JP2016152281A - 希土類磁石及びそれを用いた自動車用永久磁石式モータ - Google Patents

希土類磁石及びそれを用いた自動車用永久磁石式モータ Download PDF

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和宏 小川
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Manabu Obara
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Abstract

【課題】(Nd,Pr)−Fe−B系磁石中のNdの使用量を低減し(好ましくはCeでNdを全て置換し)、高いキュリー点を有する希土類磁石を提供する。
【解決手段】組成式(1);RαFe94−α−yCo6+β(式中、Rは、Nd元素以外の希土類元素の少なくとも1種を含むものであり、8≦α≦16、0≦β≦6、5≦y≦30である。)で表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点が、350℃以上である。
【選択図】図18

Description

本発明は、希土類磁石及びそれを用いた自動車用永久磁石式モータに関する。
Nd磁石の中でも優れた磁気特性を示す(Nd,Pr)−Fe−B系磁石は、電気自動車(EV)/ハイブリッド自動車(HEV)の駆動モータや内燃エンジン(ICE)車の小型モータやセンサに使用、生産が拡大傾向にある。また磁気特性(特に高温での保磁力)を改善しめたNd磁石として、NdFeBGa磁石が提案されている(例えば、特許文献1の実施例参照)。これによれば、ハイブリッド自動車用のモータの使用温度域である160℃付近でも、保磁力低下率を小さくできるというものである。
特開2011−129768号公報、実施例に記載の希土類磁石の組成(段落「0025」〜「0072」)
しかしながら、特許文献1のNdFeBGa磁石や(Nd,Pr)−Fe−B系磁石の原料のNd(ネオジム)は、バストネサイトやモナザイト等から採掘されるが、他の軽希土類を高い割合で含んでいる。こうした軽希土類の1種であるCe(セリウム)は、過去にガラス研磨剤や、鋳鉄に添加されていたものであるが、希土類を用いない代替材料の開発により、年々使用量が減少している。そのため、Ceが余剰、在庫にバランスを欠き、価格も安いため、新たな用途開拓が必要と考えられるが、新しい用途に関しては、いまだ見出されていないのが現状である。
また特許文献1等のNd−Fe−B磁石や(Nd,Pr)−Fe−B系磁石のキュリー点は約312℃(更にPr−Fe−B磁石のキュリー点も292℃、Ce−Fe−B磁石のキュリー点も200℃)と他の磁石材料に比べてかなり低いという問題があった。
そこで、本発明は、(Nd,Pr)−Fe−B系磁石中のNdの使用量を低減し、高いキュリー点を有する希土類磁石を提供することを目的とする。
本発明の目的は、組成式(1);RαFe94−α−yCo6+βで表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点(T)が、350℃以上であることを特徴とする希土類磁石により達成される。ここで、上記組成式(1)中、Rは、Nd元素以外の希土類元素の少なくとも1種であり、8≦α≦16、0≦β≦6、5≦y≦30である。
本発明によれば、(Nd,Pr)−Fe−B系磁石中のNdサイトをCeで置換し、Ndの使用量を低減乃至無くした高いキュリー点を有する希土類磁石を提供することができる。その結果、高いキュリー点を有する磁石をEV/HEVの駆動モータやICE車の小型モータに使用することで、モータの回転数を増やせたり、冷却が容易になる(例えば、水冷を空冷にできる)。更に既存のNd磁石のようにキュリー点が低いとモータに使用する磁石の厚さを厚くしたり、油冷する必要があるが、キュリー点が高いと、モータに使用する磁石の厚さを厚くする必要がなくなる利点がある。これにより、より小型で高回転型の高性能モータを提供することができる。また、Ndを余剰な軽希土類のCeで置換することで安価な希土類磁石を提供することができる。
第1実施形態の希土類磁石の製造工程を示す図面である。 第1実施形態の希土類磁石の製造工程のうち、液体急冷工程に用いる片ロール液体急冷装置を示す概略斜視図である。 図3(A)は、表面磁石型同期モータ(SMPまたはSPMSM))のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。図3(B)は、埋込磁石型同期モータ(IMPまたはIPMSM))のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。 図4(A)は、実験例1で得られた薄帯磁石の結晶構造につき、CuKα管球の粉末X線回折装置(XRD)を用いて測定して得られたXRDスペクトルの測定結果を示す図面である。図4(B)は、実験例1で得られた薄帯磁石につき、CuKα管球の粉末X線回折装置(XRD)を用いて測定して得られた格子定数(軸長a及び軸長c)の測定結果を示す図面である。 実験例1で得られた薄帯磁石の試料の結晶化温度につき、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定して得られた測定結果であるDSC曲線を示す図面である。 図6は、実験例2で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10組成磁石(x=0〜0.4)のロール周速度と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係を示す図面である。このうち、図6(A)はx=0、図6(B)はx=0.4のときの上記関係をそれぞれ示す図面である。 図7は、実験例3で得られた薄帯磁石の各試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10組成磁石(x=0〜1)の熱処理温度又は時間と保磁力HcJ、残留磁束密度Bないし最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図7(A)はx=0、図7(B)はx=0.2、図7(C)はx=0.4、図7(D)はx=1のときの熱処理時間と上記磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度Br)の関係をそれぞれ示す図面である。 図7は、実験例3で得られた薄帯磁石の各試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10組成磁石(x=0〜1)の熱処理温度又は時間と保磁力HcJ、残留磁束密度Bないし最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図7(E)は、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co10磁石で、熱処理温度750℃で処理したものの熱処理時間と上記磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)max)の関係を示す図面である。 実験例4で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)の希土類元素全体に占めるCe量(x値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。 実験例5で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10の温度変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係を示す図面である。 実験例6で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10を温度変化(30〜120℃)させて求めた温度係数と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係を示す図面である。 実験例7で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)のCe量(x値)の変化とキュリー点Tとの関係を示す図面である。 実験例8で得られた薄帯磁石の試料;(Pr0.6Ce0.4αFe72Co10(α=8〜14)の希土類元素量(α値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を示す図面である。 実験例10で得られた薄帯磁石の試料;(Pr1−xCeαFe84−αCo10(x=0〜0.4、α=8〜14)組成磁石の希土類元素量(α値)、Ce量(x値)の変化と保磁力HcJとの関係を示す図面である。 