JP2016130010A - 積層膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、酸化物膜による金属膜の保護性能を向上可能で、かつサイドエッチングの発生を抑制した上で、一括エッチングすることの可能な積層体を提供することを課題とする。【解決手段】銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜11と、金属膜11の両面のうち、少なくとも一面に配置された酸化物膜12と、を有する積層膜10であって、酸化物膜12は、亜鉛、酸素、及び添加金属を含み、前記添加金属は、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属と、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属と、を含み、酸化物膜12中の全金属元素における前記第1の金属、前記第2の金属及び前記亜鉛の原子割合が、第1の金属;4〜20原子%、第2の金属;0.1〜5原子%、亜鉛;残とする。【選択図】図1
Description
本発明は、銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜と、金属膜の両面のうち、少なくとも一面に配置された酸化物膜と、を有する積層膜に関する。
従来、タッチパネルや太陽電池、有機ELデバイス等の電子デバイスにおいて、パターニングされた導電膜が広く使用されている。
特に、銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜(以下、「銀系金属膜」という)は、優れた導電性や高い反射率を有することから反射電極膜や配線膜として使用される。また、銀系金属膜は、厚さを薄く成膜すると高い透過率を得ることが可能であるため、透過電極膜や透過配線膜として使用される。
特に、銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜(以下、「銀系金属膜」という)は、優れた導電性や高い反射率を有することから反射電極膜や配線膜として使用される。また、銀系金属膜は、厚さを薄く成膜すると高い透過率を得ることが可能であるため、透過電極膜や透過配線膜として使用される。
ところで、銀系金属膜は、ガラス基板や樹脂フィルム基板に対しての密着性が低く、また、製造プロセス及び使用中の環境の湿気、硫黄等の化学物質による腐食が発生しやすい。
上記問題を解決するため、銀系金属膜の両面のうち、少なくとも一面に、導電性を有し、かつ密着機能及び保護機能を備えた酸化物薄膜を配置した積層膜を導電膜として用いることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、酸化物薄膜として、ITO膜、IZO膜、AZO膜、GZO膜等を用いることが開示されている。
上記問題を解決するため、銀系金属膜の両面のうち、少なくとも一面に、導電性を有し、かつ密着機能及び保護機能を備えた酸化物薄膜を配置した積層膜を導電膜として用いることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、酸化物薄膜として、ITO膜、IZO膜、AZO膜、GZO膜等を用いることが開示されている。
しかし、電子デバイス分野において、上記積層膜を電極として用いる場合、エッチング法により、積層膜を所望の形状にパターニングする必要がある。この場合、生産性の観点から、膜種の異なる膜が積層された積層膜を1回のエッチング処理で加工することが望まれる。
特許文献2には、非晶質ITO(酸化インジウム錫)等から成る透明導電膜のウエットエッチングに使用するエッチング剤として、シュウ酸とカルボン酸を含有する水溶液を用いることが開示されている。
一方、特許文献3には、透明導電膜および金属膜を含む2層または3層以上の積層膜を液で同時にエッチングするエッチング液組成物として、リン酸、硝酸、及び酢酸を配合してなるエッチング液組成物が開示されている。
特許文献2には、非晶質ITO(酸化インジウム錫)等から成る透明導電膜のウエットエッチングに使用するエッチング剤として、シュウ酸とカルボン酸を含有する水溶液を用いることが開示されている。
一方、特許文献3には、透明導電膜および金属膜を含む2層または3層以上の積層膜を液で同時にエッチングするエッチング液組成物として、リン酸、硝酸、及び酢酸を配合してなるエッチング液組成物が開示されている。
非特許文献1には、ディスプレイ用の透明電極を加工する際に使用するエッチング液が弱酸性であり、剥離液が弱アルカリ性であることや、弱アルカリ性の剥離液に対してZnO膜の溶解性が高すぎることが開示されている。
日本学術振興会 透明酸化物光・電子材料第166委員会、「透明導電膜の技術 改訂2版」、オーム社、平成18年12月、p. 171−172
しかしながら、特許文献2に開示されたエッチング剤を用いて積層膜をエッチングすると、銀系金属膜をエッチングすることが困難なため、積層膜を一括エッチングできないという問題があった。
一方、特許文献3に開示されたエッチング液組成物を用いた場合、透明電極膜としてZnO膜を含む積層膜を一括エッチングすることは可能である。しかし、特許文献3に開示されたエッチング液組成を用いて、透明電極膜としてZnO膜を含む積層膜をエッチングすると、銀系金属膜のエッチングレートと比較してZnO膜のエッチングレートが非常に遅くなってしまう。
このため、金属膜の側壁部が選択的にエッチングされ、積層膜の端部エッチング面において、金属膜より酸化物膜が大幅に出張る現象であるサイドエッチングが発生してしまうという問題があった。
このため、金属膜の側壁部が選択的にエッチングされ、積層膜の端部エッチング面において、金属膜より酸化物膜が大幅に出張る現象であるサイドエッチングが発生してしまうという問題があった。
また、ZnO膜は、耐熱性及び耐湿性がITO膜よりもかなり劣っており、特に耐アルカリ性が極めて弱い。このため、一般的なフォトリソグラフィプロセスを用いると、アルカリ性のレジスト剥離剤(例えば、ナガセケムテックス株式会社製のN−300)によって著しく劣化され、銀系金属膜の保護膜としての機能が不足してしまうという問題があった。よって、事実上は特許文献3に開示された技術でも、実用化できる一括エッチングは実現できたとは言い難い。
そこで、本発明は、酸化物膜の金属膜保護性能を向上可能であり、かつサイドエッチングの発生を抑制した上で、一括エッチングすることの可能な積層膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜と、前記金属膜の両面のうち、少なくとも一面に配置された酸化物膜と、を有する積層膜であって、前記酸化物膜は、亜鉛、酸素、及び添加金属を含み、前記添加金属は、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属と、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属と、を含み、酸化物膜中の全金属元素における前記第1の金属、前記第2の金属及び前記亜鉛の原子割合の原子割合が、第1の金属;4〜20原子%、第2の金属;0.1〜5原子%、亜鉛;残であることを特徴とする積層膜が提供される。
本発明によれば、亜鉛及び酸素をベースとする酸化物膜(ZnO膜)に、上記原子割合となるように、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属を含ませることにより、酸化物膜と金属膜とのエッチングレートの差を小さくすることが可能となるので、サイドエッチングの発生を抑制した上で、積層膜を一括エッチングできるとともに、アルカリ溶液により酸化物膜がエッチングされることを抑制できる。
