JP2016093894A - 積層体及びそれよりなる非吸着性包装容器 - Google Patents

積層体及びそれよりなる非吸着性包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】
優れた非吸着性及び耐内容物性を示す積層体、及びこれよりなる非吸着性包装容器を提供する。
【解決手段】
基材層、接着層及びシーラント層をこの順に有する積層体であって、該接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなり、該シーラント層は、(a)環状ポリオレフィン系樹脂、及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層である上記積層体、及びこれよりなる非吸着性包装容器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化成品、医薬品、食品等の内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性の積層体及びそれよりなる非吸着性包装容器に関し、より詳細には、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができ、且つ、内容物の浸透による層間接着強度の低下が防がれる積層体及びそれよりなる非吸着性包装容器に関する。
従来、包装袋や蓋材等の包装材の最内層には、高いシール強度を示すポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、アイオノマー、EMMA等のコポリマー樹脂からなるシーラント層が設けられている。これらの樹脂は、ヒートシールにより高い密着強度を達成することができるが、種々の有機化合物を吸着し易いことが知られている。したがって、これらの樹脂からなるシーラント層を最内層、すなわち内容物と接する層として有する包装材は、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、食品等の包装には不適であり、あらかじめ内容物中に有効成分を多めに含ませる等の対策が必要である。
そこで、良好なシール強度を有しながら、有効成分を吸着しにくいシーラント層の開発がなされている。代表的には、アクリロニトリル系樹脂からなる非吸着性シーラント層を最内層とする包装材が使用されている(特許文献1)。
しかしながら、アクリロニトリル系樹脂は、良好なシール強度が得られず、また高価であるため、より好ましい非吸着性シーラントの開発が求められている。
これに対し、例えば特許文献2には、最内層が、アルミニウム箔または無機物の蒸着膜で形成される非吸着性包装材が開示されている。前記包装材は、前記アルミニウム箔や蒸着膜に部分的に接着性樹脂層を形成することで製袋して使用されている。接着性樹脂層としては、ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂等が開示されている。しかしながら、このような包装材は、その製造工程が複雑である。
また一方で、有機化合物を含む内容物、例えば濃グリセリン等のアルコール類や香味料、可溶化剤、保存料等の種々の有機化合物を含む洗口液は、保存中に包装容器のシーラント層を透過し、さらには各種ドライラミネート接着剤や接着性樹脂からなる接着層を浸食し、基材フィルムとシーラントフィルムとの層間剥離を引き起こすことが知られている。
そのため、このような有機化合物を含む内容物の包装容器としては、壁面の厚さが1〜2mm以上もある樹脂性ボトルが多く用いられている。このような樹脂性ボトルは、有機化合物を含む内容物を封入し保存することができるが、その製造には多量の樹脂が必要であり、製造コストがかかる。また、硬く嵩張るため、輸送、保管及び廃棄時にも多大なコストがかかり、好ましくない。
したがって、優れた非吸着性及び耐内容物性を示し、すなわち、包装容器として十分なシール強度を保持しながらも内容物中の有効成分等を吸着せず、さらに、有機化合物を含む内容物と長期にわたって接触しても接着層が浸食されず、したがって層間剥離を引き起こさない可撓性積層体、及びこれよりなる包装容器が求められている。
特開平7−132946号公報 特開平10−45176号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、優れた非吸着性及び耐内容物性を示す積層体、及びこれよりなる非吸着性包装容器を提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、基材層、接着層及びシーラント層をこの順に有する積層体であって、該接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなり、該シーラント層は、(a)環状ポリオレフィン系樹脂、及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層である上記積層体、及びこれよりなる非吸着性包装容器が、上述の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
(1)基材層、接着層及びシーラント層をこの順に有する積層体であって、該接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなり、該シーラント層は、(a)環状ポリオレフィン系樹脂、及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層である、上記積層体。
(2)前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂が、前記シーラント層全体に占める割合は、5〜70質量%である、上記(1)に記載の積層体。
(3)前記シーラント層が、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなる単層構成である、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記シーラント層が、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)ポリオレフィン系樹脂が各層に分散配合された2またはそれ以上の層からなる多層構成である、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(5)前記多層構成であるシーラント層において、積層体の最表面を形成する層が、前記成分(b)ポリオレフィン系樹脂からなる層であって、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含まない、上記(4)に記載の積層体。
(6)前記多層構成であるシーラント層において、前記接着層に隣接する層が、前記成分(b)ポリオレフィン系樹脂からなる層であって、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含まない、上記(4)または(5)に記載の積層体。
(7)前記接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が、0.05質量%以上、1.0質量%未満である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)前記接着性樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル成分量が、5〜40質量%である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体を、そのシーラント層同士が対向するように重ねあわせ、その端部をヒートシールしてなる非吸着性包装容器。
