JP2016176568A - 摺動式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動角を大幅に拡大することができ、ドライブシャフトの角度の使用可能領域が拡大すると共に、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上する摺動式等速自在継手を提供する。
【解決手段】球状内周面10に複数のトラック溝11が形成された外側継手部材6と、球状外周面12に外側継手部材6のトラック溝11に対向する複数のトラック溝13が形成された内側継手部材7と、外側継手部材と内側継手部材のトラック溝間に組込まれた複数のトルク伝達ボール8と、外側継手部材と内側継手部材との間に配置され、トルク伝達ボールを保持する保持器9とから固定式等速自在継手部2を構成し、固定式等速自在継手部を外筒部材3に嵌挿し、外筒部材の内周面24と固定式等速自在継手部の外側継手部材の外周面25との間にボールスプライン部4を形成した。固定式等速自在継手部のトルク伝達ボールの個数が8個である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械に使用される摺動式等速自在継手に関する。
昨今の自動車は、地球環境保全やグローバリゼーションなどの大きな流れの中、ますます多様化が進んでいる。それに伴い、ドライブシャフトに関しては、新たな機能を付加したものや使用領域を拡大したものへのニーズが増えつつある。
自動車用ドライブシャフトは、通常、駆動車輪側(アウトボード側ともいう)に固定式等速自在継手が用いられ、デファレンシャル側(インボード側ともいう)に摺動式等速自在継手が用いられ、これらの2つの等速自在継手を中間シャフトで連結して構成されている。固定式等速自在継手は、大きな作動角が取れるが軸方向にはスライドしない。一方、摺動式等速自在継手は、軸方向にスライド可能であるが、あまり大きな作動角が取れない。
具体的には、駆動車輪側に使用する固定式等速自在継手は、フル転舵時の角度にも対応できるように継手の最大許容角度は46°〜50°に設定される。一方、デファレンシャル側に使用する摺動式等速自在継手は、サスペンションの動きを吸収できるように継手の最大許容角度は23°〜30°に設定される。摺動式等速自在継手では、サスペンションが最も沈み込むフルバウンド状態およびサスペンションが最も伸びきったフルリバウンド状態のとき、最大作動角となる。
一般に、乗用車より車高が高いSUV車(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)などは、平地走行状態でのドライブシャフトの角度(以下、常用角という)が大きく、さらにサスペンションの動きも大きくなる傾向にある。
自動車用ドライブシャフトとして、固定式等速自在継手を用いてボールスプラインにより軸方向のスライドを可能にしたものは、既に提案されている(特許文献1、非特許文献1)。
特許第4316289号公報
SAE Universal Joint and Diveshaft DESIGN MANUAL Section 2.2 Weiss and Rzeppa Ball Joints 35頁のFig.2.11
今後の自動車は、これらサスペンションの多様化にとどまらず、エンジンを含めた駆動系部品全体のレイアウトが大きく変わる可能性があり、これらを想定すると、摺動式等速自在継手の最大許容角は40°〜45°程度まで拡大する必要があることが予想される。摺動式等速自在継手としては、外側継手部材、内側継手部材、保持器および6〜8個のボールで構成されるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)や、外側継手部材、トラニオン、3個のローラおよび多数の転動体としての針状ころなどで構成されたトリポード型等速自在継手(TJ)がよく使われている。しかしながら、従来型摺動式等速自在継手の改良による大幅な最大作動角の拡大は構造上困難であり、これまで実用化されていない。
特許文献1には、固定式等速自在継手を2個使用しボールスプラインを有するシャフトで連結したドライブシャフトが提案されている。このドライブシャフトは、大きな作動角が取れる固定式等速自在継手をデファレンシャル側にも使用するものであるが、シャフトに設けるボールスプラインは、大幅なコスト高を招くと共に、ボールスプラインの軸方向の長さを確保する必要があるので、ドライブシャフトは寸法的にも制約される。このため、特許文献1のドライブシャフトは一部の特殊な車両向けの適用に留まっている。
非特許文献1には、固定式等速自在継手の外周部にボールスプラインを配置した構造のドライブシャフトが記載されている。前輪駆動車(FF車)の台頭以前の1960年代の初期に一部の高級車向けに実用化されたものである。摺動式等速自在継手の標準としてのDOJが実用化される以前の構造で、この構造は大変高価なものとなり、その結果、現在使用されているDOJやTJに淘汰されていった。上記のように、非特許文献1は摺動式等速自在継手としてのDOJが実用化される以前の構造であるので、摺動式等速自在継手の高角化を目的とするものではない。
本発明は、上記の問題に鑑み、摺動式等速自在継手の作動角を大幅に拡大することができ、これにより、ドライブシャフトの角度の使用可能領域が拡大すると共に、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上し、多様化する自動車の設計に大きく貢献できる摺動式等速自在継手を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため種々検討し、コンパクトな固定式等速自在継手の外周にボールスプラインを効率よく配置し、トルク損失を低減し、コストや重量を抑えるという新たな着想により、本発明に至った。
