JP2016085201A - 過敏性腸症候群の診断用バイオマーカー - Google Patents

過敏性腸症候群の診断用バイオマーカー Download PDF

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Abstract

【課題】過敏性腸症候群の病態進行に伴って変動するバイオマーカーを提供する。【解決手段】0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、LC/MSで測定した際に得られるm/z値が、121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、などであり(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)、過敏性腸症候群の罹患によりヒト尿中の含有量が変動する化合物である、過敏性腸症候群診断用のバイオマーカー。【選択図】なし

Description

本発明は、過敏性腸症候群の患者のヒト尿中サンプルにおいて、その発症や症状の悪化を判定することのできるバイオマーカー(以下、本発明のバイオマーカーともいう。)に関する。
過敏性腸症候群(以下、IBS(Irritable Bowel Syndrome)ともいう。)は、強い緊張、不安、ストレス等に起因して惹起されるストレス性消化器疾患であり、ストレス社会とも例えられる現代において注目されている疾患の一つである。IBSは、大抵は大腸、時には小腸での消化管運動機能異常症状、例えば腹部不快感や腹痛を伴う慢性的な下痢症状若しくは便秘症状、腸内でのガス過多による腹部膨満感や鈍痛を伴うガスが溜まる症状又はそれらを交互に繰り返す症状のような通便異常を主症状とする疾患である。
近年、IBSの治療薬の探索が進められてきており、様々な薬理作用を有する治療薬が開発されている。例えば、5−HT3拮抗薬、5−HT4作動薬、TSPO拮抗薬、オピオイド作動薬等が報告されているが、これらのいずれについてもまだ十分な効果を引き出せていないのが現状である。
一方、IBSの殆どは、レントゲン撮影診断や内視鏡診断でも腸の形態異常所見等の器質的病変が見当たらないにもかかわらず、長期間、通便異常症状が持続するものである。したがって、IBSは、確実な検査方法が無く、RomeIII(ローマ・スリー)診断基準(非特許文献1参照)に基づいて、症状のみから診断しなければならない疾患であることから、IBSの発症を客観的に判別できるバイオマーカーが望まれている。
これまで、IBSを判別し得るバイオマーカーについての研究は多数報告されている。例えば、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の負荷により、IBS患者の血漿中副腎皮質ホルモン(ACTH)レベルは、健常人に比べ増加するため、血漿中ACTHがバイオマーカーとなり得ること(非特許文献2及び3参照)、交感神経ニューロンから分泌されるタンパク質であるクロモグラニンA(CgA)について、健常人よりもIBS患者の唾液中に多く分泌されること(非特許文献4参照)、男性IBS患者の血漿中キヌレン酸は、健常人のそれよりも低下すること(非特許文献5参照)、Trier Social Stress Test(TSST)を行った後では、IBS患者の唾液中デヒドロエピアンドロステロンサルファート(DHEA−S)が、健常人よりも低下すること(非特許文献6参照)が報告されている。
また、例えば、女性IBS患者の尿では、健常人と比較して、ノルエピネフリン、エピネフリン等のカテコールアミン及びコルチゾールが増加すること(非特許文献7参照)、IBS患者の尿では、健常人と比較して6−スルファトキシメラトニンの含有量に差があったこと(非特許文献8〜10参照)、IBS患者の血中セロトニンが健常者と比較して高く、尿中の5−HIAA(セロトニン代謝物)が健常者と比較して低かったこと(非特許文献11及び12参照)等が報告されている。
また、特許文献1には、IBSの病態を反映した動物モデルの尿からストレス性疾患のバイオマーカーを検出したこと、特許文献2には、IBS患者の糞便中プロピオン酸がIBSの判定マーカーとして使用できることが記載されている。
しかしながら、これらの非特許文献や特許文献に記載のバイオマーカーは、ヒトにおける非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断に用いるには課題がある。そのため、ヒトIBS患者において、非侵襲的かつ簡便な方法で迅速かつ正確に検出することが可能であって、IBSの発症又は病態を的確に反映することが可能なIBSのバイオマーカーの開発が望まれていた。
特開2012−047735号公報 特開2009−229456号公報
ガストロエンテロロジー(Gastroenterology)、2006年、第130巻、1480−1491ページ ガット(Gut)、1998年、第42巻、845−849ページ ガット(Gut)、2004年、第53巻、1102−1108ページ バイオサイコソーシャル・メディシン(BioPsychoSocial Medicine)、2008年、第2巻、第20号 BMC・ガストロエンテロロジー(BMC Gastroenterology)、2009年、第9巻、第6号 インターナショナル・ジャーナル・オブ・サイコフィジオロジー(International Journal of Psychophysiology)、2012年、第84巻、39−44ページ ザ・アメリカン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー(The American Journal of Gastroenterology)、1996年、第91巻、第5号、906−913ページ ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー(J Physiol Pharmacol)、2010年、第61巻、第3号、295−300ページ ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー(J Physiol Pharmacol)、2009年、第60巻、別冊第3号、67−70ページ Pol Merkur Lekarski, 2009 May;26(155):440-3. Pol Merkur Lekarski, 2007 May;22(131):366-8 Scott Med J, 2005 Feb;50(1):27-9
上記の状況に鑑み、本発明の主な課題は、IBSに罹患した可能性のある患者から、非侵襲的な方法で採取することが可能であって、かつ簡便な分析方法で検出することが可能であるバイオマーカーを提供すること、さらに、IBSの病態進行に伴って変動するバイオマーカーを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、予想外にも、IBS患者の尿中に、消化器症状悪化時に変動する代謝物が存在するという新たな知見を得て、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1) 0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、LC/MSで測定した際に得られるm/z値が、
