JP2016081645A - 二次電池用電解液、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 - Google Patents

二次電池用電解液、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 Download PDF

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Ryohei Tsuda
遼平 津田
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Abstract

【課題】優れた電池特性を得ることが可能な二次電池を提供する。【解決手段】二次電池は、正極と、負極と、X−CY1Y2−CY3=CY4Y5で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液とを備える。Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。【選択図】図1

Description

本技術は、二次電池に用いられる電解液、その電解液を用いた二次電池、ならびにその二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器に関する。
近年、携帯電話機および携帯情報端末機器(PDA)などの多様な電子機器が広く普及しており、その電子機器のさらなる小型化、軽量化および長寿命化が要望されている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、他の用途への適用も検討されている。一例を挙げると、電子機器などに着脱可能に搭載される電池パック、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システム、および電動ドリルなどの電動工具である。
電池容量を得るためにさまざまな充放電原理を利用する二次電池が提案されているが、中でも、電極反応物質の吸蔵放出を利用する二次電池、および電極反応物質の析出溶解を利用する二次電池が注目されている。これらの二次電池では、鉛電池およびニッケルカドミウム電池などよりも高いエネルギー密度が得られるからである。
二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えている。この電解液の組成は、電池特性に大きな影響を及ぼすため、その電解液の組成に関しては、さまざまな検討がなされている。
具体的には、充電/放電特性などを改善するために、電解液の添加剤として、アリルペンタフルオロベンゼンなどの芳香族化合物が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2009−512148号公報
上記した電子機器などは高性能化および多機能化していると共に、その電子機器などの使用頻度は増加しているため、二次電池は頻繁に充放電される傾向にある。よって、二次電池の電池特性に関しては、未だ改善の余地がある。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池特性を得ることが可能な二次電池用電解液、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器を提供することにある。
本技術の二次電池用電解液は、下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含むものである。
Figure 2016081645
(Xは、炭素(C)と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基(−H)、フッ素基(−F)、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
ここで、「任意の元素」とは、炭素以外の元素であり、例えば、水素(H)、フッ素(F)および酸素(O)などである。
「1価の炭化水素基」とは、炭素および水素により構成される1価の基の総称である。この1価の炭化水素基は、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を含む分岐状でもよい。また、1価の炭化水素基は、不飽和結合を含んでいない飽和炭化水素基でもよいし、1または2以上の不飽和結合を含む不飽和炭化水素基でもよい。この不飽和結合は、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(−C≡C−)のうちの一方または双方である。
「1価のフッ素化炭化水素基」とは、上記した1価の炭化水素基のうちの少なくとも1つの水素基がフッ素基により置換された基である。このため、1価のフッ素化水素基に含まれるフッ素基の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
本技術の二次電池は、正極と、負極と、電解液とを備え、その電解液が上記した本技術の二次電池用電解液と同様の構成を有するものである。
本技術の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器のそれぞれは、二次電池を備え、その二次電池が上記した本技術の二次電池と同様の構成を有するものである。
本技術の二次電池用電解液または二次電池によれば、電解液が上記したフッ素化化合物を含んでいるので、優れた電池特性を得ることができる。また、本技術の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器のそれぞれにおいても、同様の効果を得ることができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるわけではなく、本技術中に記載されたいずれの効果であってもよい。
本技術の一実施形態の二次電池(円筒型)の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部の構成を表す断面図である。 本技術の一実施形態の他の二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 二次電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表す斜視図である。 図5に示した電池パックの構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電池パック:組電池)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電力貯蔵システム)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。 試験用の二次電池(コイン型)の構成を表す断面図である。
以下、本技術の実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池用電解液
2.二次電池
2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)
2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)
2−3.リチウム金属二次電池
3.二次電池の用途
3−1.電池パック(単電池)
3−2.電池パック(組電池)
3−3.電動車両
3−4.電力貯蔵システム
3−5.電動工具
<1.二次電池用電解液>
まず、本技術の一実施形態の二次電池用電解液に関して説明する。
[電解液の概要]
ここで説明する二次電池用電解液(以下、単に「電解液」という。)は、例えば、二次電池などに用いられる。ただし、電解液が用いられる用途は、二次電池に限定されない。
[フッ素化化合物]
電解液は、下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
Figure 2016081645
(Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
電解液がフッ素化化合物を含んでいるのは、その電解液の化学的安定性が向上するからである。これにより、電解液を用いた二次電池では、充放電を繰り返しても電解液の分解反応が抑制されるため、放電容量が低下しにくくなる。
フッ素化化合物は、式(1)に示したように、1価の骨格(X)と、その骨格に導入された1価の置換基(−CY1Y2−CY3=CY4Y5)とを含んでいる。この1価の置換基は、アリル型の構造を有しているため、1つの炭素間二重結合(>C=C<)を含んでいる。
Y1〜Y5のそれぞれは、上記したように、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。ただし、Y1〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上がフッ素基であることを条件とする。この条件を満たす限り、Y1〜Y5のそれぞれの種類に依存せずに、上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られるからである。
「1価の炭化水素基」とは、上記したように、炭素および水素により構成される1価の基の総称である。この1価の炭化水素基は、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を含む分岐状でもよい。また、1価の炭化水素基は、不飽和結合を含んでいない飽和炭化水素基でもよいし、1または2以上の不飽和結合を含む不飽和炭化水素基でもよい。この不飽和結合は、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(−C≡C−)のうちの一方または双方である。
1価の炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基およびそれらの2種類以上が1価となるように結合された基(以下、単に「結合基」という。)のうちのいずれかである。
アルキル基の具体例は、メチル基(−CH3 )、エチル基(−C2 5 )、プロピル基(−C3 7 )、n−ブチル基(−C4 8 )およびt−ブチル基(−C(CH3 2 −CH3 )などである。アルケニル基の具体例は、ビニル基(−CH=CH2 )およびアリル基(−CH2 −CH=CH2 )などである。アルキニル基の具体例は、エチニル基(−C≡CH)などである。シクロアルキル基の具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基などである。アリール基の具体例は、フェニル基およびナフチル基などである。
結合基は、例えば、アルキル基とアルケニル基とが結合された基、アルキル基とアルキニル基とが結合された基、およびアルケニル基とアルキニル基とが結合された基などである。また、結合基は、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかとシクロアルキル基とが結合された基、ならびにアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかとアリール基とが結合された基などである。
「1価のフッ素化炭化水素基」とは、上記したように、1価の炭化水素基のうちのいずれか1つまたは2つ以上の水素基がフッ素基により置換された基である。このため、1価のフッ素化水素基に含まれるフッ素基の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
1価のフッ素化炭化水素基は、例えば、フッ素化アルキル基、フッ素化アルケニル基、フッ素化アルキニル基、フッ素化シクロアルキル基、フッ素化アリール基およびそれらの2種類以上が1価となるように結合された基(以下、単に「フッ素化結合基」という。)のうちのいずれかである。
フッ素化アルキル基の具体例は、フルオロメチル基(−CH2 F)、ジフルオロメチル基(−CHF2 )、パーフルオロメチル基(−CF3 )、パーフルオロエチル基(−C2 5 )、パーフルオロプロピル基(−C3 7 )、n−パーフルオロブチル基(−C4 8 )およびt−パーフルオロブチル基(−C(CF3 2 −CF3 )などである。フッ素化アルケニル基の具体例は、パーフルオロビニル基(−CF=CF2 )およびパーフルオロアリル基(−CF2 −CF=CF2 )などである。フッ素化アルキニル基の具体例は、パーフルオロエチニル基(−F≡CF)などである。フッ素化シクロアルキル基の具体例は、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロヘプチル基およびパーフルオロシクロオクチル基などである。フッ素化アリール基の具体例は、パーフルオロフェニル基およびパーフルオロナフチル基などである。
フッ素化結合基は、例えば、上記した結合基のうちのいずれか1つまたは2つ以上の水素基がフッ素基により置換された基である。
1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のそれぞれの炭素数は、特に限定されない。炭素数に依存せずに、上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られるからである。
中でも、炭素数は、極端に多すぎないことが好ましい。フッ素化化合物の溶解性および相溶性などが向上するからである。具体的には、アルキル基およびフッ素化アルキル基のそれぞれの炭素数は、1〜4であることが好ましい。アルケニル基、アルキニル基、フッ素化アルケニル基およびフッ素化アルキニル基のそれぞれの炭素数は、2〜4であることが好ましい。シクロアルキル基、アリール基、フッ素化シクロアルキル基およびフッ素化アリール基のそれぞれの炭素数は、6〜12であることが好ましい。
ここで、上記したように、Y1〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上は、フッ素基である。電解液の化学的安定性が十分に向上するため、上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られるからである。これに対して、Y1〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上がフッ素基でないと、電解液の化学的安定性が十分に向上しないため、二次電池の充放電を繰り返すと、電解液の分解反応が発生しやすくなる。
