以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
<電気光学装置>
まず、本実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置の基本構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の基本構成を示す概略図である。詳しくは、図1(a)は液晶装置の基本構成を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のH−H’線に沿った概略断面図である。また、図2は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
ここでは、本実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置として、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置1を例に挙げて説明する。液晶装置1は、例えば、後述する投写型表示装置(プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
図1(a)および(b)に示すように、液晶装置1は、一対の基板としての素子基板20および対向基板30と、素子基板20と対向基板30との間に挟持された液晶層40とを備えている。一方の基板である素子基板20と、他方の基板である対向基板30とは互いに対向するように配置されている。素子基板20の基材21および対向基板30の基材31には、それぞれ、例えば石英基板やガラス基板などの透明な基板が用いられている。
素子基板20と対向基板30とは、外縁に沿って枠状に配置されたシール材42を介して間隔を置いて接合されている。液晶層40は、素子基板20と対向基板30とシール材42とによって囲まれた空間に封入されている。シール材42は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤からなる。シール材42には、対向基板30と素子基板20との間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
枠状に配置されたシール材42の内側には、対向基板30に枠状に設けられた遮光部32が配置されている。枠状の遮光部32の内側は、複数の画素12がマトリックス状に配列された表示領域10となっている。表示領域10は、液晶装置1において、実質的に表示に寄与する領域である。なお、液晶装置1は、表示領域10の周囲を囲むように設けられたダミー領域などの、実質的に表示に寄与しない領域を備えていてもよい。
素子基板20の1辺部のシール材42の平面的に外側には、1辺部に沿ってデータ線駆動回路51および複数の外部接続端子54が設けられている。また、その1辺部と直交し互いに対向する2辺部に沿ったシール材42の内側には、走査線駆動回路52が設けられている。データ線駆動回路51および走査線駆動回路52は、図示しない配線を介して複数の外部接続端子54に接続されている。素子基板20および対向基板30の4つの角部には、素子基板20と対向基板30との間で電気的導通をとるための上下導通部56が設けられている。
以下の説明では、データ線駆動回路51が設けられた1辺部に沿った方向をX方向とし、走査線駆動回路52が設けられた2辺部に沿った方向をY方向とする。図1(a)のH−H’線の方向は、Y方向に沿った方向である。また、X方向およびY方向と直交し図1(b)における上方に向かう方向をZ方向とする。なお、本明細書では、液晶装置1を対向基板30の表面の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。また、平面視での配置を「平面的」と呼ぶ。
図1(b)に示すように、素子基板20(基材21)の液晶層40の側には、画素12毎に設けられたスイッチング素子であるTFT24と、図示しない配線部やコンタクト部などと、画素12毎に設けられた透光性の画素電極28と、画素電極28を覆う配向膜29とが設けられている。TFT24、配線部、コンタクト部などは公知の構成を有している。画素電極28は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する導電膜からなる。
対向基板30(基材31)の液晶層40の側には、遮光部32と、層間層33と、第1電極としての共通電極34と、共通電極34を覆う配向膜35とが設けられている。遮光部32は、平面視で走査線駆動回路52(図1(a)参照)や図示しない複数の配線と平面視で重なる位置に、X方向およびY方向に沿うように枠状に設けられている。
遮光部32は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなる。遮光部32は、対向基板30側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域10に入射しないように遮蔽して、表示領域10の表示における高いコントラストを確保している。
図1(b)に示す層間層33は、遮光部32を覆うように形成されている。層間層33は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)などの絶縁膜で形成され、光透過性を有している。層間層33は、遮光部32などに起因する凹凸を緩和し、共通電極34が形成される液晶層40の側の面が平坦となるように設けられている。層間層33の形成方法としては、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
共通電極34は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの光透過性を有する導電膜からなり、層間層33を覆うとともに、図1(a)に示すように対向基板30の四隅に設けられた上下導通部56により素子基板20側の配線に電気的に接続されている。なお、導電性の遮光部32を直接覆うように共通電極34を形成することで、層間層33を省略した構成としてもよい。
配向膜29および配向膜35は、液晶装置1の光学設計に基づいて選定される。配向膜29および配向膜35は、例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略垂直配向処理が施された有機配向膜や、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電率異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
液晶層40を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。各画素12の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加し、全体として液晶装置1からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が射出される、いわゆるノーマリーブラックモードである。
本実施形態では、液晶装置1が、無機材料を斜め蒸着して成膜した配向膜29および配向膜35と、負の誘電率異方性を有する液晶を含む液晶層40とを備え、ノーマリーブラックの光学設計が適用されたVA(Vertical Alignment)モードの液晶装置である。
次に図2を参照して、液晶装置1の電気的な構成について説明する。図2に示すように、表示領域10には、走査線62とデータ線63とが互いに絶縁され交差するように形成されている。走査線62が延在する方向がX方向であり、データ線63が延在する方向がY方向である。画素12は、走査線62とデータ線63との交差に対応して設けられている。画素12のそれぞれには、画素電極28と、スイッチング素子としてのTFT24(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)とが設けられている。
TFT24のソース電極(図示しない)は、データ線駆動回路51から延在するデータ線63に電気的に接続されている。データ線63には、データ線駆動回路51(図1(a),(b)参照)から画像信号(データ信号)S1,S2,…,Snが線順次で供給される。TFT24のゲート電極(図示しない)は、走査線駆動回路52から延在する走査線62の一部である。走査線62には、走査線駆動回路52から走査信号G1,G2,…,Gmが線順次で供給される。TFT24のドレイン電極(図示しない)は、画素電極28に電気的に接続されている。
