JP2016133622A - 記憶型表示装置、記憶型表示装置の駆動方法、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気泳動素子において、複数のマイクロカプセルを介して画素電極と対向する対向電極を、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2とで構成する。第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2は、マトリックス状に配置された画素の行方向を長手方向とする矩形形状に形成し、列方向において第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2とを交互に配置する。制御回路により、所定の周期の電圧波形を前記第1の対向電極に印加し、位相をずらして前記第2の対向電極に印加する。
【選択図】図8
Description
例えば、画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極との間に配置されたマイクロカプセルとを含むマイクロカプセル型の電気泳動素子を備えた電気泳動表示装置が提案されている。マイクロカプセルには、電気泳動粒子をマイクロカプセル内に分散させるための分散媒と、複数の白色粒子と、複数の黒色粒子とが封入されている。画素電極にはデータ信号を供給するデータ線が接続され、このデータ線を介して画素電極にデータ信号が書き込まれる。
電気泳動表示装置の駆動方法としては、例えば特許文献1のように、各画素の画素電極にローレベルかハイレベルの電圧を印加し、対向電極にローレベルとハイレベルの電圧を周期的に交互に印加するコモン振りと呼ばれる駆動方法が知られている。
しかしながら、従来の消去方法では、対向電極から画素電極へ向かう垂直方向、あるいは画素電極から対向電極へ向かう垂直方向の電界のみで白色粒子と黒色粒子の駆動を行っているため、白色粒子と黒色粒子とが互いに移動を阻害し、移動が円滑に行われない場合がる。その結果、前の表示画像が薄く残る、いわゆる残像が発生することがあった。
そこで、このような残像を発生させずに表示を白色で消去する方法として、例えば特許文献2のように、隣接画素の各々の画素電極と対向電極間の電位差を異ならせて消去を行う方法が提案されている。
このように、全ての画素において、階調が連続的に変化するのではなく、階調が変化する期間と変化しない期間とが交互に発生することになり、階調の変化の仕方が不連続であるために、ちらつきとして認識されることになる。
このちらつきは、対向電極に印加する電圧の周波数を高くすることで解消できるが、周波数を高くすると、浮遊容量による無駄な消費電力が増大したり、対向電極の抵抗による電圧波形の鈍りが生じて所定の電圧が印加できなくなり、より大きな電圧を供給する必要が生じるという課題がある。
本発明は、前記の事情を鑑みて成されたものであり、対向電極に印加する電圧の周波数を不要に高くすることなく、ちらつきを防止することができ、かつ、低消費電力かつ短時間で残像のない消去や画像の書き換えを可能とすることを解決課題の一つとする。
所定の周期の電圧波形を前記第1の対向電極に印加し、前記電圧波形を、位相をずらして前記第2の対向電極に印加する制御回路を備えることを特徴とする。
また、ローレベルの電圧を印加する画素電極の内、前記第1の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部部分には電場が生じて、その部分の階調が変化する。一方、前記第2の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部分には電場が生じず階調が変化しない。
次に、前記第1の対向電極にローレベルの電圧を印加し、前記第2の対向電極にはハイレベルの電圧を印加する期間では、ハイレベルの電圧を印加する画素電極の内、前記第1の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部分には電場が生じ、その部分の階調が変化する。一方、前記第2の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部分には電場が生じず階調が変化しない。
また、ローレベルの電圧の印加する画素電極の内、前記第1の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部分には電場が生じず、その部分の階調は変化しない。一方、前記第2の対向電極と対向する画素電極あるいは画素電極の一部部分には電場が生じて階調が変化する。