(10)洗口液用包装容器である、上記(9)に記載の非吸着性包装容器。
(11)グリセリン10質量%を含有する洗口液を充填し、25℃雰囲気下で30日間保存した後の基材層またはバリア層とシーラント層との間の層間接着強度が、3N/15mm幅以上、より好ましくは5N/15mm幅以上、さらに好ましくは7N/15mm幅以上である、上記(9)または(10)に記載の非吸着性包装容器。
(12)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、基材層とシーラント層とを、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネート法によって積層する、上記製造方法。
一般によく知られるポリオレフィン系樹脂のみからなるシーラント層は、その厚さと、
有機化合物吸着量及びシール強度とが比例する。したがって、包装容器のシーラント層を、内容物の吸着を防ぐために薄くすると、シール強度が低下し、容器の耐衝撃性が低下する。また、耐衝撃性を高めるためにシーラント層を厚くすると、内容物の吸着量が増大する。
これに対し、本発明の積層体において、シーラント層は、有機化合物を吸着しにくい。また、シーラント層中に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂は、高い分子間力を発揮するため、分子間の距離が近い密な表面構造を形成し、内容物の浸透を防ぐ。これにより、内容物による接着層の浸食を抑制することができる。同時に、包装材料として使用するのに十分に高いシール強度を発揮することができ、各種包装容器として好適に使用される。
さらに、本発明の積層体は、ドライラミネート接着剤を用いずに、基材層とシーラント層との間の極めて高い層間接着強度を達成することができる。したがって、残留溶媒や低分子量物質の溶出に関する懸念がない。
特に、本発明の積層体の接着層は、有機化合物を含む内容物、例えば濃グリセリン等のアルコール類や香味料、可溶化剤、保存料等の種々の有機化合物を含む洗口液に対して、優れた耐内容物性を示し、これらと接触しても浸食されにくいため、長期にわたって高い層間接着強度を維持することができる。さらに、本発明の積層体のシーラント層はこれらの有機化合物等が浸透しにくいものであるため、この効果と相俟って、前記接着層の層間接着強度は、極めて長期にわたって高いレベルに維持されることとなる。
本発明の積層体の層構成について、一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
<1>本発明の積層体の層構成
図1〜4は、本発明の積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の積層体は、図1に示すように、基材層1、接着層2及びヒートシール性樹脂層3、の3層を基本の構成とする。基材層1と接着層2との間には、所望に応じて種々の機能層、例えばバリア層を設けてもよい。
以下において、ヒートシール性樹脂層3について、接着層2と接する面を「接着層積層面」と呼び、その反対側の、容器の最内層として内容物と接することになる面を「ヒートシール面」と呼ぶ。
ここで、ヒートシール性樹脂層3は、成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層であって、これらを混合して得られる樹脂組成物からなる単層構成であってよい。
また別の態様において、ヒートシール性樹脂層3は、成分(a)及び(b)が各層に分散配合された多層構成であってよい。すなわち、各層が互いに異なる割合で成分(a)及び(b)を含む2層またはそれ以上の多層構成であってよい。
具体的には、図2に示すように、ヒートシール性樹脂層3の接着層積層面を形成する層3xが成分(a)のみからなるかまたは成分(a)と(b)とを混合して得られる樹脂組成物からなる層であり、ヒートシール面を形成する層3zが成分(a)を含まず成分(b)のみからなる層である2層構成であってよい。この構成により、ヒートシールしたときに、高いシール強度及び密封性が得られる。
あるいは、この逆の構成であってもよく、ヒートシール性樹脂層3の接着層積層面を形成する層3xが成分(a)を含まず成分(b)のみからなる層であり、ヒートシール面を
形成する層3zが成分(a)のみからなるかまたは成分(a)と(b)とを混合して得られる樹脂組成物からなる層であってよい。この構成により、接着層2とヒートシール性樹脂層3との層間接着強度がさらに高まり、また、内容物の低吸着性が一層高まる。
または、図3に示すように、接着層積層面を形成する層3x及びヒートシール面を形成する層3zが、成分(a)を含まず成分(b)のみからなる層であり、これらの間の中間層3yが、成分(a)のみからなるかまたは成分(a)と(b)とを混合して得られる樹脂組成物からなる層である3層構成であってよい。この構成により、高いシール強度、密封性及び層間接着強度が得られる。
あるいは、図4に示すように、成分(a)を含む層と、成分(a)を含まず成分(b)のみからなる層とが交互に積層された4層構成であってもよい。この構成により、接着層との密着性を上げることが出来るという利点がある。
いずれの構成においても、ヒートシール性樹脂層3全体において、成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂が占める割合は、5〜70質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。環状ポリオレフィン系樹脂がこの割合でヒートシール性樹脂層中に存在することにより、良好なシール強度及び密封性、並びにフィルムとしての成膜性を維持しながら、内容物に対して優れた低吸着性を示し、さらに、積層体内部への内容物の浸入を防ぎ、接着層の浸食を防ぐことができる。
<2>基材層
本発明において、基材層としては、通常の包装材料を構成するフィルムを適宜使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリブテン、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、MXD6等からなるフィルムを使用することができる。または、これらのフィルムを2層以上積層した多層フィルムであってもよい。多層フィルムである場合、各層は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明において、これらの樹脂のフィルムは、押し出し成膜、インフレーション成膜等の任意の方法により成膜されたフィルムであってもよい。また、これらのフィルムに、Kコートと称されるポリ塩化ビニリデンをコートした樹脂フィルム、例えばKコートポリプロピレンフィルム、Kコートナイロンフィルム等であってもよい。また、これらは未延伸フィルムであっても、一軸または二軸方向に延伸されたものであってもよい。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
上記のフィルムのうち、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等のガスバリア性樹脂からなるフィルムは、さらにバリア層を設けずとも良好なガスバリア性を示すことができる。
本発明において、基材層の厚さは任意であってよいが、成形性や透明性の観点から、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜100μmである。
