JP2016176868A - リーク検査装置リーク検査方法 - Google Patents

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良彦 田中
順裕 土屋
Nobuhiro Tsuchiya
順裕 土屋
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Abstract

【課題】検査時に加圧導入する気体と同じ気体で検査対象の容器内を掃気することのできるリーク検査方法、リーク検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象である非貫通型の容器18の入口を封鎖する蓋を貫通して容器内の奥で終端する内挿管71と、容器内の入口側で終端する外郭管72を取り付け、内挿管71から検査用気体を容器内に送り込むことで、外郭管72から容器内の気体を排気して容器内を掃気した後、外郭管72の出口を閉鎖し、検査用気体を容器内にさらに導入して容器内を加圧した後、内挿管71の入口を閉鎖する。この状態の容器を、検査用気体で掃気、加圧済みのリーク検査装置のワーク接続口に接続してリーク検査を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、検査対象の容器からの漏れを検査するリーク検査装置、リーク検査方法に関する。
容器の密閉性を検査する場合、容器に空気等の気体を加圧導入した後、これを密閉し、その後の圧力変化を観察する方法が一般的である。
また、わずかな漏れを検出するには、高い精度で圧力変化を測定する必要があるので、圧力センサとして差圧式のものが使用される。具体的には、差圧計の一方の第1空間に検査対象の容器(ワーク)を接続し、他方の第2空間に漏れのない容器(マスタ)を接続する。そして、第1空間と第2空間の双方に同時に気体を導入して目標圧力に加圧し、その後、第1空間と第2空間をそれぞれ密閉し、両者の圧力の低下状況の違いを差圧計で検出する(特許文献1参照)。
図12は、上記の検査を行うための検査装置の構成および動作の概要を示す図である。加圧工程では、弁101〜弁103を開、排気弁104を閉、とした状態でエア源100から加圧気体をワークとマスタを含む検査系に導入する。加圧の際に、検査系内に存在していた気体が略断熱圧縮されて発熱する。加圧工程の後、弁102、弁103を閉じて、ワークおよびマスタ内の圧力が安定(加圧工程で生じた熱の放熱が完了)するのを待つ(平衡工程)。検査工程では、ワーク内とマスタ内の圧力差を差圧計105で測定する。このとき、ワークに漏れがあると基準値を超える差圧が生じる。検査後、弁101を閉じ、弁102、103を開いた後、排気弁104を開いて検査系内の気体を外部に排気する排気工程を行う。次のワークを検査するときは、ワークを付け替えて加圧工程から再度行う。
上記の検査では、加圧工程、排気工程において差圧計105の両側が連通しているので、高い圧力で加圧しても、差圧計105の両側に加わる圧力差は、検査工程で生じるわずかなものである。そのため、耐圧が低いが、わずかな圧力差を検出できる高精度の差圧計を用いることができる。
特開2004−61201号公報
上記のようなリーク検査において、ワークやマスタに気体を加圧導入すると、該気体が断熱圧縮されて昇温し、検査後に減圧すると断熱膨張して温度低下する。このような工程において、図13に示すように差圧計内も含む、各分岐の端部が発熱・蓄熱する。すなわち、図12、図13に示すように、大気開放部分(例えば交換されたワーク内大気開放部分、測定終了時に大気開放される部分等)に対して圧縮エア源100から圧縮空気が送られると、大気圧時に室温であった大気開放部分は、圧縮エア源100からの圧縮空気に押されて移動し、下流の片隅に追いやられて圧縮され、発熱する。図13の例では、グレー色で示す箇所、具体的には、ワークやマスタの内部のほか、差圧計105の内部や閉じた排気弁104で行き止まりになっている箇所において発熱・蓄熱が生じる。800KPaや1000KPaのような高い圧力に加圧してリーク検査を行う場合には、上記の問題はより顕著になる。
また、測定系の管路からの放熱もある。そのため、複数のワークを検査するときは、以前の検査による温度変化の影響が累積しないように、1つのワークを検査する毎に測定系の管路内の気体を入れ替える掃気が行われる。また、加圧導入する気体として、雰囲気(周囲の空気)と異なる気体を使用する場合は、初回の検査の準備においても、測定系の管路内全体がその気体に入れ替わるように掃気することが望まれる。
掃気は、通常、加圧気体が導入される主管路に設けた排気弁を開いて行われる。しかし、図13に示すようにマスタ、ワーク、及び主管路から分岐して圧力計に向かう管路は、行き止まりになっているので、断熱圧縮されて昇温した気体の溜まり場になっており、ここを適切に掃気することは難しい。また、加圧導入する気体として、雰囲気(周囲の空気)と異なる気体を使用する場合、エア源100から送られてくる気体と溜まり場にある気体とが異なる等、比較する気体同士が異なる物理常数(温湿度)を持つこととなるので、正確な検査ができない。
なお、ワークが1つの入口のみを有する非貫通型であっても、マスタについては、貫通型を使用すれば、溜まり場を作らずに掃気が可能になる。しかし、ワークについては非貫通型を貫通型に変更することは当然にできないので、ワーク内の掃気は困難であった。
また、1つのワークを検査する毎に測定系の管路内を掃気し、その後、気体を加圧導入し、温度が安定するのを待ってから検査を行うと、複数のワークを検査するために長い時間を要してしまう。
さらに、大きいワーク(表面積に比して体積の大きいワーク)を高い圧力で加圧して検査する場合、放熱が安定した平衡状態(漏れ検査ができる状態)に至るまでの時間(静定期間とする)が、容積の割に長時間となり、検査が、予想以上にはかどらないという問題が生じた。すなわち、加圧終了後、ワークの温度は放熱で急降下するが、ある程度下がったところで、急に温度降下が緩慢になってしまう。
また、静定期間終了直後のまさに漏れ検査を行おうとする時に圧力が乱高下してしまい、正確に検査することが難しいという問題も生じた。
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、検査時に加圧導入する気体と同じ気体で検査対象の容器内を掃気することのできるリーク検査方法、リーク検査装置を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]検査対象である非貫通型の容器の入口から前記容器内に、前記容器内の奥側で終端する第1管と、前記容器内の入口側で終端する第2管を挿入した状態で前記入口を封鎖し、前記第1管と前記第2管のうちの一方の管から所定の気体を前記容器内に送り込むことで、他方の管から前記容器内の気体を排気して前記容器内を前記所定の気体で満たした後、前記他方の管を閉鎖する容器内掃気ステップと、
前記一方の管から前記所定の気体を前記容器内にさらに導入して前記容器内を加圧した後、前記一方の管を閉鎖して前記容器を含む密閉空間を形成する加圧ステップと、
前記密閉空間の圧力を圧力計で測定して前記容器に漏れがあるか否かを検査する測定ステップと、
を有する
ことを特徴とするリーク検査方法。
上記発明および下記[8]に記載の発明では、容器の入口から該容器内に、該容器内の奥側で終端する第1管と、容器内の入口側で終端する第2管を挿入した状態で該容器の入口を封鎖し、第1管と第2管のうちの一方の管から所定の気体(検査用気体)を導入することで、容器の奥から入口、あるいはその逆に向かう気体の流れを容器内全体に発生させ、該容器内にあった気体を他方の管から排出して容器内全体を掃気する。その後、他方の管を閉鎖し、検査用気体を容器に加圧導入した後、一方の管も閉じて該容器を含む密閉空間を形成する。そして、この密閉空間の圧力変化を圧力計で測定して、容器に漏れがあるか否かを検査する。非貫通型の容器であっても、容器内全体を検査用の気体で掃気することができるので、元々容器内にあった気体が検査用気体の加圧導入によって断熱圧縮されて発熱する等の問題が解決される。
[2]前記第1管を前記一方の管、前記第2管を前記他方の管とする
ことを特徴とする[1]に記載のリーク検査方法。
上記発明では、第1管にて容器の奥側に導入した検査用気体が第2管のある容器の入口側に向かって流れることで、容器の内部全体が掃気される。
[3]前記圧力計の検出口に連通した検査系空間に、気体供給源から前記所定の気体と同じ気体を導入して前記検査系空間を加圧した後、該検査系空間を密閉する検査系加圧ステップと、
前記密閉した前記検査系空間に前記密閉空間を連通させる接続ステップとをさらに備え、
前記接続ステップによって前記密閉空間と前記検査系空間が連通した状態で前記測定ステップを行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のリーク検査方法。
上記発明および下記[9]に記載の発明では、所定の気体で容器を掃気し該気体をさらに加圧導入して密閉空間を形成し、これとは別に圧力計を含む加圧済みの検査系空間を形成し、該検査系空間に密閉空間を連通させて、容器の漏れ検査が行われる。
[4]前記検査系空間を前記気体供給源から供給される気体で掃気する検査系掃気ステップをさらに有し、
前記検査系掃気ステップにて前記検査系空間を掃気してから前記検査系加圧ステップを行う
ことを特徴とする[3]に記載のリーク検査方法。
上記発明および下記[10]に記載の発明では、検査系空間は所定の気体で掃気された後、該所定の気体で加圧される。すなわち、検査系空間、密閉空間ともに、検査用気体で掃気された後に、検査用気体が加圧導入されているので、これらを連通させた空間も検査用気体で満された空間になる。
[5]前記測定ステップを行った後、前記検査系空間を密閉して前記密閉空間を前記検査系空間から切り離し、次の検査対象に係る前記接続ステップを行うまで、前記検査系空間を加圧状態に維持する
ことを特徴とする[3]または[4]に記載のリーク検査方法。
上記発明では、検査系空間を加圧状態で密閉したまま、検査対象の容器を交換するので、検査系空間に大気圧から気体を加圧導入する工程が1回で済む。言い換えると、ワークWを交換する毎に、検査系空間を減圧し、再度加圧するといった工程が不要になるので、減圧時の断熱膨張による冷却、再加圧時の断熱圧縮による発熱などの温度変化の影響を受けずに済むと共に、温度が安定するまで待つ待ち時間も不要になり、効率的で安定した検査が可能になる。
[6]前記測定ステップを行っている間に、他の容器に対して前記加圧ステップまでを行う
ことを特徴とする[3]乃至[5]のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
上記発明では、漏れを測定している間に、他の容器の掃気、加圧が行われる。これらの工程を同時並行に行うことで検査効率が向上する。
[7]前記加圧ステップを終えた容器は、所定の時間以上が経過してから、前記接続ステップに移行し、
一の容器が前記経過を待っている間に、前記経過を終えた他の一の容器に対して前記測定ステップを行う
ことを特徴とする[3]乃至[6]のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
上記発明では、掃気、加圧の完了した容器は、内部の気体が容器の漏れを測定可能な安定状態になるまで待つことが望ましく、この待ち時間の間に、他の容器を掃気・加圧する工程、および、既に待ち時間の経過を終えた容器について漏れの測定を行う。これにより、複数の容器を効率的に次々と検査することができる。
[8]検査対象である非貫通型の容器の入口を封鎖する蓋体と、前記蓋体を貫通して前記容器内の奥で終端する第1管と、前記蓋体を貫通して前記容器内の入口側で終端する第2管を備えた蓋部と、
前記第1管と前記第2管のうちの一方の管を通じて前記容器に所定の気体を送り込む気体供給源と、
前記気体供給源と前記容器との間で前記一方の管を開閉する第1開閉弁と、
前記第1管と前記第2管のうちの他方の管を開閉する第2開閉弁と、
圧力計と、
を備え、
前記蓋部が入口に取り付けられた前記容器の中に、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を開いた状態で前記気体供給源から前記所定の気体を送り込むことで、前記他方の管から前記容器内の気体を排気して前記容器内を前記所定の気体で満たした後、前記第2開閉弁を閉鎖する容器内掃気ステップ、
前記気体供給源から前記一方の管を通じて前記所定の気体を前記容器内にさらに導入して前記容器内を加圧した後、前記第1開閉弁を閉鎖して前記容器を含む密閉空間を形成する加圧ステップ、
