JP2016179759A - トーションビーム式サスペンション - Google Patents

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純児 谷田
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Abstract

【課題】トーションビーム式サスペンションにおいて、簡素な構成で走行安定性を向上させる。【解決手段】トレーリングアーム10は、前部が第一ブッシュ11を介して車体に支持され、中間部でビーム20により連結される。トーコントロールアーム40は、外端部40aがトレーリングアーム10に取り付けられ、内端部40bが外端部40aよりも後方かつ内側の車体3(3B)に取り付けられる。第一ブッシュ11の変位方向とトーコントロールアーム40の配置とが条件1,2を満たすように設定される。条件1:横力作用時に左右の第一ブッシュ11間の瞬間中心P11と左右のトーコントロールアーム40間の瞬間中心P40とを合成した第一瞬間中心P1がホイールセンタCよりも後方に位置すること。条件2:前後力作用時に第一ブッシュ11及びトーコントロールアーム40間の第二瞬間中心がホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置すること。【選択図】図5

Description

本発明は、左右一対のトレーリングアームをビームで連結したトーションビーム式サスペンションに関する。
従来、左右一対のトレーリングアームと車幅方向に延設されたビーム(クロスビーム,トーションビーム)とを備えたトーションビーム式のサスペンションが知られている。例えば特許文献1には、左右のトレーリングアームをビームで連結し、さらにトレーリングアームの後端部をコントロールリンクで車体に結合したサスペンション装置が開示されている。このサスペンション装置では、トレーリングアームを下方向に押さえるばね力発生手段をコントロールリンクに組み付けている。
特開2001−315514号公報
上記の特許文献1の構成では、ばね力発生手段としてのトーションバースプリングを左右それぞれに設けて、トーションバースプリングによる懸架ばね力を、コントロールリンクを介してトレーリングアームに作用させている。つまり、コントロールリンクが、車両旋回時のオーバーステア側への変向を矯正する作用(矯正作用)を行うのと同時に、懸架ばね力をトレーリングアームに伝えるという機能を有している。このような構成とすることで、従来設けられていたコイルスプリングを回避して、走行安定性の向上やアンダーステア側への車輪変向の実現を図っている。しかしながら、特許文献1の構成は部品点数が多く、トレーリングアームの大型化を招くといった課題がある。
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、トーションビーム式サスペンションにおいて、部品点数の増加を招くことなく走行安定性を向上させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するトーションビーム式サスペンションは、前部が第一ブッシュを介して車体に支持されるとともに後部において車輪を支持する左右一対のトレーリングアームと、前記トレーリングアームの各前後方向中間部を連結するビームとを具備する。また、このサスペンションは、外端部が前記トレーリングアームに取り付けられ、内端部が前記車体における前記外端部よりも後方かつ車幅方向内側に取り付けられる左右一対のトーコントロールアームと、を具備する。さらに、前記第一ブッシュは、力が作用した場合に変位しやすい変位方向を有する。
また、このサスペンションは、前記車輪のホイールセンタに左右方向の力が作用した横力作用時に、左右の前記第一ブッシュ間の瞬間中心と左右の前記トーコントロールアーム間の瞬間中心とを合成した第一瞬間中心が前記ホイールセンタよりも後方に位置し、前記ホイールセンタに前後方向の力が作用した前後力作用時に、前記第一ブッシュ及び前記トーコントロールアーム間の第二瞬間中心が前記ホイールセンタよりも前方かつ車幅方向外側に位置するように、前記第一ブッシュの変位方向と前記トーコントロールアームの配置とが設定される。
(2)前記トレーリングアームと前記ビームとは、第二ブッシュを介して連結されることが好ましい。
(3)また、前記トーコントロールアームは、前記内端部が前記車体のクロスメンバに取り付けられることが好ましい。
(4)前記第一ブッシュは、前記変位方向として、前記横力作用時の第一変位方向と前記前後力作用時の第二変位方向とを有することが好ましい。この場合、前記第一変位方向は、前方内側に向かう方向であり、前記第一ブッシュの他部よりも剛性の低い低剛性部が設けられることで設定され、前記第二変位方向は、前記第一変位方向に直交する方向であり、前記第一ブッシュにストッパ部が設けられることで設定されることが好ましい。
(5)前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が上下方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記弾性部材を前記軸方向に貫通する二つのすぐり部と、車幅方向内側の前記すぐり部に突設された前記ストッパ部としての突起と、を備えることが好ましい。この場合、前記二つのすぐり部は、前記内筒の軸中心を挟んで前記第一変位方向に対向配置されることが好ましい。
(6)前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が前記第一変位方向に延びる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記第一ブッシュの車幅方向外側であって前記第二変位方向に延設された前記ストッパ部と、を備えることが好ましい。
(7)また、前記第一ブッシュは、他部よりも剛性の低い低剛性部が後方内側に向かう方向に設定された前記変位方向を有することが好ましい。この場合、前記変位方向及び前記トーコントロールアームの配置は、左右の前記トーコントロールアーム間の前記瞬間中心が前記ホイールセンタよりも後方であって当該瞬間中心と前記ホイールセンタとの前後距離が、左右の前記第一ブッシュ間の前記瞬間中心と前記ホイールセンタとの前後距離よりも長くなるように設定されることが好ましい。