図14は、実験例11で得られた薄帯磁石の各試料;(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2〜6)のロール周速度と結晶構造の関係を図面である。このうち、図14(A)はβ=2、図14(B)はβ=4、図14(C)はβ=6のときの上記関係をそれぞれ示す図面である。 図15は、実験例12で得られた薄帯磁石の試料;(Pr0.6Ce0.412Fe72Co10のロール周速度ごとの熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図15(A)はロール周速度10m/sec、図15(B)はロール周速度15m/sec、図15(C)はロール周速度17.5m/sec、図15(D)はロール周速度20m/secにおける上記関係をそれぞれ示す図面である。 図16は、実験例13で得られた薄帯磁石の試料;(Pr0.6Ce0.412Fe72Co1010のロール周速度ごとの熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図16(A)はロール周速度10m/sec、図16(B)はロール周速度15m/sec、図16(C)はロール周速度17.5m/sec、図16(D)はロール周速度20m/secにおける上記関係をそれぞれ示す図面である。 図17は、実験例14で得られた薄帯磁石の試料;(Pr0.6Ce0.412Fe72Co1012のロール周速度ごとの熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図17(A)はロール周速度10m/sec、図17(B)はロール周速度15m/sec、図17(C)はロール周速度20m/secにおける上記関係をそれぞれ示す図面である。 図18は、実験例15で得られた薄帯磁石の各試料;(Pr0.6Ce0.412Fe82―yCo(y=10〜30)のBを8とし、Co量(y値)ごとのキュリー点(T)を求め、更に熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図18(A)はy=10、図18(B)はy=20、図18(C)はy=30のときの上記関係をそれぞれ示す図面である。 図19は、実験例16で得られた薄帯磁石の各試料;(Pr0.6Ce0.4αFe84−γCo10(α=14〜16)の希土類元素量(α値)ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を示す図面である。このうち、図19(A)はα=14、図19(B)はα=16のときの上記関係をそれぞれ示す図面である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(A)希土類磁石
本発明の希土類磁石の実施形態(第1実施形態)は、組成式(1);RαFe94−α−yCo6+βで表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点(T)が、350℃以上であることを特徴とするものである。ここで、上記組成式(1)中、Rは、Nd元素以外の希土類元素の少なくとも1種であり、8≦α≦16、0≦β≦6、5≦y≦30である。かかる希土類磁石の構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に発現することができる。以下、希土類磁石の構成及びその製造方法について、順次説明する。
(1)組成式(1);RαFe94−α−yCo6+βで表記される希土類磁石
本実施形態の希土類磁石は、組成式(1);RαFe94−α−yCo6+βで表記されるものである。
ここで、上記組成式(1)中、Rは、Nd元素以外の希土類元素の少なくとも1種を含むものである。希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)の総称を指す。よって、上記Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)のうち、ネオジム(Nd)以外の14元素の少なくとも1種である。本実施形態では、Nd−Pr系磁石中のNdの使用量を低減ないし無くせばよく、少なくともPrを含有するものが好ましい。なかでも、Nd−Pr系磁石中のNdを余剰な軽希土類のCeで置換するのが好ましいことから、少なくともPr及びCeの2元素を含有するものがより好ましい。かかる2元素以外にも、希土類磁石の保磁力を向上させることで知られているDy、Tb、Ho、磁石のキュリー温度や耐食性を向上させることで知られているCo等の元素を含んでいてもよい。また、本実施形態の作用効果を損なわない範囲内であれば、Nd元素を微量含んでいてもよい。特に好ましくは、上記Rは、(Pr1−xCe)で表されるものである。ここで、xは、0≦x≦1の範囲である。(Nd,Pr)−Fe−B系磁石中のNdの使用量を無くすことができるためである。さらに、Ndを余剰なCeで置換することで、安価な磁石やモータを提供する観点からは、前記xは、0<x≦1の範囲が好ましく、0.2≦x≦0.8の範囲がより好ましく、0.2≦x≦0.6の範囲が特に好ましく、0.2≦x≦0.4の範囲がとりわけ好ましい。
上記組成式(1)中、α(希土類元素Rの組成比)は、8≦α≦16である。上記αが8未満の場合には、保磁力が低い点で好ましくなく、16を超える場合には、残留磁束密度が低い点で好ましくない。こうした観点から、上記αは、8≦α≦14の範囲が好ましく、8≦α≦12の範囲がより好ましく、10≦α≦12の範囲が特に好ましい。
上記組成式(1)中、6+β(ホウ素Bの組成比)は、6≦(6+β)≦12(即ち、0≦β≦6)である。磁石組成にB元素を含有させることで、(Pr,Ce)(Fe,Co)14Bからなる永久磁石相とα−Fe相を生成させるものである。Bは、6at%が化学量論比であるが、過剰添加した場合の磁気特性への影響も検討した。上記(6+β)が6未満の場合には、永久磁石相の割合が減り、保磁力が低くなる点で好ましくなく、12を超える場合には、残留磁束密度が低くなる点で好ましくない。こうした観点から、上記(6+β)は、6≦(6+β)≦10の範囲が好ましく、6≦(6+β)≦8の範囲が特に好ましい。
上記組成式(1)中、94−α−y(鉄Feの組成比)は、48≦(94−α−y)≦81である。上記(94−α−y)が48未満の場合には、残留磁束密度が低い点で好ましくなく、84を超える場合には、保磁力が低くなる点で好ましくない。Feの増加に伴い保磁力が低下するため、上記(94−α−y)は、70≦(94−α−y)≦76の範囲が好ましく、70≦(94−α−y)≦74の範囲がより好ましく、70≦(94−α−y)≦72の範囲が特に好ましい。
上記組成式(1)中、y(コバルトCoの組成比)は、5≦y≦30である。磁石組成にCo元素を含有させることでキュリー点(T)を上昇させることができるほか、Co元素を含有させることで耐食性を大幅に向上させることができるものである。上記yが5未満の場合には、キュリー温度が低くなるため好ましくなく、yが30を超える場合には、残留磁束密度と保磁力が低下する点で好ましくない。こうした観点から、上記yは、5≦y≦20の範囲が好ましく、5≦y≦10の範囲が特に好ましい。
(2)組成式(1)で表記される磁石のキュリー点(T
本実施形態では、上記組成式(1)で表記される磁石のキュリー点(T;磁石の温度依存性を示す重要な指標)が350℃以上であることを特徴とするものである。こうした高いキュリー点を有する組成式(1)で表記される磁石をEV/HEVの駆動モータやICE車の小型モータに使用することで、モータの回転数を増やせたり、冷却が容易になる(例えば、水冷を空冷にできる)。更に既存のNd磁石等のようにキュリー点が低いとモータに使用する磁石の厚さを厚くする必要があるが、キュリー点が高いと、モータに使用する磁石の厚さを厚くする必要がなくなる利点がある。これにより、より小型で高回転型の高性能モータを提供することができる。こうした観点から、Tcは、360℃以上が好ましく、370℃以上がより好ましく、460℃以上が特に好ましい。
(2−1)磁石の高キュリー点(T)化の手段
本実施形態では、液体急冷法において、真空中、液体急冷装置のロール周速度を5〜40m/secの範囲として得られた薄帯状の磁石合金を用いてなるものが好ましい。本実施形態では、公知の液体急冷法を適用したものである。ロール周速度は、5〜40m/secに高速化することで、磁気特性(キュリー点(T)、保磁力HcJ、残留磁束密度B等)、とりわけキュリー点の高い磁石が得られることを見出したものである。かかる観点から、上記ロール周速度が5m/sec未満の場合には、キュリー点(T)の高い磁石が得られ難いほか、残留磁束密度と保磁力が低く好ましくない。こうした観点から、ロール周速度は、10〜40m/secが好ましく、10〜30m/secがより好ましく、10〜20m/secの範囲が特に好ましい。
