JP2016156071A - パーライト鋼レール - Google Patents

パーライト鋼レール Download PDF

Info

Publication number
JP2016156071A
JP2016156071A JP2015035768A JP2015035768A JP2016156071A JP 2016156071 A JP2016156071 A JP 2016156071A JP 2015035768 A JP2015035768 A JP 2015035768A JP 2015035768 A JP2015035768 A JP 2015035768A JP 2016156071 A JP2016156071 A JP 2016156071A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rail
head
hardness
steel
pearlite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015035768A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6459623B2 (ja
Inventor
照久 宮▲崎▼
Teruhisa Miyazaki
照久 宮▲崎▼
上田 正治
Masaharu Ueda
正治 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2015035768A priority Critical patent/JP6459623B2/ja
Publication of JP2016156071A publication Critical patent/JP2016156071A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6459623B2 publication Critical patent/JP6459623B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

【課題】パーライト鋼レールにおいて、高硬度を有するレールを安定的に提供する。【解決手段】質量%で、C:0.70〜1.20%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Nb:0.50超〜2.00未満%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下、に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、レールの頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ25mmまでの範囲である頭表部の95%以上がパーライト組織であり、前記範囲の硬度Hの値が下記式(1)の範囲内であることを特徴とするパーライト鋼レール。235×C[質量%]+190≦H[Hv]≦235×C[質量%]+290…(1)【選択図】なし

Description

本発明は、パーライト鋼レールに関し、特に、レールの強度を向上させ、レールの使用寿命を向上させうることが可能なパーライト鋼レールに関するものである。
経済発展に伴い石炭などの天然資源の新たな開発が進められている。具体的にはこれまで未開であった自然環境の厳しい地域での天然資源の採掘が進められている。これに伴い、資源を輸送する海外の貨物鉄道では軌道環境が著しく厳しくなっている。
このような背景から、前述のような過酷な軌道環境に敷設するレールに対しては、これまで以上の耐摩耗性、耐疲労損傷性が求められるようになってきた。つまり、現用の高強度レールが有する耐摩耗性、耐疲労損傷性以上の優れた耐摩耗性、耐疲労損傷性を有したレールの開発が求められるようになってきている。
レール鋼の耐摩耗性やレール表面の耐疲労損傷性(耐表面疲労損傷性)を改善するため、下記に示すようなレールが開発された。
<1>過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させた耐摩耗性に優れたレール(特許文献1)。
<2>過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させ、同時に硬度を制御した耐摩耗性に優れたレール(特許文献2)。
これらのレールの特徴は、鋼の炭素量を増加し、パーライト組織のラメラ中に耐摩耗性に優れたセメタイト相の体積比率を増加させ、さらに硬度を制御することにより、パーライト組織の耐摩耗性を向上させるものであった。
さらに、炭素量の高い過共析鋼を用いて、レール頭部の耐摩耗性と強度を向上させた下記に示すようなレールが開発された。
<3>過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)にV、さらにはNを添加し、熱間圧延後、オーステナイト域温度にあるレール頭部を加速冷却することにより、耐摩耗性と耐内部疲労損傷性を向上させたレールおよびその製造方法(特許文献3)。
このレールの特徴は、過共析鋼にV、さらにはNを添加し、冷却速度を遅くし、パーライト組織において高硬度を図ることが困難なレール頭部内部に、Vの炭化物、窒化物および炭窒化物を析出させることにより、レール頭部の表面から内部までより均一な硬度分布を付与し、レールの耐摩耗性と耐内部疲労損傷性を大きく向上させるものであった。
特開平8−144016号公報 特開平8−246100号公報 特開2000−345296号公報
金材技研疲れデータシート資料I(1981)、金属材料技術研究所 改訂4版 金属データブック、丸善株式会社
上述のとおり、上記<1>,<2>(特許文献1、2)に示されたレール鋼は、主にパーライト組織のラメラ中の耐摩耗性に優れたセメタイト相の体積比率を増加させ、パーライト組織の耐摩耗性を向上させるものであった。しかし、当該レール鋼では、パーライト組織自体の硬度に上限があるため、レール頭表部で発生する塑性変形起因の損傷性に対しての抵抗性が弱く、過酷な使用条件ではレール頭部に表面疲労損傷が発生する場合があった。
しかし、上記<3>(特許文献3)に示されたレール鋼では、冷却速度が内部よりも速いレール頭表部において析出物の生成が図れず、硬度が上昇しないため、レール頭表部で発生する塑性変形起因の損傷性に対しての抵抗性が弱く、重荷重鉄道の過酷な使用条件では、レール頭部に表面疲労損傷が発生する場合があった。
また熱処理時の加速冷却速度が速い場合は、レール頭部の表面と内部との硬度差が過大となり、重荷重鉄道の過酷な使用条件ではレール頭部内部から疲労き裂が生成し、内部疲労損傷が発生する場合があった。
このような背景から、耐摩耗性を確保し、かつレール頭表部における塑性変形起因の表面疲労損傷や、内部疲労損傷の発生を防できる高強度のレールの開発が求められていた。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、特に、硬度を向上させ、かつ耐表面疲労損傷性、耐内部疲労損傷性に優れたパーライト鋼レールを提供することを目的とする。
(1)化学組成が、質量%で、C:0.70〜1.20%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Nb:0.50%超〜2.00%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下に制限し、残部Feおよび不可避的不純物であり、レールの頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも深さ25mmの範囲において、面積%で、95%以上がパーライト組織であり、前記範囲の硬度Hの値が下記式(1)の範囲内である。
235×C[質量%]+190≦H[Hv]≦235×C[質量%]+290…(1)
(2)また、上記(1)のパーライト鋼レールには、質量%でさらに、下記a群〜f群の成分の1群または2群以上を選択的に含有させることができる。
a群:Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種。
b群:Co:0.10〜1.00%、Cu:0.05〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%の1種または2種以上。
c群:B:0.0005〜0.0050%。
d群:Ti:0.0005〜0.050%、V:0.0005〜0.50%の1種または2種。
e群:Al:0.0020〜1.00%、Zr:0.0005〜0.2000%の1種または2種。