(8)前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が上下方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記弾性部材を前記軸方向に貫通する二つのすぐり部と、を備えることが好ましい。この場合、前記二つのすぐり部は、前記内筒の軸中心を挟んで前記変位方向に対向配置されることが好ましい。
(9)前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が前記変位方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、を備えることが好ましい。
(10)また、このサスペンションは、前記トレーリングアームに対し、前記ホイールセンタよりも後方であって前記ホイールセンタを上下で挟んだ二箇所においてそれぞれ第三ブッシュを介して取り付けられるアブソーバを具備することが好ましい。
開示のトーションビーム式サスペンションによれば、横力及び前後力の何れが作用した場合でも、コンプライアンスステアをトーイン方向に制御できる。すなわち、車両旋回時などで横力が加わった場合でも、車両制動時や突起乗り上げ時などで前後力が加わった場合でも、トーイン化を実現することができる。また、第一ブッシュの変位方向とトーコントロールアームの配置とを工夫することでトーイン化を実現できることから、部品点数の増加を回避できる。したがって、開示のサスペンションによれば、部品点数の増加を招くことなく、車両旋回時や制動時の走行安定性を向上させることができる。
第一実施形態に係るトーションビーム式サスペンションが備えられた車両の後部下面図である。 図1のサスペンションの左側のトレーリングアーム周辺構成を示す平面図である。 (a)は図2の構成を示す背面図であり、(b)はアブソーバの取付構造を説明するための分解斜視図である。 (a)は図2のアームブッシュの構成を示す平面図であり、(b)はその変形例である。 図1のサスペンションの横力作用時の状態を示す模式図であり、(a)は瞬間中心を説明する図であり、(b)は変化を説明する図である。 図1のサスペンションの前後力作用時の状態を示す模式図であり、(a)は瞬間中心を説明する図であり、(b)は変化を説明する図である。 (a)は第二実施形態に係るサスペンションのアームブッシュの構成を示す平面図であり、(b)はその変形例である。 第二実施形態に係るサスペンションの横力作用時の状態を示す模式図であり、(a)は瞬間中心を説明する図であり、(b)は変化を説明する図である。 第二実施形態に係るサスペンションの前後力作用時の状態を示す模式図であり、(a)は瞬間中心を説明する図であり、(b)は変化を説明する図である。
図面を参照して、実施形態としてのトーションビーム式サスペンションについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の説明では、車両の進行方向を前方,その逆を後方とし、前方を基準に左右を定めるとともに、重力の方向を下方,その逆を上方として説明する。さらに、左右方向(車幅方向ともいう)の中心側を内側,逆側を外側という。
[1.第一実施形態]
[1−1.構成]
本実施形態に係るトーションビーム式サスペンションは、車両のリア側に適用される。図1に示すように、トーションビーム式サスペンション1(以下、サスペンション1という)は、左右一対のトレーリングアーム10と、これらを連結するビーム20と、左右一対のトーコントロールアーム40と、左右一対のアブソーバ30と、左右一対のスプリング(図示略)とを備える。なお、サスペンション1は、下面視において、車両の前後方向に伸びる左右方向中心線に対して線対称に設けられる。以下の説明では、車両左側の構成について詳述する。
サスペンション1は、前後方向において、燃料タンク4とスペアタイヤウェル5との間に配置される。燃料タンク4は、前後方向に延設された左右一対のサイドメンバ3A間に配置され、サスペンション1の前方に位置する。一方、スペアタイヤウェル5は、左右のサイドメンバ3A間に配置され、サスペンション1の後方に位置する。スペアタイヤウェル5は、車幅方向に延設されて左右のサイドメンバ3A間を接続するクロスメンバ3Bに固定される。サイドメンバ3A及びクロスメンバ3Bは、車両の骨格部材であって高い剛性を有する。以下、サイドメンバ3A及びクロスメンバ3Bを含めて車体3とも呼ぶ。
図1はサスペンション1を備えた車両の後部下面図であり、図2はサペンション1の左側のトレーリングアーム10の周辺構成を示す平面図である。また、図3(a)は左側のトレーリングアーム10の周辺構成を示す背面図であり、図3(b)はアブソーバ30の取付構造を説明するための分解斜視図である。なお、図2,図3(a)及び(b)では、車体3及びスペアタイヤウェル5を省略している。
図1〜図3に示すように、トレーリングアーム10は、その前部10aが後述のアームブッシュ11(第一ブッシュ)を介して車体3に対して揺動可能に支持されるとともに、その後部10bにおいて車輪2を支持する。本実施形態のトレーリングアーム10は、前後方向に延設された平板状の部材であり、法線方向が上下方向となる姿勢で車体3に取り付けられる。なお、トレーリングアーム10は、その周縁に下方へ突設されたフランジ10dを有する。
トレーリングアーム10は、上面視で前後方向中間部10c(以下、単に中間部10cという)から後方に向かって拡開して形成され、後部10bが前部10a及び中間部10cよりも車幅方向長さが長くなるように形成される。トレーリングアーム10の中間部10cには、ビーム20の端部20aがビームブッシュ12(第二ブッシュ)を介して接続される。
ビーム20は、車幅方向に一直線状に延設されて左右のトレーリングアーム10の各中間部10cを連結する部材である。すなわち、本実施形態のサスペンション1は、いわゆるカップルドビーム式のサスペンションである。本実施形態のビーム20は、後側が開放された断面U字状に形成される。ビーム20は、両端部20aでは前側も開放されており、上面と下面とによってトレーリングアーム10を上下で挟み込んだ状態でトレーリングアーム10に接続される。