なお、「Y1〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上はフッ素基である」とは、以下のことを意味している。
フッ素化化合物の一部である1価の置換基は、アリル型の構造を有している。このため、1価の置換基は、アリル型の構造を形成する3つの炭素原子(以下、「特定炭素原子」という。)を含んでいる。この3つの特定炭素原子とは、Y1およびY2のそれぞれが結合されている1つ目の特定炭素原子と、Y3が結合されている2つ目の特定炭素原子と、Y4およびY5のそれぞれが結合されている3つ目の特定炭素原子とである。
ここで、1つのフッ素基(フッ素原子)に着目した場合、そのフッ素原子は、3つの特定炭素原子のうちのいずれかに対して直接的に結合されている。すなわち、フッ素原子は、他の原子を介さずに特定炭素原子に結合されているため、そのフッ素原子と特定炭素原子との間には、フッ素−炭素(F−C)結合が形成されている。
これに対して、1つの1価のフッ素化炭化水素基に着目した場合、その1価のフッ素化炭化水素基が特定炭素原子に対して直接的に結合されていても、「Y1〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上はフッ素基である」という条件を満たさない。1価のフッ素化炭化水素基中のフッ素原子が直接的に結合されている原子は、アリル型の構造を形成している特定炭素原子でなく、1価のフッ素化炭化水素基中の炭素原子、すなわちアリル型の構造を形成していない炭素原子だからである。
Y1〜Y5のうち、Y3〜Y5のうちのいずれか1つまたは2つ以上は、フッ素基であることが好ましい。Y3〜Y5のそれぞれは、不飽和結合(炭素間二重結合)を形成している特定炭素原子に結合されているため、電解液の化学的安定性がより向上するからである。中でも、Y3〜Y5のうちの全ては、フッ素基であることがより好ましい。より高い効果が得られるからである。
この場合には、Y1〜Y5のうちの全ては、フッ素基であることがより好ましい。さらに高い効果が得られるからである。
Xは、上記したように、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基であれば、特に限定されない。フッ素化化合物の特徴は、主に、アリル型の構造を有する1価の置換基であるため、Xの種類に大きく依存せずに、上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られるからである。
「任意の元素」とは、上記したように、炭素以外の元素であり、例えば、水素、フッ素および酸素などである。この他、任意の元素は、例えば、窒素(N)および硫黄(S)などでもよい。
このXは、例えば、炭素と水素とにより構成される基(炭化水素基)でもよいし、炭素とフッ素とにより構成される基(パーフルオロ炭化水素基)でもよいし、炭素と水素とフッ素とにより構成される基(部分的にフッ素化された炭化水素基)でもよい。また、Xは、例えば、炭素と水素と酸素とにより構成される基でもよいし、炭素とフッ素と酸素とにより構成される基でもよいし、炭素と水素とフッ素と酸素とにより構成される基でもよい。
なお、Xは、直鎖状の基でもよいし、1または2以上の側鎖を含む分岐状の基でもよいし、1または2以上の環を含む環状の基でもよいし、それらの2種類以上を含む基でもよい。この環は、例えば、芳香族環および非芳香族環のうちのいずれか1種類または2種類以上である。芳香族環は、芳香族炭化水素環および複素芳香族環のうちの一方または双方である。
Xに含まれる2以上の環のうち、隣り合う2つの環は、縮合されていてもよいし、単結合を介して連結されていてもよい。より具体的には、2つの芳香族炭化水素環(ベンゼン)を例に挙げると、隣り合う2つのベンゼンは、縮合されることで、縮合環であるナフタレンを形成していてもよいし、単結合を介して連結されることで、ビフェニルを形成していてもよい。
また、Xは、不飽和結合を含んでいない飽和基でもよいし、1または2以上の不飽和結合を含む不飽和基でもよい。この不飽和結合は、例えば、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(−C≡C−)のうちの一方または双方である。
Xの具体例は、下記の式(1−1)〜式(1−3)のそれぞれで表される1価の基のうちのいずれかである。
Figure 2016081645
(Y6〜Y26のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。)
式(1−1)に示した1価の基は、ベンゼン型の基である。式(1−2)に示した1価の基は、ナフタレン型の基である。式(1−3)に示した1価の基は、ビフェニル型の基である。なお、上記したナフタレン型の基において、他の基と結合可能な基の位置は、式(1−2)に示した位置(Y11とY17との間の位置)に限られず、他の位置でもよい。このように結合可能な基の位置が限定されないことは、式(1−3)に示したビフェニル型の基に関しても同様である。
Y6〜Y26のそれぞれは、上記したように、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。Y6〜Y26のそれぞれの種類に依存せずに、上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られるからである。
Y6〜Y10のそれぞれは、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。もちろん、Y6〜Y10のうちの一部が同じ基でもよい。ここでY6〜Y10に関して説明したことは、Y11〜Y17のそれぞれに関しても同様であり、Y18〜Y26のそれぞれに関しても同様である。
なお、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のそれぞれに関する詳細は、上記した通りである。上記した電解液の化学的安定性に関する利点が得られつつ、フッ素化化合物が容易に合成されやすいからである。
中でも、式(1)に示したフッ素化化合物は、下記の式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016081645
(Y6〜Y10のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。)
式(2)に示した化合物において、式(1)に示した骨格(X)の種類は、式(1−1)に示したベンゼン型の基である。Y1〜Y10のそれぞれに関する詳細は、上記した通りである。
Y6〜Y10のそれぞれは、上記したように、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。中でも、Y6〜Y10のうちのいずれか1つまたは2つ以上は、フッ素基であることが好ましく、特に、Y6〜Y10の全ては、フッ素基であることが好ましい。上記した電解液の化学的安定性がより向上するからである。
さらに、式(2)に示した化合物は、下記の式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016081645
式(3)に示した化合物において、式(2)に示したY6〜Y10の全ては、フッ素基である。Y1〜Y5のそれぞれに関する詳細は、上記した通りである。
このフッ素化化合物の具体例は、下記の式(1−11)〜式(1−19)のそれぞれで表される化合物などである。なお、「−Me」を表していると共に、「−t−Bu」はt−ブチル基を表している。
Figure 2016081645
電解液中におけるフッ素化化合物の含有量は、特に限定されないが、中でも、0.1重量%〜5重量%であることが好ましい。上記した電解液の化学的安定性に関する利点が安定して得られるからである。
[他の材料:溶媒]
なお、電解液は、上記したフッ素化化合物に加えて、他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
他の材料は、例えば、非水溶媒(有機溶剤)などの溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上である。この非水溶媒を含む電解液は、いわゆる非水電解液である。
溶媒の具体例は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルおよびニトリル(モノニトリル)などである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび炭酸ブチレンなどであり、鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸メチルプロピルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどである。鎖状カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ニトリルは、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3−メトキシプロピオニトリルなどである。
この他、溶媒の具体例は、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルおよびジメチルスルホキシドなどでもよい。同様の利点が得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルなどのうちのいずれか1種類または2種類以上が好ましい。より優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、酸無水物、ジシアノ化合物(ジニトリル)およびジイソシアネート化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。
不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和結合(炭素間二重結合)を含む環状炭酸エステルであり、より具体的には、下記の式(4)〜式(6)のそれぞれで表される化合物などである。溶媒中における不飽和環状炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%〜10重量%である。
Figure 2016081645
(R11およびR12のそれぞれは、水素基およびアルキル基のうちのいずれかである。R13〜R16のそれぞれは、水素基、アルキル基、ビニル基およびアリル基のうちのいずれかであり、R13〜R16のうちの少なくとも1つは、ビニル基およびアリル基のうちのいずれかである。R17は、>CR171R172で表される基であり、R171およびR172のそれぞれは、水素基およびアルキル基のうちのいずれかである。)
式(4)に示した化合物は、炭酸ビニレン型の化合物である。R11およびR12は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。アルキル基に関する詳細は、上記した通りである。この炭酸ビニレン型の化合物の具体例は、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オンおよび4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどである。
式(5)に示した化合物は、炭酸ビニルエチレン型の化合物である。R13〜R16は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。もちろん、R13〜R16のうちの一部が同じ基でもよい。この炭酸ビニルエチレン型の化合物の具体例は、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。
式(6)に示した化合物は、炭酸メチレンエチレン型の化合物である。R171およびR172は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。この炭酸メチレンエチレン型の化合物の具体例は、炭酸メチレンエチレン(4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。
この他、不飽和環状炭酸エステルは、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などでもよい。
ハロゲン化炭酸エステルとは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状または鎖状の炭酸エステルであり、より具体的には、下記の式(7)および式(8)のそれぞれで表される化合物である。溶媒中におけるハロゲン化炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01重量%〜50重量%である。
Figure 2016081645
(R18〜R21は、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R18〜R21のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R22〜R27は、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R22〜R27のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。)
式(7)に示した化合物は、環状ハロゲン化炭酸エステルである。R18〜R21は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。もちろん、R18〜R21のうちの一部が同じ基でもよい。
ハロゲン基の種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素基(−F)、塩素基(−Cl)、臭素基(−Br)およびヨウ素基(−I)のうちのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましく、フッ素基がより好ましい。フッ素基は、他のハロゲン基と比較して、上記した保護膜を形成しやすいからである。なお、ハロゲン基の数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力がより高くなると共に、その保護膜がより強固になるからである。
