JP2016108326A - 環状アミノメチルピリミジン誘導体からなる医薬 - Google Patents

環状アミノメチルピリミジン誘導体からなる医薬 Download PDF

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Eiji Yoshinaga
英史 吉永
義治 宇留野
Yoshiharu Uruno
義治 宇留野
永田 英孝
Hidetaka Nagata
英孝 永田
雅一 橋本
Masakazu Hashimoto
雅一 橋本
太朗 加藤
Taro Kato
太朗 加藤
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Abstract

【課題】ドパミンD4受容体に対して選択性の高い作用を示し、注意欠陥多動性障害等の中枢神経系疾患の治療剤として有用な環状アミノメチルピリミジン誘導体及びその薬学上許容される塩の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物またはその薬学上許容される塩。[n及びmは各々独立に1又は2;RaはC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基又はアミノ基;RbはH、C1−6アルキル基又はアルキル基で置換/未置換のアミノ基;Raがアミノ基の時、RbはH;Rc1及びRc2は夫々独立にH、又、C1−6アルキル基;Rd1及びRd2は各々独立にH、F又はC1−6のアルキル基;環Qは置換/未置換の5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基;破線を含む結合は単結合又は二重結合]【選択図】なし

Description

本発明は、選択的ドパミンD受容体アゴニスト作用を有する環状アミノメチルピリミジン誘導体またはその塩からなる医薬に関する。詳しくは環状アミノメチル基の環上にピリジル基またはイソキノリニル基を有する環状アミノメチルピリミジン誘導体またはその塩を有効成分とする注意欠陥多動性障害等の治療剤に関する。
ドパミンD受容体は、Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptors: GPCRs)の一つであり、注意行動や認知機能に関連する前頭連合野で高発現していることから、ドパミンD受容体アゴニストは、注意欠陥多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder: ADHD)などの高次機能に係わる中枢神経系疾患の治療薬として期待されている。ADHDは、小児期に発症する、不注意行動(inattention)、多動性(hyperactivity)および衝動性(impulsivity)を中核症状とする発達障害の一つであり、成人期に至っても中核症状が持続することが知られている。そして、ADHDの薬物療法における第一選択薬として、中枢神経刺激薬メチルフェニデートが用いられている。メチルフェニデートの治療効果は、神経伝達物質ドパミンの遊離に関わるドパミントランスポーターの機能調節に基づくと考えられており、即効性を示す。しかし、メチルフェニデートには、薬物依存や乱用のリスク、および動悸や頻脈、血圧変動など心臓血管系に対する副作用のリスクがある。薬物依存形成の小さいADHD治療剤としては、非中枢神経刺激薬である選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤アトモキセチンが選択される。しかし、アトモキセチンは、治療効果の発現までに十分な投与期間が必要とされる。これらのことから、薬物依存リスクや心臓血管系副作用が軽減され、速やかな薬効発現を示すADHD治療剤の開発が望まれている。
ADHD患者には、ドパミントランスポーター遺伝子やドパミンD受容体遺伝子の変異が認められることが報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。また、ドパミンD受容体遺伝子の第3エクソン内の48bpの7回繰り返し配列の遺伝子多型を有する児童に、大脳皮質の発達遅延が認められている(例えば、非特許文献3を参照)。そして、ドパミンD受容体は、注意行動や認知機能に関連する前頭連合野で高発現している(例えば、非特許文献2を参照)。これらのことから、ドパミンD受容体が注意・認知機能に関連すると考えられている。加えて、ドパミンD受容体は、薬物依存に関わる側坐核で発現していないことが知られている。
以上のことから、ドパミンD受容体に選択的にアゴニスト作用を示す薬剤は、ドパミン作動性神経が係わる中枢神経系疾患治療薬、殊にADHDに対して速やかな薬効を示すと共に薬物依存性等の副作用が軽減されたADHD治療薬として期待されている。
特許文献1には、下記式Iで表されるドパミンD受容体リガンド、および当該化合物がドパミン系の障害により引き起こされる疾患(例えば、精神***病のような精神病)の制御又は予防に有用であることが開示されている。
Figure 2016108326
[式中、RとRは、個々に低級アルキル又はアミノを表し;
Aは、
Figure 2016108326
を表し;
Bは、A、A及びAでは水素を表し;
〜Aでは:
Figure 2016108326
を表し;
〜Aでは低級アルコキシを表し;そしてA及びAでは低級アルキル、スチリル、フェニルエチニル又はベンゾイルオキシ−低級アルキルを表し;
nは、0〜2を表し;
m、pは、0、1を表し;そしてR、R、R及びRは、各々独立して水素、ハロゲン、低級アルキル、トリフルオロメチル、低級アルコキシ又はニトロを表す。]
前記化合物は、Bの定義にヘテロアリール環を有する置換基を含んでおらず、本発明化合物と化学構造が異なる。
特表平11−500745号公報
Biological Psychiatry 2005, 57, 1313. Archives of General Psychiatry, 2007, 64, 921. The Journal of Pharmacology Experimental Therapeutics, 1997, 282, 1020.
本発明の課題は、中枢神経系疾患治療薬として有用な新規な選択的ドパミンD受容体アゴニストを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、下記式(1)で表される化合物およびその薬学上許容される塩(以下、必要に応じ「本発明化合物」と略称することがある。)が優れた選択的ドパミンD受容体アゴニスト作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
〔1〕式(1):
Figure 2016108326

(式中、
nおよびmは、それぞれ独立して、1または2を表し;
は、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、またはアミノ基を表し;
は、水素原子、C1−6アルキル基、または1〜2個の同一又は異なるC1−6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基を表し(ただし、Rがアミノ基のときは、Rは水素原子である。);
c1およびRc2は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基を表し;
d1およびRd2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、もしくはC1−6アルキル基であるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルカン環または3員〜8員のシクロアルケン環を形成してもよく(ここにおいて、当該シクロアルカン環またはシクロアルケン環は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。);
環Qは、置換されていてもよい5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基を表し;
破線を含む結合は単結合または二重結合を表す。)
で表される化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔2〕式(1):
Figure 2016108326
(式中、
nおよびmは、それぞれ独立して、1または2を表し;
は、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、またはアミノ基を表し;
は、水素原子、C1−6アルキル基、または1〜2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基を表し(ただし、Rがアミノ基のときは、Rは水素原子である。);
c1およびRc2は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基を表し;
d1およびRd2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、もしくはC1−6アルキル基であるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルカン環または3員〜8員のシクロアルケン環を形成してもよく(ここにおいて、当該シクロアルカン環またはシクロアルケン環は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。);
環Qは、置換されていてもよいピリジル基、または置換されていてもよいイソキノリニル基を表し;
破線を含む結合は単結合または二重結合を表す。)
で表される化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔3〕環Qが、下記式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)または(2e):
Figure 2016108326
(式中、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を表す。)で表される基である、〔1〕または〔2〕に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔4〕RがC1−4アルキル基である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔5〕Rがアミノ基であり、Rが水素原子である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔6〕Rが、C1−6アルキル基、またはアミノ基である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔7〕Rがアミノ基である、〔1〕〜〔4〕または〔6〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔8〕Rc1およびRc2がいずれも水素原子である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔9〕Rd1およびRd2が、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基である、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔10〕Rd1およびRd2がいずれも水素原子である、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔11〕環Qが、式(2a)または(2b)で表される基である、〔3〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔12〕環Qが、式(2a)で表される基である、〔11〕に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔13〕環Qが、式(2b)で表される基である、〔11〕に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔14〕Re1およびRe2が、それぞれ独立して、水素原子、またはフッ素原子である、〔3〕〜〔13〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔15〕破線を含む結合が単結合である、〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
〔16〕下記式のいずれかで表される化合物、またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
Figure 2016108326
〔17〕〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の医薬および薬学上許容される賦形剤を含有する医薬組成物。
〔18〕〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、統合失調症、気分障害、および認知機能障害からなる群から選ばれる中枢神経性疾患の治療剤。
〔19〕〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、注意欠陥多動性障害の治療剤。
〔20〕注意欠陥多動性障害が注意欠陥(Inattention)を主症状とする障害である、〔19〕に記載の治療剤。
〔21〕注意欠陥多動性障害が多動性(Hyperactivity)を主症状とする障害である、〔19〕に記載の治療剤。
〔22〕注意欠陥多動性障害が衝動性(Impulsivity)を主症状とする障害である、〔19〕に記載の治療剤。
〔23〕〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の治療剤。
〔24〕自閉症スペクトラム障害が社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な欠陥を主症状とする障害である、〔23〕に記載の治療剤。
〔25〕自閉症スペクトラム障害が制限された反復される行動や興味や活動の様式を主症状とする障害である、〔23〕に記載の治療剤。
本発明化合物は、ドパミンD受容体に対して選択的な強い作用を示し、他のGPCRであるアドレナリンα1A受容体やα2A受容体への作用が弱い。加えて、本発明化合物は、経口投与時の生物学的利用率(バイオアベイラビリティー)が高く、脳移行性が優れており、さらに肝毒性リスクも低い。したがって、本発明化合物は、薬物依存性を持たず、心臓血管系の副作用が軽減され、低用量で速やかに薬効が発現する、安全性の高い優れた中枢神経系疾患治療薬(例えば、注意欠陥多動性障害の治療薬など)として有用である。
試験例7の実施例2の化合物投与群の交替行動率改善作用を示すグラフである。 試験例7の実施例5の化合物投与群の交替行動率改善作用を示すグラフである。 実施例58の化合物の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 実施例58の化合物の特性DSC曲線を表す図である。 実施例59の化合物の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 実施例59の化合物の特性DSC曲線を表す図である。 実施例61の化合物の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 実施例61の化合物の特性DSC曲線を表す図である。 実施例62の化合物の粉末X線回折パターンを示すチャートである。 実施例62の化合物の特性DSC曲線を表す図である。 実施例63の化合物の特性DSC曲線を表す図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1−6」等と表記する場合もある。具体的には、「C1−6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。
「ハロゲン原子」の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
「C1−6アルキル基」は、炭素数1〜6個を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1−4アルキル基」である。「C1−6アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
「C3−6シクロアルキル基」は、3員〜6員の単環式の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C3−5シクロアルキル基」である。「C3−6シクロアルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
「C1−6アルコキシ基」の「C1−6アルキル」部分は、前記「C1−6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1−4アルコキシ基」である。「C1−6アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
「5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基」としては、例えば、5員〜10員の単環式もしくは二環式の1〜3個窒素原子を含有する芳香族基等が挙げられる。該基は、さらに硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される同種または異種のヘテロ原子を1個以上含有していてもよい。好ましくは、ピリジル基およびイソキノリニル基が挙げられ、より好ましくは、ピリジル基が挙げられる。
「5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。
Figure 2016108326
Figure 2016108326
環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する。例えば、下記式
Figure 2016108326
のヘテロアリール基の場合には、2−ピリジル基、3−ピリジル基、または4−ピリジル基であることを意味する。
更に、「ヘテロアリール基」が多環式の基である場合において、例えば、下記式
Figure 2016108326
で表される場合には、1−ベンゾイミダゾリル、または2−ベンゾイミダゾリルの他に、4−、5−、6−または7−ベンゾイミダゾリルであってもよい。
「Rd1およびRd2が、結合する炭素原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルカン環または3員〜8員のシクロアルケン環を形成してもよい」とは(1)Rd1およびRd2が、環状アミノ基中の同一の炭素原子に結合して、環状アミノ基とスピロ環を形成する場合、および(2)Rd1およびRd2が、環状アミノ基中の異なる炭素原子に結合して、環状アミノ基と縮合環もしくはビシクロ環を形成する場合が挙げられる。具体例としては、下記に示す基等が挙げられる。
Figure 2016108326
「置換されていてもよい5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基」、「置換されていてもよいピリジル基」、「置換されていてもよいイソキノリニル基」における置換基としては、例えば
(1)ハロゲン原子、
(2)C1−6アルキル基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)、
