JP2016076429A - 伸縮電線 - Google Patents

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達也 寺田
智子 安田
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智子 安田
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Abstract

【課題】従来の伸縮電線に比べ、電気特性が改善された(たとえば、電気損失が低減された)伸縮電線を提供する。【解決手段】弾性長繊維12を有する芯部10と、芯部10のまわりに捲回または編組された導体線22を有する導体部20とを備え、弾性長繊維12が含フッ素ゴムを含む、伸縮電線1;または、S巻き螺旋の線条AとZ巻き螺旋の線条Bとが互いに交錯した編組体を備え、線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線を有し、線条Aおよび線条Bのいずれか一方または両方が弾性長繊維を有し、弾性長繊維が含フッ素ゴムを含む、伸縮電線。【選択図】図1

Description

本発明は、伸縮性を有する電線に関する。
屈曲部分、伸縮部分等を有する機械、機器(各種ロボット、各種車両、ウェアラブル電子機器等)に用いられる電線には、伸縮性が求められることがある。
伸縮性を有する電線としては、コイル状の電線、いわゆるカールコードが知られている。しかし、カールコードには、嵩張る上に重い、カールコード同士が絡みやすい、という問題がある。
そこで、ストレート形状で、かつ伸縮性を有する伸縮電線として、たとえば、下記のものが提案されている。
(1)弾性長繊維およびこれを覆う中間層からなる芯部と、芯部のまわりに捲回または編組された導体線からなる導体部とを備えた伸縮電線(特許文献1)。
(2)S巻き螺旋(またはZ巻き螺旋)の導体線とZ巻き螺旋(またはS巻き螺旋)の弾性長繊維とが互いに交錯した編組体を備えた伸縮電線(特許文献2)。
特許第4729106号公報 特許第5339798号公報
(1)、(2)の伸縮電線とも、弾性長繊維の材料として、熱可塑性エラストマー(ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)、合成ゴム(シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム)、天然ゴムが用いられている。しかし、これら材料からなる弾性長繊維は、誘電損失が大きいため、伸縮電線の電気特性を低下させる(たとえば、電気損失(エネルギーロス)が大きくなる)という問題がある。
本発明は、従来の伸縮電線に比べ、電気特性が改善された(たとえば、電気損失が低減された)伸縮電線を提供する。
本発明は、下記[1]〜[8]の態様を有する。
[1]弾性長繊維を有する芯部と、前記芯部のまわりに捲回または編組された導体線を有する導体部とを備え、前記弾性長繊維が、含フッ素ゴムを含む、伸縮電線。
[2]前記導体部よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えた、[1]の伸縮電線。
[3]S巻き螺旋の線条AとZ巻き螺旋の線条Bとが互いに交錯した編組体を備え、前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方が、導体線を有し、前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方または両方が、弾性長繊維を有し、前記弾性長繊維が、含フッ素ゴムを含む、伸縮電線。
[4]前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維である、[3]の伸縮電線。
[5]前記編組体よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えた、[3]または[4]の伸縮電線。
[6]前記含フッ素ゴムのフッ素含有量が、50質量%以上である、[1]〜[5]のいずれかの伸縮電線。
[7]前記含フッ素ゴムが、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体またはヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体である、[1]〜[6]のいずれかの伸縮電線。
[8]前記含フッ素ゴムの割合が、弾性長繊維の100質量%のうち、20質量%以上である、[1]〜[7]のいずれかの伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、従来の伸縮電線に比べ、電気特性が改善された(たとえば、電気損失が低減された)ものとなる。
本発明の伸縮電線の第一態様の一例を示す斜視模式図である。 本発明の伸縮電線の第一態様の他の例を示す斜視模式図である。 本発明の伸縮電線の第二態様の一例を示す斜視模式図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「捲回」とは、線条を螺旋状に巻きめぐらすことを意味する。
「編組」とは、並行したS巻き螺旋を描く1群の線条と、並行したZ巻き螺旋を描く1群の線条とを組み合わせることを意味する。
「線条」とは、細長い糸状のものを意味する。
「構成単位」とは、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位を意味する。構成単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「モノマー」とは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
「換算直径」とは、繊維または導体線を1つの円柱に見たてた場合の直径をいう。
弾性長繊維の換算直径Da(mm)は、下式から求める。
Da=2×10×(D/(d×π×1000000))1/2
=2×(D/d×π)1/2/100
ただし、Dは、弾性長繊維の繊度(dtex)であり、dは、弾性長繊維の比重(g/cm)である。
導体線の換算直径Dd(mm)は、下式から求める。
Dd=2×((π×(De/2)×(De/2)×n)/π)1/2
=De×n1/2
ただし、Deは、導体線を構成する細線の直径(mm)であり、nは、導体線を構成する細線の集合本数である。
芯部の外径Dc(mm)は、芯部の外径をノギスで5箇所測定し、その平均値とする。
中間層の厚さTb(mm)は、下式から求める。
Tb=(Dc−Da)/2
[本発明の伸縮電線の第一態様]
本発明の伸縮電線の第一態様は、弾性長繊維を有する芯部と、芯部のまわりに捲回または編組された導体線を有する導体部とを備える。
本発明の伸縮電線の第一態様は、導体部よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えていてもよい。
芯部は、弾性長繊維と、弾性長繊維のまわりを覆う中間層とを有するものであってもよい。
芯部を構成する弾性長繊維は、伸縮性を有しているため、伸縮電線に伸縮性を付与できる。
また、通常の導体線は、金属線からなるため、伸縮性を有しないが、導体部を構成する導体線は、螺旋状に捲回しているため、伸縮電線に伸縮性を付与できる。
図1は、本発明の伸縮電線の第一態様の一例を示す斜視模式図である。
伸縮電線1は、弾性長繊維12からなる芯部10と、芯部10のまわりに捲回された導体線22からなる導体部20と、芯部10および導体部20のまわりを覆う外周被覆部30とを備える。
図2は、本発明の伸縮電線の第一態様の他の例を示す斜視模式図である。
伸縮電線1は、弾性長繊維12および弾性長繊維12のまわりを覆う中間層14からなる芯部10と、芯部10のまわりに捲回された導体線22からなる導体部20と、芯部10および導体部20のまわりを覆う外周被覆部30とを備える。
(芯部)
芯部は、弾性長繊維を有する。
芯部は、導体線の捲回径を大きくすることができ、太い導体線を捲回できる点から、弾性長繊維のまわりを覆う中間層をさらに有することが好ましい。
