JP2016165708A - 被処理水の膜閉塞性の評価方法、膜処理装置およびその運転方法 - Google Patents

被処理水の膜閉塞性の評価方法、膜処理装置およびその運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水道原水等の被処理水に含まれる膜閉塞度評価指標を正確かつ簡単に、そして迅速に測定して被処理水を評価する方法の提供。【解決手段】分離膜を用いて処理する被処理水の膜閉塞性の評価方法であって、前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定した後、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係から、前記被処理水の膜閉塞性を評価する、被処理水の膜閉塞性の評価方法。【選択図】図1

Description

本発明は、被処理水の評価方法、膜処理装置およびその運転方法に関する。
限外ろ過膜や精密ろ過膜を用いた膜ろ過装置は、圧力容器内に分離膜を配設して、この分離膜で容器内を原水側と透過水側(ろ過水側)に仕切り、原水側に原水をポンプで加圧導入するとともに、膜ろ過により透過水側から透過水を得るものである。
特に近年は、クリプトスポリジウムなどの病原性微生物の問題から、河川水、地下水を原水とした浄水処理への適用が進んでいる。
このような膜ろ過装置では、分離膜の原水側膜面や膜細孔内に原水中に含まれる成分の付着や析出が生じて分離膜が汚染され、継続使用によってろ過性能が次第に低下する。
浄化処理において膜汚染を生じさせる物質は、有機物、鉄、マンガン、アルミニウム、シリカ等であると言われており、現状、膜透過流束等の運転条件を選定する際には、原水中のこれらの濃度を測定し、その結果と今までの実績等から経験的に決定することが多い。
また、膜汚染の原因物質として有機物は最も重要な膜汚染物質である。この水質指標としては全有機炭素(TOC)が使用されているが、TOCの値が同じ原水でも膜のろ過抵抗の上昇速度が異なる場合が度々見受けられ、実際の運転と設計時の予想が大きく異なるため、薬品洗浄の頻度が増えたりするなどのトラブルが発生することは少なくない。
また、運転管理においても同様であり、TOC濃度に変化がないのに膜汚染が急激に進行する場合もある。この原因としては、膜汚染を引き起こす原因となる有機物がTOC成分の極々一部であり、その濃度が低いため、その変化がTOCを測定しても検出できないことにある。
TOC等の個々の水質ではなく、オーバーオールに分離膜供給水の膜閉塞性を評価する手法として、JIS K3802に定義されているファウリングインデックス(FI値)を使用した方法等があるが、これら従来の指標は、基本的に逆透過膜装置への供給水の評価を想定した指標であり、数度の濁度がある水道原水では、同じFI値となり評価方法として適切でない。
また、関連する従来法として、例えば特許文献1には、膜供給水の濁質量と溶解性有機炭素(DOC)の測定値および膜透過流束の関数から、膜透過流束、物理洗浄間隔、薬品洗浄間隔、前処理条件等の最適化を図る方法が記載されている。しかしながら、この方法では、DOC、紫外線吸光度(E260)、濁度を分析する必要があり、また、比較的難解な理論式を用いるため煩雑であり、汎用的ではない。また、この方法は有機成分由来の汚染原因をフミン質に限定し、膜汚染の進行割合をDOCとE260の比率から単に計算しているため、フミン質以外の有機成分が膜汚染に関与する場合には、その影響を正しく評価できない。
また、近年の研究では、浄水処理における膜汚染に関与する有機物で重要なものは、紫外線吸光度発現物質であるフミン質よりも、多糖類であることが明らかになっており、その意味でも特許文献1に記載の方法は妥当性に欠けるものである。
また、特許文献2および特許文献3においても原水、膜供給水、膜ろ過水などのフミン質や紫外線吸光度(E260)に基づき凝集処理などの制御を行うことが記載されているが、これらは近年の研究報告から考えると合理性に欠く運転方法である。
本発明者は鋭意研究を重ね、非特許文献1〜4に記載の水道原水等の膜供給水中の膜閉塞有機物質に関する新しい指標である「ファウリングポテンシャル(Fouling Potential:FP)」を開発した。
本指標は、水道原水やそれについて前処理を行った膜供給水中の膜閉塞有機物、すなわち、多糖類の存在量や分子量に関する有益な情報を与える指標である。
また、FP測定に必要な試料量は500〜1000mL程度であり、浄水処理で凝集剤注入率選択のために一般的に行われるジャーテストに必要な試料量とほぼ同じであることから、ジャーテストを行った後に引き続いてFPを測定することで、凝集処理による膜閉塞物質量の減少量を定量的に把握することが可能となる、非常に有効な指標の一つである。