(3)C1−6アルコキシ基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)、
(4)シアノ基、
(5)アミノ基(該基は、C1−6アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい)、
(6)ヒドロキシ基、
(7)C1−6アルキルカルボニル基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)
(8)C1−6アルコキシカルボニル基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)、
(9)アミノカルボニル基(該アミノは、C1−6アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい)
(10)C1−6アルキルスルホニル基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)、および
(11)アミノスルホニル基(該アミノは、C1−6アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい)等が挙げられる。
好ましくは、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基(該基は1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよい)が挙げられ、より好ましくはフッ素原子が挙げられる。
「nおよびm」は、それぞれ独立して1または2であり;好ましくは、nは1であり、mは1である。
「破線を含む結合」は単結合または二重結合であり;好ましくは、単結合である。
本発明化合物は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物またはエタノール溶媒和物等の溶媒和物も本発明化合物に含まれる。さらに、本発明化合物はあらゆる態様の結晶形のものも包含している。
式(1)で表される化合物の薬学上許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;およびギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩等が具体例として挙げられる。
式(1)で表される化合物は、互変異性体として存在する場合もあり得る。従って、本発明化合物は、式(1)で表される化合物の互変異性体も包含する。
式(1)で表される化合物は、少なくとも一つの不斉炭素原子を有する場合もあり得る。従って、本発明化合物は、式(1)で表される化合物のラセミ体のみならず、これらの化合物の光学活性体も包含する。式(1)で表される化合物が種々の立体異性を生じる場合もある。従って、本発明化合物は、これらの化合物の立体異性体およびその混合物も包含する。
また、式(1)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上のHをH(D)に変換した重水素変換体も式(1)で表される化合物に包含される。
以下に、本発明化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、本明細書において、記載の簡略化のために次の略語を使用することもある。
Boc基:tert−ブトキシカルボニル基
Cbz基:ベンジルオキシカルボニル基
Alloc基:アリルオキシカルボニル基
Fmoc基:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
製造法
本発明化合物は、例えば、下記製造法1〜3に示す方法によって製造することができる。これらの製造方法は、有機合成に習熟している者の知識に基づき、適宜改良され得る。原料として用いられる化合物は、必要に応じてそれぞれ塩として用いてもよい。
下記製造法において、具体的に保護基の使用を明示した場合以外でも、反応点以外の何れかの官能基が説明した反応条件以外で変化する場合、または説明した方法を実施するのに不適切な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後または一連の反応を行った後に脱保護することにより目的物を得ることができる。保護基としては、文献(T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York(1999))などに記載されている通常の保護基を用いることができ、更に具体的には、アミノ基の保護基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アセチル、ベンジル等を、またヒドロキシ基の保護の具体例としては、例えば、トリアルキルシリル、アセチル、ベンジル等をそれぞれ挙げることができる。
保護基の導入及び脱離は、有機合成化学で常用される方法(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York(1999)に記載されている方法等)またはそれに準じた方法により行うことができる。
製造法1
式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」とも称する)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
Figure 2016108326
〔式中、m、n、R、R、Rc1、Rc2、Rd1、Rd2、環Q、破線を含む結合は、前記〔1〕と同義であり、LGは、脱離基(ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、置換スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基など))等を表す。〕
化合物(1)は、適当な不活性溶媒中で化合物(3)を化合物(4)と反応させることにより製造することができる。当該反応は、必要に応じ塩基の存在下、さらには相関移動触媒の存在下で行ってもよい。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲の温度である。反応時間は、反応温度、使用される塩基、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分間〜48時間である。
塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
相関移動触媒の具体例としては、例えば、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
化合物(1)のうち、式(1b)で表される化合物は、化合物(3)、式(5)で表されるアルデヒドまたはケトン、および還元剤を用い、適当な不活性溶媒中で還元的アミノ化反応することによっても製造される。当該反応は必要に応じて塩基または酸の存在下で行ってもよい。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される還元剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
還元剤の具体例としては、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの複合水素化合物やジボランやボラン錯体(ボラン−ジメチルスルフィド錯体またはボラン−テトラヒドロフラン錯体等)等が挙げられる。
塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
酸の具体例としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸や塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられる。
溶媒の具体例としては、例えば、水、アセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
化合物(1)のうち、式(1c)で表される化合物は、不活性溶媒中、化合物(7)を還元剤と反応させることによっても製造される。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲の温度である。反応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。還元剤の具体例としては、例えば、水素化リチウムアルミニウム、ボラン錯体(ボラン−ジメチルスルフィド錯体またはボラン−テトラヒドロフラン錯体等)等が挙げられる。不活性溶媒の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
化合物(7)は、化合物(3)を、縮合剤の存在下、不活性溶媒中、式(6)で表されるカルボン酸と反応させることにより製造される。当該反応はさらに塩基の存在下で行ってもよい。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
化合物(7)は、化合物(3)を、塩基の存在下、不活性溶媒中、化合物(6)から誘導される酸ハロゲン化物または酸無水物等と反応させることによっても製造される。反応温度は通常約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される縮合剤、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
縮合剤の具体例としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(WSC)、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロリン化物塩(BOP)、ジフェニルホスホニルジアミド(DPPA)、N,N−カルボニルジミイダゾール(CDI)、ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン化物塩(HBTU)などが挙げられる。必要に応じて、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)などの添加剤を加えて当該反応を行うことができる。
塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;ピリジン等の塩基性溶媒;もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
製造法2
化合物(3)のうち、式(3a)および式(3b)で表される化合物は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
Figure 2016108326
(式中、m、n、Rd1、Rd2、Re1およびRe2は前記〔1〕と同義である。)
化合物(3a)は、適当な不活性溶媒中で、化合物(8a)を酸(例えば、塩酸や硫酸などの無機酸やトリフルオロ酢酸などの有機酸など)で処理することにより製造される。処理温度は通常−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される酸、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
化合物(3b)は、前記化合物(3a)の製造方法と同様に処理して、化合物(8b)から製造される。
化合物(8b)は、適当な不活性溶媒中で、常圧もしくは加圧水素雰囲気下、化合物(8a)を接触還元して製造される。この還元反応に用いる触媒の具体例としては、パラジウム炭素等のパラジウム系の触媒、ロジウム炭素等のロジウム系の触媒、白金炭素等の白金系の触媒、ルテニウム炭素等のルテニウム系の触媒が挙げられる。反応温度は通常0℃から50℃の範囲である。反応時間は、反応温度、使用される触媒、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。不活性溶媒の具体例としては、例えば、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
他の式(3)で表される化合物は、市販されているか、公知の製造法あるいはそれに準じた製造法を用いて製造することができる。
製造法3
化合物(8a)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
Figure 2016108326
〔式中、m、n、Rd1、Rd2、Re1およびRe2は前記〔1〕と同義である。Wは、脱離基(例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基など)を表し、Xは、ボロン酸基(−B(OH))またはボロン酸エステル基(例えば、ピナコールボロン酸エステル基など)を表し、Yは、脱離基(例えば、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基など)を表し、Zは、ボロン酸基(−B(OH))、ボロン酸エステル基(例えば、ピナコールボロン酸エステル基など)、有機スズ基(例えば、−Sn(n−Bu)など)、または有機金属ピリジン化合物を形成するアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、亜鉛など)を表す。〕
化合物(8a)は、遷移金属触媒の存在下、適当な不活性溶媒中で、化合物(9c)と化合物(9d)をカップリング反応させることにより製造される。当該反応は、必要に応じて配位子、塩基、添加剤等の存在下で行うことができる。反応温度は通常−10℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される遷移金属触媒、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
遷移金属の具体例としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド(II)、ジクロロビス(トリ−O−トリルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、または[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などが挙げられる。
配位子の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−O−トリルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリ−2−フリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルアルシン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。
添加剤の具体例としては、例えば、塩化リチウム、フッ化セシウム、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)等の無機塩が挙げられる。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、水、アセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
化合物(9c)は、遷移金属触媒の存在下、適当な不活性溶媒中で、化合物(9b)とアルコキソジボロン(例えば、ビス(ピナコラト)ジボロンなど)等をカップリング反応させることにより製造される。反応条件は、前期の化合物(9c)と化合物(9d)とのカップリング反応と同様である。
化合物(8a)は、化合物(9b)と化合物(9e)をカップリング反応させることによっても製造される。反応条件は、前記の化合物(9c)と化合物(9d)とのカップリング反応と同様である。
化合物(9b)は、化合物(9a)を、塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で、スルホン酸無水物(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等)またはスルホン酸イミド[例えば、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)等]と反応させることにより製造される。反応温度は通常−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、反応温度、使用される塩基、原料、および溶媒等の条件によって異なるが、通常10分から48時間である。
塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンジシラザン等の金属アミドが挙げられる。不活性溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
上記各製造法における、式(4)、(5)、(6)、(9a)、(9d)および(9e)で表される化合物は、市販されているか、公知の製造法あるいはそれに準じた製造法を用いて製造することができる。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば、中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、各中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
光学活性な出発原料や中間体を用いることにより、あるいは最終品のラセミ体を光学分割することにより、本発明化合物の光学活性体を製造することができる。光学分割の方法としては、光学活性カラムを用いた物理的な分離方法、分別結晶化法などの化学的な分離方法が挙げられる。本発明化合物のジアステレオマーは、例えば、分別結晶化法によって製造される。
化合物(1)の薬学上許容される塩は、化合物(1)を含む溶液に、対応する薬学上許容される酸を直接、または薬学上許容される酸を含む溶液を添加し、生成した固体をろ取することにより製造される。
化合物(1)又は薬学上許容される酸の溶液の溶媒としては、例えば水;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトン、アセトニトリル等の非プロトン性溶媒;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
薬学上許容される酸の仕込み温度は、使用する溶媒の融点〜使用する溶媒の還流温度が挙げられる。好ましくは化合物の溶解する温度〜使用する溶媒の還流温度が挙げられる。
薬学上許容される酸を添加した後、混合物を仕込温度〜使用する溶媒の沸点、好ましくは、仕込温度〜80℃で、1分〜5時間程度攪拌してもよい。
固体の生成・ろ取は、例えば、以下の手順により行うことができる。
(1)化合物(1)と薬学上許容される酸を含む溶液から析出した固体をろ取する方法;
(2)化合物(1)と薬学上許容される酸を含む溶液に貧溶媒を加え、析出した固体をろ取する方法;
(3)化合物(1)と薬学上許容される酸を含む溶液を乾固し、貧溶媒を添加して析出した固体をろ取する方法;
(4)化合物(1)と薬学上許容される酸を含む溶液の溶媒を部分的に蒸発させた後に貧溶媒を加え、析出した固体をろ取する方法
などが挙げられる。
ここで、貧溶媒とは、化合物(1)及び薬学上許容される酸を含む溶液の溶媒よりも化合物(1)の溶解度が低い溶媒をいう。
貧溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、1,4-ジオキサンン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
