JP2016153350A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる熱可塑性樹脂を併用しても、透明性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供する。【解決手段】透過型電子顕微鏡で観察したときに、海状の暗部と、複数の島状の明部とを有する海島状態が観察され、前記暗部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、かつ前記明部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、前記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、前記明部の長径の中央値が400nm以下である合わせガラス用中間膜1。【選択図】図1
Description
本発明は、合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
上記合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部を超える可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として用いられ得る。
さらに、下記の特許文献1には、上記遮音層と他の層とが積層された多層中間膜も記載されている。遮音層に積層される他の層は、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部以下の可塑剤とを含む。
近年、環境負荷の低減のために、特許文献1に記載のような合わせガラス用中間膜を、新たな合わせガラス用中間膜の原料の一部として、再利用することが検討されている。しかしながら、合わせガラス用中間膜を、新たな合わせガラス用中間膜の原料の一部として再利用すると、ポリビニルアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂の存在状態に起因して、合わせガラス用中間膜の透明性が低くなることがある。
本発明の目的は、透明性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することであり、更に具体的な本発明の目的は、異なる熱可塑性樹脂を併用しても、透明性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、透過型電子顕微鏡で観察したときに、海状の暗部と、複数の島状の明部とを有する海島状態が観察され、前記暗部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、かつ前記明部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、前記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、前記明部の長径の中央値が400nm以下である、合わせガラス用中間膜が提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記明部の長径の算術平均値が50nm以上、400nm以下であるか、又は、前記明部の長径の中央値が50nm以上、400nm以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記暗部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂と、前記明部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂とが異なる。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記暗部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であり、前記明部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも高い。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が25モル%以上である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低い。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が25モル%未満である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記暗部の領域の面積と前記明部の領域の面積との全体に占める前記明部の領域の面積が7.8%以下であり、他の特定の局面では、前記暗部の領域の面積と前記明部の領域の面積との全体に占める前記明部の領域の面積が0.5%以上、7.8%以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記合わせガラス用中間膜は、可塑剤を含む。
前記明部の長径の算術平均値が50nm以上、400nm以下であることが好ましい。前記明部の長径の中央値が50nm以上、400nm以下であることも好ましい。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、透過型電子顕微鏡で観察したときに、海状の暗部と、複数の島状の明部とを有する海島状態が観察され、上記暗部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、かつ上記明部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、上記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、上記明部の長径の中央値が400nm以下であるので、透明性を高めることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、中間膜と略記することがある)は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含み、好ましくは少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る中間膜では、透過型電子顕微鏡で観察したときに、海状の暗部と、複数の島状の明部とを有する海島状態が観察される。上記暗部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれている。上記明部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれている。本発明に係る中間膜では、上記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、上記明部の長径の中央値が400nm以下である。
本発明に係る中間膜では、上述した構成が備えられているため、特に上記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、上記明部の長径の中央値が400nm以下であるため、本発明に係る中間膜では、透明性を高めることができる。特定の大きさの上記島状の明部は、透明性を高く維持することに大きく寄与する。