アルキル基に関する詳細は、上記した通りである。ハロゲン化アルキル基とは、アルキル基のうちの1または2以上の水素基がハロゲン基により置換(ハロゲン化)された基である。このハロゲン基に関する詳細は、上記した通りである。
環状ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、下記の式(7−1)〜式(7−21)のそれぞれで表される化合物などであり、その化合物には、幾何異性体も含まれる。中でも、式(7−1)に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび式(7−3)に示した4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが好ましい。なお、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。
Figure 2016081645
式(8)に示した化合物は、鎖状ハロゲン化炭酸エステルである。R22〜R27は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。もちろん、R22〜R27の一部が同じ基でもよい。
鎖状ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)および炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。
スルホン酸エステルは、例えば、モノスルホン酸エステルおよびジスルホン酸エステルを含む。溶媒中におけるスルホン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。
モノスルホン酸エステルは、環状モノスルホン酸エステルでもよいし、鎖状モノスルホン酸エステルでもよい。環状モノスルホン酸エステルの具体例は、1,3−プロパンスルトンおよび1,3−プロペンスルトンなどのスルトンである。鎖状モノスルホン酸エステルの具体例は、環状モノスルホン酸エステルが途中で切断された化合物などである。
ジスルホン酸エステルは、環状ジスルホン酸エステルでもよいし、鎖状ジスルホン酸エステルでもよい。環状ジスルホン酸エステルの具体例は、下記の式(9−1)〜式(9−3)のそれぞれで表される化合物などである。鎖状ジスルホン酸エステルの具体例は、環状ジスルホン酸エステルが途中で切断された化合物などである。
Figure 2016081645
酸無水物は、例えば、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物およびカルボン酸スルホン酸無水物などである。溶媒中における酸無水物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。
カルボン酸無水物の具体例は、無水コハク酸、無水グルタル酸および無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物の具体例は、無水エタンジスルホン酸および無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物の具体例は、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸および無水スルホ酪酸などである。
ジシアノ化合物は、例えば、NC−Cm 2m−CN(mは1以上の整数)で表される化合物である。溶媒中におけるジシアノ化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。ジシアノ化合物の具体例は、スクシノニトリル(NC−C2 4 −CN)、グルタロニトリル(NC−C3 6 −CN)、アジポニトリル(NC−C4 8 −CN)およびフタロニトリル(NC−C6 5 −CN)などである。
ジイソシアネート化合物は、例えば、OCN−Cn 2n−NCO(nは1以上の整数)で表される化合物である。溶媒中におけるジイソシアネート化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。ジイソシアネート化合物の具体例は、OCN−C6 12−NCOなどである。
[他の材料:電解質塩]
また、他の材料は、例えば、リチウム塩などの電解質塩のうちのいずれか1種類または2種類以上である。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の塩を含んでいてもよい。このリチウム塩以外の塩とは、例えば、リチウム以外の軽金属の塩などである。
リチウム塩の具体例は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)、および臭化リチウム(LiBr)である。
中でも、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 およびLiAsF6 のうちのいずれか1種類または2種類以上が好ましく、LiPF6 がより好ましい。内部抵抗が低下するからである。
この他、電解質塩は、下記の式(10)〜式(12)のそれぞれで表される化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上でもよい。なお、R41およびR43は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。R51〜R53は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。もちろん、R51〜R53のうちの任意の2つが同じ基でもよい。R61およびR62は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。
Figure 2016081645
(X41は、長周期型周期表における1族元素および2族元素、ならびにアルミニウム(Al)のうちのいずれかである。M41は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。R41は、ハロゲン基である。Y41は、−C(=O)−R42−C(=O)−、−C(=O)−CR432 −および−C(=O)−C(=O)−のうちのいずれかである。ただし、R42は、アルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基およびハロゲン化アリーレン基のうちのいずれかである。R43は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基およびハロゲン化アリール基のうちのいずれかである。なお、a4は1〜4の整数であり、b4は0、2または4の整数であり、c4、d4、m4およびn4のそれぞれは1〜3の整数である。)
Figure 2016081645
(X51は、長周期型周期表における1族元素および2族元素のうちのいずれかである。M51は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。Y51は、−C(=O)−(CR512 b5−C(=O)−、−R532 C−(CR522 c5−C(=O)−、−R532 C−(CR522 c5−CR532 −、−R532 C−(CR522 c5−S(=O)2 −、−S(=O)2 −(CR522 d5−S(=O)2 −および−C(=O)−(CR522 d5−S(=O)2 −のうちのいずれかである。R51およびR53のそれぞれは、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。ただし、R51のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R53のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R52は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。なお、a5、e5およびn5のそれぞれは1または2の整数であり、b5およびd5のそれぞれは1〜4の整数であり、c5は0〜4の整数であり、f5およびm5のそれぞれは1〜3の整数である。)
Figure 2016081645
(X61は、長周期型周期表における1族元素および2族元素のうちのいずれかである。M61は、遷移金属、ならびに長周期型周期表における13族元素、14族元素および15族元素のうちのいずれかである。Rfは、フッ素化アルキル基およびフッ素化アリール基のうちのいずれかであり、フッ素化アルキル基およびフッ素化アリール基のそれぞれの炭素数は、1〜10である。Y61は、−C(=O)−(CR612 d6−C(=O)−、−R622 C−(CR612 d6−C(=O)−、−R622 C−(CR612 d6−CR622 −、−R622 C−(CR612 d6−S(=O)2 −、−S(=O)2 −(CR612 e6−S(=O)2 −および−C(=O)−(CR612 e6−S(=O)2 −のうちのいずれかである。ただし、R61は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。R62は、水素基、アルキル基、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R62のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。なお、a6、f6およびn6のそれぞれは1または2の整数であり、b6、c6およびe6のそれぞれは1〜4の整数であり、d6は0〜4の整数であり、g6およびm6のそれぞれは1〜3の整数である。)
なお、1族元素とは、水素(H)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)である。2族元素とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)である。13族元素とは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびタリウム(Tl)である。14族元素とは、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)である。15族元素とは、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびビスマス(Bi)である。
式(10)に示した化合物の具体例は、下記の式(10−1)〜式(10−6)のそれぞれで表される化合物などである。式(11)に示した化合物の具体例は、下記の式(11−1)〜式(11−8)のそれぞれで表される化合物などである。式(12)に示した化合物の具体例は、下記の式(12−1)で表される化合物などである。
Figure 2016081645
Figure 2016081645
Figure 2016081645
また、電解質塩は、下記の式(13)〜式(15)のそれぞれで表される化合物などでもよい。なお、mおよびnは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。また、p、qおよびrは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。もちろん、p、qおよびrのうちの任意の2つが同じ値でもよい。
LiN(Cm 2m+1SO2 )(Cn 2n+1 SO2 ) …(13)
(mおよびnは1以上の整数である。)
Figure 2016081645
(R71は、炭素数=2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
LiC(Cp 2p+1SO2 )(Cq 2q+1SO2 )(Cr 2r+1SO2 ) …(15)
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
式(13)に示した化合物は、鎖状イミド化合物である。この鎖状イミド化合物の具体例は、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO2 F)2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 5 SO2 2 )、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 7 SO2 ))、および(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 9 SO2 ))などである。
式(14)に示した化合物は、環状イミド化合物である。この環状イミド化合物の具体例は、下記の式(14−1)〜式(14−4)のそれぞれで表される化合物などである。
Figure 2016081645
式(15)に示した化合物は、鎖状メチド化合物である。この鎖状メチド化合物の具体例は、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などである。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、中でも、溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[他の材料:その他]
また、他の材料は、上記以外の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上でもよい。上記以外の材料は、例えば、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 2 )およびフルオロリン酸リチウム(Li2 PFO3 )などのリンフッ素含有塩である。電解液中におけるリンフッ素含有塩の含有量は、特に限定されない。
[電解液の作用および効果]
この電解液によれば、フッ素化化合物を含んでいる。この場合には、電解液がフッ素化化合物を含んでいない場合および電解液が他の化合物を含んでいる場合と比較して、上記したように、電解液の化学的安定性が向上するため、その電解液の分解反応が抑制される。よって、電解液を用いた二次電池では、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなるため、電池特性を向上させることができる。
なお、上記した「他の化合物」は、例えば、下記の式(16)で表される化合物などである。この他の化合物では、式(3)において、Y1〜Y5の全てが水素基である。
Figure 2016081645
