JP2016099577A - 発光モジュール、発光装置、光学モジュール及び発光モジュールの製造方法 - Google Patents

発光モジュール、発光装置、光学モジュール及び発光モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバと波長変換材料とが高い接合強度で結合され、熱引き効果の高い光モジュールを提供する。【解決手段】導光部材と波長変換材料を含む波長変換部材とを、接合材を介して接合した構造を有し、前記接合材は、接合時の反応によって光透過性の酸化物又は窒化物に変化する材料からなる。導光部材は、1ないし複数の光ファイバと、当該光ファイバの少なくとも先端部分を囲むフェルール部とを有し、記フェルール部と波長変換部材とが、接合材によって接合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換部材と導光部材とを接合材で接合した構造を持つ発光モジュールに関する。
近年、波長変換材料(蛍光体)を用いた発光装置として、LD等の固体光源からの励起光を入射し、励起光とは異なる波長の光を発生する蛍光体などの波長変換部材と、この波長変換部材に光源からの励起光を入射するための、或いは波長変換部材から出射した光を波長変換部材から離れた場所に導光するための光ファイバとを備えた発光モジュールが開発されている(例えば、特許文献1)。
このような発光モジュールでは、光ファイバは、一方の端部を固体光源側に固定され、他方の端部に近接或いは密接して波長変換部材が配置される。波長変換部材が配置される光ファイバの端部はフェルールで保護されるとともに支持されており、このフェルールの端面に、波長変換部材の光入射面が密着して接着されている。
特開2013−131335号公報
光ファイバ或いはフェルールと波長変換部材は、接合材により接合する必要があるが、接合材が例えばシリコーン樹脂などの接着剤で構成されている場合、光ファイバや波長変換部材の接合面を接合材となじみの良い材料からなる親和材の膜を形成しておく必要がある。しかし親和材は不透明の材料が多く励起光が透過できないため、親和材を施すためには光ファイバを除くフェルールの部分だけを接合せざるを得ない。この場合、波長変換部材と光ファイバ端面との間には、接合材の厚みに相当する隙間を生じる。
波長変換部材は励起時に発熱を伴い、励起光が入射する部分であり最も温度が上昇する。この最も温度が上昇する部分に接合材がなく隙間が形成されていると、接合材を介して熱を逃がすこと(熱引き)ができなくなり、蛍光体の温度上昇に伴う発光効率の低下を招く。
またシリコーン樹脂のような接合材を用いた場合、接合材が熱劣化するという問題もある。さらにシリコーン樹脂は熱伝導率が低く、十分な熱引きの効果が得られない。
本発明は、光ファイバと波長変換材料とが高い接合強度で結合され、熱引き効果の高い光モジュールを提供することを課題とする。
本発明は、接合時の化学反応によって、接合後に所望の光学的/熱的特性を取得する物質に変化する材料を、波長変換材料と導光部材とを接合する接合材として用いることにより上記課題を解決する。
即ち本発明の発光モジュールは、導光部材と、波長変換材料を含む波長変換部材とを、接合材を介して接合した構造を有し、前記接合材は、接合時の反応によって透光性の酸化物又は窒化物に変化する材料からなる。なお、本発明において「透光性」とは、紫外光から可視光の範囲の光を80%以上、好ましくは90%以上透過する性質を言う。
また本発明の発光装置は、上述した発光モジュールと固体光源とを組み合わせたものである。この発光装置において、導光部材は固定光源からの励起光を波長変換材料に導光するもので、一端側が固体光源側に、他端側が波長変換部材側に接続される。ここで「固体光源側に接続される」及び「波長変換部材側に接続される」という表現は、「固体光源」及び「波長変換材料」に直接固定される場合のみならず、他の光学的な層や光学部材を介して接続される場合も含む意味である。
また本発明は、以下の光学モジュールの製造方法を提供する。
第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合部材を用いて接合し光学モジュールを製造する方法であって、第1の透光性部材及び第2の透光性部材の少なくとも一方の接合面に、酸化又は窒化することによって透光性となる材料からなる膜を形成するステップと、前記膜が形成された、一方の透光性部材と他方の透光性部材とを密着させた状態で、前記膜の酸化反応又は窒化反応を進行させて、透光性の接合部材に変化させるとともに第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合するステップと、を含む。
また本発明の発光モジュールの製造方法は、蛍光体からなる板材の上に、光拡散性を有する拡散部材の層を形成し、蛍光体チップを作製するステップ(1)、前記蛍光体チップの前記拡散部材の表面に、酸化又は窒化することによって透光性となる材料からなる膜を形成するステップ(2)、光透過性のフェルール材料に、1ないし複数の光ファイバ用の穴が形成するステップ(3)、光ファイバ用の穴を形成したフェルールの端面に、金属膜を形成した蛍光体チップの金属膜を接合するステップ(4)、及び光ファイバ用の穴を形成したフェルールの前記穴に、光ファイバを挿入した後、穴と光ファイバとの間に充填部材を充填して、光ファイバを穴内に固定するステップ(5)を含み、前記接合するステップ(4)は、酸素、水蒸気、又は窒素、アンモニアを供給しながら、前記金属膜を酸化又は窒化するステップ(6)を含む。
本発明によれば、高い接合強度で第1の透光性部材と第2の透光性部材、或いは、導光部材と波長変換部材とが接合され、接合部分で光の損失がなく且つ熱引きに優れた発光モジュールを提供することができる。
本発明の第一実施形態の発光モジュールを示す図で、(a)は断面図、(b)は蛍光体チップ部を除いたフェルール部の平面図である。 第一実施形態の変更例を示す図。 第一実施形態の別の変更例を示す図。 第一実施形態のさらに別の変更例を示す図。 本発明の第二実施形態の発光モジュールを示す図で、(a)は断面図、(b)は蛍光体チップ部を除いたフェルール部の平面図である。 本発明の発光モジュールの製造工程の一例を示す図。 (a)〜(d)は、図6の蛍光体チップ部製造工程S100を説明する図。 (a)、(b)は、図6のフェルール部製造工程S200を説明する図。 蛍光体チップ接合工程を説明する図。 (a)、(b)は、図6の蛍光体チップ接合工程S300を説明する図。 (a)、(b)は、図6の光ファイバ接合工程S400を説明する図。 本発明の発光モジュールの変更例を説明する図。
