以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程(ステップ)、工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
[1−1.構成]
まず、実施の形態1に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る点灯装置1及びこれを備える照明器具5の構成を示す回路図である。図1には、点灯装置1及び照明器具5と併せて直流電源3も示されている。
図1に示されるように、照明器具5は、点灯装置1と光源2とを備える。
光源2は、それぞれが固体発光素子を備える複数の発光部21、22及び23を備える。
本実施の形態では、発光部21、22及び23は、それぞれ、一つ又は複数のLEDを備える。また、発光部21、22及び23は、相異なる光色を有する。例えば、発光部21、22及び23の光色は、それぞれ青、緑、赤である。なお、各光色は、LED自体の発光色によって実現されてもよいし、LEDと当該LEDから出射される光を蛍光体、光学フィルタなどによって変換することによって実現されてもよい。また、発光部21、22及び23の順方向電圧は異なっていてもよい。本実施の形態では、発光部21、22及び23の各順方向電圧は発光部21、22及び23の順に低くなる。すなわち、発光部21の順方向電圧が最も高く、発光部23の順方向電圧が最も低い。なお、ここで、各発光部の順方向電圧は、複数のLEDが直列接続されている場合には、当該複数のLEDの各順方向電圧の和を意味する。
点灯装置1は、複数の発光部21、22及び23に電流を供給する装置である。本実施の形態では、点灯装置1は直流電源3から直流電圧Vdcが供給される。図1に示されるように、点灯装置1は、スイッチ部10、バックコンバータ15、制御回路16並びに平滑用コンデンサ141、142及び143を備える。また、点灯装置1は、光源2に電流を供給する出力端子T11、T21、T22及びT23を備える。
バックコンバータ15は、直流電源3の出力電圧Vdcを変換して出力するDC/DCコンバータである。図1に示されるように、バックコンバータ15は、整流素子151、インダクタ152及び第一のスイッチ素子153を備える。また、第一のスイッチ素子153は、一端(ドレイン電極)においてインダクタ152と直列接続され、他端(ソース電極)において直流電源3の低電位側(アース側)の出力端子と接続されている。また、整流素子151のカソードは、直流電源3の高電位側の出力端子に接続され、アノードはインダクタ152と第一のスイッチ素子153との接続点に接続されている。
整流素子151は、バックコンバータ15の出力端子に接続される負荷、及び、インダクタ152とともに閉回路を構成し、インダクタ152に蓄積されたエネルギーを回生させる素子である。整流素子151は、例えば、ダイオードで構成される。
インダクタ152は、チョークコイルであり、第一のスイッチ素子153のスイッチングに応じてエネルギーを蓄積及び放出する。
第一のスイッチ素子153は、制御回路16の駆動制御部161からの制御の下でスイッチングする(オン及びオフを繰り返す)素子であり、本実施の形態では、インダクタ152と直列に接続されるNチャネル型のMOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
スイッチ部10は、複数の発光部21、22及び23のうち、バックコンバータ15から電流が供給されるいずれか一つの発光部を選択する回路である。図1に示されるように、スイッチ部10は、第二のスイッチ素子11、12及び13を備える。第二のスイッチ素子11、12及び13は、発光部21、22及び23にそれぞれ直列に接続される。バックコンバータ15から発光部21、22及び23のいずれか一つに電流を供給するために、当該電流が供給される発光部と直列接続されている第二のスイッチ素子がオン状態になり、他の第二のスイッチ素子がオフ状態となるように制御される。本実施の形態では、第二のスイッチ素子11、12及び13は、スイッチ制御部163からの信号によって、オン及びオフ制御できる素子で構成される。第二のスイッチ素子11、12及び13は、例えば、MOSFETなどで構成される。
平滑用コンデンサ141、142及び143は、バックコンバータ15から出力される脈動電圧を平滑化する素子である。平滑用コンデンサ141、142及び143は、第二のスイッチ素子11、12及び13とそれぞれ直列接続される。また、平滑用コンデンサ141、142及び143の両端に発光部21、22及び23がそれぞれ並列接続される。本実施の形態では、平滑用コンデンサ141、142及び143は、電解コンデンサで構成される。
制御回路16は、入力される調光調色信号に基づいてバックコンバータ15及びスイッチ部10を制御する回路である。図1に示されるように、制御回路16は、駆動制御部161、ゼロ電流検出回路(ZCD:Zero−Crossing Detector)162、スイッチ制御部163及びパラメータ設定部164を備える。
パラメータ設定部164は、発光部21、22及び23のそれぞれに供給する電流に対応するパラメータを設定する処理部である。本実施の形態では、パラメータ設定部164は、スイッチ制御部163から、オンされる第二のスイッチ素子に対応する信号、すなわち、電流が供給される発光部に対応する信号を受けて、当該発光部に供給する電流に対応するパラメータを設定する。また、パラメータ設定部164は、当該パラメータに対応する信号を駆動制御部161に出力する。本実施の形態では、当該パラメータは、第一のスイッチ素子153のオン時間である。第一のスイッチ素子153のオン時間が長いほど、各発光部に供給される電流は大きくなる。例えば、光源2に深い調光度の照明光(出力が小さい照明光)を出射させるためには、パラメータ設定部164は、各発光部に供給される電流が小さくなるように、オン時間を短く設定する。また、例えば、光源2から青色の光色を有する照明光を出射させるためには、パラメータ設定部164は、発光部21に供給される電流が大きくなり、発光部22及び23に流れる電流が小さくなるように、各発光部に電流を供給する際のオン時間を設定する。より具体的には、パラメータ設定部164は、第二のスイッチ素子11、12及び13がそれぞれオン状態に維持される場合における第一のスイッチ素子153のオン時間Ton1、Ton2及びTon3を設定する。ここで、パラメータ設定部164は、Ton1がTon2及びTon3より長くなるように各オン時間を設定する。
ZCD162は、インダクタ152に流れる電流がゼロになったことを検出して、ゼロ電流検出信号を出力する回路である。なお、ここで、インダクタ152に流れる電流がゼロとは、インダクタ152に流れる電流が実質的にゼロになったことを意味し、インダクタ152に流れる電流が、厳密にゼロであることに限定されない。例えば、インダクタ152に流れる電流は、ゼロから測定誤差程度の範囲内であればよい。ZCD162は、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161及びスイッチ制御部163に出力する。本実施の形態では、ZCD162は、インダクタ152と整流素子151との接続点における電位を検出することによって、インダクタ152に流れる電流を検出する。
駆動制御部161は、パラメータ設定部164が設定したパラメータに基づいて第一のスイッチ素子153を制御する制御部である。本実施の形態では、駆動制御部161は、ZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時に、第一のスイッチ素子153のゲート電極にHレベルの信号を出力して、第一のスイッチ素子153をオンさせる。また、駆動制御部161は、パラメータ設定部164から入力された信号に基づいて定められたオン時間に亘って、第一のスイッチ素子153をオン状態に維持する。また、駆動制御部161は、当該オン時間が経過した時、第一のスイッチ素子153のゲート電極にLレベルの信号を出力して、第一のスイッチ素子153をオフさせる。
スイッチ制御部163は、ZCD162からゼロ電流検出信号を受ける毎に、発光部21、22及び23のうち一つの発光部を選択して、当該発光部にバックコンバータ15から電流を供給するようにスイッチ部10を制御する制御部である。スイッチ制御部163は、複数の発光部のうち一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。本実施の形態では、当該順序は、複数の発光部21、22及び23のうち、順方向電圧が最も高い発光部21から降順に一巡する順序である。また、スイッチ制御部163は、例えば、発光部21、22及び23の順に繰り返し電流を供給するように、スイッチ部10の第二のスイッチ素子11、12及び13に信号を出力する順序回路である。また、スイッチ制御部163は、当該信号に対応する信号をパラメータ設定部164にも出力することにより、パラメータ設定部164に次に電流が供給される発光部がどれであるかを伝える。
出力端子T11は、点灯装置1の高電位側の出力端子である。出力端子T11には、光源2の発光部21、22及び23のアノード側の端子が接続される。
