JP2016100149A - 非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、非水系二次電池部材、非水系二次電池、および非水系二次電池用接着層の製造方法 - Google Patents

非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、非水系二次電池部材、非水系二次電池、および非水系二次電池用接着層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層を形成可能な非水系二次電池接着層用組成物の提供。【解決手段】粒子状結着材Aおよび水を含む非水系二次電池接着層用組成物であって、前記粒子状結着材Aは、アルコキシシリル基含有単量体単位を0.1質量%以上20質量%以下含む重合体Aを含有することを特徴とする、非水系二次電池接着層用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、非水系二次電池部材、非水系二次電池、および非水系二次電池用接着層の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そのため、近年では、非水系二次電池の更なる高性能化を目的として、様々な検討がなされている。
具体的には、例えば特許文献1などでは、電極とセパレータとを接着層により接着して一体化し、充放電の繰り返しに伴うセルの膨らみ及び極板間距離の拡大を抑制することにより、非水系二次電池の電気的特性を向上させる技術が提案されている。
ここで、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池では、接着層を介してセパレータと接着される電極として、例えば、集電体上に電極合材層を形成してなる電極基材の上に、または電極合材層上にさらに耐熱性や強度の向上を目的とした多孔膜層を形成してなる電極基材の上に、接着層を設けて得られる電極が用いられている。また、接着層を介して電極と接着されるセパレータとして、例えば、ポリオレフィン製などの有機セパレータ上に多孔膜層を形成してなるセパレータ基材のさらに上に、接着層を設けて得られるセパレータが用いられている。
そして、電極基材の電極合材層は、例えば、電極活物質と、結着性を有する電極合材層用結着材などとを含む電極用スラリー組成物を集電体上に塗布し、塗布した電極用スラリー組成物を乾燥させることにより形成されている。また、電極やセパレータの表面に配置される多孔膜層は、例えば、非導電性粒子と、結着性を有する多孔膜層用結着材などとを含む多孔膜層用スラリー組成物を、電極合材層上または有機セパレータ上に塗布し、塗布した多孔膜層用スラリー組成物を乾燥させることにより形成されている。
特開2001−84985号公報
ここで、近年では、環境負荷低減などの観点から、電池部材(電極、セパレータ)同士を接着する接着層の形成に、水などの親水性溶媒中に接着剤を溶解または分散させてなる接着層用組成物を使用することが提案されている。具体的には、親水性溶媒を含む接着層用組成物を電極基材およびセパレータ基材の少なくとも一方の表面に供給し、供給した接着層用組成物を乾燥させることにより、表面に接着層を有する電池部材を形成することが提案されている。
しかしながら、従来の手法により製造された接着層は、特に電解液中での接着性が十分ではなく、また当該接着層により電池部材同士が接着されてなる二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができなかった。したがって、接着層の電解液中での接着性を向上させ、また当該接着層を用いた二次電池の電気的特性を高める新たな技術が求められていた。
そこで、本発明は、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層を形成可能な非水系二次電池接着層用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用接着層、および当該非水系二次電池用接着層を備える非水系二次電池部材を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、電気的特性に優れる非水系二次電池を提供することを目的とする。
そして、本発明は、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層の製造方法を提供することを目的とする。
なお、以下、本明細書では、電極合材層および/または多孔膜層を「機能層」と称することがある。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、接着層用組成物の接着剤成分として、アルコキシシリル基含有単量体単位を特定の範囲内の割合で含む共重合体を含有する粒子状結着材を用いれば、電解液中での接着性に優れ、かつ二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる接着層を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、粒子状結着材Aおよび水を含む非水系二次電池接着層用組成物であって、前記粒子状結着材Aは、アルコキシシリル基含有単量体単位を0.1質量%以上20質量%以下含むことを特徴とする。アルコキシシリル基含有単量体由来の単量体単位を0.1質量%以上20質量%以下含む重合体Aを含有する粒子状結着材Aを用いれば、電解液中での接着性に優れた非水系二次電池用接着層を製造可能であり、当該接着層を用いた非水系二次電池は高温サイクル特性や低温出力特性などの電気的特性に優れる。
ここで、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、前記粒子状結着材Aが、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、前記重合体Aからなり、且つ前記重合体Aの電解液膨潤度が1倍超4倍以下であることが好ましい。このように、粒子状結着材Aが特定のコアシェル構造を有し、コア部を構成する重合体の電解液膨潤度が5倍以上30倍以下であり、そして、シェル部が上述した重合体Aからなり、且つ当該重合体Aの電解液膨潤度が1倍超4倍以下であれば、低温出力特性などの非水系二次電池の電気的特性をさらに向上させることができるからである。
そして、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、pHが3以上6以下であることが好ましい。非水系二次電池接着層用組成物のpHが3以上6以下であれば、接着層用組成物中において、粒子状結着材A中のアルコキシシリル基の反応性が低下し安定性が高まるため、結果として、得られる接着層の電解液中での接着性をさらに向上させることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用接着層は、上述した何れかの非水系二次電池接着層用組成物を用いて形成されることを特徴とする。このように、上述した何れかの接着層用組成物を用いて形成される接着層は、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池部材は、無機酸化物粒子を含む機能層と、前記機能層上に隣接して配置された上述の非水系二次電池用接着層とを含むことを特徴とする。このように、無機酸化物粒子を含む機能層上に上述した接着層が直接設けられてなる電極またはセパレータは、接着層と機能層(多孔膜層、電極合材層)が電解液中で良好に接着し、また非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池は、上述の非水系二次電池用接着層および上述の非水系二次電池部材の少なくとも一方を備えることを特徴とする。このように、上述した接着層を備える非水系二次電池は、高温サイクル特性や低温出力特性などの電気的特性に優れる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用接着層の製造方法は、上述した何れかの非水系二次電池接着層用組成物を、無機酸化物粒子を含む機能層上に供給する工程と、前記機能層上に供給された前記非水系二次電池接着層用組成物を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする。このように、無機酸化物粒子を含む機能層上に製造された接着層は、電解液中で機能層と良好に接着し、また非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。
本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層を形成可能な非水系二次電池接着層用組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用接着層、および当該非水系二次電池用接着層を備える非水系二次電池部材を提供することができる。
さらに、本発明によれば、電気的特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
そして、本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層の製造方法を提供することができる。
本発明の非水系二次電池接着層用組成物に含有される粒子状結着材Aの一例の構造を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、本発明の非水系二次電池用接着層を調製する際の材料として用いられる。また、本発明の非水系二次電池用接着層は、本発明の非水系二次電池接着層用組成物を用いて調製され、セパレータや電極などの非水系二次電池部材の一部を構成する。そして、本発明の非水系二次電池部材は、本発明の接着層を備えてなる。さらに、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用接着層を介して非水系二次電池部材同士が接着されてなる。また、本発明の非水系二次電池用接着層は、例えば本発明の非水系二次電池用接着層の製造方法に従って製造することができる。
(非水系二次電池接着層用組成物)
本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、結着性を有する粒子状結着材Aを少なくとも含有し、任意に粒子状結着材A以外の結着材およびその他の成分を含有する、水を分散媒としたスラリー組成物である。
そして、本発明の非水系二次電池接着層用組成物を用いて形成される接着層は、電解液中での接着性に優れ、また、二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。
なお、非水系二次電池接着層用組成物に含まれる粒子状結着材Aの割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、通常90質量%以下である。
<粒子状結着材A>
粒子状結着材Aは、得られる接着層の接着性を確保する結着材として機能する成分である。ここで、通常、粒子状結着材Aは、非水溶性の重合体で構成され、水系媒体中において粒子状で存在しており、その粒子形状を維持したまま接着層に含まれる。
なお、本発明において、「非水溶性の重合体」とは、温度25℃において、重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が80質量%以上である重合体を指す。
そして、粒子状結着材Aは、アルコキシシリル基含有単量体単位を0.1質量%以上20質量%以下含む重合体Aを含有することを特徴とする。なお、本明細書において、「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の構造単位が含まれている」ことを意味する。
ここで、アルコキシシリル基含有単量体単位を上述の含有割合で含む重合体Aを有する粒子状結着材Aを用いた接着層は、電解液中において優れた接着性を発揮し、また、当該接着層を備える非水系二次電池の電気的特性を良好に向上させることができる。
なお、上記粒子状結着材Aを使用することで上述したような優れた効果が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、接着層中に含まれる粒子状結着材Aのアルコキシシリル基は、加水分解を経てシラノール基に変換しうる。このシラノール基が、例えば基材上で接着層組成物を乾燥して接着層を形成する際に、基材中の配合成分の水酸基などの官能基、例えば基材の最表面に配置された機能層中の無機酸化物粒子(多孔膜層中の非導電性粒子や電極合材層中の電極活物質)が水と接することにより生成する水酸基と脱水縮合などで相互作用するため、接着層と当該接着層に隣接配置された機能層の間の接着性(すなわち、接着層と基材の間の接着性)が向上し、この優れた接着性が電解液中でも発揮されると推察される。
