JP2014122401A - 積層膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射率が高く、抵抗率が低く、かつ耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が良好な積層膜を提供する。
【解決手段】純Ag又はAg合金からなるAg膜11と、該Ag膜11の上に形成され、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされた第一透明導電膜12と、該第一透明導電膜12の上に形成され、酸化スズ系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされた第二透明導電膜13と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電子機器の反射膜や配線電極膜などに用いられる積層膜に関するものである。
従来、有機EL用反射膜兼配線電極膜、光記録ディスク用反射膜、光学機器用反射ミラー、太陽電池用反射膜(Si系など)、光通信機器用反射膜、熱線反射膜、タッチパネル用配線電極膜などの反射膜や配線電極膜として、純Ag又はAg合金からなるAg膜が用いられている。上述のような用途のAg膜には、反射率が高いことや抵抗率が低いことだけでなく、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性などの特性も必要とされている。
純AgからなるAg膜は、反射率が高く、かつ抵抗率が低いが、上記した各種耐性が低いため、純Agに添加元素を加えることで各種耐性を向上させたAg合金膜が提案されている。例えば、特許文献1にはPd、Cu、Geを添加したAg合金膜が開示されている。また、特許文献2にはBiを添加したAg合金膜が開示されている。さらに、特許文献3には、希土類元素を添加したAg合金膜が開示されている。
また、各種耐性を向上させるために、Ag膜上に保護膜を形成する方法も提案されている。例えば特許文献4には、Ag膜上にAg膜を保護するキャップ層を積層した積層膜が開示されている。特許文献4において、キャップ層は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの酸化物で構成されている。
特許第4757635号公報 特許第4264397号公報 再公表WO2006/132416号公報 特開2006−98856号公報
ところで、特許文献1〜3に示すように、Pd、Cu、Ge、Bi、希土類元素などの元素を純Agに添加すると、反射率が低下するとともに抵抗率が増加する。したがって、上述のAg合金膜は、高い反射率や高い導電率を必要とする用途には用いることができない。また、このような添加元素による耐硫化性、耐湿性、耐塩水性の向上の効果のみでは、不十分とされる場合があり、さらなる各種耐性の向上が求められていた。
また、特許文献4に開示された積層膜は、Ag膜上に保護膜としてのキャップ層が一層形成されるのみであり、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性のすべての特性を向上させることはできなかった。さらには、キャップ層の膜厚が厚いため、反射率が低下したり、抵抗率が増加したりして、反射膜や配線電極膜として用いることができなかった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、反射率が高く、抵抗率が低く、かつ耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が良好な積層膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく検討した結果、Ag膜上に形成する保護膜の種類や厚みを制御することによって、積層膜が、高い反射率及び低い抵抗率を有し、かつ良好な耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を有するとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成させたものであって、その要旨は以下の通りである。
すなわち、本発明の積層膜は、純Ag又はAg合金からなるAg膜と、該Ag膜上に形成された第一透明導電膜と、該第一透明導電膜上に形成された第二透明導電膜と、を備え、前記第一透明導電膜は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされており、前記第二透明導電膜は、酸化スズ系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされていることを特徴としている。