芯部の50%伸長応力は、1〜500cN/mmが好ましく、1〜200cN/mmがより好ましく、5〜100cN/mmがさらに好ましく、10〜50cN/mmが特に好ましい。50%伸長応力が1cN/mm以上であれば、小さい応力でも伸縮電線の伸縮性が良好である。50%伸長応力が500cN/mm以下であれば、伸縮電線を伸長させるために、大きな力が必要とならない。
<弾性長繊維>
弾性長繊維は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。マルチフィラメントの弾性長繊維は、2本の弾性単繊維を双糸撚りしたものであってもよく、3本以上の弾性単繊維を多子撚りしたものであってもよい。
弾性長繊維は、弾性長繊維と中間層とをずれにくくするために、1本の弾性単繊維を芯にして、その回りに別の弾性単繊維を捲回したもであってもよい。
弾性長繊維の換算直径(Da)は、0.01〜10mmが好ましく、0.02〜5mmがより好ましく、0.03〜3mmがさらに好ましい。Daが0.01mm以上であれば、充分な伸縮性が得られる。Daが10mm以下であれば、小さな力で弾性長繊維を伸長できる。
弾性長繊維の伸度は、100%以上が好ましく、200%以上がより好ましく、300%以上がさらに好ましい。弾性長繊維の伸度が100%以上であれば、充分な伸縮性が得られ、低い応力で伸縮する伸縮電線が得られる。
<含フッ素エラストマー組成物>
弾性長繊維は、含フッ素ゴムを含む。含フッ素ゴムは、架橋されていてもよい。
弾性長繊維は、たとえば、含フッ素ゴムを含む含フッ素エラストマー組成物を成形して弾性単繊維を得て、弾性単繊維をそのまま用いる、または、必要に応じて弾性単繊維を撚り、捲回等によって組み合わせて得られる。
含フッ素エラストマー組成物は、必要に応じて、他の樹脂、添加剤等を含んでいてもよい。
含フッ素ゴムの割合は、弾性長繊維(含フッ素エラストマー組成物)の100質量%のうち、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、28質量%以上がさらに好ましい。含フッ素ゴムの割合が20質量%以上であれば、弾性長繊維の誘電損失が充分に低く抑えられる。
含フッ素ゴム:
含フッ素ゴムは、フッ素原子を含む共重合体であって融点を持たない弾性共重合体(含フッ素エラストマー)である。
含フッ素ゴムのフッ素含有量は、50質量%以上が好ましく、53質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましい。含フッ素ゴムのフッ素含有量が50質量%以上であれば、弾性長繊維の誘電損失が充分に低く抑えられる。含フッ素ゴムのフッ素含有量は、70質量%以下が好ましく、67質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましい。
含フッ素ゴムとしては、たとえば、下記のものが挙げられる。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(以下、TFE/P共重合体とも記す。)、
ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、
フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、
フッ化ビニリデン−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン共重合体、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン共重合体等。
含フッ素ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含フッ素ゴムとしては、後述するムーニー粘度が20〜200の範囲にあると、機械的特性、成形性が優れることから、TFE/P共重合体またはヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体が好ましく、TFE/P共重合体が特に好ましい。
TFE/P共重合体は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に由来する構成単位と、プロピレン(以下、Pとも記す。)に由来する構成単位とを有する弾性共重合体である。
TFE/P共重合体は、TFEおよびP以外の他のモノマーに由来する構成単位をさらに有してもよい。
TFE/P共重合体におけるTFEに由来する構成単位とPに由来する構成単位とのモル比(TFE/P)は、典型的には、25/75〜90/10である。
TFE/P共重合体としては、TFEに由来する構成単位35〜70モル%、Pに由来する構成単位20〜55モル%、および他のモノマーに由来する構成単位0〜40モル%からなる共重合体が好ましい。
TFEに由来する構成単位の割合は、TFE/P共重合体を構成する全構成単位の100モル%のうち、40〜70モル%がより好ましく、50〜65モル%がさらに好ましく、52〜60モル%が特に好ましい。TFEに由来する構成単位の割合が35モル%以上であれば、弾性長繊維の機械的特性、耐薬品性、柔軟性に優れる。TFEに由来する構成単位の割合が70モル%以下であれば、Pに由来する構成単位を充分な割合で有することができる。
Pに由来する構成単位の割合は、TFE/P共重合体を構成する全構成単位の100モル%のうち、25〜55モル%がより好ましく、30〜55モル%がさらに好ましく、35〜50モル%が特に好ましく、40〜48モル%が最も好ましい。Pに由来する構成単位の割合が20モル%以上であれば、含フッ素エラストマー組成物の成形加工性、弾性長繊維の柔軟性に優れる。Pに由来する構成単位の割合が55モル%以下であれば、TFEに由来する構成単位を充分な割合で有することができる。
他のモノマーに由来する構成単位の割合は、TFE/P共重合体を構成する全構成単位の100モル%のうち、0〜20モル%がより好ましく、0〜15モル%がさらに好ましく、0〜10モル%が特に好ましい。他のモノマーに由来する構成単位の割合が40モル%以下であれば、TFEに由来する構成単位およびPに由来する構成単位を充分な割合で有することができる。
他のモノマーとしては、TFE以外の含フッ素モノマー、P以外の炭化水素モノマー、架橋性モノマー等が挙げられる。
TFE以外の含フッ素モノマーに由来する構成単位を有することによって、弾性長繊維の低温柔軟性等を改善できる。
P以外の炭化水素モノマーに由来する構成単位を有することによって、含フッ素エラストマー組成物の成形加工性等を改善できる。
架橋性モノマーに由来する構成単位を有することによって、弾性長繊維の機械的特性、圧縮永久歪等を改善できる。
TFE以外の含フッ素モノマーとしては、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ペルフルオロ(アルキルオキシアルキルビニルエーテル)等が挙げられる。含フッ素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)中のペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、CF基、C基、C基が好ましい。
ペルフルオロ(アルキルオキシアルキルビニルエーテル)中のペルフルオロ(アルキルオキシアルキル)基の炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
ペルフルオロ(アルキルオキシアルキル)基におけるエーテル性酸素原子の数は、4以下が好ましく、2以下がより好ましい。ペルフルオロ(アルキルオキシアルキル)基としては、CFOCF(CF)CF−基、COC−基、COC−基、COCOC−基が好ましい。
ペルパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびペルフルオロ(アルキルオキシアルキルビニルエーテル)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