上記透過型電子顕微鏡での観察は、例えば倍率3000倍で7.29μm×7.29μm(正方形)の領域を観察することで行われる。上記透過型電子顕微鏡で観察された画像について、Photoshop CS4 ver.11.0(Adobe社製)を用いて、閾値170で、2値化処理を行う。2値化処理後に、明部の領域の画素数(ピクセル数)を求める。ピクセル数により、明部の長径の算術平均値、明部の長径の中央値、及び明部の面積率を求める。なお、2値化処理する際に、Photoshopを起動し、「イメージ」、「色調補正」、及び、「2階調化」をこの準に選択し、閾値を決定することが好ましい。
測定サンプルは、以下のようにして得られる。中間膜をオスミウム染色した後に、中間膜の厚み方向における中央部分を、厚み方向とは垂直方向に、クライオミクロトーム(LEICA社製:UC7)で厚み70nmの切片を得るように切り出したものを測定サンプルとする。具体的には、中間膜をトリミングした小片を2%オスミウム酸水溶液で、60℃で12時間染色した後に洗浄し、中間膜の厚み方向における中央部分を、厚み方向とは垂直方向に、クライオミクロトーム(LEICA社製、本体:UCT、クライオチャンバー:EMFCS)により、小片温度−20℃で厚み70nmの切片を切り出し、支持膜を張ったシートメッシュ上に載せ、測定サンプルとした。
透明性をより一層良好にする観点からは、上記明部の長径の算術平均値は好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上、特に好ましくは100nm以上、400nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは280nm以下、更に好ましくは250nm以下、特に好ましくは240nm以下である。
透明性をより一層良好にする観点からは、上記明部の長径の中央値は好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上、特に好ましくは100nm以上、400nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは280nm以下、更に好ましくは250nm以下、特に好ましくは240nm以下である。
上記暗部の領域の面積と上記明部の領域の面積との全体に占める上記明部の領域の面積(明部の領域の面積率)は好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.75%以上、特に好ましくは1%以上である。透明性を効果的に良好にする観点からは、上記暗部の領域の面積と上記明部の領域の面積との全体に占める上記明部の領域の面積は好ましくは7.8%以下、より好ましくは6.6%以下、更に好ましくは4%以下、特に好ましくは3%以下、最も好ましくは2.5%以下である。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であり、透明性を効果的に良好にすることができるので、本発明に係る中間膜は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とするために、少なくとも2種の熱可塑性樹脂の種類を選択することが好ましい。また、熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合に、ポリビニルアセタール樹脂の合成条件を制御することでも、上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることができる。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であり、透明性を効果的に良好にすることができるので、上記暗部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂と、上記明部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂とが異なることが好ましい。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であり、透明性を効果的に良好にすることができるので、上記暗部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂が水酸基を有し、上記明部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂が水酸基を有し、上記暗部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂の水酸基の含有率と、上記明部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂の水酸基の含有率とが異なることが好ましい。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であり、透明性を効果的に良好にすることができるので、上記暗部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましく、上記明部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であり、透明性を効果的に良好にすることができるので、上記暗部の領域に含まれる上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率と、上記明部の領域に含まれる上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率とが異なることが好ましい。なお、上記暗部の領域に含まれる上記熱可塑性樹脂と上記明部に含まれる上記熱可塑性樹脂との双方が、ポリビニルアセタール樹脂である必要は必ずしもない。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とするために、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を用いる場合に、1)第1の熱可塑性樹脂を含む第1の中間膜と、第2の熱可塑性樹脂を含む第2の中間膜を用いてもよく、2)第1の熱可塑性樹脂を含む中間膜と、新たな原料として第2の熱可塑性樹脂とを用いてもよく、3)新たな原料として第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂を用いてもよい。熱可塑性樹脂を含む中間膜は、中間膜の製造工程で発生する中間膜の両端の不要部分(耳)、合わせガラスの製造工程で発生する中間膜の周囲の不要部分(トリム)、合わせガラスの製造工程にて発生した合わせガラスの不良品からガラス板を分離し、除去して得られる合わせガラス用中間膜、並びに使用済の車両及び老朽化した建築物を解体することで得られた合わせガラスから、ガラス板を分離し、除去して得られる合わせガラス用中間膜等が挙げられる。環境負荷を低減するために、異なる熱可塑性樹脂を含む中間膜を原料の一部として再利用する取り組みとして、例えば、熱可塑性樹脂を含む層Xと、層Xに含まれる熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を含む層Yとが積層された多層中間膜を原料の一部として再利用する取り組みは、十分に検討されていない。上記多層中間膜を原料の一部として使用することで、環境負荷を低減できるだけでなく、本発明に係る中間膜の透明性が高くなる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を含む多層の中間膜を模式的に部分切欠断面図で示す。