前述の目的を達成する技術的手段として、本発明は、球状内周面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、球状外周面に前記外側継手部材のトラック溝に対向する複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材のトラック溝間に組込まれた複数のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に配置され前記トルク伝達ボールを保持する保持器とから固定式等速自在継手部を構成し、この固定式等速自在継手部を外筒部材に嵌挿し、この外筒部材の内周面と前記固定式等速自在継手部の外側継手部材の外周面との間にボールスプライン部を形成した摺動式等速自在継手において、前記ボールスプライン部のボールが、前記外筒部材の内周面と前記外側継手部材の外周面との間に配置された保持器により保持され、前記固定式等速自在継手部のトルク伝達ボールの個数が8個であることを特徴とする。
上記の構成により、摺動式等速自在継手の作動角が大幅に拡大するので、ドライブシャフトの角度の使用可能領域が拡大され、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上し、多様化する自動車の設計に大きく貢献できる摺動式等速自在継手を実現することができる。また、コンパクトな固定式等速自在継手部の外周に保持器を有するボールスプライン部を配置し、トルク損失を低減し、コストや重量を抑えた摺動式等速自在継手を実現することができる。
上記のボールスプライン部のボールスプライン溝を、固定式等速自在継手部の外側継手部材の隣り合うトラック溝間の位相に配置することが好ましい。これにより、固定式等速自在継手部の外周にボールスプライン部を効率よく配置し、コストや重量を抑えることができる。
上記のボールスプライン部のボールの個数を、ボールスプライン溝の1溝当たり2個以上とすることにより、作動角を取ったときボールスプライン部4に曲げモーメントがかかっても、滑らかなスライドが可能になる。
上記のボールスプライン部の保持器を樹脂製にすることにより、軽量化および低摩擦化を図ることができる。
上記のボールスプライン部は、ボールの転がりにより滑らかにスライドする。
上記の外筒部材にステム軸部が一体に形成されていることにより、デファレンシャルギヤとの連結が容易である。
上記の固定式等速自在継手部は、ツェッパ型等速自在継手や交差トラック溝を有する等速自在継手で構成することが好ましい。これにより、トルク損失を低減し、コストや重量を抑えた摺動式等速自在継手とすることができる。
本発明の摺動式等速自在継手によれば、作動角が大幅に拡大するので、ドライブシャフトの角度の使用可能領域が拡大されると共に、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上し、多様化する自動車の設計に大きく貢献できる摺動式等速自在継手を実現することができる。
また、コンパクトな固定式等速自在継手部の外周に保持器を有するボールスプライン部を配置し、トルク損失を低減し、コストや重量を抑えた摺動式等速自在継手を実現することができる。有利な構成として、外側継手部材の隣り合うトラック溝間の位相にボールスプライン部を効率よく配置し、コストや重量をより一層抑えることができる。
本発明の第1の実施形態に係る摺動式等速自在継手を示し、図2のG−N−Gにおける縦断面図である。 図1のH−H線で矢視した側面図である。 図1のP−P線における1個のボールとトラック溝を拡大した横断図である。 図1の摺動式等速自在継手がスライドインして作動角を取った状態を示す縦断面図である。 図1の摺動式等速自在継手がスライドアウトして作動角を取った状態を示す縦断面図である。 図1の摺動式等速自在継手が中心位置からスライドした状態を示す縦断面図で、(a)図はスライドインした状態、(b)図は中心位置の状態、(c)図はスライドアウトした状態を示す。 図1の摺動式等速自在継手を適用したドライブシャフトを示す縦断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る摺動式等速自在継手を示し、図9のG−N−Gにおける縦断面図である。 図8のH−H線で矢視した側面図である。 図8の外側継手部材の縦断面図である。 図8の内側継手部材の外周面を示す図である。 図10のトラック溝のボール軌道中心線と継手中心を含む平面Mで見た外側継手部材の断面図である。 図11のトラック溝のボール軌道中心線と継手中心を含む平面Qで見た内側継手部材の断面図である。
本発明の第1の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る摺動式等速自在継手1は、固定式等速自在継手部2と、外筒部材3と、外筒部材3と固定式等速自在継手部2との間に形成されたボールスプライン部4とからなる。
固定型等速自在継手部2は、8個のトルク伝達ボール(以下、単にボールともいう)8を有するツェッパ型等速自在継手で構成され、外側継手部材6、内側継手部材7、ボール8および保持器9を主な構成部品とする。外側継手部材6の球状内周面10には8本の曲線状のトラック溝11が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。内側継手部材7の球状外周面12には、外側継手部材6のトラック溝11と対向する8本の曲線状のトラック溝13が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。外側継手部材6のトラック溝11と内側継手部材7のトラック溝13との間にトルクを伝達する8個のボール8が1個ずつ組み込まれている。外側継手部材6の球状内周面10と内側継手部材7の球状外周面12の間に、ボール8を保持する保持器9が配置されている。ボール8は保持器9のポケット部9aに収容されている。保持器9の球状外周面14は外側継手部材6の球状内周面10と、保持器9の球状内周面15は内側継手部材7の球状外周面12とそれぞれ嵌合している。
外側継手部材6の球状内周面10と内側継手部材7の球状外周面12の曲率中心は、それぞれ継手中心Oに形成されている。これに対して、外側継手部材6の曲線状のトラック溝11の曲率中心Ooと、内側継手部材7の曲線状のトラック溝13の曲率中心Oiは、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f1オフセットされている。これにより、継手が作動角をとった場合、外側継手部材6と内側継手部材7の両軸線がなす角度を二等する平面上にボール8が常に案内され、二軸間で等速に回転が伝達される。