f群:Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0200%、REM:0.0005〜0.0500%の1種または2種以上。
本発明によれば、レール鋼の成分、組織を制御することにより、硬度を向上させ、かつ耐表面疲労損傷性、耐内部疲労損傷性に優れたパーライト鋼レールを提供できる、特に、頭表部の全断面において硬度を上昇(表面と内部との硬度差を減少)し、耐疲労損傷性を向上させることができるため、使用寿命を大きく向上させることが可能となり、過酷な軌道環境である海外の貨物鉄道で使用されるレールとしても好適に使用できる。
Nb量とレール頭頂部表面下2mm位置の硬度、全伸びの関係を示すグラフである。 本発明レール頭部の断面模式図である。 引張試験片の採取位置を示す図である。 C量とレール頭頂部表面下2mm位置の硬度の関係を示す図。
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本実施形態として、パーライト鋼レール(以下、単にレールとも称する。)につき、詳細に説明する。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。
本実施形態に係るパーライト鋼レールは、化学組成が、質量%で、C:0.70〜1.20%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Nb:0.50超〜2.00%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下、に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、レールの頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも深さ25mmの範囲において、面積%で、95%以上がパーライト組織であり、前記範囲の硬度Hの値が下記式(1)の範囲内である。
235×C[質量%]+190≦H[Hv]≦235×C[質量%]+290…(1)
まず、本発明を完成するに至った本発明者らの新たな知見について説明する。
本発明者らは、レールの硬度を向上させるため、硬度を上昇させる方法を検討した。鋼の強化(硬化)機構にはいくつかあるが、その一つである「析出強化」を検討した。
析出強化は、パーライト組織中のフェライト相中に微細析出物を生成させて、フェライト相を強化する。その強化を担う析出物としては、熱間圧延‐冷却(レールの製造工程)を考慮するに、炭化物や窒化物、炭窒化物が有望であることが判明した。
次に、鋼中で炭化物、窒化物、炭窒化物を生成させる元素であるV、Nb、Tiの適用をラボ試験により検討した結果、Nbが有望であることが判明した。
Nb系析出物は凝固直後の固相に生成し、熱間圧延の粗圧延や中間圧延工程相当の温度域での圧延において、再結晶後のオーステナイト相(再結晶オーステナイト相)の粒成長を低減し、オーステナイト結晶粒を微細化させる効果があることを確認した。また仕上圧延工程相当の温度域では再結晶粒の粒成長抑制ないしは再結晶の抑制効果があることを確認した。さらに、パーライト組織中のフェライト相中には微細化な析出物が生成しており、本発明の目的とする析出強化が達成されることを確認した。
ここで、前述の粗圧延〜中間圧延での再結晶オーステナイト相の粒成長の低減による結晶粒微細化は、パーライト変態の核生成サイトである粒界が増えることから、パーライト組織の微細化につながり、パーライト鋼レールの延性が向上する。また、仕上圧延工程での再結晶抑制は加工状態のオーステナイト相が保持され、加工により導入された転位群を核生成サイトとしてパーライト変態が促進し、パーライト組織が微細化する効果がある。
一般的に、析出強化に伴い延性や靭性は低下する。しかし、前記のNb系析出物に起因するパーライト組織の微細化による延性向上効果が、析出強化による延性や靭性の劣化を補えることが分かった。このことから、Nbが析出強化を実現できる元素として有効であることが判明した。
次に、本発明の一実施形態に係るレールの構成要件、限定理由について詳細に説明する。以下、鋼組成における質量%は単に%と記載する。
(1)鋼の化学成分の限定理由
本実施形態のレールにおいて、鋼の化学成分を前述した数値範囲に限定する理由について詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.70%未満になると、本発明の成分系では、レールに要求される最低限の強度や耐摩耗性が維持できない。さらに、C量が0.70%未満になると、レール頭部内部において、耐摩耗性に有害な、軟質な初析フェライトが生成する。また、C量が1.20%を超えると、レール頭部内部に初析セメンタイトが生成し易くなる。この場合、初析セメンタイトとパーライト組織との界面から疲労き裂が発生し、内部疲労損傷を発生し易くする。このため、C含有量を0.70〜1.20%に限定した。なお、パーライト組織の生成を安定化し、かつ耐摩耗性をより高めるためには、C含有量を0.85%以上とすることが望ましい。また、レール頭部内部における初析セメンタイトを抑制し耐内部疲労損傷性をさらに向上させるには、C含有量を1.10%以下とすることが望ましい。
Siは、パーライト組織中のフェライト相の固溶強化によるパーライト組織の硬度(強度)の向上により耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、Si量が0.10%未満では前述の効果を十分に発揮できない上、脱酸不足となり、パーライト組織中に粗大な酸化物が混在してしまい、その酸化物が破壊の起点となるため、摩耗が促進される他、延性が低下しやすい。Si量が2.00%を超えるとフェライト相が脆化し、レールの延性が低下する。このためSi量は0.10〜2.00%と限定する。耐摩耗性をさらに向上させ、延性の低下を防ぐためには、0.20%以上とすることが好ましく、更に好ましくは0.30%以上である。またフェライト相の脆化を抑制し、レールの延性の低下を防ぐためには、1.50%以下とすることが好ましく、更に好ましくは1.40%以下である。
Mnは、パーライト変態を遅延させる効果を有する元素であり、同一冷却速度で加速冷却を施した場合、Mn量が多いほうが、パーライト変態温度を低下させ、パーライト組織のラメラ間隔を微細化することによりレール頭部の硬度(強度)を上昇させ、耐摩耗性を向上させうる。しかし、Mn量が0.10%未満ではこれらの効果が小さく、低硬度の耐摩耗性が低いパーライト組織が生成するばかりでなく、焼入れ性不足のため、パーライト変態時の過冷度を十分に確保できず、粗大なパーライト組織となり、延性が低下してしまう。また、頭部内部では耐摩耗性に有害な初析フェライトが生成する。Mn含有量が2.00%を超えると、焼入れ性が著しく増加し、レール頭部表面に耐摩耗性を劣化させるベイナイト組織や延性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このためMn含有量は0.10〜2.00%とする。硬度を向上させ、耐摩耗性、延性を向上させるためには、0.20%以上とすることが好ましく、更に好ましくは0.30以上である。ベイナイト組織やマルテンサイト組織の生成を抑制し耐摩耗性や延性の低下を防ぐためには、1.2%以下とすることが好ましく、更に好ましくは1.00%以下である。
Pは、鋼中に不可避的に含有される不純物元素である。転炉での精錬を行うことにより、P量を制御することが可能である。P量が0.025%を超えると、レール鋼の延性(パーライト組織が脆化)が低下する。そのためP量は0.025%以下と制限する。好ましくは0.020%以下である。なお、P添加量の下限は限定しないが、精錬工程での脱燐能力を考慮すると、P含有量は0.0080%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。
Sは、鋼中に不可避的に含有される不純物元素である。溶銑鍋での脱硫を行うことにより、S量を制御することが可能である。S量が0.025%を超えると、介在物としての粗大なMnS等の硫化物が生成し易くなる。この場合、介在物周辺の応力集中により、レールの早期破断を引き起こし、延性が低下する。このため、S量は0.025%以下と制限する。好ましくは0.020%以下である。なお、S添加量の下限は限定しないが、精錬工程での脱硫能力を考慮すると、S含有量は0.0080%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。