図1に示す中間膜1は、2層以上の構造(積層構造)を有する多層の中間膜である。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、第1の層2と、第1の層2の第1の表面2a側に配置された第2の層3と、第1の層2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b側に配置された第3の層4とを備える。第2の層3は、第1の層2の第1の表面2aに積層されている。第3の層4は、第1の層2の第2の表面2bに積層されている。第1の層2は、中間層である。第2の層3及び第3の層4は、例えば、保護層であり、本実施形態では表面層である。第1の層2は、第2の層3と第3の層4との間に配置されており、挟み込まれている。従って、中間膜1は、第2の層3と第1の層2と第3の層4とがこの順で積層された多層構造を有する。
第2の層3の第1の層2側とは反対側の表面3aは、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。第3の層4の第1の層2側とは反対側の表面4aは、合わせガラス部材が積層される表面であることが好ましい。
なお、第1の層2と第2の層3との間、及び、第1の層2と第3の層4との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。第1の層2と第2の層3、及び、第1の層2と第3の層4とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。他の層として、ポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を含む層、及びポリエチレンテレフタレート等を含む層が挙げられる。
中間膜を用いた合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、第1の層2は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましく、第2の層3は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましく、第3の層4は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましい。
図1に示す多層の中間膜1では、第1の層2、第2の層3及び第3の層4の内の少なくとも1層が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)である。第1の層2が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)であってもよく、第2の層3が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)であってもよく、第3の層4が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)であってもよい。3層構造の多層の中間膜である場合に、表面層が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)であることが好ましい。この場合に、一方の表面層のみが、本発明に係る中間膜に相当する中間膜であってもよく、両方の表面層が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜であってもよく、両方の表面層が、本発明に係る中間膜に相当する中間膜であることが好ましい。本発明に係る中間膜を表面層(中間膜)として用いても、接着性を良好にすることができる。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に部分切欠断面図で示す。
図2に示す中間膜31は、1層の構造を有する単層の中間膜である。中間膜31は、第1の層である。中間膜31は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜31は、合わせガラス用中間膜である。中間膜31は、本発明に係る中間膜に相当する中間膜(海島状態にある)である。
本発明に係る中間膜は、1)中間膜31のように単層の中間膜として、合わせガラスを得るために用いられてもよく、2)中間膜1のように、他の中間膜とともに多層の中間膜として、合わせガラスを得るために用いられてもよい。
中間膜1では、第1の層2の両面に第2の層3と第3の層4とが1層ずつ積層されている。多層の中間膜では、上記第1の層の上記第1の表面側に上記第2の層が配置されていればよい。上記第1の層の上記第1の表面側に上記第2の層が配置されており、かつ上記第1の層の上記第2の表面側に上記第3の層が配置されていなくてもよい。但し、上記第1の層の上記第1の表面側に上記第2の層が配置されており、かつ上記第1の層の上記第2の表面側に上記第3の層が配置されていることが好ましい。上記第1の層の上記第2の表面側に上記第3の層が配置されていることにより、中間膜の取扱い性、並びに合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。さらに、中間膜の両側の表面で、合わせガラス部材などに対する接着性を調整することができる。なお、上記第3の層が存在しない場合には、中間膜の上記第2の層の外側の表面の合わせガラス部材に対する接着性を調整することができる。
以下、本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれる各成分の詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂)
上記中間膜は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記中間膜は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記海状の暗部の領域に含まれている熱可塑性樹脂を、第1の熱可塑性樹脂とする。上記島状の明部の領域に含まれている熱可塑性樹脂を、第2の熱可塑性樹脂とする。透明性をより一層効果的に良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率は、上記第2の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率よりも高いことが好ましい。すなわち、上記明部の領域に含まれる上記第2の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率が、上記暗部の領域に含まれている上記第1の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。透明性をより一層効果的に良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率と、上記第2の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、更に好ましくは4モル%以上、特に好ましくは6モル%以上である。上記第1の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率と、上記第2の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは15モル%以下、より好ましくは12モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、特に好ましくは8.5モル%以下である。透明性をより一層効果的に良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率と、上記第2の熱可塑性樹脂の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは8モル%以下、より好ましくは7.5モル%以下、更に好ましくは7モル%以下、特に好ましくは6.5モル%以下である。