出力端子T21、T22及びT23は、点灯装置1の低電位側の出力端子であり、平滑用コンデンサ141、142及び143と、第二のスイッチ素子11、12及び13との接続点にそれぞれ接続される。また、出力端子T21、T22及びT23には、光源2の発光部21、22及び23の各カソード側の端子がそれぞれ接続される。
[1−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1の動作について、図面を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る点灯装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。図2には、第一のスイッチ素子153の状態S153、第二のスイッチ素子11、12及び13のそれぞれの状態S11、S12及びS13、並びに、インダクタ152に流れる電流I152の時間波形の概要が示される。また、図2には、第一のスイッチ素子153の両端に印加される電圧V153、並びに、第二のスイッチ素子11、12及び13に流れる電流I11、I12及びI13の時間波形の概要も示される。
図2に示されるように、まず、時刻t1において、駆動制御部161が第一のスイッチ素子153をオンさせると、直流電源3、光源2、スイッチ部10、インダクタ152及び第一のスイッチ素子153で構成される回路に電流が流れる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152が徐々に増加する。ここで、スイッチ制御部163によって、第二のスイッチ素子11がオン状態に、第二のスイッチ素子12及び13がオフ状態に、それぞれ維持されている場合には、第二のスイッチ素子11に流れる電流I11が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153をオン状態に維持した時間が、パラメータ設定部164から入力された信号に基づいて定められたオン時間Ton1を経過した時、駆動制御部161は、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152に蓄えられたエネルギーにより、インダクタ152、整流素子151、発光部21及び第二のスイッチ素子11から構成される閉回路に電流が流れる。当該閉回路に流れる電流は、インダクタ152に蓄えられたエネルギーの減少に伴って、減少する。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子11に流れる電流I11は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t2)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、時刻t2においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子11をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子12をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子13は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164にも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164は、オンされる第二のスイッチ素子12、及び、それに対応する発光部22を検知し、発光部22に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161に出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164は、オン時間Ton2に対応する信号を駆動制御部161に出力する。
駆動制御部161は、時刻t2においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオンさせる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子12に流れる電流I12が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153がオン状態に維持された時間が、パラメータ設定部164から入力された信号に基づいて定められたオン時間Ton2を経過した時、駆動制御部161は、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152に蓄えられたエネルギーにより、インダクタ152、整流素子151、発光部22及び第二のスイッチ素子12から構成される閉回路に電流が流れる。当該閉回路に流れる電流は、インダクタ152に蓄えられたエネルギーの減少に伴って、減少する。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子12に流れる電流I12は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t3)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、時刻t3においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子12をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子13をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子11は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164にも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164は、オンされる第二のスイッチ素子13、及び、それに対応する発光部23を検知し、発光部23に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161に出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164は、オン時間Ton3に対応する信号を駆動制御部161に出力する。
駆動制御部161は、時刻t3においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオンさせる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子13に流れる電流I13が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153をオン状態に維持した時間が、パラメータ設定部164から入力された信号に基づいて定められたオン時間Ton3を経過した時、駆動制御部161は、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152に蓄えられたエネルギーにより、インダクタ152、整流素子151、発光部23及び第二のスイッチ素子13から構成される閉回路に電流が流れる。当該閉回路に流れる電流は、インダクタ152に蓄えられたエネルギーの減少に伴って、減少する。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子13に流れる電流I13は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t4)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、時刻t4においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子13をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子11をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子12は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164にも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164は、オンされる第二のスイッチ素子11、及び、それに対応する発光部21を検知し、発光部21に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161に出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164は、オン時間Ton1に対応する信号を駆動制御部161に出力する。
これ以後、点灯装置1は、同様の動作を繰り返すことにより、調光調色信号に対応した調光度及び調色を実現できる電流を出力することができる。
なお、図2に示される電流I11、I12及びI13が、平滑用コンデンサ141、142及び143によって平滑化されるため、発光部21、22及び23には、三角波の電流I11、I12及びI13の略平均電流が供給される。
ここで、本実施の形態に係る点灯装置1から、各発光部に供給される電流について検討する。
