため、{111}の発達を促進し、{100}及び{211}の発達を抑制することで、穴拡げ性を向上させることができる。したがって、上記式(1)及び(2)を満足する必要がある。上記式(1)については、下記式(1−1)が好ましく、下記式(1−2)がより好ましい。I{111}は高いほど好ましい。
上記式(2)については、下記式(2−1)が好ましく、下記式(2−2)がより好ましく、下記式(2−3)がさらに好ましい。「I{111}−I{100}−I{211}」は高いほど好ましい。
I{111}≧1.4 ・・・(1−1)
I{111}≧1.6 ・・・(1−2)
I{111}−I{100}−I{211}≧−3.0 ・・・(2−1)
I{111}−I{100}−I{211}≧−2.8 ・・・(2−2)
I{111}−I{100}−I{211}≧−2.6 ・・・(2−3)
なお、本発明熱延鋼板の板厚は、特に、特定の板厚範囲に限定しないが、板厚が厚くなるほど、板厚方向の組織差が生じ、狙いの特性が得られない場合があるので、組織制御を適確に行なう観点から、板厚は6mm未満が好ましい。
次に、本発明熱延鋼板の機械的性質について説明する。
<機械的性質>
本発明熱延鋼板は、鋼組織及び集合組織の制御により、優れた延性と穴拡げ性を有する鋼板である。しかし、鋼板の引張強度が低いと、車体軽量化や剛性向上などの効果が小さいので、鋼板の引張強度(TS)は590MPa以上が好ましい。より好ましくは780MPa以上、より好ましくは890MPa以上、さらに好ましくは980MPa以上である。
本発明者らは、延性及び穴拡げ性と、強度のバランスは、TS×UEL(UEL:一様伸び)、及び、TS×λ(λ:JIS Z 2256に規定の穴拡げ率)を用いて評価することが適切であると考え、上記バランスを適切に評価する指標として、下記式で定義するA値(MPa・%)を採用した。
A(MPa・%)=15000×ln(TS×UEl)+TS×λ
A値は188000MPa・%以上であることが好ましい。より好ましくは190000MPa・%以上、さらに好ましくは192000MPa以上、最も好ましくは194000MPa・%以上である。
一様伸びとは、引張試験において、試験片平行部が、ほぼ一様に変形する永久伸びの限界値のことであり、鉄鋼材料の延性評価に最適な指標である。これに対し、全伸びは、試験片平行部のくびれ部分の変形を含むので、必ずしも正確な延性評価指標とならない。本発明熱延鋼では、一様伸びで評価した。
本発明熱延鋼板は、めっきを施してめっき鋼板としてもよい。めっきは、電気めっき及び溶融めっきのいずれでもよく、めっき種も特に制限はないが、一般には、亜鉛めっきと亜鉛合金めっきとを含む亜鉛系めっきである。めっき鋼板は、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板などである。めっき付着量は、一般的な量でよい。
次に、本発明製造方法について説明する。
本発明製造方法は、
(i-1)化学組成が本発明熱延鋼板の化学組成と同じ鋼スラブを熱間圧延に供し、
(i-2)最終圧延パスの1つ前の圧延パスにおいて、圧下率を15%以上60%以下、圧延パスの出側温度をAr3点以上かつ830℃以上1100℃以下とし、最終圧延パスにおいて、圧下率を10%以上50%以下、圧延終了温度をAr3点以上として熱間仕上げ圧延を終え、
(ii-1)仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまで、平均冷却速度20℃/秒以上で冷却し、次いで、600℃以上750℃以下の温度域に2秒以上20秒以下保持し、
(ii-3)再度、水冷して、Ms点〜(Ms−200)℃の温度域で冷却を停止し、冷却停止後、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度域に加熱する
ことを特徴とする。
なお、以下の説明において、鋼組織及び機械的性質は、特に断りのない限り、製造途上の鋼組織及び機械的性質ではなく、最終製品の熱延鋼板の鋼組織及び機械的性質である。また、鋼組織は板厚の1/4深さ位置における平均的な鋼組織のことである。
本発明製造方法では、熱間圧延による集合組織の作り込みと、巻取前の加熱による低温変態相組織の作り込みを基本思想とする。熱間圧延に供するスラブは、連続鋳造や鋳造・分塊圧延で製造したものでよいが、それらに、熱間加工又は冷間加工を施したものでもよい。また、熱間圧延に供するスラブは、再加熱したものでもよいし、連続鋳造後や分塊圧延後の高温状態にあるものでもよい。
スラブの温度は、後述の熱間圧延完了温度を確保できる温度であればよく、特に制限はない。なお、熱間圧延に供するスラブの温度は、一般に、900〜1350℃である。多パスの熱間圧延は、レバースミル又はタンデムミルを用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、少なくとも最終の数段は、タンデムミルを用いて行うことが好ましい。
本発明製造方法では、多パスの熱間圧延における最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を15%以上60%以下、出側温度をAr3以上かつ830℃以上1100℃以下とし、最終圧延パスにおいて、圧下率を10%以上50%以下、圧延終了温度をAr3以上として熱間仕上げ圧延を終え、Ar3点以上の温度から水冷を開始し、750〜600℃の温度域に2秒以上20秒以下保持し、Ms〜(Ms−200)℃の温度域で冷却を停止し、冷却停止後、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度域に加熱することにより、本発明熱延鋼板を製造する。