121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3であり(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)、
過敏性腸症候群の罹患によりヒト尿中の含有量が変動する化合物であることを特徴とする、過敏性腸症候群診断用のバイオマーカー。
(2) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器として4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間21分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)アセトニトリルのグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)、7〜14分(0/100)、14〜21分(100/0)、
とした条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(3) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)0.1%(w/w)ギ酸メタノール溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(4) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、及び移動相(B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(5) 2−メチルブチリルグリシン、デヒドロエピアンドロステロンサルファート、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、キヌレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
(6) 2−メチルブチリルグリシン、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の治療薬のスクリーニング方法。
(8) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーの、過敏性腸症候群の診断薬の製造のための使用。
(9) 尿中の前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを定量することを特徴とする過敏性腸症候群の診断薬。
(10) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別することを特徴とする、薬剤の選別方法。
(11) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別するための該バイオマーカーの使用。
(12) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする過敏性腸症候群の診断用キット。
(13) 過敏性腸症候群の治療薬を、過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度に応じて選別するための前記(12)に記載の診断用キット。
(14) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の診断方法。
(15) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定し、当該バイオマーカーのうち任意の2種以上のヒト尿中の濃度比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
(16) キノリン酸、キサンツレン酸及びキヌレン酸のヒト尿中の濃度を測定し、キノリン酸/キサンツレン酸比又はキノリン酸/キヌレン酸比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
本発明のバイオマーカーによれば、非侵襲的かつ簡便な方法で迅速かつ正確にIBSの診断を行うことができる。また、本発明のバイオマーカーは、IBSの発症又は病態を的確に反映することができるため、本発明によれば、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBSの型の判定、IBS治療の要否の判定、及びIBS治療薬の薬効確認に有用なバイオマーカーを提供することができる。
健常者とIBS患者における、キノリン酸/キサンツレン酸比を比較した結果を表す。縦軸はキノリン酸/キサンツレン酸比を、横軸は実施例1(4)で示した採尿ポイントを表す。 健常者とIBS患者における、キノリン酸/キヌレン酸比を比較した結果を表す。縦軸はキノリン酸/キヌレン酸比を、横軸は実施例1(4)で示した採尿ポイントを表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のバイオマーカーは、IBSの罹患、及びIBSの病状の程度に依存して、ヒト生体試料中の含有量が変動する物質を包含する。前記生体試料は、例えば、尿、血液、唾液、脳脊髄液等を用いることができるが、本発明においては、生体試料として、好ましくはヒト尿を用いる。
ここで、上記したように、ヒト尿中の特定の物質の含有量について、IBS患者と健常人との比較を行った研究が、これまでいくつか報告されている。
例えば、ザ・アメリカン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー、1996年、第91巻、第5号、906−913ページには、女性のIBS患者の尿中のカテコールアミン(ノルエピネフリン及びエピネフリン)及びコルチゾール濃度が、健常者と比較して高かったことが報告されている。しかしながら、カテコールアミンの尿中濃度は、褐色細胞腫、神経芽細胞腫、副腎髄質過形成、心不全、心筋梗塞、パーキンソン病、本態性高血圧、甲状腺機能低下症、総合失調症、うつ病、及び糖尿病等でも増加することが知られており(例えば、医学書院 医学大辞典(第2版)399頁を参照。)、ACTHの一種であるコルチゾールの尿中濃度は、クッシング症候群、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症等でも増加することが知られている。すなわち、尿中のカテコールアミン及びコルチゾールは、IBSのバイオマーカーとして特異性の高いものではない。
また、ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー、2010年、第61巻、第3号、295−300ページ、並びにPol Merkur Lekarski, 2009 May; 26(155): 440-3には、便秘性及び下痢性の女性IBS患者における、6−スルファトキシメラトニンの尿中濃度が、健常者の女性と比較して高かったことが報告されている。しかしながら、一方で、ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー、2009年、第60巻、別冊第3号、67−70ページには、便秘性及び下痢性のIBS患者(男性及び女性)の6−スルファトキシメラトニンの尿中濃度が、健常者と比較して低かったことが報告されている。上記文献の結果に整合性がないことから、6−スルファトキシメラトニンをIBSのバイオマーカーとして用いるには、課題があることが分かる。