CF=CFOCF
CF=CFOCFCF
CF=CFOCFCFCF
CF=CFO(CFCF
CF=CFO(CFCF
CF=CFOCFOCF
CF=CFOCFCFOCF
CF=CFOCFCFOCFCF
CF=CFO(CFOCFCF
CF=CFOCFCF(CF)OCF
CF=CFOCFCF(CF)O(CFCF
CF=CFO(CFCFO)CFCF
CF=CFO[CFCF(CF)O]CF
CF=CFO[CFCF(CF)O](CFCF等。
P以外の炭化水素モノマーとしては、下記のものが挙げられる。
ビニルエーテル:メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル等、
ビニルエステル:酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ノナン酸ビニル等、
α−オレフィン(ただし、Pを除く):エチレン、ブテン、イソブテン等。
炭化水素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとして、含フッ素モノマー、炭化水素モノマー、またはそれらの混合物を用いる場合、TFEに由来する構成単位およびPに由来する構成単位の合計(100モル%)に対して、他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜15モル%がより好ましく、0.3〜10モル%がさらに好ましい。
架橋性モノマーは、同一分子内に架橋性基を1個以上有するモノマーである。架橋性基としては、炭素−炭素二重結合基、ハロゲン原子等が挙げられる。
架橋性モノマーとしては、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、1−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。架橋性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとして架橋性モノマーを用いる場合、架橋性モノマーに由来する構成単位の割合は、TFE/P共重合体を構成する全構成単位の100モル%のうち、0.001〜8モル%が好ましく、0.001〜5モル%がより好ましく、0.01〜3モル%がさらに好ましい。
含フッ素ゴムのムーニー粘度(ML1+10,121℃)は、20〜200が好ましく、30〜150がより好ましく、40〜120がさらに好ましい。ムーニー粘度は、分子量の尺度であり、JIS K 6300−1:2000に準じて測定される。ムーニー粘度の値が大きいと分子量が大きいことを示し、小さいと分子量が小さいことを示す。ムーニー粘度が20〜200の範囲内であれば、弾性長繊維の機械的特性、成形性に優れる。
含フッ素ゴムの市販品としては、AFLAS(登録商標)150CS(旭硝子社製)等が挙げられる。
添加剤:
添加剤としては、架橋剤、架橋助剤、受酸剤、充填剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、加工助剤、滑剤、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。
含フッ素ゴムを架橋する場合には、含フッ素エラストマー組成物は架橋剤または架橋助剤を含むことが好ましい。
架橋剤としては、公知の架橋剤が挙げられ、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、加熱、酸化還元の条件下で容易にラジカルを発生するものであればよい。有機過酸化物を用いて架橋された含フッ素ゴムは耐熱性に優れる。
有機過酸化物としては、1,1−ジ(tert−ヘキシルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロへキサン、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−へキシン−3、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)へキサン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。
有機過酸化物としては、含フッ素ゴムの架橋性に優れる点から、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。
含フッ素エラストマー組成物が有機過酸化物を含む場合、有機過酸化物の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜4質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。有機過酸化物の含有量が前記範囲内にあれば、有機過酸化物による架橋効率が高い。
架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェート等が挙げられる。架橋助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋助剤としては、含フッ素ゴムの架橋性に優れる点から、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
含フッ素エラストマー組成物が架橋助剤を含む場合、架橋助剤の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。架橋助剤の含有量が前記下限値以上であれば、架橋速度が速く、充分な架橋度が得られやすい。架橋助剤の含有量が前記上限値以下であれば、弾性長繊維の伸び等の特性が良好となる。
受酸剤は、硬化反応を促進する成分である。
受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ハイドロタルサイト等が挙げられる。受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が好ましく、酸化マグネシウムがより好ましい。受酸剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素エラストマー組成物が受酸剤を含む場合、受酸剤の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましい。受酸剤の含有量が前記下限値以上であれば、受酸剤による効果が得られやすい。受酸剤の含有量が前記上限値以下であれば、硬化物が必要以上に硬くなりにくい。
充填剤としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)等が挙げられる。
含フッ素エラストマー組成物が充填剤を含む場合、充填剤の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。
安定剤としては、ヨウ化銅、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、五酸化リン等が挙げられる。
加工助剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等が挙げられ、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩が好ましい。
含フッ素エラストマー組成物が加工助剤を含む場合、加工助剤の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部がさらに好ましい。
滑剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等が挙げられ、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩が好ましい。
含フッ素エラストマー組成物が滑剤を含む場合、滑剤の含有量は、含フッ素ゴムの100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