なお、本発明者が非特許文献1〜4で報告しているように、水道原水などの天然水中のファウリングポテンシャル(FP)に代表される膜閉塞度物質の存在量は、河川水、湖沼水などの水源によって異なるし、季節変動も生じる。毎日激しく変動するものではなく、水源特性に応じて数カ月程度の期間はほぼ一定の値を示す場合は、ファウリングポテンシャル(FP)に代表される膜閉塞度物質の評価指標を毎日測定する必要はなく、ある期間中に数回程度測定しておけばよい。例えば特許文献4に記載の方法によって、簡便に測定できる紫外線吸光度(E260)を測定してその除去率から膜供給水の膜閉塞度を評価すれば、非常に簡単にファウリングポテンシャル(FP)を把握することが可能である。
特開2001−327967号公報 特開2001−170458号公報 特開2008−126223号公報 特開2013−228846号公報
鹿島田浩二、他1名、「浄水処理におけるファウリングポテンシャルの提案とその特性評価(I)」、第60回全国水道研究発表会講演集、社団法人日本水道協会、2009年5月、p.134−135 貝谷吉英、他1名、「浄水処理におけるファウリングポテンシャルの提案とその特性評価(II)」、第60回全国水道研究発表会講演集、社団法人日本水道協会、2009年5月、p.136−137 貝谷吉英、他1名、「浄水処理におけるファウリングポテンシャルの提案とその特性評価(III)」、第61回全国水道研究発表会講演集、社団法人日本水道協会、2010年5月、p.252−253 貝谷吉英、他1名、「浄水処理におけるファウリングポテンシャルの提案とその特性評価(IV)」、第62回全国水道研究発表会講演集、社団法人日本水道協会、2011年5月、p.352−353
このようにFPの測定は比較的煩雑な操作を伴わず、必要試料量も少ないが、測定時間は、試料の膜閉塞物質量によるものの、1〜3時間程度が標準的であり、また、専用の測定装置が必要であることから、現場における連続モニタリング指標としては、必ずしも適しているとは言い難い。また、試料数が多くなると、最適処理条件の決定に膨大な時間を必要とする。
また、台風などを含む降雨、融雪期のように、水質が時間単位で急激に変化する場合、短時間で膜閉塞度評価指標を求めて被処理水の膜閉塞性を評価して運転条件等を決定することが必要になる。
以上のように従来法では、水道原水等の被処理水に含まれる膜閉塞物質の含有量を正確かつ簡単に、そして迅速に測定することができなかった。また、それに伴って、膜処理装置をトラブルなく継続して運転することが困難であった。
本発明の目的は、水道原水等の被処理水に含まれる膜閉塞物質を正確かつ簡単に、そして迅速に測定して被処理水を評価する方法、その評価を行う手段を備える膜処理装置、およびその膜処理装置の運転方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、紫外線吸光度発現物質よりも多糖様物質の方が膜閉塞において遥かに重大な影響を与え、被処理水の膜閉塞性と相関性が高いのは、紫外線吸光度発現物質の存在量ではなく、多糖様物質の存在量であることを見出した。そして、近年、測定技術が急速に進歩している、いくつかのナノ粒子計測方法を用いてナノ粒子数濃度とFPに代表される膜閉塞度評価指標とに良好な相関関係が存在することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、分離膜を用いて処理する被処理水の膜閉塞性の評価方法であって、前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定した後、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係から、前記被処理水の膜閉塞性を評価する、被処理水の膜閉塞性の評価方法である。
このような被処理水の膜閉塞性の評価方法を、以下では「本発明の評価方法」ともいう。
本発明の評価方法は、ナノ粒子追跡解析法(NTA)、レーザー誘起破壊検知法(LIDB)、電気抵抗ナノパルス法(TRPS)または動的光散乱法(DLS)によって、前記被処理水の前記ナノ粒子数濃度を測定することが好ましい。
本発明の評価方法は、前記被処理水における450nm未満の前記ナノ粒子数濃度を測定することが好ましい。
本発明の評価方法は、前記ナノ粒子追跡解析法(NTA)において用いるレーザーの波長が488nmまたは405nmであることが好ましい。
