JP2016085201A - 過敏性腸症候群の診断用バイオマーカー - Google Patents
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Abstract
Description
また、例えば、女性IBS患者の尿では、健常人と比較して、ノルエピネフリン、エピネフリン等のカテコールアミン及びコルチゾールが増加すること(非特許文献7参照)、IBS患者の尿では、健常人と比較して6−スルファトキシメラトニンの含有量に差があったこと(非特許文献8〜10参照)、IBS患者の血中セロトニンが健常者と比較して高く、尿中の5−HIAA(セロトニン代謝物)が健常者と比較して低かったこと(非特許文献11及び12参照)等が報告されている。
(1) 0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、LC/MSで測定した際に得られるm/z値が、
121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3であり(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)、
過敏性腸症候群の罹患によりヒト尿中の含有量が変動する化合物であることを特徴とする、過敏性腸症候群診断用のバイオマーカー。
(2) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器として4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間21分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)アセトニトリルのグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)、7〜14分(0/100)、14〜21分(100/0)、
とした条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(3) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)0.1%(w/w)ギ酸メタノール溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(4) LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、及び移動相(B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である前記(1)に記載のバイオマーカー。
(5) 2−メチルブチリルグリシン、デヒドロエピアンドロステロンサルファート、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、キヌレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
(6) 2−メチルブチリルグリシン、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の治療薬のスクリーニング方法。
(8) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーの、過敏性腸症候群の診断薬の製造のための使用。
(9) 尿中の前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを定量することを特徴とする過敏性腸症候群の診断薬。
(10) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別することを特徴とする、薬剤の選別方法。
(11) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別するための該バイオマーカーの使用。
(12) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする過敏性腸症候群の診断用キット。
(13) 過敏性腸症候群の治療薬を、過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度に応じて選別するための前記(12)に記載の診断用キット。
(14) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の診断方法。
(15) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定し、当該バイオマーカーのうち任意の2種以上のヒト尿中の濃度比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
(16) キノリン酸、キサンツレン酸及びキヌレン酸のヒト尿中の濃度を測定し、キノリン酸/キサンツレン酸比又はキノリン酸/キヌレン酸比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
本発明のバイオマーカーは、IBSの罹患、及びIBSの病状の程度に依存して、ヒト生体試料中の含有量が変動する物質を包含する。前記生体試料は、例えば、尿、血液、唾液、脳脊髄液等を用いることができるが、本発明においては、生体試料として、好ましくはヒト尿を用いる。
例えば、ザ・アメリカン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー、1996年、第91巻、第5号、906−913ページには、女性のIBS患者の尿中のカテコールアミン(ノルエピネフリン及びエピネフリン)及びコルチゾール濃度が、健常者と比較して高かったことが報告されている。しかしながら、カテコールアミンの尿中濃度は、褐色細胞腫、神経芽細胞腫、副腎髄質過形成、心不全、心筋梗塞、パーキンソン病、本態性高血圧、甲状腺機能低下症、総合失調症、うつ病、及び糖尿病等でも増加することが知られており(例えば、医学書院 医学大辞典(第2版)399頁を参照。)、ACTHの一種であるコルチゾールの尿中濃度は、クッシング症候群、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症等でも増加することが知られている。すなわち、尿中のカテコールアミン及びコルチゾールは、IBSのバイオマーカーとして特異性の高いものではない。