Pol Merkur Lekarski, 2007 May; 22(131): 366-8及びScott Med J, 2005 Feb; 50(1): 27-9.には、IBS患者の血中セロトニンが健常者と比較して高く、尿中の5−HIAA(セロトニン代謝物)が健常者と比較して低かったこと、IBS患者ではセロトニン代謝能が低下する可能性が報告されている。しかしながら、セロトニンの代謝量を決定するためには、血中セロトニンの量と尿中の5−HIAAの量を比較する必要があり、非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断に用いるには不十分である。
このように、いくつかの物質について、IBS患者と健常人における尿中の含有量に差が認められたことが報告されているが、非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断の実施が可能となるバイオマーカーについては、未だ知られていなかった。
一方、本発明においては、ヒト尿中における本発明のバイオマーカーを検査することにより、客観的にIBSを診断することが可能である。すなわち、本発明によれば、診断者の技能に依存することなく、非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断を実施することができる。
一般的に、IBSには、下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4種があることが知られているが、本発明のバイオマーカーはいずれの型のIBSも対象とすることができ、さらに、本発明のバイオマーカーは、患者の性別(男性又は女性)あるいは患者の年齢等を問わず、IBSの診断等に好適に用いることができる。
本発明の好ましいひとつの態様において、前記バイオマーカーを用いてIBSを診断する場合、バイオマーカーを2種以上、より好ましくは3種以上を用いる。バイオマーカーを複数用いて多角的に判断することにより、好ましくは、診断の精度が向上する。
以下、本発明のバイオマーカーについて具体的に説明する。
本発明のバイオマーカーは、ヒト尿中に含まれ、後記する条件におけるLC/MSの分析により検出され、さらに、ヒト尿中における含有量がIBSの罹患又はIBSの病状の程度に依存して変動するものであれば、特に限定されない。
本発明の前記バイオマーカーには、(1)化合物名で特定される生体試料中の代謝物等の物質、及び(2)後記する実施例に記載されたLC/MS条件で測定された質量(m/z値)及び保持時間で特定される生体試料中の代謝物等の物質が含まれる。
本発明の好ましいひとつの態様において、前記バイオマーカーとしては、具体的には、例えば、2−メチルブチリルグリシン(CAS登録番号:52320−67−9)、デヒトロエピアンドロステロンサルファート(DHEA−S)(CAS登録番号:651−48−9)、11−デヒドロ−トロンボキサンB2(CAS登録番号:67910−12−7)、エストロンサルファート(Estron sulfate)(CAS登録番号:481−97−0)、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン(γ−CEHC)(CAS登録番号:178167−75−4)、2’−デオキシアデノシン(CAS登録番号:958−09−8)、グアノシン(CAS登録番号:118−00−3)、2’−デオキシグアノシン(CAS登録番号:961−07−9)、イノシン(CAS登録番号:58−63−9)、キサンツレン酸(CAS登録番号:59−00−7)、キヌレン酸(CAS登録番号:492−27−3)、8−イソ−プロスタグランジンF1α(CAS登録番号:26771−96−0)、プロスタグランジンF1α(CAS登録番号:745−62−0)、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α(CAS登録番号:20592−20−5)、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α(CAS登録番号:240405−20−3)、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2(CAS登録番号:59894−07−4)、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト(CAS登録番号:70803−91−7)、11−デヒドロ−トロンボキサンB3(CAS登録番号:129228−55−3)、2,3−ジノル−トロンボキサンB1(CAS登録番号:63250−09−9)、トロンボキサンB2(CAS登録番号:54397−85−2)、キノリン酸(CAS登録番号:89−00−9)、キシロース(CAS登録番号:58−86−6)、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α(CAS登録番号:221664−05−7)、ゲンチジン酸(CAS登録番号:490−79−9)、グリシルグリシン(CAS登録番号:556−50−3)、N−アセチルアルギニン(CAS登録番号:155−84−0)、3−メトキシチラミン(CAS登録番号:554−52−9)、ホモバニリン酸(CAS登録番号:306−08−1)及びバニリルマンデル酸(CAS登録番号:55−10−7)が挙げられる。なかでも、2−メチルブチリルグリシン、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸が、正確なIBS診断の観点から好ましく用いられる。
本発明において、前記バイオマーカーのうち、各バイオマーカーの尿中濃度を測定した後、任意の2種以上のバイオマーカーの濃度比を算出することによって、IBS診断を行うことも可能である。例えば、後記する実施例で示すように、キノリン酸、キサンツレン酸及び/又はキヌレン酸のヒト尿中濃度を測定し、キノリン酸/キサンツレン酸比及び/又はキノリン酸/キヌレン酸比を算出することによって、IBS診断を正確に行うことができる。
本発明の好ましい別のひとつの態様において、前記バイオマーカーとして、後記する実施例に記載されたLC/MS条件で測定された質量(m/z値)及び保持時間で特定される構造未知又は構造既知の、代謝物等の化合物が挙げられる。
より具体的には、本発明の前記バイオマーカーは、0.09%アジ化ナトリウム添加0.1%ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、後記する条件においてLC/MSで測定した際に得られるm/z値が、
121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)であり、IBSの罹患により尿中の含有量が変動する化合物を包含する。
上記LC/MSの測定条件としては、具体的には以下の測定条件1〜3が好ましいものとして挙げられる。
<測定条件1>
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:21分、
移動相(A):0.1%ギ酸水溶液、
移動相(B):アセトニトリル、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)→7〜14分(0/100)→14〜21分(100/0)、
極性:ポジティブ、ネガティブ、
スキャンタイプ:MRM、
イオン化方法:ESI(エレクトロスプレーイオン)法、
ソース温度:400℃、
