JP2017071530A - 合わせガラス用中間膜、合わせガラス用中間膜の製造方法及び合わせガラス - Google Patents

合わせガラス用中間膜、合わせガラス用中間膜の製造方法及び合わせガラス Download PDF

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宏平 山口
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康之 伊豆
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Abstract

【課題】合わせガラスにおいて、中間膜と合わせガラス部材との接着力を効果的に良好にし、中間膜の耐湿性を高くすることができる合わせガラス用中間膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る合わせガラス用中間膜は、1層の構造又は2層以上の構造を有し、中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む第1の層を備え、前記第1の層中の前記カリウム元素の含有量は前記第1の層中の前記マグネシウム元素の含有量よりも多く、前記第1の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜及び合わせガラス用中間膜の製造方法に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、一般に、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、2つのガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
上記合わせガラス用中間膜としては、1層の構造を有する単層の中間膜と、2層以上の構造を有する多層の中間膜とがある。
上記合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部を超える可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として用いられ得る。
さらに、下記の特許文献1には、上記遮音層と他の層とが積層された多層の中間膜も記載されている。遮音層に積層される他の層は、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部以下である可塑剤とを含む。
特許文献1では、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、K、Na及びMgの塩が挙げられている。
また、下記の特許文献1には、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤と、カルボン酸の金属塩と、有機酸とを含有する樹脂組成物より形成されている中間膜が開示されている。
特許文献2では、カルボン酸の金属塩として、Mg、Ca及びZnの塩が挙げられている。
特開2007−070200号公報 特開平5−186250号公報
合わせガラスにおいて、中間膜とガラス板との接着力が低すぎると、合わせガラスが外部衝撃を受けて破損しやすくなり、ガラスの破片が飛散しやすくなる。中間膜とガラス板との接着力が高すぎると、中間膜とガラス板とが同時に割れやすくなる。従って、合わせガラスの安全性を高めるためには、中間膜とガラス板との接着力をある範囲に調整する必要がある。自動車に用いられる合わせガラスでは、中間膜とガラス板との接着力をある範囲に調整することは、自動車事故等の際に、乗員及び物品が合わせガラスに衝突する時の衝撃を吸収したり、乗員及び物品が合わせガラスを貫通するのを防いだりすることに大きな役割を果たす。また、建築物に用いられる合わせガラスでは、中間膜とガラス板との接着力をある範囲に調整することは、外部からの飛来物によって合わせガラスが破損してもガラスの破片を飛散し難くしたり、外部からの飛来物が、合わせガラスを貫通するのを防いだりすることに大きな役割を果たす。
中間膜とガラス板との接着力を調整するために、特許文献1,2では、接着力調整剤が用いられている。
従来の接着力調整剤を用いて合わせガラスを作製したとしても、中間膜とガラス板との接着力を良好に制御することが困難なことがある。例えば、接着力調整剤の主成分としてカリウム塩を用いる場合、中間膜とガラス板との接着力を制御するために、大量のカリウム塩を用いる必要がある。しかしながら、大量のカリウム塩を用いると、中間膜の耐湿性が低下してしまうという問題がある。一方で、カリウム塩の含有量を低くし、かつ接着力調整剤の第2成分としてマグネシウム塩を用いたとしても、中間膜とガラス板との接着力を制御できなかったり、中間膜の耐湿性が低下したりするという問題がある。
本発明の目的は、合わせガラスにおいて、中間膜と合わせガラス部材との接着力を効果的に良好にし、かつ中間膜の耐湿性を高くすることができる合わせガラス用中間膜及び合わせガラス用中間膜の製造方法を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、1層の構造又は2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む第1の層を備え、前記第1の層中の前記カリウム元素の含有量は前記第1の層中の前記マグネシウム元素の含有量よりも多く、前記第1の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層である、合わせガラス用中間膜が提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記カリウム元素の含有量が20ppm以上、200ppm以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記マグネシウム元素の含有量が5ppm以上、100ppm以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の添加に由来して、前記第1の層が、前記マグネシウム元素及び前記カリウム元素を含む。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、酢酸マグネシウム又は2−エチル酪酸マグネシウムの添加に由来して、前記第1の層が、前記マグネシウム元素を含む。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層を備え、前記第1の層の第1の表面側に、前記第2の層が配置されている。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第2の層が、マグネシウム元素及びカリウム元素を含み、前記第2の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第2の層である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記合わせガラス用中間膜は、3層以上の構造を有し、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、前記第1の層と前記第2の層との間に、前記第3の層が配置されている。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記合わせガラス用中間膜は、1層の構造を有し、前記第1の層のみを備える。