本発明の積層膜によれば、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなる第一透明導電膜が形成されているので、耐硫化性及び耐湿性が向上する。この第一透明導電膜の膜厚は、3nm以下とされており、膜厚が十分に薄いので、積層膜の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
また、積層膜には、酸化スズ系の酸化物からなる第二透明導電膜が形成されているので、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が向上する。第二透明導電膜の膜厚は、3nm以下とされており、膜厚が十分に薄いので、積層膜の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
酸化スズ系の酸化物は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物よりも耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が高い。特に、耐塩水性が高い。すなわち、第二透明導電膜は、第一透明導電膜よりも各種耐性が高い。本発明の積層膜においては、第一透明導電膜よりも耐性が高い第二透明導電膜が、積層膜の表層側に形成されているので、積層膜の耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を大きく向上させることができる。特に、耐塩水性を大きく向上させることができる。ただし、第二透明導電膜は抵抗が高く、また、酸などの耐薬品性も高いため、第二透明導電膜のみをAg膜の上に厚く形成した積層膜では、抵抗が高くなるのと同時に、酸性の液によるエッチング性が悪くなる。
上記のように本発明の積層膜は、高い反射率及び低い抵抗率を有し、かつ良好な耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を有するので、電子機器などの反射膜や配線膜として用いることが可能である。
ここで、前記第一透明導電膜を構成する前記酸化インジウム系の酸化物は、酸化インジウム、スズを添加した酸化インジウムのうちのいずれかであり、前記第一透明導電膜を構成する前記酸化亜鉛系の酸化物は、酸化亜鉛、アルミニウムを添加した酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛のうちのいずれかであることが好ましい。
この場合、積層膜の耐硫化性、耐湿性を確実に向上させることが可能である。また、上述の酸化物で構成された第一透明導電膜が3nm以下とされている場合、積層膜の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
また、前記第二透明導電膜を構成する前記酸化スズ系の酸化物は、酸化スズ、アンチモンを添加した酸化スズのうちのいずれかであることが好ましい。
この場合、積層膜の耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を確実に向上させることが可能である。また、上述の酸化物で構成された第二透明導電膜が3nm以下とされている場合、積層膜の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
本発明によれば、反射率が高く、抵抗率が低く、かつ耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が良好な積層膜を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層膜の概略断面図である。 一実施形態に係る積層膜の製造方法のフロー図である。 エッチング後の積層膜の側面形状を説明するための図である。(a)はエッチング特性が良い場合、(b)はオーバーエッチの場合、(c)はアンダーエッチの場合、(d)はエッチング特性が悪い場合の積層膜の概略断面図を示している。
以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る積層膜10は、例えば電子機器などの反射膜又は配線電極膜として使用されるものである。
積層膜10は、図1に示すように、純Ag又はAg合金からなるAg膜11と、このAg膜11の上に形成された第一透明導電膜12と、この第一透明導電膜12の上に形成された第二透明導電膜13と、を備えている。
Ag膜11は、純Ag又はAg合金によって構成されている。Ag膜11がAg合金で構成される場合は、例えばAg−1.0at%Mg、Ag−1.0at%Pd、Ag−1.0at%Au、Ag−1.0at%Sbなどを用いることができる。ここで、Ag合金中に含有される添加元素の量は、Ag膜11の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制するために、2.0%未満であることが好ましい。