画像信号S1,S2,…,Snは、TFT24を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線63を介して画素電極28に所定のタイミングで書き込まれる。このようにして画素電極28を介して液晶層40に書き込まれた所定レベルの画像信号は、対向基板30に設けられた共通電極34(図1(b)参照)との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。
なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するため、データ線63に沿って平行するように形成された容量線64と画素電極28との間に蓄積容量65が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、各画素12の液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶の配向状態が変化する。これにより、液晶層40(図1(b)参照)に入射した光が変調されて階調表示が可能となる。
次に、液晶装置1の配向膜29および配向膜35について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る液晶装置における配向膜および液晶分子の配向状態を示す概略図である。詳しくは、図3(a)は配向膜と液晶分子の配向状態を示す概略断面図であり、図3(b)は配向膜の配向処理における方位角を示す概略平面図である。
図3(a)に示すように、素子基板20には、画素電極28を覆うように無機配向膜である配向膜29が形成されている。また、対向基板30には、共通電極34を覆うように無機配向膜である配向膜35が形成されている。配向膜29および配向膜35は、例えば真空蒸着法により、酸化シリコンを斜め蒸着して得られた酸化シリコンの柱状結晶体(図示しない)の集合体である。
配向膜29の斜め蒸着の方向(配向処理方向)を29aで示し、配向膜35の斜め蒸着の方向(配向処理方向)を35aで示す。斜め蒸着により、画素電極28および共通電極34の表面側から、酸化シリコンの柱状結晶体が蒸着方向に向かって柱状に成長する。配向膜29,35のそれぞれの柱状結晶体が成長する方向29b,35bと、素子基板20および対向基板30の表面の法線とがなす角度をθbとする。角度θbは、配向処理方向29a,35aと素子基板20および対向基板30の表面の法線とがなす角度(図示しない)と必ずしも一致しない。
このような配向膜29,35の表面において、液晶層40に含まれる負の誘電率異方性を有する液晶分子40aは、素子基板20および対向基板30の表面の法線に対して、その長軸がわずかに傾斜(プレチルト)して略垂直配向する。言い換えると、配向膜29,35により、液晶分子40aにプレチルトが付与される。液晶分子40aが傾斜する方向は配向膜29,35のそれぞれの柱状結晶体が傾斜する方向、すなわち柱状結晶体が成長する方向29b,35bに依存し、液晶分子40aの配向膜35側(+Z方向側)の端部が配向処理方向35aを向くように傾斜する。
液晶分子40aの長軸と素子基板20および対向基板30の表面の法線とがなす角度θpを、プレチルト角(傾斜角)という。液晶分子40aのプレチルト角θpは、例えば3°〜5°程度であり、本実施形態では3°である。プレチルト角θpは、柱状結晶体が成長する方向29b,35bの角度θbと必ずしも一致しない。配向膜29,35を成膜する際は、配向処理方向29a,35aを制御することにより、結果的にプレチルト角θpが所望の角度になるように柱状結晶体が成長する方向29b,35b(角度θb)を制御する。
図3(b)に、平面視における配向膜29の配向処理方向29aを破線で示す。平面視における配向膜29の配向処理方向29aは、図3(b)の右上から左下に向かい、X方向(走査線62の延在方向)に対して反時計回りにθaの角度をなす方向である。また、平面視における配向膜35の配向処理方向35aを実線で示す。平面視における配向膜35の配向処理方向35aは、図3(b)の左下から右上に向かい、X方向に対して反時計回りにθaの角度をなす方向である。本実施形態では、配向膜29,35の配向処理方向29a,35aとX方向とがなす角度θaは45°である。
平面視において液晶分子40a(図3(a)参照)が傾斜する方向とX方向(走査線62の延在方向)とがなす角度をプレチルトの方位角という。また、平面視において液晶分子40aが傾斜する方向をプレチルトの方位角の方向Pdという(以下では、単に方位角方向Pdともいう)。液晶分子40aは、配向膜29,35の配向処理方向29a,35aに沿って傾斜する。したがって、プレチルトの方位角はθaであり、本実施形態ではプレチルトの方位角θaはX方向に対して反時計回りに45°をなす角度である。また、方位角方向Pdは、配向処理方向35aと同じ左下から右上に向かう方向である。
液晶装置1では、図3(a)に示す画素電極28と共通電極34との間に交流電圧を印加して液晶層40を駆動すると、画素電極28と共通電極34との間に生ずる電界によって、液晶分子40aが方位角方向Pd(図3(b)参照)に倒れたり、プレチルト角θpで略垂直配向する状態に戻ったりする挙動を繰り返す。
液晶装置1を後述するプロジェクター100の液晶ライトバルブ121,122,123(図10参照)に用いる場合、液晶装置1は、クロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置される。一対の偏光素子の透過軸または吸収軸に対して、液晶装置1はプレチルトの方位角θaが45°で交差するように配置される。すなわち、画素電極28と共通電極34との間に駆動電圧を印加して液晶層40を駆動すると、液晶分子40aが方位角方向Pdに倒れることにより、高い透過率が得られる光学的な配置となっている。
一般に、液晶装置1のような垂直配向モードの液晶装置は、略垂直配向状態で黒表示を行うため高いコントラストが得られるという利点を有している。しかしながら、垂直配向モードの液晶装置では、小型化に伴い画素サイズやプレチルト角が小さくなると、隣り合う画素同士の画素電極間で横電界が生じ易くなる。横電界の影響により配向不良が発生すると、液晶装置における表示品位の低下や明るさの低下を招いてしまう。
横電界の影響により配向不良が発生した状態を、従来の液晶装置を例に、図11を参照して説明する。図11は、従来の液晶装置における横電界の影響による配向不良の発生状態を説明する図である。詳しくは、図11(a)は配向不良が発生した状態を示す概略断面図であり、図11(b)は配向不良が発生した状態を示す概略平面図である。また、図11(a)は図3(a)に示す断面に相当し、図11(b)は配向不良が発生した状態の一つの画素を拡大して示す平面図である。
図11(a),(b)に示す液晶装置9は、従来の液晶装置の一例であり、上述した液晶装置1と同様の基本構成を有している。まず、液晶装置9の画素12の構成を、図11(b)を参照して説明する。図11(b)に示すように、液晶装置9は、走査線62およびデータ線63(図2参照)と平面的に重なるように配置された遮光部14を備えている。
画素12は、例えば概正方形である。Y方向において隣り合う画素12同士の境界は走査線62(図2参照)の幅方向の中心と一致し、X方向において隣り合う画素12同士の境界はデータ線63(図2参照)の幅方向の中心と一致するものとする。画素12の領域のうち、遮光部(ブラックマトリックス:BM)14で遮光される領域を斜線を付して示す。
遮光部14は、例えば、走査線62およびデータ線63やTFT24(図2参照)の電極および配線部などで構成されるが、これらとは別に遮光層が設けられていてもよい。遮光部14のうち、X方向(走査線62の延在方向)に沿った部分を14xとし、Y方向(データ線63の延在方向)に沿った部分を14yとする。部分14xの幅と部分14yの幅とは略同一である。
遮光部14は、画素電極28と平面的に重なる開口部15を有している。開口部15は、画素12において光が透過する領域である。開口部15の中心を15cとする。開口部15の中心15cは、開口部15の領域を面積が互いに等しい2つの部分に分割するX方向に沿った直線と、開口部15の領域を面積が互いに等しい2つの部分に分割するY方向に沿った直線との交点として定めることができる。