したがって、画素電極の電圧が同じ画素において、一方では階調の変化が生じる期間と階調の変化が生じない期間とが繰り返されると共に、他方では階調の変化が生じない期間と階調の変化が生じる期間とが繰り返される。その結果、表示部を見ている使用者にとっては混合されて見えるので、不連続な光学変化が平均化され滑らかな変化となってちらつきが軽減する。また、画素電極の電圧が同じであっても、それぞれに対向する対向電極に印加される電圧は互いに異なるので、電界が発生する際には、画素電極から対向電極へ向かう方向、あるいは、対向電極から画素電極へ向かう方向の垂直方向の電界だけでなく、隣り合う対向電極間において水平方向の電界が発生する。その結果、垂直方向と水平方向の電界が合成され、一つの画素においては、垂直方向の電界だけでなく、斜め方向の電界が発生し、画素境界の粒子が斜め方向に駆動されるので、粒子の移動方向が複数になり、移動が円滑になると考えられる。このように粒子の移動が円滑になるので、前の表示画像が薄く残る、いわゆる残像を発生させることなく、消去動作が行われる。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る記憶型表示装置の一例としての電気泳動表示装置100の主要構成を示す図である。同図に示すように、電気泳動表示装置100は、電気泳動パネル10と、制御回路20と、を備える。
制御回路20は、上位装置から供給される映像信号や同期信号などに基づいて、電気泳動パネル10の各部を統括的に制御する。
第1の電源線61と第2の電源線62が全画素回路Pに対して配列される。
図2は、画素回路Pの構成例を示す図である。図2においては、第i行(1≦i≦m)の第j列目(1≦j≦n)に位置する1個の画素回路(画素)Pのみを図示している。同図に示すように、画素回路Pは、電気泳動素子50と、選択スイッチTsと、メモリ回路25と、スイッチ回路35とを含む。
第1のトランスファーゲート36のソース側は、第1の電源線61と接続され、第2のトランスファーゲート37のソース側は、第2の電源線62と接続されている。トランスファーゲート36、37のドレイン側は、画素電極51に接続されている。
メモリ回路25のP−MOS25p1のゲート部及びN−MOS25n1のゲート部は、メモリ回路25の入力端子N1として機能する。入力端子N1は、選択スイッチTsのドレイン側と接続されるとともに、メモリ回路25の第1の出力端子N2(P−MOS25p2のドレイン側及びN−MOS25n2のドレイン側)と接続されている。
さらに、第1の出力端子N2は、第1のトランスファーゲート36のP−MOS36pのゲート部、及び第2のトランスファーゲート37のN−MOS37nのゲート部に接続されている。
第2の出力端子N3は、P−MOS25p1のドレイン側及びN−MOS25n1のドレイン側と接続されるとともに、第1のトランスファーゲート36のN−MOS36nのゲート部、及び第2のトランスファーゲート37のP−MOS37pのゲート部に接続されている。
スイッチ回路35は、メモリ回路25から入力されたデータ信号に基づいて、第1及び第2の電源線61、62の何れかを択一的に選択し、画素電極51と接続させるセレクタとして機能する。このとき、第1及び第2のトランスファーゲート36、37は、データ信号のレベルに応じて一方のみが動作する。
一方、データ信号としてメモリ回路25の入力端子N1にローレベルが入力されると、第1の出力端子N2からはローレベルが出力されるので、第1の出力端子N2(入力端子N1)に接続されたトランジスタのうち、P−MOS36pが動作し、また第2の出力端子N3と接続されたN−MOS36nが動作してトランスファーゲート36が駆動される。したがって、第1の電源線61と画素電極51とが電気的に接続される。
そして、動作した方のトランスファーゲートを介して、第1の電源線61又は第2の枝電源線62が画素電極51と導通し、画素電極51に電位が入力される。
また、メモリ回路25は、以上のように選択スイッチTsを介して入力されるデータ信号を保持することができる。したがって、メモリ回路25の状態、即ち、第1の出力端子の電圧状態がローレベルの時、第1の電源線61と画素電極51とが接続し、ハイレベルの時、第1の電源線62と画素電極51とが接続する。
表示素子の一例としての電気泳動素子50は、複数のマイクロカプセル53により構成されている。電気泳動素子50は、接着剤層31を用いて素子基板28と対向基板29の間で固定されている。すなわち、電気泳動素子50と両基板28、29との間に接着剤層31が形成されている。
なお、素子基板28側の接着剤層31は画素電極51面と接着するために必用なものであるが、対向基板29側の接着剤層31については必須ではない。これは、あらかじめ、対向基板29に対して、対向電極52と複数のマイクロカプセル53と対向基板29側の接着剤層31とを、一貫した製造工程で造り込んだあと、電気泳動シートとして取り扱う場合においては、接着剤層31として必用となるのは、素子基板28側の接着剤層31のみとなる場合が想定されるからである。
なお、電気泳動素子50は、あらかじめ対向基板29側に形成され、接着剤層31までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。また、接着剤層31側には、保護用の剥離紙が貼り付けられている。