前記第1の層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。前記第2の層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。前記第3の層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
本発明の広い局面によれば、上述した合わせガラス用中間膜の製造方法であって、ベント式押出機を用いて、真空ベントのゲージ圧が500mmHg以上である条件で押出成形することにより、前記第1の層を得る工程を備える、合わせガラス用中間膜の製造方法が提供される。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、1層の構造又は2層以上の構造を有し、中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む第1の層を備え、上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量は上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量よりも多く、上記第1の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層であるので、本発明に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスにおいて、中間膜と合わせガラス部材との接着力を効果的に良好にし、中間膜の耐湿性を高くすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。 図3は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。 図4は、図2に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)は、1層の構造又は2層以上の構造を有する。本発明に係る中間膜は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。本発明に係る中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含有する第1の層を備える。本発明に係る中間膜は、第1の層のみを備える単層の中間膜であってもよく、第1の層と他の層とを備える多層の中間膜であってもよい。本発明に係る中間膜は、中間膜における表面層として、上記第1の層を備える。
本発明に係る中間膜では、上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量は、上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量よりも多い。本発明に係る中間膜では、上記第1の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層である。
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、本発明に係る中間膜を用いた合わせガラスにおいて、中間膜と合わせガラス部材との接着力を効果的に良好にし、更に中間膜の耐湿性を高くすることができる。中間膜と合わせガラス部材との接着力を良好にすることができる結果として、合わせガラスの耐貫通性を高めることができる。合わせガラスの耐貫通性を効果的に高めるためには、第1の層にマグネシウム元素とカリウム元素とを含ませることに加えて、特定の成分を含む第1の層における接触角が上記の範囲を満足するようにすればよいことが、本発明者らにより見出された。
さらに、本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、特に上記第1の層がマグネシウム元素とカリウム元素と含み、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層であるので、浸漬ヘイズの値を小さくすることもできる。浸漬ヘイズの値が小さいと、耐湿性が高くなる。本発明者らによって、特定の成分を含む第1の層の水を用いて液滴法で測定した接触角が、浸漬ヘイズの値と関連することが見出された。中間膜の耐湿性を高くすることができる結果として、合わせガラスの耐湿性を高くすることができる。合わせガラスの耐湿性が高くなると、合わせガラスの端部に水が接触しても、合わせガラスの可視光線透過率を高い状態で維持できる。
中間膜と合わせガラス部材との接着力をより一層効果的に良好にする観点からは、中間膜、第1の層及び第2の層のそれぞれにおいて、水を用いて液滴法で測定した接触角は好ましくは73°を超え、より好ましくは73.5°以上、更に好ましくは74°以上、特に好ましくは74.2°以上である。中間膜、第1の層及び第2の層のそれぞれにおいて、水を用いて液滴法で測定した接触角の上限は特に限定されないが、上記接触角は、好ましくは90°以下、より好ましくは85°以下、更に好ましくは82°以下、特に好ましくは80°以下、最も好ましくは79°以下である。
上記接触角は、表面層における外表面にて測定される。測定装置として、協和界面科学社製「DropMaster500」を用いることができる。また、上記接触角は、具体的には、以下のようにして測定される。
(測定環境)温度23℃、相対湿度50%
(測定方法)水を注射器に採取し、針先に1.0μLの液滴を作製する。中間膜にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が貼り合されている場合には、PETフィルムを剥がす。作製した液滴を中間膜に接触させ、中間膜上に液滴を形成する。中間膜上へ液滴を形成した1秒後に、液滴の画像を撮影する。この液滴の画像を解析することで、θ/2法により接触角を算出する。10回の測定の平均値を接触角とする。なお、中間膜は測定前に測定環境にて24時間保持する。
なお、本発明では、表面層及び中間膜の表面形状ではなく、表面層及び中間層を構成する物質自体の性質(含有成分の組み合わせ及び含有成分の存在状態など)を示す指標として、上記接触角を定義している。このため、接触角を測定するための層又は中間膜の接触角を測定する際には、表面層及び中間膜の表面が平滑である状態で測定することが好ましい。
接触角を測定するための層又は中間膜が、エンボス加工によって表面に凹凸を有する場合に、透明フロートガラスとポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと接触角を測定するための層又は中間膜とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと透明フロートガラスとをこの順で積層した後、得られた積層体を加熱オーブン内で70℃に加熱し、ニップロール(ロール圧力0.44MPa、線速1m/分)を通過させた後、さらにオートクレーブ(135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間保持)を行い、透明フロートガラス及びPETフィルムを剥離して、上記接触角を求めることが好ましい。
上記中間膜は、2層以上の構造を有していてもよく、第1の層に加えて第2の層を備えていてもよい。上記中間膜は、中間膜における表面層として、第2の層を備えることが好ましい。上記中間膜は、中間膜にける表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第2の層を備えることが好ましい。第1の層が、中間層における一方側の表面層であり、第2の層が、中間層における他方側の表面層であることが好ましい。上記中間膜が上記第2の層を備える場合に、上記第2の層の第1の表面側に、上記第1の層が配置される。この場合に、上記第1の層と上記第2の層とは直接積層されていてもよく、上記第1の層と上記第2の層との間に他の層(後述する第3の層など)が配置されていてもよい。