図11(b)に示す遮光部14では、4つの角部に開口部15側に張り出した部分を有している。この張り出した部分には、例えば、TFT24や図示しない中継電極などが平面的に重なるように配置されている。なお、遮光部14が張り出した部分を有しておらず、開口部15が矩形状となっていてもよい。
図11(b)に破線で示す画素電極28は、X方向(走査線62の延在方向)に沿った2つの辺28xと、Y方向(データ線63の延在方向)に沿った2つの辺28yとを有する概正方形である。画素電極28は、これら4つの辺が遮光部14と平面的に重なるように配置されている。画素電極28の領域のうち、光を透過する開口部15内に位置する領域(開口部15と平面的に重なる領域)が実質的に表示に寄与する。
画素電極28の対角線のうち、方位角方向Pdの側に位置する角28aとその対角28bとを結ぶ対角線を28dとする。対角線28dとX方向とがなす角度θeは、プレチルトの方位角θaと同じ45°となる。画素電極28の中心を28cとする。画素電極28の中心28cは、対角線28dと、対角線28dと交差する対角線との交点として定めることができる。液晶装置9では、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置(平面的に重なる位置)にあるものとする。
例えば、画素12の配置ピッチを7.0μmとする。すなわち、画素12の1辺の長さを7.0μmとする。画素電極28の1辺の長さを6.2μmとする。そうすると、隣り合う画素電極28同士の間の間隔は0.8μmである。画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にあるので、画素電極28の4つの辺のそれぞれと画素12同士の境界との距離はともに、0.4μmである。
図11(a)における隣り合う2つの画素12のうち右側に位置する画素12では、画素電極28と共通電極34との間に白表示を行う駆動電圧を印加されており、液晶分子40aが方位角方向Pd(図11(b)参照)に大きく倒れている。図11(a)における左側に位置する画素12では、画素電極28と共通電極34との間に白と黒との中間調表示を行う駆動電圧を印加されており、液晶分子40aが白表示状態と黒表示状態との中間程度に倒れている。
本来は、図11(a)における右側に位置する画素12と左側に位置する画素12とのそれぞれにおいて、液晶分子40aが均一に倒れて光の透過率が均一になるべきである。しかしながら、右側に位置する画素12と左側に位置する画素12とにおける境界付近において横電界が生じると、それぞれの画素12の境界付近の液晶分子40aが横電界の影響を受けて、他の液晶分子40aと異なる傾斜角度で倒れたり方位角方向Pdと異なる方向に傾斜したりしてしまう。
プレチルト角θpが小さいほど、横電界の影響を受けやすくなる。また、画素12の配置ピッチが狭く隣り合う画素電極28同士の間隔が狭くなるほど横電界の影響を受けやすくなる。図11(a)に示すように、横電界の影響を受けて液晶分子40aの配向に乱れが生じると、右側に位置する画素12と左側に位置する画素12とにおける隣り合う画素電極28同士の境界付近に配向不良が発生する。配向不良が発生する領域を、配向不良発生領域Dとする。
図11(b)に示すように、平面視においては、例えば、画素電極28の4つの辺のうち、液晶分子40aが倒れる方向の側に位置する2つの辺、すなわち方位角方向Pdの側の角28aを挟む2つの辺28x,28yの側に配向不良が発生する。これら2つの辺のうちX方向に沿った辺28xの側で配向不良が発生する領域を配向不良発生領域Dxとし、Y方向に沿った辺28yの側で配向不良が発生する領域を配向不良発生領域Dyとする。配向不良発生領域Dxおよび配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度(表示品位への影響度合い)は略同等となる。
配向不良は隣り合う画素電極28との境界付近に発生するので、配向不良発生領域Dxおよび配向不良発生領域Dyの大きな部分が開口部15内に配置されることとなる。配向不良が発生すると、配向不良発生領域Dx,Dyが局所的に暗くなるので、開口部15内に位置する配向不良発生領域Dx,Dyがユーザーに視認され易くなるとともに、画素12の明るさが低下する。したがって、配向不良が発生すると、液晶装置9における表示品位の低下や明るさの低下を招いてしまう。なお、配向不良が発生する位置は、プレチルトの方位角θa、すなわち、配向膜29,35の配向処理方向29a,35a(図3(b)参照)によって異なる場合がある。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態に係る液晶装置の構成について、図4および図5を参照して説明する。第1の実施形態に係る液晶装置は、横電界の影響により配向不良が発生した場合でも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることが可能な構成を有している。第1の実施形態に係る液晶装置には、液晶装置1を基本構成とする2つの実施例があり、2つの実施例のそれぞれについて2通りの構成がある。
(実施例1)
図4は、第1の実施形態の実施例1に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例1では、従来の液晶装置9と比べて画素電極28が遮光部14に対して相対的にずれた位置に配置されている点が異なるが、その他の構成は液晶装置9と同じであるものとする。実施例1には、画素電極28の配置位置によって、液晶装置1Aと液晶装置1Bとの2通りの構成がある。図4(a)には画素電極28がY方向に沿ってずれた位置に配置された液晶装置1Aを示し、図4(b)には画素電極28がX方向に沿ってずれた位置に配置された液晶装置1Bを示している。
(実施例1−1)
図4(a)に示す液晶装置1Aにおいて、図11(b)に示す液晶装置9の構成と異なる点を説明する。図4(a)に示す液晶装置1Aでは、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、Y方向(データ線63の延在方向)に沿って方位角方向Pdの側(+Y方向側)にずれた位置に配置されている。画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとの距離は、例えば、0.35μmである。すなわち、画素電極28が開口部15に対して、Y方向に沿って方位角方向Pdの側に0.35μmずれるように配置されている。
したがって、画素電極28のX方向に沿った2つの辺28xのうち、配向不良が発生する側である方位角方向Pdの側の辺28xと画素12同士の境界との距離は、0.05μmであり、方位角方向Pdと反対側(−Y方向側)の辺28xと画素12同士の境界との距離は、0.75μmである。一方、画素電極28のY方向に沿った2つの辺28yのうち、方位角方向Pdの側(+X方向側)の辺28yと画素12同士の境界との距離、および、方位角方向Pdと反対側(−X方向側)の辺28yと画素12同士の境界との距離はともに、0.40μmである。
言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良発生領域Dxの側と遮光部14(部分14x)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。そのため、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にある従来の液晶装置9と比べて、配向不良発生領域Dxのうち遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなる。そして、その分だけ配向不良発生領域Dxとは反対側の領域が開口部15内に配置される。これにより、液晶装置1Aでは、配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分を小さくできるので、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
(実施例1−2)
図4(b)に示す液晶装置1Bでは、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、X方向(走査線62の延在方向)に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとの距離は、例えば、0.35μmである。すなわち、画素電極28は開口部15に対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側に0.35μmずれるように配置されている。