特に、式(1)において、Y3〜Y5のうちの少なくとも1つがフッ素基であれば、より高い効果を得ることができる。この場合には、Y1〜Y5の全てがフッ素基であれば、さらに高い効果を得ることができる。
また、式(2)において、Y6〜Y10のうちの少なくとも1つがフッ素基であれば、より高い効果を得ることができる。この場合には、Y6〜Y10の全てがフッ素基であれば、さらに高い効果を得ることができる。
また、電解液中におけるフッ素化化合物の含有量が0.1重量%〜5重量%であれば、より高い効果を得ることができる。
<2.二次電池>
次に、上記した本技術の電解液を用いた二次電池に関して説明する。
<2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)>
図1は、二次電池の断面構成を表しており、図2は、図1に示した巻回電極体20の一部の断面構成を表している。
ここで説明する二次電池は、例えば、電極反応物質であるリチウム(Li)の吸蔵放出により負極22の容量が得られるリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)である。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、いわゆる円筒型の電池構造を有しており、例えば、図1に示したように、中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、電池素子である巻回電極体20とが収納されている。巻回電極体20では、例えば、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層されたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23が巻回されている。この巻回電極体20には、液状の電解質である電解液(二次電池用電解液)が含浸されている。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、例えば、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)およびそれらの合金などのうちのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。この電池缶11の表面には、ニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟むと共にその巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、安全弁機構15と、熱感抵抗素子(PTC素子)16とがガスケット17を介してかしめられている。これにより、電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16のそれぞれは、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転する。これにより、電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続が切断される。大電流に起因する異常な発熱を防止するために、熱感抵抗素子16の抵抗は、温度の上昇に応じて増加する。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、そのガスケット17の表面には、アスファルトなどが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の巻回中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。ただし、センターピン24は、巻回電極体20の巻回中心に挿入されていなくてもよい。正極21には、正極リード25が取り付けられていると共に、負極22には、負極リード26が取り付けられている。正極リード25は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成されている。この正極リード25は、例えば、安全弁機構15に取り付けられていると共に、電池蓋14と電気的に接続されている。負極リード26は、例えば、ニッケルなどの導電性材料により形成されている。この負極リード26は、例えば、電池缶11に取り付けられており、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、例えば、図2に示したように、正極集電体21Aと、その正極集電体21Aの両面に設けられた正極活物質層21Bとを含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)およびステンレスなどの金属材料である。この正極集電体21Aは、単層でもよいし、多層でもよい。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である正極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、正極活物質に加えて、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
正極材料は、リチウム含有化合物であることが好ましく、より具体的には、リチウム含有複合酸化物およびリチウム含有リン酸化合物のうちのいずれか一方または双方であることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。
リチウム含有複合酸化物は、リチウムと1または2以上のリチウム以外の元素(以下、「他元素」という。)とを構成元素として含む酸化物であり、例えば、層状岩塩型およびスピネル型などのうちのいずれかの結晶構造を有している。リチウム含有リン酸化合物は、リチウムと1または2以上の他元素とを構成元素として含むリン酸化合物であり、例えば、オリビン型などの結晶構造を有している。
他元素の種類は、任意の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されない。中でも、他元素は、長周期型周期表における2族〜15族に属する元素のうちのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましい。より具体的には、他元素は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)のうちのいずれか1種類または2種類以上の金属元素を含んでいることがより好ましい。高い電圧が得られるからである。
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物は、例えば、下記の式(21)〜式(23)のそれぞれで表される化合物である。
Lia Mn(1-b-c) Nib M11c (2-d) e ・・・(21)
(M11は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)のうちの少なくとも1種である。a〜eは、0.8≦a≦1.2、0<b<0.5、0≦c≦0.5、(b+c)<1、−0.1≦d≦0.2および0≦e≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、aは完全放電状態の値である。)
Lia Ni(1-b) M12b (2-c) d ・・・(22)
(M12は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)のうちの少なくとも1種である。a〜dは、0.8≦a≦1.2、0.005≦b≦0.5、−0.1≦c≦0.2および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、aは完全放電状態の値である。)
Lia Co(1-b) M13b (2-c) d ・・・(23)
(M13は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)のうちの少なくとも1種である。a〜dは、0.8≦a≦1.2、0≦b<0.5、−0.1≦c≦0.2および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、aは完全放電状態の値である。)
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiCoO2 、LiCo0.98Al0.01Mg0.012 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 、LiNi0.8 Co0.15Al0.052 、LiNi0.33Co0.33Mn0.332 、Li1.2 Mn0.52Co0.175 Ni0.1 2 およびLi1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2 などである。
なお、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物がニッケル、コバルト、マンガンおよびアルミニウムを構成元素として含む場合には、そのニッケルの原子比率は、50原子%以上であることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。
スピネル型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物は、例えば、下記の式(24)で表される化合物である。
Lia Mn(2-b) M14b c d ・・・(24)
(M14は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)のうちの少なくとも1種である。a〜dは、0.9≦a≦1.1、0≦b≦0.6、3.7≦c≦4.1および0≦d≦0.1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、aは完全放電状態の値である。)
スピネル型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物の具体例は、LiMn2 4 などである。
オリビン型の結晶構造を有するリチウム含有リン酸化合物は、例えば、下記の式(25)で表される化合物である。
Lia M15PO4 ・・・(25)
(M15は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1種である。aは、0.9≦a≦1.1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、aは完全放電状態の値である。)
オリビン型の結晶構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 、LiFe0.5 Mn0.5 PO4 およびLiFe0.3 Mn0.7 PO4 などである。
なお、リチウム含有複合酸化物は、下記の式(26)で表される化合物でもよい。
(Li2 MnO3 x (LiMnO2 1-x ・・・(26)
(xは、0≦x≦1を満たす。ただし、リチウムの組成は充放電状態に応じて異なり、xは完全放電状態の値である。)
この他、正極材料は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物および導電性高分子などのうちのいずれか1種類または2種類以上でもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンおよび硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどである。ただし、正極材料は、上記以外の他の材料でもよい。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料および導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極22は、例えば、図2に示したように、負極集電体22Aと、その負極集電体22Aの両面に設けられた負極活物質層22Bとを含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)およびステンレスなどの金属材料である。この負極集電体22Aは、単層でもよいし、多層でもよい。
負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理を利用して微粒子を形成する方法などである。電解処理では、電解槽中において電解法により負極集電体22Aの表面に微粒子が形成されるため、その負極集電体22Aの表面に凹凸が設けられる。電解法により作製された銅箔は、一般的に、電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、負極活物質に加えて、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
充電途中において意図せずにリチウム金属が負極22に析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は、正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は、正極21の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料のうちのいずれか1種類または2種類以上である。リチウムの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が安定して得られるからである。また、炭素材料は負極導電剤としても機能するため、負極活物質層22Bの導電性が向上するからである。
炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は、0.37nm以上であることが好ましいと共に、黒鉛における(002)面の面間隔は、0.34nm以下であることが好ましい。より具体的には、炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状および鱗片状のうちのいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。