本発明の評価方法は、前記膜閉塞度評価指標が、FP、MFI(MFI0.45)、MFI−UF、MFI−NF、CFS−MFIUFまたはUMFIであることが好ましい。
また、本発明は、分離膜を用いて被処理水を処理してろ過水を得る膜処理装置であって、前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定するためのナノ粒子数濃度測定手段を有し、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係に基づいて、前記ナノ粒子数濃度測定手段によって得られたナノ粒子数濃度から膜閉塞度評価指標を求めて前記被処理水の膜閉塞性を評価し、運転条件を選定することができる、膜処理装置である。
このような膜処理装置を、以下では「本発明の装置」ともいう。
さらに、本発明は、分離膜を用いて被処理水を処理してろ過水を得る膜処理装置の運転方法であって、前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定するナノ粒子数濃度測定ステップと、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係に基づいて、前記ナノ粒子数濃度測定ステップによって得られたナノ粒子数濃度から膜閉塞度評価指標を求めて前記被処理水の膜閉塞性を評価し、運転条件を選定する運転条件選定ステップと、を備える、膜処理装置の運転方法である。
このような膜処理装置の運転方法を、以下では「本発明の運転方法」ともいう。
ナノ粒子数濃度は非常に簡単かつ迅速に測定することができるので、本発明によれば、水道原水等の被処理水に含まれる膜閉塞度評価指標を正確かつ簡単に、そして迅速に(例えば5〜15分程度の短時間で)、測定して被処理水を評価する方法、その評価を行う手段を備える膜処理装置、およびその膜処理装置の運転方法を提供することができる。
実施例1において得られたグラフである。 実施例2において得られたグラフである。
<本発明の評価方法>
本発明の評価方法について説明する。
本発明の評価方法では、被処理水のナノ粒子数濃度を測定する。
ナノ粒子数濃度の測定は、100nm以下のナノ粒子が評価できれば、何ら分析原理や測定条件について限定されないが、ナノ粒子追跡解析法(NTA)、レーザー誘起破壊検知法(LIDB)、電気抵抗ナノパルス法(TRPS)または動的光散乱法(DLS)によって行うことが好ましい。
ナノ粒子追跡解析法(NTA)について説明する。
ナノ粒子追跡解析法は、ナノ粒子トラッキング解析法ともいい、粒子のブラウン運動の速度が粒子径に依存することを利用し、NTA(Nano Tracking Analysis)技術により、粒子のブラウン運動パターンを計測することで、粒子径と個数の粒度分布グラフを得る方法である。
例えば特表2014−521967号公報に、その説明が記載されている。
なお、ナノ粒子追跡解析法をPTAと略する場合もある。
レーザー誘起破壊検知法(LIDB、Laser Induced Breakdown Detection)について説明する。
レーザー誘起破壊検知法は、ナノ秒パルスレーザーを、検知するナノ粒子を含む液体に集光させることで、ナノ粒子がレーザービームと交差するたびに生成するプラズマをセンサーによって検知し、得られたプラズマ統計値からサイズ分布と濃度を導き出す方法である。
電気抵抗ナノパルス法(TRPS、Tunable Resistive Pulse Sensor)について説明する。
電気抵抗ナノパルス法は、ナノポアを挟んだ溶液中に電圧をかけると溶液中に含まれるナノ粒子が細孔を通過するが、その際に発生する電気抵抗ナノパルスから粒子の体積を求める(例えば、長いパルスほど体積の大きい粒子となる)方法である。
例えば特表2013−518268号公報に、その説明が記載されている。
動的光散乱法(DLS)について説明する。
動的光散乱法(DLS)は、準弾性光散乱法(QELS)ともいい、懸濁液中の粒子または分子のブラウン運動がレーザー光を異なる強度で散乱させることを利用し、これらの強度の変化を解析することでブラウン運動の速度が得られるため、ストークス・アインシュタインの式を使用して粒径を求める方法である。
例えば特表2014−521967号公報に、その説明が記載されている。
なお、本発明において、630〜680nmの波長のレーザーを使用する従来の分析装置では、本発明で評価しているナノ粒子数濃度の測定ができない場合がある。
ナノ粒子数濃度を動的光散乱法(DLS)によって測定する場合、使用レーザー波長を600nm以下にしたり、レーザー出力を従来よりも大きくするなどして、被処理水のナノ粒子数濃度を測定することができる。