内側継手部材7の内径孔16には、雌スプライン(スプラインはセレーションを含む。以下同じ。)17が形成され、中間シャフト19の端部に形成された雄スプライン20を雌スプライン17に嵌合し、トルク伝達可能に連結されている。内側継手部材7と中間シャフト19は、止め輪21により軸方向に位置決めされている。
図3は、図1のP−P線における1個のボールとトラック溝を拡大した横断図である。トラック溝11、13の横断面形状は、楕円形状やゴシックアーチ形状に形成されている。図3に示すように、ボール8は、外側継手部材6のトラック溝11と2点C12、C13でアンギュラコンタクトし、内側継手部材7のトラック溝13と2点C15、C16でアンギュラコンタクトしている。ボール中心O2と各接触点C12、C13、C15、C16を通る直線と、ボール中心O2と継手中心Oを通る直線がなす角度(接触角α)は30°〜45°程度に設定することが好ましい。
図1および図2に示すように、固定式等速自在継手部2は、外筒部材3に嵌挿され、外筒部材3の内周面24と、固定式等速自在継手部2の外側継手部材6の外周面25との間にボールスプライン部4が形成されている。具体的には、外筒部材3の内周面24には、断面円弧状の8本のボールスプライン溝26が軸方向に直線状に形成されている。外側継手部材6の外周面25には、外筒部材3のボールスプライン溝26に対応して断面円弧状の8本のボールスプライン溝27が軸方向に直線状に形成されている。
対になる各ボールスプライン溝26、27の1溝あたり2個ずつボール28が組み込まれている。外側継手部材6の外周面25と外筒部材3の内周面24の間に、ボール28を保持する保持器29が配置されている。保持器29のポケット部29aは、各ボールスプライン溝26、27の当たり2個ずつ、すなわちボール28毎のポケット部29aが設けられている。各ボール28は、保持器29のポケット部29aに収容され保持され、保持器29はボール28を保持しながらスライドする。保持器29の内外周面は、外側継手部材6の外周面25と外筒部材3の内周面24にそれぞれ案内されている。固定式等速自在継手部2は、ボールスプライン部4の各ボール28がボールスプライン溝26、27を転がることにより外筒部材3に対してスライドする。ボール28をボールスプライン溝26、27の1溝あたり2個配置することにより、作動角を取ったときにボールスプライン部4に曲げモーメントがかかっても、滑らかなスライドが可能である。
ボールスプライン部4の保持器29は、大きな荷重を受けないため軽量化、低摩擦化を考慮して樹脂製とした。保持器29は、一般的に使用される耐摩耗性や耐焼き付性等に優れた樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド等が挙げられ、また、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂が挙げられる。強度向上と寸法安定性のために、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、あるいはポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂をベースとして、ガラス繊維や炭素繊維を添加することが好ましい。
保持器29の材料として、引張り伸び、引張り強度、耐衝撃性、耐摩耗性、潤滑性等に優れたポリアミド樹脂を用いることが好ましい。ポリアミド樹脂としては、PA66(ポリアミド66)、PA46(ポリアミド46)、PA9T(ポリアミド9T)、PA11(ポリアミド11)、PA6(ポリアミド6)が挙げられる。引張り伸び、引張り強度、耐衝撃性、耐摩耗性、潤滑性等に優れるので、高品質な保持器とすることができる。
保持器29の材料として、熱硬化性ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることにより、高温での使用に適した保持器とすることができる。本実施形態では、ボールスプライン部4の保持器29を樹脂製のものを例示したが、これに限られず、鋼管などの金属製としてもよい。
本実施形態では、部品点数削減のためボールスプライン溝26、27の1溝あたり2個のボール28を配置したものを例示したが。これに限られず、2個以上であれば、適宜の個数を設定することができる。また、保持器29にボール28毎のポケット部29aを設けたものを例示したが、これに限られず、複数個のボールを1つのポケット部に保持する構造にしてもよい。
外筒部材3の底部3aにはデファレンシャルギヤ(図示省略)に連結されるステム部3bが一体に形成されている。ステム部3bには軸端にスプライン3cが形成され、中央部に油溝を設けた滑り軸受部3dが形成されている。スプライン3cがデファレンシャルギヤのスプライン孔に嵌合しトルク伝達可能に連結される。外筒部材3にステム軸部3bが一体に形成されていることにより、デファレンシャルギヤとの連結が容易である。
図1に示すように、外筒部材3の内周面24の開口側端部のボールスプライン溝26の溝底に止め輪30が設けられている。また、外側継手部材6の外周面25のボールスプライン溝27の両端の溝底に止め輪31、32が設けられている。各止め輪30、31、32はボールスプライン溝26、27の溝底より突出しているので、ボール28が止め輪30、31、32と干渉した位置で、外筒部材3に対する固定式等速自在継手部2の軸方向の移動が阻止される。
外筒部材3の外周面と、内側継手部材7に連結された中間シャフト19の外周面に蛇腹状ブーツ22が装着されている。具体的には、ブーツ22の一端はシールアダプタ23に取り付けられ、このシールアダプタ23は、外筒部材3の開口側外周面に設けた取付溝18に加締め固定されている。ブーツ22の他端は、中間シャフト19の外周面にブーツバンド33により締付固定されている。これにより、継手内部に封入された潤滑剤としてのグリースの漏洩を防止すると共に外部からの異物の侵入を防止している。