ビームブッシュ12は、トレーリングアーム10とビーム20との接合部のブッシュであり、軸方向が上下方向となる姿勢でトレーリングアーム10の中間部10cに固定される。ビームブッシュ12は、ビーム20に連結される円筒状の内筒と、内筒の径方向外側に設けられてトレーリングアーム10に圧入固定される円筒状の外筒と、内筒及び外筒の間に介設された弾性部材(何れも図示略)とを有する。内筒及び外筒は何れも金属製で両端が開口したパイプであり、弾性部材によって互いの軸心が略一致するように設けられる。弾性部材は、弾性変形可能な素材(例えばゴムや樹脂)で成形された緩衝材である。トレーリングアーム10は、このビームブッシュ12を介してビーム20と接続されることで、車両旋回時の対地キャンバ変化が小さくなる。
トレーリングアーム10の後部10bにおける外側の部分には、上下方向に延在する平板状のスピンドル支持プレート13が溶接により接合される。スピンドル支持プレート13は、上面視で内側が開放されたコ字状に屈曲形成され、対向する二面のうちの前側の前面部13aがトレーリングアーム10の上面に接合されるとともに、前面部13aに隣接する側面部13cがトレーリングアーム10の外周縁に沿って接合される。なお、トレーリングアーム10の後部10bにおける内側の上面には、スプリングが配置される受け部10eが設けられる。
スピンドル支持プレート13の側面部13cの外面には、車輪2を軸支するスピンドル14が外側に向かって突設される。このスピンドル14上に車輪2のホイールセンタC(図中の星印)が位置する。側面部13cは、トレーリングアーム10の後部10bの外周縁に沿って接合されることから、ホイールセンタCはトレーリングアーム10の外側に設けられる。スピンドル支持プレート13の前面部13aに対向する後面部13bは、トレーリングアーム10の後縁との間に隙間をあけて配置される。この後面部13bには、アブソーバ30がアブソーバブッシュ15(第三ブッシュ)を介して固定される。
図3(a)及び(b)に示すように、スピンドル支持プレート13の後面部13bは、後面視で上下方向に長い矩形状に形成され、その上部及び下部のそれぞれに固定された二つのアブソーバブッシュ15を有する。二つのアブソーバブッシュ15のうちの上側の一方は、スピンドル14よりも後方かつ上方に配置され、下側の他方はスピンドル14よりも後方かつ下方に配置される。二つのアブソーバブッシュ15は何れも、軸方向が前後方向となる姿勢でスピンドル支持プレート13に固定される。
アブソーバブッシュ15は、トレーリングアーム10とアブソーバ30との接合部のブッシュである。アブソーバブッシュ15は、円筒状の内筒15Aと、内筒15Aの径方向外側に設けられて後面部13bに圧入固定される円筒状の外筒15Bと、内筒15A及び外筒15Bの間に介設された弾性部材(図示略)とを有する。内筒15A,外筒15B及び弾性部材は、ビームブッシュ12のそれらと同様の構成を有する。
アブソーバ30の下部には、上下方向に延在する平板状のアブソーバ支持プレート31が溶接により接合される。アブソーバ支持プレート31は、上面視で外側が開放されたU字状に屈曲形成され、屈曲部分でアブソーバ30の下部を挟み込んで接合される。アブソーバ支持プレート31は、対向する二面のそれぞれの上端部及び下端部に穿設された貫通孔31hを有する。
アブソーバ支持プレート31は、対向する二つの貫通孔31hがアブソーバブッシュ15の内筒15Aの中心孔と連通するように、スピンドル支持プレート13の後面部13bを対向する二面で挟み込む。この状態でアブソーバブッシュ15の内筒15Aにボルト16Aが挿通され、このボルト16Aにナット16Bが締結されることで、アブソーバ支持プレート31がスピンドル支持プレート13に取り付けられる。つまり、アブソーバ30は、トレーリングアーム10に対して、ホイールセンタCよりも後方であってホイールセンタCを上下で挟んだ二箇所において、それぞれアブソーバブッシュ15を介して取り付けられる。
これにより、ホイールセンタCを通り前後方向に伸びる軸まわりの回転方向の剛性(いわゆるキャンバ剛性)が高められる。例えば、車両右旋回時に外輪となる左側の車輪2には、図3(a)中の矢印で示すように、タイヤの接地面に右向きの外力が入力されることから、ホイールセンタCを中心にタイヤの上部が外側へ倒れようとする。これに対し、上述のサスペンション1では、高いキャンバ剛性が確保されることから、タイヤ接地面の横剛性が高められ、操縦安定性が向上する。
また、図1に示すように、トーコントロールアーム40は、その外端部40aがトレーリングアーム10の中間部10cに取り付けられ、その内端部40bがクロスメンバ3Bの左右方向中間部3c(以下、単に中間部3cという)の中央寄りに取り付けられる。トーコントロールアーム40の外端部40aは、トレーリングアーム10の下面側に取り付けられ、第二ブッシュ12よりも後方であってホイールセンタCよりも前方に配置される。一方、内端部40bは、外端部40aよりも後方かつ内側に配置される。本実施形態のトーコントロールアーム40は、両端部40a,40bがブッシュを介さずに固定される。
次に、アームブッシュ11の構成について説明する。アームブッシュ11は、トレーリングアーム10と車体との接合部のブッシュであり、軸方向が上下方向となる姿勢でトレーリングアーム10の前部10aに固定される。アームブッシュ11は、力が作用した場合に変位しやすい変位方向を有するものである。
本実施形態のアームブッシュ11は、変位方向として、横力作用時の第一変位方向D1と前後力作用時の第二変位方向D2の二つの方向を有する。横力作用時とは、車両旋回時などで車輪2に対して左右方向の力(横力)が入力されたときを意味し、前後力作用時とは、車両制動時やタイヤが段差等の突起を乗り越した場合に、車輪2に対して後向きの力(前後力)が入力されたときを意味する。なお、車輪2に入力された横力,前後力は、ホイールセンタCを介してサスペンション1へと伝わる。つまり、横力作用時とはホイールセンタCに横力が作用したときであり、前後力作用時とはホイールセンタCに前後力が作用したときであるともいえる。
第一変位方向D1は前方内側に向かう方向であり、アームブッシュ11に他部よりも剛性の低い低剛性部が設けられることで設定される。低剛性部は、他の部位に比べてバネ定数が低く設定された部位である。アームブッシュ11は、この低剛性部を有することで、横力作用時には前方内側に向かう第一変位方向D1に対して他の方向よりも変位しやすくなっている。