また、ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー、2010年、第61巻、第3号、295−300ページ、並びにPol Merkur Lekarski, 2009 May; 26(155): 440-3には、便秘性及び下痢性の女性IBS患者における、6−スルファトキシメラトニンの尿中濃度が、健常者の女性と比較して高かったことが報告されている。しかしながら、一方で、ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー、2009年、第60巻、別冊第3号、67−70ページには、便秘性及び下痢性のIBS患者(男性及び女性)の6−スルファトキシメラトニンの尿中濃度が、健常者と比較して低かったことが報告されている。上記文献の結果に整合性がないことから、6−スルファトキシメラトニンをIBSのバイオマーカーとして用いるには、課題があることが分かる。
Pol Merkur Lekarski, 2007 May; 22(131): 366-8及びScott Med J, 2005 Feb; 50(1): 27-9.には、IBS患者の血中セロトニンが健常者と比較して高く、尿中の5−HIAA(セロトニン代謝物)が健常者と比較して低かったこと、IBS患者ではセロトニン代謝能が低下する可能性が報告されている。しかしながら、セロトニンの代謝量を決定するためには、血中セロトニンの量と尿中の5−HIAAの量を比較する必要があり、非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断に用いるには不十分である。
このように、いくつかの物質について、IBS患者と健常人における尿中の含有量に差が認められたことが報告されているが、非侵襲的で簡便、迅速かつ正確なIBS診断の実施が可能となるバイオマーカーについては、未だ知られていなかった。
本発明のバイオマーカーは、ヒト尿中に含まれ、後記する条件におけるLC/MSの分析により検出され、さらに、ヒト尿中における含有量がIBSの罹患又はIBSの病状の程度に依存して変動するものであれば、特に限定されない。
121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)であり、IBSの罹患により尿中の含有量が変動する化合物を包含する。
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:21分、
移動相(A):0.1%ギ酸水溶液、
移動相(B):アセトニトリル、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)→7〜14分(0/100)→14〜21分(100/0)、
極性:ポジティブ、ネガティブ、
スキャンタイプ:MRM、
イオン化方法:ESI(エレクトロスプレーイオン)法、
ソース温度:400℃、
なお、上記グラジエント条件において、例えば、『0〜7分(100/0)→7〜14分(0/100)→14〜21分(100/0)』との記載は、分析時間の開始(0分)から7分間は移動相(A)が100%(v/v)であり移動相(B)が0%(v/v)の条件で送液し、分析開始後7分から14分までは移動相(A)が0%(v/v)であり移動相(B)が100%(v/v)の条件で送液し、分析開始後14分から21分まで移動相(A)が100%(v/v)であり移動相(B)が0%(v/v)の条件で送液することを表す。本明細書において、以下同様である。
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:LCT Premier(ウォーターズ社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:17分、
移動相(A):0.1%ギ酸水溶液、
移動相(B):0.1%ギ酸メタノール溶液、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)→4〜4.5分(30/70)→4.5〜10分(2/98)→10〜17分(100/0)、
極性:ポジティブ、
アナライザー:Vモード、
キャピラリー:2300V、
サンプルコーン:30V、
脱溶媒温度:350℃、
ソース温度:120℃、
コーンガス流量:50L/h、
脱溶媒ガス流量:800L/h
LCカラム:ACQUITY UPLC BEH C18
(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)、
LC/MS機器:LCT Premier(ウォーターズ社製)を装着した
LC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)、
カラム温度:40℃、
オートサンプラー温度:4℃、
測定用サンプルインジェクション量:5μL、
流速:0.30mL/分、
分析時間:17分、
移動相(A):6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、
移動相(B):6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液、
グラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)→4〜4.5分(30/70)→4.5〜10分(2/98)→10〜17分(100/0)、
極性:ネガティブ、
アナライザー:Vモード、
キャピラリー:2200V、
サンプルコーン:70V、
脱溶媒温度:200℃、
ソース温度:100℃、
コーンガス流量:50L/h、
脱溶媒ガス流量:200L/h