貧溶媒を用いる場合は、化合物(1)及び薬学上許容される酸を含む溶液の溶媒に対して、1〜10000%(W/W)の貧溶媒を添加すればよい。
固定の析出は、溶液を0℃〜使用する溶媒の還流温度で、1分〜10時間程度攪拌して行ってもよい。
固体をろ取する温度としては、特に限定されないが、好ましくは0℃〜使用する溶媒の還流温度が挙げられる。
薬学上許容される酸の使用量は特に限定されないが、化合物(1)1モルに対して、0〜5モル(ただし、0の場合を除く)の範囲が好ましく、0.5〜2モルの範囲がより好ましく、0.5〜1モルの範囲がさらに好ましい。
2−メチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン(以下、「化合物X」ともいう)の結晶は、化合物X(フォームA、B、非晶質、及びその混合物を含む)の溶液からの結晶化により製造される。「溶液からの結晶化」の方法としては、例えば濃縮法、徐冷法、撹拌法、反応法(拡散法、電解法)等が挙げられるが、徐冷法、撹拌法が好ましい。また化合物Xの結晶は、化合物Xを溶媒に懸濁させた後、固体物をろ取することによっても製造される。
溶媒として、例えば水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、1,4-ジオキサンン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン性溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
化合物Xの溶媒中の濃度は、0.5〜50%(g/mL)の範囲から適宜選択することができる。
溶解温度は、10〜90℃の範囲から選択することができる。溶液は、通常0〜30℃、好ましくは室温(20〜30℃程度)まで1〜24時間かけてゆっくりと徐冷・熟成すればよい。
混合溶媒が用いられる場合、良溶媒(化合物Xに対して相対的に溶解度の大きい溶媒)と貧溶媒(化合物Xに対して相対的に溶解度の小さい溶媒)の混合比は、1:0.1〜100(v/v)のに範囲から適宜選択することができる。この場合、好ましくは、良溶媒に化合物Xを溶解した溶液に貧溶媒が滴下される。
得られた結晶を、濾過、結晶化に用いた溶媒で洗浄、乾燥することにより、本発明の結晶を取得することができる。
化合物XのフォームAの結晶は、例えば、化合物XのフォームAの結晶を、上記のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、又はこれらの混合溶媒に溶解または懸濁させた後、固体物をろ取することにより製造される。好ましくは、エタノール、2−プロパノール、アセトン、酢酸イソプロピル、またはこれらの溶媒と、トルエンもしくはヘプタンとの混合溶媒の溶液からの徐冷法により製造され、より好ましくは、2−プロパノールとヘプタンの混合溶媒の溶液からの徐冷法により製造される。
化合物XのフォームBの結晶は、例えば、化合物XのフォームAの結晶を、水-アセトンの混合溶媒に溶解または懸濁させた後、固体物をろ取することにより製造される。
このようにして得られた本発明化合物(1)の解析方法としては、一般的に固体を分析する測定方法を制限なく適用することができるが、好ましくは、粉末X線回折スペクトルにおける回折角(2θ,°)または格子面間隔(d,Å)及び相対強度(%)によって特徴付けられる。粉末X線回折スペクトルの測定条件は特に限定されないが、本明細書に記載の測定条件で測定することが好ましい。なお、粉末X線回折はデータの性質上、結晶の同一性認定においては回折角、結晶格子間隔や全体的なパターンが重要であり、相対強度は、結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少は変わり得るものであるから、厳密に解されるべきではない。
また、固体の解析方法として、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、等を併用してもよい。これらの測定条件は特に限定されないが、本明細書に記載の測定条件で測定することが好ましい。
これら解析方法により得られる各スペクトルは、その性質上一定の測定誤差が生じる。スペクトルの誤差が当該誤差範囲にあるピークを有する結晶も本発明の範囲に含まれる。例えば、粉末X線回折の測定の場合は、dで表される格子面間隔において、±0.2Åの誤差範囲内にピークを有する結晶、又は2θで表される回折角ピークにおいて、±0.2°の誤差範囲内にピークを有する結晶は本発明に含まれる。
また、示差走査熱量測定(DSC)の補外開始温度(Tim)、吸熱ピーク温度(Tpm)等においては、±5℃が許容される。示差走査熱量測定(DSC)の補外開始温度(Tim)とは、吸熱ピークの曲線の立ち上がり部分と基線とのそれぞれの外挿線が交わる点の温度を言い、吸熱ピーク温度(Tpm)とは、吸熱ピークのピークトップの温度を言う。
本発明化合物の好ましい態様において、下記に示すものは結晶として得られ、下記物性値を示す。
(1)化合物XのフォームAの結晶
粉末X線回折スペクトルにおいて、2θで表される回折角度として
11.9°、15.8°、16.1°、17.8°、20.3°、20.5°、21.3°、21.4°、21.9°及び26.3°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、好ましくは、
11.9°、16.1°、17.8°、20.5°、21.4°、21.9°及び26.3°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、より好ましくは、11.9°、16.1°、17.8°及び20.5°(それぞれ±0.2°)に特徴的ピークを示す。
示差走査熱量測定(DSC)において、134℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示す。
(2)化合物XのフォームBの結晶
粉末X線回折スペクトルにおいて、2θで表される回折角度として
5.9°、13.5°、16.1°、17.9°、18.2°、19.0°、19.7°、20.4°、21.6°、23.2°、23.6°、27.6°、28.0°、28.1°及び38.3°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、好ましくは、
5.9°、13.5°、16.1°、17.9°、18.2°、19.0°、20.4°、21.6°、28.0°及び28.1°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、より好ましくは、5.9°、17.9°、19.0°、20.4°、21.6°及び28.0°(それぞれ±0.2°)に特徴的ピークを示す。
示差走査熱量測定(DSC)において、114℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する転移に伴う吸発熱ピークを示し、134℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する転移した結晶形の融解に伴う吸熱ピークを示す。
(3)化合物Xの1.5コハク酸塩の結晶
粉末X線回折スペクトルにおいて、2θで表される回折角度として
4.9°、14.8°、16.9°、17.4°、18.6°、19.2°、19.8°、21.8°、22.1°、24.8°、26.6°、27.1°、29.8°及び31.2°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、好ましくは、
4.9°、14.8°、17.4°、18.6°、19.2°、19.8°及び27.1(それぞれ±0.2°)にピークを示し、より好ましくは、4.9°、14.8°、18.6°及び19.8(それぞれ±0.2°)に特徴的ピークを示す。
示差走査熱量測定(DSC)において、167℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示す。
(4)化合物Xの1.5フマル酸塩の結晶
粉末X線回折スペクトルにおいて、2θで表される回折角度として
4.9°、14.6°、17.3°、18.6°、19.2°、19.5°、21.7°、22.1°、26.4°、27.4°、27.9°及び30.9°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、好ましくは、
4.9°、14.6°、17.3°、19.2°、19.5°、22.1°、27.9°及び30.9°(それぞれ±0.2°)にピークを示し、より好ましくは、4.9°、14.6°、17.3°及び19.5°(それぞれ±0.2°)に特徴的ピークを示す。
示差走査熱量測定(DSC)において、196℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示す。
本発明化合物は、ドパミンD受容体アゴニストであることから、ADHDと類似の症状を示す中枢神経性疾患、例えば、自閉症スペクトラム障害(精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM−5)における自閉症スペクトラム障害であって、従来のDSM−5において、自閉症、アスペルガー症候群、非定型広汎性発達障害、および小児崩壊性障害と分類されていた診断名)、ADHD様の症状を示す統合失調症、気分障害、認知機能障害などの治療剤になり得る。本発明化合物は、メチルフェニデート等の中枢刺激薬、アトモキセチンなどの選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、種々の統合失調症治療剤などと組み合わせて用いることができる。なおADHD(attention deficit hyperactivity disorder)は「注意欠陥多動性障害」の他に「注意欠如・多動性障害」または「注意欠如・多動症」と訳されることもある(DSM−5病名・用語翻訳ガイドライン等参照)。
自閉症スペクトラム障害の病因仮説の一つとして、大脳皮質における興奮性―抑制性神経伝達物質の不均衡に伴う神経ネットワーク同調性の欠如が想定されており、高周波帯の脳波であるγ波の増幅がこの不均衡を改善することが認められている。ドパミンD受容体アゴニストは大脳皮質においてγ波を増幅させることがこれまで報告されている。
一方、視床下部において生成されるホルモンであるオキシトシンは、社会性認知に関与することが報告されており、自閉症との関連が示唆されている。ドパミンD受容体は視床下部室傍核に発現するオキシトシン産生ニューロンに高発現していることから、ドパミンD受容体アゴニストは、オキシトシン産生ニューロンを活性化し、脳内でオキシトシンの遊離を促進することが期待される。
以上のことから、ドパミンD受容体アゴニストは、大脳皮質におけるγ波の増幅作用、および視床下部におけるオキシトシン遊離促進作用を介した、自閉症スペクトラム障害の治療薬となり得る。
本発明化合物は、ADHDおよび自閉症スペクトラム障害の治療に好適に用いられる。
ADHDの治療としては、特に、注意欠陥(Inattention)、多動性(Hyperactivity)、および衝動性(Impulsivity)を主症状とするADHDに好適に用いられる。
自閉症スペクトラム障害の治療としては、特に、社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な欠陥、および制限された反復される行動や興味や活動の様式を主症状とする自閉症スペクトラム障害に好適に用いられる。
アドレナリンα1A受容体は、交感神経のシナプス後部に分布し、その作動薬は血管収縮作用により血圧上昇をもたらすことが知られている。
本発明化合物は、ドパミンD受容体に対して選択的な強い作用を示し、他のGPCRであるアドレナリンα1A受容体への作用が弱いことから、心臓血管系の副作用が軽減され安全性が高いことが期待できる。
医薬品化合物が生体内に取り込まれた後、代謝を受けることにより化学構造が変化し、反応性の高い中間体、すなわち反応性代謝物が生成し、毒性(肝毒性、アレルギー、組織壊死、変異原性やがん原性等)を発現させることがある。この反応性代謝物による毒性リスクを簡易に評価する試験の一つとして、ダンシル化されたグルタチオン(dGSH)を用いたグルタチオン(GSH)トラッピング試験がある。dGSH共有結合量の値が高い化合物ほど、全身に曝露された場合、上記の毒性リスクが高まる。
本発明化合物は、dGSH共有結合量の値が極めて低いことから(試験例5)、肝毒性等リスクが低く、長期にわたって安全に投与できることが期待される。
本発明化合物は経口的または非経口的に投与することができる。経口的に投与する場合、通常用いられる投与形態で投与することができる。非経口的には、局所投与剤、注射剤、経皮剤、経鼻剤等の形で投与することができる。経口剤または直腸投与剤としては、例えば、カプセル、錠剤、ピル、散剤、カシェ剤、坐剤、液剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば、無菌の溶液または懸濁液等が挙げられる。局所投与剤としては、例えば、クリーム、軟膏、ロ−ション、経皮剤(通常のパッチ剤、マトリクス剤)等が挙げられる。
上記の剤形は通常の方法で、薬学的に許容される賦形剤、添加剤とともに製剤される。薬学的に許容される賦形剤、添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、白糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロ−ス、低融点ワックス、カカオバター等が挙げられる。カプセルは、本発明化合物を薬学的に許容される担体と共に中に入れることにより製剤できる。本発明化合物は薬学的に許容される賦形剤と共に混合し、または賦形剤なしにカプセルの中に入れることができる。カシェ剤も同様の方法で製造できる。
注射用液剤としては、溶液、懸濁液、乳剤等が挙げられる。例えば、水溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。液剤は、水を含んでもよい、ポリエチレングリコールまたは/およびプロピレングリコールの溶液の形で製造することもできる。経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を水に加え、着色剤、香料、安定化剤、甘味剤、溶解剤、増粘剤等を必要に応じて加え製造することができる。また経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を分散剤とともに水に加え、粘稠にすることによっても製造できる。増粘剤としては、例えば、薬学的に許容される天然または合成ガム、レジン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは公知の懸濁化剤等が挙げられる。
用量は、個々の化合物により、また患者の疾患、年齢、体重、性別、症状、投与経路等により変化するが、通常は成人(体重50kg)に対して、本発明化合物を、0.1〜1000mg/日、好ましくは0.1〜300mg/日を1日1回または2ないし3回に分けて投与する。また、数日〜数週に1回投与することもできる。
本発明の結晶の純度は、例えば、粉末X線回折測定法、熱分析等の公知の方法で求めることができる。本発明の結晶の純度は、必ずしも100%の純度である必要はなく、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上である。純度がこの範囲内にあることは、医薬品としての品質を保証する上で好ましい。
結晶の純度とは、結晶の全体量に対する特定の結晶形の化合物の割合(純度)を意味する。
以下に本発明を、参考例、実施例および試験例により、更に具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。なお、記載の簡略化のために略語を使用することもあるが、これらの略号は前記記載と同義である。
化合物の同定はプロトン核磁気共鳴吸収スペクトル(H−NMR)、LC−MS等を用いて行った。なお、参考例および実施例におけるアミノクロマトグラフィーは、山善株式会社製のアミノカラムを用いた。LC−MSは下記表1に示す種々の条件を用いて測定を行った。リテンションタイム(R.T.)はLC−MS測定におけるマススペクトルピークが現れた時間を表す。
Figure 2016108326
粉末X線回折測定は、次の条件で行った。
・装置:X’pert−MPD(スペクトリス社製)
・X線:Cu Kα1/45 kV/40 mA
・入射スリット:15 mm(オート)/発散防止スリット:15 mm(オート)
・ステップサイズ:0.017°
・走査範囲:4−40°(2θ)
・積算時間:100秒/ステップ
示差走査熱量測定(DSC)は、次の条件で行った。
・装置:DSCQ1000(TAインスツルメント社製)
・測定温度範囲:10〜300℃
・昇温速度: 10℃/分
・容器: アルミニウムハーメチックパン(Pin hole)
・雰囲気ガス流量: 乾燥窒素、約50mL/分
熱重量測定(TGA)は、次の条件で測定できる。
・装置:TGAQ500(TAインスツルメント社製)
・測定温度範囲: 室温〜300℃
・昇温速度: 10℃/分
・容器: プラチナパン
・雰囲気ガス流量: 乾燥窒素、サンプル流量約60mL/分、バランス流量約40mL/分
本明細書において次の略号を使用することもある。参考例ならびに実施例のNMRデータにおいては以下の略号を使用する。
Me基:メチル基
Et基:エチル基
Boc基:tert−ブトキシカルボニル基
tert−:ターシャリー
s:シングレット(singlet)
brs:ブロードシングレット(broad singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl:重クロロホルム
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
IPA:イソプロピルアルコール(2−プロパノール)
THF:テトラヒドロフラン
CPME:シクロペンチルメチルエーテル
実施例1
5−(3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例1の化合物(180mg,0.773mmol)のジメチルホルムアミド溶液(3.0mL)に炭酸カリウム(534mg,3.87mmol)と5−(クロロメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン塩酸塩(150mg,0.773mmol)を加えた。室温で15時間撹拌後、水(30mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で6回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0から50:50まで)で精製した後、アミノカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=57:43から12:88まで)で精製した。得られた精製物に酢酸エチル(0.5mL)を加え、室温で30分間撹拌後、n−ヘキサン(1.5mL)を加え、さらに、室温で30分間撹拌し、析出物をろ取し、表題化合物(107mg,49%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 2.50 (3H, s), 2.76-2.62 (4H, m), 3.22-3.14 (2H, m), 3.57 (2H, s), 6.63 (1H, brs), 7.18-7.13 (1H, m), 7.37 (1H, brd, J = 7.9 Hz), 7.65 (1H, ddd, J = 7.9, 1.8, 1.8 Hz), 7.97 (1H, s), 8.56 (1H, brd, J = 5.0 Hz).
