JP2016184651A - 制御装置、制御方法、およびレーザー光発生装置 - Google Patents

制御装置、制御方法、およびレーザー光発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度を有するレーザー光を出力することができる共振器長の調整を確実に行うことができるレーザー光発生装置、これに用いられる制御装置および制御方法を提供すること。
【解決手段】レーザー光発生装置は、光源部と、共振器部と、駆動部と、検出器と、誤差信号生成部と、制御部とを具備する。前記誤差信号生成部は、前記検出器による検出信号に基づき、共振条件からの共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成される。前記制御部は、サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成される。また、前記制御部は、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成される。
【選択図】図5

Description

本技術は、レーザー光発生装置、その光源の共振器長を制御する制御装置および制御方法に関する。
共振器内に非線形光学素子を配して、共振器内部の高いパワー密度を利用して効率よく当該非線形光学素子による波長変換を行うようにしたレーザー光発生装置が提案されている。
このようなレーザー光発生装置に用いられる共振器では、例えば、当該共振器を構成する少なくとも一対の対向するミラー間に非線形光学素子を配し、この共振器に基本波レーザー光を入射させて、当該レーザー光を非線形素子に通過させる。このとき、ミラー間の距離(即ち、共振器内の光路長)が、入射したレーザー光の整数倍となるように制御されることで、当該レーザー光が共振器内で共振してレーザー発振が生じる。
例えば、特許文献1には、上記に示したような共振器を用いたレーザー光発生装置の一例が開示されている。特許文献1に係るレーザー光発生装置は、共振器を構成するミラーの位置を光軸方向に移動できるように構成し、当該共振器の入射レーザー光に対する共振器長のずれに比例した誤差信号に基づき、当該ミラーの位置をサーボ制御している。このような構成とすることで、特許文献1に係るレーザー光発生装置では、入射したレーザー光が共振器内で共振する条件を満たすように当該共振器の光路長が自動制御され、共振器の入射レーザー光に対する共振動作が安定化する。
特開平6-53593号公報
レーザー光発生装置において、光源がパルスレーザー光を発生する場合、外部共振器を利用してレーザー光を出力する技術がある。このようなパルスレーザー光を用いる技術では、できるだけ高い強度を有するレーザー光を出力し、また、それを実現するための共振器長の調整を確実に行うことが要求される。
本技術の目的は、高い強度を有するレーザー光を出力することができる共振器長の調整を確実に行うことができるレーザー光発生装置、これに用いられる制御装置および制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本技術に係る制御装置は、光源部と、共振器部と、駆動部と、検出器とを備えるレーザー光発生装置の制御装置であって、誤差信号生成部と、制御部とを具備する。
前記光源部は、パルスレーザー光を発生する。
前記共振器部は、前記パルスレーザー光を共振させる。
前記駆動部は、前記共振器部の共振器長を変位させる。
前記検出器は、前記共振器部からの反射光を検出する。
前記誤差信号生成部は、前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成される。
前記制御部は、サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成される。また、前記制御部は、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成される。
このように、検出器の検出信号の適切値がサーチされ、その適切値に対応するサーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、サーボ制御が実行される。したがって、この制御装置は、確実に共振器長の調整を行うことができ、かつ、高い強度を有するレーザー光を出力することができる。
前記制御部は、前記サーチ信号の振幅より小さい振幅を有するサーボ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記サーボ制御を実行するように構成されていてもよい。
前記制御部は、前記検出信号が閾値を超えたと判定した場合、前記サーボ制御を解除するように構成され、その解除後、前記適切値に対応する前記バイアス値を前記駆動部に入力して前記サーボ制御を実行するように構成されていてもよい。
これにより、レーザー光発生装置に衝撃等が加わえられた場合等、検出信号が閾値を超えた場合には、制御部は、一旦、サーボ制御を解除し、再度、適切値のサーチおよびサーボ制御を実行することができる。
前記光源部は、第1共振器を有していてもよい。前記共振器部は、前記第1共振器から出力された前記パルスレーザー光が入力される第2共振器と、前記パルスレーザー光の波長を変換可能な非線形光学素子とを有し、前記波長変換されて前記第2共振器から出力される光を出力光として出力してもよい。
すなわち、第1共振部は光源からの光を共振させる外部共振器として機能する。また、第2共振器からの出力光とは別の光である、共振器部からの反射光(漏れ光)が検出器で検出される。
本技術に係るレーザー光発生装置は、上記した光源部、共振器部、駆動部、検出器、および制御装置を備える。
本技術に係るレーザー光発生装置の制御方法は、上記レーザー光発生装置の制御方法であって、前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成することを含む。
サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値がサーチされる。
前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御が実行される。
以上、本技術によれば、高い強度を有するレーザー光を出力することができる共振器長の調整を確実に行うことができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