一方、第二変位方向D2は第一変位方向D1に直交する方向(すなわち後方内側に向かう方向)であり、アームブッシュ11にストッパ部17が設けられることで設定される。ストッパ部17は、アームブッシュ11に前後力が作用した場合に、第一変位方向D1に沿う外側への動きを止めるとともに第二変位方向D2に沿って変位させる機能を有する。すなわち、アームブッシュ11は、このストッパ部17を有することで、前後力作用時には後方内側に向かう第二変位方向D2に対して他の方向よりも変位しやすくなっている。
図4(a)に示すように、本実施形態のアームブッシュ11は、円筒状の内筒11Aと、内筒11Aの径方向外側に設けられてトレーリングアーム10に圧入固定される円筒状の外筒11Bと、内筒11A及び外筒11Bの間に介設された弾性部材11Cと、弾性部材11Cに設けられた二つのすぐり部11Dとを有する。内筒11A,外筒11B及び弾性部材11Cは、ビームブッシュ12のそれらと同様の構成を有する。
二つのすぐり部11Dは、弾性部材11Cを軸方向(上下方向)に貫通して形成された空洞部であり、内筒11Aの軸中心を挟んで第一変位方向D1に対向配置される。すなわち、本実施形態のアームブッシュ11は、二つのすぐり部11Dにより上記の低剛性部が形成される。アームブッシュ11はさらに、二つのすぐり部11Dのうち車幅方向内側の一方に突設された突起11Eを有する。突起11Eはストッパ部17として機能する部位であり、すぐり部11Dの径方向外側の内面に軸方向に沿って延設されるとともに径方向内側に向かって突設される。突起11Eは、すぐり部11Dの径方向内側の内面との間に微小な隙間が形成される程度の突出量を有する。
次に、アームブッシュ11の変位方向(第一変位方向D1及び第二変位方向D2)及びトーコントロールアーム40の配置の設定について説明する。図5(a),(b)及び図6(a),(b)は、サスペンション1を上から見た模式図であり、トレーリングアーム10,ビーム20及びトーコントロールアーム40をそれぞれ太実線の直線で示し、車輪2,アームブッシュ11及びストッパ部17をそれぞれ細実線の長方形で示す。
サスペンション1は、以下の二つの条件を満たすように、アームブッシュ11の変位方向(第一変位方向D1及び第二変位方向D2)とトーコントロールアーム40の配置とが設定される。
[条件1]横力作用時に、左右のアームブッシュ11間の瞬間中心P11と左右のトーコ
ントロールアーム40間の瞬間中心P40とを合成した第一瞬間中心P1が、
ホイールセンタCよりも後方に位置すること
[条件2]前後力作用時に、アームブッシュ11及びトーコントロールアーム40間の
第二瞬間中心P2が、ホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置すること
すなわち、図5(a)及び図6(a)に示すように、第一瞬間中心P1がホイールセンタCよりも後方に位置し、第二瞬間中心P2がホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置するように、アームブッシュ11の第一変位方向D1及び第二変位方向D2の前後方向に対する傾き、及び、トーコントロールアーム40の外端部40a及び内端部40bの各固定位置がそれぞれ設定される。
なお、本実施形態のアームブッシュ11は、横力作用時には第一変位方向D1へ変位しやすいように設けられている。そのため、図5(a)に示すように、横力作用時における左右のアームブッシュ11間の瞬間中心P11は、左右のアームブッシュ11の各第一変位方向D1に直交する二本の直線の交点となる。また、本実施形態のアームブッシュ11は、ストッパ部17を有することで前後力作用時には第二変位方向D2へ変位しやすいように設けられている。そのため、図6(a)に示すように、前後力作用時におけるアームブッシュ11及びトーコントロールアーム40間の第二瞬間中心P2は、アームブッシュ11の第二変位方向D2に直交する直線とトーコントロールアーム40の延長線との交点となる。
[1−2.作用]
上述のサスペンション1では、車両旋回時,車両制動時などで横力,前後力が入力された場合に、図5(b),図6(b)に示すように変化する。
例えば、車両が右旋回することで車輪2に右向きの横力FTが入力されると、図5(b)に示すように、左右のアームブッシュ11及びトーコントロールアーム40には、それぞれの瞬間中心P11,P40を中心として図中右回りのモーメントが作用する。これにより、旋回外輪側である左側のアームブッシュ11は第一変位方向D1に沿って前方内側に向かって変位し、左側のトーコントロールアーム40も外端部40aが前方内側に向かって変位する。
また、旋回内輪側である右側のアームブッシュ11は、ストッパ部17によって第一変位方向D1への動きが妨げられ、第二変位方向D2に近い方向に向かって変位する。一方、右側のトーコントロールアーム40は、外端部40aが後方外側に向かって変位する。したがって、車輪2に対して横力(右向きの横力FT)が入力された場合には、図5(b)中に破線で示すように、サスペンション1が第一瞬間中心P1を中心として全体的に右回りに変位するため、旋回外輪である左側の車輪2はトーインとなり、横力作用時における走行安定性が向上する。
また、図6(b)に示すように、車輪2に対して後向きの前後力FLが入力されると、ストッパ部17によって左右のアームブッシュ11は第二変位方向D2に沿って後方内側へと変位しようとする。このため、アームブッシュ11及びトーコントロールアーム40間の第二瞬間中心P2がホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置する。そして、左側のアームブッシュ11には左側の第二瞬間中心P2を中心として図中右回りのモーメントが発生し、右側のアームブッシュ11には右側の第二瞬間中心P2を中心として図中左回りのモーメントが発生する。これらのモーメントにより、図中破線で示すように、左右のアームブッシュ11は第二変位方向D2に沿って後方内側に向かって変位する。