また、上述のように、例えば接着層と機能層が脱水縮合する際に、特に機能層中の無機酸化物粒子中に内在していた水分をあわせて系外に排出することができ、二次電池への持ち込み水分量を低減させることが可能となり、また電解液の分解などにより生じるガス発生が抑制され、電池セルの膨れを抑制できるものと推察される。
そして、上述した接着性向上、持ち込み水分量低減などの寄与により、高温サイクル特性や低温出力特性などの電気的特性を高めることが可能となると推察される。
[粒子状結着材Aの構造]
粒子状結着材Aの構造は、特に限定されず、実質的に単一の重合体成分(重合体A)で構成される非複合重合体であってもよいし、重合体Aと少なくとも1種の重合体A以外の重合体とで構成される複合重合体であってもよい。
また、粒子状結着材A中において、重合体Aは、粒子状結着材Aの外表面部(すなわち、粒子状結着材Aの周面を構成する部位)に存在することが好ましい。重合体Aが粒子状結着材Aの外表面部の一部または全部を構成することで、得られる接着層が、電解液中で良好に接着性を発現させることができるからである。
なお、複合重合体は、少なくとも1種類の単量体成分を常法に従い重合した後、引き続き、他の少なくとも1種の単量体成分を常法に従い重合させる方法(二段重合法)などによって容易に製造することができる。そして、複合重合体よりなる粒子は、粒子の内部に互いに異なる重合体部分が存在する異相構造体となる。
ここで、異相構造体とは、互いに異なる2つ以上の重合体が物理的または化学的に結合して形成されている単一の粒子であり、ブロック重合体などの単一の重合体から形成された単一相構造からなる粒子ではない。そして、異相構造体の具体例としては、球状の粒子であって中心部と外殻部とが異なる重合体から形成されているコアシェル構造;2つ以上の重合体が並置された構造であるサイドバイサイド構造;コアシェル構造において中心部の重合体の一部が外殻部に露出した構造である雪ダルマ構造;球状の重合体粒子の表面に別種の重合体粒子が埋め込まれて一体化した構造であるイイダコ構造;などが挙げられる。
このような構造のなかでも、粒子状結着材Aは、実質的に重合体Aのみで構成される非複合重合体、コアシェル構造を有する複合重合体であることが好ましい。以下、非複合重合体としての粒子状結着材A、コアシェル構造を有する複合重合体としての粒子状結着材Aについてそれぞれ詳述する。
[[非複合重合体としての粒子状結着材A]]
粒子状結着材Aが非複合重合体である場合、粒子状結着材Aは実質的に重合体Aからなる。ここで、重合体Aは、アルコキシシリル基含有単量体に加え、芳香族ビニル単量体、酸基含有単量体、架橋性単量体などを用いて調製される。
−アルコキシシリル基含有単量体−
アルコキシシリル基含有単量体としては、アルコキシシリル基と、他の単量体と共重合可能な構造(例えば炭素−炭素二重結合などの重合性不飽和結合、またアルコキシシリル基を除く)とを含む単量体であれば特に限定されない。ここでアルコキシシリル基は、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基の何れであってもよいが、トリアルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基含有単量体としては、接着層の接着性のさらに高めつつ、二次電池への持ち込み水分量を低減する観点から、ビニルシラン系単量体や、(メタ)アクリルシラン系単量体が好適に挙げられる。
ビニルシラン系単量体としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリルシラン系単量体としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランがより好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。また、アルコキシシリル基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体Aにおけるアルコキシシリル基含有単量体単位の含有割合は、0.1質量%以上20質量%以下であることが必要であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは1.8質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。アルコキシシリル基含有単量体単位の割合が前記範囲の下限値未満であると、接着層の電解液中での接着性が確保できず、また二次電池への持ち込み水分量も上昇する。加えて、二次電池の電気的特性が低下する。また、アルコキシシリル基含有単量体単位の割合が前記範囲の上限値超であると、重合体A中のアルコキシシリル基が変換して生じるシラノール基同士が脱水縮合してしまうため、基材側の水酸基との反応性が低下し、電解液中で接着層を基材に良好に接着させることができない。加えて重合体Aが過度な親水性を有することとなり、二次電池への持ち込み水分量が上昇し、また二次電池の低温出力特性が低下する。
なお、水系のスラリーである接着層用組成物において、重合体A中のアルコキシシリル基は、加水分解によりシラノール基に変換されていてもよく、アルコキシシリル基がシラノール基に変換されている単量体単位もアルコキシシリル基含有単量体単位(アルコキシシリル基含有単量体由来の単量体単位)に含まれる。
−芳香族ビニル単量体−
重合体Aは、好ましくは芳香族ビニル単量体単位を含む。芳香族ビニル単量体の中でも、スチレンおよびスチレンスルホン酸等のスチレン誘導体がより好ましく、スチレンが好ましい。重合体Aの調製に芳香族ビニル単量体を用いれば、重合体Aの電解液膨潤度を後述する好適な範囲に制御し易い。また、得られる接着層の電解液中での接着性を一層高めることができる。
なお、芳香族ビニル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体Aにおける芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。芳香族ビニル単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、電解液中における接着層の接着性をより向上させることができる。また、重合体Aの電解液膨潤度およびガラス転移温度を後述する好適な範囲に制御し易い。
−酸基含有単量体−
重合体Aは、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。
そして、カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
さらに、リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
また、水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。なお、水酸基を有する単量体には、シラノール基を含有する単量体は含まれない。
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、重合体Aにおける酸基含有単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。酸基含有単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、接着層中での重合体A(すなわち粒子状結着材A)の分散性を向上させ、接着層全面に渡って良好な接着性を発現させることができる。
−架橋性単量体−
重合体Aは、架橋性単量体単位を含みうる。架橋性単量体とは、加熱またはエネルギー線の照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体単位を含むことにより、重合体の膨潤度を、前記の範囲に容易に収めることができる。
そして架橋性単量体としては、例えば、当該単量体に2個以上の重合反応性基を有する多官能単量体が挙げられる。このような多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル酸エステル化合物;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体;などが挙げられる。これらの中でも、電解液膨潤度を容易に制御する観点から、エチレングリコールジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートがより好ましい。また、架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、重合体Aが架橋性単量体単位を含む場合、重合体Aにおける架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
−粒子状結着材A(非複合重合体)の性状−
非複合重合体としての粒子状結着材A(重合体A)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特に好ましくは100℃以下である。粒子状結着材Aのガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。また粒子状結着材Aのガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中における接着性をさらに高めることができる。
なお、粒子状結着材A(重合体A)の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
非複合重合体としての粒子状結着材A(重合体A)の電解液膨潤度は、1倍超であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、4倍以下であることが好ましく、3.5倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。粒子状結着材Aの電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性をさらに向上させることができる。また、粒子状結着材Aの電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることによっても、接着層の電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性をさらに向上させることができる。
なお、粒子状結着材A(重合体A)の「電解液膨潤度」は、「コアシェル構造を有する複合重合体としての粒子状結着材A」の項で後述する電解液膨潤度の測定方法に準じて測定することができる。
また、非複合重合体としての粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の内部抵抗の上昇を抑制し、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。また、粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中での粒子状結着材Aの接着性を高め、高温サイクル特性をさらに向上させることができる。
なお、粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50は、固形分濃度15質量%に調整した水分散液の、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて湿式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めうる。
−粒子状結着材A(非複合重合体)の調製方法−
非複合重合体としての粒子状結着材Aの調製方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。中でも、水中で重合をすることができ、重合体Aからなる粒子状結着材Aを含む水分散液をそのまま接着層用組成物の材料として好適に使用できるので、乳化重合法および懸濁重合法が好ましい。非複合重合体としての粒子状結着材Aは、通常、実質的にそれを構成する重合体Aにより形成されるが、重合に際して用いた添加剤等の任意の成分を同伴していてもよい。
[[コアシェル構造を有する複合重合体としての粒子状結着材A]]
粒子状結着材Aがコアシェル構造を有する複合重合体である場合、シェル部は上述した重合体Aからなることが好ましい。シェル部が重合体Aで構成されていれば、接着層の電解液中での接着性を確保しつつ、コア部に重合体A以外の重合体成分を適用することで、粒子状結着材Aの性能を高めることができるからである。なお、コア部に重合体Aを含めてもよい。
そしてより具体的には、粒子状結着材Aは、コア部と、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、且つ、シェル部は、上述した重合体Aからなり、かつ当該重合体Aの電解液膨潤度が1倍超4倍以下であることがより好ましい。
このように、特定のコアシェル構造を有し、コア部およびシェル部を構成する重合体の電解液膨潤度を特定の範囲内に収めることで、接着層の電解液中での接着性をさらに高めつつ、接着層を備える非水系二次電池の低温出力特性などの電気的特性をより一層良好に向上させることができる。