図1は、本技術の実施形態に係るレーザー光発生装置の概略的な構成の一例を示したブロック図である。 図2は、マルチモード発振するレーザー光源を用いた場合のサーボの引き込みについて説明するための説明図である。 図3は、比較例に係る制御部の機能構成の一例を示したブロック図である。 図4は、比較例に係る制御部によるサーボの引き込み動作の一例について説明するための説明図である。 図5は、本実施形態に係る制御装置の構成を主に示すブロック図である。 図6は、制御部の動作を説明するための説明図である。 図7は、制御部の動作を示すフローチャートである。 図8は、サーチ処理を示すフローチャートである。 図9は、最適点への移動およびサーボ引き込み処理を示すフローチャートである。 図10は、サーチバイアス値と検出信号のボトム値とを関連付けるテーブルを示す。 図11は、本技術の他の実施形態に係る、制御装置の処理を示すフローチャートである。
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
1.レーザー光発生装置
1.1)レーザー光発生装置の構成
図1は、本技術の実施形態に係るレーザー光発生装置の概略的な構成の一例を示した構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るレーザー光発生装置1は、発振器11と、光源部50と、ミラー501および503と、共振器部20と、アイソレーター40と、光検出器41と、駆動部30と、制御部10とを含む。
光源部50は、MLLD(Mode Locked Laser Diode)部56、アイソレーター52、光増幅器54、およびドライバ53を含む。
MLLD部56は、LD(レーザーダイオード)562および回折格子564を含む。LD562は、例えば縦マルチモードによる発振を行うLDが用いられる。LD562と回折格子564との間に図示しないレンズ系が設けられる場合もある。
MLLD部56では、LD562が持つ後端面ミラーと回折格子564との間に共振器(空間共振器(第1共振器))が構成される。この共振器の光路長Lcにより当該レーザー光の周波数が決定される。すなわち、この共振器は外部共振器として機能する。
アイソレーター52は、MLLD部56と光増幅器54との間に設けられ、MLLD部56からのレーザー光を光増幅器54に向けて透過させる。また、アイソレーター52は、光増幅器54からの反射光(漏れ光)を遮断することで、当該反射光がMLLD部56に入射すことを防止している。
光増幅器54は、光パワーを増幅する機能を有する。また、この光増幅器54は、例えばSOA(Semiconductor Optical Amplifier)で構成される。
ドライバ53は、光増幅器54を駆動する機能を有する。具体的には、ドライバ53は、発振器11から供給される所定周波数(例えば10MHz)の変調信号を受け、その周波数を持つ駆動信号を光増幅器54に入力することで、光増幅器54をその周波数で間欠駆動する。これにより、光増幅器54は、その周波数を持つパルスレーザー光(レーザー光L1)を外部に出力する。
MLLD部56およびSOA型の光増幅器54により、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)型の光源が構成される。
光源部50の構成は、あくまで一例であり、上記に示した構成には必ずしも限定されない。例えば、光源部50は、MLLD部56や光増幅器54を備えず、例えば半導体レーザーおよび位相変調器を有し、位相変調器がドライバにより間欠駆動されることで、パルスレーザー光が生成されてもよい。
光源部50から出射されたレーザー光L1は、ミラー501および503を経てアイソレーター40に導光され、アイソレーター40を透過し、インプットカプラー201から共振器部20の内部に入射する。なお、光源部50から出射されたレーザー光L1を、アイソレーター40を経て共振器部20の内部に導光させることが可能であれば、光路中に配置される光学系の構成は、ミラー501および503には限定されないことは言うまでもない。
アイソレーター40は、光源部50と共振器部20との間に介在し、光源部50からのレーザー光L1を共振器部20に向けて透過させる。また、アイソレーター40は、共振器部20からの反射光(漏れ光)L3を、光源部50とは異なる方向に配置された光検出器41に向けて反射させることで、当該反射光L3が光源部50に入射することを防止している。
光検出器41は、例えばPD(Photo Diode)からなる。光検出器41は、アイソレーター40を経て導光された共振器部20からの反射光L3を検出する。なお、光検出器41により検出された反射光L3は、後述する制御部10により同期検波される。
第2共振器として機能する共振器部20は、いわゆる、光パラメトリック発振器(OPO:Optical Parametric Oscillator)であり、光源部50からのレーザー光L1を内部で共振させるとともに、当該レーザー光L1の波長を変換し、波長が変換されたレーザー光L2を出力光として出力する。以下に、共振器部20の詳細な構成について説明する。なお、以降では、共振器部20に入射するレーザー光L1を「励起レーザー光」と呼び、波長が変換されて共振器部20から出力されるレーザー光を「OPOレーザー光」と呼ぶ場合がある。
共振器部20は、インプットカプラー201と、ミラー203、205、および207と、ダイクロイックミラー209と、アウトプットカプラー211と、非線形光学素子213とを含む。インプットカプラー201およびアウトプットカプラー211は、一般的には、数%の透過率を有するパーシャルリフレクター(部分反射鏡)である。
また、ミラー203とミラー205との間には、非線形光学素子213が配されている。
非線形光学素子213は、例えば、KTP(KTiOPO)、LN(LiNbO)、QPMLN(疑似位相整合LN)、BBO(β−BaB)、LBO(LiB)、KN(KNbO)等が用いられる。
非線形光学素子213は、一例として、入力されたレーザー光(すなわち、励起レーザー光L1)を2つの波長に変換する。そして、変換した2つの波長のうち、少なくとも一方の波長(例えば、長波長)のレーザー光が、OPOレーザー光L2として、共振器部20内で共振し、アウトプットカプラー211から共振器部20の外部に出力されることとなる。OPOレーザー光L2は、例えば赤外帯域の波長を持つ光である。
非線形光学素子213は、複数種類設けられていてもよい。この場合、ユーザが希望する出力光(の波長)に応じて、それらのうち1つが選択されるように、それら複数の非線形光学素子が切り替え可能に構成されていてもよい。