本実施の形態において、発光部2n(nは1、2又は3)に電流が供給される期間は、Vdc・Tonn/VLnと表すことができる。ここで、Vdcは直流電源3の出力電圧を、VLnは発光部2nの順方向電圧を、Tonnは発光部2nに電流が供給される場合の第一のスイッチ素子153のオン時間を、それぞれ表す。したがって、点灯装置1から、発光部21、22及び23に電流が供給される周期は、下記式1で表される。
また、発光部2nに電流が供給される期間における平均電流ILnは、下記式2で表される。
ここで、L1は、インダクタ152のインダクタンスを表す。
したがって、発光部2nに流れる平均電流比は下記式3で表される。
したがって、発光部2nに流れる平均電流ILnは、概ねTonnの自乗比に従う。
また、本実施の形態において、第一のスイッチ素子153のスイッチング周期は、例えば、数μsecから数10μsec程度であるため、各発光部からの出射光の光色が混ざり合って見える。これにより、点灯装置1を用いた照明器具5によって、調色が可能となる。
なお、上記の動作では、パラメータ設定部164によるオン時間の設定は、ゼロ電流検出信号の出力タイミングで行われたが、オン時間の設定タイミングは、これに限定されない。例えば、オン時間は、第一のスイッチ素子153がオフ状態である期間(すなわちオフ期間)に設定されてもよい。
[1−3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る点灯装置1は、バックコンバータ15と、複数の発光部のうち、バックコンバータ15からの電流が供給されるいずれか一つの発光部を選択するスイッチ部10と、制御回路16とを備える。ここでバックコンバータ15は、インダクタ152、及び、インダクタ152に直列接続された第一のスイッチ素子153を備える。また制御回路16は、インダクタ152に流れる電流がゼロになったことを検出して、ゼロ電流検出信号を出力するZCD162と、ZCD162からゼロ電流検出信号を受ける毎に、複数の発光部のうち一つの発光部を選択して、当該発光部にバックコンバータ15から電流を供給するようにスイッチ部10を制御するスイッチ制御部163とを備える。
これにより、点灯装置1においては複数の発光部のそれぞれにバックコンバータを設ける必要がないため、点灯装置1を小型化することができる。また、点灯装置1によって、複数の発光部に電流を供給する場合、一つのバックコンバータから各発光部に電流が供給されることにより、各発光部への電流比ばらつきが抑制される。したがって、各発光部から相異なる光色の光を出射させて調色する場合に、混合された光色のばらつきを抑制することができる。また、点灯装置1では、ゼロ電流検出時に、電流を供給する発光部を切り替えるため、スイッチング損失及びノイズを抑制することができる。
また、点灯装置1において、スイッチ部10は、複数の発光部のそれぞれに直列接続される複数の第二のスイッチ素子を備え、スイッチ制御部163は、複数の第二のスイッチ素子の各々をオン及びオフ制御する順序回路を備えてもよい。
また、点灯装置1において、複数の発光部のそれぞれに供給する電流に対応するパラメータを設定するパラメータ設定部164をさらに備える。
これにより、点灯装置1では、各発光部への電流を所望の調光度などに応じて任意に調整することができる。
また、点灯装置1において、パラメータ設定部164は、パラメータとして、第一のスイッチ素子153のオン時間を設定する。
これにより、点灯装置1では、各発光部に供給する電流を第一のスイッチ素子153のオン時間により調整するため、電流のピーク値を検出するための構成などが不要である。したがって、点灯装置1の構成要素を削減することができる。
また、点灯装置1において、スイッチ制御部163は、一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択し、当該順序は、複数の発光部のうち、順方向電圧が最も高い発光部から降順に一巡する順序である。
これにより、スイッチ部10によって電流が供給される発光部を切り替える際の、順方向電圧の減少量が最小限に抑制される。したがって、点灯装置1において発生するサージ電流が抑制されるため、発光部の切り替えに伴う損失も抑制される。すなわち、高効率な点灯装置1を実現することができる。
また、本実施の形態に係る照明器具5は、点灯装置1と複数の発光部とを備える。
これにより、照明器具5は、点灯装置1と同様の効果を奏することができる。
また、照明器具5において、複数の発光部のうち少なくとも一つの発光部の光色は、他の発光部の光色と異なる。
これにより、各発光部に供給する電流を調整することで、照明器具5の出射光の調色を行うことができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具は、バックコンバータにおける第一のスイッチ素子のオフ制御を、第一のスイッチ素子に流れる電流が、所定の閾値を超えたことを検出した場合に行う点において、上記実施の形態1に係る点灯装置及び照明器具と異なる。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態1に係る点灯装置1及び照明器具5と相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[2−1.構成]
まず、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る点灯装置1A及びこれを備える照明器具5Aの構成を示す回路図である。図3には、点灯装置1A及び照明器具5Aと併せて直流電源3も示されている。
図3に示されるように、点灯装置1Aは、バックコンバータ15A及び制御回路16Aの構成において、上記実施の形態1に係る点灯装置1と相違し、その他の構成において一致する。
バックコンバータ15Aは、上記実施の形態1に係るバックコンバータ15と同様に、整流素子151、インダクタ152及び第一のスイッチ素子153を備え、抵抗154をさらに備える。
抵抗154は、第一のスイッチ素子153に流れる電流を検出するための電流検出回路を構成する抵抗である。抵抗154に印加される電圧によって当該電流が検出される。
制御回路16Aは、上記実施の形態1に係る制御回路16と同様に、駆動制御部161A、ZCD162、スイッチ制御部163及びパラメータ設定部164Aを備える。制御回路16Aは、駆動制御部161A及びパラメータ設定部164Aの構成において、制御回路16と相違し、その他の構成において一致する。
パラメータ設定部164Aは、発光部21、22及び23のそれぞれに供給する電流に対応するパラメータとして、第一のスイッチ素子153に流れる電流の閾値Ip1、Ip2及びIp3に対応する値を設定する。当該閾値Ip1、Ip2及びIp3は、発光部21、22及び23に電流を供給する場合に、第一のスイッチ素子153に流れる電流のピーク値にそれぞれ対応する。
駆動制御部161Aは、パラメータ設定部164Aが設定したパラメータである閾値Ip1、Ip2及びIp3に基づいて第一のスイッチ素子153を制御する。具体的には、駆動制御部161Aは、ZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時に、第一のスイッチ素子153をオンさせる。また、駆動制御部161Aは、抵抗154から構成される電流検出回路によって第一のスイッチ素子153に流れる電流が閾値Ip1、Ip2又はIp3に達したことを検知した時に、第一のスイッチ素子153をオフさせる。例えば、点灯装置1Aが発光部21に電流を供給する場合には、駆動制御部161Aは、ゼロ電流検出信号を受けた時から第一のスイッチ素子153に流れる電流が閾値Ip1に達するまで、第一のスイッチ素子153をオン状態に維持する。また、第一のスイッチ素子153に流れる電流が、閾値Ip1に達した時に、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフする。点灯装置1Aが発光部22及び23にそれぞれ電流を供給する場合も同様である。
[2−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Aの動作について図面を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る点灯装置1Aの動作の一例を示すタイミングチャートである。図4には、図2と同様に、状態S153、S11、S12及びS13、電流I152、電圧V153、並びに、電流I11、I12及びI13の時間波形の概要が示される。