金属系材料は、単体、合金および化合物のうちのいずれでもよいし、それらのうちの2種類以上でもよいし、それらのうちの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有する材料でもよい。ただし、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。この金属系材料の組織は、例えば、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物およびそれらの2種類以上の共存物などである。
上記した金属元素および半金属元素は、例えば、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、例えば、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などである。
中でも、ケイ素およびスズのうちの一方または双方が好ましい。リチウムを吸蔵放出する能力が優れているため、著しく高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの一方または双方を構成元素として含む材料は、ケイ素の単体、合金および化合物のうちのいずれでもよいし、スズの単体、合金および化合物のうちのいずれでもよいし、それらのうちの2種類以上でもよいし、それらのうちの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有する材料でもよい。ここで説明する単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)を意味しており、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
ケイ素の合金は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金に関して説明した一連の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
ケイ素の合金およびケイ素の化合物の具体例は、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)、およびLiSiOなどである。なお、SiOv におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
スズの合金は、例えば、スズ以外の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、スズの合金に関して説明した一連の元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
スズの合金およびスズの化合物の具体例は、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOおよびMg2 Snなどである。
特に、スズを構成元素として含む材料は、例えば、スズ(第1構成元素)と共に第2構成元素および第3構成元素を含む材料(Sn含有材料)であることが好ましい。第2構成元素は、例えば、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、セシウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル、タングステン、ビスマスおよびケイ素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。第3構成元素は、例えば、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリン(P)などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。Sn含有材料が第2および第3構成元素を含んでいることで、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、Sn含有材料は、スズとコバルトと炭素とを構成元素として含む材料(SnCoC含有材料)であることが好ましい。このSnCoC含有材料では、例えば、炭素の含有量が9.9質量%〜29.7質量%、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。高いエネルギー密度が得られるからである。
SnCoC含有材料は、スズとコバルトと炭素とを含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であるため、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この反応相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅(回折角2θ)は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合において、1°以上であることが好ましい。リチウムがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部が含まれている相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがリチウムと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、リチウムと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を含んでおり、主に、炭素の存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素である炭素のうちの少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。スズなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態に関しては、例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて確認可能である。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。炭素のうちの少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、炭素の1s軌道(C1s)の合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、金原子の4f軌道(Au4f)のピークは、84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面に表面汚染炭素が存在しているため、その表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとして、そのピークをエネルギー基準とする。XPS測定において、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られる。このため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することで、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
このSnCoC含有材料は、構成元素がスズ、コバルトおよび炭素だけである材料(SnCoC)に限られない。このSnCoC含有材料は、例えば、スズ、コバルトおよび炭素に加えて、さらにケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムおよびビスマスなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
SnCoC含有材料の他、スズとコバルトと鉄と炭素とを構成元素として含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意である。一例を挙げると、鉄の含有量を少なめに設定する場合は、炭素の含有量が9.9質量%〜29.7質量%、鉄の含有量が0.3質量%〜5.9質量%、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%〜70質量%である。また、鉄の含有量を多めに設定する場合は、炭素の含有量が11.9質量%〜29.7質量%、スズ、コバルトおよび鉄の含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%〜48.5質量%、コバルトおよび鉄の含有量の割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。なお、SnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料の物性と同様である。
この他、負極材料は、例えば、金属酸化物および高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上でもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムおよび酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンおよびポリピロールなどである。
中でも、負極材料は、以下の理由により、炭素材料および金属系材料の双方を含んでいることが好ましい。
金属系材料、特に、ケイ素およびスズのうちの一方または双方を構成元素として含む材料は、理論容量が高いという利点を有する反面、充放電時において激しく膨張収縮しやすいという懸念点を有する。一方、炭素材料は、理論容量が低いという懸念点を有する反面、充放電時において膨張収縮しにくいという利点を有する。よって、炭素材料および金属系材料の双方を用いることで、高い理論容量(言い替えれば電池容量)を得つつ、充放電時の膨張収縮が抑制される。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、その混合物を有機溶剤などに分散させてから負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などである。より具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法とは、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法を用いて、有機溶剤などに分散された混合物を負極集電体22Aに塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。この焼成法としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などを用いることができる。
この二次電池では、上記したように、充電途中において負極22にリチウムが意図せずに析出することを防止するために、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は、正極の電気化学当量よりも大きい。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、4.20Vである場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られる。
[セパレータ]
セパレータ23は、例えば、図2に示したように、正極21と負極22との間に配置されている。このセパレータ23は、正極21と負極22とを隔離すると共に、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させる。
このセパレータ23は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどの多孔質膜のうちのいずれか1種類または2種類以上であり、2種類以上の多孔質膜の積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどである。
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層の片面または両面に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。正極21および負極22のそれぞれに対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20の歪みが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても抵抗が上昇しにくくなると共に、電池膨れが抑制される。
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン以外の他の材料でもよい。この高分子化合物層を形成する場合には、例えば、有機溶剤などに高分子材料が溶解された溶液を基材層に塗布したのち、その基材層を乾燥させる。なお、溶液中に基材層を浸漬させたのち、その基材層を乾燥させてもよい。
[電解液]
巻回電極体20には、上記したように、電解液が含浸されている。この電解液は、上記した本技術の電解液と同様の構成を有している。すなわち、電解液は、フッ素化化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。
充電時には、正極21からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時には、負極22からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
正極21を作製する場合には、最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。続いて、必要に応じて正極活物質層21Bを加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
負極22を作製する場合には、上記した正極21と同様の手順により、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成する。具体的には、負極活物質と、負正極結着剤および負極導電剤などとを混合して、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させて、負極活物質層22Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて負極活物質層22Bを圧縮成型する。
電解液を調製する場合には、溶媒に電解質塩を溶解させたのち、その溶媒にフッ素化化合物を加える。