なお、上記グラジエント条件において、例えば、『0〜7分(100/0)→7〜14分(0/100)→14〜21分(100/0)』との記載は、分析時間の開始(0分)から7分間は移動相(A)が100%(v/v)であり移動相(B)が0%(v/v)の条件で送液し、分析開始後7分から14分までは移動相(A)が0%(v/v)であり移動相(B)が100%(v/v)の条件で送液し、分析開始後14分から21分まで移動相(A)が100%(v/v)であり移動相(B)が0%(v/v)の条件で送液することを表す。本明細書において、以下同様である。
<測定条件2>
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:LCT Premier(ウォーターズ社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:17分、
移動相(A):0.1%ギ酸水溶液、
移動相(B):0.1%ギ酸メタノール溶液、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)→4〜4.5分(30/70)→4.5〜10分(2/98)→10〜17分(100/0)、
極性:ポジティブ、
アナライザー:Vモード、
キャピラリー:2300V、
サンプルコーン:30V、
脱溶媒温度:350℃、
ソース温度:120℃、
コーンガス流量:50L/h、
脱溶媒ガス流量:800L/h
<測定条件3>
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:LCT Premier(ウォーターズ社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:17分、
移動相(A):6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、
移動相(B):6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)→4〜4.5分(30/70)→4.5〜10分(2/98)→10〜17分(100/0)、
極性:ネガティブ、
アナライザー:Vモード、
キャピラリー:2200V、
サンプルコーン:70V、
脱溶媒温度:200℃、
ソース温度:100℃、
コーンガス流量:50L/h、
脱溶媒ガス流量:200L/h
なお、本発明において、上記LC/MSの分析に用いる試料は、50mLのサンプリングチューブに入れたヒト尿を、遠心分離機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行い、その後、尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合することによって調製することができる。
本発明のひとつの態様において、前記バイオマーカーは、上記の方法により調製したヒト尿の測定試料を、上記測定条件1で測定したときのm/z値及び保持時間が、
350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する )
である化合物であってもよい。
本発明の別のひとつの態様において、前記バイオマーカーは、上記の方法により調製したヒト尿の測定試料を、上記測定条件2で測定したときのm/z値及び保持時間が、
419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である化合物であってもよい。
本発明のさらに別のひとつの態様において、前記バイオマーカーは、上記の方法により調製したヒト尿の測定試料を、上記測定条件3で測定したときのm/z値及び保持時間が、
192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である化合物であってもよい。
本発明において、上記測定に用いる尿試料を採取するタイミングは、特に限定されないが、IBSの罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBS治療の要否の判定等を行う場合においては、IBSの発症や病態をより明確に反映させる観点から、対象者自身が、消化器症状が悪化したと感じる日に採取することがより好ましい。
本発明の前記バイオマーカーは、IBSの発症や病態を反映しているため、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBS治療の要否の判定又はIBS治療薬の治療効果の確認等に使用できる。
本発明のバイオマーカーを用いて、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBSの型の判定、IBS治療の要否の判定又はIBS治療薬の治療効果の確認等を行うためには、上記したヒト尿の測定試料中の本発明のバイオマーカーを定量又は前記バイオマーカーの尿中の濃度を測定することによって行ってもよい。
また、バイオマーカーの測定値を、基準値と比較することにより、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBSの型の判定、IBS治療の要否の判定等を行ってもよい。前記「基準値」とは、RomeIII(ローマ・スリー)に基づいて医師が診断し、器質的疾患及び精神疾患がなく、かつ消化器症状もまったくない者と判断された健常者のバイオマーカーの測定値を用いることができる。
なお、バイオマーカーの定量又は尿中濃度の測定の具体的な方法については、後記する実施例に記載の方法を用いることで行うことができる。また、測定値については、クレアチニン補正等、通常この分野で用いられる技術を適用してもよい。なお、前記クレアチニン補正は従来十分に確立されているので、本発明においてもそれに従ってよい。
本発明は、また、IBSの治療薬の創薬におけるスクリーニング方法も包含する。ひとつの態様において、本発明の前記スクリーニング方法は、好ましくは、前記バイオマーカーのヒト尿中濃度を測定する工程、及び、IBS治療薬の候補薬剤を、患者に投与する工程を含む。本態様において、バイオマーカーの測定は、候補薬剤の投与前及び投与後に実施することが好ましい。候補薬剤の投与前後のバイオマーカーの測定値の比較において、IBSの罹患によりヒト尿中の含有量が増加するバイオマーカーの測定値を薬剤の投与後に減少させた薬剤、及び/又は、IBSの罹患により含有量が減少するバイオマーカーの測定値を薬剤の投与後に増加させた薬剤は、IBS治療薬として有効であることが期待される。なお、IBSの罹患によりヒト尿中の含有量が増加又は減少するバイオマーカーは、具体的には、後記する実施例を参考にできる。
さらに、個々の患者に適した治療薬を選択する際に、本発明の前記バイオマーカーを用いることができる。IBS患者のタイプ(種類)及び/又はその病態の程度によって、治療薬の治療効果が異なることがある。本発明においては、前記バイオマーカーを測定することによって、個々の患者における治療薬の治療効果を確認する方法も、そのひとつの態様に包含する。
また、本発明のひとつの態様は、前記バイオマーカーを測定することによってIBSの種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別することを特徴とする、薬剤の選別方法に関する。
さらに、本発明の別のひとつの態様は、前記バイオマーカーを測定することによってIBSの種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別するための該バイオマーカーの使用に関する。