以下、本発明製造方法の工程条件について説明する。
<工程条件>
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率:15%以上60%以下
最終圧延パスの圧下率:10%以上50%以下
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を15%以上60%以下とすることで、主に、再結晶オーステナイト粒の微細化を図り、さらに、最終圧延パスの圧下率を10%以上50%以下とすることで、オーステナイトの再結晶及び微細化を図り、後述の熱間圧延後の冷却条件と相俟って、延性及び穴拡げ性に好適な微細な鋼組織及び集合組織を形成することができる。
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率が15%未満であると、再結晶オーステナイト粒の微細化を十分に達成できないので、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率は15%以上とする。好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上である。
一方、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率が60%を超えると、好ましくない集合組織が生成したり、また、鋼板の平坦性が悪化したりするので、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率は60%以下とする。好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下である。
最終圧延パスの圧下率が10%未満であると、オーステナイトの再結晶及び微細化を十分に達成できないので、最終圧延パスの圧下率は10%以上とする。好ましくは15%以上である。
一方、最終圧延パスの圧下率が50%を超えると、好ましくない集合組織が生成したり、また、鋼板の平坦性が悪化したりするので、最終圧延パスの圧下率は50%以下とする。好ましくは45%以下である。
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度:Ar3点以上かつ830℃以上1100℃以下
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度は、Ar3点以上かつ830℃以上1100℃以下とする。これにより、圧延中におけるフェライト変態を防止するとともに、圧延パス間において、オーステナイトの再結晶を適度に促し、主に、再結晶オーステナイト粒の微細化を図り、熱間圧延後においては、後述の熱間圧延後の冷却条件と相俟って、一様伸び及び穴拡げ性に好適な微細な鋼組織及び集合組織を形成することができる。
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度がAr3点未満であると、圧延中におけるフェライト変態が進行し、加工フェライトが生成して成形性が劣化するので、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度はAr3点以上とする。
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度が830℃未満であると、圧延時の変形抵抗が著しく高くなり、圧延が困難になり、また、熱間圧延後冷却前におけるオーステナイトが著しく扁平となり、最終製品の熱延鋼板において、圧延方向に伸長した組織となって、塑性異方性が大きくなり、成形性が低下するので、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度は830℃以上とする。好ましくは860℃以上、より好ましくは890℃以上である。
一方、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度が1100℃を超えると、圧延により導入した歪みの解放が進行して、延性と穴拡げ性を兼備する鋼組織と集合組織が得られないので、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度は1100℃以下とする。好ましくは1060℃以下、より好ましくは1030℃以下である。なお、これらの温度は、鋼板の表面温度であり、放射温度計等で測定することができる。
0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0(式(3))
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t(秒)が、下記式(3)を満たすことが好ましい。Tは、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度(℃)である。
0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0 ・・・(3)
Tは、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度(℃)である。