第一透明導電膜12は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物によって構成されている。上述の酸化インジウム系の酸化物は、酸化インジウム(In)、スズを添加した酸化インジウム(ITO)のうちのいずれかで構成されていることが好ましい。また、酸化亜鉛系の酸化物は、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムを添加した酸化亜鉛(AZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)のうちのいずれかで構成されていることが好ましい。
なお、酸化インジウム系の酸化物とは、酸化インジウム(重量比で80wt%以上)を主成分とする酸化物のことを意味している。また、酸化亜鉛系の酸化物とは、酸化亜鉛を主成分とする酸化物のことを意味している。添加する元素は、酸化物の形で添加することが好ましく、その添加する酸化物は、重量比で0.5〜20wt%であることが好ましい。
第一透明導電膜12の膜厚は、3nm以下とされている。また、第一透明導電膜12の膜厚は、0.5nm以上とされていることが好ましい。
第一透明導電膜12の膜厚が3nmを超える場合、第一透明導電膜12による光の吸収が大きくなり、積層膜10の反射率が低下すると同時に、積層膜10の抵抗率が高くなる。また、第一透明導電膜12の膜厚が0.5nm未満の場合は、膜が島状になる領域が多くなり、S(硫黄)、O(酸素)、Cl(塩素)、HO(水)などに対するバリア性が低下し、耐硫化性、耐湿性、耐塩水などが低下するおそれがある。このような理由により、第一透明導電膜12の膜厚は、上記の範囲に設定されている。
第二透明導電膜13は、酸化スズ系の酸化物によって構成されている。また、酸化スズ系の酸化物は、酸化スズ(SnO)、アンチモンを添加した酸化スズ(ATO)のうちのいずれかで構成されていることが好ましい。
酸化スズ系の酸化物は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物と比較して、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が高い。特に、耐塩水性が高い。すなわち、第二透明導電膜13は、第一透明導電膜12よりも、各種耐性が高い。
なお、酸化スズ系の酸化物とは、酸化スズを主成分(重量比で80wt%以上)とする酸化物のことを意味している。添加する元素は、酸化物の形で添加することが好ましく、その添加する酸化物は、重量比で0.5〜20wt%であることが好ましい。
第二透明導電膜13の膜厚は、3nm以下とされている。また、第二透明導電膜13の膜厚は、0.5nm以上とされていることが好ましい。
第二透明導電膜13の膜厚が3nmを超える場合、第二透明導電膜13による光の吸収が大きくなり、積層膜10の反射率が低下すると同時に、積層膜10の抵抗率が高くなる。さらに、第二透明導電膜13は、酸などの薬品に溶けにくいため、膜厚が厚いとエッチング特性が悪化する。また、第二透明導電膜13の膜厚が0.5nm未満の場合は、膜が島状になる領域が多くなり、S(硫黄)、O(酸素)、Cl(塩素)、HO(水)などに対するバリア性が低下し、耐硫化性、耐湿性、耐塩水などが低下するおそれがある。このような理由により、第二透明導電膜13の膜厚は、上記の範囲に設定されている。
このような構成の積層膜10においては、反射率が高く、抵抗率が低い。具体的には、積層膜10の反射率は、可視域(波長400〜800nm)の平均値で95%以上であることが好ましく、96%以上であることがさらに好ましい。また、積層膜10の抵抗率は、3.5μΩ・cm以下であることが好ましく、3.3μΩ・cm以下であることがさらに好ましい。
次に、本実施形態に係る積層膜10の製造方法について説明する。
まず、スパッタリング法により、純Agターゲット又はAg合金ターゲットを用いてAg膜11を形成する(Ag膜形成工程S1)。スパッタリングの際の温度は、例えば室温で行えば良い。
次に、上記のようにして形成したAg膜11の上にさらに、スパッタリング法により、酸化インジウム系の酸化物ターゲット又は酸化亜鉛系の酸化物ターゲットを用いて、3nm以下の第一透明導電膜12を形成する(第一透明導電膜形成工程S2)。スパッタリング法により第一透明導電膜12を形成する際には、抵抗率が最小となるように酸素ガスを導入して行うことが好ましい。
次いで、第一透明導電膜12の上にさらに、スパッタリング法により、酸化スズ系の酸化物ターゲットを用いて、3nm以下の第二透明導電膜13を形成する(第二透明導電膜形成工程S3)。スパッタリング法により第二透明導電膜13を形成する際には、抵抗率が最小となるように酸素ガスを導入して行うことが好ましい。
上記のようにして、本実施形態に係る積層膜10を得ることができる。
なお、Ag膜11、第一透明導電膜12、及び第二透明導電膜13の形成方法は、スパッタリング法に限定されるものではなく、例えば真空蒸着法やCVD法などの他の方法を用いることもできる。