また、亜鉛及び酸素をベースとする酸化物膜(ZnO膜)に、上記原子割合となるように、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属を含ませることにより、酸化物膜に十分な導電性を付与することができる。
また、亜鉛及び酸素をベースとする酸化物膜(ZnO膜)に、上記原子割合となるように、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属を含ませることにより、酸化物膜に十分な導電性を付与することができる。
上記積層膜に用いられる前記金属膜と前記酸化物膜において、前記金属膜と前記酸化物膜とを同一条件でエッチングした際、前記金属膜のエッチングレートを前記酸化物膜のエッチングレートで割ったエッチングレート比が、0.1〜10の範囲内であってもよい。
このように、金属膜と酸化物膜とを同一条件でエッチングした際、金属膜のエッチングレートを酸化物膜のエッチングレートで割ったエッチングレート比が、0.1〜10以下にすることで、積層膜を容易に一括エッチングできるとともに、エッチングされた積層膜の側壁の形状を良好な形状(具体的には、サイドエッチングが抑制された形状)に加工することができる。
上記積層膜において、前記金属膜に含まれる前記銀の含有量は、90原子%以上であってもよい。
このように、金属膜に含まれる銀の含有量を90原子%以上とすることで、金属膜の導電性を維持することができるとともに、積層膜の厚さ方向における金属膜のエッチングレートのばらつきを小さくすることが可能となるので、サイドエッチングの発生をより抑制することができる。
上記積層膜において、前記酸化物膜は、アモルファス膜(非晶質膜)であってもよい。
このように、酸化物膜をアモルファス膜(非晶質膜)とすることで、酸化物膜として結晶膜を用いた場合と比較して、結晶粒界がないため、粒界に沿った水分、有害不純物の移動が少なく、優れた耐湿性及び耐熱性を得ることが可能となる。
これにより、酸化物膜の金属膜保護性能を向上させることができる。さらに、酸化物膜をアモルファス(非晶質)にすることによって、酸化物のエッチングレートを金属膜のエッチングレートに近づけることが可能となるので、積層膜のエッチング性の向上に有効である。
これにより、酸化物膜の金属膜保護性能を向上させることができる。さらに、酸化物膜をアモルファス(非晶質)にすることによって、酸化物のエッチングレートを金属膜のエッチングレートに近づけることが可能となるので、積層膜のエッチング性の向上に有効である。
上記積層膜において、前記酸化物膜の厚さは、5nm以上50nm以下であってもよい。
酸化物膜の厚さを5nm以上50nm以下とすることで、金属膜保護性能を十分に確保できるとともに、エッチングされた側壁部に段差が形成されることを抑制できる。
上記積層膜において、前記金属膜の厚さは、5nm以上500nm以下であってもよい。
金属膜の厚さを5nm以上500nm以下とすることで、酸化物膜に対する密着性の低下を抑制でき、かつエッチング後の積層膜の側壁部の形状の悪化を抑制した上で、容易に金属膜をエッチングすることができる。
上記積層膜において、リン酸、硝酸、酢酸のうち、いずれか1種を含有するエッチング液またはエッチングペーストによりパターニングされていてもよい。
上記積層膜をパターニングする際に、リン酸、硝酸、酢酸のうち、いずれか1種を含有するエッチング液またはエッチングペーストを用いてエッチングすることで、サイドエッチングの発生を抑制した上で、積層膜を一括エッチングすることができる。
本発明によれば、酸化物膜の金属膜保護性能を向上でき、かつサイドエッチングの発生を抑制した上で、積層膜を一括エッチングすることができる。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態の積層膜10は、図1に示すように、銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜11と、金属膜11の両面のうち、少なくとも一面に配置された酸化物膜12と、を有する積層膜10であって、酸化物膜12は、亜鉛、酸素、及び添加金属を含み、添加金属は、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属と、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属と、を含み、酸化物膜12中の全金属元素における前記第1の金属、前記第2の金属及び前記亜鉛の原子割合の原子割合が、第1の金属;4〜20原子%、第2の金属;0.1〜5原子%、亜鉛;残となるように構成されている。
なお、本実施形態の積層膜10においては、図1に示すように、基板1の上面に、第1の酸化物膜12aと、金属膜11と、第2の酸化物膜12bと、が積層された構造とされている。
なお、本実施形態の積層膜10においては、図1に示すように、基板1の上面に、第1の酸化物膜12aと、金属膜11と、第2の酸化物膜12bと、が積層された構造とされている。
ここで、酸化物膜12中の全金属元素における第1の金属の原子割合を4〜20原子%とした理由について説明する。第1の金属の原子割合が4原子%よりも小さいと、NaOH溶液への耐性を十分に確保することができなく、高温高湿劣化による膜の抵抗変化が大きくなる傾向が強い。
一方、第1の金属の原子割合が20原子%よりも大きいと、得られた酸化物膜12の導電性が著しく低下し、さらに酸性溶液に対する酸化物膜12のエッチングレートを十分に確保することが困難となるため、酸化物膜12のエッチングが困難となる。
したがって、酸化物膜12中の全金属元素における第1の金属の原子割合を上記数値範囲内とすることで、積層膜10の導電性を維持しつつ、酸性溶液に対する酸化物膜12のエッチングレートを十分に確保して、金属膜11のエッチングレートを酸化物膜12のエッチングレートで割ったエッチングレート比が0.1〜10の範囲内となるように維持することができるとともに、アルカリ溶液への耐性を十分に確保することができる。
一方、第1の金属の原子割合が20原子%よりも大きいと、得られた酸化物膜12の導電性が著しく低下し、さらに酸性溶液に対する酸化物膜12のエッチングレートを十分に確保することが困難となるため、酸化物膜12のエッチングが困難となる。
したがって、酸化物膜12中の全金属元素における第1の金属の原子割合を上記数値範囲内とすることで、積層膜10の導電性を維持しつつ、酸性溶液に対する酸化物膜12のエッチングレートを十分に確保して、金属膜11のエッチングレートを酸化物膜12のエッチングレートで割ったエッチングレート比が0.1〜10の範囲内となるように維持することができるとともに、アルカリ溶液への耐性を十分に確保することができる。
次に、酸化物膜12中の全金属元素における第2の金属の原子割合を0.1〜5原子%とした理由について説明する。第2の金属の原子割合が0.1原子%よりも小さいと、酸化物膜12の電気抵抗が高くなるため、積層膜10の電気抵抗が高くなり、積層膜10を電極に適用させにくくなってしまう。
一方、第2の金属の原子割合が5原子%よりも大きいと、酸化物膜12が結晶化しやすくなるため、酸化物膜12の結晶粒界が形成され、金属膜11への保護効果が低下し、高温高湿条件下における積層膜10の抵抗劣化が激しい。
したがって、酸化物膜12中の全金属元素における第2の金属の原子割合を上記範囲内とすることで、酸化物膜12の電気抵抗の上昇を抑制できるとともに、高温高湿条件下における積層膜10の特性の低下を抑制することができる。
一方、第2の金属の原子割合が5原子%よりも大きいと、酸化物膜12が結晶化しやすくなるため、酸化物膜12の結晶粒界が形成され、金属膜11への保護効果が低下し、高温高湿条件下における積層膜10の抵抗劣化が激しい。