前記密閉空間の圧力を前記圧力計で測定して前記容器に漏れがあるか否かを検査する測定ステップ、
が行われる
ことを特徴とするリーク検査装置。
[9]前記気体供給源から延設された管を分岐管と主管の二手に分岐し、
前記分岐管は第1接続口に至り、
前記主管は第2接続口に至り、
前記分岐管を開閉する分岐管開閉弁と、
前記主管を開閉する主管開閉弁と、
前記第2接続口を開閉する第2接続口開閉弁と、
を備え、
前記圧力計の検出口は、前記主管開閉弁と前記第2接続口開閉弁との間の前記主管に連通しており、
前記分岐管開閉弁および前記第2接続口開閉弁を閉じた状態で前記主管開閉弁を開いて前記気体供給源から前記所定の気体を導入した後、前記主管開閉弁を閉じて前記主管開閉弁と前記第2接続口開閉弁の間に密閉された検査系空間を形成する検査系加圧ステップ、
前記第1接続口に前記一方の管を接続した後、前記主管開閉弁を閉じた状態で前記分岐管開閉弁を開いて、前記容器内掃気ステップおよび前記加圧ステップ、
が行われると共に、
前記加圧ステップの後で、前記第1開閉弁を閉じて、前記一方の管を前記第1接続口から前記第2接続口に付け替え、前記第1開閉弁および前記第2接続口開閉弁を開いて前記検査系空間と前記密閉空間を連通させた状態で前記測定ステップが行われる
ことを特徴とする[8]に記載のリーク検査装置。
[10]前記検査系空間を前記気体供給源から供給される気体で掃気してから前記検査系加圧ステップが行われる
ことを特徴とする[9]に記載のリーク検査装置。
本発明に係るリーク検査方法、リーク検査装置によれば、非貫通型の容器であっても、容器内全体を検査用の気体で掃気することができるので、元々容器内にあった気体が検査用の気体の加圧導入によって断熱圧縮されて発熱する等の問題が解決される。
本発明の実施の形態に係るリーク検査装置の概略構成を示している。 差圧センサとその周囲部分を示す斜視図である。 滞留防止構造の一例を示す図である。 滞留防止構造の他の一例を示す図である。 リーク検査装置が有する気体導入部の構成を示す図である。 ワークWに手動4方弁を取り付けた状態を示す図である。 手動4方弁が取り得る4つの開閉状態を示す図である。 図1のリーク検査装置における第1空間から第5空間を示す図である。 リーク検査装置によるリーク検査の手順を示す流れ図である。 リーク検査装置に生じ得る熱溜まり箇所を示す図である。 加圧開始から大気解放後所定時間が経過するまでの温度変化を示す図である。 従来のリーク検査工程を示す図である。 加圧時に生じる熱溜まり箇所を示す図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るリーク検査装置5の概略構成を示している。リーク検査装置5は、検査対象となる容器(ワークW)の漏れを検査する装置である。
リーク検査装置5は、圧縮された気体の供給源である気体導入部10と、検査装置本体6とを有する。検査装置本体6は、気体導入部10の気体吐出口10aに一端が接続され、他端が排気ポート30aにされた主管路30を備えている。主管路30には気体導入部10のある上流側から順に電空レギュレータ40、第1開閉弁41、圧力センサ42、第1排気弁44、第2排気弁45が設けてある。電空レギュレータ40は、下流側が設定圧力を超えないように調整する機能を果たす。
電空レギュレータ40と第1開閉弁41の間の第1分岐箇所B1において主管路30から第1分岐管31が分岐し、第1分岐管31の終端は、検査前のワークWやマスタMを接続するための準備用接続口31aとなっている。第1分岐管31の途中には、第1分岐管31を開閉する第1分岐管開閉弁46、手動弁47が設けてある。
手動弁47は接続口1〜3を備えている。接続口1は第1分岐管開閉弁46に通じ、接続口2は準備用接続口31aに通じる。接続口3は大気に開放されている。手動弁47は、開状態と閉状態とに手動で切り替えられる。手動弁47は、開状態では接続口1、2を連通させ、接続口3を封鎖する。閉状態では接続口1を封鎖し、接続口2、3を連通させる。
第1開閉弁41と第1排気弁44の間の第2分岐箇所B2において主管路30から第2分岐管32が分岐し、第2分岐管32の終端は、検査対象のワークWやマスタMを接続するための検査用接続口32aとなっている。第2分岐管32の途中には手動弁48が設けてある。圧力センサ42は、第2分岐箇所B2に設けてある。
手動弁48は、手動弁47と同様に接続口1〜3を備えている。手動弁48の接続口1は第2分岐箇所B2に通じ、接続口2は検査用接続口32aに通じる。接続口3は大気に開放されている。手動弁48は、開状態では接続口1、2を連通させ、接続口3を封鎖する。閉状態では接続口1を封鎖し、接続口2、3を連通させる。
第1開閉弁41と圧力センサ42の間の第3分岐箇所B3において主管路30から第3分岐管33が分岐し、第3分岐管33の終端は、差圧センサ50の第1検出口50aに接続されている。第3分岐管33には、第1検出口50aに向けて、第2開閉弁52、第3開閉弁53、貫通型の小マスタMaがこの順に介挿されている。
圧力センサ42と第1排気弁44との間の第4分岐箇所B4において主管路30から第4分岐管34が分岐し、第4分岐管34の終端は、差圧センサ50の第2検出口50bに接続されている。第4分岐管34には、第2検出口50bに向けて、第4開閉弁54、第5開閉弁55、小マスタMaと同一の小マスタMbがこの順に介挿されている。小マスタMa、Mbの容量はワークWに比べて十分小さい。
第3分岐管33は差圧センサ50の第1検出口50aの近傍に第1掃気口33aを備えている。また、第4分岐管34は差圧センサ50の第2検出口50bの近傍に第2掃気口34aを備えている。第1掃気口33aと第2掃気口34aは、それぞれ差圧センサ50で行き止まりになる箇所に滞留する気体を外部へ逃がすために設けてある。第1掃気口33aには第1掃気管36が接続され、第2掃気口34aには第2掃気管37が接続されている。第1掃気管36と第2掃気管37の終端同志は合流し、この合流箇所に第3掃気管38が接続され、第3掃気管38の終端は掃気ポート38aになっている。
第1掃気管36には、第1サブ掃気弁56が介挿されている。第2掃気管37には、第2サブ掃気弁57が介挿されている。第3掃気管38には、メイン掃気弁58が介挿されている。
第1開閉弁41と第1排気弁44の間に設けられた部分は、差圧センサ50の第1検出口50a側と第2検出口50b側とが対称構造にされている。
すなわち、第3分岐箇所B3から差圧センサ50の第1検出口50aに至るまでの第3分岐管33、これに介挿された第2開閉弁52、第3開閉弁53、小マスタMaと、第4分岐箇所B4から差圧センサ50の第2検出口50bに至るまでの第4分岐管34、これに介挿された第4開閉弁54、第5開閉弁55、小マスタMbとは、差圧センサ50を中心に対称構造になっている。また、第1検出口50aから第1掃気口33a、第1掃気管36、第1サブ掃気弁56を通じてメイン掃気弁58に至る経路と、第2検出口50bから第2掃気口34a、第2掃気管37、第2サブ掃気弁57を通じてメイン掃気弁58に至る経路も対称構造になっている。
さらに第2分岐箇所B2は第1開閉弁41と第1排気弁44の中央に位置している。第3分岐箇所B3から第1開閉弁41までの主管路30の長さと、第4分岐箇所B4から第1排気弁44までの主管路30の長さは同一になっている。よって、差圧センサ50の第1検出口50aから第3分岐箇所B3、第2分岐箇所B2を経て検査用接続口32aに至る経路と、差圧センサ50の第2検出口50bから第4分岐箇所B4、第2分岐箇所B2を経て検査用接続口32aに至る経路は、差圧センサ50を中心に対称構造になっている。
このように、差圧センサ50を中心に検査系を対称構造にすることで、差圧センサ50の第1検出口50aと第2検出口50bに振動や反射波が同時に到達して互いに打ち消し合うようになり、差圧センサ50の検出値に含まれる、振動に起因したノイズが軽減される。
さらにリーク検査装置5は、恒温槽60を備えている。差圧センサ50、小マスタMa、第3開閉弁53、小マスタMb、第5開閉弁55、および、第2開閉弁52より差圧センサ50の第1検出口50a側の第3分岐管33、第4開閉弁54より差圧センサ50の第2検出口50b側の第4分岐管34分は恒温槽60に収容されている。恒温槽60は、上記の収容した部分を冷却して一定温度に維持する役割を果たす。
ワークWやマスタMにはそれぞれ手動4方弁70が取り付けられ、該手動4方弁70を介してワークWやマスタMは準備用接続口31aや検査用接続口32aに接続される。
第1開閉弁41、第1排気弁44,第2排気弁45、第1分岐管開閉弁46、第2開閉弁52、第3開閉弁53、第4開閉弁54、第5開閉弁55、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57、メイン掃気弁58は、コイルの発熱を回避するために電磁弁ではなく、エアオペレート式のバルブ(スプリングリターン単動作動形)を採用している。また、第1排気弁44、第2排気弁45、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57は、駆動時に閉じて非駆動時に開くノーマルオープン型であり、第1開閉弁41、第1分岐管開閉弁46、第2開閉弁52、第3開閉弁53、第4開閉弁54、第5開閉弁55、メイン掃気弁58は、駆動時に開き非駆動時に閉じるノーマルクローズ型である。これらのバルブは内部に弁体があると共に配管取付部を持つ。従って通常の管と異なり、内部容積の割には熱容量が大きい。
圧力センサ42は単圧式の圧力センサである。定格圧力0〜1000KPa、測定精度(誤差)は±0.025%/フルスケール程度である。従って、測定レンジ1000KPa時には250Pa程度の誤差を含む。差圧センサ50は定格差圧0〜5KPa(定格圧力−5〜+5KPa)と、圧力センサ42に比してわずかな圧力(圧力差)で壊れる(破壊圧力は定格圧力に略比例)。その代わりに、例えば2.5Pa程度の誤差しかないので、わずかな差圧を判別でき、高精度で検査することができる。
図2は、恒温槽60およびその周囲の配管状況を示している。図中、恒温槽60は破線で示してある。恒温槽60の中に収められた第3開閉弁53、差圧センサ50、第5開閉弁55、および恒温槽60の外側近傍に設置された第2開閉弁52、第4開閉弁54は略水平に配列されており、第2開閉弁52から差圧センサ50に至る部分の第3分岐管33および第4開閉弁54から差圧センサ50に至る部分の第4分岐管34はそれぞれ水平に配管されている。
主管路30から分岐した第3分岐管33は、上方から第2開閉弁52に至るように配管されている。同様に主管路30から分岐した第4分岐管34も上方から第4開閉弁54に至るように配管されている。なお、図2では、第3開閉弁53と差圧センサ50との間の第3分岐管33が小マスタMaの機能を果たし、第5開閉弁55と差圧センサ50との間の第4分岐管34が小マスタMbの機能を果たす。また、第1掃気口33a、第2掃気口34a、およびこれらに通じる第1掃気管36、第2掃気管37は図示省略してある。
上記のように配管をレイアウトすることで、恒温槽60によって冷却された、第2開閉弁52から差圧センサ50の間にある第3分岐管33内の気体、および第4開閉弁54から差圧センサ50の間にある第4分岐管34内の気体が、第2開閉弁52や第4開閉弁54を開いても主管路30側へ対流して拡散しないようになっている。
さらに、検査装置本体6は、第2分岐箇所B2、第3分岐箇所B3、第4分岐箇所B4に、気体の滞留を防止する滞留防止構造を備えている。
図3、図4は、滞留防止構造の一例を示している。図3は、Y字型の滞留防止構造であり、図4は、Y字型とノズル型を組み合わせた滞留防止構造である。滞留防止構造は、Y字構造やノズル構造を用いて、慣性力を用いた慣性掃気により、分岐箇所で分岐した管路の奥深くまで掃気する機能を果たす。第2分岐箇所B2、第3分岐箇所B3、第4分岐箇所B4には、図3に示すY字型の滞留防止構造を使用する。
たとえば、第3分岐箇所B3の場合、第1開閉弁41側(Y字型滞留防止構造の入口側)から滞留防止構造に到来した気体は、慣性を有するので、Y字構造の部分で急に向きを変えることができず、そのまま、第3分岐管33を通じて第2開閉弁52(Y字型滞留防止構造の至行き止まり箇所側)に向かう。第2開閉弁52が閉じている場合は、そこで行き止まりになるので、その行き止まりの部分に滞留している気体を巻き込んで向きを変え、圧力センサ42のあるY字構造の出口側に向かう。このようにして、分岐管の奥深くまで掃気される。なお、第3分岐箇所B3から第2開閉弁52までの第3分岐管33、第4分岐箇所B4から第4開閉弁54までの第4分岐管34の長さは、上記の気流によって内部の気体が十分掃気されるように短くされている。