基材層を構成するフィルムは、接着層を積層する側の面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を向上させる前処理を施してもよい。
<3>バリア層
本発明において、基材層と接着層との間に、所望に応じて種々の機能層を設けることができる。例えば、酸素や水蒸気に対するガスバリア層を設けることにより、外部からの酸素や水蒸気の浸入を防ぎ、また内部からの水分の蒸発を防ぎ、内容物の劣化を好適に防ぐことができる。
本発明において、バリア層は、例えば、アルミニウム箔等からなる金属箔、無機物または無機酸化物の蒸着膜、樹脂フィルム上に該蒸着膜を有する蒸着フィルム、または、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等のガスバリア性樹脂からなる層、あるいはこれらの組み合わせであってよい。
通常、バリア層の厚さは、ガスバリア性や透明性の観点から、好ましくは0.01〜500μmであり、より好ましくは1〜300μmの範囲である。そして、バリア層は、その少なくともいずれかの表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を高める表面処理を行ってもよい。
特に、優れたガスバリア性、透明性及び層間接着強度を発揮することから、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜、または、プラスチックフィルム上に該蒸着膜を設けてなる無機酸化物蒸着フィルムが特に好適に使用される。
蒸着膜及び蒸着フィルムについて、さらに詳細に説明する。蒸着フィルムを形成するプラスチックフィルムとしては、化学的ないし物理的強度に優れ、蒸着膜を形成する条件等に耐え、蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の各種の樹脂からなるフィルムないしシートを使用することができる。
プラスチックフィルムは、蒸着膜を設ける前に、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施すことができる。また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと蒸着膜との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、あるいは、アンカーコート剤層等を任意に形成することもできる。
蒸着膜を形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する無機酸化物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率等の点から、酸化アルミニウム及び酸化珪素が好適に用いられる。
蒸着膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等の製膜法が挙げられる。
また、蒸着膜は、1回の蒸着工程により形成される単層からなっていてもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていても、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい
。例えば、プラスチックフィルム上に、化学気相成長法によって酸化珪素からなる蒸着膜を形成し、次いで物理気相成長法によって酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成してもよい。
蒸着膜の層厚としては、層全体の厚さとして、1〜200nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜30nmの範囲で適宜設定することができる。例えば、200nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、製膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着膜に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。一方、蒸着膜の厚さが1nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
以下、本発明の好ましい態様として、酸化珪素の蒸着膜についてさらに詳細に説明する。酸化珪素の蒸着膜(薄膜)は、一般式:SiOx(式中、xは、0〜2の数を表す)で表され、xの値は1.3〜1.9が好ましい。また、酸化珪素薄膜は、酸化珪素を主体とし、さらに、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%である。また、酸化珪素薄膜が上記化合物を含有する場合、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。
これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、プラスチックフィルムとの界面では、上記化合物の含有量が少ないためにプラスチックフィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
上記のような炭素を含有する酸化珪素の蒸着膜を形成する場合に、原料として使用される有機珪素化合物としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。
本発明においては、上記蒸着膜上に、さらに以下で説明するようなガスバリア性塗布膜を設けることによって、一層優れたガスバリア性が得られるだけでなく、後述の接着層との密接着性が高まる。
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させた膜である。
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを挙げることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本発明において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等が挙げられる。
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であることが好ましい。上記において、500重量部を超えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、その耐侯性等も低下することから好ましくない。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
本発明において、本発明に係るガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。好適に用いられるシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することにより調製することができる。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性組成物を上記蒸着膜の上に塗布し、20〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材層を構成するプラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