上記中間膜は、3層以上の構造を有していてもよく、第1の層及び第2の層に加えて第3の層を備えていてもよい。上記中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第3の層を備えることが好ましい。上記中間膜が上記第3の層を備える場合に、上記第1の層と上記第2の層との間に、上記第3の層が配置される。この場合に、上記第1の層と上記第3の層とは直接積層されていてもよく、上記第1の層と上記第3の層との間に他の層が配置されていてもよい。上記第2の層と上記第3の層とは直接積層されていてもよく、上記第2の層と上記第3の層との間に他の層が配置されていてもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図で示す。
図1に示す中間膜11は、2層以上の構造を有する多層の中間膜である。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、第1の層1と、第2の層2と、第3の層3とを備える。第3の層3の第1の表面3aに、第1の層1が配置されており、積層されている。第3の層3の第1の表面3aとは反対の第2の表面3bに、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1と第2の層2との間に、第3の層3が配置されており、挟み込まれている。第3の層3は中間層である。第1の層1の第1の表面1b側に、第3の層3及び第2の層2がこの順で並んで配置されている。第1の層1及び第2の層2はそれぞれ、保護層であり、本実施形態では表面層である。従って、中間膜11は、第1の層1と第3の層3と第2の層2とがこの順で積層された多層構造(第1の層1/第3の層3/第2の層2)を有する。
なお、第1の層1と第3の層3との間、及び、第3の層3と第2の層2との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。第1の層1と第3の層3、及び、第3の層3と第2の層2とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。他の層として、ポリエチレンテレフタレート等を含む層が挙げられる。
第1の層1は、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む。第2の層2は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、可塑剤を含むことが好ましい。第1の層1は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層である。第2の層2は、金属元素を含むことが好ましく、マグネシウム元素とカリウム元素とを含むことがより好ましい。第2の層2は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第2の層であることが好ましい。第3の層3は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、可塑剤を含むことが好ましい。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図で示す。
図2に示す中間膜11Aは、1層の構造を有する単層の中間膜である。中間膜11Aは、第1の層である。中間膜11Aは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Aは、合わせガラス用中間膜である。
中間膜11A(第1の層)は、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む。中間膜11A(第1の層)は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す中間膜(第1の層)である。
以下、本発明に係る中間膜を構成する上記第1の層(単層の中間膜を含む)、上記第2の層及び上記第3の層の詳細、並びに上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層に含まれる各成分の詳細を説明する。
(ポリビニルアセタール樹脂又は熱可塑性樹脂)
上記第1の層(単層の中間膜を含む)は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(2)としてポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂(3)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(1)と上記熱可塑性樹脂(2)と上記熱可塑性樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記熱可塑性樹脂(1)、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3〜5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、更に好ましくは29モル%以上、好ましくは35モル%以下、より好ましくは32モル%以下、特に好ましくは31モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは27モル%未満、更に好ましくは25モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また27モル%未満であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して、測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセチル化度が0.1モル%以上、25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは67モル%以上、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(3)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセチル基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール化度は、JIS
K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、算出され得る。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