図4に示されるように、まず、時刻t1において駆動制御部161Aが第一のスイッチ素子153をオンさせると、インダクタ152に流れる電流I152が徐々に増加する。ここで、スイッチ制御部163によって、第二のスイッチ素子11がオン状態に、第二のスイッチ素子12及び13がオフ状態に維持されている場合には、第二のスイッチ素子11に流れる電流I11が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流がパラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip1になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t2)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、上記実施の形態1に係る点灯装置1の場合と同様に、インダクタ152、整流素子151、発光部21及び第二のスイッチ素子11から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子11に流れる電流I11は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t3)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、上記実施の形態1に係る点灯装置1の場合と同様に、時刻t3においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子11をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子12をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子13は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子12、及び、それに対応する発光部22を検知し、発光部22に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip2に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
駆動制御部161Aは、時刻t3においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオンさせる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子12に流れる電流I12が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流が、パラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip2になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t4)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、上記実施の形態1に係る点灯装置1の場合と同様に、インダクタ152、整流素子151、発光部22及び第二のスイッチ素子12から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子12に流れる電流I12は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t5)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、上記実施の形態1の場合と同様に、時刻t5においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子12をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子13をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子11は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子13、及び、それに対応する発光部23を検知し、発光部23に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip3に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
駆動制御部161Aは、時刻t5においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオン状態に切り替える。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子13に流れる電流I13が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流が、パラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip3になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t6)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、上記実施の形態1に係る点灯装置1の場合と同様に、インダクタ152、整流素子151、発光部23及び第二のスイッチ素子13から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子13に流れる電流I13は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t7)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163に出力する。
スイッチ制御部163は、上記実施の形態1の場合と同様に、時刻t7においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子13をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子11をオンさせるための信号をスイッチ部10に出力する。なお、第二のスイッチ素子12は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163は、スイッチ部10に出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子11、及び、それに対応する発光部21を検知し、発光部21に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip1に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
これ以後、点灯装置1Aは、同様の動作を繰り返すことにより、調光調色信号に対応した調光度及び調色を実現できる電流を出力することができる。
ここで、本実施の形態に係る点灯装置1Aから、各発光部に供給される電流について検討する。
本実施の形態において、各発光部2n(nは1、2又は3)に電流が供給される期間は、下記式4で表される。
ここで、Vdcは直流電源3の出力電圧を、Vnは発光部2nの順方向電圧を、Tonnは発光部2nに電流が供給される場合の第一のスイッチ素子153のオン時間を、それぞれ表す。したがって、点灯装置1から、発光部21、22及び23に電流が供給される周期は、下記式5で表される。
また、発光部2nに電流が供給される期間における平均電流ILnは、下記式6で表される。
以上のように、平均電流ILnはインダクタンスL1に依存しないため、インダクタ152の製造誤差などによる平均電流ILnの設計値からの誤差が抑制される。また、上記式6より発光部2nに流れる平均電流比は下記式7で表される。
したがって、発光部2nに流れる平均電流ILnは、概ねIpnの自乗比に従う。
[2−3.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置1Aが構成されることにより、点灯装置1Aにおいても上記実施の形態1に係る点灯装置1と同様の効果を奏する。
また、点灯装置1Aにおいて、第一のスイッチ素子153に流れる電流を検出する電流検出回路と、パラメータに基づいて第一のスイッチ素子153を制御する駆動制御部161Aとをさらに備える。また、パラメータ設定部164Aは、パラメータとして、第一のスイッチ素子153に流れる電流の閾値に対応する値を設定する。また、駆動制御部161Aは、ZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時に、第一のスイッチ素子153をオンさせる。さらに、駆動制御部161Aは、電流検出回路によって第一のスイッチ素子153に流れる電流が当該閾値に達したことを検知した時に、第一のスイッチ素子153をオフさせる。
これにより、上述のとおり、発光部に供給される電流がインダクタ152のインダクタンスに依存しないため、インダクタ152の製造誤差による当該電流の設計値からの誤差を抑制することができる。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具は、スイッチ部及びスイッチ部を制御するスイッチ制御部の構成において、上記実施の形態2に係る点灯装置1A及び照明器具5Aと異なる。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態2に係る点灯装置1A及び照明器具5Aと相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[3−1.構成]
まず、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る点灯装置1B及びこれを備える照明器具5Bの構成を示す回路図である。図5には、点灯装置1B及び照明器具5Bと併せて直流電源3も示されている。
図5に示されるように、点灯装置1Bは、スイッチ部10B及び制御回路16Bにおけるスイッチ制御部163Bの構成において、上記実施の形態2に係る点灯装置1Aと相違し、その他の構成において一致する。