また、インプットカプラー201と、ミラー203との間にはダイクロイックミラー209が配されている。ダイクロイックミラー209は、ミラー203によりインプットカプラー201に向けて反射された光のうち、励起レーザー光L1をインプットカプラー201に向けて透過させ、OPOレーザー光L2をアウトプットカプラー211に向けて反射させる。このような構成により、励起レーザー光L1と、OPOレーザー光L2とが異なる光路を経て共振器部20内を導光される。以下に、共振器部20内における励起レーザー光L1およびOPOレーザー光L2の光路の詳細について、それぞれ説明する。
まず、励起レーザー光L1の光路に着目する。インプットカプラー201から共振器部20内に入射した励起レーザー光L1は、ダイクロイックミラー209を透過し、ミラー203、非線形光学素子213、およびミラー205を経て、ミラー207に到達し、当該ミラー207で反射される。
また、ミラー207で反射された励起レーザー光L1は、ミラー205、非線形光学素子213、およびミラー203を経て、ダイクロイックミラー209に導光され、当該ダイクロイックミラー209を透過し、インプットカプラー201に導光される。
インプットカプラー201は、導光された励起レーザー光L1の一部を反射させるとともに、他の一部を共振器部20の外部に出射させる。このように、共振器部20内に入射した励起レーザー光L1は、インプットカプラー201と、ミラー207との間で反射を繰り返す。すなわち、インプットカプラー201と、ミラー207との間の光路が、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長(換言すると、共振器長)に相当し、当該光路長を励起レーザー光L1の共振条件に合わせて調整することで、励起レーザー光L1が共振器部20内で共振することとなる。
また、インプットカプラー201から共振器部20の外部に出射された励起レーザー光は、共振器部20からの反射光として、アイソレーター40により光検出器41に向けて導光され、当該光検出器41で検出される。
次に、OPOレーザー光L2の光路に着目する。非線形光学素子213で波長変換された励起レーザー光L1、すなわち、OPOレーザー光L2は、ミラー205を経てミラー207に到達し、当該ミラー207で反射される。
また、ミラー207で反射されたOPOレーザー光L2は、ミラー205、非線形光学素子213、およびミラー203を経て、ダイクロイックミラー209に導光され、当該ダイクロイックミラー209で反射されて、アウトプットカプラー211に導光される。
アウトプットカプラー211は、導光されたOPOレーザー光L2の一部を反射させるとともに、他の一部を共振器部20の外部に出射させる。このように、共振器部20内に入射したOPOレーザー光L2は、アウトプットカプラー211と、ミラー207との間で反射を繰り返す。すなわち、アウトプットカプラー211と、ミラー207との間の光路が、共振器部20内におけるOPOレーザー光L2の光路長(換言すると、共振器長)に相当し、当該光路長をOPOレーザー光L2の共振条件に合わせて調整することで、OPOレーザー光L2が共振器部20内で共振することとなる。
1.2)共振器部の光路長の調整
次に、共振器部20内における、励起レーザー光L1およびOPOレーザー光L2それぞれの光路長の調整について説明する。
駆動部30は、共振器部20の共振器長を変位させる機能を有する。駆動部30は、例えば、電磁アクチュエーター(例えばVCM:Voice Coil Motor)や、圧電素子構成等のようなアクチュエーターデバイスからなる。なお、以降の説明では、駆動部30として電磁アクチュエーターを用いるものとして説明する。
本実施形態に係る共振器部20では、ミラー207は、駆動部30に駆動されることで、当該ミラー207に入射する励起レーザー光L1およびOPOレーザー光L2の光軸方向に沿って位置を調整可能に構成されている。同様に、アウトプットカプラー211は、駆動部30に駆動されることで、当該アウトプットカプラー211に入射するOPOレーザー光L2の光軸方向に沿って位置を調整可能に構成されている。
ミラー207の位置が調整されることで、主に励起レーザー光L1の光路長が調整される。また、アウトプットカプラー211の位置が調整されることで、OPOレーザー光L2の光路長が調整される。すなわち、励起レーザー光L1の共振条件を満たすようにミラー207の位置が調整され、次いで、OPOレーザー光L2の共振条件を満たすようにアウトプットカプラー211の位置が調整されるようにすればよい。
後述するように、本明細書では、ミラー207の位置調整により励起レーザー光L1の光路長が制御される形態を主に説明する。したがって、図1では、光検出器としては、OPOレーザー光L2を検出する光検出器を図示せず、アイソレーター40から分離された、励起レーザー光L1の戻り光である反射光L3を検出する光検出器41のみを図示している。
なお、OPOレーザー光L2を検出する光検出器は、ミラー207から透過するOPOレーザー光L2の一部の光を検出するように、配置および構成されている。この場合、ミラー207は上述したパーシャルリフレクターが用いられる。
駆動部30は、制御部10による制御(すなわち、制御部10から供給される制御信号)に基づき、ミラー207およびアウトプットカプラー211の位置を調整する。なお、ミラー207およびアウトプットカプラー211それぞれに対して、個々に駆動部30を設ける構成としてもよいことは言うまでもない。
制御部10は、駆動部30の動作を制御することで、ミラー207およびアウトプットカプラー211の位置を制御する。これにより、制御部10は、共振器部20内における励起レーザー光L1およびOPOレーザー光L2それぞれの光路長を制御する。そして、励起レーザー光L1について着目すると、制御部10は、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たすように、サーボ制御を実行する。
具体的には、制御部10は、光検出器41で検出された、共振器部20からの反射光L3を、発振器11から供給される周波数fの信号に基づき、サンプル・アンド・ホールドにより同期検波することで検出信号を得る。
制御部10は、取得した検出信号に基づき、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長と、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たす光路長との間のずれを示す誤差信号を、例えば、PDH(Pound-Drever-Hall)法により生成する。なお、当該誤差信号を生成できれば、その方法はPDH法に限定されないことは言うまでもない。