製造工程においては、別途製造された、画素電極51や前記回路などが形成された素子基板28に対して、剥離紙を剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部30を形成している。このため、一般的な構成では、接着剤層31は画素電極51側のみに存在することになる。
マイクロカプセル53は球状体であり、その内部には、電気泳動粒子を分散させるための溶媒である分散媒54と、電気泳動粒子として複数の白色粒子(電気泳動粒子)55と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)56との帯電粒子が封入されている。本実施形態では、白色粒子はマイナスに帯電しており、黒色粒子はプラスに帯電している。なお、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、白色粒子をマイナスに帯電し、黒色粒子をプラスに帯電してもよい。
分散媒54としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを挙げることができる。
黒色粒子56は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
このため、白色粒子55及び黒色粒子56は、分散媒54中で画素電極51と対向電極52との間の電位差によって発生する電場中を移動することができる。
ここでは、白と黒の2粒子種で説明したが、1粒子種でもあるいは3以上の粒子種であっても良く、粒子の色も白と黒に限定されず、任意の有色粒子の組み合わせであっても良い。
また、マイクロカプセル内に粒子と分散媒を封入した構成に限らず、例えば素子基板28上に細かい空間に分割する隔壁をエポキシ樹脂等で形成し、この中に粒子と分散媒を充填し、共通電極52が形成された対向基板29を、接着層31で隔壁の頂部と接合した構造であっても良い。
他方、画素電極51と対向電極52との関係において、画素電極51が高電位、対向電極52が低電位の場合は、マイナスに帯電した黒色粒子56がマイクロカプセル53内で画素電極51側に泳動する。一方、プラスに帯電した白色粒子55はマイクロカプセル53内で対向電極52側に泳動する。これにより、マイクロカプセル53の表示面側(対向電極52側)には白色粒子55が集まることになり、観察側である対向電極52側からこの画素回路Pを見ると、白色粒子55の色である「白色」が認識される。
このように、画素電極51と対向電極52との間の電圧を、表示したい階調(明るさ)に応じた値に設定して、帯電粒子を泳動させることで、所望の階調表示を得ることができる。
したがって第i行の走査線32が選択されると、第i行の走査線32にハイレベルの電圧が印加されるので、第i行に属するn個の画素回路Pの選択スイッチTが一斉にオン状態に変化する。
ここで、第i行の第j列目に位置する画素回路Pに対してデータ信号Vxが供給される場合を想定する。この場合、データ線駆動回路44は、走査線駆動回路42が第i行の走査線32を選択するタイミングに同期して、当該画素回路Pに対して指定された階調(「指定階調」)に応じた大きさの電圧信号をデータ信号Vx[j]として第j列目のデータ線34に出力する。
なお、本実施形態では、指定階調は「黒」(ローレベル)と「白」(ハイレベル)の2値となっている。
このように、駆動部40は、第i行の走査線32を選択すると共に、第i行の第j列目に位置する画素回路Pの指定階調に応じた大きさのデータ信号Vx[j]を第j列目のデータ線34に出力する。
すると、当該データ信号Vx[j]は、オン状態の選択スイッチTs(図2参照)を介して、当該画素回路Pのメモリ回路25の入力端子N1に供給され、メモリ回路25の内容が指定階調にプログラムされる。これにより、当該画素回路Pの電気泳動素子50の両端間の電圧(画素電極51と共通電極52との間の電圧)が、当該画素回路Pの指定階調に応じた値に設定される。
このように、駆動部40は、第i行の走査線32を選択すると共に、第i行の第j列目に位置する画素回路Pの指定階調に応じた大きさのデータ信号Vx[j]を第j列目のデータ線34に出力する。
この動作を、当該画素回路Pに対するデータ信号Vx[j]のプログラムと称する。
シフトレジスター44−1は、制御回路20から供給されたクロック信号CKに従って、スタートパルスSPをシフトして、第1列のデータ線34に対応する1段目から、第n列のデータ線34に対応するn段目まで、順次、サンプリング信号s1〜snを出力する。
第1ラッチ回路44−2は、サンプリング信号s1〜snが入力された段から順次、当該サンプリング信号s1〜snに対応する期間、映像信号VIDEOを取り込み、第2ラッチ回路44−3へ出力する。なお、映像信号VIDEOは、制御回路20から第1ラッチ回路44−2へ供給される。