上記の特定の暗部及び明部を有する海島状態とすることが容易であるため、上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、好ましくは3000以下、より好ましくは2700以下、更に好ましくは2400以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、1500以上、3000以下であることが特に好ましい。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3〜5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記海状の暗部の領域に含まれている熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合に、上記海状の暗部の領域に含まれているポリビニルアセタール樹脂を、ポリビニルアセタール樹脂(1)とする。上記島状の明部の領域に含まれている熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合に、上記島状の明部の領域に含まれている熱可塑性樹脂に含まれているポリビニルアセタール樹脂を、ポリビニルアセタール樹脂(2)とする。ポリビニルアセタール樹脂(1)は、上記暗部の領域に含まれている熱可塑性樹脂のうち、最も含有量が多い熱可塑性樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂(2)は、上記明部の領域に含まれている熱可塑性樹脂のうち、最も含有量が多い熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは28モル%以上、特に好ましくは29モル%以上、好ましくは37モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは32モル%以下、特に好ましくは31モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力が適度に高くなり、かつ、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは22モル%以上、最も好ましくは24モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは25モル%未満、最も好ましくは24.5モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力が適度に高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
接着性及び透明性をより一層効果的に良好にする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも高いことが好ましい。接着性及び透明性をより一層効果的に良好にする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは8.5モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.8モル%以上、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1.5モル%以下、更に好ましくは1モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜の機械的強度がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)のアセチル化度は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは5モル%を超え、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは13モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上、特に好ましくは67モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは73モル%以下、更に好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは58モル%以上、更に好ましくは62モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは80モル%以下、特に好ましくは66モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、算出され得る。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなることから、上記明部の領域に含まれる上記ポリビニルアセタール樹脂(2)は、アセチル化度(2a)が8モル%以下であり、かつアセタール化度(2a)が70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(2A)であるか、又はアセチル化度(2b)が8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂(2B)であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(2)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2A)であってもよく、上記ポリビニルアセタール樹脂(2B)であってもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2A)のアセチル化度(2a)は8モル%以下、好ましくは7.5モル%以下、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは6.5モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、特に好ましくは1モル%以上である。上記アセチル化度(2a)が上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2A)のアセタール化度(2a)は70モル%以上、好ましくは70.5モル%以上、より好ましくは71モル%以上、更に好ましくは71.5モル%以上、特に好ましくは72モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは81モル%以下、特に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度(2a)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(2a)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(2A)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2A)の水酸基の含有率(2a)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、最も好ましくは25モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(2a)が上記下限以上であると、上記中間膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(2a)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2B)のアセチル化度(2b)は、8モル%を超え、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9.5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下、最も好ましくは22モル%以下である。