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t(秒)が上記式(3)を満たすことにより、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間において、オーステナイトの再結晶を促進するとともに、オーステナイトの粒成長を抑制して、圧延中の再結晶オーステナイト粒の微細化をより図ることができる。これにより、延性及び穴拡げ性に好適な微細な鋼組織及び集合組織を形成することが容易になる。
最終圧延パスでの圧延完了温度:Ar3点以上1100℃以下
最終圧延パスでの圧延完了温度は、Ar3点以上1100℃以下とする。圧延完了温度がAr3未満であると、圧延中にフェライト変態が進行し、加工フェライトが生成して成形性が低下するので、最終圧延パスでの圧延完了温度はAr3以上とする。好ましくは(Ar3+50)℃以上である。
一方、最終圧延パスでの圧延完了温度が1100℃を超えると、圧延により導入した歪みの解放が進行して、延性と穴拡げ性を兼備する鋼組織と集合組織が得られないので、最終圧延パスでの圧延完了温度は1100℃以下とする。好ましくは1050℃以下、より好ましくは1000℃以下である。
仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまでの平均冷却速度:20℃/秒以上
仕上げ圧延完了後の熱延鋼板を、仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまで冷却する際の平均冷却速度は、微細組織を形成するうえで重要な工程条件である。平均冷却速度が20℃/秒未満であると、微細組織の形成が難しくなるので、平均冷却速度は20℃/秒以上とする。好ましくは50℃/秒以上、最も好ましくは150℃/秒以上である。
仕上げ圧延完了後の冷却開始:0.3秒以内
(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度:150℃/秒
冷却は、750℃以下まで連続で行うことが好ましいが、仕上げ圧延完了直後の高温域を急速冷却することにより、連続冷却において冷却速度を速くすることと同様の効果が得ることができる。
上記効果を得るためには、仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまでの平均冷却速度を20℃/秒以上とすることに加え、仕上げ圧延完了後、0.3秒以内に冷却を開始し、仕上げ圧延完了から(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度を150℃/秒以上とする必要がある。
冷却開始が、仕上げ圧延完了後から0.3秒を超えか、又は、冷却速度が150℃/秒未満であると、オーステナイトの回復及び再結晶の抑制効果が小さく、更なる組織微細化の効果が得難くなる。
なお、上述の仕上げ圧延完了直後の高温域の急速冷却は、仕上げ圧延の最終スタンドの後に限らず、圧延スタンドの間で行ってもよい。即ち、急速冷却を行った後のスタンドでは圧延しないか、又は、形状矯正や冷却制御などを目的として、圧下率が5%以下の圧延を行ってもよい。この場合、急冷後の圧延は、仕上げ圧延工程には含まれない。
600℃以上750℃以下の温度域での保持時間:2秒以上20秒以下
熱延鋼板が、600℃以上750℃以下の温度域に達すると、オーステナイトからフェライトへの変態が活発となるので、上記温度域で2秒間以上保持して、オーステナイトからフェライトへの変態を促進して、所望のフェライト面積率を得る。
保持時間が2秒未満であると、オーステナイトからフェライトへの変態が十分に進行せず、所望のフェライト面積率を得ることが難しくなるので、保持時間は2秒以上とする。好ましくは5秒以上、より好ましくは8秒以上である。
一方、保持時間が20秒を超えると、パーライトやセメンタイトが析出するので、保持時間は20秒以下とする。好ましくは17秒以下、より好ましくは14秒以下である。
水冷停止温度域:Ms点〜(Ms−200)℃
600℃以上750℃以下の温度域の2秒以上20秒以下保持した熱延鋼板を水冷し、Ms点〜(Ms−200)℃の温度域で水冷を停止し、未変態オーステナイトを、ベイナイト、マルテンサイトなどの硬質な第二相に変態させる。
水冷停止温度が(Ms−200)℃未満であると、再加熱しても、所望の残留オーステナイト体積率が得難くなるので、水冷停止温度は(Ms−200)℃以上とする。好ましくは(Ms−150)℃以上である。
冷却停止後の加熱温度:(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下
Ms点以下(Ms−200)℃以上に冷却した熱延鋼板を、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度に加熱する。加熱を開始するタイミングは、巻取前又は巻取後でも構わないが、コイルの温度は(Ms−200)℃以上でなければならない。
巻取後のコイルは空冷される。この加熱及び巻取後の空冷により、冷却停止までに生成したマルテンサイトが焼戻されて、さらに、ラス間及びブロック間の未変態オーステナイトに炭素が濃化して安定化することで、伸びフランジ性と一様伸びに優れる鋼板組織と集合組織を得ることができる。
冷却停止後の加熱温度が(冷却停止温度+10)℃未満であると、焼戻し効果が十分に得られず、伸びフランジ性と一様伸びに優れる鋼板組織と集合組織を得ることが困難となるので、冷却停止後の加熱温度は(冷却停止温度+10)℃以上とする。好ましくは(冷却停止温度+20)℃以上、より好ましくは(冷却停止温度+30)℃以上である。残留オーステナイトの安定化を促進するには、加熱後温度は250℃以上とすることが好ましい。