なお、特定のコアシェル構造を有し、コア部およびシェル部を構成する重合体の電解液膨潤度を特定の範囲内である粒子状結着材Aを使用することで上述したような優れた効果が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
まず、上述したシェル部を構成する重合体Aのアルコキシシリル基の寄与により、接着層は電解液へ浸漬される前から、特に基材(電極基材、セパレータ基材)と良好に接着しているが、電解液中でシェル部の重合体Aが膨潤することで、当該接着をより強固なものとしつつ、接着層が基材とは反対側の面で接着する電池部材と当該接着層の間の接着性をも向上させることができる。具体的には、シェル部を構成する重合体Aが電解液に対して膨潤する際に、例えば膨潤したシェル部の重合体Aが有する官能基(アルコキシシリル基およびシラノール基を除く)が活性化して基材または電池部材の表面と化学的または電気的な相互作用を生じるなどの要因により、粒子状結着材Aを含む接着層を介して電池部材同士(例えば、セパレータと電極)を電解液中において強力に接着することが可能となっているものと推察される。
また、上述したように電解液中においてセパレータと電極とを強力に接着することができるので、当該接着層を備える二次電池では、接着層を介して接着された電池部材間(例えば、セパレータと電極との間)に空隙を生じ難い。そのため、粒子状結着材Aを含む接着層を使用した二次電池では、二次電池内において正極と負極との距離が大きくなり難く、二次電池の内部抵抗を小さくできると共に、電極における電気化学反応の反応場が不均一になり難い。さらに、当該二次電池では、充放電を繰り返してもセパレータと電極との間に空隙ができ難く、電池容量が低下しにくい。これにより、優れた耐膨らみ性や高温サイクル特性などを実現できるものと推察される。
さらに、粒子状結着材Aのコア部を構成する重合体は、電解液に対して大きく膨潤する。そして、重合体は、電解液に大きく膨潤した状態では、重合体の分子間の隙間が大きくなり、その分子間をイオンが通り易くなる。また、粒子状結着材Aのコア部の重合体は、シェル部によって完全に覆われてはいない。そのため、電解液中においてイオンがコア部を通りやすくなるので、粒子状結着材Aは高いイオン拡散性を発現できる。従って、上記粒子状結着材Aを使用すれば、接着層による抵抗の上昇を抑制し、低温出力特性などの電気的特性の低下を抑制することも可能であると推察される。
なお、上述した特定のコアシェル構造を有する粒子状結着材Aは、コア部と、コア部の外表面を覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、かつ、シェル部は、コア部の外表面を部分的に覆っている。即ち、粒子状結着材Aのシェル部は、コア部の外表面を覆っているが、コア部の外表面の全体を覆ってはいない。外観上、コア部の外表面がシェル部によって完全に覆われているように見える場合であっても、シェル部の内外を連通する孔が形成されていれば、そのシェル部はコア部の外表面を部分的に覆うシェル部である。したがって、例えば、シェル部の外表面(即ち、粒子状結着材Aの周面)からコア部の外表面まで連通する細孔を有するシェル部を備える場合は、粒子状結着材Aのシェル部は、コア部を部分的に覆っていることとなる。
上述した特定のコアシェル構造を有する粒子状結着材Aの一例の断面構造を図1に示す。粒子状結着材A100は、コア部110およびシェル部120を備えるコアシェル構造を有する。ここで、コア部110は、この粒子状結着材A100においてシェル部120よりも内側にある部分である。また、シェル部120は、コア部110の外表面110Sを覆う部分であり、通常は粒子状結着材A100において最も外側にある部分である。そして、シェル部120は、コア部110の外表面110Sの全体を覆っているのではなく、コア部110の外表面110Sを部分的に覆っている。
ここで、粒子状結着材Aでは、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。被覆率を前記範囲の下限値以上とすることにより、接着層の電解液中での接着性をさらに向上させることができる。また、被覆率を前記範囲の上限値以下とすることにより、接着層のイオン拡散性が高まり、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。
なお、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合は、粒子状結着材Aの断面構造の観察結果から測定しうる。具体的には、以下に説明する方法により測定しうる。
まず、粒子状結着材Aを常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、包埋し、粒子状結着材Aを含有するブロック片を作製する。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ80nm〜200nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製する。その後、必要に応じて、例えば四酸化ルテニウムまたは四酸化オスミウムを用いて測定用試料に染色処理を施す。
次に、この測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、粒子状結着材Aの断面構造を写真撮影する。電子顕微鏡の倍率は、粒子状結着材A1個の断面が視野に入る倍率が好ましく、具体的には10,000倍程度が好ましい。
撮影された粒子状結着材Aの断面構造において、コア部の外表面に相当する周の長さD1、および、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を測定する。そして、測定された長さD1および長さD2を用いて、下記の式(1)により、その粒子状結着材Aのコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出する。
被覆割合Rc(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
前記の被覆割合Rcを、20個以上の粒子状結着材Aについて測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)とする。
ここで、前記の被覆割合Rcは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。市販の画像解析ソフトとして、例えば「AnalySIS Pro」(オリンパス株式会社製)を用いることができる。
なお、粒子状結着材Aは、所期の効果を著しく損なわない限り、上述したコア部およびシェル部以外に任意の構成要素を備えていてもよい。具体的には、例えば、粒子状結着材Aは、コア部の内部に、コア部とは別の重合体で形成された部分を有していてもよい。具体例を挙げると、粒子状結着材Aをシード重合法で製造する場合に用いたシード粒子が、コア部の内部に残留していてもよい。ただし、所期の効果を顕著に発揮する観点からは、粒子状結着材Aはコア部およびシェル部のみを備えることが好ましい。
また、コアシェル構造を有する複合重合体としての粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50は、前記非複合重合体としての粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50と同様に測定しうり、その好適な範囲、および当該範囲内とすることが好適である理由も、前記非複合重合体としての粒子状結着材Aのものと同様である。
−コア部−
粒子状結着材Aのコア部は、電解液に対して所定の膨潤度を有する重合体からなることが好ましい。具体的には、コア部の重合体の電解液膨潤度は、5倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましく、7倍以上であることがさらに好ましく、また、30倍以下であることが好ましく、25倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがさらに好ましい。コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層のイオン拡散性を高め、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。また、コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、高温サイクル特性をさらに向上させることができる。
ここで、コア部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とビニレンカーボネート(VC)の混合溶媒(体積混合比EC/DEC/VC=68.5/30/1.5;SP値12.7(cal/cm31/2)に、支持電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶かした溶液を用いる。
そして、コア部の重合体の電解液膨潤度は、具体的には、下記のようにして測定することができる。
まず、粒子状結着材Aのコア部の重合体を用意する。例えば、粒子状結着材Aの調製においてコア部を形成するために行うのと同様の工程を行うことにより得られた重合体を用意する。その後、用意した重合体によりフィルムを作製する。例えば重合体が固体であれば、温度25℃、48時間の条件で重合体を乾燥した後、その重合体をフィルム状に成形して、厚み0.5mmのフィルムを作製する。また、例えば、重合体がラテックス等の溶液または分散液である場合は、その溶液または分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、温度60℃、72時間の条件で乾燥した後、必要に応じて熱プレスし、厚み0.5mmのフィルムを作製する。
次に、上記のようにして作製したフィルムを1cm角に裁断して、試験片を得る。この試験片の重量を測定し、W0とする。また、この試験片を上記電解液に温度60℃で72時間浸漬し、その試験片を電解液から取り出す。取り出した試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬後の試験片の重量W1を測定する。
そして、これらの重量W0およびW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算する。
なお、コア部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該コア部の重合体を製造するための単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。一般に、重合体のSP値が電解液のSP値に近い場合、その重合体はその電解液に膨潤しやすい傾向がある。他方、重合体のSP値が電解液のSP値から離れていると、その重合体はその電解液に膨潤し難い傾向がある。
ここでSP値とは、溶解度パラメーターのことを意味する。
そして、SP値は、Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook,2ndEd(CRCPress)で紹介される方法を用いて算出することができる。
また、有機化合物のSP値は、その有機化合物の分子構造から推算することも可能である。具体的には、SMILEの式からSP値を計算できるシミュレーションソフトウェア(例えば「HSPiP」(http=//www.hansen−solubility.com))を用いて計算しうる。このシミュレーションソフトウェアでは、Hansen SOLUBILITY PARAMETERS A User’s Handbook SecondEdition、Charles M.Hansenに記載の理論に基づき、SP値が求められている。
コア部の重合体を調製するために用いる単量体としては、特に限定されないが、例えばその重合体の電解液膨潤度が前記範囲となるものを適宜選択して用いうる。そのような単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系単量体;酢酸ビニル等の酢酸ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ブトキシスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルアミン等のビニルアミン系単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド系単量体;カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、水酸基を有する単量体等の酸基含有単量体;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体;2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート単量体;マレイミド;フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリロ」は、アクリロおよび/またはメタクリロを意味する。