したがって、酸化物膜12中の全金属元素における第2の金属の原子割合を上記範囲内とすることで、酸化物膜12の電気抵抗の上昇を抑制できるとともに、高温高湿条件下における積層膜10の特性の低下を抑制することができる。
上記積層膜10は、タッチパネルや太陽電池、有機ELデバイス等の電子デバイスにおいて、エッチング法によりパターニングされることで、例えば、電極として機能する。
上記積層膜10は、金属膜11の厚さが20nm以下の場合には透明電極膜として用いることができ、80nm以上の場合には反射膜として用いることができる。
上記積層膜10は、金属膜11の厚さが20nm以下の場合には透明電極膜として用いることができ、80nm以上の場合には反射膜として用いることができる。
上記積層膜10が、基材1として樹脂フィルムを用い、樹脂フィルムに酸化物膜12を介して、金属膜11を設ける場合には、樹脂フィルムのバリア性が低いため、図1に示すように、金属膜11の両面に酸化物膜12を配置するとよい。
上記積層膜10に用いられる金属膜11及び酸化物膜12において、例えば、金属膜11と酸化物膜12とを同一条件でエッチングした際、金属膜11のエッチングレートを酸化物膜12のエッチングレートで割ったエッチングレート比を、0.1〜10の範囲内にするとよい。
上記エッチングレート比を0.1よりも小さくなると、酸化物膜12が先にエッチングされて、金属膜11がエッチングされない現象が生じ、金属膜11のエッチング残によるエッチング断面の欠陥が発生する恐れがある。一方、エッチングレート比が10よりも大きいと、酸化物膜12のエッチング残によるサイドエッチングが発生する恐れがある。
したがって、エッチングレート比を0.1〜10の範囲内とすることで、金属膜11のエッチング残によるエッチング断面の欠陥の発生を抑制できるとともに、酸化物膜12のエッチング残によるサイドエッチングの発生を抑制できる。
上記エッチングレート比を0.1よりも小さくなると、酸化物膜12が先にエッチングされて、金属膜11がエッチングされない現象が生じ、金属膜11のエッチング残によるエッチング断面の欠陥が発生する恐れがある。一方、エッチングレート比が10よりも大きいと、酸化物膜12のエッチング残によるサイドエッチングが発生する恐れがある。
したがって、エッチングレート比を0.1〜10の範囲内とすることで、金属膜11のエッチング残によるエッチング断面の欠陥の発生を抑制できるとともに、酸化物膜12のエッチング残によるサイドエッチングの発生を抑制できる。
上記積層膜10において、金属膜11に含まれる銀の含有量は、例えば、90原子%以上であってもよい。
上記積層膜10において、酸化物膜12は、例えば、アモルファス膜であってもよい。
上記積層膜10において、酸化物膜12の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下であってもよい。
上記積層膜10において、酸化物膜12は、例えば、アモルファス膜であってもよい。
上記積層膜10において、酸化物膜12の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下であってもよい。
上記積層膜10においては、例えば、リン酸、硝酸、酢酸のうち、いずれか1種を含有するエッチング液またはエッチングペーストによりパターニングされていてもよい。
エッチング液としてリン酸を用いる場合、その濃度は、例えば、30体積%〜70体積%の範囲内を用いることができる。エッチング液として硝酸を用いる場合、その濃度は、例えば、5体積%〜20体積%の範囲内を用いることができる。
また、エッチング液として酢酸を用いる場合、その濃度は、例えば、5体積%〜25体積%の範囲内を用いることができる。
リン酸、硝酸、及び酢酸を混合させたものをエッチング液として使用する場合、エッチング液の組成は、例えば、リン酸:硝酸:酢酸=50〜65体積%:1〜15体積%:5〜35体積%とすることができる。
エッチングペーストとしては、例えば、有機質のペースト基材に、リン酸、硝酸、酢酸またはシュウ酸を合計で10体積%〜50体積%添加したものを用いることができる。このようなエッチングペーストとしては、例えば、株式会社アサヒ化学研究所製のEP−4011T等を例示することができる。
エッチング液としてリン酸を用いる場合、その濃度は、例えば、30体積%〜70体積%の範囲内を用いることができる。エッチング液として硝酸を用いる場合、その濃度は、例えば、5体積%〜20体積%の範囲内を用いることができる。
また、エッチング液として酢酸を用いる場合、その濃度は、例えば、5体積%〜25体積%の範囲内を用いることができる。
リン酸、硝酸、及び酢酸を混合させたものをエッチング液として使用する場合、エッチング液の組成は、例えば、リン酸:硝酸:酢酸=50〜65体積%:1〜15体積%:5〜35体積%とすることができる。
エッチングペーストとしては、例えば、有機質のペースト基材に、リン酸、硝酸、酢酸またはシュウ酸を合計で10体積%〜50体積%添加したものを用いることができる。このようなエッチングペーストとしては、例えば、株式会社アサヒ化学研究所製のEP−4011T等を例示することができる。
なお、リン酸、硝酸、酢酸を含有したエッチング液或いはエッチングペーストを用いて積層膜10をパターニングしてもよいし、さらにシュウ酸を含んだエッチング液或いはエッチングペーストを用いて積層膜10をパターニングしてもよい。
本実施の形態の積層膜10によれば、亜鉛及び酸素をベースとする酸化物膜12(ZnO膜)に、上記原子割合となるように、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属を含ませることにより、酸化物膜12と金属膜11とのエッチングレートの差が小さくすることが可能となるので、サイドエッチングの発生を抑制した上で、積層膜10を一括エッチングできるとともに、アルカリ溶液により酸化物膜12の劣化が抑制できる。
また、亜鉛及び酸素をベースとする酸化物膜12(ZnO膜)に、上記原子割合となるように、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属を含ませることにより、酸化物膜12に十分な導電性を付与することができる。
上記積層膜10に用いられる金属膜11と酸化物膜12において、金属膜11と酸化物膜12とを同一条件でエッチングした際のエッチングレート比を0.1〜10の範囲内とすることで、積層膜10を容易に一括エッチングできるとともに、エッチングされた積層膜10の側壁の形状を良好な形状(具体的には、サイドエッチングが抑制された形状)に加工することができる。
また、上記積層膜10において、金属膜11に含まれる銀の含有量を90原子%以上とすることで、Ag系膜である金属膜11の導電性を維持できるとともに、積層膜10の厚さ方向における金属膜11のエッチングレートのばらつきを小さくすることが可能となるので、サイドエッチングの発生をより抑制することができる。
また、上記積層膜10において、酸化物膜12としてアモルファス膜(非晶質膜)を用いることで、酸化物膜12として結晶膜を用いた場合と比較して、優れた耐湿性及び耐熱性を得ることが可能となる。これにより、酸化物膜12の金属膜保護性能を向上させることができる。
酸化物膜12の厚さが5nmよりも薄いと、使用環境によっては金属膜11の保護効果が不十分となるおそれがある。一方、酸化物膜12の厚さが50nmよりも厚いと、酸化物膜12の応力による酸化物膜12―金属膜11(Ag系膜)間に密着性欠陥が発生しやすく、密着性不足によるサイドエッチングの激化や高温高湿環境においての積層膜10の抵抗、透明性の劣化が著しく発生するおそれがある。
さらに、酸化物膜12の厚さが厚くなると、エッチングしづらくなるため、エッチング条件によってはエッチングされた側壁部に段差等が形成されてしまうおそれがある。