上記のガスバリア性組成物を、蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が蒸着膜の表面の水酸基と結合する為、該蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
上述のように形成されることにより、本発明のガスバリア性塗布膜は、結晶性を有する直鎖状ポリマーを含み、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好なガスバリア性を示す。
本発明においては、蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、これら2層間の密着性が向上し、相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
本発明において、上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビ
アロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmのガスバリア性塗布膜を形成することができる。乾燥膜厚が100μmを超えると、クラックが発生し得るため好ましくない。
また、本発明において、より高いガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、好ましくはガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
<4>接着層
本発明において、上記基材層またはバリア層と、ヒートシール性樹脂層との間に位置する接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物(以下「本発明の接着性樹脂組成物」と呼ぶ)からなる。この本発明の接着性樹脂組成物は、押出コーティング法によって基材層またはバリア層上に積層することにより、これらと高い層間接着強度を示す。ここで、基材層またはバリア層は、上述のいかなる材料からなるものであってよく、例えば蒸着フィルムや各種ガスバリア性樹脂からなるフィルムであってよい。
特に、無機酸化物の蒸着膜からなる表面や、上述のガスバリア性塗布膜からなる表面上に、本発明の接着性樹脂組成物を押出コーティングすることによって、極めて高い層間接着強度が発揮され、且つ、アルコール類や各種有機物質を含む内容物と長期にわたって接触した後も、高い層間接着強度が維持される。
上記本発明の接着性樹脂組成物は、カルボキシル基等の官能基を有することにより、基材層またはバリア層の表面及びヒートシール性樹脂層の表面(接着層積層面)の反応基と化学的に結合し、層間のラミネート強度を向上させることができる。
本発明においては、基材層またはバリア層上に、通常の押出コーティングの際に予め設けられるアンカーコート剤層等を必ずしも必要としない。また、本発明の接着性樹脂組成物は、有機溶媒を含有しない。したがって、本願発明によれば、アンカーコート剤や有機溶媒に由来する、残留溶媒や低分子量物質の溶出を防ぐことができる。また、接着層の経時劣化によるラミネート強度の低下という問題がなく、多種多様な用途に適用することができる。特に、本発明の接着性樹脂組成物は、耐内容物性に優れ、内容物を封入して長期間保存した後も、高いラミネート強度を維持することができ、内容物の浸食による接着層の劣化を防ぐことができる。
本発明の接着性樹脂組成物は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体のみからなるものであってよい。
別の態様において、本発明の接着性樹脂組成物は、上記三元共重合体に加えてさらに、所望に応じて、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の改質用樹脂等を含むことができる。ただし、組成物中の不飽和カルボン酸成分量及び(メタ)アクリル酸エステル成分量は、後述の規定の範囲内となるように調整する。
なお、本発明の接着性樹脂組成物は、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができる。
上記三元共重合体の製造において、コモノマーとなるアルケンとしては、エチレン、プ
ロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセン等が挙げられ、特に、エチレン及びプロピレン等のα−オレフィンが好適に使用される。
また、コモノマーとなる(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸エチル−2−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましく、より好ましくはアクリル酸メチルである。
また、コモノマーとなる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、これらの誘導体、例えばこれらの酸無水物、エステル、アミド、イミド等、例えばマレイン酸モノメチル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。特に、不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等を好適に使用することができる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記三元共重合体は、上記アルケン、(メタ)アクリル酸エステル、及び不飽和カルボン酸がグラフト重合または三元共重合されているものである。三元共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外のコモノマーを含んでいてもよい。例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体樹脂を好適に使用することができる。
本発明において、重合反応は、原料となるコモノマーを用いて、種々の慣用の方法により製造することができる。
例えば、アルケンからなるポリマーに、不飽和カルボン酸、及び必要により有機過酸化物、ラジカル開始剤を所定の配合比でヘンシェルミキサーなどでドライブレンドし、この配合物を、系内を窒素ガス置換された混練機、例えばバンバリーミキサー、ダブルスクリューミキサー等に投入し、120〜300℃の温度で、0.1〜30分溶融混練することにより得られる。グラフト反応時には、慣用のラジカル発生剤を添加することにより、反応を効率よく行わせることができる。
ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。これらのラジカル発生剤は、1種類のみを単体として用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。ラジカル発生剤の添加量としては、上記コモノマー成分の合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
本発明において、吸湿性を抑えて良好なハンドリングを得るために、各成分の好適な配合比としては、接着性樹脂組成物の全質量に対して、(メタ)アクリル酸エステル由来成分(残基)が5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
また、不飽和カルボン酸由来成分(残基)が0.05〜3.0質量%、より好ましくは0.05質量%〜1.0質量%未満含まれているものであり、残りがアルケン由来成分(残基)、改質用樹脂、及び添加剤等となっているものである。