言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良発生領域Dyの側と遮光部14(部分14y)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。そのため、従来の液晶装置9と比べて、配向不良発生領域Dyのうち遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなる。そして、その分だけ配向不良発生領域Dyとは反対側の領域が開口部15内に配置される。これにより、液晶装置1Bでは、配向不良発生領域Dyのうち開口部15内に位置する部分を小さくできるので、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
上述の液晶装置1Aおよび液晶装置1Bでは、画素電極28が遮光部14に対してX方向またはY方向のいずれか一方に沿ってずれるように配置される構成としたが、配向不良発生領域Dxおよび配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度(表示品位への影響度合い)は略同等である。したがって、液晶装置1Aと液晶装置1Bとでは、略同等の効果が得られる。
なお、画素電極28が遮光部14に対してX方向およびY方向の双方に沿って方位角方向Pdの側に配置された構成としてもよい。このような構成にすれば、配向不良発生領域Dxおよび配向不良発生領域Dyの双方について開口部15内に位置する部分を小さくできるので、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下をより抑えることができる。
(実施例2)
図5は、第1の実施形態の実施例2に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例2では、実施例1と比べて、遮光部のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分のうち一方の幅が他方の幅よりも大きい点が異なっている。実施例2には、遮光部のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とのうちどちらの幅が大きいかによって、液晶装置2Aと液晶装置2Bとの2通りの構成がある。図5(a)には遮光部のX方向に沿った部分の幅がY方向に沿った部分の幅よりも大きい液晶装置2Aを示し、図5(b)には遮光部のY方向に沿った部分の幅がX方向に沿った部分の幅よりも大きい液晶装置2Bを示している。
(実施例2−1)
図5(a)に示す液晶装置2Aは、実施例1の液晶装置1Aに対して、開口部17を有する遮光部16を備えている。遮光部16はX方向に沿った部分16xとY方向に沿った部分16yとを有し、部分16xの幅は部分16yの幅よりも大きい。このような液晶装置2Aにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部17の中心17cに対して、幅が小さい方の部分16yの延在方向であるY方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。
言い換えると、画素電極28が遮光部16に対して、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分16xに対応する配向不良発生領域Dxの側と遮光部16(部分16x)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。そのため、配向不良発生領域Dxのうち、遮光部16と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部17内に位置する部分をより小さくできる。
なお、図5(a)において、画素電極28を開口部17に対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置した場合にも、配向不良発生領域Dyのうち開口部17内に位置する部分を小さくできる。しかしながら、Y方向に沿ってずらして配置し、幅が大きい方の部分16xと配向不良発生領域Dxとが平面的に重なる部分を大きくする方が、配向不良発生領域Dxのうち開口部17内に位置する部分をより小さくできるので、表示品位の低下や明るさの低下をより抑えることができる。
(実施例2−2)
図5(b)に示す液晶装置2Bは、開口部19を有する遮光部18を備えている。遮光部18はX方向に沿った部分18xとY方向に沿った部分18yとを有し、部分18yの幅は部分18xの幅よりも大きい。液晶装置2Bでは、画素電極28の中心28cは、開口部19の中心19cに対して、幅が小さい方の部分18xの延在方向であるX方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。
言い換えると、画素電極28が遮光部18に対して、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分18yに対応する配向不良発生領域Dyの側と遮光部18(部分18y)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。そのため、配向不良発生領域Dyのうち、遮光部18と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部19内に位置する部分をより小さくできる。
なお、上述の液晶装置2Aおよび液晶装置2Bにおいて、遮光部におけるX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とのどちらの幅を大きくするかやその幅などの遮光部の構成は、画素12の配置ピッチや素子基板20の配線設計などに基づいて決定される。したがって、画素電極28の中心28cを開口部の中心に対してどの程度ずらして配置するかは、遮光部の設計によって適宜設定される。
以上述べたように、第1の実施形態に係る液晶装置1A,1Bの構成によれば、横電界に起因して配向不良が発生する配向不良発生領域Dx,Dyの少なくとも一方と遮光部14との平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。また、第1の実施形態に係る液晶装置2A,2Bの構成によれば、遮光部16,18のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで幅が異なる場合に、幅が大きい方の部分16x,18yと配向不良発生領域Dx,Dyの一方との平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。これにより、配向不良発生領域Dx,Dyのうち開口部15,17,19内に位置する部分を小さくできるので、垂直配向モードの液晶装置1A,1B,2A,2Bにおいて、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る液晶装置の構成について、図6および図7を参照して説明する。第2の実施形態に係る液晶装置には2つの実施例があり、2つの実施例のそれぞれについて2通りの構成がある。以下では、第1の実施形態に対して異なる点を説明し、その他の説明は省略する。また、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
(実施例3)
図6は、第2の実施形態の実施例3に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例3では、第1の実施形態の実施例1と比べて、プレチルトの方位角が45°以外の角度に設定されており、画素電極に対して方位角方向が回転方向にずれている点が異なるが、その他の構成は同じである。実施例3には、プレチルトの方位角が45°未満であるか45°を超えるかによって、液晶装置3Aと液晶装置3Bとの2通りの構成がある。図6(a)にはプレチルトの方位角が45°未満に設定された液晶装置3Aを示し、図6(b)にはプレチルトの方位角が45°よりも大きく設定された液晶装置3Bを示している。
(実施例3−1)