そして、制御部10は、生成した誤差信号を、励起レーザー光L1の光路長のサーボ制御を実行するための引き込み信号として使用し、当該励起レーザー光L1の光路長のサーボ制御を実行する。具体的には、制御部10は、生成した誤差信号に基づき、駆動部30を制御するための駆動信号を生成し、当該駆動信号により駆動部30にミラー207の位置を調整させることで、当該励起レーザー光L1の光路長をサーボ制御する。
なお、制御部10は、例えば、BPU(Basic Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを備える。また、制御部10は、上記に示した制御を行うためのデータやプログラムを記録するための、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)のようなストレージを備えてもよい。制御部10は、BPU、CPUに代えて、または、これに加えて、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)等のデバイスを備えていてもよい。
なお、制御部10による、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長の制御(すなわち、ミラー207の位置の制御)に係る動作の詳細については、別途後述する。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係るレーザー光発生装置1の構成について説明した。なお、制御部10および駆動部30は、レーザー光発生装置1の外部の構成として、当該レーザー光発生装置1に外付けする構成としてもよい。
1.3)サーボの引き込み
次に、本実施形態に係るレーザー光発生装置1の制御部10の詳細について説明するにあたり、まず、図2を参照しながら、レーザー光源51として、半導体レーザーのようにマルチモード発振するものを用いた場合のサーボの引き込みについて概要を説明する。図2は、マルチモード発振するレーザー光源を用いた場合のサーボの引き込みについて説明するための説明図である。
サーボの「引き込み」とは、サーボ制御を実行しサーボの「定常状態(安定状態)」を得るまでの動作を意味する。すなわち、「サーボ制御」とは、引き込み動作を行うことによりサーボの定常状態を得、サーボの定常状態を継続させる制御である。
図2において、参照符号g11は、ミラー207の位置を示しており、当該ミラー207の位置に応じて、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が決定される。また、参照符号g21は、参照符号g11で示したミラー207の各位置に対応して得られる検出信号(換言すると、反射光L3のレベルを示す信号)を示している。また、参照符号g31は、検出信号g21に基づく誤差信号を示している。
共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たした場合、すなわち、当該光路長が励起レーザー光L1の波長の整数倍となった場合に、共振器部20からの反射光のレベル(強度)は低下する。そのため、マルチモード発振するレーザー光源(パルス波も連続波も両方含む)を用いた場合には、図2に示すように、反射光のレベルが低下するミラー207の位置、すなわち、モード(光路長)が複数存在し、各モードそれぞれに対して誤差信号が生成されることになる。
これら複数のモードの存在が、反射光L3のレベルとして下向きの複数のパルス状に対応して現れる。反射光レベルが低いモードほど共振器部20からの漏れ光が少ないため、より出力の高いOPOレーザー光L2を得ることができる。
図2に示すように、励起レーザー光L1がパルス波であるため、共振器部20内を周回したパルスが時間軸上で重なり合う必要がある。このため、各モードに対応した反射光のレベルは、モードに応じて異なる傾向にある。上記のように、図2に範囲g13で示したように、反射光L3のレベルが低いモードほど共振器部20からの漏れ光が少ない。したがって、反射光L3のレベルが低いモードになるように(適切値になるように)、ミラー207の位置を調整することが、より望ましいこととなる。
なお、励起レーザー光がパルス波ではなく、連続波である場合、図2と同様に繰り返しの下向きのパルス状の反射レベルの信号が得られるが、ミラー位置の全域にわたって、この反射レベルの各最小値がほぼ一定となる。つまり、連続波では、最適値となる数がミラー位置の全域にわたって存在するため、その分、パルス波に比べ制御がしやすいということになる。
2.比較例に係る制御部
2.1)制御部の構成および動作
次に、これまで説明したレーザー光発生装置の制御部を比較例として、当該比較例に係る制御部によるサーボの引き込み動作について説明することで、本実施形態に係るレーザー光発生装置1の課題について整理する。
比較例に係る制御部10wの構成およびその動作について、図3および4を参照しながら説明する。図3は、比較例に係る制御部10wの機能構成の一例を示したブロック図である。
なお、図4における参照符号g11、g21、g31、およびg13は、図2における、ミラー207の位置g11、検出信号g21、誤差信号g31、および反射光L3の検出信号が最も低くなる範囲g13にそれぞれ対応している。
図3に示すように、比較例に係る制御部10wは、誤差信号生成部101と、レベル検出部103および105と、サーボ制御部107と、スイッチ109と、位相補償部111と、VCMドライバ113とを含む。
誤差信号生成部101は、光検出器41で検出された共振器部20からの反射光L3を、発振器11から供給される周波数fの信号に基づき、サンプル・アンド・ホールドにより同期検波することで検出信号を得る。誤差信号生成部101は、取得した検出信号に基づき、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長と、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たす光路長との間のずれを示す誤差信号を生成して、これを出力する。
なお、誤差信号の生成には、例えば、上述のようにPDH法を用いるとよい。具体的な一例として、レーザー光源51から出射されるレーザー光の周波数をf、当該レーザー光の変調周波数をfとした場合には、位相変調器52による位相変調によりサイドバンドf±fが立てられる。誤差信号生成部101は、供給された反射光L3について、周波数f、f±fのビートを検出することで誤算信号を得る。
以上のようにして、誤差信号生成部101は、反射光L3を同期検波することで得られる検出信号に基づき誤差信号を生成し、生成した誤差信号を、レベル検出部105とスイッチ109とに逐次出力する。