本発明の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が上記範囲より多いと、積層体の酸含有量が多くなるため、吸湿性が高くなり、押出コーティング時に発泡する可能性がある。また、接着層から不飽和カルボン酸の残留モノマーが溶出
するため、衛生性が懸念される。さらに、耐屈曲性に劣る。またさらに、金属に対する腐食性が強いため、製造工程において問題が生じやすい。
また、不飽和カルボン酸成分量が少なすぎると、透明ガスバリア性フィルムやヒートシール性樹脂との化学的相互作用が発生しにくくなるため、層間接着強度の低下を引き起こし得る。
(メタ)アクリル酸エステル由来成分の含有量が上記範囲より多い場合は、樹脂自体が液状化しやすく、ハンドリングが悪くなる。また、(メタ)アクリル酸エステル由来成分の含有量が上記範囲より少ない場合は、アクリレートの反応による接着が発生しにくくなり、ポリプロピレンやPET等からなる層との接着強度が低下する。
本発明の接着性樹脂組成物のMFRは、190℃において3〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜20g/10分である。MFRが上記範囲外では、押出が困難になる問題がある。
また、接着性樹脂組成物からなる接着層の厚みは、0.1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。上記、範囲以下の膜厚では容易に押し出すことが困難であり、かつ接着力が発揮されない。範囲以上の膜厚である場合は、接着強度などの問題は解決されるが過剰に樹脂を使用することによる包材コストの上昇をまねく。
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層の接着機構としては、接着性樹脂組成物の柔軟性で接着する機構、樹脂との相溶化で接着する機構、相手基材表面と不飽和カルボン酸との化学的相互作用で接着する機構、相手基材表面に対する不飽和カルボン酸とアクリレートの化学的相互作用により接着する機構、及び、高温で押出することによるラジカル発生により接着する機構がある。
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層は、必ずしも一つの接着機構で接着しているわけではなく、上記反応を少なくとも2つ以上利用して接着をしている。例えば、ポリエチレンやエチレンコポリマー等に対しては、主にアルケン部分に起因する相溶性が結合に寄与する。また、ガスバリア性フィルムの蒸着膜や金属に対しては、不飽和カルボン酸と相手基材との極性基間の反応が結合に寄与する。また、ポリプロピレンまたはPETからなる層に対しては、アクリレートと不飽和カルボン酸との化学的相互作用が結合に寄与する。
本発明において、接着層は、本発明の接着性樹脂組成物からなる層と、ヒートシール性樹脂層とを、基材層またはバリア層上に、この順に共押出コーティングしてなる層であってもよい。この順に、すなわち、本発明の接着性樹脂組成物からなる層を介して、基材層とヒートシール性樹脂層とを積層することにより、高い層間接着強度が得られる。
<5>ヒートシール性樹脂層
本発明において、ヒートシール性樹脂層は、成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂、及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層であって、上述のとおり、単層構成であっても、2またはそれ以上の層からなる多層構成であってもよい。
本発明において、成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンをメタセシス開環重合反応によって重合した開環メタセシス重合体(COP)、及び、環状オレフィンとα−オレフィン(鎖状オレフィン)との共重合体、すなわち環状オレフィンコポリマー(COC)を包含する。
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合及びビシクロ環を有する任意の環状炭化水素を使用することができるが、特にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)骨格を有するものが好ましい。
具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン及びその誘導体、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン及びその誘導体、トリシクロ[4.4.0.12.5 ]−3−ウンデセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン及びその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。環状オレフィンは、置換基として、エステル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基等の極性基を有していてもよい。
環状オレフィンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンを使用することができ、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、好ましくはエチレンである。
本発明において、開環メタセシス重合体の製造は、公知の開環メタセシス重合反応であれば特に限定されず、上記の環状オレフィンを、重合触媒を用いて開環重合させることによって製造することができる。
また、環状オレフィンコポリマーの製造は、25〜45モル%のα−オレフィンと、55〜75モル%の環状オレフィンとを、メタロセン触媒等のシングルサイト系触媒やマルチサイト系触媒を用いてランダム重合させることによりなされる。
本発明において好適に使用される開環メタセシス重合体及び環状オレフィンコポリマーは、いくつか市販されており、例えば日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(R)」やポリプラスチック株式会社製の「TOPAS(R)」等が挙げられる。
本発明において、成分(b)ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン等が用いられる。
環状ポリオレフィン系樹脂組成物層との接着性が高く、また該層と共押出した際に製膜安定性を一層高めるため、LLDPEを用いることが特に好ましい。また、ヒートシール性樹脂層のヒートシール面を形成する層(包装容器の最内層となる層)がLLDPEのみからなる層であると、優れた低温シール性、シール強度、密封性及び層間接着強度が得られるため、特に好ましい。
本発明において、LLDPEは、メタロセン触媒等のシングルサイト系触媒やマルチサイト系触媒から得ることができる、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのコポリマーである。ここで、炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、等が挙げられる。これらモノマーを、低圧法、スラリー法、溶液法、気相法等の重合方法を用いて重合する。通常は、短鎖分布として炭素1000個あたり、3〜25個の短鎖分岐を有するが、炭素数約20個を超えるような長鎖分岐は有しない。通常、LLDPEにおいて、エチレン由来の構造単位は約99.9〜90モル%であり、α−オレフィン由来の構造単位は約0.1〜10モル%である。本発明では、構造均一性に優れる点で、メタロセン触媒で調製されたLLDPEを好適に使用することができる。