本発明の評価方法において被処理水のナノ粒子数濃度の測定は、ナノ粒子追跡解析法(NTA)によって行うことが好ましい。ナノ粒子追跡解析法(NTA)において、用いるレーザーの波長は、500nm以下が好ましく、488nmがより好ましく、405nmとすることがさらに好ましい。405nmのレーザー波長を使用する場合、装置の価格が高くなることがある。
本発明の評価方法では、上記のような方法によって、被処理水における450nm未満、好ましくは400nm未満、より好ましくは200nm未満、さらに好ましくは100nm未満のナノ粒子数濃度を測定することが好ましい。
本発明の評価方法では、上記のようにして被処理水のナノ粒子数濃度を測定した後、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係から、前記被処理水の膜閉塞性を評価する。
本発明者は鋭意検討し、ファウリングポテンシャル(FP)に代表される膜閉塞度評価指標とナノ粒子数濃度とは相関が高い関係(例えば相関係数が高い比例関係)を示すことがわかった。したがって、ナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係を予め求めておけば、ナノ粒子数濃度を測定することで、精度良く、膜閉塞度評価指標を知見し、前記被処理水の膜閉塞性を評価することができる。
膜閉塞度評価指標について説明する。
膜閉塞度評価指標として、ファウリングポテンシャル(FP)、MFI(MFI0.45)、MFI−UF、MFI−NF、CFS−MFIUF、UMFIを好適例として挙げられる。ただし、その他の被処理水の膜閉塞度評価方法であってもよい。
ファウリングポテンシャル(FP)の測定方法を説明する。
初めに、分離膜として公称孔径0.22μmの疎水性PVDF膜を用意し、この分離膜を撹拌式加圧セルに装着して、セルの撹拌子の回転速度:1,450rpm、全量定速ろ過(膜透過流束20m/日)の条件で、前記被処理水について加圧ろ過を行い、膜差圧が上昇した後、前記分離膜をセルから取り外し、1%−シュウ酸洗浄(洗浄時間60分、洗浄温度20℃)を行い(好ましくはさらにスポンジを用いた膜面洗浄を行い)、その後、再度、前記シュウ酸洗浄後の前記分離膜を前記セルに装着した上で、上記の加圧ろ過によって生じたろ液を用いてろ過を行い、再び膜差圧を測定する。そして、この膜差圧とろ過開始時の膜差圧の差(m−Aq,at25℃)を総ろ過水量(m3/m2−膜)で除した値を被処理水のファウリングポテンシャル(FP)とする。
MFI(MFI0.45)、MFI−UF、MFI−NF、CFS−MFIUFについて説明する。
MFI(Modified Fouling Index)では、平均孔径0.45μm、直径47mmのメンブレンフィルター(一般に、ミリポア社製、セルロース混合エステル(TYPE HA))を用い、これに圧力2.0bar(200kPa)で被処理水を通水し、ろ過を行う。
グラフの横軸及び縦軸をそれぞれ、ろ過水量:V(l)及びろ過時間/ろ過水量:t/V(s/l)として、20℃におけるろ過試験結果としてプロットし、t/V−Vカーブの直線となる部分の傾きを算出し、その値をMFIとする。
MFI−UF(Modified Fouling Index-Ultrafiltration)は、UF膜を利用して測定する場合であり、分画分子量13,000ダルトンのUF膜を使用する例がある。
MFI−NF(Nanofiltration-Modified Fouling Index)は、NF膜を使用して測定する場合であり、500〜1500ダルトンのNF膜を使用する例がある。
CFS−MFIUF(Crossflow Sampler-Modified Fouling Index-Ultrafiltration)は、MFI−UF法に供給する試験水の前処理として、クロスフローろ過方式の膜ろ過装置を使用し、その膜ろ過水をMFI−UF法の評価装置に供給する方式である。
参考資料:Desalination, Vol.32, pp.137-148 (1980)
参考資料:Journal of Membrane Science, Vol.197, pp.1-21 (2002)
参考資料:Desalination, Vol.192, pp.1-7 (2006)
参考資料:Water Research, Vol.45, pp.1639-1650 (2011)
UMFIについて説明する。
UMFI(Unified Membrane Fouling Index)は、実際に使用する膜でミニモジュールを作成し、それを用いてろ過試験を行う方法である。従って、ろ過条件は、使用する膜や実機の運転条件などによって選択される。