レベル検出部103は、共振器部20からの反射光L3の検出信号を、光検出器41から所定のサンプリングレート(例えば、発振器11から供給される周波数f)で逐次取得する。なお、レベル検出部103は、発振器11から供給される周波数fの信号に基づき、サンプル・アンド・ホールドにより同期検波された検出信号を、反射光L3の検出信号として取得してもよい。
レベル検出部103は、取得した検出信号に基づき、反射光L3のレベルを検出する。このとき、検出される反射光L3のレベルは、図2に示すように、ミラー位置の移動に伴い、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たすか否かに応じて変化する。レベル検出部103は、検出された反射光L3のレベルが閾値g25を下回った場合に、レベルの検出結果を示す信号g41をサーボ制御部107に出力する。
閾値g25は、光源部50から出力されるレーザー光L1の出力や、共振器部20の特性に応じてあらかじめ決められている。具体的な一例として、あらかじめ実験等により、共振器部20からの反射光L3のレベルを測定しておくことで、測定結果で得られた反射光L3の最小値に基づき、閾値g25が決定されればよい。
レベル検出部105は、誤差信号生成部101から、生成された誤差信号を逐次取得する。そして、レベル検出部105は、取得した誤差信号のゼロクロスレベルを検出し、当該ゼロクロスレベルの検出タイミングに基づき、各モードに応じた共振器部20の共振器長(すなわち、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長)のサーボ制御を開始するタイミングを示す生成したサーボトリガーパルスg51を生成する。レベル検出部105は、生成したサーボトリガーパルスg51をサーボ制御部107に逐次出力する。
サーボ制御部107は、レベル検出部105からサーボトリガーパルスを逐次取得する。そして、サーボ制御部107は、レベル検出部103から反射光L3のレベルの検出結果を示す信号g41を取得すると、当該信号を取得したタイミングで供給されたサーボトリガーパルス内で、レベルの検出結果を示す信号g41に対応する、サーボの開始を示すサーボオン信号g61をスイッチ109に供給する。すなわち、サーボ制御部107は、サーボトリガーパルスg51を発生している間に、レベル検出結果を示す信号g41を受けている場合に、サーボオン信号g61を出力する。
スイッチ109は、前段に設けられた誤差信号生成部101と、後段に設けられた位相補償部111との間の接続関係を、サーボ制御部107から供給される信号に基づき切り替え可能に構成されている。具体的には、スイッチ109は、サーボ制御部107からサーボの開始を示す信号が供給されると、オン状態となり、誤差信号生成部101と位相補償部111との間を接続させる。これにより、誤差信号生成部101から出力された誤差信号が位相補償部111に供給される。
位相補償部111は、スイッチ109がオン状態となることで、誤差信号生成部101から誤差信号の供給を受ける。位相補償部111は、誤差信号生成部101からの誤差信号の位相を補償し、位相が補償された誤差信号をVCMドライバ113に供給する。
VCMドライバ113は、位相補償部111から供給される誤差信号に基づき、駆動部30を駆動することで、サーボの引き込み(すなわち、ミラー207の位置の調整)を行う。すなわち、駆動部30により、図4の参照符号g15に示すように、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が、サーボが開始されたタイミングに対応するモードとなるようにミラー207の位置が調整される。
また、VCMドライバ113による、励起レーザー光L1の光路長のサーボ制御に伴い、共振器部20のモードがロックされるため、図4の参照符号g23に示すように、反射光L3のレベルは一定となり、参照符号g33に示すように誤差信号も安定化する。
2.2)比較例に係るサーボの引き込み動作の課題
一方で、反射光L3のレベルと閾値g25との比較に基づきサーボの引き込みを行うタイミングを特定する場合には、サーボの引き込みを確実に行うために、閾値g25が、事前の測定により得られた反射光L3の最小値よりも高い値に設定される場合が少なくない。
そのため、比較例に係る制御部10wのように、反射光L3のレベルと閾値g25との比較に基づきサーボの引き込みを行う場合には、レーザー光発生装置を動作させるモードが、反射光L3のレベルが最小となるモードg27と乖離している場合が少なくない。すなわち、比較例に係る制御部10wを適用したレーザー光発生装置は、反射光L3のレベルが最小となるモードg27、すなわち、OPOレーザー光L2の出力が最大となるモードで動作していない場合があり、レーザー光源の性能を十分に活かしきれない場合がある。
そこで、本実施形態に係るレーザー光発生装置では、できるだけ高い強度を有するレーザー光を得ることが可能なモード、すなわち、共振器部20からの反射光(漏れ光)が最小となるモードで共振するような共振器長を確実に得ることを目的とする。以降では、本実施形態に係るレーザー光発生装置1について、特に制御部10の構成に着目して説明する。
3.本実施形態に係る制御装置
3.1)制御装置の構成
図5は、本実施形態に係る制御装置の構成を主に示すブロック図である。これ以降の説明では、図3、4に示した比較例に係る制御部の構成において、実質的に同様の要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
制御部10は、図3で示した比較例に係る制御部10wと同様に、レベル検出部104と、サーボ制御部108と、位相補償部111と、スイッチ109とを有する。また、制御部10は、AD変換器13、14、低域通過フィルタ12、DA変換器15、および増幅器16などの要素を有する。制御装置は、制御部10および誤差信号生成部101を含むものである。
誤差信号生成部101は、比較例と同様に、光検出器41で得られた検出信号を、発振器11からの発振周波数fの信号に基づく同期検波により取得し、この検出信号に基づき例えばPDH法により誤差信号を生成してこれを出力する。なお、発振器11からの信号の位相は位相調整器18により調整される。
誤差信号生成部101で生成された誤差信号は、低域通過フィルタ12を介してAD変換器13に入力されてデジタル値に変換される。デジタル値に変換された誤差信号は、位相補償部111に入力されてその位相が補償される。なお、位相補償部111は、比較例と同様に、スイッチ109の後段に設けられていてもよい。