<中間層>
中間層は、絶縁繊維(I)からなる、伸縮性を有する層である。
中間層としては、たとえば、弾性長繊維のまわりに絶縁繊維(I)を捲回したもの、弾性長繊維のまわりに絶縁繊維(I)を編組したもの等が挙げられる。
絶縁繊維(I)は、マルチフィラメントであってもよく、紡績糸であってもよい。
絶縁繊維(I)は、弾性長繊維の伸縮性を阻害しにくく、絶縁性を有するものであればよい。
絶縁繊維(I)としては、軽く、バルキー性がある点からは、バルキー性マルチフィラメント(ウーリーナイロン、エステルウーリー等)、バルキー加工糸(仮撚り加工糸、アクリルバルキーヤーン等)、紡績糸(エステル紡績糸等)が挙げられる。
絶縁繊維(I)としては、軽さを追求する点からは、ポリエチレン繊維またはポリプロピレン繊維が挙げられる。
絶縁繊維(I)としては、難燃性がある点からは、サラン繊維、フッ素繊維、耐炎化アクリル繊維、ポリスルホン繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維、難燃アクリル繊維等が挙げられる。
絶縁繊維(I)としては、価格が安い点からは、汎用のポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。
バルキー性マルチフィラメントは、マルチフィラメントを1種類以上引き揃え、仮撚り加工する方法、コンジュゲート糸のマルチフィラメントを用いる方法等によって得ることができる。
バルキー性を有する紡績糸は、1種類以上の短繊維を混合して紡績する方法によって得ることができる。特に、熱収縮率の異なる短繊維を混合し、紡績し、熱処理することによって、バルキー性の高い紡績糸を得ることができる。
絶縁繊維(I)としては、汎用性があり、耐磨耗性およびバルキー性が良好である点から、ウーリーナイロンまたはエステルウーリーが好ましい。また、耐磨耗性に優れる絶縁繊維とバルキー性のある絶縁繊維とを組み合わせてもよい。
中間層は、たとえば、弾性長繊維を伸長した状態で、好ましくは50%以上伸長した状態で、これを芯にして、(i)絶縁繊維(I)を1回以上編組する、(ii)絶縁繊維(I)を2回以上捲回する、または(iii)絶縁繊維(I)を1回以上捲回した後、絶縁繊維(I)を1回以上編組することによって形成できる。
中間層の厚さ(Tb)の下限値は、0.1×Daまたは0.1mmのいずれか小さい方が好ましく、0.3×Daまたは0.1mmのいずれか小さい方がより好ましい。Tbが前記下限値以上であれば、導体線の捲回径を大きくする効果が得られ、換算直径の大きな導体線を捲回できる。
中間層の厚さ(Tb)の上限値は、10mm以下が好ましい。Tbが10mm以下であれば、伸縮電線の外径が大きくならない。
中間層を有する芯部の伸度は、50%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。伸度が50%以上であれば、伸縮電線の伸縮性がさらに良好になる。中間層を有する芯部の伸度は、300%以下が好ましい。
(導体部)
導体部は、芯部のまわりにS巻き螺旋またはZ巻き螺旋に捲回された導体線、または芯部のまわりに編組された導体線を有する。
導体部は、1本の導体線を捲回したものであってもよく、2本以上の導体線を捲回したものであってもよく、複数の導体線を編組したものであってもよい。
導体部は、導体線と後述する絶縁繊維(III)とを組み合わせて編組したものであってもよい。
導体部は、芯部と導体線とをずれにくくするために、芯部に導体線を捲回または編組した後に、芯部および導体線を覆うように設けられた一体化層を有していてもよい。
<導体線>
導体線の比抵抗は、10−4Ω×cm以下が好ましく、10−5Ω×cm以下がより好ましい。導体線の比抵抗が前記上限値以下であれば、電気抵抗値を低くするために、大きな断面積の導体線を用いる必要がない。
導体線としては、80質量%以上が銅からなる銅線、または80質量%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線が好ましい。比較的安価で、電気抵抗が低い点からは、銅線が好ましい。軽量である点からは、アルミニウム線が好ましい。
銅線としては、軟銅線または錫銅合金線が挙げられる。銅線としては、導電性をあまり低下させずに強力を高めた強力銅合金線(たとえば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの);錫、金、銀、白金等でメッキして酸化を防止した銅線;電気信号の伝送特性を向上させるために金等で表面処理した銅線等を用いてもよい。
導体線としては、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、また、断線しにくくなる点から、2本以上の細線の集合線が好ましい。集合線としては、捲回しやすさの点から、撚り線が好ましい。
集合線を構成する細線は、酸化を抑制するために、樹脂を被覆したものであってもよい。被覆樹脂の厚さは、1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。被覆樹脂の厚さが1mm以下であれば、細線の柔軟性を低下させず、かつ細線の外径を小さくできる。被覆樹脂は、公知の被覆樹脂から適宜選択すればよい。被覆の構成としては、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステル−ナイロン被覆、ポリエステルイミド被覆、ポリエステルイミド−ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。
集合線を構成する細線の直径Deは、1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましく、0.08mm以下がさらに好ましく、0.05mm以下が特に好ましい。Deが1mm以下であれば、伸縮電線の伸縮性を阻害せず、かつ伸縮による断線が起きにくい。Deは、0.01mm以上が好ましい。Deが0.01mm以上であれば、加工時に細線が断線しにくい。
導体線は、酸化を抑制するために、集合線に樹脂を被覆したものであってもよい。被覆樹脂の厚さは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。被覆樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。
導体線は、可撓性を発揮するため、また、加工時に細線の被覆樹脂の破壊を抑制するため、また、芯部に捲回する際の捲回径を実質的に大きくするために、集合線に絶縁繊維(II)を捲回したものであってもよい。
絶縁繊維(II)としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。
導体線を複数本用いる場合、導体線の識別のために、各導体線をあらかじめ色分けしてもよい。複数本の導体線をまとめて1本の電線として取り扱うこともでき、各導体線を別個の電線として取り扱うこともできる。
導体線の換算直径Ddは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。Ddが5mm以下であれば、可撓性がよく、安定して捲回できる。Ddは、0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましく、0.05mm以上がさらに好ましく、0.1mm以上が特に好ましい。Ddが0.01mm以上であれば、捲回または編組の作業性がよい。
伸縮電線を電力線として用いるために導体線の換算直径Ddを大きくする必要がある場合、導体線を、換算直径が3mm以下の集合線に分割して捲回してもよい。なお、分割された集合線の換算直径を小さくし過ぎると、分割数が増え、作業性が悪くなるため、導体線の分割数は、10以下が好ましい。