実際の膜ろ過装置は、定速ろ過で運転される場合が多いため、ろ過試験においても定速ろ過が採用される事が多い。
ケーキろ過理論が適用できるので、ケーキろ過定数を算出し、それをUMFIとする。
参考資料:Environ. Sci.Technol., Vol.42, pp.714-720 (2008)
本発明の評価方法において、被処理水は、分離膜を用いて処理する水であれば特に限定されない。
ここで分離膜も限定されない。分離膜として、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過膜(NF膜)などが挙げられる。
被処理水として、具体的には、水道原水(河川水、地下水など)、海水、生物処理水が挙げられる。
前記被処理水について本発明の評価方法に供する前に、前処理として、粒径が0.45μm以上の粒子を取り除くことが好ましい。浄水処理、膜分離活性汚泥法(MBR)、海水淡水化(RO膜とその前処理用MF膜やUF膜)、用水処理などに使用する膜ろ過プロセスの膜閉塞物質は、膜孔径と同等かそれよりも小さい物質であり、その大きさは概ね0.1〜0.2μm以下であるが、それらをナノ粒子解析装置で分析を行う場合、0.45μm以上の粒子が測定の妨害因子となり得るためである。前記被処理水について本発明の評価方法に供する前に粒径が0.45μm以上の粒子を取り除く手段としては、孔径が0.45μm程度のメンブレンフィルターでろ過する手段が好ましい。前処理に使用する膜(メンブレンフィルター等)の孔径は、評価すべきナノ粒子が前処理で除去されなければ孔径が0.45μmでなくてもよく、0.22μmがより好ましく、0.2μmがより好ましく、0.1μmがさらに好ましい。妨害物質をより除去でき、膜閉塞に影響するナノ粒子のみが測定できる傾向があるからである。ただし、孔径が小さすぎる膜を用いて前処理を行うと、評価すべきナノ粒子が前処理で除去されてしまう場合がある。
前処理に使用する膜は親水性の膜が好ましく、親水化処理を行ったPVDF、PES、PSの材質の膜がより好ましく、また、親水性の材質であるCAでも構わない。
<本発明の装置、本発明の運転方法>
次に、本発明の装置について説明する。
本発明の装置は、前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定するためのナノ粒子数濃度測定手段を有する。
ナノ粒子数濃度測定手段として、前述の本発明の評価方法における、ナノ粒子追跡解析法(NTA)、レーザー誘起破壊検知法(LIDB)、電気抵抗ナノパルス法(TRPS)または動的光散乱法(DLS)を行うことができる装置を用いることができる。
このような本発明の装置は、前述の本発明の評価方法の場合と同様に、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係に基づいて、前記ナノ粒子数濃度測定手段によって得られたナノ粒子数濃度から膜閉塞度評価指標を求めて前記被処理水の膜閉塞性を、正確かつ簡単に、そして迅速に(例えば5〜15分程度の短時間で)、評価することができる。よって、その結果、運転条件(膜透過流束、薬品洗浄の頻度など)を迅速に最適化するように選定することができるので、トラブルなく装置を運転することができる。
また、このような本発明の装置は、本発明の運転方法を実施することができる。
なお、本発明の装置および本発明の運転方法において、ナノ粒子数濃度の測定方法、ナノ粒子追跡解析法(NTA)において用いるレーザーの波長、ナノ粒子の粒子径、膜閉塞度評価指標等の好適態様は、本発明の評価方法の場合と同様とすることができる。
以下に本発明の実施例を記す。本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
いくつかの種類の水道原水を用意し、0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過したものを供試水とした。そして、各々の供試水について、ファウリングポテンシャル(FP)およびナノ粒子数濃度を測定した。
ファウリングポテンシャル(FP)の測定方法について説明する。
初めに、公称孔径0.22μmの疎水性PVDF膜(ミリポア社製、GVHP、直径25mm)を使用し、これを撹拌式加圧セルに装着し、HPLC用送液ポンプで加圧ろ過を行った。ろ過は、セルの撹拌子を1,450rpmで回転させながら全量定速ろ過(膜透過流束20m/日)で行い、膜差圧がある程度以上上昇した後、膜をセルから取り外し、1%−シュウ酸洗浄(洗浄時間60分、洗浄温度20℃程度)と膜面のスポンジ洗浄を行った。洗浄後、膜をセルに装着し、供試水のGVHP膜ろ過水でろ過を行い、再び膜差圧を測定した。この膜差圧とろ過開始時の膜差圧の差(m−Aq,at25℃)を総ろ過水量(m3/m2−膜)で除した値を供試水のファウリングポテンシャル(FP)とした。