レベル検出部104は、比較例と同様に、光検出器41からの検出信号を、所定のサンプリングレート(例えば、発振器11から供給される周波数f)で逐次取得する。レベル検出部104は、取得した検出信号に基づき、反射光L3(図1参照)のレベルを検出する。このとき、検出される反射光L3のレベルは、図2に示すように、ミラー位置の移動に伴い、共振器部20内における励起レーザー光L1の光路長が、当該励起レーザー光L1の共振条件を満たすか否かに応じて変化する。レベル検出部104は、検出された反射光L3のレベルが、後述するように閾値Th1(図6参照)を下回った場合に、レベルの検出結果を示す信号(図6参照の参照符号g41に相当)をサーボ制御部108に出力する。
制御部10は、また、信号発生源102、増幅器17、サーチバイアス重畳部110、およびサーボバイアス重畳部120を有する。
信号発生源102は、三角波やのこぎり波等の往復の波形信号(ここでは電流信号)を生成し、これを駆動部30に入力するように構成される。増幅器17は、この波形信号を増幅する。
サーチバイアス重畳部110は、後述するように設定されたサーチバイアス(ここでは電流値)を、信号発生源102からの波形信号に重畳することにより、サーチ信号を生成する機能を有する。サーボバイアス重畳部120は、後述するように設定されたサーボバイアスを、信号発生源102からの波形信号に重畳することにより、サーボ信号を生成する機能を有する。
サーボバイアス値は、後述するように、サーチ処理でサーチされた、ミラー位置の適切点(本実施形態では最適点)に対応する値である。
サーボ制御部108は、上記サーチ処理により決定されたバイアス値(検出信号の適切値、特に最適値に対応するバイアス値)をサーボバイアス値として、誤差信号生成部101で生成された誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成される。
3.2)制御部の動作
以上のように構成された制御部10の動作を説明する。図6は、その制御部10の動作を説明するための各種の信号を示す。なお、図6において、レベル検出結果を示す信号、誤差信号、およびサーボトリガーパルスのそれぞれの信号形態およびタイミングは、図4におけるそれらと同様であるので、それらの図示を省略している。図7は、制御部10の動作を示すフローチャートである。
制御部10は、サーチ処理において、上述したように反射光L3のレベル、つまり光検出器41による検出信号のレベルができるだけ低い値となる適切値(本実施形態では最も低い値である最適値)をサーチする(ステップ101)。図8は、このサーチ処理を示すフローチャートである。
図8に示した処理のうち、ステップ201〜204は、サーチ処理のための前処理(内部処理)である。制御部10は、サーチゲイン(例えば8bit)を設定し(ステップ201)、また、サーチ時間(例えば8bit)を設定する(ステップ202)。
サーチゲインは、サーチのためのゲインであり、この設定により、ミラーの移動範囲(つまり、サーチ範囲)が設定される。サーチ範囲は、例えば図6において参照符号g22に示す検出信号において、各モードをほぼすべて含むような範囲(実質的な全範囲)である。あるいは、その範囲は、その全範囲より短い範囲であって、少なくとも全範囲の1/2を超えるものであってもよい。1/2より広い範囲であれば、検出信号の最適値(最低値)を含むモードをサーチ範囲に含めることができるからである。サーチ時間は、サーチする間の時間幅である。サーチゲインおよびサーチ時間の設定により、駆動部30によるミラーの移動速度が設定される。
サーチオンスイッチが入力されると(ステップ203)、制御部10は、各レジスタ値を初期する。サーチゲインの設定およびサーチ時間の設定は、例えばユーザの操作により予め設定され、また、これらの値はユーザによりカスタマイズ可能とされる。また、サーチオンスイッチは、典型的にはユーザの操作により入力される。
ステップ204の後、制御部10は、サーチ信号を発生させる。具体的には、所定のバイアス値に、信号発生源102からの三角波信号を重畳する(ステップ205)。サーチ信号は、駆動部30に入力され(ステップ206)、駆動部30はそのサーチ信号を駆動信号としてミラーを移動させる。図6において参照符号g12は、三角波に沿って移動するミラー位置を示す。
制御部10は、このミラーの移動の間、検出信号の各モードのそれぞれボトム値をメモリに記録していく。図6では、それらボトム値を丸で囲んで表している。図10は、例えばそのメモリに記録されるテーブルを示す。ここでは、制御部10は、それらボトム値を、サーチ信号の各バイアス値(つまりこれらはミラー位置に対応)に関連付けて記録していく。
制御部10は、設定されたサーチゲインに対応する範囲でミラーを移動させた後、連続してサーチするか否か、つまり複数回続けてサーチするか否の判定処理を行う(ステップ207)。例えば2回サーチする場合、三角波の往復(1周期)の範囲で、サーチが行われる。
制御部10は、メモリに記録された検出信号の各モードのボトム値のうち、最適値、すなわち最小値を検出する(ステップ208)。そうすると、制御部10は、そのレジスタ値を更新し(ステップ209)、それに対応するバイアス値であるバイアス最適値を更新し、設定する(ステップ210、211)。このバイアス最適値は、後述するようにサーボバイアスとして利用される。
図7を参照して、ステップ211の後、例えばユーザの操作によりサーボオンスイッチが入力されると(ステップ102)、制御部10は、最適点への移動およびサーボ引き込み処理を実行する(ステップ103)。最適点とは、バイアス最適値に対応するミラーの位置である。
なお、サーボオンスイッチは無くてもよく、制御部10は、ステップ101の終了から所定時間経過後に、当該サーボオンスイッチの入力と同じ処理を実行するように構成されていてもよい
図9は、最適点への移動およびサーボ引き込み処理を示すフローチャートである。図9に示す処理の原理は、基本的には、ステップ101のサーチ処理の原理と同様である。制御部10は、例えば引き込み振幅(例えば4bit)および引き込み時間(例えば4bit)を設定する(ステップ301および302)。引き込み振幅とは、引き込み信号(サーボバイアスに重畳される往復波形、例えば三角波やのこぎり波の信号)の振幅である。引き込み時間は、引き込み処理の間の時間幅である。これら引き込み振幅および引き込み時間は、上記サーチ振幅およびサーチ時間より、小さい振幅および小さい時間としてそれぞれ設定される。これらの値は、予めユーザの操作により設定され、カスタマイズ可能とされる。
ステップ101の終了時点で、ミラー位置は、参照符号g14で示すようにミラーの移動範囲の端にある。制御部10は、サーボバイアスを、ステップ211で設定されたサーチ処理時の最適値に設定する(ステップ303)。制御部10は、サーボバイアス重畳部120にて、サーボバイアス値であるバイアス最適値に、信号発生源102からの三角波信号を重畳する(ステップ304)。なお、このとき、サーチバイアスの重畳は解除されている。