Nbは熱間圧延中に、上述したように、Nb系析出物(炭化物、窒化物、炭窒化物)を生成し、再結晶後のオーステナイト相の粒成長を低減(ピンニング効果)させ、仕上圧延工程での再結晶抑制効果により、加工状態のオーステナイトの安定化させ、加工オーステナイトからのパーライト変態を利用してパーライト組織を微細化する効果を示す。更に、熱間圧延後の冷却過程(熱処理工程)においてパーライト組織のフェライト相中に微細な析出物を生成させ、析出強化によりレールの硬度を上昇させるのに有効な元素である。さらに、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、耐摩耗性を向上させる元素である。また、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。
ここで、本発明者らは、C量:0.90%、Si量:0.50%、Mn量:0.80%、P量:0.010%、S量:0.010%を含有し、Nb量を0.35〜2.20%に変化させた鋼を用いて、レールを試験製造し、Nbの適正範囲を検討した。鋼片は1260℃で加熱した後、粗圧延、中間圧延を経て粗造形した後、仕上圧延温度960℃でレールに成形した。熱間圧延後は、冷却開始温度790℃から、6℃/secの冷却速度で、冷却停止温度590℃まで加速冷却を施した。加速冷却後は放冷である。試験製造したレールの材質評価結果として、図1(a)にNb量と頭頂部表面下2mmの硬度の関係を、図1(b)にNb量と引張試験の結果得られた全伸びの関係を示す。なお、図中(グラフ中)に示す横太線は、それぞれ「同一製造条件で製造したNb無添加レールの全伸び(もしくは硬度)」を示している。
Nb量が0.50%以下では、析出強化が不十分であることが分かった。一方、Nb添加量が2.00%超では析出強化が達成されるが、全伸びがNb無添加より低下することが分かった。したがって、Nbの成分限定範囲の詳細は以下のとおりである。
上記のとおり、Nb量が0.50%以下では、パーライト組織の析出強化が不十分であり、パーライト組織の高硬度化が達成できない。また、また、Nb量が2.00%を超えると、凝固前の液相から粗大なNbの炭窒化物が多量に晶出し、さらにオーステナイト相中でNb系析出物(炭化物、窒化物、炭窒化物)が粗大に析出し、これらの晶出物や析出物が、破壊の起点となり、延性が著しく低下するためレール折損が発生しやすくなる。このため、Nb添加量を0.50%超〜2.00%に限定した。また、粗大なNb系析出物の生成を抑制し延性の低下を防ぐためには、Nb量を1.80%以下とすることが好ましく、1.50%以下とすることがさらに好ましい。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、パーライト組織の硬度の向上、パーライト微細化による延靭性の向上、パーライト組織の安定形成化等を目的にCr、Mo、Co、Cu、Ni、B、Ti、V、Al、Zr、Mg、Ca、REMを必要に応じて添加してもよい。
以下に、目的、作用、効果別にこれら元素群をa〜f群と分け、詳細に説明する。
<a群>
Cr、Moは平衡の共析点(パーライト変態の際の過冷度の基準となる平衡温度)を上昇させ、同一冷却速度で冷却した場合に、無添加時に比べ、平衡変態温度とパーライト変態温度、即ち過冷度を増加させ、パーライト組織のラメラ間隔(フェライト相とセメンタイトの層間隔)を微細化することにより高硬度化を図る元素である。パーライト組織の高硬度化を目的にCr、Moの1種または2種を選択的に添加してもよい。それぞれの成分限定理由は以下の通りある。
Crは0.05%未満では、過冷度の増大効果が小さく、高硬度化を達成できない。また、2.00%を超える過剰な添加を行うと、焼入性が著しく増加し、レール頭部表面に耐摩耗性を劣化させるベイナイト組織や延靭性を低下させるマルテンサイト組織を生成し易くなる。このためCr含有量は0.05〜2.00%が望ましい。
Moは0.01%未満では、過冷度の増大効果が小さく、高硬度化を達成できない。また、0.50%を超える過剰な添加を行うと、焼入性が著しく増加し、レール頭部表面に耐摩耗性を劣化させるベイナイト組織や延靭性を低下させるマルテンサイト組織が生成し易くなる。このためMo含有量は0.01〜0.50%が望ましい。
<b群>
Co、Cu、Niはパーライト組織のフェライト相中に固溶し、固溶強化機構によりパーライト組織の硬度を向上させる元素である。パーライト組織の高硬度化を目的にCo、Cu、Niの1種または2種以上を選択的に添加してもよい。それぞれの成分限定理由は以下の通りある。
Coは0.10%未満では固溶強化が発現せず、高硬度化が期待できない。また、2.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相が著しく脆化し、レール鋼の延性が著しく低下する。このためCo含有量は0.10〜1.00%が望ましい。
Cuは0.05%未満では固溶強化が発現せず、高硬度化が期待できない。また、1.00%を超えて添加すると、著しい焼入れ性向上により、レール頭部の耐摩耗性に有害なベイナイト組織や延性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。さらに、過剰な固溶強化によりパーライト組織中のフェライト相が著しく脆化し、レール鋼の延性が低下する。加えて、熱間圧延時の脆化を引起し、レールの延性を低下させる場合がある。このためCu含有量は0.05〜1.00%が望ましい。
Niは固溶強化以外にもCu添加による熱間圧延時の脆化を防止する元素である。添加量が0.01%未満では固溶強化が発現せず、高硬度化が期待できない。また1.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レール鋼の延性が低下する。このためNi含有量は0.01〜1.00%が望ましい。
<c群>
Bは、オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物を形成してオーステナイト相の粒成長を阻害する効果、過共析鋼においては初析セメンタイトの生成を微細化する効果、さらに、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させて頭部の硬度分布を均一化する効果を有する元素である。この効果を目的にBを選択的に添加する。Bの成分限定理由は以下の通りである。
Bが0.0005%未満では、上記の効果は十分でなく、初析セメンタイトの生成やレール頭部の硬度分布の改善が認められない。また、0.0050%を超えて添加すると、オーステナイト粒界に粗大な鉄炭ほう化物が生成し、レール鋼の延性が大きく低下するため、B含有量は0.0005〜0.0050%が望ましい。
<d群>
Ti、Vは鋼中に微量添加することで、熱間圧延工程中におけるオーステナイト相中に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し(同時に添加するとTi‐Vの複合析出物として生成)、析出物がオーステナイト粒界の粒成長を阻害することでオーステナイト結晶粒の微細化を図り、レール鋼の延性を向上させるのに有効な元素である。また、パーライト組織のフェライト相中に微細に析出することにより硬度を上昇させる元素でもある(特にV)。パーライト組織の延性向上、硬度向上を目的にこれら元素の1種または2種を選択的に添加してもよい。それぞれの成分限定理由は以下の通りである。
Tiは、0.0005%未満では、微細析出物の数が不足し、オーステナイト粒微細化効果が十分に期待できず、延性の改善は認められない。また、0.050%を超えると、溶鋼中で粗大な晶出物(炭窒化物、窒化物)を生成してしまい、オーステナイト相の粒成長を抑制効果が小さくなり。鋼の延性が向上しない。また、溶鋼中で粗大に晶出した窒化物や、炭窒化物は、レールの使用特性上、破壊の起点となる懸念がある。このためTi含有量は0.0005〜0.050%が望ましい。
Vは0.0005%未満では、微細析出物の数が不足し、オーステナイト粒微細化効果が十分に期待できず、延性の改善や硬度向上が認められない。また、0.50%を超えると、単独あるいは他のTiやNbと粗大な複合析出物が生成し、オーステナイト相の粒成長を抑制効果が小さくなるだけではなく、パーライト組織のフェライト相中に過剰に析出し、脆化が顕著となりレール鋼の延性が向上しない。このため、V量は0.0005〜0.50%が望ましい。
<e群>