なお、本実施の形態においても、上記各実施の形態と同様に、発光部21、22及び23の各順方向電圧は発光部21、22及び23の順に低くなる。
スイッチ部10Bは、第二のスイッチ素子111、121及び131、並びに、整流素子122を備える。
第二のスイッチ素子111は、複数の発光部21、22及び23のうち最も順方向電圧の高い発光部21に接続される素子である。本実施の形態では、第二のスイッチ素子111は、ダイオードなどの整流素子で構成される。
第二のスイッチ素子121及び131は、上記実施の形態2に係る点灯装置1Aと同様に、スイッチ制御部163Bからの信号によって、オン及びオフ制御できる素子で構成される。本実施の形態では、第二のスイッチ素子121及び131は、MOSFETで構成される。また、図示しないが、複数の発光部21、22及び23のうち最も順方向電圧の低い発光部23に接続される第二のスイッチ素子131には、逆並列に整流素子が接続される。当該整流素子は、第二のスイッチ素子131の寄生ダイオードで構成されてもよいし、第二のスイッチ素子131と逆並列に接続されたダイオードなどの整流素子で構成されてもよい。
整流素子122は、第二のスイッチ素子121に直列接続される素子である。整流素子122は、例えば、ダイオードで構成される。
スイッチ制御部163Bは、上記各実施の形態に係るスイッチ制御部163と同様に、ZCD162からゼロ電流検出信号を受ける毎に、発光部21、22及び23のうち一つの発光部を選択する。本実施の形態では、スイッチ制御部163Bは、発光部22又は23を選択する場合には、上記各実施の形態と同様に、第二のスイッチ素子121又は131をオンさせる信号を出力する。この場合、各発光部の順方向電圧のうち、発光部21の順方向電圧が最も高いため、他の発光部に電流が流れる場合に、発光部21には順方向電圧以上の電圧が印加されない。したがって、この場合、発光部21には電流が流れない。一方、スイッチ制御部163Bは、発光部21を選択する場合には、第二のスイッチ素子121及び131をオフさせる信号を出力する。この状態で、バックコンバータ15Aから電流が出力されることにより、発光部21及び第二のスイッチ素子111にそれぞれ順方向電圧以上の電圧が印加されるため、第二のスイッチ素子111がオン状態となる。
ここで、本実施の形態に係るスイッチ部10Bの作用などについて詳細に説明する。
本実施の形態では、第一のスイッチ素子153がオフ状態からオン状態に切り替えられる直前に、スイッチ部10Bによって、電流が供給される発光部が切り替えられる。ここで、第一のスイッチ素子153がオフ状態であって、インダクタ152の電流がゼロに達し、インダクタ152の極性が反転する場合について検討する。この場合、インダクタ152から、順に、スイッチ部10B、光源2と各平滑用コンデンサとで構成される並列回路、直流電源3並びに第一のスイッチ素子153を経由してインダクタ152に戻る閉回路で電流が流れ、第一のスイッチ素子153の電荷が放出される。第一のスイッチ素子153の電荷がほぼゼロ又は極小になった時に、第一のスイッチ素子153がオン状態に切り替えられるように、ZCD162がゼロ電流を検出してから駆動制御部161Aにゼロ電流検出信号を出力するまでの時間の調整を行うことが望ましい。
しかしながら、以上のように調整を行うと、電流が供給される発光部をスイッチ部10Bによって切り替えるタイミングにおいて、第一のスイッチ素子153がオン状態である場合、各発光部に印加される電圧の差を短絡するような閉回路が形成される。これを抑制するために、各第二のスイッチ素子に整流素子を直列接続することが有効である。なお、本実施の形態では、第二のスイッチ素子111を整流素子で構成しているため、第二のスイッチ素子111に別途整流素子を設ける必要はない。また、順方向電圧の最も低い発光部23からは、他の発光部に電流が逆流するおそれがないため、発光部23に直列接続された第二のスイッチ素子131には、整流素子を直列接続していない。また、第二のスイッチ素子131に整流素子を直列接続せず、かつ、逆並列に整流素子を設けることにより、全ての第二のスイッチ素子がオフ状態であっても、上述のインダクタ152の極性が反転した場合に形成される閉回路をオープンにすることが抑制される。これにより、第一のスイッチ素子153をオフ状態に切り替えた場合に、第一のスイッチ素子153の電荷を放電する閉回路が確保される。したがって、第一のスイッチ素子153のオンタイミングを上述のように調整することによって、スイッチング損失及びノイズの低減を実現することができる。
加えて、上述の通り、複数の発光部21、22及び23のうち最も順方向電圧の高い発光部21に接続される第二のスイッチ素子111は、整流素子だけで構成される。これによりスイッチ部10B及びスイッチ制御部163Bの構成を簡略化できる。
[3−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Bの動作について図面を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る点灯装置1Bの動作の一例を示すタイミングチャートである。図6には、図2及び図4と同様に、状態S153、電流I152及び電圧V153の時間波形の概要が示される。また、図6には、第二のスイッチ素子121及び131のそれぞれの状態S121及びS131、並びに、第二のスイッチ素子111、121及び131に流れる電流I111、I121及びI131の時間波形の概要も示される。
図6に示されるように、まず、時刻t1において駆動制御部161Aが第一のスイッチ素子153をオンさせると、インダクタ152に流れる電流I152が徐々に増加する。ここで、スイッチ制御部163Bによって、第二のスイッチ素子121及び131がオフ状態に維持されている場合には、第二のスイッチ素子111に流れる電流I111が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流がパラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip1になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t2)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152、整流素子151、発光部21及び第二のスイッチ素子111から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子111に流れる電流I111は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t3)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163Bに出力する。
スイッチ制御部163Bは、時刻t3においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子121をオンさせるための信号をスイッチ部10Bに出力する。なお、第二のスイッチ素子131は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163Bは、スイッチ部10Bに出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子121、及び、それに対応する発光部22を検知し、発光部22に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip2に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
駆動制御部161Aは、時刻t3においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオンさせる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子121に流れる電流I121が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流が、パラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip2になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t4)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152、整流素子151、発光部22、整流素子122及び第二のスイッチ素子121から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子121に流れる電流I121は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t5)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163Bに出力する。