図2に示すように、ボールスプライン部4を効率よく配置するために、外側継手部材6の外周面25に形成されたボールスプライン溝27は、外側継手部材6の球状内周面10に形成された隣り合うトラック溝11間の位相の余肉部分に配置されている。本実施形態の摺動式等速自在継手1が、コンパクトな固定式等速自在継手部2の外周にボールスプライン部4を効率よく配置し、コストや重量を抑えた構成の詳細は後述する。
次に、本実施形態の摺動式等速自在継手1の作動を図4〜6に基づいて説明する。図4は、摺動式等速自在継手1がスライドインして作動角を取った状態を示す縦断面図である。固定式等速自在継手部2は、外筒部材3の奥側(底部3a側)へボールスプライン部4の転がりによりスライドする。詳細には、保持器29の内外周面は、外側継手部材6の外周面25と外筒部材3の内周面24に案内されているので、保持器29の姿勢が安定し、この保持器29のポケット部29aに収容されたボール28はボールスプライン溝26、27上を軸方向に滑らかに転がる。
本実施形態の摺動式等速自在継手1では、作動角は内方の固定式等速自在継手部2で取り、軸方向のスライドはボールスプライン部4で取る。このように、作動角を取る機能と軸方向のスライドを取る機能が、固定式等速自在継手部2とボールスプライン部4に分けられている。そのため、本実施形態の摺動式等速自在継手1は、作動角を取る機能とスライドする機能を同時に行う現在使われている摺動式等速自在継手に生じる作動角による軸力問題は発生せず、NVH(Noise,Vibration,Harshness)特性が良好である。
摺動式等速自在継手1のスライドインの最終位置は、外側継手部材6の外周面25の開口側端部に設けられた止め輪31とボール28とが干渉することにより規制される。スライドインの状態では、中間シャフト19とブーツ22との干渉等により、作動角が制約されるが、この状態は車両がフルバウンドやフルリバウンドの状態ではないので、摺動式等速自在継手1に余り大きな作動角が必要でなく、実用上問題は生じない。
図5は、摺動式等速自在継手1がスライドアウトした状態を示す縦断面図である。スライドインした状態とは反対に、固定式等速自在継手部2は、外筒部材3の開口側へボールスプライン部4の転がりによりスライドする。摺動式等速自在継手1のスライドアウトの最終位置は、外筒部材3の内周面24の開口側端部に設けられた止め輪30および外側継手部材6の奥側端部に設けられた止め輪32にボール28が干渉したときに規制される。
スライドアウトした状態では、固定式等速自在継手部2は、外筒部材3に対してオーバハングして作動角を取り、ボールスプライン部4に曲げモーメントがかかる状態になるが、ボールスプライン溝26、27の1溝あたり2個配置したボール28により、荷重を支持することができる。スライドアウトの状態では、中間シャフト19とブーツ22との干渉等の問題は少なく、大きな作動角が取れるので、車両のフルバウンドやフルリバウンドの状態に対応することができる。これにより、本実施形態の摺動式等速自在継手1は、40°〜45°程度に作動角が大幅に拡大するので、ドライブシャフトの角度の使用可能領域が拡大され、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上し、多様化する自動車の設計に大きく貢献できる。
本実施形態の摺動式等速自在継手1のスライド量の設定について、図6に基づいて説明する。図6は、摺動式等速自在継手が中心位置からスライドした状態を示す縦断面図で、図6(a)はスライドインした状態、図6(b)は中心位置の状態、図6(c)はスライアウトした状態を示す。
図6(b)に示す中心位置から、図6(a)に示す外筒部材3の奥側にスライド量L、図6(c)に示す開口側にスライド量Lを確保できるように、前述したボール28の径D4(図2参照)、ボールスプライン溝26、27の1溝あたりのボール28の個数を設定した。スライド量Lは、ジョイントサイズや搭載車種により異なるが、20〜30mm程度である。本実施形態では、スライドは、ボール28と止め輪30、31、32との干渉により制限したものを例示したが、これに限られず、保持器29と止め輪との干渉により制限してもよい。
次に、コンパクトな固定式等速自在継手部2の外周にボールスプライン部4を効率よく配置し、トルク損失を低減し、コストや重量を抑えた本実施形態の摺動式等速自在継手1の構成を説明する。
まず、本実施形態に係る固定式等速自在継手部2を構成する8個のボールを使用した固定式等速自在継手を図1および図2を参照して説明する。この固定式等速自在継手は、ボール8のピッチ円直径(PCDBALL)とボール直径(DBALL)との比r1(=PCDBALL/DBALL)は3.3≦r1≦5.0、好ましくは3.5≦r1≦5.0の範囲内に設定されている。ここで、ボール8のピッチ円直径(PCDBALL)は、PCRの2倍の寸法である(PCDBALL=2×PCR)。外側継手部材6のトラック溝11の曲率中心Ooとボール8の中心O2を結ぶ線分の長さ、内側継手部材7のトラック溝13の曲率中心Oiとボール8の中心O2を結ぶ線分の長さが、それぞれPCRであり、両者は等しい。また、外側継手部材6の外径(DOUTER)と内側継手部材7の内径孔16の雌スプライン17のピッチ円直径(PCDSERR)との比r2(=DOUTER/PCDSERR)は2.5≦r2≦3.5の範囲内の値に設定されている。したがって、従来継手(6個のボールを使用した固定式等速自在継手)と同等以上の強度、負荷容量および耐久性を有し、かつ、外径寸法がコンパクトとなる。
次に、上記のコンパクトな8個のボールを使用した固定式等速自在継手部2の外周に配置したボールスプライン部4を説明する。ボールスプライン部4を効率よく配置するために、次の項目に着目し、検討した。
(1)ボールスプライン溝26、27のPCD(PCDBS)と固定式等速自在継手部2の外径(DOUTER)の比率
図2に示すように、内方の固定式等速自在継手部2の外側継手部材6の隣り合うトラック溝11の中間の余肉部分にボールスプライン溝27を配置し、固定式等速自在継手部2の必要強度を確保するために、ボールスプライン溝のPCD(PCDBS)を必要十分な大きさに設定する必要があることが判明した。
(2)ボールスプライン部のボール径と固定式等速自在継手部のボール径の比率