図4に示す滞留防止構造は、Y字構造の部分については図3と同様となり、Y字構造の出口の部分にノズル構造をさらに設けた構成になっている。管径を細くしたノズル型の滞留防止構造においては、Y字構造の部分から到来する気体がノズルの部分で流速を増した後、行き止まり箇所に向かって吐出する。そして、その行き止まり箇所の手前の管路内に滞留している気体を巻き込んで向きを変え、出口に向かって進む。このようにして分岐管の奥深くまで掃気される。
図5は、気体導入部10の構成を示す。気体導入部10は、比熱の大きい気体を温度調整して気体吐出口10aから吐出する機能を果たす。ここでは、比熱の大きい気体は、加湿した空気である。気体導入部10は、周囲から取り入れた空気を加熱するヒータ11と、気体導入部10に入る空気(ヒータ11を経た空気)の温度を測る入側温度センサ12と、ヒータ11を経た空気を所望の湿度に加湿する加湿器13と、加湿器13の出側の空気の湿度を測る湿度センサ14と、加湿器13を経た空気を圧縮するコンプレッサ15と、加圧され加湿された空気を除湿するエアクーラ16およびエアドライヤ17と、圧縮された空気を圧縮された状態で蓄えるエアタンク18と、エアタンク18に蓄えられている空気を加温するためのヒータ19と、雰囲気の気圧(大気圧)を測定する気圧計21と、リーク検査装置5(特に検査装置本体6)の周囲の雰囲気の温度と湿度を測定する温湿度センサ22と、気体導入部10の気体吐出口10aから出る気体の温度を測定する出側温度センサ23と、目標圧力や大気圧等から、加湿器11で加湿した後の気体(空気)の目標の湿度等を演算する演算部24と、気体導入部10を含めてリーク検査装置5全体の動作を制御する制御部25を備えている。主管路30は、気体吐出口10aに接続されてエアタンク18の出口に連通する。
気体導入部10は、エアタンク18から検査装置本体6内へ目標圧力になるように気体を加圧導入したとき、検査装置本体6の配管やワークW内等で結露が生じない湿度、たとえば、検査装置本体6内で相対湿度が略80〜100%(加圧時相対湿度)となることを目標にして動作する。すなわち、検査装置本体6内の配管に導入されたときに該気体の湿度が略80〜100%となり、かつその温度が周囲温度とほぼ等しくなるように、湿度および温度を調整した加圧気体をエアタンク18に蓄える。目標圧力は、たとえば、400〜1000KPaにされる。
加湿器13で加湿する目的は、気体導入部10が取り入れる周囲の空気が乾燥している冬場であっても、エアドライヤ17から出てエアタンク18に蓄積される圧縮空気の湿度を略80〜100%(加圧時相対湿度)とするためである。
なお、従来のエアドライヤは以下のような構造である。すなわち、コンプレッサ15からの湿った熱い空気はエアドライヤ内の熱交換器で、該エアドライヤから出て来る湿った(除湿された)冷たい空気と熱交換されて予冷され、更に、エアクーラでフロンガスにより所定温度に冷却される。これにより空気中の水分は凝縮し、冷却除湿される。すなわち湿度100%(加圧時相対湿度100%)となる。その後、エアドライヤ内の熱交換器に入って来る熱い空気と熱交換(余熱)されて湿度が下げられてからエアドライヤから排出される。すなわち、エアドライヤからは乾燥した空気が供給される。
しかし、この構造では、加圧時相対湿度を略80〜100%にするという気体導入部10における加湿の目的を達成できない。そこで、気体導入部10で用いるエアドライヤ17は、前述した予冷、余熱を行う熱交換器を用いず(または低能力として)にエアドライヤ17から出る空気の湿度が下げられることなく(または下げ幅をコントロールして)高湿度で出る仕組みを用いると共に、エアドライヤ17から出る空気の温度が、気体導入部10や検査装置本体6の周囲の空気の温度(雰囲気温度)と略同じ温度(又は所定温度低い温度)になるように温度調整する。これにより、エアドライヤ17の下流、例えば、検査装置本体6、エアタンク18、検査装置本体6〜エアタンク18(またはエアドライヤ17)間の配管等の内部で結露するのを防止している。
なお、夜間を含む略1日間の最低温度を記憶しておき、最低温度のときでも結露しない湿度とすべく、好ましくは湿度85%(加圧時湿度)のように若干湿度を低めにしてエアドライヤ17から出すようにしてもよい。なお、冬場に気体導入部10に入る空気の温度と検査装置本体6等がある場所の雰囲気温度が異なる場合には、気体導入部10に入る空気の温度とエアドライヤ17から出る空気の温度(雰囲気温度)とは同じ温度とせずに、エアドライヤ17から出る空気の温度は検査装置本体6等がある場所の雰囲気温度と同じ温度とすることで、前記配管等内で結露するのを防止することができる。
本実施の形態に示す気体導入部10では、加湿器13、コンプレッサ15、エアドライヤ17、エアタンク18の順に接続されているが、例えば加湿器13、コンプレッサ15、エアタンク18、エアドライヤ17の順であってもかまわず、順番は問わない。
なお、コンプレッサ15で圧縮した後の空気を加湿することもできる。たとえば、エアタンク18の中に加湿器13を設置すれば、圧縮後の空気が加湿される。しかし、圧縮後に加湿すると、加湿方法(超音波加湿、加熱水蒸気加湿)によりエアタンク18内の温度が変わる。例えば超音波加湿を行うとエアタン18内の温度が下がり、加熱水蒸気加湿を行うとエアタン18内の温度が上がる。検査装置本体6に減圧導入した際に雰囲気温度と一致するようにエアタンク18内で気体を保温貯留しておけば、検査装置本体6に目標圧力で減圧導入した際に、結露が生じ難くなるが、圧縮後に加湿すると、検査装置本体6に減圧導入した際に結露させないようにするための温度制御も難しくなる。そのため、本実施の形態では、加湿器13で加湿した後の空気をコンプレッサ15で圧縮している。
図6は、ワークWに手動4方弁70を取り付けた状態を示している。手動4方弁70は、接続口1〜4を備えている。接続口1はリーク検査装置5の準備用接続口31aあるいは検査用接続口32aに接続される。接続口2には、ワークWの内部の奥まで挿入される内挿管71の一端が接続される。接続口3には、外郭管72の一端が接続される。接続口4は大気に開放されている。外郭管72の他端はワークWの入り口に接続される。なお図示省略しているが、ワークWの入り口を封鎖する蓋体を取り付けてあり、外郭管72は蓋体を貫通してワークWの入り口近くで終端して開口している。
内挿管71は、外郭管72の途中で外郭管72の周壁を貫通して外郭管72の中に入り、その後は、外郭管72の中を通ってワークWの中に挿入される。ワークWの内部に挿入された内挿管71はワークWの内部の奥まで至り、先端がワークWの内部の最奥付近で開口している。なお、内挿管71は、外郭管72の中を通る必要はなく、内挿管71と外郭管72がそれぞれ蓋体を貫通する構造としてもよい。また、外郭管72の終端を直接、ワークWの入り口に接続する構造とし、外郭管72がワークWの入り口を封鎖する蓋体の機能を兼ねるようにしてもよい。
図7は、手動4方弁70が取り得る4つの開閉状態を示している。同図(a)は、接続口1と接続口2が連通し、かつ接続口3と接続口4が連通した「両開」の状態を示している。「両開」の状態で気体導入部10から加圧導入された気体が接続口1から流入すると、該気体は接続口2から内挿管71を通じてワークWの内部の奥に吐出される。また外郭管72は接続口4を経て外界に通じている。内挿管71の先端からワークWの内部の奥に気体が吐出されると、これに伴って、元々ワークWの内部にあった空気が外郭管72を通じて外界に排出される。なお、図6は、手動4方弁70は「両開」の状態を示している。
図7(b)は、接続口1と接続口2が連通し、かつ接続口3と接続口4が閉鎖された「第1開」の状態を示している。図7(c)は、接続口1、接続口2、接続口3、接続口4がいずれも閉鎖された「閉」の状態を示している。図7(d)は、接続口1と接続口4が連通し、かつ接続口2と接続口3が閉鎖された「第2開」の状態を示している。手動4方弁70では各状態への切り替えは手動で行われる。
次に、リーク検査装置5における検査手順について説明する。
リーク検査装置5では、差圧センサ50の両側の空間を一度目標圧力に加圧すると、その状態を維持したままで、マスタMやワークWを交換して次々と検査を進めることができる。また、断熱圧縮・膨張による温度変動を極力抑えて、短時間でかつ高い精度で検査できるようになっている。
リーク検査装置5の検査装置本体6においては、図8に示すように、第3開閉弁53と第1サブ掃気弁56と差圧センサ50の第1検出口50aとの間の空間を第1空間81(図中、太線で示す)、第5開閉弁55と第2サブ掃気弁57と差圧センサ50の第2検出口50bとの間の空間を第2空間82(図中、太線で示す)、第2開閉弁52と第3開閉弁53との間を第3空間83(図中、太破線で示す)、第4開閉弁54と第5開閉弁55の間を第4空間84(図中、太破線で示す)、第1開閉弁41と第1排気弁44と第2開閉弁52と第4開閉弁54と手動弁48の間の空間を第5空間85(図中、太線で示す)とする。
詳細には、第1空間81は、第3開閉弁53と第1検出口50aとの間の第3分岐管33、小マスタMa、第1掃気口33aから第1サブ掃気弁56までの第1掃気管36で構成される。第2空間82は、第5開閉弁55と第2検出口50bとの間の第4分岐管34、小マスタMb、第2掃気口34aから第2サブ掃気弁57までの第2掃気管37で構成される。第3空間83は第2開閉弁52と第3開閉弁53の間の第3分岐管33で構成される。第4空間84は第4開閉弁54と第5開閉弁55との間の第4分岐管34で構成される。第5空間は、第1開閉弁41と第1排気弁44の間の主管路30、第3分岐箇所B3から第2開閉弁52までの第3分岐管33、第4分岐箇所B4から第4開閉弁54までの第4分岐管34、第2分岐箇所B2から手動弁48までの第2分岐管32で構成される。
密閉した検査系空間は、連通された第1空間81、第3空間83、第5空間85から構成される。
図9は、リーク検査装置5における検査手順を示している。まず、気体導入部10のエアタンク18に、加湿し圧縮し温度調整した空気を蓄える(ステップS201)。すなわち、気体導入部10は、周囲から空気を取り入れ、この空気を加湿器13で加湿する。そして、加湿器13で加湿後の空気をコンプレッサ15で目標圧力以上に圧縮し、エアクーラ16およびエアドライヤ17を経て、エアタンク18に送り込み蓄える。このとき、制御部25は、検査装置本体6内の配管に導入されたときに該気体の湿度が略80〜100%となり、かつその温度が周囲温度とほぼ等しくなるように、湿度および温度を調整した加圧気体がエアタンク18に蓄えられるように温度、湿度、圧縮を制御する。
次に、検査装置本体6内の全体を掃気する(ステップS202)。すなわち、第1開閉弁41を閉じ、手動弁47、第1分岐管開閉弁46を開いて、エアタンク18から供給される気体で第1分岐管31を掃気した後、第1分岐管開閉弁46を閉じる。次に、第2開閉弁52、第3開閉弁53、第4開閉弁54、第5開閉弁55、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57、メイン掃気弁58、第1排気弁44、第2排気弁45、手動弁48を開いた状態で第1開閉弁41を開き、エアタンク18から供給される気体を、検査装置本体6の各管路(除く第1分岐管31)に流して掃気する。
所定時間掃気したら、手動弁48、第2排気弁45、メイン掃気弁58、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57を閉じた後、第1開閉弁41を閉じる。ここでの掃気の目的は、気体導入部10から送られてくる気体と溜まり場(後述する熱溜まり箇所等)にある気体とを、例えば同一の気体(比較する気体同士を同じ物理常数(温湿度)を持つ気体)として、正確な検査を可能にすることである。
該掃気において、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57、メイン掃気弁58を開くことで、差圧センサ50の第1検出口50aの極近くの第1掃気口33a、および差圧センサ50の第2検出口50bの極近くの第2掃気口34aが共に掃気ポート38aに連通する。