以下、図面を参照して、本発明の発光モジュールの実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態の発光モジュール100は、図示しない光源からの励起光によって蛍光を発する蛍光体チップ部10と、蛍光体チップ部10に接合部材層40を介して接合されたフェルール部20を備え、フェルール部20には、1本ないし複数本(図示する例では3本)の光ファイバ30の一端部が固定されている。なお図1において、(a)は、(b)のY1−Y2線に沿った断面図、(b)は(a)のX1−X2面から見た平面図である。
蛍光体チップ部10は、蛍光体を含む板材(以下、蛍光体プレートという)11と、必要に応じて拡散部材12等の光学部材を備える。本実施形態では、蛍光体プレート11の、フェルール部20が接合される面と反対側の面が光出射面であり、フェルール部20が接合される側に、光ファイバ30から導光された励起光を拡散するための拡散部材12が配置されている。
蛍光体プレート11としては、蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、蛍光体粉末をP、SiO、B、Alなどの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を賦活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスは、樹脂成分を実質的に含まない蛍光体の焼結体である。
ガラス中に分散させる蛍光体や蛍光体セラミックスの蛍光体としては、例えば、紫外光から青色光領域の光を吸収し、励起光より長波長の光を発するものを用いることができる。具体的には例えば、赤色用には、CaAlSiN:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,CaSi:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+,KSiF:Mn4+、KTiF6:Mn4+を、黄色用には、YAl12:Ce3+,(Sr,Ba)SiO:Eu2+,Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+を,緑色用には、LuAl12:Ce3+,Y(Ga,Al)12:Ce3+,CaScSi12:Ce3+,CaSc:Eu2+,(Ba,Sr)SiO:Eu2+,BaSi12:Eu2+,(Si,Al)(O,N):Eu2+等を用いることができる。これら蛍光体は、一種又は2種以上を混合して用いることができる。
上述した材料のうち、蛍光体プレートとしては、光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないため透光性に優れる蛍光体セラミックスが好適であり、特にポア残量の指標となる比重が95%以上の蛍光体セラミックスが好適である。また、下記拡散部材12の光散乱度によっては、蛍光体プレート自体に屈折率の異なる材料を分散することにより、拡散性を持たせ、蛍光体の色むらを改善することも可能である。
拡散部材12は、透光性があり且つ励起光を前方散乱する部材からなる。具体的にはアルミナや窒化アルミナなどが挙げられる。これらは結晶の粒界で光を散乱し、拡散性を発揮する。拡散部材12は、蛍光体プレート11に直接成膜することにより形成することも可能であるが、後述する接合部材と同様の接合部材を介して蛍光体プレート11に接合してもよい。この接合部材は、透光性があり且つ熱伝導性が優れているので、蛍光体プレート11の入射面でも放熱効果(熱引き)が得られ、蛍光体プレート11において効率よく波長変換することができる。
拡散部材12の厚みは、特に限定されるものではないが、蛍光体の発光むら、熱抵抗を勘案して決まり、100〜300nmが望ましい。
フェルール部20は、光ファイバ30の一端を保持するとともに接合される蛍光体チップ部10で発生する熱を外部に放出するための部材であり、光ファイバ30が貫通する穴が形成されたフェルール21と、フェルール21と光ファイバ30との間に充填された充填部材33と、蛍光体チップ部10に接合される面に形成された接合補助部材層23とを含む。
フェルール21は、後述する接合部材層40の形成工程において変質したり変形しない材料を用いる。またフェルール21は、熱伝導率が高く、蛍光体チップ部10を構成する材料と同程度の熱膨張係数を持つ材料を用いることが好ましい。このような材料として、具体的には、アルミナ(熱伝導率:約32W/m・K)、窒化アルミ(熱伝導率:約150W/m・K)、炭化ケイ素(熱伝導率:約60W/m・K)、窒化ケイ素(熱伝導率:約2760W/m・K)、ジルコニア(熱伝導率:約3W/m・K)などのセラミックスが挙げられる。これらセラミックスのうち、熱伝導率の点ではアルミナ、窒化アルミ、炭化ケイ素が好適である。また蛍光体プレートがYAG蛍光体(熱膨張率:約8〜9×10−6)の場合、熱膨張率の点でアルミナ(熱膨張率:約7.2×10−6)やジルコニア(熱膨張率:約10.5×10−6)が好適である。
フェルール21は、少なくとも、蛍光体チップ部10が接合される面が、反射性或いは拡散反射性を有するか不透明な材料からなることが好ましい。このためフェルール21の表面(蛍光体チップ部10側の面)に反射性或いは拡散性又は不透明な層を形成することができる。或いはフェルール21に反射性或いは拡散反射性の粒子を含有せしめてもよい。フェルール21を非透光性とすることにより、蛍光体チップ部10で発生した光がフェルール21を透過して、光出射側と反対側に向かうのを防止することができる。
なお反射性或いは拡散反射性の層を設ける場合、接合補助部材層23がそれを兼ねることも可能であるが、接合補助部材層23とフェルール21との間に設けてもよい。
接合補助部材層23は、接合部材層40を構成する材料と接合しやすい材料からなる層であり、フェルール21自体が接合部材層40と良好な接合性を示す材料の場合には省くことができる。接合部材層40がフェルール21に非透光性を付与する反射層を兼ねる場合には、反射性の材料が用いられる。具体的には、アルミナや窒化アルミを好適に用いることができ、特に接合補助部材層23が反射層を兼ねる場合、プラズマ溶射で形成した白アルミナ層が好適である。