ボールスプライン部4のボール径が必要以上に大きいと、摺動式等速自在継手1の外径やボールスプライン溝26、27の長さが大きくなり、これがコスト、重量の増加を招くため、ボールスプライン部4のボール28の直径D4を必要十分な大きさに設定する必要があることが判明した。ただし、入力されるトルクに対してボール28の径D4が小さいと、ボールスプライン溝26、27の応力変形等により、ボールスプライン溝26、27の早期剥離破損や破断破損が発生する可能性があることが判明した。
以上の検討結果より、ボールスプライン部4を効率よく配置するために、次の比率が好ましいことが究明できた。
(1)ボールスプライン溝26、27のPCD(PCDBS)と固定式等速自在継手部2の外径(DOUTER)の比率PCDBS/DOUTERを、PCDBS/DOUTER=0.96〜1.00とする。
(2)ボールスプライン部4のボール径(D4)と固定式等速自在継手部2のボール径(DBALL)の比率D4/DBALLを、D4/DBALL=0.57〜0.64とする。
以上のように、本実施形態の摺動式等速自在継手1は、上述したコンパクトな8個のボール8を使用した固定式等速自在継手部2とボールスプライン部4の効率のよい配置とが相俟って、トルク損失を低減し、軽量・コンパクトで、コストを抑えることができる。
図7に本実施形態の摺動式等速自在継手1を適用した自動車の前輪用ドライブシャフト40を示す。このドライブシャフト40は、中間シャフト19の一端に固定式等速自在継手41が連結され、他端に本実施形態の摺動式等速自在継手1が連結されている。固定式等速自在継手41は、8個のボールを用いたツェッパ型等速自在継手であり、摺動式等速自在継手1の固定式等速自在継手部2の内部構成と同じである。固定式等速自在継手41が駆動車輪を装着したハブ輪(図示省略)に連結され、摺動式等速自在継手1がデファレンシャルギヤ(図示省略)に連結される。固定式等速自在継手41の外周面と中間シャフト19の外周面との間、および摺動式等速自在継手1の外周面と中間シャフト19の外周面との間に、それぞれ蛇腹状ブーツ22、34が装着され、ブーツバンド33、35a、35bにより締め付け固定されると共に、ブーツ22のシールアダプタ23の端部を加締めて固定されている。
本実施形態の摺動式等速自在継手1を使用したので、作動角が大幅に拡大し、ドライブシャフト40の角度の使用可能領域が拡大され、駆動系部品のレイアウトの自由度が向上し、多様化する自動車の設計に大きく貢献できる。また、固定式等速自在継手部2と外筒部材3との間に保持器を有するボールスプライン部4が重畳状態で形成されているので、軸方向の寸法を抑えることができる。さらに、摺動式等速自在継手1は、コンパクトな8個のボール8を使用した固定式等速自在継手部2とボールスプライン部4の効率のよい配置とが相俟って、トルク損失を低減し、軽量・コンパクトで、コストを抑えることができ、ひいては、ドライブシャフト40の高効率化、軽量・コンパクトで、コストの抑制につながる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る摺動式等速自在継手を図8〜13に基づいて説明する。本実施形態の摺動式等速自在継手51は、固定式等速自在継手部52が第1の実施形態と異なる。その他の構成は、第1の実施形態と同じであるので、同じ機能を有する部位には、同じ符号を付して説明を省略する。
図8および図9に示すように、固定式等速自在継手部52は、外側継手部材56、内側継手部材57、ボール58および保持器59を主な構成とする。図8〜11に示すように、外側継手部材56および内側継手部材57のそれぞれ8本のトラック溝61、63は、継手の軸線N−Nに対して周方向に傾斜すると共にその傾斜方向が周方向に隣り合うトラック溝61A、61Bおよび63A、63Bで互いに反対方向に形成されている。そして、外側継手部材56および内側継手部材57の対となるトラック溝61A、63Aおよび61B、63Bの各交差部に8個のボール58が配置されている。このように、固定式等速自在継手部52が公差トラック溝61、63を有する等速自在継手で構成されている。トラック溝61、63の詳細は後述する。
図9に示すように、本実施形態でも、ボールスプライン部4を効率よく配置するために、外側継手部材56の外周面75に形成されたボールスプライン溝27は、外側継手部材56の球状内周面60に形成された隣り合うトラック溝61間の位相の余肉部分に配置されている。本実施形態の摺動式等速自在継手51においても、コンパクトで高効率な固定式等速自在継手部52の外周にボールスプライン部4を効率よく配置し、コストや重量を抑えている。
継手の縦断面を図8に示す。概ね軸方向に延びるトラック溝の傾斜状態や湾曲状態などの形態、形状を的確に示すために、本実施形態では、ボール軌道中心線という用語を用いて説明する。ここで、ボール軌道中心線とは、トラック溝に配置されたボールがトラック溝に沿って移動するときのボールの中心が描く軌跡を意味する。したがって、トラック溝の傾斜状態は、ボール軌道中心線の傾斜状態と同じであり、また、トラック溝の円弧状、あるいは直線状の状態は、ボール軌道中心線の円弧状、あるいは直線状の状態と同じである。
図8に示すように、外側継手部材56のトラック溝61はボール軌道中心線Xを有し、トラック溝61は、継手中心Oを曲率中心とする円弧状のボール軌道中心線Xaを有する第1のトラック溝部61aと、直線状のボール軌道中心線Xbを有する第2のトラック溝部61bとからなり、第1のトラック溝部61aのボール軌道中心線Xaに第2のトラック溝部61bのボール軌道中心線Xbが接線として滑らかに接続されている。一方、内側継手部材57のトラック溝63はボール軌道中心線Yを有し、トラック溝63は、継手中心Oを曲率中心とする円弧状のボール軌道中心線Yaを有する第1のトラック溝部63aと、直線状のボール軌道中心線Ybを有する第2のトラック溝部63bとからなり、第1のトラック溝部63aのボール軌道中心線Yaに第2のトラック溝部63bのボール軌道中心線Ybが接線として滑らかに接続されている。第1のトラック溝部61a、63aのボール軌道中心線Xa、Yaの各曲率中心を、継手中心O、すなわち継手の軸線N−N上に配置したことにより、トラック溝深さを均一にすることができ、かつ加工を容易にすることができる。