この重畳された信号であるサーボ信号が、駆動部30に入力され(ステップ305)、駆動部30はそのサーボ信号を駆動信号としてミラーを移動させる。ステップ303〜305により、ミラーは、参照符号d14で示す位置から参照符号g16を経る移動経路をたどる。すなわち、制御部10は、サーチ処理時に決定されたバイアス最適値をサーボバイアスとして駆動部30に入力した状態で、サーボ制御を実行する。
なお、図6において、周期Twで示す三角状(途中から破線で示す)ミラーの移動経路が、サーボバイアスに重畳される三角波信号に対応する。
図7を参照して、サーボ信号を駆動信号としてミラーが参照符号g16で示す最適点を通り、三角波信号によりさらにミラーが移動すると、参照符号g24で示すような検出信号が得られる。図6では、最適点g16に対応する検出信号は、もちろん最適値となっているが、参照符号g24で示す検出信号の例は、その最適値から一端最大となって最適点へ向かう例を表している。
ステップ104以降の処理は、図4で示したサーボ制御の処理と同様である。すなわち、制御部10は、誤差信号のゼロクロスを監視しており(図4参照)、ゼロクロスごとにサーボトリガーパルスg51を生成する。サーボトリガーパルスg51が発生している間に、レベル検出部104の検出により、検出信号が閾値Th1(図6参照)を下回った場合(ステップ104のYES)、サーボループオン信号g62を発生する(ステップ105)。これにより、スイッチ109がONとされ、サーボバイアスが印加された状態の誤差信号が、駆動部30に入力される。
その後、制御部10は、所定時間(例えば1s)を待ち時間とし、それが経過すると(ステップ106)、サーボ定常状態に移行する。図6では、サーボ引き込みおよびサーボ定常状態の間におけるミラー位置を、参照符号g18で示すように太線で表している。
以上のように本実施形態では、光検出器41で得られる検出信号の最適値がサーチされ、その適切値に対応するサーチ信号のバイアス(バイアス最適値)を駆動部30に入力した状態で、サーボ制御が実行される。具体的には、バイアス最適値が駆動部30に入力された状態であれば、ミラー位置が最適点あるいはその近傍にあるため、その最適点からサーボ引き込みを開始することができる。したがって、図4で説明したような、検出信号(反射光L3のレベル)が最小となるモードと、サーボ定常状態での反射光L3のレベルとの「乖離」をできるだけ小さくすることができる。これにより、できるだけ高い強度を有するレーザー光を出力することができる共振器長の調整を確実に行うことができる。
また、サーチ信号の振幅および周期に比べ、サーボ信号の振幅および周期が十分に小さい。これにより、サーボ引き込み時間をこれまでよりも短くすることができ、迅速なサーボ制御を行うことができる。
また、本実施形態では、バイアス最適値が重畳された状態で、サーボ制御が実行されるため、サーボ制御に要するゲインを小さく見積もることができ、回路設計が容易になる。特に、本技術では、上記したように、異なる複数種類の非線形光学素子が選択的に切り替えて用いられる場合がある。それら非線形光学素子ごとに、共振器部の共振条件が変わる、すなわちここでは適切値あるいは最適値が変わる。したがって、本技術によりバイアス適切値あるいはバイアス最適値が決定されることにより、非線形光学素子ごとに高いDCゲインを使用する、という問題がなくなる。
4.他の実施形態に係る制御装置
図11は、本技術の他の実施形態に係る、制御装置の処理を示すフローチャートである。この処理は、本実施形態では、サーボ定常状態で、レーザー光発生装置に外乱、例えば衝撃が加えられた場合の処理である。ステップ101〜106は、図7で示したステップ101〜106と同様である。
サーボ定常状態において、レーザー光発生装置に衝撃が加えられた場合、制御部10は、反射光L3のレベルである検出信号が閾値Th2を超えたか否かを判定する(ステップ107)。閾値Th2は、Th1より大きい値に設定される。
検出信号が閾値Th2を超えた場合、サーボ制御部108は、スイッチ109をオフ(open)とすることにより、サーボループを解除する(ステップ108)。制御部10は、サーチ処理101で設定されたバイアス最適値を再設定し(ステップ109)、所定の待ち時間(例えば10.5ms)を経て(ステップ110)、ステップ103に戻る。
以上のように、本実施形態に係る制御装置は、サーボ定常状態では、バイアス最適値を既に取得しているので、外乱が加えられた場合の迅速な復帰処理を行うことができる。
なお、サーチ処理中に、外乱が加えられた場合、制御部10は、サーチ処理を最初からやり直せばよい。
5.さらに別の種々の実施形態
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
上記実施形態では、適切値として、検出信号の各ボトム値のうち最小値が用いられたが、必ずしも最小値に限られず、最小値付近のボトムであってもよい。
近年では、生物の細胞や特定のたんぱく質を可視化し、その局在や挙動までも観察可能な蛍光イメージングが細胞生物学・分子生物学の分野で活用されている。さらに生体の窓と呼ばれる650-1000nmの波長領域において深部まで観察できる短パルスの励起光源を用いて多光子励起した蛍光を取得する多光子顕微鏡が注目されている。本技術に係るレーザー光発生装置は、これらのような生体の観察装置として応用可能である。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
パルスレーザー光を発生する光源部と、
前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
前記共振器部からの反射光を検出する検出器とを備えるレーザー光発生装置の制御装置であって、
前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成された誤差信号生成部と、
サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成され、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成された制御部と
を具備する制御装置。
(2)
前記(1)に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記サーチ信号の振幅より小さい振幅を有するサーボ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記サーボ制御を実行するように構成される