光ファイバ30は、蛍光体チップ部10に接合される端部と反対側の端部が、他の光ファイバや光学部材を介して或いは直接、図示しない固体光源側に固定され、固体光源が発する光を蛍光体チップ部に導光する。固体光源は、蛍光体チップ部30に含まれる蛍光体を励起する波長の光を発するものであれば特に限定されず、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の半導体発光素子が使用可能であり、特にLDが好適に用いられる。発光波長は、蛍光体によって異なるが、例えばGaN系の材料を用いた400〜450nmの青色光を発するLDを用いることができる。
光ファイバ30は、中心部のコアとその周囲を覆うクラッドを含む公知の光ファイバからなり、単線ファイバであっても多線ファイバであってもよく、また単一モードファイバでも多モードファイバでもよい。光ファイバ30の材質は特に限定されず、無機系のものや樹脂系のものを用いることができるが、後述する接合部材との接着性の観点から、特に石英ガラス等の無機系の材料が好ましい。
光ファイバ30は、コアとクラッドを保護するとともに、光の漏えいを防止するために、ほぼ全長に亘って被覆部31により覆われている。被覆部31に覆われていない光ファイバ30先端部分とフェルール21との間の空隙には充填部材33が充填されており、光の漏えいを防止している。充填部材33は、接合部材層40を構成する材料と接着性の良好な材料であり且つ光ファイバ30内を伝搬する光(例えば380nm程度の紫外線から可視光の範囲の光)に対する耐光性が高いことが好ましい。またフェルール21が非透光性の材料の場合には、透光性であってもよいが、フェルール21(上面の非透光性の部分を除く)が透光性の場合には、反射性又は拡散反射性の部材が好ましい。具体的には、ポリシロキサンシロキ酸、シリコーン樹脂や酸化チタン粒子などの光拡散性粒子を含有するシリコーン樹脂、ガラス前駆体から生成されたガラスなどを用いることができる。ガラス前駆体は加熱によりガラスに変化する材料で、例えばパーヒドロポリシラザン((SiHNH)n)などが用いられる。
なお光ファイバ30の先端部分とフェルール21に形成された光ファイバ用の穴の壁面との間の間隔、即ち充填部材33の光ファイバ径方向の厚みは、特に限定されるものではないが、光ファイバ30の被覆部31の厚みと同程度であり、0.01〜0.5mm程度である。
次に蛍光体チップ部10とフェルール部20とを接合する接合部材層40について説明する。接合部材層40は、蛍光体チップ部10とフェルール部20とが接合した状態において、すなわち図1に示す発光モジュールとなった状態では、金属酸化物或いは金属窒化物等の酸化物又は窒化物で構成されている。一般に金属酸化物や金属窒化物自体は、セラミックスである蛍光体プレートや拡散部材と同じくセラミックスであるフェルールとを接合する接着力はないが、本実施形態では、接合工程において透光性のある酸化物或いは窒化物に変化する材料を用いて両者を接合し、酸化物或いは窒化物からなる接合部材層40とする。これにより透光性と接合性とを兼ね備えた接合部材層40となる。
接合部材層40を形成するために用いる材料として、具体的には酸化物として、Al、Sn、Ni、Ti、Cr、Zr、Znから選ばれる1種以上の金属或いは半金属材料(以下、金属等という)の酸化物が挙げられ、窒化物としてAl、Si、Sn、In、Ta、Ti、Zr、Znから選ばれる1種以上の金属或いは半金属材料(以下、金属等という)の窒化物が挙げられる。例えば窒化アルミ、アルミナ、窒化チタン、チタニアなどである。これら材料のうち、特に、蛍光体プレート11或いは拡散部材12もしくはフェルール21を構成する材料に含まれる元素と共通する元素を含むことが好ましく、特に蛍光体プレート11やフェルール21との接着性が良好であること及び熱的特性及び光学的に優れていることから、接合前の材料としてAlが好適であり、接合部材層40として窒化アルミ、アルミナが好適である。またアルミナは熱伝導性に優れ且つ非常に透過率に優れており、接合部材層40の厚みにおいてほぼ100%近い透過率が得られる。
接合部材層40の厚みは、特に限定されないが、均一で且つ十分な接合強度を得るために、0.5〜15μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。接合部材層40は、上述した金属等からなる膜を蛍光体チップ部10側の接合面或いはフェルール部20側の接合面に予め成膜しておき、接合時に金属等を酸化又は窒化することにより形成される。
本実施形態の発光モジュールは、蛍光体チップ部10とフェルール部20とを接合する接合部材として、接合前は非透光性であるが接合時の反応によって透光性となる材料を用いたことにより、最も発生熱量の多い、光ファイバ30と蛍光体チップ部10との接続部を透光性の材料で接合することができるので、この接合部材を通してフェルール及び外部への放熱が可能となり、熱により蛍光体の発光効率の低下を防止することができる。
特に熱伝導率の良好な窒化アルミやアルミナなどを用いることにより、放熱効果を高めることができる。例えばアルミナは、蛍光体プレート11で1W分の熱が発生しても、接合部材層40とフェルール部10界面の温度差をほとんどなくす(0.3℃程度)にすることができる。
なお図1に示す発光モジュールの構造は、本実施形態の発光モジュールの一例であり、特定の接合部材を用いて蛍光体チップ部10とフェルール部20とを接合した構造をもつものであれば、種々の変更が可能である。以下、代表的な変更例を説明する。
<第一実施形態の変形例>
図2〜図4に第一実施形態の変更例を示す。図2〜図4において、図1と同じ要素は同じ符号で示し、これら要素の重複する説明は省略する。また図2〜図4では、光ファイバ30の被覆部や光ファイバ30とフェルール21との間に充填される充填部材は省略しているが、必要に応じて被覆部や充填部材が設けられることは図1に示す発光モジュールと同様である。
図2に示す発光モジュール110は、接合補助部材を設けることなく、フェルール21及び光ファイバ30を含むフェルール部20の表面に直接、接合部材層40を介して、拡散部材12及び蛍光体プレート11からなる蛍光体チップ部10が接合されている。