トラック溝61、63の横断面形状は、前述した図3と同様、楕円形状やゴシックアーチ形状に形成されており、トラック溝61、63とボール58は、接触角(30°〜45°程度)をもって接触する、所謂、アンギュラコンタクトとなっている。したがって、ボール58は、トラック溝61、63の溝底より少し離れたトラック溝61、63の側面側で接触している。
図10に基づき、外側継手部材56のトラック溝61が継手の軸線N−Nに対して周方向に傾斜している状態を説明する。図10は外側継手部材56の部分縦断面を示す。外側継手部材56のトラック溝61は、その傾斜方向の違いから、トラック溝61A、61Bの符号を付す。図10に示すように、トラック溝61Aのボール軌道中心線Xと継手中心Oを含む平面Mは、継手の軸線N−Nに対して角度γだけ傾斜している。そして、トラック溝61Aに周方向に隣り合うトラック溝61Bは、図示は省略するが、トラック溝61Bのボール軌道中心線Xと継手中心Oを含む平面Mが、継手の軸線N−Nに対して、トラック溝61Aの傾斜方向とは反対方向に角度γだけ傾斜している。
本実施形態では、トラック溝61Aのボール軌道中心線Xの全域、すなわち、第1のトラック溝部61aのボール軌道中心線Xaおよび第2のトラック溝部61bのボール軌道中心線Xbの両方が平面M上に形成されている。しかし、これに限られるものではなく、第1のトラック溝部61aのボール軌道中心線Xaのみが平面Mに含まれている形態も実施することができる。したがって、少なくとも第1のトラック溝部61aのボール軌道中心線Xaと継手中心Oを含む平面Mが継手の軸線N−Nに対して傾斜すると共にその傾斜方向が周方向に隣り合う第1のトラック溝部61aで互いに反対方向に形成されていればよい。
ここで、トラック溝の符号について補足する。外側継手部材56のトラック溝全体を指す場合は符号61を付し、その第1のトラック溝部に符号61a、第2のトラック溝部に符号61bを付す。さらに、傾斜方向の違うトラック溝を区別する場合には符号61A、61Bを付し、それぞれの第1のトラック溝部に符号61Aa、61Ba、第2のトラック溝部に符号61Ab、61Bbを付す。後述する内側継手部材57のトラック溝についても、同様の要領で符号を付している。
次に、図11に基づき、内側継手部材57のトラック溝63が継手の軸線N−Nに対して周方向に傾斜している状態を説明する。図11は内側継手部材57の外周面を示す。内側継手部材57のトラック溝63は、その傾斜方向の違いから、トラック溝63A、63Bの符号を付す。図11に示すように、トラック溝63Aのボール軌道中心線Yと継手中心Oを含む平面Qは、継手の軸線N−Nに対して角度γだけ傾斜している。そして、トラック溝63Aに周方向に隣り合うトラック溝63Bは、図示は省略するが、トラック溝63Bのボール軌道中心線Yと継手中心Oを含む平面Qが、継手の軸線N−Nに対して、トラック溝63Aの傾斜方向とは反対方向に角度γだけ傾斜している。傾斜角γは、固定式等速自在継手部52の作動性および内側継手部材57のトラック溝の最も接近した側の球面幅F(図9参照)を考慮し、4°〜12°にすることが好ましい。
前述した外側継手部材56と同様、本実施形態の内側継手部材57では、トラック溝63Aのボール軌道中心線Yの全域、すなわち、第1のトラック溝部63aのボール軌道中心線Yaおよび第2のトラック溝部63bのボール軌道中心線Ybの両方が平面Q上に形成されている。しかし、これに限られるものではなく、第1のトラック溝部63aのボール軌道中心線Yaのみが平面Qに含まれている形態も実施することができる。したがって、少なくとも第1のトラック溝部63aのボール軌道中心線Yaと継手中心Oを含む平面Qが継手の軸線N−Nに対して周方向に傾斜すると共にその傾斜方向が周方向に隣り合う第1のトラック溝部63aで互いに反対方向に形成されていればよい。内側継手部材57のトラック溝63のボール軌道中心線Yは、作動角0°の状態で継手中心Oを含む平面Pを基準として、外側継手部材56の対となるトラック溝61のボール軌道中心線Xと鏡像対称に形成されている。
図12に基づいて、外側継手部材56の縦断面より見たトラック溝の詳細を説明する。図12の部分縦断面は、前述した図10のトラック溝61Aのボール軌道中心線Xと継手中心Oを含む平面Mで見た断面図である。したがって、厳密には、継手の軸線N−Nを含む平面における縦断面図ではなく、角度γだけ傾斜した断面を示している。図12には、外側継手部材56のトラック溝61Aが示されているが、トラック溝61Bは、傾斜方向がトラック溝61Aとは反対方向であるだけで、その他の構成はトラック溝61Aと同じであるので、説明は省略する。外側継手部材56の球状内周面60にはトラック溝61Aが軸方向に沿って形成されている。トラック溝61Aはボール軌道中心線Xを有し、トラック溝61Aは、継手中心Oを曲率中心(軸方向のオフセットがない)とする円弧状のボール軌道中心線Xaを有する第1のトラック溝部61Aaと、直線状のボール軌道中心線Xbを有する第2のトラック溝部61Abとからなる。そして、第1のトラック溝部61Aaのボール軌道中心線Xaの開口側の端部Aにおいて、第2のトラック溝部61Abの直線状のボール軌道中心線Xbが接線として滑らかに接続されている。すなわち、端部Aが第1のトラック溝部61Aaと第2のトラック溝61Abとの接続点である。端部Aは継手中心Oよりも開口側に位置するので、第1のトラック溝部61Aaのボール軌道中心線Xaの開口側の端部Aにおいて接線として接続される第2のトラック溝部61Abの直線状のボール軌道中心線Xbは、開口側に行くにつれて継手の軸線N−N(図8参照)に接近するように形成されている。これにより、最大作動角時の有効トラック長さを確保すると共にくさび角が過大になるのを抑制することができる。