図6(a)に示す液晶装置3Aにおいて、プレチルトの方位角θcは45°よりも小さく、例えば42°に設定されている。したがって、プレチルトの方位角θcは、画素電極28の対角線28dとX方向とがなす角度θeよりも3°小さい。言い換えると、画素電極28に対して、方位角方向Pdが時計回りの回転方向に3°ずれるように配置されている。画素電極28に対して方位角方向Pdが回転方向にずれて配置されている場合、方位角方向Pdの側の角28aを挟む辺28xの側と辺28yの側とで、発生する配向不良の程度に差が生じる。
図6(a)に示す液晶装置3Aのように画素電極28に対して方位角方向Pdが時計回りの回転方向にずれて配置されている場合、画素電極28に対して方位角方向Pdがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は改善する。一方、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は悪化する。
このような液晶装置3Aにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、Y方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxの側と遮光部14(部分14x)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxのうち、遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなるので、開口部15内に位置する部分を小さくできる。この結果、表示品位の低下や明るさの低下をより抑えることができる。
なお、図6(a)において、画素電極28を開口部15に対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側に配置した場合にも、配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dyの開口部15内に位置する部分を小さくできる。しかしながら、Y方向に沿ってずらして配置し、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxの開口部15内に位置する部分をより小さくする方が、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることができる。
(実施例3−2)
図6(b)に示す液晶装置3Bにおいて、プレチルトの方位角θdは45°よりも大きく、例えば48°に設定されている。したがって、プレチルトの方位角θdは、画素電極28の対角線28dとX方向とがなす角度θeよりも3°大きい。言い換えると、画素電極28に対して、方位角方向Pdが反時計回りの回転方向に3°ずれるように配置されている。
画素電極28に対して方位角方向Pdが反時計回りの回転方向にずれて配置されている場合、画素電極28に対して方位角方向Pdがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は改善する。一方、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は悪化する。
このような液晶装置3Bにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyの側と遮光部14(部分14y)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyのうち、遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなるので、開口部15内に位置する部分を小さくできる。また、画素電極28をY方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
上述の液晶装置3Aおよび液晶装置3Bの構成は、以下のような構成であるとも言える。すなわち、画素電極28に対して方位角方向Pdを回転方向にずらすことで配向不良発生領域Dx,Dyのうち一方の配向不良の程度を悪化させ、他方の配向不良の程度を改善させる。そして、悪化した方の配向不良発生領域と遮光部14との平面的な重なりが大きくなる方向に、画素電極28をずらして配置する。この構成により、配向不良発生領域Dx,Dyのうち開口部15内に位置する部分が大きいのは、配向不良の程度が改善した方となる。この結果、第1の実施形態に係る液晶装置1Aおよび液晶装置1Bの構成と比べて、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることが可能となる。
なお、上述の液晶装置3Aおよび液晶装置3Bの構成において、画素電極28に対して方位角方向Pdを回転方向にずらす角度は3°に限定されるものではない。しかしながら、回転方向にずらす角度が大きくなるほど、画素12を透過する光の量が減少するため明るさが低下する。本実施形態では、このような明るさの低下を抑えるため、時計回りまたは反時計回りの回転方向にずらす角度を3°としている。
また、配向不良発生領域Dx,Dyにおける配向不良の程度は、配線電位や画素12(画素電極28)に印加される電位などによって異なる場合がある。したがって、方位角方向Pdを液晶装置3Aのように時計回りの回転方向にずらすか、液晶装置3Bのように反時計回りの回転方向にずらすかは、実際に発生する配向不良の程度に応じて選択することが望ましい。
(実施例4)
図7は、第2の実施形態の実施例4に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例4では、実施例3と比べて、遮光部のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで一方の幅が他方の幅よりも大きい点が異なっている。そして、実施例4にも、プレチルトの方位角が45°未満であるか45°を超えるかによって、液晶装置4Aと液晶装置4Bとの2通りの構成がある。図7(a)にはプレチルトの方位角が45°未満に設定された液晶装置4Aを示し、図7(b)にはプレチルトの方位角が45°よりも大きく設定された液晶装置4Bを示している。
(実施例4−1)
図7(a)に示す液晶装置4Aでは、実施例3−1の液晶装置3Aと同様に、プレチルトの方位角θcは45°よりも小さく、例えば42°に設定されている。したがって、液晶装置4Aでは、画素電極28に対して方位角方向Pdがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は改善し、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は悪化する。また、液晶装置4Aの遮光部16では、実施例2−1の液晶装置2Aと同様に、X方向に沿った部分16xの幅はY方向に沿った部分16yの幅よりも大きい。
このような液晶装置4Aにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部17の中心17cに対して、Y方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部16に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxの側と、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分16xとの平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部17の中心17cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxのうち、遮光部16と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部17内に位置する部分をより小さくできる。また、画素電極28をX方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dyのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
(実施例4−2)