前記の単量体の中でも、コア部の重合体の調製に用いられる単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリロニトリル単量体を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることがより好ましい。即ち、コア部の重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位または(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことがより好ましく、メタクリル酸メチル由来の単量体単位を含むことが特に好ましい。これにより、重合体の膨潤度の制御が容易になると共に、粒子状結着材Aを用いた接着層のイオン拡散性を一層高めることができる。
また、コア部の重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層のイオン拡散性を高め、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性をさらに向上させることができる。
また、コア部の重合体は、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。具体的には、酸基含有単量体としては、「非複合重合体としての粒子状結着材A」の項で上述した単量体と同様の単量体が挙げられる。
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、コア部の重合体における酸基含有量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。酸基含有量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、粒子状結着材Aの調製時に、コア部の重合体の分散性を高め、コア部の重合体の外表面に対し、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部を形成し易くすることができる。
また、コア部の重合体は、上記単量体単位に加え、架橋性単量体単位を含んでいることが好ましい。具体的には、架橋性単量体単位を形成し得る架橋性単量体としては、「非複合重合体としての粒子状結着材A」の項で上述した単量体と同様の単量体が挙げられる。
これらの中でも、コア部の重合体の電解液膨潤度を容易に制御する観点から、エチレングリコールジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートがより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、一般に、重合体において架橋性単量体単位の割合が増えると、その重合体の電解液膨潤度は小さくなる傾向がある。したがって、架橋性単量体単位の割合は、使用する単量体の種類および量を考慮して決定することが好ましい。コア部の重合体における架橋性単量体単位の具体的な割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4.5質量%以下である。架橋性単量体単位の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、高温サイクル特性をさらに向上させることができる。また、架橋性単量体単位の割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、粒子状結着材Aの調製時の重合安定性が確保され、得られる粒子状結着材Aを好適な粒子状とすることができる。
また、コア部の重合体のガラス転移温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。コア部の重合体のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。また、コア部の重合体のガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、粒子状結着材Aの接着性をさらに高めることができる。
なお、コア部の重合体の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
さらに、コア部の径は、粒子状結着材Aの体積平均粒子径100%に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、好ましくは99%以下、より好ましくは98.5%以下、さらに好ましくは98%以下である。コア部の径を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層のイオン拡散性を高めることができる。一方、コア部の径を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の接着性を高めることができる 。
ここで、コア部の径は、粒子状結着材Aの製造過程において得られる、シェル部を形成する前の粒子状の重合体の体積平均粒子径D50として測定することができる。このようなシェル部を形成する前の粒子状の重合体は、コア部を構成する粒子状の重合体に相当する。なお、シェル部を形成する前の粒子状の重合体の体積平均粒子径D50は、前記非複合重合体としての粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50と同様に測定しうる。
−シェル部−
粒子状結着材Aのシェル部は、コア部の電解液膨潤度よりも小さい所定の電解液膨潤度を有する重合体からなることが好ましい。また、粒子状結着材Aのシェル部は、上述した重合体Aからなることが好ましい。
ここで、シェル部の重合体の電解液膨潤度は、1倍超であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、4倍以下であることが好ましく、3.5倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、二次電池の高温サイクル特性をさらに向上させることができる。また、シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、二次電池の高温サイクル特性をさらに向上させることができる。
ここで、シェル部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液としては、コア部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液と同様のものを用いる。
そして、シェル部の重合体の電解液膨潤度は、具体的には、下記のようにして測定することができる。
まず、粒子状結着材Aのシェル部の重合体を用意する。例えば、粒子状結着材Aの調製において、コア部の形成に用いる単量体組成物の代わりにシェル部の形成に用いる単量体組成物を用いて、コア部の製造方法と同様にして重合体を製造する。
その後、コア部の重合体の膨潤度の測定方法と同様の方法で、シェル部の重合体によりフィルムを作製し、そのフィルムから試験片を得て、膨潤度Sを測定する。
ここで、シェル部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該シェル部の重合体を製造するための単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。
そして、シェル部の重合体を調製するために用いる単量体としては、その重合体の電解液膨潤度が前記範囲となるものを適宜選択して用いうる。
これらの単量体の中でも、シェル部の重合体の調製に用いられる単量体としては、重合体Aを製造するために用いうる単量体として上述した単量体が好ましい。そして、それらの単量体に由来する単量体単位のシェル部の重合体中での含有割合の好適な範囲、および当該範囲内とすることが好適である理由は、「非複合重合体としての粒子状結着材A」の項で上述したものと同様である。
また、シェル部の重合体のガラス転移温度の好適な範囲、および当該範囲内とすることが好適である理由は、「非複合重合体としての粒子状結着材A」の項で上述したものと同様である
なお、シェル部の重合体の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
さらに、シェル部は、粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50に対して、所定の範囲に収まる平均厚みを有することが好ましい。具体的には、粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50に対するシェル部の平均厚み(コアシェル比率)は、好ましくは1.5%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。シェル部の平均厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の電解液中での接着性を高め、高温サイクル特性をさらに向上させることができ、前記範囲の上限値以下とすることにより、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。
ここで、シェル部の平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子状結着材Aの断面構造を観察することにより求められる。具体的には、TEMを用いて粒子状結着材Aの断面構造におけるシェル部の最大厚みを測定し、任意に選択した20個以上の粒子状結着材Aのシェル部の最大厚みの平均値を、シェル部の平均厚みとする。ただし、シェル部が重合体の粒子によって構成されており、かつ、粒子状結着材Aの径方向で、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成している場合は、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径をシェル部の平均厚みとする。
また、シェル部の形態は特に制限されないが、シェル部は、重合体(具体的には重合体A)の粒子によって構成されていることが好ましい。シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、粒子状結着材Aの径方向にシェル部を構成する粒子が複数重なり合っていてもよい。ただし、粒子状結着材Aの径方向では、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成していることが好ましい。
さらに、シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nmであり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。個数平均粒子径を前記範囲に収めることにより、イオン拡散性と接着性とのバランスを良好にできる。
なお、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子状結着材Aの断面構造を観察することにより求められる。具体的には、粒子状結着材Aの断面構造におけるシェル部を構成する粒子の最長径を測定し、任意に選択した20個以上の粒子状結着材Aのシェル部を構成する粒子の最長径の平均値を、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径とすることができる。
−粒子状結着材A(コアシェル構造)の調製方法−
そして、上述したコアシェル構造を有する複合重合体としての粒子状結着材Aは、例えば、コア部の重合体の単量体と、シェル部の重合体の単量体とを用い、経時的にそれらの単量体の比率を変えて段階的に重合することにより、調製することができる。具体的には、粒子状結着材Aは、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続した多段階乳化重合法および多段階懸濁重合法によって調製することができる。
そこで、以下に、多段階乳化重合法により上記コアシェル構造を有する粒子状結着材Aを得る場合の一例を示す。
重合に際しては、常法に従って、乳化剤として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のノニオン性界面活性剤、またはオクタデシルアミン酢酸塩等のカチオン性界面活性剤を用いることができる。また、重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、キュメンパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物を用いることができる。