本発明のバイオマーカーによって、その治療効果を確認できるIBS治療薬としては、例えば、TSPO(Translocator protein 18kDa)拮抗薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、チエノジアゼピン系抗不安薬、非ベンゾジアゼピン系抗不安薬、CRF拮抗薬、ニューロキニン−1(NK1)拮抗薬、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬、トリアゾロピリジン系抗うつ薬、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン再取り込み阻害薬、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)、ノルアドレナリン及びドパミン脱抑制薬(NDDI)、選択的セロトニン再取り込み促進薬(SSRE)、N−メチル−D−アスパルタート(NMDA)受容体阻害薬、グリシントランスポーター阻害薬、ドパミン前駆物質、ドパミン受容体作動薬、カテコール−O−メチル基転移酵素(COMT)阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、ニューロテンシン拮抗薬、抗コリン薬、セロトニン・ドパミン拮抗薬、中枢神経刺激薬、抗てんかん薬、抗めまい薬、消化管機能調整薬、ヒスタミンH受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、ムスカリン受容体拮抗薬、防御因子増強薬、プロスタグランジン誘導体、オピオイドμ受容体作動及びオピオイドδ受容体拮抗薬、オピオイド作動薬、5−HT作動薬、5−HT拮抗薬、クロライドチャネル活性化薬、グアニル酸シクラーゼ阻害薬、膨張性下剤、塩類下剤、刺激性下剤、親和性ポリアクリル樹脂が挙げられる。
本発明において、前記TSPO拮抗薬としては、例えば、ONO−2952が挙げられる。
本発明において、前記ベンゾジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、アルプラゾラム、オキサゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラム、クロラゼプ酸二カリウム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、トフィソパム、トリアゾラム、プラゼパム、フルジアゼパム、フルタゾラム、フルトプラゼパム、ブロマゼパム、メキサゾラム、メダゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパムが挙げられる。
本発明において、前記チエノジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、エチゾラム、クロチアゼパムが挙げられる。
本発明において、前記非ベンゾジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、クエン酸タンドスピロン、塩酸ヒドロキシルジンが挙げられる。
本発明において、前記CRF拮抗薬としては、例えば、ペクサセルフォント、ベルセルフォント、エミセルフォント、E−2508、ONO−2333が挙げられる。
本発明において、前記ニューロキニン−1拮抗薬としては、例えば、アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミンが挙げられる。
本発明において、前記三環系抗うつ薬としては、例えば、塩酸アミトリプチリン、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸ドスレピン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ロフェプラミン、マレイン酸トリミプラミン、アモキサピンが挙げられる。
本発明において、前記四環系抗うつ薬としては、例えば、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリンが挙げられる。
本発明において、前記モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬としては、例えば、塩酸サフラジンが挙げられる。
本発明において、前記トリアゾロピリジン系抗うつ薬としては、例えば、塩酸トラゾドンが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)としては、例えば、塩酸ミルナシプラン、塩酸デュロキセチン、塩酸ベンラファキシンが挙げられる。
本発明において、前記選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)としては、例えば、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、塩酸フルオキセチン、塩酸シタロプラム、シュウ酸エスシタロプラムが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン再取り込み阻害薬としては、例えば、塩酸トラゾドンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドレナリン再取り込み阻害薬としては、例えば、アトモキセチンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬としては、例えば、ミルタザピンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドナリン及びドパミン脱抑制薬としては、例えば、アゴメラチンが挙げられる。
本発明において、前記選択的セロトニン再取り込み促進薬としては、例えば、チアネプチンが挙げられる。
本発明において、前記N−メチル−D−アスパルタート受容体阻害薬としては、例えば、メマンチンが挙げられる。
本発明において、前記グリシントランスポーター阻害薬としては、例えば、ビトペルチン、ORG25935が挙げられる。
本発明において、前記ドパミン前駆物質としては、例えば、レボドパが挙げられる。
本発明において、前記ドパミン受容体作動薬としては、例えば、ブロモグリプチンが挙げられる。
本発明において、前記COMT阻害薬としては、例えば、エンタカポン、オピカポンが挙げられる。
本発明において、前記コリンエステラーゼ阻害薬としては、例えば、ドネペジル、リバスチグミンが挙げられる。
本発明において、前記ニューロテンシン拮抗薬としては、例えば、SR48692が挙げられる。
本発明において、前記抗コリン薬としては、例えば、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、臭化イプラトロピウム、臭化メペンゾラートが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン・ドパミン拮抗薬としては、例えば、リスペリドン、パリペリドン、塩酸ペロスピロン水和物、フマル酸クエチアピン、オランザピンが挙げられる。
本発明において、前記抗てんかん薬としては、例えば、フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、クロナゼパム、レベチラセタム、トピラマート、ラモトリキンが挙げられる。