そのため、エアタンク18からの気体が第3分岐管33を流れ、差圧センサ50の第1検出口50aの極近くの第1掃気口33aから第1掃気管36、第1サブ掃気弁56、メイン掃気弁58を通じて掃気ポート38aから大気に排出される。このとき、エアタンク18から第3分岐管33に入ってきた気体は、第1掃気口33aに直接流れ込まず、慣性により直進して、差圧センサ50の第1検出口50aに到達し、差圧センサ50内の気体をも巻き込んで、第1掃気口33aへ流れ込み、掃気ポート38aから排出される。同様に、エアタンク18からの気体は第4分岐管34を流れ、差圧センサ50の第2検出口50bに到達し、差圧センサ50内の気体をも巻き込んでから、第2検出口50bの極近くの第2掃気口34aから第2掃気管37、第2サブ掃気弁57、メイン掃気弁58を通じて掃気ポート38aから大気に排出される。
これにより、差圧センサ50の第1検出口50a、第2検出口50bに至るまでの全ての管路内がエアタンク18からの気体に置き換わって、掃気される。
なお、第1掃気口33a、第2掃気口34aは差圧センサ50の検出口50a、50bにできるだけ近くに設けることが望ましい。少なくとも、メイン掃気弁58、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57を開いて掃気する際の気体の流れ(第1掃気口33aや第2掃気口34aから第1掃気管36、第2掃気管37へ向かう気体の流れ)に伴って、第1掃気口33aから第1検出口50aに至る第3分岐管33内、および第2掃気口34aから第2検出口50bに至る第4分岐管34内が十分掃気されるように、第1掃気口33a、第2掃気口34aを差圧センサ50の検出口50a、50bの近傍に設ける。
掃気を終える際には、第1開閉弁41を閉じ、排気弁45、手動弁48を閉じ、さらに、メイン掃気弁58を閉じてから第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57閉じる。メイン掃気弁58を閉じてから第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57を閉じることで差圧センサ50の両端に大きな差圧が生じることが防止される。なお、最後に第1開閉弁41を閉じるようにすれば、大気が管内に逆流することなく、管内がエアタンク18からの気体で充満された状態で掃気を終えることができる。
次に、検査装置本体6内の全体を目標圧力に加圧した後、放置して温度が安定するまで待つ(ステップS203)。詳細には、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57を閉じた後、第1開閉弁41を開き、第1空間81、第2空間82、第3空間83、第4空間84および第5空間85が連通した状態でエアタンク18からの気体を検査装置本体6内に加圧導入する。実際にはエアタンク18内の圧力が目標圧力より高いので気体は減圧されて検査装置本体6へ導入される。加圧導入が終了したら第1開閉弁41を閉じる。目標圧力になったか否かは圧力センサ42の検出値で確認する。
気体導入部10のエアタンク18から導入される気体は、検査装置本体6内に減圧導入されて目標圧力になったとき、ちょうど、周囲温度と同じ温度になるように調整されているので、検査装置本体6内の温度が周囲温度と一致して安定な状態になるまでの待ち時間は短くて済む。また気体導入部10から減圧導入された気体は結露せず、かつ湿度は略80%になる。
ところで、ステップS202の掃気の時間を短縮して掃気が完全でない場合には、検査装置本体6の中に残っていた気体が、行き止まりの箇所で断熱圧縮されて発熱し熱溜まりが形成される。図10は、たとえば、リーク検査装置5の製造時の空気が検査装置本体6に残っている状態でステップS203にて加圧した場合に生じる熱溜まり箇所をグレーの塗りつぶしで示している。具体的には、主管路30が第2排気弁45で行き止まりになる熱溜まり箇所d1、第1掃気管36が第1サブ掃気弁56で行き止まりになる熱溜まり箇所d2、第2掃気管37が第2サブ掃気弁57で行き止まりになる熱溜まり箇所d3、第2分岐管32が手動弁48で行き止まりになる熱溜まり箇所d4に熱溜まりが生じる。さらに、差圧センサ50の両側にも熱溜まりが生じる。
そこで、ステップS203での加圧の終了直前に、あるいは、目標圧力より少し高めの圧力に加圧してから、排気弁45、メイン掃気弁58、第1サブ掃気弁56、第2サブ掃気弁57、手動弁48を少し開いて、熱溜まり箇所d1〜d4、および差圧センサ50の第1検出口50aや第2検出口50bの部分に溜まっている気体を排出して熱を外界へ逃がすようにしている。なお、手動弁48については、ここでは、閉じたままとしてもよい。この場合、後述するS205の掃気において、熱溜まり箇所d4に溜まっている熱(気体)が排出される。
また、第2排気弁45を少し開いて熱溜まり箇所d1に溜まっている熱を排出したら、第1排気弁44を閉じる。熱溜まり箇所d1に溜まっていた熱で第2排気弁45は昇温し蓄熱しているので、第1排気弁44を閉じることで第2排気弁45を切り離して断熱する。
ここでの掃気は、断熱圧縮されて昇温した気体が、排気弁45や差圧センサ50で行き止まりになって熱溜まり箇所になった部分で周囲に熱を撒き散らしている状態を一刻も早く解消することを目的としている。
ステップS203の加圧により、差圧センサ50内が、断熱圧縮により発熱した気体で満たされるため、その後、その発熱が放熱して安定状態が形成されるまで(この時間を安定経過時間とする)待つ。
検査装置本体内が目標圧力になって安定経過時間が経過した後に、第1空間81、第2空間82、第3空間83、第4空間84、第5空間85を分離し、それぞれを閉鎖空間にする(ステップS204)。具体的には、第3開閉弁53、第5開閉弁55を閉じ、さらに第2開閉弁52、第4開閉弁54を閉じる。このあと、第2空間82、第4空間84は目標圧力に維持される。
なお、前述の安定経過時間を設けない場合、あるいは設定した安定経過時間が不十分な(短い)場合には、第2空間82を密閉・分離した後も放熱が進み、該放熱と共に第2空間82内の圧力が下がってしまうので、第2空間82がワークWのリーク検査における基準にならなくなってしまう。そのため、十分な安定状態が形成されるだけの安定経過時間の経過を待ってから第2空間82を密閉して分離する。
なお、リーク検査装置5では、ワークWやマスタMを交換する場合に手動弁48を閉じることで、第1空間81、第3空間83、第5空間85についても、ほぼ目標圧力に維持され、これらの空間において気体の入れ替えがほとんど生じないようになっている。
次に、マスタMを準備用接続口31aに接続し、該マスタMに取り付けてある手動4方弁70を「両開」の位置にして、第1分岐管開閉弁46、手動弁47を開き、エアタンク18からの気体(検査用気体:加湿され圧縮された空気)でマスタM内を掃気する。その後、手動4方弁70を「第1開」の位置に変え、マスタM内を目標圧力まで加圧する(ステップS205)。ここでの目標圧力は、電空レギュレータ40によって制御される圧力であり、検査時の目標圧力よりやや高くされている。
掃気時は、マスタMに取りつけてある手動4方弁70が「両開」の位置にあるので、エアタンク18から導入された気体は、図6に示すように、マスタMの内部の奥で内挿管71の先端から吐出し、これに伴って、元々マスタMの内部にあった空気がマスタMの入口から外郭管72を通じて手動4方弁70の接続口4から外界へ排出される。
マスタM内の掃気完了後に手動4方弁70を「第1開」の位置にすることで、その後は圧力の上昇が進み、マスタM内が目標圧力に至る。加圧が完了したら第1分岐管開閉弁46を閉じる。なお、マスタM(後述するワークWについても同じ)を加圧する場合の圧力は、検査装置本体内と同じ目標圧力にすることが好ましいが、任意の圧力でもよい。
次に、手動4方弁70を「閉」の位置にし、マスタMを準備用接続口31aから外し、検査用接続口32aに取り付ける(ステップS206)。手動4方弁70を「閉」とすることで、マスタMを含む密閉空間が形成される。
次に、手動弁48を開き、手動4方弁70を「第2開」の位置にして、手動弁48と手動4方弁70との間にあった空気を外界へ排気する(ステップS207)。
次に、手動4方弁70を「第1開」の位置にして、マスタMと第5空間85を連通させる。これにより、マスタMを含む密閉空間と検査用空間とが連通される。その後、第1開閉弁41を開き、圧力センサ42の検出値に基づいて、該空間を目標圧力よりやや高い圧力に加圧する(ステップS208)。たとえば、目標圧力800KPaに対して、800.25KPaまで(圧力センサ42の誤差分以上まで)加圧する。圧力センサ42は誤差が大きいので、圧力センサ42の測定レンジ(フルスケール)1000KPaにて検出値が800.25KPaを示していても、例えば圧力センサ42の測定精度(誤差)が、0.025%/フルスケールの場合、実際には、800.0〜800.5KPaの範囲の圧力になる。したがって、第2空間82よりも第5空間85は、0〜0.5KPaだけ高い圧力になる。
その後、第2開閉弁52を開いて第5空間85と第3空間83を連通させ、さらに第3開閉弁53を開いて、第1空間81、第3空間83、第5空間85を連通させる。そして、差圧センサ50の検出値から、第2空間82側と、第1空間81側の圧力が等しくなるように、第1排気弁44および第2排気弁45から少しずつ排気して圧力を合わせ込む(ステップS209)。このようにすることで、圧力センサ42の測定誤差を差圧センサ50で校正して、第1空間81およびこれに連通している第3空間83、第5空間85、マスタM内を正確に目標圧力(第2空間82と同じ圧力)に調整することができる。
なお、第5空間85をほぼ目標圧力に加圧してから第5空間85を第3空間83および第1空間81に連通させるので、差圧センサ50に大きな差圧が加わることが防止される。
第2開閉弁52より第3開閉弁53側の第3分岐管33は、恒温槽60に収容されて一定温度に保たれているので、第3空間83、第1空間81、第2空間82には一定温度に保たれた気体がある。S208で第2開閉弁52を開いてから第3開閉弁53を開いたときは、第3空間83にあった気体が第1空間81に流れ込む。よって、恒温槽60にて一定温度に保たれた気体が差圧センサ50の両側に加えられるので差圧センサ50の温度ドリフトが発生しない。
すなわち、差圧センサ50の温度ドリフトは差圧センサ50の周囲温度、差圧センサ50に接触する第1空間81、第2空間82の温度によって左右されるが、後述の基準特性を取得する時やワークWの検査時等において第1空間81、第2空間82に流出入する気体もまた第1空間81、第2空間82の温度と同じであるようにすれば、第1空間81、第2空間82の温度が変化せず、もって、差圧センサ50の温度ドリフトの発生を防止できる(ドリフト対策)。
ステップS208の加圧においても、各種の対策を施さなければ、行き止まりの箇所にて発熱する。具体的には、図10に示すように、第4分岐管34が第4開閉弁54で行き止まりになる箇所d5、第3分岐管33が第2開閉弁52で行き止まりになる箇所d7、ワークWの内部の奥で行き止まりになる箇所d6、主管路61が排気弁45で行き止まりになる箇所d1にて熱溜まりが発生し得る。
しかし、ステップS209にて第1排気弁44、第2排気弁45から排気することで熱溜まり箇所d1の熱は外界へ排出される。また、熱溜まり箇所d5、d7についても第3分岐箇所B3、第4分岐箇所B4に設けたY字型の滞留防止構造により、第1排気弁44、第2排気弁45を開いて熱を外界に排出する際に、熱の溜まりが解消される。そして、マスタ内の奥の熱溜まり箇所d6については、S205でマスタM内を同じ気体で事前に目標圧力に加圧してあるので、熱の発生はほとんどない。また、結露しない。後述するS213で事前に同じ気体で目標圧力へ加圧するワークWをS216で加圧し、S217で目標圧力に合わせ込む場合も同様である。
次に、基準特性を測定する(ステップS210)。すなわち、差圧センサ50の検出値の時間経過に伴う変化を、基準特性として測定する。また、この測定時の周囲湿度、周囲温度、周囲気圧、エアタンク18内の気体の温度・湿度・圧力、加圧時間、加圧完了時の検査装置本体6内の気体の温度などを併せて記憶する。
前述したように、加圧時に、熱溜まり箇所に熱はほとんど溜まることがなく、また、目標圧力になったときに周囲温度と一致するように温度湿度の調整された気体が気体導入部10から減圧導入されるので、検査装置本体6内の温度が安定するまでの時間(静定時間)は短くて済む。
なお、加圧完了後、放熱(漏れ以外の要因)による圧力低下がほぼ収束するまでの所定の時間を静定時間として設定し、マスタMについて静定時間が経過したときに差圧センサ50が検出している圧力差の値を基準特性として取得してもよい。