実施例2
5−(3’,6’−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例2の化合物(20g,85.8mmol)のジクロロメタン溶液(420mL)に氷冷下トリエチルアミン(27.5mL,197mmol)を加え、室温で20分間撹拌後、氷冷下、参考例21の化合物(12.9g,94.4mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(27.3g,129mmol)を加えた。室温で1.5時間撹拌後、氷冷下、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(18.2g,85.8mmol)を加え、室温でさらに20時間撹拌した。その後、反応混合物に氷冷下、10%炭酸カリウム水溶液(420mL)を加え、有機層を分抽し、さらにクロロホルム(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0から97:3まで)で精製し、表題化合物(19.7g,82%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 2.51 (3H, s), 2.61-2.52 (2H, m), 2.72 (2H, t, J = 5.7 Hz), 3.16 (2H, dd, J = 2.9, 2.9 Hz), 3.56 (2H, s), 6.16-6.10 (1H, m), 7.28-7.22 (1H, m), 7.65 (1H, ddd, J = 8.1, 2.0, 2.0 Hz), 7.98 (1H, s), 8.49 (1H, dd, J = 4.8, 1.7 Hz), 8.66 (1H, brd, J = 2.0 Hz).
実施例3
5−(3−フルオロ−3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例7の化合物(50mg,0.199mmol)のジクロロメタン溶液(1.5mL)にトリエチルアミン(0.0554mL,0.398mmol)を加え、室温で10分間撹拌後、参考例21の化合物(30mg,0.219mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(63.3mg,0.299mmol)を加えた。室温で1時間撹拌後、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(42.2mg,0.199mmol)を加え、室温でさらに3時間撹拌した。その後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、クロロホルム(20mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0から97:3まで)で精製し、表題化合物(45.0mg,76%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 2.50 (3H, s), 2.77-2.67 (4H, m), 3.23-3.16 (2H, m), 3.57 (2H, s), 6.57-6.52 (1H, m), 7.20-7.13 (1H, m), 7.38 (1H, ddd, J = 11.6, 8.3, 1.5 Hz), 7.97 (1H, s), 8.38 (1H, ddd, J = 3.1, 1.5, 1.5 Hz).
実施例4
5−(5−フルオロ−3’,6’−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例13の化合物から、実施例3と同様の手法により、表題化合物(59%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 2.50 (3H, s), 2.52-2.58 (2H, m), 2.72 (2H, t, J = 5.7 Hz), 3.13-3.19 (2H, m), 3.56 (2H, s), 6.15-6.21 (1H, m), 7.33-7.39 (1H, m), 7.98 (1H, s), 8.36 (1H, brd, J = 2.6 Hz), 8.48 (1H, brs).
実施例5
2−メチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例3の化合物から、実施例1と同様の手法により、表題化合物(80%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.77-2.00 (4H, m), 2.11 (2H, td, J = 11.6, 2.5 Hz), 2.49 (3H, s), 2.66-2.78 (1H, m), 2.93-3.04 (2H, m), 3.46 (2H, s), 7.10-7.19 (2H, m), 7.62 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.8 Hz), 7.93 (1H, s), 8.53-8.57 (1H, m).

補外開始温度:134℃〜135℃
実施例6
2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例11の化合物から、実施例1と同様の手法により、表題化合物(80%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.77-2.00 (4H, m), 2.11 (2H, td, J = 11.6, 2.5 Hz), 2.49 (3H, s), 2.66-2.78 (1H, m), 2.93-3.04 (2H, m), 3.46 (2H, s), 7.10-7.19 (2H, m), 7.62 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.8 Hz), 7.93 (1H, s), 8.53-8.57 (1H, m).
実施例7
5−[4−(5−フルオロピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例13の化合物(60mg,0.24mmol)のメタノール溶液(2mL)に10%パラジウム/炭素(25mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、セライトろ過し濃縮した。得られた濃縮残渣をジクロロメタン(3mL)に溶解し、これにトリエチルアミン(0.067mL,0.48mmol)を加え、室温で10分間撹拌後、参考例21の化合物(33mg,0.24mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(76mg,0.36mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、クロロホルム(20mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=50:50)で精製し、表題化合物(25mg,34%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ:1.65-1.76 (m, 2H), 1.89-1.93 (m, 2H), 2.08-2.15 (m, 2H), 2.50 (s, 3H), 2.60-2.68 (m, 1H), 3.00 (d, J = 11.7 Hz, 2H), 3.46 (s, 2H), 7.24-7.28 (m, 1H), 7.95 (s, 1H), 8.32-8.33 (m, 2H).
実施例8
5−[4−(イソキノリン−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル]−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例15の化合物(285mg,1.0mmol)のアセトニトリル溶液(5.0mL)に炭酸カリウム(415mg,3.0mmol)とヨウ化カリウム(199mg,1.2mmol)と5−(クロロメチル)−2−メチルピリミジン−4−アミン塩酸塩(233mg,1.2mmol)を加えた。60℃で18時間撹拌後、反応混合物をろ過し、濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィーで精製し、表題化合物(30.0mg,9%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.85-1.95 (2H, m), 2.05-2.17 (2H, m), 2.23-2.34 (2H, m), 2.42 (3H, s), 2.96-3.06 (2H, m), 3.53 (2H, s), 3.65-3.75 (1H, m), 7.64 (1H, d, J = 6.0 Hz), 7.65-7.71 (1H, m), 7.72-7.78 (1H, m), 7.87-7.94 (2H, m), 8.30-8.38 (2H, m).
実施例9
5−[4−(イソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例18の化合物から、実施例8と同様の手法により、表題化合物(7.5%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.91-2.12 (2H, m), 2.32-2.43 (2H, m), 2.48 (3H, s), 2.86-3.00 (1H, m), 3.08-3.17 (2H, m), 3.65 (2H, s), 7.65 (1H, dd, J = 7.2, 7.2 Hz), 7.68 (1H, s), 7.76 (1H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.90 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.00 (1H, s), 8.06 (1H, d, J = 8.0 Hz), 9.18 (1H, s).
実施例10
5−(3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)−2−エチルピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例1の化合物(233mg,1.0mmol)のメタノール溶液(3.0mL)に参考例23の化合物(151mg,1.0mmol)と水素化シアノホウ素ナトリウム(126mg,2.0mmol)を加えた。45℃で16時間撹拌後、反応混合物を分取高速液体カラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物(53.2mg,18%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.32 (3H, t, J = 7.6 Hz), 2.64-2.81 (6H, m), 3.16-3.24 (2H, m), 3.57 (2H, s), 6.60-6.66 (1H, m), 7.15 (1H, dd, J = 6.8, 5.2 Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.65 (1H, dd, J = 7.6, 6.0 Hz), 8.01 (1H, s), 8.56 (1H, d, J = 3.6 Hz).
実施例11〜28
対応する参考例の化合物より、実施例10記載方法に準じ、実施例11〜28の化合物を合成した。
Figure 2016108326
Figure 2016108326





Figure 2016108326
実施例29
1’−[(2−メチルピリミジン−5−イル)メチル]−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−2,4’−ビピリジン
Figure 2016108326
参考例1の化合物(30mg,0.129mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1.5mL)に炭酸カリウム(89.1mg,0.645mmol)と5−(クロロメチル)−2−メチルピリミジン(18.3mg,0.129mmol)を加えた。室温で15時間撹拌後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0から95:5まで)で精製し、表題化合物(8.6mg,25%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 2.64-2.72 (2H, m), 2.72-2.75 (2H, m), 2.75 (3H, s), 3.22-3.28 (2H, m), 3.63 (2H, s), 6.59-6.64 (1H, m), 7.14 (1H, ddd, J = 7.5, 4.8, 1.1 Hz), 7.35-7.39 (1H, m), 7.64 (1H, ddd, J = 7.8, 7.8, 1.8 Hz), 8.54-8.58 (1H, m), 8.65 (2H, s).
実施例30〜32
対応する参考例の化合物より、実施例29記載方法に準じ、実施例30〜32の化合物を合成した。
Figure 2016108326
実施例33
5−[4−(5−フルオロピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルピリミジン
Figure 2016108326
参考例13の化合物から、実施例7と同様の手法により、表題化合物(34%)を得た。
1H−NMR (400MHz, CDCl3) δ:1.72-1.90 (m, 4H), 2.15 (t, J = 11.7 Hz, 2H), 2.58-2.66 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 3.00 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 3.53 (s, 2H), 7.25-7.30 (m, 1H), 8.32 (s, 2H), 8.61 (s, 2H).
実施例34
5−(3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−イルメチル)ピリミジン−2−アミン
Figure 2016108326
参考例1の化合物(30mg,0.129mmol)のジクロロメタン溶液(1.5mL)にトリエチルアミン(0.036mL,0.258mmol)を加え、室温で10分間撹拌後、2−アミノピリミジン−5−カルボキシアルデヒド(15.9mg,0.129mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(41.0mg,0.194mmol)を加えた。室温で1.5時間撹拌後、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(41.0mg,0.194mmol)を加え、室温でさらに24時間撹拌した。その後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、クロロホルム(20mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0から90:10まで)で精製し、表題化合物(20.1mg,58%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 2.65-2.70 (2H, m), 2.71-2.75 (2H, m), 3.20-3.24 (2H, m), 3.50 (2H, s), 4.99 (2H, brs), 6.60-6.64 (1H, m), 7.13 (1H, ddd, J = 7.4, 4.8, 1.0 Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.63 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.8 Hz), 8.30 (2H, s), 8.54-8.57 (1H, m).
実施例35〜37
対応する参考例の化合物より、実施例34記載方法に準じ、実施例35〜37の化合物を合成した。
Figure 2016108326
実施例38
2−メチル−5−[2−メチル−4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例35の化合物(150mg,0.60mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)にトリエチルアミン(0.192mL,1.38mmol)を加え、室温で5分間撹拌後、参考例21の化合物(91.0mg,0.66mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(190mg,0.90mmol)を加えた。室温で7時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製した。その後、精製物のメタノール溶液(3mL)に10%パラジウム/炭素(30mg)を加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。4時間後、セライトろ過し、濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、表題化合物(57%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.12, 1.28 (d, J = 6.0 Hz, 3H, diastereo ratio = 1 : 4), 1.64-2.38 (m, 5H), 2.49 (s, 3H), 2.63-2.93 (m, 3H), 3.57 (s, 2H), 7.11-7.17 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 7.93, 7.94 (s, 1H, diastereo ratio = 4 : 1), 8.54-8.55 (m, 1H).
LC‐MS:条件A R.T.= 0.6 min ObsMS = 298.1 [M+1]
実施例39
2−メチル−5−[2−メチル−4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例39の化合物(52.0mg,0.21mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)にトリエチルアミン(0.064mL,0.46mmol)を加え、室温で5分間撹拌後、参考例21の化合物(32.0mg,0.23mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(67.0mg,0.32mmol)を加えた。室温で6時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、表題化合物(10%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.12, 1.29 (d, J = 6.3 Hz, 3H, diastereo ratio = 3 : 1), 1.60-2.00 (m, 5H), 3.42 (s, 3H), 2.63-2.66 (m, 1H), 2.85-3.17 (m, 2H), 3.57 (s, 2H), 7.24 (dd, J = 7.6, 5.1 Hz, 1H), 7.52-7.54 (m, 1H), 7.94, 7.95 (s, 1H, diastereo ratio = 1 : 3), 8.45-8.50 (m, 2H).
LC‐MS:条件A R.T.= 1.1 min ObsMS = 298.1 [M+1]
実施例40
2−メチル−5−[3−メチル−4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例42の化合物(172mg,0.69mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)にトリエチルアミン(0.221mL,1.6mmol)を加え、室温で5分間攪拌後、参考例21の化合物(105mg,0.76mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(219mg,1.04mmol)を加えた。室温で6時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製した。その後、精製物(143mg,0.48mmol)のメタノール(5mL)溶液に、10%パラジウム/炭素(80mg)を加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。4時間後、セライトろ過し、濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、表題化合物(70%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 1.2 min ObsMS = 298.2 [M+1]
実施例41
2−メチル−5−[3−メチル−4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例46の化合物(110mg,0.44mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)にトリエチルアミン(0.123mL,1.88mmol)を加え、室温で5分間攪拌後、参考例21の化合物(60.0mg,0.44mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(140mg,0.66mmol)を加えた。室温で6時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、表題化合物(20%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 0.79 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 2.05-2.35 (m, 5H), 2.49 (s, 3H), 2.78-3.04 (m, 3H), 3.36-3.46 (m, 2H), 7.24 (dd, J = 7.3, 4.9 Hz, 1H), 7.45-7.50 (m, 1H), 7.94 (s, 1H), 8.45-8.50 (m, 2H).