したがって、酸化物膜12の厚さを5nm以上50nm以下の範囲内とすることで、十分な金属膜保護性能を確保できるとともに、エッチングされた側壁部に段差が形成されることを確実に抑制できる。
さらに、酸化物膜12の厚さが厚くなると、エッチングしづらくなるため、エッチング条件によってはエッチングされた側壁部に段差等が形成されてしまうおそれがある。
したがって、酸化物膜12の厚さを5nm以上50nm以下の範囲内とすることで、十分な金属膜保護性能を確保できるとともに、エッチングされた側壁部に段差が形成されることを確実に抑制できる。
金属膜11の厚さが5nmよりも薄いと、使用用途によっては十分な導電性を得ることができなく、高温高湿環境での透明性の低下や導電性の劣化が顕著になるおそれがある。また、金属膜11の厚さが5nmよりも薄いと、金属膜11が容易にエッチングされてしまうため、エッチング条件によってはエッチング後の積層膜10の側壁部の形状が悪くなってしまうおそれがある。
一方、金属膜11の厚さが500nmよりも厚いと、成膜条件によっては金属膜11の表面が粗くなりやすいため、酸化物膜12が金属膜11の表面を均一に覆うことが困難となる場合がある。これにより、エッチング処理後の積層膜10において、欠陥が発生しやすくなってしまうおそれがある。
また、金属膜11の厚さが500nmよりも厚いと、金属膜11に比較的大きな応力が発生することがあるため、酸化物膜12に対する密着性が低下するおそれがある。さらに、厚さが厚いと、金属膜11をエッチングしづらくなってしまうおそれがある。
一方、金属膜11の厚さが500nmよりも厚いと、成膜条件によっては金属膜11の表面が粗くなりやすいため、酸化物膜12が金属膜11の表面を均一に覆うことが困難となる場合がある。これにより、エッチング処理後の積層膜10において、欠陥が発生しやすくなってしまうおそれがある。
また、金属膜11の厚さが500nmよりも厚いと、金属膜11に比較的大きな応力が発生することがあるため、酸化物膜12に対する密着性が低下するおそれがある。さらに、厚さが厚いと、金属膜11をエッチングしづらくなってしまうおそれがある。
したがって、金属膜11の厚さを5nm以上500nm以下とすることで、酸化物膜12に対する密着性の低下を確実に抑制でき、かつエッチング後の積層膜10の側壁部の形状の悪化を抑制した上で、容易に金属膜11をエッチングすることができる。
また、上記積層膜10において、リン酸、硝酸、酢酸のうち、いずれか1種を含有するエッチング液またはエッチングペーストによりパターニングすることで、サイドエッチングの発生を抑制した上で、積層膜10を一括エッチングすることができる。
ここで、本実施の形態の積層膜10の製造方法について、簡単に説明する。ここでは、一例として、基板1の上面に、第1の酸化物膜12aと、金属膜11と、第2の酸化物膜12bと、を順次積層形成する場合(つまり、三層構造の積層体を形成する場合)を例に挙げて説明する。
始めに、スパッタリング法により、基板1の表面に、上述した酸化物膜12の組成及び厚さとされた第1の酸化物膜12aを形成する。
基板1としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム、樹脂板、金属板、金属箔等を用いることができる。ガラス基板としては、例えば、無アルカリガラス基板であるコーニング社製のEagle XGを用いることができる。また、樹脂フィルム基板としては、例えば、東レ株式会社のPETフィルムであるルミラーT60(厚さ180μm)を用いることができる。
成膜時における基板1の動きの方式は、例えば、静止対向方式やインライン方式等を用いることができる。
基板1としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム、樹脂板、金属板、金属箔等を用いることができる。ガラス基板としては、例えば、無アルカリガラス基板であるコーニング社製のEagle XGを用いることができる。また、樹脂フィルム基板としては、例えば、東レ株式会社のPETフィルムであるルミラーT60(厚さ180μm)を用いることができる。
成膜時における基板1の動きの方式は、例えば、静止対向方式やインライン方式等を用いることができる。
第1の酸化物膜12aは、例えば、酸化物ターゲット、または金属相を含む酸化物ターゲットを用いて成膜することができる。
また、上記方法に替えて、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、第1の酸化物膜12aを成膜してもよい。また、ターゲットの形状は、平板形状でもよいし、円筒形状でもよい。
第1の酸化物膜12aを成膜する場合、必要に応じて、スパッタガスに酸素を添加させることで、第1の酸化物膜12aの透明性を向上させることができる。
また、上記方法に替えて、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、第1の酸化物膜12aを成膜してもよい。また、ターゲットの形状は、平板形状でもよいし、円筒形状でもよい。
第1の酸化物膜12aを成膜する場合、必要に応じて、スパッタガスに酸素を添加させることで、第1の酸化物膜12aの透明性を向上させることができる。
第1の酸化物膜12aを成膜する装置としては、例えば、マグネトロンスパッタ装置が好ましい。この場合、電源としては、例えば、直流(DC)電源、高周波(RF)電源、中周波(MF)電源、または交流(AC)電源を用いることが可能である。
次いで、スパッタリング法により、第1の酸化物膜12aの上面に、上述した組成及び厚さとされた金属膜11を形成する。このとき、第1の酸化物膜12aの成膜に使用したスパッタ装置を用いることができる。
その後、第1の酸化物膜12aの形成方法と同様な手法により、金属膜11の上面に、上述した酸化物膜12の組成及び厚さとされた第2の酸化物膜12bを形成する。これにより、三層構造とされた積層膜10が製造される。
その後、第1の酸化物膜12aの形成方法と同様な手法により、金属膜11の上面に、上述した酸化物膜12の組成及び厚さとされた第2の酸化物膜12bを形成する。これにより、三層構造とされた積層膜10が製造される。
なお、ここでは、スパッタリング法を用いて、第1の酸化物膜12a、金属膜11、及び第2の酸化物膜12bを形成する場合を例に挙げて説明したが、例えば、アトミックレイヤーデポジション法(ALD法、或いは原子層堆積法ともいう)により、第1の酸化物膜12a、金属膜11、及び第2の酸化物膜12bを形成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図2に示すように、基板1の上に金属膜11が形成され、この金属膜11の上に酸化物膜12が形成された積層膜10であってもよい。
また、図3に示すように、基板1の上に酸化物膜12が形成され、この酸化物膜12の上に金属膜11が形成された積層膜10であってもよい。
また、図3に示すように、基板1の上に酸化物膜12が形成され、この酸化物膜12の上に金属膜11が形成された積層膜10であってもよい。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。
(ターゲットの準備、及びターゲットの組成測定)
始めに、酸化物膜形成用ターゲットとして、表1に示す組成とされた酸化物ターゲットA1〜A13,B1〜B9を準備した。なお、表1に示すターゲットA1〜A14,B1〜B6の組成は、使用済のターゲットA1〜A14,B1〜B9の欠片を、日本ジャーレルアッシュ株式会社製のICP発光分析装置であるICAP−55を用いて分析することで取得した。
始めに、酸化物膜形成用ターゲットとして、表1に示す組成とされた酸化物ターゲットA1〜A13,B1〜B9を準備した。なお、表1に示すターゲットA1〜A14,B1〜B6の組成は、使用済のターゲットA1〜A14,B1〜B9の欠片を、日本ジャーレルアッシュ株式会社製のICP発光分析装置であるICAP−55を用いて分析することで取得した。