基準特性の測定が終了したら、第3開閉弁53、第2開閉弁52を閉じて第1空間81、第3空間83、第5空間85を独立した空間に分離する(ステップS211)。次に、手動弁48を「閉」位置として、マスタMを大気開放とし、手動4方弁70ごと、マスタMを検査用接続口32aから取り外す(ステップS212)。マスタM内の気体は検査装置本体6の内部を通らずに手動弁48から外界へ排出される。
マスタM内にあった高圧高湿度の空気を大気開放すると、断熱膨張によって急冷され、ダイヤモンドダストが舞う。マスタM(後述するワークWの場合も同じ)から吐出する空気を、手動弁48から外界へ排出することで、このダイヤモンドダストが検査装置本体6内に入らないようにしている。
仮に、マスタMを大気開放する際に、検査装置本体6の第2排気弁45から排気すると、減圧で発生したダイヤモンドダストは、圧力センサ42に衝突して溜まってしまう。すなわち、ワークWやマスタMを大気開放する際に排気弁45を開くと、マスタM(検査時はワークW)内の気体は第2分岐管32、主管路30を通って検査装置本体6から排出されるが、減圧によって生成されたダイヤモンドダストは、慣性力で直進し、圧力センサ42に向かい、主管路30の方向へは行かない。
このダイヤモンドダストは、周囲湿度が低いので(たとえば、420KPaに加圧されている時の相対湿度100%は、大気開放下では相対湿度15.15%なので)、すぐに蒸発するが、それと共に周囲湿度が上昇する。そのため、次の加圧前に第5空間85を掃気しなければ、次の加圧により管内で結露が発生してしまう。本実施の形態に係るリーク検査装置5では、マスタMやワークWを大気開放する際に手動弁48から外界へ気体を逃がすので、上記の問題は生じない。
次に、ワークWを準備用接続口31aに接続し、マスタMの時と同様に掃気した後、目標圧力に加圧する(ステップS213)。すなわち、ワークWに取り付けてある手動4方弁70を「両開」の位置にして、第1分岐管開閉弁46、手動弁47を開き、エアタンク18からの気体(検査用気体:加湿され圧縮された空気)でワークW内を掃気する。その後、手動4方弁70を「第1開」の位置に変え、ワークW内を目標圧力まで加圧する。
次に、ワークWの手動4方弁70を「閉」位置にしてワークWを準備用接続口31aから取り外し、検査用接続口32aに取り付ける(ステップS214)。手動4方弁70を「閉」とすることで、ワークWを含む密閉空間が形成される。
なお、ワークWについては、目標圧力に加圧する作業を次々に行い、準備用接続口31aから取り外したものを、内部の気体の温度が周囲温度に一致するまで保管場所にてしばらく放置し、その後、検査用接続口32aに接続する。こうすれば、別のワークWを検査している間に、保管場所にて温度の安定を図ることができる。また、ワークWを検査用接続口32aに接続して検査している間に別のワークWを準備用接続口31aに接続して掃気及び目標圧力へ加圧することを行うこともできる。
次に、手動弁48を開き、ワークWの手動4方弁70を「第2開」の位置にして、手動弁48と手動4方弁70との間にあった空気を外界へ排気(パージ)する(ステップS215)。
次に、手動4方弁70を「第1開」の位置にして、ワークWと第5空間85を連通させる。ワークWを含む密閉空間と検査用空間とが連通される。その後、マスタMの場合と同様に、第1開閉弁41を開き、圧力センサ42の検出値に基づいて、該空間を目標圧力よりやや高い圧力に加圧する(ステップS216)。次に、第2開閉弁52を開いて第5空間85と第3空間83を連通させ、さらに第3開閉弁53を開いて、第1空間81、第3空間83、第5空間85を連通させる。そして、差圧センサ50の検出値から、第2空間82側と、第1空間81側の圧力が等しくなるように、第1排気弁44および第2排気弁45から少しずつ排気して圧力を合わせ込む(ステップS217)。このようにすることで、圧力センサ42の測定誤差を差圧センサ50で校正して、第1空間81およびこれに連通している第3空間83、第5空間85、ワークW内を正確に目標圧力(第2空間82と同じ圧力)に調整することができる。
なお、第5空間85をほぼ目標圧力に加圧してから第5空間85と第3空間83、第1空間81を連通させるので、差圧センサ50に大きな差圧が加わることが防止される。
ここでも、ステップS208、209で説明したと同様に、合わせ込み時の排気やY字型構造、恒温槽60の存在により、差圧センサ50の温度ドリフトおよび熱溜まりの発生が防止される。また、ワークW内はS213にて同じ気体で事前に充填されているので、発熱や結露は生じない。
次に、ワークWの漏れを検査する(ステップS218)。すなわち、差圧センサ50の検出値の時間経過に伴う変化を測定し、この測定結果と、先に測定した基準特性を比較することで、ワークWの漏れの有無を判定する。ワークWに漏れがなければ、測定結果は基準特性と一致あるいはほぼ一致する。ワークWから空気が漏れている場合は、基準特性との差が大きくなる。たとえば、所定時間経過時点の検出値と基準特性の値との差が許容値を超える場合はワークWに漏れがあると判定する。
なお、マスタMについて静定時間が経過したときの圧力差の値を基準特性として取得している場合には、ワークWの検査においても静定時間経過時の圧力差を計測し、この値と基準特性としての静定時間経過後の圧力差とを比較し、その差が所定の閾値未満ならばワークWは漏れなし(検査合格)と判定し、閾値以上ならば漏れあり(検査不合格)と判定するようにしてもよい。
前述したように、加圧時に熱溜まり箇所に熱がほとんど溜まることがなく、また、目標圧力になったときに周囲温度と一致し結露せずに湿度略80%になるように温度・湿度が調整された気体が気体導入部10から導入されるので、検査装置本体6内の温度が安定するまでの時間(静定時間)は短くて済む。また、結露しない。ステップS205〜S209と、S213〜S217は同じ動作であり、基準特定の測定時と検査時とで条件を同一にすることができる。
検査が終了したら、第3開閉弁53、第2開閉弁52を閉じて、第1空間81、第3空間83、第5空間85を分離する(ステップS219)。次に、手動弁48を「閉」位置として、ワークWを大気開放とし、手動4方弁70ごとワークWを検査用接続口32aから取り外す(ステップS220)。ワークW内の気体は検査装置本体6の内部を通らずに手動弁48を介して外界へ排出される。
次のワークWを続けて検査する場合は(ステップS221;No)、ステップS213へ移行して作業を継続する。検査終了ならば(ステップS221;Yes)、本処理を終了する。
なお、図10の手順は、作業員が行う、あるいは一部(ワークWの取り付け、取り外しなど)は作業員の手を借り、その他は制御基板が制御して実行する。
このように、リーク検査装置5では、マスタMやワークWを交換する場合にも、差圧センサ50の両側の第1空間81と第2空間82はほぼ同じ圧力に維持されるので、差圧センサ50の両側に大きな差圧が加わることがなく、高精度の差圧センサ50を用いて、高圧下での検査を行うことができる。
また、第1空間81、第2空間82、第3空間83、第4空間84、第5空間85は、マスタMからワークWへの交換やワークWを次のワークWに交換する際にも、ほぼ目標圧力に加圧された状態が維持されると共に、空間内の気体がほとんど入れ替わることがない。このため、気体の加圧導入や減圧開放時に生じる熱(断熱圧縮による発熱、断熱膨張による冷却と冷却された加湿空気の配管内結露、音速以下の空気通過による摩擦熱、音速以上の空気通過による衝撃波による加熱など)の影響をリーク検査装置5はほとんど受けることがなく、同じ条件で短時間のうちに複数のワークWを検査することができる。
また、検査装置本体6の配管やワークW、マスタMは、それらの中に元々あった気体を、気体導入部10で物理常数を調整した検査用気体で掃気した後、該検査用気体を加圧導入するので、元の気体が断熱圧縮されて発熱し、行き止まり箇所に熱が溜まることが防止・低減される。
特に、従来は掃気が困難であった非貫通型のワークWやマスタMの内部についても、内挿管71、外郭管72および手動4方弁70を使用することで掃気が可能になった。ワークWやマスタMの内部を、検査用気体で事前に置換することで、ワークWやマスタM内に元々あった気体が断熱圧縮されることによる発熱等を防止することができる。
また、各熱溜まり箇所d1〜d5、d7についても、加圧時にそれらの箇所に溜まる熱い気体を、加圧終了の直前等に弁を少し開く制御、および滞留防止構造によって外部へ逃がして排熱している。差圧センサ50の第1検出口50a、第2検出口50bでの熱溜まりについては、検出口50a、50bの極近傍に弁で開閉可能な第1掃気口33a、第2掃気口34aを設け、加圧終了の直前等に該弁を開いて熱を外部へ逃がしている。また、恒温槽60を設けることで、S209、S217の圧力の合わせ込みにおいても、差圧センサ50の第1検出口50aに接する気体を一定温度に維持している。
このように、リーク検査装置5では、検査系、マスタMやワークWの内部を十分掃気すること、加圧時に各熱溜まり箇所d1〜d5、d7に生じる熱を外部へ排出すること、恒温槽60によって差圧センサ50の両検出口に接する気体を一定温度に保つこと、ワークW交換時に検査系空間を閉鎖状態に維持すること等により、気体の加圧導入や減圧開放時に生じる熱(断熱圧縮による発熱、断熱膨張による冷却と冷却された加湿空気の配管内結露、音速以下の空気通過による摩擦熱、音速以上の空気通過による衝撃波による加熱など)の影響をほとんど受けずに、同じ条件で短時間のうちに複数のワークWを検査することができる。
さらに、比熱(組成、湿度)をコントロールした検査用気体を気体導入部10で生成して使用するので、圧力をかけた時に断熱圧縮で発生する熱量や減圧時に断熱膨張で放熱される熱量を空気線図等から事前に求めることができる。これを利用して本実施の形態に係るリーク検査装置5では、エアタンク18から検査装置本体6へ気体を減圧導入したときに目標圧力となり、かつ周囲温度とほぼ同じ温度で結露しない状態が形成されるように制御し、静定時間の短縮等を図っている。
また、マスタMやワークW内の気体を、手動弁48から外部に排出するので、該気体が主管路30等の検査装置本体6内をほとんど通らなくて済む。これにより、断熱膨張による冷却と冷却による加湿空気の配管内結露等を防ぐことができる。なお、ステップS219にて、第3開閉弁53、第2開閉弁52を閉じて、第1空間81、第3空間83、第5空間85を分離した後に、ステップS220の手動弁48を「閉」位置としていたが、その前に、手動4方弁70を「第1開」の位置から「閉」の位置とした後に手動弁48を「閉」位置とすることで手動弁48と手動4方弁70との間にあった空気を大気開放とし、手動4方弁70ごとワークWを検査用接続口32aから取り外した後に手動4方弁70を「第1開」の位置とすることでワークWを大気開放としても良い(ステップS220)。このようにすると検査装置の使用時間が短くなり、検査回数を増やすことができる。また、断熱膨張による冷却の影響を検査装置がより受け難くなる。さらに、準備用接続口31aは、熱的影響を受けないように検査装置本体6と別体にして、ステップ213等の加圧を行うようにすれば、ワークWを加圧する際の断熱圧縮による熱の影響を検査装置本体6がより受け難くなる。
ところで、天候によって、加湿器13に入る空気の温度や湿度、気圧が相違する。そこで、天候に左右されずに、毎日の検査を同じ条件で行うために、制御部25は、加湿器13で加湿しコンプレッサ15で圧縮してエアタンク18に蓄える空気が、一定密度(kg/m3)、一定比熱KJ(/kg・K)、一定熱伝導度W/(M・K)になるように加湿器13、コンプレッサ15、エアクーラ16、エアドライヤ17、ヒータ19等を制御する。
なお、空気の比熱Cは以下の式によって求められる。
C=(Cpa・t+(γ+Cpv・t)x)/t
Cpa:乾き空気の定圧比熱[1.006KJ/(kg/K)]
Cpv:水蒸気の定圧比熱[1.805KJ/(kg/K)]
γ:1気圧、0℃の水の蒸発潜熱[2500KJ/kg]
t:湿り空気の温度[℃]
x:絶対湿度[kg/kg(DA)]
空気の比熱は、空気中に含まれる水分量(絶対湿度)に大きく左右されるので、空気に含ませることのできる水分量を多くするために、特に冬場においては、空気を加温して加湿することが有効になる。
たとえば、周囲から取り入れた空気を気体導入部10に設けたヒータ11で昇温してから加湿器13で加湿する。加温しても(さらにコンプレッサ15で圧縮されて発熱しても)エアタンク18に貯留している間に放熱して雰囲気温度に近づく。すると、検査時に、主管路30等に導かれた時に、電空レギュレータ40で減圧されるので、断熱膨張によりさらに冷却される。そこで、主管路30などの各管路(第1空間81から第5空間85を構成する管路)を断熱材で保温したり、エアタンク18内にヒータ19を入れて保温したりするとよい。