本発明において、前記抗めまい薬としては、例えば、ジフェニドール、ベタヒスチンが挙げられる。
本発明において、前記消化管機能調整薬としては、例えば、マレイン酸トリメブチン、ポリカルボフィルカルシウムが挙げられる。
本発明において、前記ヒスタミンH受容体拮抗薬としては、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラフチジンが挙げられる。
本発明において、前記プロトンポンプ阻害薬としては、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールが挙げられる。
本発明において、前記ムスカリン受容体拮抗薬としては、例えば、ピレンゼピンが挙げられる。
本発明において、前記防御因子増強薬としては、例えば、ゲファルナート、テプレノン、スクラルファート、アルジオキサ、塩酸セトラキサート、オルノプロスチルが挙げられる。
本発明において、前記プロスタグランジン誘導体としては、例えば、オルノプロスチル、ミソプロストールが挙げられる。
本発明において、前記オピオイドμ受容体作動及びオピオイドδ受容体拮抗薬としては、例えば、エルキサドリンが挙げられる。
本発明において、前記オピオイド作動薬としては、例えば、アシマドリン、ナルフラフィンが挙げられる。
本発明において、前記5−HT作動薬としては、例えば、テガセロド、シサプリド、クエン酸モサプリドが挙げられる。
本発明において、前記5−HT拮抗薬としては、例えば、ラモセトロン、アロセトロン、シランセトロンが挙げられる。
本発明において、前記クロライドチャネル活性化薬としては、例えば、ルビプロストンが挙げられる。
本発明において、前記グアニル酸シクラーゼ作動薬としては、例えば、リナクロチドが挙げられる。
本発明において、前記膨張性下剤としては、例えば、メチルセルロース、カルメロース、ラクツロースが挙げられる。
本発明において、前記塩類下剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムが挙げられる。
本発明において、前記刺激性下剤としては、例えば、ピコスルファート、ラクツロース、ヒマシ油、センナ、大黄が挙げられる。
本発明において、前記親和性ポリアクリル樹脂としては、例えば、ポリカルボフィルカルシウムが挙げられる。
また、本発明の別のひとつの態様は、前記バイオマーカーの、IBSの診断薬の製造のための使用に関する。前記診断薬は、前記バイオマーカーを定量するものであることが好ましい。より具体的には、前記診断薬は、バイオマーカーの尿中濃度の、基準値との誤差(基準値よりも高い又は低い)を検出するものであることが好ましい。また、本発明における診断薬として、例えば、現在他の用途に使用されている下記表1に示す市販の測定用キットを応用してもよい。すなわち、表1に示した定量キットを用いて、本願発明のバイオマーカーの定量を行ってもよい。
さらに、本発明は、前記バイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定するための試薬を含むIBSの診断用キットを包含する。本発明のひとつの好ましい態様において、前記IBSの診断用キットは、患者のIBSの種類及び/又は重症度に応じてIBSの治療薬を選別する用途を包含するものであることが好ましい。
また、本発明は、前記バイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の診断方法も包含する。バイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する方法は、上記と同様であってよい。
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
<IBS患者と健常者の比較試験>
(1)被験者:IBS患者25名(男性15名、女性10名)及び健常者25名(男性15名、女性10名)を対象とした。対象者の年齢層は、男性健常者18〜55歳、男性IBS患者17〜54歳、女性健常者18〜48歳、女性IBS患者17〜48歳であった。なお、本試験は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得るとともに、すべての対象者から文書による同意を得た。
(2)患者の分類基準:IBS患者への分類は、医師がRomeIII基準に基づいて行った。一方、健常者は、器質的疾患及び精神疾患がなく、かつ消化器症状もまったくない者と医師が診断して分類した。
(3)採尿方法、処理方法:下記に示す採尿ポイント毎に、被験者により採尿カップにて採取した随時尿は、採尿専用サンプルチューブに採取(約10mL/回)し、調製まで冷凍保存した。
(4)採尿ポイント:IBS患者及び健常者ともに下記の採尿日に、朝食後から昼食前までの時間に尿を任意で採取した。
(A)試験参加への同意当日
(B)(A)〜(D)の期間中に、消化器症状が悪化したと自己評価した日
(C)(A)〜(D)の期間中に、(B)よりさらに消化器症状が悪化したと自己評価した日
(D)(A)の同意日から1ヶ月後の受診日
(5)ヒト試料の調製:凍結保存したヒト試料を4℃の冷蔵庫で溶解し、50mLサンプリングチューブ(日本ベクトンディッキンソン社)に移し、撹拌後、冷却遠心機で、4℃、2500rpmにて15分間遠心分離を行った。この上清250μLをサンプリングチューブ(BIO−BIK社)にとり、ヒト試料希釈溶液(0.09%アジ化ナトリウム添加0.1%ギ酸水溶液)750μLを添加撹拌した溶液をLC/MS測定用サンプルとした。
(6)LC/MSの測定条件
[LC測定条件1]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)0.1%ギ酸水溶液
B)アセトニトリル
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
なお、表中、%は容量%を示す。
・流速:0.30mL/分
・分析時間:21分
・MS機器:4000QTRAP(AB SCIEX社)
・極性:ポジティブ、ネガティブ
[LC測定条件2]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)0.1%ギ酸水溶液
B)0.1%ギ酸メタノール溶液
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
なお、表中、%は容量%を示す。
・流速:0.35mL/分
・分析時間:17分
・MS機器:4000QTRAP、LCT Premier(Waters社)
・極性:ポジティブ
[LC測定条件3]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液
B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%メタノール水溶液
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
なお、表中、%は容量%を示す。
・流速:0.35mL/分
・分析時間:17分
・MS機器:4000QTRAP,LCT Premier
・極性:ネガティブ
[MS測定条件1]
・MS機器:4000QTRAP
・極性:ポジティブ,ネガティブ
・スキャンタイプ:MRM
・イオン化方法:ESI(エレクトロスプレーイオン)法
・ソース温度:400℃
[MS測定条件2]
・MS機器:LCT Premier