Al、Zrは脱酸剤として溶鋼中で作用するだけではなく、延靭性を低下せしめる初析セメンタイトの生成を抑制する元素である。初析セメンタイトの抑制機構としては、Al共析点を高温側へ、共析炭素濃度を高炭素側へ移動させることで、パーライト組織形成を安定化させ、初析セメンタイトの生成を抑制する。Zrは溶鋼中で生成するZrOがオーステナイト相との格子整合性が良いため、凝固初晶がオーステナイト相であるレール鋼では凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高め、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制することで、過共析鋼レールにおいて偏析部に生成する初析セメンタイトの生成を抑制する。過共析炭素量のレール鋼においてパーライト組織の安定形成のためにこれら元素の1種または2種を選択的に添加する。これら元素の成分限定理由としては以下の通りである。
Alは0.0020%未満では共析点の高温化が達成できないばかりでなく、初析セメンタイトの生成抑制効果が弱いため、初析セメンタイトの抑制が達成できない。また、1.00%を超えて添加すると、溶鋼中で粗大なアルミナ系介在物が生成し、レール鋼の延性が低下する。また、粗大な介在物はレール使用時には疲労損傷の起点となることや、溶接時に酸化物が生成し、溶接部の機械的特性が著しく低下する。このためAl含有量は0.0020〜1.00%が望ましい。
Zrは0.0005%未満ではZrO系介在物の数が少なく、凝固核として十分な作用を示さない。その結果、偏析部に初析セメンタイト組織が生成し、レール鋼の延靭性を低下させる。またZr量が0.0200%を超えると、粗大Zr系介在物が多量に生成し、破壊の起点となりレール鋼の延性が低下する。このためZr含有量は0.0005〜0.2000%が望ましい。
<f群>
Mg、Ca、REMは脱酸・脱硫を目的に溶鋼中で作用するだけではなく、溶鋼中やオーステナイト相中に微細な酸化物、硫化物、酸硫化物として生成させることにより、熱間圧延の再加熱工程において、オーステナイト相の粒成長を抑制し、オーステナイト相の微細化を図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。さらに、酸化物や硫化物MnSの生成核として作用し、MnSを微細に分散させることで、MnSの周囲に形成されるMn希薄帯がオーステナイト相中に多量に形成され、パーライト変態の生成に寄与する。その結果パーライト組織が微細化(パーライトブロックが微細化)することにより、延性を向上させるのに有効な元素でもある。パーライト組織の延性向上を目的に、これら元素の1種または2種以上を選択的に添加してもよい。これら元素の成分限定理由としては以下の通りである。
Mgは0.0005%未満ではその効果は弱く、微細な酸化物・硫化物が生成せず、オーステナイト組織の微細化やMnSの微細分散化が達成できないため、パーライト組織を微細化することができず、延性が向上しない。また、0.0200%を超えて添加すると、溶鋼中においてMgの粗大酸化物が生成し、レール鋼の延性を低下させる。このためMg含有量は0.0005〜0.0200%が望ましい。
Caは0.0005%未満では十分量の微細な硫化物が生成せず、MnSの微細分散化が達成できないため、パーライト組織の微細化が達成できず、延性が向上しない。また、0.0200%を超えて添加すると、Caの粗大酸化物が生成し、レール鋼の延性が低下するため、Ca含有量は0.0005〜0.0200%が望ましい。
REMは0.0005%未満では十分量の酸硫化物が得られず、MnSを微細分散化が達成できないため、パーライト組織の微細化が達成できず、延性が向上しない。また、REM量が0.0500%を超えると、硬質なREMの酸硫化物が生成し、応力集中により、早期破断し易くなり、延性が低下する。このため、REM含有量は0.0005〜0.0500%が望ましい。
なお、REMとはCe、La、PrまたはNd等の希土類元素である。上記含有量はこれらの全REMの含有量の総和を限定するものである。含有量の総和が上記範囲内にあれば、各元素単独あるいは各元素が複合的に含まれる形態(2種以上の元素が含有される形態)であっても、同様な効果が得られる。
本発明ではN含有量については限定していないが、以下のように含有させてもよい。
Nは、鋼中に不可避的に含有される元素である。精錬工程での二次精錬(脱ガス)を行うと、N量は0.0040〜0.0060%まで低減する。N量が増加すると、Nb系炭窒化物の生成量が増加すると同時に粗大化する。このため、本発明の一態様において、N添加量を0.010%以下にすることが好ましい。N量が0.010%超では微細なNb系炭窒化物の生成量の増加と比較して粗大化が顕著となり、応力集中によりレール折損が発生しやすくなる。このため、N量を0.010%以下に限定してもよい。
本実施形態の一態様のレールは、上記成分を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。不可避的不純物の例としては、鉱石やスクラップなどの原材料に含まれるもの、又は製造工程において混入するもの等が挙げられるが、本発明の優れた特性を阻害しない範囲であれば許容される。
また、上記のような成分組成で構成されるレールは、転炉、電気炉などの通常の方法で溶製し、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法により、熱間圧延用鋼片を鋳造する。熱間圧延用鋼片は熱間圧延にてレールに造形される。熱間圧延後はオーステナイト領域から冷却装置による加速冷却が行われる。または、熱間圧延後、放冷にて室温付近まで冷却された鋼片をオーステナイト領域まで再加熱した後、加速冷却を行ってもよい。
(2)金属組織の限定理由
次に、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ25mmの範囲における金属組織において、95%面積%以上のパーライト組織に限定した理由について説明する。
車輪と接触するレール頭表部では耐摩耗性の確保が重要である。レール頭表部の金属組織と耐摩耗性との関係を調査した結果、パーライト組織が最も好適であることが確認された。そこで、耐摩耗性の確保する目的から、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ25mmの範囲における金属組織をパーライト組織に限定した。
ここで、図2を用いて本発明のレールでパーライト組織が必要な部位の範囲を説明する。図2はレール頭部の断面模式図を示す。
レール頭部3は、頭頂部1と、頭頂部1の両端に位置する頭部コーナー部2と、側頭部12とを有する。頭頂部1は、レール延伸方向に沿ってレール頭部の頂部に延在する略平坦な領域である。側頭部12は、レール延伸方向に沿ってレール頭部の側部に延在する略平坦な領域である。頭部コーナー部2は、頭頂部1と側頭部12の間に延在する丸められた角部と、側頭部12の上半分(側頭部12の、鉛直方向に沿った1/2部より上側)とを併せた領域である。
頭頂部1の表面と頭部コーナー部2の表面は、レールの中で、車輪に接触する頻度が最も高い領域である。頭部コーナー部2および頭頂部1の表面を起点として深さ25mmまでの範囲を頭表部3aと呼ぶ。
本発明では、少なくともこの頭表部3a(図2中で示した網掛け部)が、面積率で95%以上のパーライト組織であることが重要である。なお、頭部コーナー部の一方は、車輪と主に接触するゲージコーナー(G.C.)部である。
図2に示すように、1頭頂部および頭部コーナー部2の表面を起点として深さ25mmまでにパーライト組織が配置されていれば、レール頭表部3aにおいて、耐摩耗性や耐疲労損傷特性の向上を図ることができる。つまり、レールの中でも車輪に接触する頻度が高く、耐摩耗性、耐疲労損傷特性が要求される頭表部3aにパーライト組織が存在していれば本発明の効果は享受でき、頭表部3a以外の、これらの特性が必要とされない部分はパーライト組織以外の金属組織であってもよい。
次に、本発明のレールの頭部の金属組織の生成状況について説明する。
前記の頭表部3aの金属組織は全て耐摩耗性に優れるパーライト組織であることが望ましい。しかし、レールの成分系、更には、熱処理工程時の加速冷却条件の選択によっては、微量な初析フェライト、初析セメンタイト、ベイナイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。これらの組織が微量に混入しても、レールの特性には悪影響を及ぼさないため、前記の頭表部3a(図2に示す網掛け部分)において面積率で5%までは初析フェライト、初析セメンタイト、ベイナイト組織、マルテンサイト組織を含んでもかまわない。換言すれば、本発明に係るレールの頭表部のパーライト組織の面積率を95%以上とし、パーライト組織以外の上記のような組織が混住する場合は、その組織は面積率で合計5%以下に制限する。したがって、レールの頭表部3aのパーライト組織の面積率の上限は100%である。なお、本発明における「パーライト組織」とはパーライト組織の面積率が95%以上の状態である。