上記の保温は、電空レギュレータ40で減圧冷却した温度が雰囲気温度となるように、減圧後の湿度、エアタンク18内圧力、目標圧力等からエアタンク13内の貯留温度を求めて制御する。このように、管路を断熱材で保温したり、エアタンク18内にヒータ19を入れて保温したりすることで、減圧した際に結露し難くなるので、加湿器13で加湿後の空気の絶対湿度を高めることができる。
ここで、エアタンク18内に蓄える空気の湿度、温度を目標値に調整する際に気体導入部10が行う制御や演算について説明する。
気体導入部10の演算部24は、空気の湿度を演算する第1演算、エアタンク18内の加圧された空気の貯留温度を演算する第2演算、検査装置本体6内の目標圧力に対してエアタンク18内の圧力をどの程度高くしておくかを表す係数の値を決定する第3演算等を行う。係数は、エアタンク18内に蓄えられる空気圧力/目標圧力 で表される。
空気の湿度を演算する第1演算は次のように行なう。
大気圧をP1、検査での目標圧力をP2、気体導入部10に取り入れる空気の温度をT1、エアタンク18の出口での気体の温度をT2、大気圧P1かつ温度T1での飽和水蒸気量をV1、大気圧P1かつ温度T2での飽和水蒸気量をV2とし、エアタンク内での気体を湿度100%とする場合、
加圧前の大気圧下の空気に必要な湿度H1は、
H1=V2×圧縮比÷V1×100=V2×(P1/((P1+P2)×係数))÷V1×100
として求まる。
必要な湿度H1が、大気圧下の加湿前の空気の湿度H2より高ければ、(H1−H2)だけ加湿器13で加湿する必要があり、H1がH2以下であれば、加湿器13で加湿する必要はない。
<演算例1>
たとえば、大気圧100KPa、目標圧力900KPa、目標加圧時相対湿度100%、係数1.3、気体導入部10に取り入れる空気の温度T1が30℃、エアタンク18の出口で気体の温度T2が30℃の時について、必要な湿度H1を求める。
この場合の圧縮比は、
圧縮比=1/13(=大気圧100KPa/((大気圧100KPa+900KPa目標圧力)×係数1.3)) となる。
雰囲気温度T1が30℃のとき、検査装置本体6に供給される圧縮空気の温度(エアタンク18の出口での気体の温度)T2も、周囲温度と同じ30℃にすべきである。大気圧下かつ30℃での飽和水蒸気量V2は30.4(g/m3)なので、気体導入部10から吐出する空気中の(湿度100%時の)水分量Kは、
水分量K=V2×圧縮比=30.4(g/m3)×(1/13)=2.338(g/m3)となる。
加湿器13の入口温度T1が30℃ならば、加湿器13の入側の空気の飽和水蒸気量V1はV2と同じ30.4(g/m3)である。よって大気圧下かつ30℃での必要な湿度H1は、
H1=V2×圧縮比÷V1×100=K÷V1×100=2.338/30.4×100=7.7%となる。
したがって、加湿器13の入口湿度が約7.7%以下ならば加湿を行って約7.7%以上としてエアドライヤ17(コンプレッサ15)に送り込む(7.7%は大気圧時湿度)。例えば夏期では、気温が高く(例えば30℃)湿度も高い(例えば65%RH)。このような時期において雰囲気の湿度を測定する温湿度センサ22の出力が例えば65%RHを出力していた場合には、目標圧力から求める必要湿度H1(上記演算例1)が約7.7%なので、この差(7.7−65.0)がマイナスの場合には加湿不要として、加湿器13を動かす(加湿する)ことは行わない。
なお、検査装置本体6が置かれている場所の雰囲気温度と気体導入部10に入る空気の温度とが異なる場合には下記のように演算を行う。
<演算例2>
目標加圧時相対湿度100%、目標圧力420KPa、大気圧103KPa、気体導入部10に入る空気の温度10℃、検査装置本体の周囲の雰囲気温度が25℃の場合、
大気圧下、10℃での飽和水蒸気量は9.4(g/m3)、
大気圧下、25℃での飽和水蒸気量は23.0(g/m3)、
圧縮比=103/((420+103)×1.3)=0.151から
H1=V2×圧縮比÷V1×100=23.0×0.151÷9.4×100=37.1% となる。
雰囲気温度が仮に10℃であれば、H1=15.1%であるが、雰囲気温度が25℃なので37.1%以上としてエアドライヤ17(コンプレッサ15に送り込む。
例えば冬期では、気温が低く(例えば10℃)湿度も低い(例えば12%RH/25℃)。このような時期において雰囲気の湿度を測定する温湿度センサ22の出力が例えば12%RH/25℃を出力していた場合には、目標圧力から求める必要湿度H1(上記演算例2)が約37.1%となるので、この差がプラスの場合(0<(37.1%−12.0%))には加湿必要として、加湿器13を大気圧時湿度において37.1%となるように動かして加湿する。
すなわち、この加湿によって、例えば春〜秋期に至る期間(例えば演算例1の場合)と、乾燥した冬場の期間(例えば演算例2の場合)とで、加圧時の湿度に差が生じないように、すなわち、検査条件に差が生じないようにしている。
次に、エアタンク18内の加圧された空気の貯留温度を演算する第2演算について説明する。エアタンク18内の加圧された空気の貯留温度は下記のようにして求める。
例えば、大気圧100KPa、目標圧力900KPa、係数1.3の場合、エアタンク内の圧力は1200KPa(=((大気圧100KPa+900KPa目標圧力)×係数1.3)−大気圧100KPa)であるが、この空気が検査装置本体6に充填されると900KPa(目標圧力)となる。
すなわち、減圧充填されるので、エアタンク内にある時に比して充填されると温度が下がる(検査装置本体6は断熱構造ではないが、断熱圧縮時の発熱と逆の現象(断熱膨張)で温度が下がる)。検査装置本体6内に空気を加圧導入して目標圧力である900KPaになったときの検査装置本体6内の空気の温度が周囲温度と略同じになれば、加圧導入直後に、温度の安定した状態にすることができる。そこで、該状態にすべく係数1.3に基づき(正確には大気圧、湿度等も考慮に入れて)、周囲温度に比して所定温度高めた温度でエアタンク13内に空気を蓄える。
この時、所定温度高めた温度を下記理由に基づいてやや低めとしても良い。詳述すると、図9に示すS203、S208、S216等の加圧時と、S209、S212、S217、S220等の減圧時において、空気と検査装置本体6内の配管との摩擦によって熱が発生する(摩擦発熱)。この摩擦発熱の大きさはマッハ数(空気の速度)によって左右される(断熱圧縮の温度は圧力の0.3乗に比例するが、マッハ1を超えると衝撃波が発生し、圧力に比例する別の温度上昇現象が発生するのでマッハ1未満としている)。
ところで、掃気によってある程度の熱は除去できるものの、掃気時間を短くしようとすればするほど摩擦発熱の熱が残ってしまう(発熱の絶対量が多くなる為)。そこで、摩擦発熱のうちの掃気で除去しきれなかった蓄熱分を、加圧時に周囲温度より少し低い温度の空気をエアタンク18から導入して相殺する。
これにより、加圧後の静定時間中の放熱は、検査装置本体6内の空気温度と周囲温度との差がほぼない状態からスタートする僅かな放熱となるので、掃気の短時間化を図ることができる。このように、エアタンク18内の加圧された空気の貯留温度は、周囲温度に比して所定温度高めた温度ではなく、摩擦発熱を相殺するためにやや低めとしても良い。
次に、目標圧力に対してエアタンク18内の圧力をどの程度高くすべきかを示す係数の値を決定する第3演算について説明する。係数は固定でなくても良い。
たとえば、大気圧100KPa、目標圧力800KPa(加圧時相対湿度80%)、係数1.3の場合、エアタンク18内の圧力は1070KPa(=((大気圧100KPa+目標圧力800KPa)×係数1.3)−大気圧100KPa)にされる。1070KPaのエアタンク18内の湿度を100%(加圧時相対湿度)とすると、800KPaに減圧したときの湿度は、以下に示すように77%になる。
エアタンク内の圧力が1070KPa時の圧縮比は、圧縮比=大気圧/((大気圧+目標圧力)×1.3)=100/((100+800)×1.3)=1/11.7であり、目標圧力における圧縮比は、圧縮比=大気圧/(大気圧+目標圧力)=100/(100+800)=1/9、である。したがって、
圧縮比1/11.7:湿度100%=圧縮比1/9:77%、
なので、800KPaに減圧したときの湿度は77%になる。
このように、係数1.3の場合には目標圧力800KPaとすると検査装置本体6に導入したときの気体の湿度は77%となり、希望の80%にならない。そこで、第3演算では、係数を、たとえば、1.3から1.25に変更する。すなわち、目標圧力800KPaに対してエアタンク18内の圧力を1070KPaから1025KPaに落とす。こうすると、加圧時間が長くなって検査時間が延びるものの、目標圧力800KPa時の湿度を略80%以上(加圧時相対湿度)にすることができ、検査装置本体6に送りこむ気体の比熱を大きくして、温度による影響を少なくできる。
なお、エアタンク18の容量Vと、エアタンク18内の圧力P1と、必要吐出圧力P2と、使用空気量(必要空気量−吐出空気量)(m)と、使用時間t(分)との間には以下の関係がある。
V=Q×t÷((P1−P2)×10)
ここで、検査圧力の切換えがある場合について説明する。
まず、検査準備として、第1空間81〜第5空間85を目標圧力に加圧した後、冷やして、安定な状態にする(図9のS201〜S203)。前回の検査が演算例1に示すような目標圧力(900KPa)であり、今回の検査が演算例2に示すような目標圧力(420KPa)であるような場合には、以下のような方法でリーク検査装置5の検査装置本体6内の掃気を行う。
すなわち、前回の検査は目標圧力900KPa(雰囲気温度30℃)であり、気体導入部10に蓄える気体は、圧力が1200KPa(=((100+900)×1.3)-100)で湿度は100%(加圧時湿度)なので、これを絶対湿度に換算すると2.3(=30.4×1/13)(g/m3)となる。
今回の検査が目標圧力420KPa(雰囲気温度25℃)の場合、絶対湿度は3.5(=23.0×1/13)(g/m3)となり、前回の検査状態を放置したまま今回の検査を行うと、第1空間81、第2空間82内に残っている空気の湿度(例えば絶対湿度2.3g/m3)と、今回検査に用いる空気の湿度(例えば絶対湿度3.5g/m3)とが異なることとなり、検査毎に少しずつ空間内の空気が今回の検査の空気と入れ替わる第1空間81と、まったく入れ替わらない第2空間82内の空気の湿度(比熱)が異なることとなり、測定毎に誤差が生じてくる。
そこで検査条件が異なる場合には、事前に第1空間81、第2空間82(さらに第3空間83〜第5空間85)内の空気を入れ替える。さらに初回の検査前にもこの掃気を行う。なぜならば、第1空間81から第5空間85内の空気はリーク検査装置5の検査装置本体6が組立てられた時の空気で満たされているためである。
このような掃気を行うことで、第1空間81、第2空間82(さらに第3空間83から第5空間85)内の空気が同一となり、同一の物理常数(検査用気体の調湿を行って、同一温度、同一圧力の元で、同一の比熱)を持った空気での比較を行うことができる。
次に、熱溜まり箇所の発熱を掃気で解消する点について、より詳しく説明する。
例えば、大気圧100KPa、目標圧力800KPa、係数1.25の場合、エアタンク18内には、気体が1025KPa(=((大気圧100KPa+800KPa目標圧力)×係数1.25)−大気圧100KPa)で蓄えられる。この時のエアタンク18内湿度が略100%であれば、気体導入部10からリーク検査装置5の検査装置本体6に減圧導入されると湿度は略80%(加圧時相対湿度)となる。
前述したようにS203での発熱は、加圧の終了直前に排気弁45等を少し開いて熱溜まり箇所d1〜d4に溜まっている気体を外界へ排出する制御およびY字型の滞留防止構造により解消され、S208やS216での発熱は、排気弁45等を開いて熱溜まり箇所d1、d2、d5、d7に溜まっている熱を外界へ排出する圧力合わせ込み制御およびY字型の滞留防止構造により、解消される。
ところが、マスタMやワークW内の発熱箇所d6の熱は、上記の制御や滞留防止構造では解消されない。リーク検査装置5では、ワークWやマスタM内を気体導入部10から導入される気体で事前に掃気することで発熱箇所d6の発熱を防止している。もしも、これを行わない場合には以下のようなになる。