図7(b)に示す液晶装置4Bでは、実施例3−2の液晶装置3Bと同様に、プレチルトの方位角θdは45°よりも大きく、例えば48°に設定されている。したがって、液晶装置4Bでは、画素電極28に対して方位角方向Pdがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は改善し、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は悪化する。また、液晶装置4Bの遮光部18では、実施例2−2の液晶装置2Bと同様に、Y方向に沿った部分18yの幅はX方向に沿った部分18xの幅よりも大きい。
このような液晶装置4Bにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部19の中心19cに対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部18に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyの側と、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分18yとの平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部19の中心19cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyのうち、遮光部18と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部19内に位置する部分をより小さくできる。また、画素電極28をY方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
上述の液晶装置4Aおよび液晶装置4Bの構成は、以下のような構成であるとも言える。すなわち、遮光部16,18のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで幅が異なる場合に、画素電極28に対して方位角方向Pdを回転方向にずらすことで、配向不良発生領域Dx,Dyのうち、遮光部16,18の幅が大きい方の部分16x,18yと平面的に重なる方の配向不良の程度を悪化させ、他方の配向不良の程度を改善させる。そして、幅が大きい方の部分16x,18yと悪化した方の配向不良発生領域との平面的な重なりが大きくなる方向に画素電極28をずらして配置する。この構成により、配向不良発生領域Dx,Dyのうち、遮光部16,18の幅が小さい方の部分16y,18xと平面的に重なり開口部15内に位置する部分が大きいのは、配向不良の程度が改善した方となる。この結果、第1の実施形態に係る液晶装置2Aおよび液晶装置2Bの構成と比べて、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることが可能となる。
以上述べたように、第2の実施形態に係る液晶装置3A,3Bの構成によれば、配向不良発生領域Dx,Dyの一方における配向不良の程度が悪化するように、方位角方向Pdを画素電極28に対して回転方向にずらして配置する。そして、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方の側と遮光部14との平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。また、第2の実施形態に係る液晶装置4A,4Bの構成によれば、遮光部16,18のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで幅が異なる場合に、配向不良発生領域Dx,Dyのうち幅が大きい方の部分16x,18yと平面的に重なる方の配向不良の程度が悪化するように、方位角方向Pdを画素電極28に対して回転方向にずらして配置する。そして、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方と幅が大きい方の部分16x,18yとの平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。これにより、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方の開口部15,17,19内に位置する部分を小さくできるので、垂直配向モードの液晶装置3A,3B,4A,4Bにおいて、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る液晶装置の構成について、図8および図9を参照して説明する。第3の実施形態に係る液晶装置には2つの実施例があり、2つの実施例のそれぞれについて2通りの構成がある。以下では、第1の実施形態および第2の実施形態に対して異なる点を説明し、その他の説明は省略する。また、第1の実施形態および第2の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
(実施例5)
図8は、第3の実施形態の実施例5に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例5では、第1の実施形態の実施例1と比べて、走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°以外の角度に設定されており、画素電極がプレチルトの方位角に対して回転方向にずれている点が異なるが、その他の構成は同じである。実施例5には、走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°未満であるか45°を超えるかによって、液晶装置5Aと液晶装置5Bとの2通りの構成がある。図8(a)には走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°よりも大きく設定された液晶装置5Aを示し、図8(b)には走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°未満に設定された液晶装置5Bを示している。
(実施例5−1)
図8(a)に示す液晶装置5Aにおいて、X方向(走査線62の延在方向)に対する画素電極28の対角線28dの角度θfは45°よりも大きく、例えば48°に設定されている。したがって、画素電極28の対角線28dとX方向とがなす角度θfは、プレチルトの方位角θaよりも3°大きい。言い換えると、方位角方向Pdに対して、画素電極28が反時計回りの回転方向に3°ずれるように配置されている。
方位角方向Pdに対して画素電極28が回転方向にずれて配置されている場合、方位角方向Pdの側の角28aを挟む辺28xの側と辺28yの側とで、発生する配向不良の程度に差が生じる。
図8(a)に示す液晶装置5Aのように方位角方向Pdに対して画素電極28が反時計回りの回転方向にずれて配置されている場合、方位角方向Pdに対して画素電極28がずれていない場合と比べて、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は改善する。一方、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は悪化する。
なお、液晶装置5Aでは、遮光部14に対して画素電極28が回転方向にずれるように配置されていると言うこともできる。配向不良は隣り合う画素電極28同士の横電界に起因して発生するため、配向不良発生領域Dxは、画素電極28の辺28xに沿うこととなり、X方向に対して傾斜する。また、配向不良発生領域Dyは、画素電極28の辺28yに沿うこととなり、Y方向に対して傾斜する。したがって、配向不良発生領域Dxおよび配向不良発生領域Dyは、それぞれ遮光部14の部分14x,部分14yに対して傾斜している。
このような液晶装置5Aにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、Y方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxの側と遮光部14(部分14x)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxのうち、遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなるので、開口部15内に位置する部分を小さくできる。この結果、表示品位の低下や明るさの低下をより抑えることができる。
液晶装置5Aにおいても、第2の実施形態の実施例3−1の液晶装置3Aと同様に、X方向に沿ってずらすよりも、Y方向に沿ってずらして配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分をより小さくする方が、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることができる。