そして、重合手順としては、まず、コア部を形成する単量体および乳化剤を混合し、一括で乳化重合することによってコア部を構成する粒子状の重合体を得る。さらに、このコア部を構成する粒子状の重合体の存在下にシェル部を形成する単量体の重合を行うことによって、上述したコアシェル構造を有する粒子状結着材Aを得ることができる。
この際、コア部の外表面をシェル部によって部分的に覆う観点から、シェル部の重合体を形成する単量体は、複数回に分割して、もしくは、連続して重合系に供給することが好ましい。シェル部の重合体を形成する単量体を重合系に分割して、もしくは、連続で供給することにより、シェル部を構成する重合体が粒子状に形成され、この粒子がコア部と結合することで、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
ここで、シェル部の重合体を形成する単量体を複数回に分割して供給する場合には、単量体を分割する割合に応じてシェル部を構成する粒子の粒子径およびシェル部の平均厚みを制御することが可能である。また、シェル部の重合体を形成する単量体を連続で供給する場合には、単位時間あたりの単量体の供給量を調整することで、シェル部を構成する粒子の粒子径およびシェル部の平均厚みを制御することが可能である。
また、シェル部の重合体を形成する単量体として重合溶媒に対して親和性の低い単量体を用いると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向がある。従って、重合溶媒が水の場合、シェル部の重合体を形成する単量体は、疎水性単量体を含むことが好ましく、芳香族ビニル単量体を含むことが特に好ましい。
さらに、シェル部の重合に用いる乳化剤量を少なくすると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向がある。従って、適宜乳化剤量を調整することによっても、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
なお、コア部を構成する粒子状の重合体の体積平均粒子径D50、シェル部を形成した後の粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50、および、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、例えば、乳化剤の量、単量体の量などを調整することで、所望の範囲にすることができる。
さらに、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合は、コア部を構成する粒子状の重合体の体積平均粒子径D50に対応させて、例えば、乳化剤の量、および、シェル部の重合体を形成する単量体の量を調整することで、所望の範囲にすることができる。
<粒子状結着材A以外の結着材>
ここで、接着層の柔軟性と電解液中での接着性をバランスよく向上させる観点からは、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、粒子状結着材A以外の結着材、例えば粒子状結着材A以外の粒子状結着材(以下、「粒子状結着材B」という。)を含有することが好ましい。
そして、上記粒子状結着材Aと併用し得る粒子状結着材Bとしては、非水溶性で、水中に分散可能な既知の粒子状結着材、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。そして、熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン系重合体およびアクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がより好ましい。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体を指し、共役ジエン系重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体が挙げられる。また、アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。
なお、これらの粒子状結着材Bは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着材Bとしてのアクリル系重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。なお、粒子状結着材Bとしてのアクリル系重合体に含まれる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外の単量体単位は、特に限定されないが、粒子状結着材Bにおける水酸基含有単量体単位の含有割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。水酸基含有単量体単位の含有割合を5質量%以下とすることで、粒子状結着材Aと粒子状結着材Bの間の脱水縮合が抑制され、粒子状結着材Aを基材に良好に接着させることができる。
また、粒子状結着材Bを構成する重合体のガラス転移温度は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−50℃以上であり、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。粒子状結着材Bのガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の柔軟性を高めることができる。また、ガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中での接着性をさらに高めることができる。
なお、粒子状結着材Bの「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
さらに、粒子状結着材Bの体積平均粒子径D50は、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。粒子状結着材Bの体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、粒子状結着材Bの分散性を高めることができる。また、体積平均粒子径D50を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層の電解液中での接着性をさらに高めることができる。なお、粒子状結着材Bの体積平均粒子径D50は、前記粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50と同様に測定しうる。
そして、接着層用組成物中の粒子状結着材Bの配合量は、粒子状結着材A100質量部当たり、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、また、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。粒子状結着材Bの含有量を前記範囲の下限値以上にすることにより、接着層の電解液中での接着性および接着層の柔軟性をバランスよく確保することができる。また、粒子状結着材Bの含有量を前記範囲の上限値以下にすることにより、接着層のイオン拡散性が低下するのを抑制し、二次電池の低温出力特性を確保することができる。加えて、粒子状結着材Aの接着性向上機能を阻害せずに、接着層の電解液中での接着性を確保することができる。
なお、粒子状結着材Bは、前記非複合重合体としての粒子状結着材Aと同様に製造し得る。
<その他の成分>
非水系二次電池接着層用組成物は、上述した成分以外にも、任意のその他の成分を含んでいてもよい。これらのその他の成分としては、例えば、濡れ剤、増粘剤、電解液添加剤などの既知の添加剤が挙げられる。また、これらのその他の成分は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい
<非水系二次電池接着層用組成物の調製方法>
接着層用組成物の調製方法は、特に限定はされないが、通常は、粒子状結着材Aと、分散媒としての水と、必要に応じて用いられる粒子状結着材Bおよびその他の成分とを混合して接着層用組成物を調製する。混合方法は特に制限されないが、各成分を効率よく分散させるため、通常は混合装置として分散機を用いて混合を行う。
分散機は、上記成分を均一に分散および混合できる装置が好ましい。例を挙げると、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。また、高い分散シェアを加えることができる観点から、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の高分散装置も挙げられる。
なお、得られる接着層用組成物のpHは、特に限定されないが、好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5以下である。接着層用組成物のpHが前記範囲内であれば、粒子状結着材Aのアルコキシシリル基(またはシラノール基)の反応性を低下させ、接着層用組成物の安定性(保存性)を向上させることができる。結果として、当該接着層用組成物を基材上で乾燥させた際に、得られる接着層を基材に好適に接着させることができる。
なお、接着層用組成物のpHは、既知の方法で調整することができる。
(非水系二次電池用接着層)
本発明の非水系二次電池用接着層は、上述した非水系二次電池接着層用組成物を用い、適切な基材上に形成することができる。この接着層は、電解液中で優れた接着性を発揮し、そして、二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。なお、接着層は基材の片面に設けてもよいし、基材の両面に設けてもよい。
なお、非水系二次電池用接着層に含まれる粒子状結着剤Aの割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、通常100質量%以下である。
<基材>
接着層を形成する基材としては、特に限定されず、例えばセパレータの一部を構成する部材として接着層を使用する場合には、基材としてはセパレータ基材を用いることができ、また、電極の一部を構成する部材として接着層を使用する場合には、基材としては電極基材を用いることができる。
接着層を形成するセパレータ基材としては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。
接着層を形成する電極基材(正極基材および負極基材)としては、特に限定されることなく、集電体上に電極合材層が形成された電極基材が挙げられる。ここで、集電体、電極合材層中の成分(例えば、電極活物質(正極活物質、負極活物質)および電極合材層用結着材(正極合材層用結着材、負極合材層用結着材)など)、並びに、集電体上への電極合材層の形成方法は、既知のものを用いることができ、例えば特開2013−145763号公報に記載のものを用いることができる。
また、これらセパレータ基材および電極基材は、さらに耐熱性や強度の向上などを目的とした多孔膜層を備えていることが好ましい。多孔膜層としては、特に限定されることなく、非導電性粒子、多孔膜層用結着材、増粘剤を水などの溶媒に溶解または分散させてなる多孔膜層用スラリー組成物を乾燥して形成されるものが挙げられる。
ここで、非導電性粒子、多孔膜層用結着材としては、特に限定されず、非導電性粒子としては、例えば特開2013−145763号公報に記載のものが挙げられ、多孔膜層用結着材としては、多孔膜層の柔軟性と接着性の観点から、例えば上述の粒子状結着材Bが好適に挙げられる。また、増粘剤としては、既知の増粘剤を使用することができる。
なお、多孔膜層用スラリー組成物を乾燥してセパレータ基材または電極基材の表面に多孔膜層を設ける方法も特に限定されず、既知の方法を採用することが可能である。
ここで、多孔膜層中の多孔膜層用結着材の含有量は、非導電性粒子100質量部当たり、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。多孔膜層用結着材の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、電解液中での接着層と多孔膜層(すなわち、多孔膜層を備える基材)との間の接着性をさらに向上させることができ、前記範囲の上限値以下であれば、二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。また、多孔膜層中の増粘剤の含有量は、非導電性粒子100質量部当たり、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。増粘剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、電解液中での接着層と多孔膜層(すなわち、多孔膜層を備える基材)との間の接着性をさらに向上させることができ、前記範囲の上限値以下であれば、二次電池への持ち込み水分量を低下させることができる。