次に、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ25mmまでの範囲(領域)をパーライト組織とした理由について説明する。
レール頭部において、パーライト組織を生成させる範囲(必要範囲)が頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ25mm未満の場合、当該範囲はレール頭部に要求される耐摩耗性を確保するためには不十分であり、十分なレール使用寿命の向上が困難となる。また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ25mmを超える深さでは、パーライト以外の組織が生成してもレールの使用特性には影響しない。
パーライト組織の面積率は、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲の観察において、例えば200倍の光学顕微鏡の視野で金属組織を観察し、パーライト組織の面積を合計することで、当該範囲内のパーライト組織の面積率を求めることができる。また前述の各金属組織の面積についても同様の方法により測定することができる。また、前記した光学顕微鏡の観察は複数視野(複数箇所)行い、面積率の平均値をパーライト組織の面積率として採用することができる。
また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として2mm程度の深さ位置と、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として25mm深さ位置の、双方のパーライト組織の面積率が95面積%以上であれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲のパーライト組織の面積率が95面積%以上である、と称することができる。
なお、初析フェライト、ベイナイト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の生成比率については、前記した、パーライト組織の面積率の算定と同様な方法で算定することができる。つまり、具体的には、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点とした少なくとも25mm深さの範囲の組織観察において、200倍の光学顕微鏡の視野で各金属組織を観察し、各視野において、初析フェライト、ベイナイト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積を測定し、パーライト組織以外の面積率を求める。この光学顕微鏡での観察を複数視野(複数箇所)行い、初析フェライト、ベイナイト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積率として用いることができる。
また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として2mm程度の深さ位置と、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として25mm深さ位置の、双方の初析フェライト、ベイナイト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積率の合計が5%未満であれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲の金属組織の95%以上がパーライト組織であると称することができる。
ここで、本発明レールにおいて、析出強化を担う鋼中のNb系析出物(炭化物、窒化物、炭窒化物)について、好ましい生成形態を記述する。
析出物のサイズは以下の方法により測定される。後に説明する方法で観察した析出物の平均粒子径を測定することで求める。析出物が真円に近い場合は、析出物と等しい面積の直径を平均粒子径とする。形状が真球状ではなく、楕円体、直方体の析出物の平均粒子径は、長径(長辺)と短径(短辺)の平均値とする。
平均粒子径が2nm未満の析出物は、パーライトの強化効果があるが観察時に個数を計測し難いため、サイズの限定から除外する。一方、析出物の平均粒子径が30nmを超えると、転位の移動の阻害効果(強化能)が不足し、パーライトの強化が十分に発揮できない。このため、測定対象とする析出物のサイズを2〜30nmに限定する。
本発明者らが調査した結果、鋼中において、この2〜30nmの析出物の数が1mmあたり10×10〜5,000×10個存在する範囲では、パーライトの強化が強く発揮されることが分かった。
平均粒径2〜30nmの析出物が生成していても、その生成数が1mmあたり10×10個未満の場合は、個数が範囲内にあるパーライト組織よりも硬度が低くなる傾向がある。一方、析出物の生成数が1mmあたり5,000×10個超の場合は、強化が飽和し、徐々に延性が下がり始める傾向にある。このため、鋼中の析出物は1mmあたり10×10〜5,000×10個の範囲が好ましい。
ここで、析出物の密度とサイズの測定方法を説明する。頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲内で任意の箇所から、薄膜試料を作製して透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、パーライト組織のフェライト部を観察する。
このとき、平均粒子径が2nm以上30nm以下の析出物の個数を、少なくとも1000μm以上の面積につき測定する。この測定結果を単位面積当たりの個数に換算する。例えば、1視野あたりの観察面積を20μmとし、少なくとも50視野観察し、2〜30nm以下の析出物個数が50視野(1000μm)で12,000個であれば、析出物密度は1mmあたり12×10個と換算できる。
(3)硬度の範囲
本発明では、Nb系析出物による析出硬化によってレール頭部の硬度を上昇させ、耐表面疲労損傷性を向上させることができる。
本発明に係るレールの硬度はC量、Nb量によって変わる。また、図2に示す頭表部3aにおける硬度は、レール頭頂部ないしは頭部コーナー部の表面から深さ方向にかけて減っていく。この深さ方向の硬度変化は、表面から深くなるにつれ、冷却速度が緩慢となっていくために起こる。
そこで、本発明者らが、耐摩耗性、延性、耐疲労損傷性に優れたレールについて、頭表部の硬度を詳細に調査した結果、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲硬度H(Hv)の値が式(1)の範囲であれば、頭表部全体にわたって高硬度化が達成できており、かつ延性、耐疲労損傷性の劣化を抑制できていることが分かった。
235×C[質量%]+190≦H[Hv]≦235×C[質量%]+290…(1)
つまり、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも25mm深さの範囲の硬度が式(1)の範囲内であれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面から25mmの領域は高硬度化が達成されている。しかし、硬度が式(1)の下限(左辺、235×C[質量%]+190)未満のものは、高硬度化が十分に達成できない。一方、頭頂部表面下2mm位置での硬度が式(1)の上限(右辺、235×C[質量%]+290)を超えるものは、高硬度化(強化)が過剰であり、延性が低下する。
なお、前述の硬度の測定は、同一深さ位置において、複数視野(複数箇所)測定し、それらの平均値を硬度として採用することが望ましい。具体的に、硬度の測定は下記に示す要領で実施することができる。
金属材料の母材においては、非特許文献1に示すように、疲労限度(耐疲労特性)は材料の静的強度と相関関係があり、静的強度は硬度と相関関係があるため、レールの耐疲労特性を向上させるには、母材の硬度を向上させればよい。
<平均硬度の測定方法・測定条件>
測定器 :ビッカース硬度計(荷重98N)
測定用試験片採取:レール頭部の横断面からサンプル切り出し。
事前処理 :前記横断面を研磨。
測定方法 :JIS Z 2244に準じて測定。
硬度の算定:頭頂部表面下2mm位置、25mm位置において5点以上の測定を行い、平均値を「頭頂部表面下2mm位置の硬度、および頭頂部表面下25mm位置の硬度」とする。
なお、本発明において「横断面」とは、レール長手方向に垂直な断面である。