スイッチ制御部163Bは、時刻t5においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子121をオフさせ、かつ、第二のスイッチ素子131をオンさせるための信号をスイッチ部10Bに出力する。また、スイッチ制御部163Bは、スイッチ部10Bに出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子131、及び、それに対応する発光部23を検知し、発光部23に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip3に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
駆動制御部161Aは、時刻t5においてZCD162からゼロ電流検出信号を受けた時、第一のスイッチ素子153をオンさせる。これにより、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子131に流れる電流I131が徐々に増加する。
第一のスイッチ素子153に流れる電流が、パラメータ設定部164Aによって設定された閾値Ip3になったことを駆動制御部161Aが検知した時(時刻t6)、駆動制御部161Aは、第一のスイッチ素子153をオフさせる。この場合、インダクタ152、整流素子151、発光部23及び第二のスイッチ素子131から構成される閉回路に電流が流れる。また、インダクタ152に流れる電流I152及び第二のスイッチ素子131に流れる電流I131は、徐々に減少し、ほぼゼロとなる。ここで、ZCD162は、インダクタ152に流れる電流I152がほぼゼロとなったことを検出した時(時刻t7)、ゼロ電流検出信号を駆動制御部161A及びスイッチ制御部163Bに出力する。
スイッチ制御部163Bは、時刻t7においてゼロ電流検出信号を受けた時に、第二のスイッチ素子131をオフさせるための信号をスイッチ部10Bに出力する。なお、第二のスイッチ素子121は、オフ状態のまま維持される。また、スイッチ制御部163Bは、スイッチ部10Bに出力した信号に対応する信号をパラメータ設定部164Aにも出力する。当該信号に基づいて、パラメータ設定部164Aは、オンされる第二のスイッチ素子111、及び、それに対応する発光部21を検知し、発光部21に供給する電流に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。本実施の形態では、パラメータ設定部164Aは、閾値Ip1に対応する信号を駆動制御部161Aに出力する。
これ以後、点灯装置1Bは、同様の動作を繰り返すことにより、調光調色信号に対応した調光度及び調色を実現できる電流を出力することができる。
また、以上のように、本実施の形態においてスイッチ制御部163Bは、電流が供給される一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。ここで当該順序は、発光部21、22及び23のうち、順方向電圧が最も高い発光部21から降順に一巡する順序である。これにより、例えば、電流が供給される発光部を発光部21から発光部22に切り替える場合、第二のスイッチ素子121には、発光部21の順方向電圧VL1と発光部22の順方向電圧VL2との電圧差に対応する電荷が蓄積されている。当該電荷は、インダクタ152の極性が反転した時に放電されるため、当該電圧差が小さければ、インダクタ152の極性が反転している間にゼロとなる。また、当該電圧差をゼロとできない場合においては、当該電圧差が小さいほど、損失を低減できる。したがって、本実施の形態では、当該電圧差を小さくすることができるため、損失を低減できる。なお、電流が供給される発光部を、順方向電圧がVL3である発光部23から、順方向電圧がVL1である発光部21に切り替える場合、第二のスイッチ素子111に逆電圧で順方向電圧VL1と順方向電圧VL3との差に相当する電圧が印加される。当該電圧の印加によって蓄積された電荷は、第一のスイッチ素子153をオンさせた時にインダクタ152を介して放電されるので、サージ電流が発生するおそれはない。
なお、本実施の形態に係る点灯装置1Bの動作は以上の構成に限定されない。ここで、本実施の形態に係る点灯装置1Bの動作の他の例について、図面を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る点灯装置1Bの動作の他の一例を示すタイミングチャートである。図7には、図6と同様に、状態S153、S121及びS131、電流I152、電圧V153、並びに、電流I111、I121及びI131の時間波形の概要が示される。
本動作例においても、図7に示されるように、スイッチ制御部163Bは、電流が供給される一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。ここで、当該順序は、発光部21、22及び23のうち、順方向電圧が最も高い発光部21から降順に一巡することと、発光部21、22及び23のうち、順方向電圧が最も低い発光部23から昇順に一巡することとを交互に繰り返す順序である。
本動作例によっても、図6に示される動作例と同様に、電流が供給される発光部の切り替えに伴う順方向電圧の変化量を抑制することができるため、損失を低減することができる。また、本動作例では、図6に示される動作例のような発光部23から発光部21への電流供給の切り替えがない。このため、図6に示される動作例より、電流が供給される発光部の切り替えに伴う順方向電圧の増加量を抑制することができる。したがって、各素子への逆電圧印加によるストレス、ノイズなどを抑制することができる。
なお、図7に示される動作例において、電流が供給される発光部が一巡する間に、発光部21及び23は、一度だけ電流が供給されるのに対して、発光部22は、二度電流が供給される。このため、各発光部に供給する電流を、上記電流供給回数の違いを考慮して決定する必要がある。例えば、一巡の間に二度電流が供給される発光部として、発光効率の低い固体発光素子を備える発光部、又は、調色信号に応じて定められた電流量が最も大きい発光部などを用いることができる。
[3−3.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置1Bが構成されることにより、点灯装置1Bにおいても上記実施の形態2に係る点灯装置1Aと同様の効果を奏する。
また、係る点灯装置1Bにおいては、複数の発光部のそれぞれに、平滑用コンデンサが並列接続され、複数の発光部のうち最も順方向電圧の低い発光部23に接続される第二のスイッチ素子131には逆並列に整流素子が接続される。
これにより、第二のスイッチ素子111、121及び131が全てオフ状態であっても、上述のインダクタ152の極性が反転した場合に形成される閉回路をオープンにすることが抑制される。これにより、第一のスイッチ素子153をオフさせた場合に、第一のスイッチ素子153の電荷を放電する閉回路が確保される。したがって、第一のスイッチ素子153のオンタイミングを上述のように調整することによって、スイッチング損失及びノイズの低減を実現することができる。
また、点灯装置1Bにおいては、複数の発光部のそれぞれに、平滑用コンデンサが並列接続され、複数の発光部のうち最も順方向電圧の高い発光部21に直列接続される第二のスイッチ素子111は、整流素子で構成される。
これにより、スイッチ部10B及びスイッチ制御部163Bの構成を簡略化できる。
また、点灯装置1Bにおいては、スイッチ制御部163Bは、一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。ここで当該順序は、複数の発光部のうち、順方向電圧が最も高い発光部21から降順に一巡する順序であってもよい。
これにより、電流が供給される発光部の切り替えに伴う順方向電圧の変化量を抑制することができるため、損失を低減することができる。
また、点灯装置1Bにおいては、スイッチ制御部163Bは、一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。ここで当該順序は、複数の発光部のうち、順方向電圧が最も高い発光部21から降順に一巡することと、複数の発光部のうち、順方向電圧が最も低い発光部23から昇順に一巡することとを交互に繰り返す順序であってもよい。
これにより、電流が供給される発光部の切り替えに伴う順方向電圧の変化量を抑制することができるため、損失を低減することができる。さらに、当該順序では、電流が供給される発光部の切り替えに伴う順方向電圧の増加量も抑制することができる。したがって、各素子への逆電圧印加によるストレス、ノイズなどを抑制することができる。
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置は、図1に示される実施の形態1に係る点灯装置1と同様の回路構成を有し、実施の形態1に係る点灯装置1と、スイッチ制御部163における制御の態様において相違する。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態1に係る点灯装置1及び照明器具5と相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[4−1.動作]
本実施の形態に係る点灯装置の動作について、図面を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る点灯装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。図8には、図2と同様に、状態S153、S11、S12及びS13、電流I152、電圧V153、並びに、電流I11、I12及びI13の時間波形の概要が示される。