ここで、多孔膜層中の非導電性粒子、多孔膜層用結着材、増粘剤は多孔膜層用スラリー組成物中に含まれていたものであり、多孔膜層中のそれらの存在比は、通常、多孔膜層用スラリー組成物中の存在比と同じである。
なお、多孔膜層中の非導電性粒子の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
ここで、接着層を形成する基材(電極基材、セパレータ基材)としては、無機酸化物粒子を含む機能層を表面に備える基材が好ましい。無機酸化物粒子を含む機能層としては、例えば非導電性粒子としての無機酸化物粒子を含む多孔膜層や、電極活物質としての無機酸化物粒子を含む電極合材層が挙げられる。
多孔膜層の非導電性粒子として用いられる無機酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、水和アルミニウム酸化物(ベーマイト)、酸化ケイ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム、酸化チタン(チタニア)、BaTiO3、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物等が挙げられる。
電極合材層の電極活物質として用いられる無機酸化物粒子としては、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等が挙げられる。
このような無機酸化物粒子を含む機能層を表面に備える基材の、当該機能層上に接着層用組成物を供給し、乾燥させて接着層を形成することで、乾燥時の加熱により接着層用組成物の粒子状結着材Aと機能層中の無機酸化物粒子が良好に脱水縮合し、接着層と機能層の間の接着性(すなわち、接着層と基材の間の接着性)を確保することができる。
なお、機能層中の無機酸化物粒子の等電点(pH)は、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9以下である。無機酸化物粒子の等電点のpHが前記範囲の下限値以上であることで、粒子状結着材Aと無機酸化物粒子との間の脱水縮合が容易となり、接着層と機能層をより良好に接着させることができる。また、無機酸化物粒子の等電点のpHが前記範囲の上限値以下であることで、二次電池への持ち込み水分量を低減することができる。
ここで、無機酸化物粒子の等電点(pH)は、JIS R1638に規定する方法により測定することができる。
さらに、無機酸化物粒子の等電点(pH)は、接着層用組成物のpHよりも大きいことが好ましい。無機酸化物粒子の等電点が、接着層用組成物のpH超であると、接着層用組成物を、無機酸化物粒子を含む機能層上に塗布した際に、機能層との界面付近での接着層用組成物のpHが上昇し、粒子状結着材Aと無機酸化物粒子との間の脱水縮合が促進されるためである。そして、接着層の機能層との接着性を高める観点からは、無機酸化物粒子の等電点(pH)から接着層用組成物のpHを減じた値は1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。
そして、非水系二次電池用接着層は、特に限定されないが、以下に詳述する本発明の非水系二次電池用接着層の製造方法を用いて、機能層を備える基材(電極基材またはセパレータ基材)の、機能層上に隣接して設けられることが好ましい。
(非水系二次電池用接着層の製造方法)
本発明の非水系二次電池用接着層の製造方法は、非水系二次電池接着層用組成物を、無機酸化物粒子を含む機能層上に供給する工程(供給工程)と、機能層上に供給された非水系二次電池接着層用組成物を乾燥させる工程(乾燥工程)とを含む。
供給工程において、接着層用組成物を基材表面の機能層上に供給する方法は、特に制限されず、機能層上に接着層用組成物を塗布してもよいし、機能層を有する基材を接着層用組成物に浸漬してもよい。これらの中でも前者の塗布する方法が、接着層の膜厚制御をしやすいことから好ましい。
そして、接着層用組成物を機能層上に塗布する方法は、特に制限は無く、例えば、スプレーコート法、ドクターブレード法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。なかでも、薄い接着層を形成する点から、グラビア法、スプレーコート法が好ましい。
また乾燥工程において、機能層上の接着層用組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、乾燥温度は好ましくは30〜80℃で、乾燥時間は好ましくは30秒〜10分である。
なお、形成された接着層の厚みは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。接着層の厚みが前記範囲の下限値以上であることで、接着層の強度を十分に確保することができ、前記範囲の上限値以下であることで、接着層のイオン拡散性を確保し二次電池の低温出力特性をさらに向上させることができる。
(非水系二次電池部材)
本発明の非水系二次電池部材は、無機酸化物粒子を含む機能層と、前記機能層上に隣接して配置された非水系二次電池用接着層とを備え、具体的には、以下のものが挙げられる。
(1)接着層が、無機酸化物粒子(非導電性粒子)を含む多孔膜層上に隣接配置されているセパレータ;
(2)接着層が、無機酸化物粒子(非導電性粒子)を含む多孔膜層上に隣接配置されている電極;
(3)接着層が、無機酸化物粒子(電極活物質)を含む電極合材層上に隣接配置されている電極;
このような非水系二次電池部材は、本発明の非水系二次電池用接着層を備えているため、特に接着層と機能層の間の接着性に優れ、また二次電池に優れた電気的特性を発揮させることができる。そして、本発明の非水系二次電池部材は、例えば上述した非水系二次電池用接着層の製造方法を用いて、機能層を有する基材上に接着層を設けることで、製造することができる。
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明の非水系二次電池用接着層および/または本発明の非水系二次電池部材を備えるものである。より具体的には、本発明の非水系二次電池は、正極、負極、セパレータ、および電解液を備え、上述した本発明の非水系二次電池用接着層が、電池部材である正極、負極およびセパレータの少なくとも1つに含まれる。
本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用接着層を備えているので、高温サイクル特性や低温出力特性などの電気的特性に優れる。
<正極、負極およびセパレータ>
本発明の二次電池に用いる正極、負極およびセパレータは、少なくとも一つが接着層を有している。具体的には、接着層を有する正極および負極としては、電極基材の上に接着層を設けてなる電極を用いることができ、また、接着層を有するセパレータとしては、セパレータ基材の上に接着層を設けてなるセパレータを用いることができる。なお、電極基材およびセパレータ基材としては、「基材」の項で挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、接着層を有さない正極、負極およびセパレータとしては、特に限定されることなく、上述した電極基材よりなる電極および上述したセパレータ基材よりなるセパレータを用いることができる。
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、例えば、リチウムイオン二次電池においてはリチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばリチウムイオン二次電池においては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類が好ましい。通常、用いる溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、溶媒の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができる。また、電解液には、既知の添加剤を添加してもよい。
<非水系二次電池の製造方法>
非水系二次電池は、例えば、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて、巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することで製造し得る。なお、正極、負極、セパレータのうち、少なくとも一つの部材を接着層付きの部材とする。ここで、電池容器には、必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される構造単位の前記重合体における割合は、別に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
実施例および比較例において、粒子状結着材Aを構成する重合体の電解液膨潤度、粒子状結着材Aのコア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)、粒子状結着材Aのシェル部の平均厚み(コアシェル比率)、各粒子の体積平均粒子径D50、各重合体のガラス転移温度、並びに、接着層と多孔膜層の水分量合計、接着層の電解液中での接着性(浸漬後、サイクル後)、二次電池の耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性は、下記の方法で測定および評価した。
<粒子状結着材Aを構成する重合体の電解液膨潤度>
粒子状結着材A(コアシェル構造)のコア部およびシェル部の調製に使用した単量体組成物を使用し、コア部およびシェル部の重合条件と同様の重合条件で測定試料となる重合体(コア部の重合体およびシェル部の重合体)の水分散液をそれぞれ作製した。また、粒子状結着材A(非複合重合体)の水分散液を作製した。
次に、上述した水分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、温度60℃で72時間乾燥した後、シャーレから取り出し100℃、20kg/cm2の条件で5分間熱プレスして、厚み0.5mmのフィルムを製造した。そして、得られたフィルムを1cm角に裁断し、試験片を得た。この試験片の重量を測定し、W0とした。また、前記試験片を電解液に温度60℃で72時間浸漬した。その後、試験片を電解液から取り出し、試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬後の試験片の重量W1を測定した。そして、これらの重量W0およびW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算した。
なお、電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとビニレンカーボネートの混合溶媒(体積混合比EC/DEC/VC=68.5/30/1.5;SP値12.7(cal/cm31/2)に、支持電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶かしたものを用いた。
<粒子状結着材Aのコア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)>
粒子状結着材A(コアシェル構造)を、可視光硬化性樹脂(日本電子株式会社製「D−800」)に十分に分散させた後、包埋し、粒子状結着材Aを含有するブロック片を作製した。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ100nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製した。その後、四酸化ルテニウムを用いて測定用試料に染色処理を施した。
次に、染色した測定用試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−3100F」)にセットして、加速電圧80kVにて、粒子状結着材Aの断面構造を写真撮影した。電子顕微鏡の倍率は、視野に粒子状結着材A1個の断面が入るように倍率を設定した。そして、撮影された粒子状結着材Aの断面構造において、コア部の周の長さD1、および、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を計測し、下記式(1)により、その粒子状結着材Aのコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出した。
被覆割合Rc(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
そして、被覆割合Rcを、任意に選択した20個の粒子状結着材Aについて測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)とした。
<粒子状結着材Aのシェル部の平均厚み(コアシェル比率)>
粒子状結着材A(コアシェル構造)のシェル部の平均厚みを、以下の手順で測定した。