(実施例5−2)
図8(b)に示す液晶装置5Bにおいて、X方向に対する画素電極28の対角線28dの角度θgは45°よりも小さく、例えば42°に設定されている。したがって、画素電極28の対角線28dとX方向とがなす角度θgは、プレチルトの方位角θaよりも3°小さい。言い換えると、方位角方向Pdに対して、画素電極28が時計回りの回転方向に3°ずれるように配置されている。
方位角方向Pdに対して画素電極28が時計回りの回転方向にずれて配置されている場合、方位角方向Pdに対して画素電極28の対角線28dがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は改善する。一方、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は悪化する。
このような液晶装置5Bにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部15の中心15cに対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部14に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyの側と遮光部14(部分14y)との平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部15の中心15cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyのうち、遮光部14と平面的に重なる部分が大きくなるので、開口部15内に位置する部分を小さくできる。また、画素電極28をY方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
上述の液晶装置5Aおよび液晶装置5Bの構成は、以下のような構成であるとも言える。すなわち、方位角方向Pdに対して画素電極28を回転方向にずらすことで配向不良発生領域Dx,Dyのうち一方の配向不良の程度を悪化させ、他方の配向不良の程度を改善させる。そして、悪化した方の配向不良発生領域と遮光部14との平面的な重なりが大きくなる方向に、画素電極28をずらして配置する。この構成により、配向不良発生領域Dx,Dyのうち開口部15内に位置する部分が大きいのは、配向不良の程度が改善した方となる。この結果、第1の実施形態に係る液晶装置1Aおよび液晶装置1Bの構成と比べて、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることが可能となる。
なお、第2の実施形態と同様に、上述の液晶装置5Aおよび液晶装置5Bの構成においても、方位角方向Pdに対して画素電極28を回転方向にずらす角度が大きくなるほど、画素12を透過する光の量が減少するため明るさが低下する。本実施形態では、このような明るさの低下を抑えるため、方位角方向Pdに対して画素電極28を時計回りまたは反時計回りの回転方向にずらす角度を3°としている。
また、第2の実施形態と同様に、配向不良発生領域Dx,Dyにおける配向不良の程度は、配線電位や画素12(画素電極28)に印加される電位などによって異なる場合がある。したがって、画素電極28を液晶装置5Aのように反時計回りの回転方向にずらすか、液晶装置5Bのように時計回りの回転方向にずらすかは、実際に発生する配向不良の程度に応じて選択することが望ましい。
(実施例6)
図9は、第3の実施形態の実施例6に係る液晶装置の画素を拡大して示す平面図である。実施例6では、実施例5と比べて、遮光部のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで一方の幅が他方の幅よりも大きい点が異なっている。そして、実施例6にも、走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°未満であるか45°を超えるかによって、液晶装置6Aと液晶装置6Bとの2通りの構成がある。図9(a)には走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°よりも大きく設定された液晶装置6Aを示し、図9(b)には走査線の延在方向に対する画素電極の対角線の角度が45°未満に設定された液晶装置6Bを示している。
(実施例6−1)
図9(a)に示す液晶装置6Aでは、実施例5−1の液晶装置5Aと同様に、X方向に対する画素電極28の対角線28dの角度θfは45°よりも大きく、例えば48°に設定されている。したがって、液晶装置6Aでは、方位角方向Pdに対して画素電極28がずれていない場合と比べて、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は改善する。
一方、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は悪化する。また、液晶装置6Aの遮光部16では、実施例2−1の液晶装置2Aと同様に、X方向に沿った部分16xの幅はY方向に沿った部分16yの幅よりも大きい。
このような液晶装置6Aにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部17の中心17cに対して、Y方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部16に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxの側と、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分16xとの平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部17の中心17cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dxのうち、遮光部16と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部17内に位置する部分をより小さくできる。また、画素電極28をX方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dyのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
(実施例6−2)
図9(b)に示す液晶装置6Bでは、実施例5−2の液晶装置5Bと同様に、X方向に対する画素電極28の対角線28dの角度θgは45°よりも小さく、例えば42°に設定されている。したがって、液晶装置6Bでは、対角線28dに対して方位角方向Pdがずれていない場合と比べて、対角線28dに対して反時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dxにおける配向不良の程度は改善し、対角線28dに対して時計回りの回転方向側に位置する配向不良発生領域Dyにおける配向不良の程度は悪化する。また、液晶装置6Bの遮光部18では、実施例2−2の液晶装置2Bと同様に、Y方向に沿った部分18yの幅はX方向に沿った部分18xの幅よりも大きい。
このような液晶装置6Bにおいて、画素電極28の中心28cは、開口部19の中心19cに対して、X方向に沿って方位角方向Pdの側にずれた位置に配置されている。言い換えると、画素電極28が遮光部18に対して、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyの側と、幅が大きい(すなわち、面積が大きい)方の部分18yとの平面的な重なりが大きくなる方向にずれるように配置されている。
そのため、画素電極28の中心28cと開口部19の中心19cとが同じ位置にある場合と比べて、配向不良の程度が悪化する方の配向不良発生領域Dyのうち、遮光部18と平面的に重なる部分がより大きくなるので、開口部19内に位置する部分をより小さくできる。また、画素電極28をY方向に沿ってずらして配向不良の程度が改善する方の配向不良発生領域Dxのうち開口部15内に位置する部分をより小さくするよりも、表示品位の低下や明るさの低下を抑えることができる。