弾性体長繊維の換算直径Daと導体線の換算直径Ddとの比(Da/Dd)は、0.1以上3未満が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。Da/Ddが0.1以上であれば、伸縮電線の伸縮性がさらに良好になる。Da/Ddが3未満であれば、伸縮電線の伸縮に大きな力が必要ではなく、また、伸縮電線に流せる電流を多くできる。
<導体部の形成方法>
導体部は、たとえば、芯部を伸長した状態で、これを芯にして、導体線を1本または複数本捲回または編組することによって形成できる。伸縮電線の伸縮性を発現させやすくする点から、芯部を30%以上伸長することが好ましく、50%以上伸長することがより好ましく、100%以上伸長することがさらに好ましい。
芯部をを伸長した状態で芯部に導体線を捲回または編組することによって、導体線の捲回径を大きくでき、かつ導体線の捲回張力に対して中間層も抗力を発現することができ、Da/Ddが3未満であっても、安定した捲回を実現できる。
導体線の捲回角度または編組角度(以下、まとめて捲回角度と記す。)は、30度以上が好ましく、35度以上がより好ましく、40度以上がさらに好ましく、50度以上が特に好ましい。捲回角度が30度以上であれば、伸縮電線の伸縮性が発現しやすい。捲回角度は、80度以下が好ましく、75度以下がより好ましく、70度以下がさらに好ましい。捲回角度が80度以下であれば、単位長さあたりに捲回する導体線の長さが長くなりすぎない。
捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線における芯部の長さ方向(0度)に対する捲回または編組された導体線の角度である。捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線から一定長のサンプルを切りとり、捲回されている導体線をほどいて、その長さを測定し、逆三角関数を用いて求める。
導体線を複数本捲回する場合、S巻き螺旋の方向およびZ巻き螺旋の方向に交互に捲回してもよく、S巻き螺旋およびZ巻き螺旋のいずれか1方向に捲回してもよい。捲回された後の導体線間の摩擦による断線を抑制する点から、1方向のみに捲回することが好ましい。導体線を複数本捲回する場合、1回に1本づつ数回にわけて捲回してもよく、1回に数本まとめて捲回してもよい。複数本の導体線を1方向にに捲回する場合、導体線の平行性を確保することが難しいため、あらかじめ1つのボビンに複数本の導体線を引き揃えて準備し、これを1回で捲回することが好ましい。
<絶縁繊維(III)>
導体線と絶縁繊維(III)とを組み合わせる場合、導体線の方向は、S巻き螺旋およびZ巻き螺旋のいずれか1方向であってもよく、双方向であってもよい。伸縮による導体線同士の磨耗を抑制する点から、導体線の方向は、S巻き螺旋およびZ巻き螺旋のいずれか1方向であり、絶縁繊維(III)の方向は、他の方向であることが好ましい。さらに、導体線同士が重なり、短絡することを抑える点から、1方向に並行した複数の導体線の間に絶縁繊維(III)を配してもよい。
また、複数本の導体線を有する伸縮電線においては、2本の信号線と2本の電力線とを有する場合がある。この場合、信号線間の間隔が不均一であると、信号線間の特性インピーダンスが不均一となり、伝送ロスが大きくなる。複数本の導体線を1方向とし、絶縁繊維(III)を他の方向としたもの、または、複数本の導体線間に絶縁繊維(III)を同一方向で配置し、他の方向に絶縁繊維(III)を配置して編組したものは、伝送ロスが少なく特に好ましい。
絶縁繊維(III)としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。
<一体化層>
芯部に導体線を捲回または編組した後、かつ外周被覆部を設ける前に、弾性体からなる一体化層を設けてもよい。一体化層を設けることによって、芯部と導体線とが伸縮電線の伸縮によってずれにくくなり、伸縮電線の耐久性を向上できる。一体化層は、その目的を達成できる範囲であれば、必ずしも連続的な層である必要はない。
一体化層は、芯部に導体線を捲回または編組した構造体を弾性体の液状物中に浸漬する、または芯部に捲回または編組された導体線に弾性体の液状物を付与する工程;必要に応じて脱液を行う工程;加熱による反応促進または乾燥を行う、または冷却による固化を行う工程を経て形成できる。
弾性体の液状物としては、2液混合反応型のポリウレタン系弾性体、溶剤中に溶解したポリウレタン系弾性体、ラテックス状の天然ゴム系弾性体、ラテックス状の合成ゴム系弾性体等が挙げられる。
弾性体の液状物の粘度は、200Pa・s以下が好ましい。弾性体の液状物の粘度が200Pa・s以下であれば、柔軟性に優れた薄い一体化層を形成でき、また、芯部と導体線との隙間に弾性体の液状物が浸透しやすい。
(外周被覆部)
外周被覆部は、伸縮電線の伸縮性を阻害することなく、内部の導体線を保護するものである。
芯部に導体線を捲回または編組した1本の構造体を外周被覆部で被覆してもよく、構造体を複数本まとめて外周被覆部で被覆してもよく、構造体を外周被覆部で被覆したものを複数本まとめてさらに外周被覆部で被覆してもよい。
外周被覆部としては、絶縁繊維(IV)を編組したもの(いわゆる組紐)、絶縁樹脂からなる弾性チューブが好ましい。
外部被覆部は、組紐と弾性チューブとを組み合わせたものであってもよい。外部被覆部が弾性チューブのみの場合、弾性チューブの厚さが厚くなる傾向があり、伸縮電線を伸縮させる力が大きくなりやすい。厚さの薄い弾性チューブと、組紐とを組み合わせることによって、被覆性および伸縮性を両立できる。
<組紐>
組紐は、絶縁繊維(IV)を丸打ちした中空状の組紐であってもよく、絶縁繊維(IV)を平打ちしたテープ状の組紐であってもよい。
絶縁繊維(IV)としては、マルチフィラメントまたは紡績糸が挙げられる。
絶縁繊維(IV)は、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から適宜選択すればよい。
絶縁繊維(IV)は、生糸(原糸)のままでもよく、意匠性や劣化防止の点から原着糸または先染め糸であってもよい。
絶縁繊維(IV)は、伸縮電線の柔軟性や摩擦性の向上を図るために、仕上げ加工を施したものであってもよい。
絶縁繊維(IV)は、伸縮電線の実用時の取り扱い性を向上させるために、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工、消臭加工等を施したものであってもよい。
絶縁繊維(IV)は、伸縮電線の表面の摩擦係数をより低減するために、表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与したものであってもよい。
絶縁繊維(IV)としては、耐熱性および耐磨耗性の点からは、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、フッ素繊維が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、耐火性の点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維、サラン繊維が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、耐磨耗性および強度の点からは、高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、コストおよび耐熱性の点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、コスト、耐熱性および難燃性の点からは、難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維、難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、摩擦熱による局部的な劣化を抑制する点からは、非溶融繊維が好ましい。非溶融繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹、アクリル繊維が挙げられる。
絶縁繊維(IV)としては、強度を重視する場合は、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維が好ましい。