上記アセチル化度(2b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセチル化度(2b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(2B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2B)のアセタール化度(2b)は好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下、特に好ましくは74モル%以下、最も好ましくは68モル%以下である。上記アセタール化度(2b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(2b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(2B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2B)の水酸基の含有率(2b)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下、最も好ましくは25モル%未満である。上記水酸基の含有率(2b)が上記下限以上であると、上記中間膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(2b)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2A)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(2B)はそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
中間膜が水酸基の含有率が異なる少なくとも2種のポリビニルアセタール樹脂を含む場合に、中間膜に含まれるポリビニルアセタール樹脂100重量%中、水酸基の含有率が25モル%未満であるポリビニルアセタール樹脂の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは0.8重量%以上、好ましくは5.5重量%、より好ましくは4.5重量%以下、更に好ましくは2.2重量%以下である。
(可塑剤)
上記中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。上記暗部の領域は、可塑剤を含むことが好ましい。上記明部の領域は、可塑剤を含むことが好ましい。上記暗部の領域に含まれる可塑剤と上記明部の領域に含まれる可塑剤とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。上記暗部の領域は、可塑剤を含むことが好ましい。上記明部の領域は、可塑剤を含むことが好ましい。上記暗部の領域に含まれる可塑剤と上記明部の領域に含まれる可塑剤とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
上記中間膜に含まれている熱可塑性樹脂100重量に対して、上記中間膜に含まれている可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは35重量部以上、更に好ましくは39重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは42重量部以下である。
上記暗部の領域に含まれる可塑剤を、可塑剤(1)とする。上記暗部の領域において、第1の熱可塑性樹脂100重量部又はポリビニルアセタール樹脂(1)100重量部に対する可塑剤(1)の含有量を、含有量(1)とする。上記明部の領域に含まれる可塑剤を、可塑剤(2)とする。上記明部の領域に含まれる第2の熱可塑性樹脂100重量部又はポリビニルアセタール樹脂(2)100重量部に対する可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。
上記第1の熱可塑性樹脂100重量部又は上記ポリビニルアセタール樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量(1)は好ましくは25重量部以上、より好ましくは35重量部以上、更に好ましくは39重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは42重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなり、かつ合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
上記第2の熱可塑性樹脂100重量部又は上記ポリビニルアセタール樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量(2)は、好ましくは35重量部以上、更に好ましくは40重量部以上、より好ましくは60重量部以上、好ましくは90重量部以下、より好ましくは80重量部以下、更に好ましくは72重量部以下である。上記含有量(2)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(2)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
合わせガラスの耐貫通性を高める観点からは、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも少ないことが好ましい。
合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、上記含有量(1)と上記含有量(2)との差の絶対値は、好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上、更に好ましくは8重量部以上である。上記含有量(1)と上記含有量(2)との差の絶対値、は、好ましくは22重量部以下である。
(他の成分)
上記中間膜は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記中間膜は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
合わせガラス構成部材との接着力を調整できることから、上記中間膜は上記接着力調整剤として、有機酸又は無機酸の金属塩を含むことが好ましい。有機酸又は無機酸の金属塩として、分岐構造を有する有機酸のマグネシウム塩Pや、有機酸のマグネシウム塩P以外であり、かつ炭素数が2〜8である有機酸の金属塩Q等を含むことが好ましい。