・極性:ポジティブ
・アナライザー:Vモード
・キャピラリー:2300V
・サンプルコーン:30V
・脱溶媒温度:350℃
・ソース温度:120℃
・コーンガス流量:50L/h
・脱溶媒ガス流量:800L/h
[MS測定条件3]
・MS機器:LCT Premier
・極性:ネガティブ
・アナライザー:Vモード
・キャピラリー:2200V
・サンプルコーン:70V
・脱溶媒温度:200℃
・ソース温度:100℃
・コーンガス流量:50L/h
・脱溶媒ガス流量:200L/h
(7)IBS患者及び健常者の消化器症状及びストレス等の評価
最初にIBS症状の重症度をIBS Severity Index(IBS−SI:Aliment Pharmacol Ther 1997; 11: pp.395-402を参照)、IBS症状の性質をSelf−reported IBS Questionnaire(SIBSQ:Journal of Clinical Gastroenterology, 2008, Vo.42, No.9, pp.1010-6を参照)、全般的消化器症状をGastrointestinal Symptoms Rating Scale(GSRS:Digestive Diseases and Sciences, 1988, Vol.33, No.2, pp.129-134を参照)、IBSに関係する疾患特異的QOLをIBS−quality of life(IBS−QOL:Digestive Diseases and Sciences, 1998, Vol.43, No.2, pp.400-411を参照)、全般的QOLをMedical Outcome Study 36−item Short Form Health Survey(SF−36:Journal of Clinical Epidemiology, 1998, Vol.51, pp.1045-53を参照)、不安をState Trait Anxiety Inventory(STAI:Perceptual and motor skills, Vol.69, pp.611-617を参照)、抑うつをSelf−rating Depression Scale(SDS:Biopsychosocial Medicine, 2008, Vol.2, No.20、及びZung WW: A Self-Rating Depression Scale. Arch Gen Psychiatry 1965, 12:63-70を参照)、自覚ストレスをPerceived Stress Scale(PSS:PLOS one, 2012, Vol.7, No.9, e42450、及びCohen S, Kamarck T, Mermelstein R (1983) A global measure of perceived stress. J Health Soc Behav 24: pp.385-396を参照)にて測定した。次いで、IBS患者及び健常者ともに症状ダイアリーにて便通回数や腹痛等を記録し、IBS症状と自覚ストレスを28日間定量化した。IBS症状は、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、残便感、便意切迫感、いきみ、以上のそれぞれを1〜7のOrdinate scale、便性状スケールであるBristol Stool Form Scale(Gastroenterology, 1997, Vol.32, No.9, pp.920-924を参照)を1〜7型、排便頻度を実数で評価した。自覚ストレスは1〜7のordinate scaleで評価した。中間の症状悪化日もしくは不変日にIBS−SIとPSSを再検した。更に、最終日にIBS−SI、SIBSQ、GSRS、IBS−QOL、SF−36、STAI、SDS、PSS陰性情動を測定した。それぞれの評価項目について、IBS患者と健常者を比較した。
[結果]健常者に比較し、IBS患者は基線値のIBS−SI,SIBSQ、GSRS、IBS−QOL、SF−36、SDS、STAIが有意に高く(p<0.01)、腹痛も有意に高かった(p<0.01)。
(8)メタボローム解析
LC/MS(4000QTRAP)分析によって得られたクロマトグラムデータは、LC/MS/MSデータ解析ソフトAnalyst 1.4.2(AB SCIEX社)を用いて、ヒト尿中に認められた代謝物を特定し、ピーク面積値又はピーク強度を算出した。そして、これらのデータから、各代謝物ピークの質量数、溶出時間、ピークエリア値、ピーク強度値、代謝物名の情報を、Office Excel 2007(Microsoft社)に抽出した。
LC/MS(LCT Premier)分析によって得られたクロマトグラムデータは、2DICAL(三井情報株式会社)を用いて、2DICAL読み取り用データに変換し、全データのピークアライメントを行った。また、各測定極性モード(ポジティブ及びネガティブ)、精密質量数、溶出時間の情報を基に、代謝物ピークの同定を行った。そして、これらのデータから、各代謝物ピークの精密質量数、溶出時間、ピークエリア値、ピーク強度値をOffice Excel 2007に抽出した。
上記2種類のMS機器から得られたデータは、それぞれアレイ解析ソフトExpressionist Pro Analyst Ver5.1.4(Genedata社)及びOffice Excel 2007に入力し、健常者及びIBS患者間での各代謝物のピークエリア値やピーク強度値の変動比及びp値を算出した。
(9)統計解析
上記で得られたデータは統計解析ソフト、SPSS version21(IBM社)にて解析した。統計は健常者全員及びIBS患者全員、また、男女別での健常者及びIBS患者間等で,Welchのt検定を行い、p値が0.2未満、両群間で1.5倍以上又は0.67倍以下のシグナル値の変動比を示したピークを、バイオマーカー候補として、102ピークを選別した。得られた102ピークについて、Generalized Estimating Equation(GEE;一般化推定方程式)を適用し、群間差あるいは群間−時間変動交互作用がいずれもp<0.05を満たして有意なピークを抽出した。
IBS症状を従属変数、年齢、性別、PSS、薬剤、Generalized Estimating Equationにより有意なピークであった44ピークを独立変数とし、ステップワイズ法に基づいて重回帰分析を行った。
統計解析で得られた102ピークに,キノリン酸/キヌレン酸比、キノリン酸/キサンツレン酸比を含めて,GEE(SPSS version21(IBM社))を適用し、群間差あるいは群間−時間変動交互作用がいずれもp<0.05を満たしている有意なピーク及び比を抽出した。
[結果]
その結果、代謝物として公知の化合物のうち、IBSのバイオマーカーとして、下記表5に示す化合物が見出された。また、表5で示した29種のバイオマーカーが、IBSの男性患者及び女性患者でのどのように変動するかについて、表6に示した。また、キノリン酸/キヌレン酸比、キノリン酸/キサンツレン酸比の変動を健常者とIBS患者とで比較した結果を図1及び図2に示した。
また、IBSのバイオマーカーとして、下記表7、8及び9に示す通り、合計82種の構造未知の化合物が見出された。表7、8及び9で示した82種のバイオマーカーが、IBSの男性患者及び女性患者でのどのように変動するかについて、表10、11、及び12に示した。なお、表7〜9の中の元素組成は、データ解析ソフトにより提示された、MSの測定値から推定される候補組成式である。