本発明において使用するのに好適なLLDPEとしては、住友化学株式会社製の「スミカセン」等が挙げられる。
さらに、本発明において、上記のようなポリオレフィン系樹脂を主成分とし、これに、必要ならば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種ないし2種以上を添加してもよい。
本発明の積層体において、ヒートシール性樹脂層は、成分(a)及び(b)を含む樹脂組成物からなる単層構成であっても、成分(a)及び(b)が各層に分散配合された2またはそれ以上の層からなる多層構成であってもよい。
いずれの場合においても、ヒートシール性樹脂層の総厚みは、特に限定されないが、5〜500μm、より好ましくは10〜250μmである。ヒートシール性樹脂層が多層構成である場合、各層の厚みは、必要とするシール強度や低吸着性に応じて、当業者が適宜に決定することができる。例えば、ヒートシール性樹脂層において、ヒートシール面を形成する層(最内層となる層)が、ポリオレフィン系樹脂のみからなる層である場合、この層厚を薄くすることにより、低吸着性を高めることができる。また逆に、この層厚を厚くすることにより、製袋時のシール強度及び密着性を高めることができる。
ヒートシール性樹脂層の接着層と接する面は、コロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等で濡れ性を挙げておくことにより、接着層との層間接着強度を一層高めることができる。
<6>積層
上記基材層、(バリア層)及びヒートシール性樹脂層を、上記接着層を介して積層することにより、本発明の積層体が得られる。積層方法としては、各層を構成するフィルムを、接着層を介してサンドイッチラミネートすることにより、本発明の積層体を好適に製造することができる。
例えば、ヒートシール性樹脂を、ヒートシール性樹脂フィルムとして、任意の方法により、例えばTダイ法やインフレーション法等により成膜し、これを、サンドイッチラミネート法により、接着層を介して、基材層またはバリア層とラミネートすることができる。
あるいは、基材層またはバリア層上に、本発明の接着性樹脂組成物と、ヒートシール性樹脂層を構成する樹脂組成物とを、共押出コーティング法により積層してもよい。
本発明の更なる態様において、本発明の積層体の層構成において、任意の位置に、例えば、基材層とバリア層との間に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けてもよい。
<7>包装容器
本発明の積層体を使用し、ヒートシール性樹脂層が最内層となるように製袋して、包装袋等の包装容器とすることができる。
包装容器を製造するには、上記積層体を二つ折にするか、または積層体2枚を用意し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装容器とする。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
上記積層体よりなる包装容器は、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の包装のために、好適に使用することができる。
特に、洗口液は、洗浄作用、殺菌作用または消炎作用等の各種有効成分、ハーブミント、ペパーミント、サッカリンナトリウム等の香味剤、パラベン、安息香酸ナトリウム等の保存料、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の可溶化剤、クエン酸ナトリウム、リン酸−水素ナトリウム等のPh調整剤、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等の湿潤剤等を含み、すなわち、従来のシーラント層に吸着され易い有機化合物や、該シーラント層を透過して接着層を浸食する有機溶媒を含む。したがって、従来の可撓性積層体からなる包装容器に充填すると、有効成分等の濃度変化を生じ、また、積層体の層間剥離が起きやすいため、長期にわたって安定して保存することができないものであった。
しかしながら、本発明の積層体からなる包装容器に充填することにより、これらの問題が解消される。さらに、本発明の積層体からなる包装容器は、積層体内部から内容物中に低分子量物質が溶出するといった問題がないため、経口用組成物である洗口液の包装に好ましく使用することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
(1)環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)と、低密度ポリエチレン(LLDPE)(SP−1540、(株)プライムポリマー)とを、多層インフレーション製膜により共押出し、LDPE層(厚さ10μm)/COC層(厚さ20μm)の構成を有するシーラントフィルムを製造した。
(2)基材層として、片面をコロナ処理した厚さ12mの2軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製T−4102)を、押出タンデムラミネート機の1次給紙部にセットし、バリア層として、厚さ7μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株)製1N30)を2次給紙部にセットした。次いで、ダイス1から、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503、無水マレイン酸成分量:0.3質量%、アクリル酸メチル成分量:19質量%)を310℃で厚さ7μmとなるように溶融押出し、オゾン処理を施しながら、2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面とアルミニウム箔とをサンドイッチラミネートにより積層して、積層フィルムを得た。
(3)上記(2)で得られた積層フィルムのアルミニウム箔の面上に、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を310℃で厚さ20μmとなるように溶融押出し、それと同時に、上記(1)で得られたシーラントフィルムを繰り出し、サンドイッチラミネートにより積層して、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/LLDPE層/COC層の層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例2]
基材層として、片面をコロナ処理した厚さ12μmの2軸延伸PETフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、そのコロナ処理面に、有機珪素化合物であるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として、厚さ200nmの酸化珪素蒸着膜を設けた。次いで、この蒸着膜面にプラズマ処理を行った。
一方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコール及びイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調整した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、更に予め調整した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて撹拌