合わせガラスの耐貫通性をより一層良好にする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)は、アセチル化度(a)が8モル%以下であり、かつアセタール化度(a)が66モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(A)であるか、又はアセチル化度(b)が8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂(B)であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(3)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)であってもよく、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)であってもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセチル化度(a)は8モル%以下、好ましくは7.5モル%以下、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは6.5モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、特に好ましくは1モル%以上である。上記アセチル化度(a)が上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセタール化度(a)は66モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは70.5モル%以上、更に好ましくは71モル%以上、特に好ましくは71.5モル%以上、最も好ましくは72モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは81モル%以下、特に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度(a)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(a)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(A)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)の水酸基の含有率(a)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(a)が上記下限以上であると、上記第3の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(a)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセチル化度(b)は、8モル%を超え、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9.5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記アセチル化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセチル化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度(b)は好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下、特に好ましくは74モル%以下である。上記アセタール化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)の水酸基の含有率(b)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(b)が上記下限以上であると、上記第3の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(b)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(A)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(B)はそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
(可塑剤)
上記第1の層(単層の中間膜を含む)は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含む。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層の合わせガラス部材又は他の層に対する接着力が適度に高くなる。上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤(1)と上記可塑剤(2)と上記可塑剤(3)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
Figure 2017071530
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
(遮熱性化合物)
上記中間膜は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第1の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記遮熱性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性化合物である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性化合物である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
上記酸化タングステン粒子は、下記式(X1)又は下記式(X2)で一般に表される。上記中間膜では、下記式(X1)又は下記式(X2)で表される酸化タングステン粒子が好適に用いられる。
・・・式(X1)
上記式(X1)において、Wはタングステン、Oは酸素を表し、y及びzは2.0<z/y<3.0を満たす。
・・・式(X2)
上記式(X2)において、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta及びReからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、x、y及びzは、0.001≦x/y≦1、及び2.0<z/y≦3.0を満たす。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WOで表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)は、上記遮熱粒子を0.1g/m以上、12g/m以下の割合で含有することが好ましい。上記遮熱粒子の割合が上記範囲内である場合には、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。上記遮熱粒子の割合は、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは0.8g/m以上、更に好ましくは1.5g/m以上、特に好ましくは3g/m以上、好ましくは11g/m以下、より好ましくは10g/m以下、更に好ましくは9g/m以下、特に好ましくは7g/m以下である。上記割合が上記下限以上であると、遮熱性がより一層高くなる。上記割合が上記上限以下であると、可視光線透過率がより一層高くなる。
(マグネシウム元素及びカリウム元素)
上記中間膜は、マグネシウム元素とカリウム元素とを含む。上記第1の層は、マグネシウム元素とカリウム元素とを含む。上記第2の層は、金属元素を含むことが好ましく、マグネシウム元素とカリウム元素とを含むことがより好ましい。上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、金属塩の添加に由来して、上記マグネシウム元素と上記カリウム元素とを含むことが好ましい。上記マグネシウム元素と上記カリウム元素との使用により、中間膜と合わせガラス部材との接着力を良好にし、かつ合わせガラスの耐貫通性を効果的に高めることができ、中間膜の耐湿性を高くすることができる。上記金属元素は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属元素は、金属塩に由来していてもよい。上記マグネシウム元素はマグネシウム塩に由来していてもよい。上記カリウム元素はカリウム塩に由来していてもよい。上記マグネシウム塩と上記カリウム塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であることが好ましい。この場合に、アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩との内の一方のみを用いてもよく、双方を用いてもよい。なお、アルカリ土類金属塩にはマグネシウム塩が含まれる。