本実施形態では、液体急冷法において、500〜800℃で熱処理を行うことにより得られるものが好ましい。本形態では、従来公知の液体急冷法の製造条件を変更することが望ましいことを見出したものである。特に液体急冷装置を用いて作製した薄帯状の磁石合金を500〜800℃で熱処理することで、磁気特性(キュリー点(T)、保磁力HcJ、残留磁束密度B等)、とりわけキュリー点の高い磁石が得られることを見出したものである。かかる観点から、上記熱処理温度が500℃未満の場合には、結晶化が十分に促進せず、磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B)の高い磁石が得られ難いほか、量産時に急冷開始と終端部の磁石の特性にばらつきがみられる点で好ましくない。一方、上記熱処理温度が800℃を超える場合には、磁石粒子が粒成長を起こすため好ましくない。こうした観点から、熱処理温度は、500〜750℃がより好ましく、550〜700℃が特に好ましい。
本実施形態では、液体急冷法において、上記温度範囲で、2〜20分間、アルゴンガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、磁気特性(キュリー点(T)、保磁力HcJ、残留磁束密度B等)、とりわけキュリー点の高い磁石が得られることを見出したものである。かかる観点から、上記熱処理時間が2分未満の場合には、結晶化が十分に促進せず、磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B)の高い磁石が得られ難いほか、磁石に均一に入熱できない点で好ましくない。一方、上記熱処理時間が20分を超える場合には、残留磁束密度と保磁力が低下するため好ましくない。こうした観点から、熱処理時間は、2〜10分間がより好ましく、5〜10分間が特に好ましい。
(B)希土類磁石の製造方法
上記(A)の上記組成式(1)で表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点(Tc)が、350℃以上であることを特徴とする希土類磁石は、従来公知の液体急冷法の製造条件を変更することにより製造することができる。従来公知の液体急冷法(粉体冶金法)では、原料(Nd、Fe、B等)金属を秤量し、熔解する。次に液体急冷装置にて、薄帯状の磁石合金を作製する。得られた薄帯状の磁石合金を500〜800℃で熱処理(アニーリング;結晶化)し、薄帯状の磁石を得る。しかしながら、従来公知の粉末冶金法で得られたNd−Fe−B磁石のTcは312℃、Pr−Fe−B磁石のTも292℃と他の磁石材料に比べて低い問題があった。更に磁石製造工程中における焼結や熱処理について、Nd−Fe−B磁石(更にNd−Pr系磁石やPr−Fe−BやCe−Fe−B磁石等)は、厳密に酸素濃度をコントロール(酸素濃度2000ppm以下に制御)し、長時間(12〜48時間)かけて熱処理(アニーリング)されるという方法で製造されていた。出来上がった磁石は、Tcが低いため、モータに使用するには磁石の厚さを厚くするか、DyやTbを添加することで高保磁力化するなどの対策が必要であった。加えて、出来上がった磁石は、低靱性のため、所定の形状に加工する、例えば、弓形や瓦型などの形状にするためには、大量の研削屑が発生する問題もあった。本発明者らは、従来公知の液体急冷法の製造条件を見直すことにより、上記(A)の組成式(1)で表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点(T)が、350℃以上であることを特徴とする希土類磁石が得られることを見出したものである。これにより、出来上がった磁石は、Tが高いため、モータに使用するには磁石の厚さを薄くすることができる。そのため、出来上がった薄い磁石を所定の形状に加工する、例えば、弓形や瓦型などの形状にする際の研削屑を大幅に低減できる点で優れている(より安価な磁石を提供できる)。
以下、本発明の希土類磁石の製造方法の実施形態につき、図1に示す工程に従って説明する。
(1)秤量(原料準備)工程(ステップ1;S1)
本実施形態の秤量(原料準備)工程では、R(希土類元素)、Fe、Co、Bを原料とする。以下、Rとして、PrとCeを用いた例につき説明するが、他の希土類元素を用いた場合も、以下の製造方法と同様にして行うことができる。
即ち、秤量(原料準備)工程(S1)では、磁石組成が(Pr1−xCe)αFe94−α−yCo6+βとなるように、市販の電子天秤を用いて各原料(元素)粉末の含有量を秤量する。ここで、各元素の組成比は、組成式(1)に示すように、以下のとおりである。x=0〜1、α=8〜16、y=5〜30、β=6〜12の範囲である。
(2)熔解工程(ステップ2;S2)
本実施形態の熔解工程では、秤量後の原料粉末を混合し、アーク熔解炉を用いて、熔解し、Pr−Ce−Fe−Co−B系磁石母合金を得る。これをアーク熔解炉から取出し冷却する。これにより、従来公知の液体急冷法に比して、原料の各成分をより均一化できる。
(3)粉砕工程(ステップ3;S3)
本形態の粉砕工程では、上記の各組成の母合金は、鉄乳鉢を用いて破砕し、磁石原料合金とする。
(4)液体急冷工程(ステップ4;S4)
図2は、第1実施形態の希土類磁石の製造工程のうち、液体急冷工程に用いる片ロール液体急冷装置を示す概略斜視図である。本実施形態の液体急冷工程では、図2に示す片ロール液体急冷装置1を用い、母合金の酸化防止のためArガス雰囲気中において、磁石原料合金を石英射出管2に入れる。該石英射出管2下部の外周部に巻き付けた高周波誘導装置4で、石英射出管2下部の磁石原料合金を熔解した後に、水冷された銅製の回転ロール5上に石英射出管2の先端部(ノズル)3から射出することにより、薄帯状の磁石合金8を作製する。なお、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度は5〜40m/secで、射出時には先端部(ノズル)3に併設した射出用ガス供給口から高純度Arガスを用いて射出するものである。本実施形態では、従来公知のNd焼結磁石の磁石原料を製造する液体急冷法として、ストリップキャスト法があるが、その製造条件と異なる。特にストリップキャスト法のようなロール周速度を1m/secのような低速度に対し、5〜40m/secに高速化することで、磁気特性、とりわけ、キュリー点(T)の高い磁石が得られる点で優れている。
(5)熱処理工程(ステップ5;S5)
本実施形態の熱処理工程では、赤外線炉(例えば、赤外線ゴールドイメージ炉)を用い、不活性ガス(好ましくは高純度Arガス)雰囲気中で行う。熱処理温度は500〜800℃、熱処理時間は2〜20分間(例えば、10分)、昇温時間は所定の温度(熱処理温度)まで、300℃まで1分、300℃で15秒キープしたのちに、目標の温度まで3分で昇温させた。かかる熱処理工程により、薄帯磁石を得ることができる。このように、本実施形態では、従来公知の液体急冷法の製造条件を変更する。特に厳密に酸素濃度をコントロールし、高温で長時間かけて熱処理を行うことなく、不活性ガス中で低温で短時間、熱処理(アニーリング;結晶化)を行うことで、磁気特性の高い磁石を得ることができる。
(6)分析工程(ステップ6;S6)
本実施形態の分析工程は、熱処理工程(S5)で得られた薄帯磁石の試料の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)max、キュリー点T)および温度特性につき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定する。この際、薄帯磁石試料の測定は、4.8MA/mのパルス着磁後に測定するものとする。また薄帯磁石試料の結晶構造は、CuKα管球の粉末X線回折装置を用いて測定する。更に薄帯磁石試料の結晶化温度は、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定する。
(7)成形・磁化工程(ステップ7;S7)
上記分析工程(S6)により、熱処理工程(S5)で得られた薄帯磁石の試料を、4.8MA/mのパルス着磁後に測定したキュリー点(T)が、350℃以上であるものにつき、本形態の要件を満足し得ることから、以下の成形・磁化工程を行う。
本実施形態の成形・磁化工程(S7)では、薄帯磁石を150μm以下に粉砕し、耐熱性樹脂を混合撹拌して、所定の圧力(例えば、980MPaの圧力)で成形後、例えば、所定の温度、時間(例えば、200℃で1時間)のキュア処理を行うことで、ボンド磁石を作製する。作製した磁石は、市販のパルス励磁型着磁機を用い、所定の磁界(例えば、4.8MA/mの磁界)を印加して着磁する。これにより、本実施形態の希土類磁石を作製することができる。なお、磁化(着磁)は、成形と同時に行ってもよいなど、本成形・磁化工程は、従来公知の液体急冷法を適宜利用することができる。