上述の液晶装置6Aおよび液晶装置6Bの構成は、以下のような構成であるとも言える。すなわち、遮光部16,18のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで幅が異なる場合に、方位角方向Pdに対して画素電極28を回転方向にずらすことで、配向不良発生領域Dx,Dyのうち、遮光部16,18の幅が大きい方の部分16x,18yと平面的に重なる方の配向不良の程度を悪化させ、他方の配向不良の程度を改善させる。そして、幅が大きい方の部分16x,18yと悪化した方の配向不良発生領域との平面的な重なりが大きくなる方向に画素電極28をずらして配置する。この構成により、配向不良発生領域Dx,Dyのうち、遮光部16,18の幅が小さい方の部分16y,18xと平面的に重なり開口部15内に位置する部分が大きいのは、配向不良の程度が改善した方となる。この結果、第1の実施形態に係る液晶装置2Aおよび液晶装置2Bの構成と比べて、表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることが可能となる。
以上述べたように、第3の実施形態に係る液晶装置5A,5Bの構成によれば、画素電極28を方位角方向Pdに対して回転方向にずらして配置することにより、配向不良発生領域Dx,Dyの一方における配向不良の程度が悪化するようにする。そして、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方の側と遮光部14との平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。また、第3の実施形態に係る液晶装置6A,6Bの構成によれば、遮光部16,18のX方向に沿った部分とY方向に沿った部分とで幅が異なる場合に、配向不良発生領域Dx,Dyのうち幅が大きい方の部分16x,18yと平面的に重なる方の配向不良の程度が悪化するように、画素電極28を方位角方向Pdに対して回転方向にずらして配置する。そして、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方と幅が大きい方の部分16x,18yとの平面的な重なりがより大きくなるように、画素電極28を遮光部14に対してずらして配置する。これにより、配向不良発生領域Dx,Dyのうち配向不良の程度が悪化する方の開口部15,17,19内に位置する部分を小さくできるので、垂直配向モードの液晶装置5A,5B,6A,6Bにおいて、配向不良に起因する表示品位の低下や明るさの低下をより効果的に抑えることができる。
なお、第3の実施形態に係る液晶装置5A,5B,6A,6Bにおいて、遮光部14,16,18の部分14x,16x,18xが画素電極28の辺28xに沿って傾斜し、部分14y,16y,18yが画素電極28の辺28yに沿って傾斜した構成としてもよい。すなわち、遮光部14,16,18の部分14x,16x,18xがX方向に対して傾斜し、部分14y,16y,18yがY方向に対して傾斜した構成としてもよい。
上述した通り、方位角方向Pdに対して画素電極28が時計回りまたは反時計回りの回転方向にずれるように配置すると、配向不良発生領域Dx,Dyは、それぞれ辺28x,28yに沿って傾斜する。したがって、遮光部14,16,18の部分14x,16x,18xおよび部分14y,16y,18yをそれぞれ辺28x,28yに沿って傾斜させれば、配向不良発生領域Dx,Dyのうち遮光部14,16,18と平面的に重なる部分をより大きくすることができる。
<電子機器>
次に、本実施形態に係る電子機器について図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る電子機器としてのプロジェクターの構成を示す概略図である。
図10に示すように、本実施形態に係る電子機器としてのプロジェクター(投写型表示装置)100は、偏光照明装置110と、2つのダイクロイックミラー104,105と、3つの反射ミラー106,107,108と、5つのリレーレンズ111,112,113,114,115と、3つの液晶ライトバルブ121,122,123と、クロスダイクロイックプリズム116と、投写レンズ117とを備えている。
偏光照明装置110は、例えば超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット101と、インテグレーターレンズ102と、偏光変換素子103とを備えている。ランプユニット101と、インテグレーターレンズ102と、偏光変換素子103とは、システム光軸Lxに沿って配置されている。
ダイクロイックミラー104は、偏光照明装置110から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー105は、ダイクロイックミラー104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー106で反射した後にリレーレンズ115を経由して液晶ライトバルブ121に入射する。ダイクロイックミラー105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ114を経由して液晶ライトバルブ122に入射する。ダイクロイックミラー105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ111,112,113と2つの反射ミラー107,108とで構成される導光系を経由して液晶ライトバルブ123に入射する。
光変調素子としての透過型の液晶ライトバルブ121,122,123は、クロスダイクロイックプリズム116の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ121,122,123に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調され、クロスダイクロイックプリズム116に向けて射出される。
クロスダイクロイックプリズム116は、4つの直角プリズムが貼り合わされて構成されており、その内面には赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ117によってスクリーン130上に投写され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ121は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ122,123も同様である。液晶ライトバルブ121,122,123は、上記実施形態に係る液晶装置1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5B,6A,6Bのいずれかが適用されたものである。
本実施形態に係るプロジェクター100の構成によれば、複数の画素12が高精細に配置されていても、明るい表示と優れた表示品質とを得ることができる液晶装置を備えているので、明るくてコントラストが良好な画像を表示できるプロジェクター100を提供することができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態では、液晶装置1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5B,6A,6Bが光を透過する透過型の液晶装置であり、プロジェクター100が光変調手段として透過型の液晶装置を備えた透過型のプロジェクターであったが、本発明はこれに限定されるものではない。液晶装置が光を反射する反射型の液晶装置であり、プロジェクターが光変調手段として反射型の液晶装置を備えた反射型のプロジェクターであってもよい。反射型の液晶装置およびプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型の液晶装置およびプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
上記の実施形態のプロジェクター100では、液晶装置1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5B,6A,6Bのいずれかが適用された3枚の液晶ライトバルブ121,122,123を備えていたが、本発明はこのような形態に限定されない。プロジェクター100は、2枚以下の液晶ライトバルブ(液晶装置)を備えた構成であってもよいし、4枚以上の液晶ライトバルブ(液晶装置)を備えた構成であってもよい。