絶縁繊維(IV)としては、摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維が好ましい。
絶縁繊維(IV)としては、意匠性を重視する場合は、発色がよい点から、アクリル繊維が好ましい。
絶縁繊維(IV)としては、人との接触による触感を重視する場合は、セルロース系繊維(キュプラ、アセテート、コットン、レーヨン等)、絹、繊度の細い合成繊維が好ましい。
外周被覆部が中空状の組紐の場合、外周被覆部の形成方法としては、芯部に導体線を捲回または編組した構造体を製紐機等に仕掛け、構造体を伸長した状態でその外周に絶縁繊維(IV)を編組する方法が好ましい。
<弾性チューブ>
弾性チューブは、絶縁樹脂からなる。
弾性チューブは、内部の導体線を液体から保護する場合に好適である。
弾性チューブの伸度は、50%以上が好ましい。弾性チューブの伸度が50%以上であれば、伸縮電線の伸縮性を阻害しにくい。
絶縁樹脂は、伸縮電線の用途、絶縁繊維(I)および絶縁繊維(II)との相性等を考慮して、弾性を有する絶縁樹脂から適宜選択すればよい。
絶縁樹脂としては、伸縮性、耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性等の点から、合成ゴムが好ましく、含フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムがより好ましい。
(伸縮電線)
伸縮電線の抵抗は、弛緩状態で、10Ω/m以下が好ましく、1Ω/m以下がより好ましい。伸縮電線の抵抗が10Ω/m以下であれば、微弱電流を流すことができ、かつ駆動電流を流すことにも適する。
伸縮電線の30%伸長荷重は、5000cN以下が好ましく、1000cN以下がより好ましい。伸縮電線の30%伸長荷重が5000cN以下であれば、伸長に大きな荷重(力)を必要とせず、実用上支障をきたすことがない。
伸縮電線は、複数本の伸縮電線を組み込んだテープ電線(フラットケーブル)であってもよい。
テープ電線における伸縮電線の本数は、2〜100本が好ましい。汎用的なテープ電線における伸縮電線の本数は、3〜5本であるが、電源等と多数のモータ、センサ等とを1本のテープ電線で配線したい場合は、多数本であってもよい。ただし、100本超の伸縮電線を用いて1本のテープ電線とした場合、一部の伸縮電線に異常があっても100本超の伸縮電線をまとめたテープ電線ごと取り替える必要が生じるため好ましくない。
テープ電線の幅は、取り扱い性の点から、20cm以下が好ましく、10cm以下がより好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の伸縮電線の第一態様にあっては、芯部を構成する弾性長繊維が、誘電損失の小さい含フッ素ゴムを含むため、従来の伸縮電線に比べ、電気特性が改善された(たとえば、電気損失が低減された)ものとなる。
[本発明の伸縮電線の第二態様]
本発明の伸縮電線の第二態様は、S巻き螺旋の線条AとZ巻き螺旋の線条Bとが互いに交錯した編組体を備え、線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線を有し、線条Aおよび線条Bのいずれか一方または両方が弾性長繊維を有する。
本発明の伸縮電線の第二態様は、編組体よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えていてもよい。
伸縮電線の第二態様は、編組体とは独立した芯部を有しない構造である。編組体と独立した芯部とは、編組体を構成する線条(導体線、弾性長繊維、絶縁繊維等)と交錯することなく、構造的に独立している芯部のことをいう。
伸縮電線の第二態様は、第一態様のように、伸縮電線に伸縮性を付与できる芯部を有しないが、編組体を構成する螺旋状の弾性長繊維は、他の線条と交錯しながら編組体を形成しているため、伸縮電線に伸縮性を付与できる。
また、通常の導体線は、金属線からなるため、伸縮性を有しないが、編組体を構成する導体線は、螺旋状に捲回しているため、伸縮電線に伸縮性を付与できる。
図3は、本発明の伸縮電線の第二態様の一例を示す斜視模式図である。
伸縮電線2は、S巻き螺旋の導体線42とZ巻き螺旋の弾性長繊維44とが互いに交錯した中空状の編組体40と、編組体40のまわりを覆う外周被覆部50とを備える。
(編組体)
編組体は、S巻き螺旋の複数の線条AとZ巻き螺旋の複数の線条Bとが互いに交錯した、いわゆる丸組または角組の組紐である。
編組体としては、伸縮電線の伸縮性の点から、中空状の組紐が好ましい。中空状の組紐は、芯部を有しなくとも形状を維持できる。芯部を省略することによって、伸縮電線を細く、コンパクトにすることができる。
編組体は、線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線を有し、線条Aおよび線条Bのいずれか一方または両方が弾性長繊維を有すればよい。
編組体は、線条Aおよび線条Bのいずれか一方または両方が、導体線および弾性長繊維以外の第3の線条を有していてもよい。
<編組体の形態>
編組体の形態としては、たとえば、下記のものが挙げられる。
線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維であるもの;
線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維および第3の線条であるもの;
線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線ならびに弾性長繊維および/または第3の線条であり、他方が弾性長繊維および/または第3の線条であるもの(ただし、線条Aおよび線条Bのいずれか一方が必ず弾性長繊維を有する。)等。
線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線および弾性長繊維である場合、導体線および弾性長繊維は、各々が独立して捲回されていてもよく、弾性長繊維に導体線を捲回した線条の状態で捲回されていてもよい。細く、コンパクトな伸縮電線を得る点からは、導体線および弾性長繊維は、各々が独立して捲回されていることが好ましい。
編組体の形態としては、最も細く、コンパクトな伸縮電線となる点から、線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維であるものが好ましい。
複数本の導体線を有する伸縮電線においては、2本の信号線と2本の電力線とを有する場合がある。この場合、信号線間の間隔が不均一であると、信号線間の特性インピーダンスが不均一となり、伝送ロスが大きくなる。複数本の導体線を一方向に捲回して編組したものは、伝送ロスが少なく好ましい。このとき、信号線間の間隔をより均一にするためには、複数本の導体線間に弾性長繊維または第3の線条を同一方向で配置し、他の方向に弾性長繊維または第3の線条を配置して編組したものが好ましい。
導体線は、捲回1周あたり1箇所以上が、導体線とは反対の方向に捲回されている導体線以外の他の線条(弾性長繊維または第3の線条)で拘束されていることが好ましい。拘束箇所は、捲回1周あたり2箇所以上がより好ましく、4箇所以上がさらに好ましく、8箇所以上が特に好ましい。導体線が他の線条によって拘束されているため、繰り返し伸縮や屈曲動作による導体線間の間隔の変化が抑制され、導体線を信号線として用いた場合、伝送ロスを抑制できる。
<導体線>
導体線の比抵抗は、10−4Ω×cm以下が好ましく、10−5Ω×cm以下がより好ましい。導体線の比抵抗が前記上限値以下であれば、電気抵抗値を低くするために、大きな断面積の導体線を用いる必要がない。
導体線としては、80質量%以上が銅からなる銅線、または80質量%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線が好ましい。比較的安価で、電気抵抗が低い点からは、銅線が好ましい。軽量である点からは、アルミニウム線が好ましい。