(C)磁石モータ(第3の実施形態)
本発明の自動車用永久磁石式モータの実施形態(第2実施形態)は、上記第1実施形態に記載の希土類磁石及びその製造方法により得られた希土類磁石の少なくとも1種を用いたロータコアを有することを特徴とするものである。即ち、本実施形態の磁石モータでは、第1実施形態の希土類磁石を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。本実施形態の自動車用永久磁石式モータ(単に、モータともいう)では、第1実施形態の少なくとも1種の希土類磁石を用いたロータコアを有することを特徴とするモータであるため、より小型で高回転型の高性能モータとして得ることができる点で優れている。
図3(A)は、表面磁石型同期モータ(SMPまたはSPMSM))のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。図3(B)は、埋込磁石型同期モータ(IMPまたはIPMSM))のロータ構造を模式的に表す断面概略面である。
図3(A)に示す表面磁石型同期モータ50aでは、第1実施形態の少なくとも1種の希土類磁石51を表面磁石型同期モータ用のロータ53表面に貼り付けたものである。表面磁石型同期モータ50aでは、第1実施形態で説明した薄帯磁石を微粉砕し、圧縮成形した、厚みを薄くできた希土類磁石を所定の形状に加工する(例えば、図3(A)に示すように弓形ないし瓦型の形状に研削加工する)。所定の形状(弓形ないし瓦型の形状)の磁石51を表面磁石型同期モータ50a上に貼り付けて固定化し、この磁石51を着磁することで表面磁石型同期モータ50aを得ることができる。この場合には、埋込磁石型同期モータ50bに比して、低回転域でのトルクが大きい、ロータの構造が簡素である点で優れている。
一方、図3(B)に示す埋込磁石型同期モータ50bでは、第1実施形態の少なくとも1種の磁石55を埋込磁石型同期モータ用のロータ57に形成した埋込溝に圧入し(又は挿入し貼り付けて)固定化したものである。埋込磁石型同期モータ50bでは、第1実施形態で説明した薄帯磁石を微粉砕し、圧縮成形して、所定の形状の(図3(B)に示す埋込溝と同じ形状=平板状の形状にした)磁石55を得る。あるいは薄帯磁石を微粉砕し、圧縮成形して、所定の形状(埋込溝の厚さdの1/10の厚さの平板状の形状)の磁石55aを10セット作製する。次に、磁石55、55aを着磁し、磁石55aは必要な厚さdになるよう、磁石55aを10枚重ね合わせる。その後、ロータ57の埋込溝に磁石55又は55a(10枚積層体)を圧入(挿入)することにより、埋込磁石型同期モータ50bを得ることができる。この場合には、磁石55、55aの形状が平板状であり、磁石を弓形の形状に研削加工する必要のある表面磁石型同期モータ50aに比して、研削屑を生じさせない点で優れている。
なお、本実施形態は、上記に説明した特定のモータだけに何ら制限されるものではなく、幅広い分野に適用することができるものである。即ち、希土類磁石が用いられる、オーディオ機器のキャプスタンモータ、スピーカ、ヘッドホン、CDのピックアップ、カメラの巻上げ用モータ、フォーカス用アクチュエータ、ビデオ機器等の回転ヘッド駆動モータ、ズーム用モータ、フォーカス用モータ、キャプスタンモータ、DVDやブルーレイの光ピックアップ、空調用コンプレッサ、室外機ファンモータ、電気かみそり用モータなどの民生用電子機器分野;ボイスコイルモータ、スピンドルモータ、CD−ROM、CD−Rの光ピックアップ、ステッピングモータ、プロッタ、プリンタ用アクチュエータ、ドットプリンタ用印字ヘッド、複写機用回転センサなどのコンピュータ周辺機器・OA機器;時計用ステッピングモータ、各種メータ、ペジャー、携帯電話用(携帯情報端末を含む)振動モータ、レコーダーペン駆動用モータ、加速器、放射光用アンジュレータ、偏光磁石、イオン源、半導体製造機器の各種プラズマ源、電子偏光用、磁気探傷バイアス用などの計測、通信、その他の精密機器分野;永久磁石型MRI、心電図計、脳波計、歯科用ドリルモータ、歯固定用マグネット、磁気ネックレスなどの医療用分野;ACサーボモータ、同期モータ、ブレーキ、クラッチ、トルクカップラ、搬送用リニアモータ、リードスイッチ等のFA分野;リターダ、イグニッションコイルトランス、ABSセンサ、回転、位置検出センサ、サスペンション制御用センサ、ドアロックアクチュエータ、ISCVアクチュエータ、電気自動車駆動用モータ、ハイブリッド自動車駆動用モータ、燃料電池自動車駆動用モータ、ブラシレスDCモータ、ACサーボモータ、ACインダクション(誘導)モータ、パワーステアリング、カーエアコン、カーナビゲーションの光ピックアップなど自動車電装分野など極めて幅広い分野の各種用途に応じた形状を持っていればよい。但し、本実施形態の希土類磁石が用いられる用途は、上記したほんの一部の製品(部品)に何ら制限されるものではなく、現在希土類磁石が用いられる用途全般に適用し得るものであることはいうまでもない。
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実験例1)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、結晶構造、格子状数及び結晶化温度(DSC曲線)を求めた。
詳しくは、秤量工程(S1)では、Pr、Ce、Fe、Co、Bを原料とし、磁石組成が(Pr1−xCeαFe94−α−yCo10となるように、市販の電子天秤を用いて各原料(元素)粉末の含有量を秤量した。ここで、各元素の組成比は、上記組成式に示すように、x=0〜1(本実験例では、x=0、0.2、0.4、0.6、0.8、1につき実施)、α=12、y=10、β=0とした。
次に、熔解工程(S2)では、秤量後の原料を混合し、アーク熔解炉を用いて、熔解し、Pr−Ce−Fe−Co−B系磁石母合金を得た。これをアーク熔解炉から取出し冷却した。
次に、粉砕工程(S3)では、上記の各組成の母合金は、鉄乳鉢を用いて破砕し、磁石原料合金とした。
次に、液体急冷工程(S4)では、図2に示す片ロール液体急冷装置1を用い、母合金の酸化防止のためArガス雰囲気中において、磁石原料合金を石英射出管2に入れた。該石英射出管2下部の外周部に巻き付けた高周波誘導装置4で、石英射出管2下部の磁石原料合金を熔解した後に、水冷された銅製の回転ロール5上に石英射出管2の下部の先端部(ノズル)3から射出することにより、薄帯状の磁石合金を作製した。なお、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度は20m/secで、射出時には先端部(ノズル)3に併設した射出用ガス供給口から高純度Arガスを用いて射出した。
次に、熱処理工程(S5)では、赤外線ゴールドイメージ炉を用い、高純度Arガス雰囲気中で行った。昇温時間は300℃まで1分、300℃で15秒キープしたのちに、650℃まで3分で昇温させ、10分保持することにより、薄帯磁石を得た。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料の結晶構造(x=0、1)及び格子定数(x=0、0.2、0.4、0.6、0.8、1)につき、CuKα管球の粉末X線回折装置(XRD)を用いて測定した。得られたXRDスペクトルの測定結果を図4(A)に、格子定数(軸長a及び軸長c)の測定結果を4(B)に示す。更に薄帯磁石の試料(x=0)の結晶化温度につき、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定した。得られた測定結果であるDSC曲線につき図5に示す。
図4(A)、(B)より、(Nd、Pr)12Fe84系磁石において、Ceが全てNdサイトと置換した(Pr1−xCe12Fe72Co10磁石でも、RFe14B結晶相とα−Fe等の混相であることがわかった。
即ち、図4(A)は、粉末X線回折プロファイルを示した図面である。図中に示す数字は、R(=(Pr1−xCe))Fe14B結晶相の面(ミラー)指数である。Ce量(x値)に関わらず、すべての回折ピークに指数付けが可能であり、これらはRFe14B結晶相とα−Fe等の混相であることがわかった。なお、x=0.2、0.4、0.6、0.8の試料に関しても同様の結果が得られている。