シェル部が重合体の粒子により構成されている場合、上記被覆率の測定方法と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、粒子状結着材Aの断面構造を観察した。そして、観察された粒子状結着材Aの断面構造から、シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定した。任意に選択した20個の粒子状結着材Aについてシェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定し、その最長径の平均値をシェル部の平均厚みとした。
また、シェル部が粒子以外の形状を有している場合、上記被覆率の測定方法と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、粒子状結着材Aの断面構造を観察した。そして、観察された粒子状結着材Aの断面構造から、シェル部の最大厚みを測定した。任意に選択した20個の粒子状結着材Aについてシェル部の最大厚みを測定し、その最大厚みの平均値をシェル部の平均厚みとした。
そして、測定されたシェル部の平均厚みを粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50で割ることにより、粒子状結着材Aの体積平均粒子径D50に対するシェル部の平均厚みの比率であるコアシェル比率(単位:%)を計算し、シェル部の平均厚みを評価した。
<体積平均粒子径D50>
各粒子の体積平均粒子径D50は、それぞれ固形分濃度15質量%に調整した水分散液の、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所社製「SALD−3100」)により測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径とした。
<ガラス転移温度(Tg)>
粒子状結着材A(コアシェル構造)のコア部の重合体、シェル部の重合体のガラス転移温度の測定には、各重合体の調製に使用した単量体組成物を使用し、当該重合体の重合条件と同様の重合条件で、測定試料となる重合体を含む水分散液をそれぞれ作製し、当該水分散液を乾固させて得られる測定試料を使用した。
粒子状結着材A(非複合重合体)および粒子状結着材Bのガラス転移温度の測定には、得られた粒子状結着材を含む水分散液を乾固させて得られる測定試料を使用した。
次に、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名「EXSTAR DSC6220」)を用い、上述の測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分、常温常湿下で、DSC曲線を測定した。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点から、ガラス転移温度を求めた。
<接着層と多孔膜層の水分量合計>
各実施例および比較例と同様にして、多孔膜層と有機セパレータからなる積層体を作製した後、多孔膜層から有機セパレータを取り除き、独立膜である多孔膜層を得た。そして各実施例および比較例と同様にして、当該多孔膜層上に接着層を形成し、接着層と多孔膜層からなる積層体を作製した。この接着層と多孔膜層からなる積層体を、幅10cm×長さ10cmの大きさで切り出し、試験片とした。試験片を温度25℃、湿度50%で24時間放置し、その後、電量滴定式水分計を用い、カールフィッシャー法(JIS K−0068(2001)水分気化法、気化温度150℃)により試験片の水分量Wを測定した。この値が小さいほど、二次電池への持ち込み水分量が少ないことを示す。
A:水分量Wが500ppm以下
B:水分量Wが500ppm超600ppm以下
C:水分量Wが600ppm超700ppm以下
D:水分量Wが700ppm超
<接着層の電解液中での接着性(浸漬後)>
各実施例および比較例と同様にして、多孔膜層と有機セパレータからなる積層体を作製した後、多孔膜層から有機セパレータを取り除き、独立膜である多孔膜層を得た。そして各実施例および比較例と同様にして、当該多孔膜層上に接着層を形成し、接着層と多孔膜層からなる積層体を作製した。この接着層と多孔膜層からなる積層体を幅10cm×長さ10cmの大きさで切り出し、試験片とした。これを60℃、72時間、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとビニレンカーボネートの混合溶媒(体積混合比EC/DEC/VC=68.5/30/1.5;SP値12.7(cal/cm31/2)に、支持電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶かしたもの)に浸漬し、電解液をふき取ったのちに、接着層の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、多孔膜層の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値を求めて、当該平均値をピール強度P1とした。測定されたピール強度P1が大きいほど、接着層が電解液中で優れた接着性を保持していることを示す。
A:ピール強度P1が20N/m以上
B:ピール強度P1が15N/m以上20N/m未満
C:ピール強度P1が15N/m未満
<二次電池の耐膨らみ性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.4V、0.1Cの充電、3V、0.1Cの放電にて充放電の操作を行った。その後、捲回型リチウムイオン二次電池を流動パラフィンに浸漬し、その体積V0を測定した。体積V0の測定後、流動パラフィンから取り出し、さらに、60℃の環境下で、充放電の操作を繰り返し、1000サイクル後の捲回型リチウムイオン二次電池を流動パラフィンに浸漬し、その体積V1を測定した。そして、サイクル前後でのセルの体積変化率ΔV(%)={(V1−V0)/V0}×100を算出し、下記の基準で評価した。体積変化率ΔVの値が小さいほど、セルの耐膨らみ性に優れていることを示す。
A:体積変化率ΔVが10%未満
B:体積変化率ΔVが10%以上15%未満
C:体積変化率ΔVが20%未満
<二次電池の高温サイクル特性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。次に、25℃の環境下で、4.4V、0.1Cの充電、2.75V、0.1Cの放電にて充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。その後、さらに、60℃の環境下で、同様の充放電の操作を繰り返し、1000サイクル後の容量C1を測定した。そして、サイクル前後での容量維持率ΔC(%)=C1/C0×100を算出し、下記の基準で評価した。容量維持率ΔCの値が大きいほど、高温サイクル特性に優れていることを示す。
A:容量維持率ΔCが85%以上
B:容量維持率ΔCが80%以上85%未満
C:容量維持率ΔCが80%未満
<接着層の電解液中での接着性(サイクル後)>
高温サイクル特性の評価後、セルを解体し、有機セパレータ/多孔膜層/接着層/負極をこの順に備えてなる積層体を取出し、有機セパレータ表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。その後、負極の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値を求めて、当該平均値をピール強度P2とした。測定されたピール強度P2が大きいほど、サイクル後の接着層が電解液中で優れた接着性を保持していることを示す。
A:ピール強度P2が5N/m以上
B:ピール強度P2が3N/m以上5N/m未満
C:ピール強度P2が3N/m未満
<二次電池の低温出力特性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、4.4V、0.1C、5時間の充電の操作を行い、その時の電圧V0を測定した。その後、−10℃の環境下で、1Cの放電レートにて放電の操作を行い、放電開始15秒後の電圧V1を測定した。そして、ΔV=V0−V1で示す電圧変化を求め、下記の基準で評価した。この電圧変化が小さいほど、低温出力特性に優れていることを示す。
A:電圧変化ΔVが500mV以下
B:電圧変化ΔVが500mV超700mV以下
C:電圧変化ΔVが700mV超900mV以下
D:電圧変化ΔVが900mV超
(実施例1)
<粒子状結着材A(コアシェル構造)の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、粒子状結着材Aのコア部形成用として、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸メチル75部、酸基含有単量体としてのメタクリル酸4部、架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート1部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水150部、および、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を添加し、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で、続いて、粒子状結着材Aのシェル部(重合体Aに相当)形成用として、芳香族ビニル単量体としてのスチレン18部と、酸基含有単量体としてのメタクリル酸1部と、アルコキシシリル基含有単量体としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名「A−174」)1部の混合物を連続添加し、70℃に加温して重合を継続した。添加した全単量体の重合転化率が96%になった時点で、冷却し反応を停止して、粒子状結着材Aを含む水分散液を得た。
そして、得られた粒子状結着材Aの被覆率およびコアシェル比率、体積平均粒子径D50を測定した。また、粒子状結着材Aを構成する重合体の電解液膨潤度およびガラス転移温度も測定した。結果を後述する表1に示す。
<粒子状結着材Bの調製>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過硫酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器で、イオン交換水50部、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、2−エチルヘキシルアクリレート45部、スチレン50部、イタコン酸3部、N−メチロールアクリルアミド1部およびアリルグリシジルエーテル1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、粒子状結着材B(アクリル系重合体)を含む水分散液を調製した。
得られた粒子状結着材Bの体積平均粒子径D50は0.15μm、ガラス転移温度は−15℃であった。
<接着層用組成物の製造>
粒子状結着材Aを含む水分散液(固形分相当で100部)に対し、粒子状結着材Bを含む水分散液を固形分相当で8部、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ社製、製品名「SN366」)1部を添加し、さらにイオン交換水により希釈し、固形分濃度30%のスラリー状の接着層用組成物を得た。この接着層用組成物のpHを測定した。結果を後述する表1に示す。
なお、接着層用組成物を遠心分離した上澄み液をガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解由来のアルコール(シラノール基)が検出されたことから、粒子状結着材Aに含まれるアルコキシシリル基の少なくとも一部が加水分解していることが確認された。
<多孔膜層用スラリー組成物の製造>
非導電性粒子として等電点8.9であるアルミナ(日本軽金属社製、「LS−256」)100部、増粘剤としてカルボン酸基が導入されたアクリルアミド重合体(荒川化学社製、「ポリストロン(登録商標)117」)を含む水分散体を固形分相当で1.0部、多孔膜層用結着材として上記粒子状結着材Bの水分散液を固形分相当で3部、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ社製、「サンノプコSNウェット366」)0.2部を混合し、多孔膜層用スラリー組成物を得た。
<多孔膜層および接着層、並びにそれらを備えるセパレータの形成>
ポリプロピレン製の有機セパレータ(セルガード社製、製品名「セルガード2500」)上に、多孔膜層用スラリー組成物を塗布し、50℃で1分間乾燥させた。この操作を有機セパレータ両面に施し、片面厚み2μmずつの多孔膜層を備えるセパレータ基材を得た。
さらに、このセパレータ基材の多孔膜層上に、接着層用組成物を塗布し、50℃で1分間乾燥させた。この操作をセパレータ基材両面に施し、片面0.5μmずつの接着層を備えるセパレータを得た。