分岐構造を有する有機酸のマグネシウム塩Pとして、上記分岐構造を有する有機酸は特に限定されないが、分岐構造を有するカルボン酸であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機酸又は分岐構造を有するカルボン酸の炭素数の好ましい下限は5、好ましい上限は12、より好ましい上限は10、更に好ましい上限は8である。上記炭素数が上記下限以上であると、中間膜及び合わせガラスの耐候性がより一層高くなる。また、上記炭素数が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。分岐構造を有する有機酸のマグネシウム塩Pは、分岐構造を有し、かつ炭素数が6〜12である有機酸のマグネシウム塩であることが好ましい。
上記分岐構造を有する有機酸又は分岐構造を有するカルボン酸は特に限定されないが、例えば、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、2−エチルペンタン酸及び2−エチルヘキサン酸等が挙げられ、これらのマグネシウム塩が好適に用いられる。従って、上記分岐構造を有する有機酸のマグネシウム塩は、ビス(2−メチル酪酸)マグネシウム、ビス(2−エチル酪酸)マグネシウム、ビス(2−メチルペンタン酸)マグネシウム、ビス(2−エチルペンタン酸)マグネシウム又はビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウムであることが好ましい。なかでも、高い可視光線透過率を長期間に渡り維持できることから、ビス(2−エチル酪酸)マグネシウム、ビス(2−メチルペンタン酸)マグネシウム、又はビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウムがより好ましく、ビス(2−エチル酪酸)マグネシウム又はビス(2−メチルペンタン酸)マグネシウムが更に好ましく、ビス(2−エチル酪酸)マグネシウムが特に好ましい。
上記中間膜において、上記有機酸のマグネシウム塩Pの含有量は、マグネシウムの含有量(マグネシウム濃度、有機酸のマグネシウム塩Pに由来するマグネシウム濃度)として、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。
上記中間膜は、分岐構造を有する有機酸のマグネシウム塩P以外であり、かつ炭素数が2〜8である有機酸の金属塩Qを含むことが好ましい。有機酸の金属塩Qは特に限定されないが、カルボン酸の金属塩であることが好ましく、カルボン酸のマグネシウム塩又はカルボン酸のカリウム塩であることが好ましい。上記カルボン酸のマグネシウム塩として、例えば、ビス(酢酸)マグネシウム、ビス(プロピオン酸)マグネシウム、ビス(酪酸)マグネシウム、ビス(ペンタン酸)マグネシウム、ビス(ヘキサン酸)マグネシウム、ビス(ヘプタン酸)マグネシウム、ビス(オクタン酸)マグネシウム、ビス(4−メチル吉草酸)マグネシウム、ビス(3−メチルカプロン酸)マグネシウム、ビス(5−メチルカプロン酸)マグネシウム及びビス(カプロン酸)マグネシウム等が挙げられ、これらが好適に用いられる。上記カルボン酸のカリウム塩として、例えば、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム及びオクタン酸カリウム等が挙げられ、これらが好適に用いられる。
有機酸の金属塩Qにおける炭素数が2〜8である有機酸は、直鎖構造を有することが好ましい。上記炭素数が2〜8である有機酸が直鎖構造を有することにより、耐候性に優れるだけでなく、接着力をより一層容易に調整できる中間膜を得ることができる。
上記炭素数が2〜8である有機酸の炭素数は特に限定されない。中間膜の接着力をより一層容易に調整できることから、有機酸の金属塩Qにおける上記炭素数が2〜8である有機酸は、有機酸のマグネシウム塩Pにおける上記分岐構造を有する有機酸の炭素数よりも少ないことが好ましく、炭素数が2〜6である有機酸であることがより好ましく、炭素数2〜5である有機酸であることが更に好ましい。上記炭素数が2〜6である有機酸又は上記炭素数が2〜5である有機酸が直鎖構造を有する場合は、中間膜の接着力を更に一層容易に調整することができる。上記炭素数が2〜6である有機酸又は上記炭素数が2〜5である有機酸が分岐構造を有する場合は、中間膜の耐候性を更により一層高くすることができる。
有機酸の金属塩Qにおける炭素数が2〜8である有機酸は、分岐構造を有し、かつ炭素数が2〜6である有機酸であってもよい。
上記中間膜において、上記有機酸の金属塩Qの含有量は、金属の含有量(金属濃度、有機酸の金属塩Qに由来する金属濃度)(マグネシウム塩である場合には、マグネシウムの含有量(マグネシウム濃度、有機酸の金属塩Qに由来するマグネシウム濃度))として、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。また、第2,第3の層がそれぞれ有機酸の金属塩Qを含む場合に、第2,第3の層における有機酸の金属塩Qの含有量の好ましい下限及び上限は、第1の層における有機酸の金属塩Qの含有量の好ましい下限及び上限と同様である。有機酸の金属塩Qの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、高い可視光線透過率をより一層長期間に渡り維持できる合わせガラス用中間膜を得ることができる。
また、上記中間膜中の金属の含有量の合計は、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、更に好ましくは250ppm以下である。特に、中間膜の接着力をより一層容易に調整できることから、上記第1の層中のマグネシウムの含有量(マグネシウム濃度、全マグネシウム濃度)は好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、更に好ましくは250ppm以下である。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
本発明に係る中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
本発明に係る中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されない。本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法としては、単層の中間膜を得る場合に、樹脂組成物を押出機を用いて押出する方法が挙げられる。本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法としては、他の中間膜と積層して多層の中間膜を得る場合に、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、例えば、得られた各層を積層する方法、並びに各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
(合わせガラス)
図3に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を含む多層の中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
図3に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を含む多層の中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