また、希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe含有量の増加(Pr含有量の減少)に伴って、格子定数(軸長a及び軸長cのいずれも)が小さくなることがわかった。即ち、図4(B)は、Ce置換が格子定数に与える影響を示したものである。希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)が増加するに従って、a軸及びc軸の格子定数はともに減少することが分かった。これはPrよりも原子半径の小さいCeで置換したことにより、格子定数が減少したためと考えられる。また、ベガード則にしたがっていることから希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)に対応して順調に置換が行われていると考えられる。
図5より、(Pr1−xCe12Fe72Co10磁石(x=0)の結晶化開始温度は588℃であった。この結晶化開始温度を参考に、少なくとも500℃以上の熱処理温度が必要と考え実験した。
(実験例2)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、ロール周速度と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co10の各元素の組成比のうち、x=0、0.4の2変数につき実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を10、20、30及び40m/secに変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度Bにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10組成のx=0と、x=0.4のときの、ロール周速度と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係につき図6(A)、図6(B)に示す。
図6(A)、6(B)より、(Pr1−xCe12Fe72Co10組成のx=0(Ceなし、Prのみ)と、x=0.4(Pr0.6Ce0.4組成)のいずれの場合にも、ロール周速度10〜40m/secであれば一定の磁気特性が得られることがわかる。なかでも15〜40m/secが好ましく、15〜40m/secがより好ましく、20±5m/secの範囲が特に好ましく、とりわけ20±2.5m/secが最も好ましいことがわかる。
(実験例3)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、熱処理温度と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co10の各元素の組成比のうち、x=0、0.2、0.4、1の4変数につき実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を600℃、650℃、700℃、750℃及び800℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)max、につき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10組成のx=0、0.2、0.4、1.0のときの、熱処理温度と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係につき図7(A)〜図7(D)に示す。また、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co10磁石で、熱処理温度750℃で処理したものの熱処理時間と磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)max)の関係を図7(E)に示す。
図7(A)〜図7(D)より、(Pr1−xCe12Fe72Co10組成のx=0、0.2、0.4、1.0のいずれの場合にも、熱処理温度600〜800℃の範囲であれば一定の磁気特性が得られることがわかる。なかでも600〜750℃が好ましく、650〜750℃がより好ましく、650〜700℃の範囲が特に好ましいことがわかる。即ち、図7(C)は、(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0.4)組成の薄帯磁石の試料において熱処理温度が磁気特性に与える影響を示した図面である。熱処理温度を上昇させると、保磁力HcJ、残留磁束密度Bともに650℃で最大値をとり、その後減少した。他のCe(置換)量(x値)で作製した試料についても同様な傾向が見られた(図7(A)、図7(B)参照)。但し、図7(D)は、(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=1.0)組成の薄帯磁石の試料において熱処理温度が磁気特性に与える影響を示した図面である。この場合、熱処理温度を上昇させると、保磁力HcJは650℃で最大値をとり、その後減少し、残留磁束密度Brは700℃で最大値をとり、その後減少した。これらから、上記(Pr1−xCe12Fe72Co10組成(x=0〜1)の薄帯磁石の試料の最適な熱処理温度は概ね650〜700℃であると判断した。
また、図7(E)より、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co10組成の薄帯磁石の試料において、熱処理温度750℃でアルゴンガス雰囲気中、熱処理を行う際の熱処理温度が2〜20分間の範囲であれば、一定の磁気特性が得られることがわかる。熱処理温度を長くすると、保磁力HcJ、最大エネルギー積(BH)maxともに10分(〜15分)で最大値をとり、その後減少した。残留磁束密度Brは、の高い磁石が得られ難いほか、磁石に均一に入熱できない点で好ましくない。一方、熱処理温度2分〜10分まではほぼ一定で、その後減少した。このことから、熱処理時間は、2〜10分間がより好ましく、5〜10分間が特に好ましいことがわかった。
(実験例4)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)maxにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10組成の希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係につき図8に示す。
図8より、(Pr1−xCe12Fe72Co10組成の希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)の増加に伴い、磁気特性である保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxがいずれも低下することがわかる。また、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxはx=0.4まではxの増加とともに緩やかに減少し、その後は急激に減少する傾向があることがわかった。この結果より、CeでPrを置換する場合、Ce(置換)量は40%以内(x値が0.4以下)にとどめるのが好ましい。
(実験例5)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、温度変化させて温度依存性と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co10の各元素の組成比のうち、x=0.4の1変数につき実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、測定時の温度を30℃〜240℃まで30℃毎に変化させた際の磁気特性である、保磁力HcJ、残留磁束密度Bにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10組成磁石の着磁後の測定時の温度変化(特にEVやHEV用のモータの使用温度域である160〜200℃を含む温度変化)と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係につき図9に示す。
図9より、(Pr1−xCe12Fe72Co10組成の薄帯磁石の着磁後の温度上昇に伴い、磁気特性である保磁力HcJ、残留磁束密度Bがいずれもほぼ直線的に低下する(温度依存性を有する)ことがわかる。
(実験例6)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石の試料を作製し、温度条件を変化させて求めた温度係数と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を求めた。