たとえば、大気圧100KPa、目標圧力800KPa、雰囲気温度が30℃、雰囲気湿度65%RH、係数(第三演算により)1.3→1.25、エアタンク18内湿度略100%(加圧時相対湿度)、リーク検査装置5の検査装置本体6へ送られる空気の湿度が略80%(加圧時相対湿度)の時(温度は第二演算により雰囲気温度)、エアタンク18から導入されてワークWに向けて送られる加圧空気は雰囲気温度と同じ30℃(目標圧力800KPa加圧時温度)で、湿度略80%(目標圧力800KPa加圧時湿度)である。
しかし、事前の掃気を行わない場合には、元々ワークW内にあった空気が、雰囲気温度と同じ30℃(大気圧時温度)、雰囲気湿度65%(大気圧時相対湿度)で満たされている場合が多い。ワークW内の空気は加圧により発熱(図10の発熱箇所d6)し、この熱は対流してワークW(タンク)内上方に移動するが、時間と共に雰囲気温度に近づく(図11参照)。雰囲気温度(30℃)に近づいた(例えば+0〜+10℃以内程度)ところでリーク検査が終了するが、この時ワークW(タンク)内では以下のような現象が予想される。
すなわち、大気圧時相対湿度65%のワークW内にあった空気は、加圧後に体積は1/9(=−100KPa/(800KPa+100KPa))になり、これによって湿度は585%(=65%×9 目標圧力800KPa加圧時湿度at30℃)となる。すなわち、図11にあるように時間と共に放熱すると、タンク内では水蒸気(気体)が水(液体)に変化し、それと共に潜熱を放熱する。すなわち、ワークWの漏れ検査を判別終了するまでの静定時間が潜熱放熱により延びる。さらに、タンク内表面を部分的にうっすら水膜が覆った状態となる。
ところで、検査時と実際の使用時とでワークWの中に入れるものが同じ気体であれば、検査時の判定基準となる漏れ気体量と、実際に使用する際に許される気体の漏れ許容量とに同じ基準値を用いることができる。しかし、内部に液体を入れて使用する容器(例えば電気温水器で使用するようなステンレス製温水貯湯タンク(オールステンレス)、瞬間湯沸器で使用するような銅製熱交換器(銅製フィンと銅管)など)をワークWとする場合には、実際の使用時に許される液体の漏れ許容値を気体の漏れ量に換算して、検査時用漏れ許容値(気体)を設定しなければならない。
この換算に当たっては粘性係数の差を用いて換算する。ところが、ワークW(タンク)で漏れを生じている部分に水滴(水膜)が付着しているならば漏れ検査基準は、液体の漏れ量を用いなくてはならない。しかし、前述したように、検査において、タンク内表面を部分的にうっすら水膜が覆った状態になる場合、漏れを生じている部分に水滴(水膜)が付着していかどうかが判らない(漏れ塞ぎ現象)。
さらに、結露→放熱妨害→滴下→放熱復活のサイクルを経ていると思われる圧力変化の揺らぎが、静定期間終了後のまさに漏れ検査を行おうとする時(リーク検査終了間際)に発生しており、正確に検査することが難しい(圧力揺らぎ現象)。
そこで、本実施の形態に係るリーク検査装置5の検査装置本体6では、上記したワークW内結露を防止すべく、電空レギュレータ40の下流側を2手に分岐し、検査前に大気圧時相対湿度65%(at30℃)のワークW内にあった空気を、800KPa時相対湿度80%(at30℃)=大気圧時相対湿度8.9%(at30℃)の空気で置換しておくことで、上記の問題を解決している。
さらにワークWには、手動4方弁70が取り付けられており、気体導入部10から送り込んだ空気と雰囲気空気(例えば相対湿度65%(at30℃))とが混ざらないようにしている。この時、ワークW内に閉じ込めた空気の圧力は、大気圧であろうと、負圧であろうと、目標圧力であろうとかまわない。
ところで、ワークWに取りつけられた手動4方弁70のワークWでない側(接続口1側)は大気(例えば相対湿度65%(at30℃))で満たされており、さらに検査装置本体6の検査用接続口32aの部分も大気で満たされており、図9のステップS214でのワークWの取りつけにあたって、手動弁48と手動4方弁70との間も大気圧時相対湿度65%(at30℃)の大気が封印されてしまう。
そこでステップS215(マスタMの場合はS207)にて、手動4方弁70を一時的に「第2開」としてパージを行って、調湿されていない空気がワークW内に流れ込むことを防止している。これにより、第1空間81〜第5空間85内の空気だけではなく、ワークW内、手動弁48と手動4方弁70の間の空気も同一となり、同一の物理常数を持った空気での比較(漏れ検査)を行うことができる。
ところで、気体導入部10から送られる気体以外の気体(例えば雰囲気)が、ワークWやワークWに取りつけられた手動4方弁70と手動弁48との間の配管等の中に入っているが故に(気体導入部10から送られる気体と同一の物理常数を持っていない空気がワークWや配管に満たされているが故に)、加圧時に結露が発生し、漏れ塞ぎ現象等の不具合が発生するが、リーク検査装置5では、慣性掃気を可能とする構造(滞留防止構造)と、排気弁45等を開いて目標圧力に合わせ込む等の制御(「発熱箇所の掃気解消」を含む)等により、これを解消している。
例えば、リーク検査装置5の検査装置本体6が組立てられた(製造された)時に、分岐管端部に残っていた内部空気が除去され、また例えば、リーク検査装置5の検査装置本体6と気体導入部10が接続された時の、検査装置本体6〜気体導入部10間の配管内気体(雰囲気)が掃気される。
ところで、結露を防止するのならば、例えば、リーク検査装置5の組立てにあたって、湿度が「0」のような環境で組立てれば良い。しかしそれでは気体導入部10から送られる気体の物理常数と異なる空気でリーク検査が行われることとなり、物理常数を同じとした空気条件下での比較ができず、無意味である。
本発明に係るリーク検査装置5では、冬場であっても加湿することで、温度の影響を受け難い比熱の大きい気体で検査するという特徴を有している。このことは特に乾燥地帯(エジプト、モロッコ等)での検査にあたっては、通年して加湿した空気で検査できるので特に有効である。
次にリーク検査を行うワークWの製造方法について述べる。本実施の形態に係るリーク検査装置5が検査対象とするものは、内部に液体を入れて使用する容器(例えば電気温水器で使用するようなステンレス製温水貯湯タンク(オールステンレス)、瞬間湯沸器で使用するような銅製熱交換器(銅製フィンと銅管))であり、溶接によって作られる(又は射出成型によるプラスチック製温水貯湯タンクでも良い)。
内部に気体を入れて使用する容器としてのワークWをリーク検査するならば、許される漏れ許容値として気体の漏れ量を簡単に設定できる。すなわち、検査時と実際の使用時とでワークWの中に入れるものが同じ気体であれば、検査時の判定基準となる漏れ気体量と、実際に使用する際に許される気体の漏れ許容量とに同じ基準値を用いることができる。しかし、液体を入れて用いるワークの検査に気体を用いる場合には、実際の使用時に許される液体の漏れ許容値を気体の漏れ量に換算して、検査時用漏れ許容値(気体)を設定しなければならない。
この換算に当たっては動粘性係数の差を用いて換算する。本発明での検査対象の容器としてのワークWは、製造して、リーク検査合格後に機器に組み込まれる。例えば瞬間湯沸器の場合には出荷検査で(内部に組み込まれたワークWを含めて)水を通水するが、ステンレス製温水貯湯タンクがワークWのような場合には機器に組み込まれて施工現場に運び込まれてから初めて、ワークWを組み込んだ製品に通水される。すなわち、ワークWは容器に加工される部品(例えばステンレス板、銅板、銅管等部品)段階から容器形状となってリーク検査に至るまでの間は、一度も通水されることなく、水で洗浄されることもない。
ところで、ワークWと同じはずのマスタMを元に基準特性(ステップS210)を取得し、複数のワークWのリーク検査を行うが、マスタMを含めた複数のワークW(以下ワークW等)間の製造誤差によりそれぞれの重さが微妙に異なり、リーク検査に影響を与える(外乱)。本実施の形態で用いているワークW等の重量差は、部品に用いている母材と異なる(比熱が異なる)物、たとえば内部の水等によって重量が異なるわけではないので(ワークW等と比熱が異なる外乱物の混入がないので、「比熱が異なる外乱物の除去」は不要なので)、重量の差は母材重量の差である。そこで、マスタMとの重量差を補正するために、母材と同一材質で作った補正部品を、ワークW内に入れたり検査用接続口32aに接続する部品内に取り付けたりすることで重量差を補正する(ワークW等と「同一比熱補正部品を用いた外乱防止」)。
もちろん、検査用接続口32aに接続する部品や検査用接続口32aに接続する場所以外の開口部を塞ぐ補機類の材質と重量も、複数のワークW等間で差がないように同一部材を用いると共に同じ重量物を用いることで熱容量を合わせる(「接続口に接続する部品や補機類による外乱防止」)。
このような各種外乱の防止を行った後、均温化作業に入る。すなわち、ワークW等間で温度が異なると、その保有熱量によりリーク検査に影響を与えるのでそれを除去する(「保有熱量合わせ込みによる外乱防止」)。上述のような外乱防止は、ステップS201〜ステップS204のように、基準特性や検査の前日までに行うとよい。
ところで断熱圧縮による発熱は、検査にあたってリーク検査装置5の検査装置本体6に導入される気体と異なる気体(例えば前回検査して放熱しきって温度が異なる気体や、ワークWが作られた際に一緒に閉じ込められた湿度・温度が違う気体等)が残っているからなのであるから、例えば検査に先立ちリーク検査装置5の検査装置本体6内の気体、ワークW内気体、マスタM内気体、差圧センサ50内気体等、検査装置本体内のすべてを真空吸引してしまえば、断熱圧縮による発熱問題は一気に解消される。発熱の根源である気体を無くしてしまうのであるから理想的である(ただし、真空吸引に起因する減圧冷却が静定する静定時間が代わりに必要となる)。
ところが真空吸引しても発熱の根源である気体を完全に無くすことはできない。なぜならば、気体のない空間(絶対真空)をだれ一人つくれた者がいないからである。このことはJISの定義で、真空とは「大気圧より低い圧力の気体で満たされている特定の空間の状態」となっていることからも判る。すなわち、真空にしても気体が残存するので断熱圧縮による発熱は回避できない。
本発明では、負圧吸引で真空を作り、そこに気体導入部10からの検査用気体を流し込むことで、新旧気体の置換をはかるのではなく、気体導入部10から検査用気体を流し込み、加圧掃気で新旧気体の置換を行った。これにより、コンプレッサ15のほかに真空ポンプを設ける必要がない。
さらに付言すれば、真空吸引の方式では、以下のような方法を取り得る。すなわち、真空吸引によって減圧冷却が起き、この時所定量の気体を残して加圧すれば残った気体の断熱圧縮で発熱がおきる。そこで、この減圧冷却量と断熱圧縮発熱量が等量になった時点で吸引から加圧に切り替えれば、熱が相殺され、たとえ完全に吸引(絶対真空)を作ることができなくとも目的(測定時間の短縮化)を達することができる。
ところが、吸引が足りずに加圧したり、逆に吸引しすぎてから加圧したりする場合には、熱が相殺できずに測定毎の誤差が生じる。これに対して、加圧掃気による新旧気体の置換では、所定時間以上の掃気であれば良く、測定毎の誤差を簡単に収束させることができる。
次に、液体の漏れ許容値を気体の漏れ量に換算する換算計算式等について説明する。
<粘性係数を用いた換算計算式>
細孔から漏れる流量は粘性係数を用いて計算することができる。
粘性係数(μ Pa・s)20℃時 水のμ=0.0010050Pa・s 空気のμ=0.0000181Pa・s、細孔の直径 0.1mm(=0.0001m)、細孔の長さ 1mm(=0.001m)、大気圧(雰囲気の気圧)101300Pa Abs、細孔入口圧(目標圧力)300kPa G(=401300Pa Abs)、細孔出口圧(雰囲気の圧力)0kPa G(=101300Pa Abs)の時の水の漏れ量は、
ΔP(以下、水ΔPとする)=[細孔入口圧]−[細孔出口圧](Pa Abs)=300000(Pa Abs)
とすると、
[水の漏れ量]=π×[細孔の直径]4×[水ΔP]/(128×[水のμ]×[細孔の長さ])
=3.14×0.0001[m]×(300000[Pa Abs])/(128×0.0010050[Pa・s]×0.001[m]
=0.00000073[m3/s]=0.73[ml/s]、となる。
これに対し空気の漏れ量は、水が非圧縮性流体であるのに対し、空気は圧縮性流体であるので差圧(以下、空気ΔPとする)は下記のように表される。
空気ΔP=([細孔入口圧]2-[細孔出口圧]2)/(2×[細孔入口圧])
=744225(Pa Abs)
[空気の漏れ量]=π×[細孔の直径]4×[空気ΔP]/(128×[空気のμ]×[細孔の長さ])
=3.14×0.0001[m]4×(744225[Pa Abs])/(128×0.0000181[Pa・s]×0.001[m]