一方、冷却停止後の加熱温度が500℃を超えると、未変態オーステナイトがセメンタイトやパーライトに分解して、所望の残留オーステナイト体積率が得難くなり、一様伸びが低下するので、冷却停止後の加熱温度は500℃以下とする。好ましくは480℃以下、より好ましくは460℃以下である。
加熱後の鋼板は、冷却停止後の加熱温度〜(冷却停止後の加熱温度−50)℃の範囲に30分以上保持されることが好ましい。保持時間が30分未満であると、未変態オーステナイトへの炭素の濃化が不十分となり、所望の残留オーステナイト分率が得られない場合がある。
なお、冷却停止後の加熱方法は特に限定されない。加熱炉、通電加熱、高周波加熱などを用いて行えばよく、変態発熱を用いても構わない。加熱速度も特に限定されないが、生産性の観点からは0.1℃/秒以上が好ましく、温度制御の観点からは200℃/秒以下が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す化学組成を有する鋼塊を溶製し,熱間鍛造により30mm厚さの鋼片にした。次いで,1250℃の温度に加熱し,試験用小型タンデムミルにて、表2に示す条件で熱間圧延を実施して、板厚2mmの熱延鋼板に仕上げた。
仕上げ圧延完了後の熱延鋼板に対し、除冷炉を用いて巻取を模擬した熱処理を実施した。表2に示す条件で、巻取前冷却停止温度まで冷却後、加熱後温度に設定された炉に装入した。これにより、冷却停止温度が、炉の温度よりも低い場合は炉にて加熱され、炉の温度よりも高い場合は炉にて加熱されることなく冷却される。炉内での鋼板の昇温速度は1〜20℃/秒の範囲であった。鋼板装入後は、加熱温度〜(加熱温度−50)℃の温度域に、30分以上260分以下保持した後、室温まで放冷した。
Figure 2016194158
Figure 2016194158
得られた熱延鋼板について、走査型電子顕微鏡を用いて、鋼板板厚の断面を観察し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト、低温変態相、及び、その他組織の面積率を測定した。また、X線回折試験により、板厚中心位置における(200)、(110)、(211)のランダム試料に対する回折X線強度比を測定し、さらに、(200)、(110)、(211)の不完全極点図を求めて、先に説明したように、ODF解析を行なって、各方位の回折X線強度及びそれらの平均値を算出した。
熱延鋼板の機械特性を評価するため、JIS5号引張試験片にて引張試験を行い、引張強度TS、一様伸びUELを求めた。また、JIS Z 2256に準拠して穴拡げ試験を行い、λ(穴拡げ率)を測定した。一様伸びUEL及び穴拡げ率λに基づいて、強度とのバランスを示すA値を算出した。
表3に、鋼組織、集合組織、及び、機械特性の調査結果及び評価結果を示す。
Figure 2016194158
表3に示すように、発明例では、A値が188000MPa・%を超えていて、延性と穴拡げ性に優れた高強度熱延鋼板が得られている。A値は188000MPa・%以上が好ましい。より好ましくは190000MPa・%以上、さらに好ましくは192000MPa以上、最も好ましくは194000MPa・%以上である。
これに対し、フェライト面積率、焼戻しマルテンサイト面積率、又は、集合組織が本発明の範囲外である比較例では、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。
具体的に、試験番号5の比較例では、巻取前冷却停止温度が150℃で、低すぎるため、残留γの体積率が小さく、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。試験番号6の比較例では、冷却停止後の加熱温度が500℃を上回ったため、焼戻しマルテンサイトが存在せず、残留γの体積率も0%であり、A値が大きく劣る結果となった。
試験番号12及び試験番号13の比較例では、最終1つ前パス出側温度が820℃で、低すぎるため、試験番号14の比較例では、最終パス圧下率が58%で、高すぎるため、いずれの比較例においても、所望の集合組織が得られず、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。
試験番号16の比較例では、600〜750℃での保持時間(滞留時間)が0.6秒で、短すぎるため、フェライト変態が進行せず、α面積率が0%となり、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。
試験番号18、20、23、31、及び、34の比較例では、いずれも、巻取前の冷却停止温度が高すぎるため、焼戻しマルテンサイトが存在せず、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。
試験番号39の比較例では、Mn量が少なすぎるため、フェライト相が過剰に生成して、所望の低温変態相が得られず、さらに、焼入れ性の不足により、パーライトやセメンタイトが生成して、残留オーステナイトが得られず、強度が低く、A値が188000MPa・%未満であり、延性及び穴拡げ性と強度のバランスが劣位である。
本発明によれば、高強度を有し、かつ、一様伸びと穴拡げ性に優れた、強度と加工性が両立した熱延鋼板とその製造方法を提供することが可能となる。本発明の熱延鋼板は、例えば、自動車のサブフレームや補強部材に好適な鋼板であるので、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (9)