これに対し、左右のトーコントロールアーム40は内端部40bがクロスメンバ3Bに固定されているため、第二瞬間中心P2を中心としてトーコントロールアーム40に発生したモーメントによってはほとんど変位せず、アームブッシュ11の変位に伴って外端部40aが後方に向かって変位する。したがって、車輪2に対して前後力(後向きの前後力FL)が入力された場合には、図6(b)中に破線で示すように、サスペンション1が左右の第二瞬間中心P2を中心として前部が内側に向かって変位するため、左右の車輪2はトーインとなり、前後力作用時における走行安定性が向上する。
[1−3.効果]
(1)上述のサスペンション1では、左右のトレーリングアーム10が、アームブッシュ11を介して車体に支持されるとともにビーム20で連結される。また、左右のトーコントロールアーム40は、外端部40aがトレーリングアーム10に取り付けられ、内端部40bが外端部40aよりも後方かつ内側に取り付けられる。そして、アームブッシュ11が有する変位方向とトーコントロールアーム40の配置とが、上記の二つの条件を満足するように設定される。
このような構成を備えたサスペンション1によれば、図5(b)及び図6(b)に示すように、横力及び前後力の何れが作用した場合でも、コンプライアンスステアをトーイン方向に制御できる。すなわち、車両旋回時などで横力が加わった場合でも、車両制動時や突起乗り上げ時などで前後力が加わった場合でも、トーイン化を実現することができる。また、アームブッシュ11の変位方向とトーコントロールアーム40の配置とを工夫することでトーイン化を実現できることから、部品点数の増加を回避できる。したがって、上述のサスペンション1によれば、部品点数の増加を招くことなく、車両旋回時や制動時の走行安定性を向上させることができる。
(2)上述のサスペンション1によれば、左右のトレーリングアーム10の各中間部10cがそれぞれビームブッシュ12を介してビーム20で連結されるため、車両旋回時の対地キャンバ変化を小さくすることができる。これにより、路面に対してタイヤの接地面が大きくとれることからグリップが高くなり、車両旋回時の走行安定性を向上させることができる。また、対地キャンバ変化を小さくできることから、タイヤの偏磨耗を防止することができる。
(3)上述のサスペンション1では、トーコントロールアーム40の内端部40bが車体3のクロスメンバ3Bに取り付けられる。クロスメンバ3Bは車両の骨格部材であって高い剛性を有する。このため、内端部40bが剛性の高いクロスメンバ3Bに取り付けられることで、車両後突時に車体3に伝わる入力(衝撃)を、サスペンション1を介してサイドメンバ3Aへと伝達することができ、車体3の変形量を抑制することができる。
また、車両後突時にタイヤを介して衝突荷重がサスペンション1に加わった場合や車両後方から斜め内側に向かって衝撃が加わった場合に、トレーリングアーム10の前部10a付近に座屈や破断等が生じ、トレーリングアーム10が内側へ倒れる可能性がある。本実施形態の車両のように、トレーリングアーム10の内側に燃料タンク4が搭載されている場合、トレーリングアーム10が内側に倒れることで燃料タンク4を傷つけるおそれがある。これに対し、上述のサスペンション1によれば、サスペンション1を介してサイドメンバ3Aへと衝撃を伝達できることから、トレーリングアーム10が内側に倒れることを抑制することができ、これにより燃料タンク4の保護性を高めることができる。
(4)上述のサスペンション1では、アームブッシュ11が、変位方向として、横力作用時の第一変位方向D1と前後力作用時の第二変位方向D2との二つの方向を有し、このうち第一変位方向D1が前方内側に向かう方向に設定される。このため、横力作用時に、左右のアームブッシュ11間の瞬間中心P11がホイールセンタCよりも後方に位置しやすくなり、この瞬間中心P11と左右のトーコントロールアーム40間の瞬間中心P40とを合成した第一瞬間中心P1が、ホイールセンタCよりも後方に位置しやすくなる。一方で、第二変位方向D2はストッパ部17を設けることで第一変位方向D1に直交する方向に設定されるため、前後力作用時に、アームブッシュ11及びトーコントロールアーム40間の第二瞬間中心P2が、ホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置するようになる。
このように、上述のサスペンション1によれば、二つの変位方向D1,D2をそれぞれ設定することで、上記の二つの条件を満足するようになり、車両旋回時や制動時に外力(横力,前後力)が加わった場合にコンプライアンスステアをトーイン方向に制御することができ、走行安定性を向上させることができる。特に、本実施形態のサスペンション1では、低剛性部とストッパ部17とを設けることで、上記のように第一瞬間中心P1をホイールセンタCよりも後方に位置しやすくすることができるため、トーコントロールアーム40の配置の自由度を高めることができる。
(5)上述のサスペンション1では、アームブッシュ11が、軸方向を上下方向に向けた姿勢でトレーリングアーム10に固定される。このアームブッシュ11には、弾性部材11Cを軸方向に貫通する二つのすぐり部11Dが設けられ、この二つのすぐり部11Dが内筒11Aの軸中心を挟んで第一変位方向D1に対向配置される。すなわち、二つのすぐり部11Dによって低剛性部が形成されるため、簡素な構成で外力作用時のトーイン化を実現することができる。
(6)上述のサスペンション1では、アブソーバ30がトレーリングアーム10に対して、ホイールセンタCよりも後方であってホイールセンタCを上下で挟んだ二箇所においてアブソーバブッシュ15を介して取り付けられるため、高いキャンバ剛性を確保することができる。すなわち、車両旋回時にタイヤ上部が外側へ倒れることを防ぎ、タイヤ接地面の横剛性を高めることができることから、操縦安定性を向上させることができる。
[2.第二実施形態]
[2−1.構成]
次に、第二実施形態に係るサスペンション1′について、図7〜図9を用いて説明する。図7〜図9はそれぞれ図4〜図6に対応する図である。本サスペンション1′は、アームブッシュ51の変位方向D及びトーコントロールアーム40′の配置が上述の第一実施形態のそれとは異なり、他の構成は同一である。ここでは、第一実施形態と同様の構成については第一実施形態と同じ符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本サスペンション1′も、上面視において左右方向中心線に対して線対称に設けられる。