この構造の発光モジュール110では、フェルール21として非透光性のセラミックスが好適に用いられ、且つ金属が酸化或いは窒化して接合部材層となる際に、接合部材層と一体化しやすい材料であることが好ましい。接合部材層が例えばアルミナの場合、アルミナや窒化アルミが好適である。
図3に示す発光モジュール120は、フェルール21及び光ファイバ30を含むフェルール部20の接合面全面に接合補助部材層23を設けたものである。全面に接合補助部材層23を設けることにより、蛍光体チップ部10とフェルール部20との接合強度をさらに高めることができる。
接合補助部材層23の材料として、アルミナや窒化アルミなどの透光性の材料を用いた場合には、この変更例を採用することができる。
図4に示す発光モジュール130は、蛍光体チップ部10が拡散部材を含まないものである。接合補助部材層22や接合部材層40が拡散性を持つ場合には、この発光モジュール103のように拡散部材を省くことができる。
<第二実施形態>
第一実施形態の発光モジュールは、フェルール部20の接合面が平坦であって、その平坦な接合面に蛍光体チップ部を接合した構造を有するものであったが、本実施形態の発光モジュールは、フェルール部の接合面に蛍光体チップ部を収納する凹部が形成されていることが特徴である。以下、図5(a)、(b)を参照して、本実施形態の発光モジュールを説明する。図5において、図1に示す要素と同じ要素は同じ符号で示す。なお図5において、(a)は、(b)のY1−Y2線に沿った、蛍光体チップ部を含む断面図、(b)は(a)の上面から見た平面図である。
なお本実施形態の発光モジュールの各要素を構成する材料は、第一実施形態の発光モジュールと同様であり、その重複する説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の発光モジュール200は、蛍光体チップ部10と、蛍光体チップ部10用の凹部25が形成されたフェルール部201とを備える。
蛍光体チップ部10は、第一実施形態と同様に、蛍光体プレート11と拡散部材12とを積層した構造を有する。
フェルール部201は、蛍光体チップ部10用の凹部25が形成されたフェルール21と、凹部25の内壁面に形成された接合補助部材層23とを備える。凹部25は、上から見た形状が円形や四角形など閉じた形状の凹部でもよいが、本実施形態では、図5(b)に示すようにフェルール部201の上面に形成された断面四角形の溝であり、溝の端部は開放されている。
凹部25の底面には、1ないし複数(図5(b)では3つ)の光ファイバ30用の穴が形成されており、この穴に通された光ファイバ30の先端面が凹部25の底面に臨むように構成されている。被覆部31が剥離された光ファイバ30の先端とフェルール21との間には第一実施形態と同様に充填部材33が充填されている。
蛍光体チップ部10は、このようなフェルール部201の凹部25に配置され、蛍光体チップ部10と凹部25との間に、接合部材層40が形成される。接合部材層40は、第一実施形態と同様に、接合時の酸化或いは窒化反応によって透光性となる材料からなり、蛍光体チップ部10の底面と凹部25の底面との間及び蛍光体チップ部10の側面と凹部25の内側面との間に設けられる。図5(b)に示すように、凹部25が溝の場合には、凹部25と向かい合う蛍光体チップ部10の二側面側には接合部材層40が設けられるが、それと直交する二側面側には接合部材層は不要である。
接合部材層40の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば20〜200μm程度である。蛍光体チップ部10とフェルール部201の凹部25との間の隙間を、余すところなく接合部材層40とするためには、接合する前に蛍光体チップ部10に設けられる金属膜が接合時の反応によって酸化或いは窒化して生成する金属酸化物又は金属窒化物の、金属からの体積変化を考慮してフェルール部21の凹部25の隙間体積を決めておけばよい。
すなわち接合部材層40の、接合前の金属膜の体積をVmetal、金属酸化物又は金属窒化物の体積をVcompとしたとき、両者の差ΔV(Vcomp−Vmetal)と隙間の体積Vgapが同程度となるように隙間を設計しておくことにより、接合部材が蛍光体チップ部10とフェルール部201に密着する。これにより接合性や熱伝導性が向上する。
本実施形態の発光モジュール200は、蛍光体チップ部10をフェルール部201に形成した凹部25に埋め込む構造としたことにより、蛍光体チップ部10とフェルール部201の接合強度が高く、容易に蛍光体チップ部10が剥がれおちない発光装置とすることができる。また蛍光体チップ部10がフェルール部201に囲まれているので、蛍光体チップ部10から熱伝導により放熱される熱量が多く、蛍光体チップ部の発光効率の劣化を軽減することができる。
なお本実施形態においても、図2〜図4に示したような第一実施形態と同様の変更例が可能である。即ち、フェルール21の材料によっては接合補助部材層を省略することや、接合補助部材層を光ファイバの上面にも設けることや、蛍光体チップ部の拡散部材を省略すること、などが可能である。
さらに図5では、蛍光体チップ部10上面(光出射面)とフェルール部201の上面とが段差なく連続している場合を示しているが、両者間に段差がある場合も本実施形態に含まれる。例えば、蛍光体チップ部10の蛍光体プレート11の一部又は全部がフェルール部201上面から突出している構造も採用することができる。
以上説明した各実施形態及びその変更例の発光モジュールは、蛍光体プレートに含まれる蛍光体を励起する光を発する固体光源と組み合わせることによって、発光装置を構成することができる。固体光源は、発光モジュールの光ファイバの他端部(蛍光体チップ部が固定される側と反対側の端部)側に固定される。固体光源と発光モジュールとを組み合わせた発光装置は、その用途に応じて、レンズや反射鏡、ダイクロイックミラーなどをさらに組み込むことができる。
本発明の発光装置は、構造が堅固で熱的な安定性に優れ、一般照明、車両用照明、各種光源装置等として利用可能である。
以上、本発明の発光モジュール及び発光装置の実施形態を説明したが、本発明の発光モジュール及び発光装置は上記実施形態に限定されることなく、光ファイバと波長変換部材とを接合材を介して接合した構造を含む発光モジュールであれば種々の形態の発光モジュールに適用することが可能である。例えば、図1では、蛍光体チップ部10の上面から光を取り出す構造の発光モジュールを示したが、蛍光体チップ部10の上面に反射膜を設けて、蛍光体プレート側面から光を取り出すようにした発光モジュールにも適用することができる。