本発明のレールにおいて、その製造方法については特に限定しないが、一般的に、圧延用鋼片を熱間圧延によってレールに造形する際の、圧延用鋼片の再加熱温度は1200℃以上である。本発明の効果を十分に発現させるため、製鋼工程でレール圧延用鋼片を鋳造し、その後の緩慢な冷却過程で生成した粗大なNb系析出物を一旦オーステナイト相中に溶解させることを目的に、加熱温度は1250℃以上とすることが好ましい。
また、一般的な熱間圧延の最終圧延温度は850〜1050℃である。本発明の効果を十分に発現させるため、圧延で導入される転位上にNb系析出物を生成させ、生成した析出物が粗大化せずに、再結晶オーステナイト相の粒成長を抑制するには、850〜950℃で最終圧延を行うことが好ましい。
また、熱間圧延後の加速冷却(熱処理)は、レール頭部表面の温度が700℃以上のオーステナイト温度領域から550℃〜650℃の温度域まで平均冷却速度2〜30℃/secで冷却し、少なくとも400℃まで放冷することが好ましい。
<実施例1>
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1〜表4に、化学成分値、頭頂部および頭部コーナー部の表面下2mm位置、および25mm位置の金属組織、硬度、ならびに全伸びを示す。
尚、表2、4に示す金属組織の「パーライト」との表記は、面積率で5%以下の初析フェライト、ベイナイト組織、初析セメンタイトやマルテンサイト組織が混入しているものも含んでいる。
また、表4に示す金属組織において、面積率で5%超の初析フェライト、初析セメンタイト、マルテンサイト組織が混入している比較例については、金属組織の欄に初析フェライト、初析セメンタイト、マルテンサイト組織も記載した。
尚、表1〜表4に示した本発明レールおよび比較レールの製造条件は下記に示すとおりである。
製鋼工程において転炉および二次精錬(脱ガス)で成分調整を行い、連続鋳造にてレール熱間圧延用の鋼片(ブルーム)に鋳造した。鋼片は熱間圧延工程において、加熱炉にて1250℃で60分間加熱し、加熱炉抽出後、粗圧延工程、中間圧延工程を経て、粗造形圧延を行い、仕上圧延工程にて最終圧延温度950℃でレール形状に圧延した。熱間圧延後は熱処理工程にて、レールの頭頂部の表面が800℃の状態から、冷却速度10℃/secで600℃まで加速冷却を施し、その後は放冷した。
表1〜表4に示した本発明レールおよび比較レールにおいて、頭頂部表面下2mm位置、25mm位置の金属組織、頭頂部表面下2mm位置の硬度、全伸びは、以下の方法で測定した。
<金属組織観察方法>
1.パーライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織の組織観察方法は下記に示す通りである。
(1)観察試料: レール長手方向に対し垂直に切出したレール頭部を研磨したもの
(2)腐食方法: ナイタールに10sec浸漬(非特許文献1参照)。
(3)観察方法: 光学顕微鏡、200倍
(4)測定数:10視野観察し、平均値を各組織の代表値とした。
2.初析セメンタイトの組織観察方法は下記に示す通りである。
(1)観察試料: レール長手方向に対し垂直に切出したレール頭部断面を研磨したもの
(2)腐食方法: 煮沸したピクリン酸ソーダに浸漬(非特許文献2参照)。
(3)観察方法: 光学顕微鏡、200倍
(4)測定数:10視野観察し、平均値を各組織の代表値とした。
3.析出物、介在物(酸化物、硫化物等)の検出方法は下記に示す通りである。
(1)観察試料:レール長手方向に対し垂直に切出したレール頭部を研磨したもの
(鏡面状態で観察)
(2)観察方法:走査型電子顕微鏡 倍率:1,000〜50,000倍
(3)測定位置:頭部外郭表面を起点として深さ2〜25mmの任意の点
(4)測定方法:観察により、介在物、析出物の分析を行い、硫化物生成元素や炭化物生成元素からなる硫化物、炭化物、窒化物のみ選択し、その面積を求め、面積に相当する円の直径で粒径を算定。生成物が矩形の場合は長辺と短辺の平均値とする。生成物が正方形の場合は直行する二辺の平均値とする。粒径が5μmを超えるものを粗大析出物、介在物と定義。
<硬度の測定方法>
表1、表2に示した本発明レールおよび比較レールの頭頂部表面下およびコーナー部の硬度は、レール頭頂部表面から2mm深さ、25mm深さの位置で行った。また、硬度はビッカース硬度計で測定した。測定方法は下記に示すとおりである。
(1)事前処理:レール切断⇒横断面研摩。
(2)測定方法:JIS Z 2244に準じて測定。
(3)測定器:ビッカース硬度計(荷重98N)
(4)測定箇所:レール頭頂部表面から2mm深さ、25mm深さの位置
(5)測定数:5点以上測定し、平均値を鋼レールの代表値とした。
<引張試験>
引張試験条件は下記の通りである。
試験機:万能小型引張試験機
試験片形状:JIS Z2201 4号相似
試験片採取位置:頭頂部表面より5mm下を試験片中心として採取(図3参照)。
平行部長さ:40mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:21mm
引張速度:10mm/min、試験温度:常温(20℃)
表1〜表4に示した本発明レールおよび比較レールの詳細は下記に示すとおりである。
(1)本発明レール(21本)
鋼符号 A01〜A21の鋼片から製造したレール、符号A01〜A21:化学成分値、頭頂部表面下2mmの金属組織、硬度が本願発明範囲内。
(2)比較レール(12本)
鋼符号 B01〜B12の鋼片から製造したレール、符号B01〜B12:C、Si、Mn、Nbの添加量、金属組織、硬度が本願発明範囲外。
Figure 2016156071
Figure 2016156071
Figure 2016156071
Figure 2016156071
表1〜表4に示すように、本発明レール(鋼符号A01〜A21)は、比較レール(鋼符号B01〜B12)と比べて、鋼のC、Si、Mn、P、S、Nbの添加量を限定範囲内に収めることにより、初析フェライト、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の生成を抑制し、頭表部をパーライト組織とし、高硬度を得ることができた。
図4に炭素量と硬度の関係を示す。図4の二本の破線は、前記で規定した本発明のレールの頭頂部表面下2mm位置の硬度範囲(Hv)を示す式(1)の上限(右辺、235×C[質量%]+290)と下限(左辺、235×C[質量%]+190)を示したものである。本発明のレールは式(1)で示した硬度範囲に収まっていた。また、鋼符号A08と鋼符号A09、鋼符号A10とA11においては、C量が同程度でも、Nb量が多い鋼符号A08やA10は、鋼符号A09や符号11よりも硬度が高かった。
一方、鋼符号B01C量が規定範囲よりも低かったため、耐摩耗性に有害な軟質な初析フェライトが大量に生成した。鋼符号B02はC量が規定範囲よりも高かったため、延性に有害な初析セメンタイトが大量に生成し、全伸びが低下した。
鋼符号B03はSi量が規定範囲よりも低かったため、耐摩耗性や延性を劣化させる粗大酸化物が生成し、頭部内部では延性に有害な初析セメンタイトが大量に生成した。鋼符号B04は過剰なSiの添加により焼入れ性が著しく向上し、耐摩耗性や延性を劣化させるマルテンサイト組織が生成した。
鋼符号B05はMn量が規定範囲よりも低かったため、焼入れ性の向上が図れず、耐摩耗性が低い低硬度のパーライト組織となった(延性には影響なし)他、頭部内部に耐摩耗性に有害な初析フェライトが大量に生成した。鋼符号B06はMn量が規定範囲よりも高かったため、レール頭部表面に耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が多量に生成した。
鋼符号B07はP量が規定範囲よりも高かったため、パーライト組織が脆化し、延性が低下した。
鋼符号B08はS量が規定範囲よりも多かったため、耐摩耗性や延性に有害な粗大な介在物が生成した。
鋼符号B09はNb量が規定範囲よりも低かったため、析出強化が十分に得られなかった(延性には影響なし)。図4に示した炭素量と硬度の関係で整理すると、鋼符号B09のレールはNb含有量が本請求項の規定範囲よりも少なかったため、同程度のC量を含有し、Nb量が規定範囲内であった本発明レールと比較して、式(1)の関係を満足することができなかった。
鋼符号B10はNb量が規定範囲よりも多かったため、耐摩耗性や延性に有害な粗大なNb系析出物が生成した。
鋼符号B11は化学成分は規定範囲であったが、強化を担う合金(Si、Mn、Nb)の含有量が低かったため、式(1)の下限を下回り、硬度を満足しなかった(延性には影響なし)。