図8に示されるように、本実施の形態に係る点灯装置では、第一のスイッチ素子153のスイッチング周期毎に、必ずしも電流が供給される発光部を切り替えない。すなわち、本実施の形態に係る点灯装置のスイッチ制御部は、第一のスイッチ素子153の二スイッチング周期に亘って、発光部21に直列接続された第二のスイッチ素子11をオン状態に維持する。これにより、発光部21には、第一のスイッチ素子153の二スイッチング周期に亘って電流が供給される。
本実施の形態では、発光効率の低い固体発光素子を備える発光部、又は、調色信号に応じて定められた電流量が最も大きい発光部などに、複数周期に亘って電流を供給することにより、当該発光部からの出力を増大することができる。また、各発光部に供給する電流の差を大きくしたい場合、すなわち、各発光部の出射光強度の差を大きくしたい場合にも、本実施の形態に係る点灯装置は有効である。
[4−2.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置が構成されることにより、当該点灯装置においても上記実施の形態1に係る点灯装置1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係る点灯装置において、スイッチ制御部は、一つの発光部を予め定められた順序に基づいて選択する。ここで当該順序は、複数の発光部のうち、一部の発光部を複数回ずつ連続して選択し、他の発光部を一回ずつ選択する順序である。
これにより、各発光部に供給する電流の差を大きくすることができる。したがって、当該点灯装置を用いた照明器具では、各発光部の出射強度の差を大きくすることができるため、調色の幅を拡大することができる。
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置は、制御回路の構成において、上記実施の形態1に係る点灯装置1と相違する。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態1に係る点灯装置1及び照明器具5と相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[5−1.構成]
まず、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る点灯装置1C及びこれを備える照明器具5Cの構成を示す回路図である。図9には、点灯装置1C及び照明器具5Cと併せて直流電源3も示されている。
図9に示されるように、点灯装置1Cは、制御回路16Cのスイッチ制御部163C及びパラメータ設定部164Cの構成において、上記実施の形態1に係る点灯装置1と相違し、その他の構成において一致する。
パラメータ設定部164Cは、上記実施の形態1に係るパラメータ設定部164と同様の処理を行う。さらに、パラメータ設定部164Cは、各発光部に対応するパラメータを設定して、スイッチ制御部163Cに当該パラメータに対応する信号を出力する。
スイッチ制御部163Cは、上記実施の形態1に係るスイッチ制御部163と同様にスイッチ部10を制御し、かつ、パラメータ設定部164Cに次に電流が供給される発光部を示す信号を出力する。さらに、スイッチ制御部163Cは、パラメータ設定部164Cから、パラメータに対応する信号を受けて、当該パラメータが所定の下限値未満である発光部に直列接続された第二のスイッチ素子をオンさせないように制御する。例えば、スイッチ制御部163Cが、順序回路で構成される場合には、当該オンさせない第二のスイッチ素子の順序となった場合に、カウンタを一つ進めて、次の第二のスイッチ素子をオンさせる。
[5−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Cの動作について図面を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る点灯装置1Cの動作の一例を示すタイミングチャートである。図10には、図2と同様に、状態S153、S11、S12及びS13、電流I152、電圧V153、並びに、電流I11、I12及びI13の時間波形の概要が示される。
図10に示される例では、発光部23に供給する電流に対応するパラメータ(本実施の形態では、オン時間Ton3)が所定の下限値未満である場合のタイミングチャートを示す。
図10に示されるように、本動作例では、発光部23に供給する電流に対応するパラメータが所定の下限値未満であるため、スイッチ制御部163Cは、発光部23に直列接続された第二のスイッチ素子13をオフ状態に維持する。したがって、スイッチ制御部163Cは、第二のスイッチ素子11及び12だけを交互にオンさせる。
以上のような動作を行うことにより、点灯装置1Cは、例えば、特定の発光部に供給する電流が小さい場合に、第一のスイッチ素子153のオン時間が短くなり過ぎることにより、スイッチング動作が不安定になることを抑制することができる。
[5−3.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置1Cが構成されることにより、点灯装置1Cにおいても上記実施の形態1に係る点灯装置1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態に係る点灯装置1Cにおいては、スイッチ制御部163Cは、パラメータが予め定められた下限値未満の場合には、当該パラメータに対応する電流が供給される発光部を、電流が供給される発光部として選択しない。
これにより、点灯装置1Cは、特定の発光部に供給する電流が小さい場合に、第一のスイッチ素子153のオン時間が短くなり過ぎることにより、スイッチング動作が不安定になることを抑制することができる。
(実施の形態6)
続いて、実施の形態6に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置は、各発光部への電流比ばらつきをより一層抑制するための構成を有する。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態3に係る点灯装置1B及び照明器具5Bと相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[6−1.構成]
まず、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る点灯装置1D及びこれを備える照明器具5Dの構成を示す回路図である。図11には、点灯装置1D及び照明器具5Dと併せて交流電源4も示されている。
図11に示されるように、点灯装置1Dは、直流電源17、バックコンバータ15D、制御回路16B、スイッチ部10B、電圧加算部18並びに平滑用コンデンサ141、142及び143を備える。点灯装置1Dは、交流電源4から交流電圧が供給される点、直流電源17及び電圧加算部18を備える点、並びに、バックコンバータ15Dの構成において、上記実施の形態3に係る点灯装置1Bと相違し、その他の点において一致する。
直流電源17は、バックコンバータ15Dに直流電圧を供給する電源であり、当該直流電圧の値Vdcは、複数の発光部21、22及び23のうち少なくとも二つの発光部の順方向電圧の和に等しい。なお、当該直流電圧の値Vdcは、当該和と実質的に等しければよく、当該直流電圧の値Vdcと当該和との間に測定誤差程度の誤差があってもよい。本実施の形態では、直流電源17は、電圧加算部18が出力する信号に基づいて、直流電圧を調整する。また直流電源17は、例えば、交流電圧を直流電圧Vdcに変換するAC/DCコンバータで構成される。
バックコンバータ15Dは、直流電源17の出力電圧Vdcを変換して出力するDC/DCコンバータである。バックコンバータ15Dは、上記実施の形態3に係るバックコンバータ15Aに加えて、入力端子間に平滑用コンデンサ155を備える。
平滑用コンデンサ155は、バックコンバータ15Dに入力される直流電圧の脈動を平滑化するための素子である。
電圧加算部18は、発光部21、22及び23のうち少なくとも二つの発光部の順方向電圧を検出し、かつ、当該少なくとも二つの発光部の順方向電圧の和に対応する信号を出力する処理部である。
[6−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Dの動作について説明する。
本実施の形態に係る点灯装置1Dの動作を示すタイミングチャートは、図6に示される実施の形態3に係る点灯装置1Bのタイミングチャートと同様である。
一方、本実施の形態に係る点灯装置1Dは、上記構成を有することにより、各発光部に供給する電流が上記実施の形態3に係る点灯装置1Bと異なる。以下、本実施の形態に係る点灯装置1Dが、各発光部に供給する電流について説明する。
本実施の形態に係る点灯装置1Dにおいても、上記実施の形態2に係る点灯装置1Aと同様に、各発光部2n(nは1、2又は3)に電流が供給される期間における平均電流ILnは、上記式6で表される。ここで、本実施の形態ではVdcが少なくとも二つの発光部の順方向電圧の和であることから、上記式6における電圧(Vdc−VLn)は発光部の順方向電圧だけで決定される。これにより、各発光部の温度特性及び経時変化特性をほぼ同一とすることで、上記式6で表される平均電流及び各発光部の電流比において、各発光部の温度特性及び経時変化特性がキャンセルされる。すなわち、本実施の形態に係る点灯装置1Dは、各発光部への電流比ばらつきを抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る点灯装置1Dを備える照明器具5Dでは、光色及び調光度の温度依存及び経時変化を抑制することが可能となる。換言すると、点灯装置1Dを備える照明器具5Dは、高い色再現性及び調光度再現性を実現することができる。