また上記実施形態では、蛍光体チップ部に光ファイバによって固体光源からの光を導光する構造の発光モジュールを説明したが、蛍光体チップ部が発する光を光ファイバによって導光して光源とする発光モジュールについても、適用することが可能である。
次に本発明の光学モジュールの製造方法の実施形態を説明する。
本発明の光学モジュールの製造方法は、第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合部材を用いて接合し光学モジュールを製造する方法であって、第1の透光性部材及び第2の透光性部材の少なくとも一方の接合面に、酸化又は窒化することによって透光性となる材料からなる膜を形成するステップと、前記膜が形成された、一方の透光性部材と他方の透光性部材とを密着させた状態で、前記膜の酸化反応又は窒化反応を進行させて、透光性の接合部材に変化させるとともに第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合するステップと、を含むものである。
本発明の光学モジュールの製造方法は、限定されるものではないが、特に導光部材(第1の透光性部材)と波長変換部材(第2の透光部材)とを接合部材を介して接合した構造を有する発光モジュールに好適である。
<製造方法の実施形態>
以下、図1に示す構造の発光モジュールを例に、発光モジュールの製造方法を説明する。以下の説明において、図1に示す要素と同じ要素は同じ符号で示し、各要素に用いられる具体的な材料の詳細についての重複する説明は省略する。
図6に概要を示すように、本実施形態の製造方法は、大きく分けて、蛍光体チップ部10を製造する工程S100と、導光部材であるフェルール部20を製造する工程S200と、フェルール部20に蛍光体チップ部10を接合する工程S300と、フェルール部20に光ファイバ30を接合する工程S400とを含む。
蛍光体チップ部10の製造工程S100は、用意した蛍光体プレート11に接合層となる膜を形成する第1の成膜工程(蛍光体接合層形成工程)S101と、膜を形成した蛍光体プレート11と別に用意した拡散部材12とを接合する接合工程S102と、接合後の積層体に接合部材層40となる膜を形成する第2の成膜工程(チップ接合層形成工程)S103と、膜を形成した積層体をダイシングして蛍光体チップ部10とする工程S104とを含む。以下、各工程を説明する。
蛍光体プレート11として、複数の蛍光体チップ部10が製造できる大きさの焼結体プレートを用意する。一例として、YAG:CeとAlとを所定の比率で混合して高温で焼結した焼結体プレート(30mm×30mm、厚み0.2mm)を用意する。第1の成膜工程S101では、図7(a)に示すように、この焼結体プレート11の一方の面に接合層を形成する膜45を形成する。この膜45は、後述する第2の成膜工程で形成する接合部材層40となる膜43と同様に酸化又は窒化することにより透光性となる物質からなる。具体的には、酸化物としてAl、Sn、Ni、Ti、Cr、Zr、Znから、窒化物としてAl、Si、Sn、In、Ta、Ti、Zr、Znから選ばれる1種以上の元素からなる酸化物及び/又は窒化物であり、前掲の焼結体プレートを用いる場合、特にAlの酸化物又は窒化物が好適である。
成膜方法としては、EB、スパッタ、抵抗加熱蒸着等の真空蒸着法を採用することができる。膜の厚みは、限定されるものではないが、100nm〜500nm程度とする。
別に、光は透過するが拡散性を持つ拡散部材のプレートであって焼結体プレートとほぼ同じ大きさのものを用意する。このような拡散部材の好適な例は、アルミナのプレートである。工程S101で作製した膜付の蛍光体プレートと拡散部材とを、膜が拡散部材と対向するように重ねて圧接し、所定の条件下で膜を酸化又は窒化する(図7(b))。
酸化の場合の条件としては、水蒸気又は酸素を含む窒素雰囲気で加熱する。加熱温度は、800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましいが、1200℃以下でよい。加圧荷重は、100g/cm以上が好ましく、500g/cm程度であれば高い接合強度が得られる。雰囲気圧力は大気圧付近から1kPa程度の減圧の広い範囲でよく、特に10〜30kPa程度の減圧が好適である。ある程度減圧下で反応させることにより、酸化が全体にゆっくりと進み高い接合強度が得られる。なお水蒸気を用いる場合には、温度は30℃程度で、濃度は大気圧下で飽和水蒸気量の1/10程度以上とすることが好ましい。加熱・加圧時間は10分程度でよい。これにより膜43は酸化して透光性の酸化膜47となる。膜43がAlの場合にはアルミナの膜となる。
窒化の場合は、アンモニアを含む窒素雰囲気下で加熱し、反応を進行させる。加熱温度は400℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましい。加圧荷重及び雰囲気圧力は、酸化の場合と同様であり、雰囲気圧力をある程度減圧下で反応させることにより、窒化反応が全体にゆっくりと進み高い接合強度が得られる。またアンモニアは、温度が30℃程度で、濃度が大気圧下で飽和水蒸気量の1/10程度以上とすることが好ましい。
このような条件で酸化或いは窒化することにより、蛍光体プレートを構成する材料(例えばアルミナ)、接合層47(例えばアルミナ)及び拡散部材を構成する材料(例えばアルミナ)が一体化して強固に接合される。なお接合層がAlNの場合、AlN層とそれを挟むAlとの間で、Alの酸素をAlNが共有し化学的に結合し、強固な接合が得られる。
こうして蛍光体プレート11と拡散部材12とを接合した後、図7(c)に示すように、拡散部材12の表面に接合部材層40となる材料の膜43を形成する。この膜43の材料は、蛍光体プレートと拡散部材12とを接合する接合層用の膜45の材料と同様のものを用いることができる。膜43の厚みは、限定されるものではないが、0.5μm〜10μm程度とする。
膜43は、膜45と同様に、EB、スパッタ、抵抗加熱蒸着等の真空蒸着により成膜することができるが、ミクロンオーダーの膜厚の場合、蒸着レートの速い抵抗加熱蒸着が好適である。