ナノ粒子数濃度(個/mL)をナノ粒子追跡解析法(NTA)によって求めた。
具体的には、マイクロトラック社製、Zeta View PMX110を用いた。また、測定においては488nmのレーザー波長を用いた。
測定の結果、ピーク粒径は0.12μmであった。
測定された各供試水のFPとナノ粒子数濃度との関係を示すグラフを、図1に示す。
図1に示すように、FPとナノ粒子数濃度とは相関係数が高い関係を示すことがわかった。
したがって、図1を用いれば、ナノ粒子数濃度を測定することで、精度良く、FPを知見することができると言える。
<実施例2>
ナノ粒子数濃度を、ナノ粒子追跡解析法(NTA)を測定原理とした分析装置(PMX社製:ZetaView PMX110、仕様:レーザー波長488nm、レーザー出力40mW)で評価した。
試料には、水道原水(20種類)、水道原水の凝集処理水AまたはBを使用した。
これら凝集処理水は、2種類の河川水(原水)の各々にポリ塩化アルミニウム(PAC)を添加し、急速撹拌(130rpm×3分)を行い、3分静置して得た。また、凝集処理水として、PACの添加量を変えたものをいくつか用意した。
分析は、各試料を0.45μmメンブレンフィルターで前処理した後に行った。
図2にナノ粒子解析装置で測定したナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標であるFPとの測定結果の関係を示す。なお、FPは実施例1と同様の方法で測定した。
図2に示すように、FPとナノ粒子数濃度とは相関係数が高い関係を示すことがわかった。
したがって、図2を用いれば、ナノ粒子数濃度を測定することで、精度良く、被処理水のFPを求めることができると言える。

Claims (7)

  1. 分離膜を用いて処理する被処理水の膜閉塞性の評価方法であって、
    前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定した後、予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係から、前記被処理水の膜閉塞性を評価する、被処理水の膜閉塞性の評価方法。
  2. ナノ粒子追跡解析法(NTA)、レーザー誘起破壊検知法(LIDB)、電気抵抗ナノパルス法(TRPS)または動的光散乱法(DLS)によって、前記被処理水の前記ナノ粒子数濃度を測定する、請求項1に記載の被処理水の膜閉塞性の評価方法。
  3. 前記被処理水における450nm未満の前記ナノ粒子数濃度を測定する、請求項1または2に記載の被処理水の膜閉塞性の評価方法。
  4. 前記ナノ粒子追跡解析法(NTA)において用いるレーザーの波長が488nmまたは405nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の被処理水の膜閉塞性の評価方法。
  5. 前記膜閉塞度評価指標が、FP、MFI(MFI0.45)、MFI−UF、MFI−NF、CFS−MFIUFまたはUMFIである、請求項1〜4のいずれかに記載の被処理水の膜閉塞性の評価方法。
  6. 分離膜を用いて被処理水を処理してろ過水を得る膜処理装置であって、
    前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定するためのナノ粒子数濃度測定手段を有し、
    予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係に基づいて、前記ナノ粒子数濃度測定手段によって得られたナノ粒子数濃度から膜閉塞度評価指標を求めて前記被処理水の膜閉塞性を評価し、運転条件を選定することができる、膜処理装置。
  7. 分離膜を用いて被処理水を処理してろ過水を得る膜処理装置の運転方法であって、
    前記被処理水のナノ粒子数濃度を測定するナノ粒子数濃度測定ステップと、
    予め求めたナノ粒子数濃度と膜閉塞度評価指標との関係に基づいて、前記ナノ粒子数濃度測定ステップによって得られたナノ粒子数濃度から膜閉塞度評価指標を求めて前記被処理水の膜閉塞性を評価し、運転条件を選定する運転条件選定ステップと、
    を備える、膜処理装置の運転方法。
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