詳しくは、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、測定時の温度を30℃〜120℃まで30℃毎に変化させた際の磁気特性である、保磁力HcJ、残留磁束密度Bにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10組成磁石の着磁後に温度変化(30〜120℃)させて求めた温度係数と保磁力HcJ、残留磁束密度Bの関係につき図10に示す。
図10は(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)組成の薄帯磁石の試料においてCe置換が保磁力及び残留磁化の温度係数に与える影響を示したものである。なお、温度係数は30〜120℃における直線近似により求めたものである。残留磁束密度Bの温度係数の絶対値は、Ce(置換)量(x値)が増加するにしたがって、緩やかに増加する傾向があることがわかった。一方、保磁力HcJの温度係数の絶対値は、Ce(置換)量(x値)が増加するに従って減少する傾向を示した。
(実験例7)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石の試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe量(x値)の変化とキュリー点(T)との関係を求めた。
詳しくは、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、キュリー点Tにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)組成の薄帯磁石の試料のCe(置換)量(x値)の変化とキュリー点Tcとの関係につき図11に示す。
図11は、(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)組成の薄帯磁石の試料において、希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe(置換)量(x値)がキュリー点Tcに与える影響を示した図面である。希土類元素(Pr+Ce)全体に占めるCe(置換)量(x値)が増加するにしたがって、キュリー点Tcが減少することがわかった。高いキュリー点Tc(350℃以上)を有する磁石を得る観点からは、(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)組成の場合には、Ce(置換)量が70%以内(x値が0.7以下)が好ましいことがわかった。但し、Co量を高めることで、キュリー点Tcを大幅に高めることができることから、Ce(置換)量は70%以内(x値が0.7以下)に制限されるものではないといえる。
(実験例8)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石の試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co10の各元素の組成比のうち、x=0.4とし、α=12をα=8、10、12、14の4変数として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性である、保磁力HcJ、残留磁束密度Bにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.4αFe72Co10(α=8〜14)組成の薄帯磁石の試料の希土類元素(Pr+Ce)量(α値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係につき図12に示す。
図12は、(Pr1−xCe12Fe72Co10(x=0〜1)組成の薄帯磁石の試料において、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)の変化が磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B)に与える影響を示した図面である。希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が増加するにしたがって、保磁力HcJが大きく増加することがわかった。一方、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が増加するにしたがって、残留磁束密度Bはα=10まで穏やかに増加し、α=10で最大値をとり、その後、急激に減少することがわかった。
(実験例9)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石の試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)及びCe量(x値)の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCeαFe84−αCo10の各元素の組成比のうち、x、α、84−αを下記表1に示す値として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。なお表1の組成式では、Pr量は、(1−x)×αの値で表記し、Ce量はx×αの値で表記した。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を表1に示す温度(600〜700℃)で実施した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性である、保磁力HcJ、残留磁束密度Bにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCeαFe84−αCo10(x=0〜0.4、α=8〜14)組成の薄帯磁石の試料の希土類元素(Pr+Ce)量(α値)、Ce量(x値)、γ値及び熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度Bとの関係を、下記表1に示す。
表1より、(Pr1−xCeαFe84−αCo10(x=0〜0.4、α=8〜14)組成の薄帯磁石の試料において、x=0〜0.4のいずれの場合も、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が8〜14まで増加するにしたがって、保磁力HcJが大きく増加することがわかった。一方、x=0.4の場合には、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が増加するにしたがって、残留磁束密度Bはα=10まで穏やかに増加し、α=10で最大値をとり、その後、急激に減少することがわかった。一方、x=0〜0.2の場合には、α=8で残留磁束密度Bは最大値をとり、その後、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が増加するにしたがって、残留磁束密度Bは減少することがわかった。また、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)が増加するにしたがって、最大エネルギー積(BH)maxはα=10(x=0.2)又はα=12(x=0、0.4)まで増加し、α=10又はα=12で最大値をとり、その後、減少することがわかった。
(実験例10)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石の試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)及びCe量(x値)の変化と保磁力HcJとの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCeαFe84−αCo10の各元素の組成比のうち、x=0〜0.4とし、α=8〜14とし、84−α=70〜76(y=8〜14))として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。なお図13の組成式では、Pr量は、(1−x)×αの値で表記し、Ce量はx×αの値で表記した。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性である、保磁力HcJにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCeαFe84−αCo10(x=0〜0.4、α=8〜14)組成の薄帯磁石の試料の希土類元素(Pr+Ce)量(α値)、Ce量(x値)、Fe量の変化と保磁力HcJとの関係を図13に示す。