本実施形態のアームブッシュ51も、上述のアームブッシュ11と同様、力が作用した場合に変位しやすい変位方向Dを有するものであり、この変位方向Dが、図7(a)に示すように、後方内側に向かう方向に設定されている。本実施形態のアームブッシュ51は、他部よりも剛性の低い低剛性部が後方内側に向かう方向に設定されることで変位方向Dを有し、この変位方向Dに対しては他の方向よりも変位しやすくなっている。なお、低剛性部は、上記と同様、他の部位に比べてバネ定数が低く設定された部位である。
アームブッシュ51は、円筒状の内筒51Aと、内筒51Aの径方向外側に設けられてトレーリングアーム10に圧入固定される円筒状の外筒51Bと、内筒51A及び外筒51Bの間に介設された弾性部材51Cと、弾性部材51Cに設けられた二つのすぐり部51Dとを有する。内筒51A,外筒51B及び弾性部材51Cは、上記のアームブッシュ11のそれらと同様の構成を有する。二つのすぐり部51Dは、弾性部材51Cを軸方向(上下方向)に貫通して形成された空洞部であり、内筒51Aの軸中心を挟んで変位方向Dに対向配置される。すなわち、本実施形態のアームブッシュ51も、二つのすぐり部51Dにより低剛性部が形成される。
このようなアームブッシュ51の変位方向D及びトーコントロールアーム40′の配置の設定について、図8(a),(b)及び図9(a),(b)を用いて説明する。なお、本実施形態のトーコントロールアーム40′も、上述のトーコントロールアーム40と同様、外端部40a′がトレーリングアーム10に固定され、内端部40b′がクロスメンバ3Bに固定される。
サスペンション1は、以下の二つの条件を満たすように、アームブッシュ51の変位方向Dとトーコントロールアーム40′の配置とが設定される。
[条件1′]横力作用時に、左右のアームブッシュ51間の瞬間中心P51と左右のトー
コントロールアーム40′間の瞬間中心P40′とを合成した第一瞬間中心
1′が、ホイールセンタCよりも後方に位置すること
[条件2′]前後力作用時に、アームブッシュ51及びトーコントロールアーム40′
間の第二瞬間中心P2′が、ホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置
すること
すなわち、図8(a)及び図9(a)に示すように、第一瞬間中心P1′がホイールセンタCよりも後方に位置し、第二瞬間中心P2′がホイールセンタCよりも前方かつ外側に位置するように、アームブッシュ51の変位方向Dの前後方向に対する傾き、及び、トーコントロールアーム40′の外端部40a′及び内端部40b′の各固定位置がそれぞれ設定される。
本実施形態のアームブッシュ51は、後方内側に向かう方向に設定された変位方向Dを有することから、図8(a)に示すように、左右のアームブッシュ51間の瞬間中心P51はホイールセンタCよりも前方に位置する。そのため、上記の条件1′を満たすためには、以下の二つの条件を満足するように、変位方向D及びトーコントロールアーム40′の配置が設定される。
[条件1−1]左右のトーコントロールアーム40′間の瞬間中心P40′がホイールセ
ンタCよりも後方に位置すること
[条件1−2]左右のトーコントロールアーム40′間の瞬間中心P40′とホイールセ
ンタCとの前後距離X40が左右のアームブッシュ51間の瞬間中心P51
とホイールセンタCとの前後距離X51よりも長いこと(X40>X51
本実施形態のトーコントロールアーム40′は、図8(a)に示すように、外端部40a′がトレーリングアーム10におけるホイールセンタCよりも後方に配置され、内端部40b′が上記の内端部40bと比較して車幅方向外側に配置される。これにより、トーコントロールアーム40′の左右方向に対する傾きが第一実施形態のものよりも大きくなり、上記の条件1−1及び条件1−2を共に満足する。このため、二つの瞬間中心P51,P40′を合成した第一瞬間中心P1′は、ホイールセンタCよりも長さX1だけ後方に位置し、上記の条件1′を満たすことになる。
[2−2.作用,効果]
本実施形態のサスペンション1′においても、車輪2に対して横力(例えば右向きの横力FT)が入力された場合には、図8(b)中に破線で示すように、サスペンション1′が第一瞬間中心P1′を中心として全体的に右回りに変位するため、旋回外輪である左側の車輪2はトーインとなり、横力作用時における走行安定性が向上する。また、車輪2に対して前後力(後向きの前後力FL)が入力された場合には、図9(b)中に破線で示すように、サスペンション1′が左右の第二瞬間中心P2′を中心として前部が内側に向かって変位するため、左右の車輪2はトーインとなり、前後力作用時における走行安定性が向上する。
したがって、本実施形態のサスペンション1′によっても、図8(b)及び図9(b)に示すように、横力及び前後力の何れが作用した場合でも、コンプライアンスステアをトーイン方向に制御できる。また、アームブッシュ51の変位方向Dとトーコントロールアーム40′の配置とを工夫することでトーイン化を実現できるため、部品点数の増加を招くことなく、車両旋回時や制動時の走行安定性を向上させることができる。
また、本実施形態のサスペンション1′では、アームブッシュ51の変位方向Dが後方内側に向かう方向に設定される。そして、上記の条件1′及び条件2′を満たすように、具体的には条件1−1及び条件1−2を満足しつつ条件2′を満たすように、アームブッシュ51の変位方向D及びトーコントロールアーム40′の配置が設定される。このため、上記の第一実施形態のようにストッパ部17を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
さらに本実施形態のサスペンション1′では、アームブッシュ51に設けられた二つのすぐり部51Dによって低剛性部が形成されるため、より簡素な構成で外力作用時のトーイン化を実現することができる。
なお、第一実施形態と同様の構成からは、同様の作用効果を得ることができる。
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上述の各実施形態では、トレーリングアーム10が、その法線方向を上下方向に向けた姿勢で車体3に取り付けられる場合を例示したが、トレーリングアーム10の向きはこれに限られない。例えば、トレーリングアームに固定されるブッシュ(アームブッシュ,ビームブッシュ)の軸方向が上下方向に交差する方向(左右方向に近い方向)となるような姿勢で、車体3に取り付けられるトレーリングアームであってもよい。このようなトレーリングアームに固定されるアームブッシュの構成を、図4(b)及び図7(b)を用いて説明する。