図12に示すように、端部Aと継手中心Oとを結ぶ直線をLとする。トラック溝61Aのボール軌道中心線Xと継手中心Oを含む平面M(図10参照)上に投影された継手の軸線N’−N’は継手の軸線N−Nに対しγだけ傾斜し、軸線N’−N’の継手中心Oにおける垂線Kと直線Lとがなす角度をβ’とする。上記の垂線Kは作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面P上にある。したがって、直線Lが作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面Pに対してなす角度βは、sinβ=sinβ’×cosγの関係になる。
同様に、図13に基づいて、内側継手部材57の縦断面よりトラック溝の詳細を説明する。図13の縦断面は、前述した図11のトラック溝63Aのボール軌道中心線Yと継手中心Oを含む平面Qで見た断面図である。したがって、図12と同様に、厳密には、継手の軸線N−Nを含む平面における縦断面図ではなく、角度γだけ傾斜した断面を示している。図13には、内側継手部材57のトラック溝63Aが示されているが、トラック溝63Bは、傾斜方向がトラック溝63Aとは反対方向であるだけで、その他の構成はトラック溝63Aと同じであるので、説明は省略する。内側継手部材57の球状外周面62にはトラック溝63Aが軸方向に沿って形成されている。トラック溝63Aはボール軌道中心線Yを有し、トラック溝63Aは、継手中心Oを曲率中心(軸方向のオフセットがない)とする円弧状のボール軌道中心線Yaを有する第1のトラック溝部63Aaと、直線状のボール軌道中心線Ybを有する第2のトラック溝部63Abとからなる。そして、第1のトラック溝部63Aaのボール軌道中心線Yaの奥側の端部Bにおいて、第2のトラック溝部63Abのボール軌道中心線Ybが接線として滑らかに接続されている。すなわち、端部Bが第1のトラック溝部63Aaと第2のトラック溝63Abとの接続点である。端部Bは継手中心Oよりも奥側に位置するので、第1のトラック溝部63Aaのボール軌道中心線Yaの奥側の端部Bにおいて接線として接続される第2のトラック溝部63Abの直線状のボール軌道中心線Ybは、奥側に行くにつれて継手の軸線N−N(図8参照)に接近するように形成されている。これにより、最大作動角時の有効トラック長さを確保すると共にくさび角が過大になるのを抑制することができる。
図13に示すように、端部Bと継手中心Oとを結ぶ直線をRとする。トラック溝63Aのボール軌道中心線Yと継手中心Oを含む平面Q(図11参照)上に投影された継手の軸線N’−N’は継手の軸線N−Nに対しγだけ傾斜し、軸線N’−N’の継手中心Oにおける垂線Kと直線Rとがなす角度をβ’とする。上記の垂線Kは作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面P上にある。したがって、直線Rが作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面Pに対してなす角度βは、sinβ=sinβ’×cosγの関係になる。
次に、直線L、Rが作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面Pに対してなす角度βについて説明する。作動角θを取ったとき、外側継手部材56および内側継手部材57の継手中心Oを含む平面Pに対して、ボール58がθ/2だけ移動する。使用頻度が多い作動角の1/2より角度βを決め、使用頻度が多い作動角の範囲においてボール58が接触するトラック溝の範囲を決める。ここで、使用頻度が多い作動角について定義する。まず、継手の常用角とは、水平で平坦な路面上で1名乗車時の自動車において、ステアリングを直進状態にした時にフロント用ドライブシャフトの固定式等速自在継手に生じる作動角をいう。常用角は、通常、2°〜15°の間で車種ごとの設計条件に応じて選択・決定される。そして、使用頻度の多い作動角とは、上記の自動車が、例えば、交差点の右折・左折時などに生じる高作動角ではなく、連続走行する曲線道路などで固定式等速自在継手に生じる作動角をいい、これも車種ごとの設計条件に応じて決定される。使用頻度の多い作動角は最大20°を目処とする。これにより、直線L、Rが作動角0°の状態の継手中心Oを含む平面Pに対してなす角度βを3°〜10°と設定する。ただし、角度βは3°〜10°に限定されるものではなく、車種の設計条件に応じて適宜設定することができる。角度βを3°〜10°に設定することで種々の車種に汎用することができる。
上記の角度βにより、図12において、第1のトラック溝部61Aaのボール軌道中心線Xaの端部Aは、使用頻度が多い作動角時に軸方向に沿って最も開口側に移動したときのボールの中心位置となる。同様に、内側継手部材57では、図13において、第1のトラック溝部63Aaのボール軌道中心線Yaの端部Bは、使用頻度が多い作動角時に軸方向に沿って最も奥側に移動したときのボールの中心位置となる。このように設定されているので、使用頻度が多い作動角の範囲では、ボール58は、外側継手部材56および内側継手部材57の第1のトラック溝部61Aa、63Aaと、傾斜方向が反対の61Ba、63Ba(図10、図11参照)に位置するので、保持器59の周方向に隣り合うポケット部59aにボール58から相反する方向の力が作用し、保持器59は継手中心Oの位置で安定する(図8参照)。このため、保持器59の球状外周面64と外側継手部材56の球状内周面60との接触力、および保持器59の球状内周面65と内側継手部材57の球状外周面62との接触力が抑制され、高負荷時や高速回転時に継手が円滑に作動し、トルク損失や発熱が抑えられ、耐久性が向上する。
本実施形態の固定式等速自在継手部52の外側継手部材56のトラック溝61Aは、直線状のボール軌道中心線Xbを有する第2のトラック溝部61Abが開口側に形成されている。コンパクト設計の中で、この第2のトラック溝部61Abの存在により、最大作動角時における有効トラック長さを確保すると共にくさび角が過大になるのを抑制することができる。そのため、最大作動角を47°程度の高角にしても、必要十分な入口チャンファ70を設けた状態でボール58がトラック溝61Abと接触状態を確保することができ、かつ、くさび角が大きくならないように抑えることができる。