また、本実施の形態では、直流電源17が出力する直流電圧Vdcは、電圧加算部18から出力される少なくとも二つの発光部の順方向電圧の和に等しくなるように調整される。ここで、バックコンバータ15Dの入力電圧は、負荷である各発光部の順方向電圧の二倍程度が好ましいため、直流電圧Vdcは、二つの発光部の順方向電圧の和とすることが好ましい。また、直流電圧Vdcは、各発光部の順方向電圧の二倍以上であってもよいが、大きくなり過ぎないように留意する必要がある。
[6−3.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置1Dが構成されることにより、点灯装置1Dにおいても上記実施の形態3に係る点灯装置1Bと同様の効果を奏する。
また、点灯装置1Dにおいては、バックコンバータ15Dに直流電圧を供給する直流電源17をさらに備える。ここで、直流電源17は、当該直流電圧が複数の発光部のうち少なくとも二つの順方向電圧の和と等しくなるように当該直流電圧を調整する。
これにより、各発光部が備える固体発光素子の温度特性及び経時変化特性が略同じとなるような各発光部の構成を採用する場合、各発光部に流れる平均電流及び各発光部の電流比において、各発光部の温度特性及び経時変化特性がキャンセルされる。すなわち、本実施の形態に係る点灯装置1Dは、各発光部への電流比ばらつきを抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る点灯装置1Dを備える照明器具5Dでは、光色及び調光度の温度依存及び経時変化を抑制することが可能となる。換言すると、点灯装置1Dを備える照明器具5Dは、高い色再現性及び調光度再現性を実現することができる。
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7に係る点灯装置及び照明器具について説明する。本実施の形態に係る点灯装置は、各発光部への電流比ばらつきを、より一層抑制することができる構成を有する。
以下、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具について、上記実施の形態6に係る点灯装置1D及び照明器具5Dと相違する構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
[7−1.構成]
まず、本実施の形態に係る点灯装置及び照明器具の構成について、図面を用いて説明する。
図12は、本実施の形態に係る点灯装置1E及びこれを備える照明器具5Eの構成を示す回路図である。図12には、点灯装置1E及び照明器具5Eと併せて交流電源4も示されている。
本実施の形態に係る照明器具5Eは、点灯装置1E及び光源2Eを備える。
光源2Eは、それぞれが固体発光素子を備える二つの発光部21及び22だけから構成される。
図12に示されるように、点灯装置1Eは、直流電源17、バックコンバータ15D、制御回路16E、スイッチ部10E、電圧加算部18E並びに平滑用コンデンサ141及び142を備える。点灯装置1Eは、制御回路16Eのスイッチ制御部163E、スイッチ部10E、電圧加算部18E及び、平滑用コンデンサの構成において、上記実施の形態6に係る点灯装置1Dと相違し、その他の構成において一致する。
スイッチ部10Eは、第二のスイッチ素子111及び121を備える。
平滑用コンデンサ141及び142は、第二のスイッチ素子111及び121にそれぞれ直列接続される。
スイッチ制御部163Eは、ZCD162からゼロ電流検出信号を受ける毎に、発光部21及び22のうち一つの発光部を選択する。本実施の形態では、スイッチ制御部163Eは、発光部22を選択する場合には、第二のスイッチ素子121をオンさせる信号を出力する。一方、発光部21を選択する場合には、第二のスイッチ素子121をオフさせる信号を出力する。この状態で、バックコンバータ15Dから電流が出力されることにより、第二のスイッチ素子111に順方向電圧が印加され、第二のスイッチ素子111がオン状態に切り替えられる。
電圧加算部18Eは、発光部21及び22の二つの発光部の順方向電圧を検出し、かつ、当該二つの発光部の順方向電圧の和に対応する信号を出力する処理部である。
[7−2.動作]
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Eの動作について説明する。
本実施の形態に係る点灯装置1Eは、上記実施の形態6に係る点灯装置1Dが備える第二のスイッチ素子131及び平滑用コンデンサ143などを備えない。これに伴い、点灯装置1Eは、第二のスイッチ素子111と第二のスイッチ素子121とが交互にオンさせるように、すなわち、発光部21と発光部22とに交互に電流を供給するように動作する。その他の動作については、上記実施の形態6に係る点灯装置1Dと同様であるため説明を省略する。
続いて、本実施の形態に係る点灯装置1Eが、各発光部に供給する電流について説明する。本実施の形態に係る点灯装置1Eが発光部21に供給する平均電流IL1は、上記式6において、n=1及びVdc=VL1+VL2を代入する、下記式8で表される。
同様に、点灯装置1Eが発光部22にそれぞれ供給する平均電流IL2は、下記式9で表される。
上記式8及び9に表されるように、本実施の形態では、平均電流IL1及びIL2は、閾値Ip1及びIp2のみに依存する量となる。また、各発光部の電流比は当該閾値の自乗比に従う。これにより、本実施の形態では、一定の閾値を定めることにより、各発光部に供給される電流を一定に維持することができる。また、各発光部に供給される電流比もほぼ一定に制御できる。
[7−3.効果など]
以上のように本実施の形態に係る点灯装置1Eが構成されることにより、点灯装置1Eにおいても上記実施の形態6に係る点灯装置1Dと同様の効果を奏する。
また、点灯装置1Eは、上記実施の形態6に係る点灯装置1Dにおいて、複数の発光部は、二つの発光部だけから構成される。
これにより、各発光部への出力電流は、閾値だけに依存する。したがって、出力電流の変動、及び、各発光部への出力電流のばらつきをより一層抑制することができる。
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係る照明器具について図面を用いて説明する。
図13は、本実施の形態に係る照明器具5Fの外観図である。この照明器具5Fは、上記実施の形態1〜7に係る点灯装置のいずれかと、その点灯装置から電流の供給を受ける光源2Fとを備える。ここで、光源2Fは、上記実施の形態1〜7に係る光源のいずれかである。本実施の形態では、照明器具5Fは、ダウンライトであり、点灯装置を収納する回路ボックス51、光源2Fが装着された灯体52、及び、回路ボックス51と灯体52の光源2とを電気的に接続する配線53から構成される。
このような照明器具5Fは、上記実施の形態1〜7に係る点灯装置のいずれかを備えるので、上記各実施の形態に係る点灯装置と同様の効果を奏することができる。
(変形例など)
以上、本発明に係る点灯装置及び照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態では、複数の発光部21、22及び23は、相異なる光色を有するが、複数の発光部の光色の構成はこれに限定されない。複数の発光部のそれぞれへの電流供給により、調色を行うためには、複数の発光部のうち少なくとも一つの発光部の光色が、他の発光部の光色と異なっていればよい。
また、上記各実施の形態において、固体発光素子としてLEDを用いたが、有機EL素子など他の固体発光素子を用いてもよい。
また、上記各実施の形態では、DC/DCコンバータとしてバックコンバータを用いたが、DC/DCコンバータは、バックコンバータに限定されない。DC/DCコンバータは、当該DC/DCコンバータが備えるインダクタに流れる電流が、スイッチング周期毎にゼロとなるように動作するDC/DCコンバータであればよい。
また、上記各実施の形態では、スイッチ制御部として、順序回路を用いたが、スイッチ制御部は、順序回路以外の回路で構成されてもよい。スイッチ制御部は、例えば、マイクロコンピュータで構成されてもよい。
また、上記各実施の形態では、ZCD162は、インダクタ152と整流素子151との接続点における電位を検出することによって、インダクタ152に流れる電流を検出するが、当該電流を検出するための構成はこれに限定されない。例えば、インダクタ152に二次巻線を設け、当該二次巻線において発生する電圧を検出する構成を採用してもよい。
また、上記実施の形態1〜6では、発光部の個数を3としたが、発光部の個数はこれに限定されない。例えば、発光部の個数は2、又は、4以上であってもよい。
また、上記各実施の形態では、各スイッチ部は、全発光部に対してそれぞれ第二のスイッチ素子を直列接続したが、最も順方向電圧が高い発光部には、必ずしも第二のスイッチ素子を直列接続しなくてもよい。これにより、スイッチ部の構成を簡略化できる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。