図4(b)は第一実施形態の変形例に係るアームブッシュ11′の平面図であり、図7(b)は第二実施形態の変形例に係るアームブッシュ51′の平面図である。
図4(b)に示すように、第一実施形態の変形例のアームブッシュ11′は、外筒11B′の軸方向が第一変位方向D1となる姿勢でトレーリングアーム50の前端部に固定される。このアームブッシュ11′は、円筒状の内筒11A′と、内筒11A′の径方向外側に設けられてトレーリングアーム50に固定される外筒11B′と、内筒11A′及び外筒11B′の間に介設された弾性部材(図示略)と、アームブッシュ11′の車幅方向外側であって第二変位方向D2に延設されたストッパ部17′とを有する。
一般的にブッシュは、その軸方向が低剛性部(低剛性方向)となるため、軸方向を第一変位方向D1に設定することで、アームブッシュ11′の第一変位方向D1のバネ定数を他の方向(その第一変位方向D1以外の方向)のバネ定数よりも低くすることができる。言い換えると、アームブッシュ11′を、第一変位方向D1に対しては他の方向よりも変位しやすく設けることができる。
また、ストッパ部17′は、上記と同様、アームブッシュ11′に前後力が作用した場合に、第一変位方向D1に沿う外側への動きを止めるとともに第二変位方向D2に沿って変位させる機能を有する。ストッパ部17′は、例えば円盤状に形成された部品であり、内筒11A′を貫通させるとともに外筒11B′の外側の端面に固定される。このような構成によっても上記の第一実施形態と同様に、横力及び前後力の何れが作用した場合でもコンプライアンスステアをトーイン方向に制御できる。また、本変形例の構成であれば、すぐり部11Dを形成する必要がないため、構成を簡素化することができる。
また、図7(b)に示すように、第二実施形態の変形例のアームブッシュ51′は、外筒51B′の軸方向が変位方向Dとなる姿勢でトレーリングアーム50′の前部に固定される。このアームブッシュ51′は、円筒状の内筒51A′と、内筒51A′の径方向外側に設けられてトレーリングアーム50′に圧入固定される外筒51B′と、内筒51A′及び外筒51B′の間に介設された弾性部材51C′とを有する。
すなわち、本変形例のアームブッシュ51′も、上記の変形例と同様、軸方向を変位方向Dに設定することで、アームブッシュ51′の変位方向Dのバネ定数を他の方向(変位方向D以外の方向)のバネ定数よりも低くして、変位方向Dに対しては他の方向よりも変位しやすく設ける。このような構成によっても上記の第二実施形態と同様に、横力及び前後力の何れが作用した場合でもコンプライアンスステアをトーイン方向に制御できる。また、本変形例の構成であれば、すぐり部51Dを形成する必要がないため、構成を簡素化することができる。
また、上記の第一実施形態では、トーコントロールアーム40の外端部40aがトレーリングアーム10の下面側に取り付けられ、第二ブッシュ12よりも後方であってホイールセンタCよりも前方に配置される場合を例示したが、外端部40aの位置はこれに限られない。同様に、トーコントロールアーム40の内端部40bの位置も、クロスメンバ3Bの中間部3cの中央寄りに取り付けられていなくてもよい。トーコントロールアーム40の配置は、上記の条件1及び条件2を満たすように、アームブッシュ11の変位方向(第一変位方向D1及び第二変位方向D2)とともに設定されればよい。
上記の第二実施形態においても、トーコントロールアーム40′の配置(外端部40a′及び内端部40b′の位置)は上述したものに限られず、上記の条件1′及び条件2′を満たすように、アームブッシュ51の変位方向Dとともに設定されればよい。
また、トーコントロールアーム40,40′の内端部40b,40b′の取付位置は、クロスメンバ3Bに限られず、クロスメンバ3B以外の車体3(例えばスペアタイヤウェル5や図示しない牽引フックのメンバ等)に取り付けられていてもよい。なお、内端部40b,40b′は、車体3の中でも比較的剛性の高い部位に取り付けられていることが好ましい。
また、上記の第一実施形態では、アームブッシュ11の二つのすぐり部11Dを、内筒11Aの軸中心を挟んで第一変位方向D1に対向配置することで低剛性部を第一変位方向D1に設定しているが、これに代えて又は加えて、アームブッシュ11の第一変位方向D1以外の部分に高剛性部を設けることで、相対的に第一変位方向D1を低剛性部としてもよい。高剛性部は、例えば弾性部材11Cの軸方向(上下方向)に亘って金属製の薄板(プレート部)を設けることで形成可能である。このプレート部を、内筒11Aの軸中心を挟んで第一変位方向D1に直交する方向に対向配置することで、プレート部が設けられた部分を他の部位よりも高剛性にして、アームブッシュ11の第一変位方向D1の剛性を相対的に低くしてもよい。
上記の第二実施形態においても、アームブッシュ51の二つのすぐり部51Dに代えて又は加えて、アームブッシュ51の変位方向D以外の部分に高剛性部を設けることで、相対的に変位方向Dを低剛性部としてもよい。例えば、弾性部材51Cの軸方向(上下方向)に亘って金属製の薄板(プレート部)を設け、このプレート部を、内筒51Aの軸中心を挟んで変位方向Dに直交する方向に対向配置することで、プレート部が設けられた部分を他の部位よりも高剛性にして、アームブッシュ51の変位方向Dの剛性を相対的に低くしてもよい。
なお、上述した各ブッシュ11,12等の形状は円筒状に限られず、他の形状(例えば角型等)であってもよい。また、ビーム20がビームブッシュ12を介して左右のトレーリングアーム10等を連結するものでなくてもよい。例えば、トレーリングアーム10とビーム20とが溶接で接合されたものであってもよい。
また、燃料タンク4やスペアタイヤウェル5の配置は一例であって、上述以外の配置であってもよく、スペアタイヤウェル5のない車両であってもよい。
また、アブソーバ30の取付位置や取付方法は上記のものに限られない。例えば、アブソーバブッシュ15を介さずにトレーリングアーム10に取り付けられていてもよいし、ホイールセンタCを挟んだ上下二箇所で取り付けられていなくてもよい。