  1. 質量%で、C:0.05%以上0.40%以下、Mn:0.80%以上5.00%以下、Si:0.02%以上3.00%以下、P:0.20%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.001%以上3.00%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、鋼板表面から板厚1/4の深さ位置にて、低温変態相の面積率が20〜98%、フェライト相の面積率が2〜80%、かつ、その他の組織の面積率が0〜10%からなる金属組織を有し、該低温変態相は、少なくとも残留オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを含み、残留オーステナイトの体積率が全金属組織に対して2%以上であり、
    (i)残留オースナイトを除く鋼組織において、15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる結晶粒の平均粒径(D)が20μm以下であり、
    (ii)板厚中心位置において、下記式(1)及び(2)を満足するとともに、{211}<011>〜{100}<011>方位群の回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比の最大値が8.0以下である集合組織を有する
    ことを特徴とする熱延鋼板。
    I{111}≧1.2 ・・・(1)
    I{111}−I{100}−I{211}≧−3.2 ・・・(2)
    ここで
    I{111}:{111}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
    I{100}:{100}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
    I{211}:{211}回折X線強度のランダム試料の回折X線強度に対する比
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、及び、V:0.50%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%未満、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、及び、B:0.0050%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.02%以下、Mg:0.02%以下、及び、REM:0.02%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱延鋼板。
  5. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Bi:0.02%以下を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱延鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱延鋼板を製造する製造方法であって、
    (i-1)化学組成が請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学組成と同じ鋼スラブを熱間圧延に供し、
    (i-2)最終圧延パスの1つ前の圧延パスにおいて、圧下率を15%以上60%以下、圧延パスの出側温度をAr3点以上かつ830℃以上1100℃以下とし、最終圧延パスにおいて、圧下率を10%以上50%以下、圧延終了温度をAr3点以上として熱間仕上げ圧延を終え、
    (ii-1)仕上げ圧延完了から750℃以下に達するまで、平均冷却速度20℃/秒以上で冷却し、次いで、600℃以上750℃以下の温度域に2秒以上20秒以下保持し、
    (ii-2)再度、水冷して、Ms点〜(Ms−200)℃の温度域で冷却を停止し、冷却停止後、(冷却停止温度+10)℃以上500℃以下の温度域に加熱する
    ことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  7. 前記最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t(秒)が下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項6に記載の熱延鋼板の製造方法。
    0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0 ・・・(3)
    ここで
    T:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの出側温度(℃)
  8. 前記仕上げ圧延完了後、0.3秒以内に冷却を開始し、(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度を150℃/秒以上とすることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱延鋼板の製造方法。
  9. 前記仕上げ圧延完了後、0.3秒以内に冷却を開始し、(仕上げ圧延完了温度−40)℃までの冷却速度を150℃/秒以上とする冷却を行う際、該冷却を圧延スタンド間で行うことを特徴とする請求項8に記載の熱延鋼板の製造方法。
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