詳細には、例えば、i行目に対応する一行分のデータ信号Vx[1]〜Vx[n]を映像信号VIDEOから第1ラッチ回路44−2に取り込んだ後、ラッチパルスLATをアクティブにして、i行に対応した一行分のデータ信号Vx[1]〜Vx[n]を、第1列から第n列のデータ線34に同時に供給する。これと同期して、走査線駆動回路42は走査信号Gw[i]をアクティブレベルにする。
これによりi行上の全画素回路Pのメモリ回路25が指定階調にプログラムされる。
次に、本実施形態における対向電極52(52−1,52−2)と、対向電極52(52−1,52−2)への電圧の印加方法、並びに表示変更時の画素回路の光学変化について説明する。
図8に示すように、本実施形態における対向電極は、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2とを備えている。第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2は、行方向を長手方向とする矩形の電極であり、列方向に交互に並んで配置されている。第1の対向電極52−1は第1の共通電源線65に接続され、第2の対向電極52−2は第2の共通電源線66に接続されている。なお、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2の列方向の幅及び位置は、画素電極Pの列方向の幅及び位置と一致していなくても良い。
すると、メモリ回路25がローレベルにプログラムされている白色を表示している画素回路P0_0と画素回路P0_1の画素電極51には、駆動期間中に0Vの電圧を印加する。また、メモリ回路25がハイレベルにプログラムされている黒色を表示している画素回路P1_0と画素回路P1_1の画素電極51には、駆動期間中に15Vの電圧を印加する。また、第1共通電圧VCOM0として15Vと0Vを交互に繰り返す電圧を印加する。さらに、第2共通電圧VCOM1として0Vと15Vを交互に繰り返す電圧を印加する。
以上は第1の対向電極52−1と対向する画素回路Pと、第2の対向電極52−2と対向する画素回路Pの場合で説明したが、ある1つの画素回路Pの画素電極51が、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2の両方に対向した場合でも同じ効果が得られる。
次に、本発明の実施形態と比較される比較例について説明する。図15は、対向電極52が全ての画素回路に対して共通に設けられた比較例における各画素回路の光学応答を模式的に示している。比較例においては画素回路P0が白色を表示しており、メモリ回路25がローレベルにプログラムされていて、画素回路P1が黒色を表示して、メモリ回路25がハイレベルにプログラムされているものとする。
図15に示すように、駆動期間の最初の期間T1においては、白色を表示している画素回路P0の画素電極51には0Vの電圧が印加され、対向電極52には15Vの共通電圧VCOMが印加される。したがって、画素回路P0の対向電極52を基準とした画素電極51の電位差は−15Vとなり、負帯電の黒色粒子は対向電極52への移動を開始し、階調の変化が発生する。図15において画素回路P0の光学応答を模式的に示す実線は期間T1にて傾きを有する実線として描かれているが、これは階調の変化が生じていることを示している。
しかしながら、本実施形態においては、隣接する第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2に対応する同色の画素回路は、一方の階調の変化がある時には他方の階調の変化がなく、また、一方の階調の変化がない時には他方の階調の変化があるため、表示部を見ている使用者にとっては混合されて見えるので、不連続な光学変化が平均化され滑らかな変化となってちらつきが軽減する。したがって、本実施形態においては不必要に共通電圧VCOM0,VCOM1の周波数を高くしなくても良く、無駄な消費電力の増大を防ぎ、大きな電圧の供給をする必要もなくなる。
次に、本実施形態における消去時の画素回路の光学変化について説明する。消去時においては、図10に示すように、全ての画素回路の画素電極に例えば15Vの電圧を印加する。白色を表示していた画素回路P0−0,P0−1においては、第1の対向電極52−1または第2の対向電極52−1を基準とした画素電極の電位差が0Vの場合には階調の変化が発生しない。また、第1の対向電極52−1または第2の対向電極52−1を基準とした画素電極の電位差が15Vとなる場合でも、電界の方向は正帯電の白色粒子が第1の対向電極52−1または第2の対向電極52−1へ向かう方向なので、結局、階調の変化はなく、白色の表示が維持される。
以上は、第1の対向電極52−1に矩形電圧波形を印加し、第2の対向電極52−2には、この矩形電圧波形の位相をπラジアンずらしたものを印加する場合で説明した。