以上のような構成とされた本発明の一実施形態に係る積層膜10によれば、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなる第一透明導電膜12が形成されているので、耐硫化性及び耐湿性が向上する。この第一透明導電膜12は、3nm以下とされており、膜厚が十分に薄いので、積層膜10の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
また、積層膜10には、酸化スズ系の酸化物からなる第二透明導電膜13が形成されているので、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性が向上する。この第二透明導電膜13は、3nm以下とされており、膜厚が十分に薄いので、積層膜10の反射率の低下や抵抗率の増加を抑制できる。
そして、積層膜10は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなる第一透明導電膜12の上に、酸化スズ系の酸化物からなる第二透明導電膜13が形成されているので、第一透明導電膜12よりも各種耐性が高い第二透明導電膜が積層膜の表面側に形成されていることになり、耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を大きく向上させることができる。
したがって、積層膜10は、高い反射率及び低い抵抗率を有し、かつ良好な耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を有するので、電子機器などの反射膜や配線膜として用いることが可能である。
また、酸化インジウム系の酸化物が、酸化インジウム、スズを添加した酸化インジウムのうちのいずれかであり、酸化亜鉛系の酸化物が、酸化亜鉛、アルミニウムを添加した酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛のうちのいずれかとされている場合には、積層膜10の耐硫化性、耐湿性を確実に向上させることが可能である。
また、酸化スズ系の酸化物が、酸化スズ、アンチモンを添加した酸化スズのうちのいずれかで構成されている場合、積層膜10の耐硫化性、耐湿性、耐塩水性を確実に向上させることが可能である。
以上、本発明の一実施形態に係る積層膜について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
本発明例1−1〜1−24、比較例1−1〜1−12では、純Agターゲットを用いて、純Agからなる膜厚100nmのAg膜を基板(50×50×1mmt、無アルカリガラス)上に形成した。また、本発明例2−1〜2−10、比較例2−1〜2−12では、Ag−1.0at%Mg合金ターゲットを用いて、Ag−1.0at%Mgからなる膜厚100nmのAg膜を基板(50×50×1mmt、無アルカリガラス)上に形成した。
次に、酸化物ターゲットを用いて、表1〜表4に示す組成、膜厚の第一透明導電膜を形成した。次いで、酸化物ターゲットを用いて、表1〜表4に示す組成、膜厚の第二透明導電膜を形成し、本発明例1−1〜1−24、本発明例2−1〜2−10、比較例1−1〜比較例1−12、比較例2−1〜2−12の積層膜を作製した。
なお、比較例1−1、2−1は、Ag膜上に第一透明導電膜及び第二透明導電膜が形成されておらず、Ag膜のみの例である。
また、比較例1−5〜1−9、比較例2−5〜2−9の積層膜は、第二透明導電膜(酸化スズ系の酸化物)が形成されておらず、Ag膜上に第一透明導電膜(酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物)のみが形成されている。
また、比較例1−10、比較例1−11、比較例2−10、比較例2−11の積層膜は、第一透明導電膜(酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物)が形成されておらず、Ag膜上に第二透明導電膜(酸化スズ系の酸化物)のみが形成されている。
なお、形成した膜の膜厚は、膜厚計(アルバック社製、DEKTAK)による実測、またはスパッタ成膜速度とスパッタ時間の積から求めた。また、一部のサンプルについては、オージェ電子分光装置(アルバック・ファイ社製、PHI 700)を用いて深さ方向の元素分析を行い、Arガスによるスパッタで膜を削り取りながら分析を進める際のスパッタ速度に、膜を構成する元素(Ag、In、Zn、Snなど)が出現してから消失するまでのスパッタ時間を乗じて膜厚を求め、スパッタ成膜速度とスパッタ時間の積から求めた膜厚の値とほぼ一致することを確認した。さらに、一部のサンプルについては、透過電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2010F)を用いて積層膜の断面観察を行い、第一透明導電膜及び第二透明導電膜が、上記のようにして求めた膜厚とほぼ同じ厚さで、Ag膜上に一様に形成されていることを確認した。