次いで、金属膜形成用ターゲットとして、表2に示す組成(上述した手法により取得)とされた金属ターゲットC1〜C10,D1,D2を準備した。
次いで、従来酸化物膜形成用ターゲットとして、表3に示す組成(上述した手法により取得)とされた酸化物ターゲットE,Fを準備した。酸化物ターゲットEは、従来の酸化物膜であるITO膜を成膜するためのターゲットである。酸化物ターゲットFは、従来の酸化物膜であるIZO膜を成膜するためのターゲットである。
上記各ターゲットの直径は、152.4mmとした。
上記各ターゲットの直径は、152.4mmとした。
(酸化物膜の作製及び特性評価)
<酸化物膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、表1に示すターゲットA1を用いた直流スパッタリング法により、無アルカリガラス基板(サイズが50μm□、厚さ0.7mm)の上面に厚さ200nmの酸化物膜A1−1を成膜した。その後、同様な手法により、基板の上面に厚さ1000nmの酸化物膜A1−1が形成された構造体と、基板の上面に厚さ100nmの酸化物膜A1−1が形成された構造体と、を作製した。
<酸化物膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、表1に示すターゲットA1を用いた直流スパッタリング法により、無アルカリガラス基板(サイズが50μm□、厚さ0.7mm)の上面に厚さ200nmの酸化物膜A1−1を成膜した。その後、同様な手法により、基板の上面に厚さ1000nmの酸化物膜A1−1が形成された構造体と、基板の上面に厚さ100nmの酸化物膜A1−1が形成された構造体と、を作製した。
上記スパッタ時におけるスパッタガスとしては、高純度Ar及び高純度酸素を用い、スパッタガスに1体積%の酸素を含ませた状態で成膜を行った。また、スパッタチャンバー内をアルゴン雰囲気とし、スパッタチャンバー内の圧力を0.6Paとした。また、スパッタする際に投入する直流電力の密度は、2.2W/cm2とした。
その後、上述した酸化物膜A1−1の成膜方法と同様な手法により、表1に示すターゲットA2〜A14,B1〜B9を用いて、基板の上面に厚さ100nm、厚さ200nm、厚さ1000nmの酸化物膜A2−1〜A14−1,B1−1〜B9−1が形成された構造体と、を作製した。
一方、ターゲットB5及びB7は、上記直流電力を用いてスパッタすると、異常放電が多く発生したため、パルスDC電源を用いて成膜を行った。パルスDCの電力密度は2.2W/cm2とした。
ターゲットB6及びB9は、抵抗が高いため直流及びパルスDCでのスパッタができなく、高周波(RF)電源を用いて成膜を行った。スパッタする際に投入する電力の密度は、2.2W/cm2とした。
一方、ターゲットB5及びB7は、上記直流電力を用いてスパッタすると、異常放電が多く発生したため、パルスDC電源を用いて成膜を行った。パルスDCの電力密度は2.2W/cm2とした。
ターゲットB6及びB9は、抵抗が高いため直流及びパルスDCでのスパッタができなく、高周波(RF)電源を用いて成膜を行った。スパッタする際に投入する電力の密度は、2.2W/cm2とした。
次いで、基板の上面に厚さ100nmの酸化物膜A1−1〜A14−1,B1−1〜B9−1が形成された構造体を用いて、エッチング特性評価用サンプルを作製した。
具体的には、周知のフォトリソ技術により、酸化物膜A1−1〜A14−1,B1−1〜B9−1の上面に、厚さが約100μm、幅が10μm、間隔が20μmとされたリボン状レジストパターンを形成することで、エッチング特性評価用サンプルを作製した。
具体的には、周知のフォトリソ技術により、酸化物膜A1−1〜A14−1,B1−1〜B9−1の上面に、厚さが約100μm、幅が10μm、間隔が20μmとされたリボン状レジストパターンを形成することで、エッチング特性評価用サンプルを作製した。
<酸化物膜の組成分析及び結晶構造の評価>
次いで、基板から、厚さが1000nmとされた酸化物膜を剥離させた。
その後、上述したICP発光分析装置を用いて、剥離された酸化物膜の組成分析を行った。この結果を表4に示す。
また、酸化物膜をX線回折測定することで、酸化物膜の結晶構造を確認した。この結果を表4に示す。X線回折測定には、株式会社リガク社製のUltima IVを用いた。
次いで、基板から、厚さが1000nmとされた酸化物膜を剥離させた。
その後、上述したICP発光分析装置を用いて、剥離された酸化物膜の組成分析を行った。この結果を表4に示す。
また、酸化物膜をX線回折測定することで、酸化物膜の結晶構造を確認した。この結果を表4に示す。X線回折測定には、株式会社リガク社製のUltima IVを用いた。
<酸化物膜のエッチング速度の評価>
次いで、基板であるシリコンウェハ―(サイズが50μm□)の上面に厚さ200nmの酸化物膜が形成されたエッチング特性評価用サンプルを用いて、下記手法により、酸化物膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。
次いで、基板であるシリコンウェハ―(サイズが50μm□)の上面に厚さ200nmの酸化物膜が形成されたエッチング特性評価用サンプルを用いて、下記手法により、酸化物膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。
始めに、40℃の温度に保持させた関東化学社製のエッチング液であるSEA−2に、上記エッチング特性評価用サンプルを5sec(エッチング時間)浸漬させ、その後、上記エッチング液からエッチング特性評価用サンプルを取り出し、水洗させた後、乾燥させた。
次いで、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(TEM)であるJEM2010Fを用いて、エッチングされた部分の酸化物膜の厚さ(残膜)と、リボン状レジストパターンに覆われて、エッチングされていない部分の酸化物膜の厚さと、を観察し、エッチング前後の酸化物膜の厚さを求めた。
その後、エッチング前の厚さからエッチング後の厚さを引いた値を上記エッチング時間で割ることで、酸化物膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。この結果を表4に示す。
その後、エッチング前の厚さからエッチング後の厚さを引いた値を上記エッチング時間で割ることで、酸化物膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。この結果を表4に示す。
<酸化物膜の耐アルカリ性の評価>
無アルカリガラス基板(サイズが50μm□)上に厚さ200nmの酸化物膜が形成された構造体を用いて、酸化物膜の耐アルカリ性の評価を行った。
具体的には、温度が40℃とされた1重量%NaOH水溶液に、上記構造体を20分間浸漬させた際の外観の変化を目視で検査した。このとき、外観に変化が見られなかったものを○と評価し、外観に少し変色や斑点が確認できたものを△と評価し、外観に大きな変色が見られたものや完全に溶解したものを×と評価した。この結果を表4に示す。
無アルカリガラス基板(サイズが50μm□)上に厚さ200nmの酸化物膜が形成された構造体を用いて、酸化物膜の耐アルカリ性の評価を行った。
具体的には、温度が40℃とされた1重量%NaOH水溶液に、上記構造体を20分間浸漬させた際の外観の変化を目視で検査した。このとき、外観に変化が見られなかったものを○と評価し、外観に少し変色や斑点が確認できたものを△と評価し、外観に大きな変色が見られたものや完全に溶解したものを×と評価した。この結果を表4に示す。
<高温高湿試験の評価>