図13より、(Pr1−xCeαFe84−αCo10(x=0〜0.4、α=8〜14、84−α=70〜76)組成の薄帯磁石の試料のうち、希土類元素量であるα=14で、Ce量であるx=0.4の場合に、保磁力HcJが最も大きくなることがわかる。以下、希土類元素量であるα=12で、Ce量であるx=0.4の場合、希土類元素量であるα=10で、Ce量であるx=0.2の場合、希土類元素量であるα=8で、Ce量であるx=0の場合の順に、保磁力HcJが小さくなることがわかる。更に保磁力HcJが最も大きくなる希土類元素量であるα=14で、Ce量であるx=0.4の場合、他の薄帯磁石の試料の保磁力の2倍以上の高い保磁力を有することがわかる。この理由としては、希土類量が増加していることから、(PrCe)(Fe,Co)14B主相の比率が増え、異方性磁界が増加しているものと考えられる。
(実験例11)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、結晶構造を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co106+β(β=0)の各元素の組成比のうち、x=0.4とし、β=0をβ=2、4、6の3変数として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を10、15、17.5及び20m/secに変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料の結晶構造につき、CuKα管球の粉末X線回折装置(XRD)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2、4、6)組成の薄帯磁石の各試料につき、ロール周速度と結晶構造の関係を図14(A)〜図14(C)に示す。
図14(A)〜(C)より、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2〜6)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度の上昇に伴い、非晶質となることがわかった。図14(A)は、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料の場合のロール周速度と結晶構造の関係を示す図面であり、ロール周速度が20m/secまで上昇しても、おおむねすべての回折ピークに指数付けが可能であり、これらは、ほぼRFe14B相とα−Fe相であることがわかった。図14(B)は、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=4)組成の薄帯磁石の試料の場合のロール周速度と結晶構造の関係を示す図面であり、ロール周速度が15m/secまで上昇しても、すべての回折ピークに指数付けが可能であり、これらはほぼRFe14B結晶相単相であることがわかった。しかし、ロール周速度が17.5m/sec以上になると、明確な回折ピークが得られず、非晶質となることがわかった。図14(C)は、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=6)組成の薄帯磁石の試料の場合のロール周速度と結晶構造の関係を示す図面であり、ロール周速度が10m/secの場合、回折ピークに指数付けが可能であり、これらは、ほぼRFe14B相とα−Fe相であることがわかった。しかし、ロール周速度が15m/sec以上になると、明確な回折ピークが得られず、非晶質となることがわかった。
(実験例12)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)と熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co106+β(β=0)の各元素の組成比のうち、x=0.4、β=2として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を10、15、17.5及び20m/secに変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を550℃、650℃、700℃及び750℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)maxにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2)組成の薄帯磁石の各試料につき、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を図15(A)〜図15(D)に示す。
図15(A)〜図15(D)より、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度10〜20m/secの範囲で、なおかつ熱処理温度550〜750℃の範囲であれば、一定の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)max)が得られることがわかる。なかでも、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度の17.5m/secの場合に、熱処理温度550℃で最適な保磁力HcJとなることがわかった(図15(C)の丸で囲った点)。
(実験例13)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)と熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co106+β(β=0)の各元素の組成比のうち、x=0.4、β=4として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を10、15、17.5及び20m/secに変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を550℃、650℃、700℃及び750℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)maxにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=4)組成の薄帯磁石の各試料につき、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を図16(A)〜図16(D)に示す。
図16(A)〜〜図16(D)より、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=4)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度10〜20m/secの範囲で、なおかつ熱処理温度550〜750℃の範囲であれば、一定の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)max)が得られることがわかる。なかでも、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=4)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度の17.5m/secの場合に、熱処理温度600℃で最適な保磁力HcJとなることがわかった(図16(C)の丸で囲った点)。また、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=4)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度の15m/secの場合に、熱処理温度600℃で最適な残留磁束密度Bとなることがわかった(図16(B)の丸で囲った点)。
(実験例14)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)と熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe72Co106+β(β=0)の各元素の組成比のうち、x=0.4、β=6として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を10、15及び20m/secに変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を550℃、650℃、700℃及び750℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)maxにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=6)組成の薄帯磁石の各試料につき、ロール周速度ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を図17(A)〜図17(C)に示す。