二次電池を組み立てる場合には、溶接法などを用いて正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層したのち、その正極21、負極22およびセパレータ23を巻回させて、巻回電極体20を形成する。続いて、巻回電極体20の巻回中心にセンターピン24を挿入する。
続いて、一対の絶縁板12,13で巻回電極体20を挟みながら、その巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、溶接法などを用いて負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入して、その電解液を巻回電極体20に含浸させる。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。これにより、円筒型の二次電池が完成する。
[二次電池の作用および効果]
この二次電池によれば、電解液がフッ素化化合物を含んでいるので、上記したように、電解液の分解反応が抑制される。よって、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
<2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)>
図3は、他の二次電池の斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面を表している。なお、図3では、巻回電極体30と外装部材40とを離間させた状態を示している。
以下では、既に説明した円筒型の二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型の電池構造を有するリチウムイオン二次電池であり、例えば、図3に示したように、フィルム状の外装部材40の内部に、電池素子である巻回電極体30が収納されている。巻回電極体30では、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層されたのち、その正極33、負極34、セパレータ35および電解質層36が巻回されている。正極33には、正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には、負極リード32が取り付けられている。巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32のそれぞれは、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウム(Al)などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。負極リード32は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)およびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。これらの導電性材料は、例えば、薄板状または網目状である。
外装部材40は、例えば、図3に示した矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムであり、その外装部材40の一部には、巻回電極体30を収納するための窪みが設けられている。この外装部材40は、例えば、融着層と、金属層と、表面保護層とがこの順に積層されたラミネートフィルムである。二次電池の製造工程では、融着層同士が巻回電極体30を介して対向するように外装部材40が折り畳まれたのち、その融着層の外周縁部同士が融着される。ただし、外装部材40は、2枚のラミネートフィルムが接着剤などを介して貼り合わされたものでもよい。融着層は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのうちのいずれか1種類または2種類以上のフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。表面保護層は、例えば、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートなどのうちのいずれか1種類または2種類以上のフィルムである。
中でも、外装部材40は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムでもよいし、金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31との間には、例えば、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。また、外装部材40と負極リード32との間には、例えば、上記した密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32の双方に対して密着性を有する材料により形成されている。この密着性を有する材料は、例えば、ポリオレフィン樹脂などであり、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[正極、負極およびセパレータ]
正極33は、例えば、正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bを含んでいると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bを含んでいる。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bのそれぞれの構成は、例えば、正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bのそれぞれの構成と同様である。セパレータ35の構成は、例えば、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、電解液と、高分子化合物とを含んでいる。この電解液は、上記した本技術の電解液と同様の構成を有している。ここで説明する電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質であり、高分子化合物により電解液が保持されている。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。なお、電解質層36は、さらに、添加剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
高分子化合物は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この他、高分子化合物は、共重合体でもよい。この共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。中でも、単独重合体としては、ポリフッ化ビニリデンが好ましいと共に、共重合体としては、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液に含まれる溶媒とは、液状の材料だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も非水溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液が巻回電極体30に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。
充電時には、正極33からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時には、負極34からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
ゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。すなわち、正極33を作製する場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成すると共に、負極34を作製する場合には、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などとを混合して、前駆溶液を調製する。続いて、正極33および負極34のそれぞれに前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させて、ゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層したのち、その正極33、負極34およびセパレータ35を巻回させて、巻回電極体30を形成する。続いて、巻回電極体30の最外周部に、保護テープ37を貼り付ける。続いて、巻回電極体30を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて、その外装部材40の内部に巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入すると共に、負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層してから巻回させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その巻回体の最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、巻回電極体30を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40のうちの一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを混合して、電解質用組成物を調製する。続いて、袋状の外装部材40の内部に電解質用組成物を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させて、高分子化合物を形成する。これにより、高分子化合物により電解液が保持されるため、ゲル状の電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物層が形成されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物層を介してセパレータ35を正極33に密着させると共に、高分子化合物層を介してセパレータ35を負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物層のそれぞれに含浸すると共に、その高分子化合物層のそれぞれがゲル化するため、電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順と比較して、非水溶媒およびモノマー(高分子化合物の原料)などが電解質層36中にほとんど残存しないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35のそれぞれと電解質層36とが十分に密着する。
[二次電池の作用および効果]
この二次電池によれば、電解質層36が電解液を含んでおり、その電解液がフッ素化化合物を含んでいるので、上記した円筒型の二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型の二次電池と同様である。
<2−3.リチウム金属二次電池>
ここで説明する二次電池は、リチウム金属の析出溶解により負極22の容量が得られる円筒型の二次電池(リチウム金属二次電池)である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により形成されていることを除き、上記したリチウムイオン二次電池(円筒型)と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この二次電池では、負極活物質としてリチウム金属が用いられているため、高いエネルギー密度が得られる。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在してもよいが、組み立て時には存在しておらず、充電時に析出したリチウム金属により形成されてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体として利用することで、負極集電体22Aを省略してもよい。
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極21からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。一方、放電時には、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって電解液中に溶出すると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
この円筒型のリチウム金属二次電池によれば、電解液がフッ素化化合物を含んでいるので、上記したリチウムイオン二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。
なお、ここで説明したリチウム金属二次電池の構成は、円筒型の二次電池に限らず、ラミネートフィルム型の二次電池に適用されてもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の適用例に関して説明する。
二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能な機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として使用される二次電池は、主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。二次電池を補助電源として使用する場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに用いられる電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
中でも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器などに適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例に関して具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成は、あくまで一例であるため、その構成は、適宜変更可能である。