無アルカリガラス基板(サイズが50mm□)上に厚さ200nmの酸化物膜が形成された構造体を、温度が80℃で湿度が85%の雰囲気中に250時間放置する前後に、酸化物膜の抵抗を、三菱ガス化学社製四探針抵抗測定機を用いて測定した。
そして、下記(1)式により、抵抗変化率を求めた。この抵抗変化率を表4に示す。
抵抗変化率(%)=放置前の抵抗値の変化/放置前の抵抗値×100・・・(1)
無アルカリガラス基板(サイズが50mm□)上に厚さ200nmの酸化物膜が形成された構造体を、温度が80℃で湿度が85%の雰囲気中に250時間放置する前後に、酸化物膜の抵抗を、三菱ガス化学社製四探針抵抗測定機を用いて測定した。
そして、下記(1)式により、抵抗変化率を求めた。この抵抗変化率を表4に示す。
抵抗変化率(%)=放置前の抵抗値の変化/放置前の抵抗値×100・・・(1)
<表4に示す評価結果のまとめ>
表4を参照するに、酸化物膜A3−1の結晶構造は、アモルファスではなく、弱い結晶ピークを有する構造となった。これは、添加した第1の金属の添加量が比較的少ないためであると推測される。
酸化物膜A1−1,A2−1,A4−1〜A14−1の構造は、アモルファスとなり、その結果、NaOH溶液に対する耐性を十分に有することや、高温高湿試験前後の抵抗値の変化が小さくなることが確認できた。
酸化物膜A3−1の特性は、酸化物膜A1−1,A2−1,A4−1〜A14−1の特性よりも少し劣るが、酸化物膜B1−1〜B9−1の特性よりも良好な結果が得られた。
表4を参照するに、酸化物膜A3−1の結晶構造は、アモルファスではなく、弱い結晶ピークを有する構造となった。これは、添加した第1の金属の添加量が比較的少ないためであると推測される。
酸化物膜A1−1,A2−1,A4−1〜A14−1の構造は、アモルファスとなり、その結果、NaOH溶液に対する耐性を十分に有することや、高温高湿試験前後の抵抗値の変化が小さくなることが確認できた。
酸化物膜A3−1の特性は、酸化物膜A1−1,A2−1,A4−1〜A14−1の特性よりも少し劣るが、酸化物膜B1−1〜B9−1の特性よりも良好な結果が得られた。
酸化物膜B1−1,B3−1,B4−1では、第1の金属が少ないか含まれていないため、エッチング速度が速すぎるとともに、高温高湿及びNaOH溶液(アルカリ溶液)に対する耐性が得られなかった。
酸化物膜B2−1は、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まないので、エッチング速度が過剰に速く、NaOH溶液への耐性が低い結果となった。
酸化物膜B5−1は、第1及び第2の金属が多いため、エッチングすることができなかった。
酸化物膜B6−1は、第1の金属が多く、第2の金属が少ないため、エッチングができなくなった。
酸化物膜B7−1は、第1の金属が多いため、エッチングすることができなかった。
酸化物膜B8−1は、第2の金属が多いため、高温高湿に対する耐性が得られなかった。
酸化物膜B9−1は、エッチング速度、高温高湿及びNaOH溶液への耐性は合格レベルであるが、膜の抵抗が非常に高かった。
酸化物膜B2−1は、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まないので、エッチング速度が過剰に速く、NaOH溶液への耐性が低い結果となった。
酸化物膜B5−1は、第1及び第2の金属が多いため、エッチングすることができなかった。
酸化物膜B6−1は、第1の金属が多く、第2の金属が少ないため、エッチングができなくなった。
酸化物膜B7−1は、第1の金属が多いため、エッチングすることができなかった。
酸化物膜B8−1は、第2の金属が多いため、高温高湿に対する耐性が得られなかった。
酸化物膜B9−1は、エッチング速度、高温高湿及びNaOH溶液への耐性は合格レベルであるが、膜の抵抗が非常に高かった。
(金属膜の作製及び特性評価)
<金属膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、上述した手法により、表2に示すターゲットC1〜C10,D1,D2を用いて、厚さ200nm、厚さ1000nm、厚さ100nmの金属膜C1−1〜C10−1,D1−1,D2−1が形成された構造体を作製した。
このとき、スパッタする際の投入電力密度を0.5W/cm2とし、基板の温度を室温(25℃)とした。
<金属膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、上述した手法により、表2に示すターゲットC1〜C10,D1,D2を用いて、厚さ200nm、厚さ1000nm、厚さ100nmの金属膜C1−1〜C10−1,D1−1,D2−1が形成された構造体を作製した。
このとき、スパッタする際の投入電力密度を0.5W/cm2とし、基板の温度を室温(25℃)とした。
次いで、上述した手法により、シリコンウェハ―の表面に、厚さ1000nmの金属膜が形成された構造体を用いて、エッチング特性評価用サンプルを作製した。また、同様なサンプルを用いて、三菱ガス化学株式会社製四探針抵抗測定器を用いて金属膜の抵抗を測定した。
次いで、エッチング処理(エッチング後処理も含む)として、上述した酸化物膜と同様、始めに40℃の温度に保持させた関東化学株式会社製のエッチング液であるSEA−2に、上記エッチング特性評価用サンプルを5sec(エッチング時間)浸漬させ、その後、上記エッチング液からエッチング特性評価用サンプルを取り出し、水洗させた後、乾燥させる処理を行った。
次いで、エッチング処理(エッチング後処理も含む)として、上述した酸化物膜と同様、始めに40℃の温度に保持させた関東化学株式会社製のエッチング液であるSEA−2に、上記エッチング特性評価用サンプルを5sec(エッチング時間)浸漬させ、その後、上記エッチング液からエッチング特性評価用サンプルを取り出し、水洗させた後、乾燥させる処理を行った。
次いで、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(TEM)であるJEM2010Fを用いて、エッチングされた部分の金属膜の厚さ(残膜)と、リボン状レジストパターンに覆われて、エッチングされていない部分の金属膜の厚さと、を観察し、エッチング前後の金属膜の厚さを求めた。
その後、エッチング前の厚さからエッチング後の厚さを引いた値を上記エッチング時間で割ることで、金属膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。この結果を表5に示す。
その後、エッチング前の厚さからエッチング後の厚さを引いた値を上記エッチング時間で割ることで、金属膜のエッチング速度(nm/sec)を求めた。この結果を表5に示す。
<金属膜の特性評価>
上述した手法により、厚さ200nmの各金属膜の抵抗値、及びエッチング速度の評価を行った。この結果を表5に示す。
上述した手法により、厚さ200nmの各金属膜の抵抗値、及びエッチング速度の評価を行った。この結果を表5に示す。
<表5に示す評価結果のまとめ>
金属膜D1−1は、銀系膜ではなく、Alの膜であるため、他の金属膜と比較して抵抗値が最も高い結果となった。金属膜D2−1は、Tiの膜であるため、エッチングすることができなかった。
これに対し、金属膜C1−1〜C9−1は、抵抗値が十分に低く、良好なエッチング速度を示した。金属膜C10−1は、抵抗値が低いが、Ag以外の添加元素の添加量が12原子%と多いため、エッチング速度が著しく低い結果となった。
金属膜D1−1は、銀系膜ではなく、Alの膜であるため、他の金属膜と比較して抵抗値が最も高い結果となった。金属膜D2−1は、Tiの膜であるため、エッチングすることができなかった。
これに対し、金属膜C1−1〜C9−1は、抵抗値が十分に低く、良好なエッチング速度を示した。金属膜C10−1は、抵抗値が低いが、Ag以外の添加元素の添加量が12原子%と多いため、エッチング速度が著しく低い結果となった。