<負極の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33部、イタコン酸3.5部、スチレン63.5部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部および重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止して、負極合材層用の粒子状結着材(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状結着材を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。その後、30℃以下まで冷却し、所望の粒子状結着材を含む水分散液を得た。
次に、負極活物質としての人造黒鉛(体積平均粒子径D50:15.6μm)100部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製、「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部、および、イオン交換水を混合して固形分濃度が68%となるように調整した後、25℃で60分間混合した。次いで、固形分濃度が62%となるようにイオン交換水で調整し、さらに25℃で15分間混合した。その後、得られた混合液に、前述の粒子状結着材を含む水分散液を固形分相当で1.5部、およびイオン交換水を入れ、最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理し、流動性の良い負極用スラリー組成物を得た。
そして、前述のようにして得られた負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理してプレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極合材層の厚さが80μmのプレス後の負極を得た。
<正極の調製>
正極活物質としてのLiCoO2(体積平均粒子径D50:12μm)を100部、導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部、正極合材層用の粒子状結着材としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、#7208)を固形分相当で2部と、N−メチルピロリドンとを混合し、全固形分濃度を70%とした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
前述のようにして得られた正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミ箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミ箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極原反を得た。このプレス前の正極原反をロールプレスで圧延して、正極合材層の厚さが80μmのプレス後の正極を得た。
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記で得られたプレス後の正極を49cm×5cmに切り出して正極合材層側の表面が上側になるように置き、その上に55cm×5.5cmに切り出した両面に接着層を備えるセパレータを配置した。さらに、上記で得られたプレス後の負極を、50cm×5.2cmに切り出し、これをセパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。これを捲回機により、捲回し、捲回体を得た。この捲回体を60℃、0.5MPaでプレスし、扁平体とし、電池の外装としてのアルミ包材外装で包み、電解液(溶媒:EC/DEC/VC(体積混合比)=68.5/30/1.5、電解質:濃度1MのLiPF6)を空気が残らないように注入した。さらに、アルミ包材外装の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミ包材外装を閉口し、非水系二次電池として放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
得られたリチウムイオン二次電池を用いて、低温出力特性、高温サイクル特性、耐膨らみ性、および接着層の電解液中での接着性(サイクル後)を評価した。結果を後述する表1に示す。
(実施例2〜4)
粒子状結着材Aを含む水分散液の調製時に、粒子状結着材Aのシェル部形成用として添加した単量体の割合を後述する表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
(実施例5)
粒子状結着材Aを含む水分散液の調製時に、粒子状結着材Aのシェル部形成用として添加した単量体の添加にあわせて乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部をさらに連続添加した以外は、実施例1と同様にして、粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
(実施例6)
粒子状結着材Aを含む水分散液の調製時に、粒子状結着材Aのシェル部形成用として添加したアルコキシシリル基含有単量体としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに替えて、ビニルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名「A−171」)を使用した以外は、実施例1と同様にして、粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
(実施例7、8)
接着層用組成物の製造時に、それぞれ酢酸、水酸化ナトリウム水溶液を用いて接着層用組成物のpHを後述する表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
(実施例9、10)
多孔膜層用スラリー組成物の製造時に、非導電性粒子としてのアルミナに替えてそれぞれベーマイト(等電点7.8)、酸化チタン(等電点5.1)を使用した以外は、実施例1と同様にして粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
(実施例11)
以下のようにして調製した粒子状結着材A(非複合重合体)を使用した以外は、実施例1と同様にして粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
<粒子状結着材A(非複合重合体)の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、芳香族ビニル単量体としてのスチレン90部と、酸基含有単量体としてのメタクリル酸5部と、アルコキシシリル基含有単量体としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水150部、および、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を添加し、十分に攪拌した後、70℃に加温して重合を開始した。添加した全単量体の重合転化率が96%になった時点で、冷却し反応を停止して、粒子状結着材A(重合体Aに相当)を含む水分散液を得た。
(比較例1、2)
粒子状結着材Aを含む水分散液の調製時に、粒子状結着材Aのシェル部形成用として添加した単量体の割合を後述する表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粒子状結着材A、粒子状結着材B、接着層用組成物、多孔膜層用スラリー組成物、接着層、多孔膜層、接着層および多孔膜層を備えるセパレータ、負極、正極並びにリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表1に示す。
なお、以下に示す表1中、
「MMA」は、メタクリル酸メチルを示し、
「MAA」は、メタクリル酸を示し、
「EDMA」は、エチレングリコールジメタクリレートを示し、
「ST」は、スチレンを示し、
「MPTS」は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを示し、
「VTMS」は、ビニルトリメトキシシランを示し、
「ACL」は、アクリル系重合体を示す。
Figure 2016100149
上述の表1の実施例1〜11および比較例1〜2より、アルコキシシリル基含有単量体単位を所定の含有割合で含む重合体Aを含有する粒子状結着材Aを用いた実施例1〜11では、電解液中において接着層が良好な接着性(浸漬後、サイクル後)を発揮し、また、二次電池が優れた高温サイクル特性および低温出力特性を発揮できていることが分かる。さらに、実施例1〜11は、二次電池への持ち込み水分量が少なく、加えて二次電池の耐膨らみ性にも優れていることがわかる。
また、上述の表の実施例1〜4より、粒子状結着材Aに含まれる重合体A中のアルコキシシリル基含有単量体単位の含有割合を変更することで、接着層の電解液中での接着性(浸漬後、サイクル後)、並びに二次電池の耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性を向上させうり、また二次電池への持ち込み水分量を低下させうることがわかる。
そして、上述の表の実施例1、5より、粒子状結着材A(コアシェル構造)の被覆率を変更することで、二次電池の低温出力特性を向上させうることがわかる。
加えて、上述の表の実施例1、7、8より、接着層用組成物のpHを調整することで、接着層の電解液中での接着性(浸漬後、サイクル後)および二次電池の高温サイクル特性を向上させうることがわかる。
さらに、上述の表の実施例1、9、10より、非導電性粒子としての無機酸化物粒子の種類(等電点)を変更することにより、接着層の電解液中での接着性(浸漬後、サイクル後)、並びに二次電池の耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性を向上させうることがわかる。
また、上述の表の実施例1、11より、粒子状結着材Aをコアシェル構造とし、シェル部を重合体Aで構成することにより、二次電池の低温出力特性を向上させうることがわかる。
本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層を形成可能な非水系二次電池接着層用組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用接着層、および当該非水系二次電池用接着層を備える非水系二次電池部材を提供することができる。
さらに、本発明によれば、電気的特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
そして、本発明によれば、電解液中での接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電気的特性を発揮させ得る非水系二次電池用接着層の製造方法を提供することができる。
100 粒子状結着材A(コアシェル構造)
110 コア部
110S コア部の外表面
120 シェル部

Claims (7)

  1. 粒子状結着材Aおよび水を含む非水系二次電池接着層用組成物であって、
    前記粒子状結着材Aは、アルコキシシリル基含有単量体単位を0.1質量%以上20質量%以下含む重合体Aを含有することを特徴とする、非水系二次電池接着層用組成物。
  2. 前記粒子状結着材Aが、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、
    前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
    前記シェル部は、前記重合体Aからなり、且つ前記重合体Aの電解液膨潤度が1倍超4倍以下である、請求項1に記載の非水系二次電池接着層用組成物。
  3. pHが3以上6以下である、請求項1または2に記載の非水系二次電池接着層用組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の非水系二次電池接着層用組成物を用いて形成される、非水系二次電池用接着層。
  5. 無機酸化物粒子を含む機能層と、前記機能層上に隣接して配置された請求項4に記載の非水系二次電池用接着層とを含む、非水系二次電池部材。
  6. 請求項4に記載の非水系二次電池接着層および請求項5に記載の非水系二次電池部材の少なくとも一方を備える、非水系二次電池。
  7. 請求項1〜3の何れかに記載の非水系二次電池接着層用組成物を、無機酸化物粒子を含む機能層上に供給する工程と、
    前記機能層上に供給された前記非水系二次電池接着層用組成物を乾燥させる工程とを含む、非水系二次電池用接着層の製造方法。
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