具体的なスパッタリング成膜条件、使用したターゲットの詳細は、以下に示す通りである。
(スパッタリング成膜条件)
スパッタリング装置:DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製 CS−200)
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上の垂直成分の磁界強度)
到達真空度:5×10−5Pa未満
スパッタリングガス:Ar(アルゴン)
第一透明導電膜、第二透明導電膜形成時の導入酸素流量:1〜3sccm
スパッタリングガス圧:0.5Pa
スパッタリングパワー:DC200W
(ターゲット)
Ag膜:純Agターゲット(純度99.9%以上)、Ag−1.0at%Mgターゲット
第一透明導電膜:透明導電膜用酸化物焼結ターゲット(In、ITO(In−10.0wt%SnO)、ZnO、AZO(ZnO−2.0wt%Al)、GZO(ZnO−5.0wt%Ga))、焼結密度95%以上
第二透明導電膜:透明導電膜用酸化物焼結ターゲット(SnO、ATO(SnO−2.0wt%Sb))、焼結密度95%以上
ターゲットサイズは、いずれも、4インチφ×6mmtである。
Figure 2014122401
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作製した積層膜について、硫化試験、湿潤試験、塩水試験を行った。
各種試験の試験方法を以下に示す。
(硫化試験)
積層膜をNaS(硫化ナトリウム)0.01wt%水溶液に1時間浸漬した。
(湿潤試験)
積層膜を温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽に250時間放置した。
(塩水試験)
積層膜を5.0wt%NaCl水溶液に12時間浸漬した。
上記の試験が行われた積層膜について、反射率、抵抗率を測定した。なお、試験前の積層膜についても反射率、抵抗率を測定した。以下に、反射率の測定方法、及び抵抗率の測定方法を示す。
(反射率測定)
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U4100)を用いて、400nm〜800nmの波長範囲における積層膜の反射率スペクトルを測定し平均反射率を求めた。
(抵抗測定)
表面抵抗測定器(三菱油化社製、Loresta AP MCP−T400)を用いて、四探針法により、積層膜の抵抗率を測定した。
また、作製した積層膜についてエッチング試験を行い、エッチング特性も評価した。エッチング試験の方法、及びエッチング特性の評価方法を以下に示す。
(エッチング試験)
まず、フォトリソグラフィー法を用いて積層膜にレジストパターンを形成する。具体的には、積層膜上にレジスト液(東京応化工業社製、OFPR−8600)を塗布し、露光工程、現像工程を経て、積層膜上にレジストパターンを形成した。このときのレジストパターンのL/S(Line and Space)は、30μm/30μmに設定した。そして、レジストパターンが形成された積層膜を、リン酸−硝酸−酢酸の混合液からなるAg膜用エッチング液(関東化学社製、SEA−2)に30秒浸漬することでエッチングし、その後、洗浄した。
(エッチング特性の評価)
光学顕微鏡(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ VHX−100)及び走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8000)を用いて、エッチング後に形成された積層膜のエッチングパターンの表面及び断面の形状を観察した。積層膜のエッチングパターンの側面形状を、図3に示すように、4種類に分けて評価した。すなわち、図3(a)のようにレジストパターン通りにエッチングされたものを「良好」と判断し、(b)のようにエッチングが過剰に行われレジストパターンの下方にまでエッチングが及んだものを「オーバーエッチ」と判断し、(c)のようにエッチングが不足し積層膜10の表面側から基板側に向かうにつれて線幅が太くなるものを「アンダーエッチ」と判断し、(d)のようにエッチングが不足し隣接するエッチングパターン同士がつながっているものを「悪い」と判断した。また、エッチング後の積層膜において、残渣の有無についても評価した。
上記の評価の結果を表5〜表8に示す。なお表中の「as depo.」とは、成膜直後の積層膜のことを意味しており、硫化試験などの各種試験が行われる前の積層膜の反射率及び抵抗率の測定結果である。
Figure 2014122401
Figure 2014122401