350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する )
である化合物であってもよい。
419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である化合物であってもよい。
192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である化合物であってもよい。
また、バイオマーカーの測定値を、基準値と比較することにより、IBS罹患の有無の判定、IBSの重症度の判定、IBSの型の判定、IBS治療の要否の判定等を行ってもよい。前記「基準値」とは、RomeIII(ローマ・スリー)に基づいて医師が診断し、器質的疾患及び精神疾患がなく、かつ消化器症状もまったくない者と判断された健常者のバイオマーカーの測定値を用いることができる。
本発明において、前記ベンゾジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、アルプラゾラム、オキサゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラム、クロラゼプ酸二カリウム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、トフィソパム、トリアゾラム、プラゼパム、フルジアゼパム、フルタゾラム、フルトプラゼパム、ブロマゼパム、メキサゾラム、メダゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパムが挙げられる。
本発明において、前記チエノジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、エチゾラム、クロチアゼパムが挙げられる。
本発明において、前記非ベンゾジアゼピン系抗不安薬としては、例えば、クエン酸タンドスピロン、塩酸ヒドロキシルジンが挙げられる。
本発明において、前記CRF拮抗薬としては、例えば、ペクサセルフォント、ベルセルフォント、エミセルフォント、E−2508、ONO−2333が挙げられる。
本発明において、前記ニューロキニン−1拮抗薬としては、例えば、アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミンが挙げられる。
本発明において、前記三環系抗うつ薬としては、例えば、塩酸アミトリプチリン、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸ドスレピン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ロフェプラミン、マレイン酸トリミプラミン、アモキサピンが挙げられる。
本発明において、前記四環系抗うつ薬としては、例えば、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリンが挙げられる。
本発明において、前記モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬としては、例えば、塩酸サフラジンが挙げられる。
本発明において、前記トリアゾロピリジン系抗うつ薬としては、例えば、塩酸トラゾドンが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)としては、例えば、塩酸ミルナシプラン、塩酸デュロキセチン、塩酸ベンラファキシンが挙げられる。
本発明において、前記選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)としては、例えば、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、塩酸フルオキセチン、塩酸シタロプラム、シュウ酸エスシタロプラムが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン再取り込み阻害薬としては、例えば、塩酸トラゾドンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドレナリン再取り込み阻害薬としては、例えば、アトモキセチンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬としては、例えば、ミルタザピンが挙げられる。
本発明において、前記ノルアドナリン及びドパミン脱抑制薬としては、例えば、アゴメラチンが挙げられる。
本発明において、前記選択的セロトニン再取り込み促進薬としては、例えば、チアネプチンが挙げられる。
本発明において、前記N−メチル−D−アスパルタート受容体阻害薬としては、例えば、メマンチンが挙げられる。
本発明において、前記グリシントランスポーター阻害薬としては、例えば、ビトペルチン、ORG25935が挙げられる。
本発明において、前記ドパミン前駆物質としては、例えば、レボドパが挙げられる。
本発明において、前記ドパミン受容体作動薬としては、例えば、ブロモグリプチンが挙げられる。
本発明において、前記COMT阻害薬としては、例えば、エンタカポン、オピカポンが挙げられる。
本発明において、前記コリンエステラーゼ阻害薬としては、例えば、ドネペジル、リバスチグミンが挙げられる。
本発明において、前記ニューロテンシン拮抗薬としては、例えば、SR48692が挙げられる。
本発明において、前記抗コリン薬としては、例えば、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、臭化イプラトロピウム、臭化メペンゾラートが挙げられる。
本発明において、前記セロトニン・ドパミン拮抗薬としては、例えば、リスペリドン、パリペリドン、塩酸ペロスピロン水和物、フマル酸クエチアピン、オランザピンが挙げられる。
本発明において、前記抗てんかん薬としては、例えば、フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、クロナゼパム、レベチラセタム、トピラマート、ラモトリキンが挙げられる。