<3−1.電池パック(単電池)>
図5は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表しており、図6は、図5に示した電池パックのブロック構成を表している。なお、図5では、電池パックが分解された状態を示している。
ここで説明する電池パックは、本技術の1つの二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。この電池パックは、例えば、図5に示したように、ラミネートフィルム型の二次電池である電源111と、その電源111に接続される回路基板116とを備えている。この電源111には、正極リード112および負極リード113が取り付けられている。
電源111の両側面には、一対の粘着テープ118,119が貼り付けられている。回路基板116には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module )が形成されている。この回路基板116は、タブ114を介して正極112に接続されていると共に、タブ115を介して負極リード113に接続されている。また、回路基板116は、外部接続用のコネクタ付きリード線117に接続されている。なお、回路基板116が電源111に接続された状態において、その回路基板116は、ラベル120および絶縁シート121により上下から保護されている。このラベル120が貼り付けられることで、回路基板116および絶縁シート121などは固定されている。
また、電池パックは、例えば、図6に示しているように、電源111と、回路基板116とを備えている。回路基板116は、例えば、制御部121と、スイッチ部122と、PTC123と、温度検出部124とを備えている。電源111は、正極端子125および負極端子127を介して外部と接続可能であるため、その電源111は、正極端子125および負極端子127を介して充放電される。温度検出部124は、温度検出端子(いわゆるT端子)126を用いて温度を検出可能である。
制御部121は、電池パック全体の動作(電源111の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでいる。
この制御部121は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断させることで、電源111の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部121は、例えば、充電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断させて、充電電流を遮断する。
この他、制御部121は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断させることで、電源111の電流経路に放電電流が流れないようにする。また、制御部121は、例えば、放電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断させて、放電電流を遮断する。
なお、二次電池の過充電検出電圧は、例えば、4.20V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、例えば、2.4V±0.1Vである。
スイッチ部122は、制御部121の指示に応じて、電源111の使用状態(電源111と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部122は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチのそれぞれは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。なお、充放電電流は、例えば、スイッチ部122のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部124は、電源111の温度を測定して、その測定結果を制御部121に出力するものであり、例えば、サーミスタなどの温度検出素子を含んでいる。なお、温度検出部124による測定結果は、異常発熱時において制御部121が充放電制御を行う場合や、制御部121が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。
なお、回路基板116は、PTC123を備えていなくてもよい。この場合には、別途、回路基板116にPTC素子が付設されていてもよい。
<3−2.電池パック(組電池)>
図7は、組電池を用いた電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。この筐体60は、例えば、プラスチック材料などにより形成されている。
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源62は、本技術の1または2以上の二次電池を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力する。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時において制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧をアナログ−デジタル変換して制御部61に供給するものである。
スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御する。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断する。
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断する。
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.20V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階で測定された二次電池の情報(例えば、初期状態の内部抵抗など)などが記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部61が残容量などの情報を把握可能になる。
温度検出素子69は、電源62の温度を測定すると共にその測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)や、電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)などに接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
<3−3.電動車両>
図8は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、例えば、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
この電動車両は、例えば、エンジン75またはモータ77のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、そのエンジン75の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力は発電機79にも伝達され、その回転力を利用して発電機79が交流電力を発生させると共に、その交流電力はインバータ83を介して直流電力に変換され、電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換され、その交流電力を利用してモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。
なお、制動機構を介して電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達され、その回転力を利用してモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力はインバータ82を介して直流電力に変換され、その直流回生電力は電源76に蓄積されることが好ましい。
制御部74は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、本技術の1または2以上の二次電池を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続され、その外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積可能になっていてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御すると共に、スロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサなどを含んでいる。
なお、電動車両がハイブリッド自動車である場合に関して説明したが、その電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<3−4.電力貯蔵システム>
図9は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅および商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能である。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能である。
なお、電気機器94は、例えば、1または2以上の家電製品を含んでおり、その家電製品は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビおよび給湯器などである。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機および風力発電機などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクおよびハイブリッド自動車などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所および風力発電所などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、本技術の1または2以上の二次電池を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能である。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、外部と通信しながら、家屋89における需要・供給のバランスを制御することで、効率的で安定したエネルギー供給を可能とする。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である自家発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部91の指示に応じて電気機器94および電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
電源91に蓄積された電力は、任意に利用可能である。このため、例えば、電気使用料が安い深夜に集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、その電源91に蓄積しておいた電力を電気使用料が高い日中に用いることができる。
なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
<3−5.電動工具>
図10は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、本技術の1または2以上の二次電池を含んでいる。この制御部99は、動作スイッチの操作に応じて、電源100からドリル部101に電力を供給する。
本技術の具体的な実施例に関して、詳細に説明する。
(実験例1〜12)
以下の手順により、試験用の二次電池として、図11に示したコイン型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製した。
この二次電池では、外装缶52に収容された試験極51と外装カップ54に収容された対極53とがセパレータ55を介して積層されていると共に、外装缶52と外装カップ54とがガスケット56を介してかしめられている。
試験極51を作製する場合には、最初に、活物質(LiCoO2 )96質量部と、結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、導電剤(カーボンブラック)1質量部とを混合して、合剤とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に合剤を分散させて、ペースト状の合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて集電体(20μm厚の帯状アルミニウム箔)の両面に合剤スラリーを塗布したのち、その合剤スラリーを乾燥させて、活物質層を形成した。最後に、ロールプレス機を用いて活物質層を圧縮成型した。
対極53を作製する場合には、最初に、活物質(黒鉛とケイ素との混合物)90質量部と、結着剤(ポリフッ化ビニリデン)10質量部とを混合して、合剤とした。この場合には、活物質の混合比(重量比)を黒鉛:ケイ素=90:10とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に合剤を分散させて、ペースト状の合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて集電体(15μm厚の帯状電解銅箔)の両面に合剤スラリーを塗布したのち、その合剤スラリーを乾燥させて、活物質層を形成した。最後に、ロールプレス機を用いて活物質層を圧縮成型した。
電解液を調製する場合には、溶媒に電解質塩を溶解させた。溶媒としては、炭酸エチレン(EC)と、炭酸プロピレン(PC)と、炭酸エチルメチル(EMC)と、環状ハロゲン化炭酸エステルである4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)との混合溶媒を用いた。電解質塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を用いた。混合溶媒の混合比(重量比)は、EC:PC:EMC:FEC=35:35:25:5とした。電解質塩の含有量は、溶媒に対して1mol/kgとした。