=0.00010087[m3/s]=100.87[ml/s]、となる。
[水の漏れ量]を基に、リーク検査装置からの[空気の漏れ量]を換算する為の換算係数([水の細孔入口圧]=[空気の細孔入口圧]とした場合に)は、
[空気の漏れ量]=[水の漏れ量]×[換算係数]
[換算係数]=[空気の漏れ量]/[水の漏れ量]
=([細孔入口圧]2-[細孔出口圧]2)×[水のμ]/(2×[細孔入口圧]×[空気のμ]×([細孔入口圧]−[細孔出口圧]))
=137.7(=100.87/0.73) となる。
たとえば、70℃の温水を300[kPa G]で蓄えるタンクの許容温水漏れ量が10[ml/h]の時で検査時の周囲温度(=リーク検査装置に満たされる気体温度)が20℃の時に200[kPa G]で検査する場合([水の細孔入口圧]=[空気の細孔入口圧]とならない場合)には、[20℃空気のμ]=0.0000181Pa・s、[70℃の温水のμ]=0.0004Pa・s、大気圧(雰囲気の気圧)101300Pa Absとすると、
[換算係数]=[空気の漏れ量]/[水の漏れ量]は、
[空気の漏れ量]=π×[細孔の直径]4×[空気ΔP]/(128×[空気のμ]×[細孔の長さ])
[水の漏れ量]=π×[細孔の直径]4×[水ΔP]/(128×[水のμ]×[細孔の長さ]) なので、
[換算係数]=([空気ΔP]×[水のμ])/([空気のμ]×[水ΔP])
で表される。計算すると、
[換算係数]=29.28(=292.8/10) となり、
許容気体漏れ量([空気の漏れ量])=292.8[ml/h] として求められる。
但し、圧力センサには誤差があるので、その分を考慮に入れて換算係数を修正して、許容気体漏れ量を設定する必要がある。ここでは、
A:高耐圧(片耐圧が例えば1000KPa以上)で、誤差250Pa、測定精度(誤差)0.025%/フルスケールの第2圧力センサ24を用いる場合
B:高耐圧(片耐圧が例えば1000KPa以上)で、わずかな差圧を判別できる(誤差2.5Pa、測定精度(誤差)0.00025%/フルスケール)差圧センサを用いる場合
を比較して説明する。
Aの差圧センサを用いる場合、目標圧力800KPaに対して、800.25KPaまで加圧しても誤差があるので、本当の圧力は800.0〜800.5KPaの範囲の圧力であることしか判らない(誤差250Pa)。漏れ量はBと同程度に測れるが、加圧する目標圧力に対する誤差があるので、前述の換算係数の演算で用いる細孔入口圧が変わり、Bに対してある程度厳しい漏れ判定基準を用いなければならない。
すなわち、Aの場合、
空気ΔP=([901550±250 Pa Abs]-[101300 Pa Abs])/(2×[901300±250 Pa Abs])
[換算係数]=[空気ΔP]×[水のμ]/[空気のμ]×[水ΔP]で表される。計算すると、
[換算係数]=(([901550-250 Pa Abs]-[101300 Pa Abs])/(2×[901300-250 Pa Abs])×[水のμ]/[空気のμ]×[水ΔP]、となる。
Bの差圧センサを用いる場合、目標圧力800KPaに対して、800.25KPaまで加圧すると、本当の圧力は800.2475〜800.2525KPの範囲にある。したがって、Bの場合、
空気ΔP=([901550±2.5 Pa Abs]-[101300 Pa Abs])/(2×[901300±2.5 Pa Abs])
[換算係数]=[空気ΔP]×[水のμ]/[空気のμ]×[水ΔP]で表され、計算すると、
[換算係数]=(([901550-2.5 Pa Abs]-[101300 Pa Abs])/(2×[901300-2.5 Pa Abs])×[水のμ]/[空気のμ]×[水ΔP]、となる。
したがって、Bに対してAの方を厳しい判定基準にすることで、同等の測定(判定)が可能になる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、比熱の大きい気体を、加湿した空気としたが、雰囲気より比熱の大きい気体は、たとえば、エチレン、メタン、ヘリウム等の単体、あるいはこれを空気に混ぜたものであってもよい。また、加圧導入する気体は、雰囲気より比熱の大きい気体に限定されず、任意の気体でよく、周囲の空気であっても構わない。
実施の形態では、電空レギュレータ40の下流で配管を二手に分けて準備用接続口31aを設けたが、ワークWやマスタM内を掃気して事前に検査用気体で満たす作業は、別途の場所で行われてもよい。ただし、完全に物理常数が同一の検査用気体を用いるには、本実施の形態で示したように、気体導入部10から配管を二手に分けて気体を供給することが望ましい。
本発明に係るリーク検査装置の構成は、実施の形態に例示したものに限定されない。例えば、差圧センサ50の両側の熱溜まりを解消するために第1掃気口33a、第2掃気口34aを設けたが、Y字型の滞留防止構造等で対応してもかまわない。
実施の形態では、内挿管71をワークWの最も奥側で終端させて開口させ、外郭管72はワークWの入口近くで終端して開口させ、ワークWの奥から入口側へ向かう気体の流れを起こして掃気するようにしたが、この流れは逆にされてもよい。すなわち、ワークW内の入口近くで終端する管から検査用気体をワークW内に導入し、ワークW内の奥で終端する管を通じてワークW内の気体を外部に排出するようにしてもよい。
5…リーク検査装置
6…検査装置本体
10…気体導入部
10a…気体吐出口
11…ヒータ
12…入側温度センサ
13…加湿器
14…湿度センサ
15…コンプレッサ
16…エアクーラ
17…エアドライヤ
18…エアタンク
19…ヒータ
21…気圧計
22…温湿度センサ
23…出側温度センサ
24…演算部
25…制御部
30…主管路
30a…排気ポート
31…第1分岐管
31a…準備用接続口
32…第2分岐管
32a…検査用接続口
33…第3分岐管
33a…第1掃気口
34…第4分岐管
34a…第2掃気口
36…第1掃気管
37…第2掃気管
38…第3掃気管
38a…掃気ポート
40…電空レギュレータ
41…第1開閉弁
42…圧力センサ
44…第1排気弁
45…第2排気弁
46…第1分岐管開閉弁
47…手動弁
48…手動弁
50…差圧センサ
50a…第1検出口
50b…第2検出口
52…第2開閉弁
53…第3開閉弁
54…第4開閉弁
55…第5開閉弁
56…第1サブ掃気弁
57…第2サブ掃気弁
58…メイン掃気弁
60…恒温槽
70…手動4方弁
71…内挿管
72…外郭管
81…第1空間
82…第2空間
83…第3空間
84…第4空間
85…第5空間
B1…第1分岐箇所
B2…第2分岐箇所
B3…第3分岐箇所
B4…第4分岐箇所
d1…熱溜まり箇所
d2…熱溜まり箇所
d3…熱溜まり箇所
d4…熱溜まり箇所
d5…熱溜まり箇所
d6…熱溜まり箇所
d7…熱溜まり箇所
M…マスタ
Ma…小マスタ
Mb…小マスタ
W…ワーク

Claims (10)

  1. 検査対象である非貫通型の容器の入口から前記容器内に、前記容器内の奥側で終端する第1管と、前記容器内の入口側で終端する第2管を挿入した状態で前記入口を封鎖し、前記第1管と前記第2管のうちの一方の管から所定の気体を前記容器内に送り込むことで、他方の管から前記容器内の気体を排気して前記容器内を前記所定の気体で満たした後、前記他方の管を閉鎖する容器内掃気ステップと、
    前記一方の管から前記所定の気体を前記容器内にさらに導入して前記容器内を加圧した後、前記一方の管を閉鎖して前記容器を含む密閉空間を形成する加圧ステップと、
    前記密閉空間の圧力を圧力計で測定して前記容器に漏れがあるか否かを検査する測定ステップと、
    を有する
    ことを特徴とするリーク検査方法。
  2. 前記第1管を前記一方の管、前記第2管を前記他方の管とする
    ことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査方法。
  3. 前記圧力計の検出口に連通した検査系空間に、気体供給源から前記所定の気体と同じ気体を導入して前記検査系空間を加圧した後、該検査系空間を密閉する検査系加圧ステップと、
    前記密閉した前記検査系空間に前記密閉空間を連通させる接続ステップとをさらに備え、
    前記接続ステップによって前記密閉空間と前記検査系空間が連通した状態で前記測定ステップを行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のリーク検査方法。
  4. 前記検査系空間を前記気体供給源から供給される気体で掃気する検査系掃気ステップをさらに有し、
    前記検査系掃気ステップにて前記検査系空間を掃気してから前記検査系加圧ステップを行う
    ことを特徴とする請求項3に記載のリーク検査方法。
  5. 前記測定ステップを行った後、前記検査系空間を密閉して前記密閉空間を前記検査系空間から切り離し、次の検査対象に係る前記接続ステップを行うまで、前記検査系空間を加圧状態に維持する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載のリーク検査方法。
  6. 前記測定ステップを行っている間に、他の容器に対して前記加圧ステップまでを行う
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
  7. 前記加圧ステップを終えた容器は、所定の時間以上が経過してから、前記接続ステップに移行し、
    一の容器が前記経過を待っている間に、前記経過を終えた他の一の容器に対して前記測定ステップを行う
    ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1つに記載のリーク検査方法。
  8. 検査対象である非貫通型の容器の入口を封鎖する蓋体と、前記蓋体を貫通して前記容器内の奥で終端する第1管と、前記蓋体を貫通して前記容器内の入口側で終端する第2管を備えた蓋部と、
    前記第1管と前記第2管のうちの一方の管を通じて前記容器に所定の気体を送り込む気体供給源と、
    前記気体供給源と前記容器との間で前記一方の管を開閉する第1開閉弁と、
    前記第1管と前記第2管のうちの他方の管を開閉する第2開閉弁と、
    圧力計と、
    を備え、
    前記蓋部が入口に取り付けられた前記容器の中に、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を開いた状態で前記気体供給源から前記所定の気体を送り込むことで、前記他方の管から前記容器内の気体を排気して前記容器内を前記所定の気体で満たした後、前記第2開閉弁を閉鎖する容器内掃気ステップ、
    前記気体供給源から前記一方の管を通じて前記所定の気体を前記容器内にさらに導入して前記容器内を加圧した後、前記第1開閉弁を閉鎖して前記容器を含む密閉空間を形成する加圧ステップ、
    前記密閉空間の圧力を前記圧力計で測定して前記容器に漏れがあるか否かを検査する測定ステップ、
    が行われる
    ことを特徴とするリーク検査装置。
  9. 前記気体供給源から延設された管を分岐管と主管の二手に分岐し、
    前記分岐管は第1接続口に至り、
    前記主管は第2接続口に至り、
    前記分岐管を開閉する分岐管開閉弁と、
    前記主管を開閉する主管開閉弁と、
    前記第2接続口を開閉する第2接続口開閉弁と、
    を備え、
    前記圧力計の検出口は、前記主管開閉弁と前記第2接続口開閉弁との間の前記主管に連通しており、
    前記分岐管開閉弁および前記第2接続口開閉弁を閉じた状態で前記主管開閉弁を開いて前記気体供給源から前記所定の気体を導入した後、前記主管開閉弁を閉じて前記主管開閉弁と前記第2接続口開閉弁の間に密閉された検査系空間を形成する検査系加圧ステップ、
    前記第1接続口に前記一方の管を接続した後、前記主管開閉弁を閉じた状態で前記分岐管開閉弁を開いて、前記容器内掃気ステップおよび前記加圧ステップ、
    が行われると共に、
    前記加圧ステップの後で、前記第1開閉弁を閉じて、前記一方の管を前記第1接続口から前記第2接続口に付け替え、前記第1開閉弁および前記第2接続口開閉弁を開いて前記検査系空間と前記密閉空間を連通させた状態で前記測定ステップが行われる
    ことを特徴とする請求項8に記載のリーク検査装置。
  10. 前記検査系空間を前記気体供給源から供給される気体で掃気してから前記検査系加圧ステップが行われる
    ことを特徴とする請求項9に記載のリーク検査装置。
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