LC‐MS:条件A R.T.= 1.2 min ObsMS = 298.1 [M+1]
実施例42
2−メチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)アゼパン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例49の化合物(8.0mg,0.03mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)にトリエチルアミン(0.010mL,0.07mmol)を加え、室温で5分間攪拌後、参考例21の化合物(4.0mg,0.03mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(10mg,0.05mmol)を加えた。室温で4時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:1)で精製した。その後、精製物(3.0mg,0.03mmol)のメタノール(2mL)溶液に、10%パラジウム/炭素(3.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。3時間後、セライトろ過し、濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、表題化合物(66%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.78-2.02 (m, 6H), 2.49 (s, 3H), 2.64-2.82 (m, 4H), 2.93-3.01 (m, 1H), 3.70-3.76 (m, 2H), 7.09-7.13 (m, 2H), 7.56-7.62 (m, 2H), 8.14 (s, 1H), 8.52 (d, J = 4.9 Hz, 1H).
LC‐MS:条件A R.T.= 1.1 min ObsMS = 298.1 [M+1]
実施例43
2−メチル−5−[4−(ピリジン−3−イル)アゼパン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例53の化合物(47mg,0.19mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)にトリエチルアミン(0.061mL,0.44mmol)を加え、室温で5分間攪拌後、参考例21の化合物(29mg,0.21mmol)と水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(60mg,0.29mmol)を加えた。室温で6時間攪拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:1)で精製した。その後、精製物(8.0mg,0.03mmol)のメタノール(2mL)溶液に、10%パラジウム/炭素(20mg)を加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。4時間後、セライトろ過し、濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、表題化合物(14%)を得た。
LC‐MS:条件B R.T.= 1.8 min ObsMS = 298 [M+1]
実施例44
2,4−ジメチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン―1−イルメチル]ピリミジン
Figure 2016108326
(2,4−ジメチルピリミジン−5−イル)メタノール(1.71g,12.4mmol)のテトラヒドロフラン溶液(40mL)に、トリエチルアミン(1.74mL,12.5mmol)とメタンスルホニルクロリド(0.969mL,12.5mmol)を0℃で加えた。0℃で1時間撹拌後、不溶物をろ過した。得られたろ液を、参考例3の化合物(2.94g,12.5mmol)、ジメチルホルムアミド(60mL)および炭酸カリウム(7.71g,55.8mmol)の混合物へ加えた。室温で終夜撹拌後、水(400mL)を加え、酢酸エチル(300mL)とクロロホルム(300mL×2回)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)で精製し、さらに、アミノカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、表題化合物(2.25g,64%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.74-1.97 (4H, m), 2.16 (2H, td, J = 11.5, 2.8 Hz), 2.56 (3H, s), 2.65-2.78 (1H, m), 2.69 (3H, s), 2.90-2.99 (2H, m), 3.46 (2H, s), 7.11 (1H, ddd, J = 7.5, 5.0, 1.1 Hz), 7.14-7.18 (1H, m), 7.61 (1H, td, J = 7.7, 1.8 Hz), 8.40 (1H, s), 8.52-8.55 (1H, m).
実施例45
2,4−ジメチル−5−[4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン―1−イルメチル]ピリミジン
Figure 2016108326
参考例11の化合物から、実施例44と同様の手法により、表題化合物(86%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.64-1.88 (4H, m), 2.16 (2H, td, J = 11.4, 2.8 Hz), 2.49-2.62 (1H, m), 2.57 (3H, s), 2.69 (3H, s), 2.90-3.00 (2H, m), 3.47 (2H, s), 7.23 (1H, ddd, J = 7.8, 4.8, 0.7 Hz), 7.53 (1H, ddd, J = 7.9, 2.0, 2.0 Hz), 8.41 (1H, s), 8.45 (1H, dd, J = 4.8, 1.7 Hz), 8.49 (1H, brd, J = 2.2 Hz).
実施例46
5−[4−(5−フルオロピリジン−3−イル)ピペリジン―1−イルメチル]ピリミジン−2−アミン
Figure 2016108326
参考例13の化合物から、実施例7と同様の手法により、表題化合物(34%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.73-1.93 (4H, m), 2.11 (2H, td, J = 11.6, 2.7 Hz), 2.55-2.67 (1H, m), 2.98-3.07 (2H, m), 3.42 (2H, s), 5.06 (2H, s), 7.24-7.31 (1H, m), 8.28 (2H, s), 8.34 (2H, brd, J = 2.4 Hz).
実施例47
2−メチル−5−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例55の化合物から、実施例1と同様の手法により、表題化合物(13%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.78-1.93 (2H, m), 2.06-2.23 (4H, m), 2.42 (3H, s), 2.90-3.00 (2H, m), 3.03-3.14 (1H, m), 3.47 (2H, s), 7.47 (1H, d, J = 3.2 Hz), 7.71 (1H, d, J = 3.2 Hz), 7.89 (1H, s).
実施例48
5−[4−(5−フルオロピリジン−3−イル)ピペリジン―1−イルメチル]−2,4−ジメチルピリミジン
Figure 2016108326
参考例56の化合物(253mg,1.00mmol)と2,4−ジメチルピリミジン−5−カルボン酸(152mg,1.00mmol)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(135mg,1.00mmol)と1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(230mg,1.20mmol)とトリエチルアミン(418μL,3.00mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)の混合物を室温で16時間攪拌した。その後、反応混合物をそのまま分取高速液体カラムクロマトグラフィーにより精製した。続いて得られた生成物(157mg,0.50mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5.0mL)に水素化リチウムアルミニウム(56.9mg,1.50mmol)を10℃で加えた。10℃で16時間攪拌後、水と10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出物をセライトろ過により除き、ろ液を濃縮した。得られた濃縮残渣を分取高速液体カラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(4%)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl) δ: 1.63-1.82 (2H, m), 1.82-1.93 (2H, m), 2.17 (2H, brt, J = 10.8 Hz), 2.53-2.70 (1H, m), 2.58 (3H, s), 2.71 (3H, s), 2.97 (2H, brd, J = 11.2 Hz), 3.48 (2H, s), 7.23-7.34 (1H, m), 8.33 (2H, s), 8.42 (1H, s).
実施例49〜50
対応する参考例の化合物より、実施例48記載方法に準じ、実施例49〜50の化合物を合成した。
Figure 2016108326
実施例51〜56
対応する参考例の化合物より、実施例10記載方法に準じ、実施例51〜56の化合物を合成した。
Figure 2016108326
実施例57
2−メチル−5−[4−(4−メチルピリジン−2−イル)ピペリジン―1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン
Figure 2016108326
参考例57の化合物(276mg,1.00mmol)の1,4−ジオキサン溶液(1.5mL)に4mol/L−塩酸1,4−ジオキサン溶液(3.0mL)を加え、室温で16時間攪拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで洗浄した。続いて、得られた生成物から、実施例10と同様の手法により、表題化合物(13%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.62-1.92 (4H, m), 2.02 (2H, brt, J = 8.8 Hz), 2.26 (3H, s), 2.42 (3H, s), 2.54-2.65 (1H, m), 2.90 (2H, brd, J = 11.6 Hz), 3.38 (2H, s), 6.88 (1H, d, J = 5.2 Hz), 6.90 (1H, s), 7.86 (1H, s), 8.32 (1H, d, J = 4.8 Hz).
参考例1
1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−2,4’−ビピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例4の化合物(327mg,1.26mmol)の1,4−ジオキサン溶液(3.2mL)に4mol/L−塩酸1,4−ジオキサン溶液(6.5mL)を加えた。室温で1時間撹拌後、溶媒を留去し、表題化合物(293mg,99%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-D6) δ: 2.76-2.86 (2H, m), 3.24-3.35 (2H, m), 3.76-3.87 (2H, m), 6.82 (1H, m), 7.52 (1H, t, J = 6.2 Hz), 7.79 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.06 (1H, t, J = 7.2 Hz), 8.64 (1H, d, J = 5.0 Hz), 9.47 (2H, brs).
参考例2
1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−3,4’−ビピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例5の化合物(1.17g,4.49mmol)の1,4−ジオキサン溶液(7.0mL)に4mol/L−塩酸1,4−ジオキサン溶液(14mL)を加えた。室温で2時間撹拌後、濃縮した。得られた濃縮残渣にジエチルエーテル(7.0mL)を加え、室温で30分間撹拌後、析出物をろ取した。ろ上物をジエチルエーテル(2.3mL)で洗浄し、減圧乾燥することで、表題化合物(942mg,90%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-D6) δ: 2.69-2.81 (2H, m), 3.25-3.37 (2H, m), 3.75-3.83 (2H, m), 6.51-6.56 (1H, m), 7.86 (1H, dd, J = 8.3, 5.3 Hz), 8.40-8.46 (1H, m), 8.74 (1H, dd, J = 5.3, 1.3 Hz), 8.92 (1H, d, J = 2.2 Hz), 9.46 (2H, brs).
参考例3
2−(ピペリジン−4−イル)ピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例6の化合物から、参考例1と同様の手法により、表題化合物(99%)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.93-2.08 (2H, m), 2.08-2.17 (2H, m), 2.93-3.07 (2H, m), 3.28-3.43 (3H, m), 7.67-7.78 (2H, m), 8.26-8.36 (1H, m), 8.70-8.75 (1H, m), 9.03-9.32 (2H, m).
参考例4
tert−ブチル 3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
2−ブロモピリジン(5.11g,32.3mmol)のジメトキシエタン溶液(100mL)に、水(50mL)と1−N−Boc−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン(10g,32.3mmol)と炭酸ナトリウム(17.1g,162mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.373g,0.323mmol)を加えた。6時間加熱還流後、水(150mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=81:9から60:40まで)で精製し、表題化合物(4.99g,59%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.49 (9H, s), 2.60-2.70 (2H, m), 3.59-3.72 (2H, m), 4.09-4.19 (2H, m), 6.56-6.64 (1H, m), 7.15 (1H, ddd, J = 7.5, 4.8, 1.0 Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.66 (1H, ddd, J = 7.8, 7.8, 1.8 Hz), 8.54-8.59 (1H, m).
参考例5
tert−ブチル 3’,6’−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−1’(2’H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
3−ブロモピリジン(102mg,0.647mmol)のジメトキシエタン溶液(4.0mL)に、水(2.0mL)と1−N−Boc−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン(200mg,0.647mmol)と炭酸ナトリウム(343mg,3.24mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.5mg,0.00647mmol)を加えた。4時間加熱還流後、水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=57:43から36:64まで)で精製し、表題化合物(156mg,93%)を得た。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.50 (9H, s), 2.49-2.57 (2H, m), 3.66 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.07-4.12 (2H, m), 6.05-6.14 (1H, m), 7.26 (1H, ddd, J = 7.8, 4.9, 0.9 Hz), 7.64 (1H, ddd, J = 8.0, 2.3, 1.6 Hz), 8.50 (1H, dd, J = 4.9, 1.6 Hz), 8.65 (1H, d, J = 1.8 Hz).
参考例6
tert−ブチル 4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例4の化合物(4.99g,19.2mmol)のメタノール溶液(100mL)に10%パラジウム/炭素(2.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。その後、セライトろ過し、濃縮し、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=76:24から55:45まで)で精製し、表題化合物(4.16g,83%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.48 (9H, s), 1.66-1.79 (2H, m), 1.86-1.96 (2H, m), 2.75-2.93 (3H, m), 4.15-4.40 (2H, m), 7.10-7.17 (2H, m), 7.63 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.9 Hz), 8.52-8.56 (1H, m).