本発明において、前記抗めまい薬としては、例えば、ジフェニドール、ベタヒスチンが挙げられる。
本発明において、前記消化管機能調整薬としては、例えば、マレイン酸トリメブチン、ポリカルボフィルカルシウムが挙げられる。
本発明において、前記ヒスタミンH2受容体拮抗薬としては、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラフチジンが挙げられる。
本発明において、前記プロトンポンプ阻害薬としては、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールが挙げられる。
本発明において、前記ムスカリン受容体拮抗薬としては、例えば、ピレンゼピンが挙げられる。
本発明において、前記防御因子増強薬としては、例えば、ゲファルナート、テプレノン、スクラルファート、アルジオキサ、塩酸セトラキサート、オルノプロスチルが挙げられる。
本発明において、前記プロスタグランジン誘導体としては、例えば、オルノプロスチル、ミソプロストールが挙げられる。
本発明において、前記オピオイドμ受容体作動及びオピオイドδ受容体拮抗薬としては、例えば、エルキサドリンが挙げられる。
本発明において、前記オピオイド作動薬としては、例えば、アシマドリン、ナルフラフィンが挙げられる。
本発明において、前記5−HT4作動薬としては、例えば、テガセロド、シサプリド、クエン酸モサプリドが挙げられる。
本発明において、前記5−HT3拮抗薬としては、例えば、ラモセトロン、アロセトロン、シランセトロンが挙げられる。
本発明において、前記クロライドチャネル活性化薬としては、例えば、ルビプロストンが挙げられる。
本発明において、前記グアニル酸シクラーゼ作動薬としては、例えば、リナクロチドが挙げられる。
本発明において、前記膨張性下剤としては、例えば、メチルセルロース、カルメロース、ラクツロースが挙げられる。
本発明において、前記塩類下剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムが挙げられる。
本発明において、前記刺激性下剤としては、例えば、ピコスルファート、ラクツロース、ヒマシ油、センナ、大黄が挙げられる。
本発明において、前記親和性ポリアクリル樹脂としては、例えば、ポリカルボフィルカルシウムが挙げられる。
(1)被験者:IBS患者25名(男性15名、女性10名)及び健常者25名(男性15名、女性10名)を対象とした。対象者の年齢層は、男性健常者18〜55歳、男性IBS患者17〜54歳、女性健常者18〜48歳、女性IBS患者17〜48歳であった。なお、本試験は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得るとともに、すべての対象者から文書による同意を得た。
(2)患者の分類基準:IBS患者への分類は、医師がRomeIII基準に基づいて行った。一方、健常者は、器質的疾患及び精神疾患がなく、かつ消化器症状もまったくない者と医師が診断して分類した。
(3)採尿方法、処理方法:下記に示す採尿ポイント毎に、被験者により採尿カップにて採取した随時尿は、採尿専用サンプルチューブに採取(約10mL/回)し、調製まで冷凍保存した。
(4)採尿ポイント:IBS患者及び健常者ともに下記の採尿日に、朝食後から昼食前までの時間に尿を任意で採取した。
(A)試験参加への同意当日
(B)(A)〜(D)の期間中に、消化器症状が悪化したと自己評価した日
(C)(A)〜(D)の期間中に、(B)よりさらに消化器症状が悪化したと自己評価した日
(D)(A)の同意日から1ヶ月後の受診日
(5)ヒト試料の調製:凍結保存したヒト試料を4℃の冷蔵庫で溶解し、50mLサンプリングチューブ(日本ベクトンディッキンソン社)に移し、撹拌後、冷却遠心機で、4℃、2500rpmにて15分間遠心分離を行った。この上清250μLをサンプリングチューブ(BIO−BIK社)にとり、ヒト試料希釈溶液(0.09%アジ化ナトリウム添加0.1%ギ酸水溶液)750μLを添加撹拌した溶液をLC/MS測定用サンプルとした。
[LC測定条件1]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)0.1%ギ酸水溶液
B)アセトニトリル
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
・流速:0.30mL/分
・分析時間:21分
・MS機器:4000QTRAP(AB SCIEX社)
・極性:ポジティブ、ネガティブ
[LC測定条件2]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)0.1%ギ酸水溶液
B)0.1%ギ酸メタノール溶液
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
・流速:0.35mL/分
・分析時間:17分
・MS機器:4000QTRAP、LCT Premier(Waters社)
・極性:ポジティブ
[LC測定条件3]
・使用機器:ACQUITY UPLC(Waters社)
・カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm)(Waters社)
・カラム温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相:A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液
B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%メタノール水溶液
・測定用サンプルインジェクション量:5μL
・移動相A/Bのグラジエント条件
・流速:0.35mL/分
・分析時間:17分
・MS機器:4000QTRAP,LCT Premier
・極性:ネガティブ
[MS測定条件1]
・MS機器:4000QTRAP
・極性:ポジティブ,ネガティブ
・スキャンタイプ:MRM
・イオン化方法:ESI(エレクトロスプレーイオン)法
・ソース温度:400℃