銅線としては、軟銅線または錫銅合金線が挙げられる。銅線としては、導電性をあまり低下させずに強力を高めた強力銅合金線(たとえば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの);錫、金、銀、白金等でメッキして酸化を防止した銅線;電気信号の伝送特性を向上させるために金等で表面処理した銅線等を用いてもよい。
導体線は、単線であってもよく、2本以上の細線の集合線であってもよい。導体線としては、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくり、また、より細い伸縮電線が得られる点から、集合線が好ましい。集合線としては、捲回しやすさの点から、撚り線が好ましい。
集合線を構成する細線は、樹脂を被覆したものであってもよい。被覆樹脂の厚さは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。被覆樹脂の厚さが2mm以下であれば、細線の柔軟性を低下させず、かつ細線の外径を小さくできる。被覆樹脂は、公知の被覆樹脂から適宜選択すればよい。被覆の構成としては、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステル−ナイロン被覆、ポリエステルイミド被覆、ポリエステルイミド−ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。
集合線を構成する細線の直径Deは、1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましく、0.08mm以下がさらに好ましく、0.05mm以下が特に好ましい。Deが1mm以下であれば、導体線の柔軟性が高まり、伸縮電線の伸縮性を阻害せず、かつ伸縮による断線が起きにくい。Deは、0.01mm以上が好ましい。Deが0.01mm以上であれば、加工時に細線が断線しにくい。
導体線は、集合線に樹脂を被覆したものであってもよい。被覆樹脂の厚さは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。被覆樹脂の厚さが2mm以下であれば、細線の柔軟性を低下させず、かつ細線の外径を小さくできる。被覆樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。
導体線は、可撓性を発揮するため、また、加工時に細線の被覆樹脂の破壊を抑制するために、集合線に絶縁繊維(V)を捲回したものであってもよい。
絶縁繊維(V)としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。
導体線を複数本用いる場合、導体線の識別のために、各導体線をあらかじめ色分けしてもよい。複数本の導体線をまとめて1本の電線として取り扱うこともでき、各導体線を別個の電線として取り扱うこともできる。
導体線の換算直径Ddは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。Ddが2mm以下であれば、可撓性がよく、安定して捲回できる。Ddは、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。Ddが0.01mm以上であれば、捲回の作業性がよい。
<弾性長繊維>
弾性長繊維は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、スリットヤーンであってもよい。
弾性長繊維の繊度は、10〜5000dtexが好ましく、30〜2000dtexがより好ましい。
弾性長繊維の50%伸長応力は、1〜200cN/mmが好ましく、5〜100cN/mmがより好ましく、10〜50cN/mmがさらに好ましい。50%伸長応力が前記範囲内であれば、小さな力で伸長が可能な伸縮電線が得られ、多数の伸縮電線を用いる用途、たとえば、ヒューマノイド型ロボット、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適な伸縮電線となる。
弾性長繊維の50%伸長回復率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%がさらに好ましい。50%伸長回復率が前記範囲内であれば、繰り返しの伸長回復性に優れた伸縮電線が得られる。
50%伸長回復率は、下記の方法で測定される。
引張試験機につかみ間隔:100mmで弾性長繊維をセットし、引張速度:100mm/分で伸長し、50%伸長した後、直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から荷重がゼロになった時の残留伸びx(mm)を求め、下式から50%伸長回復率(%)を求める。
50%伸長回復率=〔(50−x)/50〕×100
弾性長繊維の破断伸度は、100%以上が好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましい。破断伸度が前記範囲内であれば、高い伸長性を有する伸縮電線が得られる。
弾性長繊維は、弾性長繊維の表面の摩擦が下がって捲回しやすくなる点から、その外周を合成繊維で被覆してもよい。
合成繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等が挙げられ、仮撚加工糸等の捲縮糸がより好ましい。また、導体線との摩擦をより低減できる点から、合成繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与してもよい。
合成繊維の繊度は、弾性長繊維の繊度よりも小さいことが好ましく、弾性長繊維の1/5以下がより好ましい。合成繊維を被覆する場合は、弾性長繊維の伸長性を阻害しないために、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で弾性長繊維を1.5〜6倍(好ましくは3〜6倍)に伸長した状態で、カバリング機等で合成繊維を捲回することが好ましい。
<含フッ素エラストマー組成物>
弾性長繊維は、含フッ素ゴムを含む。含フッ素ゴムは、架橋されていてもよい。
弾性長繊維は、たとえば、含フッ素ゴムを含む含フッ素エラストマー組成物を成形して弾性単繊維を得て、弾性単繊維をそのまま用いる、または、必要に応じて弾性単繊維を撚り、捲回等によって組み合わせて得られる。
含フッ素エラストマー組成物ならびにこれに含まれる含フッ素ゴム等の各成分は、第一態様と同様のものを用いればよく、好ましい形態も同様である。
<第3の線条>
編組体は、伸縮電線の伸長性を制限したり、破断強度を高めたり、複数の導体線間の間隔を確保したりする等の目的で、導体線および弾性長繊維以外の第3の線条を有していてもよい。
第3の繊維としては、絶縁繊維(VI)が好ましく、伸縮電線の伸縮性を阻害しない点から、仮撚加工糸、潜在捲縮発現性複合繊維等の捲縮糸がより好ましく、導体線よりも細い繊維がさらに好ましい。
絶縁繊維(VI)としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。
<編組体の製造方法>
編組体は、たとえば、芯部を用いることなく、線条Aおよび線条Bを丸打ちまたは角打ちする、いわゆる組紐の製造方法によって得ることができる。
組紐の製造装置としては、公知の製紐機等が挙げられる。
組紐の打ち数としては、4本、8本、16本等が挙げられ、導体線等の本数に応じて適宜選択すればよい。組紐の打ち数は、導体線の倍以上の本数が好ましく、たとえば、導体線の本数が4本の場合、組紐の打ち数は、8本または16本が好ましい。
製紐機を用いて線条Aおよび線条Bを丸打ちまたは角打ちする場合、線条Aおよび線条Bを別々にボビンに巻き取り、該ボビンを製紐機に仕掛ける。この際、線条Aおよび線条Bには、糸オモリによって張力が掛けられる。弾性長繊維には、弾性長繊維が破断しない範囲でできるだけ重い糸オモリによって張力を掛けることが好ましい。弾性長繊維を伸長した状態で導体線と編組した後、製紐機の出口側ロールを出た編組体を弛緩することによって、弾性長繊維が縮み、伸縮性を有する編組体となる。一方、導体線には、導体線が損傷したり破断したりしないように、丸打ちまたは角打ち時に導体線が緩まない程度に張力を掛けることが好ましい。