上記金属塩は、炭素数2〜16の有機酸のカリウム塩又は炭素数2〜16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
中間膜と合わせガラス部材との接着力をより一層効果的に良好にする観点からは、上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量は、上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量よりも多い。中間膜と合わせガラス部材との接着力を調整するために、上記第1の層が上記カリウム元素を含む場合、中間膜と合わせガラス部材との接着力を調整することができなかったり、中間膜の耐湿性が低下したりすることがある。そのため、上記カリウム元素に加えて、上記第1の層が上記マグネシウム元素を含む。さらに、上記第1の層及び上記中間膜は、上記マグネシウム元素及び上記カリウム元素以外の金属元素を含んでもよい。上記金属元素は、多価金属元素であってもよい。中間膜と合わせガラス部材との接着力をより一層効果的に良好にし、中間膜の耐湿性をより一層高くする観点からは、上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の添加に由来して、上記金属元素を含むことが好ましく、アルカリ土類金属塩の添加に由来して、上記金属元素を含むことが好ましい。中間膜の耐湿性をより一層高くする観点からは、上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の添加に由来して、上記マグネシウム元素及び上記カリウム元素を含むことが好ましい。
中間膜と合わせガラス部材との接着力をより一層効果的に良好にする観点からは、上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、酢酸マグネシウム又は2−エチル酪酸マグネシウムの添加に由来して、上記マグネシウム元素を含むことが好ましい。この場合に、酢酸マグネシウムと2−エチル酪酸マグネシウムとの内の一方のみを用いてもよく、双方を用いてもよい。また、中間膜と合わせガラス部材との接着力をより一層効果的に良好にする観点からは、上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、酢酸カリウム又は2−エチルヘキサン酸カリウムの添加に由来して、上記カリウム元素を含むことが好ましい。この場合に、酢酸カリウムと2−エチルヘキサン酸カリウムとの内の一方のみを用いてもよく、双方を用いてもよい。
上記マグネシウム元素を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)における上記マグネシウム元素の含有量は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。上記マグネシウム元素の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜とガラス板との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御でき、合わせガラスの耐貫通性を効果的に高めることができる。
上記カリウム元素を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるカリウム元素の含有量は、好ましくは10ppm以上、より好ましくは20ppm以上、更に好ましくは30ppm以上、特に好ましくは40ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下、更に好ましくは180ppm以下、特に好ましくは150ppm以下である。カリウム元素の含有量が上記上限以下であると、中間膜の含水率が高くても、中間膜と合わせガラス部材との接着性をより一層良好に制御できる。
上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量は、上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量よりも多い。上記第1の層中の上記カリウム元素は、中間膜とガラス板との接着力を調整する第1の成分(主成分)として機能し、上記第1の層中の上記マグネシウム元素は、中間膜とガラス板との接着力を調整する第2の成分として機能する。中間膜とガラス板との接着力をより一層良好に制御し、かつ中間膜の耐湿性を一層高くできることから、上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量は、上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量より10ppm以上多いことが好ましく、15ppm以上多いことがより好ましく、50ppm以上多いことが更に好ましく、100ppm以上多いことが特に好ましい。中間膜の耐湿性を更に一層高くできることから、上記第1の層中の上記カリウム元素の含有量と上記第1の層中の上記マグネシウム元素の含有量との差の絶対値は300ppm以下であることが好ましく、250ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましく、150ppm以下であることが特に好ましい。
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤、金属酸化物系紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤である。
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤はハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
(他の成分)
上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
本発明に係る合わせガラス用中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。
上記第1の層及び上記第2の層の各厚み(μm)の中間膜全体の厚み(μm)に対する比は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。すなわち、合わせガラス用中間膜の厚みをT(μm)としたときに、上記第1の層及び上記第2の層の各厚みは、好ましくは0.1T以上、より好ましくは0.2T以上、好ましくは0.9T以下、より好ましくは0.7T以下、更に好ましくは0.5T以下である。上記第1の層及び上記第2の層の各厚みが上記下限以上であると、各層間の接着力及び中間膜と合わせガラス部材との接着力が良好になりやすい。中間膜が、第1の層と第2の層と第3の層との3層の構造を有する場合には、第1の層及び第2の層の合計厚み(μm)の中間膜全体の厚み(μm)に対する比は好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下である。厚み比が上記上限以下であると、合わせガラスの厚みが薄くなり、中間膜及び合わせガラスの取り扱い性がより一層高くなる。