[MS測定条件2]
・MS機器:LCT Premier
・極性:ポジティブ
・アナライザー:Vモード
・キャピラリー:2300V
・サンプルコーン:30V
・脱溶媒温度:350℃
・ソース温度:120℃
・コーンガス流量:50L/h
・脱溶媒ガス流量:800L/h
[MS測定条件3]
・MS機器:LCT Premier
・極性:ネガティブ
・アナライザー:Vモード
・キャピラリー:2200V
・サンプルコーン:70V
・脱溶媒温度:200℃
・ソース温度:100℃
・コーンガス流量:50L/h
・脱溶媒ガス流量:200L/h
最初にIBS症状の重症度をIBS Severity Index(IBS−SI:Aliment Pharmacol Ther 1997; 11: pp.395-402を参照)、IBS症状の性質をSelf−reported IBS Questionnaire(SIBSQ:Journal of Clinical Gastroenterology, 2008, Vo.42, No.9, pp.1010-6を参照)、全般的消化器症状をGastrointestinal Symptoms Rating Scale(GSRS:Digestive Diseases and Sciences, 1988, Vol.33, No.2, pp.129-134を参照)、IBSに関係する疾患特異的QOLをIBS−quality of life(IBS−QOL:Digestive Diseases and Sciences, 1998, Vol.43, No.2, pp.400-411を参照)、全般的QOLをMedical Outcome Study 36−item Short Form Health Survey(SF−36:Journal of Clinical Epidemiology, 1998, Vol.51, pp.1045-53を参照)、不安をState Trait Anxiety Inventory(STAI:Perceptual and motor skills, Vol.69, pp.611-617を参照)、抑うつをSelf−rating Depression Scale(SDS:Biopsychosocial Medicine, 2008, Vol.2, No.20、及びZung WW: A Self-Rating Depression Scale. Arch Gen Psychiatry 1965, 12:63-70を参照)、自覚ストレスをPerceived Stress Scale(PSS:PLOS one, 2012, Vol.7, No.9, e42450、及びCohen S, Kamarck T, Mermelstein R (1983) A global measure of perceived stress. J Health Soc Behav 24: pp.385-396を参照)にて測定した。次いで、IBS患者及び健常者ともに症状ダイアリーにて便通回数や腹痛等を記録し、IBS症状と自覚ストレスを28日間定量化した。IBS症状は、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、残便感、便意切迫感、いきみ、以上のそれぞれを1〜7のOrdinate scale、便性状スケールであるBristol Stool Form Scale(Gastroenterology, 1997, Vol.32, No.9, pp.920-924を参照)を1〜7型、排便頻度を実数で評価した。自覚ストレスは1〜7のordinate scaleで評価した。中間の症状悪化日もしくは不変日にIBS−SIとPSSを再検した。更に、最終日にIBS−SI、SIBSQ、GSRS、IBS−QOL、SF−36、STAI、SDS、PSS陰性情動を測定した。それぞれの評価項目について、IBS患者と健常者を比較した。
[結果]健常者に比較し、IBS患者は基線値のIBS−SI,SIBSQ、GSRS、IBS−QOL、SF−36、SDS、STAIが有意に高く(p<0.01)、腹痛も有意に高かった(p<0.01)。
LC/MS(4000QTRAP)分析によって得られたクロマトグラムデータは、LC/MS/MSデータ解析ソフトAnalyst 1.4.2(AB SCIEX社)を用いて、ヒト尿中に認められた代謝物を特定し、ピーク面積値又はピーク強度を算出した。そして、これらのデータから、各代謝物ピークの質量数、溶出時間、ピークエリア値、ピーク強度値、代謝物名の情報を、Office Excel 2007(Microsoft社)に抽出した。
LC/MS(LCT Premier)分析によって得られたクロマトグラムデータは、2DICAL(三井情報株式会社)を用いて、2DICAL読み取り用データに変換し、全データのピークアライメントを行った。また、各測定極性モード(ポジティブ及びネガティブ)、精密質量数、溶出時間の情報を基に、代謝物ピークの同定を行った。そして、これらのデータから、各代謝物ピークの精密質量数、溶出時間、ピークエリア値、ピーク強度値をOffice Excel 2007に抽出した。
上記2種類のMS機器から得られたデータは、それぞれアレイ解析ソフトExpressionist Pro Analyst Ver5.1.4(Genedata社)及びOffice Excel 2007に入力し、健常者及びIBS患者間での各代謝物のピークエリア値やピーク強度値の変動比及びp値を算出した。
上記で得られたデータは統計解析ソフト、SPSS version21(IBM社)にて解析した。統計は健常者全員及びIBS患者全員、また、男女別での健常者及びIBS患者間等で,Welchのt検定を行い、p値が0.2未満、両群間で1.5倍以上又は0.67倍以下のシグナル値の変動比を示したピークを、バイオマーカー候補として、102ピークを選別した。得られた102ピークについて、Generalized Estimating Equation(GEE;一般化推定方程式)を適用し、群間差あるいは群間−時間変動交互作用がいずれもp<0.05を満たして有意なピークを抽出した。