(従来酸化物膜の作製及び特性評価)
<従来酸化物膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、上述した手法により、表3に示すターゲットE,Fを用いて、厚さ200nm、厚さ1000nm、厚さ100nmのITO膜E−1またはIZO膜F−1が形成された構造体を作製した。
上記ITO膜E−1は、SnとInとの総和に対して、Snを10原子%含むIn2 O3焼結体ターゲットを用い、2体積%酸素を含んだArガス0.6Paの雰囲気中において、2.2W/cm2の電力密度で直流スパッタリングした。このとき、基板の温度は室温(25℃)とした。
<従来酸化物膜の作製、及びエッチング特性評価用サンプルの作製>
次いで、上述した手法により、表3に示すターゲットE,Fを用いて、厚さ200nm、厚さ1000nm、厚さ100nmのITO膜E−1またはIZO膜F−1が形成された構造体を作製した。
上記ITO膜E−1は、SnとInとの総和に対して、Snを10原子%含むIn2 O3焼結体ターゲットを用い、2体積%酸素を含んだArガス0.6Paの雰囲気中において、2.2W/cm2の電力密度で直流スパッタリングした。このとき、基板の温度は室温(25℃)とした。
上記IZO膜F−1は、ZnとInの総和に対してZnを30原子%含むIn2O3 焼結体ターゲットを用い、2体積%酸素を含んだArガス0.6Paの雰囲気中において、2.2W/cm2の電力密度で直流スパッタリングした。このとき、基板の温度は室温(25℃)とした。
その後、上述した手法により、厚さ1000nmのITO膜E−1またはIZO膜F−1が形成された構造体を用いて、エッチング特性評価用サンプルを作製した。
その後、上述した手法により、厚さ1000nmのITO膜E−1またはIZO膜F−1が形成された構造体を用いて、エッチング特性評価用サンプルを作製した。
<従来酸化物膜の特性評価>
上述のITO膜E−1及びIZO膜F−1の結晶構造、エッチング速度、耐アルカリ性、高温高湿試験の評価を行った。この結果を表6に示す。
上述のITO膜E−1及びIZO膜F−1の結晶構造、エッチング速度、耐アルカリ性、高温高湿試験の評価を行った。この結果を表6に示す。
<表6に示す評価結果のまとめ>
ITO膜E−1は、銀系金属膜用のエッチング液ではエッチングができなかった。IZO膜F−1は、アモルファス質であり、低めのエッチングレートになった。
ITO膜E−1は、銀系金属膜用のエッチング液ではエッチングができなかった。IZO膜F−1は、アモルファス質であり、低めのエッチングレートになった。
(実施例1〜20及び比較例1〜9の積層体の作製、並びに各積層膜の評価)
表7及び表8に示す構造とされた実施例1〜20及び比較例1〜9の積層体を作製した。
次いで、各積層膜について、比抵抗値、高温高湿試験後の欠陥の有無、NaOH溶液浸漬後の外観検査、SEMによるエッチング形状の確認を行った。この結果を表7及び表8に示す。
積層膜の高温高湿試験後及びNaOH溶液浸漬後の外観は目視で検査した。このとき、外観に少し変色や斑点が確認できたものを△と評価し、外観に大きな変色が見られたものや完全に溶解したものを×、外観にこれらの変化が見られなかったものを○と評価した。
また、積層膜を構成する各膜のエッチングレート比は、表4〜表6の各酸化物膜、各金属膜、ITO膜、及びIZO膜のエッチングレートを用いて、第1のエッチングレート比(=(金属膜のエッチングレート)/(第1の酸化物膜のエッチングレート))、第2のエッチングレート比(=(金属膜のエッチングレート)/(第2の酸化物膜のエッチングレート))と計算した。この結果を表7及び表8に示す。
また、実施例1のエッチング評価用サンプルの断面SEM写真を図4に示す。なお、図4においては、第1の酸化物膜12a、金属膜11、第2の酸化物膜12bからなる積層膜10の上に、レジスト膜20が配置されている。
表7及び表8に示す構造とされた実施例1〜20及び比較例1〜9の積層体を作製した。
次いで、各積層膜について、比抵抗値、高温高湿試験後の欠陥の有無、NaOH溶液浸漬後の外観検査、SEMによるエッチング形状の確認を行った。この結果を表7及び表8に示す。
積層膜の高温高湿試験後及びNaOH溶液浸漬後の外観は目視で検査した。このとき、外観に少し変色や斑点が確認できたものを△と評価し、外観に大きな変色が見られたものや完全に溶解したものを×、外観にこれらの変化が見られなかったものを○と評価した。
また、積層膜を構成する各膜のエッチングレート比は、表4〜表6の各酸化物膜、各金属膜、ITO膜、及びIZO膜のエッチングレートを用いて、第1のエッチングレート比(=(金属膜のエッチングレート)/(第1の酸化物膜のエッチングレート))、第2のエッチングレート比(=(金属膜のエッチングレート)/(第2の酸化物膜のエッチングレート))と計算した。この結果を表7及び表8に示す。
また、実施例1のエッチング評価用サンプルの断面SEM写真を図4に示す。なお、図4においては、第1の酸化物膜12a、金属膜11、第2の酸化物膜12bからなる積層膜10の上に、レジスト膜20が配置されている。
積層膜の比抵抗値は、積層膜のシート抵抗を測定後、下記(2)式により算出した。
積層膜の比抵抗=シート抵抗(Ω)×金属の厚さ(cm) ・・・(2)
積層膜の高温高湿試験後の欠陥の有無、及びNaOH溶液浸漬後の外観検査については、上述した手法により行った。
積層膜の比抵抗=シート抵抗(Ω)×金属の厚さ(cm) ・・・(2)
積層膜の高温高湿試験後の欠陥の有無、及びNaOH溶液浸漬後の外観検査については、上述した手法により行った。
次に、積層膜のエッチング特性の確認について説明する。
始めに、各積層体上に、エッチングマスクとして、厚さ2μmのパターニングされたレジスト膜を形成することで、エッチング評価用サンプルを作成する。
次いで、関東化学社製のエッチング液であるSEA−2に、エッチング評価用サンプルを浸漬させることでエッチング処理を行い、次いで、純水で2回水洗し、その後、エッチング評価用サンプルに空気を吹き付けて乾燥させた。
エッチング時間は、エッチング液の温度を40℃とし、表4〜表6の各酸化物膜、各金属膜、ITO膜、及びIZO膜のエッチングレートを用いて、下記(3)式を用いて計算した。
エッチング時間=(第1の酸化物膜の厚さ/第1の酸化物膜のエッチングレート)+(金属膜の厚さ/金属膜のエッチングレート)+(第2の酸化物膜の厚さ/第2の酸化物膜のエッチングレート) ・・・(3)
始めに、各積層体上に、エッチングマスクとして、厚さ2μmのパターニングされたレジスト膜を形成することで、エッチング評価用サンプルを作成する。
次いで、関東化学社製のエッチング液であるSEA−2に、エッチング評価用サンプルを浸漬させることでエッチング処理を行い、次いで、純水で2回水洗し、その後、エッチング評価用サンプルに空気を吹き付けて乾燥させた。
エッチング時間は、エッチング液の温度を40℃とし、表4〜表6の各酸化物膜、各金属膜、ITO膜、及びIZO膜のエッチングレートを用いて、下記(3)式を用いて計算した。
エッチング時間=(第1の酸化物膜の厚さ/第1の酸化物膜のエッチングレート)+(金属膜の厚さ/金属膜のエッチングレート)+(第2の酸化物膜の厚さ/第2の酸化物膜のエッチングレート) ・・・(3)
その後、エッチング評価用サンプルをSEMで撮像し、エッチング形状の評価を行った。エッチング形状の評価結果は○、△、×で分類し、酸化物膜と金属膜との間の段差が2μm以上の場合を×と判定し、酸化物膜と金属膜との間の段差が0.5μm以上2μm未満の場合を△と判定し、酸化物膜と金属膜との間の段差が0.5μm未満の場合を○と判定した。
(実施例1〜20及び比較例1〜9の積層体の評価結果のまとめ)