線条Aおよび線条Bのいずれか一方が弾性長繊維および導体線である場合、弾性長繊維および導体線を引き揃えてボビンに巻き取り、該ボビンを製紐機に仕掛ける。この際、弾性長繊維および導体線には、糸オモリによって張力が掛けられるが、弾性長繊維が伸長される長さは導体線によって制限される。したがって、弾性長繊維および導体線を引き揃えてボビンに巻き取る際に、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.2〜6倍程度(好ましくは1.5〜5倍程度、より好ましくは2〜4倍程度)に弾性長繊維を伸長しながら弾性長繊維および導体線をボビンに巻き取ることが好ましい。
導体線の捲回角度は、30〜80度が好ましく、35〜75度がより好ましく、40〜70度がさらに好ましい。捲回角度が前記範囲内であれば、伸縮電線の伸縮性が発現しやすい。導体線の捲回角度は、ボビンが組紐の周囲を一周する速度に対する組紐の巻き取り速度の比や、弾性長繊維の伸長倍率等によって調整できる。
捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線における伸縮電線の長さ方向(0度)に対する導体線の角度である。捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線から一定長のサンプルを切り取り、捲回されている導体線をほどいて、その長さを測定し、逆三角関数を用いて求める。
(外周被覆部)
外周被覆部は、伸縮電線の伸縮性を阻害することなく、内部の編組体の導体線を保護するものである。
1本の編組体を外周被覆部で被覆してもよく、編組体を複数本まとめて外周被覆部で被覆してもよく、編組体を外周被覆部で被覆したものを複数本まとめてさらに外周被覆部で被覆してもよい。
外周被覆部としては、第一態様と同様に、絶縁繊維(IV)を編組した組紐、絶縁樹脂からなる弾性チューブが好ましい。
外部被覆層は、組紐と弾性チューブとを組み合わせたものであってもよい。外部被覆層が弾性チューブのみの場合、弾性チューブの厚さが厚くなる傾向があり、伸縮電線を伸縮させる力が大きくなりやすい。厚さの薄い弾性チューブと、組紐とを組み合わせることによって、被覆性および伸縮性を両立できる。
組紐および弾性チューブは、第一態様と同様のものを用いればよく、好ましい形態も同様である。
編組体の線条Aおよび線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維である場合、導体線の一部が弾性長繊維の内側に入り込んだ構造となっているため、外周被覆部の厚さを薄くすることができ、より細く、コンパクトな伸縮電線が得られると同時に、高い伸縮性を保持できるという効果も得られる。
外周被覆部が中空状の組紐の場合、外周被覆部の形成方法としては、編組体を製紐機等に仕掛け、編組体を伸長した状態でその外周に絶縁繊維(IV)を編組する方法が好ましい。
(伸縮電線)
伸縮電線の抵抗は、弛緩状態で、10Ω/m以下が好ましく、1Ω/m以下がより好ましい。伸縮電線の抵抗が10Ω/m以下であれば、微弱電流を流すことができ、かつ駆動電流を流すことにも適する。
伸縮電線の10N荷重時の伸長率は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。10Nの荷重は、人が手で伸縮電線を強く引っ張って伸長した時に相当する荷重であり、これ以上の荷重が掛かると導体線が伸びて塑性変形したり、一部が断線したりすることがある。
10N荷重を10回繰り返して掛けた後の伸縮電線の伸長回復率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
伸縮電線の30%伸長荷重は、3000cN以下が好ましく、1000cN以下がより好ましく、500cN以下がさらに好ましく、300cN以下が特に好ましい。伸縮電線の30%伸長荷重が3000cN以下であれば、常用的に使われる伸びの小さい範囲において必要な力が小さい。
伸縮電線は、複数本の伸縮電線を組み込んだテープ電線(フラットケーブル)であってもよい。
テープ電線における伸縮電線の本数は、2〜100本が好ましい。汎用的なテープ電線における伸縮電線の本数は、3〜5本であるが、電源等と多数のモータ、センサ等とを1本のテープ電線で配線したい場合は、多数本であってもよい。
テープ電線の幅は、取り扱い性の点から、20cm以下が好ましく、10cm以下がより好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の伸縮電線の第二態様にあっては、編組体を構成する弾性長繊維が、誘電損失の小さい含フッ素ゴムを含むため、従来の伸縮電線に比べ、電気特性が改善された(たとえば、電気損失が低減された)ものとなる。
本発明の伸縮電線は、屈曲部分、伸縮部分等を有する機械、機器等、たとえば、各種ロボット(ヒューマノイド型ロボット、産業用ロボット等)、パワーアシスト装置、各種車両(自動車等)、ウェアラブル電子機器等に用いられる電線として有用である。
1 伸縮電線
2 伸縮電線
10 芯部
12 弾性長繊維
14 中間層
20 導体部
22 導体線
30 外周被覆部
40 編組体
42 導体線
44 弾性長繊維
50 外周被覆部

Claims (8)

  1. 弾性長繊維を有する芯部と、
    前記芯部のまわりに捲回または編組された導体線を有する導体部とを備え、
    前記弾性長繊維が、含フッ素ゴムを含む、伸縮電線。
  2. 前記導体部よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えた、請求項1に記載の伸縮電線。
  3. S巻き螺旋の線条AとZ巻き螺旋の線条Bとが互いに交錯した編組体を備え、
    前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方が、導体線を有し、
    前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方または両方が、弾性長繊維を有し、
    前記弾性長繊維が、含フッ素ゴムを含む、伸縮電線。
  4. 前記線条Aおよび前記線条Bのいずれか一方が導体線であり、他方が弾性長繊維である、請求項3に記載の伸縮電線。
  5. 前記編組体よりも外側に設けられた外周被覆部をさらに備えた、請求項3または4に記載の伸縮電線。
  6. 前記含フッ素ゴムのフッ素含有量が、50質量%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の伸縮電線。
  7. 前記含フッ素ゴムが、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体またはヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の伸縮電線。
  8. 前記含フッ素ゴムの割合が、弾性長繊維の100質量%のうち、20質量%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の伸縮電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109979653A (zh) * 2019-04-04 2019-07-05 惠州市以泰克传导科技有限公司 一种可伸缩电线
US10886867B2 (en) 2016-11-21 2021-01-05 Aisin Aw Co., Ltd. Inverter control device
JPWO2019229999A1 (ja) * 2018-06-01 2021-06-03 日産自動車株式会社 インバータ制御方法及びインバータ制御システム

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