図3に示す合わせガラス11は、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜1とを備える。中間膜1は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜1の第1の表面1aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜1の第1の表面1aとは反対の第2の表面1bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。中間膜1の第2の層3の外側の表面3aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜1の第3の層4の外側の表面4aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。中間膜1にかえて中間膜31を用いてもよい。
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上記第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置された中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明の合わせガラス用中間膜を含む。本発明の合わせガラス用中間膜は、単独で、上記第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置されていてもよく、他の中間膜とともに、上記第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置されていてもよい。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。上記合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれ、ガラス板又はPETフィルムであり、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方が、ガラス板であることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の材料を用いた。
(熱可塑性樹脂)
PVB(1)(n−ブチルアルデヒドを使用、PVAの平均重合度1700、水酸基の含有率30.4モル%、アセチル化度0.8モル%、アセタール化度(ブチラール化度)68.8モル%)
PVB(2)(n−ブチルアルデヒドを使用、各実施例及び比較例で用いたPVB(2)の平均重合度、水酸基の含有率、アセチル化度及びアセタール化度(ブチラール化度)は下記の表1参照)
PVB(1)(n−ブチルアルデヒドを使用、PVAの平均重合度1700、水酸基の含有率30.4モル%、アセチル化度0.8モル%、アセタール化度(ブチラール化度)68.8モル%)
PVB(2)(n−ブチルアルデヒドを使用、各実施例及び比較例で用いたPVB(2)の平均重合度、水酸基の含有率、アセチル化度及びアセタール化度(ブチラール化度)は下記の表1参照)
上記のポリビニルブチラール(PVB)樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
(可塑剤)
3GO(トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート)
3GO(トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート)
他の成分:
T−326(紫外線遮蔽剤、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
BHT(酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
T−326(紫外線遮蔽剤、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
BHT(酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
(接着力調整剤)
酢酸マグネシウム
酢酸マグネシウム
(実施例1)
中間膜の作製:
PVB(1)100重量部と、PVB(2)0.87重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを混合し、組成物を得た。なお、中間膜中のマグネシウム濃度が60ppmとなるように、酢酸マグネシウムを組成物に添加した。
中間膜の作製:
PVB(1)100重量部と、PVB(2)0.87重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを混合し、組成物を得た。なお、中間膜中のマグネシウム濃度が60ppmとなるように、酢酸マグネシウムを組成物に添加した。
得られた組成物を、押出機を用いて押出しすることにより、中間膜(厚み800μm)を得た。
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を、縦80mm×横80mmに切り出した。次に、2枚の透明なフロートガラス(縦80mm×横80mm×厚み2.5mm)の間に中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラスからはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを得た。
得られた中間膜を、縦80mm×横80mmに切り出した。次に、2枚の透明なフロートガラス(縦80mm×横80mm×厚み2.5mm)の間に中間膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラスからはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを得た。
(実施例2〜12及び比較例1)
ポリビニルアセタール樹脂の種類及び含有量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
ポリビニルアセタール樹脂の種類及び含有量を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
(評価)
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)での観察
中間膜をトリミングした小片を2%オスミウム酸水溶液で、60℃で12時間染色した後に洗浄し、中間膜の厚み方向における中央部分を、厚み方向とは垂直方向に、クライオミクロトーム(LEICA社製、本体:UCT、クライオチャンバー:EMFCS)により、小片温度−20℃で厚み70nmの切片を切り出し、支持膜を張ったシートメッシュ上に載せ、測定サンプルとした。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)での観察
中間膜をトリミングした小片を2%オスミウム酸水溶液で、60℃で12時間染色した後に洗浄し、中間膜の厚み方向における中央部分を、厚み方向とは垂直方向に、クライオミクロトーム(LEICA社製、本体:UCT、クライオチャンバー:EMFCS)により、小片温度−20℃で厚み70nmの切片を切り出し、支持膜を張ったシートメッシュ上に載せ、測定サンプルとした。
得られた測定サンプルについて、透過型電子顕微鏡(JEOL社製「JEM−2100」)を用いて、倍率3000倍で7.29μm×7.29μm(正方形)の領域を観察した。上記透過型電子顕微鏡で観察された画像について、Photoshop CS4 ver.11.0(Adobe社製)を用いて、閾値170で、2値化処理を行った。2値化処理後に、明部の領域の画素数(ピクセル数)を求める。ピクセル数により明部の長径の算術平均値、明部の長径の中央値、及び明部の面積率を求めた。