統計解析で得られた102ピークに,キノリン酸/キヌレン酸比、キノリン酸/キサンツレン酸比を含めて,GEE(SPSS version21(IBM社))を適用し、群間差あるいは群間−時間変動交互作用がいずれもp<0.05を満たしている有意なピーク及び比を抽出した。
その結果、代謝物として公知の化合物のうち、IBSのバイオマーカーとして、下記表5に示す化合物が見出された。また、表5で示した29種のバイオマーカーが、IBSの男性患者及び女性患者でのどのように変動するかについて、表6に示した。また、キノリン酸/キヌレン酸比、キノリン酸/キサンツレン酸比の変動を健常者とIBS患者とで比較した結果を図1及び図2に示した。
Claims (16)
- 0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液で希釈したヒト尿を、LC/MSで測定した際に得られるm/z値が、
121.1、130.0、130.1、133.1、149.0、152.0、156.1、159.2、162.1、166.0、168.1、169.3、170.1、175.1、180.8、181.0、181.2、182.1、182.3、189.2、192.0、196.2、197.0、198.1、205.1、205.2、210.1、212.1、216.1、217.1、221.4、226.1、226.4、244.4、247.5、248.1、251.3、259.2、260.1、260.2、264.3、267.3、268.2、271.2、280.1、283.0、283.2、284.2、286.2、291.2、292.0、292.5、295.1、296.2、298.1、299.0、300.5、301.6、302.7、306.0、313.6、320.1、325.2、325.6、326.4、327.2、328.4、340.1、342.1、344.2、344.4、345.3、346.2、350.4、352.5、356.5、358.5、361.2、364.1、366.5、368.5、370.5、381.3、388.2、389.3、392.1、402.2、406.1、419.9、420.1、424.1、430.1、444.2、446.1、458.1、462.1、469.3、474.2、503.3、504.2、526.2、537.2、558.2、562.2、562.3又は601.3であり(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有する)、
過敏性腸症候群の罹患によりヒト尿中の含有量が変動する化合物であることを特徴とする、過敏性腸症候群診断用のバイオマーカー。 - LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×150mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器として4000QTRAP(AB SCIEX社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間21分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)アセトニトリルのグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜7分(100/0)、7〜14分(0/100)、14〜21分(100/0)、
とした条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
350.4及び4.4分、264.3及び3.9分、251.3及び1.6分、283.2及び1.7分、267.3及び1.7分、268.2及び1.6分、205.2及び2.6分、189.2及び2.7分、356.5及び4.4分、356.5及び4.7分、358.5及び5.2分、326.4及び4.1分、352.5及び5.1分、328.4及び3.1分、366.5及び4.4分、344.4及び3.8分、370.5及び5.0分、166.0及び0.6分、149.0及び0.7分、325.2及び4.1分、152.0及び1.6分、133.1及び0.7分、217.1及び1.0分、168.1及び1.7分、181.1及び1.0分又は197.0及び1.7分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である請求項1に記載のバイオマーカー。 - LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)0.1%(w/w)ギ酸水溶液、及び移動相(B)0.1%(w/w)ギ酸メタノール溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
419.9及び0.6分、198.1及び1.3分、121.1及び1.5分、226.4及び1.6分、221.4及び1.7分、182.3及び1.8分、299.0及び1.8分、364.1及び1.8分、430.1及び1.8分、462.1及び1.8分、216.1及び1.9分、175.1及び2.0分、169.3及び2.1分、291.2及び2.1分、212.1及び2.2分、280.1及び2.2分、283.0及び2.2分、406.1及び2.2分、156.1及び2.3分、295.1及び2.3分、180.8及び2.4分、181.2及び2.4分、260.1及び2.4分、392.1及び2.4分、458.1及び2.4分、170.1及び2.5分、286.2及び2.5分、300.5及び2.5分、601.3及び2.5分、159.2及び2.6分、226.1及び2.6分、320.1及び2.6分、406.1及び2.7分、420.1及び2.7分、558.2及び2.8分、537.2及び2.9分、280.1及び3.1分、526.2及び3.3分、244.4及び3.5分、284.2及び3.6分、298.1及び3.8分、388.2及び3.8分、474.2及び3.8分、444.2及び3.9分、259.2及び4.0分、292.5及び4.0分、562.3及び4.0分、248.1及び4.1分、504.2及び4.1分、325.2及び4.2分、325.6及び4.2分、446.1及び4.2分、424.1及び4.3分、301.6及び4.4分、302.7及び4.4分、313.6及び4.5分、562.2及び4.5分、503.3及び4.6分、247.5及び4.7分、271.2及び4.7分、345.3及び4.7分、327.2及び4.8分、381.3及び4.8分又は、469.3及び5.1分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である請求項1に記載のバイオマーカー。 - LCカラムとしてACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1mm×100mm;ウォーターズ(Waters)社製)を装着させ、MS機器としてLCT Premier(ウォーターズ社製)を装着させたLC/MS(ACQUITY UPLC、ウォーターズ社製)にて、
カラム温度40℃;
オートサンプラー温度4℃;
測定用サンプルインジェクション量5μL;
流速0.30mL/分;
分析時間17分;及び
移動相(A)6.5mM炭酸水素アンモニウム水溶液、及び移動相(B)6.5mM炭酸水素アンモニウム95%(w/v)メタノール水溶液のグラジエント条件(A/B(v/v%)):0〜4分(100/0)、4〜4.5分(30/70)、4.5〜10分(2/98)、10〜17分(100/0)、
の条件にて、
遠心機で4℃及び2500rpmの条件で15分間遠心分離を行ったヒト尿の上清250μLを、0.09%(w/w)アジ化ナトリウムを添加した0.1%(w/w)ギ酸水溶液750μLと混合した混合液
を測定し、
m/z値及び保持時間が、
192.0及び0.6分、196.2及び0.6分、182.1及び0.7分、210.1及び0.7分、292.0及び0.7分、306.0及び0.7分、130.0及び0.8分、205.1及び0.9分、342.1及び1.2分、162.1及び1.5分、260.2及び1.8分、340.1及び2.1分、130.1及び2.2分、296.2及び2.6分、346.2及び3.8分、344.2及び4.2分、402.2及び4.3分、361.2及び4.4分、368.5及び4.8分又は、389.3及び5.0分
(ただし、前記m/z値は、±0.1の誤差範囲を含有し、前記保持時間は±0.1分の誤差範囲を含有する)
である請求項1に記載のバイオマーカー。 - 2−メチルブチリルグリシン、デヒドロエピアンドロステロンサルファート、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、キヌレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
- 2−メチルブチリルグリシン、11−デヒドロ−トロンボキサンB2、エストロンサルファート、2’−デオキシアデノシン、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、イノシン、キサンツレン酸、8−イソ−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンF1α、13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF1α、2,3−ジノル−11β−プロスタグランジンF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジンD2、テトラノル−プロスタグランジンD メタボライト、11−デヒドロ−トロンボキサンB3、2,3−ジノル−トロンボキサンB1、トロンボキサンB2、キノリン酸、キシロース、2,3−ジノル−8−イソ−プロスタグランジンF2α、ゲンチジン酸、グリシルグリシン、N−アセチルアルギニン、3−メトキシチラミン、ホモバニリン酸及びバニリルマンデル酸からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の治療薬のスクリーニング方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーの、過敏性腸症候群の診断薬の製造のための使用。
- 尿中の請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを定量することを特徴とする過敏性腸症候群の診断薬。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別することを特徴とする、薬剤の選別方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーを測定することによって過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度を判断し、患者に適した薬剤を選別するための該バイオマーカーの使用。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする過敏性腸症候群の診断用キット。
- 過敏性腸症候群の治療薬を、過敏性腸症候群の種類及び/又は重症度に応じて選別するための請求項12に記載の診断用キット。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定する工程を含む、過敏性腸症候群の診断方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイオマーカーのヒト尿中の濃度を測定し、当該バイオマーカーのうち任意の2種以上のヒト尿中の濃度比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
- キノリン酸、キサンツレン酸及びキヌレン酸のヒト尿中の濃度を測定し、キノリン酸/キサンツレン酸比又はキノリン酸/キヌレン酸比を算出することを特徴とする、過敏性腸症候群の診断方法。
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