尚、高作動角の範囲では、周方向に配置されたボール58が第1のトラック溝部61Aa、63Aa(61Ba、63Ba、図10および図11参照)と第2のトラック溝部61Ab、63Ab(61Bb、63Bb、図10および図11参照)に一時的に分かれて位置する。これに伴い、保持器59の各ポケット部59aにボール58から作用する力が継手全体として釣り合わず、保持器59と外側継手部材56との球面接触部64、60および保持器59と内側継手部材57との球面接触部65、62の接触力が発生するが、高作動角の範囲は使用頻度が少ないため、本実施形態の摺動式等速自在継手51に適用される固定式等速自在継手部52は、総合的にみるとトルク損失や発熱を抑制できる。したがって、トルク損失および発熱が少なく高効率で、高作動角を取ることができ、高作動角時の強度や耐久性にも優れたコンパクトな固定式等速自在継手部52となる。
以上説明した本実施形態の交差トラック溝61、63を有する固定式等速自在継手部52は、図8に示すように、第1の実施形態と同様に、外筒部材3に嵌挿され、外筒部材3の内周面24と、固定式等速自在継手部52の外側継手部材56の外周面75との間にボールスプライン部4が形成されている。摺動式等速自在継手51においても、第1の実施形態と同様、作動角は内方の固定式等速自在継手部52で取り、軸方向のスライドはボールスプライン部4で取る。作動角を取る機能と軸方向のスライドを取る機能が、固定式等速自在継手部52とボールスプライン部4に分けられており、かつ、高効率な交差トラック溝61、63を有する固定式等速自在継手部56が相俟って、NVH特性がきわめて良好である。
本実施形態の摺動式等速自在継手51おける外筒部材3の構成、ボールスプライン部4の構成や作動、スライドイン・スライドアウトした状態や規制方法、スライド量Lの設定やドライブシャフトへの適用などは、前述した第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態の説明内容を準用し、重複説明を省略する。なお、本実施形態の摺動式等速自在継手51においても第1の実施形態と同じく(1)ボールスプライン溝26、27のPCD(PCDBS)と固定式等速自在継手部52の外径(DOUTER)の比率PCDBS/DOUTERを、PCDBS/DOUTER=0.96〜1.00とし、(2)ボールスプライン部4のボール径(D4)と固定式等速自在継手部52のボール径(DBALL)の比率D4/DBALLを、D4/DBALL=0.57〜0.64とした。
本実施形態の摺動式等速自在継手51では、交差トラック溝が、軸方向にオフセットのない曲率中心をもつ円弧状の第1のトラック溝部61a、63aと直線状の第2のトラック溝部61b、63bから構成した固定式等速自在継手部52を適用したものを例示したが、これに限られず、軸方向にオフセットのない曲率中心をもつ円弧状トラック溝のみで交差トラック溝が形成された固定式等速自在継手部としてもよい。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1、51 摺動式等速自在継手
2、52 固定式等速自在継手部
3 外筒部材
3b ステム部
4 ボールスプライン部球状ローラ
6、56 外側継手部材
7、57 内側継手部材
8、58 トルク伝達ボール
9、59 保持器
10、60 球状内周面
11、61 トラック溝
12、62 球状外周面
13、63 トラック溝
14、64 球状外周面
15、65 球状内周面
26 ボールスプライン溝
27 ボールスプライン溝
28 ボール
29 保持器
O 継手中心
Oi 曲率中心
Oo 曲率中心
P 継手中心平面

Claims (8)

  1. 球状内周面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、球状外周面に前記外側継手部材のトラック溝に対向する複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材のトラック溝間に組込まれた複数のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に配置され、前記トルク伝達ボールを保持する保持器とから固定式等速自在継手部を構成し、この固定式等速自在継手部を外筒部材に嵌挿し、この外筒部材の内周面と前記固定式等速自在継手部の外側継手部材の外周面との間にボールスプライン部を形成した摺動式等速自在継手において、
    前記ボールスプライン部のボールが、前記外筒部材の内周面と前記外側継手部材の外周面との間に配置された保持器により保持され、
    前記固定式等速自在継手部のトルク伝達ボールの個数が8個であることを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記ボールスプライン部のボールスプライン溝が、前記固定式等速自在継手部の外側継手部材の隣り合うトラック溝間の位相に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記ボールスプライン部のボールの個数が、ボールスプライン溝の1溝当たり2個以上であることを特徴とする請求項2に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記ボールスプライン部の保持器が樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記ボールスプライン部は、ボールの転がりによりスライドすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  6. 前記外筒部材にステム軸部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  7. 前記固定式等速自在継手部がツェッパ型等速自在継手で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  8. 前記固定式等速自在継手部が交差トラック溝を有する等速自在継手で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
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