本発明のバイオマーカーによれば、非侵襲的かつ簡便な方法で迅速かつ正確にIBSの診断を行うことができる。また、本発明によれば、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBSの型の判定、IBS治療の要否の判定、及びIBS治療薬の薬効確認に有用なバイオマーカーを提供することができる。さらに、本発明によれば、IBSの治療薬の創薬におけるスクリーニング方法、IBS患者に適した治療薬の選別方法、IBS診断薬、IBS診断用キット、IBS診断方法を提供することができる。

Claims (16)

  1. 0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、LC/MSで測定した際に得られるm/z値が、
    121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3であり(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)、
    過敏性腸症候群の罹患によりヒト尿中の含有量が変動する化合物であることを特徴とする、過敏性腸症候群診断用のバイオマーカー。
  2. LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器として4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
    カラム温度40℃;
    オートサンプラー温度4℃;
    測定用サンプルインジェクション量5μL;
    流速0.30mL/分;
    分析時間21分;及び
    移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)アセトニトリルのグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)、7〜14分(0/100)、14〜21分(100/0)、
    とした条件にて、
    遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
    を測定し、
    m/z値及び保持時間が、
    350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
    (ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
    である請求項1に記載のバイオマーカー。
  3. LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
    カラム温度40℃;
    オートサンプラー温度4℃;
    測定用サンプルインジェクション量5μL;
    流速0.30mL/分;
    分析時間17分;及び
    移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)0.1%(w/w)ギ酸メタノール溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
    の条件にて、
    遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
    を測定し、
    m/z値及び保持時間が、
    419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分
    (ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
    である請求項1に記載のバイオマーカー。
  4. LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
    カラム温度40℃;
    オートサンプラー温度4℃;
    測定用サンプルインジェクション量5μL;
    流速0.30mL/分;
    分析時間17分;及び
    移動相(A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、及び移動相(B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
    の条件にて、
    遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
    を測定し、
    m/z値及び保持時間が、
    192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
    (ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
    である請求項1に記載のバイオマーカー。
  5. 2−メチルブチリルグリシン、デヒドロエピアンドロステロンサルファート、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、キヌレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
  6. 2−メチルブチリルグリシン、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の治療薬のスクリーニング方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーの、過敏性腸症候群の診断薬の製造のための使用。
  9. 尿中の請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを定量することを特徴とする過敏性腸症候群の診断薬。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別することを特徴とする、薬剤の選別方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別するための該バイオマーカーの使用。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする過敏性腸症候群の診断用キット。
  13. 過敏性腸症候群の治療薬を、過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度に応じて選別するための請求項12に記載の診断用キット。
  14. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の診断方法。
  15. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定し、当該バイオマーカーのうち任意の2種以上のヒト尿中の濃度比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
  16. キノリン酸、キサンツレン酸及びキヌレン酸のヒト尿中の濃度を測定し、キノリン酸/キサンツレン酸比又はキノリン酸/キヌレン酸比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
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