制御装置。
(3)
前記(1)または(2)に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記検出信号が閾値を超えたと判定した場合、前記サーボ制御を解除するように構成され、その解除後、前記適切値に対応する前記バイアス値を前記駆動部に入力して前記サーボ制御を実行するように構成される
制御装置。
(4)
前記(1)から(3)のうちいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記光源部は、第1共振器を有し、
前記共振器部は、前記第1共振器から出力された前記パルスレーザー光が入力される第2共振器と、前記パルスレーザー光の波長を変換可能な非線形光学素子とを有し、前記波長変換されて前記第2共振器から出力される光を出力光として出力する
制御装置。
(5)
パルスレーザー光を発生する光源部と、
前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
前記共振器部からの反射光を検出する検出器と、
前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成された誤差信号生成部と、
サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成され、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成された制御部と
を具備するレーザー光発生装置。
(6)
パルスレーザー光を発生する光源部と、
前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
前記共振器部からの反射光を検出する検出器とを備えるレーザー光発生装置の制御方法であって、
前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成し、
サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチし、
前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行する
制御方法。
L1…励起レーザー光(パルスレーザー光)
L2…OPOレーザー光
L3…反射光
1…レーザー光発生装置
10…制御部
20…共振器部
30…駆動部
41…光検出器
50…光源部
56…MILL部
101…誤差信号生成部
102…信号発生源
104…レベル検出部
108…サーボ制御部
110…サーチバイアス重畳部
120…サーボバイアス重畳部
213…非線形光学素子
562…LD
564…回折格子

Claims (6)

  1. パルスレーザー光を発生する光源部と、
    前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
    前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
    前記共振器部からの反射光を検出する検出器とを備えるレーザー光発生装置の制御装置であって、
    前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成された誤差信号生成部と、
    サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成され、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成された制御部と
    を具備する制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記制御部は、前記サーチ信号の振幅より小さい振幅を有するサーボ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記サーボ制御を実行するように構成される
    制御装置。
  3. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記制御部は、前記検出信号が閾値を超えたと判定した場合、前記サーボ制御を解除するように構成され、その解除後、前記適切値に対応する前記バイアス値を前記駆動部に入力して前記サーボ制御を実行するように構成される
    制御装置。
  4. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記光源部は、第1共振器を有し、
    前記共振器部は、前記第1共振器から出力された前記パルスレーザー光が入力される第2共振器と、前記パルスレーザー光の波長を変換可能な非線形光学素子とを有し、前記波長変換されて前記第2共振器から出力される光を出力光として出力する
    制御装置。
  5. パルスレーザー光を発生する光源部と、
    前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
    前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
    前記共振器部からの反射光を検出する検出器と、
    前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成するように構成された誤差信号生成部と、
    サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチするように構成され、前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行するように構成された制御部と
    を具備するレーザー光発生装置。
  6. パルスレーザー光を発生する光源部と、
    前記パルスレーザー光を共振させる共振器部と、
    前記共振器部の共振器長を変位させる駆動部と、
    前記共振器部からの反射光を検出する検出器とを備えるレーザー光発生装置の制御方法であって、
    前記検出器による検出信号に基づき、前記共振条件からの前記共振器長の誤差を示す誤差信号を生成し、
    サーチ信号を生成してこれを前記駆動部に入力することで、前記共振器部による共振条件を満たす、前記検出信号の適切値をサーチし、
    前記適切値に対応する前記サーチ信号のバイアス値を駆動部に入力した状態で、前記誤差信号に基づき、サーボ制御を実行する
    制御方法。
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