し、無色透明のバリア塗工液を得た。
Figure 2016093894
次に、蒸着膜面上のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物をコーティングし、100℃で30秒間加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成した。
次に、上記で形成した透明ガスバリア性フィルムを押出ラミネート機にセットし、そのガスバリア性塗布膜の面に、ダイスから、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を、310℃で厚さ20μmとなるように溶融押出し、それと同時に、上記実施例1の(1)で得られたシーラントフィルムを繰り出し、サンドイッチラミネートにより積層して、PETフィルム/酸化珪素蒸着膜/ガスバリア性塗布膜/接着層/LLDPE層/COC層の層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例3]
環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)40質量%と、低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン(株)製LC600A)60質量%とをブレンドし、インフレーション製膜により厚さ20μmとなるように押出し、単層構成を有するシーラントフィルムを製造した。
得られたシーラントフィルムと、上記実施例1の(2)で得られた積層フィルムとを、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を介して、実施例1と同様にして積層し、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/シーラントフィルムの層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例4]
環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)と、低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン(株)製LC600A)とを、多層インフレーション製膜により共押出し、COC層(厚さ10μm)/LDPE層(厚さ20μm)の構成を有するシーラントフィルムを製造した。
得られたシーラントフィルムと、上記実施例1の(2)で得られた積層フィルムとを、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を介して、実施例1と同様にして積層し、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/COC層/LDPE層の層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例5]
環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)と、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(SP−1540、(株)プライムポリマー)とを、多層インフレーション製膜により共押出し、COC層(厚さ5μm)/LLDPE層(厚さ10μm)/COC層(厚さ5μm)/LLDPE層(厚さ10μm)の4層構成を有するシーラントフィルムを製造した。
得られたシーラントフィルムと、上記実施例1の(2)で得られた積層フィルムとを、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を介して、実施例1と同様にして積層し、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/COC層/LLDPE層/COC層/LLDPE層の層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例6]
環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(R)8007F−500)と、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(SP−1540、(株)プライムポリマー)とを、多層インフレーション製膜により共押出し、LLDPE層(厚さ10μm)/COC層(厚さ10μm)/LLDPE層(厚さ10μm)の3層構成を有するシーラントフィルムを製造した。
得られたシーラントフィルムと、上記実施例1の(2)で得られた積層フィルムとを、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)を介して、実施例1と同様にして積層し、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/LLDPE層/COC層/LLDPE層の層構成を有する本発明の積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[実施例7]
接着性樹脂組成物として、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体(アルケマ(株)製Lotader(R)4503)をエチレン−アクリル酸メチル(アルケマ(株)LOTRYL 18MA02、アクリル酸メチル成分量18質量%)で3.75倍希釈して、接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸成分量を0.08質量%、アクリル酸エステル成分量を19質量%とした接着性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の積層体を得、これより包装袋を作成した。
[実施例8]
接着性樹脂組成物として、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体(アルケマ(株)製Lotader(R)4210、不飽和カルボン酸3.6質量%、アクリル酸エステル成分量4.5質量%)をエチレン−アクリル酸メチル(アルケマ(株)LOTRYL 18MA02)で4.5倍希釈して、接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸成分量を0.8質量%、アクリル酸エステル成分量を15質量%とした接着性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の積層体を得、これより包装袋を作成した。
[比較例1]
積層方法として、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物を溶融押出してサンドイッチラミネートにより積層する代わりに、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製RU−40/H−4)を用いてドライラミネートにより積層した以外は、実施例1と同様にして、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/LLDPE層/COC層の層構成を有する積層体を得た。2液硬化型ウレタン接着剤の塗布量は、それぞれ3〜5μm(乾燥膜厚)とした。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[比較例2]