膜43を形成した後、図7(d)に示すように、ダイシングを行い個々の蛍光体チップ部10に分離する。図では2つの蛍光体チップ部のみを示しているが分離される蛍光体チップ部の数は、蛍光体プレートや蛍光体チップ部の大きさに依存する。ダイシングは、例えば、接合部材層となる膜43の側にダイシングシートを貼り、ダイシング装置を用いて格子状にダイシングする。なおチップ分離は、ダイシング以外にスクライブ及びブレーキング方、レーザーダイシング方なども方法を採用してもよい。
以上が蛍光体チップ部の製造工程S100である。次に導光部材であるフェルール部20を製造する工程S200を説明する。まず図8(a)に示すように、光ファイバ挿入用の穴が形成されたフェルールを用意し、その表面に接合補助部材層23を形成する。光ファイバ挿入用の穴が形成されたフェルールは市販のもの(例えば、ジルコニア製、直径2.5mm×長さ10.5mm)が入手可能であり、そのようなフェルールを用いてもよい。図8(b)に、フェルール表面に接合補助部材層23を形成するための保護ピン81とベース治具82の一例を示す。保護ピン81は、接合補助部材層23を形成する際に光ファイバ挿入用の穴を保護するためのもので、この穴とほぼ径が等しい棒状の部分と穴より径が若干大きい部分とからなる。ベース治具82は、フェルールとほぼ同径の凹部とその下に連続する径の小さい凹部とからなるフェルール収納凹部が多数、例えば蜂の巣状に形成されたもので接合補助部材層を形成(蒸着)する際の熱に耐える材料からなる。
保護ピン81の棒状の部分をフェルール21の穴に挿入した状態で、フェルール21をベース治具82の凹部に収納し、凹部の上端に露出したフェルール上面に接合補助部材層23を構成する材料を成膜する。接合補助部材層23は、光ファイバが導光する励起光や蛍光体チップが発する光、例えば紫外線から可視光の範囲の光に対して反射率の高い材料であることが好ましく、膜厚は、限定されるものではないが、5〜20μm程度である。接合補助部材層23の材料として、例えばプラズマ溶射で形成する白アルミナを採用することができる。プラズマ溶射により形成された白アルミナの膜は、反射率が98%以上である。
また接合補助部材層23は表面の粗さ(Ra)が数十nm〜サブナノメートルであることが好ましい。このような表面粗さであることにより、図9に示すように、接合部材層40によって蛍光体チップ部10とフェルール部20とを接合する際に、接合部材層40の前駆体ともいえる膜43の材料が酸化或いは窒化して体積膨張する際に、膨張部分が微細凹凸内部に食い込み接合強度を高めることができる。また凹凸部を通して、酸化或いは窒化反応に必要な雰囲気ガスが拡散するので、接合部材層40の周囲と中心との反応速度の差が緩和され、反応を促進することができるとともに接合強度が面内で均一化する。
なおフェルール21の上面に接合補助部材層23を設けない場合には、フェルール21の上面に微細な凹凸を形成しておいてもよい。
接合補助部材層23又はフェルール21の表面に形成する微細な凹凸は、例えば、サンドブラスト、ケミカルマットなど公知の凹凸形成技術によって任意の表面粗さで形成することができる。
上述したようにフェルール21の上面に接合補助部材層23を形成した後、工程S100で作製した、接合部材用膜付の蛍光体チップ部10を接合する(S300、図10(a))。接合は、図10(b)に示すように、工程S200で用いたベース治具82にフェルール21を固定した状態で、さらに位置出し治具83及び加圧治具84を用いて行うことができる。
すなわち工程S200の最後に保護ピン81をフェルールの光ファイバ用穴から引き抜いた後、接合補助部材層23が形成されたフェルール上面以外のベース治具82上面を覆う位置出し治具83を配置する。位置出し治具83には、フェルール上面に対応した穴が形成されており、この穴に工程S100で作成した蛍光体チップ部10を、接合部材用膜がフェルール上面に接するように置き、その上に加圧治具84を載せる。
この状態で加圧、加熱し、蛍光体チップ部10に形成された接合部材用膜を酸化或いは窒化させて、フェルール上面と蛍光体チップ部とを接合する。接合の条件は、蛍光体チップ部の製造工程において、接合層45により接合したときの条件と同様であり、酸化の場合には水蒸気又は酸素を含む窒素雰囲気中で、窒化の場合にはアンモニアを含む窒素雰囲気中で、それぞれ所定の温度、圧力で酸化或いは窒化反応を進行させながら接合を行う。一例として、水蒸気を常温(23℃)、常圧(大気圧)で飽和水蒸気量だけ飽和させた窒素ガスを用いて、雰囲気圧力10kPa、接合荷重500g/cm、1000℃で10分間加熱して酸化接合する。
このような条件で接合することにより、蛍光体チップ部10(拡散部材12)とフェルール21(接合補助部材層23)との間に強固な結合状態が形成される。特に接合補助部材層23の表面が所定の粗さに形成されている場合には、膜43の材料が酸化或いは窒化して接合部材となる過程で増加した体積部分が微細な表面凹凸に食い込み接合強度が高まる。また接合補助部材層23が接合部材を構成する元素と共通する元素(例えばアルミニウム)を含んでいる場合には、接合部材が酸化或いは窒化される際に接合補助部材と化学的に結合し強固な結合強度となる。さらに接合補助部材層の凹凸部を通して雰囲気ガス(水蒸気やアンモニア)が拡散するので、反応が速やか且つ均一に進み、結合強度が面内で均一化する。
具体的には、従来の樹脂接着剤ではアンカー効果、ファンデルワールス力による密着力が支配的であって、樹脂自体のヤング率が低いため機械的強度が弱いのに対し、本実施形態の接合部材による接合は、界面において接着する材料どうしが化学的に結合し、かつ材料自体のヤング率が高いため強固な接合が行える。
最後の光ファイバ接合工程S400では、図11(b)に示すように、ベース治具82と同様の構造を持つ倒置治具85の収納部に、蛍光体チップ部が接合されたフェルールを蛍光体チップ部10が下になるように入れて、光ファイバ用穴に光ファイバ30を挿入する。このとき、光ファイバ30の先端面が蛍光体チップ部10の底部すなわち接合部材層40に密着するようにする。この状態で、光ファイバ30と光ファイバ用穴との隙間に充填部材を充填する。充填部材としては、例えばパーヒドロポリシラザン((SiHNH)n)などのガラス前駆体が好適である。ガラス前駆体は浸透性が高いのでフェルールと光ファイバとの間に入りやすく、加熱することによりガラスに変化する。パーヒドロポシラザンの場合、例えば150℃、1時間加熱することによりガラスに変化する。
なお充填部材としては、ガラス前駆体の他、ポリシロキサンシロキ酸やシリコーン樹脂なども使用することができる。