参考例7〜20
上記参考例1〜6に記載の方法に準じ、1−N−Boc−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジンから、参考例7〜20の化合物を合成した。
Figure 2016108326
Figure 2016108326
参考例21
4−アミノ−2−メチルピリミジン−5−カルバルデヒド
Figure 2016108326
参考例22の化合物(50.0g,373mmol)のギ酸溶液(150mL)に水(65mL)とラネーニッケル(50g)を加えた。15分間加熱還流後、室温に冷却し、セライトろ過し、氷冷下28%アンモニア水(220mL)を加え、氷冷下1時間撹拌後、析出物をろ取した。ろ上物を水(30mL)とクロロホルム(30mL×2回)で洗浄し、減圧乾燥を行った。さらに、ろ液をクロロホルム(200mL)で9回抽出後、有機層を濃縮した。この濃縮残渣と先に得たろ上物を合わせ、クロロホルム(70mL)を加え、室温で30分間撹拌後、ヘキサン(210mL)を10分間で滴下し、さらに、室温で1時間撹拌した。その後、析出物をろ取し、ヘキサン/クロロホルム(3/1,28mL)で洗浄し、減圧乾燥して表題化合物(42.6g,83%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 2.57 (3H, s), 5.98 (1H, brs), 8.15 (1H, brs), 8.57 (1H, s), 9.86 (1H, s).
参考例22
4−アミノ−2−メチルピリミジン−5−カルボニトリル
Figure 2016108326
ジメチルホルムアミド(74.5mL,962mmol)とジメチル硫酸(90.8mL,962mmol)の混合物を70℃で3.5時間撹拌した後、ナトリウムメトキシド(52.0g,962mmol)のメタノール溶液(440mL)を−20℃から−10℃の温度範囲内で40分間かけて滴下し、続いて、マロノニトリル(63.6g,962mmol)のメタノール溶液(120mL)を−20℃から−10℃の温度範囲内で40分間かけて滴下した。−15℃で1時間撹拌した。別途、ナトリウムメトキシド(57.2g,1060mmol)のメタノール溶液(320mL)に氷冷下アセトアミジン塩酸塩(100g,1060mmol)を加え15分間撹拌後、ろ過してアセトアミジンのメタノール溶液を調製した。このアセトアミジンのメタノール溶液を先の反応混合物に−20℃から−10℃の温度範囲内で15分間かけ滴下し、−15℃で30分間撹拌後、室温で15時間撹拌した。その後、析出物をろ取し、水(200mL×2回)で洗浄後、減圧乾燥して表題化合物(88.5g,69%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-D6) δ: 2.37 (3H, s), 7.76 (2H, brs), 8.49 (1H, s).
参考例23
4−アミノ−2−エチルピリミジン−5−カルバルデヒド
Figure 2016108326
参考例24の化合物(148mg,1.00mmol)の70%酢酸溶液(5.0mL)にラネーニッケル(1.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で32時間撹拌した。その後、反応混合物をセライトろ過し、濃縮した。濃縮残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をpH9になるまで加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、濃縮し、表題化合物(107mg,71%)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 1.20 (3H, t, J = 7.6 Hz), 2.66 (2H, q, J = 7.6 Hz), 7.89 (1H, brs), 8.15 (1H, brs), 8.66 (1H, s), 9.81 (1H, s).
参考例24
4−アミノ−2−エチルピリミジン−5−カルボニトリル
Figure 2016108326
2.27mol/L−ナトリウムエトキシド/エタノール溶液(2.50mL,1.10mmol)にプロピオンアミジン塩酸塩(109mg,1.00mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。その後、反応混合物をセライトろ過し、ろ液にエトキシメチレンマロノニトリル(110mg,0.900mmol)を加えた。室温で30分間撹拌後、反応混合物を濃縮した。得られた濃縮残渣にtert−ブチルメチルエーテル(1.0mL)を加え、1時間撹拌後、析出物をろ取し、表題化合物(105mg,73%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.26 (3H, t, J = 7.6 Hz), 2.76 (2H, q, J = 7.6 Hz), 5.99 (2H, brs), 8.43 (1H, s).
参考例25〜30
上記参考例23〜24に記載の方法に準じ、エトキシメチレンマロノニトリルから、参考例25〜30の化合物を合成した。
Figure 2016108326
参考例31
2−メチル−4−(メチルアミノ)ピリミジン−5−カルバルデヒド
Figure 2016108326
参考例32の化合物(153mg,1.00mmol)のジクロロメタン溶液(5.0mL)に二酸化マンガン(869mg,10.0mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、反応混合物をろ過し、濃縮して表題化合物(101mg,67%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 2.61 (3H, s), 3.13 (3H, d, J = 4.8 Hz), 8.45 (1H, s), 9.79 (1H, s).
参考例32
[2−メチル−4−(メチルアミノ)ピリミジン−5−イル]メタノール
Figure 2016108326
水素化リチウムアルミニウム(1.0g,26.4mmol)のテトラヒドロフラン懸濁液(100mL)に参考例33の化合物(5.15g,26.4mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を−5℃で滴下した。滴下後、−5℃で2時間撹拌後、水(1.0mL)と10%水酸化ナトリウム水溶液(1.0mL)をゆっくりと順に加えた。反応混合物をろ過し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、濃縮し、表題化合物(3.88g,96%)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6) δ: 2.35 (3H, s), 2.86 (3H, d, J = 4.8 Hz), 4.32 (2H, brs), 6.59 (1H, brs), 7.86 (1H, s).
参考例33
エチル 2−メチル−4−(メチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例34の化合物(7.28g,40.0mmol)とオキシ塩化リン(80mL)の混合物にトリエチルアミン(5.0mL,36.0mmol)を30℃で加えた。40℃で50分間撹拌後、濃縮した。得られた濃縮残渣にクロロホルム(400mL)を加え、混合物を氷水(400mL)に注ぎ、有機層を分抽した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)と飽和食塩水(200mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、濃縮した。得られた濃縮残渣をテトラヒドロフラン溶液(60mL)に溶解し、これにメチルアミン(6.21g,200mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。その後、反応混合物にクロロホルム(400mL)を加え、飽和食塩水(200mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、表題化合物(3.98g,51%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.39 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.56 (3H, s), 3.08 (3H, d, J = 5.2 Hz), 4.34 (2H, q, J = 7.2 Hz), 8.10 (1H, brs), 8.73 (1H, s).
参考例34
エチル 2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボキシレイト
Figure 2016108326
ナトリウム(2.90g,126mmol)のエタノール溶液(150mL)にアセトアミジン塩酸塩(11.9g,126mmol)を0℃で加えた。0℃で20分間撹拌後、エトキシメチレンマロン酸ジエチル(28.6g,132mmol)を滴下し、0℃で30分間撹拌し、トリエチルアミン(20mL,145mmol)を加えた。2時間加熱還流後、反応混合物を濃縮し、水(400mL)を加えた後、クエン酸を加えpH4〜5に調整し、ジクロロメタン(200mL)で3回抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、濃縮した。得られた濃縮残渣にtert−ブチルメチルエーテル(200mL)を加え、析出物をろ取することで、表題化合物(14.0g,61%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.40 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.61 (3H, s), 4.39 (2H, q, J = 7.2 Hz), 8.73 (1H, s).
参考例35
6’−メチル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−2,4’−ビピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例36の化合物(521mg,1.9mmol)の1,4−ジオキサン溶液(2mL)に、4mol/Lの塩酸1,4−ジオキサン溶液(2mL)を加えた。室温で6時間攪拌後、濃縮し、得られた固体をヘキサンで洗浄した後、乾燥し、表題化合物(382mg,73%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 1.0 min ObsMS = 177.1 [M+1]
参考例36
tert−ブチル 6’−メチル−3’,6’−ジヒドロ−2,4’−ビピリジン−1’(2’H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例37の化合物(1.4g,4.3mmol)の1,4−ジオキサン溶液(10mL)に、2-ブロモピリジン(686mg,4.3mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(993mg,0.86mmol)とリン酸三カリウム(2.7g,12.9mmol)を加えた。80℃で6時間攪拌後、室温に冷却し、セライトろ過により沈殿物を取り除いた。ろ液を濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶かし、有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)で精製し、表題化合物(521mg,44%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.16, 1.29 (d, J = 6.8 Hz, 3H, diastereo ratio = 4 : 3), 1.49 (s, 9H), 2.54-2.67 (m, 2H), 2.73-2.80 (m, 0.5H), 2.90-3.05 (m, 0.5H), 3.75-3.80 (m, 0.5H), 4.41-4.46 (m, 0.5H), 4.69 (brs, 1H), 6.55-6.61 (m, 1H), 7.31-7.39 (m, 2H), 7.14-7.17 (m, 1H), 7.31-7.39 (m, 2H), 7.63-7.67 (m, 1H), 8.56-8.58 (m, 1H).
LC‐MS:条件A R.T.= 6.6 min ObsMS = 275.1 [M+1]
参考例37
tert−ブチル 6−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例38の化合物(1.8g,5.2mmol)の1,4−ジオキサン溶液(30mL)に、ビス(ピナコレイト)ジボラン(1.4g,5.7mmol)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド(761mg,1.04mmol)と酢酸カリウム(1.50g,15.6mmol)を加えた。80℃で6時間攪拌後、室温に冷却し、セライトろ過により沈殿物を取り除いた。ろ液を濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶かし、有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後ろ過して、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、表題化合物(1.40g,84%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 9.2 min ObsMS = 346.1 [M+23]
参考例38
tert−ブチル 6−メチル−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキサ}−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メチルピペリジン−4−オン(1.00g,4.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に−78℃で1.5mol/L リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液(3.7mL,5.6mmol)を滴下した。10分攪拌後、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(1.9g,5.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を滴下した後、徐々に室温に昇温した。6時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=5:1) で精製し、表題化合物(1.6g,定量的)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.18, 1.24 (d, J = 6.8 Hz, 3H, diastereo ratio = 3 : 2), 1.47 (s, 9H), 2.05-2.23 (m, 1H), 2.59-2.99 (m, 1H), 3.62-3.76 (m, 1H), 4.20-4.67 (m, 2H), 5.71, 5.75 (s, 1H, diastereo ratio = 3 : 2).
LC‐MS:条件A R.T.= 8.4 min ObsMS = 368.0 [M+23]
参考例39
3−(2−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例40の化合物から、参考例35と同様の手法により、表題化合物(定量的)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 2.0 min ObsMS = 177.0 [M+1]
参考例40
tert−ブチル 2−メチル−4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例41の化合物(58mg,0.21mmol)のメタノール溶液(3mL)に、10%パラジウム/炭素(50mg)を加えた。水素雰囲気下、室温で4時間攪拌後、セライトろ過し、濃縮して、表題化合物(58mg,定量的)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.17, 1.28 (d, J = 6.8 Hz, 3H, diastereo ratio = 1 : 1), 1.50 (s, 9H), 2.21-2.40 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 0.5H), 2.80-2.84 (m, 0.5H), 2.95-3.04 (m, 0.5H), 3.71-3.76 (m, 0.5H), 4.20-4.42 (m, 2H), 4.69 (brs, 1H), 6.03-6.08 (m, 1H), 7.24-7.29 (m, 1H), 7.63-7.66 (m, 1H), 8.49-8.50 (m, 1H), 8.64-8.65 (m, 1H).
LC‐MS:条件A R.T.= 6.1 min ObsMS = 277.1 [M+1]
参考例41
tert−ブチル 6’−メチル−3’,6’−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−1’(2’H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例38の化合物(150mg,0.43mmol)の1,4−ジオキサン溶液(1.5mL)に、水(0.5mL)と3−ピリジルボロニックアシッド(64mg,0.52mmol)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド(63mg,0.10mmol)と炭酸ナトリウム(228mg,2.2mmol)を加えマイクロウェーブ照射下、100℃で10分攪拌した。その後、セライトろ過し、濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに溶かし、有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、表題化合物(58mg,49%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 6.6 min ObsMS = 275.1 [M+1]
参考例42〜45
上記参考例35〜38に記載の方法に準じ、1−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチルピペリジン−4−オンから、参考例42〜45の化合物を合成した。
Figure 2016108326
参考例46
3−(3−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例47の化合物から、参考例35と同様の手法により、表題化合物(73%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 1.0 min ObsMS = 177.1 [M+1]
参考例47
tert−ブチル 3−メチル−4−(ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例48の化合物から、参考例40と同様の手法により、表題化合物(定量的)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 2.0 min ObsMS = 277.0 [M+1]
参考例48
tert−ブチル 3’−メチル−3’,6’−ジヒドロ−3,4’−ビピリジン−1’(2’H)−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例45の化合物から、参考例41と同様の手法により、表題化合物(38%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.02 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.50 (s, 9H), 2.84 (brs, 1H), 3.33 (d, J = 13.2, 3.4 Hz, 1H), 3.81-3.95 (m, 2H), 4.18-4.45 (m, 1H), 5.93 (brs, 1H), 7.20-7.30 (m, 1H), 7.62 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.51-8.61 (m, 1H).