シーラントフィルムとして、厚さ30μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ(株)製TUX−FCS)を使用し、積層方法として、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物を溶融押出してサンドイッチラミネートにより積層する代わりに、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製RU−40/H−4)を用いてドライラミネートにより積層した以外は、実施例1と同様にして、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/LLDPE層の層構成を有する積層体を得た。2液硬化型ウレタン接着剤の塗布量は、それぞれ3〜5μm(乾燥膜厚)とした。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[比較例3]
シーラントフィルムとして、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東洋紡(株)製P−1128)を使用し、積層方法として、エチレン−アクリル酸メチル−マレイン酸三元共重合体からなる接着性樹脂組成物を溶融押出してサンドイッチラミネートにより積層する代わりに、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製RU−40/H−4)を用いてドライラミネートにより積層した以外は、実施例1と同様にして、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/CPP層の層構成を有する積層体を得た。2液硬化型ウレタン接着剤の塗布量は、それぞれ3〜5μm(乾燥膜厚)とした。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[比較例4]
シーラントフィルムとして、厚さ30μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ(株)製TUX−FCS)を使用した以外は、実施例1と同様にして、PETフィルム/接着層/アルミニウム箔/接着層/LLDPE層の層構成を有する積層体を得た。
上記で得られた積層体を、そのシーラント層同士が対抗するように重ねあわせ、実施例1と同様にして10cm×10cmの包装袋を作成した。
[評価試験]
(層間接着強度試験)
実施例1〜8及び比較例1〜4の積層体を、幅15mmの短冊状に切り出し、JISK
6854に従って、テンシロン引張試験機を用いて、基材・バリア層とシーラント層との間の接着部を、25℃雰囲気下、引張速度を50mm/分として90度方向に剥がし、層間接着強度(初期)を測定した。
次いで、実施例及び比較例の積層体からなる包装袋中に、グリセリン10質量%、有効成分としてトリクロサン1質量%及びエタノール30質量%を含有する洗口液100mlを封入し、これを25℃雰囲気下で30日間保存した。30日保存後の各包装袋から、巾15mmの短冊状の試験片を切り出し、上記と同様にして層間接着強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2016093894
(非吸着性試験)
実施例1〜8及び比較例1〜4の積層体を10cm×10cm四方に切り取り、その初期重量を測定した。
容積18リットルのステンレス容器内にイソプロピルメチルフェノール(IPMP)固体(和光純薬工業(株))10gを入れ、蓋をして容器内をIPMP蒸気で満たし、その中に切り取った積層体を吊り下げて、40℃で7日間保管した。
保管後、積層体を取り出して重量を測定し、初期重量との差からIPMPの吸着量を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2016093894
1.基材層
2.接着層
3.ヒートシール性樹脂層
3x.ヒートシール性樹脂層3の接着層積層面を形成する層
3y、3y’、3y”.ヒートシール性樹脂層3の中間層
3z.ヒートシール性樹脂層3のヒートシール面を形成する層

Claims (12)

  1. 基材層、接着層及びシーラント層をこの順に有する積層体であって、
    該接着層は、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物からなり、
    該シーラント層は、(a)環状ポリオレフィン系樹脂、及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む層である、上記積層体。
  2. 前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂が、前記シーラント層全体に占める割合は、5〜70質量%である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記シーラント層が、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物からなる単層構成である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記シーラント層が、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂及び(b)ポリオレフィン系樹脂が各層に分散配合された2またはそれ以上の層からなる多層構成である、請求項1または2に記載の積層体。
  5. 前記多層構成であるシーラント層において、積層体の最表面を形成する層が、前記成分(b)ポリオレフィン系樹脂からなる層であって、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含まない、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記多層構成であるシーラント層において、前記接着層に隣接する層が、前記成分(b)ポリオレフィン系樹脂からなる層であって、前記成分(a)環状ポリオレフィン系樹脂を含まない、請求項4または5に記載の積層体。
  7. 前記接着性樹脂組成物における不飽和カルボン酸成分量が、0.05質量%以上、1.0質量%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記接着性樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル成分量が、5〜40質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体を、そのシーラント層同士が対向するように重ねあわせ、その端部をヒートシールしてなる非吸着性包装容器。
  10. 洗口液用包装容器である、請求項9に記載の非吸着性包装容器。
  11. グリセリン10質量%を含有する洗口液を充填し、25℃雰囲気下で30日間保存した後の基材層またはバリア層とシーラント層との間の層間接着強度が、3N/15mm幅以上である、請求項9または10に記載の非吸着性包装容器。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、基材層とシーラント層とを、アルケン−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和カルボン酸の三元共重合体を含む接着性樹脂組成物を介して、サンドイッチラミネート法によって積層する、上記製造方法。
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