海島状態であるか否かを下記の基準で判定した。さらに暗部の領域の面積と明部の領域の面積との全体に占める明部の領域の面積率を評価した。また、明部の長径の算術平均値と、明部の長径の中央値とを求めた。なお、明部の長径の算術平均値とは、観察された領域に確認されたすべての明部の長径の平均値を意味し、明部の長径の中央値とは、観察された領域に確認されたすべての明部の長径を小さい順に並べたときの中央値を意味する。なお、暗部の領域には、相対的に水酸基の含有率が高い熱可塑性樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)が含まれることから、PVB(1)が含まれ、明部の領域には、相対的に水酸基の含有率が低い熱可塑性樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)が含まれることから、PVB(2)が含まれていた。
[海島状態]
A:海島状態である
B:海島状態ではない
A:海島状態である
B:海島状態ではない
(2)透明性
得られた合わせガラスについて、変角光度計(Murakami color research Lab社製「GONIOPHOTOMETER GP−200」)を用いて、Detector角度30°、High Volt 900、Sensitivity 900の条件で、散乱値を測定した。散乱値が低いほど、くもりの程度が少なく、透明性に優れていることを示す。なお、散乱値は110以下であることが好ましく、90以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましい。
得られた合わせガラスについて、変角光度計(Murakami color research Lab社製「GONIOPHOTOMETER GP−200」)を用いて、Detector角度30°、High Volt 900、Sensitivity 900の条件で、散乱値を測定した。散乱値が低いほど、くもりの程度が少なく、透明性に優れていることを示す。なお、散乱値は110以下であることが好ましく、90以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましい。
詳細及び結果を下記の表1に示す。
なお、図4に、本発明に係る中間膜に含まれる中間膜について、透過型電子顕微鏡で観察した画像の一例を示した。
1…中間膜(多層の中間膜)
1a…第1の表面
1b…第2の表面
2…第1の層(中間膜)
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…第2の層(中間膜)
3a…外側の表面
4…第3の層(中間膜)
4a…外側の表面
11…合わせガラス
21…第1の合わせガラス部材
22…第2の合わせガラス部材
31…中間膜(単層の中間膜)
1a…第1の表面
1b…第2の表面
2…第1の層(中間膜)
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…第2の層(中間膜)
3a…外側の表面
4…第3の層(中間膜)
4a…外側の表面
11…合わせガラス
21…第1の合わせガラス部材
22…第2の合わせガラス部材
31…中間膜(単層の中間膜)
Claims (14)
- 透過型電子顕微鏡で観察したときに、海状の暗部と、複数の島状の明部とを有する海島状態が観察され、
前記暗部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、かつ前記明部の領域に、熱可塑性樹脂が含まれており、
前記明部の長径の算術平均値が400nm以下であるか、又は、前記明部の長径の中央値が400nm以下である、合わせガラス用中間膜。 - 前記明部の長径の算術平均値が50nm以上、400nm以下であるか、又は、前記明部の長径の中央値が50nm以上、400nm以下である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記暗部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂と、前記明部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂とが異なる、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記暗部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であり、
前記明部の領域に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。 - 前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも高い、請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が25モル%以上である、請求項4又は5に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が、前記暗部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率よりも低い、請求項4〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記明部の領域に含まれる前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が25モル%未満である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記暗部の領域の面積と前記明部の領域の面積との全体に占める前記明部の領域の面積が7.8%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記暗部の領域の面積と前記明部の領域の面積との全体に占める前記明部の領域の面積が0.5%以上、7.8%以下である、請求項9に記載の合わせガラス用中間膜。
- 可塑剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記明部の長径の算術平均値が50nm以上、400nm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記明部の長径の中央値が50nm以上、400nm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
- 第1の合わせガラス部材と、
第2の合わせガラス部材と、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記中間膜が配置されている、合わせガラス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015032037A JP2016153350A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016153350A (ja) |
-
2015
- 2015-02-20 JP JP2015032037A patent/JP2016153350A/ja active Pending
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