鋼符号B12は化学成分は規定範囲であったが、強化を担う合金の量が高かったため、式(1)の上限を上回り、延性が低下した。
<実施例2>
次に、表1の鋼符号A02、A14、A16、A21の鋼片を用いて、加熱炉にて1260℃で70分間加熱し、加熱炉抽出後、粗圧延工程、中間圧延工程を経て、粗造形圧延を行い、仕上圧延工程にて最終圧延温度950℃でレール形状に圧延した。熱間圧延後の熱処理工程において、レールの頭頂部の表面が800℃の状態から、冷却速度5℃/secで640℃まで加速冷却を施し、その後は放冷した。この条件で製造したレールは以下の通りである。
鋼符号A02を用いたレール:符号C02
鋼符号A14を用いたレール:符号C14
鋼符号A16を用いたレール:符号C16
鋼符号A21を用いたレール:符号C21
表5、6に、符号C02、C14、C16、C21の化学成分値、頭頂部および頭部コーナー部の表面下2mm位置、および25mm位置の金属組織、硬度、全伸び、直径2〜30nmの析出物の個数を示す。なお、表5、6に記載した符号A02、A14、A16、A21は、表1に示した同一符号の鋼符号と同じレールであり、直径2〜30nmの析出物の個数を調査した結果を追記している。
符号C02、C14、C16、C21は、符号A02、A14、A16、A21と比較して、鋼符号が同じであっても、パーライト組織のフェライト相中の直径2〜30nmの析出物の個数が、前記の好ましい範囲内に入っているため、硬度が更に上昇した。
Figure 2016156071
Figure 2016156071
1:頭頂部
2:頭部コーナー部
3:レール頭部
3a:頭表部(頭部コーナー部および頭頂部の表面を起点として深さ25mmまでの範囲、斜線部)
12:側頭部

Claims (2)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.70〜1.20%、
    Si:0.10〜2.00%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    Nb:0.50超〜2.00%を含有し、
    P:0.025%以下、
    S:0.025%以下、
    に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    レールの頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも深さ25mmの範囲において、面積%で、95%以上がパーライト組織であり、
    前記範囲の硬度Hの値が下記式(1)の範囲内であることを特徴とするパーライト鋼レール。
    235×C[質量%]+190≦H[Hv]≦235×C[質量%]+290…(1)
  2. 質量%で、さらに、下記a群〜f群の成分の1群または2群以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のパーライト鋼レール。
    a群:Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種。
    b群:Co:0.10〜1.00%、Cu:0.05〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%の1種または2種以上。
    c群:B:0.0005〜0.0050%。
    d群:Ti:0.0005〜0.050%、V:0.0005〜0.50%の1種または2種。
    e群:Al:0.0020〜1.00%、Zr:0.0005〜0.2000%の1種または2種。
    f群:Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0200%、REM:0.0005〜0.0500%の1種または2種以上。
JP2015035768A 2015-02-25 2015-02-25 パーライト鋼レール Expired - Fee Related JP6459623B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015035768A JP6459623B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 パーライト鋼レール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015035768A JP6459623B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 パーライト鋼レール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016156071A true JP2016156071A (ja) 2016-09-01
JP6459623B2 JP6459623B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=56825211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015035768A Expired - Fee Related JP6459623B2 (ja) 2015-02-25 2015-02-25 パーライト鋼レール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6459623B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107675080A (zh) * 2017-10-10 2018-02-09 攀钢集团研究院有限公司 抗接触疲劳珠光体钢轨及其制造方法
CN107988554A (zh) * 2017-11-28 2018-05-04 宁波市鸿博机械制造有限公司 一种液压泵花键轴
CN110195189A (zh) * 2019-06-28 2019-09-03 徐州昊隆工具有限公司 一种高硬度的汽车五金件制造方法
WO2019189688A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 Jfeスチール株式会社 レールおよびその製造方法
CN111334718A (zh) * 2020-03-23 2020-06-26 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种欧洲标准R260Mn钢轨及其生产方法
CN111989416A (zh) * 2018-03-30 2020-11-24 杰富意钢铁株式会社 导轨
JPWO2020189232A1 (ja) * 2019-03-15 2021-12-09 日本製鉄株式会社 レール
JPWO2022209293A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06
US11492689B2 (en) 2018-03-30 2022-11-08 Jfe Steel Corporation Rail and method for manufacturing same

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06287699A (ja) * 1993-03-30 1994-10-11 Kawasaki Steel Corp 繰り返し応力負荷によるミクロ組織変化の遅延特性に優れた軸受鋼
JP2000345297A (ja) * 1999-06-02 2000-12-12 Nkk Corp 耐摩耗性と延性に優れたパーライト鋼レール
JP2001220650A (ja) * 1999-11-30 2001-08-14 Sumitomo Electric Ind Ltd 鋼線、ばね及びそれらの製造方法
JP2002088449A (ja) * 2000-09-18 2002-03-27 Nkk Corp パーライト系レール
JP2002363701A (ja) * 2001-06-12 2002-12-18 Nkk Corp パーライト系レール
JP2003293086A (ja) * 2002-04-05 2003-10-15 Nippon Steel Corp 耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レール
US20040187981A1 (en) * 2002-04-05 2004-09-30 Masaharu Ueda Pealite base rail excellent in wear resistance and ductility and method for production thereof