しかし、位相のずらしをπラジアンに限定するものではなく、例えばπ/8〜π/2ラジアンずらしても良く、あるいはずらした方が良い場合がある。
例えば、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2の間の電圧差が大きい期間が長くなると、水平方向へ帯電粒子の泳動し画像滲みが発生しやすくなる。
したがって、残像消去の効果が得られかつ画像滲みの無いように位相のずらし量を適宜設定しても良い。
また、電圧波形も、矩形波の他に、台形形状、三角波、鋸歯波、階段状波、正弦波等であっても良い。電圧波形形状は光学素子の電気光学特性等によって変更すべきもので、例えば、電気泳動素子の場合には駆動期間の初期に高い駆動電圧を印加し、対向電極52から粒子を引きはがして泳動しやすくして、その後比較的低い駆動波形にする場合には階段状波が適しており、光学素子が容量性の場合、過渡電流の増大を防止する為に、三角波や正弦波が適していす場合がある。従って、電圧波形形状についても適宜設定しても良い。
また、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2に印加する電圧波形は完全に同一形状である必要はなく、駆動期間の一部期間に含まれていても良い。
その結果、本実施形態においては、垂直方向の電界と水平方向の電界とが合成されて、斜め方向の電界が発生することになる。画素電極から対向電極、あるいは対向電極から画素電極へ向かう垂直方向の電界のみの場合には、白色粒子と黒色粒子とが互いに移動を阻害し、移動が円滑に行われない場合がる。その結果、前の表示画像が薄く残る、いわゆる残像が発生することがあった。しかし、斜め方向の電界が発生すると、画素境界の粒子が斜め方向に駆動されるので、粒子の移動方向が複数になり、移動が円滑になると考えられる。このように粒子の移動が円滑になるので、前の表示画像が薄く残る、いわゆる残像を発生させることなく、消去動作を行うことが可能である。
以上のように、本実施形態においては、隣接する画素回路の各々の画素電極と対向電極間の電位差が異なるようにプログラムを行わなくても、列方向に交互に配置された二種類の対向電極に、互いに異なる電圧が印加されているので、全ての画素回路の画素電極に例えば15Vの電圧を印加するという簡単な方法で斜め方向の電界を発生させることが可能となる。
従来の電気泳動表示装置においては、上述したように全ての画素回路に対して共通の対向電極を設けている。したがって、隣接する画素回路の各々の画素電極と対向電極間の電位差が異なるようにするには、隣接する各画素回路の画素電極同士に異なる電圧が印加されるように、各画素回路のメモリも回路に予めプログラムを行う必要がある。このプログラムを実行すると、1行ごとに全データ線の電位が必ずローレベル(例えば0V)とハイレベル(例えば15V)とで切り替わるため、データ線に付随する寄生容量により大きな消費電力が発生してしまうことがあった。また、全画面分をプログラムするのに時間を費やしてしまうことになる。
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照しつつ説明する。図11は第2実施形態における第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2の構成を示す図である。
図11に示すように、本実施形態における第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2は、いずれも矩形形状に形成されており、それぞれ格子状に配置されている。つまり、本実施形態においては、第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2は、行方向においても、また、列方向においても交互に配置されている。第1の対向電極52−1は第1の共通電源線65に接続、第2の対向電極52−2は第2の共通電源線66に接続される。
次に、本発明の第2実施形態について図12を参照しつつ説明する。図12は第3実施形態における第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2の構成を示す図である。図12に示すように、本実施形態においても第2実施形態と同様に、第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2は、いずれも矩形形状に形成されており、それぞれ格子状に配置されている。つまり、本実施形態においては、第1の対向電極52−1及び第2の対向電極52−2は、行方向においても、また、列方向においても交互に配置されている。図12において白色で表示している対向電極が第1の対向電極52−1であり、黒色で表示している対向電極が第2の対向電極52−2である。
以下、上述した各実施形態の変形例について説明する。説明の重複を避けるため、上述した一実施形態との相違点を説明し、共通の構成などに係る説明は省略する。