LC‐MS:条件A R.T.= 7.1 min ObsMS = 275.1 [M+1]
参考例49〜52
上記参考例35〜38に記載の方法に準じ、1−(tert−ブトキシカルボニル)−ホモピペラジン−4−オンから、参考例49〜52の化合物を合成した。
Figure 2016108326
参考例53
4−(ピリジン−3−イル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン 二塩酸塩
Figure 2016108326
参考例54の化合物から、参考例35と同様の手法により、表題化合物(37%)を得た。
LC‐MS:条件B R.T.= 0.3 min ObsMS = 175 [M+1]
参考例54
tert−ブチル 4−(ピリジン−3−イル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−1−カルボキシレイト
Figure 2016108326
参考例52の化合物から、参考例41と同様の手法により、表題化合物(51%)を得た。
LC‐MS:条件A R.T.= 7.1 min ObsMS = 275.0 [M+1]
参考例55〜63
上記参考例1〜6に記載の方法に準じ、1−N−Boc−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジンから、参考例55〜63の化合物を合成した。
Figure 2016108326
参考例64
2−(ピペリジン−4−イル)ピリジン
水(400mL)と水酸化ナトリウム(107g,2.69mol)から調製した水酸化ナトリウム水溶液とトルエン(2000mL)の混合物に、氷冷撹拌下、参考例3の化合物(300g,1.28mol)を加え、その後室温で30分間攪拌した。分液し、水層をトルエン(2000mL)で抽出した。合わせたトルエン層を減圧濃縮し、表題化合物(196g,95%)を得た。
実施例58
2−メチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン(化合物X)のフォームAの結晶
水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.06kg,9.74mol)のテトラヒドロフラン(6.65重量部)懸濁液に、参考例64の化合物(1.05重量部)、参考例21の化合物(0.89重量部)およびテトラヒドロフラン(2.85重量部)の混合物を20℃下加え、35℃で7時間、その後室温で17時間攪拌した。反応混合物にトルエン(9.50重量部)を加えた後、15%水酸化ナトリウム水溶液(13.0重量部)を滴下し、25℃で30分攪拌した。分液し、水層をトルエン(2.85重量部)で抽出した。合わせた有機層を15%食塩水(5.59重量部)で洗浄し、濃縮した。残渣にトルエン(3.30重量部)を加えて80℃で攪拌後、濾過し、濾上物をトルエン(500g)で洗浄した。得られた濾液に80℃攪拌下、ヘプタン(1.90重量部)を滴下し、その後4時間かけて20℃まで冷却した。析出した結晶を濾取し、結晶をトルエン-ヘプタン(1:1)の混合物(5.70重量部)で洗浄、乾燥し、表題化合物の粗結晶(1.47重量部,80%)を得た。粗結晶(1.46重量部)を2−プロパノール(1.10重量部)とヘプタン(6.62重量部)の混合物中80℃で溶解し、70℃まで冷却後ヘプタン(4.41重量部)を滴下し、その後4時間で20℃まで冷却した。析出した結晶を濾取し、結晶を2−プロパノール-ヘプタン(1:10)の混合物(4.41重量部)で洗浄、乾燥し、表題化合物(1.26重量部)をフォームAの結晶として得た。フォームAの粉末X線回折パターンのチャートを図3、DSCのチャートを図4に示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 1.77-2.00 (4H, m), 2.11 (2H, td, J = 11.6, 2.5 Hz), 2.49 (3H, s), 2.66-2.78 (1H, m), 2.93-3.04 (2H, m), 3.46 (2H, s), 7.10-7.19 (2H, m), 7.62 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 1.8 Hz), 7.93 (1H, s), 8.53-8.57 (1H, m).
フォームAは、示差走査熱量測定(DSC)において、131℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示した。
Figure 2016108326
実施例59
2−メチル−5−[4−(ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−イルメチル]ピリミジン−4−アミン(化合物X)のフォームBの結晶
化合物XのフォームA(5mg)に水―アセトン(1:10)の混合液50μLを加え90℃にて加熱溶解させた。その後、室温まで放冷後、自然蒸発により溶媒を乾固しフォームBの結晶を得た。
化合物XのフォームBの粉末X線回折パターンのチャートを図5、DSCのチャートを図6に示す。フォームBは、示差走査熱量測定(DSC)において、114℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する転移に伴う吸発熱ピークを示し、134℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する転移した結晶形の融解に伴う吸熱ピークを示した。
Figure 2016108326
実施例60:再結晶検討
化合物XのフォームAの再結晶を試みたところ、下記の溶媒からは化合物XのフォームAの結晶が得られた。
EtOH、IPA、2−ブタノール、クロロホルム、アセトニトリル、1,2-ジメトキシエタン、THF、1,4−ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、CPME、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸イソブチル、
MeOH-水、EtOH-水、THF-水、酢酸イソプロピル-ヘプタン。
一方、下記の溶媒からは、化合物XのフォームBの結晶が得られた。
IPA-水。
実施例61:化合物Xの1.5コハク酸塩の製造
化合物X(1.00g,3.53mmol)にエタノール(10mL)を加え、70℃に昇温した。コハク酸(0.834mg,7.06mmol)を加え、70℃で1時間攪拌後、室温へ徐々に冷却した。氷冷下1時間攪拌後、析出した固体をろ取することで表題化合物を得た。実施例61の化合物の粉末X線回折パターンのチャートを図7、DSCのチャートを図8に示す。
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6) δ: 1.66-1.85 (4H, m), 1.99-2.09 (2H, m), 2.29 (3H, s), 2.40 (6H, s), 2.62-2.71 (1H, m), 2.84-2.93 (2H, m), 3.37 (2H, s), 6.86 (2H, s), 7.18 (1H, ddd, J = 7.6, 4.8, 1.1 Hz), 7.26 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.69 (1H, ddd, J = 7.7, 7.7, 2.0 Hz), 7.86 (1H, s), 8.46-8.48 (1H, m).
1H-NMR及びイオンクロマトグラフィーの結果から、1分子の化合物Xに対してコハク酸は1.5分子存在することが確認された。また、示差走査熱量測定(DSC)において、167℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示した。
Figure 2016108326
実施例62:化合物Xの1.5フマル酸塩の製造
化合物X(1.00g,3.53mmol)にエタノール(40mL)を加え、70℃に昇温した。フマル酸(0.819g,7.06mmol)を加え、70℃で1時間攪拌後、徐々に室温へ冷却した。氷冷下1時間攪拌後、析出した固体をろ取することで表題化合物を得た。実施例61の化合物の粉末X線回折パターンのチャートを図9、DSCのチャートを図10に示す。
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6) δ: 1.67-1.86 (4H, m), 2.04-2.15 (2H, m), 2.30 (3H, s), 2.63-2.72 (1H, m), 2.87-2.95 (2H, m), 3.41 (2H, s), 6.60 (3H, s), 6.93 (2H, s), 7.19 (1H, ddd, J = 7.5, 4.9, 1.0 Hz), 7.26 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.69 (1H, ddd, J = 7.8, 7.8, 1.8 Hz), 7.89 (1H, s), 8.46-8.49 (1H, m).
1H-NMRの結果から、1分子の化合物Xに対してフマル酸は1.5分子存在することが確認された。また、示差走査熱量測定(DSC)において、196℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示した。
Figure 2016108326
実施例63:化合物Xのクエン酸塩の製造
実施例61に記載の方法に準じ、化合物Xとクエン酸から表題化合物を得た。DSCのチャートを図11に示す。示差走査熱量測定(DSC)において、165℃(±5℃)に補外開始温度(Tim)を有する融解に伴う吸熱ピークを示した。
実施例64:化合物Xの3塩酸塩の製造
化合物X(18.5g,65.3mmol)のメタノール溶液(148mL)に濃塩酸(33.1g,327mmol)を加え、室温で10分間攪拌後濃縮した。濃縮残渣に、エタノール(380mL)と水(38mL)を加え、還流温度まで昇温し、溶解を確認後、徐々に冷却した。45℃で固体の析出を確認したので、同温度にて30分間攪拌し、ヘキサン(126mL)を滴下後、再び徐々に室温まで冷却した。氷冷下、2時間攪拌後、析出した固体をろ取することで表題化合物を得た。
1H-NMR (300MHz,DMSO-d6) δ: 2.10-2.23 (4H, m), 2.51 (3H, s), 3.19-3.37 (3H, m), 3.54-3.64 (2H, m), 4.46 (2H, s), 7.60-7.69 (2H, m), 8.14-8.30 (1H, m), 8.59 (1H, s), 8.70 (1H, d, J = 4.6 Hz), 9.24-9.38 (2H, m), 11.28 (1H, brs).
元素分析 測定値;C:46.24%,H:6.35%,N:16.73%,Cl:25.24%
理論値(1.25水和物);C:46.28%,H:6.43%,N:16.86%,Cl:25.61%
以上の結果より3塩酸塩1.25水和物と判断した。
参考例65:化合物Xのリン酸塩、L−酒石酸塩、L−リンゴ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびベンゼンスルホン酸塩の製造
実施例61に記載の方法に準じ、化合物Xと対応する酸から表題化合物を得た。
試験例
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
ドパミンD 受容体のG蛋白依存的経路に対する本発明化合物の作用
G蛋白依存的経路は、G蛋白質にグアノシン三リン酸(Guanosine triphosphate:GTP)が結合することで、G蛋白質が活性化され、セカンドメッセンジャーを介して細胞内にシグナルを伝達する経路である。リガンドによりGPCRsが活性化されると、G蛋白質がGPCRsと結合し、G蛋白サブユニットの一つであるGαにGTPが結合並びにGγβサブユニットの乖離がおこる。活性化されたGαはアデニル酸シクラーゼの活性化及び抑制を介した細胞内cAMP濃度の調整、ホスホリパーゼCの活性化を介した細胞内カルシウム濃度の調整により、シグナルを細胞内に伝達する。そのため、G蛋白依存的な経路の活性測定は、細胞内cAMP量の測定並びに細胞内カルシウム濃度の測定により行うことができる。
本試験では、G蛋白依存的経路への本発明化合物の作用について、ドパミンD受容体と併せて、ドパミンD、アドレナリンα,α受容体に対する作用を測定し受容体選択性を評価した。
発現細胞株の作製
ヒト型ドパミンD、D受容体、ヒト型アドレナリンα,α受容体、カルシウム結合性発光蛋白質エクオリン及びGα16 cDNAはPCR法により得た。各受容体、エクオリン及びGα16を発現するプラスミドを作製し、これらをCHO細胞(chinese hamster ovary cells)あるいはHEK293細胞(human embryonic kidney 293 cells)に導入することにより発現細胞株を作製した。
G蛋白依存的な経路の活性測定
試験例1(受容体に対するアゴニスト活性と選択性の評価)
G蛋白依存的なアゴニスト活性及びアンタゴニスト活性については細胞内カルシウム濃度を指標にして以下のとおり測定した。D,D,α1A,α2A遺伝子を導入したCHO−K1あるいはHEK293細胞株を384穴プレートに播種し、COインキュベータ内で37℃、24時間培養した後、予めセレンテラジンを取り込ませた細胞にDMSOに溶解した本発明化合物を添加し、発光量の変化をFDSS(浜松フォトニクス社製)で測定した。アゴニスト活性については、本発明化合物を添加していないウェルの発光量を0%とし、本発明化合物の代わりに10μM内因性リガンド(ドパミンまたはアドレナリン)を添加したウェルの発光量を100%として、本発明化合物の最大活性(Emax)を算出した。一方、アンタゴニスト活性については、10μM内因性リガンドのみを添加したウェルの発光量を100%とした場合の本発明化合物の内因性リガンドに対する阻害活性を算出した。EC50値は本発明化合物Emaxの50%に相当する反応濃度として算出し、IC50値は、内因性リガンドのEmaxに対して50%阻害する本発明化合物濃度として算出する。
試験例1の試験法を用いて得られた結果を表19、表20および表21に示す。比較例は特許文献1の実施例14に記載の化合物について同様に試験を実施した結果である。
Figure 2016108326
Figure 2016108326
Figure 2016108326
ドパミンD 受容体のG蛋白非依存的経路に対する本発明化合物の作用
G蛋白非依存的な経路は、G蛋白質が関与しない細胞内シグナル伝達経路である。リガンドによりGPCRsが活性化されると、GRKs(G protein coupled receptor kinase)がGPCRをリン酸化し、リン酸化されたGPCRにβアレスチンが結合する。GPCRsにβアレスチンが結合すると、MAPKs(mitogen-actiated protein kinases)、Protein Kinase B(PKB)、PI3 kinase(Phosphoinositide 3-kinase)並びにNFκB(nuclear factor-kappa B)経路等が活性化され、G蛋白非依存的なシグナルを細胞内に伝達する。また、βアレスチンはGPCRと結合することで、GPCRの内在化が起こり、そのためGPCRの脱感作に関わることが知られている。そのため、G蛋白非依存的な経路の活性測定は、βアレスチンのGPCRsへのリクルート能を調べることにより行うことができる。
本試験では、本発明化合物のドパミンD受容体に対するG蛋白非依存的な経路に対する作用について、細胞内カルシウム濃度及びβアレスチンのリクルート能を調べることにより評価を行った。
発現細胞株の作製
ヒト型ドパミンD受容体とDiscoveRx社より購入したβガラクトシダーゼのスモールフラグメント(ProLinkTM)の融合蛋白、およびβアレスチンとβガラクトシダーゼのラージフラグメント(Enzyme Acceptor)の融合蛋白を発現するプラスミドを作製し、これらをCHO細胞あるいはHEK293細胞に導入することにより一過性あるいは安定発現細胞株を作製した。
G蛋白非依存的な経路の活性測定
試験例2(D 受容体に対するG蛋白非依存的な経路に対する作用の評価)