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本発明例1−1〜1−24、本発明例2−1〜2−10は、表5、表6に示すように、反射率が高く、抵抗率が低く、かつ耐硫化性、耐湿性、耐塩水性も良好であることが確認された。また、本発明例1−1〜1−24、本発明例2−1〜2−10は、エッチング特性も良好であった。
一方、比較例1−1、比較例2−1は、表7、表8に示すように、第一透明導電膜及び第二透明導電膜が形成されていないため、硫化試験、湿潤試験、塩水試験後の反射率及び抵抗率が、本発明例と比較して大きく劣った。
比較例1−2、比較例2−2は、第一透明導電膜及び第二透明導電膜の膜厚が厚すぎるために、硫化試験などの試験による反射率の低下は少ないが、試験前後とも反射率が本発明例と比較して劣った。また、抵抗率も本発明例と比較して試験前後とも劣った。
比較例1−3、比較例1−4、比較例2−3、比較例2−4は、第一透明導電膜又は第二透明導電膜の膜厚が厚すぎるために、硫化試験などの試験による反射率の低下は少ないが、試験前後とも反射率は、同一構成のAg膜とされた本発明例と比較してやや劣った。また、抵抗率も本発明例と比較して試験前後とも劣った。
比較例1−5〜1−9、比較例2−5〜2−9は、Ag膜上に第一透明導電膜(酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物)のみしか形成されていないために、硫化試験、湿潤試験、塩水試験後の反射率及び抵抗率が本発明例と比較して劣った。
比較例1−10、比較例1−11、比較例2−10、比較例2−11は、Ag膜上に第二透明導電膜(酸化スズ系の酸化物)のみしか形成されていないために、試験前、及び、硫化試験、湿潤試験、塩水試験後の抵抗率が本発明例と比較して劣った。
比較例1−12、比較例2−12は、Ag膜上に、ATOからなる第一透明導電膜を形成し、第一透明導電膜上にITOからなる第二透明導電膜を形成した積層膜である。比較例1−12、比較例2−12は、第一透明導電膜と第二透明導電膜とを構成する酸化物の種類が、本発明の積層膜に対して逆になっているため、硫化試験、湿潤試験、塩水試験後の反射率及び抵抗率が本発明例と比較して劣った。
これは、ITOがATOよりも各種試験に対する耐性が低いために、ITOが積層膜の最表面に存在すると、早い段階で浸食され、ITOの下に耐性の高い第二透明導電膜であるATOがあっても、ITOとの界面で複合化しているため耐性が低下し、ATOを超えてAgまで浸食が進むためと考えられる。
また、比較例1−1、比較例2−1、比較例1−5〜1−9、比較例2−5〜2−9は、エッチング特性において側面形状がオーバーエッチとなり、本発明例と比較して劣った。比較例1−1、比較例2−1では保護層となる透明導電膜がないため、オーバーエッチになったと考えられる。比較例1−5〜1−9、比較例2−5〜2−9においては、第一透明導電膜の耐酸性が低く、溶解しやすいためと考えられる。
比較例1−2〜1−4、比較例2−2〜2−4は、エッチング特性において側面形状がアンダーエッチとなり、比較例1−2、比較例2−2、比較例1−3、比較例2−3では残渣も残った。これは、第一透明導電膜及び第二透明導電膜の膜厚が厚いと、酸性のエッチング液に対する耐性が強くなり、エッチング液に溶解し難くなるためと考えられる。特に、第二透明導電膜の膜厚が厚い場合、酸化スズ系の酸化物は、耐酸性が強く、より溶解し難くなるため、残渣まで残ったと考えられる。
比較例1−10、比較例1−11、比較例2−10、比較例2−11は、エッチング特性が悪く、残渣も残った。これは、酸化スズ系の酸化物の耐酸性が強く溶解し難いためと考えられる。
10 積層膜
11 Ag膜
12 第一透明導電膜
13 第二透明導電膜

Claims (3)

  1. 純Ag又はAg合金からなるAg膜と、該Ag膜上に形成された第一透明導電膜と、該第一透明導電膜上に形成された第二透明導電膜と、を備え、
    前記第一透明導電膜は、酸化インジウム系の酸化物又は酸化亜鉛系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされており、
    前記第二透明導電膜は、酸化スズ系の酸化物からなり膜厚が3nm以下とされていることを特徴とする積層膜。
  2. 前記第一透明導電膜を構成する前記酸化インジウム系の酸化物は、酸化インジウム、スズを添加した酸化インジウムのうちのいずれかであり、
    前記第一透明導電膜を構成する前記酸化亜鉛系の酸化物は、酸化亜鉛、アルミニウムを添加した酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の積層膜。
  3. 前記第二透明導電膜を構成する前記酸化スズ系の酸化物は、酸化スズ、アンチモンを添加した酸化スズのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層膜。
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