こののち、電解質塩が溶解された溶媒に、必要に応じて、フッ素化化合物、他の化合物および添加剤のそれぞれを加えた。フッ素化化合物、他の化合物および添加剤のそれぞれの種類および電解液中の含有量(重量%)は、表1に示した通りである。
フッ素化化合物としては、式(1−11)に示した化合物(パーフルフルオロアリルベンゼン:PFAB)を用いると共に、他の化合物としては、式(16)に示した化合物(アリルペンタフルオロベンゼン:APFB)を用いた。添加剤としては、不飽和環状炭酸エステルである炭酸ビニレン(VC)および炭酸メチレンエチレン(IPC)、スルホン酸エステルである1,3−プロパンスルトン(PS)、リンフッ素含有塩であるジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 2 )およびフルオロリン酸リチウム(Li2 PFO3 )を用いた。
二次電池を組み立てる場合には、試験極51をペレット状に打ち抜いたのち、その試験極51を外装缶52に収容した。続いて、対極53をペレット状に打ち抜いたのち、その対極53を外装カップ54に収容した。続いて、セパレータ55(23μm厚の微多孔質ポリプロピレンフィルム)を介して、外装缶52に収容された試験極51と外装カップ54に収容された対極53とを積層させたのち、ガスケット56を介して外装缶52および外装カップ54をかしめた。これにより、コイン型の二次電池が完成した。
二次電池の電池特性としてサイクル特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる場合には、最初に、電池状態を安定化させるために、常温環境中(23℃)において二次電池を1サイクル充放電させた。続いて、同環境中において二次電池を1サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同環境中においてサイクル数の合計が200サイクルに到達するまで二次電池を繰り返して充放電させて、200サイクル目の放電容量を測定した。これらの測定結果から、容量維持率(%)=(200サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。
なお、充電時には、0.2Cの電流で電圧が4.35Vに到達するまで充電したのち、4.35Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで充電した。放電時には、0.2Cの電流で電圧が2.5Vに到達するまで放電した。「0.2」Cとは、電池容量(理論容量)を5時間で放電しきる電流値であると共に、「0.05C」とは、電池容量を20時間で放電しきる電流値である。
Figure 2016081645
容量維持率は、電解液の組成に応じて大きく変動した。
詳細には、電解液がフッ素化化合物(PFAB)も他の化合物(APFB)も含んでいない場合(実験例11)の容量維持率を比較基準とする。
電解液が他の材料(APFB)を含んでいる場合(実験例12)には、上記した基準と比較して、容量維持率が僅かに増加した。この場合における容量維持率の増加割合は、約4.4%にすぎなかった。
これに対して、電解液がフッ素化化合物(PFAB)を含んでいる場合(実験例1〜5)には、上記した比較基準として、容量維持率が大幅に増加した。この場合における容量維持率の増加割合は、最小でも約66.7%であると共に、最大では80%に至った。
これらの結果は、電解液に加える化合物の種類に応じて、その電解液の分解抑制傾向が著しく異なることを意味している。
具体的には、他の化合物は、電解液の分解抑制機能を有しているが、その機能が容量維持率に及ぼす影響は、十分でない。このため、他の化合物を用いた場合における容量維持率の増加割合は、僅か1桁台の前半にすぎない。
これに対して、フッ素化化合物は、他の化合物と同様に、電解液の分解抑制機能を有しているが、その機能が容量維持率に及ぼす影響は、他の材料とは異なり、十分である。このため、フッ素化化合物を用いた場合における容量維持率の増加割合は、2桁台の後半に至る。
特に、電解液がフッ素化化合物を含んでいる場合には、その電解液中におけるフッ素化化合物の含有量が0.1重量%〜5重量%であると、高い容量維持率が得られた。この場合には、電解液がVCなどの添加剤を含んでいると(実験例6〜10)、容量維持率がより増加した。
表1に示した結果から、電解液がフッ素化化合物を含んでいると、サイクル特性が向上した。よって、二次電池において優れた電池特性が得られた。
以上、実施形態および実施例を挙げながら本技術を説明したが、本技術は実施形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、本技術では、電池構造が円筒型、ラミネートフィルム型およびコイン型であると共に、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これらに限られない。本技術の二次電池は、角型およびボタン型などの他の電池構造を有する場合においても同様に適用可能である。また、本技術の二次電池は、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合においても同様に適用可能である。
また、例えば、本技術の二次電池用電解液は、二次電池に限らず、他の電気化学デバイスに適用されてもよい。この他の電気化学デバイスは、例えば、キャパシタなどである。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
本技術は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
正極と、
負極と、
下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
を備えた、二次電池。
Figure 2016081645
(Xは、炭素(C)と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基(−H)、フッ素基(−F)、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
(2)
前記Y3〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である、
上記(1)に記載の二次電池。
(3)
前記Y1〜Y5の全ては、フッ素基である、
上記(1)または(2)に記載の二次電池。
(4)
前記式(1)に示したフッ素化化合物は、下記の式(2)で表される化合物である、
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の二次電池。
Figure 2016081645
(Y6〜Y10のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。)
(5)
前記Y6〜Y10のうちの少なくとも1つは、フッ素基である、
上記(4)に記載の二次電池。
(6)
前記Y6〜Y10の全ては、フッ素基である、
上記(4)または(5)に記載の二次電池。
(7)
前記式(2)に示した化合物は、下記の式(3)で表される化合物である、
上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の二次電池。
Figure 2016081645
(8)
前記電解液中における前記フッ素化化合物の含有量は、0.1重量%〜5重量%である、
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の二次電池。
(9)
リチウム二次電池である、
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の二次電池。
(10)
下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む、
二次電池用電解液。
Figure 2016081645
(Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
(11)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池の動作を制御する制御部と、
その制御部の指示に応じて前記二次電池の動作を切り換えるスイッチ部と
を備えた、電池パック。
(12)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
前記二次電池の動作を制御する制御部と
を備えた、電動車両。
(13)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
を備えた、電力貯蔵システム。
(14)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される可動部と
を備えた、電動工具。
(15)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池を電力供給源として備えた、電子機器。
20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、36…電解質層、40…外装部材。

Claims (15)

  1. 正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、二次電池。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素(C)と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基(−H)、フッ素基(−F)、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  2. 前記Y3〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である、
    請求項1記載の二次電池。
  3. 前記Y1〜Y5の全ては、フッ素基である、
    請求項1記載の二次電池。
  4. 前記式(1)に示したフッ素化化合物は、下記の式(2)で表される化合物である、
    請求項1記載の二次電池。
    Figure 2016081645
    (Y6〜Y10のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。)
  5. 前記Y6〜Y10のうちの少なくとも1つは、フッ素基である、
    請求項4記載の二次電池。
  6. 前記Y6〜Y10の全ては、フッ素基である、
    請求項4記載の二次電池。
  7. 前記式(2)に示した化合物は、下記の式(3)で表される化合物である、
    請求項4記載の二次電池。
    Figure 2016081645
  8. 前記電解液中における前記フッ素化化合物の含有量は、0.1重量%〜5重量%である、
    請求項1記載の二次電池。
  9. リチウム二次電池である、
    請求項1記載の二次電池。
  10. 下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む、
    二次電池用電解液。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  11. 二次電池と、
    その二次電池の動作を制御する制御部と、
    その制御部の指示に応じて前記二次電池の動作を切り換えるスイッチ部と
    を備え、
    前記二次電池は、
    正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、電池パック。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  12. 二次電池と、
    その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
    その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
    前記二次電池の動作を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、
    正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、電動車両。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  13. 二次電池と、
    その二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
    前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、
    正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、電力貯蔵システム。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  14. 二次電池と、
    その二次電池から電力を供給される可動部と
    を備え、
    前記二次電池は、
    正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、電動工具。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
  15. 二次電池を電力供給源として備え、
    前記二次電池は、
    正極と、
    負極と、
    下記の式(1)で表されるフッ素化化合物のうちの少なくとも1種を含む電解液と
    を備えた、電子機器。
    Figure 2016081645
    (Xは、炭素と、任意の元素(炭素を除く。)のうちの少なくとも1種とを構成元素として含む1価の基である。Y1〜Y5のそれぞれは、水素基、フッ素基、1価の炭化水素基および1価のフッ素化炭化水素基のうちのいずれかである。ただし、Y1〜Y5のうちの少なくとも1つは、フッ素基である。)
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