なお、サスペンション1,1′の具体的な形状は上記のものに限られない。例えば、トレーリングアーム10が前後方向に一様な車幅方向長さを有していてもよいし、フランジ10dがないものであってもよい。また、ビーム20やトーコントロールアーム40等の具体的な形状(例えば断面形状)は、上記のものに限定されない。
1,1′ サスペンション(トーションビーム式サスペンション)
2 車輪
3 車体
10,50,50′ トレーリングアーム
10a 前部
10b 後部
10c 中間部
11,11′,51,51′ アームブッシュ(第一ブッシュ)
11A,11A′,51A,51A′ 内筒
11B,11B′,51B,51B′ 外筒
11C,51C,51C′ 弾性部材
11D,51D すぐり部
11E 突起
12 ビームブッシュ(第二ブッシュ)
15 アブソーバブッシュ(第三ブッシュ)
15A 内筒
15B 外筒
17,17′ ストッパ部
20 ビーム
30 アブソーバ
40,40′ トーコントロールアーム
40a,40a′ 外端部
40b,40b′ 内端部
C ホイールセンタ
D 変位方向
1 第一変位方向(変位方向)
2 第二変位方向(変位方向)

Claims (10)

  1. 前部が第一ブッシュを介して車体に支持されるとともに後部において車輪を支持する左右一対のトレーリングアームと、
    前記トレーリングアームの各前後方向中間部を連結するビームと、
    外端部が前記トレーリングアームに取り付けられ、内端部が前記車体における前記外端部よりも後方かつ車幅方向内側に取り付けられる左右一対のトーコントロールアームと、を具備し、
    前記第一ブッシュは、力が作用した場合に変位しやすい変位方向を有し、
    前記車輪のホイールセンタに左右方向の力が作用した横力作用時に、左右の前記第一ブッシュ間の瞬間中心と左右の前記トーコントロールアーム間の瞬間中心とを合成した第一瞬間中心が前記ホイールセンタよりも後方に位置し、前記ホイールセンタに前後方向の力が作用した前後力作用時に、前記第一ブッシュ及び前記トーコントロールアーム間の第二瞬間中心が前記ホイールセンタよりも前方かつ車幅方向外側に位置するように、前記第一ブッシュの変位方向と前記トーコントロールアームの配置とが設定される
    ことを特徴とする、トーションビーム式サスペンション。
  2. 前記トレーリングアームと前記ビームとは、第二ブッシュを介して連結される
    ことを特徴とする、請求項1記載のトーションビーム式サスペンション。
  3. 前記トーコントロールアームは、前記内端部が前記車体のクロスメンバに取り付けられる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のトーションビーム式サスペンション。
  4. 前記第一ブッシュは、前記変位方向として、前記横力作用時の第一変位方向と前記前後力作用時の第二変位方向とを有し、
    前記第一変位方向は、前方内側に向かう方向であり、前記第一ブッシュの他部よりも剛性の低い低剛性部が設けられることで設定され、
    前記第二変位方向は、前記第一変位方向に直交する方向であり、前記第一ブッシュにストッパ部が設けられることで設定される
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のトーションビーム式サスペンション。
  5. 前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が上下方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記弾性部材を前記軸方向に貫通する二つのすぐり部と、車幅方向内側の前記すぐり部に突設された前記ストッパ部としての突起と、を備え、
    前記二つのすぐり部は、前記内筒の軸中心を挟んで前記第一変位方向に対向配置される
    ことを特徴とする、請求項4記載のトーションビーム式サスペンション。
  6. 前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が前記第一変位方向に延びる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記第一ブッシュの車幅方向外側であって前記第二変位方向に延設された前記ストッパ部と、を備える
    ことを特徴とする、請求項4記載のトーションビーム式サスペンション。
  7. 前記第一ブッシュは、他部よりも剛性の低い低剛性部が後方内側に向かう方向に設定された前記変位方向を有し、
    前記変位方向及び前記トーコントロールアームの配置は、左右の前記トーコントロールアーム間の前記瞬間中心が前記ホイールセンタよりも後方であって当該瞬間中心と前記ホイールセンタとの前後距離が、左右の前記第一ブッシュ間の前記瞬間中心と前記ホイールセンタとの前後距離よりも長くなるように設定される
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のトーションビーム式サスペンション。
  8. 前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が上下方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、前記弾性部材を前記軸方向に貫通する二つのすぐり部と、を備え、
    前記二つのすぐり部は、前記内筒の軸中心を挟んで前記変位方向に対向配置される
    ことを特徴とする、請求項7記載のトーションビーム式サスペンション。
  9. 前記第一ブッシュは、筒状の内筒と、前記内筒の径方向外側に設けられて軸方向が前記変位方向となる姿勢で前記トレーリングアームに固定される外筒と、前記内筒及び前記外筒の間に介設された弾性部材と、を備える
    ことを特徴とする、請求項7記載のトーションビーム式サスペンション。
  10. 前記トレーリングアームに対し、前記ホイールセンタよりも後方であって前記ホイールセンタを上下で挟んだ二箇所においてそれぞれ第三ブッシュを介して取り付けられるアブソーバを具備する
    ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載のトーションビーム式サスペンション。
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