G蛋白非依存的な経路の活性測定についてはβアレスチンのリクルート能を指標にして以下のとおり測定した。遺伝子導入した細胞株を384穴プレートに播種し、COインキュベータ内で37℃、24時間培養した後、DMSOに溶解した本発明化合物を添加し、37℃で90分間放置した。βガラクトシダーゼ反応基質を含むバッファー(PathHunter Cell Assay Buffer、DiscoverRx社製)を加え、FDSS(浜松フォトニクス社製)にて発光量を測定した。本発明化合物を添加していないウェルの発光量を0%とし、本発明化合物の代わりに10μM内因性リガンド(ドパミン)を添加したウェルの発光量を100%として、本発明化合物の最大活性(Emax)を算出した。EC50値は本発明化合物Emaxの50%に相当する反応濃度として算出する。
試験例2の試験法を用いて得られた結果を表22に示す。表20〜22の結果と合わせると、本発明化合物は、D受容体に対して、G蛋白依存的な経路に対するアゴニスト作用は保持しているが、G蛋白非依存的な経路に対する作用は内因性リガンドであるドパミンに比べて弱いという特徴を有するバイアス性リガンドであることが分かった。
Figure 2016108326
試験例3 生物学的利用率の評価
ラットPK試験
本試験では本発明化合物の薬物動態を評価できる。SD系あるいはWKY系7週齢のラットに対して、本発明化合物を生理食塩水溶液にて静脈投与またはカルボキシメチルセルロース懸濁溶液あるいはメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、それぞれ以下の時間で血液を採取した。
静脈投与:投与後5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間
経口投与:投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間
採取した血液から血漿を得、LC−MSにて血漿中薬物濃度を測定し、この濃度推移から薬物動態パラメーターを算出した。
試験例4 脳内移行性の評価
ラット脳内移行性試験
本試験では本発明化合物の脳内移行性を評価できる。SD系あるいはWKY系7週齢のラットに対して、本発明化合物を生理食塩水溶液にて皮下投与またはメチルセルロース懸濁溶液にて経口投与し、投与後0.5時間後あるいは1時間後あるいは2時間に血漿及び脳を採取し、LC−MSにて血漿中及び脳内薬物濃度を測定した。
本発明化合物の血清及び脳タンパク結合率を、平衡透析法を用いて測定した。
上記の試験により得られた血漿中および脳内化合物濃度および血漿中および脳内タンパク結合率を下記の式にあてはめることにより、Kp,uu,brain(脳/血漿間非結合型薬物濃度比)を算出することができる。
Kp,uu,brain = (脳内化合物濃度×(100−脳内タンパク結合率(%))/100)/(血漿中化合物濃度×(100−血漿中タンパク結合率(%))/100)
試験例3および試験例4の結果を表23に示す。比較例は特許文献1の実施例14に記載の化合物について同様に試験を実施した結果である。
Figure 2016108326
試験例5 肝毒性リスクの評価
ダンシル化グルタチオン(dGSH)トラッピングアッセイ
本発明化合物を肝ミクロソームで代謝させ、生成した代謝物からダンシル化グルタチオン(dGSH)と反応する反応性代謝物を検出し定量した。代謝反応はスクリーニングロボット(Tecan社製)を用い、代謝物‐dGSH結合物濃度は蛍光検出UPLCシステム(Waters社製)を用いて測定した。
(溶液調製)
本発明化合物をDMSOに溶解し、10mmol/Lの被験物質溶液を調製した。リン酸カリウムバッファー(500mmol/L、pH7.4)7.6mL、ヒト肝ミクロソーム(Xenotech社製、20mg protein/mL)1.9mL、および純水1.27mLを混合して、ミクロソーム溶液を調製した。ミクロソーム溶液3.78mLに純水0.67mLを加えてミクロソーム(dGSH(−))溶液を調製した。ミクロソーム溶液6.48mLにdGSH溶液(20mmol/L)1.14mLを加えてミクロソーム(dGSH(+))溶液を調製した。NADPH80.9mgを純水30mLに溶解してcofactor液を調製した。Tris(2−carboxyethyl)phosphin(TECP)33mgをメタノール115mLに溶解して反応停止液を調製した。
(反応)
被験物質溶液12μLを純水388μLと混合し、96ウェルプレートに50μLずつ6ウェルに分注した。上記6ウェルを2ウェルずつ3群に分け、それぞれ「反応群」、「未反応群」及び「dGSH未添加群」とした。「反応群」及び「未反応群」にミクロソーム(dGSH(+))溶液を、「dGSH未添加群」にミクロソーム(dGSH(−))を50μLずつ添加した。「反応群」及び「dGSH未添加群」にcofactor液を、「未反応群」に純水を50μLずつ添加した。37℃で60分間インキュベートした後、反応停止液を450μLずつ添加して反応を停止した。「反応群」及び「dGSH未添加群」に純水を、「未反応群」にcofactor液を50μLずつ添加し、プレートを−20℃で1時間冷却後、遠心分離(4000rpm、10分間)を行った。上清を別プレートに回収し、分析に供した。
(分析)
蛍光検出UPLCシステム(Waters社製)を用いて、以下の条件で代謝物−dGSH結合物濃度を測定した。
カラム:Waters ACQUITY UPLC BEHC18 1.7μm 2.1 × 10 mm
溶出溶媒: A, 0.2%ギ酸/40%メタノール;B, 0.2%ギ酸/メタノール
グラジエント:B, 0%(0 min)→83.3%(9.33 min)→83.3%(10.63 min)→0%(10.64 min)→0%(13 min)
蛍光強度は有機溶媒組成によって変化するため、溶出時の有機溶媒組成で補正を行った。
試験例5の結果を表24に示す。比較例は特許文献1の実施例14に記載の化合物について同様に試験を実施した結果である。比較例の化合物は0.777μMのdGSH共有結合量を示した。一方、実施例2、5、33、36、37、44、45、および46の化合物のdGSH共有結合量は、いずれも検出限界未満であった。
Figure 2016108326
試験例6 SHRラットにおける多動に対する薬理作用評価
幼若期のSHRラットは、妥当性の高いADHDモデルとして広く認知されている。本ラットにおけるオープンフィールド環境における多動行動に対して、本発明化合物を投与した際の抑制作用を評価した。7週齢のSHRラットに対して、本発明化合物を経口投与し、30分後から90分間の運動量を測定した。測定にはSuperMex(室町機械株式会社)を用いた。90分間の総運動量は媒体投与群の運動量を基準とし、抑制率(%)を0〜100の数値で表すことによって統計学的に処理した。表25に示すとおり、実施例2および実施例5の化合物はSHRラットが示す多動行動を抑制した。
Figure 2016108326
試験例7 SHRラットにおける不注意に対する薬理作用評価
本ラットでは、バックグランド動物であるWKYラットに対して、Y字型迷路試験において低い自発交替行動率が認められる。そこで、本発明化合物を前処置し、注意機能に対する作用を評価した。4週齢のSHRラットに対して、本発明化合物を経口投与し、30分後から8分間の自発交替行動率を測定した。媒体投与群の自発交替行動率を基準とし、改善率(%)を数値で示した。実験にはY字型迷路装置(黒色アクリル製:450mm×100mm×350mm、堀川製作所株式会社)を用いた。実施例2(10mg/kg投与)、および実施例5(1mg/kg投与)の化合物は有意な交替行動率の改善作用を示した(図1、図2参照)。
試験例8 胎生期バルプロ酸投与ラットにおける社会性障害に対する薬理作用評価
胎生期12.5日齢にバルプロ酸に曝露されたラットは、妥当性の高い自閉症モデルとして広く認知されている。本ラットでは、社会性評価試験である3チャンバーテストにおいて、社会性認知障害が認められる。そこで、本発明化合物を前処置し、社会性認知に対する改善作用を評価した。実験にはソーシャビリティーケージ(600mm×400mm×220mm、室町機械株式会社)を用いた。3週齢の胎生期バルプロ酸投与ラットに対して本発明化合物を経口投与し、30分後から、ラットもしくは新規物体への接近時間を10分間測定した。新規物体への接近時間を100%とした時のラットへの接近時間の割合を算出し、媒体投与群の結果を基準とした改善率(%)を評価した。実施例5の化合物の経口投与(1mg/kg)では27.6%であり、ラットへの接近時間の有意な増加が認められた。
本発明化合物は、ドパミンD受容体に対して選択性の高い作用を示すことから、注意欠陥多動性障害等の中枢試験系疾患の治療剤として有用である。



Figure 2016108326

Claims (25)

  1. 式(1):
    Figure 2016108326
    (式中、
    nおよびmは、それぞれ独立して、1または2を表し;
    は、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、またはアミノ基を表し;
    は、水素原子、C1−6アルキル基、または1〜2個の同一又は異なるC1−6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基を表し(ただし、Rがアミノ基のときは、Rは水素原子である。);
    c1およびRc2は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基を表し;
    d1およびRd2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、もしくはC1−6アルキル基であるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルカン環または3員〜8員のシクロアルケン環を形成してもよく(ここにおいて、当該シクロアルカン環またはシクロアルケン環は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。);
    環Qは、置換されていてもよい5員〜10員の含窒素ヘテロアリール基を表し;
    破線を含む結合は単結合または二重結合を表す。)
    で表される化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  2. 式(1):
    Figure 2016108326
    (式中、
    nおよびmは、それぞれ独立して、1または2を表し;
    は、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、またはアミノ基を表し;
    は、水素原子、C1−6アルキル基、または1〜2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基を表し(ただし、Rがアミノ基のときは、Rは水素原子である。);
    c1およびRc2は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基を表し;
    d1およびRd2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、もしくはC1−6アルキル基であるか、またはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルカン環または3員〜8員のシクロアルケン環を形成してもよく(ここにおいて、当該シクロアルカン環またはシクロアルケン環は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択される1〜2個の基で置換されていてもよい。);
    環Qは、置換されていてもよいピリジル基、または置換されていてもよいイソキノリニル基を表し;
    破線を含む結合は単結合または二重結合を表す。)
    で表される化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  3. 環Qが、下記式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)または(2e):
    Figure 2016108326
    (式中、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1〜3個の同一又は異なるハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を表す。)で表される基である、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  4. がC1−4アルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  5. がアミノ基であり、Rが水素原子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  6. が、C1−6アルキル基、またはアミノ基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  7. がアミノ基である、請求項1〜4または6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  8. c1およびRc2がいずれも水素原子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  9. d1およびRd2が、それぞれ独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  10. d1およびRd2がいずれも水素原子である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  11. 環Qが、式(2a)または(2b)で表される基である、請求項3〜10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  12. 環Qが、式(2a)で表される基である、請求項11に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  13. 環Qが、式(2b)で表される基である、請求項11に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  14. e1およびRe2が、それぞれ独立して、水素原子、またはフッ素原子である、請求項3〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  15. 破線を含む結合が単結合である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
  16. 下記式のいずれかで表される化合物、またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
    Figure 2016108326
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬および薬学上許容される賦形剤を含有する医薬組成物。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、統合失調症、気分障害、および認知機能障害からなる群から選ばれる中枢神経性疾患の治療剤。
  19. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、注意欠陥多動性障害の治療剤。
  20. 注意欠陥多動性障害が注意欠陥(Inattention)を主症状とする障害である、請求項19に記載の治療剤。
  21. 注意欠陥多動性障害が多動性(Hyperactivity)を主症状とする障害である、請求項19に記載の治療剤。
  22. 注意欠陥多動性障害が衝動性(Impulsivity)を主症状とする障害である、請求項19に記載の治療剤。
  23. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬を有効成分として含有する、自閉症スペクトラム障害の治療剤。
  24. 自閉症スペクトラム障害が社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な欠陥を主症状とする障害である、請求項23に記載の治療剤。
  25. 自閉症スペクトラム障害が制限された反復される行動や興味や活動の様式を主症状とする障害である、請求項23に記載の治療剤。
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