これにより光ファイバ30が蛍光体チップ部10の底面に密着した構造の発光モジュールが得られる(図11(a))。
本実施形態の発光モジュールの製造方法によれば、蛍光体チップ部の蛍光体プレート及び拡散部材を接合する接合部材として、また蛍光体チップ部とフェルール部とを接合する接合部材として、接合時に酸化又は窒化することにより透光性を得る材料を用いているので、光ファイバ30と蛍光体チップ部10との間で光の損失がない。また最も発熱量の多い蛍光体チップ部10と蛍光体チップ部10との間に接合部材層40が存在するので、熱が接合部材層40を介して外部に放熱され、蛍光体チップ部10特に蛍光体プレートの熱による発光効率の劣化が抑制される。
また本実施形態の発光モジュールの製造方法によれば、従来の不透明な接合部材等を用いた場合のような接合部材を選択的に除去する工程を省くことができる。
以上、図7〜図11を参照して、図1の構造の発光モジュールの製造方法を説明したが、本発明の発光モジュールの製造方法は、対象となる発光モジュールの構造や形態に応じて他のステップの追加や省略が可能であることは言うまでもない。
例えば、図5の構造の発光モジュールを製造する場合には、フェルールの製造工程S200において、フェルールの上面に接合補助部材層を形成するのに先立って、図12に示すように、フェルール上面に凹部形成のための溝加工を行う。その後、溝(凹部)25のみが露出するマスクを用いて溝部内に接合補助部材層を成膜する。
またフェルール自体が接合部材層との接着性に優れた材料から構成される場合には、接合補助部材層を形成する工程は省略することができる。さらにフェルールの表面に反射層を形成する工程など、必要に応じて図では示していない工程を追加することも可能である。
さらに図6では、チップ接合工程S300の後に、光ファイバ接合工程S400を行う場合を示したが、フェルール部製造工程S200に先立って光ファイバ接合工程S400を行い、その後、フェルール上面と光ファイバ先端面とに接合補助部材層を形成し、蛍光体チップ接合工程S300を行ってもよい。例えば、図3に示す変更例の光ファイバは、このような製造方法で製造することができる。
また図8等に示した治具は、本発明の発光モジュールの製造方法を実施する際の利便性を高めるものであるが、本発明の発光モジュールの製造方法はこれら治具の使用を前提とするものではないことは言うまでもない。
以下、本発明の発光モジュールとその製造方法の実施例を説明する。
<蛍光体チップの製造>
蛍光体(YAG:Ce)とAlとを体積比3:7で混合して焼結した焼結体からなる蛍光体板材(30mm×30mm、厚み:0.1mm)の表面にEB蒸着により厚み300nmのAl膜を形成した。
Al膜を形成した蛍光体板材のAl膜側に、Alからなる拡散部材(30mm×30mm、厚み:0.1mm)を重ね圧接し、水蒸気を含む窒素雰囲気下(水蒸気量は、30℃、大気圧下で飽和水蒸気量の1/10とした)で、1kPa、1000℃で10分加熱し、蛍光体板材と拡散部材の接合体を作製した。
この接合体の拡散部材側に、抵抗加熱蒸着により厚み5μmのAl膜を形成した。その後、Al膜付接合体をダイシング装置により、0.8mm×0.4mmの蛍光体チップ部に分離した。
<フェルール部の製造>
市販のフェルール(ジルコニア製、直径2.5mm×長さ10.5mm)の光ファイバ用穴に、図8に示したような保護ピン81を挿入した後、フェルールをベース治具82にセットし、表面にプラズマ溶射により白アルミナ膜(厚み:3μm)を形成した。この白アルミナ膜の表面粗さ(Ra)は、約20nmであった。
<蛍光体チップ部の接合>
このように白アルミナ膜を形成したフェルールを別のベース治具82にセットし、位置出し治具83を用いて、上述のように製造した蛍光体チップ部のAl膜と白アルミナ膜とが重なるように置き、加重治具84を載せ、水蒸気を23℃、大気圧における飽和水蒸気量だけ飽和させた窒素ガスを用いて、雰囲気ガス圧10kPa、1000℃で、接合加重500g/cmで10分間加熱し、蛍光体チップ部とフェルールとを接合した。
<光ファイバの接合>
蛍光体チップ部を接合したフェルール部を、図11に示すようにベース治具82にセットし、フェルール部の光ファイバ用穴に光ファイバを挿入した後、穴と光ファイバとの隙間からガラス前駆体(パーヒドロポリシラザン)を注入し、150℃で1時間加熱して、ガラス前駆体をガラス化した。
以上のように製造した発光モジュールの光ファイバを、固体光源(半導体レーザー、発光波長:450nm、発光出力:2.8W)に接続し、発光モジュールの蛍光体チップ部からの白色光の光束を測定した。その結果、480 lmであった。
本発明によれば、光学部材を接合するための新規な技術が提供される。本発明は、蛍光体と導光部材を用いた発光モジュールに好適に適用されるが、2つの透光性の部材を接合した構造を有するすべての光学モジュールに適用可能である。
10・・・蛍光体チップ部(波長変換部材)、11・・・蛍光体プレート、12・・・拡散部材、20・・・フェルール部、21・・・フェルール、23・・・接合補助部材層、30・・・光ファイバ、31・・・被覆部、33・・・充填部材、40・・・接合部材層、100、120〜130、200・・・発光モジュール。

Claims (20)

  1. 導光部材と、波長変換材料を含む波長変換部材とを、接合部材を介して接合した構造を有する発光モジュールであって、
    前記接合部材は、接合時の反応によって透光性の酸化物又は窒化物に変化する材料からなることを特徴とする発光モジュール。
  2. 請求項1に記載の発光モジュールであって、
    前記導光部材は、1ないし複数の光ファイバと、当該光ファイバの少なくとも先端部分を囲むフェルール部とを有し、
    前記フェルール部と前記波長変換部材とが、前記接合材によって接合されていることを特徴とする発光モジュール。
  3. 請求項1又は2に記載の発光モジュールであって、
    前記導光部材は、前記接合部材と接する面に、接合補助部材の層を有することを特徴とする発光モジュール。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発光モジュールであって、
    前記接合部材を構成する材料に含まれる元素の少なくとも一部は、前記導光部材を構成する材料に含まれる元素と共通することを特徴とする発光モジュール。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発光モジュールであって、