図17(A)〜図17(C)より、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=6)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度10〜20m/secの範囲で、なおかつ熱処理温度550〜750℃の範囲であれば、一定の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)max)が得られることがわかる。なかでも、(Pr0.6Ce0.412Fe72Co106+β(β=6)組成の薄帯磁石の試料において、ロール周速度の10m/secの場合に、熱処理温度600℃で最適な保磁力HcJ及び残留磁束密度Bとなることがわかった(図17(A)の丸で囲った2点)。
(実験例15)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、Co量(y値)ごとの、キュリー点(Tc)を求め、更に熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)と熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCe12Fe82−yCo6+β(x=0〜1、y=10、β=0)の各元素の組成比のうち、x=0.4とし、β=2とし、yを10、20、30として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を17.5m/secで作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を550℃、600℃、650℃、700℃及び750℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)max及びキュリー点Tにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr0.6Ce0.412Fe82−yCo6+β(β=2、y=10〜30)組成の薄帯磁石の各試料につき、Co量(y値)ごとの、キュリー点(T)を求め、更に熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を図18(A)〜図18(C)に示す。
図18(A)〜図18(C)より、(Pr0.6Ce0.412Fe82−yCo6+β(β=2、y=10〜30)組成の薄帯磁石の試料において、Co量(y値)が増加するにしたがって、キュリー点Tも大幅に増加することがわかった。また、Co量であるy値が10〜30(y値が12〜32)の範囲で、なおかつ熱処理温度550〜750℃の範囲であれば、一定の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)max)が得られることがわかる。なかでも、(Pr0.6Ce0.412Fe82−yCo6+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料において、Co量であるy値が10の場合、熱処理温度550℃で最適な保磁力HcJ及び残留磁束密度Bとなることがわかった(図18(A)の丸で囲った2点)。また、(Pr0.6Ce0.412Fe82−yCo6+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料において、Co量であるy値が20の場合、熱処理温度600℃で最適な保磁力HcJ及び残留磁束密度Bとなることがわかった(図18(B)の丸で囲った2点)。さらに、(Pr0.6Ce0.412Fe82−yCo6+β(β=2)組成の薄帯磁石の試料において、Co量であるy値が30の場合も、熱処理温度600℃で最適な保磁力HcJ及び残留磁束密度Bとなることがわかった(図18(C)の丸で囲った2点)。
(実験例16)
図1に示す工程に従って、薄帯磁石試料を作製し、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を求めた。
詳しくは、実験例1の秤量工程(S1)と、液体急冷工程(S4)と熱処理工程(S5)を以下のように変更した以外は、実験例1と同様にして、薄帯磁石試料を作製した。
ここで、本実験例の秤量工程(S1)では、磁石組成(Pr1−xCeαFe94−α−yCo6+βの各元素の組成比のうち、x=0.4、αを14と16、y=10、β=2とし、として実施した以外は実験例1と同様にして、秤量工程(S1)を行った。上記磁石組成では、希土類(PrとCe)が化学量論比α=12よりも多い場合の、磁気特性への影響を調べている。
また、本実験例の液体急冷工程(S4)では、片ロール液体急冷装置の回転ロール5のロール周速度を17.5m/secで作製した以外は実験例1と同様にして、液体急冷工程(S4)を行った。
また、本実験例の熱処理工程(S5)では、熱処理温度を500℃、550℃、600℃、650℃及び700℃と変化させた試料をそれぞれ作製した以外は実験例1と同様にして、熱処理工程(S5)を行った。
次に、分析工程(S6)では、得られた薄帯磁石の各試料を着磁後に、磁気特性として、保磁力HcJ、残留磁束密度B、最大エネルギー積(BH)maxにつき、振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。(Pr1−xCeαFe94−α−yCo6+β(x=0.4、y=10、β=2)組成の薄帯磁石の各試料につき、希土類元素(Pr+Ce)量(α値)ごとの、熱処理温度の変化と保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)maxの関係を図19(A)〜図19(B)に示す。
図19(A)〜図19(B)より、(Pr1−xCeαFe94−α−yCo(x=0.4、y=10)組成の薄帯磁石の試料において、希土類元素(Pr+Ce)量であるα値が14及び16の範囲で、なおかつ熱処理温度500〜700℃の範囲であれば、一定の磁気特性(保磁力HcJ、残留磁束密度B及び最大エネルギー積(BH)max)が得られることがわかる。なかでも、(Pr1−xCeαFe94−α−yCo組成の薄帯磁石の試料において、希土類元素(Pr+Ce)量であるα値が14の場合、熱処理温度500℃で最適な保磁力HcJとなることがわかった(図19(A)の丸で囲った点)。また、(Pr1−xCeαFe94−α−yCo組成の薄帯磁石の試料において、希土類元素(Pr+Ce)量であるα値が16の場合、熱処理温度550℃で最適な保磁力HcJとなることがわかった(図19(B)の丸で囲った点)。
1 片ロール液体急冷装置、
2 石英射出管、
3 石英射出管2の下部の先端部(ノズル)、
4 高周波誘導装置、
5 水冷された銅製の回転ロール、
6 薄帯状の磁石合金(ストリップキャスト)、
50a 表面磁石型同期モータ、
50b 埋込磁石型同期モータ、
51 表面磁石型同期モータ用のロータの磁石、
53 表面磁石型同期モータ用のロータ、
55、55a 埋込磁石型同期モータ用の磁石、
57 埋込磁石型同期モータのロータ、
d 埋込磁石型同期モータのロータに設けられた埋込溝の厚さ。

Claims (6)

  1. 下記組成式(1)
    (式中、Rは、Nd元素以外の希土類元素の少なくとも1種を含むものであり、8≦α≦16、0≦β≦6、5≦y≦30である。)で表記される希土類磁石であって、該磁石のキュリー点が、350℃以上であることを特徴とする希土類磁石。
  2. 前記組成式(1)において、Rが(Pr1−xCe)で表され、0≦x≦1であり、5≦y≦30であることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石。
  3. 前記xが、0.2≦x≦0.6の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の希土類磁石。
  4. 液体急冷法において、不活性ガス中、液体急冷装置の回転ロールのロール周速度10〜40m/secの範囲で得られた薄帯状の磁石合金を用いて得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の希土類磁石。
  5. 液体急冷法において、前記薄帯状の磁石合金を、500〜800℃の範囲で2〜20分間熱処理を行うことにより得られたものであることを特徴とする請求項4に記載の希土類磁石。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の希土類磁石を用いたロータコアを有する自動車用永久磁石式モータ。
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