上述した第1実施形態においては、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2の形状を、行方向を長手方向とする矩形形状に形成した例について説明したが、本発明はこの構成に限定されているものではない。例えば、第1の対向電極52−1と第2の対向電極52−2の形状を、列方向を長手方向とする矩形形状に形成してもよい。
本発明を応用した電子機器を以下に例示する。図13及び図14には、以上に例示した電気泳動表示装置100を採用した電子機器の外観が図示されている。
図13は、電気泳動表示装置100を利用した携帯型の情報端末(電子書籍)310の斜視図である。図13に示すように、情報端末310は、利用者が操作する操作子312と、表示部314に画像を表示する電気泳動表示装置100とを含んで構成される。操作子312が操作されると表示部314の表示画像が変更される。
図14は、電気泳動表示装置100を利用した電子ペーパー320の斜視図である。図14に示すように、電子ペーパー320は、可撓性の基板(シート)322の表面に形成された電気泳動表示装置100を含んで構成される。
本発明が適用される電子機器は以上の例示に限定されない。例えば、携帯電話機や時計(腕時計),携帯型の音響再生装置,電子手帳,タッチパネル搭載型の表示装置など、各種の電子機器に本発明の電気泳動表示装置を採用することが可能である。
また、本発明の表示素子は、電気泳動素子に限定されるものではなく、飛翔粉粒体素子、液晶素子等にも適用可能である。したがって、本発明の記憶型表示装置は、電気泳動表示装置に限定されるものではなく、メモリー性を有する液晶表示装置にも適用可能である。また、電子機器の例としても、液晶表示装置を用いた情報端末、携帯電話機や時計(腕時計),携帯型の音響再生装置,電子手帳,タッチパネル搭載型の表示装置、タブレット、電子ブック、スマートフォンなど、各種の電子機器に本発明の記憶型表示装置を採用することが可能である。
Claims (7)
- マトリックス状に配置された複数の画素を備え、前記画素は、前記画素ごとに形成された複数の画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に挟持される表示素子とを備えた記憶型表示装置であって、
前記対向電極は、第1の対向電極と第2対向電極とを備え、
前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、行方向または列方向の少なくとも一方向に交互に並んで配置されており、
所定の周期の電圧波形を前記第1の対向電極に印加し、前記電圧波形を、位相をずらして前記第2の対向電極に印加する制御回路を備える、
ことを特徴とする記憶型表示装置。 - 前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、行方向を長手方向とする形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶型表示装置。 - 前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、矩形形状に形成されており、格子状に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶型表示装置。 - 前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、対角線上で接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の記憶型表示装置。 - 前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、静電容量型入力検出素子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項4に記載の記憶型表示装置。 - マトリックス状に配置された複数の画素を備え、前記画素は、前記画素ごとに形成された複数の画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に挟持される表示素子とを備え、前記対向電極は、第1の対向電極と第2対向電極とを備え、前記第1の対向電極と前記第2の対向電極は、行方向または列方向の少なくとも一方向に交互に並んで配置された記憶型表示装置の駆動方法であって、
所定の周期の電圧波形を前記第1の対向電極に印加する工程と、
前記電圧波形を、位相をずらして前記第2の対向電極に印加する工程と、を備える、
ことを特徴とする記憶型表示装置の駆動方法。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の記憶型表示装置を備える電子機器。
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