    前記波長変換部材は、光を拡散する拡散部材と、前記拡散部材に接合した、蛍光体を含む板材と、を有し、
    前記接合部材を構成する材料に含まれる元素の少なくとも一部は、前記拡散部材を構成する材料に含まれる元素と共通することを特徴とする発光モジュール。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の発光モジュールであって、
    前記酸化物又は窒化物は、酸化物として、Al、Sn、Ni、Ti、Cr、Zr、Znから、窒化物として、Al、Si、Sn、In、Ta、Ti、Zr、Znから選ばれる1種以上の元素の酸化物又は窒化物であることを特徴とする発光モジュール。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発光モジュールであって、
    前記導光部材の、前記波長変換部材を接合する面が平坦であることを特徴とする発光モジュール。
  8. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発光モジュールであって、
    前記導光部材の、前記波長変換部材を接合する面に凹部を有し、当該凹部に前記波長変換部材が接合されていることを特徴とする発光モジュール。
  9. 励起光を発する固体光源と、前記固体光源からの励起光によって発光する波長変換部材を備えた発光モジュールとを含む発光装置であって、
    前記発光モジュールが請求項1ないし8のいずれか一項に記載の発光モジュールである発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置であって、
    前記固体光源が、レーザーダイオードであることを特徴とする発光装置。
  11. 第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合部材を用いて接合し光学モジュールを製造する方法であって、
    第1の透光性部材及び第2の透光性部材の少なくとも一方の接合面に、酸化又は窒化することによって透光性となる材料からなる膜を形成するステップと、
    前記膜が形成された、一方の透光性部材と他方の透光性部材とを密着させた状態で、前記膜の酸化反応又は窒化反応を進行させて、透光性の接合部材に変化させるとともに第1の透光性部材と第2の透光性部材とを接合するステップと、
    を含む光学モジュールの製造方法。
  12. 請求項11に記載の光学モジュールの製造方法であって、
    前記膜を構成する材料は、酸化物として、Al、Sn、Ni、Ti、Cr、Zr、Znから、窒化物としてAl、Si、Sn、In、Ta、Ti、Zr、Znから選ばれる1種以上の元素を含む酸化物及び/又は窒化物からなることを特徴とする光学モジュールの製造方法。
  13. 請求項11又は12に記載の光学モジュールの製造方法であって、
    前記接合するステップを、水蒸気またはアンモニアを含む窒素雰囲気で行うことを特徴とする光学モジュールの製造方法。
  14. 蛍光体チップを作製するステップ(1)、
    前記蛍光体チップの表面に、酸化又は窒化することによって透光性となる材料からなる膜を形成するステップ(2)、
    フェルール材料に、1ないし複数の光ファイバ用の穴を形成するステップ(3)、
    光ファイバ用の穴を形成したフェルールの端面に、前記膜を形成した蛍光体チップを接合するステップ(4)、及び
    光ファイバ用の穴を形成したフェルールの前記穴に、光ファイバを挿入した後、穴と光ファイタとの間に充填部材を充填して、光ファイバを穴内に固定するステップ(5)を含み、
    前記接合するステップ(4)は、酸素源又は窒素源を含む雰囲気中で、前記膜を構成する材料を酸化又は窒化するステップ(6)を含むことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  15. 請求項14に記載の発光モジュールの製造方法であって、
    前記ステップ(1)は、蛍光体からなる板材の上に、光拡散性を有する拡散部材の層を形成するステップを含み、前記ステップ(2)は、前記膜を前記拡散部材の層の上に形成することを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  16. 請求項14又は15に記載の発光モジュールの製造方法であって、
    前記ステップ(5)を前記ステップ(4)の後に行うことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  17. 請求項14又は15に記載の発光モジュールの製造方法であって、
    前記ステップ(5)を前記ステップ(4)の前に行い、前記ステップ(5)において、前記フェルール端面及び前記光ファイバ端面をともに、前記拡散部材に接合することを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  18. 請求項14ないし17のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法であって、
    前記ステップ(4)の前に、光ファイバ用の穴を形成したフェルールの端面に、接合補助部材の層を形成するステップ(7)を含むことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  19. 請求項18項に記載の発光モジュールであって、
    前記ステップ(7)は、前記接合補助部材の層の、前記接着部材と接する面を粗面化するステップを含むことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
  20. 請求項15ないし19のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法であって、
    前記ステップ(4)の前に、光ファイバ用の穴を形成したフェルールの端面に、蛍光体チップを搭載する凹部を形成するステップ(8)を含むことを特徴とする発光モジュールの製造方法。

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