表7及び表8を参照するに、実施例6,14、19以外の各実施例の積層膜は、初期比抵抗値、初期外観が共に目標(比抵抗値の目標は5×10−5Ω・cm以下)を達成しており、高温高湿試験前後の比抵抗の変化率や外観変化も小さい結果となった。さらに、SEMを用いてエッチング形状を確認したところ、良好な形状であった。
表7及び表8を参照するに、実施例6,14、19以外の各実施例の積層膜は、初期比抵抗値、初期外観が共に目標(比抵抗値の目標は5×10−5Ω・cm以下)を達成しており、高温高湿試験前後の比抵抗の変化率や外観変化も小さい結果となった。さらに、SEMを用いてエッチング形状を確認したところ、良好な形状であった。
実施例6及び実施例14の積層体は、高温高湿試験後の外観に少量の変色があったが、用途によって使用可能なレベルであった。
実施例19の積層体をSEMで断面観察したところ、Ag合金膜のエッチングレート不足により、Ag合金膜の出張りが確認できたが、用途によって使用可能なレベルであった。
実施例19の積層体をSEMで断面観察したところ、Ag合金膜のエッチングレート不足により、Ag合金膜の出張りが確認できたが、用途によって使用可能なレベルであった。
比較例1の積層体では、エッチングが遅いIZO膜F−1を積層しているため、エッチングレートの比が大きく、良好なエッチング形状を得ることができなかった。
比較例2の積層体は、第1の金属が含まれていない酸化物膜B1−1を含む。このため、酸化物膜B1−1のエッチング速度が速すぎて、比較例2の積層体を一括エッチングすることができなかった。また、比較例2の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例3の積層体は、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まない酸化物膜B2−1を含む。このため、酸化物膜B2−1のエッチング速度が速すぎて、比較例3の積層体を一括エッチングすることができなかった。また、比較例3の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性も低い結果となった
比較例2の積層体は、第1の金属が含まれていない酸化物膜B1−1を含む。このため、酸化物膜B1−1のエッチング速度が速すぎて、比較例2の積層体を一括エッチングすることができなかった。また、比較例2の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例3の積層体は、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まない酸化物膜B2−1を含む。このため、酸化物膜B2−1のエッチング速度が速すぎて、比較例3の積層体を一括エッチングすることができなかった。また、比較例3の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性も低い結果となった
比較例4の積層体は、銀系金属膜用のエッチング液ではエッチングすることのできないITO膜E−1を含んでいたため、一括エッチングすることができなかった。
比較例5の積層体は、第1の金属の含有量の少なく、エッチング速度が速すぎる酸化物膜B3−1と、エッチングのできないTi膜である金属膜D2−1と、を含んでいる。このため、比較例5の積層体をエッチングしても良好なエッチング形状を得ることができなかった。また、比較例5の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例6の積層体は、第1の金属の含有量の少ない酸化物膜B4−1と、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まない酸化物膜B2−1と、をAl膜である金属膜D1−1に積層させた構成とされているため、エッチングレート比が小さめとなり、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例5の積層体は、第1の金属の含有量の少なく、エッチング速度が速すぎる酸化物膜B3−1と、エッチングのできないTi膜である金属膜D2−1と、を含んでいる。このため、比較例5の積層体をエッチングしても良好なエッチング形状を得ることができなかった。また、比較例5の積層体は、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例6の積層体は、第1の金属の含有量の少ない酸化物膜B4−1と、亜鉛のみからなり、第1及び第2の金属を含まない酸化物膜B2−1と、をAl膜である金属膜D1−1に積層させた構成とされているため、エッチングレート比が小さめとなり、高温高湿及びNaOH溶液への耐性が低い結果となった。
比較例7の積層体は第1の金属の含有量及び第2の金属の含有量が非常に多い酸化物膜B5−1と第1の金属の含有量が非常に多い酸化物膜B6−1と、を純Ag膜である金属膜C1−1に積層させた構成とされているため、B5−1及びB6−1がエッチングできず、エッチング後の断面形状が不合格となった。
比較例8の積層体は第2の金属の含有量が多い酸化物膜B8−1と、を純Ag膜である金属膜C1−1に積層させた構成とされているため、高温高湿への耐性が低い結果となった。
比較例9の積層体は第2の金属を含有しない酸化物膜B9−1、を純Ag膜である金属膜C1−1に積層させた構成とされているため、B9−1の抵抗が高く、積層膜の比抵抗が不合格となった。
比較例8の積層体は第2の金属の含有量が多い酸化物膜B8−1と、を純Ag膜である金属膜C1−1に積層させた構成とされているため、高温高湿への耐性が低い結果となった。
比較例9の積層体は第2の金属を含有しない酸化物膜B9−1、を純Ag膜である金属膜C1−1に積層させた構成とされているため、B9−1の抵抗が高く、積層膜の比抵抗が不合格となった。
Claims (7)
- 銀または銀を主成分とする合金よりなる金属膜と、前記金属膜の両面のうち、少なくとも一面に配置された酸化物膜と、を有する積層膜であって、
前記酸化物膜は、亜鉛、酸素、及び添加金属を含み、
前記添加金属は、Sn、Ti、Nb、Yのうち、少なくとも1種よりなる第1の金属と、Al、Ga、Inのうち、少なくとも1種よりなる第2の金属と、を含み、
酸化物膜中の全金属元素における前記第1の金属、前記第2の金属及び前記亜鉛の原子割合の原子割合が、第1の金属;4〜20原子%、第2の金属;0.1〜5原子%、亜鉛;残であることを特徴とする積層膜。 - 前記金属膜と前記酸化物膜とを同一条件でエッチングした際、前記金属膜のエッチングレートを前記酸化物膜のエッチングレートで割ったエッチングレート比が、0.1〜10の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の積層膜。
- 前記金属膜に含まれる前記銀の含有量は、90原子%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層膜。
- 前記酸化物膜は、アモルファス膜であることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の積層膜。
- 前記酸化物膜の厚さは、5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の積層膜。
- 前記金属膜の厚さは、5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の積層膜。
- リン酸、硝酸、酢酸のうち、いずれか1種を含有するエッチング液またはエッチングペーストによりパターニングされたことを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の積層膜。
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