本発明に係る中間膜の製造方法としては特に限定されない。本発明に係る中間膜の製造方法としては、単層の中間膜の場合に、樹脂組成物を押出機を用いて押出する方法が挙げられる。本発明に係る中間膜の製造方法としては、多層の中間膜の場合に、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、例えば、得られた各層を積層する方法、並びに各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
上記中間膜、上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、ベント式押出機を用いて、真空ベントのゲージ圧が500mmHg以上である条件で押出成形することにより得られることが好ましい。この場合には、水を用いて液滴法で測定した接触角を上記の範囲に制御することが容易である。本発明では、上記のようにゲージ圧を高く設定して、中間膜を得ることが好ましい。
中間膜の製造効率が優れることから、上記第1の層と上記第2の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましく、上記第1の層と上記第2の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましく、上記第1の層と上記第2の層とが同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。中でも定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
(合わせガラス)
図3は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す合わせガラス31は、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜11とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜11の第1の表面11aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜11の第1の表面11aとは反対の第2の表面11bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。第1の層1の外側の表面1a(第1の表面1bとは反対の第2の表面)に第1の合わせガラス部材21が積層されている。第2の層2の外側の表面2aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
図4は、図2に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図4に示す合わせガラス31Aは、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜11Aとを備える。中間膜11Aは、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜11Aの第1の表面11aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜11Aの第1の表面11aとは反対の第2の表面11bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明に係る合わせガラス用中間膜である。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記中間膜が配置されている。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材が、ガラス板又はPETフィルムであり、上記第2の合わせガラス部材が、ガラス板又はPETフィルムであり、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方が、ガラス板であることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記合わせガラスの製造時に、第1の層と第3の層と第2の層とを積層してもよい。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記中間膜は、自動車の合わせガラスを得るために用いられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
(熱可塑性樹脂)
下記の表2に示すポリビニルアルコールの平均重合度、水酸基の含有率、アセチル化度、及びアセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を用いた。用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn−ブチルアルデヒドが用いられている。
なお、水酸基の含有率、アセチル化度及びアセタール化度(ブチラール化度)はJIS
K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
(酸化防止剤)
H−BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、堺化学工業社製「H−BHT」)
(マグネシウム元素を含む塩)
酢酸マグネシウム
2−エチル酪酸マグネシウム
(カリウム元素を含む塩)
酢酸カリウム
2−エチルヘキサン酸カリウム
(実施例1)
第1の層を形成するための組成物の作製:
下記の表2に示すポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)を得られる第1の層中で0.2重量%となる量と、酸化防止剤(H−BHT)を得られる第1の層中で0.2重量%となる量と、酢酸マグネシウムを得られる中間膜中でマグネシウム元素濃度が25ppmとなる量と、2−エチルヘキサン酸カリウムを得られる中間膜中でカリウム元素濃度が40ppmとなる量とを、ミキシングロールで充分に混合し、第1の層を形成するための組成物を得た。
中間膜の作製:
第1の層を形成するための組成物を、ベント式押出機を用いて、真空ベントのゲージ圧(ベント圧)が700mmHgである条件で、押出成形することにより、第1の層(厚み760μm)のみの単層の中間膜(厚み760μm)を作製した。中間膜中のMgの量及びKの量は、使用する金属元素を含む金属塩の種類及び配合量により調整した。
接触角測定用の中間膜の作製:
2つのPETフィルム(東レ社製「ルミラーT60」、縦15cm×横15cm×厚さ100μm)及び洗浄及び乾燥した2つの透明フロートガラス(縦15cm×横15cm×厚さ2.5mm)を用意した。2つのガラス板の間に、2枚のPETフィルムを挟み込み、さらにその内側に得られた中間膜を挟み込み、積層体を得た。得られた積層体は、ガラス板/PETフィルム/中間膜/PETフィルム/ガラス板の積層構造を有する。得られた積層体をバック内に入れ、常温(23℃)で933.2hPaの減圧度にて、真空バッグ内の脱気を行った。続いて、脱気状態を維持したまま、真空バッグを100℃まで昇温し、温度が100℃まで到達した後20分間保持した。その後、真空バッグを自然冷却により冷却し、温度が30℃まで低下したことを確認し、圧力を大気圧に開放した。真空バッグ後、さらにオートクレーブを用いて、135℃及び圧力1.2MPaの条件で20分間保持した。得られた積層体の透明フロートガラス及びPETフィルムを剥離して、中間膜を得た。
接着力評価用の合わせガラスの作製:
洗浄及び乾燥した2つの透明フロートガラス(縦15cm×横15cm×厚さ2.5mm)を用意した。この2つのガラス板の間に、得られた中間膜を挟み込み、積層体を得た。得られた積層体をバック内に入れ、常温(23℃)で933.2hPaの減圧度にて、真空バッグ内の脱気を行った。続いて、脱気状態を維持したまま、真空バッグを100℃まで昇温し、温度が100℃まで到達した後20分間保持した。その後、真空バッグを自然冷却により冷却し、温度が30℃まで低下したことを確認し、圧力を大気圧に開放した。
上記真空バッグ法により仮圧着された合わせガラスを、オートクレーブを用いて、135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着し、合わせガラスを得た。
(実施例2〜6及び比較例1)
第1の層を形成するための組成物に用いる配合成分の種類及び含有量を、下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを得た。
(評価)
(1)接触角の測定
(測定環境)温度23℃、相対湿度50%
(測定方法)水を注射器に採取し、針先に1.0μLの液滴を作製した。作製した液滴をPETフィルムから剥がされた中間膜に接触させ、中間膜上に液滴を形成した。このとき、PETフィルムから剥がされた中間膜に、作製された液滴を接触させた。中間膜上に液滴を形成した1秒後に、液滴の画像を撮影した。この液滴の画像を解析することで、θ/2法により接触角を算出した。10回の測定の平均値を接触角とした。なお、中間膜は測定前に測定環境にて24時間保持した。
測定装置として、協和界面科学社製「DropMaster500」を用いた。
(2)浸漬ヘイズ
接触角の測定に用いた中間膜を23℃のイオン交換水へ8時間浸漬し、取り出して水分をふき取り、ヘイズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、ヘイズ値を測定した。測定を2回行い、それらの平均値を浸漬ヘイズの値とした。
(3)接着力(パンメル値)
得られた合わせガラスを、−18℃±0.6℃で16時間保管した。保管後の合わせガラスの中央部(縦15cm×横15cmの範囲)を、頭部が0.45kgのハンマーで打って、粉砕されたガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕した。合わせガラスの中央部(縦15cm×横15cmの範囲)を粉砕した後、中間膜の露出度(面積%)を測定し、下記表1によりパンメル値を求めた。6回の測定値の平均値をパンメル値として採用した。
Figure 2017071530
詳細及び結果を下記の表2に示す。
Figure 2017071530
なお、1層構造の合わせガラス用中間膜の具体的な実施例を示した。2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であっても、第1の層が上述した構成を備えていれば、1層構造の合わせガラス用中間膜と同様に、本発明の効果が得られることを確認した。また、第1の層に上述した構成を採用し、更に第2の層における接触角を上記のように制御することで、本発明の効果がより一層効果的に得られることを確認した。
1…第1の層
1a…外側の表面(第2の表面)
1b…第1の表面 2…第2の層
2a…外側の表面
3…第3の層
3a…第1の表面
3b…第2の表面
11…中間膜
11A…中間膜(第1の層)
11a…第1の表面
11b…第2の表面
21…第1の合わせガラス部材
22…第2の合わせガラス部材
31…合わせガラス
31A…合わせガラス

Claims (14)

  1. 1層の構造又は2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、
    中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とマグネシウム元素とカリウム元素とを含む第1の層を備え、前記第1の層中の前記カリウム元素の含有量は前記第1の層中の前記マグネシウム元素の含有量よりも多く、
    前記第1の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第1の層である、合わせガラス用中間膜。
  2. 前記第1の層中の前記カリウム元素の含有量が20ppm以上、200ppm以下である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記第1の層中の前記マグネシウム元素の含有量が5ppm以上、100ppm以下である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の添加に由来して、前記第1の層が、前記マグネシウム元素及び前記カリウム元素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 酢酸マグネシウム又は2−エチル酪酸マグネシウムの添加に由来して、前記第1の層が、前記マグネシウム元素を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、
    中間膜における表面層として、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む第2の層を備え、
    前記第1の層の第1の表面側に、前記第2の層が配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 前記第2の層が、マグネシウム元素及びカリウム元素を含み、
    前記第2の層は、水を用いて液滴法で測定した接触角が73°以上である値を示す第2の層である、請求項6に記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 3層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、
    熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第3の層をさらに備え、
    前記第1の層と前記第2の層との間に、前記第3の層が配置されている、請求項6又は7に記載の合わせガラス用中間膜。
  9. 1層の構造を有する合わせガラス用中間膜であって、
    前記第1の層のみを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  10. 前記第1の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  11. 前記第1の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であり、
    前記第2の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  12. 前記第1の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であり、
    前記第2の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であり、
    前記第3の層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜の製造方法であって、
    ベント式押出機を用いて、真空ベントのゲージ圧が500mmHg以上である条件で押出成形することにより、前記第1の層を得る工程を備える、合わせガラス用中間膜の製造方法。
  14. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
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