JP2010174284A (ja) * 2009-01-28 2010-08-12 Jfe Steel Corp 耐磨耗鋼
JP2013136820A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Nisshin Steel Co Ltd 疲労特性に優れる耐摩耗性鋼材およびその製造方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06287699A (ja) * 1993-03-30 1994-10-11 Kawasaki Steel Corp 繰り返し応力負荷によるミクロ組織変化の遅延特性に優れた軸受鋼
JP2000345297A (ja) * 1999-06-02 2000-12-12 Nkk Corp 耐摩耗性と延性に優れたパーライト鋼レール
US6375763B1 (en) * 1999-06-02 2002-04-23 Nkk Corporation Pearlitic steel railroad rail
JP2001220650A (ja) * 1999-11-30 2001-08-14 Sumitomo Electric Ind Ltd 鋼線、ばね及びそれらの製造方法
JP2002088449A (ja) * 2000-09-18 2002-03-27 Nkk Corp パーライト系レール
JP2002363701A (ja) * 2001-06-12 2002-12-18 Nkk Corp パーライト系レール
JP2003293086A (ja) * 2002-04-05 2003-10-15 Nippon Steel Corp 耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レール
US20040187981A1 (en) * 2002-04-05 2004-09-30 Masaharu Ueda Pealite base rail excellent in wear resistance and ductility and method for production thereof
JP2010174284A (ja) * 2009-01-28 2010-08-12 Jfe Steel Corp 耐磨耗鋼
JP2013136820A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Nisshin Steel Co Ltd 疲労特性に優れる耐摩耗性鋼材およびその製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107675080B (zh) * 2017-10-10 2019-05-10 攀钢集团研究院有限公司 抗接触疲劳珠光体钢轨及其制造方法
CN107675080A (zh) * 2017-10-10 2018-02-09 攀钢集团研究院有限公司 抗接触疲劳珠光体钢轨及其制造方法
CN107988554A (zh) * 2017-11-28 2018-05-04 宁波市鸿博机械制造有限公司 一种液压泵花键轴
US11492689B2 (en) 2018-03-30 2022-11-08 Jfe Steel Corporation Rail and method for manufacturing same
WO2019189688A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 Jfeスチール株式会社 レールおよびその製造方法
JPWO2019189688A1 (ja) * 2018-03-30 2020-04-30 Jfeスチール株式会社 レールおよびその製造方法
US11566307B2 (en) * 2018-03-30 2023-01-31 Jfe Steel Corporation Rail
CN111989416A (zh) * 2018-03-30 2020-11-24 杰富意钢铁株式会社 导轨
US11530471B2 (en) 2018-03-30 2022-12-20 Jfe Steel Corporation Rail and method for manufacturing same
JPWO2020189232A1 (ja) * 2019-03-15 2021-12-09 日本製鉄株式会社 レール
JP7136324B2 (ja) 2019-03-15 2022-09-13 日本製鉄株式会社 レール
CN110195189A (zh) * 2019-06-28 2019-09-03 徐州昊隆工具有限公司 一种高硬度的汽车五金件制造方法
CN111334718A (zh) * 2020-03-23 2020-06-26 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种欧洲标准R260Mn钢轨及其生产方法
JPWO2022209293A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06
JP7405250B2 (ja) 2021-03-31 2023-12-26 Jfeスチール株式会社 レールの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6459623B2 (ja) 2019-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6459623B2 (ja) パーライト鋼レール
JP4938158B2 (ja) 鋼レールおよびその製造方法
JP4824141B2 (ja) 耐摩耗性および靭性に優れたパーライト系レール
JP5652555B2 (ja) 軸受鋼とその製造方法
US10844453B2 (en) High-strength seamless steel pipe for oil country tubular goods and method of producing the same
US10876182B2 (en) High-strength seamless steel pipe for oil country tubular goods and method of producing the same
JP4635115B1 (ja) 延性に優れたパーライト系高炭素鋼レール及びその製造方法
KR101632159B1 (ko) 극저온 인성이 우수한 후강판
CN104508166A (zh) 耐磨钢板及其制造方法
AU2016210107A1 (en) Rail
CA2973858C (en) Rail
JPWO2013161794A1 (ja) レール
JP5867262B2 (ja) 耐遅れ破壊特性に優れたレール
JP5391711B2 (ja) 高炭素パーライト系レールの熱処理方法
AU2017274993A1 (en) Duplex stainless steel and duplex stainless steel manufacturing method
JP5267306B2 (ja) 高炭素鋼レールの製造方法
JP6683414B2 (ja) 延性に優れたパーライト系高炭素鋼レール及びその製造方法
KR20180074229A (ko) 저온에서의 파괴 개시 및 전파 저항성이 우수한 고강도 강재 및 그 제조방법
KR20180074228A (ko) 저온에서의 파괴 개시 및 전파 저항성이 우수한 고강도 강재 및 그 제조방법
KR102309124B1 (ko) 저온용 니켈 함유 강
KR20130116202A (ko) 극저온 인성이 우수한 후강판
JP6455128B2 (ja) パーライトレール及びその製造方法
JP5053187B2 (ja) 延性に優れたパーライト系高炭素鋼レール
JP6652005B2 (ja) ベイナイト鋼レール
JP6488757B2 (ja) ベイナイト鋼レール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171005

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181217

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6459623

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees